【発売】:光栄
【対応パソコン】:PC-9801、FM TOWNS、X68000、Windows など
【発売日】:1992年2月5日
【ジャンル】:シミュレーションゲーム
■ 概要・詳しい説明
『三國志III』とはどのようなゲームなのか
『三國志III』は、光栄が展開していた歴史シミュレーションゲーム『三國志』シリーズの第3作にあたり、1992年2月にPC-9801向けとして登場した作品である。その後はFM TOWNS、X68000など当時の国産パソコンへ広がり、さらに家庭用ゲーム機や後年のWindows環境などにも展開され、長期にわたって遊ばれるタイトルとなった。シリーズの基本である「三国志の時代に生きる一人の君主となり、中国統一を目指す」という大枠は受け継ぎながらも、ゲームシステムは前2作から大幅に作り直されており、後の『三國志』シリーズにつながる重要な仕組みが数多く盛り込まれている。舞台となるのは後漢末期から三国時代後期にかけての中国大陸で、曹操、劉備、孫権、董卓、袁紹、呂布、劉表、馬騰、公孫瓚など歴史上の群雄から一人を選び、配下武将を登用し、都市を発展させ、軍備を整え、外交や計略を駆使しながら勢力を広げていく。最終目的は中国全土に配置された46都市を自勢力の支配下に置くことであり、単純に敵君主を倒していくだけではなく、各都市をどのように経営し、どこから領土を拡大し、どの地域を防衛拠点にするのかという国家運営そのものがゲームの中心となっている。
「国」から「都市」へ変化した中国大陸の支配システム
前作までと比較した際に特に大きな変化として挙げられるのが、領土管理の考え方である。以前の作品ではマップが番号で示された国を基本単位として構成されていたが、『三國志III』では洛陽、長安、許昌、成都、襄陽、建業といった具体的な都市名が前面に出るようになった。これによってプレイヤーは単なる番号上の領地を増やすのではなく、三国志の物語で知られる都市を実際に奪い合っている感覚を得やすくなった。また、都市同士は街道で結ばれており、地理的には近く見える場所であっても街道が接続されていなければ直接攻め込むことはできない。この構造によって、どの都市を押さえれば敵勢力への進軍路を確保できるのか、逆にどこを防衛すれば敵の侵攻経路を狭められるのかという地政学的な判断が重要になった。
6本の歴史シナリオで後漢末期から三国時代後期までを再現
基本シナリオは189年、194年、201年、208年、221年、235年という6つの時代から選択でき、それぞれの年代によって勢力図や君主、配下武将、都市の支配状況が大きく異なる。189年では董卓が権力を握り、各地の群雄がまだ十分な巨大勢力へ成長していないため、曹操や劉備、孫堅などがこれから勢力を築いていく過程を楽しめる。194年になると群雄割拠が本格化し、袁紹、曹操、呂布、劉備、孫策、劉表、劉璋など多くの勢力が入り乱れるため、自由度の高い展開になりやすい。201年では曹操が北方で強大な存在となり始め、劉備は新野周辺で苦しい立場に置かれるなど、勢力格差が大きくなる。208年になると諸葛亮が劉備陣営で活躍する時代となり、曹操・劉備・孫権を中心とした後の三国鼎立へ向かう構図が明確になってくる。221年では魏・蜀・呉という三国の形がほぼ完成し、235年は諸葛亮没後の時代を扱っており、姜維や司馬懿一族などが中心となる三国志後半の世界を遊べる。
500人を超える武将が作り出す巨大な三国志世界
『三國志III』で特に印象的なのが、登場武将数の多さである。シリーズ第1作、第2作からさらに増加し、本作では500人を大きく超える人物が収録されている。曹操、劉備、孫権、関羽、張飛、趙雲、諸葛亮、周瑜、司馬懿、呂布といった誰もが知る有名人物はもちろん、各勢力の中堅武将、地方豪族、後期三国時代の人物まで幅広く登場する。この人数の多さによって、同じ君主で遊んでも配下の集まり方によって軍団の性格が大きく変化する。
知力・政治・武力・陸指・水指によって武将の個性を細分化
武将能力の設計も前作から大きく進歩した部分である。従来は一つの能力に複数の役割が集約される傾向が強かったが、本作では「知力」と「政治」が分離されたことで、策略に優れた人物と行政に優れた人物を別々に表現できるようになった。さらに戦闘面でも「武力」と軍隊を率いる能力が分かれ、「陸軍指揮」と「水軍指揮」という能力値が採用された。これによって、本人の腕力は突出していなくても大軍の運用に優れる将軍、逆に一騎討ちでは強いが大軍団の統率には向かない武将といった違いがゲーム上で表現される。
軍師・将軍・文官・武官という身分制度
本作では配下武将を単純に都市へ配置するだけではなく、軍師、将軍、文官、武官という立場を与えて運用する仕組みも登場した。それぞれ実行しやすい命令や担当できる役割が異なり、人材をどの仕事に使うのかという組織運営が重要になる。政治能力の高い人物を文官として長期間内政に従事させたり、軍事向きの人物を武官として訓練や戦争準備に専念させたりすることができる。
内政が長期計画型となり都市育成の手応えが増加
都市運営では開発、耕作、治水などの内政命令を実行し、国力を少しずつ高めていく。重要なのは、命令を入力した瞬間に結果が出るのではなく、一定期間武将を従事させた後に成果が報告される仕組みである。優秀な政治家を数か月間まとめて働かせることで都市が成長していくため、短期的な軍事行動と長期的な経済発展を同時に考えなくてはならない。
野戦・市街戦・水戦によって大幅に進化した戦争
戦闘システムも本作で大きく発展した。都市へ侵攻した場合には市街戦が中心となるが、都市と都市の間に古戦場が設定されている地域では野戦が発生する場合がある。五丈原や赤壁など三国志の物語で有名な場所が戦場として扱われ、進軍経路そのものに戦略的意味が与えられた。また、水上での戦いも加わり、水軍指揮能力を持つ武将の価値が高まっている。さらに騎兵、弩兵、強弩兵などの兵種・装備が導入され、遠距離攻撃を利用した戦術も可能になった。
計略と一騎討ちが戦場を予測不能にする
戦争中には落とし穴、偽令、同士討ちなど複数の計略を使用でき、知力の高い武将が戦場で重要な存在となる。また、一騎討ちは戦争開始時だけの特別イベントではなく、戦闘中に選択できる通常コマンドとして利用できるようになった。敵武将へ勝負を申し込み、相手が応じれば武将同士による直接対決が始まる。演出面でも騎乗した武将同士が武器を交える表現が加えられ、前作以上に「三国志の英雄同士が戦っている」という雰囲気が強くなった。
新君主・新武将で自分だけの三国志を作れる
史実の人物だけでなく、プレイヤー自身が新君主や新武将を登録できる機能も発展した。ゲーム開始後にその場で人物を追加する方式ではなく、事前に作成した武将を開始時に登場させるか選択する形式となり、後のシリーズで定番となる新武将システムの原型が完成している。完全なオリジナル君主を作り、曹操や劉備と並ぶ第四勢力として天下統一を目指すこともできる。
アイテムによって有名武将の存在感を強化
『三國志III』では武将が所有するアイテムもゲームシステムへ組み込まれている。青龍偃月刀や孫子の兵法書など、三国志ファンには馴染み深い武器や書物が登場し、一部は特定の武将が初めから所有しているほか、人材探索などを通じて発見されることもある。武将の個性を能力値以外でも表現しようとした試みとして重要である。
マウス操作への対応とインターフェースの進歩
パソコン版では操作性の面でも大きな変化が見られた。シリーズ初期はキーボード操作を中心としていたが、本作ではマウス操作への対応が進み、都市や命令を画面上から選択する感覚が強くなった。都市名と番号が併用されているため、従来型の操作に慣れたユーザーにも配慮しつつ、新しいインターフェースへ移行している。
シリーズの方向性を大きく変えた転換点
『三國志III』をシリーズ史の中で見ると、単なる第3作という以上に重要な位置にある。都市名の導入、街道、野戦、水戦、遠距離攻撃、武将能力の細分化、身分制度、新武将の事前登録、アイテム、長期間の内政命令、戦闘中の一騎討ちなど、後のシリーズへつながる発想が一度に増えている。前2作が「三国志を題材にした国取りシミュレーション」という骨格を作った作品だとすれば、本作はそこへ人材運用、都市経営、地理、戦術、仮想歴史という複数の要素を加え、「三国志の世界そのものを運営するゲーム」へ大きく発展させた作品と位置づけられる。
PCから家庭用ゲーム機まで広がった人気作品
PC-9801版を出発点とした『三國志III』は、その後FM TOWNS、X68000をはじめとする複数のパソコン環境へ展開され、さらにスーパーファミコン、メガドライブ、メガCD、PCエンジンSUPER CD-ROM²、PlayStationなど家庭用ゲーム機にも移植された。シリーズがパソコン愛好家だけのものではなく、家庭用ゲーム機のプレイヤーにも広く認知されていく過程を支えたタイトルの一つである。
■■■■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター
『三國志III』最大の魅力は「自分で歴史を作る」自由度の高さ
『三國志III』の面白さを一言で表すなら、三国志の有名な歴史を追体験するだけではなく、プレイヤー自身の判断によってまったく異なる中国史を作れることにある。曹操を選んで北方から圧倒的な物量で南下する王道の進め方もできれば、劉備で人材を集めながら劣勢を覆すこともできる。孫権なら長江流域を利用した水軍中心の戦いを展開でき、呂布なら強烈な武力を前面に押し出した豪快なプレイも可能である。さらに史実では大勢力になれなかった地方君主を選ぶと、ゲームの難易度も遊び方も一変する。
都市経営と軍事行動のバランスを考える面白さ
本作を攻略するうえで重要なのは、兵士を大量に集めて戦争だけを繰り返せばよいわけではない点である。都市には資金や兵糧を支える経済的な基盤が必要であり、開発、耕作、治水などを進めて長期的に国力を高めなければ、遠征を続けることは難しい。そのため攻略の基本としては「前線都市」と「後方都市」を意識的に分ける考え方が有効である。
序盤攻略では「戦争より人材」が重要になる
『三國志III』では武将が国家そのものの力といってよい。優秀な人物が多ければ、同時に複数の都市で内政や訓練、人材探索などを実行できるが、配下が少ないと君主自身がほとんどの仕事を担当しなければならず、国の成長が大幅に遅れる。そのため、ゲーム開始直後に最優先したい行動の一つが人材の確保である。
優秀な武将を「能力値の高さだけ」で判断しないことが攻略のコツ
本作では知力、政治、武力、陸軍指揮、水軍指揮など複数の数値が存在するため、単純に武力が高い人物ばかりを集めても強い国家にはならない。たとえば武力100級の豪傑は一騎討ちでは頼もしいが、軍隊を率いる指揮能力まで必ず最高とは限らない。逆に、本人の武力がそれほど高くなくても陸軍指揮の高い武将なら、多くの兵を率いる部隊指揮官として極めて有能である。
軍師・将軍・文官・武官の使い分けが国家運営を変える
身分制度も攻略の重要な部分である。軍師や将軍という肩書きを与えられる人物は魅力的に見えるが、資格がある人物を必ずその身分にするのが最善とは限らない。文官や武官は実行できる命令に一定の制約がある反面、仕事を長期間継続して担当させられる利点がある。
戦争は兵力だけでなく「準備」で勝敗が決まる
戦闘では兵士数が多い側が基本的には有利だが、本作ではそれだけで勝敗が決まるわけではない。徴兵や募兵で集めたばかりの兵士を大量に投入しても、十分な訓練や戦争準備が行われていなければ、士気や戦闘効率の面で不安を抱える。そこで重要なのが、開戦する数か月前から計画的に軍備を整えることだ。
騎兵・弩兵・強弩兵など兵装を生かした部隊作り
本作では兵士の数だけではなく、兵装を整えることで部隊の戦い方を変えることができる。特に弩兵や強弩兵による遠距離攻撃は、直接接触する前に敵へ損害を与えられるため、戦術の幅を大きく広げた要素である。
野戦・市街戦・水戦では戦い方を変える必要がある
『三國志III』の戦闘が面白い理由の一つは、すべての戦争が同じ形式ではないことにある。都市への攻撃では市街地をめぐる戦闘になる一方、街道上の古戦場で迎撃が行われれば野戦となる。さらに地域によっては水上戦も発生するため、武将の適性や部隊の配置を状況に応じて変えなければならない。
霧・豪雨・昼夜などの戦場条件を利用する
戦場では天候や時間帯によって視界などが変化し、索敵の重要性が増す。視界が悪い状況では敵部隊の位置を把握しにくくなるため、無計画に進軍すると突然敵部隊と接触する危険がある。一方で、この視界制限は攻撃側だけの不利ではなく、兵力の少ない側が敵の目を避けながら移動する材料にもなる。
戦場計略は知将を主役に変える強力な武器
武力型の豪傑だけでなく、知力の高い軍師が戦場で重要なのも本作の魅力である。落とし穴、偽令、同士討ちなどを成功させれば、敵部隊へ直接的・間接的な損害を与えられる。特に兵力差が大きい戦いでは、正面攻撃を繰り返すよりも計略によって相手を崩す方が効果的な場合がある。
一騎討ちは勝負を決めるだけでなく戦場のドラマを生み出す
戦闘中に任意のタイミングで一騎討ちを申し込めるようになったことは、『三國志III』を印象深い作品にしている。呂布、関羽、張飛、趙雲、馬超など武力の高い武将を率いていると、つい敵将へ挑戦したくなる。勝負には危険も伴うが、その分だけ勝利時の達成感は大きい。
曹操は初心者にも上級者にも楽しめる万能型の君主
曹操は、本作のゲームシステムを理解するうえで非常に分かりやすい君主である。本人の能力が高いだけでなく、夏侯惇、夏侯淵、曹仁、荀彧、荀攸、郭嘉、程昱、張遼、徐晃、許褚、典韋など軍事・内政双方に優れた人材をそろえやすい。初心者が基本システムを覚える勢力として扱いやすい一方、広大な領土を効率的に運営して短期間統一を目指すなど、上級者向けの遊び方もできる。
劉備は「人材の魅力」を最も実感しやすい君主
劉備陣営の魅力は、関羽、張飛、趙雲、諸葛亮など人気の高い人物を集めながら勢力を育てていく過程にある。シナリオによっては領土も国力も強大とはいえず、曹操など巨大勢力の圧力を受けるため簡単ではないが、優秀な人物が一人ずつ加わるたびに勢力が強くなっていく実感を得やすい。
孫氏勢力は水軍指揮の存在を最も楽しめる
孫堅、孫策、孫権へ続く孫氏勢力は、本作独自の「水軍指揮」を実感するうえで非常に面白い。周瑜をはじめ江東には水上戦向きの武将がそろいやすく、長江周辺での戦争ではその特性を生かせる。
呂布は一騎討ちのロマンを体現する印象的な武将
印象に残るキャラクターとして外しにくいのが呂布である。武力の高さは本作でも特別な存在感を放ち、一騎討ちでは最大級の脅威となる。敵として登場した場合は非常に怖いが、自軍へ加えることができれば戦争の楽しさが大きく増す。
関羽は武力・指揮・アイテムの存在感を楽しめる代表格
関羽は『三國志III』のシステムと非常に相性の良い人気武将である。高い武力による一騎討ちの強さだけでなく、軍隊を率いて前線で戦わせた際にも頼もしさを感じやすい。また、青龍偃月刀のような象徴的なアイテムの存在が、単なる能力値以上の特別感を与えている。
諸葛亮は本作の能力細分化を象徴する知将
諸葛亮は高い知力や政治面の能力を国家運営と計略に生かすことで真価を発揮する。本作では知力と政治が別々になったため、「策略の天才」と「行政能力に優れた人物」をより細かく表現できるようになっている。
司馬懿は後半シナリオで存在感を増す知略型の主役
後期年代を遊ぶ際に重要になるのが司馬懿である。時代が進むにつれて魏の中核人物として存在感が大きくなり、235年シナリオなどでは諸葛亮死後の世界を象徴する人物の一人となる。
趙雲は安定感と人気を兼ね備えた使いやすい猛将
趙雲は呂布のような一点突破型とは少し違い、戦場へ安心して送り出せるバランスの良い猛将という印象を持ちやすい。高い武力を生かして一騎討ちを狙うこともでき、部隊指揮でも活躍させやすい。
弱小君主プレイこそ『三國志III』の奥深さを味わえる
システムを理解した後は、配下も領土も少ない弱小勢力を選ぶと本作の面白さがさらに広がる。強い君主なら多少の失敗を人材や兵力で補えるが、弱小君主では一度の戦争の敗北がそのまま滅亡につながる。そこで外交、空白都市、在野武将、敵同士の戦争など、使えるものをすべて利用して生き残る必要がある。
空白都市の使い方が序盤の勢力拡大を左右する
シナリオによっては君主の支配していない空白都市が存在し、これを効率よく確保できるかどうかが序盤の勢力拡大へ大きな影響を与える。ただし都市だけ増やして配下武将が不足すると、一都市あたりの人員が薄くなり内政も防衛も中途半端になるため、人材数との釣り合いが必要である。
敵勢力を一気に滅ぼすより「分断」することが有効
大勢力との戦いでは、一回の戦争で相手を壊滅させようとすると被害が大きくなりやすい。そこで攻略したいのが敵の重要都市や街道上の要地である。敵領土の中央に位置する都市を奪えば、勢力圏を分断できる場合があり、孤立した都市を順番に攻略しやすくなる。
短期統一を目指すなら内政のやり過ぎにも注意
すべての都市を完璧に育ててから進軍する必要はない。特に後半シナリオでは武将の高齢化や人数減少が進むため、あまり長年月をかけると人材不足が深刻になる可能性がある。必要十分な収入を得られる状態にしたら、次の攻略へ移る判断も重要である。
235年シナリオは時間との戦いになる
後期シナリオでは諸葛亮死後の人物たちを操作できる魅力がある一方、登場武将の絶対数が徐々に少なくなっていくため、悠長に数十年かけて統一する遊び方には向いていない。武将が死亡すると都市を担当する人材そのものが減るため、序盤からある程度積極的に領土を拡大していく必要がある。
新君主プレイならゲームを何度でも新鮮に遊べる
史実勢力を一通り遊んだ後は、新君主・新武将を利用することでさらに遊び方が広がる。強力な万能君主を作ることも、あえて能力を控えめに設定して一から国家を作ることもできる。架空の一族や独自の軍団を作る楽しみもあり、仮想歴史としての魅力を大きく広げている。
クリア条件は明快だが、そこへ至る道筋は無数に存在する
最終目的は全46都市を支配し、中国全土を統一することである。しかし、開始年代、選択君主、人材の集まり方、戦争の結果、敵勢力の成長状況などによって統一までの道筋は毎回異なる。そのため一度クリアしても別の君主で再び遊びたくなる。
効率だけではなく「好きな武将を活躍させる」遊び方が楽しい
能力の高い人物を効率よく使えば攻略しやすいが、必ずしも最適解だけを追求する必要はない。自分の好きな武将を大将にして兵力を集中させたり、史実では敵対した人物を同じ都市へ集めたり、特定の一族だけで軍団を作ったりする楽しみもある。
難易度は選ぶ勢力とプレイ方針によって大幅に変化する
本作の難易度は一律ではなく、どの君主を選ぶかによって大きく変化する。豊富な人材と領土を持つ勢力では比較的安定して進められるが、配下一人、都市一つといった弱小勢力では非常に厳しい。さらに自分で制約を設ければ、難易度を自由に高めることもできる。
『三國志III』の攻略で最も重要なのは「無理をしないこと」
敵より兵力が少ない、兵糧が不足している、後方から攻撃される可能性がある、優秀な武将が負傷しているといった状態で無理に戦争を始める必要はない。数か月待って都市を成長させ、兵士を訓練し、敵が別勢力と戦うまで待つだけで状況が大きく改善することがある。待つべき時に待ち、攻めるべき時に一気に進むことが攻略の核心である。
遊ぶほど自分なりの「名将」が生まれていく作品
実際に長時間遊んでいると、プレイヤーごとに「自分のゲームではこの武将が活躍した」という人物が生まれてくる。弱小勢力で苦しい時期を支えた文官、奇跡的な一騎討ちで強敵を倒した武将、長期間前線を守り続けた将軍など、プレイ中の出来事によって史実とは異なる思い入れが形成される。これこそ『三國志III』の大きな魅力である。
■■■■ 感想・評判・口コミ
前作から一気にスケールアップしたという印象が強い作品
『三國志III』を当時遊んだプレイヤーの感想としてまず挙げられやすいのが、「前作からゲームの規模が一段階大きくなった」という印象である。都市が具体的な名前で表示されるようになり、武将数も大幅に増え、諸葛亮死後の時代まで遊べるようになったため、「三国志の世界をかなり広い範囲までゲーム化した作品」という評価につながりやすかった。
「都市名があるだけでこんなに雰囲気が変わるのか」と感じさせた
現在では歴史シミュレーションゲームで都市名が表示されることは当たり前だが、本作ではそれ自体が大きな没入感につながっていた。洛陽を奪う、長安を守る、襄陽を確保するといった行動に、単なる数字以上の意味が生まれたのである。
武将を集めて適材適所で働かせる楽しさが大きい
口コミ的な感想で特に支持されやすいのが、人材を集めることそのものが楽しいという点である。本作には非常に多くの武将が登場し、有名な英雄だけでなく、三国志好きでなければ名前を知らないような人物も数多く含まれている。探索や捕虜登用で人材を増やす過程は、一種の収集要素として機能している。
有名武将だけでなく「自分だけの名将」が生まれるという感想
長く遊んだプレイヤーほど語りやすいのが、「史実では目立たない武将に愛着が湧いた」という体験である。偶然登用した中堅武将が長年にわたって前線を支えたり、能力的には平凡な人物が一騎討ちで強敵を倒したりすることで、その武将が自分だけの英雄になっていく。
一騎討ちの演出強化は当時かなり印象的だった
戦闘面では、一騎討ちの存在が強い印象を残した。武将同士が馬上で戦う姿を見ることができるようになったことで、関羽、張飛、趙雲、呂布といった猛将を使う楽しさが増した。「効率を考えると避けた方がいいが、面白いのでつい挑んでしまう」という魅力を持った要素である。
内政をじっくり進めるのが好きな人には非常に相性が良い
『三國志III』は戦争だけではなく、開発、耕作、治水、募兵、訓練、戦争準備などを積み重ねて都市を育てる過程が大きな比重を占めている。そのため、「戦争へ行く前に国力を整える時間が好き」というプレイヤーから評価されやすい。一方で、テンポを重視する人には少し重く感じられる場合もある。
長期命令は便利で「毎月同じ仕事を命令しなくてよい」と好評
文官や武官を長期間同じ仕事へ就かせられる仕組みは、都市数が増えてから特に便利である。数か月単位で開発や訓練を任せられるため、プレイヤーは重要な前線都市や戦争に集中できる。
戦争前の準備が重要で「育てた軍隊を送り出す楽しさ」がある
徴兵した直後の兵士をそのまま送り出すより、訓練、士気、装備、兵糧などを整えてから攻撃する方が安定する。そのため、一度の戦争が始まるまでに何か月も準備することがある。この準備期間を含めて面白いと感じるプレイヤーは多い。
野戦・水戦が入ったことで戦争に変化が生まれた
都市を攻撃するだけだった戦争から、都市間の古戦場をめぐる戦いが加わったことで、街道や地形を意識する必要が出てきた。特に水軍指揮という能力が独立しているため、孫氏勢力や江南の武将を使う際には地域性を感じやすい。
一方で武力の存在感が少し薄くなったという意見もある
能力値が細分化された反面、武力という数値の役割が以前より限定的になったという見方もある。武力は一騎討ちで大きな意味を持つものの、大軍を率いる能力は陸軍指揮や水軍指揮へ分かれているため、武力の高い人物があらゆる戦争で最強とは限らない。
武将ごとの特殊能力が少ないため「個性が薄い」という評価も
後年の『三國志』シリーズと比較した際に指摘されやすいのが、武将固有の特殊能力や個別スキルが少ないことである。一方で、このシンプルさを長所と考える人もいる。特殊能力が少ないからこそ、人材配置、兵力、地理、国力などを見て純粋に判断できるからである。
AIは前作より進歩したものの、不自然な動きを見せることもある
AI同士の勢力争いによって大国が誕生し、プレイヤーが直接関与していない地域でも歴史が動いていく一方、安全な後方都市へ大量の武将や兵士を抱え込み、最前線の都市が手薄になっているような不自然な配置も見られることがある。
敵国が突然巨大な兵力を持つ展開も強烈な思い出になりやすい
長時間プレイでは、AI勢力がいつの間にか非常に大きな軍隊を保有していることがあり、これがプレイヤーを驚かせることもある。その結果、序盤では小さかった勢力が巨大化し、終盤の強敵として立ちはだかる場合もある。
弱小君主でのプレイは「理不尽なほど難しいが面白い」
配下がほとんどいない、隣国が強大、国力が低いといった勢力を選ぶと、開始直後から滅亡の危険がある。そのため、空白都市への移動、在野武将の探索、外交、敵同士の戦争への便乗など、通常以上に慎重な判断が求められる。一都市を奪っただけでも大きな達成感がある。
後半シナリオは珍しさが魅力だが、人材不足が厳しい
235年から始まる後期シナリオについては、諸葛亮死後の三国志を遊べるという珍しさが高く評価される一方、武将不足の問題が指摘されやすい。年代が進むほど人物が減り、ゆっくり統一しようとすると都市へ配置する人材そのものが足りなくなってくる。
司馬炎まで見たいというやり込み要素も話題になりやすかった
ゲーム終盤の年代に登場する武将の中には、普通に遊んでいるとなかなか見る機会のない人物もいる。遅い年代の武将を見ること自体が一種のやり込みとして語られ、司馬炎のような人物は特別な存在感を持つようになった。
新君主・新武将システムの自由度は長期的に高く評価された
自分で武将を作れる機能は、『三國志III』を繰り返し遊ぶうえで非常に大きな役割を果たした。自分や知人の名前を付けたり、架空の人物を登録したりして遊べるため、史実勢力を遊び尽くした後にも新しい展開を作れる。
音楽についても「歴史ゲームらしい雰囲気」が印象に残る
長時間同じ都市画面や地図を見るゲームであるため、音楽の印象もプレイ体験を大きく左右する。向谷実による音楽は歴史物らしい雄大さや緊張感を持ち、ゲームから離れた後にも記憶に残りやすい。
「気が付けば何時間も経っている」タイプのゲーム
一月だけ進めようと思って内政を始めたのに、武将を探索し、隣国の兵力を確認し、軍団を整え、戦争を始めているうちに数時間経ってしまう。「あと一都市だけ」「あと一人だけ登用」と続けてしまう中毒性がある。
後年の作品よりシンプルだからこそ遊びやすいという再評価
シリーズが進むにつれてシステムが複雑化したが、『三國志III』は基本的に人材、金、兵糧、兵力、能力値、地理を見ながら判断すればよい。この簡潔さを「余計な要素が少ないので天下統一そのものに集中できる」と評価する人もいる。
現在遊ぶとテンポや操作性には時代を感じる
都市ごとの情報確認、武将管理、命令入力などを何度も繰り返す必要があり、後年の作品にある一括操作や高速化された管理機能と比べると手間が多い。しかし、この手作業感を古い歴史シミュレーションらしい味と感じる人もいる。
史実通りにならないことを楽しめる人ほど評価が高くなる
劉備が早期に滅亡したり、呂布が巨大勢力になったり、史実では早く消える君主が何十年も生き残ったりすることがある。歴史の正確な再現より「もしも」の歴史を楽しみたい人にとって、この予測不能さは大きな魅力である。
名作かどうかより「何度も遊び直したくなる」ことが評価を支えている
AIの不自然な挙動、後期武将の不足、終盤の管理の手間、武将固有能力の少なさなど、改善余地は存在する。それでも都市を育て、人材を集め、好きな武将で軍団を作り、中国地図を少しずつ自分の色へ変えていく過程が楽しい。
総合的な感想――シリーズの「大作化」を実感させた一本
総合的に見ると、『三國志III』はシリーズが本格的な大規模歴史シミュレーションへ発展していく過程を強く感じさせる作品である。都市名、街道、能力値の細分化、500人を超える武将、後期シナリオ、野戦、水戦、一騎討ち、新武将、アイテムなど、前作までと比べて「できること」が大きく増えている。その一方で基本目標は分かりやすく、遊び直すたびに別の三国志が生まれる点が大きな魅力となっている。
■■■■ 当時の宣伝・現在の中古市場など
1992年のパソコンゲーム市場で「光栄の大型歴史シミュレーション」として登場
『三國志III』が登場した1992年は、PC-9801を中心とする国産パソコンゲーム市場がまだ非常に大きな存在感を持っていた時代である。その中でも光栄は『信長の野望』『三國志』『大航海時代』『蒼き狼と白き牝鹿』など、本格的な歴史・戦略シミュレーションを継続して展開しており、「価格は高めだが長期間遊べる重厚なゲーム」というブランドイメージを築いていた。『三國志III』はその中心的な新作として登場し、都市単位の支配や武将任命制度、野戦・水戦などが大きな進化として注目された。
ゲーム雑誌の記事と広告が重要な宣伝媒体だった
インターネットが一般家庭へ普及する以前の作品であるため、『三國志III』の情報を広めるうえで大きな役割を果たしたのがパソコンゲーム雑誌だった。新作紹介、広告、特集、攻略記事などを読みながら発売を待つことが一般的であり、雑誌そのものが現在の公式サイトやSNS、攻略サイトに近い役割を担っていた。
雑誌の画面写真そのものが大きな購買意欲につながった時代
発売前のゲームを動画で確認できない時代だったため、中国全土のマップ、都市画面、武将の顔グラフィック、戦争画面、一騎討ちなどのスクリーンショットは、それだけで新作への期待を高める材料になった。前作より画面表現が豊かになった『三國志III』は、雑誌記事との相性も良かった。
「前作より大幅に進化した」という分かりやすい宣伝材料が多かった
都市制への移行、500人を超える武将、知力と政治の分離、陸軍指揮・水軍指揮、軍師・将軍・文官・武官という任命制度、野戦、水戦、遠距離攻撃、一騎討ち、アイテム、新君主・新武将など、前作との差を説明しやすい要素が非常に多かった。
攻略本出版まで含めた光栄独自のメディア展開
光栄作品の特徴として、ゲームソフトだけでなく攻略本、武将資料集、データブックなどを積極的に展開していた点も重要である。『三國志III』でも攻略本や武将ファイルが発売され、ゲームを購入した後にさらに深く遊びたいプレイヤーへ情報を提供した。
「ゲームを買った後も本を読む」という楽しみ方
『三國志III』のように500人以上の人物と46都市、多数の能力値、シナリオごとの勢力配置が存在するゲームでは、攻略本を片手に武将能力やシナリオ情報を調べる楽しさがあった。ゲームを起動していない時間にも関連書籍を読み、次に使ってみたい人物を探すという遊び方が成立していた。
店頭では高価格帯の「本格派ソフト」として存在感を持った
1990年代初頭の光栄作品は、一般的なゲームソフトと比べても価格が高いという印象を持たれやすかった。しかし、その価格に対して数十時間、場合によっては何百時間も遊べるだけのデータ量とリプレイ性を売りにしていた。『三國志III』も一度クリアすれば終わる作品ではなく、君主や年代を変えて何度も遊べた。
パソコンだけに留まらず家庭用ゲーム機へ積極的に移植
『三國志III』が広く知られるようになった大きな理由は、PC-9801を中心としたパソコン版だけで終わらず、FM TOWNS、X68000などへ展開され、その後スーパーファミコン、メガドライブ、メガCD、PCエンジンSUPER CD-ROM²、PlayStationなど多彩な環境へ移植されたことにある。
CD-ROM版では容量を生かした付加価値を追加
メガCDやPCエンジンSUPER CD-ROM²などCD-ROM媒体を利用する機種では、大容量という特徴を利用して映像演出や武将情報、追加シナリオなどが加えられた。単なる移植ではなく、「この版ならでは」の付加価値が用意された点が特徴である。
PlayStationやWindowsへ続いたことで長期間現役だった
『三國志III』は1992年だけのゲームではなく、その後も異なる世代の機種へ移植された。PlayStation版やWindows系への展開を経て、現在ではデジタル配信でも作品を体験できるため、非常に息の長いタイトルとなっている。
現在「遊ぶ」だけなら中古実機版にこだわる必要はない
現在『三國志III』を純粋にプレイしたいのであれば、必ずしもPC-9801やX68000などの実機とオリジナルソフトをそろえる必要はない。現代PC向けの復刻版が存在するため、実物版は次第に「遊ぶためのソフト」から「所有するためのコレクション」へ性格が変化している。
中古市場では家庭用版と旧パソコン版で価値の付き方が大きく違う
家庭用ゲーム機版と、PC-9801、FM TOWNS、X68000など旧パソコン版では希少性がまったく異なる。家庭用版は比較的流通量が多いものもある一方、旧PC版では箱、ゲームディスク、マニュアル、地図などまでそろった完品が少なくなっており、保存状態が価格を大きく左右する。
スーパーファミコン版は比較的見つけやすい
スーパーファミコン版は現在でも中古市場で見つけやすい部類に入り、裸カートリッジと箱・説明書付き完品では価格差が生じやすい。希少タイトルというより、保存状態によって価値が変わるタイプと考えやすい。
PlayStation版は時期によって高値になりやすい
PlayStation版は流通量や中古在庫の状況によって価格が高くなることがあり、「比較的新しい機種だから安い」とは限らない。版ごとの供給量やシリーズコレクター需要によって相場が変わる点に注意したい。
X68000版など旧パソコン版は「完品かどうか」が特に重要
X68000などの旧パソコン版では、ディスクだけの商品と付属品が残った商品との価値差が大きくなりやすい。マニュアル、地図、各種印刷物など、発売時の内容物が残っているほど資料的価値が高まる。
PC-9801版・FM TOWNS版は出品のタイミングそのものが重要
PC-9801やFM TOWNS用ゲームは、欲しい時にいつでも同条件の商品が見つかるとは限らない。箱付き・説明書付き・ディスク良好という条件を満たす個体は、出品されたタイミングが購入機会になることも多い。
中古価格を大きく左右するのは「箱・説明書・地図・付属品」
『三國志III』のような光栄作品では、大型の箱、厚いマニュアル、サブマニュアル、地図などが重要である。ディスクだけが残っている商品と、発売時の一式がほぼ残っている完品では同じタイトルでも価値が違う。また、箱の日焼け、角潰れ、説明書への書き込みなども状態評価へ影響しやすい。
旧フロッピーディスク版は動作保証の考え方にも注意が必要
PC-9801やX68000などの古いフロッピーディスク版を購入する場合、見た目が美品だから必ず読み込めるとは限らない。磁気メディアは経年劣化する可能性があり、実機側のドライブにも故障や汚れがある場合がある。そのため、実プレイ目的なのかコレクション目的なのかを明確にして選ぶことが重要である。
攻略本や武将ファイルも現在では立派な関連コレクション
中古市場ではゲームソフトだけでなく、『三國志III』の攻略本や武将ファイルなど当時の関連書籍も取引されている。こうした関連本まで集めると、1992年前後の光栄がどのように『三國志』ブランドを展開していたのかをより立体的に感じられる。
「過去最高価格」は単純に断定しない方がよい
ネットオークションの出品価格は必ずしも実際の成約額ではなく、未開封か、付属品がそろっているか、複数商品セットかによって条件も異なる。そのため「歴代最高価格」を一つの数字で断定するより、希少機種版の完品や未開封品ほど高額化しやすいと考える方が適切である。
中古価格は一直線に上昇しているわけではない
レトロゲームだから毎年必ず価格が上がるわけではない。デジタル配信によって「遊ぶための需要」が低下する場合がある一方、箱や説明書を含む完品は年月とともに減っていくため、コレクター需要によって高値になることもある。
販売本数については不確かな数字を作らないことが重要
『三國志III』は多数の機種へ移植され、その後もシリーズが継続していることから商業的にも重要な作品だったが、全機種を合算した正確な累計販売本数については慎重に扱う必要がある。実績を語る場合は、多数の機種へ移植され長期間商品展開が続いた事実そのものを見る方が確実である。
当時の人気は「シリーズをパソコン専門層からさらに広げた」点に表れている
もともと光栄の歴史シミュレーションは国産パソコンユーザーを中心とした比較的専門性の高いジャンルだったが、本作はスーパーファミコンやメガドライブなどにも展開されたことで、家庭用ゲーム機しか持っていないプレイヤーにもシリーズ名を広げるきっかけとなった。
現在は「ゲームソフト」と「歴史的なパッケージ商品」という二つの価値を持つ
現在の『三國志III』は、実際に遊べる歴史シミュレーションゲームとしての価値と、1992年前後の国産PCゲーム文化を伝えるコレクターズアイテムとしての価値を併せ持っている。旧PC版の箱やフロッピーディスク、紙のマニュアルや地図には、デジタル版では味わえない時代性がある。
今後もコレクター市場で注目されやすい条件
価値を保ちやすいのは、旧パソコン版の中でも箱・説明書・地図・付属印刷物・ディスクなどがそろい、保存状態の良い個体である。購入する場合はタイトル名だけで価格を比較せず、対応機種、発売版、付属品、状態、動作確認の有無を確認することが重要である。
『三國志III』の販売展開そのものが作品の生命力を示している
『三國志III』はPC-9801などの国産パソコンから家庭用ゲーム機、CD-ROM機、PlayStation、Windows、デジタル配信へと時代を越えて移植・復刻されてきた。発売直後にPC-9801で遊んだ人、家庭用版から入った人、そして現在復刻版で初めてプレイする人まで、異なる世代が同じ基本ゲームを体験できる。この長い商品寿命こそ、本作の人気と歴史的な存在感を示している。
■■■■ 総合的なまとめ
『三國志III』はシリーズが本格的な大作へ成長した転換点
『三國志III』をシリーズ全体の歴史の中で振り返ると、単純に『三國志II』の内容を増やした続編というより、「後の『三國志』シリーズにつながる基本形を一気に作り上げた作品」と考えるのが分かりやすい。中国全土を支配して天下統一するというシリーズ共通の目的はそのままに、都市という具体的な拠点、街道、武将の身分、知力と政治の分離、陸軍指揮と水軍指揮、野戦、水戦、兵装、戦場計略、一騎討ち、新君主・新武将、アイテムなど、それまでよりはるかに多くの要素が導入された。
46都市を争う仕組みが中国統一の実感を強くした
本作を特徴付ける最大の変化の一つが、番号中心だった地域管理から、洛陽、長安、許昌、成都、建業、襄陽など実在の都市名を中心とした支配体系へ移ったことである。中国全土に配置された46都市をすべて支配するという勝利条件は非常に明快で、地図を少しずつ自勢力の領土へ変えていく達成感が分かりやすい。
500人を超える武将が「人材ゲーム」としての魅力を完成させた
曹操、劉備、孫権、関羽、張飛、趙雲、諸葛亮、呂布、周瑜、司馬懿といった著名人物だけでなく、各地方の群雄、中堅武将、文官、三国時代後半の人物まで数多く登場する。この人数の多さによって、同じ年代で開始しても誰を登用できたかで自軍の性格が変化する。
知力・政治・武力・陸軍指揮・水軍指揮という能力体系が独特
シリーズの中でも『三國志III』を個性的な作品にしているのが、陸軍指揮と水軍指揮を別々に設定した能力体系である。武力が高いからといって大軍を率いる能力まで最高とは限らず、本人の戦闘能力と軍隊運用能力を分けて考える必要がある。
内政と戦争の両方を楽しめるバランスが魅力
『三國志III』は戦争だけに集中するゲームではなく、都市を育てる内政がしっかりと意味を持っている。経済力と軍事力を同時に考えながら、どの程度国力を整えたら戦争へ移るのか判断する必要がある。この「準備してから攻める」流れがゲーム全体に独特のテンポを生み出している。
身分と長期命令によって大勢力の運営を効率化
軍師、将軍、文官、武官といった身分制度によって、国家組織を作っている感覚が強くなった。後方都市の文官へ内政を任せ、前線の武官には訓練や戦争準備を担当させるといった役割分担が可能になる。
戦争の進化によって軍師も猛将も活躍できる
野戦、市街戦、水戦という異なる戦場が存在し、騎兵や弩兵などの兵装、昼夜、天候、視界、計略、一騎討ちなど複数の要素が勝敗へ関わる。猛将だけでなく、諸葛亮、周瑜、司馬懿など知略型武将も重要な存在になっている。
一騎討ちは効率を超えたロマンを味わえる
天下統一だけを効率的に進めるなら危険な勝負を避ける方が安全な場合もある。しかし呂布、関羽、張飛、趙雲、馬超といった武将が手元にいれば、敵将へ勝負を挑みたくなる。この効率を超えたロマンも本作の魅力である。
新君主・新武将がリプレイ性を大きく高めた
新君主や新武将を事前に登録してゲームへ登場させる方式は、本作以降のシリーズへつながる重要な仕組みである。史実に存在しない勢力で三国志世界へ挑戦できるため、一度中国を統一しただけでは終わらない。
PC-9801版は本作の原点としての魅力が大きい
PC-9801版は『三國志III』の基本となったバージョンであり、1990年代初頭の国産PC歴史シミュレーションらしい雰囲気を強く持つ。派手な演出よりも数字、地図、武将データと向き合いながら長期計画を考える体験が中心となる。
X68000版は高性能パソコンで楽しむ『三國志III』という価値
X68000版もゲームシステム自体は同じ『三國志III』を基本としているが、機種ごとの表示環境や音源によって受ける印象が変わる。現在では実機で遊ぶ体験自体がレトロPC文化の一部として価値を持っている。
FM TOWNS版は当時の国産パソコン市場を象徴する存在
FM TOWNS版の存在も、光栄が『三國志III』を一つの機種へ限定せず大型ブランドとして展開していたことを示している。現在では実物ソフトの流通量が少なく、コレクションとして見る価値も高くなっている。
スーパーファミコン版は家庭用ゲーム機ユーザーへの入口になった
家庭用ゲーム機版の中ではスーパーファミコン版が重要である。PC-9801を所有していなかった家庭でも遊べるようになり、『三國志』シリーズを知るきっかけになった人も多かった。本作の中心となる都市経営、人材登用、戦争、中国統一という面白さを家庭用機でも体験できた。
メガドライブ版も本格歴史シミュレーションを家庭用で楽しめる一本
メガドライブ版も家庭用ゲーム機で本格的な歴史シミュレーションを楽しめるという意味で価値のある移植である。スーパーファミコン版との優劣よりも、自分が所有していたハードによって『三國志III』への入口が違ったという意味が大きい。
メガCD・PCエンジンCD系は追加要素が魅力
CD-ROM媒体を利用したバージョンでは、映像演出や武将情報、追加シナリオなどが特徴となった。通常版とは異なる遊びを持たせ、「同じ『三國志III』でもCD-ROM版ならではの楽しみ」を加えた点に価値がある。
PlayStation版は後の世代へ『III』をつないだ移植
PlayStation版が登場したことで、『三國志III』は発売当時とは異なる世代の家庭用ゲーム機でも遊べるようになった。オリジナル発売当時にPC環境を持っていなかったユーザーにも過去作品を体験する機会を与えた移植といえる。
Windows・デジタル版は「現在でも遊べる」ことに大きな意味がある
PC-9801やX68000など当時の実機を用意するのは容易ではなく、古いフロッピーディスクも経年劣化している可能性がある。そのため、現代PC環境で動作する復刻版には、作品を保存し続けるという大きな意味がある。
機種ごとの差より「基本ゲームの完成度」が支持された作品
映像や音源、操作方法、追加シナリオなどには違いがあるものの、どの版でも中心にあるのは46都市の統一、人材管理、内政、軍事、外交、戦場という基本システムである。対応機種の多さそのものが、本作のゲームシステムがハードの性能だけに依存していなかったことを示している。
現代のシリーズと比べると物足りない部分も確かにある
武将固有の特殊能力は少なく、外交やイベント、都市施設なども後年ほど複雑ではない。AIの兵力配置や領土拡大に不自然なところが見られる場合もあり、武将が増えた終盤には管理が煩雑になる。しかし、特殊能力が少ないからこそ、国力、地理、人材、兵力という歴史シミュレーションの基本的な要素だけで勝負できるともいえる。
「シンプルだが奥深い」という言葉がよく似合う
都市を豊かにし、優秀な人材を集め、軍隊を作って隣国を攻める。基本だけを説明すれば非常に分かりやすい。しかし、どの都市を先に取るか、誰を前線へ送るか、誰に内政を任せるか、いつ攻めるかという判断の組み合わせによって展開は大きく変化する。
三国志の知識がなくても遊べ、遊ぶうちに人物を覚えられる
最初は「武力の高い関羽」「知力の高い諸葛亮」「非常に強い呂布」といった能力値から人物を覚え、何度も遊ぶうちに曹操の配下、孫氏の武将、蜀の人物など勢力ごとの人材が分かるようになる。ゲームを入り口として三国志そのものへ興味を持たせる力も大きい。
特に魅力的なのは「弱小勢力が大国へ成長する過程」
国力も配下も乏しい小勢力から天下統一を狙うプレイでは、開始直後は兵も金もなく強国と接しているだけで滅亡の危険がある。そこから在野武将を探し、空白都市を確保し、一都市ずつ領土を増やし、やがて中原へ進出する大勢力へ変わっていく。この成長の物語を自分で作れることが、本作最大級の魅力である。
好きな武将を最後まで使えることも長く遊べる理由
効率だけで考えれば能力の高い武将を優先するべきだが、能力値が平均的でも好きな武将なら主力として使い続けることができる。何度も戦争へ参加させ、重要都市の太守として任せ、天下統一まで付き合わせるうちに、その人物への愛着が強くなる。
現在の中古市場では「遊ぶ価値」と「収集する価値」が分離している
ゲーム内容だけを体験するなら復刻版などを利用できる一方、PC-9801、FM TOWNS、X68000など当時の実物ソフトはコレクションとしての意味が強くなっている。ゲームを遊びたいだけなら手軽な環境を選び、1990年代のパッケージ文化まで楽しみたいなら実物版を探すというように目的を分けて考えるとよい。
『三國志III』は後のシリーズへの「橋」を作った作品
シリーズ史として考えた場合、『三國志III』最大の意義は、第1作・第2作で作られた国取りゲームの基本と、第4作以降に発展していく巨大歴史シミュレーションの間を結んだことである。都市、人材、軍団、戦場、アイテム、新武将など、多くの要素がここで大幅に発展している。
1992年という時代を考えれば圧倒的なボリュームを持った一本
500人を超える武将、46都市、複数のシナリオ、能力値、大規模な内政と戦争を一つの作品へ収録していたこと自体が大きな魅力だった。しかも、その大量のデータが単なる図鑑として存在するのではなく、一人ひとりを登用し、配置し、戦争へ参加させられる。膨大なデータ量がそのままリプレイ性につながっている。
総合評価――古さを含めても一度は触れておきたい歴史シミュレーション
総合的にまとめると、『三國志III』は1992年という時代に、三国志を題材とした歴史シミュレーションゲームの規模と可能性を大きく広げた作品である。46都市をめぐる中国統一、500人以上の武将、人材の適材適所、都市開発、兵力整備、野戦・水戦・市街戦、一騎討ち、新君主・新武将など、現在のシリーズへつながる要素が数多く詰め込まれている。後年の作品と比較すればAIや操作性、後期武将の少なさなど改善の余地はあり、現代の視点では古さを感じる部分も少なくない。しかし、特殊能力や派手な演出に頼らず、地理、人材、経済、兵力、タイミングという基本的な戦略だけで天下統一を目指す面白さは現在でも理解しやすい。曹操の巨大国家をさらに拡大するのも、劉備で苦境から勢力を立て直すのも、孫氏の水軍で長江流域を制するのも、呂布で猛将プレイを楽しむのも、ほとんど無名に近い弱小君主で奇跡の天下統一を達成するのも、すべて同じゲームの中で実現できる。プレイヤーの選択によって何十通りもの三国志が生まれ、毎回違った武将が英雄になる。そこにこそ『三國志III』最大の魅力がある。PC-9801からFM TOWNS、X68000、家庭用ゲーム機、Windows系へと長期間にわたって受け継がれたのも、この基本ゲーム部分がしっかり作られていたからである。シリーズの歴史を知りたい人にとっても、1990年代の国産パソコンゲーム文化を知りたい人にとっても、そしてシンプルで奥深い歴史シミュレーションを楽しみたい人にとっても、『三國志III』は今なお振り返る価値の大きな一作である。
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