『サイオブレード』(パソコンゲーム)

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【発売】:T&Eソフト
【対応パソコン】:PC-8801、PC-9801、FM77AV、X1turbo、MSX2、Windows など
【発売日】:1988年11月19日
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム

■ 概要・詳しい説明

近未来SFとアニメーション演出を前面に押し出したT&Eソフトの大作アドベンチャー

『サイオブレード(PSY-O-BLADE)』は、『ハイドライド』シリーズや『レイドック』シリーズなどで知られるT&Eソフトが1988年に送り出したSFアドベンチャーゲームである。PC-8801mkIISR以降をはじめ、PC-9801、X1turbo、FM77AV、MSX2など、当時の主要な国産パソコン向けに展開され、後年には家庭用ゲーム機のメガドライブにもアレンジ移植された。また現在ではProject EGGによってWindows環境でも復刻されており、1980年代後半の国産パソコンゲームを代表するSFアドベンチャーのひとつとして再び触れやすい環境が整っている。本作が発売された1988年は、日本のパソコンゲーム市場でストーリー重視型のアドベンチャーが大きな転換期を迎えていた時代だった。文字と静止画を中心に進める従来型AVGから一歩進み、画面演出や音楽、イベントシーンを駆使して、あたかも一本のSFアニメーション作品を体験しているようなゲームが求められ始めていた。『サイオブレード』は、まさにその流れを強く意識した作品である。ゲームの根幹はコマンド選択式アドベンチャーだが、画面内の人物や物体を直接指定する感覚の操作、随所に盛り込まれたアニメーション、場面に応じて発生する特殊な操作パート、立体的な迷路探索などを組み合わせ、単に文章を読み進めるだけでは終わらない作品として設計されている。特に発売当時に強調されたのが「全シーンに動きを持たせる」という発想だった。現在のゲームに慣れた目で見ると、動きそのものは数コマ単位の簡素なものも多い。しかし1988年のフロッピーディスク媒体と限られたメモリ容量を考えれば、人物の仕草、乗り物、ドア、機械装置、場面転換などに細かな変化を与え、画面が常に生きているように見せようとした姿勢は非常に意欲的だった。開発段階では大量の原画が用意され、その中から容量との兼ね合いを考えながら採用する画面を絞り込んでいったとされる。それだけでも、本作がシナリオだけでなく「映像を見せるAVG」を目標としていたことが分かる。T&EソフトはそれまでアクションRPG、シューティング、シミュレーションなど幅広いジャンルで技術力を示していたメーカーだが、『サイオブレード』ではその技術を物語型ゲームへ投入した。開発スタッフはプログラム、グラフィック、ゲームデザインなどを分担しながら制作を進め、最終的には宇宙と地上で別々の事件を追う二人の主人公を配置し、それぞれの出来事がひとつの巨大な陰謀へつながっていく二重構造へとまとめられている。

西暦2101年、人類初の恒星間探査成功から始まる壮大な物語

物語の舞台となるのは西暦2101年。人類は長年の夢だった太陽系外への有人恒星間航行を実現し、へびつかい座方向にあるバーナード星系への探査を成功させていた。その中心となったのが恒星間有人探査船「セプテミウス2」である。人類史上に残る巨大事業として出発した同船は、長い航海の末に目的地へ到達し、調査を終えて太陽系への帰路についていた。ところが帰還航行中、セプテミウス2に異常事態が発生する。船を統括する高性能コンピュータ「ラクーン」が理解不能な情報を送ったのを最後に正常な通信が途絶え、船体は予定されていた航路から少しずつ外れ始める。単純な機械故障なのか、乗員側に何か起きたのか、それともラクーンそのものに重大な異常が発生したのか。地球側からは詳しい状況を把握できず、救援のために宇宙船「キャサワリー」が派遣されることになる。キャサワリーには若い航宙士キース・マクダネルをはじめとしたスタッフが乗り込む。彼らの任務はセプテミウス2へ接近し、船内で起きた異常の原因を突き止め、可能であれば乗員を救助すること。しかし現場に到着してみると、そこには単純な宇宙船事故では説明できない状況が待ち受けている。無人に近い船内、正常とは思えないコンピュータ、謎めいたメッセージ、そして調査が進むほど浮かび上がってくる予想外の事実。宇宙編は閉鎖空間型SFとして進み、プレイヤーに「この船で何が起こったのか」という疑問を徐々に膨らませていく。その一方、地球でも重大事件が起きていた。セプテミウス2のメインコンピュータ「ラクーン」の設計に深く関わったシュルツ博士が、何者かによって連れ去られたのである。博士がキューバ沖に位置するサウスハチェット島へ移されたという手掛かりを得た情報機関は、もう一人の主人公ヒューイ・マークフィールドを現地へ送り込む。ヒューイが担当する地上編では、宇宙編とは大きく異なる雰囲気が展開される。キース編が宇宙船内部を調査する本格的なSFミステリーに近いのに対し、ヒューイ編は秘密工作員が敵地へ潜入するスパイアクションとしての色が濃い。南国の島、ジャングル、軍事施設、敵側の警備網などを舞台に、現地へ潜入していた工作員ルイスと接触しながら博士の所在を探っていく。捕らえられる危険、脱出、銃撃戦、秘密施設への侵入などもあり、同じゲームの中でまったく異なるジャンルの物語を味わえる構造になっている。面白いのは、キースとヒューイが一般的なダブル主人公作品のように途中で合流して一緒に戦うわけではない点である。二人は遠く離れた宇宙と地球で、それぞれ別の事件を追っている。しかし両方の事件の根には同じ秘密が存在しており、一方の物語で得られた情報が、もう一方で起きている異常の意味を理解する材料になっていく。二つの独立した線が終盤へ向かって一つの大きな図へ変化する構成こそ、『サイオブレード』の物語面における大きな特徴である。

「場所を選び、そこで何ができるかを考える」独特のアドベンチャーシステム

基本部分はポイント指定型に近いコマンド式アドベンチャーである。ただし当時多かった「見る」「話す」「取る」「使う」といった動詞を最初に決めてから対象を指定する方式とは感触が少し異なり、画面上の人物や設備、ドア、機械などを先に選択すると、その対象に対して可能な行動が表示される仕組みが採用されている。例えば扉を選べば開閉や進入に関係する行動が提示され、人物を選べば会話や調査へつながるといった具合である。マウスと非常に相性が良い設計であり、キーボード主体だった従来AVGよりも「画面そのものを調べている」という感覚を出そうとしている。このインターフェースによって、プレイヤーはコマンド一覧を総当たりするよりも「画面のどこが怪しいのか」を探すことになる。ただし現代的なポイント&クリックAVGほど親切ではない。進行に必要な対象を見落とせば詰まったように感じる場面もあり、会話を繰り返したり、同じ場所を再調査したり、イベント後に以前訪れた場所へ戻ったりする必要がある。1980年代AVGらしく、ゲーム側が次にやるべきことを細かく教えてくれるわけではないため、プレイヤー自身が状況を整理して推理する必要がある。さらに本作は通常のアドベンチャーパートだけで最後まで進むわけではない。物語の局面によってアクション性のある場面が入り、終盤には立体表示による巨大な迷路を探索する場面も登場する。特にこの3D迷路は本作の難所として有名で、単純に用意された地図をなぞれば簡単に突破できるタイプではない。目的地点そのものを直接示すのではなく、プレイヤーが得られる手掛かりを利用して位置関係を推測する必要があり、方向感覚と論理的な考え方の双方が求められる。こうした異なるゲーム性をひとつの作品へ詰め込んだ点は、長所であると同時に本作の癖でもある。純粋にシナリオだけを読みたいプレイヤーにとっては迷路や特殊パートが壁になりやすい。しかしゲームとして考えると、宇宙船を調査し、地上施設へ潜入し、情報を集め、時には自分で危機を突破することで「事件に参加している」感覚が強くなる。映像作品を見るのではなく、その中へ介入して物語を動かすという1980年代後半のアドベンチャーゲームならではの魅力が凝縮されている。

フロッピーディスク時代に「全編アニメーション」を掲げた映像表現

『サイオブレード』を語る上で欠かせないのがアニメーション表現である。発売当時から本作はSFアニメーションアドベンチャーという方向性を強く打ち出していた。当時のPCゲームは、場面が切り替わるたびに一枚のCGが表示され、その下に文章が並ぶ形式がまだ主流だった。その中で『サイオブレード』は、一枚絵を単なる背景として使うのではなく、人物の表情や姿勢を変えたり、機械を作動させたり、扉を開閉したりすることで、イベントに動きを与えようとしている。もちろん現代のフルアニメーションとは意味が違う。数枚のグラフィックを差し替えることで動きを表現したものもあり、フレーム数は限られている。しかし重要なのは映像技術そのものよりも「AVGの画面を止めない」という設計思想だった。イベントが発生すれば何らかの動きが入り、ストーリー上の重要場面では演出が変化する。その積み重ねによって、プレイヤーは静止画中心のゲームよりも映画やテレビアニメに近い感覚で物語を追えるようになっていた。しかも当時のPCゲームはハードウェアごとの差が極めて大きい。PC-8801、PC-9801、FM77AV、X1turbo、MSX2では画面表示、色数、サウンド、メモリ構成、ディスク環境などがそれぞれ異なる。そのため現在のマルチプラットフォーム作品のように完全に同一データを各機種で動かすのではなく、それぞれの環境に応じた調整が必要だった。音楽面も本作独特の雰囲気作りに貢献している。SF的な緊張場面だけでなく、クラシックをアレンジした楽曲なども用いられ、宇宙編、地上編、危機的状況、人物の感情などに合わせて曲調が変わる。MSX2版はFM-PACにも対応しており、環境が整っていればより厚みのあるサウンドを楽しむことができた。後には本作と『レイドック』の楽曲を収めたゲーム音楽商品も発売されており、音楽も作品を構成する重要な要素として扱われていた。

ゲーム攻略と現実世界を結びつけた「メロディーモジュール」

『サイオブレード』を象徴する仕掛けとして、パッケージに同梱された「メロディーモジュール」がある。これはボタン操作によって複数のメロディーを鳴らせる小型の付属装置で、単なる購入特典ではなくゲーム内容そのものへ組み込まれていた。この仕組みには二つの意味がある。ひとつは、ゲーム内に登場する音楽情報と現実の付属品を照合することで謎解きに利用するという体験型ギミック。もうひとつは、当時問題となっていたソフトウェアの不正コピーへの対策である。ゲームデータだけを複製しても、正規パッケージに入っているメロディーモジュールがなければ情報が不足するため、攻略が困難になる。現在でいえば物理的な認証装置と謎解きアイテムを兼用したような存在であり、1980年代らしいユニークなコピー対策だった。この付属物は現在の中古市場でも重要で、オリジナル版をコレクションする場合には箱・説明書・ディスクだけでなく、メロディーモジュールが揃っているかどうかが完全品としての価値を大きく左右する。一方、後年の復刻では現物の装置を用意できないため、ゲームを成立させるための仕組みがソフトウェア側で補われている。つまり『サイオブレード』はパッケージそのものまでゲームデザインの一部だった作品なのである。

キースとヒューイ――性格も立場も異なる二人の主人公

宇宙編の主人公キース・マクダネルは17歳の若い航宙士で、救助船キャサワリーの一員としてセプテミウス2へ向かう。少年から青年へ移る年代のキャラクターを主人公に置きながら、彼が直面するのは未知の惑星へ冒険する明るいスペースオペラではなく、異常を起こした宇宙船という閉鎖環境である。物語が進むほど周囲の状況は不穏になり、自分たちが参加した救助活動そのものの意味まで変化していく。若い主人公だからこそ、プレイヤーと同じ視点で未知の事実に驚き、恐怖し、それでも先へ進む役割を担っている。キースと近い位置にいるヒロイン格がソフィア・ノイマンである。彼女も17歳で、コンピュータ関連の技術を担当するスタッフとしてキャサワリーに参加している。二人の関係には若者らしい感情が感じられ、張り詰めたSFサスペンスの中に柔らかな空気を作る存在でもある。物語がコンピュータ「ラクーン」の謎へ近づいていくため、ソフィアの専門性も単なるヒロインという枠以上の意味を持つ。キャサワリー側にはさらに、救助任務をまとめる主席航宙士ロバート・グレン、ナビゲーターのボブ・ハスラム、宇宙工学技術者マイケル・ウォードなど複数の専門スタッフが参加している。宇宙船物のSF作品らしく、それぞれが担当分野を持っており、ただ主人公に指示を与えるNPCとしてではなく「チームで宇宙船を調査する」雰囲気を作る役割を果たしている。一方の地上編主人公ヒューイ・マークフィールドは、キースとは対照的に情報機関の工作員である。未知の事件へ偶然巻き込まれていく若者ではなく、危険を承知で敵地へ入ることを職務とする人物で、物語の雰囲気も自然にハードになる。サウスハチェット島では、先に現地へ潜入していた工作員ルイス・ブルーデルと協力しながら情報を集める。ルイスにはアレキサンダーというサルの相棒もおり、緊迫したスパイ編の中で独特の存在感を見せる。そして二人の主人公を間接的につなぐ最重要人物がシュルツ博士である。博士はラクーンの設計に深く関わるニューロコンピュータ分野の権威であり、セプテミウス2の異常を理解する上で欠かせない人物として扱われる。宇宙ではキースたちがラクーンの異常を追い、地上ではヒューイがラクーンを理解できる博士を追う。この構造によって「宇宙船の事故」と「科学者の誘拐」という一見別々の事件が、次第に同じ中心へ吸い寄せられていく。

単なる宇宙冒険ではなく、人間・科学・組織の関係を描いたSF

物語の核にあるのは、単純な「暴走コンピュータを止める」という話だけではない。高度な科学技術を人類が手にした時、それを管理し利用するのは誰なのか、その技術を政治や軍事へ利用しようとする者が現れた時、現場の人間はどのような立場に置かれるのか、といった問題が作品全体を流れている。そのため、キースとヒューイは同じ事件に関わりながら、物語上の立場がまったく異なる。キースは宇宙という華やかな舞台で人類史的な事件へ立ち向かう、いわば表側のヒーローである。それに対してヒューイは、地上の陰で危険な任務を遂行する工作員であり、その活動が一般社会から見えるとは限らない。この対比は終盤からエンディングにかけて特に印象的な意味を持つ。事件解決に対する二人の貢献度と、社会から与えられる扱いが必ずしも一致しないという皮肉があり、「英雄とは誰によって作られるのか」という見方もできる。この少し苦味のある後味こそ、本作が単なる少年向けSF作品とは異なるところである。明るい未来社会、人類初の恒星間航行、高度な人工知能といったSFらしい夢を提示しながら、その裏で政治、軍事、情報機関、人間の欲望が絡み合う。宇宙船内の未来的世界と、地上の秘密工作が奇妙なほど自然に同居している。

発売当時の位置づけと、数字だけでは測れない存在感

『サイオブレード』について信頼できる具体的な累計販売本数は、現在確認できる公開資料では明確になっていない。そのため「何万本売れた」といった数字を断定することは避けるべきである。ただし、PC-8801、PC-9801、X1turbo、FM77AV、MSX2という複数の有力パソコンへ展開され、その後メガドライブ版まで制作された事実からも、T&Eソフトが単発の小規模作品ではなく、有力タイトルとして扱っていたことは読み取れる。発売前には専門誌で大きく紹介され、開発スタッフへの取材記事も組まれ、メーカー自身も「SFアニメーションアドベンチャー」という分かりやすい方向性を押し出していた。ゲーム本体だけでなく関連グッズも展開され、後にはゲーム音楽商品も発売されている。一方で、この時代はRPGが急速に市場の中心へ移りつつあり、アドベンチャーゲームというジャンルそのものは以前ほど圧倒的な人気を持たなくなっていた。しかし、だからこそ現在振り返った時の存在感は大きい。静止画中心だったAVGを映像的な方向へ進めようとしたこと、二人の主人公による並行シナリオを採用したこと、物理的な付属品をゲーム攻略へ組み込んだこと、通常のコマンドAVGにアクションや3D迷路を混在させたことなど、ひとつの作品に数多くの実験が詰め込まれている。完成度だけを現代作品と比較するのではなく、「1988年のパソコンでどこまで映画的なSFアドベンチャーを作れるか」という挑戦そのものを見ると、本作の魅力が分かりやすい。

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■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター

宇宙SFとスパイ物を一本のゲームで味わえることが最大の魅力

『サイオブレード』の魅力をひとことで表現するなら、「1980年代の国産パソコンゲームらしい実験精神を、SFアドベンチャーという器へ惜しみなく詰め込んだ作品」といえる。基本的にはコマンド選択型のアドベンチャーゲームなのだが、実際に遊んでみると単なる文章読み進め型とはかなり感触が違う。宇宙船の中を調査するSFサスペンス、南国の島へ潜入するスパイアクション、コンピュータをめぐる科学ミステリー、アニメーションを利用したイベント、特殊操作を要求される場面、さらには終盤の3D迷路まで、ひとつのゲームの中で次々と遊び方が変化していくからだ。特に印象的なのが、キース・マクダネルを主人公とする宇宙側の物語と、ヒューイ・マークフィールドを主人公とする地球側の物語が、それぞれ異なる雰囲気で展開する点である。キース編では、救助任務のために接近した恒星間探査船セプテミウス2で発生している異常を調査することになる。未知の宇宙空間、巨大な船内、正常に機能しているのか分からないコンピュータ、消息の分からない人々という要素によって、閉鎖空間型SF特有の不気味さが生まれている。対してヒューイ編は、キューバ沖のサウスハチェット島を舞台とした潜入任務である。こちらでは情報機関の工作員として、行方不明になったシュルツ博士を追跡することになり、宇宙編よりも肉体的な危険が前面に出てくる。誰を信用できるのか、敵の警備をどう突破するのか、どの場所へ進めば核心へ近づけるのかというスパイ映画的な緊張感が強い。この二種類の物語を並行的に見せることで、一方だけを長時間続けた場合に発生しやすい単調さを抑えている。しかも二つの物語は、表面的には別々の事件でありながら、セプテミウス2のメインコンピュータ「ラクーン」と、その開発に関係するシュルツ博士という存在を通して少しずつ結びついていく。「宇宙船で何が起きたのか」と「なぜ博士が連れ去られたのか」という二つの疑問がひとつの真相へ近づく構造になっているため、プレイヤーは単に主人公の命令を実行するだけでなく、断片的な情報を頭の中で組み合わせながら事件全体を考えることになる。

画面を「読む」のではなく「調べる」感覚を強めた操作システム

本作を遊ぶうえで最初に理解しておきたいのが、対象物を意識して行動を選ぶ操作方法である。当時のAVGでは、「見る」「話す」「取る」「開ける」といった動詞を選択し、その後で対象を指定する形式が多かった。それに対して『サイオブレード』では、画面内の人物や装置など対象物を意識し、その対象に対して可能な行動を選ぶという感覚が強くなっている。この方式はマウス操作との相性が良く、文章で「扉を見る」と入力するより、実際に画面内の扉へ意識を向けるため、プレイヤーとゲーム画面の距離が縮まっている。ただし、システムが視覚的だからといって攻略まで簡単になったわけではない。むしろ本作では「どの対象を、どのタイミングで調べるか」が重要になる。イベント発生前には何も起こらなかった場所でも、誰かとの会話後に改めて調べると反応が変わる場合がある。そのため、行き詰まった場合には新しい場所だけを探すのではなく、以前調べた場所や人物へ戻ることが重要になる。攻略の基本は、「新しい情報を得たら、関連する場所・人物・装置をもう一度調べる」ことである。現在のゲームのように目的地マーカーやクエスト一覧が表示されるわけではないので、自分の頭の中で「誰が何を言ったか」「どの設備がまだ動かなかったか」「どの場所に入れなかったか」を整理しておく必要がある。紙へ簡単なメモを書きながら遊ぶと、攻略難度は大幅に下がる。

攻略で重要なのは総当たりより「情報の変化」を見逃さないこと

『サイオブレード』の攻略でありがちな失敗は、ひとつの場所で延々とコマンドを試すことである。もちろん1980年代AVGらしくコマンド総当たりが有効になる局面もあるが、本作ではストーリーの進行状態によって反応が変化することがあるため、同じ場所に固執するより「新しい情報を入手した後に再調査する」方が重要である。例えば人物との会話で新しい名前や場所が判明した場合、その情報を別の人物へ聞かせることでイベントが進む可能性がある。またコンピュータ関連の情報を得た場合には、以前操作して意味が分からなかった端末を再び調べることで状況が変わる場合もある。つまり攻略の考え方としては、「場所→人物→情報→別の場所」という連鎖を作っていくことになる。宇宙編では特に、船内をひとつの大きな施設として把握すると進めやすい。どこにコンピュータ設備があり、誰がどの担当分野に詳しく、どの場所で異常が起こっているのかを整理していけば、次に確認すべき対象が見えてくる。新しいイベントを見た直後には、その出来事に関係しそうな人物へ話を聞くことが基本となる。一方、地上編では移動先と危険区域の把握が重要になる。ヒューイは工作員という設定なので、宇宙編よりも「安全ではない場所へ進む」機会が多い。ストーリー上の手掛かりを無視して適当に進むより、現地で入手した情報をもとに潜入経路を選ぶことが重要である。本作は現代ゲームのように失敗した原因を細かく説明してくれない。そのため、攻略中に何度も同じ結果になった場合は操作速度を変えるより、「まだ必要な情報やイベントが不足しているのではないか」と考えた方がよい。

終盤最大の難関となる3D迷路

『サイオブレード』の攻略を語る際、避けて通れないのが終盤に登場する3D迷路である。本作を最後まで遊んだ人の記憶に最も強く残っている場面のひとつであり、同時に「ここで苦労した」という話が非常に多い場所でもある。迷路そのものは、一人称視点で通路を進んでいく方式である。当時のパソコンRPG、とりわけ『ウィザードリィ』型のダンジョン探索を経験していたプレイヤーなら画面形式そのものには馴染みがある。しかし『サイオブレード』の難しさは、単純に出口を探すだけではないところにある。最大のポイントは、最終的に向かうべき位置が最初から地図上へ明示されているわけではないことだ。プレイヤーには目的地点との距離を判断するための情報が与えられるが、その数字から自分の移動方向が正しいかどうかを判断しなければならない。適当に歩いていると、近づいているように思えて実際には遠回りしていたり、壁によって最短方向へ進めなかったりする。ここで有効なのが方眼紙などを利用したマッピングである。スタート地点を仮に座標の中心として、北へ一歩進んだら縦方向へ一マス、東へ進んだら横方向へ一マスというように記録していく。さらに各地点で表示される距離情報も併記すると、目的地点がどの方向に存在する可能性が高いのか推測できる。数学的に考えれば、異なる地点から目的地までの距離が分かることで目的地点の候補を絞り込める。実際のゲームでは通路や壁の配置があるため直線的には進めないものの、「ゴールがだいたいどの方向なのか」を把握できるだけでも闇雲な探索より圧倒的に有利になる。したがって3D迷路攻略では、第一に方角を絶対に見失わないこと、第二に曲がった方向を記録すること、第三に各地点の距離情報を残すことが重要である。もし方角が分からなくなった場合、無理に進むより既知の地点まで戻った方が安全である。現在では攻略マップなどを参考にする方法もあるが、あえて当時と同じように方眼紙へ地図を書きながら攻略すると、この場面がなぜ語り継がれてきたのかを実感できる。

メロディーモジュールを使った謎解きはパッケージ全体をゲームに変えた

もうひとつ攻略上重要なのが、オリジナル版へ付属していた「メロディーモジュール」である。これは単なるおまけではなく、本編の謎解きへ関係する装置で、ボタン操作によって複数のメロディーを鳴らせるようになっている。ゲーム中には、この音楽を手掛かりとして考えなければならない場面が存在する。そのため当時の正規購入者は、画面の前にフロッピーディスクだけでなく、この小さな装置も置きながらゲームを進めることになった。ディスプレイの中だけで完結しないところが非常に面白く、ゲームのパッケージを開けた瞬間から攻略が始まっているような設計である。攻略上は、ゲーム中に示される音や曲に関する情報を雑に読み飛ばさないことが重要になる。本作では映像だけでなく音も情報として扱われるため、特定場面で聞いた内容を覚えておく必要がある。当時のコピー対策という意味も持っていたが、結果的には『サイオブレード』を象徴するゲームデザインになった。説明書、付属物、画面、音楽がすべてひとつのゲームへ組み込まれており、ソフト単体ではなく「商品一式を使って遊ぶ」という1980年代パソコンゲームならではの面白さがある。

難易度は高めだが、理不尽さだけで構成されたゲームではない

全体的な難易度は、現在のアドベンチャーゲームと比べれば高い。特にヒント表示の少なさ、イベント発生条件の分かりにくさ、3D迷路、メロディーモジュールを利用した仕掛けなどが壁になりやすい。しかし『サイオブレード』は、単に意地悪な選択肢を大量に置いてプレイヤーを失敗させるタイプのゲームとは少し違う。情報をきちんと整理し、人物の会話を読み、画面内を調べ、位置関係を記録すれば突破できる場面が多い。逆に文章を高速で読み飛ばし、イベントだけを追おうとすると急激に難しく感じられる。攻略で最も重要なのは「ゲームが出した情報には理由がある」と考えることである。何気ない会話、コンピュータの表示、人物の専門分野、移動した場所、音楽などが後の手掛かりになる。特に現在のゲームのように重要キーワードだけ文字色が変わるわけではないため、怪しい情報はメモしておくとよい。セーブもこまめに行うべきである。危険な場面へ入る前、長い探索へ出る前、大きなイベントが起きた後など複数のデータを残しておけば、間違った進行や操作をしても戻りやすい。

明確な「裏技」より、情報整理そのものが最大の必勝法

『サイオブレード』はアクションゲームのように無敵コマンドや残機増殖を使って突破する作品ではない。そのため、攻略における意味での「必勝法」は、情報管理とセーブ管理に集約される。第一に、登場人物の名前と役割をメモしておくこと。宇宙編では複数のクルーが登場するので、誰がコンピュータ、航法、宇宙工学など何を担当しているのかを整理しておくと、事件発生後に相談すべき人物が判断しやすくなる。第二に、場所ごとの役割を記録すること。宇宙船内部ならコンピュータ設備、居住区域、各種専門設備などを把握し、地上編なら安全な場所と危険区域を分けて考える。第三に、会話内容を軽視しないこと。第四に、同じ場所を一度調べただけで「何もない」と決めつけないこと。進行フラグが変化すれば反応も変わる場合があるため、重要イベントの後は再探索する。第五に、3D迷路では記憶に頼らず地図を書くこと。この五つを徹底すれば、攻略本なしでもかなり進めやすくなる。

キース・マクダネル――プレイヤーが最も感情移入しやすい若き航宙士

登場人物の中で中心となる一人がキース・マクダネルである。17歳という若さで恒星間救助任務へ参加する航宙士であり、SF作品の主人公らしい好奇心と行動力を持つ。一方で、最初から事件の真相を知っている英雄ではない。プレイヤーと同じように異常な状況へ入り込み、少しずつ真実を知っていく人物なので、非常に感情移入しやすい。特にキース編の魅力は、壮大な宇宙開発の夢と恐怖が同時に描かれるところにある。人類が別の恒星へ到達できる時代になっても、技術を完全に支配できるとは限らない。セプテミウス2へ足を踏み入れてから、キースはその現実を直接見ることになる。ヒューイが最初からプロの工作員として動くのに対し、キースには若者らしい未完成さがある。この違いによって二人の主人公がきれいに差別化されている。

ソフィア・ノイマン――SF世界に人間らしい温度を与える存在

ソフィア・ノイマンは、キースと同年代のコンピュータ技師であり、宇宙編を象徴するヒロイン的存在である。コンピュータ関連の専門知識を持つため、ラクーンをめぐる事件において物語上の役割も大きい。彼女が印象に残る理由は、単に主人公の恋愛対象として配置されているからではない。閉ざされた宇宙船内部という無機質な舞台では、人間同士の会話や感情のやり取りが作品の温度を決める。ソフィアとキースの関係には若者らしい距離感があり、殺伐とした事件の合間に人間的な空気を作っている。ソフィアの場合は物語の中心にあるコンピュータ技術そのものとも関係する点が特徴である。

ヒューイ・マークフィールド――華やかな英雄ではない「裏側の主人公」

特に印象へ残りやすい人物を一人挙げるなら、ヒューイ・マークフィールドである。理由は、本作のテーマを最も象徴している人物だからだ。ヒューイは連邦情報局の工作員として、シュルツ博士を追ってサウスハチェット島へ潜入する。宇宙編のキースが人類史的な宇宙救助任務へ参加しているのに対し、ヒューイが行う仕事は一般社会から見えない。敵地へ潜入し、情報を集め、危険を引き受けても、その成果がニュースで大々的に報じられるような任務ではない。そこが本作終盤のテーマへつながっていく。事件へどれほど貢献したのかと、社会から英雄として認識されることは必ずしも同じではない。表舞台に立つ人物と、裏側から事件を支えた人物の差が描かれることで、単純な勧善懲悪とは違う後味が生まれている。

ルイス・ブルーデルとアレキサンダー――緊張した地上編を支える名脇役

地上編でヒューイを支えるルイス・ブルーデルも忘れにくい人物である。彼はサウスハチェット島へ先に潜入して情報収集を行っている工作員であり、ヒューイにとって現地側の重要な協力者となる。孤立しやすい潜入任務において、事情を理解している味方が存在することは物語上もゲーム上も大きい。そしてルイスの周囲で存在感を示すのがサルのアレキサンダーである。宇宙船、人工知能、秘密組織、誘拐事件というシリアスな設定の中にこうした存在が入ることで、物語が重苦しくなりすぎない。主要人物ではないものの、一度遊ぶと意外に記憶へ残るタイプのキャラクターである。

ロバート・グレンたちキャサワリー乗員が生み出すチーム感

キャサワリーのクルーには、ロバート・グレン、ボブ・ハスラム、マイケル・ウォードなど、それぞれ役割の異なるスタッフが存在する。彼らは派手な必殺技を持った仲間ではないが、宇宙船物SFとしてのリアリティを作るうえで重要である。ロバートは主席航宙士としてチームをまとめる立場にあり、まだ17歳のキースに比べて経験豊富な人物として映る。ボブはナビゲーション、マイケルは宇宙工学関係というように役割が分かれているため、キャサワリーが「主人公専用の乗り物」ではなく、多数の専門家が協力して動かす本格的な宇宙船だという印象が生まれる。

シュルツ博士とラクーンが物語全体の中心にいる

シュルツ博士は直接操作する主人公ではないが、『サイオブレード』全体を動かす重要人物である。彼を追うことが地上編の目的となり、彼の研究成果であるコンピュータ技術が宇宙編の謎へ直結しているため、物語全体をつなぐ軸に近い存在である。そして人間ではないものの、メインコンピュータ「ラクーン」も一種のキャラクターとして考えることができる。物語序盤から不可解なメッセージを残し、セプテミウス2の異常と深く関わる存在としてプレイヤーの興味を引きつける。「コンピュータがおかしくなった」という表面的な理解から始まり、なぜそうなったのか、誰が関係しているのか、人間側に問題はなかったのかという疑問へ話が広がっていく。この構造によって、ラクーンは単なる故障した機械ではなく、作品のテーマを映す鏡のような存在になる。

最大のアピールポイントは最後まで遊んで初めて二人の主人公の意味が分かること

物語序盤だけを見ると、プレイヤーは「宇宙編と地上編が交互に進むSFアドベンチャー」と考える。しかし最後まで進めると、この二主人公制そのものが作品テーマの一部だったことが見えてくる。キース側は宇宙という壮大な舞台で展開し、人類の宇宙開発史に関わる事件となる。それに対してヒューイ側は、世界の裏側で進められる情報戦である。どちらも事件解決には必要なのに、社会が認識する物語は必ずしも同じではない。ここに『サイオブレード』特有の皮肉がある。英雄になる人間と、実際に危険を引き受けた人間が一致するとは限らない。歴史として記録される出来事と、その裏で起きていた出来事にも差がある。こうした視点を、長い説明文ではなく「二人の主人公を実際に操作させる」ことでプレイヤー自身へ体験させる点が巧みである。

現在遊ぶなら、不便さも含めて1988年型AVGとして楽しみたい

現代から『サイオブレード』へ入る場合、最新アドベンチャーゲームと同じ快適性を期待すると戸惑う可能性がある。次の目的が常時表示されることもなく、調べるべき場所が光ることもなく、会話履歴から重要キーワードを自動抽出してくれるわけでもない。しかし、その不便さを「プレイヤー自身が調査員になるゲーム」と考えると印象が大きく変わる。紙へ人物関係を書き、宇宙船の場所を整理し、怪しい情報をメモし、3D迷路では自分で地図を書く。ゲーム外の紙と鉛筆まで含めて攻略環境にすることで、当時のパソコンAVGならではの遊び方が見えてくる。物語だけを早く見たいのであれば攻略情報を利用してもよいが、本作の場合は最初から最後まで完全な手順を見ながら進めるより、まず自力で考え、詰まった時だけ必要な箇所を確認する方が魅力を感じやすい。『サイオブレード』は、アニメーションの多さだけで評価する作品ではない。宇宙と地上を分けた二主人公制、画面を直接調べる操作感覚、情報収集型の謎解き、物理付属品を利用したメロディー問題、3D迷路という異質なゲームシステム、そして最後に二人の主人公の立場を対比させるストーリーまで、ゲームの仕組みそのものが作品テーマへ結びついている点に最大の面白さがある。

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■ 感想・評判・口コミ

発売から長い年月が経っても「物語を覚えている」という声が残りやすい作品

『サイオブレード』の感想や評判を振り返る時、まず特徴的なのは、単純に「面白かった」「難しかった」という評価だけではなく、「宇宙船の雰囲気を今でも覚えている」「二人の主人公が別々の場所で動く構成が印象的だった」「最後の迷路で苦労した」といった、特定の場面や仕掛けについての記憶が語られやすいことである。発売から非常に長い年月が経過したレトロゲームでは、細かなシナリオを忘れていても、作品独自の演出や難所だけは強烈に覚えているということがある。『サイオブレード』はその典型的なタイプといえる。本作の場合、その記憶を形成している要素が多い。宇宙船を舞台にした閉鎖空間型のSF、キースとヒューイという二人の主人公、画面内の対象を調べながら進むインターフェース、随所で動くグラフィック、通常のAVGとは異なるアクション的な場面、メロディーモジュール、そして終盤の3D迷路である。一つのタイトルについてこれほど異なる特徴を思い出せること自体が、『サイオブレード』という作品の個性を物語っている。現在の視点で遊んだ場合にも、単なる「昔のコマンド選択式AVG」では終わらない。操作や進行方法は確かに古いが、その古さの中に「当時としては新しいものを作ろう」とした試みが数多く見える。その挑戦的な作りが、本作を単純な懐古対象ではなく、1980年代後半の国産パソコンゲーム文化を知る作品としても面白い存在にしている。

ストーリー面の評価は高く、特に二人の主人公を使った構成が印象に残る

『サイオブレード』について肯定的な感想が集まりやすい部分は、やはりストーリーである。恒星間有人探査船セプテミウス2で起こった異常を調べる宇宙編だけでも一本のSF作品として成立しそうだが、そこへシュルツ博士の失踪事件を追う地上編を組み合わせたことで、物語に奥行きが生まれている。特に魅力的なのは、二人の主人公が最初から同じ場所にいるのではなく、それぞれ異なる立場から事件へ接近していくことである。キースは宇宙開発の現場にいる航宙士として異常事態を体験し、ヒューイは情報機関の工作員として地上側の陰謀を調査する。このためプレイヤーは、一つの事件を異なる角度から観察することになる。宇宙側だけを見れば「なぜセプテミウス2が異常を起こしたのか」というSFミステリーであり、地上側だけを見れば「なぜコンピュータ研究者が拉致されたのか」というスパイサスペンスである。この二つが次第にひとつの真相へ収束していくため、ゲームを進めるにつれて物語全体の規模が拡大していく感覚がある。シナリオを楽しむためには独特の進行条件を突破する必要があり、物語への評価とゲームシステムへの評価が分かれやすい作品でもあるが、『サイオブレード』最大の長所は、事件の真相そのものより「真相を二方向から見せる構成」にある。

「1988年のゲームとして見るとよく動く」という映像面の驚き

映像については、現在の感覚と発売当時の感覚で評価が大きく変わる。現代のゲームと直接比較すれば、『サイオブレード』のアニメーションは非常に簡素である。人物が滑らかに動き続けるわけではなく、数枚の画像を切り替えることで動きを表現する場面も多い。しかし1988年前後のパソコンAVGという条件を加えると、印象はまったく違ってくる。当時は一枚絵を表示して大量の文章を読み進める形式がまだ一般的であり、その中で人物や機械、画面内の設備を少しでも動かそうとした本作はかなり映像演出へ力を入れていた。現在遊んだ人からすれば「思っていたより細かく動く」という感想になりやすく、リアルタイム世代からすれば「アドベンチャーゲームなのに画面が動く」という驚きにつながった部分である。もちろん、現在見ると画面構成には古さがある。ゲーム画面そのものが小さく、情報表示やテキスト欄などが大きな割合を占める場面もある。しかし、その一方で1980年代らしい宇宙船内部、コンピュータ端末、機械設備などには独特のレトロフューチャー感があり、現在だからこそ魅力的に感じられるデザインでもある。

「次に何をすればいいのか分からない」という不満は出やすい

一方、『サイオブレード』の不満点として非常に理解しやすいのが、ゲーム進行の分かりにくさである。これは現代のプレイヤーだけでなく、昔のAVGに慣れている人でも引っ掛かりやすい。本作では、ある人物へ一度話しかけただけではイベントが進まず、何度か話したり、別の場所を調べてから戻ったりすることでようやく次の展開が発生する場合がある。そのためプレイヤーからすると、「必要な場所は全部調べたはずなのに話が進まない」という状態になりやすい。現在のゲームなら、会話済みの項目へ印を付けたり、目的地を表示したり、次に取るべき行動をヒントとして出したりするところだが、本作にはそうした誘導がほとんどない。その結果、同じ部屋を往復し、同じ人物へ話しかけ、同じ設備を再確認することになる。ただし、この欠点には時代背景もある。当時のAVGでは、どのコマンドを試せばイベントが進むのかを探すこと自体がゲームプレイの一部だった。現在なら「作業」と感じる反復も、1980年代には「謎解き」や「探索」として受け入れられていた部分がある。そのため本作を現在遊ぶ場合には、進行フラグの不親切さまで含めて当時のAVG文化だと理解しておくと楽しみやすい。

3D迷路は「忘れられない難所」であり、評価が分かれる最大のポイント

『サイオブレード』の感想を語るなら、やはり終盤の3D迷路は外せない。ここについては「非常に面白かった」と感じる人と「これさえなければもっと遊びやすかった」と感じる人に分かれやすい。それまで物語中心で進んできたゲームが、突然本格的な位置把握能力を要求する探索ゲームへ変化するため、プレイヤーにとって心理的な負担が大きい。しかも現在位置と目的地点の関係を理解し、距離情報を利用しながら進まなければならないため、適当に歩いているだけでは突破しにくい。しかし、この難しさこそ思い出として残る理由でもある。当時は方眼紙へ自分で迷路を書き、進んだ方向をメモし、目的地までの距離を計算しながら探索したプレイヤーもいた。今ではほとんど見られない遊び方であり、「紙と鉛筆までゲーム機の一部になる」というパソコンゲーム黄金期ならではの体験だった。快適なゲームデザインとは言いにくいものの、『サイオブレード』というゲームの記憶を強烈にする存在でもある。

メロディーモジュールへの評価は「面白い仕掛け」と「現物依存」の両面がある

オリジナル版で特徴的だったメロディーモジュールも、プレイヤーの印象に残りやすい要素である。ゲーム本体だけではなく、パッケージへ同梱された実物の装置を利用して謎を考えるという仕掛けは、現在では非常に珍しい。説明書や付属品まで含めてゲーム世界を構築する方法は、ダウンロード販売が中心となった現代ではなかなか再現できない。当時新品を購入した人にとっては、「箱の中に不思議な装置が入っている」という時点から特別感があっただろう。それが単なるノベルティではなく、本編攻略へ関係することが分かると、所有する楽しさも増す。反面、中古で遊ぶ場合には欠点にもなる。付属品が紛失している可能性があり、ゲームディスクだけ入手してもオリジナルと同じ条件で攻略できない場合があるからだ。こうした物理プロテクトは当時なら有効だったが、数十年後に遊ぼうとすると保存性の問題が出てくる。だからこそ現在の復刻環境には価値がある。

音楽は派手さよりも「SF映画らしい雰囲気」を支えるタイプ

音楽については、ゲーム史に残る有名テーマ曲を一本持っている作品というより、シーン全体の雰囲気を支える役割が強い。宇宙船内部の静かな緊張感、危険が迫る場面、人物同士の会話などに合わせて曲が使われ、映像と一緒に作品世界を形作っている。クラシックを思わせる旋律やSF的な曲調をゲームの場面へ当てはめることで、壮大さと不穏さを同時に出している点は本作らしい。音楽だけが前面へ出るのではなく、宇宙船の画面、文字情報、アニメーションと組み合わされた時に効果を発揮するタイプといえる。

キャラクターについてはキース、ソフィア、ヒューイの三人が特に印象を残しやすい

プレイヤーから見たキャラクターの印象は、現在のキャラクター主体のゲームとは少し違う。本作では膨大な個別イベントや恋愛ルートが用意されているわけではなく、それぞれが職務を持つSF映画の登場人物として描かれる。キースについては若い主人公であるため感情移入しやすく、プレイヤーと一緒に宇宙船の謎へ接近していく役割を持っている。ソフィアはヒロインとして華やかさを加えながら、コンピュータ技師として事件の中心となる技術分野にも関わっている。この二人の距離感は、重苦しい宇宙編の中で人間らしい柔らかさを与えている。一方、ヒューイはキースとは大きく異なる魅力を持つ。情報機関の工作員として危険な場所へ潜入するため、地上編ではスパイ映画の主人公らしい雰囲気を担当している。特にヒューイは、物語終了後に「誰が英雄として認識されるのか」というテーマを考えた時、非常に意味深く見えてくる人物である。

「懐かしい名作」と「かなり癖の強いAVG」という二つの評価が同時に成立する

『サイオブレード』への評判をまとめると、「好きな人には強烈に記憶へ残る作品」である一方、「万人へ無条件に勧めやすい作品」とは言いにくい。長所として挙げやすいのは、近未来SFという題材、二主人公構成、映画的な物語、アニメーション演出、独特なインターフェース、パッケージ付属品を使った仕掛け、3D迷路などである。これらは1988年当時のパソコンゲームとして非常に意欲的だった。短所として挙げられるのは、ストーリー進行条件が分かりにくいこと、同じ場所を何度も往復させられる場面があること、人物へ繰り返し話しかける必要があること、アドベンチャー中心で遊んでいたプレイヤーへ突然別タイプの操作を要求すること、そして終盤の難易度が高いことである。つまり「シナリオは先が気になるのに、そこへたどり着く操作が大変」という評価になりやすい。この矛盾が『サイオブレード』らしさでもある。

現在遊ぶと「ゲーム史の途中にあった作品」として非常に興味深い

現代から見た『サイオブレード』は、完成された現在型アドベンチャーゲームというより、「アドベンチャーゲームがどこへ進むのかを模索していた時代」の作品として見ると非常に興味深い。文章だけではなくアニメーションを増やしたい。コマンド一覧を選ぶだけでなく、画面そのものへ触れている感覚を出したい。ひとつの物語だけでなく二人の主人公を使いたい。AVGだけでは単調なのでアクション要素も入れたい。ゲーム画面だけでなく付属品も謎解きへ使いたい。終盤には3D空間も入れたい。そうした開発側の「これもやってみよう」という意欲が随所から伝わってくる。現代的な設計理論から見れば、ゲーム性を絞り込まず複数の要素を入れた結果、作品全体のテンポが不安定になった部分もある。しかし一方で、その雑多さこそが作品の魅力になった。

総合的な感想――欠点がありながら、それを含めて忘れにくいSFアドベンチャー

総合的な感想として、『サイオブレード』は「すべてが洗練された名作」というより、「粗削りだからこそ強く印象へ残る意欲作」と表現する方がしっくりくる。特に優れているのは、宇宙編と地上編を別々に用意したことだ。もしセプテミウス2だけを舞台にしていたなら、それでも十分SFアドベンチャーとして成立したと思う。しかし地球上でヒューイがシュルツ博士を追う物語を同時に描いたことで、事件が宇宙船一隻だけの問題ではなく、人間社会全体へつながっていることが見えてくる。そしてエンディングまで進んだ時、二人の主人公が同じ事件へ貢献していながら、必ずしも同じ形で評価されるわけではないという皮肉が残る。ここが作品を単純なヒーローSFで終わらせない。一方で、攻略面については現在の感覚ではかなり厳しい。進行条件を知らない状態で完全自力攻略を目指すと、同じ場所を何度も移動することになり、物語への集中が途切れる可能性がある。終盤の迷路も、ストーリーだけを目的に遊んでいる人には大きな障害になる。そのため現在遊ぶなら、まず自力で探索し、詰まった部分だけ軽く確認するくらいの付き合い方が最も楽しみやすい。『サイオブレード』は、便利で親切なゲームではない。しかし宇宙船、人工知能、恒星間航行、秘密工作、科学者の失踪、二人の主人公、物理的なメロディーモジュール、アニメーション、3D迷路という大量の要素を一本へ詰め込んだ結果、他作品では代用しにくい独特の体験を作り出している。

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■ 当時の宣伝・現在の中古市場など

「SFアニメーションアドベンチャー」を前面に出した発売当時の宣伝

1988年に登場した『サイオブレード』は、単純に「T&Eソフトの新作アドベンチャーゲーム」として販売された作品ではない。発売前から特に強調されていたのが、SF作品としてのスケール感と、従来の静止画主体のアドベンチャーゲームとは異なるアニメーション表現だった。当時の専門誌広告ではSFアニメーションアドベンチャーという方向性が明確に打ち出され、画面内でキャラクターやメカが動くこと自体を大きな商品価値として訴えていた。現在ではイベントシーンが動くことは当然だが、1988年の国内パソコン市場では、数枚のフロッピーディスクへ大量のグラフィックを収録し、それを切り替えて物語を見せるという発想そのものが強力な宣伝材料になったのである。当時のゲーム雑誌では、完成した製品のレビューだけでなく、発売前の開発状況やスタッフへのインタビューを通じて期待感を高める方式がよく使われていた。『サイオブレード』もその例に当たり、画面数、アニメーション、メディア容量、対応機種、音源への対応などが紹介されている。特に「アドベンチャーなのに画面が動く」という部分は、文章を読みながら静止画を見る作品との差別化として非常に分かりやすかった。またT&Eソフトは、同社そのものに一定のブランド力があったことも大きい。『ハイドライド』シリーズや『レイドック』シリーズなどを通じ、パソコンゲームファンの間では技術力のあるメーカーという認識を得ていた。そのT&Eソフトが本格的なSFアドベンチャーに力を入れるというだけでも注目材料になった。

8,800円という価格に「箱を開ける楽しさ」まで含めた商品設計

発売当時の主要パソコン版は8,800円前後で案内され、各製品には特製ディスクケースやメロディーモジュールなどが用意されていた。メロディーモジュールは単なるコレクター向けの景品ではなく、ゲーム攻略にも結び付く特殊な付属品であり、商品パッケージ全体をひとつの遊びとして成立させる重要な存在だった。現在のダウンロードゲームは購入すると即座にデータが手元へ届くが、1980年代のパソコンゲームでは大きな箱を購入し、説明書、ディスク、付属品を取り出すこと自体が特別な体験だった。『サイオブレード』は、その文化を非常に分かりやすく体現している。パッケージを開けると複数枚のフロッピーディスクに加えて、通常のゲームには入っていない装置が現れる。プレイヤーは「これは何に使うのだろう」と興味を持ち、やがて本編を進める中で意味を理解する。つまり店頭で商品を手に取った時点から、ゲームへの導入が始まっていたのである。対応機種によってディスクの種類や枚数も異なり、大量のグラフィックを収録するために複数枚構成となるものも多かった。現在から見るとディスク交換の手間は大きいが、当時は「何枚ものディスクを使用する大作」ということ自体がボリューム感の演出にもなっていた。

雑誌広告だけでなく関連グッズまで用意したT&Eソフトの販促展開

当時の広告を見ると、『サイオブレード』はゲームソフト本体だけで終わらない展開を行っていたことも分かる。T&Eソフトは関連グッズの通信販売も行い、作品名を冠したTシャツなどの商品を用意していた。これは現在でいう公式オンラインショップや限定グッズ販売に近いものだが、インターネットが一般化するはるか以前である。雑誌広告を見た読者が郵便などを利用してメーカーへ直接申し込み、商品が送られてくるという流れだった。ゲーム専門誌がメーカーとユーザーをつなぐ重要な窓口だった時代ならではの販促方法といえる。また、雑誌の新作紹介記事は現在の動画配信やSNS広告に相当する役割を果たしていた。ゲームのスクリーンショット、開発スタッフのコメント、対応機種、価格、発売予定日などを数ページにわたって掲載することで、発売日まで期待を高めていく。『サイオブレード』の場合は映像表現が売りだっただけに、多数の画面写真を掲載できるゲーム雑誌との相性が良かった。口コミも現在とは大きく異なる。SNSも動画投稿サイトも存在しないため、友人同士の情報交換、学校や職場での会話、パソコンショップ、雑誌の読者投稿、攻略記事などが評判を広める中心だった。難しい3D迷路やメロディーモジュールの使い方について、人から情報を聞くこともゲーム体験の一部になり得た。

販売本数は断定できないが、多機種展開から見えるメーカーの期待度

『サイオブレード』について、現在確認できる信頼性の高い公開資料では、PC各機種を合算した正確な累計販売本数は明らかになっていない。そのため、「○万本を売り上げた大ヒット作品」と数字を断定するのは適切ではない。ただし販売規模を考える材料はいくつか存在する。最初のPC版だけでもPC-8801mkIISR系、PC-9801系、FM77AV系、X1turbo系、MSX2など当時有力だった複数のパソコンへ展開されている。単一機種専用の実験作ではなく幅広いユーザーへ届けることを前提としたタイトルだったことは明らかである。さらに1990年には家庭用ゲーム機メガドライブへ移植されている。PC版発売から約1年半後に家庭用市場へ展開されたことからも、少なくとも移植を企画する価値があるタイトルとして扱われていたことは分かる。一方、メガドライブ版はPC版をそのまま完全移植したものではない。特に大きいのが地球側の物語が省略され、主に宇宙編を中心とした構成へ再編されている点である。代わりに家庭用ゲーム機らしいアクション的な演出が強められ、別タイプのゲームとして再構築されている。

現在の中古市場では「メガドライブ版」と「パソコン版」で性格がかなり違う

現在の中古市場を見ると、『サイオブレード』は極端な超高額プレミアタイトルという位置付けではないものの、版によって流通量と価格帯にかなり差がある。比較的見つけやすいのはメガドライブ版である。カートリッジ単品であれば数千円程度で見つかるケースがあり、箱・説明書付きや未使用に近い商品になると、それより高い価格設定になることもある。ただし「出品価格」と「実際の取引価格」は同じではない。フリマサイトでは所有者が自由に希望額を設定できるため、高額な価格が付いていても、その金額で継続的に売れていることを意味しない。中古相場を判断するなら、単発の高額出品だけを見るのではなく、複数ショップの販売価格、売却済み商品、箱・説明書の有無、状態などを比較する必要がある。メガドライブ版はROMカートリッジなので、フロッピーディスク版より保存しやすいことも流通量の多さにつながっている。一方、箱、説明書、ハガキなど当時の付属物まで揃えたい場合は条件が厳しくなり、保存状態の良い完品は単品より高く評価されやすい。

PC-8801・X1turbo・MSX2・FM77AV版は付属品の有無が価格を大きく左右する

パソコン版はメガドライブ版より事情が複雑である。まず現在稼働する実機自体が少なく、フロッピーディスクという記録媒体にも経年劣化の問題がある。そのうえ『サイオブレード』ではメロディーモジュールや専用ディスクケースなどが商品構成の一部になっていたため、「ゲームディスクがある」というだけでは完全品とはいえない。コレクター目線で特に重要なのがメロディーモジュールである。ゲーム本体と違って汎用品ではなく、『サイオブレード』固有の付属物なので、失われると後から補充しにくい。ディスク、箱、説明書が残っていてもメロディーモジュールだけ欠けている商品は珍しくなく、完全品と欠品あり商品の評価差が生まれやすい。さらにフロッピーディスクは外観がきれいでも正常に読み込める保証がない。数十年前の磁気媒体である以上、カビ、磁性体の劣化、保管環境、ドライブとの相性など、さまざまな要因がある。「動作未確認」と記された商品を購入する場合は、コレクション目的なのか実際に遊ぶ目的なのかをはっきりさせておいた方がよい。プレイ目的だけなら、復刻版の方がはるかに安全である。

「過去最高価格」は簡単には断定できない

レトロゲームの記事では「過去最高○万円」といった数字が注目されやすいが、『サイオブレード』については、すべての中古店、ネットオークション、フリマ、店舗取引を網羅した信頼できる長期売買データが公開されているわけではない。そのため、現在確認できる情報だけから歴代最高取引額を断定することは難しい。特に注意したいのが、ネット検索で見つかる高額商品である。未使用品として高い価格が付けられている例があっても、それが実際にその金額で購入されたとは限らない。逆に、過去に完品や希少機種版が高額落札されていたとしても、検索結果から消えている場合がある。したがって中古市場を説明する場合には、「メガドライブ版は比較的流通が多く、通常中古は数千円程度から見つけやすい」「PC版は出品数が少なく、機種や付属品によって価格差が大きい」「未使用品や完全品には高い提示価格が付くことがある」と捉えるのが現実的である。

中古品を買うならメロディーモジュール、説明書、ディスク枚数を必ず確認したい

オリジナルパソコン版を収集する場合、購入前に最も確認したいのが付属品である。まずゲームディスクが本来の枚数揃っているか、ラベルが正しいかを確認する。次にマニュアルやハードウェア関連の説明書、専用ケース、そしてメロディーモジュールの有無を見る。特にフリマやオークションでは、出品者自身が古いパソコンゲームに詳しくない場合がある。商品名や対応機種を間違えて記載しているケースもあり、実際にPC-8801版なのか、FM77AV版なのか、別機種なのかを写真から確認した方がよい。また動作確認済みという記載があっても、「タイトル画面まで確認」「全ディスク読み込み確認」「エンディングまで確認」では信頼度がまったく違う。複数枚ディスクの作品では、最初のディスクが読めても途中のディスクが破損している可能性がある。実際にプレイする目的なら、可能な限り各ディスクの読み込み状況まで説明されている商品を選びたい。メガドライブ版なら磁気ディスク特有の劣化リスクは少ないが、カートリッジ端子の汚れ、箱の退色、説明書の破れなどによって価格が変わる。

現在はProject EGGによって実物を収集しなくても遊べる

『サイオブレード』の保存という意味で非常に大きいのがProject EGGによる復刻である。PC-8801系やMSX2版などがWindows環境で楽しめる形で復刻され、当時の実機とフロッピーディスクを用意しなくても作品に触れられるようになっている。復刻版の意義は単にゲームが起動するだけではない。オリジナルのフロッピーディスクや実機は年々維持が難しくなる。PC-8801やMSX2本体が正常でも、ディスクドライブのベルトや磁気媒体側が劣化する可能性があり、メロディーモジュールのような専用付属品も紛失しやすい。ソフトウェアとして現行Windows環境からアクセスできる形で保存されることは、作品の内容を後世へ残すうえで非常に重要である。一方で、復刻版を遊ぶこととオリジナルパッケージを所有することは別の楽しみでもある。復刻版は「物語やゲームそのものを体験したい人」に向き、当時品は「1988年の製品として箱、ディスク、説明書、メロディーモジュールまで含めて所有したい人」に向く。復刻が存在することで、実機版はゲームを遊ぶためだけの商品から、ゲーム文化を保存するコレクション品としての性格を強めている。

メガドライブ版は入手しやすい一方、PC版とは内容が異なる点に注意

中古市場で価格だけを見ると、メガドライブ版は『サイオブレード』へ入門する手軽な選択肢に見える。しかし「PC版『サイオブレード』をそのまま遊びたい」という目的の場合は注意が必要である。メガドライブ版は、PC版を家庭用向けに再構成した作品であり、地上編が省略されている。そのためキースとヒューイという二方向から事件を見るPC版最大の特徴が完全な形では残っていない。代わりにメガドライブ向けの演出やアクション要素が取り入れられており、「簡易版」というより「家庭用向けアレンジ版」と理解した方が分かりやすい。したがってコレクション目的なら両方を所有する意味がある。PC版はT&Eソフトが1988年に作ったオリジナルの構成を知る資料であり、メガドライブ版はそれを1990年の家庭用ゲーム市場へどう適応させたのかを見る作品になる。同じタイトルでも内容や遊び方が異なるため、比較してみると移植文化そのものが楽しめる。

現在の価値は「希少なゲーム」だけでなく1980年代PC文化を丸ごと残した資料性にある

『サイオブレード』の現在価値を中古価格だけで判断するのは少しもったいない。もちろん箱・説明書・メロディーモジュールまで揃ったパソコン版にはコレクター商品としての魅力がある。しかし本作の本当の面白さは、1980年代末のPCゲームがどのように売られ、宣伝され、遊ばれていたのかを一式で確認できるところにもある。複数枚のフロッピーディスク、大型パッケージ、紙のマニュアル、専用ケース、特殊なメロディーモジュール、雑誌広告、メーカー直販グッズ。現在であればゲーム本編、DLC、公式グッズ、デジタルマニュアルなどに分かれるものが、当時は「箱の中の製品」と雑誌を中心に結び付いていた。発売時には全シーンへ動きを取り入れることを大きく宣伝し、複数の主要パソコンへ展開し、さらにメロディーモジュールという目に見える特徴を加えた。二年後にはメガドライブへ移植され、時代を経てデジタル復刻へつながった。この流れだけを見ても、『サイオブレード』は一度発売されて消えた作品ではなく、形態を変えながら残されてきたゲームである。

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■ 総合的なまとめ

『サイオブレード』は1980年代末の国産パソコンAVGが到達した「映画的ゲーム」への挑戦だった

『サイオブレード』を総合的に振り返ると、この作品の価値は単純にストーリーが面白い、グラフィックが美しい、難易度が高いといった一項目だけでは説明しきれない。最大の特徴は、1988年という時代にT&Eソフトが「パソコン上で、どこまで映画やアニメーションに近い物語体験を作ることができるのか」を本気で試した作品だったことにある。PC-8801、PC-9801、FM77AV、X1turbo、MSX2など当時の主要な国産パソコンへ幅広く展開され、後にはメガドライブへアレンジ移植され、さらに長い年月を経てWindows上で遊べる復刻環境まで用意された。その歩みを見ても、一時的に発売された実験作というより、T&Eソフトの歴史や1980年代後半の国産PCゲーム文化を語るうえで無視できない作品である。ゲームの中心となるのは、宇宙と地球という遠く離れた二つの場所で同時進行する事件である。若き航宙士キース・マクダネルは、異常を起こした恒星間有人探査船セプテミウス2を調査するため宇宙へ向かい、一方の連邦情報局工作員ヒューイ・マークフィールドは、コンピュータ「ラクーン」と深い関係を持つシュルツ博士を追って地上で秘密任務を進める。二人は同じ場所で肩を並べて戦う主人公ではない。しかし、それぞれの行動を最後まで追うことで、一見無関係に見えた事件が同じ原因へつながっていたことが分かる。この二重構造が『サイオブレード』最大の強みである。宇宙編だけなら閉鎖された宇宙船を舞台にしたSFミステリーとして成立し、地上編だけなら工作員によるスパイアクションとして一本の物語を作ることができる。その二つを一作品へ収めたことで、単純な宇宙冒険ではない奥行きが生まれた。

最大の魅力は「静止画を見るAVG」から「画面の中で事件が進行するAVG」へ踏み出したこと

当時のパソコン用アドベンチャーゲームには、美しい一枚絵と文章を中心に物語を展開する作品が数多く存在していた。それに対して『サイオブレード』は、可能な限り画面へ動きを与えようとした。人物の姿勢が変わる、扉や装置が動く、状況に応じて画面が切り替わるなど、現在から見れば小さな変化でも、当時の限られたメモリ容量やフロッピーディスクという環境では大きな意味を持っていた。現在のフルモーション映像と比較すれば、そのアニメーションは当然ながら素朴である。しかし重要なのは滑らかさではなく、ゲーム画面を静止した挿絵ではなく「出来事が起きる舞台」として扱おうとした発想だった。プレイヤーが画面内の対象を調べ、それに応じて人物や装置が変化することで、文章だけを読み進めるAVGとは異なる臨場感が生まれている。対象物を意識して行動を選ぶインターフェースも、この考え方と相性が良い。画面内に存在する人物、扉、機械などへ注意を向け、その対象へ何をするかを決めるため、「見る」「話す」といった文字コマンドだけを機械的に選択するより、ゲーム世界へ直接触れているような感覚が強い。

攻略面では「自分で考え、自分で記録する」昔ながらの楽しさが凝縮されている

『サイオブレード』は現在の基準で考えると、決して親切なゲームではない。次の目的地を表示する機能はなく、重要人物の頭上にマークが出るわけでもなく、現在進行中の目的を一覧で確認できる機能もない。プレイヤー自身が会話の内容を覚え、船内や島の状況を把握し、何を調べていないのか考えなければならない。しかし、この不親切さは本作の攻略体験そのものでもある。人物との会話から新しい情報を手に入れ、その情報によって以前調べた場所の意味が変わる。今まで反応しなかった装置を再び確認し、別の人物へ新しい話題を聞き、そこから次の場所を推測する。この繰り返しによって、プレイヤーは単なる観客ではなく調査員のような立場になる。さらに終盤には、一人称視点による3D迷路という強烈な難所が待ち受ける。ここではAVGとして培ってきた情報収集能力だけではなく、空間把握やマッピング能力まで要求される。目的地点までの距離情報から方向を考え、必要なら方眼紙へ地図を書きながら進むことになる。現在から見ると、物語主体のゲームへ突然本格的な迷路を入れるのは大胆すぎる構成である。しかし、だからこそプレイヤーの記憶に残った。攻略の最大のコツは、ゲーム内に提示された情報を軽視しないことである。会話内容、装置の状態、人物の専門分野、距離情報、音楽など、一見すると雰囲気作りに見える要素も手掛かりになる。

メロディーモジュールはゲーム本体と現実の付属品を結びつけた象徴的な仕掛け

『サイオブレード』を他のアドベンチャーゲームと区別する大きな特徴として、メロディーモジュールの存在が挙げられる。これはボタンを操作すると複数のメロディーを鳴らすことができる小型装置で、オリジナルのパソコン版パッケージへ同梱されていた。重要なのは、これが単なる購入特典ではなかったことである。ゲーム攻略そのものへ関係するため、プレイヤーはディスプレイの中だけでなく、机の上にある実物の装置まで利用して謎へ挑むことになる。現在でいえば限定版へ付属するグッズのように見えるが、ゲームの仕掛けとコピー対策を兼ねた実用品だった点が非常に面白い。このアイデアによって、説明書、ゲームディスク、メロディーモジュール、ゲーム画面がひとつの作品として結びついた。反面、数十年後の中古市場では、この仕組みが完全品を集める難しさにもつながっている。こうした事情も含めて、『サイオブレード』は「パッケージを買って遊ぶ」という1980年代PCゲーム文化を象徴する作品なのである。

キャラクターではキースとヒューイの対照性が作品全体を支えている

登場人物を総合的に見ると、最も重要なのはやはりキースとヒューイという二人の主人公である。キース・マクダネルは17歳の若い航宙士であり、巨大事件の真相を最初から知っている人物ではない。プレイヤーと同じようにセプテミウス2の異常へ驚き、調査するにつれて事情を理解していく。そのため物語への入口として非常に分かりやすい主人公である。ソフィア・ノイマンをはじめとしたキャサワリーのクルーとの関係もあり、宇宙編には「仲間と一緒に異常事態を調査している」という感覚がある。特にソフィアはコンピュータ技師として物語の技術的テーマへ関わりながら、キースとの関係によって無機質になりやすい宇宙船内の物語へ人間的な温度を加えている。一方のヒューイ・マークフィールドは、最初から危険な仕事をこなす情報機関の工作員である。若者らしいキースとは異なり、仕事として敵地へ潜入し、表社会から見えない場所で事件を追っていく。この違いこそ重要である。キースは人々から見えやすい「表側」の物語を担当し、ヒューイは人々から見えにくい「裏側」を担当する。両者の働きがなければ事件全体は解決しないにもかかわらず、社会から見た扱われ方には違いがある。その皮肉がエンディングの余韻へつながり、単純な英雄物語にはない味わいを残している。

当時の評価は「意欲的な大作」、現在の評価は「粗さまで含めて面白い歴史的作品」

発売当時の『サイオブレード』には、複数の大きなアピールポイントがあった。全編に動きを加えようとした映像表現、大量のグラフィック、宇宙と地上をまたぐ壮大なSFストーリー、マウスを意識したインターフェース、メロディーモジュールという特殊な付属物などである。一方で、現在まで信頼できる形で確認できる累計販売本数は明確ではない。そのため、「何十万本を売った大ヒット作品」といった表現は避けるべきである。しかしPC-8801、PC-9801、FM77AV、X1turbo、MSX2と主要機種へ展開され、後にはメガドライブへの移植も実現したことを考えれば、メーカー側が重要商品として長く展開していたことは分かる。現在遊ぶと評価が分かれやすいのは、やはり操作と攻略部分である。アニメーションやストーリーは当時の意欲を感じさせる一方、フラグ管理の分かりにくさや同じ場所を再調査する必要性、終盤の迷路などは現代ユーザーにとってかなり厳しい。しかし、こうした粗さをすべて取り除けば『サイオブレード』らしさまで失われる可能性がある。さまざまなシステムを一作品へ盛り込み、プレイヤーを驚かせようとした実験精神が、このゲームを記憶に残る作品へしている。

PC-8801・PC-9801・FM77AV・X1turbo・MSX2版はオリジナルの物語を味わうための存在

複数のパソコンへ発売された『サイオブレード』だが、それぞれを完全に別作品として考える必要はない。基本的には同じ『サイオブレード』という作品を、各機種の画面表示、音源、記録媒体、ハードウェア性能へ合わせて移植したものである。そのため、PC-8801版だからストーリーそのものがまったく別になる、MSX2版だから主人公が変わるという種類の違いではない。基本的な魅力は共通しており、キースとヒューイによる二本立ての物語、メロディーモジュールを利用した仕掛け、AVG部分、3D迷路などが作品の核となる。ただし、実際のプレイ感覚は機種によって差がある。表示できる色、グラフィックの描画方式、画面切り替え速度、音源環境などが異なるため、同じシーンでも受ける印象は完全には同じではない。PC-9801系、PC-8801系、FM77AV、X1turbo、MSX2にはそれぞれ独自のハードウェア環境があり、どれが絶対的な最高版というより、所有していたパソコンによって「自分のサイオブレード」が違った時代だったのである。

メガドライブ版は単純な完全移植ではなく家庭用向けに再構築された別タイプの『サイオブレード』

PC版と最も大きく異なるのが1990年のメガドライブ版である。この版を比較する際に最も注意したいのは、パソコン版の内容をそのままROMカートリッジへ移した作品ではないことである。PC版で大きな役割を持っていたヒューイの地上編が省略され、宇宙編を中心とした構成へ再編集されている。これは作品の印象を大きく変える。PC版ではキースとヒューイという二人を操作することによって、表と裏から同じ事件を見る構成が成立していた。地上編がなくなると、その対比が弱まり、宇宙船を中心としたSFアドベンチャーとしての性格が強くなる。一方、メガドライブという家庭用ゲーム機へ合わせ、アクション性や視覚的な見せ場を強めた部分もある。そのため「削られたから劣化版」と単純に決めるより、「パソコン向けAVGを家庭用ゲーム機向けにどう再設計したかを見るアレンジ版」と考える方が適切である。両方を比較することで、1980年代末から1990年代初頭にかけて、パソコンゲームと家庭用ゲームの設計思想がどれほど違っていたのかも見えてくる。

Windows環境での復刻によって「高価な実機がなくても物語を体験できる作品」になった

長い間、『サイオブレード』をオリジナル環境で遊ぶにはPC-8801やMSX2など当時の実機、正常に読み込めるフロッピーディスク、必要な周辺環境を用意する必要があった。しかし復刻サービスの登場によって事情は大きく変わった。Windows上で動作するProject EGG版が提供されたことで、少なくともゲーム内容を体験するために数十年前の実機を必ず所有する必要はなくなった。復刻版には当時資料が収録されることもあり、「ゲームを遊ぶ」と「当時のパッケージ文化を知る」の両方を楽しみやすくなっている。ただし復刻版が存在しても、オリジナル商品の価値がなくなるわけではない。むしろゲーム内容を遊ぶだけなら復刻版が利用できるようになったことで、古いパッケージ版は「ゲームを起動するための商品」から「1988年当時の文化を保存したコレクターズアイテム」へ性格が変化したとも考えられる。

中古市場では「遊ぶためのソフト」と「集めるための完全品」を分けて考えたい

中古で『サイオブレード』を探す場合、何のために購入するのかを最初に決めておくとよい。実際に遊ぶことが目的なら、Windows環境で利用できる復刻版が現実的である。フロッピーディスクの劣化、実機の故障、ディスクドライブの整備、メロディーモジュールの欠品などを心配する必要が少なく、ゲーム内容へ集中できる。メガドライブ実機を所有しているなら、メガドライブ版も比較的探しやすい。ただし前述したようにPC版とシナリオ構成が異なるので、オリジナルの二主人公構成を味わいたい場合には注意が必要である。一方、コレクション目的ならパソコン版の価値は大きい。外箱、複数枚のフロッピーディスク、説明書、専用ケース、メロディーモジュールなどが揃っている商品は、単なるソフトではなく当時の商品形態そのものを保存した資料になる。中古市場では出品数が多い作品ではないため、機種版や状態によって価格差も大きい。特に「出品価格」と「実際に売買された金額」を混同してはいけない。

現在の基準で点数を付けるより「この時代だから生まれた面白さ」を味わう作品

現代作品と同じ基準だけで『サイオブレード』を評価すると、厳しい部分はいくつもある。アニメーションは滑らかではない。進行条件も分かりにくい。何度も同じ場所を調べる必要があり、操作テンポも遅い。3D迷路は非常に難しく、プレイヤーによっては攻略情報なしでは投げ出してしまうだろう。しかし、それらは「1988年のゲームだから駄目だった」と切り捨てるより、「1988年の制約の中でこれだけ多くのことをやろうとした」と考えた方が本質に近い。静止画主体だったAVGへアニメーションを入れる。宇宙と地球で主人公を分ける。マウスによる操作を想定する。物理的な音楽装置を謎解きへ使う。3D迷路を組み込む。複数の主要パソコンへ移植する。その後は家庭用ゲーム機にも展開する。一つ一つなら同時代の別作品にも存在する要素だが、それを一つのタイトルへこれほど大量に盛り込んだところに『サイオブレード』の個性がある。結果として少々まとまりに欠ける部分も生まれたが、その代わりに「このゲームでしか味わえない体験」が残った。完成度だけを点数化するより、挑戦の多さを味わった方が楽しめる作品なのである。

総評――荒削りでも、T&Eソフトの挑戦心と1980年代SFゲームの魅力が凝縮された一本

最終的に『サイオブレード』は、1980年代後半の国産パソコンゲームを象徴する「意欲作」という表現がよく似合う。宇宙船セプテミウス2の異変を追うキース。地上でシュルツ博士を追跡するヒューイ。二人の主人公がそれぞれ異なる世界から同じ真相へ近づき、人工知能、科学技術、情報機関、人間の欲望が交差していくストーリーは、現在遊んでも1980年代SFならではの魅力を持っている。そこへ多数のアニメーション、対象物を選ぶインターフェース、メロディーモジュール、アクション的場面、3D迷路といった大量の仕掛けが加わり、単純なコマンドAVGでは終わらないゲームになった。欠点も明確である。攻略の誘導は弱く、イベントの進行条件が分かりにくいところがあり、同じ行動を繰り返す場面もある。終盤の3D迷路は人を選ぶ。現在のゲームに慣れたプレイヤーが何の予備知識もなく始めれば、途中で戸惑う可能性は高い。それでも最後まで遊ぶと、なぜ『サイオブレード』が現在まで名前を残しているのかが理解しやすい。単に「昔の有名ゲーム」だからではなく、ゲームを映像作品へ近づけたいという情熱と、コンピュータだから可能な遊びを模索した痕跡が大量に残っているからである。そしてPC-8801、PC-9801、FM77AV、X1turbo、MSX2などで遊んだ世代にとっては、それぞれのパソコン環境と結びついた思い出のタイトルでもある。メガドライブ版は大胆に再構成された別の顔を持ち、現在ではWindows環境の復刻によって新しい世代も触れられる。オリジナルパソコン版は物語の完全な構造を楽しみたい人向け、メガドライブ版は家庭用向けに再設計された違いを楽しみたい人向け、復刻版は実機を用意せず作品そのものへ触れたい人向けと考えると分かりやすい。現在から初めてプレイするなら、完全自力攻略へこだわりすぎる必要もない。基本は自分で考え、どうしても進めなくなった部分だけヒントを確認しながら、二人の主人公が追う事件の全貌を楽しむ方法がおすすめである。『サイオブレード』は洗練だけを追求した作品ではない。むしろ「これも入れたい、あれも試したい」という開発者の意欲が画面から伝わってくるゲームである。その結果として生まれた少し不器用で、難しく、それでいて強烈に記憶へ残る体験こそが本作の最大の魅力であり、発売から長い年月を経た現在でも語る価値がある理由なのである。

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