【SS】 きゃんきゃんバニー プルミエール2 (付録ディスクあり)【中古】セガサターン
【発売】:カクテル・ソフト
【対応パソコン】:PC-9801、X68000、FM TOWNS
【発売日】:1993年6月25日
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム、シミュレーションゲーム
■ 概要
きゃんきゃんバニーシリーズ第5作という立ち位置
「きゃんきゃんバニーエクストラ」は、カクテル・ソフトが手掛ける看板シリーズの一つ「きゃんきゃんバニー」の第5作として登場した18禁恋愛アドベンチャーゲームです。対応機種はPC-9801、X68000、FM TOWNSという、当時のパソコンゲーム市場を代表する3プラットフォームで、1993年に順次発売されました。 前作「プルミエール」で初登場した女神スワティを再びヒロイン役に据え、プレイヤーは大学卒業を控えた青年となって、さまざまな女性たちとの出会いを重ねていきます。それまでのシリーズに比べて、物語性・心理描写・シナリオの重厚さが一段と増しているのが大きな特徴で、単なる“お色気ADV”という枠を超え、恋愛ドラマとしての読み応えを前面に押し出した作品といえます。 また本作は後にPC-FX向けの『きゃんきゃんバニーエクストラDX』やセガサターン版といった家庭用移植や、ドラマCD・イメージアルバム・OVAといったメディアミックス展開も行われており、シリーズ中でもとりわけ商品展開の多いタイトルとして知られています。
物語の導入と世界観
物語の主人公は、大学卒業を間近に控えながらも就職が決まらず、漠然とした不安と虚しさを抱えている青年です。将来への展望も見えず、日常もどこか色褪せて感じられるなか、彼はある深夜、いつものようにコンビニで立ち読みをして時間を潰しています。そのとき、突如として眩い光が差し込み、かつてどこかで出会った記憶のある不思議な少女――女神スワティが目の前に現れます。 スワティは「幸福」を司る存在として、以前に果たせなかった約束を主人公に思い出させます。彼女の新たな力によって、主人公は“出会いのチャンスを何度でもやり直せる”という特別な加護を授かり、さまざまな女性と出会う日々が始まっていきます。ここからプレイヤーは、現代日本を舞台にしたリアル寄りの日常ドラマと、時間を巻き戻すというファンタジックな要素とが入り混じる独特の世界観を体験していくことになります。
ゲームジャンルとプレイスタイル
ジャンルとしてはテキスト主体の恋愛アドベンチャー/恋愛シミュレーション寄りの構成で、プレイヤーは主人公の行動を選択しながら各ヒロインとの関係を深めていきます。会話選択肢や行動選択に応じてイベントが分岐し、それぞれのヒロインごとのストーリーが展開していくスタイルはシリーズ共通ですが、本作ではルートごとのテーマ性がより強く打ち出されており、「学生から社会人になる不安」「家族との確執」「戦争の記憶」「過去のトラウマ」などが、恋愛ドラマの中に織り込まれています。 一方で、18禁タイトルらしく、恋愛のクライマックスとしての親密なシーンもしっかり用意されていますが、そこに至るまでの積み重ねや心理描写に重きを置いているため、“ただイベントCGを見るためのゲーム”というより、“じっくり読み込むタイプの恋愛ストーリー”という印象が強い作品です。シリーズを通して培われてきた「軽妙な会話」「どこかコメディタッチな掛け合い」「唐突に挟まるギャグ」も健在で、重いテーマとコミカルなやり取りのバランスが絶妙に調整されています。
スワティ再登場作としての位置づけ
本作における最大のアイコンは、やはりナビゲート役の女神スワティです。前作『きゃんきゃんバニープルミエール』で強烈な印象を残した彼女が、今作ではより主体的に物語に関わる存在として描かれています。プレイヤーの失敗を何度でもやり直させてくれる存在でありながら、単なる“ゲームの便利キャラ”に留まらず、彼女自身の感情や想いもストーリーのなかで徐々に掘り下げられていきます。 シリーズを通して追いかけてきたファンにとっては、“スワティの物語の一つの頂点”とも受け止められる内容で、彼女の明るさや無邪気さの裏にある繊細さが、いくつかのシーンで印象的に描かれます。そのため、本作は「スワティというキャラクターをより深く知るための作品」として語られることも多く、後のドラマCDやCDアルバムなどのメディア展開でも、スワティを中心に据えた企画が数多く展開されました。
マルチルート構成と“やり直し”のコンセプト
『きゃんきゃんバニーエクストラ』の特徴の一つが、「バッドエンドや完全なゲームオーバーに陥りにくい」構造です。通常の恋愛ADVでは、選択肢を間違えるとヒロイン攻略に失敗し、そのまま残念な終わりを迎えるパターンが多く見られますが、本作ではヒロイン攻略に失敗しても、スワティの力によって物語が巻き戻され、再チャレンジが可能という設定になっています。 このシステムは、単なる親切設計に留まらず、「人生における後悔とやり直し」というテーマを象徴する仕掛けにもなっています。プレイヤーは、さまざまな選択を試しながら“ベストな未来”を模索していくことになり、複数ルートを回収していく過程そのものが、主人公の成長物語として感じられるように作られています。一度のプレイで全ヒロインのエピソードを追いやすい構成になっているため、キャラクター同士の対比や、ルートごとに描かれるテーマの違いも自然と見えてきます。
当時のPCゲーム市場における位置づけ
本作が登場した1993年前後は、PC-9801を中心に18禁恋愛ADVが一気に存在感を増していった時期であり、同時期には他社からも大ヒット作が次々と登場していました。そのなかで「きゃんきゃんバニー」シリーズは、比較的早い段階から“ナビゲート役の女神キャラ”“明るくポップな世界観”“パーティー形式の出会い”といった要素を取り入れており、本作『エクストラ』はそうした流れを継承しつつ、ドラマ性を高めることで差別化を図ったタイトルといえます。 さらに、PC-9801版だけでなくX68000版・FM TOWNS版といった複数機種で展開したことにより、当時としては幅広いユーザー層にアプローチすることができました。FM TOWNS版ではCD-ROMを活かしたサウンド面の強化が図られており、家庭用移植版やドラマCDとも共通する世界観・楽曲を、より高音質で楽しめる点がファンに喜ばれました。
メディアミックス展開と“看板タイトル”としての存在感
『きゃんきゃんバニーエクストラ』は、シリーズの中でもとりわけメディア展開が活発だった作品です。PC版のヒットを受けて、アニメOVAやドラマCD、イメージアルバム、さらにはPC-FX向けの『エクストラDX』、セガサターン版など、多方面へと広がる展開が行われました。 これらの展開により、PCゲームをプレイしていない層にもスワティや各ヒロインの存在が知られるようになり、「きゃんきゃんバニー」シリーズそのもののブランド力向上にも大きく寄与しています。後年、同じカクテル・ソフトから『Pia♥キャロットへようこそ!!』シリーズが登場するまでの期間、本作は長らく“メーカーを代表するタイトル”として扱われており、90年代前半のPC美少女ゲーム史を語るうえで欠かせない一作となっています。
総括としての「エクストラ」像
総じて、『きゃんきゃんバニーエクストラ』は、シリーズの集大成的な要素と、新しい方向性への一歩を兼ね備えた作品といえます。軽快な会話劇やポップで親しみやすいキャラクターデザインといった従来の魅力を維持しつつ、主人公の人生観や各ヒロインの抱える問題に踏み込んだストーリーによって、“読ませる恋愛ADV”としての厚みを獲得しました。 18禁タイトルとしての刺激だけでなく、“人生の転機に立つ若者が、さまざまな出会いを通じて自分の生き方を見つけていく物語”として楽しめるのが、本作の大きなポイントです。シリーズや90年代PCゲームに触れてきたプレイヤーの記憶に、今もなお強い印象を残し続けているのは、このドラマ性とキャラクター性のバランスの良さゆえだと言えるでしょう。
■■■■ ゲームの魅力とは?
恋愛ドラマとしての「読み応え」がある
『きゃんきゃんバニーエクストラ』の一番の魅力は、やはり“18禁ゲーム”という枠を超えた恋愛ドラマとしての読み応えです。シリーズ伝統の明るくポップな雰囲気はそのままに、今作では主人公が大学卒業を控えた年代ということもあって、恋愛だけでなく「進路」「家族」「過去のトラウマ」など、人生の岐路ならではのテーマが物語に織り込まれています。ヒロインごとに抱えている問題も決して単純ではなく、家庭の事情や戦争の影、自己肯定感の欠如など、当時の美少女ゲームとしては踏み込み方がかなり深い部類に入ります。 そのため、単にイベントCGを回収するために選択肢を追うというより、「この子がなぜこういう行動を取るのか」「あのときの選択が彼女の気持ちにどう影響したのか」といった点を考えながら読み進める楽しさがあります。ルートによっては胸が詰まるような展開もあり、エンディングを迎えた後にしばらく余韻が残るのも本作ならではです。
スワティが作り出す“やり直し可能な恋愛”の面白さ
本作の案内役である女神スワティの存在も、ゲームの魅力を大きく支えています。プレイヤーが選択を誤ってヒロイン攻略に失敗しても、スワティの力で時間が巻き戻され、再びチャンスが与えられるという設定になっているため、システム的には非常に遊びやすく、物語的には“何度でもやり直せる恋愛”という独特のテーマが際立ちます。 通常のADVであれば、バッドエンドを迎えた瞬間に一旦ゲームオーバーですが、本作では失敗すらも「別の未来を試すためのステップ」として描かれます。スワティが明るく背中を押してくれるおかげで、プレイヤーも気軽に選択肢を試せる一方、何度もやり直していくうちに「自分ならどんな選択をしたいか」を自然と考えさせられる構造になっているのが面白いところです。
キャラクターごとに異なる濃いテーマ性
各ヒロインのルートには、はっきりとしたテーマが設定されています。家庭の事情に振り回される少女、将来の夢と現実のギャップに悩む子、戦争が残した傷跡に向き合うキャラクターなど、一人ひとりが別々の悩みを抱えており、主人公は恋人としてだけでなく、一人の人間としてその問題に向き合っていくことになります。 ルートの中には非常にシリアスな展開を含むものもあり、涙無しでは見られないエピソードも少なくありません。戦争を扱ったルートでは、単に特定の国や世代の悲劇としてではなく、「人類全体が背負う罪」として示唆するような視点も織り込まれており、プレイ後に重い余韻を残します。こうした“重めのテーマ”を、あくまで恋愛物語の延長として自然に読ませてしまう構成力が、本作の高い評価につながっています。
ポップさとシリアスさのバランス
重厚なテーマを扱いつつも、全体のトーンが暗く沈みきらないのは、シリーズならではの軽妙な会話センスに支えられているからです。スワティの天真爛漫なノリや、主人公のユーモラスなモノローグ、サブキャラクターたちのちょっとおかしな言動が、要所要所で空気を和らげてくれます。 深刻な話題を扱うシーンでも、ほんの少し挟まる掛け合いによって、プレイヤーが感情的に息抜きできるようになっているため、重過ぎて読み進められない、という事態になりにくいのも魅力です。「笑えるところは思い切り笑えて、泣くところはしっかり泣ける」というメリハリの良さが、最後まで飽きずにプレイできる要因になっています。
当時として高水準のビジュアルと演出
グラフィック面も当時のPCゲームとして非常に評価が高く、特にスワティをはじめとしたヒロインたちのビジュアルは、当時の人気作『同級生』に迫る支持を集めたとされています。 キャラクターデザインは、いわゆる“90年代前半の美少女ゲームらしさ”を濃縮したようなテイストで、ぱっちりとした瞳や柔らかな線で描かれる髪や衣装が印象的です。解像度640×400ドットを活かした立ち絵・イベントCGは、今見てもレトロゲーム特有の味わいがあり、ドット感と繊細な塗りが同居した画面は本作ならではの雰囲気を持っています。 また、立ち絵の切り替えや画面フェード、画面効果など、当時としては丁寧な演出が施されており、シナリオの盛り上がりに合わせて画面もきちんとドラマチックに動いてくれます。FM TOWNS版ではCD-DAによる音楽再生が採用されており、サウンド面の臨場感がさらに増しているのもポイントです。
音楽が醸し出す“90年代PCゲーム”の空気
BGMは機種によってフォーマットが異なり、PC-9801・X68000ではFM音源、FM TOWNSではCD-DA音源が用いられています。 FM音源版のBGMは、カクテル・ソフトらしいメロディアスな曲調で、ポップなメインテーマからしっとりしたバラード調の曲までバリエーション豊かに揃っており、各ヒロインのシーンを印象づける役割をしっかりと果たしています。 一方、CD-DA版ではより豊かな音色で同じ楽曲が鳴り響き、恋愛シーンや感動的なクライマックスを一段とドラマティックに演出してくれます。のちにPC-FX版『きゃんきゃんバニーエクストラDX』用のサウンドトラックとしても楽曲が整理されており、音楽単体でも楽しめるクオリティであることがうかがえます。
シリーズファン向けの“ご褒美”要素
本作はシリーズ第5作ということもあり、過去作をプレイしているファンに向けたサービスも随所に盛り込まれています。特にセガサターン版では、「きゃんきゃんバニー・プルミエール2」から石鍋環や東山日奈緒といったキャラクターがゲスト的に再登場し、世界観を共有する“お祭り感”がファンを喜ばせました。 また、スワティというキャラクター自体が前作からの継続登場であるため、彼女との関係性がより深まっていく感覚も、シリーズを追いかけているプレイヤーにとっては大きな魅力です。「前作で気に入ったキャラクターのその後を見られる」「同じ世界の別の物語を体験できる」という安心感とワクワク感が同居しており、単発作品とは違った愛着が湧いてきます。
周回プレイ前提の作りで長く遊べる
一度のプレイで複数のヒロインのルートをなぞれる構成も、本作の遊びやすさと中毒性を高めています。特定の子に集中する遊び方ももちろん可能ですが、物語の構造上、他のヒロインのイベントも自然と目に入るため、「次はこの子の選択肢を優先してみよう」「今度はこのイベントをスキップしてみたらどうなるか」といった試行錯誤が楽しくなってきます。 さらに、スワティの“巻き戻し”によってやり直しコストが低いため、プレイヤーは気軽に違う選択肢を試せます。その結果、同じシーンでも微妙に違う台詞や反応が見られるなど、細かな差異を探す楽しみも生まれます。全ヒロインのルートをクリアしたあと、改めて最初からプレイし直すと、「このときの何気ない発言が、後のシーンの伏線になっていた」と気付くこともあり、周回を重ねるほど作品への理解と愛着が深まっていきます。
主人公像の“魅力”も楽しさにつながる
主人公は、単なる“プレイヤーの器”としての無個性キャラではなく、一人の青年として明確な人格とバックボーンを持っています。将来への不安や、自分に自信が持てない部分、過去に抱えた後悔などが丁寧に描かれており、プレイヤーは彼の視点を通じてヒロインたちと向き合う形になります。 恋愛ADVの主人公は、ともすると“ヒロインたちにモテるだけの存在”になりがちですが、本作では主人公自身も悩みを抱え、選択を通して成長していくため、プレイヤーの共感を得やすい作りになっています。そのため、エンディングを迎えたときには、「ヒロインと結ばれた」だけでなく、「主人公も少し大人になれた」という満足感が味わえるのも、本作の隠れた魅力と言えるでしょう。
レトロゲームとしての“今だからこそ”の価値
現在では対応ハードがいずれもレトロ機となっており、実機でのプレイにはややハードルがある作品ですが、そのぶん“90年代PCゲーム文化を象徴する一本”として振り返る価値が高いタイトルでもあります。FM TOWNSやPC-98、X68000といった当時の高性能機で展開された恋愛ADVの雰囲気、フロッピーディスクやCD-ROMを入れ替えながらプレイする感覚など、現代の環境では味わえない要素も含めて楽しめるのが魅力です。 また、PC-FX版やセガサターン版といったコンシューマ移植版を通じて、本作の世界に触れる手段がいくつか残されていることもあり、レトロゲームファンや美少女ゲーム史を辿りたい人にとっては、今なお語り継がれる存在となっています。
■■■基本的なプレイサイクルの理解
『きゃんきゃんバニーエクストラ』の攻略でまず押さえておきたいのは、「一周で全部を取り切る必要はないし、むしろ何周も遊ぶ前提で設計されている」という点です。ゲームは朝・昼・夜といった時間帯の流れと、主人公がどこへ行き誰と会うかという行動選択で進行していきます。ある日の行動が、数日後のイベント発生条件になっていることも多く、目先の選択肢だけでなく「このヒロインのことをしっかり追いかけてみよう」と狙いを決めて動くのが大切です。とはいえ、本作には致命的なゲームオーバーがほとんどなく、スワティの力で時間を巻き戻すこともできるため、最初のうちはあまり深く考えず、気になる場所を回って雰囲気を掴むくらいの気軽さで構いません。大枠の流れを体で覚えたうえで、本格的な攻略に入ると理解がぐっと楽になります。
日常パートの動き方と情報集め
日常パートでは、自宅・大学周辺・繁華街・ショッピングエリアなど、いくつかの定番スポットを移動しながら出会いのきっかけを探していきます。特定のヒロインは特定の時間帯・場所にしか現れないことが多く、「朝の大学」「夕方の街角」「休日のデパート」など、パターンごとに行動を試すのがポイントです。シリーズ経験者なら、「このタイプの子はこの辺りに出そうだな」という勘も働きますが、初見の場合は、まずは各エリアを一通り巡回し、イベントが起こりやすい地点を把握しておくと良いでしょう。中には、繁華街のバーゲン会場のように、少し粘って画面内の女の子に何度も話しかけていると、特定のヒロインがようやく姿を見せるタイプのイベントもあるため、「一回行って何も無かったからもう用済み」と決めつけないのがコツです。
共通ルートで意識したい“フラグの仕込み”
本作のシナリオは、序盤~中盤にかけては共通パートの色が濃く、攻略対象ごとの個別ルートに分岐するまでに、いくつかの“仕込み”が必要になります。具体的には、初対面時にそっけない反応をされたヒロインでも、数日後に別の場所で再会したときにきちんと話しかけ続けていると、少しずつ距離が縮まっていき、やがて専用イベントが発生する……といった具合です。逆に、初対面で好感触だったにもかかわらず、その後ほとんど会いに行かなかった場合は、別のヒロインにルートが寄っていくこともあります。 重要なのは、一度顔を合わせた相手には、その後もこまめに会いに行くこと。会話イベントを積み重ねることで、主人公に対する印象が変わり、「あのときはああ言ったけど……」といった心情の変化が描かれるため、同じヒロインをある程度集中して追いかけるプレイスタイルが安定した攻略につながります。
ヒロインごとのルート分岐の考え方
どのエンディングに辿り着くかは、最終的には「どのヒロインとどれだけ深く関わったか」によって決まりますが、本作ではある程度までプレイしても進路が決まらないように調整されています。そのため、中盤までは複数のヒロインとバランスよく交流しておき、終盤に差し掛かるタイミングで「この子に絞る」と決めて行動するのが一つのセオリーです。 ただし、特定のルートはかなり条件がシビアな場合もあり、たとえば特定の場所にいる女の子全員と一度は会話しておかないと出現しないヒロインなども存在します。こうした“特殊な入口”を持つキャラクターは、攻略本やWeb攻略サイトを参考にしながら狙い撃ちすると効率が良く、まったくヒントなしで見つけるのはなかなか骨が折れます。
パラメータと好感度の管理
シリーズの他作品と同様、本作でも好感度にあたるパラメータが存在し、会話選択や行動内容によって上下していきます。露骨に失礼な選択や、ヒロインの重要な約束をすっぽかすような行為を繰り返すと、当然ながら関係は悪化してしまうため、テキストの流れをよく読み、相手の気持ちを汲んだ選択を心掛けるのが基本です。 また、主人公側のステータスや所持金、プレゼントの有無がイベントの成否に関わる場合もあります。仕事を入れて財布を潤わせておけば、ここぞという場面で贈り物を渡して印象を良くできる一方、遊びすぎてお金がないとせっかくのイベントで何もしてあげられない……といったことも起こり得ます。日々の行動を組み立てるときには、「この日はバイトで稼いで、次の休日に会いに行こう」といった簡単な計画を立てておくと、スムーズに好感度を稼げます。
お金とプレゼントの使い方のコツ
攻略を有利に進めたいなら、お金の使い方を意識しておくとかなり楽になります。本作のプレゼントアイテムは、単に“好感度が上がる消耗品”というだけでなく、ヒロインの個性に合ったものを選ぶことで効果が変化したり、特定のイベントのトリガーになったりすることがあります。たとえば、真面目な性格のキャラクターには落ち着いたデザインのアクセサリー、趣味にこだわりが強いキャラクターにはその趣味に関連した品物……といった具合です。 闇雲に高価な品物を買い与えるより、会話のなかでさりげなく語られる「この子が好きなもの」「今欲しがっているもの」のヒントを拾い集めることが重要です。セリフ中に出てきた商品名や場所、ブランド名などは、“今後のプレゼント候補”として頭の片隅に置いておくと、後半のイベントで役立ちます。
セーブ・ロードとスワティの“巻き戻し”を活かす
『エクストラ』は、スワティの力で時を戻せるという設定がそのままシステムにも反映されており、特定の日付以前に戻ってやり直す展開が多く用意されています。これに加えて、プレイヤー側のセーブ・ロード機能も併用することで、攻略の効率をさらに高めることができます。 たとえば、選択肢の前や、これから重要そうなイベントが発生しそうな日に入る前にセーブを取っておけば、「この選択肢を選んだらどうなるのか」「別の子を優先するとルートが変わるのか」といった検証がやりやすくなります。気に入ったイベントを何度も見返したい場合や、全ヒロインのベストエンドをコンプリートしたい場合には、こまめなセーブを習慣にしておくと、余計なやり直し時間を大幅に減らせます。
難易度の感覚とプレイスタイルの調整
本作は、一応「バッドエンドが少なく遊びやすい」設計ではあるものの、条件が複雑なルートや、特定の選択を一定回数以上重ねないと見られないイベントも存在するため、すべての要素を自力で見ようとすると難易度は決して低くありません。感覚としては、「普通に遊ぶぶんには難しくないが、コンプリートを目指すと途端に歯ごたえが出てくるタイプ」のゲームと言えます。 攻略に行き詰まった場合は、あえて一人のヒロインだけを徹底的に追いかける“専念プレイ”に切り替えるのも一つの手です。気になる子を決めたら、その子が出そうな場所・時間帯を重点的に回り、他のイベントは一旦後回しにする。こうすることで、そのヒロインに関するフラグの取りこぼしが減り、エンディングまで一気に駆け抜けやすくなります。クリアした後で改めて他のヒロインを狙うと、今度はストーリー全体の構造も見えてきて、二周目以降の攻略がぐっと楽になります。
裏技・小ネタ的な楽しみ方
純粋に攻略とは少し離れますが、本作ならではの小ネタ的な楽しみ方も覚えておくと、プレイがより面白くなります。たとえば、特定の場所で何度も同じモブキャラに話しかけたり、あえてそっけないリアクションを続けてみたりすると、通常とは違うリアクションやセリフが見られることがあります。 また、コンプリートを目指す人の間では、「この日付までにこのイベントを見ておかないと、後半の展開が変わる」といった“半ばお約束”のようなルート取りが語られており、そうした情報を参考にしながら効率よく回収していくのも一つの楽しみです。裏技というほど派手な隠し機能こそ多くはありませんが、ちょっとした寄り道や悪ふざけにもきちんと反応を返してくれる作りになっているため、“あえて攻略とは関係ない動きをしてみる”のも『エクストラ』らしい遊び方と言えるでしょう。
完全攻略を目指す人へのアドバイス
全ヒロインのベストエンドを制覇したい、という人に向けて最後にまとめておくと、①共通パートで出会ったキャラは放置しない、②好感度が下がりそうな選択はセーブしてから試す、③お金と時間を無駄にしないよう、バイトとデートのバランスを取る、④終盤に向けて狙うヒロインを絞り込む、この4点を意識するだけでも、攻略の難易度はぐっと下がります。 それでも分岐条件が分からない場合は、当時の攻略本や現代のWeb攻略を軽く参照し、入口だけ教えてもらったうえで、細かい選択肢は自分の感覚で選んでいく、という遊び方もおすすめです。あまりにも細部まで手順書どおりに進めてしまうと、せっかくのドラマ性が薄れてしまうため、「致命的な取りこぼしだけ防ぐガイド」として活用すると、物語を味わう楽しさとコンプリート欲の両立がしやすくなります。
■■■■ 感想や評判
発売当時のプレイヤーから見た「完成度の高い一本」
『きゃんきゃんバニーエクストラ』が登場した1993年前後は、PC-9801を中心にアダルトADVが一気に洗練されていった時期で、その中で本作は「読み物としてもしっかり楽しめる恋愛ゲーム」として好意的に受け止められました。シリーズとしてすでにファン層ができあがっていたこともあり、「またスワティに会える」「バニーシリーズの新作だ」という期待感が先行していたのはもちろんですが、いざプレイしてみると、単にキャラと仲良くなるだけでなく、人生の選択や戦争の影といった重いテーマにも触れている点が話題になりました。 多くのプレイヤーは、ヒロインごとにかなり違った雰囲気のストーリーが展開される点に驚かされたようです。明るく日常系の話に見えて、実は家族問題や過去の事件が絡んでいたり、恋愛の甘さだけでなく、別れや後悔に直面させられたりと、当時の同種タイトルの中ではかなり踏み込んだ描写が多く、「しっかり腰を据えて遊ぶタイプのゲーム」という印象が強かったと言えます。
シナリオへの評価――“泣き要素”と“人生観”
なかでも高く評価されがちなのがシナリオ面です。シリーズはもともと「ナンパシミュレーション」と形容されることもある軽快な作風で知られていますが、その流れを受け継ぎつつ、本作では各ルートの物語性が一段と重厚になっています。 プレイヤーの感想を振り返ると、「最初はいつものドタバタしたお色気コメディだと思っていたが、終盤の展開で一気に印象が変わった」「軽く遊ぶつもりが、思っていたより胸に刺さる話が多かった」といった声が目立ちます。特に戦争の記憶に触れるルートや、過去のトラウマと向き合うルートは、当時の美少女ゲームとしては珍しいほど真っ向から重いテーマに取り組んでおり、プレイ後も余韻が残るエピソードとして語り継がれています。 一方で、「全体的に真面目すぎるわけではなく、バカな掛け合いで笑える場面も多いので、暗くなりすぎないバランスが良い」という意見も多く、感動的なシーンとコメディの緩急がシナリオ評価の大きな強みになっていると言えるでしょう。
スワティ人気とキャラクターへの愛着
本作を語るうえで外せないのが、やはり女神スワティの存在です。前作『プルミエール』で強い印象を残していたこともあり、『エクストラ』は「スワティの魅力がさらに深掘りされた作品」として人気を集めました。シリーズ関連のファンブックやドラマCDでも、スワティを中心に据えた企画が多数展開されていることから、彼女がブランド全体の顔として愛されていたことがうかがえます。 プレイヤーの感想でも、「ナビゲーターにとどまらず、一人のヒロインとして感情がしっかり描かれている」「失敗しても笑って許してくれる包容力が好き」「最後まで見たとき、スワティへの印象が良い意味で変わった」といった、彼女への強い愛着が表れたコメントが多く見られます。また、他のヒロインたちも個性がはっきりしており、誰を最初に狙うかでプレイヤーの好みが分かれるあたりも、キャラクター造形の巧みさを物語っています。
グラフィックと“90年代美少女ゲーム”らしさへの評価
ビジュアル面も当時としては非常に評価が高く、「キャラの可愛さ」で選ばれていた面も大きい作品です。PC-9801版では16色表示ながら、ドットの打ち方や色使いの工夫により、柔らかい塗りと表情豊かな顔立ちがしっかり表現されていました。X68000版やFM TOWNS版ではより鮮やかな発色や高音質サウンドもあいまって、「画面を見ているだけでも楽しい」という感想も少なくありません。 後年のセガサターン版になると、フルカラー化によってPC版とは段違いの色数で描かれたCGが話題になり、「当時のギャルゲー的なアニメ絵」の魅力がさらに際立つ形となりました。ユーザーのレビューでは、「シリーズの中でもビジュアルの完成度が高く、特にスチルの作り込みが印象的」「今見てもレトロな味わいがあって良い」といった声が多く、90年代美少女ゲームの雰囲気を象徴するタイトルの一つとして懐かしむ意見も目立ちます。
システム面への賛否――遊びやすさと物足りなさ
システム面の印象はおおむね好意的ですが、一部では「良くも悪くもオーソドックス」といった見方もあります。ノベルADVとして見れば、テキストを読みながら選択肢を選ぶというベーシックなスタイルで、当時のプレイヤーからは「複雑なミニゲームや時間制限がなく落ち着いて読める」「バッドエンドがほとんどなく、失敗してもスワティがフォローしてくれるのでストレスが少ない」といった点が好評でした。 一方で、「仕組みがシンプルなぶん、人によっては作業感を覚えるところもある」「特定ヒロインの条件がやや分かりづらく、ノーヒントでコンプリートを目指すと難しい」といった意見も見られます。とはいえ、シリーズ他作と比較すると難易度は抑えめで、「シナリオを読むことに集中できるバランス」が好意的に受け止められているケースが多く、総合的には「遊びやすさ重視の設計」としてプラスに評価されている印象です。
家庭用機版への評価とPC版との比較
のちに登場したPC-FX版『きゃんきゃんバニーエクストラDX』やセガサターン版は、家庭用ユーザーにも本作の世界を広げる役割を果たしましたが、その評価はやや分かれます。PC-FX版は、当時としては珍しいアダルト寄りのビジュアルノベルとして注目され、PC版を知らないユーザーが作品世界に触れる入口にもなりました。一部では「PC-FXのなかでも印象に残るタイトルの一つ」として挙げられることもあります。 一方、セガサターン版はグラフィックや音声付きの演出面こそ好評なものの、「一部キャラクターのボイス演出が削られている」「PC版に比べて全体の勢いがやや落ちたように感じる」といった指摘もあり、ユーザーレビューでは評価が割れがちです。とくに七福神のボイスが無くなったことを惜しむ声や、シリーズキャラの扱いに対する不満など、細かな部分で旧来ファンとの齟齬が生まれている様子もうかがえます。 とはいえ、「家庭用機で手軽に遊べるエクストラ」という意味では一定の支持があり、PC実機を手放した後に再び作品に触れられる手段として歓迎する意見も少なくありませんでした。
シリーズ全体の中での評価ポジション
シリーズ全体を見渡したとき、『エクストラ』は多くのファンから「一つの頂点」として認識されています。『プルミエール』と並んで、スワティを軸にした世界観がもっとも充実しているタイトルとされることが多く、後発の『プルミエール2』などと比べた場合でも、「やはり物語としてのまとまりはプルミエール/エクストラのコンビが強い」とする声が目立ちます。 また、後年の美少女ゲーム・ギャルゲー文化を振り返る文脈では、「お色気と恋愛ドラマのバランスの取り方が非常に巧みだった作品」「ナンパゲームの系譜と、後の恋愛シミュレーションの橋渡しをした世代の一本」といった評価も見られ、単にシリーズファン内だけでなく、ジャンル全体の歴史を語る際にも名前が挙がるタイトルになっています。
レトロゲームとしての再評価
21世紀に入ってからは、エミュレータや実機コレクションの流行とともに、レトロPCゲームを振り返る動きが活発になりました。その中で『きゃんきゃんバニーエクストラ』も再び注目され、「PC-98時代のエロゲーを代表する一本」としてブログやレビューサイトで取り上げられることが増えています。 こうした再評価では、当時としての技術的な見どころ――8枚組FDでのボリューム、FM音源やCD-DAを活かした楽曲、16色ながら工夫に満ちたドット絵――とともに、「今遊んでも通用するシナリオの強さ」が改めて高く評価されています。一方で、現代的な快適さに慣れたプレイヤーからは、「ロード時間や操作感にやや古さを感じる」「攻略情報なしで全ルートを見るのは少ししんどい」といった率直な意見もあり、良い意味でも悪い意味でも“時代性の詰まった作品”として受け止められているのが印象的です。
総合的な評価――“看板タイトル”の名にふさわしい一本
総じて、『きゃんきゃんバニーエクストラ』は「キャラクターとシナリオの魅力で長く語られる作品」という評価に落ち着いていると言えるでしょう。システムやUI面では現在の基準から見て不便な点もありますが、それを補って余りあるほどの感情の起伏やドラマ性があり、エンディングまで見届けたプレイヤーの多くが、「ストーリーのために最後まで付き合って良かった」と振り返っています。 シリーズ全体のブランドを押し上げただけでなく、アニメ・ドラマCD・小説などへのメディア展開を通じて、PCゲーム以外の領域にも影響を与えた点を含めると、“カクテル・ソフトの看板タイトル”と呼ばれてきたことにも大きな納得感があります。今なおレトロゲームファンやビジュアルノベル愛好家の間で語り継がれているのは、それだけ本作が、多くのプレイヤーの記憶に強く刻まれた一本だったことの証と言えるでしょう。
■■■■ 良かったところ
「読む楽しさ」に全振りした恋愛ドラマ性
本作の長所としてまず挙げられるのが、単に“18禁ゲームだから遊ぶ”というレベルを超えた、恋愛ドラマとしての読み応えです。大学卒業を控えた主人公の不安や迷い、そこに複数のヒロインとの出会いが重なり合っていく構図がしっかりしているので、プレイヤーはイベントCG目当てだけでなく、「この先の展開がどうなるのか」を知りたくてテキストを追ってしまいます。 各ルートにはそれぞれはっきりしたテーマが与えられており、将来の進路、家族との軋轢、過去のトラウマ、戦争の爪痕など、題材そのものはかなり重いものも含まれています。それでも全体のトーンは“青春の一時期を描いた群像劇”のような印象で、決して説教臭くならず、プレイヤーが主人公と一緒に悩んだり喜んだりできる温度感に収まっているのが巧みなところです。いわゆるナンパADVの延長線上にありながら、「人生の分岐点で誰とどう向き合うか」という物語の芯が通っている点は、多くのプレイヤーから好意的に受け止められています。
スワティがもたらす“やり直し”の優しさと遊びやすさ
良かった点としてよく語られるのが、女神スワティの存在感です。ナビゲーター役でありながら、ストーリー上は主人公の運命そのものを握っているキャラクターで、プレイヤーが選択を誤っても、彼女が時間を巻き戻して再チャレンジの機会を与えてくれます。 この仕組みのおかげで、「選択肢を外したら即バッドエンド」というストレスが薄く、気軽にいろいろな選択肢を試せるのが大きな利点です。物語的にも、“人生のやり直し”というファンタジー要素がうまく機能しており、何度も挑戦して最善の未来を模索する過程そのものが、主人公の成長物語として感じられます。スワティの明るさと包容力に何度も救われる構造なので、プレイヤーの側も「失敗してもまた頑張ろう」という前向きな気分で遊び続けられます。
キャラクターの描き分けと感情の振れ幅の大きさ
ヒロインたちの個性がはっきりしているのも、本作の“良かったところ”としてよく挙げられます。快活なタイプ、内気で自信のない子、しっかり者のお姉さん、過去の出来事に縛られているキャラクターなど、性格や背景が丁寧に作り込まれているため、どのルートにもそれぞれ違った魅力があります。 プレイヤーによって「最初に好きになったキャラ」「遊んでいるうちに印象が変わったキャラ」が分かれるのも、キャラクター造形の豊かさゆえでしょう。最初は軽いノリで接していたヒロインが、ルートを進めるにつれて意外な一面を見せてくれたり、主人公のささいな言動に大きく揺れ動いたりする描写が多く、会話シーンを読み飛ばさずに味わいたくなります。 さらに、スワティ自身も単なる“ご案内役”ではなく、一人のヒロインとして感情の起伏が描かれており、彼女に対する印象がプレイ前後で大きく変わった、というプレイヤーも少なくありません。シリーズを追いかけているファンほど、彼女の成長や心情の変化にグッとくる構成になっています。
ビジュアル面の完成度と“90年代PC美少女ゲーム”らしさ
グラフィックの出来の良さも、多くのユーザーが褒めているポイントです。16色という制約の中で、ドット絵ならではの濃厚な陰影と柔らかな色使いによって、キャラクターの表情や仕草が非常に魅力的に描かれています。特にスワティをはじめヒロインたちの立ち絵やイベントCGは、当時のPC美少女ゲーム文化を象徴するような“これぞ90年代”という雰囲気が漂っており、今見てもレトロな味わいとして楽しめます。 X68000版やFM TOWNS版では発色や音源の違いにより、同じシーンでも少し印象が変わるのもファンにとって嬉しい要素でした。後年のPC-FX版やセガサターン版ではフルカラー化や音声追加によって表現の幅が広がり、PC版をプレイ済みのユーザーが「同じ物語をもう一度、よりリッチな画面で楽しむ」形で遊べる点も高く評価されています。
音楽・演出が生む心地よい没入感
BGMも、作品全体の雰囲気づくりに大きく貢献しています。FM音源特有のキラキラした音色や、CD-DA音源の厚みのあるサウンドが、軽快な日常シーンからしんみりとした感動シーンまで幅広くカバーしており、画面とテキストに自然に寄り添うような形で鳴っています。 特定のヒロインに紐づくようなテーマ曲や、物語の転機で流れる印象的なフレーズなどもあり、「このBGMが流れるとあのシーンを思い出す」といった形でプレイヤーの記憶に残りやすい構成になっています。PC-FX版などの移植作では、音質面の向上によって同じ楽曲の魅力がさらに引き出されており、レトロゲーム音楽が好きな人にとっても“隠れた名サントラ”として楽しめる内容です。
プレイヤーに優しい構造と遊びやすさ
ゲームシステムがプレイヤーに優しい作りになっている点も、好意的な感想につながっています。選択肢の外し方によってはヒロイン攻略に失敗することはあっても、完全なゲームオーバーに陥るケースは少なく、スワティの“巻き戻し”によってやり直しがしやすい構造です。そのため、ADV初心者でも「取り返しのつかない失敗」を恐れずに遊べるのが大きなプラス要素です。 また、時間制限付き選択や難解なミニゲームなどがほぼ存在しないため、プレイヤーはテキストとキャラクターのやり取りに集中できます。攻略に詰まったときも、少し日数を戻して別の行動を試せば、新しいイベントにたどり着けることが多く、理不尽な難易度に悩まされにくいのも、遊びやすさに直結しています。
周回前提の設計が生むリプレイ性の高さ
一度クリアしたあとも、「他のヒロインの視点から同じ世界を見てみたい」と思わせる設計も、本作の良さの一つです。物語の舞台や一部の出来事は共通しつつも、ヒロインごとに見えている景色や抱えている問題が異なるため、ルートを変えるだけで作品の印象がガラッと変わります。 さらに、一周では見られないイベントや会話のバリエーションも豊富で、「前回はこの選択肢を選んだから、今回は別の選択をしてみよう」といった試行錯誤が自然と楽しくなってくる作りです。こうした“周回を前提とした構造”のおかげで、1本のゲームで長く遊べるコストパフォーマンスの良さがあり、当時のユーザーからも「じっくり遊べる一本」として評価されました。
シリーズ&メディア展開を含めた満足度の高さ
『きゃんきゃんバニーエクストラ』は、単体で遊んでも十分楽しめる作品ですが、シリーズ全体の流れの中で見ると、さらに評価が高まるタイトルです。前作『プルミエール』で積み上げられた世界観やスワティのキャラクター性を受け継ぎつつ、シナリオ面で一歩踏み込んだ内容になっているため、「バニーシリーズの一つの完成形」として語られることも多くあります。 加えて、PC-FX版の『エクストラDX』やセガサターン版、ドラマCD・イメージアルバム・ファンブックなど、当時としてはかなり手厚いメディア展開が行われたことも、ファンの満足度を高めました。PCを持っていないプレイヤーでも家庭用機やアニメ・CDを通して作品世界に触れられたため、“シリーズ全体の顔”として思い出に残っている人も多いタイトルです。
レトロゲームとして今なお楽しめる“味”
最後に挙げたい良かったところは、年月が経った現在でも“レトロゲーム”として十分楽しめる味わいを持っている点です。PC-98やFM TOWNS、X68000といった当時のハードウェア特有の画面・音楽・テキスト表示スピードは、今のタイトルとはまったく別物の体験であり、それ自体が一つの“時代の空気”として機能しています。 現代の基準から見ると操作性やロード時間に古さはあるものの、そのゆったりとしたテンポや、FM音源の響き、フロッピーを入れ替えながら遊ぶ感覚まで含めて“作品の一部”として楽しめるのは、長年愛されてきたタイトルならではの強みと言えるでしょう。レトロPCやエミュレーション環境でプレイしたユーザーからも、「昔のギャルゲーの中でも記憶に残る一本」「今遊んでもシナリオのパワーが強い」といった好意的な声が多く挙がっています。
■■■■ 悪かったところ
テンポがゆっくりで「間延び感」を覚える人もいる構成
良く言えば“じっくり読むタイプ”の作品なのですが、裏を返すとテンポがかなりゆったりしているため、人によっては間延びした印象を受けることがあります。主人公の日常描写や、ヒロインと何気ない会話をするシーンが多めに挟まれており、「本筋のドラマが動き出すまでが長い」「決定的なイベントが起きるまで同じような日常が続いてしまう」と感じるプレイヤーも少なくありません。特に、シナリオ重視というよりテンポよくイベントCGを回収したいタイプのユーザーにとっては、「もっと早い段階で盛り上がりが欲しい」「同じ場所を何度も巡回している感覚が強い」と、退屈さにつながる部分があります。シリーズらしい“だらだらとした日常の心地良さ”を好む人には問題にならないものの、現代のADVに慣れた感覚で触れると、どうしても緩さが気になってしまう場面があるのは否めません。
条件が分かりづらいイベントやルートの存在
各ヒロインのルートはよく練られている一方で、「どうやってそのルートに入るのか」という入口がかなり分かりづらいキャラクターもいます。特定の日付までに特定の場所で何回か会話しておく必要があったり、ささいな選択肢が後々の分岐条件になっていたりと、初見プレイでは気付くのが難しい“隠しフラグ”に近い仕掛けも少なくありません。その結果、「気に入ったヒロインがいるのに、いつまで経っても個別ルートに入らない」「気付いたら別の子のイベントばかり進んでしまった」といった状況に陥りやすく、特定キャラ目当てで始めた人ほどストレスを感じやすい部分があります。 当時は攻略本や雑誌の特集記事を頼りに解決したプレイヤーも多かったため、自力で全ルートを開拓するタイプのゲームとしてはやや不親切と言えるかもしれません。今の感覚で遊ぶときも、何の情報も見ずにコンプリートを目指すと、不要な時間をかなり取られる可能性があります。
インターフェースや操作性の“古さ”が目立つ
PC-9801やX68000、FM TOWNSといった当時のPCを前提に作られているため、インターフェースや操作性にはどうしても時代相応の古さがあります。テキストの表示速度が今の基準からすると遅く感じられたり、選択肢の選び直しがしづらかったりといった細かなストレス要素が積み重なりやすく、長時間プレイしていると疲れを覚えることもあります。 また、フロッピーディスク版の場合はディスクの入れ替え頻度がそこそこあり、シーンが変わるたびに手を止めて物理メディアを扱う必要があるのも、人によっては煩わしく感じるポイントです。当時はそれが当たり前の環境だったとはいえ、快適なUIに慣れた現代のプレイヤーが遊ぶと、「操作面での負担が物語への没入を少し邪魔している」と受け止めてしまうことがあります。
一本道寄りに感じられる部分もあるシナリオ構成
マルチルート作品ではあるものの、「いざ特定のヒロインルートに入ってしまうと、そこからの展開はほぼ一本道」という構成が多いのも、人によっては気になる点です。選択肢はそれなりに提示されますが、物語の本筋に影響する分岐は限られており、大枠は決められたドラマをなぞる形になることが少なくありません。そのため、「もう少し細かな選択で展開が変わってほしかった」「トゥルーエンド以外のエンディングのバリエーションが欲しい」と感じるプレイヤーもいます。 シリーズ全体の作りとして、“キャラクターごとの物語をしっかり見せる”ことを優先しているため、ある意味では仕方のない構造ですが、自由度やロールプレイ性を重視する人にとっては、「プレイヤーの裁量で運命を切り開いている」というより、「用意された物語を読ませてもらっている」という印象のほうが強くなりがちです。
重いテーマが苦手な人にはハードルになるルートも
本作の魅力の一つでもある“重いテーマ”は、そのまま短所として挙げられることもあります。戦争の悲劇や家族の問題、心の傷といった題材に真正面から向き合うルートは、感情移入して読める人にとっては大きな感動を生みますが、気軽なお色気コメディを期待していたプレイヤーからすると「思っていたより暗くてつらい」「軽いノリで始めたゲームでここまで深刻な話を読むとは思わなかった」と戸惑いを覚える原因になりかねません。 特に、恋愛模様の行き着く先が必ずしも“甘いハッピーエンド”とは限らない展開や、現実の社会問題を思わせる描写は、人によってはプレイ中の気分を重くしてしまうことがあります。「18禁恋愛ゲームはあくまで日常の延長で楽しみたい」「精神的に疲れる作品は避けたい」という層にとっては、これらのルートがハードルに感じられるでしょう。
ギャグやノリが人を選ぶ部分
会話シーンに散りばめられたギャグやノリも、長所であると同時に短所になることがあります。シリーズ特有の“軽口の応酬”や、ちょっとした下ネタを交えた掛け合いは、気心の知れた仲間同士のノリとしては楽しいのですが、人によっては「クドい」「時代を感じる」と受け止められることもあります。 当時の空気感に慣れていないプレイヤーが触れると、主人公の台詞回しやモブキャラの発言、ギャグ的な反応などが、若干大げさに映ったり、テンポを崩しているように感じられたりする場面があるのも事実です。真面目な場面との落差が大きいがゆえに、「せっかく良いシーンなのに、直前のギャグで雰囲気が中和されてしまった」と感じる人もおり、笑いとシリアスのバランスは好みが分かれるところと言えるでしょう。
環境面のハードルと入手性の難しさ
作品そのものの欠点とは少し違いますが、現在プレイしようとした場合の環境面のハードルも、“悪かったところ”としてよく挙げられる要素です。PC-9801やX68000、FM TOWNSといった対応機種自体がすでにレトロハードであり、実機を用意してソフトを動かすのは簡単ではありません。中古市場での入手も、状態や価格の面で敷居が高く、気軽に「ちょっと試してみよう」とは言いにくい状況になっています。 コンシューマ機への移植版や関連メディアを通じて世界観に触れることはできますが、オリジナルPC版特有の雰囲気やテキスト量を完全な形で味わえる手段は限られており、新規ファンが入り込みにくい構造になってしまっているのは惜しいところです。
18禁作品ゆえの制約と薦めづらさ
根本的な話として、本作は18禁タイトルであるため、どうしても人を選ぶ作品であることは避けられません。ストーリー性やキャラクターの魅力が高く評価されているとはいえ、年齢制限のあるジャンルである以上、「誰にでも気兼ねなく薦められるゲーム」ではないのが現実です。 また、ヒロインとの親密なシーンが物語のクライマックスとして描かれる構成になっているため、「そこをカットして一般向けにすればすべて解決」という単純な話でもありません。恋愛ドラマとしての完成度が高いだけに、「もっと広い層に届いてほしいのに、ジャンル的な制約で触れられない人が多い」というジレンマを抱えた作品でもあります。
総じて見た“欠点”のまとめ
こうして見ていくと、『きゃんきゃんバニーエクストラ』の悪かったところは、主に「時代ゆえの不便さ」と「作風の濃さゆえに好みが分かれる部分」に集約されます。テンポのゆるさや条件の分かりづらさ、UIの古さといった点は、現代のプレイヤーほど気になりやすく、遊びやすさという観点ではマイナスに働く場面もあります。また、重いテーマや独特のギャグノリ、18禁作品であることなど、作品の核にも関わる特徴がそのまま“人を選ぶ要素”になっている側面も否定できません。 それでも、多くのプレイヤーはこれらの欠点を把握したうえで、「多少の不便さやクセがあってもなお魅力が勝る作品」として受け止めています。むしろ、そうした“完璧ではない部分”も含めて、90年代PC美少女ゲームらしい味わいとして愛されていると言えるでしょう。
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■ 好きなキャラクター
スワティ:シリーズを象徴する“女神ヒロイン”
『きゃんきゃんバニーエクストラ』で「一番好きなキャラは?」と質問すると、やはり多くのプレイヤーが真っ先に名前を挙げるのが女神スワティでしょう。シリーズを通してのナビゲート役であり、本作でも主人公の前に突然現れ、失敗しても何度でも時間を巻き戻してくれる“優しい案内役”として活躍します。 スワティの魅力は、まず何よりもその天真爛漫さにあります。ドタバタ気味な登場シーンや、ちょっとズレた感覚で人間界の常識を語る場面など、彼女の周囲では常に何かしら騒がしい出来事が起こり、重い話題になりがちなルートでも、ふっと空気を和らげてくれます。一方で、主人公やヒロインたちの心の痛みを前にすると、驚くほど真剣な表情を見せることもあり、「単なるマスコットキャラ」以上の奥行きを感じさせる存在です。 また、前作『プルミエール』から作品世界を追いかけているプレイヤーにとっては、「昔から見守ってきた女神が、今作でもそばにいてくれる」という安心感も大きいポイントです。シリーズを通して積み上げられてきた時間の分だけ、“古い友人”のような親しみが湧き、「困ったときに頼りたくなるキャラ」として特別なポジションを占めています。
坂本春菜:戦争を背負ったシリアス担当ヒロイン
キャラクター人気を語る際に外せないのが、坂本春菜です。金髪でどこか儚げな雰囲気を持つ彼女のルートは、作品全体の中でもっとも重いテーマを扱っていると言われることが多く、戦争の悲劇が物語の根幹に関わってきます。 春菜ルートでは、彼女の過去と向き合う過程で、人間の愚かさや、争いが残した傷跡といった重苦しい現実がこれでもかと突きつけられます。それでもなお、主人公は彼女と向き合うことを選び、少しでも救いのある未来に手を伸ばそうとする――この構図に心を揺さぶられたプレイヤーは少なくありません。「ただの恋愛ゲームだと思っていたのに、こんなテーマを投げかけられるとは思わなかった」「春菜ルートで作品の評価が一気に変わった」といった感想が多く、彼女を“作品の象徴的ヒロイン”として推す人も多数います。
若宮雪江:等身大の“初恋ヒロイン”としての人気
若宮雪江は、いわゆる“正統派ヒロイン”のポジションに近いキャラクターです。年齢的にも主人公に近く、等身大の女の子として描かれているため、「一番感情移入しやすかった」「初恋感が強くて好き」という声が多いタイプのヒロインと言えるでしょう。 雪江の魅力は、派手さはないものの、日常の中で少しずつ距離が縮まっていく過程の丁寧さにあります。最初は遠慮がちだった会話が、何度か顔を合わせるうちに自然体なやり取りに変わっていき、やがて互いにとってかけがえのない存在になっていく――そんな“ゆっくり温まる関係性”が好みのプレイヤーにとって、雪江はまさに王道ヒロインです。ドラマチックな展開よりも、日々の積み重ねで育つ恋を重視する人ほど、彼女を推しキャラに挙げる傾向があります。
久遠寺綾:大人の包容力と影を併せ持つお姉さん
久遠寺綾は、他のヒロインより年上で、社会人としての顔を持つ“大人の女性”枠のキャラクターです。落ち着いた物腰と、どこか達観したような雰囲気があり、主人公のことを、半ば弟のように見守ってくれる立ち位置からスタートします。 しかし、物語が進むにつれて、彼女自身が抱えている葛藤や、過去に選ばざるを得なかった決断などが明らかになり、ただ包容力のあるお姉さんというだけでない複雑な内面が浮かび上がってきます。社会人としての重圧や、自分の人生をどう舵取りするかというテーマは、大学卒業を控えた主人公の悩みとリンクする部分も多く、“大人同士の恋愛”としての味わいを好むプレイヤーから高い支持を得ています。 「頼れる年上の女性に甘えたい」「でも、彼女の弱さも含めて支えたい」という感情を同時に抱かせてくれるキャラであり、主人公の成長を促す存在としても、作品内で重要な役割を果たしています。
桜沢香織:明るさの裏にある繊細さが光るヒロイン
桜沢香織は、一見するとノリが良く、明るくて元気なタイプのヒロインです。場の空気を和ませるムードメーカー的な立ち位置にいることが多く、プレイヤーからも「一緒にいて楽しい子」という印象を持たれがちです。 しかし、彼女のルートを進めていくと、明るさの裏に隠された繊細さや不安が垣間見えるようになります。人を楽しませることに慣れているぶん、自分の弱さを見せることが苦手で、ふとした瞬間に本音をこぼしてしまう――そうしたギャップが、香織の大きな魅力です。プレイヤーの中には、「最初は軽いキャラだと思っていたのに、ルートを終えるころには一番好きになっていた」という声も多く、“プレイ前後で印象が変わるヒロイン”として高く評価されています。
青山美沙生・杉田千里など、サブの印象が強いキャラたち
青山美沙生や杉田千里といったヒロインたちも、コアなファンからの人気が厚いキャラクターです。美沙生はしっかり者で面倒見のいいタイプでありながら、恋愛に関しては不器用な面も持ち合わせており、「普段は頼れるのに、恋になると急にぎこちなくなる姿が可愛い」と評されることが少なくありません。千里は年齢的にやや若く、思春期特有の揺れ動く感情がストレートに表に出るタイプで、ぶっきらぼうな反応と、ふとしたときに見せる素直さの落差が魅力です。 いずれのキャラクターも、“特定の層に刺さるツボをしっかり押さえた個性”があり、プレイする人の好みによって「一番のお気に入り」が大きく変わるのが『エクストラ』らしいところです。単に記号的な属性だけでなく、シナリオのなかで心情が丁寧に描かれるため、どのヒロインにもそれぞれ違った愛着が湧いてきます。
東山日奈緒・石鍋環:シリーズファン向けの“特別枠”
セガサターン版では、前作『きゃんきゃんバニー・プルミエール2』から東山日奈緒や石鍋環がゲスト的に登場し、シリーズファンにとってはたまらない“特別枠”として人気を集めました。 彼女たちはエクストラ本編のメインヒロインとはやや立ち位置が異なり、「別作品のヒロインが遊びに来ている」ような感覚で物語に絡んできます。そのため、シリーズを追いかけているプレイヤーほど、「過去作のキャラとまた会えた」という喜びが大きく、思い入れも強くなりがちです。逆に、エクストラからシリーズに触れた人が、彼女たちをきっかけに前作へ興味を持つケースもあり、“シリーズをつなぐ架け橋”になっていると言えるでしょう。
主人公・落合健太を推す声も多い
ヒロインたちばかりに目が行きがちですが、主人公である落合健太(媒体によっては名前表記が異なる場合もあります)を“推しキャラ”として挙げるプレイヤーもいます。将来の不安や就職活動の失敗といった、現実味のある悩みを抱えた青年として描かれており、決して万能ではないものの、真剣に相手と向き合おうとする姿勢が好感を持たれています。 恋愛ADVの主人公は、時に「ヒロインにモテるだけの受け身キャラ」になってしまうこともありますが、本作の主人公は自分なりに考え、悩み、それでも一歩を踏み出そうとする姿が描かれているため、「彼がいたからこそ物語に入り込めた」「エンディング時には主人公自身にも愛着が湧いていた」という感想も多く見られます。
プレイヤータイプ別“推しキャラ傾向”
総じて、プレイヤーの好みと“推しキャラ”の傾向を簡単にまとめると、以下のようなイメージになります。 ・しっかり読み込むタイプ、重めのテーマが好きな人 → 坂本春菜、久遠寺綾 ・等身大の恋愛や甘酸っぱい初恋が好みの人 → 若宮雪江、青山美沙生 ・明るいノリとギャップ萌えが好きな人 → 桜沢香織、杉田千里 ・シリーズを通して追いかけたい人、世界観重視の人 → スワティ、東山日奈緒、石鍋環 もちろん実際には、プレイを進めるにつれて印象が変わることも多く、「最初はビジュアルで選んだのに、ルートを終えたら別の子が一番好きになっていた」というケースも珍しくありません。それだけ、各キャラクターにストーリー上の役割と人間味がしっかり与えられており、単なる“属性の集合体”にとどまらないのが『きゃんきゃんバニーエクストラ』のキャラ描写の魅力だと言えるでしょう。
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●対応パソコンによる違いなど
共通仕様――どの機種でも“同じ物語”を体験できる作り
まず押さえておきたいのは、PC-9801版・X68000版・FM TOWNS版の『きゃんきゃんバニーエクストラ』は、物語・登場キャラクター・基本的なゲームシステムに関してはほぼ共通している、という点です。どの機種で遊んでも、大学卒業を控えた主人公が女神スワティの力を借りてさまざまなヒロインと出会い、マルチエンディングの恋愛ドラマを楽しむという骨格は変わりません。 テキスト量も基本的には同等で、イベントの構成やフラグ管理の仕組みも共通化されているため、機種ごとの違いはあくまで「グラフィック・サウンド・動作の感触」といった表現面・快適さの差に集約されます。つまり、どの機種を選んでも“エクストラという作品そのもの”はしっかり味わえるように設計されており、そのうえで各プラットフォームの特性が活かされている――というのが全体像です。
PC-9801版:もっともベーシックな“基準版”
PC-9801版は、当時の国内PCゲーム市場を事実上リードしていた主力機向けのバージョンであり、多くのユーザーにとって「エクストラと言えばこの画面」というイメージの基準になっている存在です。解像度640×400ドット・16色というおなじみのPC-98環境に合わせて描かれたグラフィックは、限られた色数ながら陰影やハイライトを巧みに使い分けることで、ヒロインたちの柔らかな肌や髪の質感を表現しています。 表示スピードや操作感も“PC-98らしさ”そのもので、キーボード主体の操作に慣れているプレイヤーには非常に相性が良い作りです。テキストウィンドウのレイアウトやメッセージ送りの感触も、他のカクテル・ソフト作品や当時の美少女ゲームと共通するものが多く、「90年代前半のPC-98ギャルゲーの空気」をもっとも濃厚に味わえるバージョンだと言えるでしょう。 サウンド面ではFM音源ボードを前提としたBGMが用意されており、軽快なメインテーマからしっとりしたバラード調の曲まで、いかにも“PC-98美少女ゲームらしい”音色で鳴り響きます。FM音源特有のキラキラしたリードや柔らかなパッドが、恋愛ADVの甘酸っぱい空気によく馴染んでおり、当時を知るプレイヤーにとっては強いノスタルジーを喚起する要素となっています。
X68000版:発色とサウンドで少しリッチな印象
X68000版『エクストラ』は、PC-98版と比べると全体的に発色やサウンド面で“少しリッチ”な印象を受けるバージョンです。ハイエンド志向のユーザーが多かったX68000らしく、同じイベントCGでも色の乗り方やコントラストが微妙に異なり、キャラクターの輪郭や背景のディテールがくっきりした印象になります。 操作感自体は大きく変わりませんが、描画速度や画面切り替えなど、ハードウェア性能の高さを感じさせる場面が多く、「全体的にサクサク動く」という印象を持つプレイヤーも少なくありませんでした。音楽についても、同じFM音源主体ではあるものの、X68000特有のクリアな鳴り方が加わることで、PC-98版と聞き比べると微妙なニュアンスの違いを楽しめます。 大きな仕様差こそありませんが、「どうせ遊ぶなら少しでも音と色にこだわりたい」というタイプのユーザーからは、X68000版を“通好みの選択肢”として推す声もありました。
FM TOWNS版:CD-ROMとCD-DA音源を活かしたリッチな演出
3機種の中で最も“表現リッチ”なバージョンと言えるのがFM TOWNS版です。CD-ROM媒体を採用していることもあり、BGMにはCD-DA音源が用いられているケースが多く、FM音源版と比べて音の厚みや臨場感が大きく向上しています。オープニングや印象的なイベントシーンで流れる楽曲は、ほとんどCDアルバムを聴いている感覚に近く、恋愛ドラマとしての没入感を一段と高めてくれます。 グラフィックに関しても、CD-ROMの容量を活かしてイベントCGのバリエーションや細部の描き込みが強化されている箇所があり、同じシーンでも「TOWNS版のほうが画面が華やか」に感じるというプレイヤーが多くいました。画面効果やフェード演出なども、マシンパワーに余裕があるぶんスムーズに動作し、主人公とヒロインの感情の機微をより丁寧に演出してくれます。 また、読み込みはCDドライブに依存するとはいえ、フロッピーの入れ替えが不要なこともあり、ディスクメディア特有の煩雑さから解放されているのもポイントです。長時間プレイする際の快適さという意味では、3機種の中で最もストレスの少ない環境だったと言えるでしょう。
PC-FX版『きゃんきゃんバニーエクストラDX』との違い
NECのマルチメディア機・PC-FX向けに発売された『きゃんきゃんバニーエクストラDX』は、PC版『エクストラ』をベースにしたコンシューマ移植+強化版という位置づけのタイトルです。 PC-FX版の大きな特徴は、フルボイスに近い形でキャラクターに音声が付与されていること、そしてアニメーションやイベントCGの追加によって演出面が強化されていることです。PC-98/X68000/FM TOWNS版ではテキストと効果音・BGMのみで表現されていたシーンに声優の演技が乗ることで、ヒロインたちの感情がよりダイレクトに伝わるようになりました。 一方で、コンシューマ機向けという事情から、一部の過激な表現や描写がソフトになっていたり、18禁要素の扱いに調整が入っているケースもあります。その分、「ストーリーやキャラクター重視で楽しみたい人に向けた再構成版」としての性格が強くなっており、PC版をすでにクリアしたユーザーが“ボイス付きでもう一度追体験する”ためのタイトルとして親しまれています。
セガサターン版:音声付き&ゲストキャラ参戦の一方での取捨選択
セガサターン版『きゃんきゃんバニーエクストラ』は、いわゆる“ギャルゲー・恋愛ゲームが集まるハード”としてのサターン市場向けにチューニングされた移植版です。最大の魅力は、台詞に広く音声が付けられている点と、『きゃんきゃんバニー・プルミエール2』から石鍋環・東山日奈緒といった人気キャラクターがゲスト登場する点で、シリーズファンにとっては“豪華版”的な位置づけになっています。 その一方で、制限の厳しい家庭用ゲーム機向けであるため、18禁相当の描写は大きくトーンダウンしており、シーンの構成や演出もそれに合わせて再編集されています。また、PC版に存在した一部要素――とくに七福神のボイスなど――が削られていると指摘されることもあり、「演出面では豪華だが、原作のすべてを完全再現しているわけではない」という評価も少なくありません。 総じて、「フルボイスや豪華な演出でエクストラの世界に浸りたい人」「シリーズキャラのクロスオーバーを楽しみたい人」に向いたバージョンであり、オリジナルPC版の“完全な代替”というよりは、“別の角度から楽しむ派生版”として位置づけるのがしっくりきます。
どのバージョンを選ぶべきか――遊び方別おすすめ
最後に、遊び方のスタイル別にざっくりとしたおすすめをまとめると、以下のようなイメージになります。
当時の空気ごと味わいたいレトロPCファン
→ PC-9801版
(PC-98ギャルゲーの標準的な画面とFM音源の響き込みで楽しめる“基準版”)
音と色に少しリッチさを求める人、X68000ユーザー
→ X68000版
(基本はPC-98版準拠ながら、描画やサウンドのクリアさでワンランク上の印象)
ローディングのストレスを減らしつつ高音質で楽しみたい人
→ FM TOWNS版
(CD-DAによるBGMとCD-ROM媒体の利点で、3機種中もっともリッチな演出)
ボイス付きでドラマ性を前面に味わいたい人
→ PC-FX版『エクストラDX』 or セガサターン版
(ただし、表現調整や一部要素カットがあることを理解した上で)
いずれのバージョンにも一長一短はありますが、“どれを遊んでもエクストラの本質は変わらない”ように作られているのが、このタイトルの懐の深さでもあります。ハード環境や好みに応じて、自分に合ったスタイルでスワティたちとの物語を楽しめる――それが対応機種ごとの違いを踏まえたうえでの『きゃんきゃんバニーエクストラ』の魅力だと言えるでしょう。
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●同時期に発売されたゲームなど
1993年前後は、PC-9801を中心にPCゲーム市場が最も熱を帯びていた時期のひとつで、『きゃんきゃんバニーエクストラ』と同じフィールドで多彩なタイトルがしのぎを削っていました。ここでは、同作と同世代に遊ばれていた代表的なPC-98向けゲームを10本ピックアップし、それぞれのメーカー・発売年・価格・ゲーム内容をまとめつつ、「当時このあたりのゲームを追いかけていた人なら、店頭でパッケージを並べて見比べていたはず」という感覚で紹介していきます。美少女ゲームだけでなくRPGやシミュレーションも混ざった顔ぶれで、時代の空気感をイメージしてもらえればと思います。
★ワーズ・ワース
・販売会社:elf(エルフ) ・販売された年:1993年(1993年7月22日発売) ・販売価格:9,680円前後(税別) ・具体的なゲーム内容: ファンタジー世界を舞台に、剣と魔法、そして大人向けのロマンス要素を融合させたRPG寄りアドベンチャーです。主人公は記憶を失った青年で、世界を二分する「光」と「闇」の勢力の争いに巻き込まれながら、自分の出自と世界の真実に迫っていきます。フィールドの探索やダンジョン攻略と、イベントシーンでの会話や選択肢が有機的に組み合わされており、単なるテキストADVに留まらない“動きのある美少女ゲーム”として印象的でした。各ヒロインにはそれぞれ重めのバックボーンが設定され、物語が進むごとに過去や葛藤が明らかになっていきます。戦闘での緊張感と、ストーリー上の甘さや切なさが交互に訪れる構成は、『きゃんきゃんバニーエクストラ』のように「複数のヒロインルートを回収しながら世界観を立体的に理解していく」プレイ感覚に通じる部分もあり、当時のPC-98ユーザーの間では長く語り草になりました。
★ファーランドストーリー 遠い国の物語
・販売会社:テイジイエル販売(開発:テイジイ総合研究所) ・販売された年:1993年(1993年10月15日発売) ・販売価格:9,800円(税別) ・具体的なゲーム内容: ストーリー性を重視したシミュレーションRPGとしてシリーズ化していく、その原点にあたる作品です。プレイヤーは若き騎士や魔法使いたちの一行を率い、マス目状のマップ上で戦闘をこなしながら物語を進めていきます。会話シーンでは仲間同士の掛け合いや成長が細かく描写され、シナリオデモと戦闘パートが交互に展開する構成は、アニメシリーズを見るようなテンポの良さがありました。難易度は決して低くなく、ユニットごとの役割を吟味しないと苦戦するバランスですが、何度もリトライして攻略の糸口を掴んでいく楽しさがあり、当時のPC-98ユーザーには「腰を据えて遊べる長編タイトル」として受け入れられました。恋愛色は控えめながら、仲間キャラクター同士の関係性や別れのドラマなど、人間ドラマの厚みが『きゃんきゃんバニーエクストラ』のようなADV好きにも刺さる要素になっていました。
★ディアドラム(ディアドラム/Deardrum)
・販売会社:日本クリエイト ・販売された年:1993年頃 ・販売価格:12,800円前後(当時のPC-98向けミドル~ハイレンジ価格帯) ・具体的なゲーム内容: 幻想世界を舞台にしたシミュレーションRPG風タイトルで、種族ごとの勢力争いや戦略的なユニット運用が特徴です。プレイヤーは軍勢の指揮官となり、限られた資源とユニットを駆使して敵勢力の拠点を攻略していきます。マップ上での配置やターンごとの行動選択など、ボードゲーム的な思考を求められる一方、ストーリー面では異種族同士の対立や悲劇的なエピソードも盛り込まれ、単なる戦術ゲーム以上の読み応えを備えていました。グラフィックは重厚なファンタジー調で、キャラクターの立ち絵やモンスターのデザインも細部まで描き込まれており、同時期の美少女ADVとは違った“硬派な世界観”を楽しめる一本です。『きゃんきゃんバニーエクストラ』のような軽やかな現代劇と比べるとだいぶ方向性は異なりますが、「PC-98ならではの濃厚なシナリオと戦略性」という点では同じ土俵に立つ作品といえるでしょう。
★A列車で行こう4
・販売会社:アートディンク ・販売された年:1993年(PC-98版は1993年発売) ・販売価格:12,800円(税別) ・具体的なゲーム内容: 鉄道会社の経営者として線路を敷き、列車を走らせ、街を発展させていく名作シミュレーションシリーズの一作です。プレイヤーは時刻表を組み、鉄道網や関連施設を整備しながら収支を管理し、長期的な都市計画を組み立てていきます。派手なイベントは少ないものの、路線が増えるにつれて街並みが変化し、ビル群が立ち並んでいく様子をじっくり眺める楽しさがありました。『きゃんきゃんバニーエクストラ』のように、会話と選択肢でストーリーが進行するADVとは対照的に、こちらはプレイヤー自身が「自分の理想とする街」を作り上げていくタイプのゲームです。当時は、平日はシミュレーションでじっくり頭を使い、週末にアドベンチャーで物語を楽しむといった遊び方をしていたPC-98ユーザーも少なくなく、同世代のタイトルとして互いに補完し合うような存在になっていました。
★デッド・オブ・ザ・ブレイン2
・販売会社:フェアリーテール(FairyTale) ・販売された年:1993年(1993年11月26日発売/PC-9801版) ・販売価格:8,800円前後(税別) ・具体的なゲーム内容: ゾンビパニックを題材にしたホラーアドベンチャーで、アニメ調のビジュアルノベル形式を取りつつ、過激な描写と緊張感のある展開で人気を博した作品です。プレイヤーは、平穏な日常が崩壊していく都市を舞台に、生き残りをかけた脱出劇を体験していきます。ルート分岐や選択肢の結果によっては、仲間が救われたり、逆に悲惨な結末を迎えたりと、ストーリーの行方が大きく変化するのが特徴で、「同じ場面でも選択によって印象ががらりと変わる」構成は、マルチエンディングADVとしての完成度が高いものでした。大人向けの要素も含まれていますが、それ以上に緊迫感ある演出やBGMによる恐怖体験が語られることが多く、『きゃんきゃんバニーエクストラ』と同じく“シナリオと雰囲気で引っ張るアドベンチャー”として当時のユーザーを惹きつけていました。
★ランス4 -教団の遺産-
・販売会社:アリスソフト ・販売された年:1993年(1993年12月11日発売/PC-9801版) ・販売価格:9,680円(税別) ・具体的なゲーム内容: 長寿シリーズ「ランス」第4作で、コミカルなノリと本格RPG要素を兼ね備えた大作です。自分勝手な主人公ランスと奴隷の少女シィルのコンビが、怪しげな教団の陰謀に巻き込まれていく物語が展開します。ゲームシステムはダンジョン探索型で、各フロアにはギミックやトラップが仕掛けられ、マッピングやアイテムの使いどころを考えながら進む必要があります。シリーズおなじみの軽妙な会話やパロディネタが随所に盛り込まれており、一見ハチャメチャなコメディに見えつつ、世界観設定はかなり作り込まれているのが特徴です。『きゃんきゃんバニーエクストラ』が「ユーザーの願望をかなえる恋愛ファンタジー」だとすれば、こちらは「手の付けられない主人公に振り回される群像劇」といった趣きで、同時期のPC-98美少女ゲームの中でも異彩を放つ存在でした。
★魔導物語A・R・S
・販売会社:コンパイル ・販売された年:1993年(1993年12月10日発売/PC-9801版) ・販売価格:10,780円(税別) ・具体的なゲーム内容: “ぷよぷよ”シリーズでもおなじみのアルル・ナジャが主役のダンジョンRPGで、コミカルな世界観と本格派の難易度が共存しているタイトルです。プレイヤーはアルルを操作して迷宮を探索し、魔物とのバトルを繰り返しながらイベントをこなしていきます。一見ポップなキャラクターデザインに反してゲームバランスは手応えがあり、魔法の組み合わせやMP管理を考えながら戦わないとすぐに行き詰まるという、“見た目に反して骨太”な作りでした。テキストやイベントシーンではコンパイルらしいギャグやメタ発言も飛び出し、シリアス一辺倒ではない軽快さも魅力です。『きゃんきゃんバニーエクストラ』のような恋愛ADVと同じPC-98市場で、より全年齢寄りのユーザー層を取り込んでいた代表例と言えるでしょう。
★信長の野望 究極セレクション
・販売会社:光栄(現・コーエーテクモゲームス) ・販売された年:1993年(1993年12月10日発売/PC-98版) ・販売価格:24,800円(税別) ・具体的なゲーム内容: 歴史シミュレーション「信長の野望」シリーズの作品をまとめた豪華パッケージで、PC-98ユーザー向けの決定版的な位置づけの一本です。複数作を一度に楽しめるだけでなく、マニュアルや付録資料も充実しており、戦国時代ファンにとっては資料集としても価値の高い内容でした。ゲームとしては、戦略フェイズで内政・外交・軍備を整え、戦闘フェイズで合戦を指揮するというおなじみの流れで、シナリオや難易度の異なる複数タイトルを遊び比べることができます。価格帯は高めですが、ボリュームとシリーズのブランド力から、当時のPCショップでは存在感のあるパッケージとして並んでいました。恋愛ADVである『きゃんきゃんバニーエクストラ』とは対象読者がやや異なるものの、同じ棚に並んでいたことで「PC-98といえばシミュレーションもADVも強い」というイメージを支えた一角です。
★初恋物語(初恋育成シミュレーション 初恋物語)
・販売会社:GAMEテクノポリス/徳間書店インターメディア系ブランド ・販売された年:1993年頃(PC-9801版) ・販売価格:10,780円(税別) ・具体的なゲーム内容: 学生生活を舞台に、限られた期間の中で“初恋”を実らせることを目指す恋愛シミュレーションです。主人公は学校生活や休日の行動予定を組み立てつつ、好感度を意識しながらヒロインたちと交流していきます。会話の選択肢やプレゼント、勉強・運動などのパラメータ育成要素が絡み合い、どのヒロインとどのような結末を迎えるかがプレイヤーの行動に大きく左右されるのがポイントです。システム面では、カレンダーに沿って進行する日常パートとイベントシーンがバランスよく配置されており、「同じ1学期でも、この日何をしたかでドラマが変わる」という遊び方が可能でした。『きゃんきゃんバニーエクストラ』もまた、プレイヤーの選択によって様々な出会いが展開する構造を持っていますが、こちらはより“育成シミュレーション”寄りの設計で、恋愛と生活の管理を結びつけた点が特徴的です。
★電脳天使 ~デジタルアンジュ~
・販売会社:GAMEテクノポリス(テクノポリス) ・販売された年:1993年頃(PC-9801版) ・販売価格:10,780円(税別) ・具体的なゲーム内容: “電脳世界”と現実が交錯する近未来的なアイデアを取り入れたアドベンチャーで、プレイヤーは天使のような少女たちと出会いながら、デジタル空間で起こる事件に関わっていきます。物語は、パソコン通信や仮想空間といった当時としては新鮮なガジェットを絡めつつ展開し、「20世紀末のネット文化」を先取りしたような空気を漂わせていました。ゲームとしてはテキストADVがベースですが、選択肢でルートが分岐し、特定の条件を満たすことで見られるイベントも多く、繰り返しプレイを前提とした作りになっています。ビジュアル面では、ヒロインたちのキャラクターデザインやイベントCGに力が注がれており、“電脳天使”というタイトル通り、現実と仮想をまたぐ不思議な存在として描かれました。同じGAMEテクノポリス系の恋愛タイトルである『初恋物語』や、カクテル・ソフトの『きゃんきゃんバニーエクストラ』と合わせて遊ぶと、「90年代前半のPC-98美少女ゲームがどのように世界観を拡張していったか」がよく分かる組み合わせになっています。
こうして振り返ると、『きゃんきゃんバニーエクストラ』が登場した頃のPC-98市場は、恋愛ADV・RPG・シミュレーション・ホラーとジャンルの幅が非常に広く、それぞれのメーカーが自分たちの得意分野を前面に押し出していたことが分かります。プレイヤー側から見れば、同じPCで遊ぶタイトルであっても、「純粋な恋愛シミュレーションの『初恋物語』」「ファンタジーRPGの『ワーズ・ワース』」「都市開発の『A列車で行こう4』」など、その日の気分に合わせてまったく違う世界に飛び込める贅沢な時代でした。『きゃんきゃんバニーエクストラ』は、その中でも“女神スワティが願いを叶えてくれる恋愛ファンタジー”という独自のポジションを築き、同時期の代表的PCゲームたちとともに、PC-98黄金期の一角を担っていたと言えるでしょう。
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