『轟II』(パソコンゲーム)

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【発売】:ウルフ・チーム
【対応パソコン】:PC-9801、FM TOWNS など
【発売日】:1992年9月
【ジャンル】:シミュレーションゲーム

■ 概要・詳しい説明

『轟II』とは――太平洋戦争全体を俯瞰する本格派ウォー・シミュレーション

『轟II』は、1992年にウルフ・チームから発売された国産パソコン向けの戦略級ウォー・シミュレーションゲームである。題材となっているのは第二次世界大戦期の太平洋戦線で、前作『大東亜黙示録 轟』の基本思想を受け継ぎながら、戦略システムや操作性、演出面などを発展させた続編として制作された。PC-9801を中心に展開された後、FM TOWNS向けには『轟II TOWNSスペシャル』も発売されている。

本作でプレイヤーが担当するのは大日本帝国側で、広大な太平洋・東南アジア戦域を舞台に陸海空の戦力を運用して戦争を進めていく。ゲームの方向性は、個々の戦車や兵士を直接動かす戦術級シミュレーションではなく、艦隊の編成、航空部隊の配置、生産、資源確保、基地防衛、上陸作戦などを総合的に判断する戦略級シミュレーションに近い。

当時の太平洋戦争シミュレーションには、補給物資や石油、工場、生産数、輸送船団など大量の数値を細かく管理する非常に複雑な作品も少なくなかった。その中で『轟II』は、本格的な戦略性を残しつつ、管理項目をある程度整理することで、細かな数値入力ばかりに追われず作戦立案そのものを楽しみやすい構成を目指していた点が特徴である。

プレイヤーは一隻の戦艦の艦長になるのではなく、国家規模の作戦を決定する最高司令部に近い立場となる。南方資源地帯をどこまで早く確保するのか、空母をどの海域へ送るのか、日本本土を守る戦力をどれだけ残すのか、航空基地をどの地点まで前進させるのかといった判断の積み重ねが戦局を大きく左右する。そのため『轟II』は、派手な戦闘操作より「数週間後、数か月後を見据えて戦線を設計する面白さ」に重点が置かれた作品といえる。

1か月を4ターンに区切って進行する戦略システム

ゲームの時間は1か月を4週間に分割したターン制で進行する。つまり1ターンがおおむね1週間に相当し、プレイヤーは限られた期間の中で部隊移動や攻撃準備、艦隊運用などを判断していくことになる。また月が変わる際には通常の作戦行動とは別に生産・開発に関するフェイズが用意されており、戦場での勝敗だけではなく継続的に戦争を続けられる国家体制を整える必要がある。

この「週単位の戦略ターン」と「月単位の生産管理」という組み合わせが『轟II』のゲームテンポを形作っている。例えば、敵艦隊の動きを確認してから空母部隊を送り込もうとしても、現在位置が遠ければ数週間を要する可能性がある。その間に別方面で敵軍が上陸したり、航空基地が攻撃されたりすることもある。そのため目の前で発生している問題だけを追い掛けていると、後手に回りやすい。

戦略マップにはインド方面からハワイ方面に至る広大な地域が収録され、太平洋戦争の主要戦域を大きな視点から扱う。マップはヘックス形式で区切られ、一つのヘックスが現実世界では数百キロ規模の距離を表現する。そのため部隊の移動は、単純に港から港へ艦隊を動かすというより、いくつもの海域をまたいで作戦地域へ展開させる感覚に近い。

このスケールによって、ミッドウェーや南太平洋だけではなく、東南アジア、中国方面、ニューギニア周辺、日本本土、ハワイ方面などを同時に意識する必要がある。ある方面へ戦力を集中すれば、当然ながら別方面は手薄になる。強力な空母機動部隊を南太平洋へ投入した直後に別の海域で危機が発生したとしても、すぐには引き返せない。この距離と時間の概念が、本作の戦略性を支える重要な部分となっている。

陸・海・空をまとめて扱う部隊運用

『轟II』では、航空機、艦艇、陸上部隊などが一定規模の部隊単位として管理される。航空機の場合は中隊規模が一つの基本単位となり、駆逐艦や輸送船なども必ずしも一隻ずつではなく、複数隻をまとめた部隊として表現される。この方式によって、何百隻もの艦船を個別に管理する煩雑さを避けながら、大規模な太平洋戦争をゲームとして扱えるようにしている。

特に重要となるのが空母と航空戦力である。太平洋戦争をテーマにしている以上、航空優勢を確保できるかどうかは作戦の成否に直結しやすい。強力な艦隊を編成しても、敵航空隊の活動圏へ不用意に進入すれば大きな被害を受ける可能性がある。逆に基地航空隊や空母航空隊を適切に集中できれば、敵艦隊へ大打撃を与えることも可能となる。

輸送船などの存在も重要で、戦闘部隊だけを前線へ送り込めばよいわけではない。上陸や基地確保を考えれば、兵力をどの方面へ運ぶかという輸送計画が必要となる。ただし戦略資源の輸送そのものはゲーム側で自動処理される部分が多く、プレイヤーが輸送船一隻ごとの航路や積載量まで細かく設定する必要はない。

この点は『轟II』の遊びやすさにつながっている。戦争全体を扱う作品でありながら、過度に細かい物資輸送作業を簡略化し、どこを攻めるのか、どの基地を保持するのか、どこへ主力を投入するのかという作戦レベルの決断に集中しやすくしているのである。

生産力・資源・燃料という三つの経済要素

国家運営に関わる重要なパラメータは、大きく生産力、資源、燃料の三系統へ整理されている。資源管理型のウォー・シミュレーションとしては比較的分かりやすい構成だが、項目が少ないからといって簡単というわけではない。

生産力が不足すれば新たな兵器や部隊を十分に用意できなくなり、資源や燃料が不足すれば艦隊・航空隊を積極的に運用する余裕がなくなる。とりわけ日本側は戦争が長期化するほど経済力や物量面で苦しい状況へ追い込まれやすいため、序盤から漫然と戦力を消耗するのではなく、限られた戦力と資源をどこへ投入するかという判断が重要となる。

ここには太平洋戦争を扱うシミュレーションならではの面白さがある。単純に戦闘で勝ち続ければよいのではなく、「その勝利のためにどれだけの損害を支払ったのか」が重要になるからである。敵拠点を占領できたとしても、空母や有力な航空部隊を大量に失えば長期的には失敗となる場合がある。反対に目立った戦果がなくても、主力を温存しながら重要地域を維持できれば、後の戦局で大きな意味を持つ。

そのため本作では、勝敗を目先の戦闘結果だけで判断するのではなく、戦争全体の収支を見る考え方が求められる。

戦闘は自動処理――勝負は戦う前の準備で決まる

『轟II』の戦闘は、アクションゲームのようにプレイヤーが一機ずつ航空機を操作したり、艦砲射撃の方向を細かく指定したりするものではない。基本的には戦場へ適切な戦力を送り込み、その後の戦闘処理はゲームシステムによって進行する。

このため最初は「戦闘中にすることが少ない」と感じるかもしれない。しかし本作の本当の勝負は戦闘開始前に存在する。どれほどの兵力を集めるか、航空支援を付けるか、艦隊をどこに待機させるか、敵の増援が到着する前に攻撃するかといった準備段階が重要である。

例えば敵基地を攻略する場合でも、十分な航空戦力を用意せず輸送部隊を接近させれば大きな損害を受ける可能性がある。一方で敵航空戦力を先に弱体化させ、制海権と制空権をある程度確保してから上陸部隊を投入すれば成功率は高くなる。

つまり『轟II』では、戦闘そのものより「有利な戦闘条件を作ること」が攻略の中心になるのである。

ソ連参戦などによって変化する戦局

ゲーム開始時点でソ連は基本的に中立勢力として扱われているが、戦争の進行や条件によって参戦する可能性が存在する。この要素によって、プレイヤーは南方や太平洋方面だけに戦力を集中させればよいわけではなく、長期戦になった場合には北方や大陸方面の情勢も意識する必要が出てくる。

日本側でプレイするゲームである以上、基本的には時間が経過するほど厳しい局面へ向かいやすい。序盤は攻勢に出る余地が大きくても、戦争が長期化すれば敵側の圧力は次第に強くなっていく。そのため「どこまで勢力圏を広げるか」以上に、「広げた戦線を維持できるか」が重要になる。

太平洋の島々を次々と占領すると一見有利に感じられるものの、防衛する基地が増えるほど戦力は分散する。すべての島へ十分な航空隊や艦隊を配置することは難しいため、本当に必要な拠点と放棄しても構わない拠点を見極める必要がある。

ウルフ・チームらしいビジュアル演出と重厚なBGM

戦略シミュレーションとしての内容だけでなく、当時のウルフ・チームが得意としていたビジュアル演出も『轟II』を特徴付けている。ゲーム開始前には比較的長いオープニングデモが用意され、戦争当時を連想させるモノクロ写真風の画像や重厚な音楽によって、これから歴史規模の戦いが始まるという雰囲気を作り出していた。

当時のパソコンゲームではフロッピーディスクの容量は貴重だった。その中で演出部分にも大きな容量を割いたことからも、制作側が単なる数字中心のウォーゲームではなく、視覚と音楽を含めて作品世界へ引き込もうとしていたことが分かる。

BGMにも力が入れられており、戦争映画や記録映像を思わせる重厚な音作りがゲームの空気とよく合っている。ウルフ・チームは当時からグラフィック、オープニング、音楽など本編以外の見せ方にも積極的なメーカーであり、『轟II』にもその制作姿勢が色濃く表れている。

PC-9801版の動作環境と独特だった操作性

PC-9801版は640×400ドットを基本とした画面構成で、FM音源やマウスに対応していた。操作についてはマウス使用を前提とした部分が多いが、キーボードによるプレイも可能である。

一方で、現在のゲームと比較するとユーザーインターフェイスには時代を感じる部分も多い。特に日本語入力環境との連携が十分ではなく、艦船へ名称を付ける際などには手間を感じる場面もあった。

さらにPC-9801版では頻繁なフロッピーディスクアクセスがプレイテンポに影響しやすかったが、増設RAMボードを利用できる環境では、ゲームデータをRAMへ読み込むことによってディスクアクセスを減らすことができた。起動時にはデータをメモリ上へ展開する方法やキャッシュとして利用する方法を選択でき、十分なメモリを搭載したPCでは操作感を改善できた。

FM TOWNS版『轟II TOWNSスペシャル』で強化された内容

1993年にはFM TOWNS向けとして『轟II TOWNSスペシャル』が登場した。基本となるゲームシステムはPC-9801版を継承しているが、単純な移植にとどまらず、表示やゲームバランスなど複数の部分に改良が加えられている。

画面解像度はPC-9801版の640×400から640×480へ拡張され、情報を表示できる領域に余裕が生まれた。インターフェイスについても若干の調整が施され、FM TOWNSのハードウェア特性を活用した内容となっている。

音楽面ではCD-DAを利用した方式ではないものの、FM TOWNS側の内蔵音源性能を活用することで、PC-9801版とは異なる豊かなBGM表現を楽しめる。またシナリオの追加やコンピュータ側の思考処理にも手が加えられ、ゲームとしての完成度を高めたバージョンと考えられる。

追加シナリオ集『轟II シナリオコレクション』

本編発売後には『轟II シナリオコレクション』も登場している。これは本編を長く遊び込んだプレイヤー向けに、新しい戦況からゲームを開始できる拡張要素としての意味合いが強かった。

シナリオは戦争開始直後とは異なる時点からスタートするため、初期配置や保有戦力、前線状況などが変化しており、本編とは違った戦略が必要になる。特に1942年春以降を念頭に置いた戦況では、開戦直後の大規模な南方進攻を一から行う展開とは異なり、すでに広がった戦線をどのように運用するかが重要となる。

またオリジナル版で見られた一部のゲーム進行上の問題についても調整が加えられたとされ、本編をさらに長く遊ぶための追加商品として存在感を持っていた。

「登場キャラクター」より艦隊・航空隊・国家戦略そのものが主役

RPGやアドベンチャーゲームのような意味での架空の主人公やヒロインは、『轟II』にはほとんど存在しない。プレイヤー自身が日本側の最高戦略責任者に近い立場となるため、物語を引っ張る特定の人物ではなく、艦隊、航空隊、基地、陸上部隊などが事実上の主役となっている。

戦艦や空母、航空機など太平洋戦争を象徴する兵器群をどのように使うかによって、プレイヤーごとの戦史が生まれていく。史実では失われた艦艇を最後まで温存したり、史実とは異なる地域へ主力空母を投入したり、自分なりの機動部隊を構築したりできる点が、歴史シミュレーションならではの楽しさである。

販売実績と当時の位置付け

『轟II』については、家庭用ゲームの大ヒット作品のように明確な累計販売本数が広く公表されているタイトルではない。そのため具体的な数字だけで商業的成功を評価することは難しい。

ただし、本編だけで終わらず追加シナリオ集が発売され、さらに翌年にはFM TOWNS向けの強化版まで展開されたことから、一定数のウォー・シミュレーションファンに支持され、商品展開を続けられる程度の需要を確保していた作品だったと考えられる。

1990年代初頭の国内PCゲーム市場では、PC-9801を中心として歴史シミュレーションやウォーゲームが一つの大きなジャンルを形成していた。その中で『轟II』は、極端に細かな物資計算へ偏り過ぎず、かといって家庭用ゲーム向けの簡略化された戦略ゲームほど軽くもない、中間的な立ち位置を持っていた。

結果として『轟II』は、ウルフ・チームが持っていたビジュアル・音楽面の演出力と、本格派ウォー・シミュレーションの戦略性が交差した、同社作品の中でも独特な一本となったのである。

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■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター

『轟II』最大の魅力――「戦闘」ではなく「戦争そのもの」を動かしている感覚

『轟II』の最大の魅力は、戦艦や航空機を動かして敵を倒すことだけを目的とするのではなく、太平洋戦争という巨大な戦場そのものを自分の判断で動かしているような感覚を味わえるところにある。プレイヤーが担当する大日本帝国側には、海軍艦艇、航空部隊、陸上兵力、輸送戦力、各地の基地、さらに生産力・資源・燃料といった国家規模の要素が存在しており、それぞれを関連付けながら戦略を組み立てなくてはならない。

目の前の一回の海戦に勝利したとしても、主力空母や航空戦力を消耗し過ぎれば数か月後には苦しくなる。逆に敵を完全撃滅できなくても、重要な輸送路を確保し、航空基地を維持し、主力艦隊を温存できれば長期的には有利になることもある。この「一戦の勝敗と戦争全体の勝敗は必ずしも同じではない」という考え方が、本作を奥深い作品にしている。

例えば、敵の大艦隊を発見すると、ついこちらの空母や戦艦を総動員して決戦を挑みたくなる。しかし、それが常に正解とは限らない。敵艦隊が遠隔地に出ている間に別方面の基地を攻略した方が有利になる場合もあれば、あえて交戦を避けて敵の時間を浪費させた方が得になることもある。

こうした「どこを攻めるか」だけでなく「どこを守らないか」まで考えさせられる点は、本格派の戦略級シミュレーションならではである。

攻略の第一歩は「全部守ろうとしないこと」

『轟II』を攻略するうえで最も重要な考え方の一つが、戦力を必要以上に分散させないことである。ゲーム開始直後は日本側が比較的攻勢に出やすく、複数方面へ進撃できる。そのため初心者ほど「取れる拠点は全部取ってしまおう」と考えやすい。しかし、占領地域が増えるということは、それだけ防衛しなければならない場所も増えることを意味する。

島嶼部に航空隊や陸上兵力をばらまいてしまえば、いざ敵の主力艦隊が現れた時に十分な戦力を集められない。だからこそ重要なのは、太平洋上のすべての拠点を同じ価値として考えないことである。「絶対に保持したい場所」「航空戦力を置く前進基地」「敵を遅滞させるための拠点」「状況次第では放棄しても構わない場所」という具合に、自分なりに優先順位を付けておくと戦略を組み立てやすい。

特に航空基地として利用価値の高い拠点は重要である。艦隊だけで広い海域を支配するのは難しいが、基地航空隊を適切に配置すれば、周辺海域に強い影響力を持たせられる。

空母と航空戦力の使い方が攻略の中心

太平洋戦争を舞台にした作品らしく、『轟II』において航空戦力は非常に大きな意味を持っている。戦艦を中心とした艦隊にも強さはあるが、敵航空隊の活動圏へ不用意に踏み込めば、戦闘開始前から不利な状況に置かれることがある。

空母機動部隊は非常に便利で、航空基地のない海域にも航空戦力を持ち込める。しかし便利だからこそ、失った時の損害も大きい。強力な空母を一度に前線へ集中させれば攻撃力は増すものの、敵航空隊や敵空母の攻撃によってまとめて大損害を受ければ、その後の戦局全体へ影響する。

したがって空母については、ただ最前線へ送り込むのではなく、敵航空基地の位置や敵艦隊の所在を考えながら慎重に運用したい。可能であれば基地航空隊と連携させ、敵に対して複数方向から航空圧力を掛ける形を作ると有利になる。

特にゲームに慣れていない段階では、「空母を失わないこと」を最優先にするだけでも戦局は安定しやすい。

燃料と資源を軽視しない

『轟II』では戦力だけを見るのではなく、生産力・資源・燃料という国家規模の要素にも注意しなければならない。特に艦隊を頻繁に動かしていると、目に見える戦果が上がっている間は順調に感じられるが、長期戦になった時に負担が表面化してくる。

攻略の基本として、必要のない艦隊移動を減らすことが大切である。敵がいない地域へ大艦隊を派遣し、何もせず再び帰還するだけでは戦略的な成果が小さい。

日本側は長期的な物量戦になるほど苦しくなるため、序盤に大量の部隊を失う戦い方は避けたい。とりわけ空母・航空隊・大型艦など、代替が難しい戦力を使い潰してしまうと、その場では勝利しても後半戦で対応できなくなる。

南方資源地帯の確保と攻める順番

ゲーム序盤では、日本側が比較的自由に攻勢を仕掛けられるため、どの方面から攻略していくかが重要になる。基本的な考え方としては、南方の重要地域を確保し、資源面で長期戦を支えられる状態を作りながら防衛線を形成することが安定した戦略になる。

ただし早く進撃すればするほど有利というわけではない。陸上部隊や輸送戦力、航空隊が追いつかなければ占領後の防衛が困難になる。

したがって「敵基地を占領できるか」だけではなく「占領した後に維持できるか」まで考えて作戦を決定したい。

攻略する順番も重要である。遠く離れた拠点を飛び石状に占領するより、既存の航空基地から支援できる範囲を少しずつ広げていく方が安全である。前進基地を確保し、そこへ航空隊を移動させ、その航空圏を利用して次の拠点へ進む。この「航空基地を階段のように前進させる」感覚は、本作の攻略で有効である。

海戦の必勝法は「敵が強い場所では戦わない」こと

ウォー・シミュレーションでは強力な敵艦隊を見ると撃破したくなるが、『轟II』では戦力差が不利な状況で無理に戦う必要はない。敵の航空基地周辺や敵主力部隊が集中している海域へ正面から突入すれば、こちらも大きな損害を覚悟しなければならない。

攻略の基本は、自軍が有利になる状況を作ってから戦うことである。基地航空隊の支援を受けられる海域まで敵を引き付ける、複数の艦隊を集めて戦力差を作る、敵主力が別方面へ移動した隙に拠点を攻略するといった形で、戦場そのものを選ぶことが重要になる。

戦争シミュレーションとして考えるなら、「敵を撃破すること」と「目的を達成すること」は同じではない。この違いに気付くと攻略の自由度が一気に広がる。

攻略でありがちな失敗

最初に起こりやすい失敗は、主力艦隊を一か所へ集め過ぎることである。強力な艦艇をまとめれば大きな戦力になるが、太平洋戦域は非常に広い。その主力が南方にいる間に中部太平洋方面を攻撃されれば、すぐには戻れない。

二つ目は、すべての拠点を守ろうとすることである。限られた航空隊や陸上兵力を各地へ均等に配置すると、どこも中途半端な強さとなる。

三つ目は、勝利直後に連続して攻勢を行うことである。一度の戦闘に勝つと、その勢いのまま次の拠点へ進みたくなる。しかし航空部隊や艦隊が損耗した状態で次の戦闘へ突入すると、思わぬ反撃を受ける。

四つ目は、敵艦隊を見つけるたびに追跡することである。広い太平洋では追いかけっこを続けている間にほかの戦線が崩れる場合がある。

五つ目は、戦艦など目立つ大型艦だけを重視することである。本作では航空戦力や基地の位置、輸送能力など複数の要素が関連するため、単純な砲撃力だけでは戦局を支配できない。

難易度――正解のない判断こそが難しい

『轟II』は、太平洋戦争シミュレーションとしては管理項目が比較的整理されている。資源輸送など一部が自動化され、細かな数値を毎ターン大量に入力しなくてもゲームを進められる。

しかし、簡単なゲームという意味ではない。難しさの中心は操作方法ではなく戦略判断にある。

「次にどこを攻めるか」「どの基地を守るか」「主力艦隊をいつ投入するか」「どこまで戦線を拡大するか」といった問題には、毎回一つだけの正解が存在するわけではない。

そのため初回プレイでは失敗することを前提として遊ぶ方が楽しみやすい。なぜ負けたのかを確認し、「空母を前に出し過ぎた」「航空基地が不足していた」「戦線を広げ過ぎた」と原因を分析して再挑戦する。この試行錯誤が本作の醍醐味である。

クリアを目指すなら長期的な戦争設計が必要

『轟II』では、一般的なステージクリア型ゲームのように一つの敵を倒せばエンディングへ一直線という構造ではない。選択したシナリオや戦局の条件に従い、日本側として戦争を継続しながら勝敗条件を目指していく。

したがって攻略では、序盤の勢いより最終的な戦力維持が重要となる。最初の数か月に大戦果を挙げても、空母や航空隊を使い果たしてしまえば中盤以降に苦戦する。

特に意識したいのは「勝てない戦いを避ける」ことである。敵艦隊の方が明らかに優勢な場合は、一時的に基地を放棄する判断も必要になる。

裏技より重要な戦略的工夫

『轟II』はアクションゲームのように特定のコマンド入力によって無敵になるタイプの作品ではなく、攻略上の強さはシステムを理解して効率よく戦力を運用できるかどうかに左右される。

例えば、敵が攻撃しそうな場所を予測して基地航空隊を集中させる、主力艦隊を敵航空圏へ長時間置かない、複数方面へ同時に大規模攻勢を仕掛けない、損傷した部隊を無理に使い続けないといった基本を徹底するだけでも戦力の消耗は大きく変わる。

また、自軍の最重要戦力を一つの艦隊へ全部まとめないこともリスク管理として有効である。攻勢用主力と予備戦力を分けておけば、予想外の敵攻撃にも対応しやすい。

キャラクター性を感じる存在――艦艇や航空部隊への愛着

『轟II』にはRPGのような架空の主人公やヒロインが多数登場するわけではない。そのため「好きなキャラクター」という表現をそのまま当てはめることは難しい。しかし長時間遊んでいると、特定の艦隊や艦艇、航空部隊にキャラクターのような愛着が生まれてくる。

大きな戦果を挙げた空母機動部隊、何度も敵艦隊と交戦しながら生き残ってきた大型艦、危険な前線基地を守り続けた航空隊などは、プレイヤーにとって単なる数字ではなくなる。

これは歴史シミュレーション独特のキャラクター性であり、イベントシーンで人物のドラマを描くのではなく、プレイヤー自身のプレイによってドラマが生まれる。

特に印象へ残りやすい空母機動部隊

本作で特に印象に残りやすい「キャラクター的存在」を一つ挙げるなら、空母を中心とした機動部隊である。空母部隊をどこに置くかによって、周辺海域における作戦の自由度が変わる。敵艦隊を迎撃することもできれば、上陸作戦を支援することもできる。

一方で、それほど重要な戦力だからこそ失った時の衝撃も大きい。何ターンもかけて運用してきた主力空母部隊が一度の海戦で大損害を受けると、その後の作戦計画を根本から変更しなければならない場合がある。

この「強力だが絶対に失いたくない」という緊張感が、空母部隊を単なる戦闘ユニット以上の存在にしている。

好きなところ――自分だけの太平洋戦争が生まれる

『轟II』で特に面白いのは、歴史上の出来事をそのまま再現するだけの作品ではないことである。史実を意識した作戦を立てることもできるが、ゲーム開始後はプレイヤーの判断によって戦況が変化していくため、史実とは全く違った太平洋戦争が展開される。

史実とは異なる場所で大規模な空母決戦が発生することもあれば、本来激戦地となった地域が比較的平穏なまま推移することもある。

プレイヤー自身が判断した結果として歴史が変化するため、「もし自分ならこうする」という歴史ファンなら一度は考える想像をゲーム上で試せる。

戦略ゲームとしての多彩な楽しみ方

基本的な攻略を覚えた後には、さまざまな遊び方が可能になる。一つは史実再現を意識する方法である。史実に近い攻略順序や艦隊配置を試し、実際の歴史とゲーム上の展開がどの程度違うかを見る。

二つ目は、ゲームシステムを理解したうえで最も効率的な戦略を研究する遊び方である。

三つ目は、自分で制限を設ける縛りプレイである。特定方面へ戦力を集中する、可能な限り主力艦を失わずに戦争を進めるなど、自分でテーマを設定すると何度でも遊べる。

追加シナリオでは開始時点そのものが変わるため、本編で有効だった戦略をそのまま利用できない場合もあり、リプレイ性をさらに高めている。

『轟II』の魅力を一言で表すなら「勝つために戦わない判断まで求められるゲーム」

『轟II』は、敵を見つけたら戦う、拠点があれば占領するという単純な攻撃型ゲームではない。時には敵を無視し、時には基地を放棄し、時には主力艦隊を後方へ温存する方が最終的な勝利につながる。

派手な戦果を求めれば短期的には気持ちがよい。しかし本当に重要なのは数か月後にも戦える軍を残すことである。空母を失わない。航空戦力を無駄遣いしない。守れない島に兵力を投入し過ぎない。敵が有利な場所で決戦しない。そして重要な局面が来た時には、それまで温存していた戦力を集中する。

そうした判断が成功すると、「強い兵器を持っていたから勝った」のではなく、「自分の戦略によって勝った」という感覚を味わえるのである。

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■ 感想・評判・口コミ

評価されやすいのは「太平洋戦争全体を動かす手応え」

『轟II』を遊んだプレイヤーの感想を総合すると、最も評価されやすい部分は、単なる艦隊戦ゲームではなく、太平洋戦争の広大な戦域を自分の判断で動かしているという感覚にある。

どの地域を攻略するのか、どこへ艦隊を派遣するのか、どの基地へ航空隊を配置するのか、限られた資源や燃料をどの程度消費するのかまで考えなければならない。そのため短時間で爽快感を得るゲームというより、じっくり考えながら自分だけの戦局を作っていく作品として受け止められやすい。

特にウォー・シミュレーションに慣れていた当時のPCユーザーから見れば、戦略級ゲームとして必要な要素を備えながらも、資源輸送や戦闘処理の一部が自動化されている点は遊びやすさにつながった。

「難しいが理不尽だけではない」という印象

本作に対する感想として特徴的なのが、難易度についての評価である。太平洋全域を扱い、陸海空の戦力、資源、生産、基地、艦隊移動など複数の要素を同時に考える必要があるため、初めて遊ぶ人にとって敷居が低い作品ではない。

しかし慣れてくると「なぜ負けたのか」を分析できるようになる。

例えば前線基地を奪われた場合でも、単純に敵が強かっただけではなく、数ターン前の航空隊配置が間違っていた、空母を別方面へ出していた、守るべき拠点を増やし過ぎていたという原因を探ることができる。

敗北がその場の結果だけではなく、過去の戦略判断とつながっているため、再プレイする際には明確な改善策を試せる。この構造はウォー・シミュレーション好きには高く評価されやすい。

戦闘の自動処理については好みが分かれる

『轟II』の評価が分かれやすいポイントの一つが、戦闘部分の簡略化である。本作では戦場へ部隊を投入した後、戦闘そのものは比較的自動的に進行する。艦艇の砲撃を一回ずつ指定したり、航空機一機ごとに目標を決めたりするゲームではない。

このシステムを好意的に見るプレイヤーからは、戦術操作に時間を取られず戦略に集中できるという評価につながる。一方、艦隊戦を細部まで操作したい人から見ると、戦闘へ介入できる余地が少なく感じられる。

ただし、本作の場合は戦闘前の準備そのものが戦術に相当する。どの部隊を送り込むのか、航空支援を付けるのか、敵の勢力圏内で戦うのか、自軍基地の近くまで引き付けるのかといった判断が勝敗へ直結する。

ビジュアルシーンへの評価

ゲームシステムと並んで印象に残りやすいのが、ウルフ・チームらしいビジュアル演出である。当時のウォー・シミュレーションは、戦略マップと文字情報が中心となり、視覚的には非常に地味な作品も多かった。

その中で『轟II』は、オープニングや演出用画像、BGMなどを積極的に利用し、太平洋戦争を扱う作品として重厚な雰囲気を作り出していた。

特にゲームを起動した直後の演出は、本編の戦略マップとは異なる映画的な空気を持っている。歴史写真を思わせるモノクロのビジュアルと重い音楽が組み合わされることで、これから巨大な歴史の流れに参加するような感覚を作っている。

BGMも印象を支える重要な要素

音楽についても評価されやすい。戦略シミュレーションは一回のプレイが長くなりやすいため、BGMの雰囲気は作品への没入感を大きく左右する。

『轟II』では戦争映画や軍事記録映像を想像させるような重厚さがあり、戦略画面とよく調和している。PC-9801版では当時のFM音源環境を前提としたサウンドだが、それ自体が現在ではレトロPCゲームらしい魅力になっている。

FM TOWNS版では音源環境が異なることから音楽の印象にも違いがあり、同じゲームでもサウンド面を理由にTOWNS版を好む人がいるのも理解できる。

空母を失った時の衝撃が忘れられない作品

『轟II』を遊んだ時の印象として語りやすいのが、重要戦力を失った際の衝撃である。特に空母機動部隊は戦局への影響が大きく、長い期間をかけて大切に運用していた空母が一度の戦闘で大きな被害を受けると、その後の作戦予定が一気に崩れる。

何か月も使い続けてきた艦隊には自然と愛着が生まれ、「この部隊だけは最後まで残したい」と考えるようになる。そのため大規模な海戦では、敵を撃破した喜び以上に自軍の損害結果を見る時の緊張感が大きい。

逆に、危険な戦闘を何度も切り抜けて最後まで残った艦艇や航空部隊は、プレイヤーにとって特別な存在となる。ゲーム側に細かなキャラクター設定がなくても、自分のプレイ履歴によって「歴戦の艦隊」という物語が生まれるのである。

「史実通りにいかない」ことそのものが面白い

歴史ゲームでは、史実と同じ展開になることを期待する人と、史実とは違う展開を楽しみたい人がいる。『轟II』は後者の楽しみ方と相性がよい。

太平洋戦争を題材としているため、登場する地域や兵器は史実を基本としているものの、ゲームが始まればプレイヤーの命令によって戦線は変化する。史実では重要ではなかった場所が大激戦地になることもあれば、逆に有名な戦場でほとんど戦いが起きないまま進む場合もある。

この「歴史の土台は同じだが結果は違う」という構造が高いリプレイ性を生み出している。

操作性については時代相応の不便さもある

一方で、不満として挙げられやすいのがユーザーインターフェイスである。マウス対応によって当時としては一定の操作性を確保しているものの、現代のゲームほど洗練されてはいない。

特に部隊や艦船に名称を付けるような文字入力の場面では、日本語入力環境との連携が弱く、操作に手間を感じやすい。またPC-9801版ではフロッピーディスクを利用するため、環境によってはディスクアクセスの頻度がゲームテンポへ影響する。

増設RAMを利用することで読み込みの負担を軽減できる仕組みは用意されていたものの、すべてのユーザーが同じ環境を持っていたわけではない。

PC-9801版とFM TOWNS版で評価が分かれるポイント

ゲーム内容そのものについては共通点が多いが、PC-9801版と後発の『轟II TOWNSスペシャル』ではプレイ感に違いがある。

PC-9801版は本作の原点であり、当時の国内PC市場で主流だった環境で遊ばれた作品として価値が高い。640×400の画面、FM音源、フロッピーディスクを中心とした構成には1992年当時のPCゲームらしさが凝縮されている。

一方のTOWNSスペシャルは、画面解像度の拡大や思考ルーチンの改善、シナリオ追加などによって、ゲームそのものを遊びやすくした改良版として評価できる。

どちらが絶対的に優れているかという問題ではなく、PC-9801版には原作としての歴史的価値があり、TOWNS版には改良版としての魅力がある。

追加シナリオへの評価

『轟II シナリオコレクション』は、本編を十分に遊んだ人ほど面白さを感じやすい内容である。

基本システムを覚えたプレイヤーにとって、毎回同じ開戦時点からスタートすると最初の作戦が似たものになりやすい。しかし開始時期や戦力配置が変化すれば、これまでの定石をそのまま使うことができなくなる。

すでに戦線が広がった状態では、最初から自分の理想通りに軍を配置する余裕がない。与えられた条件を見て、その場で適切な判断を考える必要があるため、本編とは異なる面白さを味わえる。

連合国側で遊べない点は惜しい

ゲームの設計上、プレイヤーが操作するのは日本側に限られている。そのため、太平洋戦争全体を扱うゲームとして、アメリカ側や連合国側でも遊びたかったと感じる人がいても不思議ではない。

もし両陣営を選択できれば、圧倒的な生産力を持つ連合国側で反攻作戦を組み立てたり、日本側とは全く異なる戦略を楽しんだりできたはずである。

ただし、日本側だけに絞ることによって、物量面で次第に不利になる状況をどのように乗り切るかという作品テーマが明確になったともいえる。

当時の人気――大衆向けではないが固定層には存在感

『轟II』は、家庭用ゲーム機で何十万本、何百万本を販売するような大衆向けタイトルとは性質が異なる。PC-9801を中心とする当時のパソコンゲーム市場、それも太平洋戦争を題材とするウォー・シミュレーションという比較的専門性の高いジャンルで展開された作品である。

そのため、誰もが知っている国民的タイトルという意味での人気作品ではなかった。しかし本編の発売だけで終わらず追加シナリオが商品化され、さらにFM TOWNS向けのスペシャル版まで制作されたことを考えると、一定の固定ファンや購入層を獲得していたことがうかがえる。

現在遊ぶと感じる「不便さ」と「古びにくい戦略性」

現在の視点で『轟II』を見ると、どうしても操作性や画面構成には古さがある。情報表示は現代のゲームほど親切ではなく、ロード環境も当時のハードウェアを前提としている。

しかし、ゲームの中心にある「限られた戦力をどこへ集中させるのか」という戦略的な問いそのものは古びにくい。

守る場所を選ぶ。敵と戦う場所を選ぶ。重要部隊を温存する。数ターン先を予測して戦力を移動させる。戦術的勝利より戦略的利益を優先する。このような考え方は現代のストラテジーゲームにもそのまま通用する。

総合的な口コミ評価――考えるほど味が出る作品

『轟II』の感想・評判をまとめるなら、「遊び始めた瞬間に面白さが全部分かるゲームではないが、仕組みを理解するほど評価が上がりやすい作品」と表現するのが適している。

序盤はどこを動かせばよいか分からず、適当に主力艦隊を前進させて大損害を受けたり、拠点を大量に確保した結果どこも守れなくなったりすることもある。しかし、その失敗の理由を理解し始めると面白さが大きく変化する。

敵が来てから対応するのではなく、来る前に部隊を置く。すべてを守るのではなく重要地域だけを守る。強い敵を倒すのではなく、強い敵がいない場所を攻める。勝てる戦闘だけを選び、戦力を次の作戦へ残す。

こうした考え方が身に付けば、単なるユニット移動だった操作の一つ一つが戦略的な決断へ変わっていくのである。

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■ 当時の宣伝・現在の中古市場など

1992年当時――PCゲーム専門誌を中心に存在を知らせる時代

1992年に登場した『轟II』は、現在のゲームのように動画配信サイトやSNS、公式サイト、オンラインストアを利用して大々的に情報を発信できる時代のタイトルではない。当時の国内パソコンゲームでは、パソコン専門誌やゲーム専門誌の記事、メーカー広告、ソフトハウスの情報ページ、ショップ店頭の商品展示、口コミなどが購入判断の大きな材料になっていた。

『轟II』のようなウォー・シミュレーションの場合、とりわけ雑誌媒体との相性が良かった。どのようなマップを使うのか、ターンはどの単位で進むのか、航空隊や艦隊をどう管理するのか、生産や資源といった要素がどこまで存在するのかといった説明が購入前に重要だったからである。

宣伝で分かりやすく訴求できる材料としては、前作『大東亜黙示録 轟』の続編であること、広大な戦略マップ、航空機や艦艇を含む陸海空の兵力運用、資源・燃料・生産力の管理、そしてウルフ・チームらしい長時間のオープニングデモなどが挙げられる。

重厚なオープニングも商品の顔

『轟II』を宣伝するうえで特徴的だったのが、ゲーム本編だけでなくビジュアル面を強くアピールできたことである。当時のウォー・シミュレーションは、戦略マップと文字情報が中心になりやすく、初見では地味に見える作品も少なくなかった。

その中でウルフ・チームは、オープニングデモや音楽、歴史写真を思わせるビジュアルなどを使って作品全体に映画的な雰囲気を与えていた。

現在なら動画広告でその魅力を直接見せられるが、当時は雑誌の画面写真と説明文からユーザーに想像してもらう必要があった。それでも「実際に起動するとどのような映像が流れるのか」と思わせることは、購入意欲を刺激する材料になったと考えられる。

パソコン専門店の店頭で箱を見て選ぶゲーム

発売当時、『轟II』のようなPC-9801用ゲームを購入する主な方法は、パソコンショップや大型電器店、ゲームソフトを扱う専門店などでパッケージ版を購入することだった。

この時代のPCゲームでは箱そのものが重要な広告だった。タイトル、戦争を連想させるデザイン、対応機種、必要環境などがパッケージに記載され、裏面にはゲーム画面や特徴が並ぶ。購入者は箱の説明や雑誌で得た事前情報を比較しながら一本を選んでいた。

PC-9801版『轟II』は当時の本格PCゲームらしく1万円を超える価格帯の商品であり、学生にとって何本も気軽に購入できるものではなかった。そのため一本を購入したら何週間、何か月と遊び込むことを前提にするユーザーも多く、購入前に雑誌レビューなどを読み込む意味が大きかった。

本格PCゲームとしての商品価値

1990年代前半のPCゲームでは1万円を超えるタイトルは珍しいものではなかった。大きな箱にフロッピーディスクやCD-ROM、厚い説明書、各種資料などを収めた商品形態であり、家庭用ゲームソフトとは違った高級感を持つものも多かった。

特に『轟II』のようなシミュレーションゲームでは説明書の重要度が高い。部隊の意味、コマンド、生産、基地、ターン進行などを把握しなければ十分に楽しめないため、説明書は単なる付属品ではなく、事実上ゲームシステムの一部に近い存在だった。

このことは現在の中古市場にも影響している。ディスクだけ残っている商品より、箱、説明書、システムノートなど当時の付属品が揃っている商品の方がコレクション価値を判断しやすい。

追加シナリオを別商品として発売

『轟II』は本編だけで商品展開が終了せず、1992年12月には『轟II シナリオコレクション』が用意された。

現在であれば追加シナリオはDLCやアップデートとしてオンライン配信される場合が多い。しかし当時はインターネット経由による大容量データ配信が一般的ではなく、新しいシナリオやデータを追加するためにはフロッピーディスクなどを商品として販売する必要があった。

本編を購入して十分に遊んだ固定ユーザーへ、さらに別の戦況を提供する商品として成立していた点は、当時のPCゲーム市場を象徴している。

『轟II TOWNSスペシャル』への展開

翌1993年にはFM TOWNS向けの『轟II TOWNSスペシャル』が登場した。単なる機械的な移植ではなく、画面表示、コンピュータの思考、シナリオなどに手を加えた強化版として位置付けられる。

「スペシャル」という名称は、PC-9801版をそのまま移しただけの商品ではないことを購入者へ分かりやすく伝える効果を持つ。FM TOWNSユーザーからすれば、自分の機種で『轟II』を遊べるだけではなく、後発版として改良された内容を楽しめることが魅力になる。

またPC-9801版とは媒体も異なり、FM TOWNS版ではCD-ROMが使われた。フロッピーディスク主体だったPCゲーム市場から、大容量CD-ROMを利用する時代へ移りつつあった1990年代前半の変化を象徴するバージョンでもある。

販売本数については慎重に扱うべき

『轟II』を紹介する際に注意したいのが販売本数である。家庭用ゲームの大ヒットタイトルでは「累計○万本」といった数字が公式発表などに残っている場合が多いが、『轟II』について一般に確認しやすい形で確定的な販売本数が残されているとは言いにくい。

そのため、根拠のない数字を作って「○万本の大ヒット」と断定するべきではない。

一方で、本編発売後にシナリオコレクションが用意され、さらに翌年にはFM TOWNS版まで発売されている。この展開を見る限り、一度発売して終了するだけのタイトルではなく、追加商品や別機種版を成立させるだけのユーザー層を持っていたシリーズと考えるのが自然である。

現在の中古市場――価格より出品数の少なさが特徴

現在の『轟II』の中古市場を見るうえで重要なのは、「必ず非常に高額になるゲーム」というより「欲しい時に希望条件の商品が見つかるとは限らないゲーム」と考えることである。

PC-9801用ゲーム自体が発売から長い年月を経ており、当時のユーザーが保管していたパッケージが中古市場へ少しずつ流れる形になっている。そのため家庭用の有名レトロゲームのように、常時大量に出品される商品ではない。

PC-9801版ではディスクだけの商品、箱と説明書が付属する商品、動作未確認品、動作確認済みの商品などで価格差が生まれやすい。数千円規模の出品や落札例が見られる一方、付属品や保存状態によってはそれより高い価格設定になる場合もある。

したがって、一つの出品価格だけを見て固定相場と考えるのは危険である。

『轟II シナリオコレクション』も独立した収集対象

中古市場で興味深い存在が『轟II シナリオコレクション』である。追加シナリオ商品は本編に比べて購入者が限定されるため、年月が経つほど本編以上に見掛けにくくなる可能性がある。

コレクター目線では、本編、シナリオコレクション、TOWNSスペシャルを揃えることで『轟II』の商品展開を一通り追える。そのため、単純に一本だけ遊びたい人とシリーズを揃えたい人では中古品に対する価値観が大きく異なる。

FM TOWNS版は希少だから必ず高額とは限らない

『轟II TOWNSスペシャル』はPC-9801版より対応機種が限定されるため、現在では珍しいソフトという印象を持ちやすい。しかし「希少=常に高価格」と考えるのは適切ではない。

レトロPCソフトでは商品の絶対数が少ない一方、購入者の数も限定される。そのため、珍しいタイトルでも競争相手が少なければ比較的低価格で取引されることがある一方、複数のコレクターが同時に求めれば価格が上がることもある。

中古品では箱・説明書・媒体・動作状態を確認したい

『轟II』を現在購入する場合、金額だけを見るのではなく商品の状態を細かく確認することが重要である。

PC-9801版の場合、特に注意したいのがフロッピーディスクである。発売から30年以上が経過しているため、外見がきれいでも磁気媒体が正常に読み込めるとは限らない。

さらにディスクがすべて揃っているか、説明書や外箱などが付属するかも確認したい。シミュレーションゲームでは説明書自体に大量の情報が収録されていることが多く、当時のゲームデザインを知る資料としても価値がある。

FM TOWNS版でもCD-ROMの状態に加え、セーブ用媒体や説明書などの付属状況を確認した方がよい。

過去最高額を断定するのは難しい

レトロゲームの記事では「過去最高○万円」という数字が注目されやすい。しかし『轟II』については、すべての中古ショップ、個人売買、オークション、イベント販売を長期間追跡した公的なデータベースが存在するわけではないため、過去最高価格を断定するのは適切ではない。

また出品価格と落札価格を混同しないことも重要である。高額で出品されていても、その価格で実際に売れたとは限らない。

そのため『轟II』の中古価値については、「出品数が少なく、状態や付属品によって価格差が大きい」と見るのが現実的である。

現在は1990年代PC文化を伝える資料としても価値がある

現在『轟II』を購入する人の目的は、必ずしもゲームを遊ぶことだけではない。PC-9801やFM TOWNSのソフトを集めるレトロPCコレクター、ウルフ・チーム作品を集めるファン、ウォー・シミュレーションの歴史を研究する人など、さまざまな需要が考えられる。

パッケージ、説明書、ディスクラベル、ゲーム画面、音楽、オープニングなどには1990年代前半のPCゲーム文化がそのまま残っている。

特に『轟II』は、フロッピーディスク主体だったPC-9801版から、CD-ROMを利用するFM TOWNS版へ展開した作品であるため、媒体が移行していく時代を見る資料としても面白い。

移植・復刻の状況

『轟II』はPC-9801版の後にFM TOWNS向け『TOWNSスペシャル』が制作されたものの、その後、家庭用ゲーム機へ広く移植された代表作とはなっていない。現行ゲーム機や現代PC向けの定番復刻タイトルとして気軽に購入できる状況にはない。

この点が中古パッケージの意味を大きくしている。

もし将来復刻されるのであれば、単純に当時のゲームを動かすだけではなく、マウス操作の改善、画面表示の拡大、現代OS対応、操作説明の追加などが行われれば大幅に遊びやすくなるだろう。

PC-9801版、シナリオコレクション、TOWNSスペシャルの内容をまとめた完全版のような形で保存されれば、ゲームとしてだけではなく資料としても価値の高い復刻になる。

当時の商品展開から現在の中古市場までを見ると『轟II』の立ち位置が分かる

『轟II』は発売当時、誰もが購入する大衆向けゲームというより、PC-9801を所有し、太平洋戦争やウォー・シミュレーションに興味を持つユーザーへ向けられた専門性の高い商品だった。

宣伝でも派手なテレビCMを大量に流して一般層へ訴えるというより、ゲーム・パソコン雑誌、メーカー情報、店頭パッケージなどを通じて、興味を持つPCユーザーへ詳しい情報を伝える方法との相性が良かった。

さらに本編発売後にはシナリオコレクションを投入し、翌年にはFM TOWNS向けの強化版を展開している。この流れから、一作を発売して終わりではなく、固定ファンへ継続的に遊んでもらう商品戦略が取られていたことが分かる。

現在の中古市場では大量に流通している作品ではないが、価格だけで価値を判断するべき作品でもない。本編、追加シナリオ、FM TOWNS版という展開を追うことで、1990年代初頭にパソコンゲームがどのように販売され、拡張され、異なる機種へ移植されていったのかを見ることができるからである。

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■ 総合的なまとめ

『轟II』は「太平洋戦争を動かす」感覚を重視した戦略級シミュレーション

『轟II』を総合的に評価すると、1990年代前半の国産パソコン用ウォー・シミュレーションの中でも、太平洋戦争という巨大な題材を比較的整理されたシステムで扱いながら、ウルフ・チームらしい映像と音楽の演出を加えた個性的な作品である。

プレイヤーが直接航空機を操縦したり、一隻の戦艦を動かして砲撃を繰り返したりするゲームではなく、日本側の戦略を担当する司令部のような立場から、艦隊、航空隊、基地、陸上部隊、生産、資源、燃料などを総合的に管理する。そのため、本作の面白さは「敵を倒す瞬間」よりも「数ターン前から準備していた作戦が成功した瞬間」に強く表れる。

ゲーム開始直後は、太平洋上に広がる多数の基地や部隊を前にして何から手を付ければよいのか分かりにくい。しかし戦線の重要度、空母の価値、航空基地の位置、資源確保、戦力温存といった要素を一つずつ理解すると、単なる駒の移動に見えていた操作が国家規模の戦略判断へ変わっていく。

簡略化と本格性のバランスが『轟II』の個性

太平洋戦争を扱ったウォー・シミュレーションには、極めて細かな管理を要求する作品もある。輸送船を一隻ずつ管理し、石油や弾薬、物資を細かく運び、航空機の生産や補充など大量の数字を扱うゲームは、本格的である一方、遊び始めるまでに相当な知識と根気を必要とする。

『轟II』では、資源関係を生産力、資源、燃料といった比較的分かりやすい要素へ整理し、戦略資源の輸送についても自動化された部分がある。戦闘もある程度自動的に処理されるため、毎回細かな戦術操作を要求されない。

この簡略化によって、本作はウォーゲームとしての奥深さを残しながら、細か過ぎる管理による疲労を軽減している。

最大の長所は「プレイヤー自身の戦史」が生まれること

『轟II』には、一般的なRPGのような固定主人公や一本道のストーリーが存在するわけではない。しかし長く遊んでいると、プレイヤー自身の中に自然と物語が生まれる。

あるプレイでは序盤から空母機動部隊が大活躍し、別のプレイでは大規模な海戦で主力を失う。史実とは異なる島が大激戦地になることもあれば、歴史上有名な地域がほとんど戦場にならない場合もある。

何度も危機を切り抜けた艦隊には自然と愛着が生まれ、長期間守り続けた基地にも思い入れができる。「この艦隊だけは失いたくない」「この基地だけは何としても守りたい」という感情が生まれることで、無機質な部隊記号がプレイヤーにとってのキャラクターへ変わっていく。

自分が下した判断によって展開が変わり、その結果を自分だけの戦史として振り返れることこそ、歴史シミュレーションの大きな魅力である。

PC-9801版――原点としての価値

PC-9801版は『轟II』の基本形であり、本作を語るうえで中心となるバージョンである。640×400ドットの画面、FM音源、フロッピーディスクを利用した構成、マウスを中心とする操作方法など、1992年当時の国内PCゲーム環境を色濃く残している。

ゲームシステムの基本はここで完成しており、太平洋全域を扱う戦略マップ、週単位で進行するターン、生産・開発フェイズ、艦隊・航空隊・基地の運用など、『轟II』の魅力は十分に味わえる。

一方、現在の視点では読み込み環境や操作性に古さを感じる部分もある。フロッピーディスクへのアクセスが多く、ハードウェア環境によってゲームテンポが変化するほか、日本語入力などに不便さがある。

それでも作品の原点、PC-9801ゲーム文化、ウルフ・チームの1992年当時の制作思想を体験するという意味では、オリジナル版の価値は大きい。

『轟II TOWNSスペシャル』――完成度を高めた後発版

FM TOWNS向けに発売された『轟II TOWNSスペシャル』は、PC-9801版を基礎としながら複数の改良を加えたバージョンである。

画面解像度が640×480へ拡大し、インターフェイスにも調整が加えられたほか、シナリオの追加やコンピュータ側の思考ルーチン改善など、ゲーム内容にも手が入っている。このため単純な移植というより改良版として評価した方が実態に近い。

FM TOWNSの内蔵音源によって音楽面にも違いが生まれ、PC-9801版とは異なる雰囲気を味わえる。さらに媒体がCD-ROMとなったことも、フロッピーディスク中心の時代から大容量媒体の時代へ移っていく1990年代前半を象徴している。

純粋なゲーム完成度で比較するなら、TOWNSスペシャルは後発版ならではの優位性を持つ。

シナリオコレクション――本編を理解した後に面白さが増す

『轟II シナリオコレクション』は、本編を十分に遊んだユーザーへ別の戦況を提供する存在だった。

最初から自分で戦線を作っていく本編とは違い、すでにある程度戦争が進行した状態から開始することで、プレイヤーには異なる対応が求められる。

与えられた条件をどのように立て直すかという面白さがあり、本編を一度遊び込んだプレイヤーでも新鮮な気持ちで作戦を考えられる。

現代的に表現すれば大型DLCや追加キャンペーンに近い存在であり、当時のパッケージゲーム文化における拡張商品としても興味深い。

完成度の違い――どの版を選ぶか

『轟II』の各バージョンを比較した場合、単純に「新しい方がすべて優れている」と考えるより、それぞれの価値を分けて考える方がよい。

PC-9801版にはオリジナルとしての価値があり、1992年当時のゲームをそのまま体験できる。ウルフ・チームが最初にどのような形で『轟II』を完成させたのかを知るなら、このバージョンが最も重要である。

一方、実際のゲームとしての改善点を重視するならFM TOWNS版が魅力的である。表示領域の拡大、CPU思考の調整、追加シナリオなどによって、オリジナル版の弱点を補った完成形に近い。

そしてPC-9801版へシナリオコレクションを加えれば、本編とは異なる戦況を楽しめる。

したがって、「歴史的原点ならPC-9801版」「改良された完成度ならTOWNSスペシャル」「本編を遊び尽くした後の追加体験ならシナリオコレクション」という整理が分かりやすい。

惜しいところ――現代的な遊びやすさから見ると改善の余地もある

現在のゲーム基準で見ると、『轟II』には改善してほしい部分も少なくない。

第一にインターフェイスである。戦略ゲームでは大量の情報を見る必要があるため、現代で復刻するなら、部隊一覧、基地情報、航空圏、移動可能範囲などを一目で把握できる画面が欲しい。

第二にチュートリアルである。当時は説明書を読んでルールを理解することが前提だったが、現代ではゲーム内で操作方法や戦略の基本を段階的に説明する方式が一般的である。

第三に、連合国側を操作できないことである。日本側だけに焦点を絞った設計には一貫性があるものの、ゲームとして考えればアメリカ側などをプレイできれば戦略の幅はさらに広がっただろう。

第四に、戦闘結果へプレイヤーが介入できる要素が少ないことである。これは戦略級ゲームとしての設計思想でもあるため欠点とは言い切れないが、現代風にアレンジするなら、攻撃方針や撤退条件程度は細かく設定できても面白い。

もし現代版『轟II』が復刻されるなら

『轟II』は現代向けに復刻しても相性のよいゲームである。

マウス操作を前提とした戦略ゲームであるため、現代PC向けとの相性は良い。オリジナルのゲームシステムを残したまま、画面解像度を現代向けに調整し、マップの拡大縮小、部隊検索、戦況ログ、詳細ヘルプなどを追加するだけでも大幅に遊びやすくなるだろう。

さらにPC-9801版、シナリオコレクション、TOWNSスペシャルを一本にまとめ、それぞれのBGMやオープニングを選択できる仕様になれば、資料保存の意味でも魅力的である。

グラフィックを完全な3Dへ変更する必要はなく、むしろオリジナルの2Dマップやビジュアルシーンを残しながら操作性を改善した方が、『轟II』らしさを守れるだろう。

現在遊ぶ価値――単なるレトロゲームではない

『轟II』は画面の美しさや派手な演出だけで評価すれば明らかに古い作品である。しかし、ゲームデザインの中心にある考え方は今でも十分に理解できる。

すべての拠点を守ることはできない。すべての敵を倒す必要もない。戦力を集中する場所を決め、必要のない戦闘を避け、資源を維持しながら長期的な目標を達成する。

この考え方は現代のストラテジーゲームにも共通している。

その意味で『轟II』は、「古いから面白い」のではなく「戦略ゲームとして重要な考え方がしっかり作られているから、現在見ても興味深い」作品である。

『轟II』を100点満点で評価するなら

現代の基準をそのまま適用すれば、インターフェイス、説明不足、読み込み環境、プレイ陣営の制限など弱点も存在する。しかし1992年という発売時期、PC-9801という環境、太平洋戦争を戦略級で扱ったゲームであることを考慮すると、非常によくまとめられた作品である。

戦略性は高く、部隊管理は細か過ぎず、太平洋全体を見渡す規模感がある。さらにウルフ・チームらしいビジュアルシーンとBGMによって、数字だけのウォーゲームにはない雰囲気も備えている。

当時のPCウォー・シミュレーションとして考えるなら、85~90点前後を与えたくなる完成度である。特に評価したいのは、複雑にすることだけで本格性を演出するのではなく、システムをある程度整理しながら、どの戦線へ戦力を集中させるのかという戦略ゲーム本来の面白さを残している点である。

総括――自分の判断で歴史を変えていく面白さを持った一作

『轟II』を一言でまとめるなら、「太平洋戦争の結果を見るゲームではなく、太平洋戦争の過程を自分で作るゲーム」である。

史実を完全に再現することが目的ではない。史実を土台として、プレイヤー自身が艦隊を動かし、航空隊を配置し、基地を守り、攻勢を決断する。その結果として本来とは異なる戦局が生まれる。

最初は単なる記号だった艦隊が何度も激戦を生き残り、特別な存在になる。何となく占領した基地が数か月後には戦局を左右する重要拠点になる。序盤に何気なく行った戦力配置が、後半になって大きな意味を持つ。この積み重ねこそが『轟II』である。

PC-9801版にはオリジナルとしての魅力があり、FM TOWNS版には改良版としての完成度がある。追加シナリオには本編とは違う戦況を攻略する面白さがあり、それぞれを比較することで『轟II』という作品をより深く理解できる。

現在では実機環境の確保や中古ソフトの状態など、実際に遊ぶまでのハードルは高くなっている。しかし、1990年代前半の国産パソコンゲーム史、ウルフ・チームの作品史、そして太平洋戦争シミュレーションの系譜を振り返るうえで、今なお興味深いタイトルであることに変わりはない。

敵艦隊へ突撃する爽快感より、敵艦隊が来る場所を予測する面白さ。大量の領土を占領する満足感より、限られた領土を最後まで守り抜く達成感。目先の勝利より数か月後の戦局を選ぶ判断力――『轟II』は、そうした「戦略することそのもの」を楽しませてくれる作品である。

そして一度ゲームを終えた後、「あの時、別の場所へ空母を送っていたらどうなっただろう」「あの基地を放棄して主力を温存していたら歴史は変わっただろうか」と考え始めた時、本作の本当の面白さが完成する。

決められた歴史を読むのではなく、自分の判断によってもう一つの歴史を作る。『轟II』は、そのシミュレーションゲームならではの魅力を濃厚に残した、ウルフ・チームの印象深いウォー・シミュレーションなのである。

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