
[中古] はーいステップジュン DVD-BOX デジタルリマスター版2 [DVD]





【原作】:大島やすいち
【アニメの放送期間】:1985年3月10日~1986年1月12日
【放送話数】:全45話
【放送局】:テレビ朝日系列
【関連会社】:旭通信社、東映動画
■ 概要
1980年代中盤、日本のテレビアニメ界は巨大ロボット物や冒険ファンタジーが群雄割拠する黄金期だった。そんな中、1985年3月10日から1986年1月12日までテレビ朝日系列で全45話が放送された『はーいステップジュン』は、従来のトレンドに一石を投じるユニークな存在となった。本作は「日常SF青春ラブコメ」という新機軸を掲げ、少女の成長と恋愛を中心に据えながら、手作りロボットや科学的ガジェットといった未来的な要素を織り交ぜることで、当時の視聴者に強い印象を与えた作品である。
制作を担ったのは朝日放送(現・ABCテレビ)で、放送時間は毎週日曜の朝8時30分から9時。この枠は家族団らんの時間帯であり、低年齢層から中高生、さらには親世代にまで視聴されやすい位置にあった。そのため、作品内容も「子どもが楽しめるドタバタ劇」「思春期の少女が共感できる恋愛模様」「親世代が懐かしさを覚えるホームドラマ的展開」と、幅広い層に受け入れられる構成になっていたのが特徴だ。
原作者は『バツ&テリー』『おやこ刑事』で人気を博した漫画家・大島やすいち。スポーツ、刑事ものといった骨太ジャンルを描いてきた彼が、新たに「少女」「恋愛」「メカ」という要素を融合させたのは挑戦的な試みだった。主人公の野々宮ジュンは、背が低いことを気にしつつも、ものづくりに情熱を燃やす元気な中学生。彼女が憧れを寄せるのは背の高い不良少年・加納零(ゼロ)。正反対の二人の関係は「恋愛発展の可能性ゼロ」とからかわれながらも、観る者に「もしかしたら」という期待を抱かせ続けた。
さらにジュンの支えとなるのは、自ら組み立てたロボットの吉之介や雪乃嬢。彼らはただの機械ではなく、時に友人のように寄り添い、時に親のように叱咤し、ジュンの心を守る大切な存在となっている。80年代のロボットアニメが「戦い」を前提にしていたのに対し、『はーいステップジュン』のロボットは「心の味方」「家庭的なパートナー」として描かれており、この新しい切り口は特に少女視聴者層に強い共感を呼んだ。
また、作品世界を盛り上げたのは音楽の力でもある。オープニング「びん感!メカニック」は小気味よいテンポと前向きな歌詞でジュンのキャラクターを象徴し、エンディング「ライバル360度 ~恋愛発展可能性0~」は彼女の不安や恋の揺れ動きをコミカルに表現。楽曲は放送当時から人気を集め、シングル盤やアルバムも発売された。後年、サントラCDや配信で復刻された際には「懐かしさで涙が出た」という声も多く寄せられている。
本作は放送終了後、長らく映像ソフト化が行われず「記憶の中の名作」として扱われていたが、2014年にデジタルリマスター版DVD-BOXが発売されたことで再び脚光を浴びた。鮮明な映像と豪華ブックレットは往年のファンを喜ばせ、さらに新世代にも作品の魅力を伝える橋渡しとなった。この復刻は、80年代アニメ全体の再評価ブームの中でも大きな意味を持っている。
『はーいステップジュン』の意義は、単なる恋愛コメディでもロボットアニメでもない「ジャンルの越境性」にある。少女の悩みや憧れといった普遍的テーマを軸に、コミカルな日常描写とSF的な想像力を自然に混ぜ合わせたことで、80年代アニメの多様性を示す一例となった。放送から数十年が経った今でも、懐かしいと同時に新鮮さを感じさせるのは、この作品が先駆的に「日常×ロボット×青春ラブコメ」という方程式を提示していたからに他ならない。
[anime-1]■ あらすじ・ストーリー
『はーいステップジュン』の物語は、14歳の中学2年生・野々宮ジュンの日常から幕を開ける。彼女は小柄で愛らしいが、その小さな体ゆえに劣等感を抱き、クラスの中で自分がどう見られているかを気にしてしまう年頃だ。けれど一方で、彼女は同世代の女子には珍しく、機械いじりやロボット作りに強い関心を持っている。ジュンの部屋には部品や工具が散乱し、寝る間を惜しんでメカを組み立てる姿は、視聴者に「夢中になることを持つ人間の輝き」を印象付けた。
そんな彼女が心惹かれる相手は、学校でも一目置かれる存在・加納零。高身長でクール、やや不良っぽい雰囲気を漂わせる彼は、女子生徒たちの憧れの的だ。しかし零は、ジュンとは正反対の世界に生きている。周囲から「お似合いになるはずがない」と揶揄され、ジュン自身も「恋が実る可能性はゼロかもしれない」と悩み続ける。ここに本作のメインテーマ――「恋する心の葛藤と成長」が描かれていく。
ロボットたちの登場
ジュンを支えるのは、彼女が独力で作り上げた二体のロボット、吉之介と雪乃嬢である。吉之介は頼れる兄貴分のような性格で、困った時にはジュンを守り、時には叱咤する。一方の雪乃嬢はおっとりと優しく、ジュンの心に寄り添う姉のような存在だ。二体のロボットは単なる機械ではなく、ジュンの心情を代弁するかのように動き、彼女が弱気になりそうな時に勇気を与える。彼らの存在は物語にコミカルさと温かさを添えると同時に、「人と機械の関係」に新しい可能性を提示した。
学園生活と三角関係
ジュンの学園生活は決して穏やかではない。彼女の恋を阻む最大のライバルは、美しく聡明な同級生・水野洋子だ。洋子は容姿端麗、成績優秀で、零に接近するたびにジュンの心は揺れ動く。さらにジュンの親友であるトコやマコも彼女を支えながら騒動に巻き込まれていき、学園内ではいつも波乱が絶えない。三角関係、友情、誤解やすれ違い――青春のドラマが次々と展開される。
物語は一話完結型のコメディタッチを基本にしながら、少しずつジュンの心の成長を積み重ねる構成になっている。例えば、零に誤解されて落ち込む回、洋子に勝てず劣等感を強める回、ロボットたちが暴走して学園を混乱させる回などが描かれる。笑いと涙を織り交ぜたエピソードは、朝の時間帯に相応しい明るさを持ちながらも、視聴者に共感と余韻を残す工夫がされていた。
家族との関わり
ジュンの物語は学校だけでなく、家庭生活も重要な舞台となる。父・野々宮啓一郎や母・敏江は、ジュンのメカいじりに呆れながらも温かく見守る存在だ。特に父は、時に厳しく、時に優しく娘を導き、母は母なりの視点で思春期の娘を支える。この家庭描写があることで、ジュンの恋や夢は単なる「少女漫画的な憧れ」ではなく、現実味を帯びたドラマとして観る者に伝わった。
恋と夢の交錯
物語が進むにつれて、ジュンの恋は一進一退を繰り返す。零との距離が縮まったかと思えば、洋子の存在で揺れ動き、時には自分の未熟さに打ちのめされる。しかし同時に、彼女はロボット作りを通じて自分の強みを発見し、困難を乗り越える力を身につけていく。恋と夢の両立に悩む姿は、多くの視聴者にとって「自分自身の成長物語」と重なり、強い共感を呼んだ。
最終回への道
最終回に向けて物語はクライマックスへと進んでいく。零の心情が少しずつ明らかになり、ジュンとの関係が変化していく過程は、放送当時の視聴者にとって最大の注目ポイントだった。ライバル洋子との確執も、最終的にはお互いの成長を認め合う形で収束し、敵対関係から友情の芽が芽生えるような演出もあった。こうした展開は単なる恋愛ドラマに留まらず、人間関係の多様性や成長をテーマとして描いた点で高く評価された。
物語の魅力
総じて『はーいステップジュン』のストーリーは、「小さな少女が恋と夢を通じて大きく成長する姿」を軸に据えたものだった。そこにコミカルなドタバタ劇、心温まる家庭描写、そしてロボットたちとの奇妙で温かな関係が加わり、独自の青春物語が完成した。放送から数十年が経った今でも、作品を思い出すとき、多くの人が「ジュンの笑顔と涙、そして吉之介や雪乃嬢の掛け合い」を鮮明に思い浮かべるのは、その物語構成がいかに丁寧で魅力的だったかを示している。
[anime-2]■ 登場キャラクターについて
『はーいステップジュン』の魅力は、物語の筋立てだけでなく、そこに登場する個性豊かなキャラクターたちに大きく支えられている。主人公のジュンを中心に、彼女を取り巻く友人や家族、ライバル、そして彼女が生み出したロボットたちが織りなす関係性は、まさに青春群像劇とも呼べるほどに多彩である。それぞれのキャラクターに独自の魅力が与えられ、視聴者は誰か一人に感情移入するだけでなく、登場人物たちの関係性そのものを楽しむことができた。
野々宮ジュン(CV: 山本百合子)
本作の主人公であり物語の中心。中学2年生の彼女は小柄な体格を大きなコンプレックスとして抱えつつも、天真爛漫で行動的な性格を持っている。最大の特徴は「自作ロボットを操る女子中学生」という設定で、これは当時のアニメ界において非常にユニークであった。ジュンのメカ作りへの情熱は、視聴者に「好きなことを貫く大切さ」を伝え、また不器用ながらも真っ直ぐに恋を追いかける姿は、思春期特有の瑞々しさと切なさを体現していた。彼女の感情表現は豊かで、笑うときは思い切り笑い、泣くときは子供のように泣く。その素直さが作品全体のトーンを決定づけていたといえる。
加納零(ゼロ)(CV: 難波圭一)
ジュンが恋心を抱く相手であり、背が高くクールでミステリアスな雰囲気を纏う少年。学園内では一目置かれる存在でありながら、時に不良っぽさを漂わせ、女子の憧れと男子の羨望を一身に受けている。ジュンにとっては雲の上の存在に思えるが、物語が進むにつれて彼の意外な優しさや不器用な本心が明らかになり、ギャップのある人物像が浮かび上がる。零は決して完璧超人ではなく、彼自身も悩みや孤独を抱えており、その弱さがジュンの成長と共鳴する形で描かれていく。この関係性は、視聴者に「憧れの人もまた悩みを抱える同じ人間である」という気づきを与えた。
吉之介(CV: つかせのりこ)
ジュンが作り上げたロボットの一体。力強く頼れる兄貴分のような存在で、しばしばジュンを守ろうと奮闘する。性格は直情的でお節介焼きだが、そこに人間味が宿っている。ギャグ担当としてコメディ的な場面を引き立てる一方、ジュンが弱気になったときに彼を通じて「頑張れ」と声をかけるシーンは視聴者の胸を打った。吉之介は、ジュンの内面にある「強くなりたい」という願望の具現化でもあると考えられ、単なるメカキャラに留まらない深みを持っていた。
雪乃嬢(CV: 西原久美子)
ジュンが作ったもう一体のロボットで、吉之介とは対照的に穏やかで優しい性格を持つ。女性的な口調と仕草で、ジュンの姉や母のように振る舞うことが多い。ジュンの悩みに寄り添い、優しく励ます姿は、視聴者にとって癒しの存在だった。雪乃嬢はジュンの「弱さを受け入れたい」という心情を投影した存在であり、ジュンの精神的な支えとなっていた。吉之介と雪乃嬢の二体が並ぶことで、ジュンの心の中にある「強さ」と「優しさ」のバランスが象徴的に表現されている。
水野洋子(CV: 増山江威子)
ジュンの恋のライバルとして立ちはだかる美少女。学業も優秀で、誰からも好かれるカリスマ的な存在だが、ジュンにとっては恋敵という厳しい立場になる。洋子の存在は、ジュンに「自分の小ささ」を突きつける鏡のようなものであり、彼女の成長物語において避けられない試練を象徴している。だが洋子は単なる嫌なキャラクターとして描かれていない。彼女自身もプライドや孤独を抱えており、物語後半ではジュンと互いに理解し合う場面も描かれる。これにより「ライバル=敵」という単純な図式を超えた、深みのある人間関係が生まれた。
佐藤淑子(トコ)(CV: 頓宮恭子)、田中正子(マコ)(CV: 渡辺菜生子)
ジュンの親友コンビ。お調子者のトコとしっかり者のマコは、ジュンを明るく支える存在であり、視聴者にとっても「学園生活の楽しさ」を象徴するキャラクターだった。彼女たちの掛け合いは物語に軽快さを与え、シリアスになりがちな恋愛やライバル関係の合間に、心を和ませる役割を果たした。二人は時にジュンをからかい、時に励まし、彼女が孤独にならないよう寄り添う「友情の守護神」でもあった。
式部(CV: 鈴木れい子)
ジュンの学園生活を彩る教師の一人であり、時にコミカル、時に厳格な立場で登場。式部先生の存在は、子供たちの暴走に歯止めをかける役割を果たすと同時に、学園ドラマとしてのリアリティを支える重要なキャラクターだった。先生が本気で叱る場面や、逆に生徒に振り回されるシーンは、誰もが経験したことのある「学校あるある」を連想させ、親近感を呼んだ。
野々宮家の人々
父・啓一郎(CV: はせさん治)、母・敏江(CV: 上村典子)は、ジュンの家庭生活を温かく描く上で欠かせない存在だった。啓一郎は厳しさの中に深い愛情を持ち、敏江は母らしい包容力でジュンを見守る。二人の存在は、ジュンの恋や夢を「家族が支える成長物語」として補強し、作品全体に温かみを与えた。また、ジュンの行動が決して一人の孤立した冒険ではなく、家庭や友情に根ざしたものであることを強調していた。
キャラクター群像の妙
これらのキャラクターが織りなす群像劇は、ただの恋愛コメディではなく、人間関係の多様性と成長を描く作品として『はーいステップジュン』を特別なものにしている。主人公のジュンはもちろん、零や洋子、ロボットたち、友人や家族――誰もが単なる脇役ではなく、物語に欠かせない役割を持っていた。それぞれの視点から物語を見直せる構成は、視聴者に何度も楽しみを提供し、今なお記憶に残るキャラクター群を形成している。
[anime-3]■ 主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
『はーいステップジュン』を語る上で欠かせないのが、音楽面での魅力である。1980年代のアニメ作品において、主題歌は物語そのものを象徴する看板的存在であり、視聴者の心に作品名以上に強烈な印象を残すことさえあった。本作も例外ではなく、オープニング・エンディングテーマ、さらにはイメージソングやキャラクターソングまで幅広く展開され、ジュンの世界観を鮮やかに彩った。
オープニングテーマ「びん感!メカニック」
オープニングを飾ったのは「びん感!メカニック」。作詞は篠塚満由美、作曲は芹澤廣明、編曲は川上了という布陣で制作され、歌唱は小林明子と小林直子のデュオによって行われた。軽快なリズムとキャッチーなフレーズが印象的で、朝の時間帯にぴったりな明るさを持っている。
歌詞には「小さな体でも夢は大きい」「自分で作ったロボットが味方だ」といったジュンのキャラクターを象徴するメッセージが込められており、毎回の放送冒頭で視聴者の気持ちを作品世界に引き込む効果を果たした。特にサビ部分の跳ねるようなメロディは、放送当時の子どもたちが思わず口ずさみたくなる中毒性を持ち、学校や家庭で「びん感!」と真似をする姿がよく見られたというエピソードも残っている。
さらに、この曲には「ジュンの等身大の元気さ」と「ロボットを駆使するユーモラスさ」が絶妙にブレンドされており、映像との親和性も抜群だった。オープニング映像ではジュンが工具を片手にロボットを組み立てる姿や、吉之介や雪乃嬢と共にドタバタ走り回るカットが挿入されており、曲とアニメーションが一体となって「これから始まるワクワク感」を演出していた。
エンディングテーマ「ライバル360度 ~恋愛発展可能性0~」
エンディングを締めくくったのは「ライバル360度 ~恋愛発展可能性0~」。作詞・作曲は古田喜昭、編曲は川上了、歌唱はオープニングと同じく小林直子と小林明子。タイトルからしてユーモラスであり、「恋愛発展可能性ゼロ」というフレーズは、ジュンの零への恋心と、そのままうまくいきそうにない現実を軽妙に表現している。
メロディはオープニングに比べると少し落ち着いており、ジュンの胸の内をそのまま歌にしたような切なさとコミカルさが共存する仕上がりになっている。視聴者からは「見終わった後にこの歌を聴くと、次回までの一週間も頑張ろうと思えた」という声も多く、単なるエンディングソング以上の役割を果たしていた。
映像ではジュンが夜空を見上げるシーンや、零の姿を遠くから見つめる場面が描かれ、淡い恋心を表現。一方で吉之介や雪乃嬢がコミカルに暴れるカットも織り交ぜられており、「笑い」と「切なさ」を絶妙にブレンドした演出になっていた。特にタイトルの「360度」という部分は「どこを見渡しても恋のライバルだらけ」という意味合いも込められ、思春期の揺れ動く心情をユーモラスに表現したフレーズとして長く記憶されている。
挿入歌とイメージソング
本作は主題歌だけでなく、挿入歌やイメージソングも制作された。これらは劇中の重要な場面で流れることで視聴者の感情を盛り上げ、物語への没入感を高めた。例えば、ジュンが新しいロボットを完成させるシーンではアップテンポの挿入歌が流れ、達成感と未来への希望を強調。また、ジュンが失恋や挫折に打ちひしがれるシーンではバラード調の楽曲が用いられ、彼女の涙に視聴者の気持ちが重なった。
さらに、当時のアニメブームを支えていたのが「キャラクターイメージソング」である。ジュンをはじめ、零や洋子、吉之介、雪乃嬢といった主要キャラクターたちにもソロ曲やデュエット曲が用意され、LPやカセットで発売された。ジュンのイメージソングは明るく元気な応援歌風で、視聴者に「一緒に頑張ろう」と呼びかけるような雰囲気を持っていた。対して零のイメージソングは少しクールで切ないバラード調、洋子は華やかでクラシカルな雰囲気を取り入れた楽曲など、それぞれの個性が音楽に反映されていた。
ファンの受け止め方
当時の視聴者にとって、これらの楽曲はアニメの放送を超えて「日常に持ち帰れる作品の一部」だった。レコードやカセットを繰り返し聴きながら、ジュンの気持ちに共感したり、自分の恋愛を重ねたりする若い視聴者も多かった。音楽はアニメを単なる視聴体験に留めず、ファンの生活に浸透させる力を持っていたのだ。特にオープニング「びん感!メカニック」は、明るさと前向きさから「朝の目覚まし代わりにしていた」という声も残っている。
現在に至るまでの評価
2014年のDVD-BOX発売時には、主題歌やイメージソングもリマスター音源で復刻され、当時のファンが涙を流しながら聴き直す姿が見られた。さらに、近年のサブスク配信やYouTubeでの懐アニ特集などを通じて、若い世代が初めて耳にする機会も増えている。「昔のアニメソングはシンプルだけど力強い」「今聴いても色褪せない」という評価が寄せられ、時代を超えて愛され続けているのが本作の音楽の特徴である。
総じて『はーいステップジュン』の楽曲群は、物語を補強する以上の役割を果たしていた。オープニングで勢いよく始まり、エンディングで余韻を残し、挿入歌やキャラソンでキャラクターの内面を掘り下げる――音楽は作品のもう一つの柱であり、今なおファンの心を揺さぶり続けている。
[anime-4]■ 声優について
アニメ『はーいステップジュン』を語る上で、声を吹き込んだ声優陣の存在は欠かすことができない。本作は1985年から1986年にかけて放送された作品であり、当時のアニメ界はすでに「声優ブーム」の萌芽を迎えていた時期であった。キャラクターと声優が一体となり、作品の人気を大きく左右する時代に突入しつつあったのである。『はーいステップジュン』でも、当時すでに名を知られていた実力派から、これからの活躍が期待される若手まで、幅広い声優が参加しており、キャラクター性を的確に表現する演技が作品の完成度を押し上げた。
主人公・野々宮ジュン役:山本百合子
山本百合子は、主人公・ジュンの声を担当した。彼女は明るさと繊細さを併せ持つ声質が特徴で、ジュンの「元気で行動的だが小柄さに悩む」という複雑な内面を見事に表現した。感情の振れ幅が大きいジュンは、笑うときは無邪気に、泣くときは全力で涙を流し、恋に悩むときは真剣に心を揺らす。その全てを声で支えた山本の演技力は高く評価され、「声があるからこそジュンは生きたキャラクターになった」とまで言われた。
また、山本自身がインタビューで「ジュンを演じながら、自分も思春期に戻った気持ちで声を出していた」と語ったこともあり、役と演者の一体感がファンを魅了した。
加納零(ゼロ)役:難波圭一
ジュンが憧れる存在である零を演じたのは難波圭一。彼は『タッチ』の上杉和也役などで知られる声優で、優しさと切なさを同居させた声質が多くのファンの心をつかんでいた。本作ではクールで背の高い零を担当し、普段は冷静で距離を置いたように話すが、時折見せる優しさや照れを自然に表現。女性視聴者から「零の声がドキドキを誘った」という感想が数多く寄せられ、作品の人気を支える大きな要素となった。
難波の演技は「ただの不良っぽい少年」ではなく、「不器用にしか愛情を表せない少年」として零を描き出しており、彼の存在を奥深いものにした。
吉之介役:つかせのりこ
ジュンが作り上げたロボット・吉之介には、つかせのりこが声を当てている。ロボットでありながら親しみやすさを持たせ、時にお調子者で時に頼れる兄貴分を演じ分けることが求められた。つかせのりこの声はユーモラスでリズミカルであり、吉之介のギャグ担当としての役割を際立たせた。同時に、ジュンを励ます場面ではしっかりと力強さを表現できるため、「笑わせるだけでなく泣かせるロボット」として吉之介を印象付けた功績は大きい。
雪乃嬢役:西原久美子
もう一体のロボット・雪乃嬢の声を担当したのは、西原久美子。柔らかく可憐な声を持つ彼女は、雪乃嬢に「優しさと癒し」を吹き込んだ。ジュンの姉のように寄り添い、包み込むような言葉をかける雪乃嬢の存在は、西原の声によって一層温かく表現された。特にジュンが落ち込む場面での「大丈夫、あなたは一人じゃない」という言葉には、声そのものが持つ優しさが加わり、多くの視聴者の心を和ませた。
ライバル・水野洋子役:増山江威子
ライバル洋子を演じたのは、名優・増山江威子。『ルパン三世』の峰不二子などで知られる彼女の声は、華やかさと知性を兼ね備えており、洋子の美しさと自信に満ちたキャラクター性を完璧に表現した。増山の演技によって洋子は単なる「嫌なライバル」ではなく、「魅力的で憧れる存在」として描かれ、ジュンにとって大きな壁でありながら視聴者からも人気を集める人物となった。
親友コンビ・トコ&マコ
トコ役の頓宮恭子と、マコ役の渡辺菜生子。この二人の声優は、元気な掛け合いを通じて学園生活に明るさを添えた。トコのお調子者な台詞回しと、マコのしっかり者らしい突っ込みは絶妙なバランスで、視聴者にとって「学校で隣にいそうな友達」を思わせるリアルさがあった。彼女たちがいたからこそ、ジュンは孤立することなく物語を進めることができたともいえる。
家族や教師を演じた声優陣
ジュンの父・啓一郎を演じたのは、はせさん治。厳しさとユーモアを兼ね備えた演技で「父親らしさ」を存分に表現した。母・敏江を担当した上村典子は、母性あふれる声で家庭的な温かさを醸し出した。また、教師役の鈴木れい子は、厳しい教師でありながらコミカルさを見せる絶妙な演技を披露し、学園ドラマに現実味と軽快さを与えた。
声優陣の総合的評価
『はーいステップジュン』の声優陣は、当時のアニメ界でも屈指の実力派が揃った布陣だった。キャラクターの個性を引き立てるだけでなく、作品全体の雰囲気を声で支える力を持っていたことが、本作の完成度を高めた一因である。視聴者は「声優の演技がキャラクターそのものに命を吹き込んでいる」と感じ、彼らの声を通じてキャラクターを愛するようになった。
また、放送当時のアニメ雑誌には声優インタビューやグラビアも掲載され、ファンの関心は作品を超えて声優本人にも広がった。こうした流れは後の「声優アイドル化」現象の先駆けにもなり、本作の存在はアニメ史の中でも興味深い位置を占めている。
[anime-5]■ 視聴者の感想
アニメ『はーいステップジュン』は1985年から1986年にかけて放送され、放送当時から現在に至るまで、多くの視聴者にさまざまな感想を抱かせてきた。日曜朝の放送枠ということもあり、家族で一緒に観るケースが多く、年齢や立場によって受け止め方が異なった点も興味深い。ここでは、放送当時の子どもたちや中高生、親世代、そして後年DVD-BOXなどで作品を再び鑑賞したファンの感想を整理しながら、その特徴を掘り下げていく。
子ども世代の感想
放送時に小学生だった視聴者の多くは、物語の恋愛要素よりも「ロボットの存在」や「ドタバタしたギャグ」に強い印象を抱いたという声が多い。吉之介の大げさなリアクションや雪乃嬢の可愛らしい仕草は、幼い視聴者にとって「楽しい友達」として受け入れられていた。特に吉之介がジュンを守るシーンでは「僕もこんなロボットが欲しい」と夢見る子どもが多かった。
また、ジュンが小柄で悩んでいる姿に共感する子どもも多かった。特に背の低さや運動能力に悩む少年少女にとって、ジュンは「自分と似た存在」であり、彼女が頑張る姿は励みになったという感想が数多く残されている。
中高生視聴者の感想
思春期真っ只中の中高生にとって、『はーいステップジュン』は単なるコメディではなく「恋愛と成長の物語」として映った。ジュンの零への恋は、自分の片思いや失恋経験と重なる部分が多く、「自分も同じように苦しくて、それでも諦められなかった」という声が寄せられている。
また、恋のライバル・洋子の存在も強烈な印象を残した。視聴者の中には「洋子が嫌いで仕方なかった」という人もいれば、「洋子は憎めない、むしろ彼女も努力していて好きだった」という意見もあり、評価が分かれる点も面白い。ライバルの存在を通じて、思春期特有の競争心や劣等感を視聴者自身が投影していたことが分かる。
親世代の感想
日曜朝に子どもと一緒に観ていた親世代からは、ジュンの家庭描写や親子関係に注目した感想が多い。父・啓一郎の厳しさと優しさ、母・敏江の包容力は、「自分たちの家庭と重なる」と感じた視聴者もいた。とくに「子どもを見守る大人の役割」に共感した親が多く、「娘を持つ親としてジュンの父母の立場が身にしみた」という意見が目立つ。
親世代からはまた、「当時のアニメにしては教育的で好ましい」という感想も少なくなかった。暴力的な描写や過激な表現が少なく、友情・努力・恋愛・家族の大切さといった普遍的テーマを扱っていたため、安心して子どもに見せられる作品として支持されたのである。
音楽への反響
主題歌や挿入歌に対する感想も多く寄せられている。「朝になると『びん感!メカニック』を口ずさんでいた」「エンディングの『恋愛発展可能性0』は当時の自分の恋を思い出させて泣いた」など、音楽が視聴者の感情に直結していたことがわかる。曲がキャラクターや物語と深く結びついていたため、楽曲を聴くだけでその場面の映像が蘇るという感覚を持つ人も少なくなかった。
DVDリマスター版で再会した視聴者の感想
2014年に発売されたDVD-BOXで再び作品に触れた視聴者は、「子どもの頃に観た作品がこんなに深い内容だったとは驚いた」と再評価する声を上げている。子どもの頃には気づかなかったキャラクターの心理描写や、親世代の立場から観た家庭ドラマのリアリティに気づき、新しい発見をしたという人が多い。
また、「懐かしさに涙が出た」「あの頃の朝の空気を思い出した」という声もあり、作品が持つノスタルジー効果は非常に大きかったことが分かる。リマスター映像の美しさに感嘆しつつ、かつての自分と現在の自分を重ね合わせながら鑑賞するファンも多かった。
ネガティブな感想も
一方で、視聴者の中には「恋愛描写がくどい」「ロボットが出る割にはバトルがなくて物足りない」といった意見もあった。特に当時の男児視聴者の一部には「もっとロボットが戦うシーンが欲しかった」と感じる層も存在した。しかしその一方で、「戦闘がないからこそ新鮮だった」と肯定的に受け止める声もあり、評価は分かれていた。
総合的な感想
全体を通して、『はーいステップジュン』は「誰が観るかによって違う感想を引き出す作品」だったといえる。子どもはロボットやギャグを楽しみ、中高生は恋愛に共感し、大人は家庭や親子関係に心を寄せた。多層的な楽しみ方が可能であったからこそ、今でも思い出に残る作品として語り継がれているのだ。
また、後年に至ってもネット掲示板やSNSで「ジュンの純粋さに救われた」「あのエンディング曲が今でも耳に残っている」と語られることがあり、その感想の熱量は数十年経った今も衰えていない。『はーいステップジュン』は単なる懐かしのアニメではなく、「視聴者それぞれの青春を映す鏡」として機能し続けているのである。
[anime-6]■ 好きな場面
『はーいステップジュン』は全45話という比較的長いスパンで描かれた作品であり、その中には数多くの名シーンが散りばめられている。視聴者にとって「心に残った場面」はそれぞれ異なるが、共通して挙げられるのは「ジュンの一生懸命さが報われる瞬間」「恋と友情の揺れ動き」「ロボットたちの活躍によるユーモラスな場面」などだ。ここでは、当時のファンや後年の再視聴者が特に印象に残ったと語る「好きな場面」を掘り下げながら紹介していこう。
1. ジュンが初めてロボットを完成させるシーン
物語序盤、ジュンが汗だくになりながらロボット・吉之介を完成させるシーンは、多くの視聴者の胸に強く残っている。徹夜で部品を組み合わせ、失敗を繰り返しながらもあきらめない姿は、努力の結晶そのもの。最後に「できた!」と笑顔を見せる瞬間は、見ている子どもたちに「努力は必ず実を結ぶ」というメッセージを強烈に印象付けた。この場面があったからこそ、その後ジュンが何度も困難に立ち向かう姿に説得力が生まれたのだ。
2. ジュンと零のすれ違い
中盤の見どころは、ジュンと零が互いの気持ちを誤解してしまうエピソードだ。零が洋子と一緒にいるのを見て、ジュンが落ち込む場面。単純な恋の三角関係でありながら、表情や沈黙の演出が非常に丁寧で、ジュンの小さな心が揺れ動く様子がリアルに描かれていた。視聴者の中には「自分の中学時代の片思いを思い出して胸が苦しくなった」という人も多く、このすれ違いの場面は青春の痛みを象徴するシーンとして語り継がれている。
3. 洋子との対決
ライバルの水野洋子とジュンが真正面からぶつかる場面も人気が高い。成績優秀で美しい洋子に対し、小柄で不器用なジュンは劣等感を抱き続ける。しかしあるエピソードでは、洋子に真剣に想いをぶつけ、「私は私のやり方で負けない!」と宣言するシーンが描かれる。ここでジュンは初めて「背の高さ」や「外見」といったコンプレックスから解放され、自分自身の価値を見出すことができた。この瞬間を「ジュンが本当の意味で主人公になった瞬間」と語るファンも少なくない。
4. 吉之介と雪乃嬢の名コンビ
ロボットたちの掛け合いもまた、視聴者に愛された要素である。吉之介のドタバタと雪乃嬢の優雅さがかみ合わずにケンカするシーンはギャグとして大いに笑いを誘った。一方で、ジュンが落ち込んでいるときには二体が一致団結して彼女を励ますなど、頼れる相棒としての存在感も見せる。そのギャップが子どもたちに人気で、「吉之介と雪乃嬢がいなければ『はーいステップジュン』は成立しなかった」という声もあるほどだ。
5. 家族との絆を描いたエピソード
ジュンが両親と衝突するエピソードも心に残る場面のひとつだ。特に父・啓一郎に「お前のやっていることに意味はあるのか」と厳しく問われ、ジュンが涙ながらに「私にとって大切だからやってるの!」と叫ぶシーンは、視聴者の心を強く揺さぶった。親世代からは「子どもにあんな風に言われたら認めざるを得ない」と共感の声が多く、子ども世代からは「自分も親に本音を言いたいと思った」と勇気をもらったという感想が寄せられている。
6. 零の本心が垣間見える瞬間
物語後半、普段はクールで何を考えているのか分からない零が、ふとした瞬間にジュンを気遣うシーンは、女性視聴者の心を大きく揺さぶった。ジュンが泣いているときに「バカだな、でもそこがいいんだ」と小さく呟く場面などは、「零の株が一気に上がった」と当時話題になった。言葉数が少なくても、声と演技によって零の優しさが伝わる名場面として記憶されている。
7. 最終回の余韻
そして何よりも語り継がれているのは最終回である。ジュンが自分の夢と恋を振り返り、仲間やロボットたちと共に新しい一歩を踏み出す姿が描かれるラストは、多くの視聴者にとって涙なしには見られないものだった。恋が完全に成就したわけではないが、彼女が成長したことを誰もが実感できる終わり方であり、「視聴者一人ひとりの心に続きが描ける余韻」が残された。この余韻の力こそが、『はーいステップジュン』が長く愛され続ける理由のひとつといえるだろう。
視聴者にとっての「好きな場面」
好きな場面は人それぞれ異なるが、共通しているのは「ジュンの等身大の姿が胸に響いた」という点である。ロボットに助けられ、仲間に支えられながらも、一歩ずつ自分の足で前進していく姿。それは、視聴者自身が抱えていた悩みや青春の記憶と重なり、何十年経っても鮮明に思い出せる「心のシーン」として残り続けている。
[anime-7]■ 好きなキャラクター
アニメ『はーいステップジュン』は、主人公・野々宮ジュンを中心に数多くの魅力的なキャラクターが登場した。物語のテーマが「青春・恋愛・友情・成長」であったため、登場人物それぞれが持つ個性や背景が丁寧に描かれ、視聴者は自分の立場や性格に照らし合わせて「推しキャラ」を見つけることができた。本章では、放送当時やその後の再評価において人気の高かったキャラクターを、視聴者の感想や分析を交えながら掘り下げていく。
主人公・野々宮ジュン
やはり最も多くの支持を集めたのは主人公・ジュンである。彼女は「小柄で悩みを抱えながらも夢中になれるものを持ち、恋に一生懸命」という等身大の存在だった。視聴者の多くは彼女に自分を重ね、「私も背の低さで悩んでいたから共感できた」「努力する姿が励みになった」と語っている。特に女子中高生からは「自分と同じ悩みを持っているのに、夢に向かって進む姿がかっこよかった」との声が多く寄せられた。
また、ロボット作りという珍しい趣味を持つ点も視聴者の心をつかんだ。「メカを作る女子」という設定は当時のアニメではほとんど例がなく、男の子の視聴者からも「こんな女の子がいたら友達になりたい」と憧れの対象となった。ジュンは明るさと不器用さ、弱さと強さを併せ持つヒロイン像として、今も語り継がれている。
加納零(ゼロ)
ジュンが恋をする相手である零もまた、視聴者に強烈な印象を与えたキャラクターだ。女性ファンからは「クールでかっこいい」「ぶっきらぼうなのに優しいところに惹かれた」と圧倒的な人気を誇った。一方で男性視聴者からは「零みたいに背が高くて頼れる存在になりたい」と憧れを抱く声も多かった。
特に印象的だったのは、零が不器用ながらもジュンを気遣う場面である。「お前はお前のままでいい」という一言や、困っているジュンをそっと助ける仕草は、多くの視聴者にとって心に残る名シーンとなった。視聴者の中には「零が初恋のモデルになった」という人も少なくなく、彼の存在は青春アニメの典型的な「憧れの先輩像」として支持された。
水野洋子
ジュンの恋のライバルである水野洋子は、視聴者の間で賛否が分かれる存在だった。外見も頭脳も優れ、完璧に見える彼女に対して「嫌な女」と感じた人もいれば、「洋子がいたから物語が盛り上がった」と評価する人もいた。
特に女性視聴者からは「洋子の強さに憧れた」という声が少なくなかった。彼女はただのライバルではなく、自分なりの努力を重ねる存在であり、最終的にはジュンと理解し合う関係になる。そのため「最初は嫌いだったけど、最後には好きになった」という視聴者も多い。結果として洋子は「成長を共に描かれた立体的なキャラクター」として記憶に残る存在となった。
吉之介
ロボットでありながら多くのファンに愛された吉之介。彼の直情的で人間臭い性格は、子どもたちにとって「頼れるお兄ちゃん」的存在であり、大人の視聴者からも「実際にこんな相棒がいたらいい」と夢を抱かせた。
ギャグ要員としての人気も高く、失敗して爆発したり、的外れな発言をしたりする場面は子どもたちにとって大笑いできるポイントだった。しかし同時に、ジュンが落ち込んでいる時に「泣くな!」と励ます姿は感動を呼び、コミカルとシリアスの両方で印象を残した。「吉之介がいなかったらジュンは成長できなかった」とまで言うファンもいるほどである。
雪乃嬢
雪乃嬢は「癒しキャラ」として高い人気を誇った。女性らしい仕草と優しい声でジュンを支え、時には母のように寄り添う存在は、特に女の子の視聴者にとって安心感を与えた。
一方で「雪乃嬢の天然ボケに笑った」という声もあり、吉之介との掛け合いは多くの視聴者の「お気に入りシーン」として挙げられている。雪乃嬢は、ジュンの内面的な弱さを肯定する役割を果たしており、「自分の弱さを受け入れていいんだ」と教えてくれる存在として共感を集めた。
トコ&マコ
ジュンの親友であるトコとマコも、視聴者から根強い人気を得た。二人はジュンの良き理解者であり、時にからかい、時に励ます存在として、物語を軽快に彩った。ファンの間では「この二人が出てくると安心する」「学園生活のリアリティが増す」と評価されている。ジュンと同じ目線で悩みや喜びを共有するキャラクターであったため、視聴者にとっても「自分の学校にもいるような友達」として親近感を持たれた。
親世代・教師陣
ジュンの父・啓一郎や母・敏江、そして教師の式部も忘れてはならない存在だ。彼らは子ども視聴者にとっては「大人の象徴」として、親世代にとっては「自分と重ねられるキャラクター」として映った。特に父の厳しさや母の優しさは、「親の立場になって観ると感動する」という再視聴者の感想が多く、年月が経つごとに評価が高まっている。
総合的に人気のあったキャラクター像
『はーいステップジュン』において人気を集めたのは、単なる「格好いい」「かわいい」といった表層的な魅力を持つキャラクターではなく、「不器用さや弱さを抱えながらも懸命に生きる」人物たちだった。ジュンはもちろん、零や洋子、ロボットたちもまた「完璧ではないがだからこそ共感できる」存在であり、視聴者は自分の気持ちを重ねて彼らを好きになった。
視聴者の「好きなキャラクター」を振り返ると、それは単なる人気投票ではなく、自分自身の思春期の思い出や経験を反映した結果でもあったといえる。
[anime-8]■ 関連商品のまとめ
『はーいステップジュン』は1985年から1986年にかけて放送された作品でありながら、その後も長い年月を経てさまざまな形で関連商品が展開された。ここでは、映像ソフト、書籍、音楽、ホビー、ゲーム、文房具や日用品、食品コラボなど、多岐にわたる関連商品について整理し、当時のファンや後年のコレクターたちがどのように楽しんできたのかを掘り下げていく。
■ 映像関連
放送終了直後、1980年代後半にかけてはVHSソフトとして一部のエピソードがリリースされた。当時はアニメの全話を商品化するのは珍しく、人気回をセレクトした形での販売が一般的だった。本作も例外ではなく、ジュンと零の関係性が大きく動くエピソードや、吉之介と雪乃嬢のドタバタが楽しめる回など、印象的な話数が収録された。
その後1990年代にはレーザーディスク化が一部行われ、マニア層の収集アイテムとなった。レーザーディスクは高価で一般普及率は低かったが、高画質で保存性も高く、今でもコレクター市場で価値を持っている。
2000年代以降はDVD-BOXの需要が高まり、2014年には待望のデジタルリマスター版DVD-BOXが発売された。全45話を完全収録し、映像はクリアな画質に修復、さらにブックレットやスタッフ解説などの特典付きで、多くのファンが「やっと手元に残せる」と歓喜した。これにより、新世代のファンが作品に触れる機会も生まれた。
■ 書籍関連
書籍分野では、まず原作漫画が根強い人気を保った。大島やすいちによるコミックはアニメ放送と並行して読者に親しまれ、アニメ放送中には「アニメコミカライズ」も刊行された。アニメの場面写真を用いたフィルムコミック形式の単行本は、当時の子どもたちにとってアニメを繰り返し楽しむ手段として人気だった。
さらに、アニメ雑誌『アニメディア』『月刊OUT』『ニュータイプ』などでは特集記事が組まれ、キャラクターピンナップや声優インタビュー、設定資料紹介などが掲載された。これらの雑誌は現在でもコレクターズアイテムとして価値が高く、当時の熱気をそのまま残す資料として重宝されている。
また、設定資料集やファンブックも一部で刊行され、ジュンの設計したロボットのメカニカルデザインや未公開イラストなどが収録されていた。これらはアニメファンだけでなくメカ好きにも人気を博した。
■ 音楽関連
音楽は本作を語る上で欠かせない要素であり、商品展開も盛んに行われた。オープニング「びん感!メカニック」とエンディング「ライバル360度 ~恋愛発展可能性0~」はシングルレコードとして発売され、子どもたちだけでなく若い女性層にも広く支持された。レコード店で購入し、繰り返し聴いて作品の余韻に浸る視聴者が多かった。
さらにサウンドトラックLPやカセットも発売され、挿入歌やBGM、キャラクターソングが収録された。特にジュンのイメージソングや、吉之介と雪乃嬢の掛け合いを収録したコミカルなトラックは人気が高かった。
後年にはCD化され、復刻版やベスト盤も登場。2010年代以降は配信サービスでも解禁され、懐かしさから再び注目を集めるようになった。
■ ホビー・おもちゃ
子どもたち向けの商品展開としては、ロボットの吉之介と雪乃嬢をモチーフにしたソフビ人形やミニフィギュア、ぬいぐるみが販売された。特にソフビは「遊ぶ」というより「飾る」感覚で人気を集め、当時の子どもたちの机や本棚に並べられていたという。
また、バンダイなどからはプラモデル形式のロボット玩具も発売され、ジュンが作ったロボットを自分で組み立てる体験ができる商品は、作品のテーマ性と直結していた。この「作る楽しさ」を商品として体験できる点は、『はーいステップジュン』らしいユニークな展開だった。
■ ゲーム関連
家庭用ゲーム機での本格的なタイトルは存在しなかったが、当時流行していた「すごろく形式のボードゲーム」がいくつか販売された。盤面にはジュンや零、洋子、吉之介たちが描かれ、止まったマスに応じてドタバタイベントが発生する仕組みで、家族や友達と盛り上がれる内容となっていた。
さらにカードゲームやトランプなども展開され、キャラクターイラストを使用したデザインが人気を博した。食玩としておまけで付属する「ミニゲーム」や「消しゴム付きトレーディングカード」も存在し、子どもたちの間で集めて遊ぶ文化が育まれた。
■ 文房具・日用品
文房具関連の展開も非常に豊富だった。下敷き、鉛筆、消しゴム、ノート、カンペンケースなど、学用品の定番アイテムにキャラクターのイラストがデザインされ、特に女の子たちに人気を集めた。
ジュンと零、ジュンと洋子などの組み合わせイラストが描かれたアイテムは「どちら派か」を友達同士で語り合うきっかけにもなり、学校生活を盛り上げた。また、ティッシュケースやお弁当箱、コップなど日用品グッズも展開され、家庭でも作品世界を楽しめる仕掛けが用意されていた。
■ 食品・食玩
1980年代当時のアニメ商品展開では定番となっていた「キャラクター食品」も登場した。ガムやチョコレート、スナック菓子にシールやカードが付属しており、子どもたちの間で「どのキャラが当たるか」が話題になった。ジュンや零だけでなく、吉之介や雪乃嬢が描かれたおまけが特に人気で、「ロボットのシールが出た!」と喜ぶ子どもも多かった。
地域限定で販売されたジュンのイラスト入りカップラーメンや駄菓子なども存在し、短期間の展開ながら今でもコレクターにとっては幻の商品として語られている。
総括
『はーいステップジュン』の関連商品は、他の大ヒットアニメに比べると数は多くないが、放送当時のファンの心をしっかり掴んだ展開が行われていた。特にロボットを「作る」プラモデルや、学用品として日常生活に取り入れられる文房具類は、作品のテーマ性を反映したユニークな展開であり、今なお「懐かしい」と語られる所以である。
そして2010年代以降の復刻・リマスター化によって、過去の関連商品が再評価され、オークションやフリマアプリなどで高値が付く例も増えている。関連グッズは単なる商品ではなく、当時のファンの思い出と深く結びついた「青春の証」として、今も輝きを放ち続けている。
■ オークション・フリマなどの中古市場
『はーいステップジュン』は1985年から1986年にかけて放送されたアニメであるが、商品展開が爆発的に広がった大ヒット作とは異なり、当時発売された関連グッズの数は比較的限られていた。しかしその分、後年になってオークションやフリマ市場に出回る商品は希少性が高く、コレクターや往年のファンの間で人気が集中している。本章では、映像ソフト、書籍、音楽、ホビー、ゲーム、文房具、食玩や日用品など、さまざまなカテゴリごとに中古市場の動向を詳しく見ていく。
■ 映像関連商品の市場傾向
まず注目すべきは映像関連商品である。放送当時に発売されたVHSは、数巻のみのセレクト収録という形式で販売されたため、現存数が少なく中古市場では高値が付きやすい。状態の良いセル版であれば1本あたり3000〜5000円程度、特に箱やラベルが美品のものは1万円近くで落札されることもある。
さらに希少なのが1990年代に発売されたレーザーディスク版である。こちらは生産数が非常に限られていたため、市場に出回ること自体が珍しい。価格帯は1枚あたり6000〜1万2000円程度と高騰しており、全巻揃えようとすると数万円規模の投資が必要になる。
そして最大の人気を誇るのが2014年に発売されたDVD-BOXである。デジタルリマスターによる全話収録に加え、特典ブックレットや描き下ろしジャケットが付属していたため、発売時点で購入したファンが今でも大切に保管しているケースが多い。市場価格は新品同様の完品であれば2万5000〜3万5000円程度、中古品でも1万5000円前後で安定して取引されている。
■ 書籍関連商品の市場傾向
書籍関連では、まず大島やすいちによる原作漫画が根強い人気を持っている。初版の単行本は流通量が少なく、特に帯付き・状態良好なものは1冊あたり1000〜2000円程度で落札される。全巻セットになると1万円を超えることも珍しくない。
さらに、当時のアニメ雑誌に掲載された特集記事やピンナップも人気が高い。『アニメディア』や『OUT』『ニュータイプ』などに掲載された記事は、1冊あたり1500〜3000円前後で取引されることが多い。特に表紙にジュンが描かれた号や声優インタビューが掲載された号はコレクターの間で高騰しやすい。
また、アニメ設定資料集やファンブックも非常に希少で、保存状態が良ければ5000〜1万円近くで落札されるケースもある。これらは再販されることがほとんどなく、資料的価値とコレクション性の両方で高い評価を受けている。
■ 音楽関連商品の市場傾向
音楽関連では、シングルレコード「びん感!メカニック」「ライバル360度 ~恋愛発展可能性0~」が特に人気だ。当時のEPレコードはプレス枚数が限られていたため、現在でも良好な状態で残っているものは少ない。美品であれば1枚あたり2000〜4000円程度で落札される。帯付きや販促ポスターとセットになっている場合はさらに高値となり、5000円を超えるケースもある。
また、サウンドトラックLPやカセットテープもコレクターズアイテムとして人気があり、3000〜8000円程度の価格帯で取引されることが多い。近年はCD再販や配信が行われたため、純粋な音源を楽しみたい層は配信を利用し、コレクターは「当時物」としてアナログ盤を求めるという二極化が進んでいる。
■ ホビー・おもちゃ関連
吉之介や雪乃嬢をモチーフにしたソフビ人形やミニフィギュアは、現在市場に出ると非常に人気が高い。1体あたり1500〜3000円程度が相場で、未開封や美品であれば5000円を超えることもある。ぬいぐるみやプラモデル玩具はさらに希少で、状態によっては1万円以上の値段が付くこともある。
特にプラモデルは「ジュンと同じようにロボットを組み立てる体験」ができるため、当時のファンにとって思い入れが強く、再販もされなかったため中古市場での価値が非常に高い。
■ ゲーム関連
本作のゲームは家庭用ソフトとしては存在しないが、すごろく形式のボードゲームやカードゲームが当時発売されていた。これらは子ども向け玩具として消費されることが多かったため、状態の良いものは非常に少ない。箱・駒・カード・説明書がすべて揃った完品であれば5000〜1万円程度の価格で取引されることもある。
欠品がある場合でも2000〜3000円程度で落札されるため、「昭和レトロボードゲーム」としての人気は安定して高い。
■ 文房具・日用品
下敷き、ノート、鉛筆、消しゴム、カンペンケースなどの文房具は、今となってはレアアイテムとなっている。状態が良い未使用品であれば1点あたり1000〜3000円、特にジュンや零が大きく描かれたアイテムは5000円前後で落札されることもある。
日用品系グッズ(お弁当箱やマグカップ、ティッシュケースなど)はさらに流通数が少なく、オークションに出るとすぐに入札が集まる傾向にある。価格帯は3000〜8000円程度で、コレクターからは「実用品として使われた分、残存数が少ない」という点で価値が高い。
■ 食品・食玩関連
食品とのコラボ商品は消耗品であるため現存数が極めて少ない。唯一市場に残っているのは当時付属していたシールやカード類であり、状態が良いものは1枚数百円から2000円前後で取引される。特にロボットが描かれたデザインは人気が高く、コレクション性が強い。
■ 総合的な傾向
『はーいステップジュン』関連グッズの中古市場は、他の80年代の大ヒット作に比べると絶対的な商品数は少ないものの、「希少性」「当時の思い出補正」「再評価ブーム」という3つの要素によって、安定した需要がある。とりわけ映像ソフトと音楽レコードは市場価値が高く、完品や美品はプレミアが付く。
また、近年のフリマアプリ市場では若い世代が「昭和レトログッズ」として手に取るケースも増えており、懐かしさだけでなくデザイン性の高さからコレクション対象として注目されている。
総じて『はーいステップジュン』の中古市場は、単なる古いアニメグッズの域を超え、「80年代アニメ文化の証言」としての価値を帯びている。市場に出る数が少ないからこそ、ファン同士が競い合い、思い入れの強さが価格に直結しているのである。
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