『氷河戦士ガイスラッガー』(1977年)(テレビアニメ)

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【原作】:石森章太郎
【アニメの放送期間】:1977年4月12日~1977年8月30日
【放送話数】:全20話
【放送局】:テレビ朝日系列
【関連会社】:東映動画、東映エージェンシー、東京ムービー、オカスタジオ

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■ 概要・あらすじ

3万年の眠りから始まる、亡国の戦士たちの物語

『氷河戦士ガイスラッガー』は、1977年4月12日から1977年8月30日までテレビ朝日系列で放送されたSFヒーローアニメであり、全20話という短い放送期間ながら、強い悲劇性と石森章太郎作品らしい改造人間的テーマを色濃く残した作品です。タイトルにある「氷河」は、単なる冷たい自然現象を示す言葉ではなく、主人公たちが3万年という途方もない時間を氷の眠りの中で過ごしてきた存在であることを象徴しています。物語は、南極の氷原で発見される謎の宇宙船、そしてそこから目覚める5人の若者たちを中心に進んでいきます。彼らは普通の人間ではありません。かつて地球上に存在した高度文明国家ソロン王国の生き残りであり、侵略者インベム星人に対抗するために、肉体を戦闘用に改造されたサイバノイド戦士です。つまり彼らは、故郷を守るために生み出された存在でありながら、目覚めた時には守るべき祖国がすでに滅び去っているという、非常に重い宿命を背負っています。多くのロボットアニメやヒーローアニメが、正義のために明快に戦う爽快感を前面に押し出していた時代に、本作は「戦うしかない者たちの孤独」「過去を奪われた者の怒り」「人間でありながら人間として生きられない哀しみ」を物語の底に流していました。ガイスラッガーの5人は、ただ敵を倒す英雄ではなく、自分たちの存在理由を問い続ける戦士として描かれます。そこに本作独特の陰影があり、短命に終わった作品でありながら、記憶に残るアニメとして語られる理由があります。

ソロン王国とインベム星人――物語の根幹にある古代文明SF

本作の世界観で重要なのは、地球の過去に存在したとされるソロン王国の存在です。ソロン王国は、3万年前の地球にありながら、現代人の想像を超える科学力を持っていた古代文明国家として設定されています。しかし、その繁栄は外宇宙からの侵略者であるインベム星人によって崩壊します。インベムは単なる怪物軍団ではなく、宇宙規模で征服活動を進める知的な敵勢力として描かれ、地球を再び狙う存在として現れます。ソロン王国は滅亡の直前、最後の希望として5人の若者をサイバノイド戦士へと改造し、宇宙船ソロン号とともに長い眠りにつかせました。この設定は、古代文明ロマンとSFヒーローの要素が融合したもので、世界各地の遺跡や神秘的な伝承を物語に絡める余地を生んでいます。イースター島、ストーンサークル、日本の古代遺跡などを連想させるエピソード群は、ただの戦闘の舞台ではなく、ソロン王国の記憶やインベムの影が今も地球上に残っていることを示す装置として機能します。つまり『氷河戦士ガイスラッガー』は、現在の地球を守る戦いでありながら、同時に3万年前の滅亡の真相をたどる物語でもあります。視聴者は、敵を倒す展開を追うだけでなく、「地球の歴史の裏側には何があったのか」「主人公たちはなぜ選ばれたのか」「ソロン王国は本当に滅びきったのか」といった謎にも引き込まれていきます。この古代文明SF的な広がりが、作品に独特のスケール感を与えていました。

ガイスラッガーとは何者か――人間と兵器の境界線

ガイスラッガーの5人は、シキ・ケン、ミト・カヤ、オノ・リキ、イイ・タロ、タニ・マリという若者たちで構成されています。彼らは仲間であり、同じソロン王国の生き残りであり、インベムと戦うために作られた戦士です。しかし重要なのは、彼らが自ら望んで完全な戦闘兵器になったわけではないという点です。国を救うため、未来に希望を託すために選ばれた存在ではありますが、その結果として彼らは普通の人生を奪われています。目覚めた時には家族も国も仲間も歴史の彼方に消え、自分たちだけが現代に取り残されている。この状況は、一般的なヒーロー物の「選ばれし者」の高揚感とはまったく違います。むしろ、選ばれたこと自体が悲劇であり、戦う力を持つことが苦しみになっているのです。彼らは強い能力を持ち、ソロン号という強力な母艦もありますが、その力は喜びではなく責任としてのしかかります。インベムに対抗できるのは自分たちだけだと理解しているからこそ、逃げることもできません。人間としての感情を持ちながら、戦士としての役割を拒めない。その矛盾が、ガイスラッガーという存在の核心です。石森章太郎作品にしばしば見られる「改造された者の悲しみ」「人間でなくされた者の怒り」「正義の側に立っても癒えない孤独」といったテーマが、本作にも濃く流れています。明るく勝利を重ねるチームヒーローではなく、過去の喪失を抱えながら戦場へ向かう若者たち。それが『氷河戦士ガイスラッガー』の主人公像です。

物語の出発点――南極で目覚めるソロン号

物語は、南極で活動していた志岐博士たちが謎の飛行物体に遭遇するところから大きく動き出します。地球に接近してきたインベムの存在は、現代文明にとってあまりにも唐突で、あまりにも強大です。人類はその脅威の正体をすぐには理解できず、通常の科学力や軍事力だけでは太刀打ちできない状況に追い込まれていきます。そんな中、氷の下から現れるのがソロン号です。3万年の時間を超えて姿を現したこの宇宙船は、失われた王国の遺産であり、地球に残された最後の防衛手段でもあります。船内で眠っていた5人のガイスラッガーは、志岐博士たちとの出会いを通じて現代の地球を知り、自分たちの置かれた現実を理解していきます。かつて守ろうとした祖国はなく、しかし祖国を滅ぼした敵は再び現れている。この皮肉な状況が、彼らを戦いへと向かわせます。序盤の面白さは、ガイスラッガーたちがただ即座に現代社会になじむのではなく、3万年後の地球に戸惑いながら、自分たちの使命を受け入れていくところにあります。彼らにとって現代人は未来の人類であり、同時にソロン王国の血や文明の記憶をどこかで受け継いでいるかもしれない存在です。だからこそ、ガイスラッガーの戦いは「今の地球を守る戦い」であると同時に、「ソロン王国が最後に託した未来を守る戦い」でもあるのです。

打ち切りによって生まれた未完の余韻

『氷河戦士ガイスラッガー』は全20話で終了しており、物語はインベムとの決着を完全に描き切る前に幕を閉じています。終盤では、ガイスラッガーたちが地球攻撃部隊との戦いを乗り越え、ついにインベム星へ向かうという大きな局面に到達します。しかし、その先にあるはずだった本格的な敵本拠地での戦い、ソロン王国滅亡のさらなる真相、ガイスラッガーたち自身の運命の結末は、十分に描かれないまま終わることになりました。この未完性は、視聴者にとって物足りなさであると同時に、作品の記憶を強く残す要素にもなっています。もし長期シリーズとして続いていれば、5人それぞれの過去、ソロン王国の内部事情、インベム側の思想や支配構造、地球人との関係の変化など、さらに深い展開が描かれていたかもしれません。短い話数で終わったからこそ、作品全体には「ここからもっと大きくなるはずだった物語」という余白が残っています。その余白は、後年に作品を振り返る人々にとって想像の余地となり、単なる失敗作ではなく、未完成のまま強い個性を放ったSFアニメとして再評価される理由にもなっています。

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■ 登場キャラクターについて

シキ・ケン――ガイスラッガーを束ねる若きリーダー

シキ・ケンは、ガイスラッガー5人の中心に立つ主人公的存在であり、チーム全体の判断や行動を引っ張るリーダーとして描かれます。声を担当したのは古谷徹で、少年らしい真っすぐさと、戦士としての緊張感をあわせ持つ演技が印象的です。ケンは単なる熱血型の主人公ではなく、3万年前に滅びたソロン王国の記憶と、現代の地球を守らなければならない使命の間で揺れる人物です。仲間を守る強さを持ちながら、自分たちが人間として普通に生きる道を失っていることも理解しており、その表情や言葉にはどこか寂しさがあります。敵を倒す場面では勇敢ですが、戦いの後に残る虚しさや、犠牲になった人々への思いを抱え込むところに、ケンという人物の魅力があります。リーダーである以上、感情だけで動くことはできません。仲間が危険にさらされても、ソロン号や地球全体を守るために厳しい決断を迫られる場面もあります。そのため、彼のかっこよさは派手な攻撃や強いセリフだけにあるのではなく、苦しみながらも前へ進む姿勢にあります。視聴者から見ると、ケンは「正義のヒーロー」であると同時に、「過去を失った少年」でもあり、その二面性が作品全体の悲劇性を支えています。

ミト・カヤ――冷静さと優しさをあわせ持つ知性派

ミト・カヤは、ガイスラッガーの中でも落ち着いた雰囲気を持つ人物で、声を神谷明が担当しています。カヤには熱血だけではない知的な響きがあり、チームの中で精神的なバランスを取る役割を担っています。ケンが前へ出るリーダーだとすれば、カヤは周囲を見渡し、状況を読み、仲間の感情にも気を配る参謀的な存在です。ガイスラッガーたちは全員が同じ宿命を背負っていますが、それぞれ受け止め方は異なります。カヤは悲しみや怒りを内側に抱えつつも、それをむき出しにするより、冷静な判断へと変えていくタイプです。だからこそ、戦闘時には頼れる仲間として映りますし、日常的な会話の中では、失われたソロン王国への思いを静かににじませる人物としても印象に残ります。彼の魅力は、感情を抑えているから無感情なのではなく、誰よりも深く物事を考えているからこそ言葉が少ない、という点にあります。

オノ・リキ――力強さで仲間を支える剛腕の戦士

オノ・リキは、ガイスラッガーの中でも肉体的な力強さや豪快さが目立つキャラクターです。声を担当した若本紀明の存在感もあり、リキには頼もしさと荒々しさが同居しています。チームヒーロー作品におけるパワー担当という役割を持ちながら、単なる力自慢として終わらないところが本作らしい部分です。リキは戦闘になると大胆に前へ出て、敵に対して真っ向からぶつかっていくタイプです。その姿は、重い物語の中で視聴者に分かりやすい爽快感を与えます。しかし、彼もまたソロン王国を失ったひとりであり、戦うために改造された存在であることに変わりはありません。豪快な性格の裏側には、仲間を失いたくないという強い思いがあり、時には怒りが先に立って無茶をしそうになる場面もあります。そうした危うさが、リキを人間味のあるキャラクターにしています。彼は仲間の盾になることをためらわず、危険な場面でも自分が前に出ればよいと考えるような気質を持っています。その姿は頼もしい一方で、見ている側には「このまま突っ走って大丈夫なのか」という緊張も生みます。

イイ・タロ――幼さと悲劇性を背負った少年戦士

イイ・タロは、ガイスラッガーの中でも年少者的な印象を持つキャラクターで、声を山本圭子が担当しています。彼の存在は、作品の悲劇性をより強く感じさせる重要な要素です。大人びた戦士たちの中に、少年らしさを残したタロがいることで、「彼らは本来なら戦場ではなく、もっと穏やかな時間の中で生きるはずだった若者たちなのだ」という事実が際立ちます。タロは明るさや素直さを見せる場面もあり、チームの空気を和らげる役割を担っています。しかし、その明るさは決して軽いものではありません。3万年の眠りから目覚め、故郷も家族も失った現実を受け入れなければならないという点では、彼も他の仲間たちと同じです。むしろ年少者である分、その痛みはより残酷に映ります。視聴者はタロを通じて、ガイスラッガーたちが単なる改造戦士ではなく、失われた日常を持っていた存在なのだと実感します。戦闘中に勇気を見せる姿は健気であり、仲間に守られるだけではなく、自分も仲間を助けようとするところに成長が感じられます。

タニ・マリ――チームに柔らかさと芯の強さを与えるヒロイン

タニ・マリは、ガイスラッガーの紅一点として描かれる女性戦士で、声を小宮和枝が担当しています。女性キャラクターでありながら、単に守られる存在ではなく、ガイスラッガーの一員として戦場に立ち、仲間と同じ宿命を背負っている点が重要です。マリは、チームの中に優しさや感受性をもたらす存在でありつつ、戦うべき時にはきちんと前線に立つ強さを持っています。彼女の魅力は、女性らしい柔らかさと、サイバノイド戦士としての覚悟が同居しているところです。失われたソロン王国への思い、現代の地球人への戸惑い、仲間たちへの信頼など、マリの感情は物語に細やかな陰影を与えます。特に、戦いによって傷ついた人々や、敵に利用される弱い立場の者に対して心を寄せる場面では、彼女の存在が作品の人間ドラマを支えています。マリがいることで、ガイスラッガーというチームは力と知性だけでなく、感情の厚みを持つ集団になっています。

志岐博士と現代側の人々――古代の戦士と地球を結ぶ存在

志岐博士は、現代の地球側からガイスラッガーたちを支える重要人物です。声を飯塚昭三が担当しており、重厚さと信頼感のある人物像が印象に残ります。博士は、南極でソロン号やガイスラッガーたちと関わることで、現代人が知らなかった古代文明と宇宙からの脅威に直面します。彼は単なる説明役ではなく、3万年前の遺産と現代科学の橋渡しをする存在です。ガイスラッガーたちは現代社会に不慣れであり、自分たちの置かれた状況を理解するにも、現代の人間との協力が欠かせません。志岐博士はその中で、彼らを研究対象としてではなく、意志と感情を持つ若者たちとして受け止めます。また、志岐玲子や志岐浩のような現代側の若い人物がいることで、ガイスラッガーたちの異質さと孤独がより分かりやすく表現されます。玲子は、戦士としてではなく人間として彼らを見る存在であり、浩は少年らしい驚きや憧れを通して、視聴者に近い立場でガイスラッガーを見つめます。

デガスとババル・ベム・インベム――過去の悲劇を呼び戻す敵

デガスは、インベム側の地球攻撃部隊を率いる敵幹部で、声を緒方賢一が担当しています。彼は単なる悪役というより、侵略計画を遂行する軍人・司令官として描かれ、冷酷さと執念を持っています。ガイスラッガーたちにとってデガスは、現在の敵であると同時に、かつてソロン王国を滅ぼしたインベムの象徴でもあります。そのため、彼との戦いは単なる一幹部との対決にとどまらず、3万年前から続く因縁の再燃として重みを持ちます。ババル・ベム・インベムは、インベム側の支配的存在として登場するキャラクターで、声を家弓家正が担当しています。その存在感は、単純な怪物ではない、得体の知れない支配者像を強めています。デガスが前線の指揮官なら、ババル・ベム・インベムはより上位にいる恐怖の象徴です。全貌が完全に描き尽くされたとは言い切れないからこそ、不気味な余白が残っています。

キャラクター全体の魅力――喪失を共有する仲間たち

『氷河戦士ガイスラッガー』のキャラクター構成で印象深いのは、主人公チームが単なる能力別の戦隊ではなく、全員が同じ悲劇を共有している点です。5人はそれぞれ性格も役割も異なりますが、根底には「滅びた国の生き残り」「戦うために改造された若者」「3万年後の世界に取り残された存在」という共通の痛みがあります。この共通点があるため、彼らの絆には非常に強い説得力があります。仲が良いからチームなのではなく、同じ運命を背負ってしまったからこそ、互いを支え合わずにはいられないのです。ケンのリーダー性、カヤの冷静さ、リキの力強さ、タロの無邪気さ、マリの優しさは、それぞれ違う魅力でありながら、すべてがガイスラッガーという集団の悲しみを形作っています。彼らが笑う場面には切なさがあり、戦う場面には怒りだけでなく悲しみがあります。そこが『氷河戦士ガイスラッガー』の登場人物たちを、短命な作品でありながら忘れがたいものにしている大きな理由です。

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■ 主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング

作品の空気を一気に伝えるオープニングテーマ「氷河戦士ガイスラッガー」

『氷河戦士ガイスラッガー』のオープニングテーマ「氷河戦士ガイスラッガー」は、作品タイトルをそのまま冠した主題歌であり、番組の世界観を視聴者に最初に刻み込む重要な楽曲です。作詞は石森章太郎、作曲・編曲は菊池俊輔、歌唱は水木一郎という、1970年代のヒーローアニメ・特撮ソングの流れを語るうえで非常に存在感のある布陣になっています。この曲の魅力は、単なる勇ましいヒーローソングではなく、氷の眠り、古代文明、改造戦士、宇宙からの侵略者といった本作の設定を、力強いメロディの中に凝縮しているところにあります。水木一郎の歌声は、熱く、前へ押し出すような迫力を持ちながらも、本作ではどこか悲壮感も感じさせます。明るく勝利を叫ぶだけの歌ではなく、長い眠りから目覚めた戦士たちが、失われた故郷の無念を胸に再び戦場へ向かうような重みがあるのです。曲調は勢いがあり、子ども番組の主題歌としての分かりやすさを備えていますが、その背後には「戦うしかない者たち」の宿命がにじんでいます。

石森章太郎の作詞が生む、サイボーグ的な悲哀とヒーロー性

オープニングテーマで注目したいのは、原作に関わる石森章太郎自身が作詞を担当している点です。石森章太郎作品には、改造された者、普通の人間としての生活を奪われた者、強大な敵と戦う宿命を背負わされた者が数多く登場します。『サイボーグ009』や『仮面ライダー』にも通じるテーマですが、『氷河戦士ガイスラッガー』においても、主人公たちはまさに「人間でありながら戦闘のための存在にされた者たち」です。そのため、主題歌にも単純な正義の高揚感だけではなく、失われたものを背負って戦う者の哀しみが漂っています。歌詞の内容には、氷河の中からよみがえる戦士たち、宇宙の脅威へ立ち向かう決意、ソロン王国の記憶を胸に秘めた戦いのイメージが込められています。タイトルの響きも非常に印象的で、「氷河」と「戦士」という言葉の組み合わせが、冷たく閉ざされた過去と熱い闘志の対比を生んでいます。

菊池俊輔のメロディが作る、昭和ヒーローアニメらしい緊迫感

作曲・編曲を担当した菊池俊輔は、昭和のアニメ・特撮音楽において欠かせない作曲家のひとりです。『氷河戦士ガイスラッガー』の楽曲にも、菊池俊輔らしい明快なメロディライン、勇壮なブラス感、緊張を高めるリズム、そして一度聴くと耳に残りやすいフレーズ作りが生きています。オープニングテーマは、番組の冒頭で視聴者の気持ちを一気に戦闘モードへ引き上げる力を持っていますが、ただ派手に鳴らすだけではありません。曲の中には、宇宙規模の危機や古代文明の神秘を感じさせるような広がりもあります。これは、ガイスラッガーが地球防衛チームであると同時に、3万年前のソロン王国の遺産を背負った存在であることとよく合っています。菊池俊輔の音楽は、子ども向け番組に必要な分かりやすい熱さを持ちながら、場面の不安や緊迫感をしっかり支える厚みがあります。

水木一郎の歌唱が与えた、戦士たちへの熱と説得力

オープニングテーマを歌う水木一郎は、アニメソング界を代表する歌手であり、ヒーローソングにおける圧倒的な存在感を持っています。彼の歌声は、作品の主題を単に説明するだけでなく、視聴者の気持ちを主人公たちの戦いへ引き込む力があります。『氷河戦士ガイスラッガー』の主題歌でも、その声は非常に力強く、ガイスラッガーたちが巨大な運命に立ち向かう姿を想像させます。ただし、本作の歌唱で印象的なのは、熱さの中にどこか影があることです。水木一郎の歌声は勇ましい一方で、作品設定の悲壮感を完全には消しません。むしろ、悲しみを乗り越えるために声を張り上げているような感覚があります。視聴者はその歌を聴くことで、ガイスラッガーたちがただ強いから戦っているのではなく、失われた祖国や仲間たちの思いを背負っているのだと感じられます。

エンディングテーマ「われらの命 ソロン号」が描く、母艦への信頼と仲間の絆

エンディングテーマ「われらの命 ソロン号」は、オープニングテーマとはまた違った角度から作品世界を支える楽曲です。作詞は八手三郎、作曲・編曲は菊池俊輔、歌唱は堀江美都子とコロムビアゆりかご会が担当しています。タイトルにあるソロン号は、ガイスラッガーたちの母艦であり、3万年前のソロン王国から現代へ残された大切な遺産です。ガイスラッガーにとってソロン号は、ただの乗り物ではありません。眠りについていた場所であり、現代に目覚めた時に残っていた唯一の故郷のかけらであり、戦いに向かうための基地でもあります。そのため、エンディングテーマでソロン号が大きく取り上げられていることには深い意味があります。オープニングが戦士たちの決意を前面に出す歌だとすれば、エンディングは戦いを終えた彼らが帰る場所、仲間と共に未来を目指す船への思いを歌った楽曲だといえます。堀江美都子の澄んだ歌声と、コロムビアゆりかご会の合唱が加わることで、曲には勇ましさだけではない温かさが生まれています。

挿入歌・キャラクターソング的な広がりについて

『氷河戦士ガイスラッガー』は、現在広く知られている楽曲としては、オープニングテーマとエンディングテーマの印象が非常に強い作品です。放送期間が短かったこともあり、長期シリーズのように多数の挿入歌やキャラクターソングが大きく展開されたタイプの作品ではありません。そのため、楽曲面を語る場合は、主題歌2曲を中心に見るのが自然です。ただし、作品の設定を考えると、本来であればガイスラッガー5人それぞれのテーマや、ソロン王国の悲劇を描くイメージソング、インベム側の不気味さを表す敵テーマなど、音楽的に広げられる余地は非常に大きかった作品でもあります。短命に終わったことで、そうしたキャラクターソング的展開が十分に広がらなかったことは惜しい部分です。しかし逆に言えば、主題歌とエンディングの2曲に作品のエッセンスが強く集中しているとも言えます。

BGMが支えた古代文明SFと侵略戦争の空気

本編内のBGMは、古代文明の神秘、インベムの脅威、ガイスラッガーたちの戦闘、そして失われた故郷への哀愁を支える重要な役割を持っています。『氷河戦士ガイスラッガー』は、地球各地の遺跡や謎めいた場所が物語に絡むため、音楽にも単純なアクションだけではない雰囲気が求められます。南極の氷原、古代遺跡、海底、宇宙空間といった舞台では、視覚的な画面だけでなく、音楽によって「ここには普通ではない何かが眠っている」という感覚が強められます。一方、インベムが攻撃を仕掛ける場面では、不穏な低音や緊張感のある旋律が、敵の冷酷さを引き立てます。ガイスラッガーたちが出撃する場面では、主題歌にも通じる勇壮な響きが使われ、視聴者の気持ちを戦闘へ高めます。そして、戦いの後や仲間の心情を描く場面では、哀愁を帯びた音楽が流れることで、彼らが単なる戦士ではなく、故郷を失った若者たちであることを思い出させます。

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■ 魅力・好きなところ

短命作品だからこそ強く残る、未完のロマン

『氷河戦士ガイスラッガー』の魅力を語るうえで、まず外せないのは、全20話で終了した作品でありながら、設定そのものには非常に大きな広がりがあったという点です。3万年前に滅ぼされたソロン王国、氷河の中で眠り続けた5人のサイバノイド戦士、宇宙から地球を狙うインベム星人、そして古代文明の遺産であるソロン号。これだけの要素がそろっていながら、物語は長期シリーズとして最後まで描き切られることなく、インベム星へ向かうところで幕を閉じます。普通に考えれば、これは物足りなさとして受け止められる部分ですが、同時に『氷河戦士ガイスラッガー』の記憶を濃くしている理由でもあります。視聴者の心には、「この先に本当の決戦があったのではないか」「インベム星で何が待っていたのか」「ガイスラッガーたちは自分たちの運命にどんな答えを出したのか」という想像が残ります。終わっているのに、完全には終わっていない。答えが示されないからこそ、作品世界が視聴者の中で広がり続けるのです。

ガイスラッガー5人の悲しみが、ヒーロー性を深くしている

本作の一番好きなところとして挙げられるのは、主人公たちが明るく万能なヒーローではなく、深い喪失を抱えた戦士として描かれている点です。シキ・ケン、ミト・カヤ、オノ・リキ、イイ・タロ、タニ・マリの5人は、地球を守るために戦いますが、その戦いは単純な正義感だけで成り立っているわけではありません。彼らは3万年前に故郷を失い、自分たちの人生も改造という形で大きく変えられた存在です。目覚めた時には、知っている世界はどこにもなく、家族も友人も国も歴史の彼方に消えています。しかも、目の前には故郷を滅ぼした敵の影が再び現れている。この状況だけでも、物語として非常に重いものがあります。ガイスラッガーたちは強い力を持っていますが、その力は望んで手に入れた夢の能力ではなく、戦うために与えられた宿命です。だからこそ、彼らが出撃する場面には、ただのかっこよさではなく、痛みを抱えた覚悟があります。敵を倒しても、過去が戻るわけではありません。勝利しても、失った祖国がよみがえるわけではありません。それでも彼らは戦います。自分たちと同じ悲劇を現代の地球に繰り返させないためです。

古代文明と宇宙侵略が重なる、独特のSF感覚

『氷河戦士ガイスラッガー』の魅力は、古代文明ロマンと宇宙SFが一体になっているところにもあります。地球の遠い過去に高度なソロン王国が存在し、それを外宇宙から来たインベム星人が滅ぼしたという設定は、古代遺跡の謎や失われた文明への憧れを刺激します。単に未来の科学技術を描くのではなく、過去にすでに驚異的な文明があり、その遺産が現代に姿を現すという構造が面白いのです。南極の氷の中からソロン号が現れるという出発点も、非常に印象的です。氷に閉ざされた世界、眠り続けた戦士、封印されていた超科学。それだけで物語の雰囲気が一気に立ち上がります。さらに、ガイスラッガーたちの戦いは、地球上のさまざまな場所へ広がっていきます。遺跡、海底、砂漠、宇宙空間など、舞台が変わるたびに、ソロン王国とインベムの因縁が地球全体に影を落としているように感じられます。この感覚は、当時の子どもたちにとっては冒険のワクワクであり、大人になって見返すと、古代史とSFを混ぜ合わせた不思議な味わいとして楽しめます。

ソロン号の存在感――単なるメカではなく心の拠り所

本作で好きな要素として、ソロン号の存在を挙げる人も多いでしょう。ソロン号は、ガイスラッガーたちの母艦であり、移動基地であり、戦闘における重要なメカです。しかし、それ以上に大切なのは、ソロン号が彼らにとって残された唯一の故郷のような存在であることです。ソロン王国は滅び、3万年前の仲間たちはもういません。そんな中で、ソロン号だけが過去と現在をつなぐ場所として残っています。ガイスラッガーたちはソロン号から出撃し、戦い終えればソロン号へ戻ります。その姿は、戦士たちが戦場と孤独の間を行き来しているようにも見えます。普通のロボットアニメやSFアニメでは、母艦は頼れるメカや司令基地として描かれることが多いですが、『氷河戦士ガイスラッガー』の場合、ソロン号にはもっと感情的な意味があります。そこには彼らの過去があり、眠りがあり、再生があり、使命があります。

1970年代アニメらしい熱さと重さの混在

『氷河戦士ガイスラッガー』は、1970年代のテレビアニメらしい勢いを持ちながら、同時にかなり重いテーマも抱えています。この時代のアニメには、子ども向けの娯楽作品でありながら、戦争、改造人間、滅亡、復讐、家族との別れといった要素を真正面から扱うものが少なくありませんでした。本作もその流れの中にあり、主題歌は熱く、戦闘場面は勢いがあり、チームヒーローとしての分かりやすい楽しさがあります。しかし、物語の根底には、故郷を失った若者たちの悲哀がずっと横たわっています。この熱さと重さの混在が、今見ると非常に味わい深い部分です。説明しきれない部分もありますし、展開が急に進むところもあります。それでも、画面から伝わる情念や、作品全体に漂う「大きな物語をやろうとしている」迫力は強く残ります。

最終回に残る切なさと、続きへの想像

最終回付近の展開も、本作を語るうえで避けられない魅力です。ガイスラッガーたちは地球攻撃部隊との戦いを経て、ついにインベム星へ向かうことになります。本来なら、ここから敵の本拠地での大決戦が始まり、ソロン王国滅亡の真相やガイスラッガーたちの宿命に決着がつくはずだったと考えられます。しかし物語は、その大きな扉を開いたところで終わってしまいます。この終わり方は、初見ではかなり驚きます。戦いが終わったというより、いよいよ本当の戦いが始まるところで幕が下りるからです。しかし、時間が経つほど、この終わり方には独特の切なさが生まれます。ソロン号で宇宙へ向かうガイスラッガーたちの姿は、未完であるがゆえに、どこまでも続いていく旅のように見えます。彼らはその後どうなったのか。インベム星で何を見たのか。自分たちの肉体や運命に答えを見つけられたのか。視聴者はそれぞれの想像で補うしかありません。

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■ 感想・評判・口コミ

放送当時の印象――重すぎる設定が子ども向けアニメとしては異色だった

『氷河戦士ガイスラッガー』を語るうえで、まず大きな特徴として挙げられるのは、子ども向けのヒーローアニメでありながら、物語の出発点から非常に重い空気をまとっていたことです。3万年前に滅ぼされたソロン王国の生き残り、氷河の中で眠り続けた5人の若者、戦うためにサイバノイドへ改造された身体、そして故郷を奪ったインベム星人との再戦。この設定だけを見ても、当時の視聴者にとっては明るく気楽に楽しめる冒険活劇というより、どこか寂しさや怖さを感じる作品だったといえます。もちろん、主題歌は水木一郎の力強い歌唱によって熱く盛り上がり、敵と戦うヒーローアニメとしての見せ場もありました。しかし本編に入ると、ガイスラッガーたちはただ強くてかっこいい戦士ではなく、失われた過去を背負って現代に現れた存在として描かれます。そのため、子ども視聴者の中には、ソロン号や戦闘シーンにワクワクした一方で、主人公たちの境遇にはどこか不安や切なさを覚えた人もいたはずです。

視聴率や玩具展開の面では厳しかったが、設定の濃さは評価される

本作は、放送期間が短く、全20話で終了した作品です。その背景には、視聴率や玩具展開の苦戦があったとされ、当時のテレビアニメとして商業的に大きな波を作ることはできませんでした。1970年代のアニメ番組は、作品そのものの人気だけでなく、スポンサーの商品展開や玩具の売れ行きとも深く結びついていました。特にヒーローアニメやロボットアニメの場合、子どもたちが憧れるメカやキャラクターが玩具として売れるかどうかは、番組の継続に大きく影響します。『氷河戦士ガイスラッガー』にもソロン号やサイバノイド戦士という魅力的な題材はありましたが、作品全体の暗さや設定の複雑さが、当時の子ども向け商品展開と必ずしも強く噛み合ったとは言いにくい面があります。明快に「このロボットがかっこいい」「この武器で遊びたい」と思わせる作品と比べると、本作はやや物語性や悲劇性に寄った作りでした。しかし、後年になって振り返ると、その設定の濃さや石森章太郎的なテーマ性は、むしろ評価される部分になっています。

「サイボーグ009」を思わせる悲哀に惹かれる声

『氷河戦士ガイスラッガー』について語られる時、しばしば連想されるのが、石森章太郎作品に共通する改造人間の悲哀です。主人公たちは戦う力を持っていますが、その力は幸福の象徴ではありません。彼らは戦士として生まれ変わったことで、普通の人間としての人生を失っています。しかも、眠りから覚めた時には故郷も時代も失われているため、自分たちが何者なのかを確認できる場所さえほとんど残っていません。この構図は、改造された者が正義のために戦いながらも、その心の奥に孤独を抱えるという石森作品らしい魅力につながっています。視聴者の中には、ガイスラッガーの5人を単なるチームヒーローではなく、「取り返しのつかない運命を背負わされた若者たち」として受け止めた人も多いでしょう。ケンたちが敵に向かっていく姿は勇ましいのに、どこか痛々しい。仲間同士で支え合う姿は温かいのに、その温かさの背景には大きな喪失がある。そうした複雑な感情が、本作を印象深いものにしています。

主題歌への評価――本編以上に記憶に残る力強さ

本作の評判を語る時、音楽面への評価は外せません。特に水木一郎が歌うオープニングテーマ「氷河戦士ガイスラッガー」は、作品を見た人の記憶に強く残りやすい楽曲です。番組そのものの知名度が非常に高いとは言えない一方で、主題歌だけは覚えている、タイトルを聞くと歌声がよみがえる、という人も少なくないでしょう。昭和アニメソングらしい力強さがありながら、作品の持つ悲壮感とも相性が良く、ガイスラッガーたちが氷の眠りから目覚めて戦場へ向かうイメージを見事に盛り上げています。水木一郎の歌声は、ただ元気に叫ぶだけではなく、背負うものの重さを感じさせる響きがあります。そのため、本作の暗い設定と合わさることで、単なるヒーロー主題歌以上の印象を残します。一方、堀江美都子とコロムビアゆりかご会が歌うエンディングテーマ「われらの命 ソロン号」も、ソロン号を仲間の命を預ける場所として歌い上げることで、作品世界に温かい余韻を与えています。

最終回への反応――終わったというより、始まるところで止まった印象

『氷河戦士ガイスラッガー』の感想で非常に大きな比重を占めるのが、最終回に対する印象です。本作は、インベムの地球攻撃部隊との戦いを終えた後、ガイスラッガーたちがソロン号でインベム星へ向かうところで物語を閉じます。これは、一般的な意味での完結とは少し違います。むしろ、ここから敵の本拠地へ乗り込み、本当の決戦が始まるはずだったという印象を残します。そのため、当時見ていた人にとっては「ここで終わるのか」と驚いたり、物足りなさを感じたりした可能性が高いでしょう。主人公たちの宿命、ソロン王国を滅ぼした敵の全貌、インベム星で待つ最終決戦、サイバノイドとしての彼らの未来。そうした大きなテーマは、十分に描かれきらないまま残されました。しかし、この未完の終わり方が、後年の評価では独特の余韻として語られることもあります。

現在の口コミ的評価――知名度は高くないが、刺さる人には深く刺さる

現在の視点で見ると、『氷河戦士ガイスラッガー』は誰もが知っている国民的アニメという位置づけではありません。放送期間が短く、再放送や商品展開の機会も限られていたため、同時代の大ヒット作に比べると知名度は控えめです。しかし、昭和アニメや石森章太郎関連作品、1970年代のSFヒーローものに関心がある人にとっては、非常に興味深い作品として映ります。口コミ的な評価では、「暗い設定が印象に残る」「主題歌が良い」「もっと長く見たかった」「未完なのが惜しい」「サイボーグ009の流れを感じる」といった反応が出やすい作品です。特に、きれいに整った名作というより、設定の勢いと悲劇性に惹かれるタイプの作品として評価されます。作画や演出には時代相応の粗さもありますが、それを含めて昭和アニメらしい味わいと受け止める人もいます。

総合的な評判――暗く、熱く、忘れがたい昭和SFヒーロー

総合的に見ると、『氷河戦士ガイスラッガー』は大ヒット作ではありませんが、独自の存在感を持った昭和SFヒーローアニメです。評価の中心にあるのは、やはり「暗さ」と「熱さ」の同居です。主題歌は燃える。戦闘シーンもヒーローものとしての勢いがある。けれど、主人公たちの背景には深い喪失があり、物語全体には冷たい寂しさが漂っています。この組み合わせが、本作を忘れがたいものにしています。視聴者によっては、話数の短さや未完の終わり方、展開の粗さを弱点として感じるでしょう。一方で、その粗さも含めて、1970年代アニメの濃い味わいとして楽しむ人もいます。きちんと完成された作品だけが記憶に残るわけではありません。時には、途中で途切れた物語、語り残された設定、未解決の運命が、長く心に残ることがあります。『氷河戦士ガイスラッガー』はまさにそのタイプです。

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■ 関連商品のまとめ

映像関連――現在もっとも作品を追いやすい中心商品はコンプリートDVD

『氷河戦士ガイスラッガー』の関連商品を考えるうえで、まず中心になるのは映像ソフトです。本作は1977年放送のテレビアニメであり、放送期間も全20話と短かったため、長期人気シリーズのように何度も映像商品が出直されるタイプの作品ではありません。そのぶん、後年に発売されたコンプリートDVDは、作品をまとめて視聴できる貴重な商品として大きな意味を持っています。2009年8月7日には『氷河戦士ガイスラッガー コンプリートDVD』が東映ビデオより発売され、全20話をまとめて確認できる映像商品としてファンや昭和アニメ研究者に重宝されました。このDVDの価値は、単に映像を見られるというだけではありません。『氷河戦士ガイスラッガー』は知名度の面では大ヒット作品ほど広く浸透していないため、再放送や配信で偶然出会う機会が限られがちです。そのため、全話をきちんと手元で確認できるパッケージ商品は、作品を研究したい人、昭和アニメを集めている人、石森章太郎関連作品を追っている人にとって重要な資料になります。現在の感覚で見ると、DVD画質やモノラル音声は時代を感じる仕様ですが、むしろ1970年代アニメの空気をそのまま味わえるところが魅力です。Blu-ray化については、一般的に広く流通している代表的商品としてはDVDの存在感が強く、映像関連商品の中心はコンプリートDVDと考えてよいでしょう。

音楽関連――EPレコードとアニメソングの記憶

音楽関連商品では、オープニングテーマ「氷河戦士ガイスラッガー」とエンディングテーマ「われらの命 ソロン号」を収録したシングル盤が代表的です。A面に水木一郎の「氷河戦士ガイスラッガー」、B面に堀江美都子とコロムビアゆりかご会による「われらの命 ソロン号」という組み合わせは、昭和アニメソング好きにとって非常に魅力的です。このEPレコードは、作品本編以上に記憶に残っているという人もいるほど、昭和アニメソングとしての存在感があります。水木一郎の力強い歌声、菊池俊輔の勇壮な旋律、石森章太郎による作品世界を凝縮した歌詞がそろい、短命作品でありながら主題歌だけは強く印象に残るタイプの商品です。中古レコード市場では、EP盤はジャケットの状態が非常に重要です。盤面が再生可能でも、ジャケットに折れ、シミ、破れ、書き込み、日焼けがあるとコレクション価値は変わります。レコードとしての魅力は、音源を聴くことだけではありません。ジャケットに描かれたキャラクター、当時の印刷の色合い、テレビ漫画レコードらしいレイアウト、そして昭和の子ども向け音楽商品の雰囲気そのものがコレクション対象になります。CDや配信で楽曲に触れられる機会があっても、EP盤には当時の商品としての空気が残っており、ファンにとっては本編映像とは別の形で作品を所有する喜びがあります。

書籍関連――雑誌掲載コミカライズと資料的価値

書籍関連では、単行本として大きく広く流通した作品というより、当時の児童向けテレビ雑誌に掲載されたコミカライズや記事、番組紹介ページ、付録類が中心になります。『氷河戦士ガイスラッガー』は放送期間が短かったため、長期連載漫画や大規模なムック展開が豊富に残っているタイプではありません。そのぶん、当時の雑誌掲載物は資料性が高くなります。テレビマガジン、てれびくん、テレビランドといった児童誌に掲載された番組紹介、コミカライズ、キャラクター解説、メカ図解などは、作品の当時の受け止められ方を知るうえで貴重です。このあたりの商品は、単独の「ガイスラッガー本」として探すより、1977年当時のテレビマガジン、てれびくん、テレビランドなどの雑誌バックナンバーとして探すほうが現実的です。中古市場では、こうした児童誌は保存状態に大きな差があります。表紙の破れ、付録欠品、落書き、切り抜き、ページ外れ、経年ヤケなどが起こりやすいため、完全な状態で残っているものはそれだけで価値が上がります。とくに『氷河戦士ガイスラッガー』のように放送期間が短く、掲載期間も限られた作品の場合、当時の雑誌記事は作品の展開や商品展開を知る手がかりになります。

ホビー・玩具関連――タカトクトイス系商品と昭和レトロ玩具の魅力

ホビー・玩具関連では、放送当時のスポンサー展開と結びついたタカトクトイス系の商品が重要になります。本作は商業的には大ヒットとまではいかなかったものの、ガイスラッガーの5人やソロン号を題材にした玩具は、現在では昭和レトロ玩具としてコレクション対象になっています。とくに合金玩具、フィギュア、ソロン号関連商品は、作品の知名度以上に玩具コレクターの関心を引きます。玩具関連で重要なのは、状態の見極めです。昭和の合金玩具は、塗装剥げ、メッキのくすみ、関節の緩み、ミサイルや小物パーツの欠品、箱の傷み、発泡スチロール内箱の有無、説明書の有無などで価値が大きく変わります。箱付きであっても、箱が大きく破れていたり、付属品が欠けていたりすると評価は下がります。逆に、未使用に近い状態、箱・内袋・説明書・付属品がそろったものは、作品知名度に関係なく昭和玩具として高く評価されやすいです。ガイスラッガー関連玩具は、マジンガーZや超合金ロボットのような圧倒的流通量がある商品群とは違い、出品数そのものが限られがちです。そのため、価格は相場が固定されているというより、その時に欲しい人がいるか、状態がどれほど良いか、同時期に競合出品があるかによって大きく動きます。

プラモデル・ミニ玩具・周辺グッズ――小物ほど発見が難しいジャンル

『氷河戦士ガイスラッガー』の関連商品には、合金玩具のような目立つ商品だけでなく、ミニ玩具、プラモデル系、駄玩具、文房具、カード、シール、消しゴム、子ども向け雑貨などが存在した、あるいは周辺的に流通していた可能性があります。ただし、このジャンルはまとまった商品リストが把握しにくく、現物が出てきた時に初めて確認されることも多い領域です。昭和アニメの小物商品は、当時は子どもが日常的に遊んだり使ったりするために作られていたため、きれいな状態で残りにくい傾向があります。たとえば、シールは貼られてしまい、消しゴムは使用され、文房具は名前を書かれ、カードは折れやすく、駄玩具は袋が捨てられがちです。そのため、完品状態で残っているものは、作品の知名度以上に資料価値を持つ場合があります。こうした商品は、タイトル名だけで探しても見つかりにくい場合があり、「石森章太郎」「タカトク」「昭和レトロ」「テレビ漫画」「合金」「駄玩具」などの周辺語で偶然見つかることがあります。コレクターにとっては、公式の大型商品よりも、むしろこうした小物のほうが探索の楽しみがあります。

ゲーム・ボードゲーム関連――大規模展開は少ないが、遊び系商品への想像は広がる

ゲーム関連については、『氷河戦士ガイスラッガー』単独で有名な家庭用ゲーム化作品が広く知られているわけではありません。1977年放送の作品であり、ファミコン登場以前の時代であることを考えると、家庭用デジタルゲームとして展開されなかったのは自然です。ただし、昭和のテレビアニメ商品には、すごろく、カードゲーム、めんこ、ボードゲーム、パズル、絵合わせ、ぬりえ、学習帳系の遊び商品が作られることが多く、ガイスラッガーもそうした周辺商品が存在していた可能性を考える余地があります。実際に中古市場で探す場合は、「ゲーム」という現代的な言葉だけではなく、「ボードゲーム」「すごろく」「カード」「めんこ」「パズル」「ぬりえ」などの語で探したほうが、昭和の子ども向け商品に近づきやすいです。このジャンルの魅力は、作品世界を子どもがどう遊びに変換していたかが見えるところです。たとえば、ガイスラッガー5人のキャラクターを並べたカード、ソロン号を進めるすごろく、インベム軍団との戦いを題材にしたボードゲームがあったとすれば、それは本編とは別の形で作品の人気や商品化の方向性を示す資料になります。

食玩・文房具・日用品・食品関連――残りにくいからこそ資料価値が高い

食玩、文房具、日用品、お菓子・食品関連は、昭和アニメ商品の中でも特に現物が残りにくいジャンルです。人気作品であれば、キャラクター絵入りのノート、鉛筆、下敷き、筆箱、ぬりえ、シール、メンコ、菓子パッケージ、ふりかけ袋、カレーやスナックのタイアップ品などが展開されることもありました。しかし、『氷河戦士ガイスラッガー』は放送期間が短かったため、こうした日用品系が大規模に残っているとは考えにくい面があります。もし存在していたとしても、子どもが実際に使って消費してしまうものが多く、未使用で残っている可能性は高くありません。だからこそ、見つかった場合の資料価値は大きくなります。文房具であれば、表紙イラストにどのキャラクターが使われているか、ソロン号がどのように描かれているか、メーカー名や版権表記がどうなっているかが重要です。食品関連であれば、パッケージそのものが残っているだけで珍しく、切り抜きや空袋でもコレクター資料として意味を持つ場合があります。

オークション・フリマ市場の傾向――高額化よりも“出物の少なさ”がポイント

現在のオークションやフリマ市場で『氷河戦士ガイスラッガー』関連商品を見る場合、最大のポイントは、相場が安定して大量に動く作品ではなく、出品数そのものが限られがちな作品だということです。大ヒットアニメのように常に同じ商品が何十点も出ているわけではなく、DVD、EPレコード、合金玩具、雑誌バックナンバー、ミニ玩具などが断続的に出てくる傾向があります。DVDについては、付属品完備品や状態の良いものが一定の需要を持ちやすく、EPレコードはジャケットや盤面の状態で価格が変わります。玩具はさらに状態差が大きく、箱なし・パーツ欠品・塗装傷ありのものは手頃に出ることもありますが、箱付き・未使用に近いものはコレクター向けに評価されやすくなります。ガイスラッガー関連商品は、知名度だけで価格が跳ね上がるというより、昭和レトロ玩具、石森章太郎関連、タカトクトイス、アニメソングレコード、短命作品資料といった複数のコレクション需要が重なることで価値が決まる印象です。購入する側は、焦って高額商品に飛びつくより、過去の落札例や同種商品の状態を見比べながら判断するのが安全です。

関連商品の魅力をまとめると――短命作品だからこその“集める面白さ”

『氷河戦士ガイスラッガー』の関連商品は、種類の豊富さや流通量で大ヒット作品に並ぶものではありません。しかし、そこが逆にコレクションとしての面白さにつながっています。映像ではコンプリートDVDが作品全体を知る入口になり、音楽では水木一郎と堀江美都子のEPレコードが昭和アニメソングの魅力を伝えます。書籍では当時の児童誌コミカライズや番組記事が資料として貴重であり、玩具ではタカトクトイス系の合金商品やソロン号関連が昭和レトロ玩具として存在感を放ちます。文房具、食玩、駄玩具、カード、雑誌付録のような小物は、出会うこと自体が難しいぶん、発見できれば当時の空気を濃く感じられる商品になります。本作は放送期間が短く、物語も未完の余韻を残して終わったため、商品展開もどこか断片的です。しかし、その断片を集めていくことで、1977年当時に『氷河戦士ガイスラッガー』がどのように子どもたちへ届けられようとしていたのかが見えてきます。DVDで物語を確認し、EPで主題歌を聴き、雑誌で当時の宣伝やコミカライズを読み、玩具でソロン号やキャラクターを手に取る。そうして複数の商品を通して眺めると、本作は単なる短命アニメではなく、昭和のテレビアニメ文化の中で確かに商品化され、子どもたちの前に現れたひとつのヒーロー作品だったことが実感できます。関連商品を追う楽しさは、作品の続きを想像する楽しさにも似ています。すべてがそろっていないからこそ、探す楽しみがある。それが『氷河戦士ガイスラッガー』関連商品の最大の魅力です。

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