『超電磁マシーン ボルテスV』(1977年)(テレビアニメ)

SMP [SHOKUGAN MODELING PROJECT]超電磁マシーン ボルテスV(食玩) BOX 2024年1月29日発売予定

SMP [SHOKUGAN MODELING PROJECT]超電磁マシーン ボルテスV(食玩) BOX 2024年1月29日発売予定
9,350 円 (税込)
評価 5
■1ボックス1個入。1個にチューインガム1個。全1種予定。■「ボルトクルーザー」「ボルトボンバー」「ボルトパンザー」「ボルトフリゲート」「ボルトランダー」の5つのボルトマシンが1つに合体し、ボルテスVが完成します。豊富な可動域を活かして、「天空剣」を用いた「天空剣..
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【原作】:八手三郎
【アニメの放送期間】:1977年6月4日~1978年3月25日
【放送話数】:全40話
【放送局】:テレビ朝日系列
【関連会社】:東映、東映エージエンシー、東北新社・日本サンライズ、スタジオぬえ、シャフト、ディーン

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■ 概要

作品の基本データと放送枠

『超電磁マシーン ボルテスV』は、1977年6月4日から1978年3月25日までテレビ朝日系列の土曜18時枠で全40話が放送されたロボットアニメで、前年に同枠で人気を博した『超電磁ロボ コン・バトラーV』の後番組として企画されたタイトルです。制作は東映テレビ事業部と東映エージエンシーが手がけ、アニメーション制作を当時急成長していた日本サンライズ(現・サンライズ)に委託するという、前作から受け継いだ分業スタイルが採用されました。スポンサーには玩具メーカーのポピー(現・バンダイ)が参加し、テレビシリーズと玩具展開を密接に結びつけたメディアミックス作品として一気通貫で設計されているのが大きな特徴です。こうした体制のもと、夕方の子ども向け枠でありながら、大人も引き込む重厚な物語性と、玩具としての魅力を強く意識したメカアクションの両立を目指した作品として生み出されました。

「長浜ロマンロボット3部作」第2作としての位置づけ

本作は、ファンの間で「長浜ロマンロボット3部作」と呼ばれる一連の作品群の第2作に位置づけられます。第1作『コン・バトラーV』でロボットアニメに人間ドラマの厚みを持ち込み、第3作『闘将ダイモス』で恋愛や異文化交流のテーマを前面に押し出したのに対し、『ボルテスV』は“家族”“血筋”“革命”といった要素を軸に、ヒーロー側も敵側も運命に翻弄される人間として描き出したのが大きなポイントです。タイトルの「V」はローマ数字の5を意味し、「ファイブ」と読ませることで、5機合体ロボットというコンセプトを分かりやすく示すと同時に、「5人の若者」「5つの心が一つになる」といった作品全体のテーマも象徴しています。画面上ではスーパーロボットらしい派手な合体バンクや必殺技が印象的ですが、シリーズを通して描かれるのは、孤児として育った主人公たちの出自の秘密や、敵側の皇子の悲劇、故郷の惑星を縛る身分制度への反旗など、いわばスペースオペラ的な大河ドラマです。そのため、単なる玩具販促番組の枠を越えた「ロマンロボット」として、現在まで語り継がれる存在になりました。

物語世界とテーマの概要

『ボルテスV』の物語は、地球からはるか彼方、さそり座の球状星団に存在するボアザン星と呼ばれる惑星を起点としています。そこでは額に角を持つ者が支配階級として君臨し、生まれつき角のない人々は労働力として扱われるという、非常に苛烈な身分制度が敷かれています。この世界から脱出し地球へ逃れてきた科学者が、やがて地球をも狙うボアザン帝国の侵略に備え、巨大ロボ・ボルテスVと要塞ビッグファルコンを建造する――という設定が、全体の大きな骨組みです。物語が進むにつれて、主人公・剛健一をはじめとするボルテスチームの面々が、自分たちの出生の秘密やボアザン星との繋がり、そして敵として立ちはだかる皇子ハイネルの過酷な運命と向き合っていく構図が浮かび上がっていきます。地球防衛と宇宙侵略という王道の対立構図に、「親子の再会」「身分差別への抵抗」「祖国解放のための革命」といったモチーフを重ねることで、視聴者は単なる勧善懲悪では割り切れない人間関係のドラマに引き込まれていきます。ロボットバトルはそのドラマを盛り上げる“手段”として位置づけられており、戦いの裏側で揺れ動くキャラクターたちの心情こそが本作の真の見どころだと言えるでしょう。

制作スタジオとスタッフ体制

制作面では、東映テレビ事業部が企画・プロデュースを行い、日本サンライズが作画・美術・撮影など実制作を担当するかたちで進められました。監督(総監督)を務めたのは、のちにロマンロボ三部作の名匠として知られる長浜忠夫。キャラクターデザインは漫画家の聖悠紀、メカニックデザインは大河原邦男やスタジオぬえが参加し、当時としても豪華な布陣が組まれています。 東映側の商業的な要求と、サンライズ側の“アニメーション作品として面白いものを作りたい”という意欲がぶつかり合う中で、子ども向けアクションとシリアスな人間ドラマをどう両立させるかが常に議論されており、その結果として、ストーリー前半はボアザン獣士との地球防衛戦を中心とした娯楽寄りの構成、後半はボアザン星へ乗り込む革命劇色の強い構成へと、物語の密度が徐々に高まっていく構造が採用されました。シリーズ構成や脚本家陣も、多数のロボットアニメや特撮作品を手掛けた実力派が参加しており、各話ごとにバトル描写とドラマの配分が巧みに調整されています。

玩具展開と必殺技「天空剣」誕生の裏側

本作の企画には、スポンサーであるポピーの玩具展開が大きく影響を与えています。放送開始前の段階では、ボルテスVの決め技は銃火器系の武器になる予定だったとされますが、商品企画の段階で「よりインパクトのある剣の必殺技にしたい」という要望が持ち上がり、デザインや作画がかなり進んだ段階で“天空剣”を主軸とする方向へ舵が切られたというエピソードが伝えられています。 この変更により、アニメ本編では天空剣を構えるボルテスVの勇姿がクライマックスの象徴として繰り返し描かれることになり、玩具側では天空剣の発光・合体ギミックなどを売りにした商品が展開されました。必殺技のビジュアルと玩具ギミックを一体化させるこの手法は、のちのロボットアニメや特撮シリーズにも受け継がれていくことになり、マーケティングと映像演出が密接に連携した先駆的な例としても語られています。

ボルテスVとメカニックの魅力

ロボットそのもののデザイン面でも、『ボルテスV』は非常に印象的です。5機の戦闘機「ボルトマシン」が飛行形態から humanoid 形態へと順に変形・合体していくプロセスは、前作コン・バトラーVの合体シーケンスをさらに洗練させたもので、テレビの前の子どもたちは合体バンクが流れるたびに息を呑んだと言われます。胴体部分の独特なカラーブロック、大きく張り出した肩アーマー、V字型の角を持つフェイスデザインなど、視認性の高いシルエットは合体玩具としての説得力を維持しつつ、“巨人兵が剣を振るう”というコンセプトを端的に表現しています。また、敵側のボアザン獣士メカも、動物モチーフや騎士風の意匠を取り入れ、ただの「やられ役」に留まらない存在感を持たせています。これらのメカ群は、スーパーロボット大戦シリーズなど後年のクロスオーバー作品でも再登場し、世代を越えてその魅力が語り継がれることとなりました。

放送当時のロボットアニメ事情と本作のポジション

1970年代後半のテレビアニメ界は、マジンガーZ以降のスーパーロボットブームが成熟期を迎え、各社から多種多様なロボット作品が送り出されていた時代です。その中で『ボルテスV』は、合体ロボットのギミックや必殺技といった王道要素を押さえながらも、「敵にも正義がある」「身分制度や独裁政権への反発」といった政治的・社会的なテーマを物語に織り込み、他作品との差別化を図りました。夕方枠の視聴者である子どもたちにとっては、派手なアクションとキャラクターの格好良さがまず目を引く一方、保護者世代や少し年長の視聴者は、ボアザン星の革命劇や、親子の葛藤、裏切りと和解のドラマに強い印象を残されたと言われます。こうした二層構造の面白さは、後年のリアルロボット作品や深夜アニメにおける「子どもも大人も楽しめる」作劇スタイルの源流のひとつとして捉えることもできます。

海外展開とフィリピンでの社会現象

『ボルテスV』は日本国内だけでなく、海外でも積極的に放送されました。特に有名なのがフィリピンでの大ブームで、1978年に放送が始まると瞬く間に国民的な人気を獲得し、非常に高い視聴率を記録したとされています。 圧政に苦しむ人々が立ち上がり、支配体制に反旗を翻すというストーリーは、当時のフィリピンの社会情勢や人々の感情ともリンクし、「単なる子ども向けロボットアニメ」を越えた象徴的な存在として受け止められました。その人気は長年にわたり続き、21世紀に入ってからも再放送や新たな商品展開が行われたほか、ついには現地制作による実写ドラマ版『Voltes V: Legacy』へと結実します。日本発のロボットアニメが、異国の社会においてここまで強い共感を呼び、世代を越えて受け継がれる例は決して多くはなく、『ボルテスV』の普遍的なテーマ性とキャラクター描写の力を示すものと言えるでしょう。

現代における再評価とレガシー

近年、『ボルテスV』はレトロアニメ再評価の流れの中で、改めて注目を集めています。Blu-ray BOX の発売や配信サービスでの一挙配信により、当時リアルタイムで視聴していた世代だけでなく、新しいファンが作品に触れる機会が増えました。 さらに、フィリピンで制作された実写作品『ボルテスV レガシー』の日本公開に合わせ、原作アニメ全40話が期間限定で無料配信されるなど、単なる懐古ではない“現役のコンテンツ”として再びスポットライトを浴びています。ロボットアニメの文法はガンダム以降、リアルロボット路線や美少女+メカ路線など多様に枝分かれしましたが、「家族」「血筋」「立場の違いを越えた和解」といった普遍的テーマを正面から扱ったロマンロボットとしての『ボルテスV』は、今見ても古びないドラマ性と情感を備えています。巨大ロボットが剣を掲げて敵を斬るカタルシス、その背後で交錯する運命と感情――そうした要素の組み合わせが、本作を“1970年代スーパーロボットの代表作”の一つとして、現在も多くのファンの記憶に焼き付けているのです。

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■ あらすじ・ストーリー

ボアザン星の悲劇から始まる物語の導入

物語は地球から遠く離れたボアザン星という惑星で起こった出来事から静かに幕を開けます。この星では「角」の有無が絶対的な身分を決める基準とされており、生まれつき額に角を持つ者は貴族・支配階級として栄華を極め、角のない者は「労奴」と蔑まれ、重労働を課される運命にあります。科学長官ラ・ゴールは、角を持たないものの卓越した頭脳によって要職に就き、皇帝の甥として次期皇位継承権すら持っていました。しかし、その秘密が野心家ズ・ザンバジルの陰謀によって暴かれ、ラ・ゴールは一転して裏切り者扱いされ、妻ロザリアとも引き裂かれ、労奴として投獄されてしまいます。彼は拘束されながらも自由と平等を求める闘志を失わず、同じ境遇の人々と共に蜂起、ボアザン星からの脱出を図ります。命懸けの脱走の末、宇宙船は漂流の果てに地球へと辿り着き、瀕死のラ・ゴールは地球の科学者・剛光代に救われます。ラ・ゴールは自らの過去を隠し、「剛健太郎」と名乗って地球人として生きる決意を固め、やがて光代と家庭を築き、三兄弟を授かります。しかし彼の心の奥底には、いつかボアザン帝国が地球にも侵略の手を伸ばすという予感と、その時に備えなければならないという切迫した危機感が渦巻いていました。

地球とビッグファルコン、防衛戦の始まり

時は流れ、地球では剛健太郎が浜口博士や防衛軍の岡長官と協力し、南の孤島に巨大な要塞基地ビッグファルコンを建造していました。その真の目的は、ボアザン帝国の侵略が現実のものとなった際、地球最後の砦として抵抗するためです。同時に、彼らの手で開発されていたのが、五機のボルトマシンが合体して完成する超電磁ロボ「ボルテスV」でした。主人公の剛健一、次男の大二郎、末っ子の日吉、そして仲間の峰一平と岡めぐみら若者たちは、それぞれの事情を抱えながらもボルトマシンのパイロットとして選ばれ、日々厳しい訓練を積んでいきます。やがて予感は現実となり、宇宙の彼方からボアザン帝国の侵略艦隊が接近。地球周辺の宇宙空間にボアザン獣士と呼ばれる巨大ロボットが出現し、都市部を次々と襲撃していきます。防衛軍の通常兵器では歯が立たず、人々が絶望に包まれかけたその時、ビッグファルコンからボルトマシンが発進。合体したボルテスVは、天空剣を振るい圧倒的な力で獣士を撃破し、地球には希望の光が差し込みます。こうして、ボアザン帝国の侵略部隊とボルテスチーム、ビッグファルコンとの長く苛烈な戦いの日々が始まるのです。

皇子ハイネルと剛三兄弟、宿命の対立

侵略軍の指揮官として地球に派遣されるのが、ボアザン帝国の皇子プリンス・ハイネルです。彼は貴族としての誇りを胸に、帝国の栄光を守るために戦うことを信じて疑いませんが、その出自には重大な秘密が隠されています。ハイネルは帝国側から「裏切り者の子」と陰口を叩かれ、皇帝の血を引くにも関わらず決して完全な信頼を得られない立場に置かれており、その劣等感と孤独が苛烈な戦い方やプライドの高さに繋がっています。一方、健一たち剛三兄弟もまた、自分たちの父・剛健太郎の不在に悩み、なぜ彼がいないのか、どこで何をしているのかといった疑問を抱えながら成長してきました。地球防衛戦が続くなかで、健一はボアザン獣士との戦いのたびに、自分たちと敵との間に説明のつかない因縁めいたものを感じ始めます。戦闘の合間に、敵将ダンゲ将軍や部下たちの様子、ボアザン側の兵士の表情が、単なる侵略者というよりも何かに縛られている者たちのように映る瞬間があり、健一の胸には「本当に彼らは根っからの悪なのか?」という疑念が芽生えていきます。やがて物語は、ハイネルと剛三兄弟の出自が複雑に絡み合っていることを徐々に明かし、互いを憎み合いながらも似た孤独と葛藤を抱える二つの陣営の姿を浮かび上がらせていきます。

父の行方、反乱軍の台頭とボアザン星への道

物語中盤、長らく行方不明だった剛健太郎の生存が示唆され、視聴者とボルテスチームに新たな希望と謎が突きつけられます。ボアザン本星では、圧政に苦しむ人々の間で反乱の機運が高まり、ダンゲ将軍らがひそかに革命軍を結成。健太郎もその一員として帝国打倒のために活動していましたが、ズ・ザンバジル側の激しい弾圧を受け、反乱軍の秘密基地は壊滅的打撃を受けます。健太郎は再び捕らえられ、見せしめとして処刑される危機に晒されることになります。その一方で、地球のビッグファルコンでは、浜口博士たちが恒星間航行を可能にする新システム「ソーラーバード」を完成させ、ビッグファルコンを宇宙戦艦ソーラーファルコンとして改造する計画が進められていました。父を救い出したいという健一たちの想いと、ボアザン星の人々を解放したいという健太郎の志は、星の距離を越えて共鳴し始めます。そしてついに、ソーラーファルコン発進の日が訪れます。ボルテスVを搭載した巨大宇宙船は、大量のボアザン艦隊が待ち構える宇宙空間を突破し、父と故郷の運命を賭けた決戦に挑むべく、ボアザン星への長い旅路へと飛び立つのです。

ボアザン星での革命とクライマックス

後半の舞台は、いよいよ敵の本拠地であるボアザン星へと移ります。ソーラーファルコンはたび重なる攻撃に晒されながらも、ボアザン星周辺へ到達。地上では反乱軍の生き残りが各地で蜂起し、支配階級に対して武器を取り始めていました。健一たちはボルテスVで獣士部隊を撃破しつつ、父が囚われている場所を探し、革命軍と連携して帝都へと突き進みます。その途中で、ハイネルと兄弟たちの血縁を巡る衝撃的な真実が明かされ、敵と味方という単純な関係では割り切れない、痛みと哀しみに満ちた対峙が描かれます。ハイネルは自らの出自と帝国の偽りに気づきながらも、これまで信じてきたものが崩れ去る恐怖と、ボアザンの誇りを守りたいという想いの狭間で苦しみます。彼の決断は、ボアザン星の未来だけでなく、剛家と皇族、それぞれの家族の運命を大きく左右することになります。クライマックスでは、ボルテスVとズ・ザンバジル配下の最強獣士たちとの総力戦が展開され、街や宮殿が戦火に包まれる中で、角の有無に縛られてきた社会そのものを変革しようとする人々の姿が描かれます。天空剣が皇帝の象徴へと振り下ろされる瞬間、それは単なる敵ボス撃破のカタルシスではなく、長く続いた身分差別と独裁の終焉を象徴するシーンとして胸に刻まれるのです。

戦いの終わりと、その先にある希望

最終局面でボアザン帝国は打倒され、角の有無によって人を差別してきた体制は瓦解します。しかし、その代償として多くの命が失われ、ハイネルをはじめとするキャラクターたちの悲しい結末も待ち受けています。健一たちは、自分たちの手で勝ち取った勝利が単純な歓喜だけでは語れない重みを持つことを痛感し、戦いの中で失ったものと向き合わなければなりません。それでも、ボアザン星の人々が新しい社会を築くべく歩み始める姿や、地球へ戻ったボルテスチームが、戦争の爪痕を抱えながらも前向きに生きようとする姿が描かれることで、物語は重苦しさだけでは終わりません。親子の再会、過去のわだかまりを越えようとする人々の和解、そして異なる星の民同士が手を取り合う未来への希望――そうした要素が、ラストシーンの中に静かに、しかし確かな光として宿っています。『超電磁マシーン ボルテスV』のストーリーは、単なるヒーローが敵を倒して終わる勧善懲悪ではなく、戦いの後に続く「再生」の物語をも含んだ長い旅路として構成されており、そのドラマ性こそが今も多くのファンの心を離さない理由だと言えるでしょう。

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■ 登場キャラクターについて

ボルテスチームとビッグファルコンの仲間たち

『超電磁マシーン ボルテスV』の物語を支えているのは、巨大ロボだけではありません。地球側の中心となるのは、ビッグファルコンに集められた5人の若きパイロットたちと、その周囲で彼らを支える大人たちの存在です。主人公である剛健一、豪放磊落な親友・峰一平、落ち着いた兄貴分の剛大二郎、末っ子ポジションの日吉、そして紅一点の岡めぐみ――この5人は、それぞれ異なる家庭環境や性格を持ちながらも、運命に導かれるようにボルテスチームとして結集します。彼らが拠点とするビッグファルコンは、単なる基地ではなく「共同生活の場」としても描かれており、訓練の合間に交わされる何気ない会話や小さな衝突を通じて、視聴者は次第に彼らを“クラスメイト”や“近所の兄ちゃん・姉ちゃん”のように身近に感じるようになります。厳格な規律のもとに置かれた軍事施設でありながら、食堂や医務室、訓練室などがドラマの舞台として細かく描かれ、そこでキャラクター同士の関係性が積み重ねられていくことで、作品世界は一層リアルな厚みを持つようになっていきます。

剛健一 ― 苦悩しながら成長していく若きリーダー

チームの中心人物である剛健一は、少年らしい直情さと、リーダーとしての責任感の狭間で揺れるキャラクターです。父・剛健太郎の不在という大きな空白を抱えたまま育った彼は、兄弟たちの面倒を見つつも、どこか常に“父の背中”を追いかけています。戦いの場では果敢にボアザン獣士へと立ち向かい、天空剣を振るう姿が象徴的ですが、その裏側では「自分は本当にみんなを引っ張っていけているのか」「父はなぜ自分たちの前から姿を消したのか」といった葛藤に苛まれています。ある回では、失敗を重ねたことで自信を喪失し、一時的に操縦席から降りようとする場面も描かれますが、仲間たちとの衝突と和解を経て「自分一人が完璧である必要はない。みんなでボルテスなんだ」と気づいていく流れは、多くの視聴者にとって感情移入しやすい成長譚になっています。声を演じる白石ゆきながの、やや高めで張りのある声質は、健一の若さと真っ直ぐさ、不安を押し隠して必死に前を向こうとする姿を巧みに表現しており、感情が高ぶるシーンでの叫びや涙声は、物語のクライマックスで強い印象を残します。

剛三兄弟と日吉・めぐみ ― “家族”としての絆とチームワーク

健一、大二郎、日吉の剛三兄弟は、血の繋がりだけでなく、共に戦いに身を置く戦友としての絆でも結ばれています。大二郎は冷静で力持ちという典型的な「頼れる兄貴分」であり、ボルトパンザーのパイロットとして最前線でボルテスの胴体を支えます。玄田哲章の太く落ち着いた声が、大二郎の包容力と時折見せる熱さを際立たせ、普段は寡黙でも弟たちが危機に陥ったときには一気に感情を爆発させるギャップが魅力です。末っ子の日吉は、年相応のわんぱくさと恐怖心の両方を抱えたキャラクターで、最初は戦いに怯えたり、感情的になって突っ走ってしまうこともあるものの、経験を重ねるにつれ“自分なりの勇気”を身につけていきます。小原乃梨子が演じることで、幼さと芯の強さが同居した存在感が生まれ、時にコミカルなリアクションで視聴者の緊張を和らげる一方、シリアスな回では涙を誘う演技を見せてくれます。峰一平は、剛家の兄弟ではないものの、ほとんど家族同然の立ち位置です。快活でムードメーカー的な役回りでありながら、貧しい環境で育ってきた過去や、自分が“血の繋がりのない仲間”であることへのコンプレックスがふとした場面で顔を覗かせることもあります。曽我部和行の軽妙な演技が、一平の明るさの裏にある繊細さをにじませ、視聴者に「笑わせながら泣かせる」バランスの良いキャラクターとして強い印象を残します。岡めぐみは、唯一の女性パイロットとしてチームに参加しており、看護やサポートだけに留まらず前線で戦う姿が描かれることで、当時としては先進的なヒロイン像を提示しました。上田みゆきの凛とした声は、強さと優しさを併せ持つ彼女の魅力を支え、健一との微妙な距離感や、仲間を思うがゆえの厳しい言葉など、感情の揺らぎを丁寧に表現しています。五人が単なる戦闘ユニットではなく、“肩を並べて苦楽を共にした家族”のように見えるのは、こうしたキャラクター造形と演技が積み重ねられているからこそです。

剛健太郎と光代 ― 親として、革命家としての存在感

物語の根幹を支えるのが、剛三兄弟の父・剛健太郎と母・光代です。健太郎は正体を隠して地球で生きるボアザン人ラ・ゴールであり、ボアザン星での挫折と革命への思いを胸に、密かにボルテスVとビッグファルコンの計画を進めてきた張本人です。二瓶秀雄による重厚な声は、優しい父親としての温もりと、過酷な運命を背負った男の哀愁を同時に感じさせ、短い登場シーンでも強烈な印象を残します。若き日のラ・ゴールを演じる水島裕の声との対比も巧みで、理想に燃えていた頃から、数々の困難を経て“父親”という役割を得た現在までの時間の流れを、視聴者に自然と想像させます。光代は地球人でありながら、異星人である健太郎の過去を受け入れ、彼と共に歩むことを選んだ人物です。母として子どもたちを包み込む優しさだけでなく、夫の不在や地球侵略という厳しい現実の中で、何度も絶望しかけながらも家族を支え続ける強さも持ち合わせています。近藤高子の柔らかな声色は、そんな光代の芯の強さと揺れ動く心情を繊細に表現しており、彼女の涙や微笑みが映るたび、視聴者は「この家族には幸せになってほしい」と自然に願うようになります。

プリンス・ハイネル ― 悲劇のライバルとしてのカリスマ

敵側で最も強い存在感を放つのが、ボアザン帝国の皇子プリンス・ハイネルです。彼はボルテスチームにとっては容赦ない地球侵略の司令官であり、幾度となく彼らを窮地に追い詰める冷酷な戦士として登場します。しかし物語が進むにつれ、彼自身もまた出生の秘密と身分差別の中で苦しんできた被害者であることが明らかになり、単なる“悪役”としては片づけられない深いドラマを背負っていることが分かります。市川治が演じるハイネルの声は、貴公子らしい気品と冷徹さ、そして胸の奥に押し込めた孤独や怒りといった感情の振れ幅を見事に表現しており、多くの視聴者が「彼こそがボルテスVのもう一人の主人公だ」と感じるほどの魅力を放っています。とりわけ後半、彼が自らの出生の真実を知り、剛三兄弟との関係性が明らかになってからのエピソードは、視聴者の心を激しく揺さぶります。帝国への忠誠と、血の繋がった“家族”としての感情の狭間で揺れ続ける姿は、憎むべき敵でありながらどうしても嫌いになれない、複雑な感情を呼び起こします。クールで端正なビジュアルデザインも相まって、当時から女性ファンを中心に圧倒的な人気を誇り、今なお“悲劇のライバルキャラ”の代表格として語られ続けているキャラクターです。

ボアザン側の将軍たちとズ・ザンバジル ― 敵にもドラマがある群像劇

ボアザン帝国側には、ハイネルのほかにも個性的なキャラクターが多数登場します。皇帝ズ・ザンバジルは、身分制度を利用して権力を握る暴君として描かれますが、その一方で、自らの支配体制が揺らぎつつあることに薄々気づきながらも、力で押し切ろうとする弱さも垣間見えます。寺島幹夫の迫力ある声は、単なる悪役ではない“脆さを抱えた支配者”の姿を浮かび上がらせています。ダンゲ将軍は、当初は敵側の将軍として登場しながら、やがて身分制度に疑問を抱き、労奴解放のために反乱側へと身を投じる人物です。勝田久の重厚な演技によって、彼の葛藤と転身が説得力を持って描かれ、敵側からも“義の人”が現れることで、物語全体が単純な正義対悪の構図を越えた広がりを見せます。ルイ・ジャンギャルやド・ベルガン、ド・ズールといった将軍・参謀たちも、それぞれ個性的なビジュアルと性格付けがなされており、時に滑稽な失敗で視聴者を和ませつつも、要所では恐るべき戦略を展開する“憎めない悪役”として作品を彩ります。彼らのやりとりやハイネルとの関係性は、ボアザン帝国内部の政治的駆け引きや価値観の対立を分かりやすく示しており、敵側のドラマを重視する本作の姿勢がよく表れています。

科学者・軍人・一般市民 ― 世界を支える多彩な脇役たち

ビッグファルコン側でも、浜口博士や左近寺博士、岡防衛長官といった大人のキャラクターたちが重要な役割を担っています。浜口博士は、健太郎不在の後、ボルテス計画を支える科学者として、そして若者たちの良き理解者として描かれます。厳しい言葉でパイロットたちを叱咤する一方、彼らの心が折れそうになったときには静かに寄り添う姿が印象的で、「理系の父親」のような温かさを感じさせます。左近寺博士は工学・メカニック面のエキスパートとして、次々と新装備や改良案を提案し、戦況を打開するアイデアマン的ポジションを担います。大木民夫演じる落ち着いた声は、どんな危機的状況でも慌てず冷静に対処する頼もしさを表現しており、視聴者に安心感を与えます。岡防衛長官は軍人としての責任と親としての感情の間で揺れるキャラクターで、娘のめぐみを最前線に送り出さざるを得ない葛藤が随所に描かれます。増岡弘の包容力ある声が、頑固さの裏に潜む娘への愛情を感じさせ、父と娘の距離感を繊細に演じ分けています。また、基地のメカニックたちや看護師・タツコといった一般隊員たちも、時折コミカルなエピソードやささやかなドラマを与えられており、“名もなき人々”の存在によって世界に厚みが加えられています。視聴者は彼らの姿を通して、「巨大ロボの影には、無数の支える人がいる」という現実味を感じることができるのです。

視聴者が感じるキャラクターの魅力と印象的なシーン

『ボルテスV』のキャラクターたちは、誰もが“立っているだけで絵になる”ような分かりやすい記号性を持ちながら、その内面には矛盾や弱さ、迷いといった人間的な要素が丁寧に描き込まれています。健一が涙をこらえながら戦いに向かう姿、日吉が怖さを乗り越えて操縦桿を握り直す瞬間、一平が仲間を励ますためにあえておどけて見せる場面、大二郎が無言のまま弟たちを守ろうと身体を張るシーン、めぐみが傷つきながらも前線に立ち続ける決意――こうした積み重ねこそが、視聴者に「彼らと共に戦っている」という感覚を抱かせます。一方で、敵側のハイネルやボアザンの将軍たちもまた、敗北や失敗のたびに感情を露わにし、時には部下を庇い、時には上官の理不尽な命令に苦渋の表情を浮かべます。その姿は、「敵にも生活があり、誇りがあり、守りたいものがある」というメッセージをさりげなく伝え、子ども向けアニメとしては異例の複雑さを作品にもたらしています。名セリフや名シーンも数多く、特にハイネルの最期にまつわるエピソードは、放送から長い年月が経った今でもファンの間で語り草となっており、多くの人が「ボルテスVといえば、あのシーンを思い出す」と口を揃えるほどです。視聴者にとって、キャラクターたちは単なる“登場人物”ではなく、自分の青春の一部や、人生のどこかで支えになってくれた存在として記憶されており、それこそが本作の人気が世代を超えて受け継がれている最大の理由だと言えるでしょう。

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■ 主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング

■ 主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング

オープニング「ボルテスVの歌」が伝える作品世界

『超電磁マシーン ボルテスV』の音楽を語るうえで、まず外せないのがオープニングテーマ「ボルテスVの歌」です。八手三郎名義の作詞、小林亜星による作曲、高田弘の編曲、そして堀江美都子・こおろぎ’73・コロムビアゆりかご会の歌声という、当時のアニメソング界でも屈指の豪華布陣によって生み出された一曲で、作品を象徴する“顔”として長く愛されてきました。 力強いブラスとストリングスが印象的なイントロに続き、「♪ボルテスV ボルテスV」というストレートなコールが繰り返されることで、初見の子どもでも数回聞けば一緒に口ずさめるキャッチーさを持っています。一方で歌詞をよく読むと、「正義」「平和」といったヒーローらしいキーワードに加えて、「父を探して」「仲間と心をひとつに」といった物語本編のモチーフがさりげなく織り込まれており、単なるロボット讃歌ではなく、若者たちの葛藤や家族愛をも暗示する内容になっています。メロディラインは、勇ましさだけでなくどこか哀愁を含んだ構成で、サビで一気に解放される高揚感が視聴者の感情を引き上げる仕掛けになっています。映像面でも、ボルトマシンの発進・合体から天空剣を構えたボルテスVの決めポーズまでがテンポ良く連続し、子どもたちの目を釘付けにしました。多くのファンにとっては、OP映像とセットで記憶されている楽曲であり、「この曲を聴くと、夕方テレビの前に座っていた頃の感覚がよみがえる」というノスタルジーと結びついている人も少なくありません。

エンディング「父をもとめて」が持つ切なさとロマン

対照的に、エンディングテーマ「父をもとめて」は、物語の根幹にある“父への想い”を前面に押し出したバラード調の楽曲です。作詞はあおいあきら、作曲はOPと同じく小林亜星、編曲は高田弘、歌唱は水木一郎とこおろぎ’73が担当しており、熱いシャウトで知られる水木一郎が、ここではぐっと抑えた情感豊かな歌唱を聴かせている点が大きな魅力です。 歌詞には、行方知れずの父を想って空を見上げる子どもの視線と、戦いの中で自分自身を見失いかけるボルテスチームの心情が重ねられており、1日の放送の終わりに視聴者の気持ちをしっとりと落ち着かせる役割を担っていました。サビに向かって徐々に盛り上がっていく旋律は、哀しみの中にも希望を見出そうとする健一たちの姿勢を象徴しているようで、OPが「戦いに向かう勇気」をかき立てる曲だとすれば、EDは「戦いの意味を問い直す」曲と言ってもよいかもしれません。エンディング映像も、戦闘シーンではなく、沈む夕日や佇むキャラクターたちの横顔が多く用いられており、視聴者は毎回の物語を振り返りながら、彼らの背中に自分自身の感情を重ねていきました。こうしたOPとEDのコントラストが、作品全体に“ロマンロボット”らしい情緒を与えている点は見逃せません。

挿入歌やBGMが支えるドラマ性

『ボルテスV』では、OP・ED以外にも、劇中で流れる挿入歌やインストゥルメンタルのBGMが、ドラマの起伏を巧みに支えています。戦闘シーンでは、ブラスとドラムを中心とした躍動感のあるトラックがボルテスVの重量感を強調し、超電磁ヨーヨーや天空剣・ボルテスバズーカなど必殺技のカットインに合わせてリズムが高まることで、視聴者のテンションを一気に最高潮まで引き上げます。一方で、日常パートや兄弟・仲間同士の会話シーンでは、ストリングスや木管を用いた穏やかな楽曲が流れ、ビッグファルコンという閉ざされた空間の中にも確かな“生活感”があることを感じさせてくれます。ボアザン星や宇宙空間を描くシーンでは、わずかにエキゾチックなスケールやコーラスを取り入れることで、「地球とは異なる文明世界」を音で表現しているのもポイントです。とくに、父・健太郎の過去やハイネルの抱える秘密が明かされるエピソードでは、哀愁を帯びたピアノやストリングスの旋律が長めに使われ、セリフの少ないカットでも感情が伝わるような構成が採られています。これは、長浜ロマンロボット作品全般に見られる“音楽による感情演出”の特徴であり、視聴者が言葉にならない余韻を味わえるよう計算された音響設計だと言えるでしょう。

キャラクターイメージソングと当時のレコード展開

放送当時、アニメの人気が高まると同時に、主題歌だけでなくキャラクターをイメージした楽曲やドラマパートを収録したLP・カセットが発売されるのが定番となりつつあり、『ボルテスV』もその例外ではありませんでした。主題歌シングルEPはもちろん、劇中BGMやナレーション、キャラクターのモノローグを織り交ぜた「ドラマ編」レコードなどがリリースされ、テレビ放送を見終わった子どもたちは、家で何度も針を落として物語の世界に浸り直すことができました。 当時の資料によれば、剛健一やハイネルといった主要キャラクターをイメージした楽曲も制作されており、歌詞やナレーションを通じて、アニメ本編では描き切れなかった彼らの心情や背景が補完される構成になっていたと伝えられています。たとえば、健一の曲では「父を追い続ける少年の迷いや決意」、ハイネルの曲では「皇子としての誇りと血筋の秘密に揺れる心」がテーマとして取り上げられ、視聴者はレコードを聴きながら、画面に映らなかった彼らの日常や内面の物語を想像することができました。こうしたイメージソングやドラマアルバムは、のちのキャラクターソング文化の原点の一つとも言え、現在のアニメファンがCDや配信でキャラソンを楽しむスタイルの遠いルーツとして、『ボルテスV』の音楽展開を位置づけることもできます。

サウンドトラックの再評価とデジタル時代の楽しみ方

時代が進み、レコードやカセットがCD・配信へと主役を譲った現在でも、『ボルテスV』のサウンドトラックは繰り返し再発されてきました。21世紀に入ってからは、アニメソングやロボットアニメ音楽のアーカイブ企画の一環として、主題歌・挿入歌・BGMを収録したCDが発売され、ブックレットには当時のスタッフインタビューや楽曲解説も掲載されるなど、資料性の高いパッケージとしても注目を集めました。 近年ではサブスクリプション型の音楽配信サービスでも主題歌やサウンドトラックの一部が解禁されており、往年のファンはもちろん、『ボルテスV』を後から知った若い視聴者も気軽に楽曲にアクセスできる環境が整いつつあります。プレイリストに「ボルテスVの歌」と「父をもとめて」を並べ、通勤・通学の途中に聴いて当時の感動を思い出したり、ロボットアニメソングの歴史を辿る中でその位置づけを味わったりと、楽しみ方はさまざまです。フィリピンなど海外での人気を背景に、現地アーティストによるカバーやバンドアレンジも多数存在し、ライブイベントで観客が大合唱する光景は、国境や世代を越えて作品が愛され続けている証と言えるでしょう。

ファンの記憶に残る“歌とシーン”の結びつき

ファンの感想を辿ると、『ボルテスV』の楽曲は、単独で聴いても名曲であると同時に、特定のエピソードやシーンと強く結びついて記憶されていることが多いようです。たとえば、激しい戦闘の末にボルテスVが満身創痍になりながら天空剣で逆転勝利を収めるシーンでは、OPのメロディと重なるようなBGMが流れ、画面と音が一体となったカタルシスを生み出します。また、父の消息を追う健一が葛藤する場面や、ハイネルが自らの出自に苦悩するエピソードのラストで「父をもとめて」が静かに流れ始めると、視聴者は自然と胸が締め付けられるような感覚を覚えます。こうした“歌とドラマのシンクロ”は、長浜ロマンロボット作品ならではの演出であり、歌が流れ出した瞬間に視聴者の感情スイッチが入るよう、綿密に計算されているのが分かります。現在も、コンサートやアニソンイベントで「ボルテスVの歌」や「父をもとめて」が披露されると、会場のファンは自然と拳を突き上げたり、涙ぐんだりといったリアクションを見せます。それは、単に懐かしい曲だからというだけでなく、楽曲そのものが物語の一部として心に刻まれているからこそ生まれる反応と言えるでしょう。音楽が物語と結びつくことで、作品全体の印象が何倍にも豊かになる――『超電磁マシーン ボルテスV』は、そのことを改めて実感させてくれる一例なのです。

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■ 声優について

メインキャスト陣の顔ぶれと作品カラー

『超電磁マシーン ボルテスV』の魅力を語るうえで、主役ロボや重厚なストーリーと並んで外せないのが“声”の存在です。主人公・剛健一役の白石ゆきなが(クレジット表記では白石幸長)、剛大次郎役の玄田哲章、剛日吉役の小原乃梨子、峰一平役の曽我部和行、岡めぐみ役の上田みゆきといったメインキャストは、いずれも当時から多くの作品で活躍していた、あるいは後に大きく飛躍していく声優たちです。 そこにハイネル役の市川治、浜口博士役の加藤精三、岡防衛長官・ド・ズール役の増岡弘、剛博士役の二瓶秀雄、ルイ・ジャンギャル役の飯塚昭三、ド・ベルガン役の内海賢二など、重厚な芝居で知られるベテラン陣が加わることで、作品全体の声色は「若さ」と「渋さ」が絶妙にブレンドされたものになっています。70年代ロボットアニメ特有の熱量の高いセリフ回しと、長浜ロマンロボ三部作らしい繊細な感情表現の両方を表現できるキャストが集められており、そのキャスティングセンスそのものが『ボルテスV』のドラマ性を支える土台になっていると言えるでしょう。

剛健一を形づくる白石ゆきながの等身大ボイス

リーダーである剛健一を演じた白石ゆきながの演技は、ヒーローでありながら「どこか身近な少年」としてのリアリティを強く感じさせます。張りのある高めの声は、戦闘時の「ボルテス・オン!」「天空剣!ボルテスバズーカ!!」といった叫びを爽快に響かせる一方で、父の行方を案じるシーンや、仲間との衝突で揺れ動く場面では、不安や迷いを隠しきれない繊細なニュアンスを含ませています。彼の声が単に“勇ましい”だけでなく、“無理をして前に出ようとしている少年”の影を感じさせるからこそ、視聴者は健一の失敗や涙に共感しやすくなり、最終的な成長に大きな感動を覚えるのです。シリーズ中盤以降、健一がリーダーとしての責任と個人としての感情の板挟みに苦しむ回では、同じトーンの叫びでも微妙に力の乗り方を変え、葛藤を滲ませるような芝居が多く見られ、音だけを追ってもキャラクターの心境の変化が分かるほどです。こうした繊細なアプローチが、脚本のドラマ性と合わさって、“ロボットアニメの主人公”という枠を一歩踏み越えた人間像を作り上げています。

三兄弟・一平・めぐみ ― 若手キャストが紡ぐチームの息づかい

二男・大次郎を演じる玄田哲章は、のちにアクション映画の吹き替えや多くのアニメで重厚な男性キャラを演じるようになる声優ですが、本作では若き日の力強さがそのままキャラクターの魅力に直結しています。彼の低く太い声は、戦闘時に大次郎が冷静に状況を見極めるシーンや、弟たちを励ます短いセリフに説得力を与え、視聴者に「この兄貴なら背中を預けられる」と感じさせます。末っ子・日吉役の小原乃梨子は、可愛らしさと芯の強さをあわせ持つ演技が光ります。臆病で泣き虫な一面を持ちながらも、いざという時には勇気を振り絞ってボルトフリゲートを操る姿には、小原の演技ならではの“子どもらしい揺らぎ”があり、視聴者は彼を「守ってあげたい」と同時に「頑張れ」と応援したくなります。峰一平を演じる曽我部和行は、陽気なムードメーカーとしてチームを明るくする存在感を発揮し、ギャグシーンではテンポの良い掛け合いで作品に軽妙さをもたらしつつ、シリアスな場面では声のトーンを落として一気にドラマモードへ切り替える巧みさを見せます。岡めぐみ役の上田みゆきは、凛とした強さと優しさをバランス良く演じ分けることで、“戦うヒロイン”像を提示しました。彼女の声は、健一たちを叱咤激励する厳しさと、傷ついた仲間にそっと寄り添う温かさを同時に含んでおり、女性キャラクターでありながら「戦力の一員」として堂々と立つ姿を際立たせています。これら5人の若手キャストが、スタジオでの掛け合いを通じて自然な空気感を築いているため、視聴者はボルテスチームを“作られたヒーロー集団”ではなく“本当に一緒に暮らしている仲間たち”のように感じられるのです。

ハイネルとボアザン側を彩る重鎮たちの芝居

プリンス・ハイネル役の市川治は、本作において“悲劇のライバル”という難しいポジションを見事に演じ切っています。冷淡な笑みを浮かべてボルテスチームを追い詰めるときの声には鋭い棘がありながら、その根底には孤独と迷いが常に滲んでおり、後半に明かされる出自の秘密を知ると、それまでの一言一句に別の意味が立ち上がってくるように感じられます。とくに、部下を叱責するシーンと、皇帝に対して忠誠を誓う場面、そして自らの出生を知ってうちひしがれる場面では、同じキャラクターとは思えないほど多彩な感情の揺れが声に込められており、ファンの間でも屈指の名演として語り継がれています。ズ・ザンバジル配下の将軍たちを演じる飯塚昭三(ルイ・ジャンギャル役)、増岡弘(ド・ズール/岡長官)、内海賢二(ド・ベルガン)らは、いずれも70~80年代のアニメ界を支えた重鎮であり、それぞれの声質と演技がキャラクターの性格に直結しています。飯塚の重く響く声は冷徹な参謀タイプを、内海の迫力ある低音は豪放な将軍タイプを、増岡の柔らかさの中に毒のある芝居は狡猾な官僚タイプを……というように、聞いただけで立ち位置が分かるキャラクター性を与えています。敵側でありながらどこか憎めないやりとりや、時に見せる部下思いの一面なども、ベテラン陣のアドリブや芝居の積み重ねによって生まれており、「悪役の魅力」を語る上で欠かせない存在となっています。

親世代と科学者たち――物語を支える“大人の声”

剛健太郎(ラ・ゴール)役の二瓶秀雄と、光代役の近藤高子の演技は、親子・家族のドラマを重視する『ボルテスV』において、非常に重要な位置を占めています。二瓶の深みのある声は、ボアザンの科学長官としての威厳と、父として家族を想う優しさを同居させており、過去の回想シーンと現在の姿で微妙に演じ分けることで、年月の重みを感じさせます。近藤は母親としての包容力と、不安や恐怖に苛まれながらも家族を支え続けようとする強さを、穏やかな声色の中に繊細に表現しています。彼女の震える声で発せられる「子どもたちを守りたい」という一言には、派手な必殺技にも負けないほどの重さがあります。また、浜口博士を演じる加藤精三、左近寺博士を演じる大木民夫といった科学者陣も印象的です。加藤は厳しさの中にユーモアを含んだ芝居で“頑固だけど頼れる先生”像を作り上げ、大木は低く落ち着いた声で技術者としてのプロフェッショナリズムを体現しています。これら“大人の声”があることで、若いパイロットたちの成長物語がより現実味を帯び、視聴者は彼らを「親目線」で見守る感覚を味わうことができるのです。

70年代アフレコ現場の空気と『ボルテスV』ならではの特徴

当時のテレビアニメは、基本的にキャスト全員が一つのスタジオに集まり、台本を片手に“同時収録”するスタイルが主流でした。『ボルテスV』も例外ではなく、健一たち若手キャストと、ボアザン側のベテラン勢が一堂に会してアフレコを行うことで、現場には常に独特の緊張感と活気があったとされています。感情の高ぶるシーンでは、セリフの掛け合いに応じて自然と声量が上がり、マイク前で本当にぶつかり合っているような迫力が生まれます。その反面、家族や仲間同士の静かな会話シーンでは、マイク前の立ち位置を少し離したり、声をわずかに落として“距離感”を表現するなど、アナログならではの工夫が凝らされていました。長浜ロマンロボ作品の特徴として、セリフをあえて少なめにしてBGMと表情だけで感情を伝える場面も多く、そうしたカットでは声優たちも「黙って立っているだけで画面の空気を変える」芝居を求められます。視線の動きや呼吸音、わずかな呻き声のトーンなど、普段は意識されにくい細部まで役作りを行うことで、映像と音響が一体となった“ロマン”の質感が生まれているのです。戦闘回とシリアス回とで、同じキャラクターでも声のテンポや抑揚を大きく変えているのも『ボルテスV』ならではで、そうしたメリハリはDVD・Blu-rayの一気見で改めて気づくファンも多いポイントです。

実写版『ボルテスV レガシー』への継承と現代の声優ファン

近年、フィリピン制作の実写ドラマ『Voltes V: Legacy』が日本でも公開・放送され、日本語吹き替えキャストが発表された際には、オリジナル版からの“声の継承”という観点でも話題になりました。主役チームの日本語吹き替えには現代の人気声優たちが起用され、プリンス・ザルドス役には、子どもの頃に『ボルテスV』をリアルタイム視聴していたという諏訪部順一が配されるなど、“かつての視聴者が今度は演じる側に回る”という象徴的なキャスティングも行われています。 実写版の吹き替えによって、『ボルテスV』というタイトルは再び現在進行形のコンテンツとして注目され、オリジナル版の声優陣の演技に改めて触れるファンも増えました。古典的な70年代アフレコの熱さと、令和世代の声優による新たな解釈を聴き比べることで、キャラクターの新たな側面が見えてくるという楽しみ方も誕生しています。こうした「世代を越えた声のバトンリレー」は、作品が長く愛されている証でもあり、『超電磁マシーン ボルテスV』というタイトルが、これからも声優ファンの間で語り継がれていくであろうことを強く予感させます。オリジナル版のキャストが刻み込んだ“熱と哀しみの声”は、今もなお多くの視聴者の記憶の中で生き続け、その響きは新しい世代のクリエイターや演者たちへと静かに、しかし確かに受け継がれているのです。

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■ 視聴者の感想

子ども向けロボットアニメとしての爽快感とカッコよさ

『超電磁マシーン ボルテスV』をリアルタイムで見ていた当時の子どもたちの感想としてまず挙げられるのは、「とにかくボルテスVがカッコいい」「天空剣のシーンを待っていた」という、ストレートなヒーローへの憧れです。毎回、5機のボルトマシンが一機ずつ発進し、合体バンクを経て巨大ロボが完成するまでの一連の流れは、まさに“儀式”そのもので、画面の前で一緒に掛け声を上げたり、手で合体ポーズを真似しながら見ていたという記憶を語るファンも多くいます。特に、天空剣が胸部から飛び出し、雲を切り裂くように掲げられてから敵獣士を一刀両断するまでの流れは、何度見てもスカッとする“約束されたカタルシス”であり、「今日もここまで来たら勝てる」という安心感にも繋がっていました。必殺技の前に一瞬だけ挿入されるキャラクターたちの表情や、機体に走る電流エフェクトなどの細かい演出も相まって、視聴者にとっては“1話のクライマックスを象徴する瞬間”として強烈に刻み込まれています。また、敵のボアザン獣士も毎回デザインが凝っていて、「今週はどんなロボが出てくるんだろう」とワクワクしながらテレビを点けていたという声も多く、当時の子どもにとって、土曜18時は週に一度の“巨大ロボと会える時間”として、特別な意味を持っていました。

親子・家族の物語に心を揺さぶられた視聴者の声

一方で『ボルテスV』は、単なる必殺技の爽快感だけでなく、「親子」や「家族」のドラマに深く心を揺さぶられたという感想が非常に多い作品でもあります。特に、行方不明となった父・剛健太郎を探し続ける健一たち三兄弟の姿に、自分自身の家庭環境を重ねて見ていた視聴者は少なくありません。「父親が仕事で家にあまりいない時期に見ていたので、健一の“父さんはきっと戻ってくる”という信じ方が、子ども心に刺さった」「厳格な父と距離を感じていた頃、ボルテスを通して『父も悩んでいるのかもしれない』と想像するようになった」といった、当時の記憶を語るエピソードも見受けられます。母・光代が一人で家族を支えながら、時には強く、時には涙をこらえながら子どもたちを送り出す姿も、多くの視聴者の記憶に残っています。戦闘に向かう子どもたちを笑顔で送り出しつつ、その背中を見送った途端に廊下の影で静かに涙を流す――そんな描写は、子どもの頃は「お母さんかわいそう」と感じる場面であり、大人になってから見ると「親の立場になって初めて分かる痛み」として、まったく違う重さを持って胸に迫ってきます。ボアザン星での父との再会や、親子が互いに謝り合う場面などでは、「ロボットアニメを見てこんなに泣くとは思わなかった」という感想が数多く寄せられており、“長浜ロマンロボ”の名にふさわしい、感情の振り幅の大きい作品として受け止められていることが分かります。

敵側に感情移入してしまうという新鮮な体験

『ボルテスV』に対する視聴者の感想で特に特徴的なのは、「敵であるはずのプリンス・ハイネルやボアザン側の人物に強く感情移入してしまった」という声が非常に多い点です。放送当時、子ども向け作品における“敵キャラクター”は、倒されるための存在として描かれることが一般的でしたが、本作ではハイネルを筆頭に、ボアザン側の人々にもそれぞれの信念や葛藤が与えられています。そのため、視聴者の中には、「最初はボルテスを応援していたのに、話が進むにつれていつの間にかハイネルの幸せを願うようになっていた」「ハイネルの最期のエピソードは、敵味方という枠を越えて涙が止まらなかった」といった感想を持つ人が少なくありません。特に、ハイネルの出生の秘密が明らかになり、彼自身が“裏切り者の子”という烙印に苦しんでいたことが分かると、多くの視聴者は「彼もまた、ボアザンの身分制度に翻弄された被害者なのだ」と気づかされます。その瞬間、ボルテスチームとハイネルの戦いは、“正義対悪”の単純な構図から、“立場の違う者同士が避けられない状況に追い込まれた悲劇”へと姿を変え、視聴者の感情の向かう先も複雑に揺れ動きます。こうした“敵への共感”という経験は、当時の少年少女にとって非常に新鮮であり、「この作品をきっかけに、物事を一面だけで見ないようになった」という、大人びた感想を語るファンも存在します。

海外ファン、特にフィリピン視聴者にとっての“自由の象徴”

日本国内だけでなく、海外、とりわけフィリピンの視聴者にとって『ボルテスV』は、単なるアニメを越えた存在として記憶されています。厳しい社会状況の中で放送された本作は、「圧政に苦しむ人々が立ち上がり、独裁や身分差別に立ち向かう物語」として受け止められ、ボアザン星の革命劇は、そのまま現実世界の希望のメタファーとして視聴者の心に刻まれました。「ボルテスVを見て育った世代は、正義感や自由への渇望をこの作品から教わった」と語る現地のファンも多く、彼らにとって天空剣は単なる必殺技ではなく、“理不尽な支配を断ち切る象徴”として機能していたと言えます。再放送や新作実写ドラマの展開をきっかけに、親から子へと作品が受け継がれ、「親子二世代でボルテスVを語り合える」という特別な作品になっている点も興味深いところです。親世代はアニメ版をリアルタイムで見て胸を熱くし、子ども世代は最新の映像技術で再構成された実写版を楽しみつつ、共通の話題として“ボルテス愛”を語り合う――そうした光景は、日本のファンにとっても羨ましいほどの文化的根付き方だと言えるでしょう。

大人になってからの再視聴で見える新たな側面

『ボルテスV』は、子どもの頃に夢中で見ていたファンが、大人になってからDVDや配信で再視聴したとき、「こんなにも重いテーマを扱っていたのか」と驚くケースが非常に多い作品です。ボアザン星の身分制度や労奴の扱い、権力闘争、プロパガンダとしての侵略戦争……といった要素は、子どもの頃は何となく“悪いこと”として受け止めていたに過ぎませんが、社会経験を積んだ大人の目で見ると、現実世界のさまざまな問題とリンクして見えてきます。また、親となった視聴者にとっては、剛健太郎や光代、岡防衛長官といった“大人側のキャラクター”の心情が、かつてとは比べものにならないほど深く胸に刺さります。「子どもの頃は健一目線で見ていたけれど、今見ると健太郎やハイネルの方に感情移入してしまう」「当時ピンと来なかった静かな会話シーンや、涙を堪える横顔が、今では一番心に残る」といった感想は、大人になって再視聴したファンの間で共通して聞かれるものです。また、演出や作画、音楽の使い方など、制作的な観点から作品を捉える視聴者も増え、「このカット割りは敢えてセリフを抑えてロマンを演出している」「このBGMのタイミングが完璧」といった職人的なこだわりに感嘆する声も多く上がっています。かつては「ロボットアニメ」とひと括りにしていた作品が、再視聴によって「一本の骨太な人間ドラマ」として再発見される――その二度おいしい体験こそが、『ボルテスV』が長年愛される理由のひとつとなっているのです。

SNS・イベントで共有される“ボルテス体験”

近年では、SNSや動画配信サービスの普及により、『ボルテスV』にまつわる視聴体験が、国や世代を越えて共有されるようになっています。初放送当時のリアルタイム世代が「この回で号泣した」「子どもの頃、ボルテスごっこで友だちと合体ポーズをやっていた」といった思い出を語れば、それを読んだ後追い視聴組が「配信で初めて見たが、今見ても十分面白い」「親世代が熱く語っていた理由がようやく分かった」と呼応する――そんなやりとりが、オンライン上のあちこちで見られます。また、アニソンライブやロボットアニメイベントで「ボルテスVの歌」や「父をもとめて」が披露されると、会場全体が一斉に合唱したり、サビで拳を突き上げたりする光景が広がり、その場を共有した観客同士が後でSNSに「会場が一体になって胸が熱くなった」「隣の知らない人と一緒に歌ってしまった」と書き残すことも珍しくありません。こうした“体験の共有”は、かつてテレビの前で一人または家族とだけで味わっていた感動が、時間と場所を越えて多くの人々と繋がる瞬間でもあります。ロボットアニメの歴史を振り返る企画や、長浜ロマンロボット三部作を語る番組・記事などでも、『ボルテスV』はたびたび取り上げられ、「敵味方双方に感情移入させるストーリー」「家族ドラマの完成度」「音楽と演出の見事な連動」といったポイントが、今なお高く評価されています。視聴者の感想は時代とともに変化しながらも、「胸を熱くした」「涙が出た」「何度でも見返したくなる」という共通するキーワードで結ばれており、それこそが『超電磁マシーン ボルテスV』という作品の“ロマン”が、世代を超えて受け継がれている何よりの証なのかもしれません。

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■ 好きな場面

初合体と天空剣が描かれる“ボルテス誕生”の瞬間

『超電磁マシーン ボルテスV』の好きな場面として多くのファンがまず挙げるのが、ボルトマシンが初めて正式な合体を成功させ、ボルテスVとして立ち上がるシークエンスです。各機のコクピットで緊張に固くなる健一たちの表情、ビッグファルコンの管制室で見守る浜口博士や光代、そして「ボルテス・オン!」の掛け声とともに、5機が一つの巨大な人型へと収束していく流れ――その一つひとつのカットが、視聴者に強烈なインパクトを与えました。特に、腕や脚がガチガチと音を立てて接続されていき、最後に頭部が装着されて赤いV字アンテナが画面いっぱいに輝く瞬間は、「ついに本当のヒーローが誕生した」という感覚を子どもたちに与える象徴的なシーンです。その直後、初めて放たれる天空剣も印象的で、雲間を切り裂きながら一直線に飛び出す剣をキャッチするボルテスVの姿は、まさに“これぞスーパーロボット”というカッコよさの凝縮でした。多くのファンは、この初合体の回を振り返りながら、「録画もできない時代だったから、この場面を見るために毎週テレビの前で正座していた」「おもちゃのボルテスを手に持ちながら、一緒に合体ポーズをしていた」といった思い出を語ります。シリーズ後半に進んでも合体バンクは基本的に共通ですが、視聴者の中ではやはり“最初の一回”が特別な意味を持って記憶されているのです。

父の真実とハイネルの出自が明かされる衝撃のエピソード

本作を語るうえで欠かせない好きな場面として、剛健太郎の正体とハイネルの出自に関わる一連のエピソードを挙げるファンも非常に多くいます。長らく行方不明だった父が、実はボアザン星の出身であり、かつて角のない身として差別されながらも科学長官にまで登り詰めた人物であったことが明かされるくだりは、それまで“地球人の科学者”として朧げに語られていた存在に、急に重い歴史がのしかかる瞬間です。さらに、その健太郎とボアザン皇族との血の繋がりが示され、ハイネルにまつわる真実が次第に浮かび上がっていく回では、視聴者の感情も激しく揺さぶられます。豪奢な宮殿の一室で、ハイネルが自らの出自に関する事実を突きつけられ、誇りとしてきた「皇子」という身分が実は脆い基盤の上に立っていたことを知る場面は、多くのファンにとって忘れ難いワンシーンです。彼の瞳から溢れる怒り・戸惑い・絶望・それでもなお保とうとする“ボアザンの誇り”――そうした複雑な感情が一瞬にして渦巻き、視聴者は「敵でありながら、どうしても憎めない」「できることなら救われてほしい」と強く願わずにはいられません。健一たちが父の真実を受け止める場面も同様で、「裏切られた」という感情と、「それでも父を信じたい」という気持ちが激しくぶつかり合い、普段の明るい彼らからは想像できないほど重い沈黙が画面を支配します。こうした“真実が明かされる瞬間”の場面は、ロボットアニメの枠を超えた人間ドラマとして、視聴者の心に強く刻まれているのです。

ボアザン星での革命と、ハイネルの最期に多くのファンが涙した

シリーズ終盤、舞台がボアザン星へ移ってからのエピソードには、“好きな場面”として語られるシーンが数え切れないほど存在します。その中でも特に多くのファンの記憶に残っているのが、革命軍とボアザン帝国軍の全面衝突、そしてハイネルの最期に至る一連の流れです。荒廃した街並みの中で、角のない労奴たちが勇気を振り絞って立ち上がる様子、ボルテスVがそれを守るように獣士と激突する姿、そして帝国の象徴たる塔が崩れ落ちる光景は、“圧政の崩壊”を視覚的に示す強烈なイメージとしてファンの心に焼き付いています。そして何より語り草となっているのが、ハイネルが自らの生き方に決着をつけるラストシーンです。真実を知った彼は、帝国のために戦ってきた日々と、自分の血筋を巡る宿命に挟まれ、最後の最後まで揺れ動きますが、最終的には自分なりの“けじめ”を選び取ります。その際、敵であるはずの健一たちに向けて放つ言葉や、剣を握る手の震え、そして崩れゆく世界の中で見せる一瞬の微笑みなど、細かな表情一つひとつが視聴者の涙腺を刺激します。多くのファンが「子どもの頃、初めて“敵キャラの死”で本気で泣いた」「今見返しても、このシーンだけはどうしても涙を堪えきれない」と語るほどで、ハイネルの最期はロボットアニメ史全体で見ても屈指の名シーンと評されています。ボアザン星の空を背景に燃え上がる炎と、その中で静かに終わりを迎える一人の戦士――そのコントラストが、ボルテスVの物語を“悲しくも美しいロマン”として締めくくっているのです。

家族が再会する穏やかなひとときと、静かな涙の場面

激しい戦闘や革命の場面とは対照的に、ファンの好きな場面としてよく挙げられるのが、剛家の家族が一時的にでも再会を果たす穏やかなシーンです。傷ついたソーラーファルコンの医務室で、久しぶりに父・健太郎と顔を合わせる三兄弟の緊張と喜びが入り混じった表情は、視聴者の胸を温かくしてくれます。健太郎がそれぞれの肩にそっと手を置き、「よくここまで成長してくれた」と静かに語りかける場面は、派手な演出も大げさな音楽もないのに、むしろそれゆえに深い感動を呼び起こします。また、光代が戦いから戻った子どもたちを抱きしめ、笑顔と涙が同時にあふれ出す場面も、多くの視聴者の好きなシーンとして語られています。そこでは、勝利の喜びだけでなく、「次の出撃ではどうなるか分からない」という不安も織り込まれており、だからこそ、その一瞬の安らぎがかけがえのない宝物として輝いて見えるのです。こうした“静かな名場面”は、再視聴して初めてその尊さに気づくことも多く、「子どもの頃は退屈に感じていた日常シーンが、今では一番大切な場面に思える」という感想を持つファンも少なくありません。戦いの合間にたった数分だけ挟まれる家族の団欒や、何気ない会話こそが、ボルテスチームの戦いにリアリティを与え、視聴者に「彼らが守ろうとしている日常」の具体的なイメージを与えてくれるのです。

コミカルな日常回や、サブキャラクターが主役になるエピソード

『ボルテスV』はシリアスなイメージが強い作品ですが、その中にはコミカルな日常描写やサブキャラクターに焦点を当てたエピソードも散りばめられており、そういった回の一場面を“意外な好きな場面”として挙げるファンも多くいます。たとえば、日吉や一平が基地内で小さないたずらを仕掛けて大目玉を食らうシーンや、タツコさんをはじめとするビッグファルコンのスタッフたちが、慌ただしい戦闘準備の合間にささやかな休憩時間を楽しむカットなどは、激動の物語の中に人間味を加える重要なスパイスになっています。左近寺博士が新兵器の試験中に思わぬアクシデントを招き、基地内がちょっとした騒動になる回なども、戦いばかりではない“職場の日常”のような空気感が漂い、多くのファンの記憶に残るエピソードです。こうした場面では、キャラクター同士の軽妙な掛け合いや、ちょっとしたジェスチャーや表情が丁寧に描かれており、「彼らは巨大ロボのパイロットである前に、一人の少年少女であり、大人たちである」という当たり前の事実を思い出させてくれます。視聴者の中には、「シリアスな展開が続いた後、ふと挟まれるコミカルなシーンに救われた」「緊張の続く物語だからこそ、何気ない笑顔の場面が大好き」という声も多く、こうした日常描写こそが、クライマックスでの重い別れや決断をより胸に響かせる土台になっているのです。

バトルとドラマが融合した、シリーズ終盤のクライマックス

シリーズ終盤、ボアザン帝国との最終決戦に向かうエピソード群には、“バトルとドラマが完全に噛み合った名場面”がいくつも存在します。ソーラーファルコンが敵艦隊の包囲網を突破する際、外ではボルテスVが獣士と死闘を繰り広げ、艦内では光代や浜口博士たちが必死に機体を維持しようと奔走する――そんな“総力戦”の構図が描かれる回では、視聴者は画面の隅々まで目が離せません。火花が散る機関室、崩れかける通路を走るクルー、コクピットの中で汗を流しながら叫ぶ健一たち――それぞれが自分にできることを必死にやり遂げようとする姿は、「英雄一人の力ではなく、全員の力でこの戦いを乗り越えている」というメッセージを強く伝えてくれます。そして、皇帝との最終対決の場面では、天空剣を構えたボルテスVの背後に、これまでに積み重ねられてきた数々のエピソードがフラッシュバックのように観る者の脳裏に蘇り、その一太刀が単なる勝利の決定打ではなく、“長き戦いの終止符”として、非常に大きな意味を持って感じられます。「最後の戦いなのに、勝った瞬間にすぐ喜べなかった」「エンディングが流れ始めたとき、なんとも言えない寂しさと達成感で胸がいっぱいになった」と語るファンも多く、クライマックスそのものが“好きな場面”として一まとまりで語られることも珍しくありません。戦いの描写と人間ドラマがここまで密接に絡み合ったロボットアニメは決して多くはなく、『ボルテスV』の終盤エピソードは、今なお多くの視聴者にとって「アニメ史に残るクライマックス」として特別な位置を占めているのです。

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■ 好きなキャラクター

主人公・剛健一を推す声 ― 迷いながら前に進む“等身大ヒーロー”

『超電磁マシーン ボルテスV』のキャラクター人気を語るとき、真っ先に名前が挙がるのはやはり主人公の剛健一です。王道ロボットアニメのパイロットでありながら、最初から完璧なヒーローではなく、父の不在に揺れ、責任の重さに悩み、仲間との衝突に傷つきながら少しずつ成長していく姿が、多くの視聴者に「自分と同じ地平に立っている主人公」として強く響きました。特に、勝ち続けるだけではなく、判断ミスや感情の暴走で仲間を危険に晒してしまい、自分を責めて立ち直れなくなりかけるエピソードは、健一を「強いだけのリーダー」ではなく「弱さを抱えながらも立ち上がる少年」として印象づけます。好きなキャラクターとして健一を挙げるファンの多くは、「父親を探し続けるまっすぐな思い」「泣きたいのをこらえて隊長として振る舞おうとする不器用さ」「最後には仲間に支えられながらも自分の意志で決断する強さ」といったポイントを理由に挙げます。ボルテスVの操縦桿を握るときの鋭い眼差しと、日常パートで見せる年相応の笑顔、その両方を持っているからこそ、視聴者は彼の勝利に自分自身の想いを重ね、挫折には自分の痛みを重ねてしまうのです。「かっこよくて弱くて、それでも前に進んでいく姿が自分の支えになった」という声が多いのも、健一がただの“強い主人公”ではないことの証と言えるでしょう。

プリンス・ハイネル ― “敵なのに一番好き”と言われる悲劇の皇子

好きなキャラクターの話題になると、健一以上に熱量高く語られることも多いのが、ボアザン帝国の皇子・プリンス・ハイネルです。彼は物語前半では冷酷な司令官としてボルテスチームの前に立ちはだかり、敗北した部下を容赦なく叱責する姿から、「非情な敵」という印象を与えます。しかし物語が進むにつれて、彼自身もまた身分制度と血筋の呪縛に囚われた存在であり、“裏切り者の子”として蔑まれてきた過去を抱えていることが明らかになっていきます。そのため、多くの視聴者が「憎まれるべき敵」のはずのハイネルを、いつの間にか最も深く感情移入できるキャラクターとして好きになってしまうのです。彼を推すファンは、「弱みを絶対に見せまいとする誇り高さ」「どれだけ孤立しても、ボアザンの皇子としての責務を果たそうとする意地」「真実を知ってもなお、簡単には泣き崩れず、自分なりのけじめを選ぶ覚悟」といった点に魅力を感じています。特に人気が高いのは、敵として戦ってきたボルテスチームに対し、最後の最後で見せるわずかな心の揺らぎや、ほんの一瞬だけ浮かぶ微笑みです。「敵のはずなのに、彼が画面に出てくると目が離せなかった」「終盤はボルテスチームと同じくらい、ハイネルの幸せを願いながら見ていた」という感想は珍しくなく、結果として“ボルテスV=ハイネルの物語”と捉える視聴者もいるほど。好きなキャラクターランキングを作れば、健一と並ぶか、場合によってはそれ以上の票を集めてもおかしくない、稀有なライバルキャラと言えるでしょう。

剛三兄弟・一平・めぐみ ― “誰か一人”を選べない、チームとしての魅力

主人公だけでなく、ボルテスチーム全員をひとまとめに「全員が好き」と答えるファンも非常に多くいます。冷静で頼れる兄・大二郎、怖がりだけれど一番素直な末っ子・日吉、明るく場を和ませるムードメーカー・一平、そしてチームの中で唯一の女性パイロットとして戦うめぐみ。それぞれが個性を持ちながらも、誰か一人が突出しすぎることなく、互いの弱点を補い合い、長所を引き出し合う関係性が、「“推し”ではなく“箱推し”したくなるチーム」として愛されている理由です。視聴者によって、「どのキャラが一番好きか」は大きく分かれます。頼られることにやりがいを感じるタイプの視聴者は大二郎の落ち着きに共感し、「自分も弟や妹の前ではこうありたい」と憧れますし、臆病で泣き虫だった日吉が、何度も挫けそうになりながら戦いを乗り越えていく姿に「自分と重ねて応援していた」という声も多いです。一平の、ふざけているようで誰より仲間思いなところや、貧しい身の上からボルテスパイロットに選ばれたコンプレックスを秘めているところに惹かれる人もいれば、めぐみの「優しさと厳しさを併せ持つヒロイン像」に憧れ、「当時としては珍しい“戦う女の子”として強く印象に残った」という女性ファンの声も少なくありません。誰か一人に決めるのではなく、「この五人だからこそボルテスV」が成立しているという感覚が強く、その意味でも“好きなキャラクター=ボルテスチームそのもの”と答えるファンが多い作品です。

剛健太郎と光代、親世代のキャラを推す“大人ファン”

大人になってから『ボルテスV』を見返したファンの中には、子どもの頃にはあまり意識していなかった「親世代のキャラクター」を好きなキャラとして挙げる人も増えています。剛健太郎は、ボアザンと地球という二つの世界の狭間で生きることを選び、科学者として、革命家として、そして父親としての責任に苦しみながら戦い続けた人物です。若い頃に見たときは「格好いい父親」程度の印象でも、大人になって見ると、家族を守るために真実を隠し続けた葛藤や、ボアザンの人々を救うために我が子を危険に晒さざるを得なかった苦しみが、ごく現実的な重みを持って迫ってきます。その結果、「いちばん好きなのは健太郎になった」という声も珍しくなく、彼の不器用な愛情に胸を締め付けられる視聴者は少なくありません。光代もまた、多くの“大人ファン”にとって忘れ難いキャラクターです。異星人である夫の過去を受け入れ、行方不明になってもなお信じ続け、戦場へ向かう子どもたちを見送らなければならない――そんな、現実ではあり得ないようでいて、どこか“単身赴任の夫を持つ家庭”や“危険な仕事に従事する家族”と重ね合わせられる苦悩を背負った存在として描かれています。光代を推すファンは、「強さと弱さのバランスが人間らしい」「守られるヒロインではなく、家族を精神的に支える支柱として描かれているところが好き」と語り、作中で決して前線に立つわけではないものの、その存在感の大きさを高く評価しています。

浜口博士・岡防衛長官・ダンゲ将軍 ― 作品世界を支える“大人の推し”たち

ボルテスチームや家族以外にも、世界観を支える“大人キャラ”に心惹かれるファンは多くいます。浜口博士は、健太郎不在の後にボルテス計画を引き継ぎ、若いパイロットたちを厳しくも温かく見守る存在として描かれています。「時には怒鳴り、時には黙って見守り、最後には背中を押してくれる先生のような存在だった」として、好きなキャラに挙げる声が多いのも頷けます。単に科学者として優秀なだけでなく、心理的なケアも含めて“子どもたちの成長”を促そうとしている点が、多くの視聴者にとって理想的な大人像に重なっています。岡防衛長官は、防衛軍のトップとして冷徹な判断を求められる一方で、娘のめぐみをボルテスパイロットとして送り出す父親でもあります。「国を守る責任」と「家族を守りたい感情」の板挟みになりながら、それでも最終的には“子どもを信じて送り出す”選択をする姿は、親になってから見ると一層胸に迫ります。敵側のダンゲ将軍も根強い人気を持つキャラクターで、最初は帝国の武将として登場しながら、次第に身分制度への疑問と労奴への同情を募らせ、反乱軍へと転じる道を選びます。視聴者の中には「若い頃はボルテスチームに感情移入していたが、今はダンゲが一番格好よく見える」という人も多く、信念のために立場を捨てて戦う姿勢が、渋い“大人の推しキャラ”として評価されています。

視聴者ごとに広がる“推し”の多様性と、群像劇としての魅力

『ボルテスV』の好きなキャラクターを列挙していくと、主人公、ライバル、家族、大人たち、敵側の将軍……と、実に多彩な名前が挙がります。興味深いのは、「このキャラが一番人気」と一言では言い切れないほど、推しが見事に分散している点です。ある人にとっての“最推し”が健一であり、別の人にとってはハイネルであり、また別の人にとっては光代やダンゲである――そうした多様な視点が共存していること自体が、本作の群像劇としての完成度を物語っています。視聴者自身の年齢や人生経験によっても、好きなキャラクターは変化します。子どもの頃はボルテスのかっこよさに夢中で健一や日吉を推していた人が、大人になってからは健太郎や岡長官、ダンゲに感情移入するようになったり、社会問題に関心を持つようになってからハイネルの苦悩やボアザンの身分制度がよりリアルに感じられ、「今は完全にハイネル推しになった」という変化を経験したりもします。こうした“推しの移り変わり”は、作品が単なる子ども向け娯楽を越え、長い時間をかけて観る者の人生と共に歩んでいることの証でもあります。誰を好きになるか、誰に肩入れするか、その選択そのものが視聴者の価値観や心の成長を映す鏡となり、『超電磁マシーン ボルテスV』は、その鏡としての役割を今も果たし続けているのです。好きなキャラクターの数だけ“ボルテスVの物語”が存在すると言っても過言ではなく、それこそが本作が世代と国境を越えて愛される最大の理由なのかもしれません。

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■ 関連商品のまとめ

映像関連商品 ― テレビシリーズから高画質BOXまで

『超電磁マシーン ボルテスV』に関する映像ソフトの歴史を振り返ると、それ自体が“ロボットアニメ受容史”の縮図のようになっていて興味深いです。放送当時は家庭用ビデオデッキがまだ一般に普及しておらず、リアルタイムで見逃した回を後から補完する手段はほとんどありませんでした。その後、80年代に入るとアニメファン向けにセレクトされたエピソードを収録したVHSテープがリリースされ、代表的な回やクライマックス付近の話数を中心に、数巻構成でラインナップされるようになります。この頃のテープは、ジャケットにボルテスVの勇姿やハイネルのアップを大きくあしらったデザインが多く、レンタル店の棚に並ぶだけで強い存在感を放っていました。90年代に入るとコレクター向けにレーザーディスク(LD)版も展開され、ジャケットイラストの描き下ろしや、ライナーノーツに収録されたスタッフ座談会など、パッケージそのものが“資料”として愛好されるようになります。やがてDVD時代に突入すると、全40話をきっちり収録したコンプリートDVD-BOXが登場し、長年断片的にしか見られなかったエピソードを一気に通しで鑑賞できる環境が整いました。さらに後年には映像マスターのリマスター化により、色味やコントラストを当時の放送に近づけつつノイズを抑えた高画質版も発売され、ブックレットや解説書には放送当時のポスター再録や、長浜ロマンロボット三部作としての位置付けを掘り下げるテキストが付属するなど、ファンにとっては“資料全集”のようなボックスセットとなっています。Blu-ray化以降は、コンパクトなサイズながらも高画質・高音質で楽しめる仕様にまとまり、配信サービスと並んで「いつでもボルテスを見直せる」時代に入ったと言えるでしょう。

書籍関連 ― アニメ誌・ムック・資料集に残るボルテスの軌跡

書籍関連では、当時のアニメ誌や児童向け雑誌に掲載された記事が、今なおファンの間で語り継がれています。放送期には、テレビマガジンやテレビランドといった子ども向けヒーロー雑誌に、ストーリーダイジェストやメカ紹介、塗り絵ページなどが毎号のように掲載され、読者投稿コーナーにはボルテスVやハイネルのイラストが数多く寄せられました。一方でアニメ雑誌では、設定画やスタッフインタビューとともに、長浜ロマンロボシリーズの中での位置づけを語る特集が組まれ、キャラクターの心情や社会的テーマに踏み込んだ記事も少なくありませんでした。後年になると、ロボットアニメ全般を扱うムック本や、長浜ロマンロボット三部作専用の資料集の中で、『ボルテスV』は必ずと言っていいほど大きな章を割かれています。そこでは、キャラクターデザインやメカニックデザインのラフスケッチ、没案の設定、放送台本の一部、アフレコ現場の写真などがまとめて紹介され、ファンが作品の舞台裏に触れられる貴重な資料となりました。また、海外展開、とくにフィリピンでの社会現象化を取り上げた書籍・記事もあり、当時の放送中止騒動や再放送の盛り上がりが、インタビューや現地レポートの形で記録されています。近年では、アーカイブ志向の強い大型ムックの中で、ボルテスの回ごとの解説やスタッフコメントが整理され、あらためて“読み物としてのボルテスV”を楽しめる環境が整ってきました。

音楽関連 ― シングルレコードからサントラCD、配信へ

音楽関連商品は、アニメソングの黄金期を代表するラインナップになっています。まず放送当時に発売されたEPレコード(いわゆるドーナツ盤)には、オープニング「ボルテスVの歌」とエンディング「父をもとめて」が収録され、ジャケットにはボルテスVと健一たち、あるいはハイネルが大きく描かれ、レコード店の棚でひときわ目を引く存在でした。子どもたちは、小さなポータブルプレーヤーにこのEPをかけ、テレビ本編の放送を待ちきれずに何度も何度も繰り返し聴いていたと言います。その後、BGMや挿入歌を収録したLPアルバムやカセットもリリースされ、ドラマ編としてナレーションやセリフを交えた構成のものも登場しました。こうした“ドラマレコード”は、本編では描かれないキャラクターたちの日常や、少し違った視点からの物語を補完する役割を担い、ファンの想像力を刺激するアイテムでした。CD時代に入ると、アニメロボットソングのコンピレーションや、長浜ロマンロボシリーズの音楽をまとめたサントラCDの中にボルテスの楽曲が収録され、ボーナストラックとしてカラオケバージョンやTVサイズ、未収録音源が追加されることもあります。さらに近年は音楽配信サービスで主題歌・挿入歌の多くが配信され、プレイリストにロボットアニメ曲を並べて楽しむファンも増えました。海外ではロックバンドやシンフォニックアレンジによるカバー、現地語版の主題歌なども作られ、ライブイベントでは観客総立ちで大合唱が起こるなど、音楽面でも国境を越えた広がりを見せています。

ホビー・おもちゃ関連 ― 合体玩具とプラモデルの世界

ホビー・おもちゃ関連商品において、『ボルテスV』はまさに“合体ロボ玩具の象徴”的な存在です。放送当時に発売された五機合体の玩具は、子どもたちの憧れの的でした。金属パーツを多く用いた重厚なボディ、劇中同様の合体機構を再現したギミック、付属する天空剣やチェーンナックルなどの武器パーツは、当時の技術でできる限りの「本物感」を追求した意欲的なアイテムです。価格も決して安くはなく、誕生日やクリスマスの“特別なプレゼント”として手に入れた思い出を語るファンが少なくありません。また、簡易版の小型合体玩具や、プラモデル形式で組み立てるボルテスVも多数リリースされ、塗装にチャレンジしたり、自分なりのカラーリングを施したりする楽しみ方も広まりました。時代が進むと、コレクター向けの高級ブランドから、関節可動やプロポーションを現代風にブラッシュアップした合体フィギュアが発売され、劇中のアクションポーズを自由自在に再現できるようになりました。差し替えパーツで名シーンを再現したり、クリアパーツを用いたエフェクトで超電磁ヨーヨーや光る天空剣を表現したりと、当時の子どもたちが夢見た“究極のボルテス玩具”が次々に立体化されている状況です。さらに、ボルトマシン単体を精密に再現したミニチュアや、敵獣士の立体物、ボアザン側のキャラクターフィギュアなど、脇を固めるホビー商品も充実しており、棚一面をボルテス関連アイテムで埋め尽くす「専用コーナー」を作るファンもいます。

ゲーム関連 ― クロスオーバー作品で生き続けるボルテスV

純粋な“ボルテスV単体”の家庭用ゲームはそれほど多くないものの、ロボットアニメが多数登場するクロスオーバーゲームの中で、ボルテスVは繰り返し参戦を果たしてきました。シミュレーションRPGやアクションゲームの中で、コン・バトラーVなど他作品のロボットと肩を並べて戦う姿は、ファンにとって大きな喜びとなっています。ゲーム内では、天空剣・超電磁ヨーヨー・ボルテスバズーカといったおなじみの必殺技が派手なエフェクトと共に再現され、合体シーンも専用のカットインやムービーで描かれることが多く、「ゲームを通して初めてボルテスを知った」という若い世代も少なくありません。また、一部のタイトルではハイネルやボアザン獣士との因縁がシナリオに組み込まれ、原作では描かれなかったIF展開を楽しめることもあります。レトロゲーム時代には、ボードゲームやアナログゲームの形でボルテスVが登場し、すごろく形式で敵基地を攻略していく商品や、カードを使って合体・必殺技を再現するゲームも存在しました。こうした“遊び”の側面から作品世界に触れた子どもたちは、テレビアニメを見る時間以外にもボルテスごっこを楽しみ、想像力の中で物語を自由に広げていったのです。

食玩・文房具・日用品 ― 日常の中に溶け込むボルテスV

キャラクター商品としての広がりという点では、食玩や文房具、日用品も見逃せません。子ども向け文具売り場には、ボルテスVや剛三兄弟、プリンス・ハイネルのイラストが印刷された下敷きやノート、鉛筆、消しゴム、筆箱などが多数並び、授業中にも好きなキャラクターを身近に感じられるアイテムとして人気を集めました。特に、天空剣を構えたボルテスVの姿を大きくあしらった下敷きや、合体シーンがコマ送りで描かれたノートの表紙などは、「教科書よりもそっちを眺めていた」という思い出話が出てくるほどです。食玩の分野でも、ガムやチョコ、おまけ付きスナックのパッケージにボルテスのイラストが使われたり、小さな消しゴム人形やシールが付属したりと、さまざまな形で展開されました。冷蔵庫や机の引き出しから、ふとボルテスVのマグカップやプラスチック製コップ、お弁当箱が出てくる家庭も多く、作品は文字通り“生活の一部”として溶け込んでいたのです。こうした日用雑貨は、子どもの成長と共にいつの間にか使われなくなり、そのまま押し入れや物置に眠っているパターンも多く、最近になって実家の片づけ中に当時のコップや皿を発見し、「懐かしさのあまり思わず写真を撮ってSNSに投稿した」というエピソードもよく聞かれます。

現代のコラボグッズ・アパレル・インテリア雑貨

21世紀に入ってからは、懐かしアニメをモチーフにしたコラボグッズやアパレルも増え、『ボルテスV』もさまざまなブランドとコラボレーションしています。ロゴやシルエットをシンプルにあしらったTシャツやパーカー、ボルトマシンの設計図風デザインを用いたトートバッグやキャップなど、さりげなく作品愛を主張できるファッションアイテムは、往年のファンだけでなくデザイン重視の若い層からも支持を集めています。また、インテリア雑貨として、ポスターアートやメタルプレート、アクリルスタンド、ジオラマ風のデスクトップオブジェなども登場しており、自室や仕事場の一角に“ボルテスコーナー”を作るファンも増えました。中には、フィリピンを中心とした海外向けデザインを逆輸入する形で楽しむ人もおり、日本版とは一味違うポップな色使いや大胆なレイアウトのボルテスグッズが、コレクションに彩りを添えています。こうした現代的な商品群は、ノスタルジーとスタイリッシュさを両立させた“新しいボルテスVの楽しみ方”として、多くのファンのライフスタイルに溶け込みつつあります。

関連商品の傾向と、ファンにとっての意味

このように、『超電磁マシーン ボルテスV』に関連する商品は、映像ソフトからホビー、書籍、音楽、日用品に至るまで非常に幅広く展開されてきました。それぞれの時代ごとに主役となる媒体は変化し、VHSやLD、DVD、Blu-ray、配信といった映像メディアの変遷、合体玩具からハイエンドフィギュアへの進化、アナログレコードから配信サービスへの移行など、商品ラインナップの変化には“メディア史”そのものが反映されています。しかし、どの時代のどのアイテムであっても共通しているのは、「ボルテスVの物語と感動を、テレビ画面の外側でも反芻したい」というファンの気持ちを形にしているという点です。合体玩具を手に、友だちとごっこ遊びをした子どもたち。サントラを聴きながらあの名場面を思い出す大人たち。部屋に飾ったフィギュアやポスターを眺めて、一日の終わりに静かにロマンを噛みしめるファン。それぞれの生活の中で、関連商品は小さな“ボルテスのかけら”として存在し続けています。関連商品の歴史をたどることは、そのまま『ボルテスV』がどのように人々の心に残り、どんな形で愛され続けてきたかを知る旅でもあるのです。

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■ オークション・フリマなどの中古市場

映像関連商品の相場とプレミアの付き方

『超電磁マシーン ボルテスV』関連で中古市場に最も安定して出回っているジャンルのひとつが、VHS・LD・DVD・Blu-rayといった映像ソフトです。ヤフオク!やメルカリ、各種フリマアプリを覗いてみると、まず目に付くのは1990年代前後に発売されたVHSソフトで、単巻ビデオや総集編、セレクション形式のテープがバラで出品されているケースが多く見られます。セル版VHSは、レンタル落ち品と未レンタル品で価格帯が大きく変わり、ジャケットの色あせやラベルの傷みの有無、ケースの割れなども評価ポイントになります。1本あたりの落札・販売価格は、レンタル落ちの並品なら数百~千円台、状態の良いセル・初期巻・最終巻あたりは数千円クラスまで上がることもあり、コレクションとして“背表紙を揃えたい”ファンの需要に支えられています。レーザーディスクについては、当時のアニメコレクター層が大切に保管してきた品が出品されることが多く、保存状態が良いものほど人気が高い傾向にあります。大判ジャケットに描き下ろしイラストが使われているタイトルは、たとえ現在の再生環境を持っていなくても「ジャケットアート目当て」で落札する人もおり、帯付き・ブックレット完備の完品はプレミア価格になりがちです。DVD-BOXや単巻DVDは、現在でも最も流通量が多く、状態や版によって価格差が生まれています。全40話を収録したコンプリートBOXは、当時の定価が高額だったこともあって生産数が限られており、箱・ブックレット・ピクチャーレーベルなど付属品が完備した美品は、中古市場でも“コレクターアイテム”という扱いで取引されることが多くなっています。逆に、ケースにスレや角つぶれがあるもの、ディスクに細かなキズが目立つものはやや値が下がるものの、「とにかく全話を安価に揃えたい」という視聴用ニーズに支えられ、一定の需要を保っています。近年のBlu-ray版やリマスターBOXは、まだまだ現役商品としてショップ在庫も多いですが、それでも生産終了後しばらく経つとプレ値気味に推移しやすく、“帯付き未開封”といった条件が揃うと、出品から早々に落札されていくケースも少なくありません。総じて映像ソフトは、「視聴目的のリーズナブルな中古」と「コレクション用途のプレミア品」に二極化しやすく、ボルテスVのように古典的人気を持つ作品は、どちらの層からも安定した支持を受け続けていると言えます。

書籍・雑誌・ムック本の取引傾向

書籍関連では、当時の児童向けテレビ絵本や学年誌の付録、アニメ誌の特集号、そして後年刊行されたムック・資料集などが中古市場を賑わせています。テレビ絵本やストーリーブックは、表紙や中のイラストにボルテスVとボルトマシン、剛三兄弟やハイネルが大きく描かれているものが多く、ページの破れや書き込みがない良好なコンディションのものは“昭和レトロ絵本”として人気を集めています。なかでも、玩具カタログ的な役割も兼ねた厚手の絵本や、特製シール・ポスターが付属するタイプは、付録の有無で価格が大きく変動し、完全品には高めの値がつくことも珍しくありません。また、『アニメージュ』『アニメディア』『OUT』などのアニメ誌に掲載されたボルテス特集号やピンナップ付きのバックナンバーは、ロボットアニメ・長浜ロマンロボ作品のファンにとって貴重な資料であり、表紙や巻頭にボルテスが登場する号は、他作品との抱き合わせで購入されることも多いです。表紙に折れ、日焼け、付録欠けがないものはやや高値で取引され、特にピンナップやポスターが綺麗に残っている個体は見つけにくく、そのぶん落札競争が激しくなりがちです。近年刊行されたロボットアニメ全史的なムックや長浜ロマンロボ三部作特集本は、まだ市場に比較的多く出回っているものの、絶版になったタイトルから徐々にプレミア化が進んでいきます。全話解説や設定資料、スタッフインタビューなどを網羅した資料集は、一度手放すと再入手が難しいこともあり、ファンの間では「気になったら早めに確保しておく」のがセオリーになりつつあります。中古市場でも、「多少高くても状態の良いものを」と考えるコレクターが多いため、帯付き美本は安定して高値寄りに推移していると言えるでしょう。

レコード・CDなど音楽ソフトの人気

主題歌・挿入歌・BGMといった音楽面で名高い『ボルテスV』だけに、音楽ソフトの中古市場も根強い賑わいを見せています。まず注目されるのは、放送当時に発売されたEPレコード(シングル盤)で、「ボルテスVの歌」「父をもとめて」を収録したドーナツ盤は、ジャケットの状態次第で相場が大きく変わります。色あせやシミが少なく、角の傷みが目立たない美品ジャケット、さらに歌詞カード付き・盤面に大きな反りやノイズの原因となるキズがない個体は、コレクターからの需要が高く、オークションでは入札が複数重なる傾向にあります。LPレコードやカセットテープで発売されたサウンドトラック、ドラマ編アルバムも人気が高く、とくにジャケットイラストが印象的なタイトルや、ライナーノーツが充実した盤は、“読む楽しみ”も含めて評価されやすいアイテムです。CD時代以降に発売されたサントラCDやコンピレーション収録曲は、まだ比較的入手しやすいものも多いですが、再販が少なく市場から姿を消しつつある盤や、初回限定のボーナストラック・特製スリーブ付き仕様などは、徐々に価格がじわじわと上昇するパターンが見られます。ボルテス関連曲のみを集めた単独アルバムよりも、長浜ロマンロボ三部作や70年代ロボットアニメの名曲をまとめたBOXセットの一枚として収録されているケースも多く、その場合は「ボルテスだけのためにBOX全体を購入する」ファンも珍しくありません。近年は配信サービスでも楽曲が聴けるようになったとはいえ、「ジャケットや盤を手元に置きたい」「歌詞カードや解説を読み込みたい」といった物理メディアならではの魅力を重視する層が一定数存在し、中古市場での音楽ソフトの人気を下支えしています。

ホビー・おもちゃ関連 ― 合体玩具・超合金・フィギュアの動向

中古市場で最も“熱い”ジャンルと言えるのが、やはりホビー・おもちゃ類、とりわけ合体玩具や超合金系アイテムです。放送当時に発売された五機合体のポピー製玩具や、メッキパーツ・ダイキャストをふんだんに使った超合金版ボルテスVは、箱付き・説明書付き・パーツ欠け無しの完品であれば、現在でも高額帯で取引される“憧れの品”です。特に、箱の状態が良く、発泡スチロールの内箱や当時のチラシ、応募券など細かな付属物が残っている場合は、コレクター同士の競り合いによって価格がグッと跳ね上がることもあります。一方で、パーツ欠け・関節緩み・塗装ハゲなどコンディションに難のあるものは、“ジャンク扱い”として比較的手頃な価格で出品されることも多く、これをレストア目的で購入し、自分で補修・塗り直しをして楽しむファンもいます。21世紀以降に発売されたコレクター向けブランドのボルテスVも中古市場で人気を集めており、精密なディテールと豊富な可動・ギミックを備えた合体フィギュア、アクションポーズに特化したスタチュー、敵獣士やボアザン側キャラクターを立体化したフィギュアなど、多種多様なアイテムが取引されています。限定カラー版や記念パッケージ、イベント限定販売品などは流通量が少ないため、中古でしか手に入らない状況になりやすく、そのぶん価格もプレミア化しがちです。さらに、ソフビ人形やガシャポンのミニフィギュア、食玩として展開された彩色済みフィギュアも根強い人気があり、「当時駄菓子屋で買ってもらえなかったシリーズを、今になってコンプした」という“リベンジ購入”エピソードもよく聞かれます。ホビー・おもちゃ分野では、「当時物」と「新世代コレクターズアイテム」の両方に需要があり、どちらもボルテスVのブランド力を物語る存在となっています。

ゲーム・ボードゲーム・アナログ玩具の評価

ゲーム関連では、ボルテスV単独のテレビゲームソフトはそれほど多くないものの、アナログ時代のボードゲームやカードゲームが中古市場で一定の評価を得ています。すごろく形式でボアザン基地を目指すボードゲームや、カードを使って合体・必殺技を再現するゲームは、当時としては定番商品のひとつで、箱絵に大きく描かれたボルテスVやボアザン獣士の迫力あるイラストがコレクター心をくすぐります。サイコロ・コマ・カード・説明書など一式が揃っている完品は高めの価格帯で取引され、特に箱のフラップ部が切り取られていないものや、ビニール袋が残った状態の“ほぼ未使用品”は希少です。逆にコマやカードの欠品があるものは、比較的手頃な価格で出品されることもあり、「実際に遊ぶための実用品」として購入する人もいます。近年は、ロボットアニメ全般を題材にしたデジタルゲーム(シミュレーションRPGや対戦アクションなど)にボルテスVが参戦したことにより、作品そのものを知った若い世代が「元ネタをもっと知りたい」と中古市場で関連グッズを探すケースも増えました。ゲーム特典として付属した小冊子や設定資料、サントラCDといった同梱物も、単体で出品されると一定の需要があり、「ゲームは持っているが特典だけ紛失してしまった」というユーザーが補完目的で購入することも多く見られます。こうした動きは、ボルテスVが“過去の作品でありながら、今も現役でコラボレーションに参加し続けている”ことの裏付けでもあります。

食玩・文房具・日用品の“昭和レトログッズ”としての人気

食玩・文房具・日用品の分野では、当時の小さなグッズが“昭和レトロ”として再評価され、中古市場でじわじわと存在感を増しています。ボルテスVのイラスト入り下敷きやノート、自由帳、鉛筆、消しゴム、缶ペンケースなどは、子ども時代の日常に深く溶け込んでいたアイテムであり、今オークションサイトに出品されると、単に実用品としてではなく「思い出のかけら」として入札されることが多くなっています。表面に大きなキズや落書きがなく、印刷の発色がしっかり残っている文具は、1点もののアートピースとしても十分な存在感があり、セット売りや未使用品にはまとまった価格がつくことも珍しくありません。食玩系では、ガムやチョコに付属していた小さな消しゴム人形やシール、カードが現在でも取引されています。シールはアルバムに貼られた状態のものより、未使用のまま残っているものが高く評価され、台紙付き未切りのシートは特に希少です。日用品としては、ボルテスVのマグカップやプラコップ、弁当箱、水筒、歯ブラシセット、風呂おけ・洗面器など、当時の生活感あふれるアイテムが“発掘”されて出品されることがあります。これらは、多少のキズや色あせがあっても「かえって味がある」と好意的に受け取られることも多く、撮影用の小道具やディスプレイとして購入されるケースも見られます。近年では、“昭和レトロ雑貨”を扱う専門店やネットショップがボルテス関連グッズをピックアップして紹介することもあり、一般のリサイクルショップでは見過ごされていたアイテムが、一気に注目を浴びることもあります。

価格変動の要因と、中古市場との付き合い方

全体として『超電磁マシーン ボルテスV』の中古市場は、作品の知名度とブランド力に支えられ、長期的に見ると比較的安定した人気を保っていますが、個々のアイテムの価格は、状態・希少性・タイミングによって大きく変動します。映像ソフトであれば、再発売や廉価版BOXの登場がきっかけで相場が落ち着くこともあれば、逆に生産終了や権利関係の変化により再販が見込めないと分かった途端に急騰するケースもあります。玩具やフィギュアでは、新しい決定版アイテムが市場に出たことで旧アイテムの価格が一時的に下がることもありますが、「当時物ならではの雰囲気」「今の製品にはない味わい」を評価するコレクターが一定数いるため、長い目で見ればゆるやかに価値を取り戻していくパターンも少なくありません。オークションやフリマアプリを利用する際には、過去の落札相場や複数出品の価格帯をざっと把握しておき、“相場の真ん中あたり”を意識すると、極端な高値づかみや不自然な安値売りを避けやすくなります。また、ボルテスV関連グッズは「思い出補正」が強く働くジャンルでもあるため、数字上の相場だけでなく、「自分にとってどれだけ価値があるか」という主観も大切です。子どもの頃に手に入れられなかった合体玩具を、今あらためて購入するのであれば、多少高くても納得できる範囲なら“自分へのご褒美”として迷わず手に入れるのもひとつの選択でしょう。逆に、コレクションが増えすぎて整理したくなった場合は、状態や付属品をていねいに説明し、写真を多めに掲載することで、同じ作品を愛する次の持ち主にバトンを渡すことができます。中古市場は、単にモノとお金をやり取りする場ではなく、『超電磁マシーン ボルテスV』という作品への愛情や思い出が、世代や地域を越えて受け継がれていくための“中継地点”でもあるのです。

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超電磁マシーン ボルテスV 全40話BOXセット ブルーレイ【Blu-ray】

超電磁マシーン ボルテスV 全40話BOXセット ブルーレイ【Blu-ray】
12,980 円 (税込) 送料込
商品内容超電磁マシーン ボルテスV 全40話セット ブルーレイ【Blu-ray】北米 正規品【※確認事項※】を必ずご確認いただき再生環境をご承諾後にご購入お願いたします。再生環境が理由またはメーカー発注後のお客様都合によるご返品にはご対応できません事、ご了承ください。..

ボルテスV レガシー 超電磁合体版【Blu-ray】 [ ミゲル・タンフェリックス ]

ボルテスV レガシー 超電磁合体版【Blu-ray】 [ ミゲル・タンフェリックス ]
13,200 円 (税込) 送料込
ミゲル・タンフェリックス ラドソン・フローレス マット・ロザノ マーク A.レイエス Vボルテスファイブ レガシー チョウデンジガッタイバン タンフェリックス ミゲル フローレス ラドソン ロザノ マット 発売日:2025年05月05日 東映ビデオ(株) BSTDー21018 JAN:4988101230..

(ハードコアチョコレート) HARDCORE CHOCOLATE ボルテスV レガシー (ボルトイン・ブラック)(SS:TEE)(T-2352EM-BK) Tシャツ 半袖 カット..

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4,900 円 (税込)
商品説明1970年代に日本で放送された長浜忠夫監督による名作ロボットアニメ「超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)」。「長浜ロマンロボシリーズ」第2弾として長く親しまれてきた作品が、約半世紀の時を経てフィリピンで実写映画化!その大きすぎる愛に我々日本人は驚くし..

超電磁マシーン ボルテスV VOL.4 [DVD]

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4,784 円 (税込)
詳しい納期他、ご注文時はお支払・送料・返品のページをご確認ください発売日2015/4/8超電磁マシーン ボルテスV VOL.4 ジャンル アニメロボットアニメ 監督 長浜忠夫 出演 白石ゆきなが曽我部和行玄田哲章小原乃梨子上田みゆき超電磁シリーズ第2弾『超電磁マシーン ボルテス..

ANIMEX1200 20::テレビオリジナルBGMコレクション 超電磁マシーン ボルテスV [ (アニメーション) ]

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1,013 円 (税込) 送料込
評価 4
(アニメーション)アニメックス120020テレビオリジナルビージーエムコレクションチョウデンジマシーンボルテスファイブ 発売日:2003年09月25日 予約締切日:2003年09月18日 JAN:4988001949930 COCCー72020 日本コロムビア(株) 初回限定 日本コロムビア(株) [Disc1] 『テレ..

【新品】1週間以内発送 超合金魂 GX-31SP 超電磁マシーン ボルテスV CHOGOKIN 50th Ver. 約250mm ABS&PVC&ダイキャスト製 塗装済み可動..

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68,198 円 (税込)
評価 1
超合金50周年!フィリピンで実写リメイクもされた『超電磁マシーン ボルテスV』が記念バージョンで登場。 2024年超合金50周年イヤーを記念して、「超電磁マシーン ボルテスV」が50周年仕様になって登場。 主な銀色の箇所がシルバーメッキに変更。鷹メカの取付基部についても..

超電磁マシーン ボルテスV Blu-ray BOX [Blu-ray]

超電磁マシーン ボルテスV Blu-ray BOX [Blu-ray]
37,884 円 (税込)
チョウデンジマシーンボルテスブイ詳しい納期他、ご注文時はお支払・送料・返品のページをご確認ください発売日2024/9/11関連キーワード:アニメーション超電磁マシーン ボルテスV Blu-ray BOXチョウデンジマシーンボルテスブイ ジャンル アニメロボットアニメ 監督 出演 白..
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