『エイトマン』(1963年)(テレビアニメ)

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【原作】:平井和正
【アニメの放送期間】:1963年11月7日~1964年12月24日
【放送話数】:全56話
【放送局】:TBS系列
【関連会社】:TCJ、旭通信社

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■ 概要

1960年代初頭、日本のテレビアニメ史に大きな足跡を刻んだ作品のひとつに、『エイトマン』がある。1963年11月7日から1964年12月24日まで、TBS系列で放送されたこの作品は、全56話の構成で展開された。放送当時、子どもたちを中心に熱狂的な支持を得たこのシリーズは、当時としては画期的なテーマと演出を取り入れたSFアクションアニメとして、多くの視聴者の記憶に残る存在となった。

原作は作家・平井和正と漫画家・桑田次郎のコンビによるもので、まず『週刊少年マガジン』にて漫画が連載されており、その人気の高さがアニメ化につながった。主人公である「エイトマン」は、死の淵からサイボーグとして蘇った元刑事で、人知を超える力とスピードを駆使して悪と戦うというストーリー設定が斬新でありながらも、現代の技術への憧れや不安、そして正義と人間性の葛藤といった深いテーマも内包していた。

テレビアニメとしては、まだ白黒放送が主流だった時代に登場し、ロボットやサイボーグといった当時の最先端の想像力を刺激する要素を軸に据えていたことで、一気に子どもたちの人気をさらった。エイトマンの動きには滑らかなアニメーション技術が取り入れられ、その走行シーンは一目でわかる特徴的な演出となっていた。彼が疾走するシーンでは、背景が高速でスクロールする視覚効果が多用され、そのスピード感は今なお語り草である。

また、この作品が日本のテレビアニメに与えた影響は大きい。ロボットやサイボーグを主人公とするフォーマットは後の『サイボーグ009』や『キカイダー』といった作品にも引き継がれ、アクションとSFの融合というジャンルの礎を築いたと言えるだろう。その意味で『エイトマン』は、後のアニメ文化の発展においてひとつの分岐点となる重要な作品と位置づけられる。

さらに、番組制作には多くのクリエイターが関与しており、その中にはのちにアニメ業界で名を馳せる人物たちも含まれていた。音楽面では印象的な主題歌が視聴者の心を掴み、主人公の存在感と合わせて「忘れられないアニメ」として多くのファンに語り継がれている。

このアニメは、ただのアクションではなく、ヒーローとしての「存在の在り方」や「人間性とは何か」といったテーマを投げかけていた点において、単なる娯楽作品を超えた哲学的な側面も持ち合わせていた。エイトマンが悩み、苦しみ、なおも正義の道を歩み続ける姿は、当時の視聴者にとって、単なるフィクションを超えた“共感”の対象だったのかもしれない。

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■ あらすじ・ストーリー

一人の刑事が、任務中に命を落とす。彼の名は東八郎(あずま・はちろう)。しかし、この死は物語の終わりではなく、むしろ新たな始まりだった──。

ある国家機関の科学者たちの手によって、東は驚異的な人工身体=超高性能サイボーグとして再生される。そして、彼は新たな名前「エイトマン」を授かり、法の影に生きる正義の番人として再び街に戻ってくる。番号の「8」は、秘密裏に存在する特別捜査サイボーグの最後のひとりであることを意味していた。

エイトマンは、一般人としては正体を隠しながら、変装技術や驚異的なスピード、パワー、耐久性を駆使して、次々に現れる凶悪な敵や巨大犯罪組織と戦っていく。彼の活躍の舞台となるのは、サイボーグ技術や超兵器、洗脳などが横行する近未来的な都市。そこでは、単純な窃盗や殺人だけでなく、テクノロジーを悪用した超人的な犯罪が日常的に起こっていた。

物語の中でエイトマンが対峙するのは、単なる悪党ではない。冷酷な科学者、異形のサイボーグ、洗脳された子どもたち、そして己の過去……。彼が正義の名のもとに戦う一方で、自分自身が「人間なのか、機械なのか」という根源的な問いに苦しむ様子も描かれ、シリーズ全体に深みを与えている。

また、彼の活躍を支えるのは、かつての上司である田中警部や、心の拠り所となる少女・関サチ子ら人間たち。彼らの存在は、エイトマンにとっての「人間らしさ」を保つ重要な要素となっている。特にサチ子とのやりとりには、無機質になりがちなストーリーに温かみを与える役割があり、視聴者の感情移入を誘った。

毎話ごとに異なる事件が発生し、それを解決する中で、エイトマンの正体が危うくなる場面や、力を使いすぎてエネルギー切れを起こすスリリングな描写もあり、子ども向けでありながらも、サスペンス色の強い演出が印象的だった。特に、彼のエネルギー源が“特殊なタバコ型カートリッジ”というユニークな設定は、当時としては斬新で、物議を醸す一因にもなった。

物語が進むにつれ、エイトマンが抱える孤独や使命感、そして「人間に戻れるのか」という微かな希望とともに、敵との戦いのスケールも拡大していく。後半には、過去の自分と決別するような回や、自らの存在意義を問い直すエピソードなども盛り込まれ、単なる勧善懲悪のヒーローものとは一線を画す構成になっていた。

全体を通じて、『エイトマン』は「正義とは何か」「心を持つとはどういうことか」「科学の進歩は人類を救うのか破滅へ導くのか」といった普遍的テーマを、多くの子どもたちに問いかけた作品であった。そんな問いに真正面から向き合う主人公の姿があったからこそ、エイトマンは時代を超えて語り継がれる“孤高のヒーロー”となったのである。

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■ 登場キャラクターについて

『エイトマン』の魅力は、主人公の活躍だけでなく、彼を取り巻く人間関係の豊かさや敵対者の多様性にもある。物語を彩るキャラクターたちは、単なる脇役ではなく、それぞれが物語を動かす鍵を握る存在として重要な役割を担っている。

まず、物語の中核をなすのは、やはり主人公「エイトマン(東八郎)」だ。彼は元刑事という経歴を持ち、人間としての死を経てサイボーグとして蘇った特異な存在である。サイボーグであることに戸惑いながらも、正義感と責任感を胸に、冷静に事件へと立ち向かう。彼の魅力は、超人的な力にあるのではなく、人間らしい心の揺れにある。時に怒り、時に悲しみ、そして人を助けようとするその姿は、無機質な身体に宿る“魂”そのものだ。

彼のサポートを務める人物の一人が、「田中善右衛門警部」。警視庁捜査一課のベテラン警部であり、エイトマンの正体を知る数少ない理解者でもある。表向きにはエイトマンの存在を公にはできないため、田中警部はしばしば裏から支援を行い、時には命を張ってエイトマンをかばう。頑固だが情に厚いその性格は、正義の象徴とも言える存在で、父親のような包容力を視聴者に感じさせた。

もう一人、物語に温もりを与える存在が「関サチ子」。物語の良心とも言える少女で、東八郎が人間だったころから親しくしていた。エイトマンとなった後も、彼女との交流が物語の中で大きな意味を持つ。彼女の何気ない言葉や、無垢な行動が、機械であるはずのエイトマンに“心”を取り戻させる瞬間があり、その描写は視聴者にとって感動的な場面となった。サチ子の存在がなければ、エイトマンは冷酷な兵器のままだったかもしれない。

さらに、ユニークなキャラクターとして登場するのが「谷方位」。彼は若き刑事として田中警部の部下を務め、現場で奮闘する人間の代表格。無鉄砲で猪突猛進型の性格だが、誰よりも正義を信じている。エイトマンの正体には気づいていないものの、事件のたびに「謎の正義の味方」に憧れる様子が描かれ、視聴者の共感を呼んだ。谷の成長もまた、物語の縦軸として巧みに描かれている。

そして忘れてはならないのが、毎回登場する“敵”たちの個性の豊かさである。科学を悪用したマッドサイエンティスト、改造人間、催眠術師、ロボット犯罪者など、そのバリエーションは幅広く、それぞれが一話完結の中でしっかりとした動機と背景を持っている。単なる悪役ではなく、人間の欲望や孤独、社会への反発などを抱えた者たちであり、彼らとの対決を通じてエイトマン自身が“人間性”について思索を深める構造になっていた。

また、敵キャラクターの中にはエイトマンと同様に“元人間”である者もおり、「自分はなぜ機械にされたのか」「機械にされた者の行き着く先はどこか」といった問いをぶつけてくる。それに対するエイトマンの反応は一様ではなく、時には戦うことを拒み、時には自らの過去と向き合わざるを得なくなる。こうした葛藤が、視聴者に深い感情移入を促していた。

また、女性キャラクターたちも忘れてはならない。登場頻度こそ高くはないが、エイトマンの任務に絡む形で登場する女性科学者や情報屋、犯罪組織の女幹部など、強い意志を持ったキャラクターが多く描かれた。当時の作品としては珍しく、女性キャラがストーリーの進行において能動的な役割を果たす描写もあり、現代的な視点から見ても評価される点の一つである。

こうして『エイトマン』の世界には、主人公を中心に多彩な人物たちが緻密に配置され、それぞれが物語を動かす力を持っていた。彼らとの出会いや別れ、時に衝突し、時に理解し合うことで、エイトマンは「ただの正義の使者」から「思考し、迷い、成長する存在」へと昇華していった。

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■ 主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング

1960年代のアニメにおいて、音楽が果たした役割は想像以上に大きい。中でも『エイトマン』は、その代表例として今もなお語り継がれる作品である。番組の冒頭から流れる主題歌は、画面に登場する主人公の勇姿と相まって、子どもたちの心を強く打った。放送から半世紀以上が経った今でも、そのメロディを口ずさめる世代は少なくない。

オープニングテーマ「エイトマンの歌」は、前田武彦が作詞、萩原哲晶が作曲・編曲を手がけ、克美しげるが堂々と歌い上げた。軍歌調に近い力強いリズムと、わかりやすく親しみやすいメロディが特徴で、イントロを聴いた瞬間にエイトマンの姿が思い浮かぶような、強烈な印象を残した楽曲だった。

「光の速さで走るぞ エイトマン!」というサビの一節は、まさに彼の象徴。リズムの中に正義感が満ちており、アニメを観る前のテンションを一気に高めてくれた。視聴者の中には、学校の帰り道にこの歌を口ずさみながら走ったという人も多かっただろう。子どもたちにとっては、ただのアニメソングではなく、自分自身がエイトマンになった気持ちを味わえる“変身の合図”のような存在だったのだ。

この曲の魅力は、そのリズムとメロディにとどまらない。歌詞に込められたメッセージ性も非常に高く、正義とは何か、人々を守るとはどういうことかという価値観が、わずか1分半ほどの中に凝縮されている。また、子どもだけでなく、当時の親世代からも「聴きごたえがある」と高く評価され、レコードとしても好調な売れ行きを記録した。

当時は、現在のような“キャラクターソング”という概念は存在していなかったが、視聴者の中には「サチ子や田中警部にもテーマ曲があったら…」と空想を膨らませた者もいた。のちの時代、ファンによって創作された「イメージソング集」なども存在し、それらは同人文化やアニメ音楽研究の一部として今でも評価されている。

一方、挿入歌やBGMの使い方にも『エイトマン』は特有の美学を持っていた。特に戦闘シーンでは、エイトマンのスピードを表現するために、通常の効果音だけでなく疾走感のあるブラスやパーカッションが重視され、視覚と聴覚の両面から「彼の凄さ」を伝える演出が施されていた。これにより、彼の登場シーンにはどこかヒーロー映画のような重厚感が漂い、毎回のクライマックスが音楽によって引き締められていた。

また、視聴者の間では、「エイトマンの走る音」と「主題歌のフレーズ」が無意識のうちに結びついていたという声も多く、音楽と演出が融合した作品づくりの先駆けとも言えるだろう。今日のアニメにおける“主題歌とキャラクターの一体化”という表現は、この作品のような初期のチャレンジによって育まれた側面がある。

さらに興味深いのは、1980年代以降に再放送や映像ソフトが発売される中で、この主題歌が繰り返し再評価されてきた点だ。特に1990年代のレトロアニメブームにおいては、当時のアニメソングを集めたコンピレーションCDの中に本曲が収録され、“昭和アニメ主題歌の名曲”として高い人気を集めた。

リマスター版やアナログ盤の復刻、デジタル配信など、媒体を変えて何度も蘇るこの楽曲は、まさに『エイトマン』という作品の“魂の音”と言えるだろう。ノスタルジーに浸る世代から、初めて触れる若いリスナーまで、多くの人々に“昭和のヒーロー”を伝えるメッセンジャーのような存在となっている。

このように、『エイトマン』の音楽面の特徴は、単なるBGMやオープニングの枠を超え、キャラクターや世界観と結びつきながら、アニメというメディアそのものの表現の幅を広げる重要な役割を果たしていたのである。

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■ 声優について

『エイトマン』というアニメが放送当時これほどのインパクトを残した理由のひとつに、“声”の力がある。1960年代前半、まだ「声優」という言葉が今ほど確立されていなかった時代にあって、この作品に参加した俳優・ナレーターたちは、キャラクターの魂を吹き込むために全力を尽くしていた。彼らの演技があってこそ、エイトマンは機械でありながら、血の通ったヒーローとして視聴者の心を動かすことができたのだ。

主人公・エイトマン/東八郎を演じたのは、高山栄。彼の声には、低音ながらも穏やかさと知性が宿り、元刑事という背景や、サイボーグでありながら人間性を残すエイトマンのキャラクターに絶妙にマッチしていた。彼の演技には抑制された怒りや、静かな悲しみ、そして断固とした決意が滲んでおり、どのセリフにも“重量感”があった。とりわけ、悪と対峙する場面や、正体がバレそうになったときの緊張感あるトーンは、毎回のハイライトだった。

関サチ子を演じた上田みゆきは、当時としては珍しく繊細で自然な演技をする若手女性声優で、エイトマンとのやり取りに“人間味”と“温度”を与えた存在だった。彼女の演じるサチ子は、ただのヒロインではなく、エイトマンの“人間らしさ”を映す鏡でもあった。可憐さと芯の強さを併せ持つ演技は、多くのファンに深い印象を残した。少女らしい素直な口調で放たれる励ましの言葉や、無邪気な笑い声が、作品全体に柔らかい余韻を加えていた。

谷方位役には原孝之がキャスティングされた。若さと情熱を感じさせるその声は、真っすぐな性格の谷にぴったりで、刑事としての使命感と未熟さが入り混じったリアリティを生み出していた。彼のセリフはしばしばテンポが速く、勢いのある言い回しが多かったが、それこそが“生身の人間”らしさを強調し、エイトマンとの対比を際立たせていた。人間らしい不完全さがにじむその演技は、実写ドラマを思わせる臨場感を持っていた。

そして田中善右衛門警部を演じたのが、ベテラン俳優・天草四郎。力強く深みのあるその声は、まさに“昭和の男”を体現しており、どっしりとした安定感を物語に与えた。上司として、そして時に父親のような存在として、エイトマンとサチ子、谷を見守る田中の言葉には重みがあった。特に「……正義の味方が、ひとりでもいてくれる。それだけで、人間は前を向けるもんだ」というような台詞は、彼の声だからこそ視聴者の胸を打つ名言となった。

これら主要キャストに加え、ゲスト声優たちも個性豊かだった。毎話登場する悪役や科学者、被害者の家族など、多様な登場人物を声だけで演じ分ける必要があったため、ナレーターや舞台俳優出身の演者が多く起用され、ラジオドラマに近い手法での音声演出が行われていた。まだ専業声優が少ない時代だったからこそ、演技には癖や個性が強く、キャラクターに独特の味わいが生まれていたのである。

ちなみに、ナレーションも本作の演出において重要な役割を果たしていた。事件の導入やエイトマンの登場時、物語の締めくくりなどでは、渋く落ち着いた語り口で視聴者を物語世界へと誘ってくれる。ナレーターの一言一言が、作品全体に“格調”を与え、アニメというよりも“映像文学”としての趣を高めていた。

このように、『エイトマン』における声優陣の演技は、視覚的な演出に劣らず、物語のリアリティやキャラクターの深みを支える柱となっていた。現在のアニメにおける「声優=作品の顔」という感覚は、この時代の名演によって育まれてきたとも言えるだろう。アニメ黎明期のこの作品で、すでに“声の力”がここまで完成されていたことに驚かされる。

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■ 視聴者の感想

『エイトマン』がテレビに登場した当時、多くの視聴者にとって、それは単なる“アニメ番組”の域を超えた存在だった。週に一度の放送を心待ちにしていた子どもたち、大人たち、家族全員で食い入るように画面を見つめた記憶──。本作は、1960年代初頭の日本において、テレビの前に集まるという文化を形づくった重要な一例として、今も多くのファンの記憶に残っている。

当時の子どもたちにとって、エイトマンは「憧れの存在」だった。どんな敵にも立ち向かう勇気、仲間や街の人々を守る優しさ、そして超人的なスピードと力。それらは、まるで夢の中のヒーローが現実に飛び出してきたかのような衝撃だった。小学生の間では「俺がエイトマンだ!」と叫びながら通学路を全力で走る姿が日常の風景となり、タバコ型の“エネルギーカートリッジ”に見立てた鉛筆をポケットに入れる子もいた。

一方で、年配の視聴者──つまり当時の親世代や教師──たちからは、「意外と深い作品だ」といった感想も多く寄せられていた。主人公がかつて人間だったという設定、サイボーグとしての宿命、そして自らの存在意義に悩む姿は、子ども向けの作品にしては珍しく哲学的な問いを含んでいたからである。家族で視聴していた層からは、「子どもたちが観ているうちに、自分も引き込まれてしまった」という声も多く、まさに“世代を超えたアニメ”だったと言えるだろう。

また、作品の終盤に近づくにつれ、エイトマンの「孤独」が色濃く描かれていくにつれて、視聴者の感情の向き合い方も変化していった。当初はヒーローを見てワクワクしていた子どもたちも、やがて「彼は本当に幸せなのか?」と疑問を持つようになった。「悪者を倒しても、心が満たされない表情をしていた」「毎回勝っているのに、なぜか寂しそうだった」──そんな記憶を語る元視聴者の証言が、数多く残っている。

特に視聴者の間で語り草になっているのが、彼がエネルギー切れを起こすシーンだ。ヒーローが無敵ではないという事実に、子どもたちは初めて“限界”という現実を知ったとも言われている。残り少ない力で最後の敵に立ち向かうエイトマンの姿に、手に汗握りながら「がんばれ!」とテレビの前で叫んだという声は、今も数多くの回顧談として語られている。

さらに、女性視聴者の間では関サチ子の存在が大きな人気を集めていた。かわいらしい外見だけでなく、常に誰かを思いやる優しさや、時に強く自分の信念を語る芯の強さに、「こんな女の子になりたい」という憧れを抱いた人も多かった。彼女のセリフやファッションは、当時の少女雑誌やイラストコーナーでも頻繁に取り上げられ、ちょっとしたブームになったこともある。

リアルタイム世代だけでなく、のちに再放送やソフト化を通じて本作を知った若い世代からも、「60年代の作品とは思えないほどの完成度だった」「映像表現よりも、物語と演出が印象に残る」「機械と心の狭間で揺れる主人公像が深い」など、時代を超えた共感の声が寄せられている。これは、テーマ性が普遍的であること、そしてキャラクターたちが生きた“感情”を持っていたことの証でもある。

一部のファンからは、「あの時代にこれほど“人間の尊厳”を問いかけるアニメがあったとは驚き」との声も上がっている。高度経済成長期の中で、人々が技術の進歩に希望を持つ一方で、その裏に潜む危うさ──それを子どもたちの心に自然と届けていた点で、『エイトマン』はただのエンタメ作品にとどまらなかった。

また、放送打ち切りとなった事情も含めて、「あの物語はもっと続いてほしかった」という惜しまれる声も少なくない。未完の叙事詩として受け止められているがゆえに、視聴者の想像力の中でいまだに“続き”が描かれている作品とも言えるのだ。

以上のように、『エイトマン』は放送当時から現在に至るまで、幅広い世代から多様な反応を受け取ってきた。単なる懐かしさにとどまらず、今なお“語り継がれる”存在であり続けるのは、作品の中に本物の感情が息づいていた証である。

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■ 関連商品のまとめ

『エイトマン』が1960年代というテレビアニメ黎明期に登場したにもかかわらず、数十年にわたってその人気を維持し続けてきた背景には、多岐にわたる関連商品の存在がある。放送当時はもちろん、その後の再放送・リメイク・復刻ブームの波を受けて、多種多様なグッズが展開され、ファン層の拡大と定着に寄与してきた。

まず注目すべきは、映像メディア関連の展開である。オリジナル放送終了から20年以上が経過した1980年代後半、『エイトマン』のVHS化が実現する。録画機器が家庭に普及し始めたこの時期、当時のアニメファンや親世代が懐かしさから手に取るケースが増加し、「昭和のヒーロー再評価」の波に乗る形で徐々に売上を伸ばしていった。

VHS版は最初、名場面集や人気エピソードを中心とした編集版として登場し、その後、全話収録のシリーズとして展開された。1990年代にはLD(レーザーディスク)でも一部エピソードが販売され、コレクター層を中心に話題を呼んだ。2000年代にはDVDボックスとして復刻され、特典映像やノンクレジットのOP/ED、リマスター映像などが加えられたことで、ファンからの再評価が進んだ。さらに2010年代に入ってからは、Blu-ray版が高画質でリリースされ、資料ブックレットや当時の制作秘話をまとめたインタビュー冊子などが同梱された限定版も登場した。

続いて書籍分野では、原作漫画(平井和正・桑田次郎作)の復刻版が複数の出版社から刊行され、アニメとの違いを比較する動きも広まった。特にマンガとアニメで描写が異なる最終回や登場キャラクターの扱いはファンの間で議論となり、研究書・考察本が複数出版された。その中には、原作者の平井和正が自ら当時の制作現場を振り返ったエッセイも含まれており、貴重な資料として重宝されている。

また、アニメ誌では「アニメージュ」や「OUT」などが特集記事を組み、キャラクター設定や制作の舞台裏、声優インタビューなどが掲載された。ファンブック形式で発売されたムック本も存在し、主人公・エイトマンの構造図や、サイボーグとしての能力の詳細、設定資料などが豊富に収録されている。中には、子ども向け科学読み物として「サイボーグのしくみ」を紹介するページもあり、教育的価値も含んでいた点がユニークである。

音楽面でも『エイトマン』は忘れられない記録を残した。**主題歌「エイトマンの歌」**は、アニメ史上初期のヒットアニメソングとして、EP盤(ドーナツ盤)が当時のレコード店で一般販売され、好調な売上を記録。その後も、アニメソング集や昭和のテレビ主題歌コンピレーションCDに収録される形で息長く流通してきた。2000年代以降にはデジタル配信も開始され、サブスクリプションサービスでの配信により、世代を超えて再生される機会が増えている。

グッズ面では、玩具やホビーアイテムの展開が豊富だった。当時の男児向け玩具として、エイトマンのフィギュアや超合金風の人形が販売されていた。特に注目されたのは、「走るエイトマン」ギミック付きのブリキ玩具や、エネルギーカートリッジ型のペンケースなど、作品の設定を反映させた創意工夫に富んだアイテムである。近年ではレトロ玩具として再評価され、オークション市場で高値がつくことも多い。

また、すごろくゲームやトランプ、ボードゲームなど、家族で楽しめる商品も展開されており、昭和の家庭娯楽の一端を担っていた。これらは当時の少年雑誌の付録にもなり、エイトマンの絵柄を使った塗り絵・迷路・パズルなども子どもたちに人気だった。

文具系では、エイトマンをあしらった下敷き、鉛筆、ノート、消しゴム、筆箱などが昭和40年代の小学生の定番アイテムとなった。特に“顔が描かれた透明下敷き”や“エネルギー補充ステッカー”風のシールは、コレクターアイテムとして今でも高値がつく場合がある。

さらに、**食品系グッズ(食玩)**としても、キャラクターカード付きのガムやチョコ、ミニフィギュア付きのスナック菓子などが一部地域で販売されていた。エイトマンの顔がパッケージに大きく描かれた缶入りビスケットなども登場し、当時の子どもたちのおやつタイムを賑わせた。

近年では、エイトマンの公式ライセンスグッズとして、Tシャツ、トートバッグ、アクリルスタンド、ピンズ、復刻ポスターなども販売され、アニメショップやイベント会場での物販コーナーにも登場している。フィギュアメーカーからは、デフォルメ化されたSDスタイルのフィギュアや、リアル路線の高精細モデルなども発売されており、新旧ファンの両方から支持を集めている。

このように、『エイトマン』はメディアミックス戦略やマーチャンダイジングの観点から見ても、1960年代作品としては異例の広がりを見せたと言える。商品は時代ごとに姿を変えながらも、常に“懐かしさ”と“新しさ”の両方を内包し、アニメと現実をつなぐ架け橋のような存在であり続けているのだ。

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■ オークション・フリマなどの中古市場

現代においてもなお語り継がれるアニメ『エイトマン』は、その関連グッズや映像メディア、書籍などがインターネットオークションやフリマアプリなどの場で盛んに取引されている。1960年代に放送された作品でありながら、コレクターや昭和アニメファン、そしてレトロカルチャー愛好家の間では高い人気を誇っており、その取引状況には一種の“文化的価値”が反映されている。

まず、最も取引頻度が高いのが映像メディア関連だ。VHSやLD(レーザーディスク)といった旧式メディアは、今では再生環境が限られるにもかかわらず、当時のパッケージデザインや限定仕様が評価され、コレクションアイテムとして需要がある。とくにVHS初期のセル版は1本2,000円前後で落札されることが多く、状態の良いものや未開封品であれば4,000円以上になることも珍しくない。

LDはアニメファンや映像メディアマニアの間で特に人気が高く、盤面・ジャケットの保存状態によって3,000〜6,000円での取引が一般的。映像内容は同じであっても、“昭和アニメの記念碑”としてその所有に意味を見出す層が存在するのだ。

また、2000年代に発売されたDVD-BOXや単巻DVDは、もっとも再評価の声が高まっているアイテム群である。ブックレット、特典映像、OP/EDのノンクレジット版、デジタルリマスター仕様などが付属しているバージョンは、プレミア価格での落札も多く、状態が良ければ1万5千円〜2万5千円程度の価格帯で安定している。

続いて、書籍系のアイテムも根強い人気を誇っている。原作コミックス(講談社刊行)に関しては、初版・帯付きのセットがとくに高額で取引される。10巻以上のまとまったセットであれば5,000〜10,000円台に達することもあり、完全保存版・復刻版なども中古市場で流通している。

また、1980〜1990年代にかけて発行されたアニメ雑誌(『アニメージュ』『OUT』『アニメディア』など)のエイトマン特集号は、マニア層にとっては資料価値が高く、1冊1,500円〜3,000円程度で落札されるケースが多い。とくに付録のピンナップやポスターが揃っている場合は、さらに高値で取引される。

音楽アイテムとしては、「エイトマンの歌」を収録したEPレコードが最も人気の高い商品である。ジャケット付きの美品はコレクター市場で2,000〜3,000円前後、盤面・歌詞カードの状態が極上なら5,000円を超えることもある。さらに、サウンドトラックやコンピレーションアルバム(昭和アニメソング集など)に収録されたバージョンも需要があり、CD盤で1,000〜2,000円前後の相場となっている。

ホビーやおもちゃ関連については、特に当時販売された“走るエイトマン”のブリキ製玩具やソフビ人形が高値で取引される。これらは経年劣化しやすいため、美品は希少性が高く、1体3,000〜6,000円、フルセットであれば1万円を超えるケースもある。変身ベルト型のおもちゃや、エネルギーカートリッジ風アクセサリーなどもマニア垂涎の品で、完動品・元箱付きならさらに評価が高まる。

ボードゲームやすごろく、カードゲームといった家庭用娯楽商品も中古市場で静かな人気を誇っている。ルールブックやコマ・サイコロが揃った完品であれば3,000〜7,000円、状態によってはさらにプレミアが付く。また、雑誌付録として出回った紙製グッズ(パズル、ぬり絵、ステッカーなど)も、保存状態の良い未使用品であれば意外な高値がつくことがある。

文房具や日用品も“昭和レトログッズ”として注目されており、エイトマンが描かれた下敷き・ノート・消しゴム・鉛筆セットなどがまとめて出品されることが多い。1品あたりの単価は数百円〜1,500円程度だが、レアなシリーズや未使用の状態ではセットで5,000円以上の落札例もある。また、キャラクターのイラスト入り弁当箱や歯磨きコップなど、当時の生活用品も今では貴重なコレクターアイテムとなっている。

さらに、食玩系グッズ──たとえば、カード付きガム、プラモデル付きスナックなども取引対象となっている。パッケージ未開封であれば食品部分は破棄対象となるものの、外装と付属品が揃っているだけで、昭和ノスタルジーの証として高額落札されるケースもある。

総じて、エイトマンに関する中古市場の特徴は、「古くても人気が落ちない」「再評価され続ける」という2点に尽きる。数十年が経った今でも、彼の姿や声、テーマ曲、グッズに触れることで、誰もが一瞬にして“あの頃のワクワク”を思い出す──そんな作品だからこそ、市場価値だけでなく感情的な価値が加味された取引が行われているのだ。

今後も、映像メディアのアーカイブ化やイベントの開催、復刻グッズの再販などをきっかけに、『エイトマン』はその魅力を新たな世代に伝えていくだろう。そして、オークション市場はその“記憶と情熱の中継点”として、ファンの心の中に残り続けていくのである。

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平井和正(原作、脚本),高山栄(東八郎(エイトマン)),上田美由紀(サチ子),天草四郎(田中課長),萩原哲晶(音楽)販売会社/発売会社:ベストフィールド(TCエンタテインメント(株))発売年月日:2015/02/27JAN:4571317711201警視庁捜査一課の敏腕刑事・東八郎は、犯..

【中古】 想い出のアニメライブラリー 第33集 エイトマン HDリマスター DVD−BOX BOX2/平井和正(原作、脚本),高山栄(東八郎(..

【中古】 想い出のアニメライブラリー 第33集 エイトマン HDリマスター DVD−BOX BOX2/平井和正(原作、脚本),高山栄(東八郎(..
10,406 円 (税込)
平井和正(原作、脚本),高山栄(東八郎(エイトマン)),上田美由紀(サチ子),天草四郎(田中課長),萩原哲晶(音楽)販売会社/発売会社:ベストフィールド(TCエンタテインメント(株))発売年月日:2015/03/27JAN:4571317711218警視庁捜査一課の敏腕刑事・東八郎は、犯..

【中古】 エイトマン DVD−BOX collection 2/平井和正(シナリオ)(原作),桑田次郎(原作),エイトマン/東八郎:高山栄,関サチ子..

【中古】 エイトマン DVD−BOX collection 2/平井和正(シナリオ)(原作),桑田次郎(原作),エイトマン/東八郎:高山栄,関サチ子..
7,623 円 (税込)
平井和正(シナリオ)(原作),桑田次郎(原作),エイトマン/東八郎:高山栄,関サチ子:上田美由紀,(谷方位)原孝之,(田中善右衛門)田上和枝販売会社/発売会社:エイベックス・エンタテインメント(株)(エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ(株))発売..

【中古】 エイトマン DVD−BOX collection 4/平井和正(シナリオ)(原作),桑田次郎(原作),河島治之(構成監督),半村良(シナリ..

【中古】 エイトマン DVD−BOX collection 4/平井和正(シナリオ)(原作),桑田次郎(原作),河島治之(構成監督),半村良(シナリ..
8,712 円 (税込)
平井和正(シナリオ)(原作),桑田次郎(原作),河島治之(構成監督),半村良(シナリオ),エイトマン/東八郎:高山栄,関サチ子:上田美由紀,谷方位:原孝之,田中善右衛門:天草四郎販売会社/発売会社:エイベックス・エンタテインメント(株)(エイベックス・マーケティ..

[中古] エイトマン HDリマスター DVD-BOX1 [DVD]

[中古] エイトマン HDリマスター DVD-BOX1 [DVD]
16,280 円 (税込)
【ストーリー】人間の心とサイボーグの体を持つ刑事「エイトマン」の活躍を描いたSFヒーローアニメが放送から50年の時を経てHDリマスター版の高画質で甦る!DVD-BOX第1弾。1話〜第28話を収録した、4枚組BOX。【特典内容】解説書/初代のりたまパッケージ(ポストカードサイズ..

ベストフィールド創立10周年記念企画第6弾 想い出のアニメライブラリー 第33集 エイトマン HDリマスター DVD-BOX BOX1 [DVD]

ベストフィールド創立10周年記念企画第6弾 想い出のアニメライブラリー 第33集 エイトマン HDリマスター DVD-BOX BOX1 [DVD]
19,965 円 (税込)
DVD発売日2015/2/27詳しい納期他、ご注文時はご利用案内・返品のページをご確認くださいジャンルアニメテレビアニメ 監督出演高山栄上田美由紀天草四郎収録時間700分組枚数4商品説明ベストフィールド創立10周年記念企画第6弾 想い出のアニメライブラリー 第33集 エイトマン..

8woman エイトマン女優8人のいちばん長い日 [ エイトマン(葵つかさ・吉高寧々・美乃すずめ・鷲尾めい・七海ティナ・桃尻かなめ・天国..

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4,950 円 (税込) 送料込
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