『水橋パルスィ』(東方Project)

東方Project 缶バッジ 水橋パルスィ -AbsoluteZero- 東方缶バッジ

東方Project 缶バッジ 水橋パルスィ -AbsoluteZero- 東方缶バッジ
204 円 (税込)
■サークル AbsoluteZero ■原作 東方Project ■ジャンル [グッズ]缶バッチ ■作者 AbsoluteZero ■サイズ・内容 φ54mm・OPP袋入 ■発行日 2018年 12月 30日
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【名前】:水橋パルスィ
【種族】:橋姫
【活動場所】:旧地獄
【二つ名】:地殻の下の嫉妬心、緑色の眼をした怪物、風光を妬む地底人、妬ましくてしょうがない橋姫
【能力】:嫉妬心を操る程度の能力

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■ 概要

地底と地上をつなぐ「境界の番人」

水橋パルスィは、『東方Project』の中でもとりわけ“ねたみ”という感情を象徴するキャラクターとして知られています。彼女が居を構えるのは、地上と地底を結ぶ大きな橋のたもと。地上から旧地獄街道へ向かう者は、必ず彼女の前を通り抜けなければならないという設定になっており、単なるモブではなく“関所の主”のような立ち位置を与えられています。地上から追い出された怨霊や妖怪、あるいは物好きな人間たちが行き交う場所で、橋の欄干にもたれながら、通行人の心に巣くう嫉妬を見抜き、時にはそれを煽り、時にはせせら笑う――そんなイメージが、公式・二次創作問わず一貫して語られてきました。幻想郷の中では、神や妖怪、魔法使いなど様々な超常の存在が登場しますが、パルスィのように“感情そのもの”を扱うキャラクターは意外と多くありません。その意味で、彼女は世界観の中核である「心」や「情念」を、分かりやすい形で体現する存在だと言えるでしょう。

種族・モチーフと名前の意味

水橋パルスィのモチーフとなっているのは、日本の古い伝承に登場する「橋姫」です。橋の上で嫉妬や怨念を募らせ、通行人に祟りをもたらす女の妖怪として伝えられている存在で、パルスィもその系譜に連なる「橋に住まう妖怪」として描かれています。作中では“橋姫”という種族名が与えられており、彼女のキャラクター性とモチーフが直結していることが分かります。名前の「水橋」は、そのまま彼女が橋と水辺に縁深い存在であることを表していると解釈でき、地底へと下る大きな穴に架かる橋の、やや湿った陰鬱な空気を連想させます。「パルスィ」というカタカナ名は、外来風でどこか異国的な響きを持ち、和風の“橋姫”というモチーフと対比的です。このアンバランスさが、幻想郷という和洋折衷の世界観にうまく溶け込んでおり、「古い伝承に由来しながら、どこか現代的でミステリアス」という独特の印象を生み出しています。

初登場作品とストーリー上の役割

パルスィが初めてプレイヤーの前に現れるのは、地底世界を舞台とした弾幕シューティング作品です。主人公たちが異変解決のために地底へと向かう途中、地上と地霊殿方面を結ぶ大きな橋を渡ろうとしたところを、彼女が立ちふさがる――という形で物語に関わってきます。いわゆる中ボス・ステージボス的なポジションではありますが、単なる通過点として処理されていないのがパルスィの特徴です。会話デモでは、地上と地底双方への強いコンプレックスがにじみ出ており、嫉妬に満ちた皮肉めいた台詞で主人公たちを挑発します。その姿は、ストーリー上の大目的そのものには直接関与していないにもかかわらず、プレイヤーに強い印象を残すもので、のちの人気投票や二次創作での活躍の土壌となりました。また、地上から追放された妖怪たちが集う“地底勢”の一員として、後の作品や書籍でも名前が挙がることがあり、幻想郷の中でもかなり特殊な立場にいるキャラクターであることが示されています。

「嫉妬」を司る能力とキャラクターコンセプト

パルスィの能力は、端的に言えば「嫉妬心を操る程度の能力」です。誰にでも多かれ少なかれ存在する“ねたみ”という感情を刺激し、膨れ上がらせ、時には暴走させることすらできるとされます。このコンセプトは、彼女の立ち位置やセリフ回し、さらにはスペルカードの名前など、様々な要素に反映されています。通行人の幸福を羨んで呪う橋姫の伝承を下敷きにしながらも、単純な悪役としては描かれていないのがポイントです。彼女自身もまた、地上や地底の住人たちに対して複雑な感情を抱いており、「羨ましい」と思うと同時に、それを素直に認められない不器用さを内包しています。そのため、プレイヤーからは「ねたみの化身」というよりも、「嫉妬に支配されてしまった、ちょっと拗らせたお姉さん」といったニュアンスで受け取られることが多く、同情や共感の対象になりやすいキャラでもあります。東方シリーズ全体に通じる「悪役にも悪役なりの事情がある」というテーマが、非常に分かりやすい形で凝縮されている存在と言えるでしょう。

地底世界との関わりと“外側”にいる立場

地底には、怨霊や妖怪、鬼など、地上では受け入れられなかった者たちが暮らしていますが、パルスィはその“入口”を守る役目を持っているため、地底社会のど真ん中にいるというよりも、やや外側、境界線上に立っている印象があります。地底の住人たちから見れば、「上から来るやつらを見張っている変わり者」であり、地上の人間や妖怪からすれば「地底側の門番」です。どちらの世界からも少し距離を置かれたポジションにいることが、彼女の孤独感やひねくれた物言いにつながっているのかもしれません。境界に立つキャラクターは、幻想郷ではお馴染みのモチーフですが、パルスィの場合は“感情の境界”も象徴していると解釈できます。羨望と憧れ、妬みと憎しみ、友好と敵対――そんな揺れ動く心の境界線に立ち、そのバランスが少し崩れるだけで嫉妬が牙を剥くことを、彼女の存在そのものが物語っているようです。

ファンにとっての「パルスィ像」

公式作品から読み取れる情報量は、他の主要キャラクターと比べれば多くありませんが、その「余白」があるからこそ、ファンの想像力を掻き立ててきました。橋の欄干からじっとこちらを見下ろす姿、ねっとりとした嫉妬混じりの視線、しかしどこか物悲しさも感じさせる雰囲気――そうした断片的な要素が組み合わさり、「本当は寂しがりや」「ツンデレ寄り」「根は優しいが捻くれている」など、数多くのパルスィ像が生み出されてきました。また、同じ地底勢との組み合わせや、人間キャラとの対比などによっても彼女の印象は変化します。明るく豪放な鬼たちと一緒にいると余計に陰鬱さが際立ちますし、真面目で正義感の強いキャラと絡めると、皮肉屋でありながらもどこか達観している哲学的な一面が浮かび上がることもあります。こうした「解釈の幅」が広いことが、登場シーンの少なさを補って余りある魅力となり、長年にわたって支持されている一因と言えるでしょう。

全体像のまとめ

総じて、水橋パルスィは“嫉妬”という人間のネガティブな感情を題材にしながらも、それを単なる悪として断罪するのではなく、「誰の心にも潜む弱さ」として描き出したキャラクターです。地上と地底の境に立つ橋姫という設定、ねたみを操る能力、陰のある言動と裏腹にどこか人間味を感じさせる雰囲気。これらが組み合わさることで、彼女は「嫌われる悪役」ではなく、「目が離せない、気になってしまう存在」としてプレイヤーの記憶に刻まれています。作品世界の広がりとともに、今後も新たな解釈や二次設定が生まれていく余地をたっぷり残しているキャラクターであり、東方Projectの中でも独自の位置を占める“ねたみの橋姫”――それが水橋パルスィの概要と言えるでしょう。

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■ 容姿・性格

金髪と緑の瞳が印象的な橋姫

水橋パルスィの外見でまず目を引くのは、柔らかく波打つ金色の髪と、そこに強いコントラストをなす深い緑の瞳です。肩口あたりでふわりと広がる髪は、地底の薄暗がりの中でも存在感を放ち、彼女の周囲に淡い光の輪が差しているかのような印象を与えます。緑の瞳は宝石のように透き通っていながら、怒りや嫉妬の感情が高ぶると、ハイライトが落ちたように翳りを帯びることがあり、その変化が彼女の感情表現の一つとして描かれています。この「緑の瞳」と「嫉妬心」というテーマの組み合わせは、英語圏で嫉妬を“グリーンアイドモンスター”と呼ぶ比喩とも重なっており、ビジュアルと設定が綺麗にリンクしたデザインになっています。耳がやや尖って描かれている点も特徴で、エルフ的な幻想種にも似た雰囲気を醸し出しており、人間とも妖怪とも断定しきれない曖昧さを強調しています。

衣装デザインと色彩が示す“ねたみ”

衣装は、上半身がややボリュームのあるブラウス、下半身がふわりと広がるスカートというクラシカルなシルエットでまとめられています。全体的なカラートーンは、瞳と同じ系統のグリーンを基調に、赤や暗い色がアクセントとして散りばめられており、地底の鬱屈した空気と、彼女の内面の黒い感情を視覚的に表現しているようです。裾や袖口のフリルは控えめで、過度な装飾はないものの、橋姫という存在の持つ“非日常感”が程よく演出されており、地上の普通の少女とは違うことを一目で感じさせます。シルエット自体は可愛らしさもあるため、表情や立ち姿の描き方によっては儚げにも、妖しくも見えるデザインで、二次創作イラストでは「暗い背景に一人佇むパルスィ」「橋の欄干に腰掛けてこちらを見下ろすパルスィ」など、構図によって印象ががらりと変わるのも魅力の一つです。

表情と仕草に滲むひねくれた可愛さ

公式立ち絵やゲーム中の会話デモでは、パルスィは口角をわずかに上げた冷笑的な表情や、何かを値踏みするような視線で描かれることが多く、まさに「人の幸福が気に入らない」と言わんばかりの雰囲気があります。しかし、その笑みはあからさまな悪役の笑いではなく、半分は自嘲、半分は諦念が混じったようなものにも見え、プレイヤーに“彼女なりの苦しさ”を想像させます。仕草としては、腕を組んでこちらを見据えるようなポーズや、欄干にもたれて下を見下ろすような姿勢が多く、「自分から近寄っていく」というより「相手が勝手に橋を渡ってくるのを見ている」スタンスが滲みます。こうした微妙な距離感が、彼女の性格――他者と近づきたいが素直になれない、だからこそ皮肉で武装する――を、そのまま視覚化していると言えるでしょう。

作品ごとの容姿の描かれ方の違い

原作の弾幕STGでは線の少ないシンプルな立ち絵で描かれていますが、各種書籍・ソシャゲ・二次創作では、媒体ごとに微妙なアレンジが施されています。ある作品では陰影が強調され、瞳の緑がより深く暗く描かれていて妖しさが増していたり、別の媒体では頬の赤みや柔らかい微笑みが強調され、「嫉妬姫」というよりは「少し拗ねた普通の女の子」に近い印象になっていたりします。特に近年のコラボ作品や外部ゲームへのゲスト出演では、線が細くなり、表情も穏やかめのビジュアルが採用されることが多く、“怖い妖怪”というより“可愛いキャラクター”としての側面が押し出されがちです。一方、ファンアートでは「目から光が消えた妬み顔」「橋の影からこちらをじっと見つめるホラー寄りの表現」など、ダークな解釈も根強く、公式と二次で表情の振れ幅が非常に大きいキャラだと言えるでしょう。こうした多様な描かれ方は、パルスィというキャラクターが持つ解釈の広さをよく示しています。

性格の根底にある“ねたみ”と劣等感

性格面で最も分かりやすいキーワードは、やはり「嫉妬深い」の一言に尽きます。彼女は自分より恵まれている相手はもちろん、ときには自分より不幸そうな相手にすら嫉妬を向けることがあり、「どうせあの子は〜だから」「私の方がずっと大変なのに」という拗らせた比較をやめられないタイプとして描かれます。しかし、この嫉妬は単なる悪意だけではなく、強い劣等感や孤立感の裏返しでもあります。長い年月を橋の上で過ごし、地上の華やかさと地底の濃密な共同体の両方を遠くから眺めてきたがゆえに、「自分はどちらにも属せない」という浮遊感を抱えており、それが心の隙間を埋めるようにねたみへと変質しているイメージです。そのため、プレイヤーや他キャラに対して辛辣な言葉を投げかけていても、その奥には「自分もあの輪の中に入りたかった」という、叶わなかった願望が透けて見える場面も少なくありません。

二次創作で強調されるツンデレ・面倒くさい可愛さ

ファンの間では、パルスィは「拗らせたメンヘラお姉さん」「口では文句ばかりなのに、本当は優しい」など、ツンデレ寄りのイメージで描かれることも多くなっています。会話では他人の幸福を妬ましげに語りつつ、実際には相手の良いところをよく見ているという解釈が広まり、「嫉妬できるということは、それだけ相手の長所に敏感だということ」「ねたみは、他人の輝きを認めてしまっている証」という前向きな読み替えも見られます。その結果、「表面上は棘だらけ、内側は案外やわらかい」という二層構造のキャラクターとして親しまれており、相手の前では素直に感謝や好意を口にできず、帰ってから一人でモヤモヤしている姿がギャグやラブコメの題材として多用されています。こうした描写は、公式の“嫉妬深い妖怪”という設定と矛盾するものではなく、むしろ人間臭い部分を強調することで、プレイヤーが自己投影しやすいキャラクター像を形作っていると言えます。

口調・話し方に宿る陰湿さと妙な愛嬌

パルスィの台詞回しは、淡々とした口調でありながら、所々に棘のある言い回しや皮肉を交えたものになっています。直接的に怒鳴りつけるのではなく、「楽しそうね」「羨ましいわ」「いい気なものね」といった、相手の行動を遠回しに貶すような言葉を選ぶことが多く、その陰湿さが彼女の厄介さを際立たせます。一方で、ファンの間では「ぱるぱる」といった擬音的な決まり文句が広く浸透しており、シリアスな嫉妬キャラでありながら、どこかネタっぽく親しみやすい側面も持ち合わせています。このギャップが、怖いだけではない“愛され系厄介妖怪”としてのポジションを確立させており、真面目な解釈とギャグ寄りの解釈が共存できる土壌になっています。

他者との距離感と自己防衛としての冷笑

性格を語る上で外せないのが、彼女の「距離の取り方」です。地底の鬼たちのように豪快に笑い飛ばすこともなければ、地上の人間のように無邪気に好意を示すことも苦手で、いつも一歩引いた場所から事態を眺め、冷静ぶったコメントを投げる傾向があります。この態度は一見クールで大人びて見えますが、実際には「傷つきたくないから感情を押し殺している」「期待して裏切られるくらいなら、最初から相手を見下していたほうが楽」という、自己防衛の結果とも解釈できます。橋の上という孤独な職場環境も相まって、彼女の日常は、人の往来を観察し、心の中で妬んだり羨んだりし続けるだけの単調なものだったと想像され、その積もり積もった感情が、皮肉屋でひねくれた人格を形作ったのかもしれません。そう考えると、パルスィの冷笑は単なる性格の悪さではなく、「寂しさを悟られまいとする仮面」のようにも見えてきます。

容姿と性格が生み出す総合的な魅力

可愛らしい金髪の少女という表層的なデザインと、その内側に渦巻くドロドロとした嫉妬心。この対比こそが水橋パルスィの魅力の核にあります。外見だけ見れば、東方キャラの中でも特に分かりやすい“萌えキャラ”的な要素を持ちながら、設定や性格を踏み込んでいくと、「自分もこういう感情を抱いたことがある」と思わせるリアルな人間臭さに行き着く――そこにプレイヤーは強い印象を受けます。嫉妬深くて面倒くさいのに憎めない、近づくと危険なのに放っておけない、そんなアンビバレントな感情を抱かせるキャラクターだからこそ、登場シーンの少なさに反して長く愛され続けているのでしょう。容姿と性格が密接に結びつき、視覚的にも物語的にも“ねたみ”を語るための象徴となっている、それがパルスィというキャラクターの「容姿・性格」の大きな特徴と言えます。

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■ 二つ名・能力・スペルカード

二つ名が示す「地の底に沈んだ嫉妬心」

水橋パルスィの二つ名は、地底という舞台と彼女の内面をそのまま言葉にしたようなフレーズで構成されています。地殻のさらに下、陽の光がほとんど届かない世界にうずくまる嫉妬心――そんなイメージをそのまま凝縮した二つ名は、単に場所を示す言葉以上の意味を持っています。地上の人々が普段は見て見ぬふりをしている感情、社会的なルールや建前で押さえ込んできたドロドロした思いが、地底ではあからさまな形を取って現れる。その象徴として、橋の上に立つパルスィが選ばれているわけです。彼女の二つ名には、「誰の心にもあるけれど、深く潜ってしまっているもの」というニュアンスが込められており、それがプレイヤーにとっても他人事ではないと感じられるよう計算されているように見えます。また、二つ名の“嫉妬心”という単語は、彼女個人の感情だけでなく、地底全体に漂う怨念やコンプレックスの集合体をも指しているようで、パルスィはその代弁者、あるいは案内役として機能しているとも解釈できます。

「嫉妬を操る程度の能力」の具体像

パルスィの能力は、「嫉妬を操る程度の能力」というシンプルな一文で示されていますが、その内実はかなり奥行きのあるものです。表面的には「人のねたみを煽る」「相手の心の中の嫉妬を増幅させる」といったイメージで語られますが、もう少し踏み込んで考えると、他人の持つコンプレックスや劣等感を鋭く見抜き、それを的確に突くことで感情のバランスを崩す力だとも言えます。例えば、何気ない一言で「自分でも気付いていなかった羨望」を自覚させたり、普段は抑え込んでいた対抗心に火をつけたり、といった形で発動するイメージです。この能力が厄介なのは、物理的な攻撃ではなく、あくまで心の働きかけである点です。本人は軽い冗談のつもりで言葉を投げかけているように見えても、相手の内面にとっては決定打になりうる。だからこそ、プレイヤーや他キャラにとってパルスィは「戦うときだけでなく、会話するだけでも気を抜けない相手」として認識されます。

日常生活における能力の使われ方

戦闘シーン以外の日常にこの能力を当てはめると、パルスィの暮らしぶりが少し生々しく想像できるようになります。地底へと向かう者が橋を通るたび、彼女は相手をじっと観察し、その服装や表情、周りとの距離感から「何に不満を抱いているのか」「誰を羨んでいるのか」を読み取ってしまうでしょう。そこにほんの一滴、彼女の能力が混ざるだけで、相手の心は自覚していなかった嫉妬でざわつき始めます。恋人同士で橋を渡ればお互いの欠点ばかりが気になり、仲の良い友人グループであれば「本当は自分だけ仲間外れなのでは」といった不安が浮かび上がってくるかもしれません。パルスィ自身もそれを完全に制御できているわけではなく、退屈しのぎに無意識で使ってしまうこともあるでしょう。結果として、彼女の周囲にはいつも微妙な不和やギスギスした空気が漂い、人々は橋を渡りきると同時に理由もなく疲れを覚える。そんな、「通り過ぎた後になって初めて違和感に気付く」ような能力の使われ方が、日常のパルスィを形作っていると考えられます。

感情操作系能力としての危険性と限界

嫉妬を操る能力は、東方世界の中でもかなり危険な部類に入ります。嫉妬は、愛情や友情、信頼といったポジティブな感情を一瞬でひっくり返す力を持っているからです。友人関係にひびを入れ、組織の結束を弱め、最悪の場合は暴力や裏切りにまで発展させてしまう可能性があります。しかし一方で、パルスィの能力には「嫉妬という感情に限定されている」という制約も存在します。相手の心にまったく羨望がない場合や、強固な自己肯定感を持っている場合には効果が薄く、彼女がいくら煽っても冗談として受け流されてしまうこともあるでしょう。つまり、この能力は“弱点がある相手にほどよく刺さる”タイプであり、万能の洗脳能力ではありません。パルスィ自身もそのことを理解しているからこそ、わざと相手を選んで挑発したり、「効きそうにない相手」には半ば諦め顔で接したりするのだと考えられます。

弾幕としての表現とスペルカードの特徴

ゲーム中におけるパルスィのスペルカードは、嫉妬という抽象的な感情を弾幕で表現するためのさまざまな工夫が凝らされています。緑色を基調とした弾がプレイヤーを取り囲むように展開し、逃げ場をじわじわと奪っていくパターンや、一定の位置に留まっているとそこに狙い撃ちの弾が殺到するギミックなど、「他者を意識しすぎると動きが縛られる」「自分だけ狙われているように感じてしまう」といった嫉妬の心理を、動くことを強要する弾幕パターンとして具現化しているのです。また、プレイヤーの動きに追従するように弾が伸びてきたり、画面の端から端まで届くレーザーが細かく角度を変えながら迫ってきたりと、「どこへ逃げても視線が追いかけてくる」ような圧迫感も演出されています。名前に“嫉妬”や“緑の目”といったモチーフワードを含むスペルカードは、そうしたイメージを一層強化し、プレイヤーに「弾幕そのものがこちらを妬んでいるのではないか」という錯覚すら抱かせるほどです。

難易度とゲームデザインの観点から見たパルスィ

担当ステージの位置付けから、パルスィ戦は作品全体の中では中盤手前の“腕試し”という役割を担っています。そのため、パターンを理解すれば確実に回避できる弾幕が多く、理不尽なランダム性で押し潰してくるタイプではありません。しかし、初見では「どこへ動けば安全なのか」が直感的に分かりづらく、つい焦って動いた結果、かえって危険地帯に飛び込んでしまう――というミスを誘発しやすい構成になっています。これはまさに、嫉妬という感情の性質そのものを反映した設計だと言えるでしょう。冷静に俯瞰すれば何も問題はないのに、他人と自分を比べた途端に心が乱れてしまう。弾幕でも、慎重に観察して“自分のペース”を保てば避けられるものばかりなのに、焦りや欲張りが出た瞬間に被弾してしまう。プレイヤーは無意識のうちに、パルスィの能力の“疑似体験”をさせられているのです。

他キャラクターの能力との対比・相性

東方世界には、恐怖を操る者、境界を操る者、信仰心を集める者など、感情や概念を扱う能力を持つキャラが多く存在します。その中でパルスィの「嫉妬を操る」能力は、比較的地味でありながら、どのキャラとも深く絡める汎用性の高いテーマです。例えば、他人を無条件に好きになってしまうようなタイプのキャラと組み合わせれば、「好意と嫉妬のバランスが崩れたときにどうなるか」というドラマが描けますし、絶大なカリスマを誇る支配者的キャラと対比させれば、「崇拝と羨望が嫉妬に変わる瞬間」を表現することもできます。パルスィの能力は直接的に相手の力を打ち消すものではないものの、心の在り方に干渉することで長期的な影響を及ぼすタイプであり、「短期決戦よりもジワジワ効いてくる毒」に近いものと言えるでしょう。そのため、二次創作ではしばしば“裏方”として、物語の空気を少しずつ変えていく役回りを任されることが多く、他キャラの能力を引き立てる潤滑油のような存在にもなっています。

二つ名と能力がもたらす物語的役割

二つ名と能力を総合して見ると、パルスィは単に「ステージボスの一人」という枠に収まらない、物語的な重要性を帯びてきます。地上と地底の境界で嫉妬心を司るという立場は、異なる世界観や価値観がぶつかり合う場所に必ず生じる軋轢やコンプレックスを象徴しており、プレイヤーが地底へと足を踏み入れる際に、「ここから先は、光の当たらない感情が渦巻く領域だ」ということを提示する案内板のような役割を担っています。パルスィと対峙することで、主人公たちだけでなくプレイヤー自身も、自分の中に潜む小さな嫉妬や後ろめたさを意識させられる。そのうえで、さらに先へ進むかどうかを問われるわけです。こうした構造のおかげで、彼女の二つ名や能力は単なる設定に留まらず、作品全体のテーマ性に深く関わる要素となっています。

スペルカードに込められた創作の広がり

パルスィのスペルカードは、その名称や弾幕パターン自体が、一つの短編ストーリーのような役割を果たしています。嫉妬、緑の目、橋、地底といったモチーフがバリエーションを変えながら組み合わされており、それぞれのスペルカードが「こういう種類のねたみ」「こういう方向にこじれた羨望」を象徴しているかのようです。そのため、二次創作では特定のスペルカードを題材にしたイラストや小説が数多く生まれており、弾幕一つ一つがキャラクター性を深堀りするためのフックとして機能しています。ゲーム内で弾幕を避けているときには気付かなかったニュアンスも、あとから名前や動きをじっくり眺めることで見えてくる――そうした“解釈の余地”を残している点も、パルスィの能力とスペルカードの大きな魅力だと言えるでしょう。

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■ 人間関係・交友関係

地上と地底、そのあいだに立つ者としての距離感

水橋パルスィの人間関係を語るうえで、まず意識したいのは「彼女は地上と地底をつなぐ橋に住んでいる」という立場です。地上の人間や妖怪は地底に降りるとき、地底の住人は地上に出てこようとするとき、必ず彼女の縄張りである大橋を通過することになります。つまりパルスィは、多くのキャラクターと“顔を合わせる機会がある”にもかかわらず、その誰とも真正面から関係を深めきれない微妙な位置にいると言えます。彼女は通行人の心を覗き、嫉妬を煽ることは得意でも、自分から積極的に距離を詰めていくことは苦手です。結果として、彼女の対人関係は「よく知っているのに他人行儀」「顔見知りだが深くは踏み込まない」といった、どこか宙ぶらりんなつながりが多くなりがちです。職業上どうしても人と接する立場にいるのに、心の扉は閉じがち――そんなちぐはぐさが、彼女の人間関係全体を通して見えてきます。

鬼たちとの関係:ユウギとの凸凹コンビ

地底勢との中で、特に語られやすいのが鬼たちとの関係です。とりわけ星熊勇儀は、パルスィと深く絡めて描かれることの多い存在です。豪放磊落で裏表がなく、細かいことを気にしない勇儀と、嫉妬深く拗らせ気味のパルスィは、性格的には正反対のコンビと言えます。にもかかわらず、地底の酒場や宴会の場面では、勇儀がパルスィの肩を豪快に叩きながら酒を勧め、パルスィは「うるさいわね」と言いつつも、最終的には杯を受け取っている――そんな光景が想像されます。勇儀にとってパルスィは、「面倒くさいが放っておけない後輩」、「ついからかいたくなる橋の上の妖怪」であり、パルスィ側から見れば「眩しすぎて鬱陶しいのに、妙に心が楽になる相手」です。鬼たちのざっくばらんな性格は、パルスィの皮肉やねちっこい感情をあまり気にせず受け止めてしまうため、彼女としても本気でぶつける気にはなれないのかもしれません。この“噛み合っているようで噛み合っていない”距離感が、二人の関係を独特のものにしています。

土蜘蛛・地底妖怪たちとの緩やかなつながり

同じ作品で登場する地底妖怪たち――例えば土蜘蛛の黒谷ヤマメや、釣瓶落としのキスメなどとも、パルスィは少なからず接点を持っていると考えられます。ヤマメは明るく社交的で、地底の住人たちと積極的に関わっていくタイプですが、その行き来の途中で橋を通る以上、パルスィとは顔なじみになっていてもおかしくありません。ヤマメ側からすると、「皮肉ばかり言うけど、本音は分かりやすい先輩」のような位置付けで、ちょくちょく様子を見に来ては軽口を叩き合っているかもしれません。一方キスメのような寡黙で大人しい妖怪に対しては、パルスィも過度なちょっかいは出さず、遠くから見守る程度にとどめそうです。地底の住人の中でも、性格的に“いじりやすい相手”と“触れたら壊れてしまいそうな相手”を本能的に嗅ぎ分けており、前者には遠慮なく嫉妬混じりの皮肉を投げ、後者には自分の黒い感情をぶつけないよう無意識に距離を取る――そんな姿が想像できます。

地霊殿勢との関係:主従というより隣人に近い感覚

地底といえば地霊殿の主・古明地さとりと、その配下である燐や空、妹のこいしといった面々が思い浮かびます。彼女たちとパルスィは、直接的な主従や同居関係にはありませんが、同じ地底社会の住人として互いの存在をよく知っているはずです。とくにさとりは心を読む能力を持つため、パルスィの中に渦巻く嫉妬や劣等感を手に取るように理解しているはずで、必要以上に距離を詰めようとはしないでしょう。さとりの方からすれば、「彼女の心は繊細で、無遠慮に覗くべきではない」と判断しているのかもしれません。燐や空のようなペット組とは、宴会や騒ぎの場で顔を合わせる程度で、深く踏み込んだ関係にはなりにくいイメージがありますが、その分、無邪気さに振り回されて「うるさいわね」とぼやきつつも、内心では少し羨ましいと感じている可能性もあります。こいしに関しては、無意識のまま橋を通り抜けられてしまうため、パルスィの嫉妬の能力がうまく働かず、どこか掴みどころのない相手として映っているでしょう。このように、地霊殿勢とは「よく知っているが一定の距離を保っている近所付き合い」のような関係がしっくり来ます。

地上の巫女・魔法使いとの関係

地上から地底へ向かう主人公たち――博麗霊夢、霧雨魔理沙、東風谷早苗たちとの関係は、パルスィにとって非常に象徴的です。彼女から見れば、彼女たちは「光の側」にいる存在であり、自由に空を飛び回り、仲間も多く、異変を解決する力と自信に満ちています。その姿は、長く地底の橋に縛られてきた自分からすれば、嫌になるほど眩しく映るはずです。実際、対峙した際の会話では、彼女たちの無邪気さや楽観性を遠回しに皮肉るような言葉が多く、「どうせあなたたちは何も分かっていない」といったニュアンスを含んだ台詞が目立ちます。しかし、その裏側には、彼女たちの行動力やしがらみの少なさへの強い羨望も潜んでいます。霊夢の飄々とした態度や、魔理沙の前向きなチャレンジ精神、早苗の信仰に裏打ちされた自信。どれを取っても、パルスィには簡単に真似できない要素ばかりです。そのため、彼女たちが橋を越えていくたびに、「ああいう風に生きられたら」という憧れと、「どうせ私には無理」という諦めがないまぜになった複雑な感情を抱いていると考えられます。表面上は敵対的な関係でありながら、その実「もっとも強く嫉妬し、もっともよく観察している相手」でもあるのです。

地上の一般人・妖怪との関わり方

名のあるキャラクターだけでなく、地上の無名の人間や妖怪もまた、パルスィにとっては重要な「観察対象」です。旅人、仕事で地底へ向かう者、好奇心から足を踏み入れる者――彼らは橋を渡る一瞬だけパルスィの隣を通り抜け、その度に彼女は相手の心に触れます。裕福そうな商人であれば「失敗して全てを失えばいいのに」と妬み、貧しげな行商人を見ると「それでも地上で暮らせているだけ羨ましい」とこじらせた感情を抱くかもしれません。恋人同士、家族連れ、友人グループ。それぞれの関係性に潜む小さな不満やコンプレックスを見抜き、無意識のうちに刺激してしまうことで、「橋を渡るときだけ、理由もなく空気が重くなる」現象を生み出しているのでしょう。とはいえ、こうした関わりはあくまで一過性であり、名前も知らない通行人たちとの関係はその場限りです。だからこそパルスィにとっては、余計に「自分だけが取り残されている」という孤独感が募りやすく、嫉妬の感情を再生産する装置にもなってしまっています。

嫉妬が生み出す敵対・共感の二面性

パルスィの人間関係を複雑にしている最大の要因は、彼女の感情が常に“嫉妬”を軸に回っていることです。誰かを見れば、まずその人の持っているものに目が行き、「自分にはないもの」を数え始めてしまう。結果として、相手の長所を認めれば認めるほど、心の中のねたみが膨らんでいきます。しかし逆に言えば、彼女は人の長所に非常に敏感であり、他者の価値を正確に見抜ける目を持っているとも言えます。だからこそ、口ではどれだけ辛辣なことを言っていても、それは相手をよく観察し、理解している証でもあるのです。嫉妬ゆえに敵対的な態度を取ってしまう相手であっても、パルスィの心のどこかには、自分にはないその輝きを羨み、憧れている部分が残っています。こうした「敵意と共感が同居した感情」は、彼女の対人関係のいたるところで顔を出し、ギクシャクしながらも完全には断ち切れない縁を生み出しています。

二次創作で広がる交友関係のイメージ

公式で描かれる関係性は比較的限られていますが、二次創作の世界では、パルスィは多様なキャラクターと組み合わせられて物語が紡がれています。前述の勇儀やヤマメとの“地底組トリオ”としての日常もの、地上の巫女や魔法使いに翻弄されるギャグ寄りの作品、さらには同じく闇の感情を抱えたキャラとの共感的な交流など、そのパターンは枚挙に暇がありません。特に、「自分もどこか満たされない気持ちを抱えている」タイプのキャラクターと絡められることが多く、互いの弱さをさらけ出していくうちに、少しずつ心の距離が縮まるという展開が好まれます。一方で、能天気でポジティブなキャラとの組み合わせでは、パルスィが終始ツッコミ役に回りつつも、最終的には相手の明るさに救われるという構図も人気です。これらの物語は、公式設定を土台にしながらも、「もしパルスィが嫉妬ではなく、素直な友情を手に入れたらどうなるか」という問いへのさまざまな答えを提示しており、彼女の交友関係の可能性を大きく広げています。

総括:孤独とつながりのはざまで揺れる橋姫

総じて、水橋パルスィの人間関係・交友関係は、「孤独を選んでいるように見えて、実はつながりを求めてやまない」という矛盾に満ちています。橋という場所が象徴するように、彼女はいつも“どこかとどこかのあいだ”に立ち、どちらの世界にも完全には属しません。その中途半端な位置が劣等感と嫉妬を生み出し、他者との関係をこじらせる一方で、彼女の周りにはそれでもなお彼女を気にかける地底の仲間たちがいて、ときに地上の異変解決組とも交差していきます。誰かを羨み、ねたみながらも、完全には嫌いになれない。口では突き放しながら、心のどこかで相手の幸せを認めてしまっている。そうした複雑な感情の交錯こそが、パルスィの人間関係の核であり、彼女が多くのファンにとって「放っておけないキャラクター」として映る理由でもあるのです。

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■ 登場作品

初登場となった地底異変の物語

水橋パルスィがプレイヤーの前に最初に現れるのは、地底世界を舞台にした弾幕シューティング作品です。幻想郷の地下深くに眠る異変の原因を突き止めるべく、主人公たちが旧地獄街道へと向かう途中、地上と地底の境目に架かる大橋を渡ろうとしたところで、彼女が通せんぼする形で登場します。ステージ構成の上では序盤に位置するものの、その存在感は決して「肩慣らし」の域に収まりません。会話デモでは、地上と地底に対する彼女なりの複雑な感情が、ねじれた皮肉や不穏な笑みとなって表面化し、プレイヤーに「この先の世界は、ただの地下ダンジョンではない」と印象づける役割を果たしています。ゲーム中では中ボス・ステージボスとして二度立ちはだかり、一度目は様子見のような軽い挑発、二度目は本性を見せたかのような本気の攻撃と、段階を踏んでプレイヤーを追い詰めていく構成になっています。そのため、クリア後に振り返ってみても、「地底に降りて最初に会った印象的な妖怪」としてパルスィの名前を覚えているプレイヤーは多く、シリーズ全体の中でも、初登場時のインパクトが非常に強いキャラクターの一人だといえるでしょう。

ストーリー上で担う“門番”としてのポジション

この初登場作品において、パルスィはストーリーラインの中核を担うわけではありません。異変の黒幕でもなければ、ラスボスの腹心という立場でもない。しかし彼女がいることで、「地上から地底へ降りる」という行為が、単なる移動ではなく“境界を越える儀式”のように感じられるようになります。主人公たちは、パルスィが放つ皮肉や嫉妬を正面から受け止めながら、それでも先へ進むことを選ぶ。つまり彼女との戦いは、地底に満ちた怨念やコンプレックスに触れる前の“試金石”として機能しているのです。また、ステージのBGMや背景演出と相まって、橋の上で繰り広げられる戦いは、作品全体の空気を決定づける重要なシーンとなっており、プレイヤーはここで初めて「地上とは価値観の違う世界」に足を踏み入れたことを実感します。その意味で、パルスィは表向きの役職こそ門番ですが、物語構造の上では“地底世界の顔”としてプレイヤーを迎え入れる案内役とも言える存在になっています。

後続作品・公式書籍での言及と顔出し

初登場後の弾幕シューティング本編では、パルスィがボスや自機として大々的にフィーチャーされる機会はそれほど多くありません。しかし、公式書籍や設定資料、世界観解説的なテキストでは、地底勢の一員として彼女の名がしばしば登場します。旧地獄街道や地底社会の説明に添えるかたちで、「地上と地底をつなぐ橋には、嫉妬を操る橋姫が住み着いている」といった紹介がなされ、世界観の一部としてしっかり組み込まれているのです。また、地底の宴会風景や、キャラクター同士の日常を描いた挿絵・一枚絵では、鬼たちに混じってさりげなく橋の欄干から覗き込むパルスィの姿が描かれることもあり、「あくまで端役だが、確かにそこにいる」という、ささやかな存在感を示しています。彼女が大舞台の中心に立つことは少ないものの、こうしたちょっとしたカットやコメントが積み重なることで、「地底と言えばこの顔ぶれ」というイメージの中に、自然とパルスィも含まれるようになっていきました。

対戦・派生ゲームでの扱われ方

弾幕アクションや対戦形式のスピンオフ作品では、プレイアブルキャラクターとして参戦する機会こそ限られるものの、背景に登場していたり、テキストの端々で名前だけ登場したりと、完全に忘れ去られることのないポジションを保っています。ある作品では、地底をモチーフにしたステージの一部として、遠景の橋の上にシルエットのように佇むパルスィが描かれており、「相変わらず橋から人間模様を眺めているのだろうな」というプレイヤーの想像を掻き立てます。また、地底の勢力図や勢力紹介が行われる場面では、「鬼や怨霊たちの出入りを見張る橋姫」として一行だけ触れられていることもあり、“地底の風景の一部”として定着している様子が見て取れます。本編では出番が多くないからこそ、こうしたさりげない登場がファンにとっては嬉しいサプライズとなり、「まだ世界のどこかで元気に嫉妬しているのだろう」という安心感にもつながっています。

公式CDやドラマパートでの描写

東方Projectの世界はゲーム本編だけでなく、音楽CDやドラマ仕立てのトラックによっても補完されています。そうした音楽作品のなかでは、地底をテーマとした楽曲に付随するテキストや、ちょっとした寸劇のような会話形式のパートで、パルスィの名前や性格が言及されることがあります。例えば、地底勢が集まる宴会の場を描いたテキストでは、鬼たちやさとりたちの会話の端で、「橋の方からじっとこちらを見ている視線」を感じる描写が挿入され、それが暗にパルスィを指していると読めるようになっていたりします。直接登場していない場面でも、彼女の存在をにおわせる表現が散りばめられているため、ファンは「これはきっとパルスィのことだ」と想像を膨らませることができます。こうした“語られざる登場”は、彼女のキャラクター性――陰から他人の幸福を観察し、ねたみの視線を送り続ける――と非常に相性が良く、むしろ画面に堂々と出てくるよりも、影のように存在を感じさせる方がしっくりくると言えるでしょう。

二次創作ゲームにおけるプレイアブル化

公式作品ではボスとしての出番が中心のパルスィですが、ファンメイドの二次創作ゲームでは、一転してプレイアブルキャラクターとして大活躍する例も少なくありません。横スクロールアクションやRPG、対戦格闘風の同人格闘ゲームなど、多種多様なジャンルの中で、嫉妬を操る能力と橋姫というモチーフが、ゲーム的なギミックや必殺技として再解釈されています。例えば、「相手キャラの能力を一時的にコピーしてしまう」「観客の声援や観衆の注目を奪い取り、自分のパワーに変換する」といった、嫉妬の概念を戦闘システムに落とし込んだアイデアが見られ、パルスィならではの遊び方が追求されています。また、プレイアブル化に伴い、勝利台詞やイベントシーンが豊富に用意されることで、公式では描き切れなかった一面――意外と負けず嫌いなところ、思いがけず仲間思いなところ――が掘り下げられていきます。こうした二次創作ゲームは、ファンが自分なりの「パルスィ像」を形にする場となっており、登場作品としての裾野を大きく広げているといえるでしょう。

同人アニメ・映像作品での存在感

東方Projectはアニメ化こそ公式では限定的ですが、同人サークルによる自主制作アニメやPV、ストーリー仕立ての映像作品が多数発表されています。その中でパルスィは、地底編や地霊殿編を扱った作品において、脇役ポジションでありながらも強い印象を残すキャラクターとして頻繁に登場します。橋の欄干にもたれ、行き交うキャラたちの会話にちゃちゃを入れたり、主人公たちの背中にひっそりと嫉妬の視線を向けるシーンなど、短いカットでも彼女らしさが伝わる演出が好まれます。なかには、パルスィ視点で地底世界の出来事を描いた短編アニメも存在し、彼女のモノローグとともに、地上の光や地底の喧騒を「羨ましい」「鬱陶しい」と語る様子が表現されています。声がつくことで、文章だけでは伝わりにくかった感情の揺らぎや、皮肉の裏に隠れた寂しさがよりダイレクトに伝わり、「映像作品で見て好きになった」というファンも少なくありません。

ドラマCD・ボイス作品でのキャラクター表現

映像作品に限らず、ドラマCDやボイスドラマでもパルスィは人気の出演者です。地底勢が勢揃いする宴会シーンや、地上勢との邂逅を描いた物語のなかで、彼女はツッコミと毒舌を兼ねたポジションとして重宝されます。演じる声優や演者によって、ねっとりとした低めの声で陰湿さを強調するパターンもあれば、やや高めの声でツンデレ風に描くパターンもあり、同じ台詞でも印象は大きく変わります。いずれのパターンでも共通しているのは、他人の幸福を素直に祝えないもどかしさと、それを隠すためにわざとひどい言い方をしてしまう不器用さが、声のニュアンスに乗って描かれている点です。こうした音声作品は、文字とイラストだけでは補いきれない“感情の温度”を伝えてくれるため、パルスィの登場作品としては、ゲームや漫画とはまた違った意味で重要な位置を占めています。

公式・二次を問わず広がる「背景キャラ」からの昇格

もともとの登場は一つの作品におけるステージボスに過ぎなかったパルスィですが、その後の公式書籍でのフォローや、数えきれないほどの二次創作作品への登場によって、今や「地底を語るなら外せないレギュラーメンバー」の一人と見なされるようになりました。ゲーム本編では出番が少ないにもかかわらず、イラスト、漫画、音楽、アニメ、ゲームといった多様な媒体で繰り返し描かれることで、彼女のイメージは少しずつ肉付けされ、登場作品の数以上に強い存在感を獲得しています。背景に立っているだけの一コマから始まり、やがて短編の主役を任され、ついには長編シリーズの中心人物の一角を占める――そんな“背景キャラの昇格劇”を最も象徴するキャラクターの一人が、パルスィだと言っても過言ではないでしょう。公式と二次が相互に影響し合いながら、一人のキャラクターの像を膨らませていく東方Projectならではのダイナミズム。その中で水橋パルスィは、多くの登場作品を通じて、「嫉妬」というテーマを多面的に表現し続けているのです。

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■ テーマ曲・関連曲

パルスィといえばまず思い浮かぶ「緑眼のジェラシー」

水橋パルスィを語るうえで絶対に外せないのが、彼女のテーマ曲として広く知られている「緑眼のジェラシー」です。初めて地底の橋のステージでこの曲が流れた瞬間、どこか湿り気を帯びたピアノと、じんわりとにじむようなメロディラインが、プレイヤーに独特の感情をぶつけてきます。テンポ自体はそこまで速くないものの、一定のリズムを刻み続けるフレーズの上に、息の詰まるような旋律が絡みつくことで、「焦り」「うっとうしさ」「どうしようもなく絡みついて離れない思い」といった感情が、音だけで表現されているように感じられます。曲名にある“緑眼”はもちろんパルスィの瞳の色を指すと同時に、嫉妬心を「緑の目の怪物」にたとえる表現とも重なっており、視覚的イメージと音楽が密接に結びついた一曲になっています。プレイヤーはこの曲を聴きながら、地上から離れ、暗い地底へと足を踏み入れていく不安や、橋の上でこちらを見つめるパルスィのねっとりした視線を、自然と意識させられるのです。

メロディが描く“嫉妬心”の揺らぎ

「緑眼のジェラシー」のメロディをよく聴いてみると、単に暗くて重いだけの曲ではないことが分かります。冒頭やサビの部分には、どこか哀愁を帯びたフレーズが散りばめられており、ねたみや怨念の裏側にある「叶わない憧れ」や「過去への未練」がちらりと顔を覗かせます。激しく憎しみをぶつけるのではなく、心の中で何度も同じ思いを反芻しながら、じわじわと感情が濃くなっていく――そんな“嫉妬のプロセス”が、そのまま音になったような構成です。一定のパターンが何度も繰り返される中で、少しずつ音程やコードが変化していく部分は、「考えまいとしても頭から離れない」「同じことをぐるぐる考え続けてしまう」心の動きを思わせ、聴けば聴くほどパルスィというキャラクターの内面が浮かび上がってきます。激しいビートで一気に爆発させるタイプの曲ではなく、静かながらも長く尾を引く感情表現になっているため、ステージをクリアしても耳に残り続け、「あの橋の雰囲気はやっぱり忘れがたい」と感じさせる力を持っています。

ステージBGMとしての役割とゲームプレイとの一体感

このテーマ曲は、単独で聴いても魅力的ですが、ゲームプレイと組み合わさった時に真価を発揮します。プレイヤーが地上から地下へと降りていくステージ構成の中で、「緑眼のジェラシー」は、まさに“境界の橋”に差し掛かったタイミングで流れ始めます。画面には暗い空洞と巨大な橋が広がり、背景には底の見えない奈落のような空間。その上に、この少し不安げで、どこか湿ったメロディが重なることで、視覚と聴覚が一体となった「地底への入り口」の空気感が完成するのです。弾幕が激しくなる局面では曲の展開も盛り上がり、まるでパルスィの嫉妬心が高ぶっていくのに呼応するように音がうねります。逆に、パターンを覚えて冷静に避けているときには、落ち着いたフレーズが背景に回り、「このプレッシャーの中でも自分だけは呑まれない」といった小さな自負を掻き立ててくれます。このように、「緑眼のジェラシー」は単なるBGMではなく、プレイヤーの心の揺らぎやステージの雰囲気をコントロールする重要な装置として機能していると言えるでしょう。

アレンジ楽曲の広がりとジャンルの多様性

東方Projectの楽曲は、ファンによる二次創作アレンジが非常に盛んなことで知られていますが、「緑眼のジェラシー」も例に漏れず、数えきれないほどのアレンジバージョンが生み出されてきました。原曲の物悲しさやねっとりした雰囲気を活かしたピアノソロやストリングスアレンジはもちろん、重く歪んだギターを前面に出したロックアレンジ、ダークなシンセベースで陰鬱さを増幅したトランス・EDM風アレンジ、さらにはジャズ・ボサノバテイストに乗せて“大人の嫉妬”を表現した洒落たアレンジなど、ジャンルは実に多彩です。中には、わざとポップで明るいアレンジにして、「軽やかなメロディなのに歌詞やタイトルはドロドロの嫉妬」というギャップを楽しむ作品もあり、パルスィのイメージをさまざまな角度から切り取る試みが続けられています。そうしたアレンジを通じて、「嫉妬」という一見ネガティブなテーマが、多様な音楽表現に転化していく様子を見るのも、パルスィ関連楽曲の楽しみ方の一つです。

ボーカルアレンジと歌詞で深掘りされる感情

インストゥルメンタルのアレンジにとどまらず、「緑眼のジェラシー」をベースにしたボーカルアレンジ曲も数多く制作されています。そこでは、嫉妬心に苛まれる一人称のモノローグや、憧れと憎しみが入り混じった複雑な恋心、過去の傷を引きずりながら他人の幸せを素直に祝えない心情など、さまざまな感情が歌詞として言語化されています。歌詞の視点も、「パルスィの心そのもの」を歌うものから、「パルスィに嫉妬を煽られた誰か」の視点、「パルスィのことを見つめる第三者」の視点まで幅広く、同じメロディでありながら、物語の構図がまるで違ってくるのが面白いところです。特に人気なのは、強がりな一人称の裏側でボロボロになっていく自己評価を描いたタイプの歌詞で、「羨ましいなんて言いたくない」「どうしてあの子ばかり」といったフレーズを通じて、パルスィのイメージがより身近で人間的なものへと落とし込まれています。こうしたボーカルアレンジは、原曲が持つ感情の輪郭をよりくっきりと浮かび上がらせてくれる存在と言えるでしょう。

地底全体を彩る楽曲群との関係性

パルスィのテーマ曲は、単体で聴いても完成された楽曲ですが、同じ作品に収録されている他の地底関連曲との並びで聴くと、また違った表情を見せます。地霊殿の主たちのテーマや、地獄の炎を思わせる激しい曲、地底の異様な静けさを表現した不気味なBGMなど、地底編の楽曲群は全体として「地上とは異なる価値観と空気感」を描いています。その中で「緑眼のジェラシー」は、地底に降りる入口である橋の曲として、“外界からの視点がまだ残っている段階の感情”を担当しているように感じられます。まだ完全に地底の住人の目線にはなっておらず、地上と地底を両方見てしまうがゆえのねじれた感情――それがパルスィであり、その揺らぎを音楽で表現しているのがこの曲です。プレイ順に沿ってサウンドトラックを聴くと、地底の奥へ進むにつれて音楽もどんどん濃く、激しく、狂気じみたものになっていきますが、その入口に位置する「緑眼のジェラシー」は、どこかまだ“人間寄り”の感情を保っているようにも聴こえるのです。

テーマ曲がもたらしたキャラクターイメージへの影響

東方キャラクターは、立ち絵やテキストだけでなく、テーマ曲によっても大きく印象付けられます。パルスィの場合、「緑眼のジェラシー」の存在が、彼女を「ただ皮肉屋なだけの妖怪」ではなく、「嫉妬に囚われながらもどこか哀しみを抱えた少女」として印象付ける決定打となりました。もしこの曲が、もっと激しく攻撃的なメロディであったなら、パルスィはよりストレートな悪役として受け取られていたかもしれません。しかし、実際の楽曲は、どこか儚さや未練を漂わせており、それがプレイヤーの中に「この子にも色々と事情があるのだろう」という想像を呼び起こします。その結果、「嫉妬深くて面倒な性格なのに、なぜか嫌いになれない」「むしろ守ってあげたくなる」と感じるファンが多くなり、現在の“厄介だけど愛しい橋姫”というキャラクターイメージが確立していったと言えるでしょう。

二次創作楽曲で描かれる新たなパルスィ像

原曲やそのアレンジ・ボーカル作品を通じて、パルスィを題材とした新たな二次創作楽曲も多数生まれています。完全オリジナルのメロディや歌詞でパルスィの心情を描くもの、地底の橋から見える景色を音だけで描写しようとするアンビエント作品、嫉妬という感情それ自体をテーマに据えたコンセプトアルバムの一曲として彼女の名前が添えられることもあります。そこでは「緑眼のジェラシー」を直接引用しない場合でも、コード進行や音色選びにおいてどこか原曲の面影が漂っており、聴く者は「これはパルスィを意識しているな」と直感的に感じ取ることができます。こうして、彼女のテーマ曲は一つの“記号”として機能し、多くの音楽クリエイターがその記号を借りながら、自分なりのパルスィ像を音にしていくという循環が生まれています。楽曲の数だけ解釈があり、そのどれもが少しずつ違った嫉妬や寂しさ、憧れを表現している――これこそが、パルスィ関連曲の大きな魅力であり、ファンが長く楽しみ続けられる理由と言えるでしょう。

まとめ:音楽が形にした“ねたみの情景”

総じて、水橋パルスィのテーマ曲・関連曲は、「嫉妬」という扱いづらい感情を、耳で感じられる形に落とし込んだ作品群だと言えます。原曲「緑眼のジェラシー」が示した、静かに滲むようなねたみと哀しみのニュアンスは、多数のアレンジやボーカル作品によってさまざまな角度から解釈され、膨らまされてきました。その結果、プレイヤーやリスナーにとってパルスィは、「あの曲が流れる橋にいる、嫉妬深いけれどどこか切ない娘」という、音とセットになったキャラクターとして記憶されています。音楽は言葉以上に感情をダイレクトに伝える力を持っており、パルスィにまつわる楽曲たちは、彼女の抱えるコンプレックスや羨望、諦めといった複雑な感情を、旋律や和音の揺らぎとして映し出しています。ゲームをプレイしているときだけでなく、サウンドトラックを単独で聴いているとき、あるいは二次創作のボーカルアレンジを聞きながら歌詞を追っているとき――ふとした瞬間に「この感じ、なんだか分かる」と胸を刺してくるものがあれば、それはきっと、水橋パルスィというキャラクターが持つ“ねたみの情景”が、音楽を通じてあなたの中に共鳴した証なのかもしれません。

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■ 人気度・感想

シリーズ全体の中での人気ポジション

水橋パルスィは、『東方Project』全キャラクターの中で見ると、決して「常に上位に入る看板キャラ」というタイプではありませんが、地底勢や地霊殿組が好きなファンの間では非常に根強い支持を集めているキャラクターです。登場作品数や出番の多さだけで言えば、霊夢や魔理沙、チルノやフランのような超メジャー勢とは比べようがありません。しかし、それでも人気投票などでは毎回一定の票を獲得し、「知る人ぞ知る推し」「玄人好みの一押しキャラ」として名前が挙がることが多い存在です。特に地底編や地霊殿をきっかけにシリーズにハマったファン、あるいは“悪役寄りだけどどこか哀愁のあるキャラ”が好きな層には刺さりやすく、「初めてプレイした作品に出てきたボスがパルスィで、それ以来ずっと気になっている」という声も少なくありません。加えて、二次創作での扱いやすさ、嫉妬というテーマの分かりやすさから、イラスト・漫画・音楽など様々な分野で繰り返し描かれてきた結果、登場シーンの少なさに比して知名度と人気が大きく膨らんでいるタイプのキャラクターだと言えるでしょう。

ファンが感じる水橋パルスィの「好きなところ」

パルスィの魅力として最も多く語られるのは、やはり「可愛い見た目とドロドロした内面のギャップ」です。ふわりとした金髪に緑の瞳という華やかなビジュアル、クラシカルなワンピース風の衣装だけを見れば、ごく普通の“可愛い女の子キャラ”として受け取れます。ところが、実際に会話してみると口をついて出てくるのは皮肉とねたみばかりで、「どうせあんたたちは……」といった拗ねた台詞のオンパレード。そのギャップが、ファンにとってはたまらなく魅力的に映るのです。また、「嫉妬深い」という設定は一見マイナスイメージにつながりそうですが、現実の人間関係でも誰もが少なからず抱えている感情であるため、「分かりたくないけど、分かってしまう」「正直、心当たりがありすぎて笑えない」といった形で強い共感を呼びます。自分の中にも同じような黒い感情があると自覚している人ほど、「だからこそパルスィを嫌いになれない」「むしろ一番人間臭くて好き」と感じやすく、その“鏡のようなキャラクター性”が、彼女の人気を支える大きな要因になっています。

嫉妬キャラでありながら愛される理由

本来、“嫉妬深いキャラ”というのは、物語の中では嫌われ役・悪役に回されがちな属性です。にもかかわらず、水橋パルスィはむしろ「いじられキャラ」「不憫かわいい枠」として愛されることが多くなっています。その理由の一つは、彼女の嫉妬がストレートな悪意だけでなく、強い劣等感や自己否定から来ているように見える点です。「羨ましい」「妬ましい」と口にしながらも、その裏には「自分には何もない」「どうせ自分なんか」という諦めが透けて見えるため、ファンは自然と彼女に同情してしまいます。また、橋という孤独な持ち場で、延々と他人の幸福や不幸を眺め続けてきたという設定も、“ひねくれざるを得なかった背景”として説得力を持っています。単に性格が悪いのではなく、環境と心の傷の積み重ねで今のパルスィが出来上がっているという納得感があるからこそ、「そんなところも含めて好き」「報われてほしい」と願うファンが多くなるのです。結果として、嫉妬というネガティブな要素が、逆に“応援したくなる魅力”へと変換されている、稀有なキャラクターと言えるでしょう。

ネタキャラとしての側面とギャグでの人気

もう一つ見逃せないのが、二次創作界隈で広く定着した「ぱるぱる…」といった擬音・ミームです。嫉妬でむせかえるような空気感を一言で表したこのフレーズは、パルスィの代名詞として扱われることが多く、イラストや四コマ漫画、動画などで頻繁に使われています。誰かが幸せそうにしているときに、隅の方で「ぱるぱる…」と震えているパルスィの姿は、おどろおどろしいというよりも思わず笑ってしまう愛嬌があり、シリアスな嫉妬キャラであるはずの彼女を一気に親しみやすい存在にしてしまいました。さらに、「相手がちょっと褒められるだけで即ぱるぱる」「他人の弾幕が派手だとぱるぱる」「グッズ化された数を数えてはぱるぱる」など、ありとあらゆる状況に嫉妬をねじ込める万能ネタとして使えるため、ギャグ作品での出番も自然と増えています。こうしたコミカルな描かれ方は、パルスィの暗さや重さを中和し、ファンにとって“いじりやすいけれど本気で嫌われない”絶妙なバランスを作り出しています。

シリアス路線での評価:心情描写のしやすさ

一方で、シリアス寄りの二次創作――特に小説や長編漫画――において、パルスィは非常に重宝されるキャラクターでもあります。嫉妬や劣等感、自己嫌悪といった感情はドラマを生むうえで格好の材料であり、彼女を主人公に据えるだけで、「どうしてこんなに妬んでしまうのか」「そこからどう変わっていくのか」というストーリーラインが自然に立ち上がります。たとえば、他のキャラの幸福をきっかけに過去のトラウマが蘇る話、自分より恵まれていると思っていた相手の意外な弱さを知ることで、少しずつ嫉妬心よりも共感が勝っていく話、あるいは自らの嫉妬心に飲み込まれて関係を壊してしまい、後悔と向き合うことになる話など、心情重視の物語との相性が抜群です。読者からすると、「分かるけれど、そこで一歩引けないのがパルスィらしい」「その不器用さが痛々しくも愛しい」と感じられ、単なる救済エンドだけでなく、ほろ苦い余韻の残る結末でも支持を得やすいキャラクターとなっています。こうしたシリアス作品を通じてパルスィを好きになったファンも多く、「ギャグで笑わせてくれる一方、真面目に描くと心に刺さる」という二面性が、彼女の評価をさらに高めています。

カップリング・コンビとしての人気

人気の指標として欠かせないのが、他キャラクターとのカップリング・コンビ人気です。パルスィの場合、地底の鬼・星熊勇儀との組み合わせが特に定番で、明るく豪快な勇儀と、嫉妬まみれで拗らせたパルスィという凸凹コンビが、多くのファンの心を掴んでいます。勇儀がパルスィの嫉妬を笑い飛ばし、豪快に酒を酌み交わしながら「もっと自分に正直でいい」と背中を押す構図は、友情ものでも恋愛寄りでも映える鉄板パターンです。また、同じ地底組である黒谷ヤマメとのコンビも人気が高く、社交的で人懐っこいヤマメが、橋の上でひねくれているパルスィを半ば無理やり外の世界へ引っ張り出してくるような関係として描かれます。地上勢とのカプでは、無自覚に人望が厚い霊夢や魔理沙、あるいは“奇跡”と“信仰”を背負う東風谷早苗に対する複雑な感情が恋愛感情へとすり替わっていくパターンもあり、「嫉妬心と恋心の境界線の曖昧さ」をテーマにした作品が多く見られます。こうした豊富なコンビ・カップリングの可能性もまた、パルスィの人気を支える大きな要素になっています。

ファンからの印象的な感想・評判の傾向

ファンの感想を眺めていると、「最初は怖いと思っていたけれど、知れば知るほど好きになった」「自分の嫌な部分を見ているようで目を逸らしたくなるのに、いつの間にか推しになっていた」といった、“後から効いてくるタイプの魅力”を指摘する声が目立ちます。初見では、嫉妬という分かりやすい負の感情を前面に出してくるキャラに警戒心を抱く人も多いのですが、テーマ曲やセリフ、二次創作などを通じて内面の脆さや孤独が描かれていくうちに、「この子はただ拗らせているだけで、本質的にはとても人間らしい」と理解されていきます。結果として、「自分がつらいときに感情移入してしまう」「落ち込んだときにパルスィの曲を聴くと、不思議と落ち着く」といった、“心の拠り所”として挙げるファンも存在します。嫉妬や劣等感を誰かに肯定してもらう機会は現実ではあまり多くありませんが、パルスィというキャラクターを通じて、「そんな感情を抱いてしまう自分も、完全に間違いではないのかもしれない」と思えることが、彼女へのポジティブな評価につながっているのでしょう。

グッズ・イラスト界隈での存在感と人気の可視化

人気のバロメーターとして分かりやすいのが、同人誌やグッズ、イラスト投稿サイトなどでの露出です。パルスィは、東方キャラクターの中で突出してグッズ化されているわけではないものの、抱き枕カバーやアクリルスタンド、ラバーストラップ、缶バッジなど、一定数のアイテムが継続的に制作されています。また、グッズとしての造形を考えたとき、ふわふわした髪と特徴的な瞳、印象的なワンピースという分かりやすいアイコンが揃っているため、デフォルメやちびキャラ化との相性も抜群です。その結果、「会場で偶然見かけたパルスィグッズに一目惚れして、そのままキャラ自体も好きになった」といった入り方をするファンも少なくなく、ビジュアル面での魅力が人気の裾野を広げるきっかけになっています。同人誌においても、地霊殿本や地底組合同誌などでパルスィを主役・準主役に据えた作品は安定して発表され続けており、“常にどこかのサークルで描かれているキャラ”として存在感を放っています。

総評:共感と笑いが支える「厄介だけど愛しい」人気

総じて、水橋パルスィの人気度・ファンからの感想は、「共感」と「笑い」の二本柱で支えられていると言えるでしょう。嫉妬や劣等感といった、多くの人が心のどこかに抱えている感情を真正面から背負ったキャラクターであるがゆえに、彼女の言動はときに痛々しく、ときに胸に刺さります。しかし同時に、それをギャグに昇華する二次創作の土壌が整っているおかげで、パルスィは“重いキャラ”に留まることなく、「ぱるぱる」と愛され、いじられ続ける存在にもなっています。この二面性があるからこそ、人によって「救ってあげたい推し」「笑わせてくれる推し」「自分の闇を映してくれる推し」と、さまざまな形で受け止められ、東方Projectという巨大なキャラクター群の中でも独自のファン層を築き上げているのです。厄介で拗らせていて、決して手放しで褒められる性格ではない。それでもなお、多くのファンが彼女を見捨てず、“ねたみの橋姫”としての歩みを温かく見守り続けている――それこそが、水橋パルスィというキャラクターの人気と感想を象徴する光景だと言えるでしょう。

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■ 二次創作作品・二次設定

「ぱるぱる」でおなじみの嫉妬ネタキャラとして

二次創作の世界で水橋パルスィといえば、まず真っ先に挙がるのが「ぱるぱる……」という擬音を伴った嫉妬ネタです。誰かが褒められたり、カップリング絵で仲良さそうにしていたり、人気投票の順位が発表されたり――とにかく「誰かが得をしている」場面には、画面の隅でむくれているパルスィが描かれ、「ぱるぱる」と小さく震えているのがお約束のギャグになっています。この一言には「羨ましい」「妬ましい」「悔しい」「でも何もできない」といった感情がすべて押し込められており、表情はへの字口なのにどこか可愛らしく、重くなりがちな嫉妬というテーマが一瞬でコミカルな味わいに変換されます。その結果、シリアスだけでなく4コマ漫画や一発ネタ系イラストでも使いやすい“便利な表現”として、パルスィが日常的に登場するきっかけとなりました。今や「ぱるぱるしている橋姫」というだけで、東方ファンにはほぼ通じてしまうほど定番の二次設定になっており、彼女のキャラクターイメージを決定づける重要な要素になっています。

星熊勇儀との凸凹コンビもの

二次創作で特に人気なのが、地底の鬼・星熊勇儀と組ませたコンビ作品です。豪快で細かいことを気にしない勇儀と、嫉妬深くひねくれ気味なパルスィという、性格真逆の二人を並べることで、自然と掛け合いが成立するのが大きな魅力です。たとえば、宴会の席で勇儀が他の客と肩を組んで盛り上がっていると、その背後でパルスィが「楽しそうね……」「私なんて誘われてもいないのに」とぱるぱるしはじめる、しかし最終的には勇儀がお猪口を二つ持ってやってきて「お前も飲め」と強引に輪の中に引き込んでしまう――といった構図が定番です。このときパルスィは表情こそ不満げですが、実際には孤独から少し救われているという描写が多く、二人の関係性は「うるさいけどありがたい親友」「照れくさいけど頼れる飲み友達」といった温かさを帯びていきます。恋愛寄りのカップリングとして描く作品も少なくなく、勇儀のまっすぐな好意にパルスィがうまく応えられず、嫉妬や自己嫌悪でこじらせながら少しずつ距離を詰めていくストーリーは、シリアス・コメディ問わず多くの創作者に好まれています。

黒谷ヤマメ・キスメらとの「地底日常劇」

もうひとつよく見られる二次設定が、黒谷ヤマメやキスメなど、同じ地底組とのゆるい日常を描いた作品群です。社交的で人懐っこいヤマメと、橋の上から他人をねたみがちなパルスィの組み合わせは、漫才コンビのようなテンポのよい掛け合いを生み出します。ヤマメが「たまには橋から降りて遊びに行こうよ」と誘えば、パルスィは「どうせ私なんて」と拒否しつつも、次のコマではしっかりついてきている――といった、ツンとデレの落差を楽しませるパターンが定番です。キスメとの関係はもう少し穏やかで、桶に入ったままぶら下がっている彼女を、パルスィが橋の欄干から見守るだけの静かなカットも多く、「他人にはきついことを言うけれど、小さくて弱そうな相手にはあまり厳しくできない」というパルスィの隠れた優しさを表現するのに使われます。これらの「地底日常劇」では、異変も弾幕戦も起こらない、ささやかな日々の光景が中心で、パルスィの嫉妬や拗ねた態度がほんのりとしたユーモアとして描かれます。その結果、彼女は“後ろ向きな性格なのに何だか賑やかな輪から外れきれないキャラ”として愛されるようになりました。

地上勢とのラブコメ・関係こじれ系ストーリー

地上の巫女や魔法使い、風祝などと絡めた二次創作では、パルスィは「勝手に嫉妬して勝手にこじらせる」ポジションで描かれることが多くなります。霊夢や魔理沙のように、あらゆる出来事を軽妙に乗り越えてしまうタイプの相手に対し、パルスィは「何をしても許される主人公ポジション」に強いコンプレックスを抱きがちです。その感情が、作品によっては恋愛感情と絡み合い、「どうせあの子はみんなに好かれているし、私は嫌われているに決まっている」という決めつけから、素直になれないラブコメが展開されます。「本当は一緒に祭りを回りたいのに、いざ誘われると『別に興味ないし』と断ってしまう」「その後で他の子と楽しそうにしているのを見て、さらにぱるぱるが悪化する」といった“自爆”パターンは、多くの読者に「あるある」と共感混じりに笑われる鉄板ネタです。東風谷早苗のように、信仰や奇跡といった華やかなキーワードを背負っているキャラとの関係では、パルスィの嫉妬がより強調され、「選ばれた存在」と「選ばれなかった存在」の対比として物語が膨らんでいきます。

過去や出自を掘り下げるオリジナル設定

公式では多くを語られていないパルスィの過去や出自を、二次創作で想像たっぷりに肉付けするパターンも非常に人気です。たとえば、もともとは地上の人間で、恋や家族をめぐる激しい嫉妬の末に橋姫へと変じてしまったという悲劇的なバックストーリーや、里では誰にも理解されず孤立していた少女が、橋で人々の心を覗くうちに“ねたみの妖怪”として形を得た、という心理寄りの解釈などが代表例です。なかには、特定の神社や川の伝承と結びつけて「かつてはある村の守り神だったが、信仰を失い妬みの化身となった」といった神話風の設定を与える作品もあります。こうしたオリジナル設定では、パルスィの嫉妬心は単なる性格の問題ではなく、「過去の傷」「失われた幸福」の結果として描かれがちで、読者に強い共感と哀しみを呼び起こします。最終的に、誰かとの出会いを通じて少しずつ救われていくルートもあれば、救いきれないまま静かな諦めに落ち着くルートもあり、作者の好みや作風によって幅広い結末が用意されているのも特徴です。

能力・弾幕の二次的解釈と強化設定

「嫉妬を操る程度の能力」という設定は、二次創作でしばしば拡張・変形されます。シンプルには、「相手のステータスや幸運値を“羨ましがるほど”吸い取ってしまう」「周囲にいる者たちの関係性をこっそりかき乱して、戦意や連携を崩す」といったゲーム的なアレンジがなされることが多いです。RPG系の同人ゲームでは、パルスィのスキルとして「嫉妬の視線」「羨望の囁き」といった技が用意され、敵味方のバフ・デバフを操作する支援タイプのキャラとして起用されることも少なくありません。また、弾幕面では、緑色の弾やレーザーが螺旋状に絡み合い、避けようとするほど絡みついてくるような“粘着質”なパターンが好んで描かれます。二次設定の中には、嫉妬心が極限まで高まると、パルスィ自身の姿が少し歪んだ怪物のように見えてしまう「本性フォーム」を設定する作品もあり、ホラー寄りの解釈として人気です。この場合でも、完全な怪物ではなく、かろうじて元の面影が残っているデザインが選ばれることが多く、「こんな姿になってもまだ人を羨んでしまう」という、救いのなさと哀れさが強く打ち出されます。

シリアスとギャグの両極端を行き来する作品群

パルスィの二次創作を大きく分類すると、重いテーマをじっくり扱うシリアス系と、「ぱるぱる」を軸にしたギャグ系という両極端に分かれる傾向があります。シリアス系では、嫉妬という感情から目をそらせない物語が展開され、自分の感情に向き合う苦しさや、誰かを傷つけてしまった後悔が丁寧に描かれます。読者にとっては、胸が締め付けられる一方で、「そう感じてしまう自分を責めすぎなくてもいいのかもしれない」と思わせてくれる、カタルシスのような読後感を与える作品も多いです。一方のギャグ系では、パルスィの嫉妬はほとんど生活習慣のように扱われ、ちょっとした出来事にすぐ「ぱるぱる」する姿が愛嬌たっぷりに描かれます。ここでは、嫉妬は人間誰しもが持つ“ツッコミどころのある可愛げ”として消化されており、読者は「あー、分かる分かる」と笑い飛ばしながら受け入れることができます。両者は一見相反するようでいて、「嫉妬は否定すべきものだが、完全には消せない」という共通認識の上に成り立っており、パルスィというキャラクターの懐の深さを示しています。

クロスオーバーやパロディでの役割

東方以外の作品世界と混ぜ合わせたクロスオーバー・パロディ作品では、パルスィは「嫉妬担当」として非常に起用しやすいキャラです。学園パロディなら、成績優秀なクラスメイトや、モテモテな主人公に対して延々と嫉妬し続ける委員長ポジションに置かれたり、アイドルパロディなら、センターや人気メンバーを横目に「どうせ私は二列目」とこぼすメンバーとして登場したりします。職業パロでは、営業成績トップの同僚や上司に対してこっそりぱるぱるしているOL、魔法少女ものなら、選ばれたヒロインに付き従う“影の魔法少女”として、力の差に苦しむ役どころを振られることもあります。どのパロディでも、「他人の輝きに対して複雑な感情を抱く」というパルスィの根幹は変わらず、それをどのシチュエーションに乗せ替えるかで無限にバリエーションが生まれていきます。その汎用性の高さゆえに、東方をよく知らない人がクロスオーバー作品を通じてまず覚えるキャラの一人が、パルスィというケースも珍しくありません。

二次設定が公式イメージへ逆流する現象

長年にわたる二次創作の積み重ねにより、「ぱるぱる」「勇儀とのコンビ」「地底日常組の一員」といった要素は、ファンの間ではほとんど公式設定に近い“共通認識”として扱われています。そのため、新たな公式書籍や企画イラストでパルスィが登場した際、ファンは自然と「このシーンの裏でぱるぱるしているに違いない」「勇儀やヤマメと一緒に飲んでそう」といった想像を重ね合わせて楽しむようになりました。逆に、公式側もファンの解釈を多少意識しているのではないかと感じられるような、さりげない表情や立ち位置が描かれることもあり、「二次設定が公式イメージに滲み出している」と語られることもあります。もちろん、明確に設定が変わったわけではありませんが、プレイヤーや読者の頭の中では、公式と二次が混ざり合ってひとつの“水橋パルスィ像”を作り上げているのです。この「ファンの想像がキャラを育てる」プロセスは、東方Projectという作品全体の特徴でもあり、その中でもパルスィは特に顕著な例と言えるでしょう。

まとめ:二次創作が映し出す「もう一人のパルスィ」

総じて、水橋パルスィの二次創作作品・二次設定は、公式が提示した「嫉妬深い橋姫」という骨格に、ファンそれぞれの経験や感情を重ねて肉付けしていった結果生まれたものだと言えます。ギャグでは「ぱるぱる」と笑いを提供するネタキャラとして、シリアスでは自分の心の弱さと正面から向き合うドラマの主役として、地底の日常では少し拗ねた隣人として、そして恋愛ものでは不器用すぎるヒロインとして――場面によって彼女の顔は幾通りにも変わります。しかし、そのどれもに共通しているのは、「他人の輝きに素直に笑顔を向けられない自分」を抱えているという点と、それでもどこかでつながりを求めているという点です。二次創作の中で描かれる“もう一人のパルスィ”たちは、現実の私たちが心の奥底に持っている嫉妬や劣等感を、少しデフォルメされた形で代弁してくれる存在でもあります。だからこそ、読者やプレイヤーはときに彼女の失敗に笑い、ときに胸を締め付けられながらも、その姿から目を離せなくなるのかもしれません。こうして二次創作は、公式では語りきれない細部を補いながら、水橋パルスィというキャラクターを今もなお更新し続けているのです。

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■ 関連商品のまとめ

水橋パルスィ関連グッズの全体的な傾向

水橋パルスィに関連したグッズは、『東方Project』全体の中では決して数が飛び抜けて多いわけではありませんが、地霊殿や地底組が好きなファンを中心に、じわじわとラインナップが増えてきたキャラクターと言えます。作品の性質上、公式と同人が混在する市場ですが、どちらの領域でも「地底勢集合」「地霊殿セット」といった形で他キャラとまとめて立体化・グッズ化されることが多く、パルスィ単独よりも“地底の一員”として商品に登場するケースが目立ちます。それでも、瞳や衣装の色がパッと目を引き、シルエットも分かりやすいことから、ディフォルメデザインやアクリル系のグッズでは扱いやすく、継続的に新しいアイテムが作られているのが特徴です。「超メジャーキャラほど数はないが、探すと必ず何かしら見つかる」――そんな中堅どころのポジションが、パルスィ関連商品の全体像だと捉えられるでしょう。

アクリルスタンド・アクリルキーホルダーの人気

近年の二次元キャラグッズの定番といえば、まずアクリルスタンドやアクリルキーホルダーです。パルスィも例外ではなく、公式イラストや描き下ろし風のイラストを元にしたアクリルグッズがいくつも制作されています。橋の欄干にもたれてこちらを見下ろす構図、腕を組んで不機嫌そうに立っている構図、あるいはちびキャラ化されて“ぱるぱるポーズ”を取っている構図など、サイズの小さいアクリルに収まりが良いデザインが好まれます。特に、目元の色と表情のニュアンスが印象に直結するキャラクターなので、透明なアクリル越しに光が差し込むと瞳がきらっと輝き、嫉妬深さと儚さが同時に引き立つのもポイントです。キーホルダーとして鞄やポーチに付けるファンもいますが、「嫉妬深い橋姫をいつも連れ歩くのは何となく怖い」と感じる人もいて、自宅の棚やPCデスクの隅に“飾り専用”として立てておくパターンも多いようです。

ラバーストラップ・缶バッジ・ステッカーなど小物類

比較的手に取りやすい価格帯の小物グッズとしては、ラバーストラップや缶バッジ、ステッカー類が定番です。ラバーストラップでは、デフォルメされたパルスィが、頬をふくらませてむくれていたり、目をジト目気味に細めていたりと、嫉妬キャラらしい表情を強調したデザインが人気です。一方、缶バッジは丸いキャンバスを活かして、彼女の顔をアップで配置したものが多く、グラデーションのかかった緑の瞳と、少し影のある微笑みをじっくり眺められるアイテムになっています。ステッカーは、“ぱるぱる”と文字が添えられたネタ寄りのものから、橋や地底の風景を背景にしたシリアスめのものまで幅が広く、ノートPCやスケッチブック、ゲーム機本体などに貼って「さりげなくパルスィ好き」をアピールする用途で使われがちです。小物類はイベント会場でも頒布しやすく、地底組をテーマにした合同企画などでは、他の地霊殿キャラとセットになった全種コンプリートガチャ風の商品も見かけます。

タペストリー・ポスター・イラストボードなど大型ビジュアル系

パルスィ単体を大きく描いたタペストリーやポスター、イラストボードは、他の人気キャラに比べると絶対数こそ少ないものの、「出るときはかなり気合の入ったビジュアルで出る」傾向があります。地底の闇の中で橋に寄りかかり、こちらをじっと見下ろす一枚絵や、嫉妬に揺れる緑眼をアップで捉えた構図など、感情の重さを正面から受け止めるようなイラストが多く、部屋に飾ると一気に雰囲気が“地底寄り”になるような存在感があります。色合いも、深い緑や暗い赤、ブラウン系がメインになることが多く、派手なポップカラーの多い他キャラと比べるとややシックで大人びた印象を与えるのが特徴です。これらの大型グッズは価格帯が高めなぶん、“本気でパルスィ推し”のファンがじっくり選んで購入する傾向が強く、頒布数も限定されることが多いため、「見つけたときが買い時」と考えるコレクターも少なくありません。

フィギュア・立体物としての展開

東方キャラと言えばフィギュア展開も欠かせませんが、パルスィの場合はメイン級キャラほど多くはないものの、いくつかの立体物が存在します。スケールフィギュアでは、橋の欄干やレンガ風のベースなど、背景込みで“地底の橋”を再現した凝った造形が好まれ、スカートのひるがえりや髪の毛の流れ、わずかに傾いだ視線の角度までこだわり抜かれたものが見られます。ねんどろいど風のディフォルメフィギュアやガレージキットでは、差し替え表情として「じと目」や「ぱるぱる顔」が付属し、嫉妬で頬をふくらませた表情を楽しめる仕様になっていることもあります。また、地底勢が一体のディオラマ風にまとめられた立体作品の中に、勇儀やヤマメと一緒にパルスィが配置されているパターンもあり、“地底組セット”の一員として立体化されているケースも印象的です。立体物は制作コストや販売数の制約からどうしても種類が限られますが、その分一点一点の情報量が多く、パルスィの性格や物語性を立体で表現しようとする工夫が光る分野だと言えるでしょう。

アパレル・ファッション系グッズ

Tシャツやパーカー、トートバッグなど、身につけるタイプのグッズにおいても、パルスィは“さりげなく推せるキャラ”として人気があります。全面に大きくイラストを乗せたインパクト重視のデザインから、瞳やシルエットだけをあしらったシンプルなロゴ風のものまで幅広く、特に後者は一見すると普通のおしゃれグラフィックに見えるため、「東方ファン同士だけに分かる密かな推しアピール」として好まれます。色は、キャラクターイメージに合わせたダークグリーン系やブラック、深いグレーなど落ち着いたトーンが選ばれることが多く、普段着にも取り入れやすいのがポイントです。また、“JEALOUSY”“GREEN EYES”といった英単語を組み合わせたデザインもよく見られ、パルスィを直接知らない人が見ても、ファッションとして楽しめるよう配慮されています。こうしたアパレル系グッズは、ライブイベントや同人即売会などに着ていくと、同好の士から話しかけられるきっかけにもなり、「地味にパルスィクラスタをつなぐツール」としても機能しています。

同人誌・アンソロジーという意味での“商品”

物理的なグッズだけでなく、パルスィを中心に据えた同人誌やアンソロジーも、広い意味では関連商品の一種と考えられます。シリアスな物語を描いた長編マンガ、勇儀やヤマメとの日常を描いたほのぼの4コマ、ギャグ全開の“ぱるぱる本”、さらには恋愛要素の強い作品まで、その内容は実に多彩です。地霊殿や地底勢をテーマにした合同誌では、複数の作家がそれぞれの解釈でパルスィを描いており、一冊の本のなかで「嫉妬深くて面倒な悪役」「不器用な友達」「救われたい心の象徴」といったさまざまな顔を見比べることができるのも楽しいところです。小説本では、心理描写に重点を置いた作品が多く、パルスィの内面を掘り下げたい読者にとっては格好の“読み物グッズ”になっています。同人誌は頒布時期やイベントに強く依存するため、後になってからは入手困難になるものも少なくありませんが、それも含めて「巡り会えたらラッキーなパルスィ商品」として、コレクター心をくすぐる存在になっています。

音楽CD・ボイスドラマなどメディア系アイテム

パルスィ関連の楽曲アレンジやドラマ音声を収録したCDも、ファンにとって重要なコレクション対象です。彼女のテーマ曲アレンジを収めた同人アルバムはもちろん、パルスィ視点のボーカル曲や、嫉妬をテーマにしたコンセプトトラックを収録したCDなど、音楽という形でキャラクターに触れられる商品は多岐にわたります。ジャケットイラストにパルスィが大きく描かれているディスクは、視覚的にもコレクションしがいがあり、棚に並べることで“パルスィコーナー”が自然と出来上がっていくのも楽しいポイントです。また、ボイスドラマでは、嫉妬混じりの台詞や、皮肉と本音が入り混じった吐息交じりのセリフなど、文章だけでは伝わりにくいニュアンスを耳で味わうことができ、CDそのものが「キャラクターの生きた証」のように感じられます。音楽・音声は視覚グッズと違い、再生するたびに新鮮な感情を呼び起こしてくれるため、長期的に楽しめる関連商品として重宝されています。

グッズ展開の特徴:マイナーヒロインならではの楽しみ方

パルスィ関連商品全体の特徴として、「大規模に量産されるわけではないが、その分、一つひとつに作り手の愛情がこもりやすい」という点が挙げられます。超人気キャラの場合、バリエーション豊富な公式グッズが次々と出る一方で、「どれを選べばよいか分からない」「全部集めるのは現実的でない」と感じることもありますが、パルスィくらいのポジションだと、グッズの数は追いかけられる範囲に収まっており、「見つけたものを少しずつ集めて、自分だけの小さなコレクションを育てていく」楽しみがあります。また、同人作家が自主的にパルスィを選んでグッズ化するケースも多いため、デザインの方向性や表情の切り取り方に制作者の“解釈”が色濃く反映されるのもポイントです。あるグッズではシリアス寄りに、別のグッズではネタ寄りに――そうした解釈の違いを眺めること自体が、パルスィを推す醍醐味の一つと言えるでしょう。

まとめ:静かに増え続ける“ねたみの橋姫”コレクション

総じて、水橋パルスィの関連商品は、派手なキャンペーンや大量展開こそ少ないものの、アクリルスタンドや小物グッズ、フィギュア、同人誌、音楽CDなど、ジャンル横断的にバランスよく揃っているのが特徴です。どの商品も、彼女の象徴である緑の瞳や、橋の欄干、嫉妬混じりの表情といったモチーフをうまく活かしており、手に取ったときに「これは確かにパルスィだ」と実感させてくれます。少しずつ集めていけば、棚の一角に“地底の小さな祭壇”のような空間ができあがり、そこに並んだグッズを眺めるたびに、橋の上でこちらを見下ろす彼女の影を感じることができるでしょう。関連商品の世界は、公式設定だけでは見えてこない角度からパルスィを照らし出してくれる鏡のようなものでもあります。自分好みの表情をしたアクリル、気合の入ったイラストのタペストリー、心情を歌い上げたボーカル曲――そうした一つひとつを通じて、“ねたみの橋姫”は、画面の中だけでなく、ファンそれぞれの部屋や心の中にも、静かに居場所を作り続けているのです。

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■ オークション・フリマなどの中古市場

パルスィ関連グッズが流通する主な場

水橋パルスィに関連したグッズが中古として取引される場は、大きく分けて「ネットオークション」「フリマアプリ」「同人ショップや中古ホビー店」の三系統があります。ネットオークションでは、長年東方グッズを扱ってきたベテランコレクター同士のやり取りが多く、古いイベント限定品やすでに絶版になった同人CD・同人誌など、少しマニアックなアイテムが流れてくるのが特徴です。一方フリマアプリは、ライトなファンが「部屋の整理ついで」に出品することも多く、比較的新しいアクリルスタンドや缶バッジ、くじ景品などの“現行寄りグッズ”がぽつぽつと出品される傾向があります。同人ショップや中古ホビー店の委託・買取コーナーでは、合同誌やアンソロジー、セット販売の一部だったグッズが単品で売られていることもあり、「とりあえずパルスィの何かが欲しい」という人にとっては、現物を手に取って選べる貴重な場になっています。こうした複数の流通ルートがあるおかげで、メジャーキャラほどではないにせよ、パルスィ関連グッズもゆっくりと中古市場を巡回しているのです。

中古市場に出やすいアイテム・出にくいアイテム

中古市場に現れやすいのは、まず定番の小物類――缶バッジ、ラバーストラップ、アクリルキーホルダーなどです。これらはイベントやくじでまとめ買いされることが多く、その中から推しキャラ以外を手放す、という流れで中古に回りやすくなります。パルスィがセットの一員としてラインナップされていた場合、「地底組コンプ目的で買ったがダブった」「本命は別キャラだったがパルスィも一緒に当たった」といった事情で出品されることもあり、ときどき思わぬ掘り出し物に出会えるのが楽しいところです。逆に、中古市場にあまり出てこないのが、描き下ろしイラストを使った大型タペストリーや、凝った造形のフィギュアなど、“明確なパルスィ推し”が買うタイプのアイテムです。こうした商品はそもそも生産数が少ないうえ、購入者もコアなファンであることが多いため、手放される機会が少なく、「たまに出てきたと思ったらすぐ売れてしまう」ということが多々あります。同人誌や音楽CDなども、人気サークルの初期作品やイベント限定頒布のものは出現頻度が低く、中古市場で見つけられればかなり幸運な部類だと言えるでしょう。

価格帯の目安と変動要因

パルスィ関連グッズの中古価格帯は、東方全体の市場の中では比較的おだやかで、超人気キャラのような極端な高騰は少なめです。小物グッズであれば、状態にもよりますが、新品定価と同額か、やや安めに落ち着くケースが多く、缶バッジやラバーストラップならワンコイン前後、アクリルキーホルダーでも数百円から千円程度に収まることが一般的です。ただし、セット商品の中の一種としてしか流通しなかったデザインや、作家の知名度が高い描き下ろしイラストを用いたグッズなどは、単品で需要が集中しやすく、新品定価を超える値段になることもあります。フィギュアやタペストリーなど中〜大型アイテムは、元の販売価格が高めなこともあり、中古でもそれなりの値段が付きますが、同クラスの人気キャラと比べると“手を出しやすいギリギリのライン”に落ち着いていることが多く、「この出来栄えでこの値段ならむしろお得」と感じるファンも少なくありません。価格変動の大きな要因としては、元イラストレーターやサークルの人気上昇、東方人気投票や新作発表による地底組全体の再注目などが挙げられ、特定のタイミングで一時的に相場が動くこともあります。

レアアイテムとして評価されるポイント

中古市場において“レア物”として扱われるパルスィ関連商品は、いくつかの共通点を持っています。第一に、頒布場所や期間が限られていたもの――特定イベント限定ノベルティ、少数生産のグッズ、抽選プレゼント品などです。これらはそもそもの流通量が少ないため、中古市場に出る数もわずかで、同じパルスィグッズでも通常版と限定版では評価が大きく変わります。第二に、イラストやデザインのオリジナリティが高いものです。有名絵師の描き下ろし、コンセプトにこだわった構図、地底の背景を細かく描き込んだアート性の高いタペストリーなどは、単に“キャラが描いてあればよい”というレベルを超えて、ひとつの作品として欲しがられるため、時間が経つほど価値がじわじわと上がっていく傾向があります。第三に、シリーズ物やセット物の中の一ピースとして意味を持つグッズです。例えば「地底組全員集合アクリルスタンド」のうちの一種としてのパルスィなどは、それ単体で欲しい人に加えて、“コンプリートしたいコレクター”からの需要も見込めるため、意外な高値が付くことがあります。こうした複数の要素が重なったアイテムは、パルスィ推しにとって“いつか手に入れたい憧れの品”となり、中古市場をチェックし続ける大きな動機にもなっています。

状態(コンディション)が価格に与える影響

中古グッズの価値はもちろん状態によって大きく左右されますが、パルスィ関連アイテムもその例外ではありません。箱付きフィギュアやアクリルスタンドであれば、外箱のダメージの有無、未開封かどうか、台座やパーツの欠品がないか、といった点が重要視されます。タペストリーやポスターでは、折れ目や日焼けの有無、タバコやペットなどの匂いが付着していないかなどが評価のポイントになり、状態が良ければ相場より高め、悪ければ大幅な値引き、場合によっては“ジャンク扱い”になります。同人誌やCDなども、表紙の擦れやページ折れ、帯や特典の有無で価格が変動しやすく、「どうせ買うならなるべく綺麗な状態を」と考えるファンが多い分、コンディションの良い品ほど回転が早い傾向があります。ただ、パルスィ推しにとっては、「多少の傷くらいならむしろ味」と考える人もおり、長年愛用された痕跡込みでコレクションしたいというニーズも存在します。その意味では、完璧なミントコンディションだけでなく、“愛されてきた中古らしさ”をどう受け止めるかも、パルスィグッズ収集の楽しみ方の一つと言えるでしょう。

出品者・購入者それぞれの事情と心理

中古市場でパルスィグッズを手放す人・迎え入れる人には、それぞれの物語があります。出品者側の事情としては、「推し変でコレクションを整理したい」「引っ越しや生活環境の変化でスペースが足りなくなった」「ダブりを処分したい」といった比較的ライトな理由から、「昔はパルスィが一番の推しだったが、最近はグッズを眺めている時間が取れない」といった少し寂しげな理由までさまざまです。一方購入者側は、「昔から好きだったが当時は買えなかったグッズを今になって追いかけている」「最近パルスィを好きになり、過去の商品を少しずつ集め始めた」といったケースが多く、中古品であっても“念願の一品”として迎え入れることが少なくありません。オークションでの入札合戦や、フリマアプリでの即決購入が成功したときの喜びは、「誰かの元で大事にされていたパルスィが、自分のところに来てくれた」という感覚にもつながり、中古市場ならではの温かな側面を感じさせます。

偽物や状態誤認への注意点

東方グッズ全般に言えることですが、中古市場にはまれに非公式コピー品や、オリジナル作者の許可なく複製されたアイテムが混じる場合もあります。パルスィグッズに関しては超人気キャラほど狙われやすくはないとはいえ、サークルロゴが雑にトレースされているもの、明らかに印刷が粗いものなど、真偽に疑問が残る品を見かけることもゼロではありません。また、「新品同様」と記載されていても、実際には細かい傷や日焼けがあるケース、フィギュアのパーツが一部欠けているケースなど、コンディションの認識違いからトラブルにつながることもあります。購入時には、出品者の評価や過去の取引履歴を確認すること、写真をよく見て不明点は質問すること、あまりに相場からかけ離れた安さには警戒することが大切です。パルスィ推しであればなおさら、「せっかくなら本物を、できるだけ良い状態で迎え入れたい」と考えるはずなので、自分なりのチェックポイントを持って中古市場と付き合うことが、長く楽しむコツと言えるでしょう。

時間の経過とともに変わる相場と出物

中古市場の面白いところは、時期によって出回るグッズや相場が少しずつ変わっていく点です。新作ゲームの発表やイベントの開催、東方人気投票などをきっかけに地底組の注目度が上がると、その波に合わせてパルスィ関連グッズの取引も活発化し、しばらく見かけなかった品が突然いくつも出品されることがあります。逆に、東方全体の動きが落ち着いている時期は、そもそも新しいグッズが出回りにくく、中古市場も静かな状態が続きますが、そのぶん出品された少数のアイテムに注目が集まり、競争率が上がることもあります。また、十年以上前の同人グッズやイベント限定品は、時間が経つほど所有者が手放さなくなり、「存在は知られているが市場にはほとんど出ない幻の品」と化していくパターンもあり、長期的な視点で見ると「今は普通に買えるものでも、数年後には入手困難になっているかもしれない」ということも十分あり得ます。パルスィのような“中堅人気キャラ”は、この「静かにレア化していく」サイクルに乗りやすく、今出回っているグッズであっても、将来の自分が欲しくなったときに同じ条件で見つけられるとは限らない、ということを心に留めておくとよいでしょう。

コレクター視点から見た中古市場の楽しみ方

パルスィ推しのコレクターにとって、中古市場は単なる“安く買う場所”ではなく、過去のイベントやファン活動の足跡を辿るタイムカプセルのような意味合いを持ちます。出品されたグッズの説明欄から、「○年の○○イベントで購入」「昔地霊殿が流行っていた頃に集めていた」などの一文を見つけるだけでも、そのアイテムが歩んできた歴史に思いを馳せることができますし、自分が当時参加できなかったイベントの空気を、グッズを通じて疑似体験することもできます。また、「この絵柄、最近のイラストと雰囲気が違って面白い」「昔はこういう表情で描かれることが多かったのか」といった気付きも得られ、パルスィというキャラクターの“二次創作史”を立体的に感じられるのも中古市場ならではです。コレクションを通じて、自分なりの“パルスィ年代記”が棚の上に積み重なっていく感覚は、最新グッズを追いかけるのとはまた違った喜びをもたらしてくれます。

まとめ:静かに巡り続ける「ねたみの橋姫」マーケット

総じて、オークション・フリマなどの中古市場における水橋パルスィ関連グッズは、爆発的に値段が跳ね上がるような派手さはないものの、長い時間をかけて静かに巡り続ける穏やかな流通を見せています。数多くの超人気キャラに囲まれながらも、その合間を縫うようにして、地底勢セットや古い同人グッズのなかにひっそりと姿を見せるパルスィ――それを見つけ出して自分だけのコレクションに加える行為は、まさに“橋の上から人の行き来を観察する”彼女自身の在り方を、ファン側が逆にトレースしているかのようでもあります。新品ではもう手に入らないグッズとの出会い、過去のイベントの熱気を封じ込めたような同人誌やCD、そして前の持ち主のもとで愛された痕跡をまとったフィギュアやタペストリー――それら一つひとつが、中古市場という橋を渡って、次の持ち主のもとへと運ばれていきます。そうして今日もどこかで、“ねたみの橋姫”の姿をした小さなアイテムが、新しい主のもとに届き、棚の一角に居場所を作っているのです。

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