『サバッシュII ~メヒテの大予言~』(パソコンゲーム)

楽天で『サバッシュ』の商品をチェック!

【発売】:ポプコムソフト
【対応パソコン】:PC-9801 など
【発売日】:1993年2月24日
【ジャンル】:ロールプレイングゲーム

■ 概要・詳しい説明

『サバッシュII ~メヒテの大予言~』とはどのようなゲームなのか

『サバッシュII ~メヒテの大予言~』は、1993年にポプコムソフトから発売されたパソコン向けロールプレイングゲームで、主にPC-9801シリーズで遊ばれた作品である。前作にあたる『サバッシュ』の基本的な世界観や独特の発想を受け継ぎながら、主人公選択、自由度の高いシナリオ進行、時間という概念、複数の難易度、大量のサブストーリーなどを組み込み、前作以上に大規模なRPGとして完成させた続編である。開発を担当したのはグローディアで、原作やシナリオ、ゲーム全体の構想には落語家としても知られる三遊亭圓丈が深く関わった。単に有名人が宣伝役として名前を貸した作品ではなく、物語、ゲームシステム、世界の作り方にまで本人のアイデアが色濃く反映されている点が『サバッシュ』シリーズの大きな特色となっている。発売当時のPC用RPGは、家庭用ゲーム機のRPGとは少し違う進化を遂げていた。ファミコンやスーパーファミコンではストーリーを分かりやすく見せること、テンポよくイベントを進めること、誰でも比較的遊びやすい操作体系を作ることが重要視されていたが、PCゲームではより複雑なルールや大量の文章、情報収集、自由な探索を好むユーザーが多かった。『サバッシュII』はまさにそのPCゲーム文化を象徴する一本であり、ゲーム側から細かく目的を指示されるのではなく、プレイヤー自身が世界を歩き、考え、何をするかを選ぶことを重視している。

長い開発期間を費やして作られた大規模RPG

『サバッシュII』は短期間で量産された続編ではなく、長い制作期間を費やして作られた作品として知られている。世界の各地に配置された膨大なイベント、主人公ごとの差異、大量の会話、メインストーリーとサブストーリーの両立などを考えると、通常の一本道型RPGと比べても必要となるデータ量は非常に大きい。一般的なRPGであれば、プレイヤーがAの町を訪れたら次はBの町へ行き、その後Cのダンジョンへ向かうという形でシナリオを組み立てることができる。しかし『サバッシュII』では、プレイヤーがAからCへ向かう可能性もあれば、まったく別の土地へ寄り道する可能性もある。そのうえ主人公が3人存在するため、それぞれの立場に応じた台詞やイベントの違いまで考慮しなければならない。この複雑さこそ本作の魅力であり、同時に制作規模を大きくした理由でもある。完成したゲームからは「一度遊んだだけですべてを見てもらう」のではなく、「何度も遊ぶことで徐々に世界全体が見えてくる作品」を作ろうとした意図が伝わってくる。

メヒテの大予言と世界滅亡までの限られた時間

物語の中心となるのは、タイトルにも名前が使われている「メヒテ」と、その人物に関係する大予言である。世界には破滅へ向かう運命が迫っており、プレイヤーは限られた期間の中でその危機へ対処しなければならない。ここで重要なのは、「世界が滅びそうだ」という設定が単なる物語上の演出で終わらず、ゲームシステムにも反映されていることである。ゲーム内では時間が進行するため、プレイヤーは好きなだけ無制限に寄り道できるわけではない。行きたい場所、調べたい事件、会いたい人物は数多く存在するが、そのすべてを一度の冒険で回収する余裕があるとは限らない。そのため「どの出来事を優先するか」という判断そのものがゲームになる。例えば、重要そうな人物から話を聞き、本筋に関係する場所へすぐ向かうこともできる。一方で途中の町に気になる人物がいれば、時間を使ってその人物に関係する事件を調べてもよい。さらに別の土地に珍しい出来事があると知れば、予定を変更して寄り道することもできる。しかし時間は静かに経過する。この構造によって、自由度の高さと緊張感が同時に成立している。

3人の主人公から一人を選択する独特のマルチ主人公方式

本作では、ゲーム開始時に3人の主人公から一人を選ぶことができる。用意されているのは、王族という立場を持つマジョーン・ハイヤーム、漁師の家庭に生まれたマジョーン・ラムセス、商人の家に生まれたマジョーン・トロフである。三人は単純に顔や能力が違うだけではなく、社会的な立場そのものが大きく異なっている。そのため、同じ世界を冒険しても感じ方が変わる。ハイヤームは王子という立場から世界の危機へ向き合うため、物語全体に王道ファンタジー的な重さが生まれる。ラムセスは漁師の子であり、比較的庶民に近い視点から巨大な運命へ踏み込んでいく冒険者らしい魅力を持つ。トロフは商人の子という珍しい主人公で、戦士や王子とは異なる生活感を持った人物として本作の個性を象徴している。主人公によって会話やイベントの見え方も変わるため、一人目をクリアした後に別主人公を選ぶと「同じゲームをもう一度遊んでいる」というより、「知っている世界を別の人間の人生として見直している」という感覚になりやすい。

一本道を避けた自由度の高いシナリオ

『サバッシュII』を語るうえで欠かせないのが、一本道型ではないゲーム進行である。最終的に達成すべき目的は存在するものの、その途中でどのイベントを行うか、どの町へ先に行くか、どのサブストーリーへ関わるかについてはかなりの自由が与えられている。現在では「オープンワールド」「フリーシナリオ」「サイドクエスト」といった言葉が一般的だが、本作ではそうした用語が日本のゲーム市場へ広く定着する以前から、かなり自由な冒険を実現しようとしていた。もちろん現代の3Dオープンワールドのように地形を自由に走り回る作品ではない。しかしゲームデザインの考え方としては非常に近い。重要なのは画面上の広さではなく、「プレイヤーがどの順番で世界を経験するか」を自分で決められることである。

やさしい本筋と難解な寄り道を分けた二重構造

自由度が高いゲームは、しばしば「難しすぎて何をすればいいか分からない」という問題を抱える。『サバッシュII』はその問題をある程度意識し、最終的なエンディングへ向かうメインストーリーについては比較的手掛かりを得やすくする一方、寄り道部分には非常に凝った謎やイベントを配置するという二重構造を採用している。つまり、とりあえず一度クリアしたい人は重要な情報を中心に追いかければよい。一方、本作を徹底的に遊び尽くしたい人は、本筋とは直接関係しない人物の話、辺境の土地、不可解な出来事などへ積極的に関わっていくことになる。この設計により、一つのゲームの中に「比較的素直に進めるRPG」と「かなり難しい探索ゲーム」の両方が存在している。

初級・上級・達人の3コースで何度も遊べる

主人公を3人から選べるだけでなく、それぞれについて初級・上級・達人という難易度が用意されていることも本作の大きな特徴である。単純に考えれば3主人公×3難易度で9通りの基本的な組み合わせが存在することになり、一度クリアして終わるのではなく、何度もプレイすることを前提とした設計になっている。初級は世界やルールを覚えるための入り口として利用しやすい。上級では一度目の経験を生かして効率的な冒険を考える楽しさが増す。そして達人は、システムや世界を十分理解した人が挑戦する高難度の遊び方となる。本作では画面内の主人公だけでなく、プレイヤー自身の知識も周回するたびに成長していく。前回は迷った町の位置を覚え、重要人物を知り、時間を浪費した原因を理解していくことで、次の冒険はより洗練されたものになる。

戦闘だけが冒険ではない世界

『サバッシュII』では、RPGの面白さを敵との戦闘だけに限定していない。町を巡って情報を集めること、未知の地域へ足を運ぶこと、人物との関係を築くこと、サブストーリーへ関わることなども含めて「冒険」として作られている。そのため、ひたすら同じ敵を倒して能力値だけを上げるタイプの遊び方では、本作の面白さを十分に味わえない。プレイヤーに求められるのは、世界を観察し、どの情報が意味を持つのかを考え、自分なりの旅程を作ることである。戦闘が重要な場面はもちろんあるが、「剣で勝つこと」と「知識で進むこと」が同じゲーム内に共存している。

紙の地図とマニュアルを広げて遊ぶPCゲームらしい体験

PC-9801版は複数枚のフロッピーディスクで構成され、マニュアルや地図などの付属物も含めて一つの商品になっていた。1990年代前半のPCゲームでは、マニュアルは単なる操作説明書ではない。世界観や基本ルールを理解し、手元の地図を眺めながら目的地を考えることもゲームの一部だった。現在のRPGでは画面内にミニマップが表示され、次の目的地まで矢印で案内してくれることが多い。それに対して本作では、「自分はいまどこにいて、次はどこへ向かえばいいのか」をプレイヤー自身が整理する必要がある。この不便さは現代的な基準では欠点に見えるが、同時に自分で冒険している感覚を強める要素にもなっている。

1993年という時代に非常に野心的だった作品

『サバッシュII』は、単に前作より大きくなった続編ではない。複数主人公、自由行動、時間制限、難易度選択、膨大なサブイベントという要素を一つにまとめ、プレイヤー自身へ冒険を組み立てさせることを狙った非常に野心的なPC-RPGである。映像演出や派手なムービーを中心にした作品ではないが、その代わりにゲーム内部の選択肢と情報量へ力を注いでいる。現在から見れば操作や情報整理に古さを感じる一方、「自分の判断で世界を歩く」という思想は決して古びていない。むしろ自由度の高い現代RPGが好まれるようになった現在だからこそ、本作が1993年という早い時期に何を目指していたのかが理解しやすくなっている。

■■■

■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター

最大の魅力は「自分の冒険」を作れること

『サバッシュII』最大の魅力は、プレイヤーがゲームの指示へ従って進むのではなく、自分で次の行動を考えられることである。もちろん物語としての大目的はある。しかし、その目的へ向かうまでに何を経験するかはかなりプレイヤーへ任されている。ある人は本編を優先して早めに重要地点へ向かうかもしれない。別の人は町で気になる噂を聞き、それを調べるために何日も寄り道するかもしれない。同じゲームを遊んでいても、どの人物と出会い、どの出来事を経験したかが違う。この差が「自分で旅をした」という感覚を生み出す。

ハイヤームは王道の物語を味わいたい人に向く主人公

王子マジョーン・ハイヤームは、三主人公の中で最も王道ファンタジーらしい立場を持つ。世界に大きな危機が迫る中、王族の人間としてその運命へ向き合うため、物語全体に重厚さが生まれやすい。勇者や王子を主人公とする伝統的なRPGが好きなプレイヤーにとっては入り込みやすい人物である。その一方、本作は単なる英雄譚ではないため、王子だからといってすべてが思いどおりになるわけではない。自ら情報を集め、世界を歩き、限られた時間の中で決断しなければならない。高い身分を持ちながら一人の冒険者として動くというギャップがハイヤームの魅力である。

ラムセスは最も冒険者らしい成長を感じやすい主人公

漁師の子マジョーン・ラムセスには、庶民の生活から巨大な世界へ踏み出していく親しみやすさがある。王族ではない人間が、世界を左右する出来事へ関わっていく構図は、プレイヤー自身が物語へ飛び込む感覚と重なりやすい。三人の中では最も「普通の青年が冒険を通して成長していくRPG」の雰囲気を感じやすい存在といえる。海や生活に近い出自も、『サバッシュII』の世界を単なる城とダンジョンの連続ではなく、人々が実際に暮らしている場所として感じさせる。

トロフは『サバッシュII』らしさを象徴する異色の主人公

商人の子マジョーン・トロフは、三人の中でも特に印象に残りやすい。ファンタジーRPGの主人公といえば王子、勇者、戦士、魔法使いなどが定番だが、商人の家庭に生まれた人物を主役候補へ置く発想はかなり珍しい。世界は戦いだけで成り立っているのではなく、人々が物を売り、働き、生活することで成り立っている。その現実的な部分を代表する人物がトロフであり、本作が「冒険者だけが存在する作り物の世界」ではなく、「生活が続いている世界」を描こうとしていることが分かる。三主人公の中で好きな人物を一人挙げるなら、トロフは非常に有力である。英雄らしくない出自の人物が世界規模の事件へ関わるところに、本作らしい自由さが表れているからだ。

攻略の第一歩は情報を整理すること

『サバッシュII』の攻略で重要なのは、敵との戦い方以前に情報管理である。町へ入ったら住人の話をできるだけ聞き、そこで登場した人物名、地名、気になる出来事を覚えておきたい。可能であれば実際に紙やメモアプリへ簡単に記録してもよい。本作では、ある町で聞いた情報がすぐ役立つとは限らない。数時間後、遠く離れた地域で別の話を聞いたとき、初めて二つの情報がつながる場合がある。そのため「今は意味が分からないから不要」と判断しすぎないことが重要である。

メインストーリーとサブストーリーを頭の中で分ける

大量の情報をすべて同じ重要度で追うと、本筋が分からなくなる。そのため攻略では、「世界の危機、予言、メヒテ、重要人物に関する話」と「地域の小さな事件や寄り道」を頭の中で分けるとよい。まずメインストーリーの次の目標だけは常に把握しておき、そのうえで時間に余裕があるときに気になるサブイベントへ寄り道する。この方法なら自由度を楽しみながら、完全に迷子になる危険を減らせる。

時間を無駄にしないことが最大の必勝法

世界滅亡までの期限がある本作では、「移動」も重要な資源である。意味なく同じ町を何度も往復したり、何も目的がないまま遠方へ行ったりすると、時間だけが消費される。攻略を優先する場合は、遠くへ向かう前に「そこで何をするのか」をある程度決めておくとよい。一つの地域で複数の用事をまとめて済ませることも有効である。ただし効率だけを追いすぎると、本作最大の魅力である寄り道が失われる。理想は「本筋を忘れない程度に寄り道する」ことである。

解けない謎は一度放置する勇気が必要

本作には難しいサブストーリーや、すぐには意味が理解できない出来事も多い。攻略で詰まりやすい人ほど、目の前の謎を必ずその場で解かなければならないと思い込んでしまう。しかし『サバッシュII』では、後で別の人物から情報を得ることで解決法が分かる場合がある。今の段階で答えが見つからないなら、一度保留して別の地域へ向かってよい。この柔軟さが非常に重要である。「分からない=ゲームが詰んだ」ではなく、「まだ必要な情報を得ていない」と考えると遊びやすくなる。

戦闘で苦戦した場合も一本道の解決法だけを考えない

敵が強く感じられたときも、単純に戦闘を繰り返すことだけが正解とは限らない。別の場所を探索し、装備や情報を整えたり、別イベントを進めたりしてから戻ることで状況が変わる可能性がある。自由度の高いゲームだからこそ、「この敵を今倒さなければならない」と思い込まないことが大切である。明らかに現在の能力では厳しい場所へ入ったなら、後で戻る判断も立派な攻略である。

一周目は初級で世界の仕組みを理解するのがおすすめ

初めて遊ぶ場合は初級から始めると本作の特徴を理解しやすい。難易度そのもの以上に、序盤は「何が重要な情報なのか」「どこへ行けるのか」「時間がどの程度進むのか」といったシステム理解に苦労しやすいためである。一周目で世界全体の位置関係を覚え、重要人物を知るだけでも大きな収穫になる。二周目に上級を選べば、前回の経験を生かしてより効率的に行動できる。達人は、ゲームを十分理解してから挑戦することで面白さが増す。

サブストーリーは全部見るより「興味を持ったもの」を追う

一周ですべての出来事を回収しようとすると、時間制限の存在が大きな負担になる。そのため最初から完全攻略を狙うのではなく、自分が特に気になった事件をいくつか深く追う方法が向いている。例えば、ある人物の話が妙に気になったなら、その人物に関する情報を集める。別の土地で不可解な出来事を聞いたなら、時間に余裕があるときに調べる。そうすることでゲームは「攻略項目を消化する作業」ではなく、「自分で事件を発見する冒険」になる。

エンディングへ向かう場合は予言に関係する情報を最優先

クリアを第一目的とするなら、タイトルにもあるメヒテの大予言へつながる情報を最優先すべきである。世界の危機、予言、重要人物、特殊な場所などに関係する会話は本筋へつながる可能性が高い。サブイベントを楽しみながらも、これらの情報を見失わないことが大切である。特に終盤に近づくほど、序盤では断片的だった情報が一つにつながり始めるため、以前聞いた話を思い出す場面が増える。

印象に残るのは主人公だけではない

『サバッシュII』の世界には、主人公以外にも大量の人物が存在する。重要人物だけでなく、町で生活する一般の人々や、少し変わった人物、サブイベントで出会う人々が世界を作っている。現代のキャラクターゲームのように限られた数人だけが目立つのではなく、さまざまな人物の会話を通じて世界そのものへ愛着が生まれる作品である。また三遊亭圓丈が関わった作品らしく、真面目なファンタジーの中に少し脱力するようなユーモアや奇妙な発想が入り込むことがある。このシリアスとユーモアの混在も、他作品にはない味わいとなっている。

最強の攻略法はプレイヤー自身が成長すること

『サバッシュII』では、二周目になると同じ場所を歩いていても感覚が大きく変わる。一周目で迷った地域の位置をすでに知っている。重要な人物も覚えている。どのイベントへ時間を使いすぎたかも分かる。つまりゲーム内のキャラクターだけではなく、プレイヤー本人が経験値を得ているのである。この設計こそ本作の大きな魅力であり、初級から上級、上級から達人へ進む意味でもある。攻略本を読むことでも情報は得られるが、自分自身の失敗から得た知識は非常に強い。

一周で完璧を目指さないことが最も楽しめる遊び方

本作を楽しむコツを一つだけ挙げるなら、「最初の一周ですべてを見ようとしないこと」である。行けなかった場所があってもよい。解けなかった謎があってもよい。見逃したイベントが残ってもよい。それが次の主人公を選ぶ理由になるからである。ハイヤームで世界を知り、次はラムセスで違う視点を試し、さらにトロフで別の人生を歩く。同じソフトなのに、周回するたびに異なる旅の記憶が増える。この構造こそ『サバッシュII』が長く遊べる理由である。

■■■

■ 感想・評判・口コミ

「普通のRPGとは違う」という印象を強く残す作品

『サバッシュII』を遊んだ人の感想をまとめると、最も共通しやすいのは「かなり個性的なRPGだった」という印象である。1993年前後には国産RPGの基本形がある程度完成しており、町で情報を集め、ダンジョンへ向かい、ボスを倒し、次の地域へ進むという流れは多くの作品で採用されていた。その中で本作は、プレイヤーへ進行順を任せ、複数の主人公と大量のイベントを用意し、さらに世界滅亡までの期限を設定している。最初から最後まで同じ順番で進む作品と比べると、体験そのものが大きく異なる。

高評価の中心は自由度と再プレイ性

本作を好むプレイヤーが高く評価しやすいのは、やはり自由度である。次にどこへ行くのかを自分で決められること、サブイベントへ自由に寄り道できること、主人公を変更して再挑戦できることなどが高い評価につながる。特に一つのゲームを長期間遊び込むPCゲームファンにとっては、「一度クリアして終わりではない」という点が大きな魅力だった。高価なPCソフトを一本購入し、数週間、場合によっては数か月かけて遊ぶ時代において、何周も遊べる構造には実用的な価値もあった。

自由度の高さを「不親切」と感じる人もいる

一方で、本作の最大の長所はそのまま最大の弱点にもなり得る。自由に行動できるということは、プレイヤー自身が次の目的を決めなければならないということでもある。常に矢印が次の目的地を示してくれる現代ゲームに慣れた人が遊ぶと、「どこへ行けばいいのか分からない」「何の情報が重要なのか判断しにくい」と感じる可能性が高い。この点は当時のプレイヤーでも好みが分かれた部分だろう。自分で考えることを楽しめる人にとっては自由だが、ストーリーをテンポよく進めたい人にとっては迷いやすい。

時間制限は緊張感を生む一方、落ち着いて探索したい人にはプレッシャー

世界滅亡まで時間が進むシステムも評価が分かれる要素である。好意的に見れば、物語上の危機がゲームシステムへ直接結び付いているため、冒険に緊張感が生まれる。世界が滅ぶと言いながら主人公が何年でも寄り道できる一般的なRPGとは異なり、本当に時間が進んでいるからこそ予言の重さを実感できる。しかし探索好きのプレイヤーにとっては、面白そうな場所を見つけても残り時間が気になり、完全に自由な気持ちで遊べない場合もある。この「もっと寄り道したいのに時間が足りない」という葛藤こそ、本作のゲーム性でもある。

3人主人公制は当時としても大きな魅力

主人公を3人から選択できるシステムについては、比較的好意的に評価されやすい。一度クリアした後でも別主人公を選べば新鮮な気持ちで再び世界へ入れるからである。特に主人公の出自が王子、漁師の子、商人の子と大きく異なっているため、「同じ世界を違う人生として見る」という感覚が生まれる。単純なキャラクター選択よりも再プレイの意味が大きい。

サブストーリーの豊富さを評価する声が多い理由

本作が長く記憶される理由の一つは、メインストーリー以外の出来事が非常に多いことである。ゲームをクリアするためだけなら不要な事件でも、その世界を知るためには意味がある。町の人々の生活、地域ごとの事情、奇妙な人物との出会いなどが積み重なることで、単なるマップが「世界」に変わる。このタイプのRPGが好きな人ほど、『サバッシュII』を高く評価しやすい。逆に最短ルートだけを求める人には、余計な情報が多いと感じられる可能性もある。

難易度選択が「何度でも遊べる」という評価につながる

初級、上級、達人という三段階の難易度も、周回プレイを促す重要な仕組みである。一度ゲームを理解した人が、次により難しい条件へ挑戦することで新しい目標が生まれる。単に敵の強さだけでなく、プレイヤーの知識を試す意味が強く、同じ主人公でも一周目と二周目では冒険の感覚が変わる。この「ゲームを覚えること自体が上達になる」という設計は、古いPCゲームを好む人から特に評価されやすい。

三遊亭圓丈が関わったことで生まれた独特の作家性

本作の評判を語る場合、三遊亭圓丈が深く参加していることも重要である。一般的なゲーム会社の企画だけでは生まれにくいアイデアや、少し変わった人物造形、ユーモア、独特の世界の見せ方が存在する。そのため整然とした王道ファンタジーを求める人には癖が強く感じられるが、「他のRPGでは味わえないものが欲しい」という人には強烈に印象へ残る。作り手の個性が見えるゲームという意味では、現在でも非常に価値がある。

グラフィックや音楽はPC-98時代の味を強く残す

現在から見るとグラフィックには明らかな時代性があるが、PC-9801世代のゲームとして見るとその画面構成自体が魅力になっている。派手な動画を連続して見せるのではなく、静止画、マップ、会話、音楽などを組み合わせてプレイヤーの想像力へ働きかける。音楽についてもFM音源を中心とした当時のPCゲーム独特の響きがあり、実機環境に思い入れがある人には懐かしさを強く感じさせる。

現代のプレイヤーには操作性や情報量が最大の壁になる

現在初めて遊ぶ場合、最も大きな壁になるのはグラフィックよりもユーザーインターフェースや情報管理である。現在のRPGならクエスト一覧、イベントログ、自動地図、目的地マーカーなどが用意されている。本作ではそれらをプレイヤー自身が補う必要がある。そのため便利なゲームに慣れていると最初は非常に不親切に感じるだろう。ただし、この不便さがすべて設計上の欠点というわけでもない。自分でメモを取り、情報を整理し、次の目的地を判断することもゲーム内容の一部になっているからである。

良い口コミと悪い口コミが同じ特徴から生まれる

『サバッシュII』は、長所と短所が非常に分かりやすく表裏一体になっている。自由度が高いから面白いが、自由度が高いから迷う。イベントが多いから世界が豊かだが、多いから全部把握するのが難しい。期限があるから緊張感があるが、期限があるから焦る。難しいから攻略しがいがあるが、難しいから気軽には遊びにくい。この構造こそ、本作の評判が人によって大きく変わる理由である。

当時の人気は家庭用大ヒットRPGと単純比較できない

本作の人気を語る場合、ファミコンやスーパーファミコンの有名RPGと販売本数だけで比較するのは適切ではない。PC-9801ゲーム市場は家庭用ゲームよりユーザー数が少なく、ソフト価格も高かった。したがって大衆的な知名度では家庭用の超大作に及ばなくても、PCゲームファンの間で長く記憶される作品は数多く存在する。『サバッシュII』もその一つであり、具体的な累計販売本数を断定できる公開資料は限られているものの、後年まで復刻や回顧の対象になっていることから、一定の支持を得た作品であることは分かる。

現在遊ぶと、当時以上に先進的な部分が見えやすい

現在では自由度の高いゲーム、複数主人公、サブクエスト、時間管理などは珍しくない。しかし1993年という発売時期を考えると、それらを複数組み合わせた『サバッシュII』はかなり実験的だった。現在遊ぶと操作方法には古さを感じる一方、設計思想にはむしろ新しさを感じることがある。「次のイベントまで案内してもらう」のではなく、「自分で世界を知る」という遊び方は、現在のゲームではかえって珍しくなった部分でもある。

総合的な感想は「万人向けではないが、合う人には非常に深く刺さる」

『サバッシュII』は誰にでも気軽に勧められる作品ではない。自分で情報を整理することが苦手な人、迷うことが嫌いな人、短時間で物語を楽しみたい人にはかなり厳しく感じられる可能性がある。しかし、自分で探索することが好きな人、一つのRPGを何周も遊びたい人、攻略方法を考えることそのものが好きな人には非常に相性がよい。その意味で本作は、万人へ70点を取るゲームではなく、相性の良いプレイヤーには非常に高い満足を与えるタイプの作品である。30年以上経過しても名前が残っている理由は、他作品で簡単に代用できない体験を持っているからなのである。

■■■

■ 当時の宣伝・現在の中古市場など

パソコン雑誌文化と強く結び付いた作品

『サバッシュII』の発売当時を理解するには、パソコンゲーム雑誌の存在が欠かせない。現在のゲームでは公式サイト、動画配信、SNS、オンラインストアなどが宣伝の中心だが、1993年頃のPCゲームでは雑誌が非常に大きな影響力を持っていた。特に『サバッシュ』シリーズはポプコムソフトというブランド名からも分かるように、パソコン雑誌『POPCOM』と非常に関係が深い。三遊亭圓丈も以前からパソコンやゲームについて発信しており、単なる落語家ではなく「コンピュータに詳しい人物」としてPCユーザーに知られていた。そのため『サバッシュII』は無名作品として突然発売されたのではなく、前作と雑誌での活動を知るユーザーにとって期待される続編だった。

雑誌記事と広告が重要な宣伝手段

発売前後にはPCゲーム雑誌の記事や広告を通じて作品の特徴が紹介されたと考えられる。当時のPCゲームユーザーは、新作情報を得るために毎月雑誌を購入していた。広告ページだけでなく、開発中画面、スタッフインタビュー、ゲーム紹介、攻略特集などが購買意欲へ直接つながっていた時代である。『サバッシュII』の場合、「主人公が3人」「難易度が3段階」「一本道ではない」「サブストーリーが大量にある」という特徴は紙面上でも説明しやすく、他のRPGとの差別化に向いていた。

「一本で何度も遊べる」ことは高価なPCゲームでは重要な訴求点

当時のパソコンゲームは決して安価ではなかった。『サバッシュII』も1万円を大きく超える価格帯で販売されており、ユーザーにとっては気軽な買い物ではない。そのため、主人公が3人いて何周も遊べる、難易度を変えて再挑戦できる、サブイベントが多いというボリュームは非常に大きな販売上の魅力だった。一度クリアしただけで終わるゲームではなく、何週間も遊べる大型RPGとして宣伝できたのである。

攻略ハンドブックなど雑誌との連動も強かった

発売後には雑誌付録として攻略情報が提供されるなど、ゲームと雑誌を連動させた展開も行われた。当時はインターネットで攻略情報を検索することが一般的ではなく、難しいゲームほど雑誌や攻略本の価値が高かった。『サバッシュII』のように自由度が高く、イベント数が多いゲームにとって、攻略記事は単にクリア方法を教えるだけではない。「こんなイベントもある」「この地域にはまだ秘密がある」とユーザーへ伝え、もう一度ゲームへ戻らせる役割も果たしていた。

フロッピーディスク複数枚組の豪華なPCゲーム

PC-9801版は複数枚のフロッピーディスクで構成され、マニュアルや地図なども付属する大型パッケージだった。現在のダウンロードゲームと比べると、箱を開け、ディスクを確認し、説明書を読み、紙の地図を広げるという行為そのものが特別な体験である。特に『サバッシュII』のように世界を旅するゲームでは、地図は飾りではなく攻略にも役立つ重要な付属品だった。このため現在の中古市場では、ディスクだけの商品と箱、説明書、地図までそろった完全品とでは価値が大きく異なる。

現在の中古市場では希少なPC-98ソフトの一つ

発売から30年以上が経過した現在、『サバッシュII』のPC-9801版は通常の中古ゲームショップでいつでも買える商品ではない。専門的な中古ショップ、オークション、フリマサイトなどで時折出品されるレトロPCソフトとなっている。価格は状態によってかなり幅があり、数千円台で取引されることもあれば、箱や説明書、地図などがそろった良好な個体では1万円を大きく超える価格で販売される場合もある。特に完全品や保存状態の良いものは出品数そのものが少なく、コレクター向け商品として扱われやすい。

中古価格を見るときは「出品価格」と「実際の成約価格」を区別したい

レトロゲーム市場では、店頭やフリマサイトに表示されている価格がそのまま実際の相場とは限らない。例えば2万円近い価格で出品されていても、長期間売れ残っている場合がある。反対にオークションでは、同じ作品が数千円で落札されることもある。そのため一つの高額出品だけを見て「相場は2万円」と判断するのは危険である。購入を検討する場合は、複数の販売例と過去の落札例を見比べることが大切である。

最大の問題は価格よりフロッピーディスクの経年劣化

現在オリジナル版を購入する場合、価格以上に注意したいのが媒体の状態である。フロッピーディスクは磁気媒体であり、30年以上の年月が経過すればカビ、磁性体の劣化、物理的な傷などが発生する可能性がある。見た目がきれいでも正常に読み込めるとは限らない。また本作は複数枚のディスクで構成されているため、1枚だけ読み込めなくてもゲーム進行へ影響する可能性がある。実際に遊ぶ目的で購入するなら、「箱がきれい」という情報だけでなく、ディスクの動作確認が行われているかを確認したい。

コレクション目的なら付属品の有無が非常に重要

一方、保存やコレクションを目的とする場合には、箱、説明書、地図、各ディスクのラベルなどがそろっていることが重要になる。PCゲームは家庭用カートリッジ以上に付属品が多く、長い年月の間に説明書や地図だけ失われるケースも珍しくない。そのため発売当時の状態を維持した完全品は希少性が高い。『サバッシュII』そのものだけではなく、1993年当時のPCゲーム文化を保存する資料として価値がある。

Windows環境で遊べる復刻も行われた

本作はPC-9801実機だけに閉じた作品ではなく、後年にはWindows環境で遊べる復刻企画にも収録された。代表的なのが、往年のPC-9801ゲームをまとめてWindows上で動作させるリバイバル企画である。こうした復刻によって、PC-9801本体を持っていないユーザーでもゲーム内容へ触れられる機会が作られた。さらにレトロPCゲーム配信サービスでPC-9801版を再現する形の復刻も行われており、オリジナル実機を維持するよりはるかに現実的な方法で遊べる時期が存在した。

復刻版はリメイクではなく「当時のゲームを残す」意味が強い

Windowsで遊べる版については、現代向けにグラフィックやシステムを全面的に作り直したリメイクとは異なる。基本的にはPC-9801版の内容を別環境で動作させる復刻として考えるのが適切である。そのため最新ゲームのようなインターフェースへ変更されているわけではなく、本作本来のゲーム性をそのまま体験することに価値がある。これは古いPCゲームの保存という意味でも非常に重要である。

家庭用ゲーム機へ大量移植されなかったことが現在の知名度にも影響

『サバッシュII』はPCゲームとしては存在感があった一方、スーパーファミコン、PCエンジン、メガドライブ、PlayStationなどへ大規模に移植されたシリーズではない。そのためPCを持たなかった当時のゲームファンには触れる機会が少なかった。この点は現在の一般的な知名度が限定されている理由の一つでもある。反対に家庭用へ合わせた簡略化や再構成があまり行われなかったことで、「PC-98時代のゲームらしさ」を強く残した作品になったともいえる。

正確な販売本数は断定しにくい

『サバッシュII』について、現在広く確認できる資料だけから累計販売本数を正確に断定するのは難しい。したがって「○万本売れた」と推測で記載するよりも、PCゲーム市場で一定の知名度を持ち、後年に復刻対象となった作品であるという事実から位置づけを考えるほうが適切である。家庭用ゲームのような数百万本級の市場とは前提が違うため、販売本数だけで価値を判断すべき作品でもない。

発売当時は大型新作、現在は歴史資料としての価値も持つ

1993年当時、『サバッシュII』は大容量と自由度を売りにした大型PC用RPGだった。現在ではゲームとしての価値に加え、三遊亭圓丈とPC文化、グローディア、ポプコムソフト、PC-9801という複数の歴史をまとめて残す資料としての意味も大きくなっている。箱やマニュアルを含めた実物は、当時どのようにゲームが売られ、遊ばれていたかを伝えてくれる。現在の中古価格が高くなりやすい理由も、遊ぶためだけではなく保存したい人が存在するためである。

■■■

■ 総合的なまとめ

『サバッシュII』は「ストーリーを見るRPG」より「世界を生きるRPG」

『サバッシュII ~メヒテの大予言~』を総合的にまとめると、このゲームは用意された物語を順番に鑑賞することより、プレイヤー自身が世界を歩き、自分なりの冒険を作ることへ重点を置いたRPGである。もちろん世界滅亡を阻止するという大きな物語は存在する。しかし本作で最終的に記憶へ残るのは、エンディングだけではない。どの主人公を選んだか、どの町を先に訪れたか、何の事件へ首を突っ込んだか、どこで時間を使いすぎたかといった過程そのものが思い出になる。

3主人公制によって一つの世界を複数の角度から見る

王子ハイヤーム、漁師の子ラムセス、商人の子トロフという三人を用意したことは、単なるボリューム増加以上の意味がある。社会的立場が違う人物を主人公にすることで、「同じ世界でも誰の目から見るかによって意味が変わる」という構造を作っている。これは現在の群像劇型RPGにも通じる発想であり、1993年のPCゲームとしてかなり意欲的だった。

自由度と時間制限を同時に成立させたことが最大の特徴

本作は自由に行動できる一方、世界滅亡までの時間が存在する。この二つは本来なら矛盾しやすい。自由に遊ばせたいなら期限をなくしたほうがよく、期限を重視するなら一本道へしたほうが設計しやすい。しかし『サバッシュII』はあえて両方を入れた。その結果、「好きなことをしてよいが、全部はできない」という独特のゲーム性が生まれた。この不自由さを含む自由こそ、本作の最大の個性である。

一度のクリアでは終わらないことを前提にしている

一周目で見逃したものは失敗ではない。別主人公や別難易度で再び遊ぶ理由になる。本作は完全攻略を一度で達成するより、何度も世界へ戻ることを前提としている。そのため一周目は物語中心、二周目は寄り道中心、三周目は高難易度という遊び方もできる。現在なら周回プレイという言葉で説明されるが、『サバッシュII』ではプレイヤー自身の知識を引き継ぐことが特に重要である。

完成度の中心は映像ではなくゲームデザイン

『サバッシュII』は、派手な演出だけを見れば同時代のすべてのRPGを圧倒する作品ではない。しかし「どう遊ばせるか」という設計では非常に特徴的である。複数主人公、時間、自由行動、サブストーリー、難易度選択を一つの作品へ詰め込み、それぞれを再プレイ性へ結び付けている。ゲームシステム同士が「何度も遊んで世界を理解する」という目的へ向かっていることが、本作の完成度を支えている。

PC-9801版はゲーム内容だけでなく当時の遊び方まで含めて完成形

オリジナルPC-9801版の魅力は、画面上のゲームだけではない。フロッピーディスク、紙の説明書、地図、PC本体、FM音源など、当時の環境全体を含めた体験にある。実機で遊べば、ロード時間やディスク操作さえも1993年のゲーム体験の一部になる。そのためレトロゲームとして当時の感覚を味わいたい場合、PC-9801版には他では代替しにくい価値がある。

Windows復刻版はゲーム内容を後世へ残したことに意義がある

一方、後年のWindows環境向け復刻には、実機を所有しなくても作品へ触れられるという大きな意味がある。オリジナルFDは時間とともに劣化し、PC-9801本体も維持が難しくなる。そのままではゲーム内容そのものが失われる可能性があるため、公式の復刻は文化保存という点でも重要だった。内容を大きく作り変えるのではなく、当時のゲームをできるだけそのまま残すことに価値がある。

家庭用ゲーム機版との完成度比較がほとんど成立しない珍しい作品

本作は多数の家庭用ゲーム機へ展開したタイトルではないため、「PC版と家庭用版ではどちらが優れているか」という典型的な比較はほとんど成立しない。中心となるのはあくまでPC-9801版であり、Windows版はそれを後世で遊ぶための復刻という位置づけに近い。これは知名度を広げるという意味では不利だったが、結果としてPCゲームとしての個性を保ったともいえる。

現代的な便利さを追加すると失われる魅力もある

もし現在『サバッシュII』を完全リメイクするとしたら、クエストログ、自動地図、目的地表示、高速移動、チュートリアルなどが追加されるだろう。それによって圧倒的に遊びやすくなる。しかし同時に、自分で情報を整理し、どこへ行くか悩む体験は薄れるかもしれない。本作の不便さには、時代的な制約によるものと、意図的なゲーム性によるものの両方が含まれている。そのため単純に現代化すれば必ず良くなるとは言い切れない。

万人向けではないからこそ強烈な個性が残った

『サバッシュII』は、誰が遊んでもすぐ面白さを理解できるタイプのゲームではない。情報量が多く、自由度が高く、時間制限もあり、操作も現代ほど親切ではない。しかし、その癖を受け入れたプレイヤーには非常に深い冒険を与えてくれる。ゲームから「次はここへ行け」と言われるより、自分で考えたい人には特に相性がよい。万人向けに整えられていないことが、結果的に30年以上経過しても語り継がれるほどの個性を作ったのである。

現在から見れば国産自由型RPGの興味深い一例

現在では自由度の高いRPGが世界中で人気を集めている。広大な世界を歩き、サイドクエストを好きな順番で進め、自分なりの冒険を作ることは珍しくない。その視点から『サバッシュII』を見ると、1993年という時期に日本のPCゲームが独自の方法で同じ方向へ挑戦していたことが分かる。もちろん技術も表現方法も現代とは異なるが、「プレイヤーへ選択を渡す」という思想は共通している。

最も価値があるのは、プレイヤーごとに違う思い出が残ること

最終的に『サバッシュII ~メヒテの大予言~』の最大の魅力は、同じソフトを遊んだ人同士でも思い出が一致しないことにある。ある人はハイヤームで世界を救った物語を覚えている。ある人はラムセスで遠い町まで寄り道したことを覚えている。ある人はトロフで本筋とは無関係な事件へ熱中したことを覚えている。ある人は達人コースで何度も失敗したことを覚えている。ゲーム側が一本の完璧な物語を全員へ同じように見せるのではなく、プレイヤー自身が選択した結果が個人的な記憶になる。この点で、本作は「クリアした作品」より「冒険した世界」として記憶されやすい。

総括――1990年代PC-RPGの自由さと実験精神を凝縮した一本

『サバッシュII ~メヒテの大予言~』は、1993年という時代のパソコンRPGが持っていた自由さ、複雑さ、情報量の多さ、作り手の強烈な個性をまとめて味わえる作品である。3人の主人公を選択でき、初級・上級・達人という難易度があり、一本道ではない世界を自由に歩ける。しかし時間は進み続け、プレイヤーはすべてを経験できるとは限らない。だからこそ、何を選び、何を諦めたかが自分だけの冒険になる。操作性やインターフェースには現在から見ると古い部分が多く、万人向けの作品でもない。それでもゲームデザインの思想まで古くなったわけではない。むしろ現在の自由型RPGが一般的になったからこそ、本作の先進的だった部分を再評価しやすくなっている。オリジナルPC-9801版は現在では貴重なレトロPCソフトとなり、箱やマニュアル、地図までそろった個体にはコレクション資料としての価値も加わっている。後年にWindows環境での復刻が行われたことも、この作品が単なる一時代の消耗品ではなく、後世へ残す価値を持つゲームとして認識されたことを示している。派手な演出ではなく、プレイヤーへ「考えること」「選ぶこと」「失敗すること」「もう一度挑戦すること」を要求した『サバッシュII ~メヒテの大予言~』は、PC-98時代の国産RPGを語るうえで忘れにくい、非常に野心的で個性的な一本なのである。

[game-9]

■ 楽天市場で『サバッシュ』の商品を探す♪

現在購入可能な商品はココをクリック!

[game-10]

■ 楽天のリアルタイム売れ筋人気ランキングをチェック♪