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評価 4.43【発売】:ストライカー
【対応パソコン】:PC-9801、X68000
【発売日】:1991年
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム、ロールプレイングゲーム
■ 概要
発売時期・ジャンル・基本スペック
『学園都市Z』は、1991年にストライカーから発売されたPC-9801シリーズおよびX68000向けのパソコン用RPGです。見た目は美少女キャラクターが多数登場する学園ものですが、ゲームシステムとしては一人称視点の3DダンジョンRPGとテキストアドベンチャーを組み合わせたような内容になっており、当時の美少女ゲームの中でも「ロボット×RPG×学園ドラマ」というかなり変わった立ち位置の作品でした。 媒体はフロッピーディスク3枚組で、PC-98版・X68000版ともにキーボード主体の操作を前提とした作りになっており、マッピングしながらダンジョンを攻略していく古典的RPGの楽しさと、会話イベント中心のアドベンチャーパートが一本にまとめられています。プレイヤーは主人公の少女アヤを操作し、自分の搭乗機を成長させながら、広大な学園都市を舞台に数々のミッションに挑むことになります。
宇宙ステーション「学園都市Z」という舞台設定
物語の舞台は、西暦2XXX年。人類が宇宙空間に巨大な居住施設や公共施設を建設することが当たり前になった時代です。その中で、教育のためだけに造られた巨大な宇宙ステーションが「学園都市Z」。地球の重力圏を離れた場所で、約2万人の女子生徒が寮生活を送りながら日々の授業に励んでいる――という、SF色の強い学園都市が背景として用意されています。 この学園都市の最大の特徴は、カリキュラムの一環として「巨大ロボットの操縦」が用意されていることです。生徒ひとりにつき一機の専用機が配備され、格闘戦や射撃、ホバリングなどの訓練が日常的に行われています。宇宙空間に浮かぶ教育ステーションという閉じた空間に、巨大ロボットの演習場やメカニック用の整備ブロック、学生寮やショッピングエリアなどが詰め込まれており、プレイヤーはRPGパートを通して、その内部構造を少しずつ把握していくことになります。
紅白対抗戦と守護神ロボ「ストロンガーZ」
学園都市Zでは毎年、学園全体を巻き込んだ一大イベントとして「紅白対抗戦」が開催されます。紅組と白組に分かれた生徒たちが、さまざまな競技やミッションで競い合うという伝統行事で、本作ではその種目が「学園の守護神ロボ・ストロンガーZを起動させるためのキーとなる5つのクリスタルを奪い合う」という、ロボットバトル中心の内容として描かれています。 ストロンガーZは学園都市の防衛システムの象徴であり、5つのクリスタルが揃ってはじめて起動するという設定です。対抗戦のルールは「白組が選んだ5人の代表にクリスタルを持たせ、それを紅組の代表が奪取できれば紅組の勝利、守り抜けば白組の勝利」というシンプルなもの。しかし、ここにストーリー上のトラブルが加わることで、主人公アヤにとって過酷な戦いが始まることになります。
主人公アヤと、少数精鋭の紅組
紅組に所属する主人公アヤは、ロボット操縦の成績が今ひとつ奮わない一年生。ゲーム開始時点でも、訓練科目のひとつである「ホバリング」がまともにこなせないドジなキャラクターとして描かれます。プレイヤーが操作するのは、そんなアヤが乗り込む専用機「レイディーバード」。序盤の戦闘では心もとない性能ですが、経験値や資金を投じて改造を行っていくことで、少しずつ頼れる機体へと成長していきます。 対抗戦直前、紅組の激励会でまさかの食中毒騒ぎが発生し、参加予定だった多くの生徒が戦線離脱してしまうという事件が起きます。幸か不幸か、その場にいなかったアヤとメカニック担当のユキエだけが無事で、紅組側でまともに動けるのは事実上この二人だけという状況に追い込まれます。一方、白組側はおよそ1万人規模の生徒が健在という圧倒的不利な戦力差。ここで生徒会長アスカや教官の滝沢先生が登場し、「白組から選出した5人がクリスタルを持ち、それを紅組代表が奪う」という特別ルールが提案され、物語の主軸となる「5つのクリスタル争奪戦」が本格的に動き出します。
アドベンチャー×RPGというゲーム構造
ゲーム全体は、大きく「ストーリーパート」と「RPGパート」に分かれています。ストーリーパートでは、学園内のさまざまな場所を移動しながら、生徒会長や教師、ライバルの白組メンバーたちとの会話イベントが進行します。ここで会話の流れやイベントの消化状況によって、どのエリアに進めるか、どの敵と戦うことになるかが変化していきます。アドベンチャーゲーム的なテキストの読み応えもあり、「宇宙ステーション型学園」という独特な舞台が少しずつ輪郭を増していきます。 一方、RPGパートでは一人称視点の疑似3Dダンジョンを探索します。プレイヤーはレイディーバードを操り、迷路のように入り組んだ区画を進みながらクリスタルを持つ白組の代表を探し出していきます。敵のロボットと遭遇するとコマンド選択型の戦闘画面に切り替わり、「攻撃」「回避」「アイテム使用」といった日本製RPGではおなじみのメニューから行動を選択するスタイル。勝利すれば経験値と資金が手に入り、レベルアップや機体改造を通じて徐々に戦力が増していく、王道の成長サイクルが用意されています。
ロボットデザインと作品テイスト
作中に登場するロボットの多くは、80年代後半から90年代前半にかけて流行したリアルロボット系のデザインを色濃く反映しています。一部の機体は、いわゆる「スーパーロボット」的なシルエットを持っており、スタッフの好みがそのままメカデザインに投影されたような、どこか懐かしさのあるラインナップになっています。学園の守護神ストロンガーZは、巨体と分かりやすいヒーロー的なフォルムを兼ね備えており、「学園の守り神であり、同時にイベント用の象徴的存在」という、物語上の重要な立ち位置を担っています。 キャラクターグラフィックは、当時のPCゲームとしてはかなり描き込みが細かく、制服やブルマといった衣装のディテール、キャラクターごとの表情差分などが丁寧に描かれています。戦闘やイベントの演出の中には、ロボットの損傷によって衣服が破れてしまうような、やや刺激的な表現も盛り込まれており、美少女ゲームとしての存在感も意識された作りです。ただし、物語そのものは紅白対抗戦という学園イベントの中で友情やライバル関係が描かれる青春ドラマの側面もあり、ロボットもの・学園もの・美少女ゲームという複数の要素が一つの器に収まっているのが本作のテイストと言えます。
開発背景と制作エピソード
『学園都市Z』は、企画そのものは比較的短い期間で形になった一方で、デバッグ作業にかなりの時間を割いた作品とされています。複雑な3Dダンジョン構造やイベントフラグ、ロボットのステータス管理など、多数の要素を組み合わせたシステムを安定動作させるために、最終的には開発全体で約半年ほどの期間が費やされたと伝えられています。 メカニックを担当したスタッフは、特にリアルロボット系アニメ作品が好きだったとされ、劇中に登場する量産機・敵機の多くは、そうした嗜好を反映したシャープなデザインラインを共有しています。一方、メインシナリオ担当者は、クラシックなスーパーロボット作品への思い入れが強く、ストロンガーZを象徴とする一部の機体では、わざと記号的でわかりやすいヒーロー像を意識したデザインが採用されています。ジャンルやテイストの異なる「好み」が同居していることが、本作の独特な空気を生み出していると言えるでしょう。
当時の市場におけるポジション
1991年前後のPCゲーム市場では、シリアスなファンタジーRPGやサイバーパンク系の作品が多数出ていましたが、「女子校×巨大ロボ×3DダンジョンRPG」という組み合わせはかなり珍しいものでした。PC-98・X68000といった高性能機のユーザーに向け、グラフィックや世界観の作り込みと、骨太なダンジョン構造を売りにした美少女RPGとして、マニア層に強く印象を残したタイトルのひとつです。 雑誌の記事などでは、ダンジョン構造の複雑さや広さが本格派RPGの代表格である『ウィザードリィ』を思わせると評されることもあり、アダルト要素だけに頼らない「ゲームとしての歯ごたえ」を備えた作品として紹介されました。一方で、移動量の多さや迷いやすさなど、ストイックな作りゆえのハードさも指摘されており、良くも悪くも“コア向け”の一本として記憶されているタイトルです。
■■■■ ゲームの魅力とは?
学園×宇宙ステーション×ロボットRPGという組み合わせの面白さ
『学園都市Z』の一番分かりやすい魅力は、テーマの掛け合わせ方の大胆さです。舞台は宇宙空間に浮かぶ女子校専用ステーションという時点でかなり個性的ですが、そこで行われるのが「巨大ロボの操縦を含む授業」と「紅白対抗のクリスタル争奪戦」という設定になっており、学園ドラマと本格SF、さらにロボットアクションが一体化しています。普通の学園ものなら、教室や部活動、寮生活などが主役になりますが、この作品ではそれらの要素に「搭乗機の整備」や「訓練ミッション」まで組み込まれており、プレイヤーは一人の女子学生として過ごしつつ、同時にロボットパイロットとしての成長も体験できるのです。宇宙ステーション全体をキャンパスに見立て、そこを3Dダンジョンとして探索する構造によって、「校内を歩き回っているつもりが、いつの間にか本格的なRPGをプレイしている」という感覚が自然に生まれるのも本作ならではのポイントです。学園生活の延長線上にRPGの冒険がある、という感覚が心地よく、ジャンルの境界を意識させないまま物語に引き込まれていきます。
探索とマッピングの楽しさが生む“迷う快感”
ゲームパートの根幹になっているのは、一人称視点の3Dダンジョン探索です。通路が複雑に折れ曲がり、階段やエレベーターで上下に繋がっていく構造は、いわゆる「迷路RPG」のお手本のような作りで、慣れないうちは方向感覚を失いがちです。しかし、だからこそ自分の手でマップを作り、少しずつ全体像を把握していく過程に強い充実感があります。休み時間や放課後に学園の裏エリアへ忍び込み、まだ誰も知らない抜け道やショートカットを発見したときのような、「校舎探検」のワクワク感がそのままRPGの冒険心と重なってくるのです。単に一本道を進んでイベントを見るだけではなく、プレイヤー自身が「ここを曲がればさっきのホールに戻れる」「このフロアの端に、きっと隠し部屋があるはずだ」と推理しながら進むことが求められるため、攻略に主体性が生まれます。自分の描いたマップが少しずつ埋まり、行ける場所が増えていくにつれて、学園都市そのものへの愛着も深まり、「このステーションの構造はもう頭に入っている」と胸を張りたくなるような達成感を味わえるのです。
ロボットカスタマイズによる“自分だけの機体”作り
また、ロボットの育成・改造の楽しさも本作の大きな魅力です。主人公アヤの搭乗機はゲーム開始時点では力不足で、装甲も薄く、武器の火力も心許ない存在に過ぎません。しかし、戦闘を重ねて経験値を稼ぎ、得た資金を用いてパーツを強化することで、少しずつ一人前の戦力になっていきます。装甲を厚くするか、ブースターを増設して機動性を高めるか、武装を入れ替えて一撃の重さを重視するか――そうしたカスタマイズの方向性を自分で決められるため、「自分だけのレイディーバード」を作り上げていく感覚が強く味わえます。 さらに、強化の仕方によって戦闘スタイルも変化します。真正面から殴り合う重量級の格闘機を目指すのか、遠距離から削る射撃型に仕立てるのか、あるいは回避性能を上げてヒット&アウェイに徹するか、といった選択によって、同じダンジョン攻略でもプレイ感が変わってきます。これにより、単にレベルさえ上がれば誰でも同じ強さになるRPGとは異なり、「自分の好みと判断が戦闘に反映される」というやりがいが生まれます。プレイヤーの数だけ育成のパターンがあり、友人同士で「自分の機体ビルド」を語り合うような楽しみ方も想像できる、奥行きのある成長システムです。
キャラクター同士の掛け合いが描く青春ドラマ
硬派なダンジョンRPGとしての一面がある一方で、『学園都市Z』はキャラクター同士の会話やイベントシーンも非常に濃い作品です。主人公アヤを中心に、生徒会長アスカ、メカニックのユキエ、熱血気味の教官や、白組のライバルキャラクターたちが登場し、それぞれが物語上の役割だけでなく、個性を立てて描かれています。紅白対抗戦という枠組みの中では、相手は基本的に「敵」であるはずですが、そこに友情や尊敬、複雑な感情が絡むことで、単純な善悪では割り切れない関係性が浮かび上がります。 イベントシーンではシリアスな場面だけでなく、日常的なやり取りや、ちょっとしたドジや言い合いなども描かれ、重い任務の合間にコメディタッチの息抜きが挟まれる構成になっています。訓練でミスをして落ち込むアヤをユキエが励ましたり、アスカが冗談めかしてプレッシャーをかけたりと、キャラクター同士の距離感が少しずつ変化していく様子は、学園ものらしい甘酸っぱさを含んでいます。プレイヤーは、RPGとしての勝ち負けだけでなく、「この関係性をどう見届けるか」「このキャラがどんな決断を下すのか」といったドラマ性にも関心を向けるようになり、物語とゲームシステムが密接に絡み合った体験が得られます。
戦闘演出と“損傷表現”のインパクト
戦闘シーンの演出も、本作の印象を強く形作っている要素のひとつです。ロボット同士の攻防では、ビームやミサイルの発射エフェクト、被弾時の爆発、ダメージを受けていくにつれて変化するステータス表示などが、当時のパソコンゲームとしては見応えのある形で表現されています。特に印象的なのは、機体が大破した際の「爆風」を利用した演出で、戦闘の結果がキャラクターのビジュアルに直接反映されるため、ただ数字上のHPが減るだけでなく、「やられてしまった」という感覚が視覚的なショックとしてプレイヤーに伝わってきます。 また、戦闘の緊張感を高めるための細かな工夫も凝らされています。残り耐久値がわずかになって警告メッセージが表示される場面や、ギリギリの状況から逆転勝利を収めたときに挿入されるイベントなど、プレイヤーの想像力をかき立てる演出が随所に用意されています。こうした仕掛けにより、戦闘は単なる数値のやり取りではなく、「キャラクターが乗っているロボットが本当に危険な状況にいる」という感覚を強く意識させられ、勝ち負けの一戦ごとにドラマ性が生まれていきます。
章立て構成によるメリハリのあるプレイ感
『学園都市Z』は、大きな物語をいくつかの章に分けた構成になっており、それぞれの章ごとに明確な目標が設定されています。例えば、特定エリアでの訓練ミッションや、クリスタルを託された白組メンバーとの決戦など、章ごとにテーマとなるイベントが存在し、その達成が次の展開への足がかりになる形です。このため、プレイヤーは「次の章に進むために今何をすべきか」が常に意識しやすく、長大なダンジョンRPGでありがちな「今どこまで進んでいるのか分からない」という迷子感が軽減されています。 章と章の間には、日常パートや会話イベントが挟まることも多く、激しい戦闘のあとに一息つける構成になっているのも魅力です。緊張と緩和がメリハリよく配置されているため、プレイしていてダレにくく、「もう少しだけ進めよう」と思っているうちに時間が経ってしまうタイプのゲームだと言えるでしょう。各章の終盤には、物語の転機となるイベントやボス戦が控えており、クリアした瞬間の達成感とともに、次章への期待を自然と抱かせるような作りになっています。
プレイヤーの工夫が報われるゲームバランス
ゲームバランスの面でも、本作は「ややハードだが、その分工夫のしがいがある」という評価を受けやすい作品です。敵とのレベル差が大きい状態で無謀な突撃をすればあっさり撃破されてしまいますし、マップも複雑で、ただ闇雲に歩いているだけでは目的地に辿り着けません。しかし、だからこそ、敵の出現パターンを覚え、危険なエリアを避けつつ安全なルートで経験値を稼ぐといった戦略が生きてきます。効率の良いレベル上げポイントを見つけたり、回復ポイントの場所を把握してから奥地へ挑むようにしたりと、プレイヤー自身の判断によって難易度をコントロールできる余地が用意されています。 また、アヤの機体だけでなく、サポート役となるキャラクターとの関係やイベントの消化状況も、攻略に影響を及ぼします。あるキャラクターに助言を求めておけば戦闘が楽になる装備が手に入ることもあれば、特定のイベントを見ておかないと先に進めない場面もあります。こうした要素が組み合わさることで、「ただレベルを上げるだけではない攻略の奥行き」が生まれ、試行錯誤をするほどプレイヤー自身の知識と経験が蓄積されていく楽しさがあります。
“知る人ぞ知る”作品ゆえのコレクション的価値
発売当時から大々的な広告展開が行われた作品ではないため、一般的な知名度はそれほど高くないものの、その分「知る人ぞ知るタイトル」としてコレクターの間では語り継がれている点も、ある意味では本作の魅力だと言えます。学園もの・ロボットもの・3DダンジョンRPGという三つ巴の要素を同時に満たすPCゲームは数が少なく、特定のジャンルが好きな人にとっては「一度はプレイしておきたい一本」として名前が挙がることもあります。パッケージイラストやマニュアルの世界観設定も含めて、当時ならではの雰囲気をまとっており、レトロPCゲームを掘り下げていく過程で出会うと、強く印象に残るタイプの作品です。 ゲーム内容そのものの面白さはもちろんですが、「こんな路線の美少女ロボットRPGが90年代初頭のPCで出ていた」という事実そのものが、今となっては貴重な歴史資料のような味わいを持っています。当時のPCゲーム文化を象徴する一本として、大切に語り継ぎたくなる――それが『学園都市Z』のもうひとつの魅力と言えるでしょう。
■■■■ ゲームの攻略など
まず押さえておきたい基本方針
『学園都市Z』は、一見するとキャラクター同士の会話やイベントが印象に残る作品ですが、実際のプレイ感覚はかなり骨太な3DダンジョンRPGです。攻略の第一歩として意識したいのは、「ストーリーを追うこと」と「戦力の増強」を常にセットで考えることです。会話イベントを追いかけるだけでは戦闘で行き詰まり、逆にレベル上げだけに夢中になると、肝心のイベントフラグが立たず物語が進行しません。そのため、学園内での聞き込みやイベント消化で“次に向かうべきエリア”を把握しつつ、その周辺で経験値と資金を稼ぐ――というサイクルを意識することが重要になります。特に序盤は、無理に奥地まで踏み込まず、アヤの機体が安定して戦える範囲を少しずつ広げていく感覚で進めると、無駄な全滅を減らすことができます。
序盤の流れと立ち回りのポイント
ゲーム序盤のアヤは、ロボット操縦に不慣れという設定どおり、ステータス的にもかなり頼りない存在です。装甲は薄く、連戦を続けるとすぐに耐久力が尽きてしまいますから、最初のうちは「一戦ごとに戻るくらいの慎重さ」を心がけて構いません。まずは学園内でのガイダンスイベントやチュートリアル的な会話を漏れなくこなし、どの区画にどの程度の強さの敵が出現するのか、おおまかな危険度を肌で感じ取るところから始めましょう。マップの端まで無理に行く必要はなく、「自力で戻ってこられる範囲」をじわじわと広げていくイメージが大切です。序盤は、経験値効率よりも「安全に勝てる敵」を着実に倒していくことに比重を置きましょう。帰還できずに撃破されてしまうと、その区画の構造を覚える前にやり直しになり、精神的にもダメージが大きくなります。
マッピングとルート確保のコツ
本作のダンジョンは複雑な構造をしており、分岐や行き止まり、上下移動を組み合わせた迷路のような造りになっています。紙片やノートなどにマップを手書きで作っていくのが基本ですが、いきなり細かく描こうとせず、「まずは大きな骨格」を押さえるのがコツです。具体的には、スタート地点から左右どちらに進むとどのような大部屋や交差点に出るかを、ざっくりと記録していきます。大きめの部屋や特徴的な地形(行き止まりの先に宝箱がある、決まって敵が多いフロアなど)は、後から見返したときに目印になるので、簡単な記号やメモを残しておくと便利です。 ある程度マップが埋まってきたら、「安全に帰還できるルート」を一本確保しておくと、奥地の探索がぐっと楽になります。分かりやすいルートを一本太く描き、そこから枝分かれする形で細かい通路を記録していくと、迷子になりにくくなります。新しい階層や区画に入った直後は、あえて長時間滞在せず、近場をひと回りしたら早めに戻って安全なルートを頭とメモに刻み込むとよいでしょう。これを繰り返すことで、自然と学園都市の構造が頭の中に定着していきます。
育成方針:装甲重視か機動重視か
レベルアップに伴うステータス上昇に加え、パーツの改造や交換によって機体性能を調整できるのも『学園都市Z』の面白い点です。攻略上、まずおすすめなのは「装甲と耐久力の底上げ」です。攻撃力を先に伸ばしたくなる気持ちはありますが、本作では敵との遭遇頻度が高く、連戦になりやすいため、一撃の重さよりも「何発耐えられるか」の方が生存率に直結します。序盤〜中盤までは、装甲を厚くして被ダメージを抑え、多少のミスやクリティカルヒットにも耐えられる余裕を確保しましょう。 一方、ある程度レベルが上がり敵の攻撃パターンに慣れてきたら、今度は機動性を重視した調整も選択肢に入ってきます。回避率が上がると、そもそもダメージを受ける頻度が減り、結果的に修理費や回復アイテムの消費を抑えられます。ただし、機動力偏重にすると「一度食らったダメージが重い」という状況に陥りやすいため、装甲とのバランスを見ながら調整するのがポイントです。「装甲を固めてタフな中距離戦を得意にするか」「軽量化してヒット&アウェイを狙うか」は、プレイヤーの好みが分かれるところですが、どちらの方針でもクリアは可能なので、自分のプレイスタイルに合った方向性を見つけていきましょう。
資金・経験値稼ぎの稼ぎ場を見つける
どんなに上手に戦っても、一定以上の強敵と戦うためには、どうしても相応のレベルと装備が必要になります。そのため、中盤以降の攻略では「意図的な稼ぎ時間」を確保することが重要です。理想的なのは、「比較的弱い敵が高頻度で出現し、なおかつ拠点への帰還ルートが短いエリア」です。そうしたポイントを一度見つけてしまえば、あとは同じルートを往復しながら戦闘を繰り返すだけで、自然とレベルや資金が溜まっていきます。 敵の種類や構成によって効率は変わるため、「この階層は敵が固くて時間がかかる」「この区画はやたら命中率の高い敵が多い」と感じたら、無理にそこで粘らず、別の階層を試してみるのも手です。いくつかのエリアを実際に歩いてみて、「自分の機体と相性の良い稼ぎ場」を探しましょう。確保した資金は、まず装甲や基本性能の底上げ、次に火力アップや便利な補助装備に回すと、全体として戦いやすくなります。
クリスタル探索の進め方と章ごとの目標管理
物語の大きな目標は、白組の代表に託された5つのクリスタルをすべて集めることです。しかし、どのクリスタルも最初から場所が明らかになっているわけではなく、学園内での情報収集やイベントを通じて場所のヒントが与えられる構成になっています。攻略のコツは、「一度に全部を追いかけようとしない」ことです。各章ごとに「この章ではどのクリスタルがターゲットになるのか」「その持ち主とどの区画で決着をつけるのか」を整理し、章の目標を明確にして進めると迷いにくくなります。 イベントで得られた情報は、フロア名や地形の特徴など、断片的なヒントとして提示されることが多いため、「それらしい区画に心当たりがないか」を手持ちのマップと照らし合わせながら推理することが大切です。場合によっては、以前に探索したエリアをもう一度訪れ、新たに開放された部屋や通路を調べ直す必要も出てきます。ストーリーの進行とともにマップが“更新”されることを意識し、クリスタル探索と並行して「過去のエリアの再チェック」を習慣づけておくと取りこぼしを減らせます。
イベントの取りこぼしを防ぐための心がけ
『学園都市Z』では、特定のキャラクターとの会話やイベントが、後の展開に影響することがあります。なかには、発生条件がややシビアなイベントもあり、「気づかないうちにフラグを踏まずに進んでしまった」ということも起こり得ます。取りこぼしを最小限にするには、「章が切り替わるタイミング」で学園内を一通り巡回し、主要キャラクターに片っ端から話しかけておくのが有効です。生徒会室や整備ブロック、教官の居るエリアなど、物語の中心人物が出入りしそうな場所を重点的にチェックしましょう。 また、「以前はそっけない返事しかしてくれなかったキャラが、章が進むと急に重要な情報をくれる」といったパターンもあるため、一度話しかけた相手にも、章が変わったら改めて顔を出してみることをおすすめします。イベントをしっかり追っていくと、攻略のヒントだけでなく、キャラクター同士の関係性がより深く見えてきて、物語の解像度も上がっていきます。
難所となりやすい場面の乗り越え方
多くのプレイヤーが苦戦しやすいのは、マップ構造が一気に複雑化する中盤のエリアや、特定のクリスタルを守っているボス的な敵との戦闘です。マップの難所で行き詰まったときは、「新しい道を探すための探索」と「レベル上げのための周回」を意識的に分けてプレイすると、気持ちの切り替えがしやすくなります。新しい道を探すときには、多少の危険を覚悟して未知の通路に踏み込み、行き止まりだった場合はしっかりメモを残す。それに対して、稼ぎの時間は“安全なルートを往復するだけ”に集中する――このように役割を区別することで、無駄な全滅を減らせます。 ボス戦や強敵との戦闘については、事前準備で勝敗が大きく変わります。回復アイテムや修理用のリソースを十分に持ち込み、戦闘開始前に耐久力を満タンにしておくのは基本中の基本です。さらに、相手の攻撃パターンを数ターン観察し、「命中率が高い強攻撃を何ターンごとに使ってくるのか」「状態異常や防御低下を伴う攻撃がないか」といった点を見極めたうえで、守りを固めるターンと攻めに回るターンを切り分けましょう。何度か挑戦して攻撃パターンを把握してしまえば、あとは「危険なタイミングに備えて回復と防御を挟む」ことを徹底するだけで、意外と安定して勝てるようになっていきます。
裏技的な立ち回りとやり込み要素
システム上の“バグ技”のようなものに頼らなくても、本作にはちょっとした裏技的な立ち回りがいくつか存在します。たとえば、敵の出現位置や種類はおおむね決まっているため、効率のよい稼ぎルートを自分なりに組み立てることで、実質的な「高速育成ポイント」を再現できます。また、機体の改造プランをあえて偏らせて、通常とは違ったプレイスタイルでクリアを目指すという遊び方も、やり込み要素として面白いところです。重装甲でほぼノーガード戦法を貫くのか、極端な回避型にして「当たらなければどうということはない」を地で行くのか――そうした極端な構成でも、プレイの工夫次第でなんとかしてしまえる余地が残されているのが、本作の懐の深さと言えるでしょう。 クリア後も、「全マップの完全踏破」「全イベント回収」「自分なりの最強ビルドを組む」といった目標を立てて遊ぶことができ、単純に一周クリアするだけでは味わいきれない奥行きがあります。攻略の過程で書き貯めたマップやメモを見返すと、「ここで何度も迷った」「このルートを見つけたときは嬉しかった」といった記憶が蘇り、プレイヤー自身の冒険譚の記録としても楽しめるはずです。
■■■■ 感想や評判
遊んだ人がまず語りたくなる“異色作”としての存在感
『学園都市Z』を実際にプレイした人の感想でよく聞かれるのが、「とにかく印象に残る一本だった」という言い方です。遊びやすさや派手さで他の有名作に勝るわけではないものの、「女子校」「宇宙ステーション」「巨大ロボ」「3DダンジョンRPG」という要素を、かなり真面目なゲームシステムの上で成立させている作品は当時でも珍しく、記憶に残りやすかったのは間違いありません。特にPC-98やX68000でいろいろなタイトルを遊び漁っていた層にとっては、「ああ、あの妙に骨太だったロボット学園RPGね」と、すぐに思い出せるような“通好み”のソフトとして語られがちです。キャッチーなイラストとアダルト寄りの表現に惹かれて手に取ったプレイヤーが、いざ蓋を開けてみると予想外に硬派な内容に驚かされる――そんな“ギャップ”も、印象を強くしている要因のひとつと言えるでしょう。
本格派3DダンジョンRPGとしての評価
ゲーム雑誌や当時のプレイヤーの声を総合してみると、最も高く評価されているのは、やはり3DダンジョンRPGとしての作り込みです。女子校が舞台とはいえ、マップ構造は大味とは程遠く、複雑なフロア構成や立体的なレイアウト、罠や行き止まりを盛り込んだ設計は、本格的な迷路RPGを好むユーザーにも手応えを与えるレベルに仕上がっていました。そのため「美少女ゲームの皮をかぶった硬派RPG」として受け止める声も多く、ダンジョン探索が好きな人ほど高い評価を下す傾向があります。 一方で、この“本格派”という側面は諸刃の剣でもありました。美少女ゲーム的なライトなノリを期待して購入したプレイヤーの中には、「ここまでガチなダンジョンとは思わなかった」「迷いすぎて心が折れた」といった感想を残した人も少なくありません。つまり、RPGとしての完成度は高く評価されつつも、そのストイックさが人を選ぶ作品だ、というのが多くのプレイヤーの共通認識だったと言えるでしょう。
キャラクターと世界観への好意的な反応
キャラクターや世界観についての反応は、総じて好意的なものが目立ちます。宇宙ステーションを舞台にした女子校という設定は、当時としてもかなり風変わりでしたが、その奇抜さがかえって“クセになる”という声が多く、紅白対抗戦や学園の守護神ロボといったお祭り感のある要素も、物語全体にテンポの良さを与えています。主人公アヤの不器用で前向きな性格、生徒会長アスカの頼もしさ、メカニックのユキエのサポート役としての立ち位置など、主要キャラクターの役割分担も分かりやすく、「誰がどんな役目を担っているのか」が直感的に掴めるのも好評でした。 プレイを進めるにつれて、ライバル側である白組のメンバーにも事情や信念があることが分かっていき、単純な“悪役”ではなく、一緒に学んでいるクラスメイトとして立体的に描かれていく点も、物語への没入感を高めています。イベントの量そのものは膨大というほどではないものの、丁寧に配置された会話シーンが各キャラクターの魅力を引き出しており、「ストーリーがあるからこそ、ダンジョン攻略にも気合が入る」と感じたプレイヤーは多かったようです。
難易度・不親切さに対する辛口の意見
反面、辛口の意見として目立つのはやはり難易度の高さと不親切さです。マップの複雑さや移動量の多さは、歯応えを求めるプレイヤーにとっては歓迎すべき要素ですが、そうでない人からすると「道に迷う時間が長すぎる」「用事で訪れたエリアに再度行くときの導線が分かりにくい」といった不満に繋がってしまいます。また、イベントの発生条件やフラグ管理がやや分かりづらく、「どこかで見落としていて先に進めない」「章の切り替わりに気づかないままウロウロしてしまう」といった声も聞かれます。 特にゲーム中盤以降は、行動範囲が一気に広がるため、情報整理やマップ管理を怠るとすぐ迷子になってしまいます。そうした側面を「攻略本や自作メモを片手にじっくり取り組むゲーム」として楽しめるか、「UIやヒントの少なさにストレスを感じてしまうゲーム」と捉えるかで、評価が分かれたと言えるでしょう。難易度そのものは理不尽というほどではないにせよ、プレイヤーに求められる“自助努力”の度合いが高いため、カジュアルな層にはやや敷居が高いと感じられても仕方がない部分があります。
グラフィック・演出面への評価
グラフィックや演出については、「当時としてはかなり健闘している」という評価が多い印象です。PC-98・X68000という比較的高性能なハードを前提としているだけあって、キャラクターの立ち絵やイベントCGは描き込みが細かく、制服や髪型の描写、表情変化など、キャラクター性を支える要素がしっかり作り込まれています。また、ロボットのデザインも、リアル寄りのラインとヒロイックな守護神ロボの両方を取り入れたことで、ロボットアニメ好きにも訴求するビジュアルになっていました。 一方で、ダンジョン部分のグラフィックは、ジャンルの性質上どうしても単調になりがちです。同じような通路や壁を延々と見続けることになるため、「キャラ絵は良いのに、探索画面が地味だ」と感じるプレイヤーもいたようです。ただ、それも裏を返せば、当時の3DダンジョンRPGとしては標準的なスタイルであり、「そういうものだ」と割り切っていたプレイヤーにとっては大きなマイナスにはならなかったとも言えます。戦闘時のエフェクトや爆発演出、損傷表現などは、ゲームの雰囲気づくりに一役買っており、「数値以上に“殴り合っている”感覚がある」と好意的に受け取られることが多かったようです。
アダルト要素とゲーム性のバランスについて
『学園都市Z』は、アダルトゲームとして発売されたタイトルであり、戦闘やイベントにおける衣服の損傷表現など、大人向けの要素が含まれています。ただ、その扱いについてのプレイヤーの感想は、「ゲーム性とアダルト要素のバランスが独特」というあたりに集約されます。単に刺激的なシーンを連発するのではなく、あくまでロボット同士の戦闘の結果としてそうした演出が挿入される構成になっているため、ゲームの流れをぶち壊すような唐突さは比較的抑えられている、という見方もあります。 一方で、「RPG部分が本格的すぎて、アダルト要素がオマケのように感じられる」「このボリュームと難度なら、むしろ一般向けとして出しても良かったのでは」という声もあり、当時のジャンル分けの中に無理やり押し込められた結果、評価軸がややぶれてしまった面も否めません。純粋にゲームとしての歯応えを求めていた人には好意的に受け取られた一方、「手軽に楽しめるアダルトゲーム」を期待していた層には重すぎた――このギャップが、後年まで賛否を生む要因のひとつになっています。
現在のレトロゲームファンからの再評価
発売から年月が経った現在では、『学園都市Z』はレトロPCゲーム好きや美少女ゲーム史を掘り下げるファンの間で、「一度は取り上げておきたい作品」として再評価されています。特に、当時のPCゲームが「アドベンチャー+RPG」「美少女+本格ゲーム性」といった形でジャンルミックスに挑戦していたことを示す好例として、資料的な価値を見出す声もあります。宇宙ステーション型の学園という舞台設定や、紅白対抗戦というイベントの扱い方、守護神ロボの存在感などは、今の目で見てもユニークで、後年の作品と比較しながら「この時期ならではの発想だ」と楽しむ人も増えてきています。 もちろん、操作性やUI、ヒントの少なさといった部分に時代なりの古さは否めませんが、それも含めて「当時のPCゲームを味わう」というスタンスで向き合うと、独特の味わいを持つタイトルであることがよく分かります。プレイヤーの間では、「決して万人向けではないが、ハマる人には強烈に刺さる」「今遊んでも、構造や発想に光るものがある」といったコメントが散見され、知る人ぞ知る名作として静かに支持され続けている作品だと言えるでしょう。
総評としてのプレイヤーの声
こうした諸々の意見をまとめると、『学園都市Z』に対する総評は、「美少女ロボット3DダンジョンRPGというニッチな路線を、かなり真面目にやり切った挑戦的な作品」という一言に集約されます。難易度や親切設計の面では現代の基準から見ると粗削りな部分も多く、人を選ぶタイトルであるのは事実です。しかし、そのぶん「やり遂げたときの達成感」や「他にはない組み合わせの面白さ」が濃縮されており、心に残る体験を与えてくれるゲームでもあります。 今となっては入手も容易ではなく、気軽に勧められるタイトルとは言い難いものの、「当時のPCゲーム文化の多様さや、メーカーの挑戦心を象徴する一本」として、今もなお話題に上ることがある――それが、多くのプレイヤーから見た『学園都市Z』という作品の立ち位置なのです。
■■■■ 良かったところ
学園もの・ロボット・3DダンジョンRPGが自然に同居している構成の妙
『学園都市Z』の長所として真っ先に挙げられるのは、いくつものジャンル要素が違和感なく溶け合っている点です。女子校を舞台にした学園ドラマ、巨大ロボットが登場するSFアクション、迷路のようなステージを歩き回る3DダンジョンRPGという、一見するとバラバラな要素が、一つの物語とゲームシステムの中にきれいに収まっています。普通であれば、どれか一つに重心が偏り、「学園部分はおまけ」「ロボットは設定だけ」といったアンバランスさが出がちですが、本作では授業やイベントとしてロボ操縦が組み込まれ、紅白戦という学園行事がそのままRPGの目標に直結しているため、「物語のために戦う」「戦うために物語が進む」というサイクルが自然に成立しているのです。プレイヤーは、教室でのやり取りや生徒会の会議で次の任務の内容を知り、その流れのまま宇宙ステーションの内部をダンジョンとして探索し、ロボットでの戦闘に挑むことになります。この“導線のスムーズさ”が、複数ジャンルミックス作品でありながら遊びやすいタイトルに仕上がっている大きな要因であり、「奇抜だがチグハグではない」という絶妙なバランス感覚が本作の良さとして語られます。
迷路としての手応えと探索の楽しさ
ダンジョンRPGの側面に目を向けると、学園都市という設定を活かした迷路構造が他にはない魅力を放っています。教室棟、居住区、整備ブロック、訓練場、廊下や通路を繋ぐ連絡通路といった様々な区画が上下左右に折り重なり、まさに巨大な迷路と化しているため、マッピングのしがいがあるのは言うまでもありません。単に敵が強いだけでなく、「この通路はどこに繋がっているのか」「このエレベータを使うとどの階に出るのか」といった空間把握そのものがゲーム性になっており、自分のノートやメモが少しずつ完成していく過程に独特の満足感があります。短い通路が複雑に入り組んでいるのではなく、大部屋や長い廊下をうまく繋ぎ、地形ごとに“らしさ”を持たせているところも良い点です。例えば、整備ブロックなら機械的な四角い区画が並び、寮エリアは似たような部屋が連続する形で表現されているため、「この構造ならあの区画っぽい」と推測しながら歩いていく楽しさがあります。自分なりにショートカットを発見したときや、複雑だと感じていた階層の全体像が頭の中で繋がった瞬間は、「この学園都市を本当に把握しつつある」という達成感に繋がり、探索ゲームとしての良さが強く感じられるポイントです。
カスタマイズで変化する戦闘スタイル
機体の強化・改造がゲームプレイに大きな影響を与える点も、良かったところとして挙げられます。レベルアップによる数値上昇だけでなく、パーツ換装や強化によって「どんな戦い方をする機体にしたいか」を明確に描けるため、同じダンジョンを進んでいてもプレイヤーごとに戦闘の手触りが変わってきます。正面から殴り合う重装甲タイプに仕立てれば、一撃の重さと耐久力を活かしたじっくりとした戦いが楽しめ、逆に機動性に特化させれば、攻撃をかわしながら隙を突くヒット&アウェイ戦法が有効になります。プレイヤーが悩みながらパーツ構成を決め、それが実際の戦闘でうまく機能したときの喜びは大きく、「自分の選択が結果に繋がった」という実感が得られます。装甲や武装の強化が実際の数値だけでなく演出的にも反映されるため、「前よりも攻撃が通りやすくなった」「被弾しても余裕が出てきた」と変化を肌で感じやすいのもポイントです。こうしたカスタマイズ性は、クリアまでのモチベーション維持に大きく貢献しており、やり込み派のプレイヤーにとっては嬉しい要素になっています。
キャラクター描写と掛け合いの心地よさ
物語面では、主要キャラクターたちの掛け合いが全体の雰囲気を柔らかくしている点が好評です。ドジで前向きな主人公アヤ、冷静でリーダーシップのある生徒会長アスカ、技術面でアヤを支えるメカニックのユキエ、そして時に厳しく時に頼れる教官。それぞれの役割がはっきりしているうえ、性格的な個性も分かりやすいため、イベントシーンでは誰が何を言い出すのか自然と想像でき、会話劇としてのテンポも心地よく感じられます。紅白対抗戦という対立構造のなかでも、単純な敵対関係として描かれるのではなく、同じ学園で学ぶ仲間としての距離感や、互いを認め合う空気がイベントの端々に漂っており、ゲームを進めるほどにキャラクターへの愛着が増していきます。シリアスな展開の中にちょっとした冗談やズッコケ要素が差し込まれることで、重くなりすぎないバランスが取れているのも良い点で、プレイヤーは笑いと緊張感を行き来しながら物語を読み進めることができます。結果として、「このキャラクターたちの結末を見届けたい」という気持ちが、難度の高いダンジョンを突破するための大きな原動力になっているのです。
グラフィックやメカデザインに込められたこだわり
ビジュアル面でのこだわりも、当時のPCゲームとしては大きな魅力でした。制服や表情の描き分けが丁寧なキャラクターグラフィックはもちろん、ロボットのデザインにも、リアル志向とヒーロー志向が絶妙に混ざり合った個性が感じられます。量産機はシャープで実戦的なラインを持ち、守護神ロボはどこかクラシックなスーパーロボットの風格を漂わせるなど、メカデザインだけを見ても、メカ好きの心をくすぐるポイントが多く盛り込まれています。イベントCGでは、戦闘の結果やクリティカルな局面が視覚的に演出されるため、「物語が進んでいる」「学園都市が揺らいでいる」といったドラマ性が強く伝わってきます。さらに、爆風や損傷表現といった演出が戦闘の手応えを増幅させており、単に数値の増減を見るだけの戦闘よりも、プレイヤーの印象に残りやすいものとなっています。グラフィック全体から伝わる“90年代初頭のPCゲームらしい空気感”は、今振り返ると非常に味わい深く、レトロゲームを好むプレイヤーにとってはたまらない魅力の一つになっています。
章ごとの目標設定がもたらす達成感
物語をいくつかの章に区切り、それぞれに分かりやすい目標を設定している構成も、プレイ体験を良くしているポイントです。「この章ではどのエリアを攻略するのか」「誰と決着をつけるのか」といった目的が明示されているため、長時間プレイしていても“何をするべきか分からない”状態に陥りにくく、プレイヤーが自分でペースを作りやすくなっています。また、章の節目ごとに物語上の転機やイベントが用意されているため、章をクリアするごとに一つの山を越えたような達成感が得られるのも良い点です。これによって、難所で行き詰まる場面があっても、「次の章を見たいからもう少し頑張ろう」というモチベーションに繋がりやすく、ゲーム全体を通しての完走率を高める効果を生んでいます。細かく区切られた進行状況は、振り返りやすさという面でもメリットがあり、「どこまでストーリーが進んでいるか」「残りのクリスタルはいくつか」といった情報を感覚的に把握できるのも、プレイヤーにとっては安心材料です。
プレイヤーの工夫が直に反映されるゲームデザイン
ゲーム全体を通して言える“良かったところ”として、「プレイヤーが工夫した分だけ攻略が楽になる」という分かりやすい因果関係が挙げられます。マッピングに力を入れれば移動のロスが減り、危険なエリアをショートカットできるようになる。敵の出現パターンや相性を研究すれば、効率よく経験値や資金を稼げるようになる。装甲や機動力のバランスを試行錯誤すれば、自分のプレイスタイルに合った機体が出来上がり、戦闘での事故も減っていく――こうした「努力すればするほど報われる」ゲームデザインは、歯ごたえのあるRPGを好むプレイヤーにとって大きな魅力です。運だけに左右される理不尽な場面が少なく、失敗したときも「準備不足だった」「あのルートを選んだ自分の判断が甘かった」と納得しやすいため、再挑戦する意欲を保ちやすい構造になっています。これにより、難しいながらも“何度も挑みたくなる”ゲームとして、記憶に残る体験を提供してくれるのです。
レトロPCゲームとしての希少性と味わい
最後に、今日の視点から見たときの良さとして、「この時代だからこそ生まれた空気感」と「同種の作品がほとんどない希少性」が挙げられます。宇宙ステーション型女子校でロボット紅白戦を行う3DダンジョンRPGという発想自体がかなり独特で、同じ組み合わせのタイトルを探そうとしてもなかなか見つかりません。だからこそ、一度プレイすると強烈な印象を残し、年月が経っても「そういえばあんなゲームもあった」と思い出して語りたくなるのです。UIや操作性には時代相応の古さがあるものの、それも含めて“90年代初頭のPCゲームを遊んでいる”という感覚が味わえ、レトロゲームファンにとっては貴重な一作となっています。当時の技術とアイデアの限られた中で、これだけ異色の企画に本気で取り組み、しっかり遊べるレベルまで作り上げた開発陣の挑戦心が、今なお画面越しに伝わってくる――そこにこそ、『学園都市Z』という作品の一番の良さが宿っていると言えるでしょう。
■■■■ 悪かったところ
難易度カーブが急で、人を選ぶゲームバランス
『学園都市Z』で多くのプレイヤーがまず挙げる欠点は、「難易度の高さ」と「難易度カーブの急さ」です。序盤から雑魚敵の攻撃がそれなりに重く、レベルや装甲が整っていない状態で奥へ踏み込むと、あっという間に撃破されてしまうことも珍しくありません。ある程度3DダンジョンRPGに慣れたプレイヤーなら、「慎重に進めばいい」と割り切れますが、学園ものやロボット物語に惹かれて手に取ったライト層には、このハードさが壁として立ちはだかります。特に、序盤から中盤にかけての「一気に敵が強くなるポイント」が何度か存在し、そこで心が折れてしまう人も少なくありません。「もう少し緩やかに段階を踏んでくれれば…」と感じるプレイヤーにとって、難易度カーブの急激な跳ね上がりは、明確なマイナス要素と言えるでしょう。
マップの複雑さと移動量の多さによる疲労感
本格的な3DダンジョンRPGであることは長所である一方、それがそのまま短所にもなっています。通路や階段、エレベーターが縦横無尽に配置された学園都市のマップは、歯ごたえがある反面、移動にかかる時間と労力がかなりのものです。一度行ったエリアに再度向かう際も、長い道のりを延々と歩かなければならない場面が多く、「目的地が分かっているのに、そこへ辿り着くだけでひと苦労」という状況が頻発します。ショートカット的なルートや、拠点へ戻るための便利な仕組みがもう少し用意されていれば、移動による疲労感は軽減できたはずですが、本作ではプレイヤーのマッピング力と根気に大きく頼っている部分が目立ちます。探索そのものが好きな人にとってはやりがいのある構造ですが、「物語を味わいたい」「ロボットバトルを楽しみたい」という目的で遊ぶ人にとっては、移動そのものがストレス源になってしまうことも少なくありません。
ヒントや誘導の不足による“迷走時間”の長さ
ストーリーの進行やイベント発生条件に関しても、今の基準から見るとヒントが少なめです。誰に話しかければ次のイベントが起きるのか、どのエリアに向かえばストーリーが進むのかといった導線が、ゲーム中のテキストだけでは把握しづらい場面が多く、結果としてプレイヤーは学園中を手当たり次第に歩き回ることになりがちです。「どこかにヒントは出ているのだろうが、それが印象に残らない」「イベントのトリガーが分かりにくい」という感想が出てしまうのは、情報の出し方やログの仕組みが今ほど洗練されていないゆえでもあります。章ごとに目標は設定されているものの、その目標に到達するまでの道筋がプレイヤー任せになっているため、イベントを見つけられずに同じエリアを延々ウロウロしてしまう「迷走時間」が発生しがちです。この“迷っている間に疲れてしまう”感覚は、ゲームを途中で投げてしまう大きな要因のひとつになっています。
インターフェースや操作性の古さ
インターフェースや操作性も、時代を感じさせる部分が多く、これがプレイのしづらさに直結していると感じる人もいます。キーボード操作が前提であること自体は当時として普通ですが、メニュー階層が深かったり、よく使うコマンドに素早くアクセスしづらかったりと、「もう一歩痒いところに手が届かない」UI設計になっている場面が見受けられます。戦闘中のコマンド選択や、装備・改造画面での操作も、慣れるまでは目的の項目に辿り着くのに余計なキー入力を要求されるため、長時間プレイすればするほど疲れが溜まりやすくなります。現在の感覚からすると、「ショートカットキーがもう少し豊富なら…」「ステータスやログが一画面で見渡せれば…」と感じる瞬間が多く、ゲーム内容の良さに対して“操作の重さ”が足を引っ張っていると言わざるを得ません。
テンポを削ぐ戦闘の頻度と単調さ
戦闘自体はロボット同士のぶつかり合いとして演出され、演出面では一定の見応えがありますが、戦闘に遭遇する頻度と、一戦ごとのテンポという点では課題が残ります。3Dダンジョンを歩いていると、比較的短い間隔で敵とエンカウントし、そのたびにコマンド選択式の戦闘画面に切り替わるため、長時間探索していると「また戦闘か」と感じてしまうことがあります。敵のバリエーションや行動パターンも、ゲーム全体で見れば決して少ないわけではありませんが、一つ一つの戦闘が似たような展開になりがちで、“単調さ”を感じるプレイヤーもいるでしょう。特にレベル上げや資金稼ぎのために同じエリアを往復しているときは、戦闘の多さとテンポの重さが悪い意味で目立ち、「もっとサクサク進めたいのに足を止められる」とストレスに繋がってしまいます。戦闘の演出を少し簡略化したり、エンカウント率を抑える工夫があれば、探索と戦闘のバランスはより良くなっていたかもしれません。
アダルト要素とゲーム性のミスマッチ
本作はアダルトゲームとして発売されたタイトルであり、衣服の損傷表現など大人向けの演出も含まれていますが、その“売り”と骨太なゲーム性のバランスが必ずしも噛み合っているとは言い難い部分があります。アダルト要素を目当てに購入したプレイヤーにとっては、そこに至るまでに要求されるダンジョン攻略やレベル上げの負荷が高く、「肝心のシーンを見る前に力尽きた」と感じるケースも出てきます。一方で、RPGやロボットものとしての本格さに惹かれたプレイヤーからすると、「アダルト寄りの演出が物語の余韻を削いでしまう」と感じる場面もあり、どちらの層にとっても“片方が余計に思える瞬間”があるのは否めません。企画段階で、「美少女ゲームとしての売り」と「硬派なゲームデザイン」を両立させようとした結果、特徴的ではあるものの、人によってはちぐはぐさを覚える構造になってしまったと言えるでしょう。
情報整理の手段がプレイヤー任せになっている
ストーリーやゲーム進行に関わる情報が、ほとんどプレイヤーの記憶やメモに依存している点も、現代の視点から見ると欠点として挙げられます。誰がどのクリスタルを持っているのか、どの章でどのエリアを攻略したのか、どのキャラクターからどんなヒントを得たのか――といった重要な情報が、ゲーム内で一覧できる形で整理されていないため、プレイ間隔が空くと「何をしていたのか」「次にどこへ行くべきか」が分からなくなってしまいがちです。手書きのメモをきっちり残しておくタイプのプレイヤーであれば問題になりませんが、気軽に少しずつ遊びたい人にとっては、ゲームを再開するたびに思い出作業を強いられる構造は負担になります。もしも簡易的なクエストログや、これまでの出来事を振り返る要約機能があれば、ストーリーの濃さを保ったまま、遊びやすさを大きく改善できただろうと感じさせる部分です。
遊ぶ人を選ぶ“通好み”の作品であること
総じて言えば、『学園都市Z』の欠点は、「完成度が低い」というよりも、「ターゲットをかなり選ぶ作りになっている」という点に集約されます。3DダンジョンRPGとしての硬派さ、マッピング前提の迷路構造、アダルト要素とロボット・学園ドラマの同居といった特徴は、ハマる人にはたまらない魅力を持つ一方、ライト層からすると「なぜここまで難しくしてしまったのか」と疑問を抱かせる要素にもなっています。もう少し導線やヒントが丁寧であれば、より多くのプレイヤーに薦めやすい作品になっていたはずですが、その分“通好みのレアタイトル”というポジションを失っていたかもしれません。言い換えれば、本作の悪かったところは、そのまま「尖った魅力の裏返し」でもあり、そこをどう評価するかによって印象が大きく変わるゲームだと言えるでしょう。
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■ 好きなキャラクター
プレイヤーと一緒に成長していく主人公アヤ
『学園都市Z』で「一番好きなキャラは誰か?」という話題になったとき、多くのプレイヤーがまず名前を挙げるのが主人公のアヤです。彼女は決して最初から完璧なエースパイロットではなく、ロボット操縦に関しては人並み以下、訓練でも失敗ばかりという“ダメなところ”をたくさん抱えた女の子として描かれています。しかし、その不器用さこそが魅力であり、「自分には無理かもしれない」と弱音を吐きつつも、一歩ずつ前に進もうとする姿に共感したプレイヤーは多いでしょう。紅白対抗戦のルール変更により、ほぼ一人で白組1万人と戦うような立場に置かれながらも、生徒会長アスカやユキエの支えを受けて踏ん張る姿は、頼りない新入生から学園都市Zの“希望”へと成長していく過程そのものです。プレイヤーはアヤの視点で物語を体験するため、彼女が抱える不安や緊張、勝利したときの喜びをそのまま共有することになります。その意味で、アヤは単なる主人公ではなく、「プレイヤーの分身でありながら、一人のキャラクターとしても魅力的に描かれた存在」として、多くの人の心に残るヒロインとなっています。
カリスマ性と優しさを兼ね備えた生徒会長アスカ
クールで頼れるお姉さんタイプが好きなプレイヤーに刺さるのが、生徒会長のアスカです。紅組・白組をまとめる立場にありながら、単なる権力者ではなく、状況に応じて柔軟な判断を下すバランス感覚を持ったリーダーとして描かれています。食中毒騒ぎによって紅組が壊滅状態に陥った際、単に大会を中止にするのではなく、「白組から選出した5人にクリスタルを託し、紅組がそれを奪い取る」というルール変更を提案するあたりにも、彼女の冷静な判断力とフェアネスが表れています。 一方で、アヤに対する接し方には、厳しさと優しさが同居しています。実力不足を的確に指摘する反面、彼女を無理やり戦線に放り込むのではなく、「アヤだからこそ託したい」という信頼の一言を添えることで、プレイヤーにも納得感を与えてくれるのです。その絶妙な距離感は、単なる「完璧超人」ではなく、“欠けた部分を仲間に補ってもらいながら戦っているリーダー”としての人間味を感じさせ、プレイヤーにとっても頼れる存在でありながら、同時に親しみを抱けるキャラクターへと昇華しています。「アスカがいたから最後まで頑張れた」と感じるプレイヤーも少なくないでしょう。
メカニック・ユキエの支えと縁の下の力持ち的魅力
派手さはないものの、じわじわと人気を集めるのがメカニック担当のユキエです。彼女は直接ロボットに乗って戦うことはありませんが、アヤの搭乗機の整備やチューニングを一手に引き受ける重要なポジションにいます。プレイヤー視点から見れば、ユキエの存在はまさに「セーブポイントと強化メニューの中間」のようなもので、戦闘で傷ついた機体を修理し、新しいパーツを提案してくれる彼女の言葉は、そのまま攻略のヒントでもあります。 性格的にはややおっとりしたところもありつつ、メカのことになると急に饒舌になったり、思わず専門用語を並べ立ててしまったりと、技術屋らしい一面も垣間見えます。アヤが自分の未熟さに落ち込んでいるとき、ユキエは難しい理屈ではなく、メカニックの視点から「機体はまだ伸びしろだらけ」「データを見る限り、あなたは確実に上達している」と励ましてくれるため、プレイヤーにとっても心の拠り所のような存在になります。表舞台で輝くタイプではないものの、「いなければ絶対に困る人物」として、ユキエを推しキャラに挙げるプレイヤーは根強い人気を誇っています。
白組のライバルたち:敵であり、同じ学園の仲間でもある存在
対抗戦の相手となる白組の代表メンバーたちも、プレイヤーからの支持が高いキャラクター群です。彼女たちはクリスタルを託された強者として、物語上はアヤの前に立ちはだかる“ボス”的な役割を担っていますが、単純な悪役ではありません。同じ学園に通い、同じ授業を受け、同じステーションで生活している少女たちであり、それぞれが「自分なりの正義」や「プライド」を持って戦っています。 あるキャラクターは実力至上主義で、紅組の弱体化を理由に対抗戦そのものの意義を疑いますし、別のキャラクターは学園の伝統を重視し、「どんな形であれ紅白戦は続けるべきだ」と主張します。こうした価値観の違いが、アヤとの対決や会話イベントを通じて浮き彫りになっていくため、戦闘前後の短い会話だけでも、それぞれの人間性や背景が感じられるのです。戦闘を重ねていくうちに、「最初は苦手だったけれど、話してみると意外に良い人だった」「敵同士なのに、どこか友情のようなものを感じてしまう」といった印象に変わっていくキャラクターも多く、ラスボスよりもむしろ特定のライバルのことを一番好きなキャラとして挙げるファンもいます。
滝沢先生ほか、大人キャラクターのスパイス
生徒たちを見守る大人側のキャラクターも、作品全体の雰囲気を形作る重要な味付けとして機能しています。なかでも滝沢先生は、熱血漢タイプの教官としてアヤたちを指導し、ときに厳しく、ときに頼れるアドバイザーとして立ち回ります。彼の存在があることで、単なる“女子校の青春物語”に留まらず、「軍事訓練に近いロボット操縦教育」という側面がさりげなく強調され、作品の世界観に重みが増しています。 また、学園運営側の人物やステーションの管理者といった脇役キャラクターも、イベントを通じて顔を出し、「宇宙ステーションとしての学園都市Zがどのような理念で運営されているのか」「外部との関係はどうなっているのか」といった背景をほのめかします。プレイヤーの間では、「この大人キャラが好き」「この先生のキャラが妙にツボに入る」といった話題もあり、決してヒロインたちだけが人気を独占しているわけではありません。全体として、大人キャラは作品に“現実感”を与えつつ、物語を引き締める役割を担っており、その存在を評価する声も多く聞かれます。
プレイヤーごとに違う“推しキャラ”が生まれる構造
『学園都市Z』の面白いところは、「誰がメインヒロインか」が明確に一人に絞られていない点です。もちろん物語の中心にいるのはアヤですが、彼女だけを強く押し出すのではなく、アスカやユキエ、白組のライバルたちにも、それぞれスポットライトが当たるイベントや見せ場が用意されています。その結果、プレイヤーごとに「推しキャラ」が分かれやすく、感想を語り合う場では「自分はアスカ派」「いや、ユキエの支えがあってこそのアヤだろう」「白組のあの子こそ一番のヒロイン」といった議論が自然に生まれます。 このように、キャラクター同士の関係性が網の目のように広がっているため、誰か一人を主役とするというより、「学園都市Zというコミュニティ全体が主人公」と言ってもいい構図になっているのです。好きなキャラクターを軸に物語を追いかけると、同じシーンでも受け取り方が変わるため、2周目・3周目のプレイでは「別の視点から物語を眺める」楽しみ方もできます。お気に入りのキャラのセリフやイベントをメモしておき、自分なりの解釈を加えて楽しむプレイヤーもおり、キャラクターの多様さと人間味の深さは、本作の大きな魅力であり、長く語り継がれる要因となっています。
キャラクター人気がゲームプレイのモチベーションになる
最終的に、『学園都市Z』における“好きなキャラクター”の存在は、そのまま攻略のモチベーションに直結します。難易度が高く、迷いやすいダンジョンを前にしても、「アヤたちの結末を見届けたい」「あのライバルとの決着を自分の手でつけたい」という気持ちが、プレイヤーの背中を押してくれるのです。単にステータスが強いから頼もしい、というだけではなく、「このキャラが好きだから頑張れる」「この会話の続きが見たいからもう一戦だけ挑もう」と思わせる力を各キャラクターが持っていることが、本作のキャラ人気の根底にあります。 特に、ストーリー終盤にかけては、それまで積み重ねてきた関係性が一気に凝縮されるような展開も用意されており、好きなキャラクターが多いほど、エンディングに込められた感情の振れ幅も大きくなります。こうした“キャラ愛”に支えられたゲーム体験は、クリア後も長く記憶に残り、「あのキャラたちのいる学園都市に、もう一度帰りたい」と思わせてくれることでしょう。
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●対応パソコンによる違いなど
PC-9801版:国民機向けにまとめられた“標準形”の学園都市Z
PC-9801版『学園都市Z』は、当時のPCゲーム市場の主流ハードであるPC-9800シリーズをターゲットにした、いわば“標準形”のバージョンです。表示解像度はPC-98らしい640×400ドット、16色表示を前提にグラフィックが設計されており、色数こそ限られているものの、ドット打ちの密度や陰影の付け方で情報量を稼ぐタイプの画面構成になっています。メインビジュアルやイベントCGも、比較的落ち着いた色合いでまとめられていて、明暗差をしっかり付けることでキャラクターの輪郭や表情を読み取りやすくしているのが特徴です。 メディアは5インチFD3枚組(TAKERU配信向けパッケージ)で、価格は6800円前後という、当時のPC-98向け18禁RPGとしては標準的なレンジに設定されていました。PCショップ店頭だけでなく、書き込み式販売システム「TAKERU」での流通も行われていたため、地方在住のユーザーでも比較的入手しやすかったというのは、PC-98版ならではの事情と言えるでしょう。 サウンド面では、PC-98らしくFM音源+PSGを前提としたBGM構成で、落ち着いたシンセサウンドに、金属的な効果音が重なる“いかにもPC-98”な鳴り方をします。操作体系はキーボード中心で、テンキーによる3D移動、ファンクションキーやショートカットキーによるメニュー操作など、当時のRPGに慣れているプレイヤーには違和感のない作りです。総じて、PC-9801版は「当時の日本のPCゲームユーザーが最も触れる機会の多かったベースライン」として位置づけられるバージョンだと言えるでしょう。
X68000版:高解像度グラフィックとリッチなサウンドで楽しむハイエンド版
一方のX68000版『学園都市Z』は、“グラフィックとサウンドに強い”X68000というハードウェアの特性を活かした、ややマニア向けのハイエンド版という位置づけになります。発売元のクレジットもPC-98版がストライカー単独であるのに対し、X68000版はブラザー工業発売・ストライカー開発という形を取っており、パッケージのロゴや表記も微妙に異なります。 X68000は256色表示や高解像度モードに強みを持つマシンであり、本作でもキャラクターの肌のグラデーションや髪の色の階調、ロボットの金属光沢などがPC-98版よりも滑らかに表現されています。メディアは5インチ2HDのフロッピー3枚組構成で、価格はおおよそ5800円と、PC-98版よりやや抑えめの設定になっているのもユニークなポイントです。 また、サウンド面ではX68000のFM音源+ADPCM環境を活かし、ドラムや効果音の“ノリ”が良く、オープニングや戦闘シーンの迫力が一段増した印象を受けます。BGM自体のメロディラインはPC-98版と共通ですが、音色のリッチさやステレオ感が増すことで、同じ曲でも受ける印象がかなり変わって聞こえるのがX68000版の魅力です。
グラフィック表現の違い:落ち着いたPC-98版と鮮やかなX68000版
グラフィック面の違いをもう少し掘り下げると、PC-98版は16色パレットの制約を前提に「どの場面でも情報を読み取りやすい画面作り」を重視しているのに対し、X68000版は色数の余裕を活かして「雰囲気や光のニュアンスまで込みで画作りをする」方向に振っているのが大きな違いです。 PC-98版では、キャラクター立ち絵の輪郭線がやや太めで、影の付け方もはっきりしているため、640×400ドットの解像度でも表情の変化やポーズの違いが読み取りやすくなっています。背景も、色数が少ない中でコントラストを強くして、教室・整備室・廊下といったシチュエーションを判別しやすくしているのが特徴です。 これに対してX68000版は、輪郭線がやや細くなり、肌や服の陰影が滑らかなグラデーションで表現されることで、全体的に“アニメ寄り”の印象が強くなっています。ロボットの装甲部分も、単色ベタ塗りに近いPC-98版と比べて、色を段階的に変えながら光沢や立体感を表現しており、メカ好きにはたまらない描画になっています。宇宙ステーション外観や窓の外の星空なども、X68000版では細かな点光源として星が配置されており、背景としての説得力が増しているのも見どころでしょう。 ただし、3Dダンジョン部分の画面構成自体は両機種でほぼ共通で、壁や通路のパターンにも大きな差はありません。違いが出やすいのは、イベントCGや立ち絵といった“見せ場”であり、そこにどこまでこだわったかの違いが、機種ごとの印象を分けていると言えます。
サウンドの違い:同じ曲でも印象が変わるPC-98版とX68000版
BGMや効果音についても、作曲データ自体は共通しつつ、鳴らし方や音源の違いによって機種ごとにかなり違った印象になっています。PC-98版はOPN系FM音源とPSGを組み合わせた、やや硬質で直線的なサウンドが中心で、シンセブラスやリードに存在感があり、ベースラインも「いかにもFM音源」といった太さを持っています。 一方X68000版では、同じフレーズでもドラムやパーカションにADPCMを用いることで、ビートに迫力が増し、学園行事の高揚感やロボットバトルの緊張感がよりダイレクトに伝わる鳴り方になります。特にオープニングデモやボス戦のBGMは、X68000版ならではの音圧で鳴るため、「サントラ的な楽しみ方をしたいならX68000版」という声もあるほどです。 効果音に関しても、PC-98版は比較的シンプルなビープ音に近いSEが多いのに対し、X68000版は爆発音やビーム発射音などが厚みのある音に差し替えられており、戦闘シーンでの没入感を高めています。どちらが優れているというより、「PC-98版は懐かしさと落ち着き」「X68000版は迫力と臨場感」といった具合に方向性の違いとして楽しめるポイントです。
操作性・レスポンスの違い:環境によって微妙に変わる手触り
操作性そのものは、両機種ともにキーボード主体のインターフェースで設計されており、コマンド選択や移動方法など、画面上でできることに大きな差はありません。ただし、実行環境の差から、プレイヤーが感じる“レスポンスの良さ”には若干の違いが出てきます。 PC-98版は、機種やメモリ構成によって読み込み速度や画面描画のテンポが変わることがあり、イベントCGの切り替えや戦闘前後のロードで一息入る感覚が出やすい傾向があります。一方、X68000版は高速なグラフィック機能とディスクアクセス速度を活かし、同じ処理でも切り替えが比較的スムーズに感じられることが多く、テンポ良く遊びたいプレイヤーには好まれました。 また、キーアサインやメニュー表示の細部に、機種ごとの調整が入っている場合もあります。例えば、X68000版では画面レイアウトの都合でステータス表示やメッセージウィンドウの位置が微妙に異なり、同じ情報でも“どこを見れば良いか”が直感的に掴みやすくなっているケースがあります。こうした差は一つ一つは小さいものの、長時間プレイすると“なんとなく遊びやすい”という印象の違いとして積み重なっていきます。
パッケージ・流通経路の違い:PC-98はTAKERU色、X68000はブラザー色
流通やパッケージ面での違いも見逃せないポイントです。PC-98版『学園都市Z』は、前述のとおりディスクライター「TAKERU」での配信が行われており、実パッケージよりも“書き出しソフト”としての印象が強いという、やや特殊な立ち位置にあります。TAKERU向けタイトルは、厚手の箱ではなく簡易パッケージやリーフレット形式の場合も多く、「棚にズラリと箱が並んでいる」タイプのコレクション性より、“中身重視”の流通形態だったと言えるでしょう。 一方、X68000版はブラザー工業発売ということもあって、一般的な市販パッケージソフトとして店頭に並んでいたケースが多く、箱やマニュアルにもX68000ユーザー向けのデザインが施されています。同じ『学園都市Z』でも、「PC-98版は地元のTAKERUで書き出した」「X68000版は箱入りを買った」といった思い出の違いが生まれやすく、後年の中古市場でも、機種ごとのパッケージの差を楽しむコレクターが見られます。
どちらを選ぶべきか:当時と現在で変わるオススメの基準
では、「PC-9801版とX68000版のどちらがオススメか?」という問いにどう答えるべきかを、当時の視点と現在の視点に分けて考えてみましょう。 発売当時の視点では、PC-98ユーザーにとっては“自分のマシンで遊べるかどうか”が最優先事項であり、所有ハードに合わせて自然に選択が決まる状況でした。そのうえで、より多くのユーザーがいたのはPC-98側であり、友人同士で情報交換したり貸し借りしたりしやすかったことを考えると、「攻略情報を集めながら遊びたいならPC-98版」「映像と音重視で一人でじっくり浸りたいならX68000版」という住み分けがなされていたと考えられます。 現在、エミュレーション環境も含めて振り返る場合は、「どちらがオリジナルに近いか」というよりも、「どんな雰囲気でプレイしたいか」が選択の基準になるでしょう。PC-98版は、16色グラフィックとFM音源の組み合わせが生み出す“いかにも国民機PCゲーム”という味わいが強く、当時のPCゲーム文化を感じたい人にはピッタリです。一方X68000版は、同じストーリー・同じゲームシステムでありながら、グラフィックとサウンドのリッチさのおかげで、よりアニメ寄りの作品として楽しめる側面があり、「ロボットものとしての没入感を重視したい人」や「X68000のAV性能を存分に味わいたい人」に向いています。 いずれにせよ、どちらの機種版も『学園都市Z』という作品の根幹部分――宇宙ステーション型女子校を舞台にしたロボット紅白戦RPG――はしっかり共通しており、違いは“発色のニュアンス”“音の鳴り方”“ロード感覚”といったプレイフィールの領域に収まっています。だからこそ、二つのバージョンをプレイし比べて、「同じゲームがハードによってこうも印象を変えるのか」を体感するのも、レトロPCゲームならではの楽しみ方と言えるでしょう。
[game-10]
●同時期に発売されたゲームなど
★プリンセスメーカー(ガイナックス)
ゲーム名(ゲーム名の前に★を付けて):★プリンセスメーカー ・販売会社:ガイナックス/ゼネラルプロダクツ ・販売された年:1991年(PC-9801版は1991年5月24日発売) ・販売価格:14,800円(税別/PC-9801版) ・具体的なゲーム内容: のちの育成シミュレーションブームを決定づけたとも言われるのが、この『プリンセスメーカー』です。プレイヤーは天界から地上に預けられた一人の少女の「父親」となり、8年間にわたって彼女を育て上げます。舞台は中世風のファンタジー世界で、少女に学校へ通わせたり、アルバイトをさせたり、武術や魔法を学ばせたりしながら、最終的にどのような大人へと成長させるかを見守る内容です。ステータス値だけでなく、ストレスやモラル、疲労度などのパラメータ管理も重要で、無理をさせ過ぎると体調を崩すこともあり、「子育てシミュレーション」としてのリアリティが漂っています。 プレイヤーの与える教育方針や日常スケジュールによって、王女や騎士、画家、さらには思わぬ方向の職業に就くこともあり、多数のエンディングが用意されているのが本作最大の魅力です。イベントでは父娘の会話シーンも豊富で、少女が反抗的になったり、甘えん坊になったりと、育て方次第で性格も変化していきます。ガイナックスらしい緻密なドット絵とアニメ調のキャラクターデザイン、そしてPC-9801ならではのFM音源を活かしたBGMが組み合わさり、当時のユーザーに強烈な印象を与えました。 また本作は、当時としては珍しい「子育て×ロールプレイ」のゲームデザインを前面に押し出し、「プレイヤー自身の価値観がエンディングに反映される」体験を提示したタイトルとしても語り継がれています。シミュレーションとしての遊びごたえと、少女の成長を見守るドラマ性が両立した、1991年前後のPCゲームを象徴する一本です。
★ロードモナーク(日本ファルコム)
ゲーム名:★ロードモナーク ・販売会社:日本ファルコム ・販売された年:1991年(PC-9801版は1991年3月21日発売) ・販売価格:9,800円(税別/PC-9801版標準価格) ・具体的なゲーム内容: 『ロードモナーク』は、ドラゴンスレイヤー系列に連なるリアルタイム陣取りシミュレーションで、ファルコムがPC-98専用タイトルへ本格参入した時期を象徴する作品です。プレイヤーは一国の君主となり、自領の兵士を送り出して周辺諸国を制圧していきます。マップ上には自国を含む複数の勢力がひしめき合い、時間の経過とともに兵士が自動的に生産され続けるため、状況の変化に即応しながら指示を出すスピード感が特徴です。 兵士を送り出す方向や数を調整するだけというシンプルなインターフェイスでありながら、補給線の維持や、敵同士をうまく争わせて漁夫の利を狙うなど、実際の駆け引きはかなり奥深く作られています。各ステージごとに地形や中立モンスターの配置が異なり、同じ難易度でも攻略パターンが大きく変わるため、何度もリトライして最適解を探す楽しさがあります。 また、本作は「ゲームスピードの調整」や「ルールのバリエーション」といった遊びやすさにも配慮されており、短時間でサクッと1マップを遊ぶことも、じっくり高難度マップに挑むことも可能です。PC-9801版では高解像度のドット絵とFM音源BGMが、戦況の変化を軽快に彩り、後に家庭用機にも移植されるほどの人気シリーズへと発展しました。1991年前後のPCユーザーにとって、「ファルコム流リアルタイムSLG」として記憶に残る代表作です。
★SUPER バトルスキンパニック(ガイナックス)
ゲーム名:★SUPER バトルスキンパニック ・販売会社:ガイナックス ・販売された年:1991年(PC-9801版は1991年2月8日発売) ・販売価格:9,800円前後(税別/PC-9801版の定価帯) ・具体的なゲーム内容: 『SUPER バトルスキンパニック』は、ガイナックスらしいギャグとパロディに満ちたアドベンチャー+カードバトルゲームです。プレイヤーは主人公の少年となり、ペルーからやってきた謎の少女・坂東ミミと共に、「裸神活殺拳」の継承者を狙う刺客たちと対決していきます。物語パートではコミカルな会話劇がテンポよく展開し、要所でカードバトルに突入する構成になっています。 カードバトル部分はターン制で進行し、攻撃力や防御力、特殊効果の異なるカードを組み合わせながら相手の体力を削り取っていきます。本作を象徴するのが、「服が減るほど攻撃力が上がる」という一風変わったシステムで、アダルト要素とゲーム性をリンクさせた仕掛けとして話題になりました。ただし、脱ぎ過ぎると羞恥心が高まり戦えなくなるというペナルティもあり、リスクとリターンのバランスを考えたプレイが求められます。 全体としては明るいお色気コメディのノリで、ハードな描写よりもバカバカしさや勢いを楽しませる方向性の作品です。カードバトル用のドット絵演出やテンポの良いBGMも相まって、「当時のPCアダルトゲームらしい自由な発想」と「ゲームとしての遊びごたえ」を兼ね備えた一本として、1991年前後のラインナップの中でも個性が際立っています。
★Thanatos -サナトス-(バーディーソフト)
ゲーム名:★Thanatos -サナトス- ・販売会社:バーディーソフト ・販売された年:1991年(PC-9801版・1991年3月発売) ・販売価格:7,480円(PC-9801版定価) ・具体的なゲーム内容: 『サナトス』は、バーディーソフトらしい退廃的な世界観とミステリアスなストーリーが特徴のアドベンチャーゲームです。タイトルが示す通り「死」を想起させるモチーフが随所に散りばめられており、プレイヤーは陰謀と怪事件が渦巻く都市を舞台に、真相を追いかけることになります。ゲームはコマンド選択式ADVがベースで、キャラクターとの会話や場所の探索を通じて少しずつ真相へと近づいていく構成です。 本作の魅力は、明るく爽快な作品が多かった当時のPCゲームの中で、あえてダークな雰囲気を前面に押し出している点にあります。CGは陰影を強調した描き込みがなされており、PC-9801の高解像度画面を活かしたビジュアルは、プレイヤーの想像力を刺激します。アダルト要素も含まれていますが、物語全体のトーンはサスペンス色が強く、「救いの少ない物語を読み解く」タイプのADVとして印象に残るタイトルです。 選択肢によって物語の展開が変化したり、探索の順番によって得られる情報が変わるなど、攻略の自由度も比較的高く、プレイヤーの行動がストーリーに反映される感覚を味わえます。1991年前後のPC-98アドベンチャーの中でも、「大人向けサイコ・サスペンス」を志向した一本として挙げられることが多い作品です。
★今どき純情物語(ALLOT)
ゲーム名:★今どき純情物語 ・販売会社:ALLOT(アロット) ・販売された年:1991年(PC-9801版は1991年4月25日発売) ・販売価格:7,480円(PC-9801版定価) ・具体的なゲーム内容: 『今どき純情物語』は、タイトルが示すように「現代の恋愛模様」をテーマにしたアドベンチャーゲームです。舞台は当時の日本らしい日常的な街並みや学校、喫茶店などで、プレイヤーは少し不器用ながらも真っ直ぐな青年となり、さまざまな女性キャラクターとの関わりを通して物語を進めていきます。華やかなSFやファンタジーとは異なり、「等身大の恋愛」と「ちょっとした騒動」を描く作風が特徴です。 ゲームはコマンド選択型のADVスタイルで進行し、誰とどのタイミングで会話するか、どのイベントを優先的にこなすかによって、その後の展開やエンディングが変化します。ヒロインたちの性格も、元気な幼なじみタイプから、ちょっとミステリアスな年上女性まで幅広く、プレイヤーの好みに応じたルートを探す楽しみがあります。アダルト要素も含まれますが、全体的なトーンは軽妙で、青春ストーリー寄りの雰囲気が強い作品です。 当時のPC-98環境らしく、ビジュアルは640×400ドットの高解像度グラフィックで描かれ、ファッションや背景の描写からも1990年代初頭の空気が伝わってきます。学園都市Zと同じ1991年のタイトルとして、「SFロボット物」と「現代恋愛物」という対照的な方向性を体験し比べるのも、レトロPCファンにとっての楽しみ方のひとつでしょう。
★ELLE(エルフ)
ゲーム名:★ELLE(エル) ・販売会社:エルフ ・販売された年:1991年(PC-98版は1991年6月13日発売) ・販売価格:当時のPC-98向けアドベンチャーとして標準的な1万円前後の価格帯 ・具体的なゲーム内容: エルフの『ELLE』は、のちに名を馳せる同社の作風を決定づけたSFアダルトアドベンチャーです。舞台は近未来の地球で、プレイヤーは巨大企業や謎の犯罪組織が暗躍する世界に巻き込まれた主人公となり、ヒロイン「エル」との出会いをきっかけに巨大な陰謀へと立ち向かっていきます。コマンド選択式ADVをベースにしながらも、緻密なシナリオとSF的なガジェット描写が高く評価されました。 特徴的なのは、単なる恋愛物やライトなお色気ものではなく、「物語性の強いSFドラマ」として構成されている点です。ストーリーは章立てで進行し、主人公の行動によって状況が少しずつ変化していきます。アダルトシーンも含まれますが、それらはあくまでキャラクター同士の関係性を強調する役割を担っており、全体としてはサスペンスとドラマに重点が置かれています。 グラフィック面でもPC-9801の表現力をフルに活かしており、ダークな都市風景やメカニカルな施設内部などが高解像度で描き込まれています。BGMもFM音源らしい厚みのあるサウンドで、緊迫した場面や静かな会話シーンを効果的に演出します。1991年のPC-98アドベンチャーの中で、「ストーリー重視の大人向けタイトル」を語るうえで欠かせない一本です。
★クリスタルチェイサー〜天空の魔晶球〜(ウルフチーム)
ゲーム名:★クリスタルチェイサー〜天空の魔晶球〜 ・販売会社:ウルフチーム(発売:1991年6月15日/PC-9801) ・販売価格:当時は一般的なパッケージ価格帯(1万円前後) ・具体的なゲーム内容: 『クリスタルチェイサー〜天空の魔晶球〜』は、和風ファンタジーの世界観をベースにしたコマンド選択式アドベンチャーです。プレイヤーは主人公・鷹之進となり、謎の宝玉「魔晶球」を巡ってさまざまな勢力が暗躍する世界で旅を続けます。和装のキャラクターや神社仏閣風の背景、妖怪風の敵キャラクターなど、ファンタジーでありながら日本的なモチーフがふんだんに取り入れられているのが特徴です。 ゲーム本編は章仕立てで進行し、各章ごとに事件が発生、それを解決していく中で世界の大きな謎が少しずつ明らかになっていきます。コマンド選択式の操作系は分かりやすく、ADVに慣れていないプレイヤーでも迷わず遊べる作りです。一方で、どのタイミングでどの場所を調べるか、誰に話しかけるかによって微妙にイベントの発生順が変わるなど、ADVらしい試行錯誤の楽しさも盛り込まれています。 ビジュアル面では、和風ファンタジーらしい色彩豊かなCGと、ウルフチームらしい勢いのある演出が魅力です。近年ではリファイン版が配信されるなど、1991年のPC-98タイトルの中でも根強い人気を保っており、『学園都市Z』と同年に発売されたADVとして比較されることも多い作品です。
★電脳学園IV エイプハンターJ(ガイナックス)
ゲーム名:★電脳学園IV エイプハンターJ ・販売会社:ガイナックス ・販売された年:1991年(PC-9801版は1991年7月20日発売) ・販売価格:10,780円(PC-9801版定価/税込表記) ・具体的なゲーム内容: 『電脳学園IV エイプハンターJ』は、ガイナックスが手がけた人気シリーズ「電脳学園」の第4作で、クイズ+アドベンチャー要素を組み合わせた作品です。プレイヤーは近未来の学園世界で「猿害」を巡る事件に立ち向かうこととなり、個性的なヒロインたちと共に謎解きに挑みます。世界観はSFタッチながらもコミカルで、シリーズ特有のメタなギャグやパロディも健在です。 ゲームシステムとしては、ADVパートでキャラクターとの会話や移動を行い、要所でクイズに答えることでストーリーが進行します。クイズの内容は一般常識からサブカルチャー寄りのものまで幅広く、当時の時代背景を色濃く反映しています。正解を重ねることでキャラクターとの親密度が変化したり、イベントの解放条件に関わったりと、クイズが単なる「おまけ」になっていない点もポイントです。 PC-9801ならではの高解像度グラフィックで描かれるヒロインたちは魅力的で、シリーズファンだけでなく、クイズゲーム好きや学園SFものが好きなユーザーにも支持されました。『学園都市Z』と同じ「学園+SF」の空気を持ちながら、こちらはクイズ寄りのゲーム性ということで、遊び比べると1991年前後のPCゲームデザインの幅広さが実感できるでしょう。
★ルーンワース3 神聖紀光臨(T&E SOFT)
ゲーム名:★ルーンワース3 神聖紀光臨 ・販売会社:T&E SOFT ・販売された年:1991年(PC-9801版は1991年7月25日発売)・販売価格:6,800円(税別/標準価格) ・具体的なゲーム内容: 『ルーンワース3 神聖紀光臨』は、アクティブRPGとして人気を博した「ルーンワース」シリーズの第3作です。プレイヤーはファンタジー世界の冒険者となり、かつて封じられた“神聖紀”の力にまつわる事件に巻き込まれていきます。マップ上をリアルタイムで移動し、敵と遭遇するとそのままアクション性のある戦闘が始まるスタイルで、RPGでありながらアクションゲームの爽快感も味わえるのが特徴です。 PC-9801版では高解像度のフィールドマップとキャラクターグラフィックが組み合わさり、当時としてはかなりリッチなビジュアル体験を提供しました。FM音源対応のBGMは、T&E SOFTらしい耳に残るメロディで、ダンジョンやボス戦などシーンごとに雰囲気を盛り上げます。物語はシリアスなファンタジー路線ですが、仲間キャラクターとの会話やサブイベントも用意されており、単に戦闘を繰り返すだけでなく、世界観を味わう楽しみも重視されています。 シリーズ経験者にとってはシステムの進化を感じられる一方で、本作からプレイしても十分に楽しめるよう配慮されており、「PC-98で本格RPGを遊んでみたい」というユーザーに選ばれたタイトルのひとつです。『学園都市Z』のようなダンジョンRPGを遊んだあとに、本作のアクティブRPGを体験すると、同じ時期のPCゲームでも戦闘表現が多様だったことがよくわかります。
★ナイキ(カクテル・ソフト)
ゲーム名:★ナイキ(NIKE) ・販売会社:カクテル・ソフト ・販売された年:1991年(PC-9801版は1991年7月12日発売) ・販売価格:当時のアダルトADVとして一般的な1万円前後の価格帯 ・具体的なゲーム内容: 『ナイキ(NIKE)』は、カクテル・ソフトが1991年にPC-98向けに発売したアダルトアドベンチャーで、同年のPCアダルトゲームシーンを語るうえで欠かせない一本とされています。物語はスポーツやファッションといった当時のトレンド要素を織り込みつつ、個性的なヒロインたちとの恋愛劇が展開される内容で、派手な設定よりもキャラクター同士の関係性に重きを置いた構成になっています。ゲームシステムはコマンド選択式のAVGで、場所移動や会話、調査などのコマンドを選びながらストーリーを進めます。日常的なイベントと少し踏み込んだドラマがバランスよく配されており、単なるお色気目的ではなく「ちゃんとシナリオを楽しませる」方向性を志向している点が、当時のユーザーからも支持されました。アダルトシーンも用意されていますが、全体としては軽快な会話やコミカルな場面も多く、ポップな雰囲気の恋愛ADVに近い感覚で楽しめます。 PC-9801の高解像度グラフィックによるキャラクターCGは、ファッション性の高い衣装や表情の変化などが丁寧に描かれており、後のカクテル・ソフト作品へと続く「ビジュアル重視」の路線の一端を感じさせます。『学園都市Z』と同じ1991年のPC-98タイトルとして、ロボット×学園SFという路線とは全く異なる「スタイリッシュな恋愛ADV」の代表例として挙げられる作品です。
――以上の10本はいずれも1991年前後にPC-9801向けに発売されたタイトルで、『学園都市Z』と同時期のPCゲームシーンがいかに多彩であったかを示す代表作と言えます。育成SLG、リアルタイムSLG、学園SF、和風ADV、アクティブRPG、恋愛ADVとジャンルも幅広く、『学園都市Z』を中心に当時のラインナップを俯瞰してみることで、その時代のPCゲーム文化をより立体的に捉えることができるでしょう。
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