『きゃんきゃんバニー スペリオール』(パソコンゲーム)

【SS】 きゃんきゃんバニー プルミエール2 (付録ディスクあり)【中古】セガサターン

【SS】 きゃんきゃんバニー プルミエール2 (付録ディスクあり)【中古】セガサターン
4,780 円 (税込)
こちらの商品は、中古商品になります。 初期動作確認済みです(説明書あり) ケース:少々スリ傷あり。 ディスク:若干の薄傷あり。2枚組 帯:なし。 説明書/解説書:比較的良い。 ※画像はサンプルになりますので、 ご了承お願い致します。
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【発売】:カクテル・ソフト
【対応パソコン】:PC-8801、PC-9801、MSX2、X68000
【発売日】:1990年4月16日
【ジャンル】:シミュレーションゲーム、アドベンチャーゲーム

[game-ue]

■ 概要

● シリーズ第2作としての立ち位置

「きゃんきゃんバニー スペリオール」は、カクテル・ソフトが手がけた『きゃんきゃんバニー』シリーズの第2作にあたるPC向けアダルトゲームです。発売日は1990年4月16日で、前作『きゃんきゃんバニー』が好評を博したことを受けて、さらにボリュームやシステムを強化した“パワーアップ版”的な位置づけで登場しました。ジャンルとしては、当時の広告や記事では「ナンパシミュレーション」「恋愛シミュレーション+アドベンチャー」といった呼ばれ方をしており、女の子との会話や選択肢を通じて好感度を上げていくスタイルの作品です。

● 対応機種と発売形態

本作は当時の主要なホビーパソコンほぼフルラインに対応していた点も特徴です。対応機種はPC-8801mkIISR以降のPC-88シリーズ、PC-9801VM以降のPC-98シリーズ、シャープX68000、そしてMSX2以降(2+/turboRを含む)と、PCユーザーならどの環境でも遊べると言ってよいほどの広さでした。いずれもフロッピーディスクで供給され、PC-98版は5インチと3.5インチの両方が用意されるなど、当時としてはかなり手厚い展開がなされています。 ハード性能にあわせて表示色数や解像度、サウンド周りは多少異なるものの、シナリオ構成や基本システムは共通で、どの機種でも「スペリオール」としての体験はきちんと味わえるよう調整されています。ユーザーは自分の所有機種にあわせてソフトを選ぶだけで、同じ世界観とヒロインたちの物語を楽しめました。

● 物語の導入と世界観

物語は、女の子とうまく付き合えない主人公の青年が、不思議な力を持つ少女「亜理子」と再び出会うところから始まります。前作では「鏡の国」から来たという設定だった亜理子は、本作では「魔法の国」出身の少女という形で描き直され、シリーズファンにはおなじみのマスコット的存在でありながら、今作の物語全体を司る案内役でもあります。 主人公は、恋愛に奥手で、女の子と自然に会話することすら難しいというコンプレックスを抱えています。そんな彼の前に、再び亜理子が現れ、女の子と親しくなれる“魔法のアイテム”を授ける――というのが本作の大枠の導入です。このアイテムの存在によって、主人公はさまざまなシチュエーションで女性たちと出会い、会話し、距離を縮めていくことになります。プレイヤーは主人公の視点を通して、現実世界より少しだけ甘く、ドラマチックに脚色された恋愛模様を追体験していく構造です。

● 3つの「セット」に分かれたオムニバス構成

「スペリオール」の最大の特徴は、ゲーム全体が3つの独立したシナリオセットで構成されたオムニバス形式になっている点です。用意されているのは、大学生ヒロインが中心の「女子大生おかわりセット」、社会人女性の魅力を前面に押し出した「制服むんむんセット」、そして女子高生たちとの青春ドラマを描く「セーラー服ゆうやけセット」の3本。プレイヤーはゲーム開始時にこの中から1つのセットを選び、その世界観に浸りながら物語を進めていきます。 各セットには4人ずつヒロインが配置されており、合計12人というシリーズ最多クラスの攻略対象キャラクターが登場します。大学のサークル仲間同士、職場で顔を合わせる関係、遊園地で知り合った学生グループなど、それぞれのセットごとに舞台や人間関係がきちんと作り込まれているため、同じゲームでありながらプレイするたびに異なるテイストの恋愛ストーリーを楽しめる構造になっています。

● ゲームジャンルと基本システム

雑誌やカタログ上では「シミュレーションゲーム」「アドベンチャーゲーム」と記載されており、実際のゲーム内容もその中間のような作りです。基本的にはテキストとイベントグラフィックで進行するアドベンチャー形式で、会話中に提示されるコマンドを選択していくことでシーンが分岐し、ヒロインの好感度やストーリーの展開が変化します。一方で、単に選択肢を選ぶだけでなく、出会い方や接し方を工夫して“うまく口説き落とす”ことが求められる点はシミュレーションゲーム的でもあり、当時としてはかなり意欲的なシステムでした。 プレイヤーは、会話の流れに沿って適切なリアクションを返したり、タイミングよくアプローチをかけたりしながら、少しずつヒロインとの距離を縮めていきます。選択を間違えると、気まずい空気になってそのまま退場…ということもあるため、「現実でこう言ったら引かれるかな?」と想像しながら選ぶ楽しさがあり、まさに“ナンパシミュレーション”の名にふさわしい感覚が味わえます。

● グラフィックとキャラクターデザイン

キャラクターデザインと原画は、前作に続いてイラストレーター・しかとみよが担当しています。デフォルメしすぎない、やや大人びたタッチのキャラクターは、当時の美少女ゲームの中でも「落ち着いた色気」を感じさせる方向性でまとめられており、大学生や社会人のヒロインが多い本作の雰囲気とよくマッチしています。 PC-98やX68000版では高解像度・多色表示を活かし、ヒロインの立ち絵やイベントCGがより鮮やかに描かれており、PC-88/MSX2版でも限られた色数のなかでコントラストを工夫することで、華やかさと見やすさを両立させています。背景グラフィックも、リゾートホテル、バーガーショップ、遊園地など、各セットの舞台となる場所が丁寧に描き分けられており、“日常の中の少し特別な場所”で出会いが起こる高揚感をうまく演出しています。

● サウンド面と雰囲気づくり

サウンド面も、当時のPCゲームとしてはかなり力が入っています。FM音源やPCMといった機種ごとの音源を活かし、オープニングから各ヒロインのイベントシーンまで、場面に合わせたBGMが多数用意されています。軽快なポップス調の曲でワクワク感を演出したり、しっとりとしたバラード風の曲でロマンチックな空気を強調したりと、音楽の変化がストーリーの起伏と連動しているため、テキスト主体のゲームでありながら“ドラマを見ている感覚”が強く味わえるようになっています。 効果音も、ドアの開閉や電話のベル、遊園地の喧騒など、さりげないものが多いながらも、シーンの臨場感を高める役割を果たしています。こうした視覚と聴覚の両面からの演出によって、プレイヤーは画面の向こう側に存在する“女の子たちの生活”を、よりリアルに想像しやすくなっています。

● 成人向け恋愛ゲームとしての位置づけ

「きゃんきゃんバニー スペリオール」は18禁指定のアダルトゲームであり、恋愛の最終段階を描いた刺激的なシーンも含まれますが、作品全体としては「出会いから親しくなっていく過程」を丁寧に描くことに重きが置かれています。恋愛シミュレーションとしての駆け引きや、ヒロインの悩みを聞き出して寄り添うドラマ部分がしっかり構築されているため、単に刺激的なシーンだけを目的とするのではなく、“恋愛物語を読む感覚”で楽しめるタイトルになっています。 前作で確立された「恋愛をゲームとしてシミュレートする」という路線を、より多彩なヒロイン・多様なシチュエーション・ボリュームアップしたシナリオで発展させたのがこの『スペリオール』であり、90年代初頭の美少女ゲーム史の中でも、「シリーズの方向性を決定づけた一作」としてしばしば語られる存在です。

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■ ゲームの魅力とは?

● 「3つの世界」を行き来する楽しさ

『きゃんきゃんバニー スペリオール』の一番の魅力は、ひとつのゲームの中に雰囲気のまったく異なる3つのシナリオセットが収められている点です。大学生ヒロインが集う「女子大生おかわりセット」、OLやスチュワーデス、ナースといった社会人女性が登場する「制服むんむんセット」、そして遊園地で出会う女子高生たちを描く「セーラー服ゆうやけセット」。プレイヤーはゲーム開始時にこの3つの中からどれか1本を選び、その世界に飛び込んでいきます。同じ主人公でありながら、選んだセットによって自分の立ち位置や周囲の空気感がガラリと変わるため、「次は違うセットでやってみよう」と自然に周回プレイしたくなる構造です。大学生同士の少し背伸びした恋愛、職場や仕事を背景にした大人びた関係、放課後や休日の遊園地で芽生える甘酸っぱい恋……それぞれが別作品といってよいほど色合いが違うのに、根底には“女の子とうまく距離を縮めたい主人公”という共通のテーマが流れており、シリーズファンならもちろん、初めて触れる人にも分かりやすく楽しめます。

● 12人のヒロインが織りなすバリエーション豊かな恋愛ドラマ

攻略可能なヒロインが合計12人というボリュームも、本作の大きなセールスポイントです。人懐っこいタイプからクールな大人の女性、どこか影を感じさせる子、明るさで周囲を引っ張っていくムードメーカーまで、性格やバックボーンがしっかり作り込まれており、一人ひとりとの出会い方や距離の詰め方が違うため、同じような展開の繰り返しにならないよう工夫されています。なかには失恋を引きずってリゾートホテルに逃げ込んでいる女子大生、仕事に追われながらもさりげなく優しさを見せる職場の受付嬢、友人関係や将来への不安を抱えた女子高生など、ただの“記号的な美少女”にとどまらないキャラクターも多く、会話を進めるうちに少しずつ内面が見えてくる感覚が味わえます。しかも彼女たちは同じセットの中でゆるくつながっていて、友達同士で行動していたり、同じ職場に勤めていたりするので、誰かひとりにアプローチすると別の女の子との関係に波紋が広がることもあります。「この子にこう接したら、あの子はどう感じるだろう?」と想像しながら選択肢を選ぶことが、そのままゲームの面白さにつながっているのです。

● 会話の“間”や空気を読むナンパシミュレーション感覚

本作はテキスト主体のアドベンチャーでありながら、“会話のキャッチボールをいかに続けるか”という部分に強くフォーカスしています。ヒロインとの会話中に、主人公がどんな返事をするか、どのタイミングで踏み込んだ話題を振るか、といった選択肢が頻繁に登場し、その選び方によって好感度やその場の空気が変わります。「ここで冗談を言って笑わせるべきか、それとも真面目に悩みを聞いてあげるほうがいいのか」といった判断が問われるため、ただ選択肢を総当たりで潰していくような作業にはなりません。時には、一見すると優しそうな選択肢が、相手にとっては触れてほしくなかった過去を抉ってしまうこともあり、そうした“失敗”を通じて次はどう振る舞うべきかを学んでいく、という体験がこのゲームの醍醐味です。現実のコミュニケーションをやや誇張した形でゲーム化しているイメージで、「女の子と話すのが苦手な主人公が、少しずつ成長していく物語」をプレイヤー自身の選択で体験できる点が、多くのユーザーに支持されました。

● 取材に基づくリアリティあるシチュエーション

制作にあたって多数の女性に取材を行ったと言われていることもあり、ヒロインたちの抱える悩みや、会話に出てくる話題には、当時の若者の日常がうまく反映されています。大学生活の将来への不安、恋人との別れを引きずる気持ち、仕事とプライベートの両立に悩む社会人、進路や友人関係に揺れる女子高生など、現代の視点から見ても共感しやすいテーマが散りばめられています。プレイヤーは主人公としてそれらの悩みや葛藤に触れ、どう向き合うかを選び取っていきます。アダルトゲームと聞くと派手な展開ばかりを想像しがちですが、この作品は日常のリアルな感情の揺れを丁寧に描いたうえで、その延長線上にロマンチックなシーンや大人の関係がある、という構成になっているため、物語としての読み応えが非常に高いのです。ヒロインの心情を理解してから迎えるクライマックスは、単なるイベントCG以上の意味を持ち、プレイヤーに「ここまでたどり着いた」という達成感と余韻を残してくれます。

● ヒロインごとに印象的なイベントと演出

各ヒロインには、忘れられない印象的なイベントがひとつ以上用意されています。リゾートホテルの夕暮れのテラスで心情を打ち明けるシーン、職場の残業帰りに思わず弱音を漏らしてしまう瞬間、遊園地の観覧車で二人きりになったときにだけ見せる素顔など、それぞれのキャラクターの“芯”が垣間見える場面が要所要所で挟み込まれています。こうしたイベントは、単にCGが表示されるだけでなく、そこに至るまでのやりとりがしっかり積み重ねられているため、プレイヤー側にも「ようやくここまで来た」という感覚が生まれます。また、同じヒロインでも選択肢の積み重ねによって微妙にニュアンスの違うエンディングに到達することもあり、複数回プレイして「前とは違う関係性のまま終わった」と気づくこともあります。この“微妙な違い”が、やり込み派のプレイヤーにとってはたまらない魅力となっており、すべてのイベントを見ようと何度もルートを辿る遊び方が自然に生まれました。

● 当時のPC性能を活かしたビジュアル・サウンド

グラフィックや音楽も、当時のPCゲームとしてはかなり贅沢な内容です。高解像度表示が可能なPC-98やX68000では、ヒロインの表情や衣装のディテールが細かく描き込まれており、シチュエーションごとに衣装や髪型が変化する場面もあるため、見た目の“ご褒美感”がとても強く感じられます。PC-88やMSX2といった色数や解像度に制限のある機種でも、線の強弱や色の配置を工夫することで、情報量の不足を感じさせないメリハリの効いた画面構成になっており、どの環境で遊んでも“きゃんきゃんバニーらしい”華やかさを味わえるよう配慮されています。サウンド面では、FM音源の温かみのある音色を活かしたBGMが魅力で、ポップで軽快なタイトル曲から、しっとりとしたムードを演出する夜のシーンの曲まで、耳に残るフレーズが多く、プレイが終わってもふと口ずさんでしまうようなメロディが散りばめられています。グラフィックと音楽が相乗効果を生み、テキストだけでは伝わりきらない感情の機微をさりげなく補強しているのです。

● 初心者でも遊びやすいテンポと構成

アドベンチャーゲームや恋愛シミュレーションに不慣れなプレイヤーでも遊びやすいテンポの良さも、本作が支持された理由のひとつです。1つ1つの会話パートが短めに区切られており、シーンの切り替えも軽快なので、「少しだけ遊ぶつもりが、気づいたらかなり時間が経っていた」というタイプの中毒性があります。また、3つのセットのどれもが“1本の長編小説”というより“まとまりのよい連作短編”に近い構成になっているため、1セットをクリアするごとに満足感を得られ、そこから次のセットへ自然に手を伸ばしやすくなっています。選択肢も、数をやたら増やして複雑さを演出するのではなく、「どちらを選ぶかで雰囲気が変わる」程度に絞り込まれているので、迷いすぎてテンポを損なうことがありません。こうした構成は、当時のPCゲームにありがちだった“とにかく難解でヘビー”というイメージをやわらげ、ライトユーザーやアドベンチャー初心者にも門戸を開く役割を果たしていました。

● シリーズ作品としての安心感とファンへのサービス

前作『きゃんきゃんバニー』から続けて遊んでいるプレイヤーにとっては、亜理子の再登場や世界観のつながりといった“シリーズならではの安心感”も大きな魅力です。設定は微調整されつつも、「魔法の力で主人公の恋愛をサポートする不思議な少女」という軸はそのまま引き継がれており、ファンタジックな要素と現代的な恋愛シチュエーションのバランスが心地よく保たれています。また、ユーザーからの要望を受けてヒロイン数を大幅に増やしたり、社会人女性など年上キャラクターを充実させたりと、前作プレイヤーの“もっとこういう女の子と出会いたい”という声を反映させた作りになっているため、続編としての満足度も高めです。新規ユーザーにとってはシリーズ入門編として十分なボリュームと遊びやすさがあり、既存ファンにとっては“より濃密になったきゃんきゃんバニー体験”が味わえるという、両方のニーズに応えたバランスのよさが、本作の魅力の大きな柱と言えるでしょう。

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■ ゲームの攻略など

● 基本的な進行の流れを押さえる

『きゃんきゃんバニー スペリオール』の攻略を考えるうえで、まず頭に入れておきたいのは「会話で少しずつ好感度を積み上げていくゲーム」だということです。RPGのようにレベルを上げたり、アクションゲームのように反射神経で勝負したりするタイトルではなく、画面に表示されるテキストを読み、会話の流れを意識しながら選択肢を選ぶのが基本になります。ゲーム開始時に3つのセットのうち1つを選び、そこで出会う4人のヒロインと少しずつ距離を縮めていく――この大筋はどのセットでも共通です。1日の中で出歩ける場所や話しかけられる相手にはある程度の制限があり、その中で「誰に会いに行くか」「どの話題を深掘りするか」を選ぶことで、物語のルートが少しずつ形作られていきます。プレイヤー側で覚えておきたいのは、「1回のプレイですべてのヒロインを完璧に攻略する必要はない」ということです。むしろ最初のプレイでは、気になったキャラクター1人か2人に絞ってじっくり追いかける方が、物語の筋を把握しやすく、ゲームの雰囲気に馴染みやすくなります。

● セット選びと周回プレイの方針

攻略のスタート地点になるのが、ゲーム冒頭の「どのセットを選ぶか」という選択です。ここは好みで決めてかまいませんが、初めて遊ぶ場合は、比較的物語の空気が分かりやすい「女子大生おかわりセット」か「セーラー服ゆうやけセット」を選ぶと、全体のノリを掴みやすいでしょう。大学生たちのちょっと背伸びした恋愛ドラマや、遊園地での青春エピソードは、日常と非日常のバランスがよく、キャラクター同士の関係も把握しやすい構成になっています。ある程度ゲームに慣れてきたら、仕事や職場の事情が絡む「制服むんむんセット」に挑戦してみると、より大人向けの人間関係や会話のニュアンスを楽しめます。周回プレイを前提とした作品なので、1周目で全キャラを追いかける必要はありません。1周目はAさんメイン、2周目はBさんメイン、といった形で「この周は誰を中心に追いかけるか」をあらかじめ決めておくと、イベントを取りこぼしにくくなります。同じセットの中でも、誰に多く会いに行くかによって出現するシーンが変化するため、「今回はこの子に集中する」と割り切るのが、結果として効率のよい攻略法につながります。

● 会話コマンド選択のコツと心構え

会話コマンドの選び方は、このゲームの攻略で最も重要なポイントです。テキストを読まずに選択肢だけを追いかけていると、どうしても見当違いな返答をしてしまい、ヒロインの機嫌を損ねてしまうことがあります。そこで意識したいのが、「相手が今どんな気持ちか」を最優先で考えることです。楽しそうに語っている場面では、その話題を広げる方向の選択肢を選び、悩みを打ち明けていそうな場面では、茶化さず真面目に受け止める姿勢を見せる――この基本だけでも、むやみに好感度を下げてしまう事故をかなり減らせます。また、この手のゲームではありがちなことですが、「一見すると面白そうな冗談っぽい選択肢」が、シリアスな場面では逆効果になることがよくあります。イベントCGや親密なシーンにつながる場面ほど、空気を読んだ落ち着いた選択が求められるので、重要そうな雰囲気を感じたら、あえて無難な返答を選ぶのもひとつの手です。どうしても迷うときは、「自分が同じことを言われたらどう思うか」を基準にすると、極端に外した選択にはなりにくくなります。

● 好感度フラグとイベント発生のイメージを持つ

本作には、画面上に数値として表示されない“好感度”や“イベントフラグ”が多数設定されていると考えられます。あるタイミングまでに何度そのヒロインに会いに行ったか、どの選択肢を選んだか、といった累積の結果が、特定のイベントの発生条件になっていることが多いです。そのため、「一度好感度が上がったからもう安心」と油断するのではなく、物語の節目と思われる時期まで継続的に会いに行くことが大切です。攻略の感覚としては、1人のヒロインを狙うなら、そのセット内での行動の半分以上はその子に割くくらいのつもりでちょうどよいでしょう。また、イベントが起こるタイミングは、曜日や時間帯、場所などによって限定されている場合があり、同じヒロインでも「昼と夜で違う一面が見える」といった仕掛けも考えられます。特定のシーンがなかなか出ないときは、時間帯や訪問するスポットを変えてみる、他のキャラクターとの会話を一度挟んでみる、といった“ちょっとした実験”を繰り返すことで、徐々に条件が見えてくるでしょう。全てを一度で把握するのではなく、「この行動をしたらこう変わった」という経験を積み重ねながら、自分なりの攻略メモを作っていくのが、このゲームの正しい付き合い方です。

● バッドエンドの兆候と回避方法

本作のルートの中には、狙っていたヒロインとうまくいかないまま終わってしまう、いわゆるバッドエンド寄りの結末も存在します。こうしたエンディングは、イベントが十分に起きていない状態で時間だけが進んでしまったり、決定的な場面で相手の信頼を損なう選択肢を選んでしまったりしたときに発生しがちです。バッドエンドの“前触れ”としては、終盤に入っても新しいイベントがあまり起こらず、会話内容が似たようなものをループし始めている場合がひとつの目安になります。そうなったと感じたら、一度その周回は最後まで進めてエンディングを確認し、どのあたりから停滞していたかを振り返るとよいでしょう。回避するためには、やはり序盤~中盤で積極的にイベントを発生させておくことが重要です。序盤からまんべんなく全員と話すより、「この周はこの子」という方針で集中して会うようにすると、重要なフラグを落としにくくなります。セーブデータを分けておき、分岐点になりそうな場面の少し前で保存しておくと、「選択肢を変えたらどうなるか」を検証しやすくなり、バッドエンドからのリカバリーもしやすくなります。

● 難易度の肌感と初心者向けプレイスタイル

ゲーム全体の難易度は、恋愛シミュレーションに慣れているプレイヤーなら“中程度”と感じるレベルです。選択肢ひとつで即ゲームオーバーといった理不尽さはなく、多少失敗してもそれまでの積み重ねでリカバーできる余地が残されています。一方で、何も考えずに気まぐれで選択していると、狙ったヒロインのエンディングが見られないまま終わってしまうことも多く、「誰を狙うか」「どんな態度で接するか」を意識する必要があります。初心者がまず目指したいのは、「たとえ目的の子でなくても、誰かひとりのエンディングにきちんとたどり着くこと」です。1周目から完璧を狙わず、「最初に縁が深くなった子を追いかけてみる」くらいの気持ちで進めると、自然な形でルートに乗りやすくなります。ゲームの雰囲気やシステムを体で覚えたうえで、2周目以降に「今度はあの子をメインで攻めてみよう」「この選択を変えたらどうなるか試してみよう」と段階的に攻略を深めていけば、ストレスなく世界観を味わえます。

● 隠し要素・裏技的な楽しみ方(ぼかし気味に)

本作には、公然とマニュアルに書かれているわけではないものの、遊び方次第で“お得なシーン”や意外な展開が顔を出すことがあります。特定の順番でヒロインに会いに行ったり、普段あまり選ばないような選択肢を敢えて選んでみたりすると、普段は見られないリアクションが返ってきたり、ちょっとしたおまけ的な会話が挟まったりする、といった類のものです。また、セットによっては、複数のヒロインをある程度バランスよく追いかけることで見られる“グループならではのやりとり”が用意されている可能性もあります。こうした要素は、攻略本や情報誌を見れば効率よく回収できますが、自力で探していく楽しみも大きい部分です。まずは自分なりにあれこれ試し、そのうえで「どうしても埋まらない部分だけ調べる」という遊び方をすると、ゲーム全体の寿命を長く保つことができます。セーブデータを複数スロットに分けて残しておき、分岐点になりそうな直前で保存→条件を少し変えてやり直す、という“実験プレイ”も、裏技的な楽しみ方のひとつと言えるでしょう。

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■ 感想や評判

● 当時のPCユーザーに与えたインパクト

『きゃんきゃんバニー スペリオール』は、発売当時のPCゲームユーザーの間で「アダルトゲームの方向性を一段階押し上げたタイトル」として受け止められることが多かった作品です。単に刺激的なシーンを目当てにするのではなく、そこに至るまでの会話や心理描写をじっくり積み重ねる構成が評価され、「ストーリーを読むためにプレイする」ユーザーが目立ったのが印象的です。PC雑誌の読者投稿やショップ店頭のコメントなどでも、「女の子の性格付けが丁寧」「会話が自然で感情移入しやすい」といった声が見られ、アドベンチャーゲームとしての完成度の高さが語られることが少なくありませんでした。また、当時はまだ“ナンパシミュレーション”というジャンル自体が新鮮で、「こういう形で女の子とのコミュニケーションをゲーム化する路線があるのか」と驚きをもって受け止めたユーザーも多かったようです。シリーズ第1作で話題になった要素を、より多彩なヒロインとシチュエーションで膨らませたこの続編は、「期待していたものをそのまま、あるいはそれ以上のクオリティで返してくれた」と感じたプレイヤーに好意的に迎え入れられました。

● シナリオ面への高評価と“読み物”としての魅力

感想のなかで特に多く触れられるのが、シナリオ面への評価です。3つのセットそれぞれに違った空気感があり、ヒロインごとのエピソードもきちんと起承転結を備えているため、「複数の短編恋愛小説をまとめて読んでいるようだ」という印象を抱いた人も少なくありません。大学生の等身大の恋愛模様や、仕事に疲れた社会人の心のスキマ、将来への不安を抱える女子高生たちの揺れる気持ちなど、題材そのものは身近でありながら、ゲームならではのドラマチックな展開が加えられており、単なる日常描写に終わらない“物語性”があることが、ユーザーの心に残りました。「アダルトシーンまでの道のりが長い」と感じるプレイヤーもいましたが、その“長さ”を「物語の厚み」として肯定的に受け取る人も多く、「むしろこのくらいじっくり描いてくれた方が、クライマックスの重みが違う」という意見も目立ちます。結果として、ゲームをクリアしたあとも印象に残るのは派手なイベントCGだけではなく、何気ない会話やさりげない仕草のほうだった――という感想が多いのが、この作品らしさと言えるでしょう。

● キャラクター人気と“推しヒロイン”談義

12人ものヒロインが登場することから、プレイヤー同士で「誰が一番好きか」を語り合う楽しみが生まれたのも本作の特徴です。素朴で少し頼りない女子大生に惹かれる人もいれば、大人びた社会人女性に惹かれる人、明るく快活な女子高生に心を持っていかれる人など、好みがきれいに分かれますが、どのヒロインにも一定数のファンが付いているのがポイントです。これは、キャラクター数が多いゲームでありがちな「完全な当たりキャラとハズレキャラがいる」という構図になっていないことを意味します。感想を読むと、「最初は見た目でこの子を選んだが、シナリオを追っているうちに別の子のほうが気になってきた」「何周か遊んで、やっと魅力が分かったキャラがいる」といった、後からじわじわ評価が変わったという声が多く、1周で完結せず、周回ごとに“推し”が変わっていく楽しさがあったことがうかがえます。お気に入りのヒロインについて、どのイベントが良かったか、どのセリフにグッときたか、といった“推し語り”が自然と生まれるのは、キャラ造形がきちんとしている作品ならではです。

● グラフィック・サウンドに対するプレイヤーの印象

ビジュアル面に関しては、当時の水準から見てもかなり高評価を得ています。特にPC-98版やX68000版のユーザーからは、「色使いが落ち着いていて艶っぽい」「髪や服の陰影が丁寧で見入ってしまう」といった感想が多く、キャラクターデザインとマッチした塗りのスタイルが好意的に受け止められました。一方で、PC-88やMSX2といった制約の多い機種でも、線画の魅力を活かしつつ色数の少なさを感じさせない工夫があり、「自分の環境でも十分満足できるクオリティ」という声が多数見られます。サウンドに関しても、「場面に合ったBGMが多くて雰囲気が良い」「タイトル画面の曲で一気に世界に引き込まれる」といった感想があり、FM音源ならではの柔らかい音色が、恋愛ゲームというジャンルと相性のよいことを証明していました。ハードによって音のバランスや厚みは違うものの、それぞれの環境に合わせてアレンジされており、「別機種版も聴いてみたい」と興味を持つユーザーもいたほどです。

● ゲームテンポや難易度に関する賛否

一方で、テンポや難易度に関しては、プレイヤーの好みによって意見が分かれる部分もあります。じっくりテキストを読んで会話を楽しみたい人にとっては、「ちょうどよいペース」「気づいたら時間が経っていた」という評価になる一方、もう少しさくさくイベントを回収したいタイプのプレイヤーからは、「少し間延びする」「同じ場所に何度も通う必要がある」といった印象が語られることもあります。また、攻略本や雑誌の情報なしで完全攻略を目指すと、「特定のイベント条件がわかりにくい」「好感度の境目が体感しづらい」と感じる場面もあり、やり込み派ほど試行錯誤を迫られる傾向にあります。ただし、そうした“分かりにくさ”を含めて「試行錯誤するのが楽しい」「ヒロインの気持ちを探るゲーム性として納得できる」と前向きに解釈するユーザーも多く、理不尽な難易度と感じる人は比較的少ない印象です。総じて、「じっくり腰を据えて遊ぶタイプのゲーム」という認識が共有されており、短時間で結果を求める作品とは違う楽しみ方が求められるタイトルだと言えるでしょう。

● シリーズ作品・同時期のゲームとの比較

シリーズ前作と比較すると、「ボリュームの増加」と「シチュエーションの多様化」が最も大きく評価されました。前作のファンからは「パワーアップして帰ってきた」「ヒロイン数が増えて嬉しい」という喜びの声が多く、一方で「そのぶん1人ひとりの濃さが薄くなるのでは」と心配する意見もありましたが、実際にプレイしてみると、「それぞれのセットごとにきちんとテーマがあり、ヒロインごとに色が出ている」と安心したユーザーがほとんどでした。同時期の他社製恋愛・アダルトゲームと比べても、キャラクター数の多さとシナリオのバランス、ビジュアルの質などが総合的に高水準にまとまっており、「PCで恋愛ゲームをやるなら候補に入る一本」として名前が挙がることが多かった作品です。特に、社会人女性や年上キャラにしっかりスポットを当てたことは、当時としては比較的珍しく、「年上ヒロインに惹かれるプレイヤーの受け皿になった」という意味でも、一定の役割を果たしていました。

● 時代を越えて語られる“初期美少女ゲーム”としての価値

年月が経った今でも、『きゃんきゃんバニー スペリオール』は、PC美少女ゲーム史やアダルトゲーム史を振り返る際にしばしば名前が挙がるタイトルのひとつです。現在の視点から見ると、システム面やグラフィック技術は当然ながら時代を感じさせますが、「会話を通じて相手を理解し、少しずつ関係を深める」という根本的な楽しさは色褪せておらず、むしろ最新作にはない素朴さや手作り感が魅力として再評価されることもあります。レトロPCゲームを掘り下げるファンの間では、「シリーズの方向性を固めた代表作」「この作品があったから、後の恋愛シミュレーションの流れが生まれた」といった位置づけで語られることが多く、単なる思い出補正だけではない歴史的な価値を持った一本と見なされています。現代のプレイヤーが触れると、不便さや古さも同時に感じるかもしれませんが、それを含めて「当時の空気を丸ごと体験できるゲーム」として愛され続けていることが、本作に対する最も大きな賛辞と言えるでしょう。

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■ 良かったところ

● 3つのセット構成が生む“飽きにくさ”と満足感

本作の長所として最初に挙げたくなるのが、やはり「3つのセット」に分かれたオムニバス構成です。大学生、社会人、女子高生と、それぞれまったく違う年齢層と生活環境のヒロインたちが用意されているため、1つのゲームでいくつもの恋愛ドラマを味わえるお得感があります。プレイヤーはその日の気分に合わせて、「今日は少し背伸びした大人の恋を」「今日は甘酸っぱい学生の恋を」といった形でセットを選べるので、長く遊んでいても単調になりにくい作りです。どのセットもきちんとテーマがあり、舞台設定やシチュエーションが明確に分かれているため、「似たような話が続いているだけ」という印象を受けにくいのもポイントです。大学生編なら旅行やサークル活動、社会人編なら仕事や職場での人間関係、女子高生編なら放課後や休日の遊園地といった具合に、生活の匂いを感じさせる背景が用意されており、そのうえで魔法の力というファンタジー要素がさりげなくスパイスとして効いています。一本クリアしても「次は別の世界をのぞいてみよう」と自然に周回する気持ちになれる構造は、本作ならではの“良さ”と言ってよいでしょう。

● ヒロインの個性と人数のバランスが絶妙

攻略可能なヒロインが12人という数字は一見すると多く感じられますが、実際にプレイしてみると「多すぎて覚えきれない」という印象はほとんどありません。それぞれが属するセットごとにキャラ同士の関係性が整理されており、見た目や性格の方向性もうまく散らしてあるため、「どこかで見たような類似キャラ」が並ぶことがないのです。幼さの残る大学生、落ち着いた物腰のキャリアウーマン、元気いっぱいの女子高生、おっとりとした癒やし系、少し影のあるミステリアスなタイプなど、幅広い属性がカバーされていながら、誰もが“きゃんきゃんバニーらしい”可愛さと色気を兼ね備えています。さらに、どのキャラにもきちんと「この子はここが魅力」という押しポイントがあり、単にイベントCG要員として並べるのではなく、それぞれの物語を通じてキャラクターの背景や内面が見えてくる構成になっている点も好印象です。プレイヤーによって好みのヒロインがバラけやすいのは、キャラ造形と人数のバランスが絶妙に取れている証でもあり、「この子は自分だけの隠れた一押し」といった愛着を持ちやすいのが良かった点として挙げられます。

● 会話主体のシステムが“恋愛している実感”を与えてくれる

本作のゲームシステムは、派手なギミックこそ少ないものの、「会話を通じて距離が縮まっていく感覚」をしっかりと体験させてくれる点が優れています。選択肢を選ぶたびに、ヒロインの反応や会話のトーンが変化し、気まずい沈黙が生まれたり、一気に距離が縮まったりする。その小さな変化の積み重ねが、プレイヤーに「自分の言葉で口説いている」という錯覚を与えてくれます。会話内容は決して難解ではなく、日常の話題やちょっとした冗談、将来のことや恋愛観など、身近なテーマが中心ですが、その中にヒロインの本音や弱さがふと顔を出す瞬間があり、それを見逃さず支えてあげられたときの満足感は格別です。選択肢の配置も、単に正解/不正解を分けるためだけのものではなく、「どのような距離感で接するか」「どこまで踏み込むか」をプレイヤーに考えさせるよう工夫されており、システムそのものが恋愛の駆け引きを表現していると感じられます。この「会話している手応え」が強いことは、当時の美少女ゲームの中でもかなり大きな魅力であり、ただイベントCGを集めるだけのゲームとは一線を画す良さとして評価できます。

● グラフィックと音楽が作る大人っぽくもやわらかな空気感

しかとみよによるキャラクターデザインと、それを活かしたグラフィックの仕上がりも、本作の良かった点として外せません。線が細すぎず太すぎない絶妙なタッチで描かれたヒロインたちは、可愛らしさと大人っぽさの両方を感じさせるデザインで、当時の他作品と比べても“ちょっと上品な艶やかさ”が際立っています。背景グラフィックも、リゾートホテルのロビーやバーガーショップの店内、夜の街のネオンや遊園地のイルミネーションなど、それぞれのシチュエーションを印象的に切り取っており、場所ごとの空気感が画面から伝わってくるようです。音楽も、FM音源の魅力を最大限に引き出すメロディラインが多く、軽快でポップな曲から、大人びた雰囲気のバラード調BGMまで、シーンの感情をしっかりと後押しします。特に、夜のイベントやヒロインの本音に触れる場面で流れるしっとりとした楽曲は、テキストを読むスピードを自然と落とさせる力があり、プレイヤーに「この瞬間を大事に味わおう」という気持ちを抱かせます。グラフィックと音楽の両輪がうまくかみ合って、作品全体にやわらかくて少し甘い空気をまとわせている点は、このゲームならではの美点と言えるでしょう。

● 難しすぎず、易しすぎない絶妙な攻略バランス

攻略面でのバランスも、良かったところとしてよく挙げられます。ヒロインのルートに入る条件や好感度の上げ方は、それなりに考えながら行動しなければなりませんが、極端にシビアな設定ではありません。多少選択肢を外してしまっても、それまでの積み重ねがあれば十分挽回できる余地が残されており、「一度のミスで全てが台無し」といった理不尽さが少ないのが嬉しいポイントです。一方で、まったく考えずに適当に選び続けていると、決定的な場面でうまくいかず、印象の薄い結末に流れてしまうこともあるため、「ヒロインのことをきちんと理解しよう」とする姿勢が求められます。この“少しだけ気を遣えば報われる”難易度設定は、攻略本に頼らず自力で遊びたいプレイヤーにとって非常にありがたく、周回プレイを重ねるごとに「前よりうまく立ち回れた」という成長を感じやすいのも長所です。ゲーム全体のボリュームも、1セットあたりの長さがちょうどよく、社会人プレイヤーでも何日かに分けて無理なく遊べる範囲に収まっているため、「時間が取れたときに少しずつ進める恋愛ドラマ」として楽しみやすい作りになっています。

● シリーズ作品としての安心感とブランドイメージの強化

『きゃんきゃんバニー』というシリーズ名は、PCユーザーにとって一種のブランドのような存在になっていきますが、そのブランドイメージを決定づけたのがこの『スペリオール』である、という評価も少なくありません。前作で得たファンの期待を裏切らず、むしろ「もっとこうしてほしい」という要望に応える形でヒロイン数やシチュエーションの幅を増やした本作は、「カクテル・ソフトの恋愛ゲームは信頼できる」という印象を強く植え付けました。亜理子の存在や魔法の設定など、シリーズのアイコン的な要素を引き継ぎつつ、新要素を積極的に取り入れているため、前作プレイヤーは“おかえり感”と“新鮮さ”を同時に味わうことができます。こうした「前作ファンを大事にしながら進化する姿勢」は、シリーズ物のゲームにとって非常に重要なポイントであり、その成功例として『スペリオール』がよく引き合いに出されるのも頷けます。作品単体としての出来の良さに加え、「シリーズ全体の信頼感を高めた一作」であることも、本作の良かったところとして評価できます。

● レトロPCゲームとして今遊んでも魅力が伝わる作り

最後に、時代を経た今だからこそ際立つ良さとして、「古さがそのまま味わいになっている」という点も挙げておきたいところです。テキスト主体のシンプルな画面構成、マウスやキーボードだけでゆったり進行するテンポ、FM音源ならではの丸い音色など、現行機のゲームと比べれば確かに時代を感じさせる部分は多いものの、それらが逆に“落ち着いた大人のゲーム”という雰囲気につながっています。派手なエフェクトやボイス演出に頼らず、文字とイラストと音楽だけで感情を動かしてくる構成は、今の視点から見ても十分魅力的ですし、「かつてPCの前に座ってじっくり文章を読んでいた時代」を想像させる、独特のノスタルジーがあります。レトロPCゲームとして遊ぶ人にとって、本作は“その時代の空気ごと味わえる恋愛ゲーム”として、非常に満足度の高い一本になっていると言えるでしょう。

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■ 悪かったところ

● ボリュームの大きさゆえの“ダレ”やすさ

長所の裏返しとしてまず挙げられるのが、シナリオボリュームの大きさからくる「途中で息切れしやすい」という点です。3つのセットに12人のヒロインが用意されているのは魅力ですが、すべてを遊び尽くそうとすると相応の時間と集中力が必要になります。1人のヒロインルートを丁寧に追おうとすると、序盤から中盤にかけて似たような日常会話が続く場面も多く、プレイヤーによっては「同じようなやりとりが続いているように感じる」「もう少しテンポよくイベントが発生してほしい」と感じることもあるでしょう。特に、1回あたりのプレイ時間を細かく区切って少しずつ進めるスタイルだと、各セットの全体像がつかみにくく、「前回どこまで話が進んでいたか」を思い出すのに時間を使ってしまう場面も出てきます。シナリオの厚みそのものは本作の魅力ですが、遊び方によってはその厚みが“重さ”として感じられてしまうことがあるのは、どうしても否めないところです。

● イベント条件やフラグの分かりづらさ

もうひとつ指摘されがちな点として、「イベント発生条件が見えにくい」という問題があります。内部的には好感度や行動回数、訪問場所、時間帯など、さまざまな要素がフラグとして組み合わさっていると考えられますが、それらがプレイヤーからは数値として見えないため、「何をしたら先に進むのか」が分かりにくい場面が出てきます。同じ場所に何度か通っても新しいイベントが起こらず、かといって別のヒロインの元に通うとそちらのルートに比重が傾いてしまう――といったジレンマに陥ることもあり、「条件を探るための試行錯誤」を楽しめる人には魅力でも、サクサクと物語を進めたい人にはストレスになりかねません。分岐の多い恋愛ゲームとしてはある程度仕方ない部分とはいえ、ほんの少しだけガイド的なヒントが用意されていれば、もう少し遊びやすかったのでは、と思わせるところです。例えば、特定の条件を満たしたときに亜理子が軽くアドバイスしてくれる、といった仕掛けがあれば、迷いすぎることなくプレイできたかもしれません。

● セーブ/ロード周りの操作性と“検証プレイ”の手間

多くの分岐を持つアドベンチャーゲームにおいて、セーブ/ロード機能は攻略のしやすさに直結しますが、当時のPCゲームらしく、本作も今の基準から見ると操作性や気軽さの面でやや不便さが残っています。たとえば、「ここは重要な選択肢が出そうだ」と感じてからセーブするまでに、メニュー操作やディスクアクセスを挟む必要があり、テンポよく試行錯誤するには少し手間がかかります。選択肢の結果を確認するためにロードを繰り返すと、ディスク交換や読み込み待ちの時間が積み重なり、プレイの流れが分断されがちです。現代の感覚で言えば、クイックセーブ/クイックロード的な機能が欲しくなる場面が多く、「条件検証を楽しみたいけれど、操作の手間であきらめてしまう」というプレイヤーも出てきます。「腰を据えてじっくり遊ぶレトロゲーム」と割り切れば味わいにもなりますが、テンポ重視のプレイヤーにとってはマイナス要素と感じられるでしょう。

● 一部プレイヤーにはハードルの高い“じっくり型”のテンポ

本作の会話中心・テキスト重視の構成は、物語を味わいたいプレイヤーにとっては大きな魅力ですが、その一方で、「もっと短時間で成果が欲しい」と考えるプレイヤーには相性がよくない側面があります。イベントCGや印象的なシーンに到達するまで、ある程度長い会話パートや日常の描写を読み進める必要があり、「今日は何時間も遊んだのに、まだ大きな山場にたどり着いていない」という感覚になることもあります。特に、現代的なテンポのゲームに慣れたプレイヤーが後年触れると、「良くも悪くも時代を感じる」「じわじわ進行するので気分によっては眠くなる」と感じる可能性があります。これは作品の方向性そのものに由来するため単純に善し悪しをつけるべきではありませんが、「気軽に遊べるライトな恋愛ゲーム」を期待して手に取ると、思った以上に読み応えがありすぎて負担になる――というミスマッチが起きやすい点は、悪い意味でのギャップと言えるかもしれません。

● 機種ごとの違いと“環境格差”

マルチプラットフォーム展開は本作の強みですが、その一方で「どの機種で遊ぶか」によって体験に差が出てしまうのも事実です。高解像度・多色表示が可能なPC-98やX68000と、色数や解像度に制約のあるPC-88やMSX2では、同じCGでも印象がかなり変わります。開発側はどの環境でも楽しめるよう最大限工夫していますが、やはりスペックの高い機種の方がグラフィックの情報量やサウンドの厚みが増し、「雑誌で見た画面写真と比べると、自分の機種版は物足りない」と感じるユーザーも少なくありませんでした。また、機種によってはロード時間やディスクアクセス頻度が多く、快適さの面で差が出る部分もあります。もちろん、当時としてはごく一般的な事情ではあるものの、「同じソフトなのに、遊ぶ環境によって満足度が大きく変わりうる」という意味で、マルチ展開の影の部分とも言えます。

● 成人向け作品ゆえの“人を選ぶ”要素

『きゃんきゃんバニー スペリオール』は、あくまで18歳以上を対象としたアダルト向け恋愛ゲームであり、その性質上どうしてもプレイヤーを選ぶタイトルです。恋愛の過程や心理描写に力を入れた作品とはいえ、クライマックスには大人向けの表現も含まれるため、「純粋な恋愛ドラマとしてだけ楽しみたい」という人には扱いづらい側面があります。また、ゲームの存在そのものが当時から“大人の娯楽”として認識されていたため、「遊んでみたいけれど人目が気になる」「興味はあるが手を出しづらい」という声もありました。作品内容そのものというより、ジャンルの特性に起因する短所ではありますが、「もう少し全年齢寄りのバージョンがあれば、恋愛シミュレーション入門として勧めやすかったのに」と感じたファンもいるかもしれません。シリーズ全体としてはこの路線がブランドの核でもあるため、単純に否定はできないものの、「名作なのに薦める相手を選ぶ」という点は、どうしても惜しい部分として残ります。

● 情報不足になりがちなプレイヤー向けサポート

最後に、「プレイヤーサポートの少なさ」も少し気になるポイントです。作中のテキストやマニュアルでは基本的な遊び方は説明されているものの、攻略のヒントやヒロインごとの方向性などに関する情報は最低限に留められており、自力で探る楽しみを重視した作りになっています。そのため、慣れてしまえば問題ないものの、序盤でつまずいたプレイヤーは「何がいけなかったのか」「どう行動を変えればよいのか」が分からず、モチベーションを失ってしまうこともありえます。後から発売された攻略本や雑誌の記事を見れば一気に視界が開けるのですが、そうした外部情報にアクセスできない環境では、ゲーム単体でのフォローがやや物足りなく感じられることもあるでしょう。亜理子のナビゲート役としての出番をもう少し増やし、「ここまでの行動をそれとなく振り返ってくれる」「別のアプローチ方法をほのめかしてくれる」といった仕掛けがあれば、初級者にもより優しい作品になっていたはずです。とはいえ、当時のPCゲームとしては標準的とも言えるレベルであり、「冷たく突き放す」というより「プレイヤーに考える余地を残している」と捉えることもできる、紙一重のバランスと言えるでしょう。

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■ 好きなキャラクター

● 「誰を推すか」で遊び方が変わるゲーム

『きゃんきゃんバニー スペリオール』を語るとき、多くのプレイヤーが真っ先に話題に出すのが「推しキャラ」の存在です。12人ものヒロインが登場するため、ビジュアルや性格、抱えている悩みなど、どこに惹かれるかは人それぞれで、プレイヤーごとにお気に入りのキャラクターがはっきり分かれるのがこの作品ならではの面白さです。さらに、最初の印象だけで終わらず、シナリオを進めていくうちにイメージが良い意味で裏切られたり、「この子は脇役っぽいと思っていたのに、じっくり向き合うと一番気になる存在になった」という発見があったりと、遊べば遊ぶほど“推し”が揺らいでいくのも本作の魅力です。ここでは、セットごとに人気を集めやすいキャラクター像や、プレイヤーから「この子が好き」と名前が挙がりやすいタイプを中心に、ざっくりと紹介していきます。

● 「女子大生おかわりセット」 ― 等身大の距離感が魅力の4人

大学生ヒロインが揃った「女子大生おかわりセット」は、全体的に“背伸びし過ぎていない大人”という空気感を持っており、同年代のプレイヤーから特に支持を集めやすいグループです。 素朴で少し危なっかしいところのある真子は、守ってあげたくなるタイプとして人気が高く、最初は友達感覚だった関係が、会話を重ねるうちに恋愛へと変化していく過程がとても自然です。真子といつも一緒に行動している美香は、少し大人びた目線を持っていて、「友達の恋愛相談に乗りながら、自分の気持ちにも気づいていく」といったポジションが似合うキャラクター。二人の女子大生コンビは、軽妙な掛け合いを見せてくれるので、「どちらか片方というより、二人まとめて好き」という声も多いタイプです。 一方、失恋をきっかけに旅に出た堀さつきや、お酒が入ると大胆さが顔を出す秋山理沙のように、少し影や危うさを抱えたヒロインもこのセットの大きな魅力です。過去の恋愛の傷を引きずっているさつきは、心の距離を詰めるまでに時間がかかるぶん、心を許してくれたときの重みが格別で、「この子だけは幸せにしてあげたい」と感じさせてくれます。普段は落ち着いた雰囲気なのに、お酒が入ると豹変してしまう理沙は、ギャップ萌えの象徴のようなキャラクターで、彼女の“素”をどう受け止めるかはプレイヤーによって解釈が分かれるところです。等身大の大学生らしさと、大人になりきれていない危うさが同居している4人が、このセットを非常に魅力的なものにしています。

● 「制服むんむんセット」 ― 大人の女性に惹かれるプレイヤーの楽園

社会人ヒロインが揃った「制服むんむんセット」は、年上好き・お姉さんキャラ好きのプレイヤーにとってたまらない布陣です。バーガーショップの店員として働く森田真紀は、親しみやすさと庶民的な可愛さが同居したタイプで、仕事帰りにふらっと寄りたくなる“行きつけの店”のような安心感を持っています。日常の中で少しずつ関係が深まっていく流れが自然で、「わざわざ特別なシチュエーションを用意しなくても、この子と話しているだけで幸せ」というタイプの人気キャラです。 華やかな職業の代表格であるスチュワーデスの南千晶は、大人の余裕と責任感をまとったヒロインとして、多くのプレイヤーの憧れの的になります。海外を飛び回る仕事の話や、職場での緊張感のあるエピソードを聞いているだけで、「この人には自分の知らない世界がたくさんある」と感じられ、年上の女性に対する尊敬と恋心が混ざったような感情を抱かせてくれる存在です。 献身的な看護婦・山口有紀子や、会社の受付を務める渡辺由香も、いわゆる“お姉さん枠”として高い人気を誇ります。有紀子は、優しさと芯の強さを備えたキャラクターで、弱ったときにそっと支えてくれそうな包容力が魅力。一方、由香は職場の看板娘的な立ち位置で、仕事中のきちんとした態度と、プライベートで見せる素顔のギャップがたまりません。社会人としての顔と、恋する一人の女性としての顔。その両方を描くことで、大人の恋愛ならではの深みが生まれており、「制服むんむんセット」から推しを選ぶプレイヤーはあとを絶ちません。

● 「セーラー服ゆうやけセット」 ― 青春と揺れる心が詰まった4人組

遊園地で出会う女子高生4人組が登場する「セーラー服ゆうやけセット」は、青春ドラマのような甘酸っぱさが詰め込まれたグループです。活発で元気いっぱいの篠原景子は、グループのムードメーカー的な存在で、明るく振る舞いながらも内側には繊細な悩みを抱えているキャラクター。彼女の“強がり”の裏側にある本音に触れたとき、強く心を動かされるプレイヤーは少なくありません。 控えめで家庭的な一面を持つ有賀まゆみは、いわゆる“癒やし系ヒロイン”の代表格です。あまり自己主張をしないぶん、相手の話を聞くことが多く、その中で少しずつ自分の気持ちを形にしていく姿が魅力的。「派手ではないけれど、気づけば一番そばにいてほしい存在になっていた」と感じさせるキャラクターです。 一見大人びて見える井原小百合は、落ち着いた物腰とどこか影のある雰囲気が印象的なヒロイン。表面上はしっかりしているように見えても、年相応の不安や迷いを抱えており、そのギャップこそが彼女の魅力です。明るく快活な白石登紀は、頼れる人が好きという設定どおり、主人公に対してもストレートに好意や信頼を向けてくるキャラクターで、屈託のない笑顔に惹かれるプレイヤーは多いでしょう。 この4人は、グループ全体としての関係性も魅力で、誰か1人を追いかけているつもりでも、他の子との距離感が気になってしまうことがよくあります。「誰か1人を選ぶことの切なさ」まで含めて描かれるため、青春群像劇としてこのセットを最推しに挙げるユーザーも少なくありません。

● 亜理子という“特別枠”のヒロイン

本編の攻略対象としてのヒロインたちとは別に、シリーズの顔とも言える存在が亜理子です。前作から続いて登場する案内役であり、プレイヤーとゲームの世界をつなぐパーソナリティ的ポジションにいる彼女は、多くの人にとって“特別枠の好きなキャラクター”として認識されています。魔法の国からやって来た少女という設定も相まって、ヒロインたちと現実的な悩みを共有することはないものの、プレイヤーや主人公に寄り添い、時に茶化し、時に励ましてくれる存在感は抜群です。 彼女の魅力は、単なるマスコットにとどまらないところにあります。ふわふわした雰囲気でありながら、物語全体を俯瞰するような視点を持ち、恋に不器用な主人公の背中をそっと押してくれる。その関わり方は、プレイヤーから見ると“ナビゲーターであり親友”のようでもあり、ルートの中心にいるヒロインたちとはまた違う形で強い愛着を抱かせます。物語の節々で顔を出し、「どう? うまくやってる?」と問いかけてくる亜理子の存在は、『スペリオール』の世界そのものを象徴するキャラクターと言っても過言ではありません。

● プレイヤーごとに異なる“推し方”が生まれる構造

『きゃんきゃんバニー スペリオール』の面白いところは、「このキャラクターが公式の看板ヒロイン」という一本柱に頼らず、プレイヤーごとに推しキャラの軸が変わっていく構造にあります。大学生セットをホームグラウンドにして、真子やさつきに想い入れを込める人もいれば、社会人セットで南千晶や有紀子に惹かれ、「大人の恋愛」をメインに楽しむ人もいる。あるいは、学生時代の甘い記憶や後悔と重ね合わせて、女子高生4人組の誰かを強く推す人もいるでしょう。 また、1周目と2周目で“推し”が変わることも珍しくありません。最初は見た目や職業で選んだキャラクターから入り、周回を重ねるうちに、性格や内面に共感できる別のヒロインが最優先になる……という変化も、この作品ではよく起こります。会話の積み重ねで印象が変わる作りになっているため、「最初は地味だと思ったけれど、気づけば一番好きになっていた」という評価を受けやすいキャラが多いのも特徴です。 こうしてプレイヤーごとに異なる“好きの形”が生まれ、それぞれの中に「自分だけのベストヒロイン」が存在する――この多様性こそが、『きゃんきゃんバニー スペリオール』における“好きなキャラクター”というテーマの面白さだと言えるでしょう。どのヒロインを選んでも、それぞれの物語がきちんと用意されている安心感があるからこそ、プレイヤーは遠慮なく自分の直感に従って「この子が一番」と胸を張れるのです。

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●対応パソコンによる違いなど

● マルチプラットフォーム展開の基本方針

『きゃんきゃんバニー スペリオール』は、PC-8801mkIISR以降のPC-88シリーズ、PC-9801VM/Vシリーズ以降のPC-98シリーズ、シャープX68000、そしてMSX2/2+/turboR用と、当時の代表的なホビーパソコンをほぼ網羅する形で展開されたタイトルです。 ただし、どの機種でも同じ内容をそのままコピーしたわけではなく、それぞれのハードウェア性能やメディア構成に合わせて、グラフィックやサウンドの表現、ディスク枚数やロード時間などが微妙に調整されています。PC-98版は2枚組FD、PC-88版は4枚組FDといった具合に、同じゲームでも媒体構成が異なっていたことからも、開発側が機種ごとの事情をかなり意識していたことが伺えます。 とはいえ、シナリオ構成や攻略可能なヒロイン数、3つのシナリオセットといった“中身”は共通で、「どの環境で遊んでも同じ物語が楽しめる」ことが前提になっています。そのうえで「自分のパソコンならではの画と音」を味わえる、というのが本作のマルチプラットフォーム展開の基本方針と言えるでしょう。

● PC-9801版 ― 当時の“標準機”らしい安定した完成度

PC-9801シリーズ向けのバージョンは、当時のPCゲーム市場で事実上の標準環境だったこともあり、もっともバランスの良い作りになっていると評されることが多いです。メーカー公式カタログでもPC-98版はVシリーズ以降対応のFD 5インチ/3.5インチメディアが用意されており、解像度・色数ともにアドベンチャーゲームを描くには十分なスペックを持っていました。 グラフィック面では、PC-88版より高い解像度と色数を活かして、ヒロインの髪や衣装の陰影、背景のライティングなどがより滑らかに表現されています。特に、ホテルのロビーや夜の街、遊園地のイルミネーションといったシーンでは、細かな光のグラデーションが描き込まれており、「雑誌で見た画面写真に近いものをそのまま自分のマシンで再現できる」という満足感がありました。 サウンド面でも、FM音源ボードを搭載したPC-98なら、タイトル画面からイベントシーンまで、場面に応じたBGMがしっかり鳴り、その音の厚みは当時のPC-88やMSX2と比べても一歩リードしていたと言えます。FMならではの柔らかい音色のおかげで、恋愛シミュレーション特有の甘い雰囲気がよく出ており、「きゃんきゃんバニーシリーズ=98の画と音」という印象を強く植え付けたのがこの版でした。

● PC-8801版 ― 制約の中で工夫が光る“元祖PC版”

PC-8801mkIISR以降に対応したPC-88版は、4枚組FDという構成でリリースされており、グラフィックの色数や解像度にはPC-98版ほどの余裕はないものの、その制約を感じさせないような線画と塗りの工夫が特徴的です。 少ない色数の中で髪や制服の質感、背景の陰影を表現するため、輪郭線の強弱やドットの配置が細かく調整されており、少しレトロ寄りの“くっきりした絵”が好きなプレイヤーからは、「むしろ88版のほうが味がある」という声もあるほどです。画像は少し荒めでも、キャラクターの表情やポーズの付け方がしっかりしているため、ヒロインの可愛さや色気は十分に伝わってきます。 サウンドに関しても、FM音源対応機では軽快なBGMがきちんと鳴り、PC-98版に比べればシンプルながら、当時としては標準以上のクオリティです。ロード時間やディスク交換の頻度はどうしても多くなりがちですが、その“ディスクを入れ替えながら少しずつ物語を読み進める感覚”そのものが、レトロPCゲームらしい味わいと受け取られています。

● X68000版 ― グラフィック・サウンドに最も余裕のある豪華版

シャープX68000向けのバージョンは、高解像度・多色表示・高音質なサウンド環境を活かした“豪華版”に近い仕上がりです。X68000はアーケード移植などで知られるハイスペック機であり、アドベンチャーゲームであってもその潜在能力を発揮できるフィールドでした。オープニング画像やイベントCGは、PC-98版以上に細かなディテールが描き込まれており、影やハイライトの表現も豊かで、全体的に“ツルンとした”美しい画面に仕上がっています。 BGMも、X68000ならではの高品位なFM音源やPCMを活用し、より厚みのあるアレンジが施されているとされています。同じ曲でも、98版と聴き比べると響き方の違いが分かるほどで、タイトル画面から雰囲気の作り込みが一段階上がっている印象です。恋愛ゲームとしてはややオーバースペックとも言えるほど贅沢な環境ですが、そのぶん「一番綺麗な『スペリオール』を見たい」「サントラ感覚でBGMも楽しみたい」というユーザーにとっては最適なプラットフォームでした。

● MSX2版 ― 手堅い移植と家庭寄り環境ならではの味

MSX2/2+/turboR向けのバージョンは、VRAM 128KB以上を必要とする3.5インチFD版としてリリースされています。 グラフィックはMSX2らしい16色表示が基本となり、PC-88版と似た系統の色使いですが、家庭用寄りのハードらしく、テレビ画面での見映えを意識したコントラストの強い配色が特徴です。細部の情報量は他機種に比べると控えめですが、その分画面に占めるキャラの割合が大きく、ヒロインがぐっと前面に出てくる構図が多いのが印象的です。 サウンドは、環境によってFM音源カートリッジの有無が異なるため、PSGオンリーの場合はシンプルな音になりますが、FM対応環境ならそれなりに雰囲気のあるBGMが楽しめます。「家のテレビで楽しむ『きゃんきゃんバニー』」というスタイルは、他機種にはない馴染みやすさがあり、MSXユーザーにとっては“自分のマシンでも遊べる”こと自体が大きな喜びでした。

● グラフィック表現の違いとプレイ感覚への影響

機種ごとの最も分かりやすい差は、やはりグラフィック表現です。 – PC-98版は、全体的に色数・解像度のバランスが良く、「雑誌に載っていたイメージそのまま」の画面が楽しめる標準的な完成度。 – PC-88版は、色数が限られているぶん線画がくっきりしており、ドット絵の“カチッとした味”が好きな人にはたまらない仕上がり。 – X68000版は、陰影やグラデーションが豊かで、キャラクターの肌や髪の質感まで丁寧に描き分けられた豪華版。 – MSX2版は、解像度こそ抑えめなものの、キャラを大きめに描いた画面構成で、テレビ画面でも見やすいポップな印象。 どの版を選んでもヒロインの可愛さや色気はしっかり伝わりますが、「シャープでレトロなドット感を味わいたいならPC-88/MSX2」「安定したハイクオリティを求めるならPC-98」「とにかく一番リッチな画と音で遊びたいならX68000」といった棲み分けが自然にできていました。

● サウンド・BGMの違いと印象

サウンド面でも、ハードウェアごとの特徴がにじみ出ています。 PC-98版とX68000版はFM音源のポテンシャルを活かし、曲数やアレンジの面で余裕があり、特にX68k版ではより分厚いサウンドで恋愛シーンを盛り上げてくれます。 PC-88版は、FM音源搭載機ではしっかりとしたBGMが鳴るものの、チャンネル数や音色の自由度はやや控えめで、どこか素朴な響きが特徴です。これはこれで「いかにも88のゲームらしい音」としてファンには好まれており、後年サントラ的に聴き直すと、当時の空気を思い出させてくれるという意味で味わい深い存在になっています。 MSX2版は、環境によってPSGのみ/FM併用が分かれるため一概には言えませんが、テレビスピーカーから流れる少し丸い音が、良くも悪くも“家庭寄り”の雰囲気を演出していました。同じメロディでも、プラットフォームごとに印象が変わるため、複数機種で遊んだプレイヤーの中には、「あの曲は88版の音色が一番好き」「X68k版のあの場面のBGMは忘れられない」と、それぞれのバージョンに思い出を持つ人も少なくありません。

● メディア構成・ロード時間と遊びやすさ

実用面では、ディスク枚数やロード時間の違いもプレイ感覚に影響を与えました。 PC-88版が4枚組FD、PC-98版が2枚組FDといった構成になっており、88版では場面転換やセット切り替えの際にディスク交換が必要になることも多く、「少し腰を据えて遊ぶ」感覚が強くなります。 PC-98版はディスク枚数が少ないぶん交換頻度も抑えられ、ロードも比較的短めでテンポよく進行できるため、シリーズを長く遊ぶ予定のユーザーにとってはありがたい環境でした。X68000版も、5インチFDながらマシンパワーのおかげでロード待ちのストレスは少なめで、「グラフィックの豪華さに対して意外と快適」という印象を持たれることが多かったようです。MSX2版は、ドライブ性能や個体差にも左右されますが、テレビの前でのんびり遊ぶスタイルを想定しているぶん、多少のロード待ちは織り込み済みと受け取られることが多かったと言えるでしょう。

● どの機種版で遊ぶか ― レトロゲームとしての“選び方”

総合的に見ると、 – 安定した画質・音質・快適さのバランスを求めるならPC-98版 – レトロPCらしいドット感と“88時代”の雰囲気を味わいたいならPC-88版 – 最もリッチな表現で世界観に浸りたいならX68000版 – 家庭的な空気で気軽に遊びたいならMSX2版 といった選び方がイメージしやすいでしょう。どれが“正解”ということはなく、プレイヤーがどの時代・どの環境でPCゲームに触れてきたかによって、「自分にとっての決定版」が変わってくるタイプの作品です。 『きゃんきゃんバニー スペリオール』は、対応機種によって表情を変えつつも、物語やキャラクターの魅力は揺らがない――その意味で、マルチプラットフォーム展開の成功例のひとつとして語られることが多いタイトルだと言えるでしょう。

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●同時期に発売されたゲームなど

『きゃんきゃんバニー スペリオール』が登場した1990年前後は、国産パソコンゲームの世界でも大きな転換期でした。PC-8801mkIISRやPC-9801シリーズが普及して美麗グラフィックやFM音源が当たり前になり、RPGやシミュレーションの大作だけでなく、美少女ゲームやアドベンチャーも一気に花開いた時期です。ここでは、同じ頃にPC向けにリリースされ、当時のユーザーから強い支持を集めた代表的なタイトルを10本取り上げ、それぞれのメーカー・発売年・価格・内容を簡単に整理しながら、『スペリオール』と同じ空気を共有していた“周辺タイトル”として紹介していきます。

★夢幻の心臓III:重厚なファンタジーRPGの集大成

・販売会社:クリスタルソフト
・販売された年:1990年1月12日(PC-8801mkIISR以降)
・販売価格:定価約9,700円(税別相当)
80年代初頭から続いた国産ファンタジーRPGシリーズ『夢幻の心臓』の完結編として登場したのが『夢幻の心臓III』です。PC-8801mkIISR以降を対象にした専用設計で、シリーズならではのシビアなダンジョン探索と、当時としては高解像度のグラフィック、練られた世界観が大きな魅力でした。
ストーリーは、前作までの流れを引き継ぎながらも、単なる続編ではなく一つの世界史を閉じる“大団円”を目指した構成になっており、古いファンの期待に応えるボリュームとシナリオを備えていました。マップ表示やインターフェイスも従来作品から改良され、自動マッピングや洗練されたウィンドウレイアウトによって、長時間のプレイでもストレスが少ない作りになっていたのもポイントです。
バトルはターン制のクラシカルな方式ですが、ステータス成長やパーティ構成が攻略に大きく影響するため、レベル上げと作戦立案をじっくり楽しみたいRPGファンに支持されました。『スペリオール』が会話主体の恋愛ADV+シミュレーション路線を突き詰めていたのに対し、こちらは「硬派なRPGの王道」を行く作品で、同じPC-88ユーザーでも、気分に応じて遊び分けていたプレイヤーが多かったタイトルです。

★電脳学園III トップをねらえ!:アニメとクイズが融合した人気シリーズ

・販売会社:ゼネラルプロダクツ(開発:ガイナックス)
・販売された年:1990年3月24日(PC-8801SR版)
・販売価格:定価9,680円前後
人気OVA『トップをねらえ!』のキャラクターたちが登場する、美少女クイズADVシリーズ第3弾が『電脳学園III トップをねらえ!』です。ガイナックス系のアニメファンと、美少女ゲームファンという二つの層を同時に狙った作品で、当時から“豪華なアニメ絵のクイズゲーム”として強烈な印象を残しました。
ゲーム部分は、出題されるクイズに答えながらシナリオを進めていく構成で、正解することでイベントグラフィックや会話シーンが解放されていきます。問題の内容はアニメ・SF・一般教養など多岐にわたり、単なる「お色気ゲーム」に終わらせない、知識を要求するゲーム性も話題となりました。
グラフィックは、当時のPC-88の限界に挑むような精細なキャラクター絵が多数用意されており、ファンの間では“アニメの世界にそのまま入っていく感覚”と語られることもありました。『スペリオール』と同じくアダルト向け要素を含むタイトルですが、こちらは版権アニメを軸にした企画色の強い作品で、オリジナルキャラ主体の『スペリオール』とは方向性の違いを楽しめる一本と言えるでしょう。

★セーラー服戦士フェリス:カクテル・ソフトによるアクション寄りの美少女ゲーム

・販売会社:カクテル・ソフト
・販売された年:1990年4月5日(PC-8801mkIISR以降)
・販売価格:定価6,800円
同じカクテル・ソフトからは、『スペリオール』とほぼ同時期に『セーラー服戦士フェリス』も発売されています。こちらは学園モノ+SF風味のアクションRPG風作品で、さらわれた女の子たちを救うため、女子高生の主人公が宇宙戦闘機で旅立つという、どこかコミカルで勢いのある物語が展開されます。
ゲームとしては、フィールドを移動しながら敵を撃破していくアクションと、イベントシーンでの会話・選択肢パートが組み合わされた構成で、“遊べる美少女ゲーム”として当時のユーザーから評価されました。キャラクターデザインは『スペリオール』と同じく当時のトレンドを意識したもので、髪型や衣装、表情など“90年代初頭の美少女像”が色濃く反映されています。
ストーリーはSFタッチながらライトなノリで進行し、ゲームオーバーになりにくいバランスもあって、アクションが得意でないプレイヤーでも最後まで遊びきりやすい作りです。会話中心の『スペリオール』に対し、こちらはゲーム性を前面に押し出したタイトルで、同じブランドでも作品ごとに方向性を変えていたカクテル・ソフトの“懐の深さ”を感じさせます。

★D.P.S SG:アリスソフトのオムニバス美少女ADV

・販売会社:アリスソフト
・販売された年:1990年8月15日(PC-98版基準)
・販売価格:定価6,800円
アリスソフトが手掛けた『D.P.S SG』は、複数の短編シナリオをまとめたオムニバス形式の美少女アドベンチャーです。一本の大作をじっくり遊ぶ『スペリオール』とは異なり、気軽にさまざまなシチュエーションのストーリーを楽しめる構成が持ち味でした。
各エピソードはボリュームこそ控えめですが、恋愛、コメディ、少しダークな展開などバリエーション豊かに揃えられており、「今日はこの話をクリアしてみよう」といった具合に、短時間で遊べるのが魅力です。テキストもテンポが良く、当時のPCゲーム雑誌などでは“シナリオ構成のセンスが光る作品”として評価されることが多かったタイトルです。
プレイヤーの選択によって結末が変化するルート分岐もあり、短編でありながらも繰り返しプレイする楽しみが用意されていました。『スペリオール』が12人のヒロインを長編の中で攻略していくのに対し、こちらは複数の短編で多様なヒロイン像を描き出す構成で、美少女ゲームの表現の幅広さを感じさせます。

★はっちゃけあやよさん2 いけないホリデイ:コミカル路線の続編ADV

・販売会社:HARD(ハード)
・販売された年:1990年9月(PC-8801mkIISR以降)
・販売価格:定価3,800円前後(PC-88版/税別相当)
女子高生あやよを主人公としたアダルトADV『はっちゃけあやよさん』の続編が『はっちゃけあやよさん2 いけないホリデイ』です。舞台はバカンス気分あふれるホリデイシーズンで、前作以上にコミカルなノリとドタバタ劇が全面に押し出されています。
ゲームシステムはコマンド選択式のオーソドックスなADVですが、あやよや周囲のキャラクターたちのセリフ回し、ギャグ調の演出などが非常に軽快で、“シリアスになりすぎないアダルトゲーム”として人気を集めました。価格設定も比較的手頃で、当時のPCユーザーが“ついで買い”しやすいポジションにあったのも特徴です。
『スペリオール』が多数のヒロインとの恋愛ドラマを描くのに対し、『あやよさん2』は主人公一行の騒がしい日常を追いかけるタイプの作品で、まるでシットコムのような賑やかな雰囲気が楽しめる一本でした。

★ファンタジーIV:長寿シリーズが洗練されたPC-88向けRPG

・販売会社:スタークラフト
・販売された年:1990年9月(PC-8801mkIISR以降)
・販売価格:定価8,800円
国産RPG『ファンタジー』シリーズの第4作としてリリースされたのが『ファンタジーIV』です。前作までのシステムをベースにしつつ、グラフィックの描き込みや戦闘シーンの演出、キャラクター育成の自由度など、あらゆる面で“シリーズ集大成”を狙った印象のタイトルになっています。
とくに特徴的なのが、祖先の設定を自由に行うことで、主人公の血筋や能力に個性が出る仕組みで、同じシナリオでもプレイヤーごとに異なるロールプレイが楽しめました。また、戦闘シーンはタクティカル色が強くなっており、隊列や行動順を考えながら戦う必要があり、RPGとしての手応えも十分です。
『スペリオール』と比べると、こちらは完全に“冒険ファンタジーRPGの世界”に没入するタイプのゲームで、美少女ゲームと本格RPGが並び立っていたPC-8801のソフト事情を象徴する一本と言えるでしょう。

★手天童子:永井豪作品を題材にしたダークな伝奇RPG

・販売会社:エニックス
・販売された年:1990年9月(PC-8801mkIISR以降)
・販売価格:定価9,800円
永井豪による同名漫画をベースにしたRPG『手天童子』は、原作者自らの描き下ろし原画と新規シナリオを採用した、ファンにはたまらない一本です。鬼の血を引く少年・手天童子郎の運命と戦いを描く物語は、典型的なファンタジーRPGとは異なる、濃厚な伝奇テイストとダークな雰囲気を漂わせています。
ゲームとしては、仲間との出会いやイベントシーンが豊富に用意され、200枚に及ぶ原画イベントがストーリーを盛り上げます。RPGパートも丁寧に作り込まれており、ダンジョン探索や戦闘を繰り返しながら、徐々に主人公の出生の秘密が明かされていく構成は、“長編伝奇小説を読むような感覚”と形容されることもありました。
『スペリオール』が現代日本的な舞台で恋愛や日常を描いているのに対し、『手天童子』は神話・鬼・邪悪な存在との戦いを軸にした重厚な作品で、同じPCユーザーでも、気分に応じて「今日は恋愛ADV」「今日は伝奇RPG」と遊び分けていた様子が目に浮かびます。

★Xak II(サークII):アクションRPGの人気シリーズ続編

・販売会社:マイクロキャビン
・販売された年:1990年9月(PC-8801mkIISR以降)
・販売価格:定価8,800円
アクションRPG『Xak(サーク)』シリーズの第2作『Xak II』も、1990年のPC-88を語るうえで欠かせない一本です。前作で好評だったスピーディーなアクションにジャンプ攻撃や多彩な剣技が追加され、フォースショットと呼ばれる飛び道具の成長要素も組み込まれたことで、より“遊びごたえのあるアクションRPG”として進化しました。
ストーリー面では、父の消息を追う旅と盲目の母のための薬探しという、個人的な動機から始まる物語が、やがて世界規模の陰謀に巻き込まれていく構成で、王道ながらもドラマチックです。多重スクロールによる高さ表現や、吊り橋の場面などの演出は、当時のユーザーに“家庭用ゲーム機クラスの画面表現”として受け止められました。
アクション性の高い作品であるため、純粋なテキストADVである『スペリオール』とは遊び心地がまったく違いますが、同じPC-88ユーザーが“アクションRPGで腕をならした後に、夜は美少女ゲームでまったり”という遊び方をしていたと想像すると、この時代のPCゲーム文化の幅の広さがよく分かります。

★CAL ~永遠の美少女達~:マルチプラットフォーム展開された美少女ADV

・販売会社:バーディーソフト
・販売された年:1990年(PC-98版ほか)
・販売価格:PC-98版定価7,480円前後
バーディーソフトの『CAL ~永遠の美少女達~』は、PC-98を中心にMSX2、X68000、FM TOWNS、後年にはWindows版も登場するなど、幅広い機種に展開された美少女アドベンチャーです。
ゲーム内容は、複数のヒロインとの出会いやエピソードをオムニバス的に描く構成で、端的にいえば「様々なタイプの美少女との物語を詰め込んだ一冊の短編集」のような作品です。シリアス寄りのストーリーや甘い恋愛描写、コミカルな場面などが程よく混在しており、ヒロインごとに印象が大きく変わるのが魅力でした。
『スペリオール』が“セット”という単位で3つのシナリオ群(女子大生/制服/セーラー服)を用意しているのに対し、『CAL』はプラットフォームをまたいで多くのユーザーに届いたこともあり、当時の美少女ゲーム文化を語るうえで「看板タイトルの一つ」として扱われることの多い作品です。価格帯もミドルレンジで、PC-98ユーザーが美少女ADV入門として手に取ることも多かったタイトルでした。

★シムシティ(PC-9801版):都市開発シミュレーションの衝撃

・販売会社:フォア・チューン(国内PC-98版)
・販売された年:1990年(PC-98版発売年)
・販売価格:定価10,780円前後
海外発の都市開発シミュレーション『SimCity』も、1990年にPC-9801版が登場したことで、多くの日本のPCユーザーに強いインパクトを与えました。プレイヤーは市長となり、道路や住宅地、工業地帯、公共施設を配置しながら、住民の満足度と財政のバランスを取りつつ街を発展させていきます。
明確な“クリア条件”があるわけではなく、自分なりの理想の都市を追い求めて延々とプレイできるスタイルは、当時のゲームとしては非常に斬新でした。災害を起こして街の耐久力を試したり、あえて赤字覚悟で巨大プロジェクトを推進したりと、プレイヤーごとに遊び方が異なる“サンドボックス的な楽しさ”がありました。
恋愛ADVである『スペリオール』とはジャンルがまったく異なりますが、同じPC-98上で、片方では恋愛ストーリー、もう片方では都市運営という全く別の体験が楽しめたことは、当時のPCゲームプラットフォームの懐の深さを象徴しています。

★ドラゴンナイトII:ダンジョンRPGと美少女表現の融合

・販売会社:elf(エルフ)
・販売された年:1990年12月(PC-98版/PC-88版も同年末)
・販売価格:PC-98版定価8,580円前後、PC-88版7,800円(税別相当)
『ドラゴンナイトII』は、エルフが手掛けたダンジョンRPGと美少女要素の融合作品で、シリーズの代表作として今でも名前が挙がるタイトルです。

ゲームは一人称視点の3Dダンジョン探索を軸としており、プレイヤーはパーティを率いて迷宮を進み、モンスターとの戦闘やイベントをこなしながら物語を進めていきます。RPGとしてのシステムは本格的で、敵の強さやダンジョン構造も手ごたえ十分。そこに美少女キャラクターとの出会いやイベントが組み合わさっているため、“ゲーム性とアダルト要素が高いレベルで両立した作品”として評価されました。
『スペリオール』が会話と選択肢による恋愛ADVであるのに対し、『ドラゴンナイトII』は戦闘や探索の比重が大きいRPG寄りの作品で、「美少女ゲーム=簡単なゲーム」というイメージを覆したタイトルの一つとも言えます。難度の高いダンジョンを攻略しながら、キャラクターたちとの関係性が変化していく流れは、当時のプレイヤーに強い達成感を与えました。

これら10作品は、いずれも『きゃんきゃんバニー スペリオール』と前後して発売されたタイトルであり、同じPC-88/PC-98世代のユーザーが実際に遊んでいた“同時代の仲間”と言える存在です。恋愛ADV、クイズ、RPG、シミュレーションとジャンルは多岐にわたりますが、いずれもグラフィックやゲーム性、シナリオ表現といった面で、当時のPCゲーム文化を一段押し上げた作品群であり、その中で『スペリオール』もまた、最多クラスのヒロイン数とオムニバス形式のシナリオで強い存在感を放っていました。

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