『牧場の少女カトリ』(1984年)(テレビアニメ)

牧場の少女カトリ 8 [ アウニ・ヌオリワーラ ]

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【原作】:アウニ・ヌオリワーラ
【アニメの放送期間】:1984年1月8日~1984年12月23日
【放送話数】:全49話
【放送局】:フジテレビ系列
【関連会社】:日本アニメーション

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■ 概要

『牧場の少女カトリ』は、1984年1月8日から12月23日までフジテレビ系列で全49話が放送されたテレビアニメであり、日本アニメーションが手掛ける「世界名作劇場」シリーズの第10作目として位置づけられています。毎週日曜日のゴールデンタイムにあたる19時30分から20時までの時間枠で放送され、家族揃って視聴されることを前提に企画された作品でした。そのため、子どもが楽しめる物語性を保ちながらも、大人にとっても心に響くようなテーマが丁寧に描き込まれています。

原作はフィンランドの女性作家アウニ・ヌオリワーラが1930年代に発表した児童文学『牧場の少女』で、作者の祖母の実体験をベースに執筆されたことから、単なる創作物語ではなく歴史的事実を背景に持つ点が大きな特色です。舞台は20世紀初頭のフィンランド農村。物語の中心にいる少女カトリは、まだ幼いながらに厳しい労働環境の中で成長していく姿を描かれており、単なるファンタジーや娯楽作品とは異なる、リアルな時代背景と生活感を持つドラマ性が備わっています。

放送当時の日本社会においては、前年に放送されたNHK朝の連続テレビ小説『おしん』が空前の大ヒットを記録し、子どもながらに苦労を背負うヒロイン像が国民的共感を得ていました。その影響もあって『牧場の少女カトリ』は新聞や雑誌で「西洋版おしん」「アニメ版おしん」と紹介されることも多く、注目を集めました。特に主人公カトリの勤勉さ、逆境に屈しない強さ、母の帰りを待ち続ける健気な心は、多くの視聴者に「自分の子ども時代を重ね合わせた」「親として胸が締め付けられた」といった感情を抱かせるほどの説得力を持っていました。

制作スタッフ陣も豪華で、シリーズ構成や脚本には児童文学や海外文学の翻案経験を積んだ脚本家が参加し、原作に忠実でありながら日本の視聴者が理解しやすい表現にアレンジされています。美術面でも、雪原や湖畔、農場の佇まいなど北欧特有の風景が丁寧に描かれ、見る人を遠い異国へと誘いました。動物たちとの交流も重要な要素であり、特にカトリと共に行動する犬アベルは、忠実な相棒であると同時に視聴者に安心感を与える存在となっています。

本作が持つ大きな意義は、「労働」と「家族愛」の両立を描いた点にあります。当時の児童向けアニメには冒険や友情をテーマとした作品が数多く存在しましたが、子どもが家族を支えるために汗を流す姿を正面から描く作品は多くありませんでした。『牧場の少女カトリ』は、勤勉であることや困難に耐えることが人を強くするという普遍的な価値観を、物語を通じて訴えかけました。このメッセージ性は、放送から数十年経った現代においても色褪せることなく、多くの人々の胸に響き続けています。

放送終了後も作品は様々な形で再評価されました。特に2001年に発売されたDVD全12巻セットは、往年のファンにとって貴重なコレクションアイテムとなり、映像の保存と再視聴を可能にしました。また、世界名作劇場の他作品と同様に、国内外で一定の評価を得ており、北欧文学の魅力を日本に伝える文化的架け橋ともなっています。

総じて『牧場の少女カトリ』は、華やかさよりも質実剛健さを前面に押し出した異色作といえます。その素朴で誠実な作風は、子ども時代の苦労や労働を通じた成長を真摯に描いた名作として、世界名作劇場の歴史に確かな足跡を残しました。

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■ あらすじ・ストーリー

物語の舞台は1915年、第一次世界大戦が勃発した直後の南フィンランドの農村、パルキ村。まだ9歳の少女カトリは、幼いながらも大人顔負けの勤勉さと責任感を持ち、日々を生き抜こうとしていました。彼女の母親は数年前に家族を支えるため出稼ぎに出ており、ドイツへ渡って労働を続けていました。しかし戦争の影響で連絡は途絶え、仕送りも途絶えがちとなり、祖父母とともに暮らすカトリの家庭は困窮の度を増していきます。貧しさに押しつぶされそうになる中、カトリは自ら働きに出る決意を固めます。その年齢を考えれば過酷な選択でしたが、彼女にとっては家族を守る唯一の道でした。

◆ 牧場での労働と出会い

カトリが最初に働き始めたのはライッコラ屋敷。そこで彼女は、羊や牛、馬といった家畜の世話を任されます。朝は夜明けとともに起床し、寒さ厳しい冬の日も、照りつける太陽の下でも、彼女は休むことなく働き続けます。作中では、カトリが飼い犬アベルとともに牛を追い、羊を囲いへ戻すシーンが描かれており、その逞しい姿が印象的です。アベルはただの飼い犬ではなく、彼女にとって心の支えであり、孤独や辛さを和らげてくれる存在でもありました。労働の厳しさと、そんな日常を共に過ごす相棒の温もり。この対比がカトリの生活を鮮やかに映し出していました。

屋敷での生活は決して楽ではなく、雇い主や使用人の中には子どもであるカトリに冷たく当たる人もいます。しかし、彼女の真面目さと働きぶりは徐々に周囲の信頼を得ていきます。特に同年代の子どもや心優しい大人たちとの出会いは、カトリにとって大切な財産となっていきました。

◆ 学びへの目覚め

ある日、屋敷で出会った大学生の青年が、カトリに一冊の本を手渡します。それは物語の世界への扉を開くものであり、彼女は読書を通じて知識を得る喜びを知ります。読み書きや学問は、農村で働く子どもには縁遠いものでしたが、カトリは自分の将来や夢について考えを深めるようになります。この「学び」に出会うエピソードは、彼女の成長物語に大きな意味を与えました。日々の労働に追われながらも、心のどこかで未来を思い描き、よりよい人生を願う少女の姿は、視聴者に強い共感を呼び起こしました。

◆ 人との出会いと別れ

ストーリーの中盤では、カトリが働く場所を転々としながら、多様な人々との交流が描かれます。クウセラ屋敷やトゥルクの屋敷など、雇われる場所が変わるたびに新しい人間関係が生まれます。ある場所では同情的に接してくれる人が現れる一方で、彼女を都合よく使おうとする者もいました。人との出会いと別れを繰り返すなかで、カトリは人間関係の複雑さを学び、同時に「誰もが完全ではないが、それぞれに事情がある」という理解を深めていきます。これは子どもから大人への過渡期を描いた象徴的な要素でもありました。

◆ 戦争の影

物語の背景には常に第一次世界大戦の影響が漂っています。遠い戦地にいるはずの母からは音沙汰がなく、戦争によって生活が圧迫される様子が随所に描かれます。農作物の収穫不足、物資の欠乏、村人たちの不安。戦争は直接的に描かれないまでも、農村の日常にじわじわと影を落としていました。カトリにとって母の不在は常に胸に重くのしかかっており、「いつか母が戻ってくる」という希望が彼女を支えていたのです。

◆ 成長の過程

作中のカトリは、ただの「かわいそうな少女」ではありません。労働を通じて身体的にも精神的にも鍛えられ、時には大人顔負けの判断力を発揮します。雇い主の屋敷でトラブルが起きたとき、家畜が逃げ出したとき、あるいは病人を助ける必要が生じたとき、彼女は必死に知恵を絞り行動します。その姿は周囲の人々に感銘を与え、「あの子は頼りになる」と信頼を勝ち得ていきます。子どもが主人公でありながら、大人に匹敵する責任感を見せるという点で、この作品は極めてリアルで重厚な物語性を持っていました。

◆ クライマックスと母との再会

終盤、物語は感動的なクライマックスを迎えます。長い間連絡が途絶えていた母と、ついに再会するのです。戦争の混乱を生き抜いた母は、ようやく故郷フィンランドに戻ってきました。その瞬間、カトリの努力と忍耐は報われ、母と抱き合うシーンは視聴者の涙を誘いました。この再会は単に親子の絆を取り戻すだけではなく、「信じて待つことの大切さ」や「努力は必ず報われる」という普遍的なメッセージを示していました。

◆ 物語が残したもの

全49話を通じて描かれるのは、厳しい環境にあっても夢と希望を失わずに生きる少女の姿です。日々の労働、友情や愛情、人間関係の苦さ、そして母への思慕。その一つひとつが視聴者の心を揺さぶり、当時の子どもたちに「働くことの尊さ」「家族の絆の強さ」を伝えました。また、大人にとっては「自分たちの幼少期」や「親世代の苦労」を思い出させるものでもありました。

『牧場の少女カトリ』のストーリーは、派手な冒険や奇跡的な展開はありません。しかし、その素朴で現実的な物語は、視聴者にとって深い余韻を残し、心に刻まれるものでした。だからこそ、この作品は「世界名作劇場」の中でも異彩を放ち、今なお語り継がれているのです。

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■ 登場キャラクターについて

『牧場の少女カトリ』の魅力を語るうえで欠かせないのが、物語を彩る登場キャラクターたちです。主人公カトリを中心に、彼女を取り巻く家族、村人、雇い主、友人、そして動物たちが織りなす人間模様が、作品の深みを生み出しています。各キャラクターにはそれぞれ独自の個性が与えられ、視聴者は彼らとの出会いや別れを通じて、カトリの成長を実感することができます。以下では主要キャラクターを一人ずつ掘り下げながら、その性格や役割、視聴者に与えた印象について詳しく見ていきましょう。

◆ カトリ(声:及川ひとみ)

本作の主人公であり、9歳という幼さで牧場に働きに出る少女。母の帰りを信じながら、祖父母とともに貧しい暮らしを支えるために必死に働きます。勤勉で責任感が強く、どんな逆境にも立ち向かう姿は視聴者に強烈な印象を残しました。彼女の最大の魅力は「健気さ」と「芯の強さ」の両立です。涙をこらえながらも前を向き、時には笑顔を絶やさない姿は、まさに「西洋版おしん」と呼ばれるにふさわしい存在でした。
また、ただ苦労するだけでなく、本を読む喜びや人との出会いを通じて知性を育む一面も描かれ、単なる労働少女の枠を超えた奥行きのあるキャラクターになっています。

◆ アベル(声:龍田直樹)

カトリの忠実な相棒である飼い犬。人懐っこさと賢さを兼ね備え、常にカトリの側に寄り添っています。動物キャラクターとしての可愛らしさはもちろん、カトリの心の支えとして物語に欠かせない役割を果たしています。特に、孤独や絶望に直面したとき、アベルの存在はカトリを救い、視聴者の胸を打ちました。「もしアベルがいなかったら、カトリはどうなっていたのだろう」と思わせるほど、重要な存在です。子どもたちの間でも「アベルのぬいぐるみが欲しい」と声が上がるほど人気を集めました。

◆ サラ(声:藤田淑子)

カトリの友人であり、年齢の近い少女。彼女の存在は、過酷な労働環境の中でカトリに安らぎを与えるものでした。時に遊び仲間として、時に悩みを共有できる相談相手として描かれます。サラはカトリよりも恵まれた環境にあることが多く、その対比がより一層カトリの境遇を際立たせました。しかし彼女もまた、自分なりの悩みや家庭の事情を抱えており、「どの子どもにもそれぞれの物語がある」というメッセージを視聴者に伝えています。

◆ イルダ(声:京田尚子)

屋敷で働く年配の女性で、カトリにとって母のような存在となる人物。厳しさの中に温かさを持ち、カトリに労働の厳しさと生活の知恵を教えます。イルダの指導は時に冷たく見えることもありましたが、それはカトリを守るためであり、成長を願ってのものでした。彼女の存在があったからこそ、カトリは過酷な環境の中でも心を折らずにいられたのです。

◆ ユリス(声:宮内幸平)

祖父ユリスは、質素で誠実な農夫。貧しいながらもカトリを慈しみ、彼女が労働に出ることを複雑な思いで見守ります。頑固な性格ではありますが、家族を守るためには努力を惜しまない人物であり、フィンランド農村の父親像を体現しています。祖父の存在は「家族の絆」というテーマを支える柱でもありました。

◆ マルティ(声:古谷徹)

若き農夫で、カトリが働く先々で出会う人物。彼は誠実で優しく、カトリにとって頼れる存在となります。時に兄のように導き、時に友人として寄り添う彼の姿は、多くの視聴者に好印象を与えました。彼の人柄は、農村で生きる若者の理想像として描かれ、特に女性視聴者からの支持が厚かったキャラクターです。

◆ ペッカ(声:塩屋翼)

カトリと同年代の少年。やんちゃで自由奔放な性格ながらも、カトリにとっては良き遊び相手であり、時に労働を共にする仲間となります。ペッカの存在は、物語に明るさやユーモアを加え、シリアスな展開の中で視聴者を和ませる役割を担いました。

◆ テーム(声:野島昭生)

村の青年で、勤勉で誠実な性格を持ち、農場の仕事をこなす姿が描かれます。彼は「大人になるとはどういうことか」ということを体現するキャラクターであり、カトリにとって「働く大人」のモデルケースともいえる存在でした。

◆ ウッラ(声:杉田郁子)

村に暮らす女性。時にカトリに優しく接し、時に厳しい現実を突きつける役割を担います。脇役ではありますが、彼女の一言一言はカトリの心に残り、視聴者の記憶にも強く刻まれました。

◆ ハンナ(声:吉田理保子)

カトリと親しくなる少女で、友情や憧れをテーマにしたエピソードで登場します。彼女は自分の夢や未来について語り、それがカトリに「自分も夢を持っていいのだ」と気づかせるきっかけとなりました。

◆ アッキ(声:井上和彦)

若い男性で、時にカトリに試練を与える存在。人間関係の複雑さを象徴するキャラクターであり、善悪が単純に分けられない人間の姿を描いていました。

◆ ソフィア(声:松島みのり)

村の女性で、母性的な温かさを持つキャラクター。カトリに一時的な安らぎを与え、母の不在を埋める存在として印象的でした。

◆ ロッタ(声:滝沢久美子)

年下の少女で、カトリを慕う存在。彼女の存在はカトリに「守るべき存在がある」という責任感を芽生えさせます。

◆ クラウス(声:高坂真琴)・イーネス(声:中西妙子)

カトリが働く屋敷の人々。時に冷酷で、時に温情を見せる彼らの態度は、労働環境の厳しさと同時に人間関係の奥深さを際立たせました。

◆ キャラクターが織り成す世界

『牧場の少女カトリ』に登場する人物たちは、決して「善」と「悪」に単純に分かれるわけではありません。それぞれが生活に苦しみ、戦争に翻弄され、時に優しく、時に厳しく振る舞います。そうした人物像がリアリティを生み、視聴者に「自分の身近にもこんな人がいる」と感じさせました。カトリが出会った人々は、彼女の成長を支える鏡であり、視聴者にとっても人生を考えるきっかけとなったのです。

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■ 主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング

『牧場の少女カトリ』は、ストーリーやキャラクターだけでなく、音楽面でも高い評価を受けた作品でした。世界名作劇場シリーズは毎回、物語に寄り添うような落ち着いた楽曲が選ばれることで知られていますが、本作もその伝統を受け継ぎながら、1980年代らしいポップスの要素も取り入れていました。音楽は作品の雰囲気を支える大切な要素であり、主題歌や挿入歌は視聴者の記憶に深く残り続けています。

◆ オープニングテーマ「Love with You ~愛のプレゼント~」

オープニングを飾ったのは、小林千絵が歌う「Love with You ~愛のプレゼント~」。作詞は伊藤薫、作曲は三木たかし、編曲は当時若手ながら頭角を現していた鷺巣詩郎が担当しました。曲は明るく前向きなメロディラインで構成され、フィンランドの雪景色を背景に力強く生きるカトリの姿を象徴しています。

イントロの軽やかなストリングスとピアノが織りなす旋律は、厳しい自然や労働の中でも希望を見失わない少女の心を表現しているようでした。歌詞には「愛」「夢」「未来」といった言葉が散りばめられ、カトリが母を信じて働き続ける物語に重なります。視聴者にとっては、日曜の夕暮れにこの曲が流れると「ああ、これから名作劇場が始まる」という特別な感覚があったと語る人も少なくありません。

また、この曲は当時のアイドル歌謡とアニメソングの境界を曖昧にする試みでもありました。小林千絵は歌手として活動しており、その透明感ある声質はアイドル的な可憐さを持ちながらも、アニメの世界観にしっかりとマッチしていました。

◆ エンディングテーマ「風の子守歌」

一方、エンディングを締めくくったのが「風の子守歌」。こちらも作詞・作曲を伊藤薫が手掛け、編曲は鷺巣詩郎、小林千絵が歌唱を担当しました。オープニングが明るく前向きな楽曲だったのに対し、エンディングは静かで優しい調べが特徴です。

一日の労働を終えて、夕暮れの牧場に吹き抜ける風を思わせるような旋律。子守歌というタイトルどおり、視聴者に安らぎを与える効果を持っていました。歌詞には「眠り」「風」「夢」といった単語が並び、物語の中でカトリが母を思いながら夜空を見上げる情景と重なります。特に「どんなに遠くても心は一つ」というフレーズは、母との再会を信じ続けるカトリの心情を象徴しており、物語のテーマと強く共鳴していました。

この曲を聴くと「一週間が終わる切なさ」を思い出すというファンも多く、日曜の夜に漂う独特の寂しさを和らげてくれる存在だったのです。

◆ 挿入歌やイメージソング

『牧場の少女カトリ』は主題歌以外にも、挿入歌やイメージソングが制作されました。作品中で使われる挿入歌は数は少ないものの、牧場での生活や自然を表現するためのBGMに近い役割を担っていました。たとえば、カトリが働きながらアベルと駆け回る場面では、牧歌的なフルートやオルガンの旋律が流れ、のどかな雰囲気を演出しました。

また、1980年代のアニメでは珍しく、イメージアルバムが制作されました。小林千絵の歌声を中心に、カトリの心情を歌詞に落とし込んだ楽曲や、フィンランドの自然をテーマにしたインストゥルメンタルが収録されており、ファンにとっては貴重なコレクションアイテムとなりました。

◆ 鷺巣詩郎の音楽的挑戦

編曲を担当した鷺巣詩郎は、その後『新世紀エヴァンゲリオン』などで世界的に知られる作曲家となりますが、本作は彼のキャリア初期の代表作の一つでした。クラシカルなアプローチとポップスの要素を融合させたアレンジは、アニメ音楽の幅を広げる挑戦でもありました。後年のインタビューでは「北欧を舞台にした物語だからこそ、透明感と温かみを両立させた音楽を心がけた」と語っており、その試みは見事に成功しています。

◆ 視聴者の印象

当時の視聴者は、主題歌とエンディングを通じて作品世界に没入していました。「オープニングを聴くと元気が出る」「エンディングを聴くと涙が出そうになる」という感想は今も語り継がれています。特に子ども時代にこの作品を観ていた人にとっては、曲を耳にするだけで当時の夕暮れや家族団らんの記憶が鮮明によみがえるそうです。

また、2000年代以降に発売されたサウンドトラックCDやデジタル配信でも再び注目を集め、世代を超えて聴き継がれる楽曲となりました。

◆ 音楽が与えた意味

『牧場の少女カトリ』の音楽は、単なる伴奏ではなく物語を語るもう一人の登場人物でした。カトリの希望、孤独、喜び、そして母を待ち続ける切なさ。それらを歌と旋律が代弁することで、視聴者はより深く物語に感情移入することができました。

世界名作劇場の作品群の中でも、音楽の完成度と物語性の融合は高く評価されており、「Love with You ~愛のプレゼント~」と「風の子守歌」はシリーズの代表的な名曲として、今もなお多くのファンの間で愛され続けています。

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■ 声優について

『牧場の少女カトリ』は、物語の重厚さや舞台設定のリアリティに加え、キャラクターたちに命を吹き込んだ声優陣の存在も大きな魅力でした。声優一人ひとりの演技は、単なる台詞の朗読にとどまらず、登場人物の人生観や心の揺らぎを伝える力を持っていました。ここでは主要キャストの特徴や演技の評価、さらには当時の声優業界における位置付けについて詳しく見ていきましょう。

◆ 及川ひとみ(カトリ役)

主人公カトリを演じたのは、当時まだ若手であった及川ひとみ。彼女の声は澄んだ響きを持ち、カトリの年齢にふさわしい幼さと純粋さを自然に表現していました。特に、苦労を抱えながらも希望を失わない強さを声に込める演技は高く評価されました。泣き声一つをとっても、ただの感情表現ではなく「母を想う切なさ」「労働の苦しさと誇り」が感じられ、視聴者の胸を打ちました。

及川はこの作品を通じて注目を集め、以降のキャリアでも清らかで芯のある少女役を得意とするようになります。ファンの間では「カトリの声といえば及川ひとみ」というイメージが定着し、名作劇場を代表する声優のひとりとなりました。

◆ 龍田直樹(アベル役)

カトリの相棒である犬・アベルを担当したのは、ベテラン声優の龍田直樹。動物役という難しいポジションでありながら、ただの擬音ではなく「表情のある声」を見事に表現しました。鳴き声ひとつにも感情が宿り、カトリを守ろうとする忠実さや喜びを伝える演技は、アベルを単なる動物以上の存在にしました。

龍田は後に『ドラゴンボール』シリーズのウーロンや、『銀河英雄伝説』のオリジナル版キャラなど、多彩な役で知られるようになりますが、アベル役で見せた「非人間キャラクターの感情表現」は彼の演技幅の広さを物語っています。

◆ 藤田淑子(サラ役)

藤田淑子はカトリの友人サラを演じました。彼女は『一休さん』の一休役などで知られる実力派で、子どもの無邪気さと、時にカトリの苦境を理解する優しさを巧みに表現しました。サラの台詞には温かみがあり、視聴者が「カトリにはこういう友達がいてよかった」と安心する存在感を与えています。

◆ 京田尚子(イルダ役)

イルダは厳しさと母性を併せ持つ女性。その声を担当した京田尚子は、長年にわたり多くの名作劇場シリーズに出演してきたベテランです。彼女の低めで落ち着いた声は、農村の逞しい女性を体現し、カトリの母代わりとしての存在感を放っていました。厳しい叱責の中にも深い愛情をにじませる演技は、視聴者の心に残る名演でした。

◆ 宮内幸平(ユリス役)

祖父ユリスを演じたのは宮内幸平。後に『ドラゴンボール』の亀仙人役として有名になりますが、本作では厳格で誠実な祖父を演じ、カトリの家庭の支えとして物語を支えました。宮内の演技は、農民としての誇りと家族を守る強さを声に宿し、フィンランドの農村の父親像をリアルに描き出しました。

◆ 古谷徹(マルティ役)

マルティ役の古谷徹は、『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイ役などで知られる人気声優。本作では頼れる青年としての魅力を発揮しました。若さの中に誠実さを感じさせる声は、カトリにとって兄のような存在であり、女性視聴者からも高い支持を受けました。「アムロの古谷」が牧場の青年を演じるという意外性も、当時のファンの話題となりました。

◆ 塩屋翼(ペッカ役)

やんちゃな少年ペッカを演じた塩屋翼は、少年役を得意とする声優で、快活さと無邪気さを前面に出した演技で作品に彩りを加えました。彼の明るさがシリアスな物語を緩和し、子ども視聴者にとって親しみやすいキャラクターを生み出しました。

◆ 野島昭生(テーム役)

誠実な青年テームを演じた野島昭生は、落ち着いた声色で農村の若者の姿を的確に描写しました。彼の演技は安定感があり、大人になるとはどういうことかを視聴者に感じさせる役割を担いました。

◆ その他のキャスト

このほかにも、松島みのり、滝沢久美子、高坂真琴、中西妙子といった実力派声優が脇を固めています。いずれも役柄に応じた繊細な演技で作品世界を豊かにしました。世界名作劇場は豪華キャストが集うシリーズですが、『牧場の少女カトリ』もその例に漏れず、声優陣の厚みが作品のクオリティを大きく底上げしています。

◆ 視聴者の評価と声優陣の役割

視聴者からは「カトリの声がまっすぐで泣けた」「アベルの鳴き声が本当に感情を持っているようだった」といった声が多く寄せられました。声優陣の演技はキャラクターにリアリティを与え、物語の説得力を強めました。もし配役が違っていたら、作品の印象も大きく変わっていたことでしょう。

また、若手とベテランが混在するキャスティングは、シリーズに新鮮さと安定感を同時にもたらしました。名作劇場は「声優の登竜門」とも言われることがあり、本作も例外ではなく、キャリアの分岐点となった声優も多かったのです。

◆ まとめ

『牧場の少女カトリ』の声優陣は、作品のテーマである「労働」「家族」「成長」を的確に声で表現しました。台詞一つで観る者の心を動かし、キャラクターを生きた存在へと昇華させた功績は計り知れません。声優の力量が物語の深みをさらに引き出し、アニメとしての完成度を押し上げたことは間違いありません。

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■ 視聴者の感想

『牧場の少女カトリ』は放送当時から今日に至るまで、視聴者に強い印象を残し続けている作品です。その感想は世代や立場によって異なり、子どもとして観ていた人、大人として家族と一緒に観ていた人、後年DVDや配信で触れた人とで受け止め方に幅があります。しかし、共通しているのは「心に深く残る」という評価です。ここでは当時の反響や後年の再評価、さらに国内外での視聴者の感想をまとめていきましょう。

◆ 子ども視聴者の反応

1984年当時、リアルタイムでこのアニメを観ていた子どもたちにとって、カトリの姿は衝撃的でした。9歳という自分たちと同じくらいの年齢の少女が、家族を支えるために早朝から牧場で働き、時に大人に叱責されながらも必死に生き抜く姿は、自分たちの日常とあまりに違っていたからです。「学校へ行くのが嫌だと思っていたけど、カトリを見て考えが変わった」「宿題がつらいと思っていたけど、カトリの生活の方が大変だ」といった感想が残されています。

当時の子どもにとって、この作品は「労働」や「家族の絆」といったテーマを考えるきっかけとなりました。単なる娯楽アニメではなく、自分の生活を省みる教材のような役割を果たしていたといえるでしょう。

◆ 大人視聴者の感想

親世代の視聴者にとっても、『牧場の少女カトリ』は胸に迫るものがありました。特に戦中戦後の苦しい時代を経験した人々は、カトリの姿に自分の幼少期を重ね合わせたと言います。「自分も親の手伝いで畑仕事をした」「戦争で親と離れ離れになった経験を思い出した」といった声は少なくありませんでした。

また、当時はNHKの朝ドラ『おしん』の社会現象的な人気が続いていたため、「アニメの中にもうひとりのおしんがいる」と捉えられることもありました。新聞や雑誌に掲載された感想欄でも「子どもに見せたいアニメ」「働くことの尊さを教えてくれる作品」と評価されており、教育的な意味合いを持っていたことがわかります。

◆ 青年・学生層の視点

一方で、当時の高校生や大学生の間でも密かな人気がありました。彼らは物語をただ感動的なドラマとして受け取るだけでなく、社会的背景や時代設定に興味を持って観ていました。「第一次世界大戦が農村にどう影響したのか」「北欧の生活様式や文化を知ることができた」といった声があり、学術的な関心を抱くきっかけにもなっていました。

特に教育学や文学を学ぶ学生にとっては、児童文学を原作とするこの作品は研究対象にもなり得たのです。アニメを通じて海外の歴史や文化に触れることができたという点は、名作劇場シリーズ全般に共通する価値ですが、『牧場の少女カトリ』はその中でもひときわ真面目で硬派な印象を与えました。

◆ 海外視聴者の感想

本作は後に海外でも放送されました。特にフィンランドでは、自国の作家の作品が日本のアニメーションとして描かれたことに驚きと喜びの声があがりました。フィンランドの視聴者からは「風景や衣装の再現度が高い」「子どもが労働に従事していた当時の社会を正直に描いている」といった評価が寄せられています。

一方で「フィンランドの少女が日本のアニメ声優の声で話すのは不思議だった」という意見もありましたが、それも異文化交流の一側面として受け止められました。北欧の視聴者にとって、この作品は「自国の歴史を外から見つめ直す機会」となったのです。

◆ 後年の再評価

2001年にDVDが発売されると、かつて観ていた世代が再び本作に触れる機会が訪れました。その感想は「子どもの頃はただ可哀想だと思って観ていたけれど、大人になって改めて観るとカトリの強さに感動する」「親になってから観ると、祖父母や母の気持ちが痛いほどわかる」といったものでした。

つまり、『牧場の少女カトリ』は人生のどの段階で観るかによって受け止め方が変わる作品だということです。これは名作劇場シリーズ全般に言える特徴ですが、本作は特にその傾向が強いといえます。

◆ 視聴者の心に残る印象的な要素

感想の中で多く語られるのは、カトリの「働き者であること」「母を思い続ける心」「困難に耐える強さ」です。視聴者はその姿に涙し、励まされました。また、アベルとの絆も忘れがたいポイントであり、「自分もあの犬が欲しかった」「アベルの存在が心の支えだった」という声が今も残されています。

一方で、厳しい現実を描いた作品であるがゆえに「子どもには少し重い内容だった」「日曜の夜に観ると気持ちが沈んだ」という意見もありました。しかしその「重さ」こそが作品の真価であり、だからこそ長く記憶に残っているとも言えるでしょう。

◆ 現代の視聴者の声

インターネットやSNSの普及により、近年では若い世代が配信サービスや動画投稿サイトを通じて『牧場の少女カトリ』に触れることも増えました。現代の視聴者からは「昔のアニメなのにリアルで驚いた」「今の子ども向けアニメにはない真剣さを感じる」といった新鮮な驚きが語られています。

また、「子どもが労働する社会の厳しさを知る教材になる」「家族で一緒に観て話し合える題材だ」という意見もあり、作品の教育的価値が再認識されています。

◆ 感想の総括

『牧場の少女カトリ』は、視聴者に「働くことの意味」「家族を思う心」「困難に立ち向かう強さ」という普遍的なテーマを突きつけました。その結果、「泣けるアニメ」「考えさせられるアニメ」として多くの人の心に残っています。単なる懐かしさにとどまらず、今なお語り継がれるのは、この作品が世代を超えて普遍的な価値を持ち続けている証拠でしょう。

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■ 好きな場面

『牧場の少女カトリ』は全49話を通じて数多くの印象的なエピソードが展開されました。その中でも視聴者の記憶に深く刻まれ、「好きな場面」として語り継がれているシーンがいくつもあります。ここでは、特に人気の高い場面や、作品のテーマを象徴するシーンを取り上げ、それぞれがどのような意味を持っているのかを掘り下げていきます。

◆ アベルと牧場を駆け回る場面

序盤で印象的なのが、カトリが飼い犬アベルと共に牧場を駆け回るシーンです。牛や羊を追い、雪原や草原を走る姿は、ただの労働ではなく「生きるために体を動かす喜び」が描かれていました。視聴者の中には「自分もアベルのような犬を飼いたい」と感じた子どもが多く、動物との絆の強さを印象づける名場面として語られています。自然の中で働く少女の姿は、作品全体の象徴でもありました。

◆ 本を手にした瞬間

物語の転換点となるのが、カトリが大学生の青年から本をもらい、初めて真剣に読書に打ち込む場面です。文字を追い、物語の世界に心を奪われるカトリの表情は、視聴者にとって忘れられない光景でした。労働に追われる日々の中でも、知識や学びが新しい可能性を開くことを示しており、「カトリも夢を持っていいんだ」と思わせる瞬間でした。教育や学びの大切さを象徴するこのシーンは、子ども視聴者に深い影響を与えました。

◆ 母を想い夜空を見上げる場面

中盤以降、母の帰りを待ちわびるカトリが夜空を見上げ、星に祈る場面が何度か描かれます。その姿は儚くも強く、視聴者の涙を誘いました。「母は生きているだろうか」「いつか必ず会えるだろうか」と問いかけるような眼差しは、幼い少女の心情を見事に表現しており、作品全体の感情的な支柱とも言える場面でした。視聴者からも「このシーンを見ると胸が締め付けられる」という声が多く寄せられました。

◆ 初めての失敗と叱責

屋敷で働き始めた当初、カトリは経験不足から失敗をしてしまい、厳しく叱られる場面があります。牛を逃がしてしまったり、作業の手順を間違えたりと、まだ幼い彼女にはどうにもならないこともありました。しかし、涙を流しながらも叱責を受け止め、再び立ち上がる姿に「小さな体で本当に頑張っている」と視聴者は胸を打たれました。この場面は、カトリが「ただの子ども」から「働く一人の人間」へと成長していく第一歩を示すものでした。

◆ 新しい友人との出会い

クウセラ屋敷やトゥルクの屋敷で出会った仲間たちとの交流も、多くの人の「好きな場面」として語られます。とくに、サラやハンナと語り合う場面では、友情の温かさと同時に、それぞれが抱える悩みや不安も描かれ、子どもたちが大人顔負けに人生を考える姿が心に残りました。視聴者からは「カトリに友達がいてよかった」「孤独ではなかったことが救いだった」といった感想が多く寄せられています。

◆ 再会のクライマックス

最も有名で人気のあるシーンは、やはり物語終盤の母との再会です。何年も離れ離れになり、連絡も途絶えていた母がついにカトリの元へ戻ってくる。その瞬間、母と娘が抱き合う場面は「世界名作劇場史に残る名場面」とも言われています。視聴者の多くが涙し、「待ち続けてよかった」とカトリと同じ気持ちを味わったのです。このラストは単なる感動だけでなく、物語全体を通して積み上げられた努力や忍耐が報われる瞬間であり、作品のテーマを結晶させた場面でした。

◆ 厳しい現実を描いた場面

「好きな場面」として語られるのは感動的なシーンばかりではありません。視聴者の中には「厳しい現実を描いたシーンこそ印象的だった」という声もあります。例えば、母からの仕送りが途絶え、祖父母と共に飢えに苦しむ場面や、雇い主に不当に扱われる場面。これらは観ていて辛い内容ですが、「現実の厳しさを知ったのはあのアニメのおかげ」という大人の声も多いのです。

◆ 視聴者ごとの「好きな場面」

子ども時代に観た人にとっては「アベルと遊ぶシーン」や「友達との交流」が心に残り、温かさや憧れを感じさせました。

大人になってから観た人にとっては「夜空を見上げるカトリ」や「母との再会」が特に深い印象を残しました。

海外の視聴者からは「牧場の労働風景」や「フィンランドの自然描写」が高く評価され、「風景そのものが好きな場面だった」と語られています。

◆ 総括

『牧場の少女カトリ』の好きな場面は、視聴者それぞれの人生経験や感受性によって異なります。しかし共通しているのは、どの場面も「人間の強さと弱さ」「希望と苦しみ」がリアルに描かれているという点です。だからこそ、40年近く経った今も人々の心に残り、「忘れられない名場面」として語り継がれているのです。

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■ 好きなキャラクター

『牧場の少女カトリ』は、主人公のカトリを中心に多彩な登場人物が描かれる作品ですが、視聴者にとって「誰が一番好きか」という問いは世代や個人の感じ方によって答えが大きく異なります。ここでは、放送当時から今日に至るまでファンの間で語られてきた「好きなキャラクター」とその理由を掘り下げ、どのようにして視聴者の心をつかんだのかを考察します。

◆ 主人公・カトリ

まず第一に挙げられるのは、当然ながら主人公のカトリです。彼女はわずか9歳で家族を支えるために牧場に働きに出るという過酷な境遇に置かれながらも、決して挫けず勤勉に働き続ける姿を見せました。多くの視聴者が「カトリが好きだ」と語る理由は、そのひたむきさと純粋さにあります。

当時子どもだった視聴者は「自分も学校や家の手伝いを頑張ろう」と思わせられ、大人の視聴者は「小さな子どもがここまで頑張る姿に涙が出た」と語ります。彼女の魅力は単なる「可哀想な少女」にとどまらず、試練を通じて成長し、自分の意志で未来を切り開こうとする強さにありました。その強さが世代を超えて支持されているのです。

◆ 忠実な相棒・アベル

次に人気が高いのは、カトリの忠実な犬アベルです。アベルは言葉を話さない動物でありながら、カトリの心を理解し、常に寄り添い、守り続けました。その存在は、視聴者にとって「理想の相棒」そのものでした。

「アベルがいたからカトリは頑張れた」「アベルの鳴き声に感情がこもっていて泣けた」といった感想が多く寄せられており、アベルは視聴者の人気投票でも常に上位に挙げられるキャラクターでした。特に動物好きの子どもたちにとっては「自分もアベルのような犬が欲しい」と強い憧れを抱かせる存在だったのです。

◆ 心優しい友人・サラ

カトリにとって大切な友人であるサラもまた、視聴者の「好きなキャラクター」としてよく名前が挙がります。彼女はカトリよりも恵まれた環境にいながらも、決して高慢ではなく、友人としてカトリを支えました。視聴者からは「サラが出てくると物語が少し明るくなる」「カトリが孤独でないと感じられる」といった声があり、友情の象徴的存在として愛されています。

◆ 厳しくも温かいイルダ

イルダは一見厳しく、カトリに辛い言葉を投げかける場面も多いですが、その根底には「この子を守りたい」という母性的な愛情がありました。その二面性が彼女を印象的なキャラクターにしています。大人の視聴者からは「子どもの頃は怖かったが、大人になって観直すとイルダの優しさがわかるようになった」という声も少なくありません。人生経験を積むことで理解が深まるキャラクターであり、時間を超えて支持される存在なのです。

◆ 頼れる青年・マルティ

マルティは、カトリにとって兄のような存在として描かれました。誠実で働き者の青年は、視聴者に安心感を与え、「カトリを助けてくれる人物がいてよかった」と思わせてくれる存在でした。特に女性視聴者からは「優しくて頼れる理想の青年」として人気がありました。

◆ やんちゃな友・ペッカ

ペッカはやんちゃで少し調子のいい少年ですが、その明るさが物語を和ませる役割を果たしました。「真面目なカトリに対して、ペッカの存在が良いバランスだった」という声もあり、特に同年代の少年視聴者からは「自分はペッカの方に共感した」との意見も見られました。

◆ 視聴者ごとの「好きなキャラクター」

子ども時代の視聴者:カトリやアベルに強く感情移入し、「自分も頑張らなきゃ」と励まされた。

大人になってから観直した視聴者:イルダや祖父ユリスのような大人キャラクターの言葉に共感し、「厳しさの中にある愛情」を理解した。

海外の視聴者:フィンランドの風土を体現する脇役や村人たちを評価し、「自分たちの文化を大切に描いてくれている」と感謝の声を寄せた。

◆ 総括

『牧場の少女カトリ』の魅力は、主人公だけでなく周囲の人々や動物たちが生き生きと描かれている点にあります。そのため「好きなキャラクター」は人によって異なり、それぞれの人生経験や価値観に応じて選ばれます。しかし共通しているのは、どのキャラクターも「単なる役割」にとどまらず、人間らしい複雑さを持ち、視聴者に深い印象を残しているということです。だからこそ、放送から数十年経った今でも「自分にとっての好きなキャラクター」が語り続けられているのです。

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■ 関連商品のまとめ

『牧場の少女カトリ』は放送当時こそ大きなキャラクター商品展開が行われた作品ではありませんでしたが、世界名作劇場シリーズの一環として根強い人気を持ち、映像ソフト・書籍・音楽・ホビー・文具や食品など、幅広い形で関連商品が世に送り出されました。ここでは、その流通の歴史や特徴、当時のファンの受け止め方について詳しくまとめていきます。

◆ 映像関連商品

最も代表的なのは、やはり映像ソフトです。1980年代当時、家庭用ビデオが普及し始めた時代背景の中で、一部のエピソードがVHSソフトとして発売されました。セル用だけでなくレンタルビデオ店向けにも流通し、子どもが繰り返し楽しめるように工夫されていました。パッケージには雪原を背景にしたカトリとアベルの姿が描かれ、暖かみのあるデザインが施されていました。

1990年代にはアニメファン層向けにレーザーディスク版がリリースされ、画質の良さと保存性からコレクターに重宝されました。さらに2001年には待望のDVD-BOXが全12巻で発売され、全49話を完全収録。当時の放送を懐かしむファンにとって大きな喜びとなりました。限定版には解説ブックレットやキャラクター設定資料が付属し、ファンブック的な価値も兼ね備えていました。近年ではBlu-ray化やデジタル配信も実現し、世代を超えて楽しめる形で作品が蘇っています。

◆ 書籍関連

原作であるアウニ・ヌオリワーラの『牧場の少女』は日本語訳が出版され、アニメ視聴者が作品世界をより深く知る入り口となりました。また、放送当時にはアニメ雑誌(『アニメディア』『OUT』『ニュータイプ』など)で特集が組まれ、カトリの描き下ろしイラストや声優インタビュー、視聴者からの感想投稿などが掲載されました。

さらに、アニメの場面カットを使用した「アニメ絵本」や「フィルムコミック」形式の書籍も登場しました。幼い読者が物語を追いやすいように簡略化されたストーリー本は、教育的要素も含んで販売され、親が子どもに読み聞かせる教材としても活用されました。近年では、世界名作劇場全体を振り返るムック本の中で『牧場の少女カトリ』が特集され、当時の制作資料やスタッフコメントが掲載されることもあります。

◆ 音楽関連

音楽は作品を支える大きな要素であり、主題歌「Love with You ~愛のプレゼント~」やエンディング「風の子守歌」はEPレコードやシングルとして発売されました。1980年代当時はドーナツ盤が主流で、子どもたちが気軽に購入できる価格帯で販売され、歌詞カードにはアニメの場面写真があしらわれていました。

後にはLPアルバムやサウンドトラック盤も制作され、BGMを含む劇伴が収録されました。牧歌的なフルートやオルガンの旋律は、当時を知る人々にとって強烈な郷愁を呼び起こす存在です。2000年代以降にはCD再販やデジタル配信も行われ、若い世代も作品の音楽に触れることができるようになりました。

◆ ホビー・おもちゃ

他の名作劇場作品と同様に、『牧場の少女カトリ』関連のホビー展開は控えめでした。しかし、一部ではアベルのぬいぐるみやカトリのフィギュアなどが制作されました。アベルのぬいぐるみは特に人気が高く、当時の子どもたちの「欲しいキャラクターグッズ」の上位に挙げられています。

また、ジグソーパズルやミニゲーム形式の玩具、イラスト入りカードなども登場しました。こうした商品は当時の子ども向け雑誌の懸賞品や付録として配布されることも多く、今ではコレクターズアイテムとして高い価値を持っています。

◆ ゲーム・ボードゲーム

1980年代のアニメ関連商品では定番だった「すごろく」や「ボードゲーム」も発売されました。牧場での出来事をマス目に落とし込み、サイコロを振って進める形式で、子どもたちがカトリになりきって遊ぶことができました。特に「母との再会」をゴールとするゲームは、原作のテーマを子どもにもわかりやすく体験できる工夫がされていました。

◆ 文房具・日用品

学校生活に密着した文房具類は、子どもたちの間で非常に人気がありました。カトリやアベルのイラストが描かれた下敷き、鉛筆、消しゴム、ノート、ペンケースなどが発売され、特に女の子に支持されました。絵柄は柔らかいタッチで、フィンランドの風景を背景にしたものもあり、日常の中で物語世界を感じられるデザインが特徴でした。

日用品ではマグカップや食器セットなども少数ながら存在し、家庭で使うことで親子が作品について語り合うきっかけになりました。

◆ 食品・食玩

当時のアニメ作品に欠かせなかったのが食品関連商品です。『牧場の少女カトリ』も例外ではなく、キャラクターシール付きガムやウエハース、チョコレート菓子などが販売されました。シールやカードは子どもたちの間で交換され、学校でのコミュニケーションツールとして機能しました。

◆ 総括

『牧場の少女カトリ』は派手なグッズ展開こそありませんでしたが、映像・書籍・音楽を中心に安定した商品ラインが存在しました。特徴的なのは、どの商品も「教育的」「家庭的」な雰囲気を持っていたことです。これは他の名作劇場シリーズにも共通しますが、特に本作では「子どもに持たせたい」「親子で一緒に楽しみたい」と思わせる商品が多く、単なる消費財ではなく文化的価値を伴ったアイテムだったといえるでしょう。

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■ オークション・フリマなどの中古市場

『牧場の少女カトリ』は1984年に放送された作品であり、同時代の大ヒット作に比べると商品展開は控えめでした。しかし、世界名作劇場シリーズの一作として位置づけられているため、今日ではコレクターや往年のファンの間で高い人気を誇り、中古市場で一定の需要があります。特にインターネットオークションやフリマアプリの普及により、映像ソフトや関連グッズの取引は活発に行われています。ここでは、映像ソフト・書籍・音楽・ホビー・文具・食品関連など、多角的に中古市場の傾向を見ていきましょう。

◆ 映像関連商品の市場動向

最も注目されるのは映像関連商品です。1980年代当時に販売されたVHSテープは本数が少なく、現在では希少性が高まっています。状態の良いセル版であれば1本あたり2,000円〜4,000円前後で取引されることもあります。レンタル落ち商品でも人気があり、まとめ売りでは1万円を超えるケースもあります。

また、1990年代に登場したレーザーディスク版はコレクター層からの需要が根強く、1枚3,000〜6,000円の価格帯で落札される傾向があります。帯付きや解説書が付属している場合はさらに高値になることも珍しくありません。

そして2001年に発売されたDVD-BOXは、中古市場で最も人気が高いアイテムの一つです。発売当初から全49話を完全収録したことで話題となり、今も中古市場では15,000〜25,000円前後で取引されています。保存状態が良いもの、外箱やブックレットが揃っているものはさらに高値を呼び、プレミア化しています。

近年ではBlu-ray版やデジタル配信も行われていますが、「現物を所有したい」というコレクター心理から、DVDやLDの需要は依然として高い状況です。

◆ 書籍関連商品の動向

書籍関連では、原作小説『牧場の少女』の日本語訳が人気です。特に初版やカバー付きの良好な保存状態のものは3,000円前後で取引されることもあります。

また、放送当時に発行されたアニメ雑誌(『アニメディア』『OUT』『ニュータイプ』など)の特集号も需要が高いです。カトリの描き下ろしイラストやスタッフインタビュー、視聴者投稿コーナーが掲載された号は、1冊1,500〜3,000円程度で売買される傾向があります。

さらに、アニメの場面写真を使用した「アニメコミックス」や児童向け絵本も存在し、こちらは比較的手頃な価格(500〜1,500円程度)で流通していますが、状態が良いものは2,000円以上で落札されるケースもあります。

◆ 音楽関連商品の市場

音楽関連では、主題歌「Love with You ~愛のプレゼント~」とエンディング「風の子守歌」を収録したEPレコードが最も人気です。オリジナルのドーナツ盤は帯付きや美品であれば1,500〜3,000円で取引され、未使用品やプロモーション盤はさらに高値を呼びます。

サウンドトラックLPや後年のCD版も流通しており、LPはコレクター向けに5,000円を超える場合もあります。CDは比較的手頃ですが、特典ブックレット付きの初期盤は2,000円前後に価格が上昇することもあります。デジタル配信が普及している現在でも「当時の音質やパッケージを味わいたい」という需要は根強いのです。

◆ ホビー・おもちゃ

おもちゃ関連では、アベルのぬいぐるみやフィギュアが中古市場で人気を集めています。製造数が少なかったため、現存するものは希少です。状態の良いぬいぐるみは3,000〜6,000円で落札されるケースがあり、タグ付き未使用品ではさらに価格が跳ね上がります。

また、ジグソーパズルやカードゲーム、ボードゲームといったアイテムも存在し、特に「牧場すごろく」は箱・駒・説明書が揃った完品であれば5,000〜10,000円で取引されることもあります。これらは当時子ども向けに販売されていたものですが、現在では「昭和レトログッズ」として高いコレクション価値を持っています。

◆ 文房具・日用品

文房具関連では、下敷き、鉛筆、消しゴム、ノート、ペンケースなどが中古市場で見かけられます。価格帯は500円〜2,000円程度ですが、未使用品やパッケージ付きは3,000円以上に跳ね上がることもあります。

日用品では、カトリやアベルがデザインされたマグカップや食器セットが稀に出品されます。数が少ないため高額取引されることが多く、状態が良いものであれば5,000円以上の値が付くことも珍しくありません。

◆ 食品・食玩関連

一時的に発売されたキャラクターシール付きお菓子や消しゴム入りチョコといった食玩は、現在では非常に珍しいコレクターズアイテムです。未開封のまま残っていることはほとんどなく、シールやカードだけが出回っていますが、それでも1枚数百円〜1,000円程度で取引されています。

◆ 総括:中古市場における位置付け

『牧場の少女カトリ』は、他の名作劇場作品と比べると商品数は控えめながらも、コレクターの間では「隠れた名作グッズ」として高い評価を得ています。映像ソフトは安定した人気を保ち、書籍や音楽、グッズ類も状態によっては高値で取引されます。

特にDVD-BOXやアベルのぬいぐるみは代表的なプレミア商品であり、現在でもヤフオクやメルカリなどで頻繁に話題に上ります。作品そのものの人気が根強いため、中古市場における価値は今後も持続すると考えられます。

『牧場の少女カトリ』の関連商品は、単なる消費財ではなく「作品世界を再び体験するための手段」として存在しており、だからこそファンは今も積極的に収集を続けているのです。

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