
【中古】 スーパージェッター DVD-BOX(1)
【原作】:久松文雄
【アニメの放送期間】:1965年1月7日~1966年1月20日
【放送話数】:全52話
【放送局】:TBS系列
【関連会社】:TCJ
■ 概要(記入の時点)
1965年にTBS系列で放送が開始された『スーパージェッター』は、未来からやってきたヒーローを主人公に据えた本格的なSFアニメーションとして、当時の視聴者に新鮮な驚きを与えた作品です。全52話構成で、放送は1966年1月まで続きました。制作はTCJ(現エイケン)が担当し、番組企画はTBSのオリジナル。いわゆる原作漫画ではなく、並行して連載された久松文雄による漫画はアニメの世界観を補完するものでした。
物語は30世紀から現代にやってきた「タイムパトロール723号」ことスーパージェッターが、科学と正義を武器に、20世紀の犯罪や陰謀と対峙していくというSFヒーロー活劇。特に注目すべきは、彼の乗る未来型の飛行マシン「流星号(りゅうせいごう)」や、未来技術を駆使したガジェット類であり、それらが当時の少年少女の想像力を大いに刺激しました。
当初モノクロで制作された本作ですが、海外輸出を見越して後にカラー版が制作され、日本でも再放送を通じてカラー版が登場しています。これは、日本のアニメが国際市場に進出する過程での一例としても注目されるポイントです。
ジェッターというキャラクターは、冷静沈着かつ高い倫理観を持つヒーローでありながら、20世紀の人々との交流の中で戸惑いや人間らしさも見せる、非常にバランスの取れた人物像として描かれています。彼をサポートするのが、国際科学捜査局の西郷長官や水島かおるといったキャラクターたちです。
特筆すべきは提供企業である丸美屋食品工業が、本作を通じてテレビアニメという新しい宣伝メディアにいち早く着目した点です。食品メーカーがアニメのスポンサーを務める流れは、後のアニメ業界でも定番となりました。
1993年にはポリグラムより全話収録のLD-BOXが発売され、2002年には日本コロムビアからDVD-BOXも登場。さらに2015年にはデジタルリマスター版のDVD-BOXも発売され、名作として再評価される機運が高まりました。
スーパージェッターは、ただの勧善懲悪モノではなく、未来と現在、科学と倫理の狭間で生きるヒーローを描いた先駆的な作品といえます。日本のテレビアニメ黎明期におけるエポックメイキングな存在であり、現在でも語り継がれるべきSFアニメのひとつです。
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■ あらすじ・ストーリー
時は遥か未来、30世紀。
その時代の人類はすでに時間を自由に行き来できるテクノロジーを手に入れ、「タイムパトロール」と呼ばれる機関を設立していた。任務は過去や未来で発生するタイムクライム(時間犯罪)を未然に防ぐこと。そのエージェントのひとりが、コードナンバー723号、通称「スーパージェッター」である。
彼は、ある悪質な時間犯罪者“ジャガー”を追跡中、任務の最中に事故に遭い、愛機「流星号」ごと20世紀へと落下してしまう。タイムマシンの肝である時間跳躍機能が壊れたことで、ジェッターは自力で未来へ帰還することができなくなってしまう。
困惑しながらも、彼は20世紀での新たな任務に身を投じることを決意する。そこに現れたのが、国際科学捜査局の長官・西郷又兵衛。ジェッターの能力と正義感に着目した西郷は、彼に20世紀の犯罪捜査への協力を依頼する。ジェッターはその申し出を快諾し、自身の未来科学の知識と技術を活かして、さまざまな事件に立ち向かうこととなる。
20世紀では、時代錯誤な犯罪や科学を悪用した陰謀が蔓延していた。ジェッターは、通常の刑事や警察では対処しきれない事態において、未来技術を駆使して問題を解決するヒーロー的存在となっていく。その過程で出会うのが、西郷長官の姪である水島かおる。彼女は正義感が強く、またジェッターに好意的で、物語の人間味を補完する役割を果たす。
物語は一話完結形式を基本としつつも、時にジャガーが再登場してジェッターとの直接対決を繰り広げたり、スパイダー博士のようなクセのある科学者が暗躍したりと、SF・ミステリー・アクションの要素がテンポよく交錯する構成となっている。特に、時間犯罪や異星の生物、ロボット、未知のウイルスなど、バリエーション豊かなテーマが子どもたちの好奇心を刺激し、教育的要素も孕んでいた点は見逃せない。
また、毎回登場する「流星号」はただの乗り物ではなく、AIとも言える知性と対話機能を持ち、時にジェッターと共に判断を下す描写も見られた。スピード3000km/hの高速飛行、空中静止、光学迷彩機能など、30世紀の科学力の結晶としての存在感が、視聴者の未来像を形作る材料にもなっていた。
最終回では、ようやく流星号の修理が完了し、ジェッターは30世紀への帰還を果たす。しかし、彼の心の中には20世紀での出会いや経験が色濃く残り、感慨深い別れが描かれる。その終幕は、彼が単なる“未来の客人”ではなく、“現代を支えたもう一人のヒーロー”として認識されていたことを象徴している。
このように、『スーパージェッター』のストーリーは、単なる勧善懲悪の図式に収まらず、未来と過去、科学と感情、個人と社会の関係を描き出す深みのある構成となっていた。特に子ども向け番組でありながら、哲学的・倫理的な問いを含んでいた点に、今改めて評価の声が集まっているのも納得できる。
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■ 登場キャラクターについて
『スーパージェッター』に登場するキャラクターたちは、30世紀から来た未来人や、20世紀の科学捜査官、さらには世界征服を企む悪人など、ジャンルの垣根を超えた多彩な人物で構成されています。それぞれがジェッターの冒険に深く関わりながら、物語に厚みと緊張感を与えていました。
● ジェッター(声:市川治)
本作の主人公であり、未来の治安組織「タイムパトロール」に所属する青年。
コードネーム723号というエージェントナンバーを持ち、タイムトラベルを用いて犯罪を未然に防ぐという重責を担っています。30世紀では冷静沈着で任務に忠実なエリートパトロールマンでしたが、20世紀に漂着してからは、人間らしさや感情も垣間見せるようになります。
特に印象深いのは、「時を止める腕時計」や「透視ゴーグル」など未来技術のガジェットを使いこなしながら、現代の価値観と折り合いをつけようとする姿。これによって、ただの万能ヒーローではなく、現代人とのギャップに戸惑う一人の青年として、視聴者の共感を集めました。
また、無口でクールな性格ながらも、時折見せる優しさやユーモアが、当時の少年少女にとって「かっこよさ」の基準となったとも言われています。
● 水島かおる(声:松島みのり)
国際科学捜査局・西郷長官の姪で、ジェッターの良き理解者。
年齢は10代半ばと見られ、ジェッターとは「兄と妹」のような関係性に近いながらも、時に淡い憧れのような感情も見せます。
かおるはしばしば事件に巻き込まれる「ヒロイン」的ポジションに置かれつつも、ただの守られ役にとどまらず、情報提供や推理面でジェッターに貢献するシーンも多々あります。視聴者にとっては、未来から来たジェッターと現代の少女との対比が、感情移入しやすい導線になっていました。
● 西郷又兵衛長官(声:熊倉一雄)
国際科学捜査局の長官であり、20世紀に取り残されたジェッターに最初に手を差し伸べた人物。
老練で経験豊富なリーダーとして描かれており、ジェッターにとっては「地球での上司」であり「信頼できる理解者」。同時に、科学の暴走や犯罪の危険性について真剣に向き合う姿勢を持っており、物語の倫理的な軸を担うキャラクターでもあります。
彼の存在があったからこそ、ジェッターは「ただの客人」ではなく、社会の一員として活動することができたとも言えるでしょう。
● ジャガー(声:田口計 → 樋口功)
物語序盤から登場するジェッターの宿敵であり、30世紀から逃亡した時間犯罪者。
タイムトラベルによる時代移動を悪用し、20世紀においてもさまざまな事件を引き起こします。
彼は単なる悪役ではなく、自らの信念や野望を持った存在として描かれ、ジェッターとは何度も対峙するライバル的存在。ジャガーの思想や過去の描写も断片的に登場し、単純な善悪構図に収まらない人間性を感じさせる場面も多かったです。
その冷酷さと狡猾さ、そして未来技術への深い理解が、ジェッターにとって常に脅威であり続けました。
● スパイダー博士(声:中村正)
ジャガーとは別系統の悪の科学者で、人体実験や兵器開発を行うマッドサイエンティスト。
冷静で知的、かつ残虐な一面を持ち、「科学が人間性を失ったときの怖さ」を象徴するキャラクターとして物語に強烈な印象を残しました。
彼の登場エピソードは、単なるアクションではなく、科学の倫理や進化のリスクを考えさせる内容となっており、子ども向け作品にしては驚くほど重厚です。
● 悪漢首領(声:西桂太)
未来とは無関係に、20世紀で暗躍する犯罪組織のボス。
地球上のテクノロジーや資源を狙う典型的な野心家で、ジェッターと西郷長官の組織にとって厄介な存在です。
ジャガーやスパイダーといった未来人とは異なり、現代の枠組みの中で暗躍する敵という点が、作品にリアリティと厚みを加えています。
このように『スーパージェッター』に登場するキャラクターたちは、それぞれが物語の中で重要な機能を担っており、単なる善玉・悪玉では割り切れない深みを持っています。特に、ジェッターを取り巻く人間関係や、敵との知略的な駆け引きが視聴者の記憶に深く刻まれていることは間違いありません。
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■ 主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
アニメ『スーパージェッター』において、音楽は物語の雰囲気作りやキャラクターの魅力を際立たせるうえで欠かせない重要な要素でした。主題歌や挿入歌は、ただ流れるBGM以上の存在感を放ち、視聴者の心に鮮やかな記憶を残しています。
● 主題歌「スーパージェッター」
作詞:加納一朗
作曲・編曲:山下毅雄
歌:上高田少年合唱団
番組の幕開けとともに流れるこの主題歌は、当時の子どもたちにとって“正義の象徴”とも言える存在でした。力強いリズムと、少年合唱団の透明感のあるコーラスが印象的で、「ジェッター! ジェッター! 未来から来た男だ!」という歌詞は、まさに作品全体のテーマを凝縮したキャッチコピーのように響きます。
歌詞では、「時を超えて、悪を討つ」というメッセージが前面に押し出され、ジェッターの使命感や凛々しさがリスナーに伝わるよう工夫されています。また、メロディの高低差とスピード感は、「未来」「スピード」「科学」というキーワードを感じさせる構成になっており、アニメーションとの親和性も高い点が特徴です。
特に印象的なのは、イントロのファンファーレ的な始まり。これはまるで「これから正義の物語が始まる」という合図のようで、毎回視聴者の胸を高鳴らせた瞬間だったと語るファンも多くいます。
● 挿入歌「流星号のマーチ」
作詞:加納一朗
作曲・編曲:山下毅雄
歌:ヴォーカル・ショップ
ジェッターが愛用する空飛ぶ乗り物「流星号」をテーマにしたこの挿入歌は、機械でありながらまるで相棒のような流星号の魅力を、軽快なマーチ風のメロディに乗せて表現しています。
この楽曲が流れるのは、主に流星号が空を駆けるシーンや出動する場面。アップテンポで力強い音楽が、スピード感と爽快感を盛り上げ、視聴者の期待を一気に引き上げる演出効果を果たしていました。
歌詞の中では、流星号の高機能ぶりが紹介されるだけでなく、「未来からきた誇りの翼」といった擬人化表現を用いることで、ただの乗り物ではなくジェッターの「パートナー」としての存在感を際立たせています。
● 音楽全体の特色と作曲者・山下毅雄の影響
主題歌・挿入歌ともに手がけた山下毅雄は、当時から数々のテレビ番組やドラマ音楽を手がけていた名作曲家。彼の音楽は、メロディーのキャッチーさだけでなく、音の使い方、テンポの強弱、そして「物語のリズム」との一体感に優れており、本作の音楽面での完成度を高める一翼を担いました。
たとえば、主題歌にはSFアクションらしい緊張感と高揚感があり、子どもたちに「ワクワク感」を与えつつも、作品世界への“導入”としても機能していました。一方、挿入歌では、軽快さや親しみやすさを押し出すことで、作品の中に緩急を生み出していたのです。
音楽演出はシーンごとに細かく計算されており、単に盛り上げるだけでなく、ジェッターの決意、迷い、戦い、別れ――といった感情の移り変わりも見事に表現されていました。
● 視聴者の記憶に残る音楽の力
今でも「スーパージェッターの主題歌を口ずさめる」というファンは少なくありません。当時の少年たちにとって、ジェッターの主題歌は憧れのヒーロー像を強烈に刷り込む存在であり、番組を見終わったあとでも頭の中に響き続けたという証言もあります。
また、主題歌や挿入歌がカセットやEP盤として販売されていたことから、家庭でも何度も繰り返し聴かれていたようで、アニメと音楽がセットになって子どもたちの記憶に深く刻み込まれていたことがうかがえます。
このように、『スーパージェッター』の音楽は作品の顔とも言える存在でした。ただのBGMや効果音ではなく、物語を支える柱の一つとして機能していたことは、今でも評価が高い理由のひとつです。
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■ 声優について
『スーパージェッター』が今なお語り継がれる名作である理由のひとつに、声優たちの圧倒的な演技力があります。アニメ黎明期の作品でありながら、主要キャストには舞台経験豊富な実力派が起用され、キャラクターたちの感情や人格が“声”を通じて明確に伝わってきました。
● 主人公・ジェッター役:市川治
主人公ジェッターの声を務めた市川治氏は、当時から知性と冷静さを併せ持つ声のトーンで知られた俳優・声優。
ジェッターというキャラクターは未来人であり、理知的かつ合理主義的な性格を持ちながらも、20世紀の人々との関わりの中で徐々に人間味を帯びていく存在です。この微妙な変化を、抑制の効いた語り口や、感情の揺れをにじませる絶妙な演技で表現していました。
特に、敵との対決シーンで見せる鋭い声色と、かおるや西郷長官との交流時に見せる柔らかい口調のギャップは、視聴者の心に残ったポイントの一つです。市川氏の落ち着いた演技があったからこそ、ジェッターの“未来人としての異質さ”と“地球人としての共感性”が両立できたといえるでしょう。
● 水島かおる役:松島みのり
ヒロイン・かおる役を演じた松島みのりさんは、少女キャラを得意とする声優として当時すでに高い評価を得ていました。
かおるは、天真爛漫な側面と、状況を読み取って行動する賢さを兼ね備えたキャラクター。その二面性を、松島氏は声色の変化やテンポの工夫によって鮮やかに演じ分けています。
特に、危機的状況での叫び声と、普段の無邪気さとのコントラストが印象的で、視聴者の中には「かおるの声を聞くと安心する」と感じたファンもいたほど。アニメヒロインとしての魅力だけでなく、“ジェッターに寄り添う地球人代表”としての役割も見事にこなしていました。
● 西郷又兵衛長官役:熊倉一雄
国際科学捜査局の長官・西郷を演じたのは、ナレーションや舞台俳優としても名高い熊倉一雄氏。
その重厚な低音と説得力のある語り口は、まさに“組織の長”というキャラクター像にぴったりでした。視聴者にとっては「大人の世界」の象徴のような存在であり、物語に信頼感と格調を与える存在でした。
また、熊倉氏はストーリーテラーとしての力も持っており、会話の合間に含まれる間や抑揚のつけ方が、聞き手の集中を引き付ける魅力を持っていました。
● ジャガー役:田口計 → 樋口功
物語中盤で声優が交代するという異例の経緯を持つジャガー役。
初期は田口計氏が演じ、冷酷さの中にも知性を感じさせるクールな声で、狡猾な時間犯罪者としてのキャラクターに説得力を与えました。中盤からは樋口功氏に交代し、やや感情的で荒々しいニュアンスが加わったことで、キャラクターの印象がより「悪役らしく」なったと見る向きもあります。
演じ手によって変化するジャガーの描き方は、単なる交代ではなく、“キャラクターの深化”として捉えるファンも多く、異なる声優の解釈が楽しめるという点で、今も語り草となっています。
● スパイダー博士役:中村正
怪しげな科学者スパイダー博士を演じた中村正氏は、独特の響きを持つ声で、キャラクターの狂気と知性を巧みに融合させました。
口調は一見穏やかでも、そこに潜む危険性や緊張感が声から感じられ、「何を考えているのか分からない不気味さ」がにじみ出ていました。
スパイダー博士登場回は、視聴者の間でも人気の高いエピソードが多く、中村氏の存在感が作品の中核に迫る場面も多かったです。
● その他のキャスト
悪漢首領役の西桂太氏や、各話のゲストキャラを演じた俳優たちも、当時のテレビ演劇・ラジオ劇経験者が多く、セリフの間の取り方や抑揚の巧みさが作品の完成度を高めていました。
また、ナレーションや機械音声、警報音までもが当時としては非常に工夫されており、音響面から作品の世界観を強固に支えていたのです。
● 声優陣への当時の評価と視聴者の反応
当時の視聴者はまだ「声優」という職業に強い意識を持っていなかった時代ではありましたが、本作の声の演技は特に「聞き取りやすい」「感情が伝わってくる」といった好意的な反応が多く寄せられていました。
一方で、後年再放送やパッケージ化された際に、あらためてその演技力の高さが注目され、「今聴いても古くない」「むしろ落ち着いた演技がいい」と再評価する声が増えたのも本作ならではの特徴です。
このように、『スーパージェッター』に命を吹き込んだ声優陣は、作品の世界観とキャラクターの魅力を最大限に引き出した功労者たちでした。その演技は、単なる“セリフの読み上げ”ではなく、視聴者の感情を揺さぶる“演技の芸術”として、今なお語り継がれています。
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■ 視聴者の感想
『スーパージェッター』が放送された当時、テレビアニメというメディアはまだ発展途上であり、アニメ番組のひとつひとつが「新しい表現の実験場」でもありました。そんな中、未来をテーマにしたSFアニメ『スーパージェッター』は、視聴者――特に少年層――に大きなインパクトを与えた存在でした。
● 放送当時(1965〜1966年)の子どもたちの反応
昭和40年前後の日本では、テレビの普及が加速し始め、家庭で毎週決まった時間にアニメを視聴する「習慣」が生まれつつありました。そのなかで『スーパージェッター』は、木曜18時という“夕食前のゴールデンタイム”に放送され、多くの子どもたちが食卓の直前まで画面に釘付けになる人気ぶりを見せました。
当時の感想として多く聞かれたのが、
「未来の道具にワクワクした」
「ジェッターの腕時計が本当に欲しかった」
「流星号が空を飛ぶシーンがカッコよかった」
といった、「未来」や「科学技術」への憧れを直接刺激されたという声です。
とくに「流星号」は、男の子たちの“なりきり遊び”の定番となり、自転車に段ボールで装甲を作って「時速3,000キロ!」と叫びながら走り回る子どもも少なくなかったといわれます。
● ジェッターという存在の特別さ
『鉄腕アトム』や『鉄人28号』など、既存のアニメ作品が「ロボット」や「科学者」を主役としていたのに対し、『スーパージェッター』は“未来から来た青年”という立ち位置。これが、視聴者にとっては「自分が大人になったとき、こうなれるかも」という等身大の憧れとして機能していました。
視聴者の感想には、
「アトムはロボットだったけど、ジェッターは人間だった。そこがよかった」
「制服や乗り物、武器、全部が未来っぽくてカッコよかった」
という声が多く寄せられています。
彼はヒーローでありながら、地球の社会に溶け込もうとする“よそ者”でもあり、その姿に孤独や使命感を感じ取るファンも少なくなかったようです。
● 女の子の視点からの感想
当時のアニメの多くが男児向けに作られていたことを踏まえると、『スーパージェッター』はやや珍しい形で、女の子からの人気も集めていました。理由のひとつはヒロイン・かおるの存在。そしてもうひとつは、ジェッターの「冷静で優しい大人の男性像」が、少女たちの憧れの対象として機能していたことです。
あるファンの回顧によれば、「当時まだ“イケメン”という言葉がなかったけれど、ジェッターがまさにそれだった」と語られており、物静かで頼れる未来人の姿が、今で言う“理想の上司”にも“理想の兄”にも重ねられていたようです。
● 再放送世代・DVD世代の声
1980年代に再放送が行われた際には、当時リアルタイムで見ていた世代の子どもが親となり、自分の子どもに「懐かしさ」を共有するという“世代超えのアニメ体験”が広がりました。
「昔のお父さんが好きだったアニメ」として紹介されたジェッターは、むしろ新鮮な存在として子どもたちに受け入れられ、
「白黒でもかっこいいって思ったのはこの作品だけ」
「流星号が今のアニメよりリアルに感じた」
といった再評価の声があがります。
また、2000年代以降にDVD-BOXが発売されてからは、当時のファンだけでなくアニメ研究者や若いSFファンの注目も集め、
「設定が今見ても完成度が高い」
「構図やテンポが現代のアニメと比べても遜色ない」
といった分析的な視点からの評価も増えていきました。
● 現在の評価とレトロブームの影響
近年、いわゆる“昭和レトロ”の価値が再注目されている中で、『スーパージェッター』もまた「懐かしの名作」として再評価されています。YouTubeやSNSを通じて、当時の主題歌やオープニング映像に触れる若年層も増加し、コメント欄には、
「自分の知らなかった時代のカッコよさを知った」
「ジェッターの落ち着いた声が、最近のアニメにはない魅力」
といった声が並びます。
このように、『スーパージェッター』は、放送当時の子どもたちにとっては“未来への扉”を開く作品であり、現在では“アニメの原点を感じさせる作品”として親しまれ続けています。
単なるノスタルジーにとどまらず、今なお新しい発見と感動を与えてくれる稀有な名作――それが、スーパージェッターという存在なのです。
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■ 関連商品のまとめ
『スーパージェッター』は1965年のテレビ放送開始以降、様々な関連商品が展開されました。作品の世界観やキャラクターを商品化する動きは、昭和40年代という時代において先進的であり、のちのアニメ商品マーケティングのモデルケースにもなっています。
● 映像関連:VHS、LD、DVDの時代を越えた再商品化
映像メディアとして初めて『スーパージェッター』が商品化されたのは、1980年代後半。当時は家庭用ビデオ機器の普及により、人気アニメをVHSで所有したいというニーズが高まっており、主にアニメファン層に向けてセル・レンタル両方の形でリリースされました。
1993年には、ポリグラム株式会社から全話を収録したレーザーディスク(LD)BOXが発売され、LD特有の大型ジャケットにキャラクターの描き下ろしイラストが使われるなど、コレクターアイテムとしても注目を集めました。
2002年には日本コロムビアよりDVD-BOXが登場。上下巻に分かれており、パッケージデザインには昭和レトロを意識したビジュアルが用いられ、作品を知らない世代の購買も視野に入れた構成でした。そして2015年にはデジタルリマスター版のDVD-BOXが発売され、映像の鮮明さが格段に向上。特典としてオープニング・エンディングのノンクレジット映像、ブックレットなども同梱され、当時を懐かしむファンやアーカイブ収集家の間で高評価を得ました。
● 書籍関連:アニメコミカライズとムック本
久松文雄による漫画版『スーパージェッター』は、アニメ放送と同時期に子ども向け雑誌などで展開され、いわゆる「メディアミックス」の先駆けとしても注目されました。これはアニメを見た子どもたちが、紙面でも物語を追体験できるという意味で大きな意味を持っていました。
さらに、90年代には設定資料やキャラクター紹介をまとめたムック本も発行され、アニメ専門誌やファンブックの特集に『スーパージェッター』が取り上げられる機会が増えました。特に「懐かしのヒーロー大全」「昭和アニメ事典」などの書籍では必ずといっていいほど言及されており、アニメ史の中での評価が確立されたことを示しています。
● 音楽関連:主題歌と挿入歌のEP・CD化
アニメといえば音楽、と言われるようになった背景には、『スーパージェッター』のような作品の存在があります。主題歌「スーパージェッター」や挿入歌「流星号のマーチ」は、当時EPレコード(いわゆるドーナツ盤)として発売され、家庭用のレコードプレイヤーで繰り返し楽しまれていました。
その後、2000年代に入るとCD版の再発や、アニメ主題歌のコンピレーションアルバムにも収録されるようになり、昭和アニメファン層やコレクターの間で再び脚光を浴びました。
● ホビー・おもちゃ:流星号が人気の中心
当時のアニメにおいて、メカや乗り物の立体商品化は非常に重要な展開であり、『スーパージェッター』も例に漏れず多様なおもちゃが登場しました。中でも最も人気を博したのがジェッターの愛機「流星号」の玩具。プラスチック製やブリキ製のミニカー、ゼンマイ式の流星号など、バリエーションも豊富でした。
ソフビ人形やフィギュアも存在しており、ジェッター本人のフィギュアと流星号のセットは、当時の子どもたちの憧れの的。ガチャガチャの景品や文具の付録として登場することもあり、幅広い商品展開がなされました。
● ゲーム関連:当時のボードゲームと近年のデジタル展開
テレビゲーム以前の時代であったため、当初はすごろく型のボードゲームが主流。『スーパージェッターすごろく』として、マスを進めながら流星号に乗ってジャガーを追う内容で、アニメの設定を忠実に再現したデザインでした。
後年、一部のマニア向けにミニゲームや液晶携帯玩具風のファンメイド商品も流通。さらに、キャラクター図鑑やアニメ系カードゲームに『スーパージェッター』の登場人物が収録されることもありました。
● 食玩・文房具・日用品:昭和グッズの宝庫
丸美屋食品がスポンサーであったこともあり、レトルトカレーやふりかけ、食玩のおまけにスーパージェッターのグッズがつくことが多々ありました。たとえば、キャラクターがプリントされたお皿やコップ、鉛筆・下敷き・ノート・シールなどの文房具が小学校で大人気に。
現在では、こうした文具や日用品が「昭和レトログッズ」として再評価されており、未使用・当時物の状態が良いものはプレミア価格がつくこともあります。
このように、『スーパージェッター』関連の商品は映像・書籍・音楽・ホビー・日用品まで多岐にわたり、作品の人気と影響力の広がりを物語っています。
今なお、復刻商品やアーカイブ展示を通して新たなファンを生み出しており、単なる懐古ではない「生き続けるコンテンツ」としてその価値を保ち続けているのです。
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■ オークション・フリマなどの中古市場
『スーパージェッター』は放送から60年近くが経過した今でも、多くのコレクターや昭和アニメファンの関心を集め続けています。特にレトロアニメの再評価や、昭和グッズ人気の高まりにより、中古市場では映像メディアやグッズ、玩具などが継続的に取引されており、商品の状態や希少性によっては驚くほどの高値が付くこともあります。
● 映像ソフト:DVD、LD、VHSの価格と人気
中古市場で最も安定した需要があるのは、やはり映像ソフトです。
VHS:セル版・レンタル版ともに存在し、1本あたりの相場は2,000〜4,000円程度。初回巻や最終巻、状態が極めて良好なものは5,000円を超えることも。帯付きやジャケット美品は特に人気です。
LD(レーザーディスク):1993年発売の全話収録BOXは高い人気を誇り、完品であれば20,000〜30,000円前後の落札例も確認されています。ディスク単品でも1枚3,000〜6,000円の相場です。
DVD:2002年発売の上下巻BOXや、2015年のデジタルリマスター版は高額で安定取引されており、開封済みでも1セットで10,000円〜20,000円。未開封品や特典付きの場合は25,000円を超えるプレミア価格になることもあります。
映像メディアは再販の可能性が低く、初回限定生産が多いため、今後さらに価値が高まると見るコレクターも少なくありません。
● 書籍・雑誌類:初版や付録付きにプレミア傾向
原作コミック(久松文雄版):初版本や帯付きのものは1冊あたり3,000円〜5,000円、状態が良好なセットは10,000円超えも珍しくありません。
アニメ雑誌(当時のOUT、アニメディアなど):特集記事が掲載されている号は1,500〜3,000円。ピンナップやポスター付きのものはさらに高騰する傾向。
ムック本・資料集:ファンブックや設定資料集は希少で、保存状態が良ければ5,000円前後で取引されることも。特に、イラスト集やキャラ設定が掲載されたものに人気が集まっています。
● 音楽メディア:EP・LP・CDの価値
EPレコード(ドーナツ盤):「スーパージェッター」「流星号のマーチ」はともに2,000〜3,500円が平均落札価格。未使用に近い美品では5,000円を超えるケースもあります。
LPアルバム:サウンドトラックLPは市場に出回る数が少なく、1枚5,000円以上で落札されることが多いです。
CD版(再発・コンピ盤):後年の再発CDは1,000〜2,000円程度と比較的手頃ですが、初回限定仕様や帯付き美品はプレミアがつきやすい傾向にあります。
● ホビー・おもちゃ:流星号関連は常に人気
流星号のゼンマイ玩具・ブリキカー:当時物は特に希少で、動作可の完動品は10,000円以上、未使用・箱付きなら30,000円を超えることも。ミニチュア版や復刻風グッズも人気。
ソフビフィギュア(ジェッター・かおる等):年代により相場は異なりますが、昭和40年代製で状態が良いものは1体2,000〜4,000円、全キャラセットは10,000円以上になることも。
ガチャ系フィギュア・バッジ・キーホルダー:1個数百円〜1,500円程度。小物類は状態より“コンプ率”や“ロット番号”が重視されがちです。
● ゲーム・ボード類:復刻のない分レア度高
ボードゲーム:「スーパージェッターすごろく」は、コンディション次第で3,000〜7,000円。欠品ありでも2,000円以上の値がつきます。
カード類・付録ミニゲーム:雑誌付録などに付いていたカード型おまけやミニゲームは、1,000円前後で出品・落札される例が多く、コレクターの間では需要が安定しています。
● 食玩・文具・日用品:昭和グッズブームで高騰
文具類(下敷き・ノート・定規・鉛筆):1点あたり500〜2,000円、セット売りでは3,000円を超えるケースも。
日用品(コップ・弁当箱・石鹸ケースなど):箱付き・未使用であれば5,000円以上の高値がつくこともあります。
食品関連(ふりかけ皿・キャラシール付きお菓子):現存数が極端に少ないため、状態次第では非常に高額取引されることも。パッケージの未開封品は10,000円以上になることもあります。
● 総合的な傾向
美品、完品、初版、未開封というキーワードが価値を大きく左右
流星号関連グッズと映像メディアが最も高値安定
同年代のアニメと比べても出品数はやや少なめで、競争率は高め
レトロブームを背景に相場は年々上昇傾向
このように、『スーパージェッター』関連の商品は、昭和アニメの中でも比較的「市場価値」が高く、中古市場において一定の需要を保っています。
思い出を買い戻す世代、コレクションを極める世代、そして“昭和レトロ”を掘り起こす若年層、それぞれのニーズが交差することで、今後も継続的な取引が続くことは間違いないでしょう。
■ 現在購入可能な人気売れ筋商品です♪
スーパージェッター完全版(下) (マンガショップシリーズ) [ 久松文雄 ]





スーパージェッター完全版(中) (マンガショップシリーズ) [ 久松文雄 ]





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