『SAP 特殊行動警察 FILE:M661-51』(パソコンゲーム)

楽天で『PC-98』の商品をチェック!

【発売】:グレイト
【対応パソコン】:PC-9801、X68000 など
【発売日】:1990年12月
【ジャンル】:ロールプレイングゲーム

■ 概要・詳しい説明

『SAP 特殊行動警察 FILE:M661-51』とは――SF世界、美少女キャラクター、迷宮探索を融合した異色のPCゲーム

『SAP 特殊行動警察 FILE:M661-51』は、1990年末から1991年前後にグレイトがPC-9801シリーズやX68000シリーズなどの国産パソコン向けに展開した、SF色の強いダンジョン探索型RPGである。成人向け作品として制作されているものの、単純に文章を読み進めてイベントを見るだけのアドベンチャーゲームではなく、迷宮探索、敵との戦闘、アイテム収集、階層ごとのイベント処理、キャラクターとの遭遇といったRPGとしての仕組みを比較的しっかり備えている点が大きな特徴となっている。1990年前後の国産PCゲーム市場では、美少女キャラクターを大きく扱ったアドベンチャー作品が数多く登場する一方、RPGやシミュレーションなど他ジャンルと組み合わせた作品も増えつつあった。本作はその流れの中で、未来警察というSF設定と美少女アンドロイド、さらに階層型ダンジョンを一つにまとめた意欲的な一本だったと見ることができる。
タイトルにある「SAP」とは特殊行動警察を意味する組織名であり、主人公ロン・ウォレスが所属している特殊な警察部門である。「FILE:M661-51」という副題は、一つの巨大な物語を描くというより、SAPが扱う数多くの事件記録のうち一件をプレイヤーが体験するという雰囲気を演出している。刑事ドラマの事件簿や秘密資料の管理番号を思わせる名前になっており、作品世界そのものをシリーズ化しやすい構成でもあった。後に『KIDS -SAP特殊行動警察 2nd.FILE-』が制作されたことからも、本作が単発の設定ではなく、「特殊行動警察SAPがさまざまな事件を解決していく」というシリーズ形式をある程度意識した企画だったことが分かる。

未来社会の背景――ロボット工学とバイオテクノロジーが生み出した新時代の犯罪

本作の舞台となるのは、ロボット工学とバイオテクノロジーが大きく発達し、人類の活動圏も地球だけに限られなくなった未来社会である。人工生命や高性能ロボットが日常生活に関与し、さまざまな惑星が社会活動の舞台として登場するなど、世界設定だけを見るとかなり本格的なスペースSFの雰囲気を持っている。
しかし、科学技術が進歩したからといって社会が完全に平和になるわけではない。高度な技術は新しい利便性を生み出す一方、それを悪用する人間が現れれば、それまで存在しなかった犯罪も発生する。人工生命への不正改造、特殊機械を利用した事件、既存の警察では対応が難しい高度な技術犯罪など、新時代には新時代の犯罪が出現する。本作ではそうした社会状況に対応するため、総合宙域機構によって特殊行動警察SAPが編成されたという設定になっている。
SAPには通常の犯罪捜査だけではなく、宇宙空間や他惑星での任務、特殊装置への対応、戦闘などにも対応できる人物が集められていると考えられる。主人公ロン・ウォレスもその一員であり、普通の警察官なら担当しないような事件へ派遣される。その設定だけなら非常に硬派なSF警察ドラマになりそうだが、本作ではあえて重い世界観と軽い事件内容を組み合わせている。この落差が『SAP特殊行動警察』独自の面白さにつながっている。

物語の始まり――惑星ターマスの観光遺跡へ向かうロン・ウォレス

主人公ロン・ウォレスに与えられる任務は、惑星ターマスに存在する観光遺跡へ逃げ込んだ「51号」を逮捕することである。51号は高度なロボット技術を持つ人物でありながら、その技術力を社会の発展ではなく迷惑な犯罪に利用している。世界滅亡を企む宇宙皇帝のような大悪党ではないものの、放置しておけばさまざまな問題を引き起こす厄介な人物である。
ロンはSAPの捜査官として51号を追跡し、観光遺跡へ乗り込む。しかし、このロンという主人公は、特殊部隊に所属する人物としてはかなり型破りである。任務に対して常に真面目というわけではなく、面倒くさがりな一面があり、女性への関心も強い。いわゆる完全無欠の正義のヒーローではなく、かなり俗っぽく人間臭い人物である。
この主人公像が本作全体の雰囲気を決めている。もしロンが冷徹で寡黙なエリート捜査官だったなら、ゲーム全体も重いSFサスペンスになっていた可能性が高い。しかし実際には、ロンの軽い言動と奇妙な事件内容によって、世界設定の壮大さとは対照的なコミカルさが生み出されている。

キャス・アルーカとの出会い――敵の側から生まれたアンドロイドが相棒になる

ロンが観光遺跡で出会う重要人物が、キャス・アルーカである。外見は美しい少女だが、その正体は人間ではなく、51号が造り出した高性能アンドロイドである。通常であれば製作者である51号に忠実に従っていても不思議ではない。しかしキャスは自分自身の意思で51号の行動を問題視し、悪事を止めたいと考えている。
そのため、51号を逮捕する目的で遺跡へ入ったロンと利害が一致し、二人は共に奥へ進むことになる。この「犯罪者を追跡する警察官」と「犯罪者によって造られたアンドロイド」が協力する構図は、本作の物語を単純な勧善懲悪にしない重要な要素である。
キャスが単なるロボットではなく独自の判断を行える存在として描かれていることから、人工生命の自我や創造主との関係といったSF的なテーマも感じられる。ただし作品全体では難解な哲学を掘り下げる方向には進まず、あくまで娯楽作品として軽快に物語が進む。このバランスが本作の特徴であり、本格SFの設定を持ちながら肩の力を抜いて楽しめる。

観光遺跡がダンジョンになる独特の舞台設定

本作で探索する場所は、魔王城でも古代迷宮でもなく「観光遺跡」である。この言葉の選び方だけでも作品の少し変わった感覚が伝わってくる。本来は人々が見学するための施設だったはずの場所が、51号の影響によって危険なダンジョンへ変化し、内部にはモンスターや戦闘用に改造されたセクサロイドなどが存在している。
プレイヤーはロンたちを操作し、この遺跡を階層ごとに攻略していく。基本的には探索を行い、敵と戦い、イベントに関係する人物を見つけ、必要な条件を満たして上階への道を開いていくという流れである。
単純な一本道ではなく、現在いる階層をある程度調べ回らなければ攻略条件がそろわない。したがって、プレイヤー自身が「まだ行っていない場所はないか」「この人物のイベントは終わっているか」「入手したアイテムはどこで使うのか」と考える必要がある。この総当たり的な探索は1990年前後のPCゲームらしい仕組みであり、本作の難易度にも大きく関係している。

各階に配置されたセクサロイド――攻略対象とキャラクターゲームを同時に成立させる仕組み

観光遺跡の各階には複数のセクサロイドが配置されている。1階にはニースとミュリン、2階にはロマーナ、エフィ、ディアナ、3階にはリーニ、ジェム、サティ、4階にはミナー、シャル、ニーフ、5階にはサキハ、フィズ、サイカが登場する。
彼女たちは単なる背景キャラクターではない。51号の影響によって本来とは違う状態へ変更されているため、ロンたちは彼女たちと接触して問題を解決し、機能を正常な状態へ戻していく必要がある。その結果として重要な物を入手したり、上階へ進むための条件が成立したりする。
この構造は非常に分かりやすい。RPGとしては「次の階へ行くためにイベントを解決する」、キャラクターゲームとしては「次の人物を見るために階を攻略する」という二つの動機が同時に成立するからである。
プレイヤーが新しい階へ到達するたび、背景だけではなく登場人物そのものが変化するため、フロア攻略に明確な区切りが生まれる。次の階へ行くこと自体が新しいキャラクターとの出会いにつながり、それが探索を続けるモチベーションになる。

4階だけ異なる条件――単純な繰り返しにしない工夫

基本的には各階でセクサロイドたちの状態を元へ戻し、その結果としてアイテムなどを得ることで上階へのルートを開いていく。しかし4階では、それまでと同じようなアイテム回収だけでは解決できず、配置されている人物に関するイベントを異なる形で成立させる必要がある。
これは小さな違いではあるが、ゲーム全体を単なる反復作業にしない重要な工夫である。プレイヤーが「このゲームは毎階同じことをすればいい」と理解した頃に例外を作ることで、再び状況を考える必要が生まれる。

奇妙なアイテムも本作の味――大げさすぎないSF世界

遺跡内で入手できる物の中には、一般的なRPGなら伝説の鍵や古代の宝石などが置かれそうな場面で、「散乱したネジ」のような妙に生活感のある物も登場する。未来社会を舞台にしているにもかかわらず、小道具はどこか庶民的で、このアンバランスさが本作のユーモアを強めている。
世界設定だけは壮大だが、そこで起こる事件やアイテム、人物の行動はどこか身近で脱力感がある。こうした「大げさな設定をわざと大げさに扱わない」姿勢が本作の作風である。

ロン・ウォレス――特殊警察なのに完璧ではない主人公

ロンは本作を象徴する人物の一人である。特殊行動警察SAPの一員という肩書きは非常に格好いいが、本人は仕事人間ではない。ものぐさな部分もあり、女性へ関心を示すなど、かなり俗っぽい。
しかし、だからこそ親しみやすい。事件が始まる前から完璧な英雄として完成している人物ではなく、少し頼りなさを感じさせながら、必要な場面ではきちんと行動する。そのギャップが主人公としての魅力になっている。
また、プレイヤー自身を無個性な主人公へ投影する形式ではなく、「ロンという一人の人物が事件へ挑む姿を操作する」構成になっているため、刑事ドラマやスペースコメディに近い感覚でも楽しめる。

キャス・アルーカ――本作最大級の重要キャラクター

キャスはヒロインとしての役割だけでなく、物語構造の中心人物でもある。51号の製造物でありながら51号に反対するという立場が、主人公と事件の中心人物を直接つないでいる。
ロンから見れば彼女は情報源であり協力者であり、一緒に危険な遺跡へ入る相棒でもある。51号から見れば自分が造った存在であり、キャス自身にとっては製作者である51号を止めることが大きな目的になる。
三者の関係性が物語を支えているため、数多くのセクサロイドが登場する中でもキャスの存在感は特に大きい。後のSAP関連作品とのつながりを考えても、シリーズ世界を象徴する人物として強い印象を残す。

51号――巨大悪ではなく、技術を間違った方向へ使う厄介な天才

51号は事件の中心人物であり、遺跡の奥に潜んでいる犯罪者である。キャスを作れるほど高度なロボット技術を持っていることから、科学者・技術者としての能力はかなり高い。しかし、その才能を社会的に有益な方向へ使わず、奇妙な犯罪へ投入してしまう。
この「能力は本物なのに、やっていることは困った方向」という人物像が、本作全体の軽いユーモアに合っている。単純な凶悪犯ではなく、SAPが放置できないトラブルメーカーとして成立している。

1990年代初頭のPCゲームとしての位置づけ

本作が登場した頃はPC-9801シリーズが国内パソコン市場で非常に大きな存在感を持ち、X68000は高性能なグラフィック・サウンド環境を求めるユーザーから支持されていた。ゲームメーカーはこの市場へアドベンチャー、RPG、シミュレーションなど多様な作品を投入し、成人向けタイトルも一つの大きなジャンルを形成していた。
『SAP特殊行動警察 FILE:M661-51』は、その中で「美少女キャラクターを見せる作品」にRPGとしての探索要素を組み込んだタイトルである。現在から見ると仕組みは簡素だが、当時の限られた容量とハード性能の中で、迷宮、戦闘、複数のキャラクター、SF設定、イベントを一つへまとめていた。
その意味では、単純なヒット規模だけでは測れない時代性を持つ作品である。1990年代初頭のPCゲームメーカーが、ジャンルの境界を越えながらどのような作品を作ろうとしていたのかを知るうえでも興味深い一本となっている。

■■■

■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター

最大の魅力は「キャラクターを見るためにゲームを攻略する」構造

『SAP 特殊行動警察 FILE:M661-51』の魅力を一言でまとめるなら、キャラクターイベントとダンジョン攻略が一体化している点にある。物語を見るだけなら文章を順番に読めばよい作品とは異なり、本作では新しいキャラクターやイベントを見るためにプレイヤー自身が遺跡内部を歩き、敵を突破し、条件を整える必要がある。
そのため、ゲームとしての達成感とキャラクターゲームとしてのご褒美が直結している。「この先に誰がいるのか知りたい」という気持ちが、「ではこの階を攻略しよう」というプレイ意欲へ変わる。単純な仕組みではあるが、非常に合理的な設計である。

攻略の基本は「現在行ける場所をすべて調べる」こと

本作で行き詰まらないための最大の攻略法は、現在行ける場所を徹底的に調べることである。新しい階へ到着したら、まずフロアを一周するつもりで探索し、通路、部屋、人物、調査できる場所を確認する。
イベントが途中で止まった場合、そこで延々と同じ人物へ話しかけるより、別の場所へ移動してイベントを進める方が有効な場合がある。そこで得たアイテムや情報が、先ほど進まなかったイベントを動かす可能性があるからである。
基本的な流れとしては、「新しい階へ入る→探索範囲を広げる→人物と会う→イベントを処理する→アイテムを確認する→変化した場所を再訪する→上階へ進む」と覚えておくと分かりやすい。

古典PCゲームらしくメモを取ると攻略が楽になる

現在のRPGのようなクエストログや目的地表示がないため、簡単なメモを用意するだけでも攻略難易度は大きく変わる。「誰に会った」「どこがまだ開かない」「何を拾った」と記録しておくだけで、フラグの見落としを防ぎやすい。
特に複数のキャラクターが同じ階にいる中盤以降は、誰のイベントがどこまで進んだのか分からなくなりやすい。紙へ名前を書いて終了した人物へ印を付けるだけでも非常に有効である。
こうしたゲーム外のメモまで含めて攻略する遊び方は、当時のPCゲームならではの楽しさでもある。

戦闘攻略――強さ以上に探索を継続できる余裕を確保する

本作の戦闘はダンジョン探索を構成する要素の一つであり、戦闘そのものを延々と繰り返すゲームではない。したがって、必要以上に敵を相手にするより、探索を安全に継続できる状態を保つ方が重要である。
未知の場所へ進む際に余裕がない場合は、無理をせず一度態勢を整える。新しい場所へ入った直後に敵や重要イベントが発生する可能性を考えれば、ぎりぎりの状態で進むメリットは少ない。
また、セーブできる状況では重要イベント前、新階層到達時、重要アイテム入手時などで分けて保存しておくと安全である。

1階――ニースとミュリンから基本ルールを覚える

1階は本作のシステムを理解するための導入部分である。ニースとミュリンが登場し、人物イベントと階層攻略がどのようにつながっているのかを覚えていく。
この段階では敵との戦闘だけに集中せず、フロア内の調査を優先したい。人物へ一度会っただけで終了したと思わず、周辺を探索して新しい変化が起きていないか確認することが重要である。
ここで基本を理解しておけば、以後の階でも同じ考え方を応用できる。

2階――ロマーナ、エフィ、ディアナでイベント管理が本格化

2階では登場人物が三人に増え、ロマーナ、エフィ、ディアナに関係するイベントを整理しながら進むことになる。人数が増えることで、一つのイベントだけを終わらせても階層全体の攻略は完了しない。
誰に会ったのか、誰にまだ用事があるのかを意識しながら動く必要があり、この辺りから本作の本格的な探索感が強くなる。
重要アイテムを得た場合も、「すぐ使う物なのか」「別の人物へ持っていくのか」「以前通れなかった場所に関係するのか」と考えながら進めることが攻略のコツになる。

3階――リーニ、ジェム、サティとともに中盤の探索へ

3階ではリーニ、ジェム、サティが登場する。ここまで来ればプレイヤーも基本ルールに慣れているため、複数のイベントを並行して処理する感覚が重要になる。
一つのイベントで止まった場合は別の場所を探索し、そこで得た情報を持って戻るという考え方が有効である。すべての問題を発見した順番通りに解決できるとは限らない。
「解決できない場所を一度保留して別の場所へ行く」ことも本作では立派な攻略方法である。

4階――ミナー、シャル、ニーフと、それまでとは異なる突破条件

4階は本作の中でも特に印象に残りやすいフロアである。ミナー、シャル、ニーフが登場し、それまでの階層と全く同じ感覚では突破できない。
プレイヤーが「キャラクターを正常化してアイテムを得ればよい」と理解した頃に、その常識を少し崩してくるため、人物イベントそのものをより注意深く確認する必要がある。
この階で詰まった場合、アイテム欄ばかりを見るのではなく、三人のイベントがどういう状態になっているのかを改めて確認することが重要である。

5階――サキハ、フィズ、サイカを経て51号へ迫る

5階にはサキハ、フィズ、サイカが登場し、物語はいよいよ終盤となる。ここまでに学んだ探索、再訪、イベント管理を総合的に使い、最深部へ向かうことになる。
終盤だからといって最短ルートだけを急ぐと、未解決イベントを残して進めなくなる可能性がある。最後まで基本は変わらず、現在の階をしっかり調査し、登場人物に関係する条件を一つずつ処理することが重要である。
最終的に51号のもとへ到達し、事件の結末まで進めることが本作の大きな目的となる。

行き詰まったときに確認したい五つのポイント

攻略が止まった場合には、第一に未探索の場所がないか、第二に一度会った人物へ再訪する必要がないか、第三に新しく入手したアイテムを使用していないか、第四にイベント後に以前の場所へ戻っていないか、第五にその階の主要人物すべてのイベントが進んでいるかを確認したい。
特に「一度調べたからもう関係ない」と決めつけないことが大切である。別のイベントが進むことで以前の場所に変化が発生するタイプのゲームでは、再訪が攻略の基本となる。

難易度――反射神経より記憶力と探索力が問われる

本作の難しさは、高速アクションや複雑な操作ではなく、イベント条件を見落とさないことにある。何をすればいいのか分からなくなった瞬間に難易度が一気に上がるタイプのゲームである。
反対に言えば、行動を記録しながら遊べばかなり攻略しやすくなる。探索型の古典RPGが好きなプレイヤーにとっては、この「自分で次の行動を考える」過程こそ面白さになる。

派手な裏技より基本攻略が最大の必勝法

本作は、現在まで広く知られるような無敵コマンドや大量の隠しコマンドを中心に楽しむ作品ではない。最も確実な必勝法は、セーブを細かく行い、未探索部分を残さず、人物とアイテムの状態を整理しながら進めることである。
近道を探すより、階層ごとのイベントを確実に処理する方が結果として早い。

キャラクターの多さそのものが探索の魅力になる

本作にはロン、キャス、51号のほか、各階に多数のセクサロイドが登場する。これらを一度に見せるのではなく、階層ごとに少しずつ登場させることで、新しい階へ到達する喜びを演出している。
キャラクターの種類が多いため、プレイヤーごとに印象へ残る人物が変わるのも特徴である。「どのキャラクターが一番好きだったか」という話題が生まれやすく、キャラクターゲームとしての楽しみを強めている。

最も印象に残るキャラクターはキャス・アルーカ

多数の登場人物の中でも、個人的に特に印象へ残るのはキャス・アルーカである。理由は単純な外見の魅力ではなく、彼女が物語の構造そのものに深く関わっているからである。
51号に造られながら51号を止めようとするという設定は、SFキャラクターとして非常に分かりやすく魅力的である。また、ロンとの凸凹したコンビ関係も作品を楽しくしている。
人工生命であるキャスの方が真面目で、人間のロンの方が少しだらしないという逆転も面白い。この二人が一緒に行動することで、本作独自のコミカルなバディ物としての雰囲気が生まれている。

ロンもまた忘れがたい主人公

ロンの魅力は、特殊警察官という格好いい肩書きと、本人の軽い性格とのギャップである。完璧な正義の味方ではないからこそ、人間らしく感じられる。
面倒くさがりでも最終的には危険な遺跡へ入り、事件を解決するため行動している。その「普段は頼りなくてもやるときはやる」という性格が、長く付き合う主人公としてちょうどよい。

51号もまた作品を象徴する存在

51号は高度な科学技術を持つ人物でありながら、それを非常に困った用途へ使ってしまう。この「大物になれそうなのにやっていることが妙」というギャップが本作らしい。
巨大悪ではないからこそ、SAPが扱う一事件として物語が成立する。シリーズ化を考えた場合にも、こうした犯罪者を毎回変えていく形式は非常に相性が良い。

攻略情報を全部見るより、少し迷いながら進む方が本作は面白い

現在は古いゲームの攻略情報を簡単に探せる時代だが、本作を最初から完全攻略ルートだけ見て進むと、魅力のかなりの部分を失ってしまう。自分でフロアを調べ、何度か行き詰まり、別の場所へ行った結果として突破口を見つける。その瞬間こそ古典RPGらしい達成感がある。
完全に詰まった場所だけ攻略情報を確認する程度に留めると、本作らしい探索の面白さを残しやすい。

■■■

■ 感想・評判・口コミ

最初に感じるのはタイトルと実際の内容の大きなギャップ

『SAP 特殊行動警察 FILE:M661-51』という題名だけを見れば、近未来の特殊部隊が凶悪組織と戦うような硬派な作品を想像しやすい。しかし実際に遊ぶと、かなり軽い雰囲気があり、美少女アンドロイドやコミカルな犯罪者が登場する。このギャップは本作最大の特徴の一つである。
硬派なサイバーパンク警察物を期待していたプレイヤーには意外に感じられる一方、SF設定を使った娯楽作品として考えれば独特の味になる。この「見た目よりかなり柔らかい作品」という印象は、プレイ後にも残りやすい。

RPGとしては単純だが目的が明確で遊びやすい

ゲームシステムそのものは現在の大作RPGほど複雑ではない。しかし「51号を追って観光遺跡の上へ進む」という目標が明確なので、作品全体の方向性は理解しやすい。
各階を突破すれば次のキャラクターが待っているため、ゲーム進行が目に見えて分かる。このシンプルさは、複雑すぎるゲームを苦手とする人には長所にもなる。

キャスへの好感を持ちやすい作品

キャラクター面では、キャスへの印象が特に強くなりやすい。主人公と行動を共にするだけでなく、事件の中心人物51号とも深い関係を持っているためである。
人工生命でありながら自分自身で善悪を判断し、製作者を止めようとする姿は、本作のSF世界を象徴している。物語の掘り下げをさらに見たかったと思わせるだけの設定を持つ人物である。

多数のセクサロイドがゲームを彩る

階層ごとに複数のキャラクターが登場する構成は、美少女ゲームとして大きな長所である。一人のヒロインだけを最後まで追うのではなく、進行に合わせて新しい人物が現れるため、画面に変化が生まれる。
それぞれのキャラクターに非常に長大なシナリオがあるわけではないものの、フロアと人物がセットで記憶に残りやすい。

不満になりやすいのは総当たり探索

一方で、現在のプレイヤーが最も不便に感じやすいのは、イベント進行のヒントが少ない点だろう。何かを見落とした場合、原因がはっきり表示されないため、同じ階をもう一度調べ直す必要がある。
当時のゲームでは珍しくない設計だが、現代のユーザー補助に慣れているとかなり不親切に感じる。特に短時間で物語を進めたいプレイヤーには、テンポを悪くする原因になりやすい。

「何をすればよいか分からない」が一番の難所

戦闘で何度も敗北することより、イベントフラグの見落としで止まることの方が強いストレスになりやすい。このため、難易度の質が一般的なRPGとは少し違う。
強敵ならキャラクターを強くすればよいが、進行条件が分からない場合は情報を整理し直さなければならない。その意味ではRPGとアドベンチャーゲームの難しさが混ざっている。

成人向けゲームとしてはゲーム部分がしっかり存在する

キャラクターイベントだけを見ることが目的の作品ではなく、それを見るために実際に遺跡を攻略する必要がある。ここは好みが分かれる部分でもあるが、「せっかくゲームを買ったのだから遊び応えもほしい」というプレイヤーには魅力となる。
逆に、イベントだけを短時間で見たい層からすれば、RPG部分が障害になる可能性もある。この両面性こそ、本作が単なるアドベンチャーゲームではない証拠でもある。

現在見ると粗削りだが、それが時代の面白さでもある

30年以上前の作品なので、現代作品と比べれば演出、操作性、シナリオ量などに古さを感じる。しかし、すべてが現在のように洗練される以前だからこそ、メーカーがジャンルを自由に組み合わせた面白さがある。
SF警察物なのに美少女ダンジョンRPGという組み合わせは、整然としたマーケティングだけでは生まれにくい独特さがある。

レトロPCゲームとして見ると価値が増す作品

本作は現在では単純に面白いかどうかだけでなく、1990年代初頭のPCゲーム文化を知る資料としても興味深い。PC-9801やX68000を中心に、多くのメーカーが独特なゲームを発売していた時代の空気を感じることができる。
当時のユーザーがどのような作品を遊び、どのようなキャラクター表現が使われ、どの程度のゲーム性が求められていたのかを見る意味でも面白い。

良いところを整理すると

本作の評価しやすい部分は、第一にSF世界と美少女RPGを組み合わせた珍しい設定、第二にロンとキャスのコンビ、第三に階層ごとに変わるキャラクター、第四にイベントと迷宮攻略が一体になった構造、第五に真面目な設定をあえてコミカルに扱った作風である。
特に「次の階へ進めば新しい人物が登場する」という分かりやすいご褒美設計は、ゲームを続ける理由として機能している。

弱点を整理すると

一方で弱点は、総当たり的な探索、イベントフラグの分かりにくさ、現在では簡素に見える戦闘、キャラクター数に対して一人一人の物語が短いことなどである。
世界観自体にはもっと大規模な物語へ広げられる可能性があるため、「この設定をさらに深く掘り下げた作品を見たかった」と感じる人もいるだろう。

総合的な感想――不便さを含めて印象に残る一作

『SAP 特殊行動警察 FILE:M661-51』は、誰にでも薦めやすい万能型RPGではない。しかし1990年代のPCゲーム、美少女RPG、SFコメディ、古典的なダンジョン探索のどれかに興味があるなら、一度調べてみたくなる個性を持っている。
完成度だけなら後年の作品に及ばない部分は多い。しかし「似たようなゲームが他にたくさんある」と感じさせない独自性は強い。特殊警察とアンドロイドと観光遺跡と美少女イベントという奇妙な組み合わせは、現在でもタイトルを覚えやすくする要因になっている。

■■■

■ 当時の宣伝・現在の中古市場など

発売当時はPCゲーム専門誌とショップが情報収集の中心

本作が登場した1990年代初頭は、現在のようにメーカー公式サイトやSNS、動画配信サイトで新作ゲームを知る時代ではなかった。PCゲームユーザーが新作情報を得る主な手段は、パソコンゲーム専門誌、パソコンショップ、メーカー広告、店頭ポスター、チラシ、口コミなどである。
雑誌へ掲載された数枚の画面写真やキャラクターイラストだけで、どのようなゲームなのかを想像して購入することも珍しくなかった。そのため、美少女キャラクターを扱う作品では、画面写真やイラストの第一印象が非常に重要だった。

専門誌との相性が良いタイトルだった

『SAP特殊行動警察』はタイトルだけでは内容を想像しにくい作品である。そのため、雑誌上でキャスや各セクサロイドのビジュアルを見せることは宣伝上効果的だったと考えられる。
「特殊警察」という硬派そうな言葉と、実際の美少女キャラクター中心の画面とのギャップも、人目を引く要素になったはずである。
当時の専門誌関連資料には本作の名称が残っており、PCゲーム雑誌の読者を中心に存在を知られていったタイプの作品だったことがうかがえる。

パッケージ販売が前提だった時代

PC-9801やX68000向けゲームはフロッピーディスクを使ったパッケージ商品として販売されていた。購入者はショップで箱入りの商品を購入し、説明書を読みながらディスクをドライブへ挿入して起動する。
現在のダウンロード販売とは異なり、ゲームを所有することは箱、説明書、ディスクなどの物理的な所有を意味していた。
この違いが現在の中古市場では重要になる。発売から長い年月が経過したことで、箱だけ失われた物、説明書のみ残った物、ディスクだけ残った物など、現存品の状態がばらばらになっているからである。

販売実績については具体的な数字を断定しにくい

本作の正確な累計販売本数を現在の公開情報だけで確定するのは難しい。したがって、根拠のない販売本数やランキング順位を付けて大ヒット作だったと断定するのは適切ではない。
一方で、PC-9801系やX68000系などで展開され、さらに後に『KIDS -SAP特殊行動警察 2nd.FILE-』が制作されたことから、メーカーがSAPという設定を次作へ発展させる程度の価値を認めていたことは分かる。

当時の人気は「一般的大ヒット」よりPCゲームファン向け

本作は国民的な認知度を持つ家庭用大作ゲームとは異なり、当時の国産パソコンユーザー、とりわけ成人向けPCゲームやRPGを遊ぶ層に向けた作品だった。
PC-9801やX68000を所有しているユーザー自体が家庭用ゲーム機ユーザーより限られていたことを考えると、現在の大手ゲーム作品と販売規模を直接比べることにはあまり意味がない。
重要なのは、当時の特定市場で発売され、その後もタイトル名が資料やデータベース、中古市場に残り続けていることである。

現在の中古市場――価格以上に「出品があるか」が問題

現在の本作は、通常の新品ゲームとして購入するタイトルではない。基本的には中古ショップ、レトロPC専門店、オークション、個人売買などで探すことになる。
ただし、ファミコンやスーパーファミコンの有名作品のように常時大量の商品が出品されているわけではない。そのため、相場そのものより「欲しい状態の商品が市場へ出てくるかどうか」の方が重要になる場合がある。

完品と欠品品では価値が大きく変わる

中古品を見る場合は、箱、説明書、ディスク、その他付属品の有無を確認する必要がある。単にタイトル名が同じでも、説明書だけの商品と完品では意味が全く違う。
コレクターの場合は箱や説明書までそろった状態が重要になる。一方、遊ぶことだけが目的ならディスク単体でもよいが、古い磁気媒体なので正常に読み込めるとは限らない。

磁気ディスク特有の保存問題

フロッピーディスクは物理的に経年劣化する可能性がある。外観がきれいでも読み込みエラーが発生することがあり、反対に箱が傷んでいてもディスクは正常な場合がある。
そのため中古購入では「動作確認済みか」「ディスク表面に問題がないか」「対応機種は何か」を確認することが重要である。

PC-9801版とX68000版を間違えないこと

同じゲーム名であっても対応機種が違えばそのまま起動できない。レトロPCゲームでは出品タイトルが簡略化されていることもあるため、ラベルや箱の機種表記を確認する必要がある。
現在のように一つのソフトを複数機種へ簡単にダウンロードする感覚とは異なり、当時はハードごとにパッケージそのものが別だった。

当時の雑誌・販促資料もコレクション対象になる

現在ではゲーム本体だけでなく、発売当時の雑誌、付録、広告、チラシなども収集対象になる。こうした資料を見ることで、当時どのようなキャラクターを前面へ出して宣伝していたか、どんな売り文句が使われていたかを知ることができる。
ゲームを遊ぶだけなら不要な物だが、作品史を調べる人にとっては非常に価値のある資料である。

中古価格については固定相場を作りにくい

本作のように流通数が少ないソフトでは、一件の高額出品だけを見て相場を決めることはできない。出品価格と実際の売却価格も異なる。
状態の良い完品がたまたま一件だけ出れば高くなりやすく、逆にディスク単体なら低い価格で出る場合もある。そのため「現在の相場は必ず○円」と決めるより、状態と付属品を含めて比較する必要がある。

現行ゲーム機への大規模な公式移植は目立たない

本作は後年にNintendo Switch、PlayStation、Xbox、Steamなどで大規模に復刻され続けたタイトルではない。そのため、現在作品を知ってもすぐ一般的な現行ストアで購入して遊べるゲームとは言いにくい。
これは現在の知名度が上がりにくい理由の一つでもある。過去のPCゲームには復刻によって若い世代へ再発見された作品もあるが、本作はオリジナル版の存在が中心となっている。

続編『KIDS -SAP特殊行動警察 2nd.FILE-』

本作を語る際には続編の存在も重要である。『KIDS -SAP特殊行動警察 2nd.FILE-』というタイトルから分かる通り、SAPの別事件という形式でシリーズ世界が継続された。
第1作の「FILE」という表記が単なる飾りではなく、複数事件を扱えるシリーズフォーマットだったことを示す存在である。
もしさらにシリーズが継続していれば、3rd.FILE、4th.FILEという形でロンやキャスがさまざまな惑星の事件へ挑む展開も考えられたため、設定上の拡張性は高かった。

現在コレクションする魅力

現在オリジナル版を所有する意味は、ゲームを遊ぶことだけではない。PC-9801やX68000が現役だった時代のパッケージデザイン、フロッピーディスク、説明書などをそのまま残すことにも価値がある。
現代のダウンロードゲームにはない「箱を開ける」「説明書を読む」「ディスクを入れる」という体験も、レトロPCゲームの魅力の一部になっている。

■■■

■ 総合的なまとめ

複数ジャンルを無理なく一つへまとめた独特の作品

『SAP 特殊行動警察 FILE:M661-51』を総合的に見ると、最大の魅力はSF、美少女キャラクター、警察物、ダンジョンRPG、コメディという複数の要素を一作品へまとめていることである。
どれか一つだけを見ると突出して巨大なゲームではない。しかし、それらを同時に存在させることで、他作品にはない雰囲気を作り出している。
特殊警察という言葉から想像する硬派さと、実際の物語の軽さとの差も作品の個性である。世界設定は壮大なのに、主人公も敵もどこか人間臭い。このバランスが本作を覚えやすいものにしている。

ゲームとして最も評価したいのはイベントと攻略の一体化

各階のキャラクターを攻略することが、そのまま上階への進行条件になる構成は、本作のゲームデザインで最も評価できる部分である。
キャラクターを見るだけのイベントと、ゲームとしての迷宮探索が別々になっていないため、プレイヤーは物語を見るために実際に行動しなければならない。
これは現在では珍しくない考え方だが、当時のPC美少女ゲームの中ではゲーム性を感じさせる重要な要素だった。

古さは確実にあるが、それを理解して遊ぶと魅力が見える

現在プレイすると、総当たり探索、目的表示の少なさ、システムの簡素さなどに古さを感じる。しかし、30年以上前の作品であることを考えれば当然でもある。
むしろ当時のゲームでは、プレイヤー自身がメモを取り、地図を覚え、攻略条件を探すことも遊びの一部だった。その文化を理解すると、不便さもゲーム体験として楽しめる。

ロンとキャスのコンビは今見ても魅力がある

キャラクター面ではロンとキャスの関係が作品を強く支えている。人間であるロンが軽く、人工生命であるキャスの方が真面目という関係はコミカルであり、同時にSF作品らしい。
もし本作が現在リメイクされるなら、この二人の会話や関係性をさらに掘り下げるだけでも、かなり魅力的な物語を作れそうである。

51号もシリーズを成立させるのにちょうどよい敵役

世界を滅ぼす悪ではなく、技術を変な方向へ使う犯罪者という立場だからこそ、SAPの「一事件」としてちょうどよい。
本作が巨大な宇宙戦争の話ではないことで、続編では別の事件を扱える余地が残った。事件簿形式のシリーズとして考えれば合理的な構造である。

PC-9801版とX68000版など対応環境の違い

本作はPC-9801系やX68000系などで遊ばれた作品であり、機種ごとのハードウェア特性は異なる。PC-9801は国内で広く普及したパソコンであり、X68000はゲームやグラフィック面で高い性能を持った機種として知られる。
ただし、本作について全画面、全音源、全イベントの細かな機種差を断定できる網羅的な比較資料は限られている。そのため、「どちらが完全版」という表現は慎重にすべきである。
ゲームの根幹となる、ロンとキャスが観光遺跡を探索し、各階のセクサロイドに関わりながら51号を追うという部分は共通する作品体験である。

家庭用ゲーム機で広く展開されなかったことが現在の知名度へ影響

本作は後年、家庭用ゲーム機へ次々と移植されて世代を越えて遊ばれたタイトルではない。そのため、当時PCゲームを遊んでいなかった人にとっては名前を知る機会が少なかった。
しかし逆に、そのことが現在では「PCゲームの奥深い部分を掘っていくと出会うタイトル」という独特の立ち位置につながっている。

現在ではゲームであると同時に時代資料

フロッピーディスク、説明書、箱、雑誌広告などは、現在では1990年代初頭のPCゲーム文化を伝える資料にもなっている。
ゲームそのものだけをデータとして残すことと、当時のパッケージを残すことでは意味が違う。現物には、当時の販売方法やデザイン、ユーザー体験まで保存されている。

当時の人気を数字だけで判断しないことが重要

販売本数が明確な超大ヒット作だけがゲーム史ではない。中小メーカーが発売した個性的な作品が多数存在したことによって、当時のPCゲーム文化は非常に豊かだった。
『SAP特殊行動警察』も、そうした作品群の一つとして見ると価値が分かりやすい。広く知られていなくても、後に続編が制作され、現在まで作品名が記録として残っていること自体に意味がある。

もし現在リメイクされるなら面白くなりそうな要素

本作は現在の技術で再構築すると面白くなりそうな要素を多く持っている。観光遺跡を3Dダンジョンとして再現し、階層ごとに雰囲気を変え、ロンとキャスの会話を増やし、各セクサロイドへ個別のサブストーリーを追加すれば、かなり独特なSF RPGにできる。
さらにSAPという組織そのものを掘り下げれば、別惑星での捜査、宇宙ステーションの事件、人工知能犯罪、バイオ技術を利用した事件など、多様な物語を作ることが可能である。
元作品では容量や制作環境の制限によって十分に掘り下げられなかった部分も、設定上はかなり拡張性がある。

最終評価――1990年代PCゲームの自由な発想を象徴する一作

『SAP 特殊行動警察 FILE:M661-51』は、現在の基準で見れば粗削りな部分を持つ作品である。探索は不親切なところがあり、戦闘は現在のRPGほど複雑ではなく、物語やキャラクターの掘り下げにもさらに欲しくなる余地がある。
しかし、それらを差し引いても個性は強い。特殊行動警察、惑星社会、観光遺跡、美少女型アンドロイド、多数のセクサロイド、奇妙な犯罪者、ダンジョン探索という、本来なら別々の作品へ分かれていてもおかしくない要素が一つへまとめられている。
主人公ロン・ウォレスは完璧な英雄ではなく、キャス・アルーカは単なる守られるヒロインでもない。51号も単純な魔王ではない。そのため、登場人物全員にどこか独特のずれがあり、それが作品全体のコミカルな雰囲気を作っている。
新しい階へ到達するたび別のキャラクターが待っている構造も分かりやすく、迷宮攻略とキャラクターイベントを結び付けることに成功している。攻略情報を見ずに遊べば、イベント条件を探して迷うこともあるが、それを突破したときには古典PCゲームらしい達成感がある。
現在では有名RPGのように誰もが知る作品ではない。しかし、PC-9801やX68000が活躍していた時代のゲームを詳しく調べる人にとっては、非常に興味深い一本である。大手メーカーの超大作だけでは分からない、当時のPCゲーム市場の自由さ、実験性、少し奇妙な発想が凝縮されているからである。
『SAP 特殊行動警察 FILE:M661-51』は、現在のゲームと直接完成度を競わせる作品ではない。「1990年代初頭だからこそ生まれたSF美少女ダンジョンRPG」として向き合うことで、本来の魅力が見えてくる。作品名の硬派さに反して中身は軽快で、巨大な宇宙社会を背景にしながら事件はどこか妙で、特殊警察官なのに主人公は人間臭い。そのアンバランスさこそ本作最大の個性であり、30年以上が経過した現在でもレトロPCゲームとして掘り下げる価値を持つ作品なのである。

[game-9]

■ 楽天市場で『PC-98』の商品を探す♪

現在購入可能な商品はココをクリック!

[game-10]

■ 楽天のリアルタイム売れ筋人気ランキングをチェック♪