【発売】:ユービーアイソフト
【開発】:ユービーアイソフト
【発売日】:2012年12月8日
【ジャンル】:アクションアドベンチャーゲーム
■ 概要・詳しい説明
独立戦争期のアメリカを舞台にしたシリーズ刷新作
『アサシン クリード III』は、2012年12月8日にユービーアイソフトからWiiU向けに発売されたオープンワールド型のアクションアドベンチャーゲームである。WiiU本体の発売時期に合わせて登場したローンチ期タイトルのひとつであり、任天堂ハードで本格的に展開された初期の『アサシン クリード』作品としても大きな意味を持っていた。シリーズとしては『アサシン クリード』のナンバリング第3作にあたるが、実際には『II』『ブラザーフッド』『リベレーション』へ続いたエツィオ・アウディトーレ中心の物語が一区切りを迎えた後の新章であり、舞台、主人公、操作感、戦闘、探索要素の多くが大きく作り替えられている。これまでの作品が中世やルネサンス期のヨーロッパ都市を中心に、石造りの建築物、尖塔、教会、宮殿、密集した街路を駆け抜ける印象が強かったのに対し、本作では18世紀の北米大陸、すなわちイギリス植民地時代からアメリカ独立戦争へ向かう激動の時代が描かれる。舞台となるのはボストン、ニューヨーク、広大な森林地帯フロンティア、そして海洋ミッションで訪れる大海原であり、シリーズの景色は一気に新大陸へと移った。タイトルに「III」と付けられていることからも分かるように、本作は単なる外伝ではなく、シリーズの大きな節目として企画された作品である。物語の根幹には、自由を重んじるアサシン教団と、秩序によって世界を導こうとするテンプル騎士団の長い対立があり、その争いがアメリカ独立戦争という歴史的大事件の裏側で進行していく。プレイヤーは歴史の表舞台で語られる革命や政治的対立を眺めるだけではなく、その背後にある思想の衝突、個人の復讐、民族の土地を守る戦い、親子の対立といった複数のテーマを追っていくことになる。WiiU版は他機種版と同じく壮大な本編を収録しつつ、WiiU GamePadを使ったマップ表示や装備管理など、任天堂の新ハードらしい操作環境を取り入れた点も特徴である。大型テレビで歴史劇を味わいながら、手元画面で地図や情報を確認できるため、広いフィールドを移動する本作との相性は悪くなかった。
主人公コナーと、複雑な血筋が生む物語の厚み
本作の中心人物となるのは、ネイティブアメリカンの母とイギリス人の父を持つ青年、ラドンハゲードン、通称コナーである。彼はモホーク族の村で育ち、幼少期に経験した悲劇をきっかけに、自分の故郷と仲間を守るための力を求めるようになる。コナーは単純な正義の英雄として描かれるのではなく、植民地支配、先住民の土地問題、独立を目指す人々の理想、そしてその理想の裏で切り捨てられていく者たちの現実を背負った人物として描かれている。彼がアサシン教団に加わる理由も、ただ教団の理念に感銘を受けたからではなく、自分の村を脅かす存在に立ち向かうためであり、個人の怒りと使命感が強く絡んでいる。そのため、コナーはエツィオのような社交性や華やかさを持つ主人公ではない。言葉数は少なく、真面目で、不器用で、時に頑固である。しかし、その無骨さこそが彼の個性であり、理想を語る独立派も、秩序を掲げる騎士団も、どちらも完全には信じきれない立場に置かれた青年として、物語に重い緊張感を与えている。また、本作では序盤にコナーの父であるヘイザム・ケンウェイを操作する構成が取られている。ヘイザムは礼儀正しく、知的で、剣の扱いにも優れ、余裕を感じさせる人物であり、プレイヤーは彼の視点を通して新大陸に渡る物語の導入を体験する。ヘイザム編は、単なる前置きではなく、後にコナーが戦うことになる人物たちの関係性や、テンプル騎士団側の思想を知るための重要なパートになっている。アサシンとテンプル騎士団の対立は、単純な善悪では割り切れない。自由を守るための戦いが混乱を生むこともあれば、秩序を求める思想が支配へ変わることもある。本作はその曖昧さを、父と子の対立という形で分かりやすく、かつ重く描いている。
新エンジンによる表現の進化と、自然を走るフリーラン
『アサシン クリード III』では、従来作から大きく進化したゲームエンジンが採用され、人物の動き、自然環境、光の表現、群衆描写、戦闘モーションなどが大幅に強化された。特に印象的なのは、雪に覆われた森や、木々の間を移動するフリーランである。過去作では建物の壁や屋根、塔、足場を伝って移動する都市型のパルクールが中心だったが、本作では木の幹を登り、枝から枝へ飛び移り、岩場や崖を越えながら獲物や敵を追う自然環境での移動が重要になっている。コナーが森で育った人物であることと、この新しい移動アクションは非常に相性が良く、彼の出自をゲームプレイそのものに落とし込んでいる点が魅力である。フロンティアと呼ばれる広大な自然地帯では、都市とは違って一直線の道路や建物の密集地が少ない。そのため、プレイヤーは地形を読み、木々の配置を見極め、岩場や崖を利用しながら進む必要がある。季節や天候によって景色の印象も変わり、雪の積もった森では足跡や白い風景が独特の雰囲気を生み出す。草むらに入ると自動的に身を低くして隠れるなど、ステルス面にも自然環境を使った仕組みが取り入れられている。これによって、都市の群衆に紛れる過去作の暗殺とは異なり、森の影、草むら、木の上、岩陰を使って敵に近づく狩人のようなプレイ感覚が生まれた。WiiU版でもこの広い世界は大きな見どころであり、GamePadの画面で周辺情報を確認しながら進めることで、探索のテンポを保ちやすくなっている。もっとも、操作方法の変更によって従来作に慣れたプレイヤーほど最初は戸惑いやすく、フリーランが簡略化された反面、意図しない場所へ登ったり飛び移ったりする場面もある。しかし、慣れてくると街と森をまたいで移動する新しい『アサシン クリード』らしさが見えてくる。
戦闘システムの刷新と、荒々しく力強いコナーの戦い方
本作の戦闘は、過去作と比べてかなり手触りが変わっている。従来のシリーズでは、敵の攻撃に合わせてカウンターを取り、そこから連続で敵を倒していく流れが強かったが、本作では敵兵の種類ごとに有効な対処が異なり、単純なカウンター連発だけでは安定しにくくなった。コナーはトマホーク、剣、短剣、弓、銃、ロープダートなど多様な武器を扱い、近接戦闘では非常に荒々しい動きを見せる。彼の戦闘モーションは、優雅に相手を制するというよりも、体格と勢いを活かして敵を叩き伏せるような力強さがある。敵を投げ飛ばす、武器を奪う、銃を使って一瞬で仕留める、二人同時に反撃するなど、見た目の派手さはシリーズの中でも印象に残りやすい。特に複数の敵に囲まれた時のカウンター演出は迫力があり、映画的なカメラワークも合わさって、コナーが戦場の中で暴れ回る感覚を味わえる。一方で、敵兵も強化されており、銃を持った兵士、一斉射撃を行う部隊、正面攻撃を防ぐ兵、素早く追ってくる兵などが登場するため、逃走や潜入は過去作より緊張感がある。敵の銃撃に対しては周囲の兵を盾にするアクションも用意されており、独立戦争期らしい銃火器の存在が戦闘に組み込まれている。体力は安全状態になれば回復する形式になり、傷薬を大量に使って押し切るような遊び方はしにくくなった。これにより、無理に正面突破するよりも、敵の配置を見て、隠れる、誘導する、素早く倒す、逃げるといった判断が重要になる。ただし、説明不足に感じる部分もあり、敵ごとの対処法を理解するまでは難度が高く感じられる。爽快な戦闘アクションと、やや厳しめの敵配置が同居している点が、本作の評価を分ける大きな要素になっている。
海洋ミッションが生んだ新しい遊びの広がり
『アサシン クリード III』を語るうえで欠かせない新要素が、帆船を操る海洋ミッションである。プレイヤーはコナーとして船の指揮を取り、大海原を進みながら敵船と砲撃戦を繰り広げる。これまでのシリーズにも船上で戦う場面はあったが、自分で大型船を操作し、帆を張り、舵を取り、弾種を選び、敵船の側面へ回り込んで砲撃するという本格的な海戦は、本作で大きく印象を変えた要素だった。船は巨大で重く、陸上の主人公のように小回りが利くわけではない。だからこそ、風向きや距離、敵船の位置を意識し、側面の大砲を撃てる角度に船体を向ける必要がある。通常弾で船体にダメージを与えたり、鎖弾で帆を破壊して機動力を落としたり、近距離で強力な攻撃を狙ったりと、状況によって使い分ける楽しさがある。海が荒れている時は波の高さも戦闘に影響し、敵を狙うタイミングがずれることもある。陸上の暗殺とはまったく異なる操作でありながら、船長として部下に指示を出し、砲撃音と波しぶきの中で戦う感覚は非常に新鮮である。この海洋要素は後のシリーズ作品でさらに発展し、『アサシン クリード IV ブラック フラッグ』へつながる重要な原型にもなった。本作の時点ではメインの遊びというより、物語やサブミッションの一部として用意された要素だが、その完成度と手応えは高く、プレイヤーに強い印象を残した。WiiU版でもこの海戦は見どころのひとつで、テレビ画面いっぱいに広がる海と敵船、砲撃の迫力は、ローンチ期の大作らしい存在感を放っていた。
狩り、交易、ホームステッドによる生活感のある寄り道
本作はメインストーリーを追うだけでなく、寄り道要素も非常に多い。広大なフロンティアでは野生動物を狩ることができ、ウサギ、シカ、クマ、オオカミなど、さまざまな動物が登場する。狩りは単なる資金稼ぎではなく、コナーの生活圏や文化的背景を表す要素でもある。獲物を追跡し、足跡や気配を探り、罠や弓、銃を使い分けて仕留めることで、毛皮や素材を入手できる。乱暴な倒し方をすると素材の価値が下がるなど、狩り方にも意味が持たされており、無駄な殺生を避けるというコナーの価値観も反映されている。入手した素材は交易に使うことができ、ホームステッドに集まった職人たちの力を借りて加工品を作り、輸送隊で売りに出すことが可能である。ホームステッドは本作の拠点となる場所で、困っている人々を助けることで住人が増え、少しずつ共同体として発展していく。職人、農民、狩人、船大工などが集まり、それぞれの人生や悩みを描くミッションが用意されているため、単なるメニュー上の施設発展ではなく、人の暮らしを支えていく感覚がある。アサシンとして歴史の大事件に関わる一方で、拠点では住人の小さな問題を解決し、家族のような関係を築いていく。この対比が本作の物語に温かみを与えている。交易や製作の操作画面はやや分かりにくく、快適さの面では評価が分かれるが、世界に生活感を持たせる試みとしては興味深い。ボストンやニューヨークの解放、弟子の育成、クラブ活動、羽や年鑑の収集、ボードゲームなども含めると、遊べる要素はかなり多く、シリーズらしい収集と探索の楽しさは十分に詰め込まれている。
WiiU版ならではの位置づけと販売面での意味
WiiU版『アサシン クリード III』は、任天堂ハードにとっても印象的なタイトルだった。Wiiまでの任天堂据え置き機は、家族向け、体感操作、任天堂自社タイトルの印象が強かったが、WiiUでは高精細なHDゲームや海外大作も取り込もうとする姿勢が見られた。その流れの中で、世界的に知名度の高い『アサシン クリード』シリーズのナンバリング作品が本体発売日に近い時期に用意されたことは、WiiUが従来よりも幅広い層を狙ったハードであることを示す材料になっていた。国内ではプレイステーション系やXbox系で遊ぶイメージが強かったシリーズだけに、任天堂ハードのユーザーがこの作品に触れる機会を得た点は大きい。販売面では、WiiU版単体が市場の中心になったというより、マルチプラットフォーム展開の一角として、WiiUのローンチラインナップに厚みを加える役割が強かった。世界全体で見ると『アサシン クリード III』はシリーズの大型タイトルとして大々的に展開され、独立戦争という分かりやすい歴史テーマ、新主人公、新エンジン、海洋ミッションなどを前面に出して強く宣伝された。WiiU版はその流れを受けつつ、GamePad対応によって他機種版とは少し違う操作環境を提供した。マップを手元で見られること、装備や情報確認を補助できることは、オープンワールド作品において便利な要素だったが、一方でWiiU独自の機能を劇的に活かし切った専用設計というよりは、既存の大作を新ハードへ適応させた移植版という側面が強い。それでも、本格的な海外大作を任天堂ハードで遊べるという意味では価値があり、WiiU初期のラインナップを語る際には外せない一本である。
評価を分けた挑戦作としての完成度
『アサシン クリード III』は、非常に大きな挑戦をした作品である。主人公を変え、時代を変え、舞台をヨーロッパからアメリカへ移し、操作を変え、戦闘を変え、森の移動、狩り、海戦、交易、ホームステッドといった新要素を大量に加えた。そのため、作品全体には新鮮さがある一方で、すべての要素が完全に整理されていたとは言いにくい。特に長いチュートリアル、分かりにくいUI、厳しいフルシンクロ条件、敵の反応の強さ、バグの多さなどは、当時のプレイヤーから不満点として語られやすかった。シリーズ経験者ほど、以前の操作感との違いに戸惑い、エツィオ時代の軽快な都市探索や分かりやすい成長感を懐かしむこともあった。一方で、グラフィックの強化、自然の中を走る新しいパルクール、迫力ある戦闘モーション、海洋ミッションの完成度、ヘイザムとコナーを軸にした重厚な物語は高く評価できる部分である。特に海戦は後のシリーズ発展のきっかけとなり、本作の挑戦が次回作以降の成功につながったことは間違いない。物語面でも、自由と秩序、革命と犠牲、親子の思想対立、先住民の土地をめぐる悲劇など、娯楽作品としてはかなり重い題材を扱っている。明るく痛快な英雄譚というより、歴史の中で理想に振り回される人物たちの苦さを描いた作品であり、そこに魅力を感じるかどうかで印象は大きく変わる。WiiU用ソフトとして見れば、ローンチ期にこれほど大規模なオープンワールドアクションを遊べたこと自体に価値があり、任天堂ハードのユーザーへシリーズを紹介する入口としても意味があった。完成度に粗さはあるが、シリーズを新しい方向へ進めようとした意欲は非常に強く、後の作品群を理解するうえでも重要な一作である。
■■■■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター
魅力の中心は「暗殺者」と「開拓者」の二つの顔を持つプレイ感覚
『アサシン クリード III』の面白さは、従来のシリーズが得意としてきた暗殺アクションに、開拓時代の大自然を生き抜く狩人の感覚が加わっているところにある。これまでの『アサシン クリード』では、プレイヤーは都市の屋根を走り、群衆に紛れ、教会や塔の頂上から街を見下ろし、政治家や権力者に静かに近づいて一撃で仕留めるという、都市型の暗殺者として行動することが多かった。しかし本作の主人公コナーは、モホーク族の村で育った青年であり、森を歩き、木に登り、獣の痕跡を読み取り、自然の地形を利用して敵を追う人物である。そのため、彼の操作感は単なるアサシンというより、狩人、戦士、斥候、開拓地の守護者といった複数のイメージが重なっている。ボストンやニューヨークでは兵士の目を避けながら屋根上を移動し、フロンティアでは木の枝を伝って敵の背後へ回り、海では船長として砲撃戦を指揮する。この遊びの幅の広さこそ、本作ならではの大きな魅力である。特に、木の上を移動するフリーランは、過去作と比べても新鮮な感覚がある。建物の壁を登るのとは違い、自然の足場は曲線的で、高低差も不規則である。枝から枝へ飛び移り、岩場を越え、雪の森を抜けていく感覚は、コナーという主人公の生い立ちとよく結びついている。敵を倒すためだけに走るのではなく、世界そのものを身体で覚えていくようなプレイになっており、広いフロンティアを探索しているだけでも独特の没入感がある。さらに、都市部では人混み、港、兵舎、屋根、地下道などがあり、自然地帯とはまったく違う緊張感を味わえる。つまり本作は、ひとつのゲーム内で「街に潜む暗殺者」と「森を駆ける狩人」の両方を楽しめる作品であり、その切り替わりがプレイの飽きを抑えている。
コナーの戦闘は豪快で、使いこなすほど迫力が増す
本作の戦闘でまず印象に残るのは、コナーの動きの荒々しさである。彼は洗練された剣士というより、体格、瞬発力、野性味を活かして敵を圧倒する戦士として描かれている。トマホークを振るう姿は非常に象徴的で、敵の攻撃を受け流してから素早く懐に入り、力任せに叩き伏せるようなモーションが多い。複数の兵士に囲まれた場面でも、コナーは一人ずつ丁寧に相手をするのではなく、相手を投げ飛ばし、武器を奪い、銃を逆用し、周囲の障害物も利用しながら戦う。シリーズ経験者にとっては、エツィオ時代の華麗な剣技とは別方向の格好良さを感じられる部分である。戦闘の基本は、敵の攻撃に反応してカウンターを取り、そこから攻撃、武器奪取、投げ、回避、射撃などを選ぶ形になる。ただし、本作では敵の種類によって有効な行動が変わるため、同じ操作だけで押し切ろうとすると苦戦しやすい。軽装兵は素早く、正面攻撃を受け流す敵もおり、将校や強敵は単純な連続攻撃を止めてくる。銃兵が距離を取って発砲準備を始めた場合は、近くの敵を盾にしたり、素早く位置を変えたりする必要がある。最初はやや難しく感じるが、敵の動きと対処法を覚えると、戦闘はかなり楽しくなる。おすすめの戦い方は、むやみに攻撃ボタンを連打するのではなく、まず防御とカウンターを軸にして敵の種類を見分けることである。弱い兵士は素早く倒し、崩しが必要な敵には武器奪取や投げを使い、銃撃の兆候が出たら盾アクションで対応する。さらに、ロープダートや弓、ピストルを混ぜると戦い方に幅が出る。特にロープダートはコナーらしい武器で、敵を引き寄せたり、木の上から吊るしたりできるため、正面戦闘だけでなく奇襲にも使える。強い敵に囲まれた場合でも、煙幕や環境を使って一度距離を取り、屋根や草むらへ逃げる判断ができれば、無理な戦闘を避けられる。戦いが苦手なプレイヤーほど、正面から全員を倒すより、先に弓や暗殺で人数を減らしてから接近する方が安定する。
攻略の基本は「発見されない準備」と「逃走経路の確保」
『アサシン クリード III』を攻略するうえで重要なのは、戦う力だけではなく、発見される前の準備である。本作の敵兵は過去作よりも感知が鋭く、街中にも兵士が多く配置されているため、何も考えずに走り回るとすぐ警戒されることがある。特にボストンやニューヨークでは、屋根の上にも兵士が配置されているため、従来作のように屋根上を安全地帯として使う感覚だけでは危険である。攻略のコツは、目的地へ向かう前に周囲の敵の位置を確認し、草むら、屋根、群衆、建物の角、荷車、隠れ場所を意識して移動することである。ミッション中にフルシンクロを狙う場合は、さらに慎重さが必要になる。敵に見つからない、制限時間内に到達する、特定の方法で敵を倒すなど、条件が途中で追加されることもあるため、初回プレイで完璧を狙いすぎるとストレスになりやすい。本作では、まず物語を進めてステージの流れを覚え、再挑戦時にフルシンクロを狙うという考え方の方が遊びやすい。逃走時の攻略も重要である。警戒状態になったら、ただ直線的に走るのではなく、角を曲がる、高低差を使う、屋根から路地へ降りる、草むらへ入る、隠れ場所に入るなど、視線を切る行動を意識するとよい。敵兵はしつこく追ってくるため、目の前の敵を倒し続けるだけでは警戒が長引く。戦闘が始まったら、全滅させるか、逃げ切るかを早めに決めることが大切である。警戒レベルが上がると強力な敵が出やすくなり、街の移動そのものが面倒になるため、手配度を下げる行動もこまめに行うと快適になる。掲示物を剥がしたり、印刷所を利用したり、役人に対処したりして悪名を下げておけば、探索中の余計な戦闘を減らせる。サブミッションや収集を進める時も、先にビューポイントを同期して周辺の地形を把握し、ファストトラベル地点を増やしておくと移動がかなり楽になる。フロンティアは広大なので、目的地へ一直線に向かうより、道中で狩りや収集を同時に進めると効率がよい。
海洋ミッション攻略は距離感と角度が決め手
本作の海洋ミッションは、陸上アクションとは別のゲームのような面白さを持っている。船を操る場面では、プレイヤーは自分の身体を動かすのではなく、船全体の向き、速度、砲撃の角度を考えなければならない。海戦攻略の基本は、敵船の側面を取ること、無理に真正面から突っ込まないこと、弾種を使い分けることである。大砲は船の側面から撃つため、敵に対して横腹を向ける位置取りが必要になる。遠くから適当に撃っても十分なダメージを与えにくいため、ある程度近づき、照準が合った瞬間にまとめて撃ち込むと効果的である。ただし近づきすぎると敵の攻撃も受けやすくなるため、船の耐久力と敵の数を見ながら距離を調整したい。鎖弾は敵船の帆を狙って機動力を落とすのに向いており、動きの速い敵や逃げる敵を相手にする時に役立つ。通常弾は扱いやすく、船体へ安定してダメージを与えられる。複数の敵船がいる場合は、弱い船を先に沈めて数を減らし、大型船を最後に相手にすると安全である。船の操作では、常に最大速度で進めばよいわけではない。狭い場所や敵の砲撃範囲では帆を調整し、曲がりやすい速度に落とすことも大事である。波が高い場面では、砲撃のタイミングがずれるため、敵船が波に隠れていない瞬間を狙う必要がある。船を強化できる場面では、耐久力や砲撃性能を優先して上げると攻略が楽になる。海洋ミッションは見た目の派手さに目が行きやすいが、実際には位置取りとタイミングのゲームであり、慣れるほど船を操る楽しさが増していく。陸上の戦闘が苦手なプレイヤーでも、海戦の豪快な砲撃や船長気分に魅力を感じる場合は多い。
狩りと交易を活用すれば資金面の攻略が楽になる
本作では、過去作のように街の施設から自動的に大量の収入が入ってくる仕組みとは違い、狩りや交易、製作を使って資金を増やしていく要素が強い。最初はやや分かりにくく感じるが、基本を押さえると装備強化や船の改造に必要な資金を集めやすくなる。フロンティアで動物を狩り、毛皮や素材を入手し、それを売却または交易に回すのが基本の流れである。獲物は乱暴に倒すより、弓や罠などを使ってきれいに仕留めた方が価値を保ちやすい。大型動物は危険だが、得られる素材の価値も高い。クマやオオカミなどに襲われた時は、画面の指示に素早く反応する必要があるため、油断しているとダメージを受けやすい。狩りをする時は、周囲の地形をよく見て、木の上や岩場など安全な位置から近づくと安定する。ホームステッドミッションを進めると住人が増え、素材の加工や製作の幅が広がる。加工品はそのまま素材を売るより高く売れることがあるため、資金稼ぎを本格的に行うならホームステッドの発展は重要である。交易隊を使って品物を売りに出すと利益を得られるが、ルートによって危険度や利益が変わるため、安全性と収益のバランスを見て選ぶ必要がある。UIは分かりやすいとは言いがたいため、最初は難しく感じるかもしれないが、狩りで得た素材を中心に扱えば比較的理解しやすい。資金は武器購入だけでなく、船の改造にも使えるため、海洋ミッションを楽にしたい場合は早めに貯めておくとよい。攻略上は、メインミッションだけを急いで進めるより、途中でホームステッドや狩りを挟み、少しずつ装備と資金を整える方が全体的に遊びやすくなる。
クリア条件とエンディングまでの進め方
本作のメインストーリーをクリアするには、全体を構成するシークエンスを順番に進め、過去編と現代編の両方を最後まで完了する必要がある。物語は序盤のヘイザム編から始まり、その後コナーの幼少期、青年期、アサシンとしての活動へと移っていく。シリーズ経験者でも、本作は本格的にコナーを操作して暗殺者として動き始めるまでに時間がかかるため、序盤で「まだ始まらない」と感じることがある。しかし、後半に入ると独立戦争の重要事件、テンプル騎士団との対決、父ヘイザムとの関係、チャールズ・リーを追う復讐の物語が大きく動き出す。クリアだけを目指す場合は、メインメモリーを優先して進めればよい。すべてのサブミッションや収集物を集める必要はなく、フルシンクロを達成しなくてもエンディングには到達できる。したがって、初回プレイでは完璧主義になりすぎず、ストーリーを追うことを優先した方が楽しみやすい。難しいサブ目標にこだわりすぎると、ミッションの流れや物語の熱が途切れてしまうことがある。エンディング後も探索や収集、ホームステッド関連、海洋ミッションなどを続けられるため、やり込みは後からでも十分に可能である。攻略のおすすめ順としては、まずメインをある程度進めて基本アクションや装備を解放し、途中でビューポイント同期とファストトラベル解放を進め、資金が必要になったら狩りと交易を行い、終盤に向けて船や装備を強化していく流れがよい。フルシンクロを狙う場合は、各ミッションの条件を事前に確認し、失敗したらチェックポイントから再挑戦する。ただし、本作のフルシンクロ条件は厳しいものも多いため、達成できない場合は一度保留し、操作に慣れてから戻るのが現実的である。
難易度はやや高めだが、遊び方を覚えると安定する
『アサシン クリード III』の難易度は、シリーズ全体の中でもやや癖が強い。単純に敵が硬いというより、敵に見つかりやすい、追跡がしつこい、銃撃が厄介、屋根上も安全ではない、フルシンクロ条件が細かい、といった複数の要素が重なって難しく感じられる。特に過去作の感覚で、屋根に登れば逃げられる、カウンター連発で簡単に勝てる、ビューポイントを解放すればマップが一気に見える、という考えで進めると戸惑いやすい。本作では、敵兵が近代的な軍隊として配置されており、銃や隊列行動によってプレイヤーを追い詰めてくる。攻略のためには、まず「無理に戦わない」ことを覚えるのが大切である。暗殺ゲームである以上、敵を全滅させるより、目的だけを達成して離脱する方が賢い場面も多い。次に、装備を使い惜しみしないことも重要である。煙幕、弓、ピストル、ロープダートなどは、状況を変える力を持っている。囲まれた時に煙幕で距離を取る、遠くの敵を弓で静かに倒す、逃げる敵をロープダートで止めるなど、道具を使うほど攻略は楽になる。また、ミッション前に周囲を観察する癖をつけると、敵の巡回ルートや隠れ場所が見えてくる。都市では高所から敵の配置を見て、フロンティアでは木の上や草むらを利用するとよい。難しいと感じる場面ほど、真正面から挑まず、別ルートや別の手段を探すことが本作らしい攻略法になる。裏技のような一発解決は少ないが、仕様を理解した小技は多い。例えば、悪名が上がりすぎる前にこまめに下げる、戦闘前に銃兵を先に処理する、海戦では敵の正面に長く留まらない、狩りでは安全な高所から狙う、といった積み重ねが結果的に大きな差になる。
登場キャラクターの魅力と物語を支える人物たち
本作はコナーだけでなく、周囲の人物たちも印象的である。まずヘイザム・ケンウェイは、序盤の主人公として強い存在感を持っている。冷静で知的、礼儀正しく、戦闘では無駄が少なく、敵でありながら魅力的に見える人物である。彼の思想はコナーとは異なるが、単純な悪人として描かれていないため、物語に深みを与えている。むしろヘイザムの言葉には一理あると感じる場面もあり、アサシン教団とテンプル騎士団の対立を単純な勧善懲悪ではなく、思想の衝突として見せる役割を果たしている。コナーの師となるアキレスも重要な人物である。かつてアサシンとして戦っていたが、過去の出来事によって傷つき、表舞台から退いている老人であり、コナーに知識と拠点を与える存在である。彼は厳しく、時に皮肉を言うが、コナーとの関係は物語が進むにつれて師弟、そして家族に近いものへ変わっていく。チャールズ・リーは、コナーにとって強い因縁を持つ敵として登場し、物語全体を引っ張る存在である。また、ジョージ・ワシントン、ベンジャミン・フランクリン、サミュエル・アダムズなど、独立戦争期を象徴する歴史上の人物も登場し、コナーは彼らと関わりながら戦争の裏側を歩いていく。ただし本作では、歴史上の人物が常に善人として描かれるわけではなく、理想と現実の差も見せられる。ホームステッドの住人たちも、派手ではないが魅力的である。彼らは英雄でも政治家でもないが、困難な時代を生きる普通の人々として、コナーの拠点に生活感を与えている。大きな戦争と思想の対立を描く一方で、小さな共同体を守る物語があることによって、コナーが何のために戦っているのかが少しずつ伝わってくる。
好きなキャラクターとして特に印象に残るヘイザムとコナー
本作で好きなキャラクターを挙げるなら、まずヘイザム・ケンウェイは外せない。彼は本来、主人公コナーの敵側に位置する人物であるにもかかわらず、非常に魅力的に描かれている。立ち居振る舞いに品があり、言葉には説得力があり、戦闘では余裕を崩さない。序盤で彼を操作することで、プレイヤーは自然とヘイザムに感情移入していく。その後、彼の立場や思想が明らかになることで、単純に敵として片付けられない複雑さが生まれる。ヘイザムの魅力は、彼が悪の組織の幹部のように見えるのではなく、自分なりの秩序と理想を本気で信じているところにある。彼の考えには危うさもあるが、混乱した世界をどうにかしたいという意志も感じられるため、コナーとの対話には重みがある。一方で、コナーもまた印象深い主人公である。彼はエツィオのように人懐こく、華やかで、成長が分かりやすい英雄ではない。むしろ不器用で、怒りに突き動かされ、理想を信じて傷つき続ける人物である。そのため、最初は感情移入しにくいと感じる人もいるかもしれない。しかし、村を守りたい、母の死の真相に向き合いたい、利用されてもなお自分の道を進みたいという姿勢には、非常に強い芯がある。コナーは勝利しても晴れやかな笑顔を見せるタイプの主人公ではなく、歴史の流れの中で多くを失いながら進む人物である。そこに本作らしい苦さがある。好きなキャラクターとしては、完成された魅力を持つヘイザムと、不器用ながらも信念を貫くコナーの対比が特に面白い。二人は親子でありながら、自由と秩序、感情と理性、守るべきものの違いによって対立する。その関係性こそ、本作の物語を最も濃くしている部分である。
評判と楽しみ方を踏まえたおすすめの遊び方
『アサシン クリード III』は、発売当時から評価が分かれやすい作品だった。新エンジンによる映像、海洋ミッション、戦闘モーション、広大な自然フィールドなどは好評だった一方で、長いチュートリアル、操作変更、バグ、フルシンクロ条件、交易UIなどには不満も出やすかった。したがって、本作を楽しむには、過去作とまったく同じテンポや遊び味を期待するより、「シリーズが新しい時代と新しい主人公に挑戦した作品」として向き合う方がよい。おすすめの遊び方は、まずメインストーリーを中心に進め、コナーが本格的にアサシンとして活動できるところまで進むことである。序盤だけで判断すると、チュートリアルが長く感じられる可能性があるため、ある程度物語が動くところまで遊ぶと印象が変わりやすい。その後は、フロンティア探索、ホームステッドミッション、海洋ミッションを少しずつ挟むと、本作の魅力が広がっていく。特にホームステッドは、メインストーリーだけでは見えにくいコナーの人間味を補ってくれるため、キャラクターを深く知りたい人にはおすすめである。フルシンクロはやり込み要素として考え、初回から無理に狙わない方が楽しみやすい。海洋ミッションは後のシリーズへつながる要素でもあるため、積極的に遊ぶ価値がある。戦闘が難しい場合は、武器や道具を試しながら、自分に合う戦い方を見つけるとよい。全体として本作は、快適さだけで評価すると粗が目立つが、世界観、物語、新要素、歴史の重さを味わう作品としては非常に濃い。WiiU版で遊ぶ場合も、GamePadを補助画面として使いながら、腰を据えてじっくり進めることで、独立戦争期のアメリカを舞台にした大河的なアクションアドベンチャーとして楽しめる。
■■■■ 感想・評判・口コミ
大作感は強いが、評価が一枚岩ではなかった作品
『アサシン クリード III』の感想や評判を語るうえでまず重要なのは、本作が非常に大きな期待を背負って発売された作品だったという点である。前作群で長く続いたエツィオの物語が終わり、シリーズは新しい主人公、新しい時代、新しい舞台へ移ることになった。しかも舞台はアメリカ独立戦争期という歴史的に分かりやすく、映画や小説でも扱われやすい題材であり、宣伝段階から「シリーズが大きく変わる」という印象を与えていた。そのため、実際にプレイした人の反応も、単に面白いかつまらないかではなく、「挑戦は感じる」「映像はすごい」「新要素は魅力的」「でも遊びやすさには不満がある」といった複雑なものになりやすかった。全体的な評価としては、ボリュームの大きさ、世界観の作り込み、戦闘モーション、海洋ミッション、フロンティア探索などを高く評価する声がある一方で、テンポの遅さ、チュートリアルの長さ、システム変更への戸惑い、バグ、フルシンクロ条件の厳しさなどを指摘する声も目立つ。特にシリーズを長く遊んできた人ほど、エツィオ三部作の軽快さやキャラクター性と比較し、本作の重く不器用な作風に戸惑う傾向があった。一方で、初めて『アサシン クリード』に触れた人や、アメリカ独立戦争という題材に興味がある人にとっては、壮大な歴史劇として強く印象に残る作品でもある。つまり本作は、万人が同じ方向で絶賛するタイプではなく、プレイヤーが何を重視するかによって感想が大きく変わる作品だと言える。アクションの迫力や世界の広さを楽しむ人には魅力があり、テンポの良さや分かりやすい爽快感を求める人には不満が残りやすい。良くも悪くも、シリーズの転換期らしい賛否のある一本である。
映像表現と世界観に対する好意的な感想
本作で好意的な感想が多く集まりやすい部分のひとつが、映像表現と世界観のスケール感である。雪に覆われたフロンティア、木々の間を走るコナー、独立戦争期の都市、港、戦場、海上での砲撃戦など、画面から伝わる大作感はかなり強い。従来作のヨーロッパ都市とは異なり、本作の風景は派手な宮殿や巨大な聖堂ばかりではない。木造建築、レンガ造りの家、土の道、森林、雪原、港町、戦場の煙といった、まだ発展途上にある新大陸の空気が表現されている。そのため、見た目の華やかさでは過去作のイタリアやコンスタンティノープルに劣ると感じる人もいるが、自然の広がりや時代の荒々しさを感じられる点を評価する人も多い。特にフロンティアの雪景色は、本作を象徴するビジュアルとして印象に残りやすい。積雪の中を歩く重さ、白く霞む森、木々を伝って進む独特の移動感は、コナーという主人公の背景と合っている。プレイヤーからは、都市を走るだけでなく自然の中を移動できるようになったことで、シリーズに新しい息吹が加わったという感想が出やすい。また、戦闘モーションの細かさも映像面の評価につながっている。コナーのトマホークさばきや二人同時カウンター、敵の武器を奪って反撃する動きなどは、見ていて非常に派手で、操作しているだけでも強者感を味わえる。WiiU版についても、任天堂ハードでこの規模のリアル志向オープンワールドアクションを遊べたこと自体に新鮮さを感じた人がいた。WiiからWiiUへ移り、HD画質の本格的な海外大作を任天堂機で体験できるという点は、当時のハードイメージから見ても印象的だった。
海洋ミッションへの反応は特に好意的だった
『アサシン クリード III』の口コミや感想の中でも、海洋ミッションはかなり好意的に語られやすい要素である。陸上での暗殺やフリーランを中心にしてきたシリーズに、帆船を操る海戦が加わったことは大きな驚きだった。プレイヤーは船長として舵を取り、帆を調整し、敵船との距離を測り、横腹を向けて大砲を撃ち込む。砲撃音、波しぶき、船員の掛け声、敵船が沈んでいく迫力が合わさり、本編の中でも別格の爽快感を生み出していた。感想としては、「本編以上に海戦が楽しかった」「もっと海洋ミッションを遊びたかった」「船を動かす感覚が予想以上によくできていた」といった方向の評価がされやすい。もちろん、船の動きは人間キャラクターの操作とは違って重く、慣れるまでは曲がりにくさや距離感の取りづらさを感じることもある。しかし、その重さが逆に大型帆船を操っている実感につながっている。敵船に横付けして砲撃を浴びせる瞬間や、鎖弾で帆を破壊して相手の動きを止める場面は、陸上戦とは違う戦略性があり、単なるおまけ要素以上の完成度を感じさせた。後のシリーズで海洋要素が大きく発展したことを考えると、本作の海洋ミッションは実験的でありながら、すでに高い可能性を示していたと言える。この部分については、賛否の多い本作の中でも比較的評価が安定している。『アサシン クリード』でありながら船長気分を味わえるという意外性が、プレイヤーの記憶に残りやすかったのである。WiiU版で遊んだ人にとっても、テレビ画面に広がる海と砲撃戦は見栄えが良く、ローンチ期の大作らしい迫力を感じられる場面だった。
ストーリーへの評価は重厚さと分かりにくさが同居
本作のストーリーに対する評判は、かなり意見が分かれやすい。好意的に見る人は、アメリカ独立戦争という大きな歴史の裏側に、アサシン教団とテンプル騎士団の対立、先住民の土地を守る戦い、父と子の思想的な対立を重ねた構成を高く評価する。コナーは単なる復讐者ではなく、独立派にも騎士団にも完全には属しきれない立場の人物であり、歴史の勝者が語る理想の陰で苦しむ存在として描かれている。そこに本作ならではの苦味がある。ヘイザム・ケンウェイの描写も評判が高く、序盤で彼を操作することで、敵側であるテンプル騎士団にも思想と魅力があることを自然に理解できる。ヘイザムは冷静で知的であり、彼の言葉には説得力があるため、単なる悪役として倒すには惜しい人物として印象に残る。一方で、ストーリー展開のテンポには不満も多い。コナーが本格的にアサシンとして動き出すまでが長く、序盤から中盤にかけてチュートリアルや導入が続くため、「早く自由に動きたい」と感じる人もいる。また、独立戦争、先住民問題、親子関係、復讐、現代編、第一文明の謎など、扱うテーマが多いため、全体が散らかっているように受け取られることもある。コナー自身についても、真面目で不器用な性格が魅力だと感じる人がいる一方で、感情表現が硬く、過去作の主人公に比べて親しみにくいと感じる人もいる。特にエツィオのような分かりやすい成長物語や華やかな人間関係を期待していたプレイヤーにとって、コナーの物語は重く、報われにくく、すっきりしない印象を残しやすい。ただ、そのすっきりしなさこそが本作のテーマに合っているとも言える。革命がすべての人を救うわけではなく、自由を掲げる者たちも誰かを傷つける。その現実を描いた点は、後から振り返ると独自の味わいがある。
長いチュートリアルとテンポへの不満
プレイヤーの口コミで特に不満として挙がりやすいのが、序盤の長さである。本作は全体の構成上、最初からコナーを操作して自由に暗殺を行うわけではない。まずヘイザム編があり、その後コナーの少年時代を経て、青年となったコナーがアサシンとして活動を始めるまで段階を踏む。物語としては意味のある構成だが、ゲームプレイとして見ると、本格的にシリーズらしい自由度が出るまでに時間がかかる。早くフリーランや暗殺、探索、装備強化を楽しみたい人にとって、この導入はかなり長く感じられる。特に、過去作を遊んできたプレイヤーは基本操作をすでに知っているため、何度も説明されるような感覚になりやすい。もちろん本作では操作方法やシステムが変わっているため、チュートリアルが必要だったことは理解できる。しかし、ヘイザム編、少年コナー編、アサシン修行と段階が多く、自由に遊べるまでの助走が長いため、テンポが悪いという印象を与えた。感想としては、「物語が動き出すまでが遅い」「最初の数時間で人を選ぶ」「面白くなるまで我慢が必要」といった評価になりやすい。逆に、序盤の物語をじっくり楽しめる人や、ヘイザムという人物に魅力を感じた人は、この導入を好意的に受け止めることもある。つまり、長い序盤は欠点であると同時に、物語の厚みを作っている部分でもある。ただし、アクションゲームとしてのつかみを考えると、もう少し早い段階でコナーの本格的なアサシン活動を体験できた方が、より多くのプレイヤーに受け入れられやすかっただろう。ここは本作の評判を分けた大きな要因である。
操作変更とステルス面に対する戸惑い
本作はシリーズの刷新を目指した作品であるため、操作方法やステルスの感覚にも変更が多い。フリーランが簡略化され、木登りや自然地形での移動が加わったことは新鮮だったが、その一方で、従来作の操作に慣れたプレイヤーからは戸惑いの声も出やすかった。以前の感覚で走ろうとすると、意図しない場所へ登ったり、思った方向と違う足場へ飛び移ったりすることがある。ワンボタンで移動が滑らかになる利点はあるものの、細かな制御を自分で行いたい人にとっては、操作が自動化されすぎているように感じられる場面もある。また、ステルス面では敵の反応が鋭くなっており、過去作よりも見つかりやすいと感じる人が多かった。屋根上にも兵士が配置され、街中を気軽に走るだけで警戒されることがあるため、シリーズ経験者ほど違和感を覚えやすい。草むらに隠れる、木の上から接近する、群衆に紛れるといった選択肢は用意されているが、敵配置やミッション条件によっては思い通りに潜入できないこともある。特にフルシンクロ条件で「見つからない」「特定の方法で倒す」といった目標が出ると、操作の癖や敵の感知範囲がストレスに感じられる。口コミでは、戦闘は派手で楽しいが、ステルスはやや窮屈という評価になりやすい。これは本作が、暗殺者らしい静かな潜入と、戦士としての派手な戦闘の両方を強化しようとした結果、場面によって噛み合いが悪くなった部分でもある。コナーのキャラクター性を考えると、正面から戦っても強いのは自然だが、シリーズ名から期待される「影に潜む暗殺」の快感が薄れたと感じる人もいた。
フルシンクロ条件への不満はかなり強かった
本作の評判を語る際、フルシンクロ条件への不満は避けて通れない。フルシンクロとは、メインミッション中に提示される追加目標を達成することで、記憶との同期率を完全にするやり込み要素である。過去作にも存在していたが、本作では条件が複数になり、しかも一度のプレイでまとめて達成しなければならない場面が多かったため、かなり厳しく感じられた。ミッションの途中で新しい条件が表示されることもあり、初見では何を求められているのか分からないまま失敗してしまうことがある。さらに、条件表示がプレイ中に出るため、戦闘や追跡に集中していると読み逃しやすい。制限時間が厳しい目標、敵に見つかってはいけない目標、特定の敵を特定の方法で倒す目標などは、ミッションの流れを覚えていない初回プレイでは達成が難しい。感想としては、「条件が理不尽」「初見殺しが多い」「物語に集中できない」「失敗表示を見るたびに気分が下がる」といった不満につながりやすかった。もちろん、フルシンクロは必須ではなく、達成しなくてもクリアは可能である。しかし、達成率が表示されるゲームでは、条件を満たしたくなるプレイヤーも多い。その心理に対して、本作の条件はやや厳しすぎたと言える。チェックポイントからやり直せる仕組みはあるが、失敗後にチェックポイントが更新されてしまう場合もあり、思うように再挑戦できないこともある。アクションの腕前というより、条件の出方やミッション構造に左右される場面があるため、不満が残りやすい。やり込み要素としての達成感を狙った仕組みでありながら、結果的には自由なプレイを妨げていると受け取られた部分である。
バグやUIに関する口コミは厳しめ
本作の不満点として、バグやUIの使いにくさもよく語られる。オープンワールド型の大作であり、新しいエンジンを使った意欲作だったこともあって、細かな不具合や挙動の乱れが目につきやすかった。メインストーリーの進行が完全に壊れるような場面ばかりではないが、サブミッション、弟子、交易隊、キャラクターの動作、音声や口の動き、敵の挙動などで違和感を覚えることがある。こうした不具合は、ひとつひとつは小さくても、長時間遊ぶ中で積み重なると快適さを損なう。特に本作はボリュームが大きく、探索や収集、ミッション再挑戦を多く行うゲームであるため、UIの使いにくさは評価に影響しやすい。交易や製作の画面は情報が整理されているとは言いにくく、必要素材や加工の流れを直感的に理解しづらい。品物を選び、加工し、輸送隊へ載せ、利益を得るという流れ自体は面白い試みだが、操作の手間が多く、収益も分かりにくいため、積極的に使う前に面倒だと感じてしまう人もいる。ホームステッドの住人が増え、経済活動が広がっていくという発想は魅力的だが、メニュー操作が複雑なため、その良さが伝わりにくかった。口コミでは、「素材や交易の仕組みを理解する前に放置した」「狩った毛皮を売るだけで十分だった」「製作画面が分かりにくい」といった方向の感想になりやすい。ゲーム内の説明も十分とは言いがたく、プレイヤーが自力で試行錯誤する必要がある。システムが多いこと自体は大作らしい長所だが、その案内や使いやすさが追いついていなかった点が、本作の惜しい部分として語られる。
WiiU版に対する感想とGamePad機能の受け止められ方
WiiU版『アサシン クリード III』に対する感想は、任天堂ハードでこのシリーズを遊べる新鮮さと、移植版としての立ち位置の両方から語られることが多い。WiiUは本体発売直後から、任天堂らしい家族向けタイトルだけでなく、海外の本格的なアクションゲームも遊べるハードであることを示そうとしていた。その中で『アサシン クリード III』は、歴史大作、オープンワールド、ステルス、戦闘、海戦を含む重量級タイトルとして存在感があった。任天堂ハード中心に遊んできた人にとっては、シリーズに触れるきっかけになりやすく、WiiUのHD画質でリアル志向の世界を体験できる点は魅力だった。GamePad機能については、手元画面にマップや情報を表示できることが便利だと感じられた。オープンワールド作品では、地図を何度も開く場面が多いため、テレビ画面を大きく遮らずに情報を確認できるのは相性が良い。装備や目的地の確認を補助する機能も、探索のテンポを保つうえで役立つ。ただし、WiiUならではの遊びに大きく作り替えられているわけではないため、GamePadがあるから別物の体験になるというほどではなかった。あくまで便利な補助機能として受け止められることが多い。また、他機種版と比較するプレイヤーからは、動作や表現面、読み込み、操作感などを気にする声もあった。WiiU版単体で見ると十分に大作感を味わえるが、すでに他機種でシリーズを遊んでいた人にとっては、WiiU版を選ぶ決め手がGamePad機能に限られやすかったとも言える。それでも、WiiU初期のラインナップとしては貴重な本格派タイトルであり、任天堂ハードのユーザーに海外大作の空気を届けた一本として意味がある。
総合的な口コミとしては「粗は多いが記憶に残る」
総合的に見ると、『アサシン クリード III』の口コミは「完成度に粗はあるが、印象に残る場面は多い」という方向にまとまりやすい。海洋ミッション、雪のフロンティア、コナーの豪快な戦闘、ヘイザムの存在感、独立戦争期の重厚な物語など、強く記憶に残る要素は確かに多い。一方で、遊びやすさの面では不満が出やすく、テンポ、UI、バグ、敵の感知、フルシンクロ条件など、プレイヤーの気分を削ぐ要素も少なくない。過去作の完成された流れを期待していた人には、変化が大きすぎたと感じられることがあり、逆に新しい舞台や新要素を楽しめた人には、シリーズの中でも挑戦的で面白い作品として映る。コナーという主人公も同様で、華やかな人気を集めるタイプではないが、彼の置かれた立場や苦しみを理解すると、後からじわじわ印象が深まる人物である。ヘイザムとの対比も含め、本作の人物描写は単純な爽快感よりも、思想や歴史の重さを重視している。したがって、軽快な暗殺アクションを気持ちよく遊びたい人には合わない部分があり、重厚な歴史ドラマやシリーズの転換点を味わいたい人には見どころが多い。WiiU版としては、ローンチ期に遊べる大規模な海外アクションとして一定の価値があり、GamePad対応も探索補助として機能していた。名作と呼ぶには欠点が目立つが、失敗作と切り捨てるには挑戦と成果が多い。後のシリーズに受け継がれた海洋要素やモーション表現を考えても、本作はシリーズの進化に必要な実験を数多く行った作品だった。だからこそ、プレイした人の感想も賛否が混ざりながら、今なお語られやすい一本になっている。
■■■■ 当時の宣伝・現在の中古市場など
WiiU本体と同日に並んだ大型海外タイトルとしての存在感
『アサシン クリード III』のWiiU版は、2012年12月8日にユービーアイソフトから発売された。これはWiiU本体の国内発売日と同じ日であり、本作は新ハードのスタート時期を支えるローンチ周辺タイトルとして店頭に並んだ一本である。当時のWiiUは、Wiiで広がったファミリー層やライトユーザーの流れを受け継ぎつつ、HD画質に対応した据え置き機として、より本格的なゲーム体験も打ち出そうとしていた。その中で『アサシン クリード III』は、任天堂の自社タイトルとは明らかに違う空気を持つソフトだった。明るく親しみやすいパーティーゲームやアクションゲームが多いローンチラインナップの中で、本作は18世紀のアメリカ独立戦争を舞台にした重厚な歴史アクションであり、CERO Z指定の大人向けタイトルでもあった。そのため、WiiUの発売時に「このハードでは任天堂らしいゲームだけでなく、海外の大作も遊べる」という印象を与える役割を担っていた。特に国内の任天堂ハードでは、これまで『アサシン クリード』シリーズに触れる機会が限られていたため、WiiU版はシリーズ未経験のユーザーにとって入口になり得る存在だった。パッケージの雰囲気も、白を基調としたアサシンのローブ、弓やトマホークを構える主人公コナー、独立戦争期のアメリカを感じさせる背景など、従来の任天堂系タイトルとは違う硬派な印象が強い。店頭でWiiUの新作ソフトを見比べた時にも、歴史劇、暗殺、戦争、オープンワールドという要素を前面に出した本作は、明確にコアゲーマー向けの選択肢として目立っていた。WiiUのローンチ期は、ハードそのものの新しさと同時に、GamePadを使った新しい遊び方にも注目が集まっていた。本作は完全なWiiU専用設計ではないものの、手元画面にマップや情報を表示することで、広大なフィールドを探索するゲームとしての利便性をアピールできる作品だった。
発売前の紹介では新主人公・独立戦争・新エンジンが強調された
発売当時の宣伝で大きく打ち出されていたのは、シリーズが新しい時代へ移るという点である。前作群まで続いていたエツィオ・アウディトーレの物語が完結し、本作では主人公がコナーへ交代した。舞台もイタリアやコンスタンティノープルのようなヨーロッパ都市から、アメリカ独立戦争期の新大陸へと大きく変わっている。これはシリーズファンにとって非常に大きな転換であり、宣伝においても「新章」「新主人公」「新たな戦場」という印象を与える重要な要素だった。コナーはネイティブアメリカンとイギリス人の血を引く青年で、トマホークや弓を使い、森の中を駆け、独立戦争の混乱の中でアサシンとして戦う人物である。従来の華麗な都市型暗殺者とは違い、自然の中で育った狩人のような主人公であることが、映像や紹介文でも分かりやすく示されていた。さらに、新エンジンによる映像表現の進化も宣伝の中心だった。雪に覆われたフロンティア、木々の枝を伝うフリーラン、兵士たちが入り乱れる戦場、銃撃と砲撃が響く独立戦争の空気など、これまでのシリーズとは違うスケール感を見せることが重視されていた。特に「木に登れる」「森を走れる」「動物を狩れる」「大型帆船を操作できる」といった新要素は、映像で伝わりやすく、宣伝材料としても強かった。過去作のファンに対しては、暗殺、フリーラン、歴史上の人物との関わりというシリーズの魅力を維持しつつ、システムを大きく刷新した作品であることが訴求された。一方で、初めてシリーズに触れる人に対しては、アメリカ独立戦争という分かりやすい歴史背景、弓やトマホークを使う主人公、映画的なアクションの迫力が入口として機能していた。宣伝全体としては、単なる続編というより「ここから新しい『アサシン クリード』が始まる」という雰囲気が強かったと言える。
店頭販売ではWiiUの大作枠を担った一本
WiiU版の販売方法としては、通常のパッケージソフトとしてゲームショップ、家電量販店、オンライン通販などで取り扱われた。WiiU本体発売直後の店頭では、任天堂の看板タイトルやファミリー向けソフトが目立つ一方で、本作のような海外大作はコア層へ向けた選択肢として置かれていた。発売当時のパッケージソフト売り場では、新ハードのローンチ作品として複数のジャンルが並ぶことが重要だった。アクション、スポーツ、パーティー、格闘、レース、RPG風アドベンチャーなど、さまざまな遊びが用意される中で、『アサシン クリード III』は重厚な歴史オープンワールド枠として存在感を持っていた。WiiU購入者の中には、『New スーパーマリオブラザーズ U』や『Nintendo Land』のような任天堂タイトルを本命にしていた人も多かったが、同時に「HD機になったWiiUで、本格的な海外ゲームを試してみたい」と考えるユーザーにとって、本作は分かりやすい候補だった。販売面では、プレイステーション3版やXbox 360版が先に発売されていたため、WiiU版はシリーズファン全体の中心というより、新ハード向け移植版としての意味合いが強かった。すでに他機種で購入したプレイヤーはWiiU版を改めて買う必要性が薄く、WiiU版の主な対象は、WiiUで初めて本作を遊びたい人、任天堂ハード中心に遊んできた人、GamePad機能に興味を持った人だったと考えられる。とはいえ、ローンチ期のラインナップとして海外AAA級タイトルが含まれていたことは、ハードのイメージ作りにおいて重要だった。WiiUが単なるWiiの延長ではなく、HD画質の大作も扱えるハードであることを示す材料になっていたからである。店頭の宣伝でも、独立戦争、暗殺者、広大な世界、GamePad対応といった要素は、他のソフトと差別化しやすいポイントだった。
コマーシャルや映像宣伝で伝えられた映画的な迫力
『アサシン クリード III』の宣伝において、映像は非常に重要な役割を果たしていた。シリーズ自体がもともと映画的な演出を得意としており、主人公が高所から飛び降りるイーグルダイブ、群衆の中に潜む暗殺者、歴史的事件の裏側で動く陰謀など、短い映像でも魅力を伝えやすい作品だった。本作ではそこに、独立戦争の戦場、雪の森、マスケット銃を構える兵士、巨大な帆船による海戦といった新しい絵が加わった。特にコナーが戦場を駆け抜ける場面や、木の上から敵を狙う場面、トマホークで兵士を倒す場面は、従来作との違いを一目で伝えられる要素だった。テレビCMや店頭映像、公式トレーラーでは、物語の細かな説明よりも、まず視覚的なインパクトが重視された。白いアサシンローブをまとった主人公が、銃火の中を走り、敵陣へ飛び込み、歴史の転換点に関わっていく。この構図は、シリーズを知らない人にも「大きな歴史の中で戦うアクションゲーム」という印象を与えやすかった。また、アメリカ独立戦争というテーマは、海外市場では特に強い訴求力を持ち、日本でも「教科書で名前を見たことがある時代の裏側を体験できる」という分かりやすさがあった。ボストン茶会事件などの歴史的な出来事がゲーム内ミッションとして登場することも、紹介記事やプレイリポートで取り上げられやすかった。WiiU版の場合は、GamePadの画面を使ったプレイスタイルも宣伝上のポイントになった。手元にマップを表示しながらテレビ画面でアクションを行うという見せ方は、新ハードらしい特徴として分かりやすい。ただし、本作の宣伝の中心はあくまでシリーズ全体の大作感であり、WiiU独自機能は補助的な魅力として位置づけられていた。コマーシャル的には、歴史、戦争、暗殺、自由、復讐といった重い言葉と、迫力あるアクション映像を組み合わせることで、大人向けの本格作品であることを強く印象づけていた。
販売実績とシリーズ内での位置づけ
『アサシン クリード III』は、シリーズ全体で見ると非常に大きな注目を集めた作品である。エツィオ三部作後の新章として世界規模で宣伝され、複数機種で展開されたこともあり、シリーズの知名度をさらに押し上げたタイトルのひとつになった。販売実績を語る場合、WiiU版単体よりも、プレイステーション3版、Xbox 360版、PC版などを含めたマルチプラットフォームタイトルとしての存在感が重要である。WiiU版はその中の一角であり、国内ではWiiU本体発売と同時に登場したことで、新ハードのソフトラインナップを厚くする役割を担った。シリーズの中心的なファン層はすでに他機種でプレイしていた可能性が高いため、WiiU版が最も売れた機種というわけではないが、任天堂ハードに『アサシン クリード』を届けたという意味では記録に残る。シリーズ内での評価は、後年になるほど少し複雑になっている。本作は発売当時からグラフィック、海洋ミッション、戦闘モーションなどが高く評価された一方で、バグやUI、テンポの悪さ、フルシンクロ条件の厳しさなどが批判された。そのため、単純な人気作というより、シリーズの変化を象徴する挑戦作として語られることが多い。特に海洋ミッションは、後に『アサシン クリード IV ブラック フラッグ』で大きく発展する要素であり、本作がその土台を作ったことは大きい。つまり本作は、完成度だけでなく、シリーズの進化に与えた影響という面でも重要である。WiiU版についても、任天堂ハードにおける本格海外大作の導入例として意味がある。後にWiiUの市場全体は苦戦したが、ローンチ期にこうしたタイトルが用意されていたことは、当時の任天堂が幅広いユーザーを取り込もうとしていた姿勢を示している。
現在の中古市場ではパッケージ版が中心
現在『アサシン クリード III』のWiiU版を入手しようとする場合、基本的には中古パッケージ版を探す形になる。WiiUのニンテンドーeショップではソフトの新規販売が終了しているため、ダウンロード版を新たに購入することはできない。そのため、未購入者がこれから実機で遊ぶには、中古ショップ、オンライン通販、オークション、フリマ系サービスなどでパッケージ版を探すのが現実的である。中古市場での価格は、状態、付属品、在庫数、ショップの販売方針、送料の有無によって大きく変わる。安価な出品では千円前後、状態や販売店によっては数千円台で見かけることもあり、相場は一定ではない。ディスクのみ、説明書やケース付き、美品、未開封品、ショップ保証付きなど、条件によって価格差が出やすい。WiiUソフト全体の中古市場では、任天堂の人気タイトルやプレミア化した一部作品に比べると、本作は極端な高額レアソフトという位置づけではない。ただし、WiiU版『アサシン クリード III』は流通量が無限にあるわけではなく、地域の中古店では見つからない場合もある。特に実店舗では、WiiU棚そのものが縮小していることが多く、在庫があっても数本だけというケースが珍しくない。オンラインでは見つけやすいが、送料を含めると表示価格より高くなることもあるため、購入時には総額で比較する必要がある。また、本作はCERO Z指定のため、販売店によっては年齢確認が必要になる。中古で購入する場合は、ディスクの傷、ケースの状態、説明書や特典の有無、動作確認の有無を確認しておくと安心である。WiiU本体そのものも現行機ではないため、今から遊ぶ場合は本体、GamePad、ACアダプター、HDMIケーブル、センサーバーの必要性など、周辺環境も合わせて確認したい。
コレクション価値は「WiiU初期の海外大作」という文脈で高まる
中古市場における本作の価値は、単にゲーム内容だけでなく、WiiUの歴史の中でどのような位置にあったかによっても見方が変わる。『アサシン クリード III』は、WiiU本体と同日に国内で発売された海外大作のひとつであり、任天堂ハードにおけるサードパーティ製コアゲームの象徴的な存在だった。WiiUは、ハードとしては後に苦戦した印象が強いが、その初期には多様なジャンルのソフトをそろえようとする意欲があった。本作はその中で、歴史アクション、オープンワールド、CERO Z、マルチプラットフォーム大作という性格を持ち、任天堂タイトルとは異なる購買層を狙った一本だった。そのため、WiiUのソフトを体系的に集めているコレクターにとっては、ローンチ期のラインナップを構成する重要なピースになる。特にパッケージ、ジャケット、説明書、特典物などがそろった状態で保管されているものは、単に遊ぶためだけでなく、当時のWiiU市場を振り返る資料的価値もある。もっとも、本作はシリーズ全体では複数機種で発売されており、ゲーム内容そのものを遊ぶだけなら他機種版やリマスター版などの選択肢もある。そのため、WiiU版独自のコレクション価値は「WiiUで発売されたこと」「任天堂ハード初期のアサシンクリード体験であること」「GamePad対応版であること」に集約される。純粋な希少性だけで見ると極端なプレミアソフトではないが、WiiUソフトを集める人、任天堂ハードで展開されたサードパーティ大作に興味がある人、シリーズの各機種版を比較したい人には魅力がある。中古価格が比較的手に取りやすい範囲にある時期であれば、コレクション目的でも購入しやすい一本と言える。
今から購入する際に確認したいポイント
現在中古でWiiU版『アサシン クリード III』を購入する場合、まず確認したいのは、自分が何を目的に買うのかである。純粋にゲームを遊びたいだけなら、ディスクの状態と動作確認が最も重要である。WiiUのディスクは傷や汚れがあると読み込み不良を起こす可能性があるため、オンライン購入では商品説明や写真をよく確認したい。ケースや説明書の有無にこだわらないなら、安価なディスクのみの商品も候補になるが、コレクション目的ならケース、ジャケット、説明書、付属チラシなどがそろっているかを重視した方がよい。次に、価格は送料込みで比較する必要がある。中古ショップの表示価格が安くても、送料や手数料を含めると別の出品の方が安い場合がある。また、状態表記の「良い」「可」「非常に良い」などは販売店によって基準が異なるため、過信しすぎない方がよい。CERO Z指定タイトルであるため、購入時に年齢確認が求められることもある。さらに、オンライン要素については現在のサービス状況に注意が必要である。WiiUおよび3DSのオンラインプレイ関連サービスは終了しているため、発売当時と同じオンラインマルチプレイ環境を期待することはできない。したがって、今から本作を遊ぶ場合は、主にシングルプレイのストーリー、探索、海洋ミッション、ホームステッド、収集要素を楽しむものとして考えるのが自然である。WiiU版ならではのGamePad補助表示は、実機で遊ぶ理由のひとつになる。テレビ画面に大きく世界を映し、手元でマップを確認しながら進める感覚は、他機種版とは少し違う。現在は最新機種で遊べるリマスターや別バージョンも存在するため、快適さを優先するならそちらを選ぶ考え方もあるが、WiiU当時の空気を味わいたいなら、パッケージ版を実機で遊ぶ価値は残っている。
市場での立ち位置を踏まえた総合評価
『アサシン クリード III』WiiU版は、現在の中古市場において、極端な高額プレミア作品というより、WiiU初期を象徴する大作マルチタイトルとして見られる一本である。価格は時期や状態によって変わるが、比較的手に取りやすい出品もあり、WiiU本体を持っている人なら今からでも試しやすい部類に入る。ただし、ダウンロード版の新規購入ができないこと、WiiU関連サービスが終了していること、オンライン要素を当時と同じように遊べないことは理解しておく必要がある。購入価値を考えるうえでは、本作を単なる中古ゲームとして見るか、WiiUの歴史を感じる一本として見るかで印象が変わる。ゲーム内容だけなら、他機種版や後発のリマスター版の方が快適な場合もある。しかし、WiiU版には、任天堂ハードで『アサシン クリード』の本格ナンバリングを遊べたという独自の意味がある。2012年当時、WiiUは新しい任天堂据え置き機として、家族向けだけでなくコア向けのゲームもそろえようとしていた。その象徴のひとつが本作だった。宣伝面では、独立戦争、コナー、新エンジン、海洋ミッション、GamePad対応という要素が押し出され、販売面ではローンチ期のラインナップを厚くする役割を果たした。現在では、当時の熱気やWiiU初期の試行錯誤を振り返る資料のような価値もある。中古で見かけた時、単に安いから買うというより、「WiiUで海外大作がどのように展開されていたのかを体験する」という視点で手に取ると、より面白く感じられる。粗さや時代を感じる部分はあるが、WiiUの棚に並べた時の存在感は十分であり、シリーズファン、WiiUコレクター、歴史アクション好きにとっては今でも注目する価値のある一本である。
■■■■ 総合的なまとめ
シリーズの転換点として大きな意味を持つ一作
『アサシン クリード III』は、単に前作の続きとして作られた作品ではなく、シリーズ全体の方向性を一度大きく組み替えようとした転換点のようなタイトルである。エツィオ・アウディトーレを中心とした物語が長く続いた後、プレイヤーは新しい主人公コナー、新しい時代であるアメリカ独立戦争期、新しい舞台である北米大陸へと導かれる。これまでのシリーズが、ヨーロッパの歴史都市を屋根伝いに移動し、権力者の裏側へ忍び寄る作品として印象づけられていたのに対し、本作は森林、雪原、港、戦場、大海原といった広い環境を用意し、暗殺者の活動範囲を一気に広げた。そこには、シリーズを同じ形で続けるのではなく、新しい遊びと新しい物語を取り入れて、より大きな歴史アクションへ発展させようとする意欲がある。もちろん、その挑戦がすべて完璧に成功しているわけではない。操作感の変化、システムの複雑化、テンポの悪さ、バグ、フルシンクロ条件の厳しさなど、遊びやすさの面では粗も目立つ。しかし、それでも本作がシリーズの歴史において重要なのは、ここで導入された海洋ミッション、自然環境でのフリーラン、豪快な戦闘モーション、大規模な戦争表現が、後の作品に少なからず影響を与えているからである。特に海戦は次作以降で大きく開花し、シリーズの人気要素のひとつへ発展していった。そう考えると、本作は完成形というより、次の時代へ進むための実験と土台を兼ねた作品だったと言える。WiiU版はその大作を任天堂ハードで体験できた貴重な存在であり、ハード初期のラインナップにおいても独自の重みを持っていた。
コナーという主人公が作品全体に与えた独特の苦味
本作の総合的な印象を決める大きな要素は、主人公コナーの人物像である。彼は明るく社交的で、周囲を巻き込みながら成長していく英雄ではない。むしろ、怒り、喪失、責任、疑念を抱えながら、それでも自分の信じる道を進もうとする不器用な青年である。母の死、村の未来、土地を奪われる不安、独立派とテンプル騎士団の対立、父ヘイザムとの思想の違いなど、彼の周囲には単純に割り切れない問題が常に存在している。コナーは自由のために戦うが、自由を掲げる側も彼の一族を守ってくれるわけではない。彼はアサシンとして戦うが、教団の理念を最初から深く理解していたわけでもない。彼は復讐を望むが、その復讐がすべてを解決するわけではない。このような複雑さが、コナーを分かりやすい人気主人公から少し遠ざけている一方で、本作ならではの重い余韻を作っている。彼の物語は、勝利の爽快感よりも、歴史の流れの中で個人が何を守れるのかという苦い問いを残す。ヘイザムとの関係も印象的で、親子でありながら敵対し、互いに相手の力や信念を認めながらも、最後まで同じ道を歩むことはできない。ヘイザムは敵側の人物でありながら非常に魅力的で、彼の主張にも一理あるように見えるため、プレイヤーはコナーだけを絶対的な正義として見ることが難しくなる。この善悪の曖昧さは、シリーズのテーマである自由と秩序の対立をより深く見せている。結果として本作は、単純に気持ちよく敵を倒す物語ではなく、歴史と思想に翻弄される人間たちの物語として強い個性を持つことになった。
ゲームプレイ面では新鮮さと不便さが共存している
『アサシン クリード III』のゲームプレイは、新しい楽しさと扱いづらさが隣り合っている。木の上を移動するフリーラン、草むらを使った潜伏、狩り、交易、ホームステッド、海洋ミッションなど、新要素は非常に多い。特にフロンティアの探索は、従来の街中を走るシリーズ作品とは違う感覚があり、雪の森や岩場を越えていく移動は本作ならではの魅力である。都市部と自然地帯を行き来することで、同じオープンワールドでも場所ごとに異なる空気を味わえる。戦闘も大きく変化し、コナーのトマホークやロープダートを使った荒々しいアクションは見応えがある。二人同時のカウンターや銃を利用した反撃など、映像的な迫力は非常に高く、操作に慣れると戦闘そのものはかなり爽快である。一方で、敵の反応が鋭く、街中での移動や潜入が窮屈に感じられる場面も多い。フリーランが簡略化されたことでスムーズになった部分もあるが、意図しない足場へ移動してしまうこともあり、過去作の細かな操作感を好んでいたプレイヤーには違和感を与えた。交易や製作は世界観を広げる要素として面白いが、UIが分かりにくく、何をどう加工し、どこへ売ればよいのかを直感的に理解しづらい。フルシンクロ条件も厳しく、初回プレイで物語を楽しみたい時に、追加目標の失敗表示がテンポを乱すことがある。つまり本作は、要素の量と発想の豊かさでは非常に優れているが、それらを快適に遊ばせる整理整頓の部分では惜しさが残る作品である。遊び込むほど魅力が見えてくる一方で、そこへたどり着くまでに人を選ぶところがある。
海洋ミッションは後のシリーズを予感させる最大級の成果
本作の中で、最も分かりやすく成功した新要素を挙げるなら、やはり海洋ミッションである。大型帆船を操り、帆を張り、舵を切り、敵船との距離を測りながら砲撃を浴びせる遊びは、従来の『アサシン クリード』にはなかった新鮮な体験だった。暗殺者の物語でありながら、プレイヤーが船長として大海原を進むという発想は大胆であり、しかも単なるミニゲームではなく、十分な迫力と手応えを持っていた。砲撃の角度を合わせ、弾種を選び、敵船の帆や船体を狙い分ける流れには、陸上アクションとは違う戦略性がある。船の動きは重く、すぐに方向転換できるわけではないが、その重さが逆に巨大な帆船を動かしている実感を生んでいる。船員たちの声、波のうねり、砲弾の音、敵船が炎上する光景が合わさり、本作の中でも特に印象に残る場面になっている。海洋ミッションが高く評価されたことは、後の作品で海賊要素や船の探索が本格化していく流れにもつながった。そう考えると、『アサシン クリード III』はシリーズの未来を一部先取りしていた作品でもある。仮に本作がシステム面で粗を抱えていたとしても、海戦という新しい柱を見つけた功績は大きい。WiiU版でこの海洋ミッションを遊ぶ場合、テレビ画面に広がる海と船の迫力、手元画面による情報確認が組み合わさり、ローンチ期の大作らしい豪華さを感じられる。シリーズファンにとっても、後の海洋作品へ続く原点として、本作の海戦は一度体験する価値がある要素である。
WiiU版として見た場合の価値と惜しさ
WiiU版『アサシン クリード III』は、任天堂ハードの歴史の中でも興味深い位置にある。WiiUはWiiの後継機として登場しながら、HD画質への対応、GamePadという独自コントローラー、そしてサードパーティの大作を取り込む姿勢を打ち出していた。その中で本作は、任天堂らしい明るいゲームとは異なる、大人向けの重厚な海外アクションとしてラインナップに加わった。これは、WiiUがファミリー向けだけでなく、幅広いプレイヤーを意識したハードであることを示す意味を持っていた。GamePadによるマップ表示や補助機能は、広いフィールドを探索する本作と相性が良く、いちいち画面を切り替えずに情報を確認できる利便性があった。特に目的地を追いながら街や森を移動する場面では、手元に地図があることが快適さにつながる。ただし、WiiU版ならではの画期的な遊びが全面的に用意されていたわけではない。基本的には他機種版をWiiU向けに調整した内容であり、GamePad機能も補助的な役割にとどまる。そのため、すでに他機種で遊んでいたプレイヤーにとっては、WiiU版を選ぶ強い理由がやや弱かった面もある。それでも、任天堂ハードで本格的な『アサシン クリード』を遊べたことには意味がある。WiiU初期の棚に本作が並んでいたことは、当時の任天堂がサードパーティ大作を呼び込み、より広いゲーム市場へ踏み出そうとしていた証でもある。現在振り返ると、WiiU版は単なる移植版以上に、ハードの可能性と課題を同時に映したタイトルだったと言える。
欠点を含めても、ボリュームと意欲は非常に大きい
本作には確かに欠点がある。序盤の展開は長く、コナーが本格的にアサシンとして動き始めるまでに時間がかかる。敵兵の感知や追跡は厳しく、ステルスを楽しみたい場面で思うように動けないことがある。フルシンクロ条件は初見で分かりにくく、達成を狙うとストレスが大きい。交易や製作は発想こそ面白いが、メニューの使い勝手がよくない。バグや細かな不具合も、没入感を削ぐ場面がある。これらは総合評価において無視できない問題であり、実際に本作の評価が大きく割れた理由でもある。しかし、それでも本作を簡単に低く評価しきれないのは、作品全体に込められたボリュームと意欲が非常に大きいからである。メインストーリーだけでなく、ホームステッド、狩り、海洋ミッション、収集、都市解放、弟子育成、ミニゲーム、データベースなど、遊べる要素はかなり多い。歴史上の人物や事件も豊富に登場し、アメリカ独立戦争期の雰囲気をゲームとして体験できる。アクション面でも、コナーのモーションや海戦の迫力など、後年に残る成果がある。つまり本作は、完成度が均一に高いというより、尖った魅力と粗が同居した大作である。遊ぶ人によっては不満が先に立つかもしれないが、別の人にとっては忘れがたい体験になる。シリーズの中でも、整った優等生というより、野心的で荒削りな挑戦作という表現がよく似合う。粗さがあるからこそ惜しく、惜しいからこそ記憶に残る作品である。
今から遊ぶなら、完璧を求めすぎず世界を味わうのがよい
現在『アサシン クリード III』WiiU版を遊ぶなら、最初からフルシンクロや完全収集を目指すより、まずは物語と世界観を味わうことを優先するのがおすすめである。本作は追加目標や収集要素が多いため、完璧に進めようとすると一気に負担が増える。特にフルシンクロ条件は厳しいものがあり、初回プレイで無理に狙うと、ストーリーの流れや歴史劇としての面白さが途切れやすい。まずはコナーの物語を追い、ヘイザムとの関係、独立戦争の裏側、アサシンとテンプル騎士団の思想対立をじっくり見る方が、本作の良さを感じやすい。そのうえで、気に入った要素を深掘りしていくとよい。戦闘が楽しいなら装備や道具を試し、海戦が気に入ったなら船の改造を進め、世界観に浸りたいならホームステッドミッションを進める。フロンティアで狩りをしながら自然を歩くのも、本作ならではの楽しみ方である。WiiU版の場合は、GamePadの地図表示を活用して、目的地や周辺情報を確認しながら進めると探索がしやすい。現在ではオンライン関連の要素を当時のまま楽しむことは難しいが、シングルプレイ部分だけでも十分なボリュームがある。古い作品として遊ぶ場合、操作やUIに時代を感じることはあるが、それを含めて2012年当時の大作アクションとして味わうと納得しやすい。最新作の快適さと比べるより、シリーズがどのように変化しようとしていたのかを見る作品として向き合うと、本作の価値はより分かりやすくなる。
総合評価は「不完全だが重要な大作」
総合的にまとめると、『アサシン クリード III』WiiU版は、不完全さを抱えながらも、シリーズとWiiUの両方にとって重要な意味を持つ大作である。ゲームとしての完成度にはばらつきがあり、テンポやUI、バグ、ミッション条件など、快適さを損なう部分は確かにある。しかし、独立戦争期のアメリカを舞台にした重厚な世界観、新主人公コナーの苦味ある物語、ヘイザムとの思想的な対立、自然環境でのフリーラン、迫力ある戦闘、そして後のシリーズへつながる海洋ミッションなど、評価すべき要素も非常に多い。特にシリーズの流れを考えると、本作はエツィオ時代の終わりと、新しい時代の始まりをつなぐ橋のような作品である。過去作の延長線だけでは作れなかった新要素を大量に投入し、その中には後に大きく発展する種が含まれていた。WiiU版としても、ローンチ期に任天堂ハードで本格的な海外オープンワールドアクションを遊べたという価値がある。GamePad対応は控えめながら、マップ確認などで実用性があり、WiiUならではのプレイ感を少し加えていた。万人に勧めやすい滑らかな名作というより、歴史アクション、シリーズ研究、WiiUソフト収集、独立戦争期の世界観に興味がある人ほど味わい深くなる一本である。粗を許容できるなら、現在でも十分に遊ぶ価値はある。『アサシン クリード III』は、完璧な作品ではない。しかし、失敗を恐れずに大きく変わろうとした作品であり、その挑戦が後のシリーズを前へ進めた。だからこそ、WiiU版を含めた本作は、単なる過去のマルチタイトルではなく、シリーズの進化を語るうえで欠かせない作品として記憶されるべき一本である。
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