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【発売】:ボーステック
【対応パソコン】:PC-8801、PC-9801、MSX2、FM TOWNS、X68000
【発売日】:1990年
【ジャンル】:シミュレーションゲーム
■ 概要
●作品の立ち位置(「II」の“完成版”としてのDX)
『銀河英雄伝説II DX』は、田中芳樹のSF小説シリーズを題材にしたPC向けウォー・シミュレーション『銀河英雄伝説II』系統の“拡張・強化版”として語られる一本です。基本となるのは艦隊戦と国家運営を軸にした大局的なシミュレーションで、プレイヤーは銀河帝国と自由惑星同盟がぶつかり合う大戦略の流れを、艦隊の編成・移動・会戦の決断を通して自分の手で組み替えていきます。「DX」という呼び名が示すとおり、単なる移植やマイナーチェンジではなく、同系統タイトル(およびベースとなるII)に対して“遊びの骨格を保ったまま、シナリオとプログラムを増補して手触りを整える”方向で価値が作られた版だと整理できます。実際に資料上でも、シナリオ/プログラムの拡張版であり、BGMにクラシック楽曲が追加収録された旨が記されています。
●発売年・対応機種・媒体から見える「当時の欲張りさ」
1990年にボーステックから展開された本作は、同時代の国産PCシーンを象徴するように、複数プラットフォームへ広く顔を出しているのが特徴です。PC-9801系、PC-8801系、MSX2、X68000、FM TOWNSといった当時の主要機種ラインをカバーし、媒体も5インチ2HD/3.5インチ2HDフロッピーディスクやCD-ROMが併記されるなど、ハードごとの“現実的な流通”に合わせて姿を変えています。 また、資料・流通の側面では「DXセット」「DXキット」といった形で、ベース作品に追加要素を上乗せする売り方が確認でき、同名でも提供形態が一枚岩ではないことが分かります(セット品として扱われる例、追加キットとして扱われる例がある)。
●必要環境が語る“90年代初頭の標準設計”
動作条件としてはRAM640KB以上、フロッピーディスク2ドライブといった記述が見られ、メモリもストレージも「やりくり」が前提の時代設計です。 この制約は、ゲーム内容そのものにも影響します。たとえば会戦の演出を過度に派手にしすぎず、情報の提示は“必要なものを過不足なく”寄せていく方向になりやすい。結果として、派手さよりも「戦況を読み、次の一手を決める」ことに集中できる作りへ寄っていきます。DX版が目指す“遊びやすさの底上げ”も、ここに噛み合います。増補された要素を盛りすぎて重くするのではなく、限られた環境でストレスを減らし、判断の快感を太くする——その調整こそが、当時のDX的アプローチの美点です。
●サウンド周り:FM音源とMIDIの「選べる贅沢」
本作はBGM/SEがFM音源に加えMIDIにも対応し、対応音源としてローランドMT-32/CM-32L/CM-64が挙げられています。 ここが面白いのは、音が単なる“飾り”ではなく、長時間プレイを支える設計要素として扱われている点です。戦略シミュレーションは、操作の派手さよりも「考える時間」が長いジャンルです。だからこそ、耳に残る旋律や、緊張と緩和の波を作るBGMが、プレイヤーの集中を持続させます。DXでクラシック楽曲が追加されたという情報も、華やかさのためというより「戦史を読むような重厚さ」「英雄譚の気配」を、音のレイヤーで補強する意図として自然に理解できます。
●ゲーム内容の核:艦隊戦×人物×国家、の三層を行き来する
『銀河英雄伝説』題材のゲームが映えるのは、宇宙戦争が“数字の殴り合い”だけで終わらないところにあります。艦艇や兵力の差だけでなく、指揮官の能力、陣営の事情、作戦の噛み合わせが勝敗を変える。つまりプレイヤーは、 – どこをどう進攻するか(国家・戦域の大局) – どの艦隊を動かすか(運用の設計) – 誰に任せ、誰を温存するか(人物の運用) という三層の意思決定を、同じターンの中で往復し続けることになります。ここで効いてくるのが「判断の密度」です。DXが“拡張”を名乗る場合、単にマップやイベントが増えるだけでは足りません。判断の場面が増えるほど、UIの手間やテンポの悪さがプレイ体験を削るからです。だからDX的な価値は、「増やしたのに、重く感じにくい」「やることが増えたのに、迷子になりにくい」という形で現れます。
●DXで“増える”ことの意味:物量ではなく、再現度と遊びの幅
資料上で示されるDXのポイントは、シナリオ/プログラムの拡張、そしてクラシックBGMの追加です。 これをプレイ感の言葉に置き換えるなら、DXは「同じ歴史(銀河の戦史)を、もう少し別の角度から体験できるようにする」方向の強化だと捉えられます。たとえば、同じ会戦でも登場タイミングや前提状況が違えば、求められる戦術は変わります。さらに、拡張が“プログラム”にも触れている以上、内部の処理(思考ルーチン、コマンドの流れ、情報の出し方、戦闘解決の納得感)に手が入る余地がある。結果として、単純な追加ではなく「史実(原作的な流れ)っぽい展開に寄る」「逆にIFの自由度が増す」といった、遊びの質そのものへ影響が及びます。
●「DXセット/DXキット」という売り方が示す、当時のユーザー像
セット品としての記録や、追加データ集(キット)としての扱いが見えることから、本作は“最初の一本を買って終わり”ではなく、気に入った人がさらに遊びを足していく前提で設計・販売されていた側面があります。 シミュレーションは、上達と発見が快感になりやすいジャンルです。最初は操作に慣れるだけで精一杯でも、慣れてくると「次はこの縛りでやってみよう」「あの将を別の前線で使ったらどうなる?」と、遊び方が自己増殖していく。DXは、そうした“沼”の入口を広げるための一手でもあります。コンテンツを増やすことで再訪する理由を作り、調整で快適さを上げて離脱を防ぐ。90年代初頭のPCゲームらしい、長く遊ばせるための工夫がそこに見えます。
■■■■ ゲームの魅力とは?
●「銀河の戦史を自分の手で動かす」大局観の快感
『銀河英雄伝説II DX』の面白さを一言でまとめるなら、「広大な戦域の流れを“読んで”、自分の決断で“変えていける”こと」に尽きます。宇宙の戦争を扱うゲームは数あれど、本作が気持ちいいのは、単に艦隊を動かして勝つだけではなく、前線をどこに作り、どこを捨て、いつ勝負を仕掛け、いつ引くのか――その“戦争の呼吸”をプレイヤーが握れる点です。戦線は一本ではなく、補給や再編、戦力の偏り、敵の増援の気配など、複数の要素が絡み合って「今は強く見えるけれど、数ターン後に息切れする」ような局面も生まれます。そこで早めに手当てをするか、逆に短期決戦で押し切るか。先を読む力がそのまま勝ち筋になり、読みが当たった瞬間に“自分の戦史”が立ち上がるのが最大の魅力です。
●艦隊運用が「パズル」にならず「ドラマ」になる理由
戦略シミュレーションは、最適解を探す作業に寄りすぎると味気なくなりがちです。しかし本作の核は、最適解だけで世界が回らないところにあります。指揮官の個性、陣営ごとの立場、戦局のテンポ、兵力の質と量の偏り――それらが複雑に絡み、同じような兵力差でも結果が変わる余地が残されています。だからこそ、プレイヤーの作戦にも“物語”が宿ります。「この局面は堅実に守って時間を稼ぎ、別の方面で勝負する」「強い艦隊を一点に集中して短期で砕き、相手の立て直しを許さない」など、戦い方に性格が出る。艦隊運用がただの手順ではなく、プレイヤー自身の思想として現れてくるのが、銀英伝題材のゲームが持つ強みであり、本作が長く語られやすい理由でもあります。
●“判断の密度”が高いのに、遊びが重くなりにくいDXの設計
DX版の良さは、遊びの中心が「考えること」からズレにくいところにあります。戦略ゲームは、情報を集めて、比較して、決断して、結果を受け止める――この循環が気持ちよければ気持ちいいほど、細かな操作や待ち時間がストレスになります。DXは、ベースとなるIIの枠組みを活かしつつ、シナリオやプログラム面で“体験を太くする”方向に価値を足している、と捉えると分かりやすいです。遊べる状況や局面が増えるほど、本来は迷いや負担も増えるはずなのに、そこを「情報の見せ方」「遊びの流れ」「手触り」の面で支える意識がある。結果として、増えた要素が“宿題”になりにくく、プレイヤーの判断がより意味のあるものとして感じられます。
●シナリオ拡張が生む“同じ世界の別の表情”
シミュレーションにおけるシナリオ追加の価値は、単なる数合わせではありません。初期配置が変わる、特定の戦場が早期に焦点化する、重要人物の動かし方が違う、戦争のテンポが変わる――そうした差分は、プレイヤーの思考を根本から組み替えます。たとえば「守勢から始まる」だけで、序盤の正解は攻めではなく“失点を抑える設計”になりますし、逆に「主力を温存したまま攻勢を取れる」なら、短期決戦と長期消耗戦のどちらに寄せるかが悩みどころになる。シナリオが増えるほど、プレイヤーは同じ艦隊・同じ人物を別の環境で試せるようになります。それが“歴史の再現”にも“IFの実験”にもつながり、遊びが一本調子にならない。クリアした後に「次は違う流れでやってみたい」と自然に思えるのは、この拡張の効き目です。
●キャラクターの存在感が、戦術の選択に重みを与える
銀英伝の魅力は、巨大な戦争を“人”の視点で読ませるところにあります。本作の戦略部分も同じで、艦隊は数字の塊ではなく、指揮官の能力や運用方針が結果を左右する存在として扱われます。ここが面白いのは、強い指揮官を前に出すほど勝ちやすいのに、前に出すほど危険も増えるというジレンマが生まれる点です。勝つために切るカードが、そのまま損失の可能性を背負う。だから作戦には覚悟が要ります。「ここは勝ちを取りに行く」「ここはあえて引いて温存する」という判断が、ただの効率ではなく、プレイヤーの“戦争観”として残る。結果が良ければ英雄譚になり、悪ければ苦い教訓になる。その蓄積が、プレイ体験を単なる勝敗以上のものに変えてくれます。
●会戦の緊張感:読み合いが生む「勝った理由」「負けた理由」
本作で熱くなるのは、会戦が“運任せ”でも“完全計算”でもないところです。戦略レイヤーで積み上げた準備が会戦で効いてくる一方、相手の動きや戦場の状況次第で想定が揺らぐ場面もあります。その揺らぎがあるからこそ、勝ったときに「準備が効いた」「誘い込めた」「相手の狙いを外せた」と納得でき、負けたときにも「ここで欲張った」「補給線を軽く見た」「主力の疲弊を放置した」と反省点が見える。原因が分かる負けは、次の挑戦を面白くします。再戦したときに改善が手応えとして返ってくるので、上達がそのまま楽しさになります。
●音楽が“演出”ではなく“没入装置”として働く
DXでクラシック音楽が加わったことは、派手さの追加というより、世界の温度を調整する追加と考えるとしっくりきます。戦略シミュレーションはプレイ時間が長く、同じ画面を見つめる時間も長い。そこでBGMが単調だと、思考の熱が冷めてしまいます。クラシックの持つ重厚さや緊張と解放の構造は、戦争のうねりや英雄譚の空気と相性が良く、考える時間を“雰囲気のある時間”に変えてくれる。結果として、プレイヤーは作業をしているのではなく、戦史を読んでいるような気分で決断を積み重ねられます。
●上達の入口が広い:初心者にも“分かる楽しさ”、慣れるほど“深い沼”
最初は「兵力が多い方が強い」「守りを固めれば負けにくい」といった直感的な理解でも遊べます。しかし慣れてくると、勝ち方は一種類ではないと気づきます。局地で勝つための集中、戦域全体で負けないための分散、相手の主力を避けて要所を奪う手、逆に主力同士の決戦で短期に決める手。さらに、指揮官の配置や艦隊の組み方を変えると、同じ戦局でも別の勝ち筋が見えてくる。初心者は“まず勝てる”から面白く、熟練者は“勝ち方を選べる”から面白い。こういう二段階の魅力が、シリーズの中でもDX版の価値を支えています。
●「もう一回」が自然に出るリプレイ性
戦略ゲームのリプレイ性は、単にルートが分岐するから生まれるわけではありません。「次は別の思想でやってみたい」と思わせる設計が必要です。本作は、勝敗が一発で決まるというより、積み重ねの結果として決まっていく感触が強いぶん、やり直しが“答え合わせ”になります。勝っても「もっと上手くできたのでは?」が残り、負けても「次は改善できる」が残る。つまり、プレイヤーの頭の中に“次の作戦”が勝手に組み上がってしまう。これが、時間を吸い込む魅力です。
■■■■ ゲームの攻略など
●まず押さえるべき基本方針:「前線」より先に「戦域の形」を作る
『銀河英雄伝説II DX』の攻略で最初に意識したいのは、“目の前の戦闘”に引きずられないことです。勝ちに向かう道筋は、会戦で一度派手に勝つことではなく、戦域全体の形を整えたうえで「勝てる戦いを何度も繰り返す」ことにあります。序盤は特に、敵の艦隊が見える場所に反応して主力を右往左往させがちですが、これをやると疲弊と分散が進み、次の重要局面で力が足りなくなります。 おすすめは、まず“守る線”と“取りに行く線”を分けること。守りは堅い拠点と通路(敵が必ず通る地点)に最小限の戦力を置き、攻めは主力を一点に寄せて戦域の片側から形を崩す。戦線は広く見えても、実際に決定的な衝突が起きるのは「通るしかない場所」「補給の通り道」「相手が守らざるを得ない要所」です。そこを先に押さえることで、会戦の勝ち負け以前に“敵の選択肢”を減らせます。
●艦隊運用のコツ:「強い艦隊」を作るより「役割が違う艦隊」を揃える
攻略が安定しないとき、多くの人は「主力をもっと強くしよう」と考えます。しかし本作で勝ちやすくなるのは、強さの一点突破よりも“役割分担”ができた瞬間です。 – 決戦艦隊:正面から会戦を取りに行く。主力指揮官を集め、火力と耐久で押す。 – 拘束艦隊:敵の進路を塞ぐ・追い払う・時間を稼ぐ。勝つより「相手に自由を与えない」のが目的。 – 掃討/奪取艦隊:敵の薄い領域を素早く奪い、戦域の形を変える。 – 予備艦隊:損耗した部隊の穴埋め、急な増援、事故対応。 この“役割の違い”があると、敵の動きに対して常に手札が残ります。決戦艦隊を追い回しに使ってしまうと、勝負どころで疲弊していて決めきれない。逆に掃討艦隊を決戦に突っ込むと、短期的に勝てても損耗が大きく、次が続かない。役割の意識だけで、勝率は体感で大きく変わります。
●指揮官運用の基本:「強い人材」は“勝てる戦場”に投下する
銀英伝題材の面白さでもある指揮官要素は、攻略では“資源”として扱うと強くなります。強い指揮官は、ただ置けば勝てるというより、「勝てる条件が揃った戦場に出すと、勝ちが確定に近づく」存在です。 たとえば敵主力が集まっている場所に、こちらも最強をぶつけて勝負するのは分かりやすいですが、ここで失敗すると損害も大きい。むしろ安定するのは、 1) 先に拘束艦隊や拠点配置で敵の動きを縛る 2) 敵が不利な形になった瞬間に、最強指揮官を“刈り取り役”として投入する という流れです。勝敗が五分の決戦を繰り返すより、勝率が高い戦闘を選び続けた方が、長期的な損耗が減り、終盤が楽になります。
●補給と再編の考え方:「勝って減る」より「勝って増える」状態を作る
戦略ゲームで地味に効くのが、勝利後の疲弊です。勝てても損耗が大きいと、戦域を広げる速度が落ち、敵に立て直しの時間を与えてしまいます。そこで重要になるのが“勝った後の状態”を意識した会戦選びです。 – 敵が分散しているときに各個撃破する(こちらの損耗を減らす) – 自軍の疲弊した艦隊を一線から外し、補完できる艦隊と交代させる – 拠点と通路を押さえて、敵に無理な移動を強いる(相手の損耗と遅れを増やす) これを徹底すると、「勝ったのに前に進めない」状態が減り、勝利がそのまま加速につながります。攻略が安定しない人ほど、会戦の勝ち方ではなく“勝った後の動き”を改善すると伸びやすいです。
●序盤の難所:やりがちな失敗と、立て直しの方法
序盤で詰まりやすい失敗は、だいたい次の3つに集約されます。 1) 主力を分散させて各所で小競り合いを続ける 2) 敵主力に反応し続けて、戦域の形が作れない 3) 勝負を急いで損耗が増え、次が続かない 立て直しのコツはシンプルで、いったん“戦う場所を減らす”ことです。守りの線を決め、重要でない場所は撤退してでも縮める。縮めた結果、兵力密度が上がり、局地で優位が作れるようになります。そこから一点突破で戦域を切り裂き、敵の増援路や補給路を脅かす。大きく負けていなければ、戦域を絞るだけで勝てる局面が作れることが多いです。
●中盤の勝ち筋:「敵の主力を倒す」より「敵の自由を奪う」
中盤になると、敵も戦力を整えてくるため、単純な決戦だけでは決めづらくなります。ここで効くのが、“敵の自由”を奪う攻略です。 – 進軍ルートを複数持つ地点を押さえる – 取り返しにくい要所を先に奪う – 敵主力が守りに戻らざるを得ない状況を作る こうすると、敵は「攻めたいのに守らないといけない」状態になります。守りに回った主力は行動が遅れ、こちらの別働隊が戦域を広げやすくなる。結果として、直接倒していないのに、敵の主力が“役に立たない駒”へ変わっていきます。戦略シミュレーションで最も強いのは、相手の最強戦力を倒すことではなく、最強戦力が最強として働けない形を作ることです。
●会戦の実戦テク:勝ちやすい状況の作り方
会戦で勝ちやすくするために、戦略レイヤーで仕込めることは多いです。 – 敵の増援が届かないタイミングで当てる(合流前に叩く) – 敵を動かして疲弊させてから当てる(追わせる、戻らせる) – 自軍は一度集結させ、指揮系統を整えた状態で当てる(個別撃破されない) 逆に、勝ちにくいのは「こちらの戦力が揃っていない」「敵だけが揃っている」「こちらが疲弊している」状態での会戦です。派手な勝利を狙うより、勝てる条件を先に整える方が、結果的に短時間で勝ちに近づきます。
●“裏技”的な考え方:数値より先に「テンポ」を奪う
いわゆる隠しコマンドのような意味の裏技ではなく、攻略上の“抜け道”として効くのがテンポ支配です。つまり、相手が「行きたい場所へ行けない」「やりたい形が作れない」状況を維持すること。 敵の主力が一度でも空振りをすると、移動と再編のターンを失い、その間にこちらが要所を押さえられます。テンポを奪われた側は、次の一手が常に遅れます。戦略シミュレーションでこの差は雪だるま式に広がるので、会戦の勝敗以上に効きます。DX版はシナリオや調整で遊びの幅が増しているぶん、この“テンポの取り合い”がよりはっきり体感できるはずです。
●難易度の捉え方:難しいのは「操作」ではなく「優先順位」
本作が難しく感じる理由は、操作が複雑だからというより、やるべきことが多く見えるからです。実際は、すべてを完璧にやろうとすると迷子になります。 – 重要拠点の守り – 主力の集中 – 敵の自由を奪う この3つだけを軸にすると、判断が一気に簡単になります。情報は多くても、優先順位が決まれば、あとはその優先順位に沿って“捨てる判断”ができる。捨てる判断ができるようになると、戦域の形が作れ、勝ちが近づきます。
■■■■ 感想や評判
●プレイヤーの第一印象:「重厚」「長時間」「でも止まらない」
『銀河英雄伝説II DX』を触った人がまず語りがちなのは、手軽さとは真逆の方向にある“重量感”です。派手なアクションで気持ちよくなるタイプではなく、状況を読み、艦隊を動かし、結果を受け止め、次の一手を練る――その繰り返しで面白さが積み上がっていく。だから最初の数十分で全部を理解した気になれない一方、理解が進むほど「もう一手だけ」「次のターンだけ」と続けてしまう中毒性がある、という感触に落ち着きやすいです。 このジャンルの評判は、シンプルな爽快感よりも“納得のいく戦いができたか”で決まります。本作はまさにそこを狙っており、勝ったときの気持ちよさが「演出が派手だから」ではなく、「判断が噛み合ったから」として残るのが特徴です。
●DXへの評価:追加要素が“蛇足”になりにくいという安心感
DX版の評価が語られるとき、単に「内容が増えた」という話だけでは終わりません。大事なのは、増えた要素がプレイを煩雑にする方向に働きにくいことです。戦略シミュレーションは、要素追加がそのまま操作負担や待ち時間に直結しやすく、拡張版が“重すぎる別物”になってしまう例も少なくありません。 その点、DXは基本骨格を保ちつつシナリオ・プログラム面で拡張され、さらにBGMにクラシックが追加されたとされます。結果として、遊びの中心が「戦況判断」に残りやすく、追加が遊びの質を押し上げる方向に効きやすい――この“拡張のやり方”そのものが好意的に受け止められる土台になります。
●BGM面の話題:クラシック追加が生む「銀河戦史らしさ」
当時のPCゲームにおけるサウンドは、単なる飾りではなく“作品の格”を作る要素でした。DXでクラシック曲が追加されたという点は、特に長時間の思考プレイを支える意味で印象に残りやすいポイントです。会戦前の緊張、前線整理の落ち着き、勝負どころの高揚――そのリズムが音で補強されると、プレイヤーは作業ではなく“戦史の当事者”として思考を続けられます。 また、FM音源やMIDI対応(ローランド系音源の想定)が語られることで、「環境が整うほど音の満足度が上がるタイトル」というイメージも生まれやすいです。音の違いはスクリーンショットに残りませんが、体験の記憶には残る。だからこそ評判の中で“音が良い/雰囲気が出る”という話題が出やすいタイプの作品です。
●メディア・ハードの違いに絡む評判:「自分の環境で動く嬉しさ」
PC-9801系、PC-8801系、MSX2、X68000、FM TOWNSといった複数機種に対応するタイトルは、当時としても“広く遊ばせる”意志が見える存在です。だからこそ評判も、「どの機種で遊んだか」という思い出と結びつきやすい。 たとえば同じ『銀英伝II DX』でも、フロッピー中心の環境で遊った人はロードやディスク運用を含めて記憶し、TOWNSやCD-ROMのイメージが強い人は“テンポや音”の印象で語る、という差が出ます。内容の評価というより「自分の90年代PC体験の一部」として語られやすいのが、マルチプラットフォーム作品の評判の特徴です。
●当時のゲーム雑誌・媒体的な見られ方:シリーズ作としての安心と期待
シリーズ化されたタイトルは、初見の人よりも“前作を触った人”の評価が濃くなりがちです。『銀河英雄伝説』系は特に、原作ファンとシミュレーションファンが重なる領域にあり、どちらの期待にも応えられるかが話題になります。 – 原作ファンは「世界観の再現」「人物の扱い」「戦史の雰囲気」を見ます。 – シミュレーションファンは「戦略の手触り」「AIの癖」「バランス」「繰り返し遊べるか」を見ます。 DX版は“拡張版”という立ち位置ゆえ、前作経験者からは「どこが良くなったか」「何が増えたか」が関心の中心になりやすい。逆に初見の人からは「いきなりDXでも分かるか」「入り口として成立するか」が語られやすい。評判が割れるとすれば、この入口の感じ方の差に集約されます。
●ポジティブ寄りの感想で多い論点
本作を好意的に語る人の意見は、だいたい次の軸に集まります。 – 大局観が気持ちいい:自分の一手が戦域全体の形を変える快感がある。 – 勝ち負けに納得感がある:勝った理由/負けた理由が見え、再戦が面白い。 – 雰囲気が濃い:音や演出の方向性が“銀河の戦史”に合っている。 – リプレイ性が高い:シナリオや運用次第で毎回違う展開になる。 – シリーズとしての信頼:銀英伝×戦略の組み合わせが期待通りに成立している。 これらはすべて「派手さ」ではなく「積み上げ」と「没入」に関する評価であり、タイトルの性質をよく表しています。
●ネガティブ寄りの感想で出やすい論点(ただし致命傷ではない)
一方で、否定的な声が出るとすれば、ジャンル特性に由来する部分が大きいです。 – 覚えることが多い:序盤は情報量に圧倒されやすい。 – テンポが合わない人もいる:思考時間が長く、短時間プレイには向きにくい。 – 勝負が決まるまでが長い:小さな勝利が積み上がって最終勝利になるため、爽快感を求める人には遅い。 – 慣れないと事故が起きる:主力の分散や補給の見落としで一気に苦しくなる。 ただし、これらは“攻略や理解で改善できる”領域でもあります。つまり、初見での辛さはあるが、慣れると評価が上がるタイプの作品だと言えます。
●総合的な評判像:「銀英伝を戦略で味わう」ことに価値を感じる人ほど刺さる
総じて、『銀河英雄伝説II DX』は、銀英伝の空気を「読む」のではなく「動かす」ことに価値を感じる人に強く刺さるタイトルです。原作の英雄譚を自分の判断で組み替え、勝ち筋を作り、失敗から学ぶ。その体験が“重いけれど濃い”記憶として残ります。DXとしての増補は、その体験をより長く、より多面的に味わうための土台になり、シリーズに慣れた人ほど「手触りが整っている」「遊びの幅が広い」と感じやすい。結果として、ライト層よりも腰を据えて遊ぶ層から評価されやすい――そんな評判に落ち着くゲームです。
■■■■ 良かったところ
●“勝った”より“勝てた”が残る、戦略ゲームとしての納得感
『銀河英雄伝説II DX』で強く印象に残る「良さ」は、結果が派手に見えるかどうかではなく、結果に筋が通っているかどうかです。会戦で勝利したとき、ただ「相手の数字が減った」では終わらず、「なぜ勝てたのか」を自分の言葉で説明できる感触が残ります。前線の形を作ったから、主力を一点に集中したから、敵の合流を阻んだから、重要拠点を押さえたから――要因が一本ではなく複数の要素の積み重ねとして表れる。こうした“説明できる勝利”は、戦略シミュレーションの醍醐味そのもので、プレイヤーに「自分が戦争を設計した」手応えを与えてくれます。 しかもこの手応えは、上手くいったときだけではなく、失敗したときにも働きます。「ここで欲張った」「主力を散らした」「守る場所を間違えた」と、負けにも理由が見える。負けが理不尽に感じにくいぶん、再挑戦が“作業”ではなく“改善”になります。これが長時間プレイに耐える根っこです。
●“人材運用”が生むドラマ性:指揮官が単なる数値になりにくい
銀英伝題材の作品である以上、艦隊だけでなく人物の運用が重要になりますが、本作が気持ちいいのは、指揮官を単なるボーナス値として使い捨てにしにくいところです。強い人物は確かに強い。しかし強いからこそ、どこに置くか、いつ出すか、どこで温存するかが悩みになります。 たとえば、勝負どころで最強の将を投入すれば勝率は上がる。しかしその将を前線に固定すると、別の戦域が薄くなる。逆に温存しすぎると、勝てたはずの局面を逃す。こうしたジレンマが常に付きまとい、最終的にプレイヤーの“用兵思想”がプレイ結果ににじみ出ます。堅実に勝つ人、危険を冒して短期決戦を取る人、局地勝利を積み上げる人――同じシナリオでも、遊んだ人ごとに異なる戦史が残りやすい。これは、人物がただの飾りではなく意思決定の中心にいる設計だからこそ生まれる良さです。
●戦域の“形”を作る面白さ:局地戦より戦略が勝敗を決める
本作は、目の前の会戦テクニックだけで勝つゲームではありません。むしろ、勝敗を左右するのは会戦の前段階――戦域の形をどう作るかです。 – どこを守る線にするか – どこを突破口にするか – どこを囮にして敵を引っ張るか – どこを奪えば相手の行動が縛られるか これらを考えて実行し、盤面が狙い通りに歪んでいく感覚が非常に気持ちいい。会戦の勝利は、その歪みの結果として“起きるべくして起きる”形になり、プレイヤーは偶然ではなく設計で勝った気分になれます。 この“形作り”が上手くなると、敵の主力を倒さなくても勝ちに近づけます。敵の最強戦力が最強として働けないようにしてしまえば、あとは要所を押さえて封じ込めればいい。これは大戦略の楽しさそのもので、本作の良さを語るうえで欠かせません。
●DXならではの満足点:遊びの幅が増えても世界観が薄まらない
拡張版が失敗すると「要素は増えたのに散漫になった」「ゲームが別物になった」という印象になりがちです。DX版の良さは、増えたものが“世界観の濃さ”に寄与しやすいところにあります。シナリオやプログラムの拡張という言い方は地味ですが、戦略ゲームではここが効きます。遊べる状況が増えると、同じ人物・同じ艦隊でも違う運用が生まれ、歴史の別の表情を見られる。結果として、原作の「戦史の重み」や「英雄譚の空気」を、遊びの側から何度も確かめられるようになります。 さらにBGMにクラシックが追加されたとされる点も、雰囲気を押し上げる方向で働きやすい。長く遊ぶほど“空気”が大事になるジャンルで、音が没入を支えてくれるのは素直にありがたい部分です。
●音と没入:思考時間が“退屈”にならず“緊張”になる
戦略シミュレーションは、考えている時間が長いほど面白いはずなのに、音やテンポが合わないと途端に“退屈な作業”になってしまいます。本作が良いのは、考える時間がゲーム体験として成立しやすいことです。勝負どころでは緊張が高まり、整理のターンでは静かな集中が続く。そうしたリズムが気持ちよく回りやすい。 環境を整えるとFM音源やMIDIで音の満足度が上がる、という“当時のPCゲームならではの楽しみ”もあります。音源機器をつなげた人は「同じゲームなのに印象が変わる」と感じやすく、その体験が作品への愛着に直結します。
●学習曲線の良さ:初心者は「勝てる」、熟練者は「勝ち方を選べる」
良い戦略ゲームは、最初から全部分かる必要がありません。本作も同じで、序盤は直感的な理解(主力を集める、要所を守る、敵の分散を叩く)だけでも勝ち筋が見えます。ところが慣れてくると、勝ち方が一種類ではないと気づく。 – 短期決戦で戦力差を押し付ける勝ち方 – 長期戦で補給と再編を回して息切れさせる勝ち方 – 正面決戦を避けて要所奪取で縛る勝ち方 こうした選択肢が増えると、ゲームが“解けた”後も面白さが続きます。勝てるようになったあとに、さらに自分の色を出せる。これが名作シミュレーションの強みであり、本作の良かったところとして語りやすい点です。
●リプレイ性の高さ:同じシナリオでも“別の戦史”が生まれる
銀英伝題材のゲームの楽しさは、原作の流れをなぞるだけでなく、そこから枝分かれするIFを自分で作れるところにあります。本作は、艦隊配置や用兵思想、会戦の当て方次第で展開が大きく変わりやすい。だから、クリア後に「次はこの将を別の方面で使ってみよう」「守勢から入って、相手の息切れを待とう」と自然に考えてしまいます。 この“次の一手が勝手に浮かぶ”感覚は、プレイヤーが世界に入り込んでいる証拠です。遊ぶたびに違う戦史が残る。戦略ゲームとして、それは最大級の褒め言葉です。
●90年代PCゲームとしての魅力:環境も含めて“体験”になる
最後に、良かったところとして忘れがたいのが、「当時のPCで遊ぶ」という行為そのものが体験になる点です。ディスク運用、起動の儀式、音源の違い、機種ごとの手触り――そうした周辺環境まで含めて、作品の記憶が立ち上がります。現代の即起動・即セーブとは違う不便さもありますが、その不便さが“腰を据えて遊ぶ”覚悟を生み、プレイがより濃く残る。DX版は拡張としての満足度も相まって、当時のPCゲーム文化の中で、長く語られるタイプの一本になっています。
■■■■ 悪かったところ
●とにかく「腰が重い」:始めるまでに気合いが要るタイプ
『銀河英雄伝説II DX』の弱点として真っ先に挙がりやすいのは、ライトに遊ぶには向きにくいことです。戦略シミュレーションというジャンル自体が、短時間で完結する遊びではありませんが、本作は特に「状況把握→判断→結果→再調整」という循環が醍醐味なので、遊ぶ側にもある程度の集中力が求められます。今日は疲れているから30分だけ……という気分で起動すると、最初の情報整理だけで時間が溶けてしまい、達成感が得られにくいことがあります。 逆に言えば、腰を据えて遊べる日は最高に面白いのに、そうでない日は入口が遠い。ここが“人を選ぶ”ポイントとして残りやすいです。
●情報量の圧:慣れるまで「何を見ればいいか」が分かりにくい
本作は判断材料が多いぶん、最初は画面の情報が洪水のように感じられます。戦域、艦隊、拠点、指揮官、移動、戦闘、再編……見るべきものが多く、優先順位が掴めないうちは「何をしていいか分からないのに時間だけ進む」感覚に陥りがちです。 さらに、銀英伝題材のため登場人物も多く、名前と役割を覚えきれないうちは指揮官運用が“ただの数字の管理”に見えてしまうことがあります。ここは、原作を知っている人ほど脳内補完で乗り越えやすい一方、初見の人ほど戸惑いが長引く弱点になり得ます。
●“うっかり”が致命傷になりやすい:管理ゲーの怖さ
戦略ゲームの宿命として、「一手のミス」が即ゲームオーバーではなく、数ターン後に致命傷として返ってくることがあります。本作も例外ではなく、 – 主力を分散させた – 守る要所を見誤った – 再編のタイミングが遅れた – 敵の合流を許した といった小さな判断ミスが、後になって大きな不利として膨らみます。ここが面白さでもある一方、プレイヤーによっては「気づいたら取り返しがつかない」と感じてストレスになることがあります。 “負けが理不尽ではない”のは良い点ですが、裏を返すと“負けは全部自分の責任”になりやすい。失敗を学びに変えられる人には良いが、気軽に楽しみたい人には厳しい部分です。
●テンポの問題:ロードや待ち時間が気になりやすい環境がある
当時の複数機種対応タイトルでは、ハードや媒体によって体感テンポが変わるのが避けられません。フロッピー中心の運用では、場面切り替えやデータ読み込みの存在感が増えやすく、「考える時間」ではなく「待つ時間」に感じる瞬間も出てきます。 特に戦略ゲームは、短い待ち時間が積み重なると体感ストレスになりやすいジャンルです。DXは拡張版であり、内容が増えるほど参照データも増えがちなので、環境によっては“重さ”として意識される可能性があります。これはゲームそのものの出来とは別に、当時のPC体験として避けにくい弱点です。
●バランス面の不満が出やすいポイント:「強い人材」「強い戦い方」が固定化しがち
キャラクターや指揮官が勝敗に影響するゲームでは、どうしても「この人が強い」「この運用が安定する」という定石が生まれます。それ自体は悪いことではありませんが、最適解が見えてしまうと、シナリオによっては展開が似通い、「結局いつも同じ勝ち方になる」と感じる人もいます。 これは、縛りプレイや用兵思想の違いで楽しめる人には問題になりにくい一方、効率的に勝ちたいタイプほど“作業化”しやすいというジレンマでもあります。DXでシナリオが増えることは、この固定化を崩す助けになりますが、プレイヤーが自分から遊び方を変えないと、同じ勝ち筋に戻ってしまう可能性は残ります。
●原作ファン視点の不満:ゲーム上の省略や抽象化が気になることがある
原作の銀英伝は、人物の心理や政治的駆け引き、戦場以外の要素も含めて魅力があります。ゲームはどうしても“戦争を動かす”部分に寄るため、政治劇や心理戦の細部は抽象化されます。 原作を深く愛している人ほど、「この事件の重みがもう少し表現されてほしい」「この人物の扱いが数字に還元されすぎる」と感じる場面が出やすい。これは題材ゲームの永遠の課題で、シミュレーションとして成立させるために、物語の細部を削る必要があるからです。銀英伝の“語り”を求める人には物足りず、銀英伝の“戦史”を動かしたい人には刺さる――評価が割れるのは、この境界線です。
●UI・操作の慣れ:理解する前に「手順」に疲れる可能性
当時のPCシミュレーションは、現代の感覚だと操作が不親切に見えることがあります。コマンドの選び方、画面の切り替え、情報の参照手順など、慣れないうちは「判断」より先に「手順」を覚える必要が出ます。 DXがプログラム面で改善・拡張されているとしても、時代の前提として“直感操作”ではない部分は残りやすいです。ここで一度つまずくと、面白さが見える前に離脱してしまう。逆に、乗り越えた人は一気にハマる――この“入口の段差”は悪かったところとして語られやすいポイントです。
●まとめると:悪いというより「合わない人には明確に合わない」
本作の欠点は、バグや破綻というより、設計思想と時代背景が生む“向き不向き”に集約されます。濃い戦略体験を得られる代わりに、軽さや即効性はない。情報量が多い代わりに、理解できるほど深い。環境差がある代わりに、当時のPC文化としての味がある。 つまり、悪かったところは「誰でも楽しめるように薄く作っていない」ことでもあります。合う人には最高だが、合わない人には入口が険しい。その鋭さが、90年代PCシミュレーションらしい個性として残っています。
[game-6]
■ 好きなキャラクター
●“好き”が戦略になる:この題材ならではの楽しみ方
『銀河英雄伝説II DX』でキャラクター(指揮官)を語るとき、単なる人気投票の話だけでは終わりません。誰を好きになるかは、そのまま「どう勝ちたいか」「どう戦史を作りたいか」に直結します。華麗な勝利を積み重ねたいのか、堅実に盤面を固めたいのか、危険を承知で一撃必殺を狙うのか――プレイヤーの好みが、指揮官の使い方として現れるからです。 ここでは“定番の人気”というより、「このゲームで好きになりやすいタイプ」「運用すると気持ちいいタイプ」を中心に、理由を掘り下げていきます(銀英伝の世界は人物が多いので、全員を列挙するのではなく、プレイ体験と結びつきやすい軸で整理します)。
●ラインハルト:勝つための最短距離を選べる“攻勢の象徴”
帝国側の顔として語られがちなラインハルトは、ゲーム上でも「攻めの意志」を象徴する存在として好かれやすいタイプです。好きになる理由は、強いからというだけでなく、使い方が明快だからです。主力を集中し、勝負を決めるべき場所で決める。迷いを捨てて短期決戦に寄せるとき、彼の存在はプレイヤーの決断を後押ししてくれます。 また、攻勢の中核に据えると、戦局のテンポが速くなりやすい。敵に立て直しの時間を与えず、重要拠点を連続で奪って盤面を崩す展開が作れると、プレイヤーは“歴史をねじ曲げた”実感を得られます。その爽快感が、「好き」に変わっていきます。
●ヤン:直接勝つより“負けない形”を作る、守勢の美学
ヤンは、勝利の形が派手ではなくても、使っていると気持ちよさがじわじわ広がるタイプです。好きになる理由は、強さが「殴り合いの強さ」ではなく、「戦況の読み」「守りの設計」「敵の自由を奪う」方向に感じられるからです。 たとえば正面決戦を避け、要所を押さえ、敵に無駄な移動や合流失敗を強いる。そうして気づけば敵が息切れしている。こういう勝ち方は、プレイヤー自身の戦略と噛み合ったとき最高に気持ちよく、ヤンを“好きな将”として意識するきっかけになります。派手な勝利より、無駄のない勝利が好きな人ほど刺さりやすい人物です。
●ミッターマイヤー:速さが正義になる瞬間を作れる“機動の王”
ゲームで扱いやすい・好きになりやすい指揮官の条件の一つが、「役割がはっきりしている」ことです。ミッターマイヤーはその代表格で、“素早く動いて戦域の形を変える”役に据えると輝きます。 好きになる理由は、彼を動かしたターンに盤面が目に見えて変わるからです。敵の薄い側面を刺す、要所を先に押さえる、敵主力の戻り道を脅かす。こうした機動戦が成功すると、敵は戦いたい場所で戦えなくなります。戦略シミュレーションでテンポを取る快感が好きな人ほど、彼の存在を「頼れる」「気持ちいい」と感じやすいでしょう。
●ロイエンタール:強さより“怖さ”が魅力になる、切り札運用の快感
ロイエンタールは、好きになると使い方にも“色気”が出るタイプです。彼を前に出すと勝てる、という単純さより、「ここぞの局面に投じたときの圧」が魅力になります。 攻略の観点では、勝負どころの決戦艦隊に組み込みやすく、戦局を一気に傾ける役割を与えたくなる。プレイヤーは自然と“切り札”として扱い、投入のタイミングに悩むようになります。この悩みが楽しい。悩ませる駒は、愛着が生まれる駒です。
●ビッテンフェルト:荒っぽさを“戦術”に変える、勢いの気持ちよさ
堅実な用兵だけではなく、勢いで押し切る楽しさもまた戦略ゲームの魅力です。ビッテンフェルトのような“分かりやすい強襲役”がいると、プレイヤーは一度は「強引に突破する」快感を味わいたくなります。 好きになる理由は、成功したときの“勝ち方の手応え”が強いからです。丁寧に盤面を作る勝利も良いですが、強襲で穴を開けて連鎖的に崩す勝利は別種の快感があります。もちろん失敗したときの反動も大きいのですが、その危うさも含めて「この将で勝ちたい」という気持ちが育ちやすい人物です。
●同盟の支柱たち:主役ではなく“戦線を支える”好き
同盟側で好きになりやすいのは、主役級だけではありません。戦略ゲームでは、戦線を維持する将、穴を埋める将、勝負を支える将にこそ愛着が湧きます。 – 主力が動けないときに守りを任せられる – 予備戦力をまとめて事故を防げる – “勝たなくていい戦い”をきちんと処理できる こうした役割の将がいると、プレイヤーは盤面を大きく崩さずに済みます。結果として勝利が近づく。派手ではないのに頼れる――この感触が「好き」を生みます。
●帝国の名将たち:盤面を“設計どおりに動かす”喜び
帝国側は攻勢に寄せた設計が取りやすく、好きな将の方向性も「どう攻めるか」で分かれます。 – 速さで切り裂く – 重さで押し潰す – 囮と別働で翻弄する どの攻め方を選ぶかで、好みの将も変わる。自分の攻め筋に合う指揮官を集めて艦隊を編成できたとき、プレイヤーは“軍を作った”実感を得ます。この実感が、好きなキャラクター像をさらに濃くします。
●結局いちばん“好き”になるのは、プレイ中に自分で物語を背負わせた人物
銀英伝題材のゲームで面白いのは、原作の印象とは別に、プレイヤー自身の戦史で“推し”が生まれることです。 – 絶望的な局面を守り切った将 – 囮役を完璧にやり遂げた将 – 一度の突撃で戦局をひっくり返した将 – 何度も穴埋めして戦線を支え続けた将 こういう経験があると、その人物はプレイヤーの中で“自分の英雄”になります。原作の人気とは別の軸で、ゲームが新しい好きの理由を作ってくれる。これこそが、『銀河英雄伝説II DX』でキャラクターを語る楽しさです。
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●対応パソコンによる違いなど
●まず前提:『銀河英雄伝説II DX』は“PC中心の展開”で、形態がいくつかある
『銀河英雄伝説II DX』は、同じ名前で「完全に同一の一本」が各機種へ一斉に出たというより、当時のPCゲームらしく“機種別に出し分けつつ、セット品/追加キット/特別版などの形態も混在する”タイプの作品として捉えると理解しやすいです。権利物一覧では「DXキット」「DXセット」といった区分が並び、対応機種にも差が付けられています。 さらに、PC-88向け情報では「『銀河英雄伝説Ⅱ』+『銀河英雄伝説Ⅱ DX KIT』のセット品」という整理も見られ、DXが“単体作品”というより“増補の仕方”として存在していることが分かります。
●PC-9801系:シリーズの基準点になりやすい“安定の土台”
90年代初頭の国産PCゲームで、PC-9801系は事実上の標準機になりやすく、銀英伝シリーズもその流れの中心に置かれがちです。近年の復刻関連の案内でも『銀河英雄伝説II』(1990年)の収録機種としてPC-9801版が明記されており、ラインとしての存在感が強いことがうかがえます。 プレイ体験としては、「操作・情報参照・思考」のテンポが作品の評価を決めるジャンルだけに、まず“無理なく動いて、無理なく判断できる”ことが価値になります。PC-98版は、派手さよりも戦略判断の積み上げを支える基盤として選ばれやすく、結果として「このゲームはこういう手触り」という基準点になりやすい機種です(のちに別機種へ移ったときも、PC-98の感覚が物差しになりやすい)。
●PC-8801系:同じ銀英伝でも“ひとつ前の世代感”が味になる
PC-88も、同じく収録機種や対応機種として繰り返し名前が挙がるラインです。 体感差が出やすいのは、表示や処理の余裕というより「手順の積み重ねが重く感じるかどうか」です。戦略シミュレーションは、画面を切り替えて情報を見る回数が多いので、同じ設計でも“間の取り方”が変わると印象が変わります。PC-88側は当時の環境上、PC-98と比べて「ひと呼吸置いて遊ぶ」感覚になりやすく、ここを不便と感じる人もいれば、逆に“戦史を読むように腰を据える”方向に合う人もいます。
●X68000:見栄えと操作の気持ちよさが“戦場の臨場感”に直結しやすい
X68000版は、同時代の中でも表現力の高さで語られることが多い機種で、銀英伝IIのラインにも含まれます。 本作のようなタイトルでX68000が効いてくるのは、派手なムービーよりも「マップ上の視認性」「戦況把握のしやすさ」「コマンド選択のストレスの少なさ」といった、いわば“脳の負担”が減る方向です。戦略ゲームは、情報が読みやすいだけで上達速度が変わり、同じシナリオでも“余裕を持って勝てる”感覚が生まれます。結果としてX68000版は、銀英伝の世界を“絵として眺める満足”と“判断が回る満足”が噛み合ったときに、強い没入を作りやすい機種になります。
●MSX2:制約のある環境でこそ際立つ“戦略の芯”
MSX2版も対応機種として明記されるラインで、銀英伝IIの展開の一角を担っています。 MSX2で遊ぶ魅力は、豪華さではなく“要点の抽出”にあります。戦略シミュレーションの面白さは、究極的には「状況→優先順位→決断」のループなので、演出や余白が削られても芯が残っていれば面白い。MSX2環境では、どうしても表現や速度に限界が出やすいぶん、プレイヤーは自然と“勝ち筋の設計”へ集中しやすくなります。逆に、快適さを求める人は物足りなさを感じる可能性もありますが、当時のMSX2ユーザーにとっては「この規模の銀英伝が自分の環境で動く」こと自体が体験価値になりやすい機種です。
●FM TOWNS:『DX+TOWNSスペシャル』など“タウンズ向けの特別形態”が語られやすい
FM TOWNSでは、『銀河英雄伝2 DX+タウンズスペシャル』といった形で、同系統作品が“タウンズ向けに括り直された”商品として流通している記録が確認できます(中古流通情報では型番・定価の掲載もあり)。 タウンズはCD-ROM文化とも結びつきやすい機種で、戦略ゲームにおける体感差としては「シーン切り替え時の待ち」「音の扱い」「まとまったデータの収録方法」が、プレイの快適さや雰囲気に影響しやすくなります。同じ銀英伝でも、フロッピー運用の“当時の儀式感”が強い環境と、CD中心で“まとまって動く”環境とでは、腰を据えたときの疲れ方が変わり、結果として「長時間遊べるか」の評価が分かれやすいポイントになります。
●サウンド面の差:FM音源/MIDIの“環境差”が体験の差になりやすい
銀英伝のように“雰囲気が重要な戦略ゲーム”では、音の差がそのまま没入の差になります。銀英伝IIの系統について、PC-98版とX68000版がFM音源に加えてMIDI音源にも対応している、という趣旨のまとめも見られ、音源環境が整うほど満足が上がるタイプとして語られやすいことが分かります。 ここで重要なのは「音が豪華かどうか」よりも、長時間の思考を支える“疲れにくさ”です。音が単調だと判断が雑になりやすい一方、緊張と緩和の波が作れると、ターンを重ねても集中が途切れにくい。DXでクラシック追加が語られるのも、まさにこの方向の価値として理解しやすいところです。
●DXセット/DXキットという違い:買い方の違いが“遊び方の違い”になる
「DXキット」「DXセット」といった区分が存在する以上、同じ“DX”でも、手元にある内容が(購入形態によって)違う可能性があります。 攻略や遊び方の観点では、ここが意外と大事です。最初からセットで揃っている人は“増補された状態”を基準に上達し、キットで足した人は“元のIIの感覚”を知ったうえで変化を味わうことになります。同じゲームでも、前者は最初から幅広い状況で学び、後者は差分を意識して学ぶ。結果として「DXはここが良い/ここが変わった」という感想が、プレイヤーの購入経路によって微妙にズレることがあります。
●アーケード/家庭用ゲーム機版の扱い:少なくとも“DXそのもの”はPC中心で語られやすい
ユーザー目線では「同タイトルでアーケードや家庭用機にあったの?」という疑問が出やすいのですが、今回確認できた範囲の公開情報では、『銀河英雄伝説II DX』はPC各機種(PC-98/PC-88/MSX2/X68000)や、派生形態としてのFM TOWNS向け商品が中心として整理されています。 そのため“違い”を語るなら、アーケード/家庭用機との比較というより、(1) 機種ごとの快適さ(視認性・テンポ)、(2) サウンド環境の伸びしろ、(3) セット/キット/特別版といった収録形態の3点に集約して語るのが現実的です。
●まとめ:結局どれが良い?——選ぶ基準は「快適さ」か「当時体験」か
– 快適に“戦略判断”へ集中したいなら、処理や視認性の面で有利になりやすい環境(PC-98系やX68000、あるいはTOWNSの特別形態)を軸に考えるのが自然です。 – 当時のPCゲーム文化として味わいたいなら、PC-88やMSX2で“制約の中で銀英伝を回す”体験そのものが価値になります。 – DXらしさを押さえたいなら、セット/キットの違いを意識して「自分がどの形態を触っているか」を把握すると、評価ポイントがぶれにくくなります。
[game-10]●同時期に発売されたゲームなど
(『銀河英雄伝説II DX』が登場した1990年前後のパソコンゲーム市場は、「重厚なシミュレーション」と「腰を据えて遊ぶRPG/箱庭」が同じ棚に並ぶ、濃い時代でした。ここでは“当時の空気感”が伝わるように、ジャンルが偏りすぎない10本を選び、どんな遊びだったのかまで踏み込んで紹介します。年代は1990年を中心に、前後の近い時期の作品も含めています。)
★大航海時代
・販売会社:光栄(KOEI) ・販売された年:1990年7月26日 ・販売価格:8,580円(当時の定価の一例) ・具体的なゲーム内容:プレイヤーは一隻の船とわずかな資金から出発し、海図の白紙部分を自分の航海で塗りつぶしていく“探索の快感”を味わう。港ごとに相場が揺れる交易、風向き・補給・士気といった現実寄りの管理、そして海賊や敵国との緊張が同時進行で襲ってくるのが肝だ。勝ち筋は一つではなく、交易で巨利を得て艦隊を整える手もあれば、危険海域を短期決戦で抜けて名声を稼ぐ手もある。地味な積み重ねが、いつの間にか“海そのものを制圧している感覚”に変わるのが、この時代の光栄らしい中毒性だった。
★ランペルール
・販売会社:光栄(KOEI) ・販売された年:1990年7月23日 ・販売価格:9,800円 ・具体的なゲーム内容:史実の大戦略を“作戦と政治の両輪”で回すタイプの歴史シミュレーション。戦場で勝つだけでは盤面が安定せず、外交で敵を分断し、内政で国力を底上げし、必要なら同盟を裏切る冷酷さも要求される。マップ上では軍の移動と補給線が重くのしかかり、無理な進軍は勝っても消耗で破綻する。プレイヤーの気分は「天才の一手」よりも「破綻しない計画」を積み上げる方向へ誘導され、結果として“勝ったのに胃が痛い”という、戦略ゲームの醍醐味が濃縮されていた。
★プリンス・オブ・ペルシャ(PC-98版)
・販売会社:Broderbund(国内向け移植・展開を含む) ・販売された年:1990年7月20日(PC-98版) ・販売価格:9,680円(当時の定価の一例) ・具体的なゲーム内容:“剣と罠と制限時間”だけで、異常に手汗をかかせるアクションアドベンチャー。主人公の動きがいわゆるゲーム的な即応ではなく、人間の慣性を持ったアニメーションで表現されるため、ジャンプ一つが毎回命懸けになる。落下、トゲ、落とし扉、ギロチンのような罠が配置され、正解ルートを知っていても操作が雑だと死ぬ。逆に言えば、手順を身体で覚えた瞬間に“舞うように突破できる”カタルシスがある。PCゲームらしく、攻略は知識よりも反復練習が物を言い、プレイヤーの上達がそのまま物語の進行速度になる作品だった。
★ポピュラス
・販売会社:イマジニア ・販売された年:1990年(国内PC版の展開期) ・販売価格:9,680円(当時の定価の一例) ・具体的なゲーム内容:プレイヤーは“神の視点”で地形をならし、民を増やし、敵対する部族を押し返していく。やっていることは単純に見えるが、実際は「土地=生産力」「人口=行動量」「拠点=支配範囲」という三つ巴のバランス調整で、ちょっと手を止めると一気に押し込まれる。地形を整えると家が建ち、家が増えると人口が増え、人口が増えると軍勢の圧が上がる――この循環が気持ちよく、同時に相手も同じ速度で伸びるので“神なのに忙しい”。画面の情報量は少ないのに思考は濃く、短い一戦の中で戦況が何度も反転するのが魅力だった。
★シムシティ(PC-98版・日本語版)
・販売会社:フォア・チューン(日本語版展開) ・販売された年:1990年(PC-98版の国内展開期) ・販売価格:10,780円(当時の定価の一例) ・具体的なゲーム内容:道路を引き、住宅・商業・工業を区画し、税率や条例で都市の性格を作る“街の設計図遊び”。ただの箱庭ではなく、渋滞が起きれば商業が死に、治安が悪化すれば住宅が逃げ、発電が足りなければ全てが崩れるという、因果関係の鎖でプレイヤーを追い詰めてくる。成功の鍵は派手な建造物よりも、消防・警察・交通・電力の地味な基盤整備で、これが妙に現実味を帯びる。拡張するほど問題が複雑化し、“うまくいっている都市ほど壊れやすい”という逆説がプレイヤーを沼に引きずり込んだ。
★大戦略III’90
・販売会社:システムソフト ・販売された年:1990年 ・販売価格:9,800円(当時の価格の一例) ・具体的なゲーム内容:戦車・歩兵・航空機・艦船を揃え、補給と地形と射程で殴り合う、ガチ寄りのウォーシミュレーション。強い兵器を並べれば勝てるわけではなく、燃料と弾薬が尽きれば鉄の塊になり、航空支援が刺されば地上戦の前提が崩れる。プレイヤーは“勝てる戦闘”を探すのではなく、“負けない戦線”を作ることに意識が向き、橋・山・平野といった地形の読み合いが主役になる。ターンを重ねるほど作戦が現実味を帯び、最後は敵首都を落とすだけなのに、そこへ至る道筋が毎回ドラマになる――まさに当時のPCらしい硬派さ。
★ダイナソア
・販売会社:日本ファルコム ・販売された年:1990年12月21日 ・販売価格:8,700円(税別) ・具体的なゲーム内容:重い空気のファンタジー世界で、主人公が傭兵として戦乱に巻き込まれていくRPG。派手なギャグや軽いノリよりも、荒れた土地の匂い・人の裏切り・戦いの疲弊が前に出ていて、旅の途中で出会う出来事も“勝って終わり”で済まない後味を残す。戦闘は成長と装備の積み上げが効く一方で、無謀な突撃は普通に破綻し、回復や資源管理の現実性がプレイ感を引き締める。物語の牽引力は「次の町に行けば解決」ではなく、「進むほど世界の闇が濃くなる」タイプで、ファルコム作品の中でも独特の苦味がクセになる一本だった。
★ドラゴンスレイヤー英雄伝説(FM TOWNS版)
・販売会社:日本ファルコム ・販売された年:1990年6月8日(FM TOWNS版) ・販売価格:8,800円(税別) ・具体的なゲーム内容:王道RPGの形を守りながら、物語とテンポで引っ張るタイプの作品。町で情報を集め、フィールドを抜け、ダンジョンで戦い、装備とレベルで突破力を上げていく――流れは素直だが、イベントの切り替えが明快で“次の目的地へ行きたくなる”設計が強い。仲間や周辺人物の立ち位置が単なる説明役に留まらず、物語の推進剤として機能するので、戦闘で疲れても会話と展開で回復できる。FM TOWNSの環境では快適性も意識され、当時の「RPGは時間が溶ける」を正面から体現していた。
★A列車で行こうIII
・販売会社:アートディンク ・販売された年:1990年12月 ・販売価格:9,800円(当時の定価の一例) ・具体的なゲーム内容:鉄道会社の経営者として線路を敷き、ダイヤを組み、街の発展を誘導して利益を最大化する“都市×経営”ゲーム。線路は引けば終わりではなく、駅の位置が乗客の流れを変え、流れが商業地を育て、商業地がさらに輸送需要を呼ぶという連鎖が起きる。最適解を探すほど沼で、儲けを優先しすぎると街が歪み、街を育てすぎると渋滞や投資負担が重くなる。地味なのに中毒性が強く、数時間かけて作った路線網が“自分の作品”として残るのが、当時のPC箱庭の魅力を象徴している。
★ロードモナーク
・販売会社:日本ファルコム ・販売された年:1991年3月1日(PC-98版) ・販売価格:10,780円(当時の定価の一例) ・具体的なゲーム内容:リアルタイムで領地を広げ、兵力を増やし、敵の城を落とす“シンプル高速戦略”。操作は直感的なのに、勝敗は増援の回し方と、どの拠点を優先して押さえるかで決まるため、思考は驚くほど忙しい。小さな勝ちを積むほど雪だるま式に優勢になるが、同時に一点突破されると脆く崩れるので、攻めと守りの針を常に振らされる。戦略ゲームの敷居を下げつつ、対戦相手(AI)との駆け引きは濃い――“短い一局で燃え尽きる”方向の面白さを、PCで成立させた代表格だ。
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