
【中古】PC-FXソフト 天外魔境 電脳絡繰格闘伝
【発売】:ハドソン
【開発】:ハドソン
【発売日】:1995年7月28日
【ジャンル】:格闘ゲーム
■ 概要
発売当時の背景とPC-FXという舞台
1995年7月28日、ハドソンはPC-FX専用ソフトとして『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』を世に送り出した。この作品は、当時のゲーム業界が2Dから3Dへと急速にシフトしていた転換期に登場している。セガサターンやプレイステーションがポリゴン描画を武器に市場を席巻しつつある中、NECのPC-FXは「フルアニメーション再生」という異なる強みを打ち出していた。そのため、PC-FXのタイトルは3Dグラフィックを売りにするのではなく、むしろアニメーションや映像的演出を重視した独自の進化を遂げていた。『電脳絡繰格闘伝』も例外ではなく、格闘ゲームでありながらキャラクターの動作や必殺技をフルアニメーション映像で描写するという、他機種とは一線を画した試みを前面に押し出していたのである。
『天外魔境』シリーズの流れ
『天外魔境』シリーズは1989年にPCエンジンで第1作『天外魔境 ZIRIA』が登場して以降、和風ファンタジーと壮大なストーリーで多くのファンを魅了してきた。その人気の高さは、続編『天外魔境II 卍MARU』やスピンオフ作品『風雲カブキ伝』へと受け継がれていった。本作『電脳絡繰格闘伝』はそうしたシリーズの豊かなキャラクター資産を活かし、RPGではなく対戦型格闘ゲームとして新しい表現に挑戦した異色作である。シリーズのヒーロー・自来也や戦国卍丸をはじめ、カブキ団十郎、絹、マントーなど、ファンにとって馴染み深いキャラクターが総出演。さらに本作オリジナルの「猫姫」「タマ」といった新キャラクターも加わり、オールスター格闘祭典といえる構成になっていた。
ゲームシステムと映像表現
従来の格闘ゲームがドット絵やポリゴンによるリアルタイム描画を軸にしていたのに対し、本作は「バトルヒート」で確立された“動画再生型格闘”のシステムをさらに進化させた。あらかじめ収録された膨大なアニメーション映像を、プレイヤーの入力コマンドに応じて再生し、まるでアニメーションがリアルタイムに格闘を繰り広げているかのように見せる仕組みである。この技術は、PC-FXの持つ強力な動画圧縮再生能力を最大限に活かしたものだった。キャラクターの動作は滑らかで、必殺技の演出はまるでOVAを観ているような迫力を持ち、当時のユーザーに強烈な印象を与えた。
物語の軸 ― ヨミの復活
ストーリー面では、『天外魔境II 卍MARU』で討たれたはずの悪神ヨミが、一片の細胞から復活するという衝撃的な展開から幕を開ける。ヨミは過去に敗れた悪の戦士たちを蘇らせ、さらには海外から新たな戦力まで招き寄せ、再びジパング制圧を狙う。彼が選んだ戦場は富士山麓という象徴的な場所で、邪悪な波動を察知した火の一族の勇者たちがこれを迎え撃つべく集結する。まさに「再び訪れた決戦」の舞台として、プレイヤーはシリーズおなじみのキャラクターたちを操作し、因縁深き宿敵との壮絶な戦いに挑むことになる。
多彩なゲームモード
『電脳絡繰格闘伝』には、大きく分けて3つのモードが用意されていた。ひとつは連戦形式で強敵に挑む「勝ち抜き戦」、もうひとつはCPUやプレイヤーとの「練習試合」、そして紅組・白組に分かれて対抗戦を楽しめる「紅白試合」である。これらのモードは単なるバリエーション以上の役割を果たしていた。勝ち抜き戦ではキャラクターの技や立ち回りを極める挑戦の場となり、練習試合は初心者が動画連動型の操作感に慣れるための舞台となり、紅白試合は友人同士で盛り上がるためのエンタメ性を持っていた。
登場キャラクターと豪華声優陣
この作品のもう一つの大きな魅力は、登場キャラクターとその声を担当する声優陣の豪華さにあった。主人公格の自来也は岩田光央、戦国卍丸は伊倉一恵、カブキ団十郎は山口勝平といった人気声優が名を連ねる。敵役には千葉繁、池田秀一、永井一郎といったベテラン勢が揃い、オリジナルキャラの猫姫役には折笠愛、妹タマには小桜エツ子と、90年代アニメシーンを代表する声優陣が多数参加している。声と映像が一体化することで、キャラクターたちは単なる格闘ゲームの駒を超え、生き生きとした存在感を放っていた。
PC-FXにおける位置づけ
『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』は、PC-FXの中でも特に注目度が高いタイトルの一つだった。なぜなら、当時すでにPC-FXは競合機に押されて市場シェアが伸び悩んでおり、キラータイトルの不足が課題視されていたからである。『天外魔境』というビッグネームの新作がPC-FX専用で登場することは、大きな販促材料となった。結果的には市場全体の流れに抗うことはできなかったが、PC-FXの独自路線を象徴する一本として、現在でも語り草になっている。
総括
まとめると、『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』は、90年代半ばのゲーム業界において非常にユニークな立ち位置を持つタイトルであった。フルアニメーションというPC-FXならではの技術を活用し、人気シリーズのキャラクターを一堂に集め、格闘ゲームというジャンルに挑戦した作品。その背景には、当時のゲーム機戦争やシリーズの歴史が深く関わっており、単なるスピンオフ作品以上の意義を持っていた。今なお一部のファンに強い記憶を残し続けるのは、その挑戦的な姿勢と、豪華なキャスト・映像演出が結実した結果だといえるだろう。
■■■■ ゲームの魅力とは?
フルアニメーションによる格闘表現の迫力
『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』最大の特徴は、PC-FXの映像表現力を前面に押し出した“フルアニメーション格闘”という形式にある。一般的な格闘ゲームでは、ドット絵やポリゴンによる連続した描画によってキャラクターが動く。しかし本作では、OVAさながらのアニメーション映像を収録し、プレイヤーの操作に応じて場面ごとに映像を切り替えることでバトルを表現していた。この方式により、通常技ひとつにしてもアニメ的な演出が施され、必殺技では画面いっぱいに華やかなカットが展開する。格闘ゲームでありながら“見る楽しさ”が強調されており、プレイヤーは自分が操作しているキャラクターがアニメの主人公として暴れ回っているかのような感覚を味わうことができた。
『天外魔境』オールスターの競演
ファンにとって特筆すべきは、これまでの『天外魔境』シリーズから人気キャラクターが一堂に会した点である。『ZIRIA』の自来也や綱手、『卍MARU』の戦国卍丸や絹、そしてスピンオフ『風雲カブキ伝』のカブキ団十郎といった主役級が勢ぞろいしている。さらにシリーズ全体の名物敵キャラクターであるマントーや菊五郎なども参戦しており、いわば「天外魔境版・夢の格闘祭典」と言える内容だった。これまでRPGとしてしか触れることのできなかったキャラクター同士の直接対決を体験できるというのは、当時のファンにとって大きな魅力であり、話題性も抜群だった。
豪華声優陣による臨場感
映像と並ぶ本作の大きな魅力は、声優陣の熱演にある。岩田光央や伊倉一恵、山口勝平といった90年代を代表する声優陣がキャラクターに命を吹き込み、さらに池田秀一や千葉繁、永井一郎といった重鎮が敵役を支えることで、戦闘シーンは単なる対戦の域を超えたドラマ性を帯びていた。勝敗の瞬間や必殺技の叫び声はプレイヤーの心を揺さぶり、映像と声が一体化することでアニメ作品と同等の没入感を生み出していた。
多彩なモードで楽しみ方が広がる
勝ち抜き戦ではシリーズボスたちとの緊迫した連戦を体験でき、練習試合は操作に慣れたり特定キャラの動きを研究する場となった。そして紅白試合では仲間同士でワイワイ盛り上がる団体戦的な楽しみ方が可能だった。特に紅白試合は、パーティゲーム的要素を取り入れていた点で注目される。格闘ゲームがシビアな1対1の勝負になりがちな中で、本作は「皆で盛り上がる」方向性を意識していたことがうかがえる。
アニメファンをも魅了した演出
単なるゲームの枠を超え、アニメファンに向けても強い訴求力を持っていた。背景やエフェクトの描き込みはテレビアニメ以上に濃密で、攻撃を繰り出すたびに流れる演出はまるで新作OVAの戦闘シーンを見ているようだった。当時はゲームとアニメの境界線がまだはっきりしていたが、本作はその垣根を取り払おうとする意欲作として位置づけられる。
家庭用ゲームにおける挑戦的な試み
他のハードでは3D格闘ゲームが脚光を浴びていた時代に、あえて“映像美”に重点を置く格闘スタイルを選んだのは非常に挑戦的だった。格闘ゲームとしての操作性には賛否があったものの、ゲームを“見せる”エンターテインメントとして徹底していた点は、後のムービー演出型ゲームの先駆けとも言える。
ファン層の拡大
従来の『天外魔境』はRPGユーザーを中心に支持されていたが、本作は格闘ゲームファンやアニメファンをも巻き込み、シリーズの裾野を広げる役割を担った。必ずしも万人に受け入れられたわけではないが、“シリーズの外縁を広げる”という点では意義深い挑戦だったといえる。
映像作品としての魅力
繰り返し遊ぶうちに「ゲームをしている」というより「OVAを繰り返し鑑賞している」感覚になることもしばしばあった。これは欠点でもあり魅力でもあったが、少なくとも「ゲームでしか見られないアニメ映像」を体験できる点はファンにとって強烈な価値を持っていた。
総合的な魅力のまとめ
『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』の魅力を総括するなら、「天外魔境オールスターによる映像演出重視の格闘祭典」と表現できるだろう。PC-FXという限られた舞台でありながら、フルアニメーション・豪華声優・多彩なモードを組み合わせ、当時として唯一無二の体験を提供した。シリーズのファンはもちろん、アニメや映像表現に興味を持つプレイヤーにとっても強く記憶に残る作品だったのである。
■■■■ ゲームの攻略など
基本操作の理解と慣れ
『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』の攻略において最初に重要なのは、従来の格闘ゲームとは異なる操作感に慣れることである。本作は「動画再生型」の格闘システムを採用しているため、ストリートファイターシリーズのようなリアルタイム入力によるフレーム管理とは勝手が違う。コマンド入力を受け付けた際に、あらかじめ用意されたアニメーションが再生される仕組みであるため、「先読み入力」と「技後の硬直把握」が鍵になる。例えば必殺技を出す際、通常の格闘ゲームよりも入力から演出再生までのタイムラグを感じることがある。これを逆手にとって、相手の行動を予測して先に技を仕込む意識が攻略の第一歩となる。
キャラクターごとの特徴を掴む
登場キャラクターはそれぞれに個性が強く、得意分野も異なる。自来也はバランス型で扱いやすく、初心者におすすめ。戦国卍丸は攻撃力が高い代わりに隙が大きい。カブキ団十郎はスピードと奇襲に長けており、トリッキーな戦法を好むプレイヤーに向いている。絹とシロはタッグ形式で登場し、連携技を駆使することで真価を発揮する。マントーや菊五郎といった敵キャラクターはクセが強く、攻撃判定やリーチが独特なため、操作する際は相手を翻弄するスタイルを意識すると良い。攻略の基本は、まずお気に入りのキャラを一人選び、その強みと弱点をしっかり把握することにある。
必殺技とコンボの活用
本作では必殺技がアニメーション演出を伴って派手に描かれるため、成功した際の爽快感が格別だ。しかし演出に時間を取られる分、発動までの隙を突かれるリスクもある。コンボを組む際は、通常技から必殺技へと自然につなぐ流れを意識することが重要だ。例えば自来也の中攻撃から火遁技に繋ぐパターンや、卍丸の突進技からの連続斬りなど、キャラごとに有効なルートが存在する。練習試合モードを活用し、繰り返し入力を試すことで最適なコンボパターンを身につけるのが上達の近道となる。
相手AIの傾向を読む
勝ち抜き戦モードでは、相手CPUの行動パターンを読むことが鍵になる。CPUは同じ行動を繰り返す傾向があり、たとえば一定距離を保つと飛び道具を多用するキャラや、接近するとすぐに投げを狙うキャラなどが存在する。これらを見抜いて「誘う」ことができれば、CPU戦の攻略は格段に楽になる。特にヨミとの最終戦では、彼が強力な広範囲攻撃を繰り返すため、ガードと回避のタイミングを徹底的に覚える必要がある。
紅白試合の戦略
紅白試合モードでは団体戦的な要素が強く、チーム全体での戦力バランスが攻略のポイントとなる。強キャラを複数集めるよりも、役割分担を考えた編成が有効だ。先鋒はスピード型で奇襲を仕掛け、中堅にはバランス型で安定した勝利を狙い、大将には高火力型を配置するなど、格闘ゲームとしては珍しく「采配的な思考」が求められる。この点が本作のユニークな魅力でもあり、パーティゲーム的な面白さを強化している。
裏技や隠し要素
本作にはいくつかの隠し要素や小ネタも存在した。例えば特定のコマンド入力で猫姫とタマの特殊演出が発動したり、一定条件を満たすと隠しボイスが再生されたりする。また一部のキャラクターは、紅白試合で特定の順序で戦わせると特別な掛け合いが見られるなど、遊び心が盛り込まれている。これらを探すのもプレイヤーにとって楽しみのひとつであった。
難易度調整と学習曲線
『電脳絡繰格闘伝』は操作に独特のクセがあるため、初めは戸惑うプレイヤーも多かった。しかし練習試合で慣れていくうちに、入力と映像が一致する快感を味わえるようになり、難易度曲線が滑らかに感じられるようになる。攻略を重ねるにつれ「次はもっと上手く技をつなげたい」「ヨミに完全勝利したい」と自然に意欲が湧く設計になっているのも、本作の長所のひとつだ。
攻略のまとめ
総じて攻略の要点は「システムへの慣れ」「キャラ特性の理解」「CPUの癖を読む」ことに尽きる。従来の格闘ゲームの感覚で挑むと戸惑うが、本作独自のリズムを体得できれば、アニメと格闘の融合が生み出す独特のゲーム体験を存分に味わえる。特にお気に入りキャラを極めたときの達成感は大きく、攻略そのものが一種のシリーズ愛を深める行為となっていた。
■■■■ 感想や評判
発売当時のプレイヤーの第一印象
1995年に本作を手にしたプレイヤーの多くは、まず「格闘ゲームなのにアニメを見ているようだ」という驚きを口にした。特にPC-FXというマイナーなハードを購入してまで遊ぶユーザーは、映像表現に強い関心を持っていた層が多く、派手な必殺技や滑らかなアニメーションに満足感を覚えたという声が少なくない。一方で、従来の格闘ゲームの操作感に慣れたプレイヤーからは「テンポが独特で最初は戸惑う」との意見も目立った。
ゲーム雑誌や専門誌での評価
当時のゲーム雑誌レビューでは、本作は賛否が分かれた。グラフィックや声優陣の演技、シリーズファンへのサービス精神については高評価が多く、「PC-FXらしいソフトの代表」と位置づけられた。しかし一方で、格闘ゲームとしての完成度にはやや疑問符がつけられ、「本格的な対戦格闘を求めるユーザーには不向き」と指摘された記事もある。多くの媒体が共通して述べていたのは、「映像を楽しむ作品」であるという点であり、これは長所でもあり短所でもあった。
シリーズファンの反応
『天外魔境』シリーズを追い続けてきたファンにとっては、これまでRPGの文脈でしか描かれなかったキャラクター同士の戦いが、格闘アクションという形で実現したことは大きな喜びだった。自来也と卍丸の夢の対決、カブキ団十郎とヨミの因縁バトルなど、ファンが想像していたシーンが実際に映像化されたことに感動を覚えた人も多い。キャラクター同士の掛け合いや勝敗時のセリフは「ファンサービスの極み」として歓迎された。
アニメファンからの注目
ゲームファンに加えて、当時のアニメファンからも一定の注目を集めた。理由はやはり「ゲームでここまで本格的なアニメ演出が楽しめる」という点にある。必殺技や勝利演出のクオリティはOVA並みで、声優陣の熱演も相まって「これは新しい形のアニメだ」と評する声もあった。特にPC-FXはアニメ的演出を売りにしたハードであったため、その特性を体現した本作は、アニメ誌でも話題にされるほどだった。
操作性への賛否
最も意見が割れたのが操作性についてである。「コマンド入力が素直に反映されない」「演出が長くてテンポが途切れる」と不満を抱いたプレイヤーも多い。特にストリートファイターIIや餓狼伝説といった同時期の王道格闘ゲームに慣れていたユーザーにとって、本作は異質であり、格闘ゲームとしての手応えを感じにくい部分があった。しかし逆に「リアルタイム性を気にせず、アニメを操作している感覚が楽しい」と肯定的に受け止めたユーザーも存在し、好みがはっきり分かれる作品だった。
長期的な評価と再評価
発売から年月が経つにつれて、本作は「PC-FXを象徴するタイトルのひとつ」として語られるようになった。市場では失敗とされることが多いPC-FXだが、その中で『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』は確かに存在感を放っていた。現在では、格闘ゲームとしての完成度よりも「90年代半ばにこんな挑戦をしていた」という実験的価値に注目されることが多い。レトロゲーム愛好家の間では、PC-FXを語る際に必ず名前が挙がる一本であり、独自性と挑戦精神が再評価されている。
マイナー機種ゆえの話題性
PC-FXというハードが市場的に成功しなかったため、本作は当時から「知る人ぞ知るタイトル」として扱われていた。しかしその希少性が逆にプレイヤーの記憶に残りやすく、「あの頃PC-FXを持っていた人なら必ず遊んでいた一本」として思い出話の常連になっている。現在でも動画サイトやSNSで紹介されると、「懐かしい」「持っていた」といった反応が集まり、マイナーであること自体が魅力となっている。
まとめ:賛否両論が示す独自性
総じて『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』は、評価が大きく割れた作品である。映像や演出、シリーズファン向けの要素は高く評価され、操作性やゲーム性については厳しい意見が少なくなかった。しかしこの賛否両論こそが本作の独自性を示しており、今でも語り継がれる理由となっている。決して万人向けではなかったが、強烈な印象を残したことは間違いなく、PC-FXの歴史を振り返るうえで外せない一作となっている。
■■■■ 良かったところ
アニメーションの迫力と美しさ
『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』の最大の魅力として多くのプレイヤーが挙げたのは、やはりアニメーションの迫力だ。攻撃一つひとつに専用のアニメーションが用意され、特に必殺技では画面全体を使った派手な演出が展開する。まるでOVAのクライマックスシーンを自分の操作で呼び出しているような体験は、他機種では味わえない独自の爽快感をもたらした。これまでの格闘ゲームが“操作感”や“反射神経”に重きを置いていたのに対し、本作は“視覚的満足感”を優先し、ユーザーに強烈な印象を残した。
シリーズキャラクター総出演の豪華さ
本作は『天外魔境』シリーズのオールスターが集う夢の舞台でもあった。自来也、戦国卍丸、カブキ団十郎といった歴代主人公が一堂に会し、これまで共闘やすれ違いでしか関わらなかったキャラクター同士が直接対決する。ファンが長年夢見てきた「誰が最強か」という想像を、実際に操作して確かめられる点は大きな魅力だった。RPGでは見られなかった意外な掛け合いが勝敗時のセリフに盛り込まれており、ファンサービス精神が徹底していた。
豪華声優陣による熱演
本作の演出を支えたのが、当時第一線で活躍していた声優陣の熱演である。岩田光央の熱血キャラ、自来也の掛け声。伊倉一恵が演じる卍丸の力強い叫び。山口勝平の軽妙かつ華やかなカブキ団十郎。そして敵役には池田秀一の冷徹なヨミ、千葉繁の怪演マントーなど、アニメファンなら誰もが知る名優が揃っていた。単なる効果音ではなく、芝居として戦闘シーンを盛り上げることで、ゲームに深い臨場感を与えていた。
多彩なモードによる遊びやすさ
勝ち抜き戦、練習試合、紅白試合という3種類のモードがあったことで、初心者から熟練者まで幅広い層が楽しめた。特に練習試合は独特な操作に慣れる格好の場として重宝され、紅白試合は友人同士の集まりで盛り上がるための要素として人気だった。格闘ゲーム初心者でも「見て楽しむ」ことができた点は、本作ならではの良い部分といえる。
新キャラクターの存在感
オリジナルキャラである猫姫とタマは、シリーズファンにとって新鮮な存在だった。グラマラスな猫姫と幼い妹タマのコンビは、戦闘中の連携演出がユニークで、既存キャラに埋もれない個性を放っていた。彼女たちは「このゲームで初めて登場したキャラ」として、後年にわたり語り草になっている。特に猫姫の挑発的なセリフや仕草は、多くのプレイヤーの印象に残り、作品のアイコン的存在となった。
PC-FXらしい独自路線
『電脳絡繰格闘伝』は、他機種では実現できなかった「映像主導の格闘表現」を実際の形にしたタイトルであり、PC-FXというハードのコンセプトをもっとも体現していた作品の一つだった。サターンやプレステが3Dグラフィックの進化を競っていた時代に、「アニメを操作する」という路線を選んだ独自性は、後に振り返ると確かな価値を持っていたといえる。
ファン同士での盛り上がり
紅白試合モードや勝ち抜き戦は、ファン同士の交流を盛り上げる要素として機能していた。特にオフ会やゲームショップの試遊台では「誰がどのキャラを使うか」で大いに盛り上がり、勝敗以上に演出を楽しむ雰囲気があったという。アニメ的な演出が観客にも分かりやすいため、プレイしていない人も楽しめた点は、通常の格闘ゲームにはない強みだった。
思い出に残る一本としての価値
ハードが短命だったこともあり、本作をプレイした人は決して多くはない。しかし遊んだ人にとっては強烈に記憶に残る一本となっている。映像美、キャラクター、声優陣、そして“PC-FXならでは”という特別感が合わさり、「あの頃しかできなかった体験」として語り継がれている。
まとめ:強烈な個性と挑戦精神
『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』の良かった点を総括するなら、「強烈な個性と挑戦精神に満ちていた」という一言に尽きる。ゲームとしての完成度以上に、“ここでしか体験できないものを作ろう”という意欲が結晶しており、ユーザーはそこに価値を見出した。映像とキャラクター愛に支えられた本作は、時代を超えて語られる“良さ”を持つ作品であった。
■■■■ 悪かったところ
操作レスポンスの重さ
本作を遊んだプレイヤーの多くがまず感じたのは、操作とキャラクターの動きが直結していない“レスポンスの重さ”だった。従来の格闘ゲームは、入力から動作までが瞬時に反映されることで「思った通りに動かせる」感覚が快感を生み出していた。しかし『電脳絡繰格闘伝』は、アニメーション映像を再生する仕組み上、コマンド入力後にどうしても演出処理が入る。その結果、ワンテンポ遅れて動作が始まる印象があり、素早い反応を求めるプレイヤーにとってはストレスになった。
格闘ゲームとしての自由度の低さ
また、技の出方や行動の切り替えがあらかじめ収録された映像に依存しているため、他の格闘ゲームで可能な「細かいキャンセル操作」や「高度なコンボ構築」ができなかった。対戦における駆け引きの幅が狭く、結局は「相手の動作を読んで先に入力しておく」戦法が中心になりがちで、長期的に遊ぶとマンネリを感じるという意見が多かった。
テンポを崩す演出の長さ
必殺技のアニメーションは見応えがある一方で、対戦を繰り返すうちに「長すぎてテンポが悪い」と感じる人もいた。特に勝ち抜き戦の後半では何度も同じ必殺技を見ることになり、派手さが逆に飽きの原因になってしまった。演出をスキップできる機能があれば改善できただろうと語るプレイヤーも少なくない。
ゲームバランスの偏り
キャラクターによって強さの差が極端だった点も課題のひとつだ。卍丸やヨミのように攻撃範囲が広く火力も高いキャラがいる一方で、扱いが難しいキャラは対戦で勝ちにくい。結果的に対戦環境では「強キャラばかりが選ばれる」傾向が生まれ、多彩なキャラクターが揃っているにもかかわらず、実際に使われるのは限られた数人という状況になりやすかった。
PC-FXの普及率の低さ
ゲーム内容そのものの問題ではないが、PC-FXというハードの普及率が極端に低かったことも“悪かったところ”として語られる。せっかくのシリーズ人気作でありながら、多くのゲーマーがプレイできず、口コミで広がるチャンスを逃した。加えて、アーケードや他機種で流行していた格闘ゲームと比較され、「結局PC-FXでしか遊べないマイナー作品」という評価にとどまってしまった。
対戦の盛り上がりに欠ける
格闘ゲームの醍醐味といえば、プレイヤー同士の読み合いや一瞬の反応で決まるスリルだが、本作ではレスポンスの重さや自由度の低さが災いして、「盛り上がりに欠ける」という声もあった。観戦している人にとってはアニメを観るようで楽しいものの、実際にプレイしている側からすると、勝負の決着がやや淡白に感じられる場面も多かった。
演出偏重ゆえの評価の分かれ方
アニメーションを売りにした作品であるがゆえに、演出を楽しめるかどうかで評価が大きく分かれてしまった。映像を楽しみたい人には最高だが、格闘ゲームとしての緊張感を求める人には物足りない。これは「ゲーム」と「映像作品」の間にある立ち位置の難しさを如実に示している。
ロード時間や処理の待ち時間
当時としては仕方のない部分ではあるが、技の切り替えやキャラクターの演出が再生される際、ディスクアクセスによる微妙なロードを感じることがあった。これもテンポを崩す要因となり、快適さに欠けると評価された部分だ。
総括:尖った魅力の裏返し
結局のところ『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』の悪かった点は、その独自性の裏返しでもあった。アニメーション表現を重視した結果、格闘ゲームとしての自由度やレスポンスが犠牲になった。映像に力を入れたからこそテンポの悪さが目立ち、派手な必殺技も繰り返すと単調に映った。だが、これらは同時に「映像演出型格闘」というジャンルを成立させた証でもある。評価が二分したのは、本作が挑戦的だったからに他ならない。
[game-6]
■ 好きなキャラクター
自来也 ― 王道の主人公としての存在感
シリーズ第1作『天外魔境 ZIRIA』の主人公である自来也は、多くのプレイヤーから「やはり一番好きだ」と挙げられるキャラクターだった。真っ直ぐで情熱的な性格、そして火遁を駆使するダイナミックな技の数々は、映像演出型の本作において特に映える。プレイヤーが格闘ゲームに不慣れでも扱いやすく、バランスの取れた性能を持つため初心者人気も高かった。声を担当する岩田光央の熱演も魅力を引き立て、勝利時の台詞は今でも記憶に残っているというファンも多い。
戦国卍丸 ― 荒削りな豪快さ
『天外魔境II 卍MARU』の主人公、戦国卍丸は「力強さの象徴」として根強い支持を集めた。斬撃を主体とした豪快な技は演出面でも迫力があり、敵を一刀両断する姿に痺れるプレイヤーは少なくなかった。隙が大きい分、上級者向けのキャラでもあったが、そのリスクを乗り越えて勝利を掴んだときの快感は格別。伊倉一恵の低めで力強いボイスがキャラクター性と見事にマッチし、シリーズファンから「卍丸こそ真の主人公」と評されることもあった。
カブキ団十郎 ― 派手さとユーモアの両立
歌舞伎をモチーフにした異色のヒーロー、カブキ団十郎は、本作でも強烈な個性を放っていた。彼の必殺技はとにかく派手で、舞台役者のような所作を取り入れた演出は他キャラにはない華やかさがあった。山口勝平の軽妙な声色も相まって、戦闘がシリアスになりすぎず、どこかユーモラスに楽しめる。対戦で選んだとき、観戦者の注目を集めやすいキャラであり、盛り上げ役として人気を博した。
絹とシロ ― 温かさを感じさせるペアキャラ
『天外魔境II』から登場した絹と、その相棒である犬のシロ。この二人はセットで一組のキャラクターとして戦う形式で登場した。絹の優しげな性格とシロの健気な動きは、多くのプレイヤーに癒しを与えた。必殺技の中にはシロが飛び込む演出があり、動物好きのプレイヤーから「可愛すぎて負けても許せる」と絶賛された。井上あずみの柔らかな声質がキャラクターの魅力をさらに際立たせ、ファンの間では“心のオアシス”として記憶されている。
マントー ― 愛される道化的存在
シリーズ皆勤の敵キャラ、マントーは本作でも欠かせない存在だった。千葉繁の独特のテンションの高い演技が加わり、敵でありながら憎めない愛嬌を持つキャラクターに仕上がっている。技の一つ一つがコミカルで、対戦相手を苛立たせるどころか笑わせてしまうことすらあった。ファンの間では「マントーを選んだ時点で勝ち負け以上に場が盛り上がる」と言われ、人気投票でも意外と上位に食い込むことがあったほどだ。
ヨミ ― カリスマ的な悪役
『天外魔境II』の最終ボスである悪神ヨミは、本作でも圧倒的な存在感を誇っていた。池田秀一の低く冷徹な声は、まさに宿命のライバルにふさわしい威圧感を持ち、彼が登場するだけで空気が張り詰める。強力な技と広い攻撃範囲を持ち、対戦では恐れられる一方で「どうしても使いたい」と思わせるカリスマ性があった。シリーズの悪役の中でも特に人気が高く、「ヨミで勝利したときの高揚感が忘れられない」と語るファンは少なくない。
猫姫とタマ ― 本作オリジナルの華
『電脳絡繰格闘伝』で新たに登場した猫姫と妹のタマは、オリジナルキャラながらファンの記憶に深く刻まれた存在だった。金髪の猫姫は挑発的で妖艶な雰囲気を持ち、戦闘中も相手を小馬鹿にするような仕草やセリフが多い。一方、幼いタマは無邪気さと小悪魔的な性格を兼ね備えており、姉妹での連携攻撃が他にない魅力を放っていた。プレイヤーからは「シリーズに新しい風を吹き込んだ」と高く評価され、今でも“PC-FXを象徴するキャラ”として語られることが多い。
その他の印象深いキャラクター
菊五郎や黄金のカンビエなど、脇役的なキャラも存在感を示していた。特に菊五郎は千葉繁の怪演によって強烈なインパクトを残し、敵キャラ好きのプレイヤーに支持された。また、アニメ的な演出によって「単なる敵キャラ以上の個性」が付与されていた点も、本作のキャラ人気を支える要因となった。
総括:キャラ愛が支えた作品
『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』は、ゲームシステムに賛否があったものの、キャラクター人気が作品を支えていたことは間違いない。誰を選んでも強い個性と声優陣の熱演によって印象に残りやすく、“推しキャラを操作して戦う楽しみ”がファンを惹きつけた。シリーズを通じて愛されてきた面々と新顔の共演は、この作品の最大の財産だったといえるだろう。
[game-7]
■ 中古市場での現状
PC-FXソフトとしての希少性
『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』は、PC-FX専用タイトルという時点で非常に希少な存在である。PC-FXそのものがセガサターンやプレイステーションに押されて販売本数が少なかったため、当時のユーザー層が限られていた。その結果、現代の中古市場においては「出品数が少ない」「状態の良いものがさらに限られている」という特徴が顕著に表れている。一般的な人気ハードのソフトに比べて流通量が少ないため、価格が安定しにくく、出品者と購入希望者の間で値段が大きく動くことも珍しくない。
ヤフオク!での取引傾向
ヤフーオークションでは、本作は数か月に一度程度のペースで出品されることが多い。価格帯は2,000円から4,000円程度が中心で、状態や付属品の有無によって大きく変動する。説明書や帯(当時のハードケースに付属していた広告紙)が欠けている場合は相場よりも安めに落札されるが、逆に「状態良好」「動作確認済み」と明記されているものは3,500円前後で即決されるケースもある。希少性の高さから、ウォッチリストに入れるユーザーが複数現れる傾向があり、終了間際に競り合いになることもある。
メルカリでの販売状況
フリマアプリのメルカリでは、PC-FX関連のソフト全般が安定した出品数を保っているわけではなく、本作も例外ではない。数週間出品がない期間もあれば、立て続けに複数出品されることもある。取引価格は2,500円〜3,500円程度が多く、出品者が「即購入歓迎」と記載している場合はすぐに売れてしまう。ソフト単品での出品が多いが、箱や説明書が付属しているとやはり人気が高く、価格がやや高騰する。特に「シリーズファン向け」と書かれた商品説明は購入意欲を刺激し、すぐにSOLDマークが付く傾向がある。
Amazonマーケットプレイスでの価格動向
Amazonの中古ゲーム市場では、相場はやや高めに設定される傾向がある。『電脳絡繰格闘伝』の場合、出品されていれば3,500円〜5,000円程度の価格が付くことも少なくない。これはAmazon倉庫発送やプライム対応による安心感が価格に上乗せされているためである。実際、同じ状態の商品でもヤフオクやメルカリより1,000円ほど高く販売されている例が多い。Amazonは安定して出品されるわけではなく、在庫切れの状態が続くこともあり、出品を見かけたときに購入を即決するファンも少なくない。
楽天市場での取り扱い
楽天市場に出品されることもあるが、こちらは中古ゲーム専門店が中心で、価格は3,000円〜4,500円ほどに設定されている場合が多い。楽天はポイント還元を利用できるため、多少高くても「楽天ポイントで購入したい」という需要が存在する。ショップによっては「美品」「完品」としてコレクター向けに強調して販売しており、通常よりも高値で取引されるケースもある。
駿河屋での相場と在庫状況
中古ゲーム大手の駿河屋では、本作は定期的に入荷と売切れを繰り返している。価格帯は2,200円〜3,200円程度で推移しており、タイミングによっては在庫がゼロの時期もある。駿河屋は状態表記が丁寧で、コンディションに応じて価格が分かれているのが特徴だ。そのため「安心して購入できる」という理由から、駿河屋をチェックするコレクターも多い。
未開封品・完品の希少価値
未開封の新品や完品状態の本作は非常に稀で、見かけると価格は一気に跳ね上がる。4,000円〜6,000円程度で出品されることが多く、場合によってはそれ以上になることもある。特に外箱の美しさや説明書の保存状態は価格に直結し、少しの擦れや日焼けでも値が下がる。コレクターは「保存用」として購入することもあり、未開封品は出れば即売れとなる傾向がある。
コレクター市場での評価
『天外魔境』シリーズは根強いファンが多く、シリーズ作品を揃えるコレクションの一環として本作を求める人も多い。特にPC-FXという限定的なハードにしか存在しないタイトルであるため、「シリーズを網羅したい」というコレクター心理が価格を支えている。格闘ゲームとしての評価は賛否が分かれていても、シリーズの歴史を語るうえで欠かせない作品である点が、中古市場での安定した需要を生み出している。
総括:市場における独自の立ち位置
総じて『天外魔境 電脳絡繰格闘伝』は、中古市場において「安く手に入る隠れた名作」ではなく「希少価値のあるコレクターズアイテム」として扱われている。取引価格自体は突出して高額ではないものの、出品数が少なく状態の良いものが限られているため、実際に手に入れるには運とタイミングが必要になる。PC-FXを象徴する一本であり、シリーズファンにとってはコレクションに欠かせない存在として、今も静かに流通を続けている。
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