
SMP タイムボカンシリーズ ヤットデタマン大馬神セット [SHOKUGAN MODELING PROJECT]【新品】 食玩 BANDAI





【原作】:タツノコプロ企画室
【アニメの放送期間】:1981年2月7日~1982年2月6日
【放送話数】:全52話
【放送局】:フジテレビ系列
【関連会社】:タツノコプロ
■ 概要
1981年2月7日から1982年2月6日まで、フジテレビ系列で全52話が放送された『ヤットデタマン』は、タツノコプロが制作した「タイムボカンシリーズ」第5作目に位置づけられる作品です。1975年の『タイムボカン』から始まったシリーズは、それぞれ独自の特色を持ちながらも「勧善懲悪」「ドタバタギャグ」「悪玉トリオの奮闘と敗北」というフォーマットを共有しており、アニメ史の中でも特に独自のポジションを築いてきました。その流れの中で『ヤットデタマン』は1980年代初頭の空気を映し出しつつ、新たな方向性を打ち出した意欲作でした。
最大の特徴は、ヒーローの在り方の刷新です。従来のシリーズでは、男女の2人組がタイムマシンを駆使して冒険を繰り広げるのが定番でした。しかし『ヤットデタマン』では、主人公の少年ワタルが単独で変身ヒーロー「ヤットデタマン」へと姿を変え、未来から来たカレン姫や仲間たちと共に戦いを繰り広げます。これにより、主人公個人の成長や内面の変化に焦点が当たりやすくなり、単なるドタバタコメディから一歩進んだヒューマンドラマ的要素を加えることに成功しました。ワタルが臆病でドジな一面を持ちながら、ヤットデタマンに変身すると自信に満ち溢れたヒーローへと変貌するというギャップは、当時の子供たちにとって非常に印象深いものでした。
次に挙げられるのは、シリーズ初となる巨大ロボット「大巨神」の導入です。『タイムボカン』から続くシリーズでは、動物型メカやユーモラスな戦闘兵器が活躍してきましたが、『ヤットデタマン』では思い切って人型の巨大ロボットを投入しました。しかもこの大巨神は、ただの無機質な戦闘兵器ではなく、人間のような心を持つ存在として描かれています。偏平足を気にしたり、涙を流したり、義理人情に厚かったりと、ロボットでありながら人間的な感情を示す描写は当時としても画期的であり、子供たちに親近感を持たせました。大巨神が怒りを爆発させる「大激怒」という必殺フィニッシュは、従来の「お仕置き」に代わる新たなクライマックス演出となり、視聴者に強烈な印象を残しました。
悪役側の描写も進化を遂げています。これまで「悪玉トリオ」が恒例だったのに対し、『ヤットデタマン』ではコマロ王子という子供キャラを新たに加え、5人編成へと拡張されました。ミレンジョ姫、コケマツ、スカドンといったお馴染みのキャラたちは容姿や口調を大きく変えられ、単なる焼き直し感を払拭。さらにコマロという幼い存在を軸にしたギャグや人間模様が追加され、物語により多層的な笑いと緊張感をもたらしています。これにより、悪役サイドもただの憎まれ役ではなく、視聴者に愛される存在となったのです。
本作はまた、シリーズの伝統を踏襲しつつも新しい挑戦を積極的に取り入れた点で高く評価されています。大巨神の自我や感情表現、悪役の増員とキャラクターデザイン刷新、そして「お仕置き」から「大激怒」への演出の変化。これらの要素が組み合わさることで、子供向けアニメにとどまらず、大人も楽しめる奥行きを持つ作品へと昇華しました。
放送当時の日本は、アニメが家庭の娯楽として確立していく過程にありました。ロボットアニメブームが続く一方で、コミカルな作品への需要も高く、『ヤットデタマン』はその両方を満たすポジションに立ちました。ヒーローのかっこよさと悪役のドタバタ、そしてロボットアニメ的な迫力の融合は、80年代アニメ文化の象徴的存在といえるでしょう。
その人気は放送終了後も続き、90年代以降にはVHSやレーザーディスクで一部がソフト化。2000年代には全話収録のDVD-BOXが発売され、2010年代にはBlu-ray化も実現しました。こうしたリリースは、当時リアルタイムで視聴した世代が大人になり、懐かしさから再び手に取る需要に応えるものであり、『ヤットデタマン』が単なる一過性のアニメではなく、世代を超えて愛されるコンテンツであることを証明しています。
結果として『ヤットデタマン』は、シリーズ全体の中でも大きな転換点となった作品であり、「タイムボカンシリーズ」の実験精神を最も体現した一本といえるでしょう。
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■ あらすじ・ストーリー
『ヤットデタマン』の物語は、現代に暮らす少年少女が突然未来の王国の権力争いに巻き込まれていくという、大きなスケール感を持ちながらもコミカルな要素に満ちています。舞台は1980年代初頭の日本。私立探偵事務所で働く15歳の少年・時ワタルと、同じく助手の少女・姫栗コヨミは、のんびりとした日常を送っていました。彼らの前に突如として現れたのが、未来のナンダーラ王国からやってきたカレン姫です。
ナンダーラ王国では国王が亡くなり、次の王を決めるための「王位継承の儀」が始まろうとしていました。その条件は、伝説の鳥「ジュジャク」を捕まえること。ジュジャクは時空を超えて飛び回る神秘の存在であり、それを手にした者だけが正統な王として認められるのです。カレン姫は遠い祖先であるワタルとコヨミに助けを求め、彼らを未来と過去をつなぐ冒険へと誘います。
しかし、王位を巡る戦いにはもう一組のライバルが存在しました。それがスカプラ王朝の末裔・ミレンジョ姫とその弟・コマロ王子、そして彼女の家臣たちです。スカプラ王朝はかつて栄華を誇ったものの、賄賂や腐敗で滅びた一族。彼らはナンダーラ王国を奪い返そうと野心を抱き、コマロを王位に就けるべくジュジャクを狙っていました。ミレンジョ一味はコケマツ、スカドン、さらに未来からやってきた伊達男ドンファンファン伯爵を引き連れ、コメディタッチでありながら執拗にカレン姫一行を妨害します。
物語は基本的に一話完結のスタイルで進行します。毎回、カレン姫たちがジュジャクを探して旅をする中で、ミレンジョ一味が奇抜なメカを繰り出し妨害。ワタルはカレン姫から授けられた力でヤットデタマンに変身し、悪玉メカと戦います。そして最終的には大巨神を召喚し、迫力のロボットバトルへと発展するのが定番の流れです。
大巨神はただの戦闘マシンではありません。「罪を憎んで人を憎まず」をモットーに掲げ、悪役たちがどれだけ悪事を働いても、最初は情けをかけて去っていく慈悲深さを見せます。しかし、悪役たちがその優しさを裏切り陰口を叩くと、大巨神の額にある日輪が光り、「仏の顔も三度」とばかりに怒りが爆発。「大激怒」と呼ばれる強烈な一撃で悪玉メカを粉砕するのです。この流れは毎回のお約束でありながらも、子どもたちは「今週はどんな風に怒るのか」と期待して待っていたものでした。
ワタル自身の成長も物語の大きな軸です。普段は臆病で失敗ばかりの少年ですが、ヤットデタマンに変身すると自信に満ち、紳士的で勇敢なヒーローになります。この二面性は子どもたちにとって強い共感を呼び、「自分も頑張れば変われる」という希望を与えました。また、コヨミとの掛け合いもコミカルで、ツンデレ気味な彼女がワタルを引っ張っていく姿は、シリーズに明るいテンポを加えています。
一方、ミレンジョ一味は敵でありながら愛される存在でした。彼らは毎回負けると分かっていながら悪巧みを仕掛け、滑稽な失敗を繰り返します。特にコマロ王子の「おねえたま」という呼び方や、ドンファンファン伯爵のキザな振る舞いは、子供たちにとって格好の笑いどころでした。ギャグとシリアスの絶妙なバランスが、この作品を単なるロボットアニメやギャグアニメの枠を超えた存在にしています。
終盤に近づくと、物語はよりシリアスさを増していきます。ジュジャクの行方が次第に明らかになり、王位継承の争いはクライマックスへと突入します。ワタルとコヨミ、カレン姫の関係性も深まり、ただの冒険仲間から強い絆で結ばれる存在へと成長していきます。最終話では、数々の戦いを経て彼らがたどり着く結末が描かれ、ギャグと笑いに包まれながらも感動的な幕引きがなされました。
『ヤットデタマン』のストーリーは、タイムトラベルという壮大な題材を扱いながらも、家族で楽しめる軽快さを失わずに貫いた点に最大の魅力があります。子供たちにとっては「笑って楽しめるアニメ」、そして大人にとっては「時代風刺や人間模様を読み取れる作品」。それこそが40年以上経った今でも語り継がれる理由なのです。
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■ 登場キャラクターについて
『ヤットデタマン』の大きな魅力のひとつは、個性豊かなキャラクターたちが織りなす人間模様にあります。主人公や仲間たちはもちろん、敵役であるミレンジョ一味までもが、ただの「悪役」や「引き立て役」に留まらず、それぞれが濃い性格と独特の存在感を持ち、物語を鮮やかに彩っています。ここでは主要キャラクターたちを詳しく紹介しながら、彼らの活躍や視聴者からの印象を掘り下げてみましょう。
● 時ワタル/ヤットデタマン
主人公のワタルは、遠山探偵事務所で助手として働く15歳の少年です。普段の彼は少しドジで臆病、さらに思春期らしいお調子者の部分もあり、どこか頼りない少年として描かれています。けれども、物語が進む中で見せる「勇気を振り絞った瞬間」は視聴者の心をぐっと掴みました。
そんな彼がヤットデタマンに変身すると、まるで別人のように紳士的で自信に満ち溢れたヒーローになります。登場時の決め台詞「驚き桃の木山椒の木! 一気に時を渡り切り、ついに出た出たやっと出た! 地球のアイドル・ヤットデタマン!」は子供たちにとって強烈なインパクトを残し、学校で真似する子が続出しました。
武器は「バラ手裏剣」と「ドレミ剣」。特にドレミ剣は相手を突くとスタンプのように「Y」の印が押されるユニークな仕掛けで、ギャグ性と必殺技らしさを兼ね備えていました。ワタルの臆病さとヤットデタマンの勇敢さ、この二面性が物語を面白くし、また「自分も普段は弱くても、いざという時には強くなれる」という希望を子供たちに与えていたのです。
● 姫栗コヨミ
ワタルと同じく探偵事務所で働く15歳の少女で、本作のヒロインです。勝ち気でしっかり者の性格をしており、どこか頼りないワタルを引っ張っていく存在でもあります。彼女の頭髪は栗色のカーリーヘアで、その見た目もあってか大人っぽく描かれる場面も少なくありません。
物語上では、大巨神を呼び出す「錠前」を受け継いでおり、ワタルの持つ「鍵」と組み合わせることで大巨神を召喚します。つまり、彼女がいなければ大巨神は登場できないため、ストーリー進行に不可欠な存在なのです。
また、コヨミとワタルの掛け合いは視聴者にとって定番の楽しみでした。ドジを踏むワタルにツッコミを入れる姿や、時には心配そうに寄り添うシーンは、コメディと青春ドラマを両立させる重要な役割を果たしていました。
● カレン姫
未来のナンダーラ王国からやってきた王女であり、物語の発端を担う人物です。18歳という設定で、金髪に白い肌を持つ外見は、ヨーロッパ的なお姫様像を思わせるものでした。彼女は父王の死をきっかけに王位継承争いに巻き込まれ、その証であるジュジャクを探すために祖先であるワタルとコヨミを頼ります。
高貴な立場でありながら傲慢ではなく、むしろ誠実で仲間思いの姿勢が視聴者から好感を集めました。彼女の存在によって、物語は単なるギャグアニメではなく、未来を背負う者たちの真剣な戦いという一面を持つことができたといえるでしょう。
● ダイゴロン
カレン姫に仕える力士型ロボット。口癖は「〜でごんす!」で、豪快かつ忠実な従者として描かれます。その巨体を生かした力技で仲間を守る場面が多く、彼の登場シーンでは視聴者から「頼もしい!」という声が多く上がりました。外見はユーモラスですが、心根は真っ直ぐで、作品のコミカルさを強調すると同時に、友情や忠誠の象徴でもありました。
● 遠山金五郎
ワタルとコヨミが働く探偵事務所の所長。68歳の老人ですが、元刑事という経歴を持ち、「仏の金さん」と呼ばれた過去を持っています。江戸っ子気質でありながら時折関西弁を話すなど、ユーモアのあるキャラクターです。彼は直接バトルに参加するわけではないものの、探偵としての知識や経験からアドバイスを与える立場として物語を支えます。
● ミレンジョ姫と一味
スカプラ王朝の末裔であるミレンジョ姫は、本作の悪役側のリーダー。27歳の女性で、普段はお姫様口調を使いながらも、欲望に忠実でズル賢い性格を持っています。弟のコマロを王位に就けるために執念深くジュジャクを追い求める姿は、どこか哀愁を帯びており、視聴者の間でも「憎めない悪役」として人気を集めました。
彼女を支えるのが、ジュリー・コケマツとアラン・スカドンです。コケマツは財務・食料調達担当で、河童頭に長い赤鼻が特徴的。ギャグ要員としての役割も大きく、失敗を重ねる姿が笑いを誘いました。スカドンは大柄で片言の英語と関西弁を操る大男。豪快な外見に反して間抜けな一面を見せ、ミレンジョ一味にさらなる笑いを提供しました。
さらに、未来からやってきたドンファンファン伯爵は、伊達男としてミレンジョに言い寄る存在。彼は敵役でありながらも、どこか第三者的立場で動き、独自の立ち位置を築きました。そして、ミレンジョの弟であるコマロ王子は幼いながらも王位継承権を持つ存在で、「おねえたま」と呼び慕う姿がユーモラスに描かれました。
● 大巨神
ヤットデタマンとコヨミが鍵と錠前を組み合わせて召喚する人型巨大ロボット。本作の象徴的存在であり、自我を持ち、戦闘中にも人間らしい振る舞いを見せます。慈悲深い性格を持ち、悪役たちが悔い改めたふりをすると一度は見逃しますが、陰口を叩かれると怒りが頂点に達し、「大激怒」を放つ。この一連の流れは作品のハイライトであり、視聴者は毎回この瞬間を心待ちにしていました。
● ササヤキレポーター
毎回戦闘の現場に現れ、囁くような声で実況を行うレポーター。定番のフレーズ「あっちでボソボソ、こっちでボソボソ」は子供たちの間で流行語となりました。物語の進行に直接関与することはありませんが、戦いを客観的に伝えるユニークな存在として作品を支えました。
● ナレーター
富山敬が担当したナレーションも作品の重要な要素です。「解説しよう」「解説せねばなるまい」といったお馴染みの口調は、前作から引き継がれたシリーズ伝統のスタイル。視聴者にとっては親しみやすい案内役であり、物語の進行をコミカルかつスピーディにしていました。
こうして見てみると、『ヤットデタマン』のキャラクターたちは「善」「悪」に関わらず、それぞれが物語を盛り上げる主役級の存在感を放っています。ワタルとコヨミの青春ドラマ、カレン姫の王位継承の使命、大巨神の人間味、ミレンジョ一味のドタバタ劇──すべてが合わさることで、この作品は単なる勧善懲悪アニメではなく、視聴者の心に深く残る群像劇となったのです。
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■ 主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
『ヤットデタマン』を語るうえで欠かせないのが、番組を彩った音楽の数々です。タツノコプロ作品、特に「タイムボカンシリーズ」は毎回耳に残る主題歌や挿入歌に恵まれてきましたが、本作もその例外ではありません。作詞・作曲を手掛けたのはシリーズ音楽の常連である山本正之。彼のユーモラスかつキャッチーなメロディは、作品世界と見事に融合し、40年以上経った今でもファンの記憶に強く残っています。ここでは、オープニング・エンディングを中心に、劇中で使用された挿入歌やキャラクターソングについても詳しく紹介していきましょう。
● オープニングテーマ:「ヤットデタマンの歌」
作詞・作曲:山本正之/編曲:乾裕樹/歌:トッシュ
本作の顔ともいえるオープニングテーマは、「ヤットデタマンの歌」。軽快なリズムと明るいメロディライン、そして「出た出たヤットデタマン!」というサビのフレーズは、まさに作品タイトルそのものの勢いを音楽で表現しています。
この楽曲は子どもたちの間で大流行し、学校の休み時間に口ずさまれたり、運動会や学芸会で歌われるほどでした。歌詞には「地球のアイドル」というフレーズが盛り込まれており、主人公が“身近なヒーロー”であることを強調しています。巨大ロボットや王国争いという壮大なスケールを持ちながらも、どこか親しみやすさを失わない作品世界を象徴する楽曲と言えるでしょう。
● エンディングテーマ:「ヤットデタマン・ブギウギ・レディ」
作詞・作曲:山本正之/編曲:乾裕樹/歌:鈴木ヒロミツ
エンディング曲は、一転して大人びた雰囲気を漂わせる「ヤットデタマン・ブギウギ・レディ」。歌い手は当時俳優・歌手として人気を誇った鈴木ヒロミツ。ソウルフルな歌声とリズム感のあるメロディが合わさり、作品全体のコメディタッチとは一線を画したムーディな空気を生み出しました。
この落差がまた視聴者の印象に強く残り、放送当時「主題歌は明るく楽しいのに、エンディングは妙にかっこいい」と話題になったほどです。子どもだけでなく、親世代にも「おしゃれだ」と評されることが多く、幅広い層に響いた楽曲でした。
● 挿入歌とその演出効果
『ヤットデタマン』では、劇中を盛り上げる挿入歌も数多く用意されていました。ここでは特に印象的なものを紹介します。
「ディスコ・ダイゴロン」(歌:屋良有作、ピンク・ピッギーズ)
ダイゴロンのテーマソングで、力士型ロボットである彼の豪快さとユーモラスな存在感を見事に表現しています。ディスコ風のリズムが時代を反映しており、80年代初頭の空気感を色濃く映し出しています。
「空からブタが降ってくる」(歌:山本まさゆき、ピンク・ピッギーズ)
タイトルからしてユーモラスなこの曲は、ミレンジョ一味のドタバタをさらに面白く見せる効果を持ちました。歌詞のナンセンスさと軽快なメロディは、子供たちに強烈なインパクトを与え、放送後に鼻歌として口ずさむファンも多かったといいます。
「OH! ハッピネス」(歌:曽我部和行、三浦雅子)
主人公ワタルとコヨミの声優が歌うデュエット曲。劇中の二人の関係性を象徴するような明るくポップなナンバーで、二人の距離感や青春的な雰囲気を音楽で補完していました。キャラクターの声そのままで歌うため、ファンにとっては特に印象深い一曲です。
「ヤットデタマン・ブギウギ音頭」(歌:山本まさゆき、ビクター少年民謡会)
盆踊り風のリズムに乗せたコミカルな一曲で、夏祭りシーズンにぴったりの楽曲。放送当時は地域の盆踊りで流されたこともあり、子どもたちが実際に踊りながら歌ったというエピソードも残っています。
「ミレンジョ・ララバイ」(歌:山本まさゆき)
悪役であるミレンジョ姫をテーマにした珍しいバラード調の曲。シリーズ全体でも悪役キャラにここまで感情移入させる曲は珍しく、ファンから「哀愁漂う名曲」として高く評価されています。ミレンジョの切なさや欲望の影に潜む孤独感を描き出すことで、彼女を単なるコメディキャラではなく一人の人間として感じさせる役割を果たしました。
● キャラクターソング・イメージソング
80年代初頭は、キャラクターソングという概念が徐々に広まりつつあった時代でもあります。『ヤットデタマン』でも、声優がそのままキャラクターの声で歌う楽曲がいくつか制作されました。ワタルとコヨミのデュエットや、ミレンジョ一味が歌うコミカルな曲は、当時のアニメファンにとって貴重な楽しみでした。
また、サントラLPやシングルレコードとしても多数展開され、アニメ誌での特集記事や歌詞カードのイラストなども含めて、子どもたちだけでなくアニメファン層全体に浸透していきました。
● 視聴者の反応と音楽の遺産
放送当時、音楽に対する評価は非常に高く、「オープニングを聴くと胸が躍る」「エンディングのブギウギは親が気に入っていた」など、世代を超えた感想が多く寄せられました。特にオープニングとエンディングの曲調のギャップは、当時のアニメとしては斬新であり、「二つの世界を同時に楽しめる」魅力として語り継がれています。
後年、サウンドトラックやベスト盤CD、さらにはデジタル配信でも楽曲が復刻され、現代のファンも手軽に楽しめるようになりました。これにより『ヤットデタマン』はアニメ作品としてだけでなく、音楽面でも語り継がれる存在となり、アニソン史の中でも特に重要なポジションを占めています。
『ヤットデタマン』の楽曲群は、ただのBGMや主題歌にとどまらず、キャラクターや物語に命を吹き込む存在でした。オープニングでワクワクを煽り、エンディングで余韻を残し、挿入歌でキャラクターを生き生きと描き出す。その積み重ねが、今なお鮮烈に記憶される理由なのです。
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■ 声優について
『ヤットデタマン』を特別な作品たらしめている大きな要素のひとつが、声優陣の存在です。タツノコプロ作品は元来、豪華かつ個性的な声優の起用で知られていますが、本作でもその伝統は健在でした。主人公の少年ワタルから悪役ミレンジョ一味、さらにはナレーションに至るまで、当時の一流声優陣が顔を揃え、作品のユーモアとドラマ性を支えていました。ここではキャラクターごとに担当声優を紹介し、当時の演技や視聴者の反応、さらに声優業界における位置づけについて詳しく見ていきましょう。
● 時ワタル/ヤットデタマン(声:曽我部和行)
主人公ワタルと変身後のヤットデタマンを演じたのは、曽我部和行。普段は臆病で少し頼りないワタルを、声のトーンや間の取り方で愛嬌たっぷりに表現しました。そして、ヤットデタマンに変身するとガラリと変わり、堂々とした紳士的な声色へと切り替える。この“二面性”の演じ分けが、彼の演技力の真骨頂でした。
視聴者にとっては、同じ人物とは思えないほどのギャップが面白く、また変身ヒーローとしてのカタルシスを感じさせる要因となっていました。曽我部は当時、アニメソングの歌唱やキャラクターソングの分野でも活躍しており、劇中挿入歌「OH!ハッピネス」でもコヨミ役の三浦雅子と共に歌声を披露。声優としてだけでなく歌手としても作品に深く関わった存在でした。
● 姫栗コヨミ(声:三浦雅子)
コヨミを演じたのは三浦雅子。勝気で芯の強い少女像を自然に演じ、ワタルとの掛け合いに絶妙なテンポを与えていました。彼女の声には明るさと親しみやすさがあり、子どもたちにとって「身近なお姉さん」のような存在感を放っていました。
また、コヨミのキャラクターはヒロインであると同時にツッコミ役でもあり、コミカルな場面での小気味よい言い回しは作品全体のテンポを支える重要な役割を果たしました。挿入歌を担当したことで、声優とキャラクターの一体感がさらに強まり、ファンの心に残る存在となっています。
● カレン姫(声:土井美加)
未来からやって来た王女・カレンを演じたのは土井美加。清楚で高貴な声質が、カレン姫の品格と優しさを見事に表現しました。18歳という年齢設定に相応しい落ち着きと、仲間を信じる芯の強さを声に込めることで、単なるお飾りの姫ではない“戦うヒロイン”の姿を確立しています。
当時、土井美加は『うる星やつら』の弁天など、力強い女性役で注目を集めており、そのイメージがカレン姫にも重なっていました。彼女の存在は、ギャグ中心の物語においてもシリアスな軸を維持するための大きな柱だったといえるでしょう。
● ダイゴロン(声:屋良有作)
力士型ロボット・ダイゴロンを担当したのは屋良有作。力強い低音と豪快な演技で、キャラクターのユーモラスさと頼もしさを両立させました。「〜でごんす!」という独特の口癖を力強く発するたびに、子どもたちは爆笑し、また安心感を覚えたといいます。
屋良有作はその後も数々のアニメや洋画吹替で活躍し、骨太な声優としての地位を確立しましたが、このダイゴロン役は彼の“コミカルかつ力強いキャラ”の代表例として今なお語られています。
● ミレンジョ姫(声:小原乃梨子)
悪役サイドの中心人物であるミレンジョ姫を演じたのは、名優・小原乃梨子。『ドラえもん』ののび太や『パーマン』のパーマン1号など、国民的キャラを数多く演じてきた彼女ですが、本作では一転して高飛車で野心的なお姫様を熱演しました。
小原の演技の幅広さは圧倒的で、普段の上品な口調から激情に駆られるシーンまで自在に演じ分け、ミレンジョ姫を単なるコメディキャラ以上の存在へと昇華しました。特に「〜ゾよ」という口癖は彼女の声と相まって強烈な印象を残し、視聴者に強く焼き付きました。
● ジュリー・コケマツ(声:八奈見乗児)
シリーズファンにはおなじみの八奈見乗児が演じたのはコケマツ。お調子者でずる賢いキャラを八奈見らしい軽妙な声で表現し、場面を盛り上げました。八奈見はタイムボカンシリーズでほぼ常連として出演しており、その“声”自体がシリーズの安心感を象徴する存在でもありました。コケマツも例に漏れず、子供たちにとっては「聞き慣れた悪役の声」として親しまれました。
● アラン・スカドン(声:たてかべ和也)
大男スカドンを担当したのは、これまた名優のたてかべ和也。『ドラえもん』のジャイアン役で有名ですが、本作でもその豪快な声質を活かしつつ、片言の英語と関西弁を混ぜるという難しい役どころを演じ切りました。力強さの中にコミカルさを漂わせる演技は、まさにたてかべの真骨頂であり、彼の芸風を堪能できるキャラクターとなっています。
● ドンファンファン伯爵(声:山本正之)
主題歌作詞作曲を手掛けた山本正之自身が声を当てたのが、伊達男ドンファンファン伯爵です。歌手・作曲家でありながら声優としても出演し、自作自演のような立ち位置で作品に深く関わりました。独特の軽妙な語り口とキザな雰囲気は、音楽センスとも相まって伯爵を唯一無二の存在にしています。
● コマロ王子(声:丸山裕子)
幼いコマロ王子を演じたのは丸山裕子。子どもらしい純粋さと、時折見せるわがままな一面を絶妙に演じ分けました。「おねえたま!」とミレンジョ姫に甘える声は印象的で、視聴者に強いインパクトを残しました。
● ササヤキレポーター/ナレーター(声:富山敬)
そして忘れてはならないのが富山敬。毎回戦闘シーンを囁くように実況するササヤキレポーターの独特な演技は、作品にユーモアを添えました。また、ナレーションでも「解説しよう」「解説せねばなるまい」といった名調子を披露。富山の声はまさに作品のリズムそのものであり、物語全体を引き締める重要な役割を担っていました。
● 視聴者の声優への反応
当時の子どもたちはもちろん、大人の視聴者からも「声の芝居が面白い」「耳で聞いているだけでも楽しめる」といった感想が多く寄せられました。豪華な声優陣による掛け合いは、物語に命を吹き込み、キャラクターをただの絵ではなく“生きた存在”へと昇華しました。結果として『ヤットデタマン』は、ストーリーや作画だけでなく、声優の芝居によっても高く評価される作品となったのです。
このように、『ヤットデタマン』は日本声優界の黄金期を象徴するような豪華キャストが集結し、その才能を存分に発揮した作品でした。彼らの演技があったからこそ、キャラクターは何十年経っても色あせず、多くの人々の心に残り続けているのです。
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■ 視聴者の感想
『ヤットデタマン』は放送当時から今に至るまで、多くの視聴者に強烈な印象を残した作品です。1981年から1982年というアニメ黄金期の真っただ中で生まれた本作は、子どもたちにとって「毎週の楽しみ」であり、親世代にとっては「懐かしくも新しい娯楽」でした。視聴者の感想を振り返ると、その評価は単に「面白かった」という一言では収まりきらず、作品の構造やキャラクターの造形、そして音楽や声優の芝居に至るまで多面的な評価が寄せられています。ここでは放送当時の子どもたちや大人、さらに後年リバイバルで作品を知った世代の声を整理しながら詳しく見ていきましょう。
● 子どもたちの視点からの感想
まず一番多かったのは、「毎回のバトルとギャグが楽しみだった」という声です。特に大巨神が繰り出す「大激怒」のシーンは、視聴者の子どもたちが一週間待ち望むクライマックスでした。悪役が反省したふりをしてやり過ごそうとする場面から、陰口で怒りを買って大激怒に至る流れは、わかりやすい構図でありながらもドキドキとワクワクを兼ね備えており、「今週はどんな大激怒になるんだろう」と子どもたちは目を輝かせていました。
また、オープニングテーマ「ヤットデタマンの歌」を口ずさみながら通学したり、エンディング曲を真似て踊ったりする子どもも多く、主題歌は生活の一部に溶け込んでいました。中には学校の休み時間に友達同士で「驚き桃の木山椒の木!」と決め台詞を叫ぶ遊びが流行したというエピソードも残されています。
● 親世代の感想
当時の保護者や大人の視聴者からは、「子どもと一緒に安心して見られる番組」という評価が多く寄せられました。ギャグ要素が豊富で暴力描写も過度ではなく、教育的に問題がない安心感が支持されました。それでいて、王位継承を巡るシリアスなストーリーラインや大巨神の人間味は、大人にとっても考えさせられる部分が多く、「ただの子ども向けアニメではない」と評価されていたのです。
特に大巨神の「罪を憎んで人を憎まず」というモットーに共感した大人は多く、視聴者の間では「子どもに見せたいアニメ」「優しさと厳しさを教えてくれる作品」として語られることもありました。
● キャラクターに対する感想
ワタルの臆病さとヤットデタマンに変身したときのギャップは、「自分も普段は弱いけど頑張れる」という子どもたちの共感を呼びました。一方で、コヨミの勝気でしっかり者な姿は、女子の視聴者にとって憧れの存在でした。「コヨミみたいに強くて頼れる女の子になりたい」という声は当時の少女誌にも掲載されていたほどです。
悪役サイドに関しても、ミレンジョ姫の「おねえたま」エピソードや、コケマツとスカドンの掛け合いは「毎回笑わせてくれる」と評判でした。敵役でありながら憎めない存在として親しまれ、「ミレンジョ一味がいなければ物足りない」という感想も多く見られました。
● 音楽・演出への感想
音楽に関しては、当時の子どもたちは「ノリがよくて元気が出る」という素直な反応を示しましたが、大人の視聴者からは「オープニングとエンディングの曲調の落差が面白い」「アニメにしては洗練された楽曲だ」と高く評価されました。特に鈴木ヒロミツが歌うエンディングは「子ども番組の域を超えている」として注目を集めました。
演出面でも、ササヤキレポーターの独特な実況が「新鮮で面白い」と人気を博し、「あっちでボソボソ、こっちでボソボソ」が流行語となるほどでした。子どもたちにとっては真似したくなる要素であり、大人にとっては風刺的なユーモアを楽しむ要素でもあったのです。
● 放送終了後の感想と再評価
放送終了後も『ヤットデタマン』は長らくファンに語り継がれました。1990年代にVHSやLD、2000年代以降にDVDやBlu-rayが発売されると、当時の子どもが大人になって改めて視聴し、「思っていた以上にストーリーがしっかりしている」「子どもの頃には気づかなかった深みがある」と再評価する声が相次ぎました。
特に大巨神の存在については、単なるギャグキャラと思っていたが、改めて見ると「人間以上に人間らしいロボット」だったことに気づかされるという声が多くありました。また、ミレンジョ姫のララバイやコマロ王子の描写からは「悪役であっても背景に哀愁や人間味がある」と評価され、大人の鑑賞にも耐えうるアニメとして支持されました。
● 世代を超えた感想
インターネットが普及した2000年代以降は、SNSや掲示板で『ヤットデタマン』に関する感想が再び盛り上がりました。「子どもの頃に見ていた親が今は自分の子どもと一緒に見ている」という声や、「配信サービスで初めて知った若い世代が面白いと感じた」という意見も多く、世代を超えた支持を獲得しています。
また、アニソンイベントや懐かしアニメ特集でも『ヤットデタマン』の楽曲や映像が流れると会場が大いに盛り上がり、観客が一斉にオープニングを合唱する光景も珍しくありません。こうした光景は、この作品が時代を超えて愛されていることを如実に物語っています。
総じて『ヤットデタマン』への感想は、子どもにとっては「楽しいギャグとドキドキのロボットバトル」、大人にとっては「人間味とメッセージ性を兼ね備えた娯楽」という二重構造に支えられていました。そのため、放送から40年以上経った今も色あせることなく、ファンの心に刻まれ続けているのです。
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■ 好きな場面
『ヤットデタマン』は全52話を通じて、一話ごとに異なるギャグや冒険、そして迫力の戦闘を繰り広げました。その中で視聴者の心に強烈に残った「名場面」や「好きな場面」は数多く存在します。子どもたちは痛快で笑えるシーンに夢中になり、大人はコミカルさの中に潜む皮肉やメッセージに唸らされました。ここでは、当時の視聴者や後年ファンが語る「印象的なシーン」をいくつかの切り口で整理しながら、作品の魅力を掘り下げていきます。
● 1. 大巨神の「大激怒」の瞬間
最も多くのファンが「毎回楽しみにしていた」と語るのが、大巨神の「大激怒」シーンです。悪役たちが毎度反省したふりをして許されるものの、陰で悪口を言ったり油断したりすることで額の日輪が点滅し、ついに怒りが爆発。「仏の顔も三度!」とばかりに強烈な一撃を放つ流れは、本作の代名詞ともいえる場面でした。
子どもたちにとっては「いつ怒るのか」という緊張感がたまらず、大人にとっては「人の善意を裏切ることの愚かさ」を分かりやすく伝える寓話的なシーンでもありました。ファンの間では「今日はどんな理由で大激怒するんだろう」と放送前から予想する遊びが流行ったとも言われています。
● 2. ヤットデタマン初登場の決め台詞
第1話でワタルが初めてヤットデタマンに変身し、名乗りを上げるシーンも視聴者の心に深く刻まれています。
「驚き桃の木山椒の木! 一気に時を渡り切り、ついに出た出たやっと出た! 地球のアイドル・ヤットデタマン!」
という派手な口上は、放送当時の子どもたちにとって強烈な憧れでした。学校で友達同士がこのセリフを真似し、ヒーローごっこをする姿は日常の一コマだったといいます。
また、普段は臆病で頼りないワタルが、変身すると堂々とした口調に変わるギャップも名場面のひとつ。これは“子どもが内面に秘める可能性”を象徴しており、成長や勇気を体現した瞬間としてファンに語り継がれています。
● 3. ミレンジョ一味のドタバタ敗北劇
敵役であるミレンジョ姫、コケマツ、スカドン、コマロ王子の敗北シーンは毎回定番ながら飽きられることがなく、むしろ「楽しみにしていた」という声が多数寄せられました。彼らがメカで挑み、大巨神に敗れ、最後は空高く吹き飛ばされて「やーらーれーたー!」と叫ぶ場面は、タイムボカンシリーズお約束の演出です。
しかし『ヤットデタマン』ではその過程に工夫が加えられており、敗北の仕方やギャグの内容が毎回異なるため、視聴者は「今日はどんな失敗をするのか」とワクワクしていました。コマロ王子が半泣きになりながら「おねえたま~!」と叫ぶ姿は、ギャグでありながら妙に可愛らしく、子どもたちの笑いを誘いました。
● 4. コヨミとワタルの掛け合い
ヒロインのコヨミとワタルのやり取りも人気の場面でした。ワタルの失敗をコヨミが叱りつけるシーンや、逆にコヨミが窮地に陥りワタルが勇気を出して助けるシーンは、コメディと青春ドラマを同時に味わえるものでした。特に印象的なのは、コヨミがワタルの臆病さに呆れながらも最後には彼を信じて背中を押す瞬間で、ここに「仲間の絆」という本作のメッセージが凝縮されていました。
視聴者からは「二人の関係は子どもの恋心を想像させる」「漫才のようで面白い」といった感想が多く寄せられ、今見ても微笑ましい名場面として記憶されています。
● 5. ササヤキレポーターの実況シーン
「あっちでボソボソ、こっちでボソボソ」というフレーズでおなじみのササヤキレポーターの実況は、毎回の戦闘シーンを特別なものにしていました。囁き声で戦いを中継するユニークさは他作品にはない独自の演出であり、子どもたちはその口調を真似して遊ぶのが大好きでした。
一方、大人の視聴者にとっては「大げさな実況中継文化」を皮肉る風刺としても楽しめる要素であり、世代によって受け止め方が違った点も面白い部分でした。こうしたシーンは、作品が単なる子ども向けに留まらず、幅広い層に支持された理由のひとつといえるでしょう。
● 6. 悪役側の人間味が垣間見える場面
毎回ギャグ要員として描かれるミレンジョ一味ですが、時折見せる人間味のあるシーンも視聴者の心に残っています。たとえば、コマロ王子が本気で泣き出し、ミレンジョ姫が優しく慰める場面。あるいは、失敗ばかりのコケマツやスカドンに対して、姫が「仕方ないゾよ」と労う場面などです。
これらのシーンは「単なる悪役ではなく、血の通ったキャラクターである」と感じさせ、ファンの間で「憎めない存在」として語られる要因となりました。
● 7. 最終話の感動的な結末
シリーズを通じて最も心に残ったと語るファンが多いのは、やはり最終話のクライマックスです。長い旅を経てジュジャクを巡る戦いが決着を迎える場面では、ギャグとコメディに彩られた作品でありながらも、視聴者を感動させる真剣さがありました。ワタルとコヨミの成長、カレン姫の使命、大巨神の存在意義──それらが一つに結びついたラストは、多くのファンに「見てよかった」と強く感じさせました。
● 視聴者にとっての「好きな場面」とは
こうした名シーンの数々を通じて分かるのは、『ヤットデタマン』が「笑い」「ワクワク」「感動」を同時に提供できる稀有な作品であったということです。子どもたちは派手な戦闘やギャグに夢中になり、大人はそこに込められた人間ドラマや風刺を楽しむ。だからこそ視聴者の心に刻まれ、「好きな場面」を挙げると人によってまったく違うエピソードが出てくるのです。
それはつまり、この作品が一面的な楽しみではなく、多層的な魅力を備えていたことの証明でもあります。
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■ 好きなキャラクター
『ヤットデタマン』の人気を語る際、欠かせないのが登場キャラクターたちへの愛着です。本作には、勇気と成長を体現するヒーローから、笑いを提供する悪役たちまで、実に多彩なキャラが揃っていました。視聴者の間で「誰が一番好きか」をめぐる議論は尽きず、それぞれのキャラクターに強い支持層が存在しました。ここでは、ファンの心に残るキャラクターと、その理由を掘り下げて紹介していきましょう。
● ヤットデタマン(ワタル)
主人公ワタルが変身するヤットデタマンは、多くの子どもたちにとって「憧れのヒーロー」でした。普段は臆病で頼りないワタルが、変身後は堂々とした紳士的な態度に変わり、颯爽と戦う姿は「自分も頑張れば変われる」という夢を与えてくれました。
特に人気だったのは、名乗り口上とドレミ剣のユニークな必殺技。印を押すというコミカルな要素を含みながらも、確かに敵を倒す力を持つという絶妙なバランスは、子どもたちに強いインパクトを残しました。
ファンからは「ワタルの弱さも含めて好き」「変身することで自信を持つ姿に共感する」といった声が多く、単なるスーパーヒーロー以上に人間味のあるキャラクターとして支持されています。
● 姫栗コヨミ
コヨミは特に女子視聴者から圧倒的な支持を集めました。勝ち気でワタルを引っ張る姿、時に厳しく叱り、時に優しく励ます姿は「理想のヒロイン」として愛されました。
彼女は単なるヒーローのサポート役ではなく、大巨神を呼び出す重要な役割を担っており、物語の中心に立つキャラクターでした。そのため、「女性キャラが活躍できるアニメ」として当時の少女たちからも高く評価されています。
「コヨミのようにしっかり者になりたい」「ワタルとの掛け合いが楽しい」という感想は、今でもファンの思い出として語られます。
● 大巨神
人型巨大ロボットの大巨神は、ロボットアニメブームの真っただ中においてもユニークな存在でした。視聴者人気の理由は「ロボットなのに人間臭い」という点。偏平足を気にしたり、涙を流したり、義理人情を重んじる姿は、多くのファンに親近感を抱かせました。
特に「大激怒」のシーンは大人気で、「毎回、大巨神が怒る瞬間を楽しみにしていた」という声が多数あります。ロボットでありながら情に厚いキャラクター性は、他の作品には見られない魅力であり、「シリーズで一番好きなロボットは大巨神」というファンも少なくありません。
● ミレンジョ姫
悪役でありながら高い人気を誇ったのがミレンジョ姫です。高飛車で野心的な性格を持ちながらも、どこか憎めないコミカルさを兼ね備え、「愛すべき悪役」として支持されました。
特に子どもたちからは「美人なのに変なことばかりするのが面白い」「怒った顔が好き」といった感想が寄せられ、大人からも「人間味があって魅力的」と高評価。
シリーズを代表する悪役像を塗り替えたキャラクターであり、彼女がいなければ物語の楽しさは半減していたといっても過言ではありません。
● コマロ王子
「おねえたま~!」と叫ぶコマロ王子も、多くの視聴者に愛されました。幼いながらも王位継承権を持ち、姉と共にジュジャクを狙う姿は滑稽でありながら、時に真剣さも漂わせます。そのアンバランスさがキャラクターとしての魅力になっていました。
ファンの間では「泣き叫ぶコマロが可愛い」「憎めないマスコットキャラ」として語られ、敵役でありながら人気投票で上位に入るほどでした。
● ジュリー・コケマツ & アラン・スカドン
この二人の掛け合いは「お笑いコンビ」としての人気が高く、視聴者の笑いを誘いました。コケマツのずる賢さとスカドンの豪快な天然キャラが絡み合うことで、毎回ユニークな騒動を引き起こしました。
特に大人のファンからは「漫才を見ているようで面白い」「声優の掛け合いが絶妙」と絶賛され、子どもから大人まで幅広い層に支持された名コンビでした。
● ササヤキレポーター
脇役でありながらカルト的な人気を誇ったのが、ササヤキレポーターです。囁くような声で実況を続けるスタイルは当時のアニメには珍しく、その独特の存在感は視聴者の耳に焼きつきました。「あっちでボソボソ、こっちでボソボソ」は子どもたちの間で流行語となり、真似をする遊びも広まりました。
「彼がいるだけで戦闘シーンが楽しくなる」という声も多く、脇役でありながら視聴者の記憶に強烈に残るキャラクターでした。
● 視聴者の「推しキャラ」傾向
放送当時、雑誌やアンケートで実施された人気投票では、ヤットデタマンと大巨神が常に上位を占めましたが、ミレンジョ姫やコマロ王子といった悪役サイドも高順位に入りました。これは、「悪役であっても魅力的に描かれていた」シリーズならではの現象であり、『ヤットデタマン』がただの勧善懲悪ではなく、キャラクター群像劇として愛された証拠でもあります。
総じて『ヤットデタマン』は、誰か一人ではなく“全員が主役級”の輝きを放った作品でした。ヒーロー、ヒロイン、ロボット、悪役──そのすべてがファンの心を掴み、「好きなキャラクター」を一人に絞るのが難しいほど多彩で魅力的だったのです。
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■ 関連商品のまとめ
『ヤットデタマン』は、放送当時から今日に至るまで数多くの関連商品が展開されてきました。1981年から1982年にかけてのオンエア時期は、キャラクターグッズやアニメソングのレコードが子どもたちの間で爆発的に普及し始めた時代であり、その波に乗って本作も豊富な商品展開を行いました。ここでは、映像ソフト、書籍、音楽、ホビーやおもちゃ、食玩・文房具、そしてコレクターズアイテムまで、ジャンルごとにまとめて紹介します。
● 映像関連商品
『ヤットデタマン』の放送当時はまだ家庭用ビデオデッキが普及し始めた頃であり、アニメの公式VHS化は子どもにとって夢のような出来事でした。1980年代半ばには一部エピソードを収録したVHSが発売され、主に人気の高い初回や決め台詞、大巨神の「大激怒」回などが選ばれました。
その後1990年代に入ると、コレクター需要に応える形でレーザーディスク(LD)版がリリースされ、映像の保存性や特典映像によってファンの支持を得ました。そして2000年代には全52話を収録したDVD-BOXが登場。高画質で全話が楽しめるとあってファンの間で大きな話題となり、限定版にはブックレットやノンクレジットOP/EDが収録されていました。
2010年代にはBlu-ray化も実現し、リマスター版として当時の色彩を鮮やかに再現。デジタル修復によって、大巨神の迫力あるバトルやギャグ満載のシーンが蘇り、リアルタイム世代と新しいファンの両方を喜ばせました。
● 書籍関連
放送当時はアニメ誌が全盛期で、『アニメージュ』『アニメディア』『OUT』などで頻繁に特集が組まれました。キャラクター人気投票や声優インタビュー、さらには描き下ろしポスターが付録としてつくこともあり、子どもから大人まで多くのファンを楽しませました。
また、「アニメコミックス」と呼ばれるフィルムブック形式のコミックも出版され、アニメのシーンをそのままコマ割りしてセリフを載せた構成で、テレビを見られない時に何度も読み返すファンが続出しました。
さらに、設定資料や美術設定を収録したムック本も登場。キャラクターの設定画や大巨神のメカデザイン、各話のストーリーダイジェストをまとめたファンブックは、当時の子どもたちにとって「宝物」のような一冊だったと語られています。
● 音楽関連
『ヤットデタマン』の音楽は放送当時から非常に人気が高く、オープニング・エンディングのシングルレコードはオリコンチャートにランクインしたこともありました。「ヤットデタマンの歌」(歌:トッシュ)や「ヤットデタマン・ブギウギ・レディ」(歌:鈴木ヒロミツ)はEP盤(ドーナツ盤)で発売され、子どもたちはレコードプレーヤーで繰り返し聴いていました。
挿入歌やキャラソンを収録したアルバムも複数リリースされ、特に「ディスコ・ダイゴロン」や「ミレンジョ・ララバイ」は人気が高く、アニソンイベントでも定番として取り上げられます。90年代以降はCD化され、2000年代にはベスト盤として再発売。近年ではデジタル配信でも入手可能となり、世代を超えて楽曲が楽しめるようになりました。
● ホビー・おもちゃ関連
バンダイを中心に、さまざまな玩具が展開されました。代表的なのは「大巨神」の合体ロボ玩具。ダイキャストを使った重厚な超合金シリーズとして販売され、変形や合体ギミックが子どもたちを夢中にさせました。現在でもオークションや中古市場で高値で取引される人気アイテムです。
また、ソフビ人形やプラモデルも豊富に発売。ワタルやコヨミ、ミレンジョ一味をデフォルメしたソフビは、ガシャポンや食玩でも展開され、子どもたちが小遣いで手に入れられる身近なグッズとして親しまれました。さらに、ぬいぐるみやキーホルダー、シールといった日常的に使えるグッズも多く展開され、学校生活の中に『ヤットデタマン』を持ち込む子どもたちが大勢いました。
● ゲーム関連
当時の人気アニメらしく、すごろく形式のボードゲームが発売されました。ルーレットやサイコロを使い、ジュジャクを探す旅を再現するもので、途中でミレンジョ一味が仕掛けるイベントマスなどもあり、ファンにはたまらない内容でした。
その後、パズルやトランプなどの小型ゲームも発売され、アニメを見ない時間でも『ヤットデタマン』を楽しめる仕掛けが多く作られていました。電子ゲーム機への直接展開は少なかったものの、後年ファンアイテムとして同人ゲームや復刻企画が生まれ、ゲームとしての楽しみ方も広がっています。
● 食玩・文房具・日用品
アニメグッズとして定番の文房具も、『ヤットデタマン』は充実していました。下敷き、鉛筆、消しゴム、筆箱、ノートなど、学用品一式がキャラクターイラスト入りで販売され、学校生活の中でファンは常に作品と一緒に過ごすことができました。特にコヨミやカレン姫がデザインされた文房具は女の子に大人気で、シールや手帳はコレクションアイテムとして重宝されました。
食玩では、キャラクター消しゴムやシール付きのお菓子が展開。駄菓子屋で買えるチューインガムやチョコにランダム封入されるグッズは、コレクション熱を煽り、友達同士で交換する遊びが流行しました。
● 総括
『ヤットデタマン』関連商品は、アニメファンや子どもたちの生活に深く根付く形で展開されました。映像ソフトや音楽といった“記録”だけでなく、文房具やお菓子といった“日常用品”にまで広がったことで、当時の子どもにとっては常に身近にある存在だったのです。
さらに、後年のDVD・Blu-ray化や復刻グッズの発売によって、大人になったファンが再び手に取る機会が増え、世代を超えた人気を獲得しました。関連商品の多様さは、そのまま『ヤットデタマン』という作品の幅広い魅力を物語っているのです。
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■ オークション・フリマなどの中古市場
『ヤットデタマン』は1981年から1982年にかけて放送された作品であり、40年以上の時を経た現在でも多くのファンに支持され続けています。そのため関連商品は、当時子ども時代に夢中になった世代の「懐かしさ需要」と、新たに作品を知った若いアニメファンの「収集欲求」の両方を背景に、オークションやフリマアプリ、中古ショップで根強い人気を誇っています。ここでは、商品ジャンルごとに中古市場での傾向や取引価格、コレクターの間での評価を詳しく整理してみましょう。
● 映像関連(VHS・LD・DVD・Blu-ray)
まず最も人気が高いのは、映像ソフトです。
1980年代に一部発売されたVHSは、セル版・レンタル落ちを問わずコレクターの間で需要があります。状態の良いものは1本2,000〜4,000円前後で取引され、特に第1巻や最終巻は「思い出のエピソードを収録している」として高額になりやすい傾向があります。未開封のVHSはさらに希少で、1万円を超えるケースも見られます。
1990年代に登場したレーザーディスク(LD)は、映像マニア層に人気です。LDはディスクの保存状態に左右されますが、1枚3,000〜6,000円程度が相場。全巻揃ったコンプリートセットは2〜3万円で落札されることもあります。
2000年代に発売されたDVD-BOXはプレミア化が進んでおり、保存状態が良ければ1万5,000〜2万5,000円前後で取引されます。特典ブックレットやケースが揃っている完品は特に人気で、マニア同士の競り合いによって価格が高騰するケースも。
2010年代にリリースされたBlu-ray BOXは、現在も流通数が少なく、定価以上で取引されることも珍しくありません。新品未開封であれば3万円以上の値が付くこともあり、「最高画質で楽しめる決定版」としてコレクター垂涎の的となっています。
● 書籍関連(アニメ誌・ムック本・アニメコミックス)
書籍関連では、当時のアニメ誌に掲載された特集記事や付録ポスターが人気です。『アニメージュ』や『アニメディア』の1981〜82年号は、状態によって1冊1,500〜3,000円で取引されることが多いです。特に人気キャラの表紙や描き下ろしピンナップ付きの号は高値がつきやすく、オークションでは激しい入札合戦になることもあります。
また、フィルムコミック形式で出版された「アニメコミックス」は今や入手困難で、1冊2,000〜5,000円の価格帯。設定資料集やファンブックは保存状態によって1万円近い値がつくこともあり、シリーズ全体を網羅したコレクターには欠かせないアイテムです。
● 音楽関連(EP・LP・CD)
アニソン人気の高まりもあって、『ヤットデタマン』の音楽関連商品は中古市場でも活発です。
オープニング「ヤットデタマンの歌」やエンディング「ヤットデタマン・ブギウギ・レディ」が収録されたEP盤(ドーナツ盤)は、当時子どもたちが買って針を落としたものが多く、盤面にキズが残っていることが多いのですが、それでも2,000〜4,000円前後で取引されています。美品や帯付きの完品は1万円を超えることもあり、アニソンレコード市場でも高い人気を誇ります。
挿入歌を含むLPレコードやサウンドトラックは、CD化前の音源を求めるファンから支持され、相場は4,000〜7,000円程度。2000年代に発売されたCD版は比較的安価で1,000〜2,500円ほどですが、初回限定のブックレット付きはプレミア価格となり、5,000円以上で取引されることも。
● ホビー・おもちゃ関連
ホビー市場では「大巨神」の玩具が圧倒的に人気です。
バンダイから発売された超合金の「大巨神」は、当時定価数千円でしたが、今では状態次第で2万〜5万円の値が付きます。箱付き・未使用品はさらに価値が高く、10万円近くにまで跳ね上がることも。これはロボットアニメファンとタツノコファン両方のコレクション対象となっているためです。
また、ソフビ人形や食玩のフィギュアは1体1,000〜3,000円程度。ガシャポンのミニフィギュアはコンプセットで1万円前後に達する場合があります。ぬいぐるみやキャラ消しゴムも人気で、特にミレンジョ一味のデフォルメぬいぐるみは珍品として高額取引される傾向があります。
● ゲーム・ボードゲーム関連
当時販売された「ヤットデタマンすごろく」や「ボードゲーム」は、子ども向け商品でありながら今では希少価値が高まっています。サイコロや駒、説明書が揃っている完品は5,000〜1万円で落札されることもあり、欠品がある場合でも2,000〜3,000円程度で取引されています。
また、トランプやカードゲームも一部コレクターの間で人気があり、未使用品は5,000円以上で取引されるケースも見られます。
● 文房具・食玩・日用品関連
当時、子どもたちが日常的に使っていた文房具や食玩も今では「昭和レトロ」として再評価されています。
鉛筆、下敷き、消しゴム、筆箱といった文房具類は、未使用品や台紙付きの状態であれば1,500〜5,000円の価格帯。特にカレン姫やコヨミがデザインされたものは女性コレクターから人気があります。
食玩として発売されたシール付き菓子やキャラ消しゴムは、パッケージ付きで残っていればプレミア級の価値を持ち、1万円以上で取引されることも。実用的な日用品(弁当箱やコップ、歯ブラシなど)は現存数が少なく、希少性が高いため価格が高騰しやすいジャンルです。
● 総括
『ヤットデタマン』関連商品の中古市場は、作品の持つ多層的な魅力をそのまま反映しています。映像ソフトは「作品をもう一度見たい」層、音楽やレコードは「アニソン文化をコレクションしたい」層、超合金や玩具は「昭和ロボット文化を集めたい」層に支持され、それぞれ異なるファンが熱心に追い求めています。
価格帯は数百円から数十万円まで幅広く、状態や付属品の有無によって大きく変動しますが、総じて言えるのは「放送から40年以上経った今も高い需要を誇る」ということです。オークションサイトやフリマアプリでの取引は活発であり、再評価の波に乗って価格がさらに上昇する傾向も見られます。
『ヤットデタマン』は単なる懐古アイテムではなく、今も収集家やアニメファンを魅了し続ける存在なのです。
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