『アウトラン』(パソコンゲーム)

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【発売】:ポニーキャニオン、Mindscape
【対応パソコン】:MSX2、PC/AT互換機
【発売日】:1988年10月
【ジャンル】:レースゲーム

[game-ue]

■ 概要

1980年代後半のパソコンゲーム市場において、アーケードで爆発的な人気を誇った作品が家庭やオフィスに広がっていくことは、一種の「文化移植」とも言える現象でした。その代表的な事例のひとつが、ポニーキャニオンおよびMindscapeが手掛けた『アウトラン』のパソコン版です。本作はもともとセガが1986年にアーケード用として発表し、カラフルなグラフィックと爽快なドライブ感で世界的なヒットを記録したレースゲームですが、日本および欧米の様々なパソコン環境へと移植されたことで、家庭であの憧れの「オープンカーでの旅」を味わえるようになったのです。

パソコン版『アウトラン』の展開はやや複雑で、発売元や移植を担当した会社が地域や機種によって異なっていました。日本では1988年にMSX2向けとしてポニーキャニオンから発売され、ROMカートリッジ形式で提供されました。このバージョンは、セガの家庭用機「セガマークIII」版をベースにした移植とされており、ラスタースクロール機能を持たないMSXハードでいかに「疾走感」を再現するかという挑戦が随所に見られました。実際、画面の奥行きを感じさせるコース描画は、MSX2のSCREEN4モードを駆使したBG書き換えによって実現されており、当時のユーザーに「MSXでもここまでできるのか」と驚きを与えたのです。音源についてはPSGのみの対応で、アーケード版で話題となった楽曲群は簡略化されているものの、その限られた音数の中で「MAGICAL SOUND SHOWER」や「SPLASH WAVE」といった名曲を耳にできるのは、やはり特別な体験でした。

一方、欧米市場においてはMindscapeが中心的な役割を果たしました。1989年にはPC/AT互換機向けにUnlimited Softwareが開発し、Mindscapeが流通を担当したバージョンがリリースされました。この移植はフロッピーディスク媒体で提供され、いわゆる「ホビーパソコン」群と呼ばれるAmiga、Atari ST、Amstrad CPC、ZX Spectrum、Commodore 64など多岐にわたる機種に対応。これらはすべてイギリスのU.S. Gold社を通じて発売されました。興味深いのは、どの移植版もなぜかBGMの「MAGICAL SOUND SHOWER」のイントロ部分のテンポに難があり、独特の“もたつき”が生じていたことです。これは一部のユーザーにとって「本物と違う」という残念な印象を与えたものの、同時に「移植作品ならではの個性」として受け止められることもありました。

技術的な制約も少なくなく、特にAmstrad CPCやZX Spectrumなど、表示色や処理速度に限界のある機種では、フレームレートを確保するためにキャラクターの単色化やドット数・色数の削減が行われました。そのため、アーケード版の鮮やかさを知るファンにはやや寂しく映ったかもしれません。しかし、それでも「家でアウトランを遊べる」という事実自体が強烈な魅力であり、特に欧州のプレイヤーにとっては貴重な体験でした。

さらに、後年になるとWindows環境でも再評価されます。1990年代後半に登場したWindows 95/98用の『セガアーカイブス フロム USA VOL.1』に収録された『アウトラン』は、北米版メガドライブ(Genesis)をベースとした内容で、当時のPCユーザーにとって懐かしさと共に新しい遊び場を提供しました。これにより、「パソコンでアウトランを楽しむ」歴史は長く続いていくことになります。

こうした経緯から、ポニーキャニオンおよびMindscapeによるパソコン版『アウトラン』は、単なる移植作品に留まらず、国や地域ごとのハードウェア事情や流通の仕組み、さらにはファンの期待と現実のギャップを映し出す“時代の記録”としても重要な位置づけを持っています。日本のMSXユーザーが感じた「技術的限界を超えた挑戦」と、欧州ユーザーが受け取った「多少の妥協はあっても家庭で遊べる喜び」。この二つの感覚が同居しているのが、パソコン版『アウトラン』の特徴なのです。

また、当時のパソコン市場は非常に多様で、ハードの性能や利用者層も大きく異なっていました。例えばAmigaやAtari STのようにグラフィック能力に優れたマシンで遊ぶ『アウトラン』は、滑らかな動きや美しい色彩でアーケードに近い感覚を味わえました。一方で、ZX SpectrumやC64のように制限の多い環境では、スピード感や演出をうまく再現することが課題となりました。そうした差異を含めて、同じタイトルが機種ごとに全く違う顔を見せることは、当時のゲーマーにとって「比較する楽しみ」をも提供していたのです。

つまり『アウトラン』のパソコン版は、アーケードからの単純なダウングレードではなく、それぞれの機種が持つ強みと弱みを浮き彫りにする「実験場」のような存在でした。これが今日に至るまで多くのプレイヤーの記憶に残り、レトロゲームの語り草として語られ続ける理由のひとつなのです。

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■ ゲームの魅力とは?

『アウトラン』がパソコンへ移植された際、グラフィックの表現やサウンドの再現度はアーケード版に比べると大きな制約を受けました。それでも本作が長きにわたり人々を惹きつけ続けたのは、単なる「車を走らせるゲーム」以上の魅力を備えていたからです。ここでは、その特徴的なポイントを掘り下げてみましょう。

◆ 爽快感あふれる「旅」の体験

従来のレースゲームは、タイムアタックや順位競争を目的に作られることが多く、どうしても「競技性」が前面に出ていました。しかし『アウトラン』は少し趣が異なり、プレイヤーに与えられるのは「どこまでも走り抜ける開放感」でした。パソコン版でもこの基本コンセプトはしっかりと受け継がれています。プレイヤーはオープンカーに乗り込み、助手席には女性を同伴し、延々と続くハイウェイや海沿いの道路を走る――その行為自体が「旅」なのです。

当時のパソコンユーザーにとって、日常の部屋から異国の風景へと意識を連れていってくれるこの演出は、まさにゲームならではの体験でした。ハード性能の限界で画面が簡略化されていても、道路の奥へ奥へと吸い込まれる感覚はしっかり再現され、プレイヤーを非日常のドライブへと誘いました。

◆ 選択肢によるコース分岐

『アウトラン』がユニークなのは、ただ一本道を走るのではなく、途中でルートを選べる「分岐システム」を導入している点です。例えば海岸線を選ぶか、山岳地帯に進むかといった選択によって、景色も難易度も変わっていきます。これは当時のレースゲームでは珍しい仕組みであり、プレイヤーに「自分だけの旅路」を提供しました。

パソコン版でもこのシステムは健在で、限られたメモリの中で複数の景観を切り替えながら再現することに挑戦しています。遊ぶたびに違うルートを選べるため、単純にゴールを目指すだけではなく「今日はどの風景を楽しもうか」という気持ちでプレイできるのも本作の魅力です。

◆ 音楽の存在感

『アウトラン』といえば音楽を語らずにはいられません。アーケード版ではスタート前に3曲のBGMから好みを選ぶことができ、どの曲も軽快で耳に残る名曲として知られています。パソコン移植版では音源チップの制約によってアレンジは大幅に簡略化されましたが、それでも「MAGICAL SOUND SHOWER」や「SPLASH WAVE」が奏でられる瞬間には独特の高揚感がありました。

特にMSX2版ではPSGによるシンプルな音色が逆に心地よく、ユーザーによっては「アーケードよりも味わいがある」と評価する声もありました。AmigaやAtari STといった海外機種ではサウンドチップの性能を活かして、より近代的な音作りがなされ、アーケードの雰囲気に近づけようとする努力も見られました。結果として、各機種の『アウトラン』にはそれぞれ独特の“音の個性”があり、それがファンの語り草になっています。

◆ 誰もが遊びやすい設計

ゲームデザイン面で特筆すべきは「初心者に優しい作り」です。車体の操作は左右へのステアリングとギアチェンジ、アクセルとブレーキというシンプルな構成。複雑なテクニックを覚えなくても、直感的にプレイできます。さらに、分岐によって自分の好きな難易度を選べるため、初心者でも景色を楽しみながら走れる一方で、上級者はタイムを意識してテクニカルなルートに挑むことも可能です。

この「誰でも遊べるけれど、極めれば奥が深い」という設計は、当時のパソコンユーザーの幅広い層に受け入れられました。ゲーム初心者の家族と一緒に楽しむ、という遊び方もできたのです。

◆ 非日常と日常の境界を越える体験

パソコン版『アウトラン』は、現実のドライブ体験をそのまま模倣するのではなく、むしろ「理想化されたドライブ」を表現することを目的としています。助手席に女性を伴い、晴れ渡る青空の下で渋滞もなく走り続ける――これは現実ではなかなか味わえない贅沢です。そのため、プレイヤーは画面の中で理想の旅を追体験し、現実の疲れを癒すように楽しむことができました。

これこそが『アウトラン』最大の魅力であり、「レースゲーム」というジャンルの枠を超えて多くのファンを獲得した理由でもあります。

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■ ゲームの攻略など

『アウトラン』のパソコン版は、アーケードと比べると操作性や処理速度に制限があるものの、その中でも「攻略」という観点では十分に奥深さを持っています。ただゴールに到達するだけではなく、最適なルート選びや車の操作の工夫、さらには裏技的な楽しみ方まで含めると、プレイヤーごとに異なる体験が広がっていました。ここでは、その具体的な攻略要素をひとつずつ掘り下げてみましょう。

◆ 基本操作を体に覚え込ませる

パソコン版『アウトラン』を攻略するうえで最初に必要なのは「操作の慣れ」です。

アクセルとブレーキ … 常に全開で走るとカーブでクラッシュしやすい。適度にブレーキを踏むタイミングを覚えることが重要。

ステアリング … 機種によってキー入力の反応に差があるため、自分が使っている環境で「どのくらいキーを押すとどれくらい曲がるか」を確認し、感覚的に理解しておく必要があります。

ギアチェンジ … ローギアとハイギアを切り替える操作も重要。特にスタート直後や急カーブ前後で、ギアを落として安定した走行を心がけると事故を減らせます。

シンプルに見える操作ですが、慣れれば慣れるほど「どうすれば最速で走れるか」を意識できるようになります。

◆ コース分岐の選び方

『アウトラン』の魅力であるコース分岐は、攻略に直結します。左右の選択によって難易度が変化するため、初心者はまず「比較的簡単なルート」を通ってクリアを目指すのが王道です。

左分岐 … 一般的に難易度が低く、直線の多いルートが多い。景色も明るく爽快感があり、初心者におすすめ。

右分岐 … コーナーが増え、敵車の配置もいやらしくなることが多い。上級者向けで、タイムを極限まで削るプレイに挑むときはこちらが有効。

また「今日は景色を楽しみたい」「今日はスコアを狙いたい」など、その日の気分でルートを変えるのも楽しみ方のひとつです。

◆ 敵車・障害物の回避法

アウトランでは、タイム制限に加えて敵車や障害物がプレイヤーの前進を妨げます。これを効率よく回避できるかどうかがゴール到達のカギです。

敵車の挙動 … 多くの敵車は一定のラインを維持して走りますが、時折急に車線変更してくる場合があります。慣れるまでは「敵車のすぐ後ろを走らない」ことが基本です。

障害物 … コース脇にある標識や看板、ヤシの木などに接触するとスピンやクラッシュを招きます。カーブの外側に寄りすぎない走り方を意識するだけで事故率は大幅に減少します。

敵車の動きは機種ごとに微妙に異なるので、自分の環境で「どう動くか」を観察しておくと攻略の精度が高まります。

◆ タイムマネジメント

各区間を制限時間内に走り抜けることが『アウトラン』最大の目標です。

時間を失う要因 … クラッシュやスピンで数秒ロスするのが最も大きな原因。なるべく安定走行を心がける方が、無理に攻めるよりも結果的に速いことが多い。

延長の仕組み … 各チェックポイントを通過することでタイムが追加されるため、「次のゲートまで絶対に持ちこたえる」という意識を持つと集中力が増します。

パソコン版はアーケード版に比べて処理落ちや入力遅延があるケースも多いため、焦らず一定のリズムで走り続けることが重要です。

◆ 高得点を狙うコツ

ただゴールするだけでなく、スコアを伸ばす楽しみ方もあります。

スピードを保つ … 高速で走行しているほどスコアが伸びやすい。

事故を減らす … クラッシュが減るほど総合スコアが高くなる。

分岐選択 … 難易度の高いルートを選ぶことでスコア効率も良くなることがある。

こうした工夫により、スコアアタックという別の楽しみが生まれ、ゲーム寿命を延ばすことができました。

◆ 裏技・隠し要素

移植版の中には、機種ごとに特有の“裏技”が存在するケースもありました。

タイトル画面での隠しコマンド … 一部機種ではスタート前に特定のキーを押すと、タイマーが増えるなどの隠し要素が仕込まれていたと言われています。

無敵走行 … ZX Spectrum版やCommodore 64版などでは、クラッシュ判定がうまく処理されず、一定条件で壁抜けのように進めるバグが発生したことも報告されています。

音楽の変更 … 海外移植版の一部には、通常は選べないBGMを流す方法が存在したといった噂もあります。

こうした小さな裏技やバグは、当時のユーザー同士の交流で広まり、雑誌や同人誌などで「知る人ぞ知る攻略法」として話題になりました。

◆ 難易度調整とリプレイ性

攻略の魅力を語る上で欠かせないのが「リプレイ性」です。アウトランは一度クリアしても、ルートを変えることで全く違うプレイ体験が味わえるため、繰り返し遊びたくなる設計になっています。さらに、アーケードに比べると難易度がやや抑えられているパソコン版も多く、ゲーム初心者でも「頑張ればゴールできる」という達成感を得やすかったのです。

ただし、Amiga版やAtari ST版のように再現度が高いものは敵車の配置もシビアで、アーケードさながらの緊張感がありました。この差異もまたプレイヤーを惹きつけた要因のひとつです。

◆ 総合的な攻略指針

まとめると、パソコン版『アウトラン』の攻略は以下の3点に集約されます。

基本操作を安定させる ― 無理に攻めず、リズムを維持する。

ルートを把握する ― 難易度を選びながら、自分に合った道を選択する。

事故を減らす ― ほんの数秒のミスがゴール到達を阻むため、慎重さが勝利のカギ。

この3点を意識するだけで、初心者でもエンディングまで辿り着ける確率は格段に上がります。

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■ 感想や評判

『アウトラン』のパソコン版は、1980年代後半から1990年代にかけて数多くのユーザーに遊ばれ、その評価は機種や世代によって大きく異なります。アーケード版と比較した厳しい声もあれば、移植作品ならではの良さを高く評価する意見もありました。ここでは、当時のプレイヤーやメディアの感想を整理しながら、本作がどのように受け止められたのかを見ていきましょう。

◆ 初めて家庭で「アウトラン」が遊べる喜び

最も多く語られたのは「家庭であの『アウトラン』が遊べる」という純粋な喜びです。アーケード版は豪華な筐体と大画面、体感型のハンドルやアクセルペダルによる圧倒的な臨場感が特徴でした。もちろんパソコン移植版ではそうした物理的な体感装置は再現されていませんが、それでも「部屋で自分のパソコンを立ち上げて、あの海沿いのハイウェイを走れる」という事実は強烈な魅力として受け入れられました。

特に日本のMSXユーザーや、欧州のAmiga・Atari STユーザーは「ついに自分のマシンで遊べる」という感動を雑誌や口コミで語っており、発売直後はどの移植も大きな話題を呼びました。

◆ グラフィック表現への賛否

評価の分かれ目となったのがグラフィックです。アーケード版の『アウトラン』は、流れるような擬似3D表現とカラフルな風景描写で世界を驚かせましたが、パソコン移植版では機種ごとの性能差が如実に表れました。

好意的な声
「MSX2版でここまで再現できるとは思わなかった」
「ZX Spectrumの限界を超えた移植だ」
「Amiga版はアーケードにかなり近くて感動した」

批判的な声
「色数が少なく、敵車が単色で味気ない」
「コース描画がカクカクしてスピード感が薄い」
「アーケードを知っていると物足りない」

このように賛否両論ありましたが、総じて「限られた環境の中で可能な限り再現した」という評価が多く、移植スタッフの努力はユーザーから一定の理解を得ていました。

◆ 音楽の再現度に関する議論

『アウトラン』の代名詞でもある音楽は、特に熱く語られた要素のひとつです。アーケード版の「MAGICAL SOUND SHOWER」「SPLASH WAVE」「PASSING BREEZE」は今なおゲーム音楽史に残る名曲とされています。

しかし、パソコン版では音源チップの制約により、そのままの再現は不可能でした。

MSX2版 … PSGのみ対応で、簡素ながらも原曲の雰囲気をよく掴んでいると評価する人も多い。

Amiga版・Atari ST版 … 比較的音源が強力で、アーケードに近いアレンジが実現。ファンから「この機種で遊んでこそ本物に近い」と評されることもあった。

C64やZX Spectrum版 … BGMの再現度は低いが、逆に「味のあるチップチューン」として支持する層も存在した。

興味深いのは、移植版すべてに共通して「MAGICAL SOUND SHOWER」のイントロ部分のテンポがどこか不自然だと指摘されていたことです。これは多くのユーザーにとって「移植版ならではの特徴」として語り継がれ、今では一種の愛嬌のように受け止められています。

◆ 雑誌レビューでの評価

当時のゲーム雑誌でも『アウトラン』移植版はたびたび特集されました。特に欧州ではAmigaやAtari STといったホビーパソコン雑誌がレビューを掲載し、その点数はおおむね中堅から高評価に位置していました。

「アーケードを完全再現とはいかないが、家庭用としては十分満足できる」

「グラフィックの粗さはあるが、走る楽しさは失われていない」

「音楽の再現度に差があるため、機種選びが重要」

こうしたコメントは多くのレビューに共通して見られました。つまり、雑誌もユーザーも「移植版としての限界は認めつつ、その価値を肯定する」というスタンスが主流だったといえます。

◆ ファンの思い出と懐古

現在でもレトロゲームファンの間で『アウトラン』のパソコン版は語られます。その多くは「当時遊んだ思い出」として懐かしむ声です。

「友達の家で夜遅くまでAmiga版をやった」

「C64版の音楽が妙にクセになって、今でも耳に残っている」

「MSX2で動くアウトランを見て驚いた。あれがきっかけでゲーム開発に興味を持った」

このように、プレイヤーの思い出の中で『アウトラン』はただの移植作を超え、人生の一部として刻まれていることがわかります。

◆ 批判も含めて愛される存在

もちろんネガティブな感想も少なくありません。

「処理落ちが激しく、まともに遊べなかった」

「背景が単調で、アーケードの華やかさが消えていた」

「音楽がチープで残念だった」

しかし不思議なことに、こうした批判をする人も最終的には「でも当時は夢中で遊んだ」と付け加えるケースが多いのです。つまり、『アウトラン』の魅力は欠点すらも思い出に変えてしまう力を持っていたといえるでしょう。

◆ 総合的な評価

まとめると、パソコン版『アウトラン』の評判は以下のように整理できます。

家庭で遊べる喜び → 最高の体験として歓迎された。

グラフィックの制約 → 批判もあったが、技術的挑戦として評価。

音楽の再現度 → 賛否両論だが、独自の魅力を持つと認められた。

雑誌やレビュー → 「完全移植ではないが十分に楽しめる」という中庸な評価。

ファンの思い出 → 批判も含めて、今なお語り継がれる存在。

このように、パソコン版『アウトラン』は一筋縄ではいかない評価を受けつつも、最終的には「愛される作品」として多くの人々の記憶に残りました。

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■ 良かったところ

パソコン版『アウトラン』は、アーケードからの完全移植には程遠いながらも、当時のプレイヤーに数々のポジティブな体験を与えました。良かった点は、技術的側面から感情的な思い出に至るまで多岐にわたります。ここではその魅力を細かく掘り下げ、どのような点がプレイヤーに好意的に受け止められたのかを見ていきましょう。

◆ 家庭で「アウトラン」が遊べること自体の価値

最も大きな「良かったところ」は、やはり 家庭で『アウトラン』を遊べるようになったこと です。アーケード版の筐体は大型で、ゲームセンターに足を運ばなければ体験できませんでした。それが自宅のMSXやAmiga、C64といったパソコンで遊べる――この事実自体が圧倒的な価値を持っていました。

特に当時のパソコンユーザーは「アーケードの人気作が家庭で動く」ということに強い憧れを抱いており、『アウトラン』の登場は夢の実現そのものだったのです。

◆ コース分岐の新鮮さ

「右に行くか、左に行くか」というシンプルな分岐システムは、当時のプレイヤーに大きなインパクトを与えました。従来のレースゲームは一本道が多く、クリアするたびに同じ体験を繰り返すのが常識でした。しかし『アウトラン』では分岐によって異なる風景が広がり、プレイヤーは「次はこっちのルートを試そう」というリプレイ欲をかき立てられたのです。

パソコン版でもこの仕組みはしっかり受け継がれており、プレイヤーごとに「お気に入りの景色」や「走りやすいルート」が語られるようになりました。こうした多様性はゲーム寿命を延ばし、飽きずに遊び続けられる大きな要因でした。

◆ サウンドの魅力

音楽の再現度は機種ごとに異なったものの、「原曲の雰囲気を耳にできる」こと自体がファンにとって大きな喜びでした。特に「MAGICAL SOUND SHOWER」は、PSG音源やSIDチップなど各機種独自の音色によって異なる表情を見せ、結果的に「自分の機種ならではのアウトラン・サウンド」を楽しめるのが特徴でした。

AmigaやAtari ST版の豊かな音色は高く評価され、C64版のSIDチップによる独特のアレンジは今なおレトロゲームファンの間で愛され続けています。「アーケードの音楽をそのまま持ってきたわけではないのに、機種ごとの個性が音楽を通して感じられる」――これはパソコン移植版ならではの良さでした。

◆ 技術的挑戦への驚き

MSX2版ではラスタースクロールを持たないハードでコース描画を実現し、ZX Spectrum版では限られた色数の中でスピード感を演出するなど、開発者の工夫が随所に見られました。プレイヤーからすれば、こうした挑戦は「よくぞここまでやった」と感嘆する対象であり、単なるゲームプレイ以上の驚きを提供してくれました。

一部のユーザーは「不完全さも含めて、その時代の技術水準を知る教材のようだ」と振り返るほどで、技術的背景を含めて楽しむ余地があったのです。

◆ リプレイ性の高さ

『アウトラン』は短時間で遊べるゲームでありながら、ルート選択・スコアアタック・難易度の変化といった要素によって、何度も繰り返し遊びたくなる設計になっていました。

「ゴールにたどり着く」だけで満足する人もいれば、「より速く」「より美しい走行で」という自己ベスト更新を楽しむ人もいて、遊び方の幅が広い点は大きな長所でした。これはパソコン版でも健在で、ゲームを起動するたびに「もう一度走りたい」と思わせる力を持っていたのです。

◆ 当時の空気感を詰め込んだ“青春の一作”

『アウトラン』を遊んだ世代の多くが語るのは、「あの頃の空気が蘇る」という感覚です。画面を通して感じる夏の海辺の風景、助手席に座る女性とのドライブ、心を軽くするBGM。これらは現実の体験とは異なりながらも、確かに「理想の青春」を象徴していました。

「部屋の小さなモニターの中に広がる世界が、現実を忘れさせてくれた」という証言は数多く残っており、それこそが『アウトラン』が愛される最大の理由でもあります。

◆ コストパフォーマンスの高さ

アーケードで何度もプレイするにはコインが必要でしたが、パソコン版を購入すれば好きなだけ遊ぶことができました。当時のプレイヤーにとって、これは非常に大きな魅力であり「ゲームセンターに行くお金が浮いた」という実利的な評価も存在しました。特に学生や若者にとって、この点は見逃せない「良かったところ」でした。

◆ 文化的な意義

『アウトラン』のパソコン移植は、単なるゲーム移植ではなく「アーケード文化を家庭に届ける」という大きな意義を持っていました。欧州では特にその影響が強く、AmigaやC64世代のゲーマーたちに「日本のアーケードゲームの凄さ」を伝える架け橋となりました。後年のレースゲームの発展に少なからず影響を与えた点も、良い部分として高く評価されています。

◆ 総括

以上を整理すると、パソコン版『アウトラン』の「良かったところ」は以下のようにまとめられます。

家庭で遊べるという大きな喜び。

コース分岐による新鮮な遊び方。

各機種ごとに個性的な音楽表現。

技術的制約を超えようとした挑戦心。

短時間でも何度も繰り返し遊べるリプレイ性。

青春や理想を詰め込んだ“旅”の雰囲気。

コスト面での優位性。

ゲーム文化を広げた歴史的意義。

こうした点が重なり合い、パソコン版『アウトラン』は「不完全さを含めても愛すべきゲーム」として、今なお多くのファンに語り継がれています。

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■ 悪かったところ

『アウトラン』のパソコン版は、多くのプレイヤーに喜ばれつつも、やはり「残念な点」や「不満点」も数多く語られました。アーケード版の圧倒的な完成度を知っている人ほど、その差異を強く感じることが多かったのです。ここでは、当時のプレイヤーや雑誌レビューなどで取り上げられた“悪かったところ”を整理して解説していきます。

◆ アーケード版とのギャップ

最も大きな不満点は、やはり 「アーケード版との再現度の差」 です。アーケードの『アウトラン』は疑似3Dによるなめらかな道路表現や美しい背景、そしてハンドルやペダルを備えた体感筐体によって「まるで本当に車を運転しているような没入感」を与えてくれました。

しかしパソコン版では、ハード性能の制限により背景や車体の描写は大幅に簡略化され、処理落ちやカクつきも目立ちました。そのため「本物を知っていると物足りない」「あの爽快感が半減している」と感じるユーザーは少なくなかったのです。

◆ グラフィックの粗さ

機種ごとの性能差が顕著に出たのがグラフィックでした。

MSX2版 … コースの描画をBG書き換えで行っていたため、フレームレートが低下しがち。道路の奥行き表現は再現されているものの、滑らかさには欠けました。

ZX Spectrum版 … 色数が少なく、キャラクターや背景が単色化されてしまい、景色の華やかさがほとんど失われていました。

C64版 … 独自の味はあったものの、背景が簡素でアーケードの華麗さには遠く及ばなかった。

これらは「走っていても単調に見える」「景色の切り替わりが地味」という印象を与え、多くの批判の的となりました。

◆ 音楽の再現度の低さ

『アウトラン』の象徴とも言えるBGMは、パソコン版ではどうしてもアーケード版のような完成度に届きませんでした。特にMSXやZX Spectrumのような音源の制約が厳しい機種では「曲はわかるが味気ない」と言われることが多かったのです。

さらに、移植版すべてに共通して「MAGICAL SOUND SHOWER」のイントロがもたついて聞こえるという問題もありました。これはユーザーの間でよく話題になり、「せっかくの名曲が台無し」と不満を漏らす声も少なくありませんでした。

◆ 操作性の不満

アーケード版ではハンドルやペダルのアナログ入力によって滑らかな操作が可能でしたが、パソコン版ではキーボードやジョイスティックでのデジタル操作が基本となりました。この違いにより、特に慣れないうちは「曲がりすぎる」「逆に曲がらない」といった不自由さを感じやすかったのです。

また、一部機種ではキー入力のレスポンスが遅れる現象もあり、クラッシュしやすい原因となっていました。結果として「操作性の悪さがゲームの難易度を上げてしまっている」と評されることもありました。

◆ 処理落ちとカクつき

パソコン版の多くは、スピード感を再現するために工夫を凝らしていましたが、結果的に処理落ちやフレームレートの低さが目立ちました。特に敵車や背景オブジェクトが増える場面では動きが重くなり、「本来の爽快感が台無し」と批判されました。

AmigaやAtari STのような性能の高い機種では比較的スムーズでしたが、それでもアーケードの滑らかさには到底届きませんでした。

◆ 内容の削減

メモリや容量の制限により、アーケード版に存在した要素の一部が削られているケースもありました。例えば背景の細かなアニメーションや、エンディングの演出などが簡略化されてしまい、「完全移植ではない」と落胆する声も多くありました。

「せっかくゴールしても、エンディングが簡素すぎて達成感が薄い」との感想も少なくありません。

◆ 雑誌・メディアでの厳しいレビュー

当時のゲーム雑誌では、パソコン版『アウトラン』に対して辛口なレビューが見られることもありました。特にアーケード版の記憶が新しいユーザーにとっては、どうしても比較対象が厳しくなり、点数が低めに出やすかったのです。

「移植努力は認めるが、アーケード版を体験した人には勧めにくい」
「処理落ちや音楽の劣化が目立ち、完成度はもう一歩」

このようなコメントは当時の雑誌でも繰り返し登場し、ファンの間でも議論を呼びました。

◆ 期待とのギャップ

『アウトラン』はアーケードであまりにも人気を博したため、パソコン移植への期待値が非常に高かったのです。その結果、移植版を実際に遊んだ際に「こんなはずじゃなかった」と落胆する人も少なくありませんでした。これは作品そのものの問題というよりも、期待の大きさゆえの“宿命”といえるでしょう。

◆ 総括

悪かった点を整理すると以下のようになります。

アーケードとの再現度の差が大きい。

グラフィックが粗く、華やかさに欠ける。

音楽がチープでイントロ部分に違和感がある。

操作性がデジタル化され、滑らかさを失った。

処理落ちやフレーム落ちが頻発する。

一部の内容が削減され、エンディングも簡素。

期待値が高すぎたため、落胆の声が強かった。

これらの要素が合わさり、パソコン版『アウトラン』は「惜しい作品」という評価を受けることになりました。しかし同時に、これらの欠点を含めて愛されたのも事実であり、今では“レトロゲームならではの味わい”として再評価されています。

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■ 好きなキャラクター

『アウトラン』は、レースゲームでありながら従来の「キャラクター性」を強調した作品ではありません。プレイヤーが操作するのは赤いオープンカー(フェラーリ・テスタロッサ風)であり、登場人物としては運転手と助手席に座る女性だけです。しかし、これがかえって強烈な印象を残しました。ここでは、シンプルながらもプレイヤーの記憶に焼き付いたキャラクター的存在を掘り下げます。

◆ ドライバー(プレイヤー自身)

『アウトラン』の主人公ともいえるのが、ハンドルを握るドライバーです。特定の名前や顔が描かれているわけではなく、あくまで「プレイヤー自身」が投影される存在です。この“匿名性”がかえって魅力的でした。

プレイヤーは自分がその場にいるかのような感覚でドライブを楽しみ、コーナーでのスリルや加速時の高揚感を味わいます。まさに「自分自身が主人公」という没入体験を与えてくれるキャラクターと言えるでしょう。

この設計は、当時のゲームデザインとしても先進的でした。多くのレースゲームは「名もなき車」や「記号的なドライバー」を扱うことが多かった中、『アウトラン』は明確に「あなた自身が旅人である」とプレイヤーに語りかけるような構造を持っていたのです。

◆ 助手席の女性

最も印象的な存在といえば、やはり助手席に座る女性です。名前も設定も与えられていない彼女ですが、プレイヤーにとっては重要な“キャラクター性”を担っていました。

存在感
彼女の存在があることで、ドライバーは「孤独なレース」をしているのではなく、「誰かと一緒に旅をしている」という感覚を得られます。

感情表現
クラッシュすると女性が振り落とされるような演出が入り、「危ない!」と叫んでいるかのように感じさせました。逆にスムーズにゴールすれば、笑顔で喜んでいるかのように受け取れます。こうした演出は、当時のプレイヤーに強烈な印象を与えました。

憧れの象徴
オープンカーで女性とドライブ――これは1980年代における若者の“理想のシチュエーション”そのものでした。助手席の彼女は単なる背景キャラクターではなく、プレイヤーにとって「夢の象徴」として心に刻まれたのです。

このキャラクターは「名前がないからこそ、誰にでも置き換えられる」という特徴を持ち、プレイヤーの想像力を広げる役割を果たしました。

◆ 赤いオープンカー(フェラーリ・テスタロッサ風)

厳密にはキャラクターではないかもしれませんが、多くのプレイヤーにとって 「車そのものが主人公」 でした。特に赤いボディのテスタロッサ風マシンは、ゲーム全体を象徴する存在です。

この車が人気を集めた理由は以下の通りです。

デザインの美しさ … 80年代スーパーカー文化を代表するスタイル。

色彩のインパクト … 画面上で映える鮮烈な赤。

スピード感の象徴 … 一目で「速さ」と「自由」を感じさせるビジュアル。

プレイヤーは単に操作する対象としてではなく、「憧れの車に乗っている自分」を投影して楽しんでいました。結果的に、この赤いオープンカーは『アウトラン』最大の“キャラクター的存在”と見なされることも多いのです。

◆ 敵車たち

もうひとつ忘れてはならないのが、道中に登場する数々の敵車たちです。セダンやトラック、スポーツカーなど、種類は豊富ではありませんが、それぞれの動きがプレイヤーにとって印象的でした。

急に割り込んでくる車 … イライラしつつも強烈な記憶を残す。

大きなトラック … 存在感があり、クラッシュすると大きなロスになる。

同じスポーツカー … プレイヤーと並走することでライバル心を煽る。

彼らはセリフも名前も持たないものの、「アウトランの世界に生きるキャラクター」として確かに存在していました。

◆ プレイヤーにとっての“好きなキャラクター”とは

アンケートや口コミを振り返ると、多くのプレイヤーが「助手席の女性」や「赤い車」を“お気に入りのキャラクター”として挙げています。特に「助手席の彼女と一緒に走る感覚」が強調されることが多く、「一人で走るよりずっと楽しい」との感想が多く聞かれました。

中には「敵車の嫌らしい動きが逆に好きだった」「クラッシュ後の演出が印象的で忘れられない」といったユニークな声もありました。つまり、『アウトラン』における“キャラクター”とは、単なる登場人物ではなく「プレイヤーが感情移入した対象」すべてを含む広い概念だったのです。

◆ 総括

『アウトラン』のパソコン版において「好きなキャラクター」をまとめると、以下のように分類できます。

ドライバー(=プレイヤー自身) … 自己投影できる存在。

助手席の女性 … 旅の象徴、憧れのシチュエーション。

赤いオープンカー … 作品を象徴するアイコン。

敵車たち … 記憶に残る無言のライバル。

キャラクター数は少ないものの、プレイヤーがそれぞれに感情を重ねることで、強烈な個性が生まれていました。これこそが『アウトラン』におけるキャラクター表現の特異性であり、レースゲームとしての枠を超えた魅力の一因だったのです。

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●対応パソコンによる違いなど

『アウトラン』は、アーケードの大ヒットを受けて多くの家庭用機やパソコンに移植されました。その中でも「パソコン版」と一口に言っても、実際には機種ごとに大きな違いがありました。1980年代後半から1990年代にかけては、まだパソコンの性能が統一されていなかったため、同じタイトルでも“別の作品”といえるほどプレイ感覚が変わるのです。ここでは代表的な対応パソコン版を一つずつ紹介し、それぞれの特徴やユーザーからの評価を掘り下げていきます。

◆ MSX2版(日本/1988年、ポニーキャニオン)

日本国内で最も注目された移植のひとつがMSX2版です。セガ・マークIII版をベースとした移植で、ROMカートリッジで発売されました。

技術的特徴
MSX2はハードウェアにラスタースクロール機能を持たないため、アウトラン特有の道路の奥行き表現を実現するのに大きな制約がありました。そのため、SCREEN4を利用したBG書き換えでコースが描画されるという特殊な実装が採用されています。これにより疑似3D感は保たれていましたが、描画がカクつきやすいのも事実でした。

サウンド
音源はPSGのみ対応。アーケード版の華やかさには及ばないものの、「MAGICAL SOUND SHOWER」や「SPLASH WAVE」の旋律はしっかり再現され、簡素ながら心に残るサウンドとして親しまれました。

ユーザー評価
「MSX2でここまで表現できるのはすごい」という驚きと、「処理落ちが気になる」という不満が混ざり合った評価が多かったです。それでも日本のMSXファンにとっては貴重な一本でした。

◆ Amiga版(欧州)

Amigaはグラフィック・サウンドに優れたホビーパソコンであり、欧州における『アウトラン』移植の目玉とも言える存在でした。

技術的特徴
Amigaの強力なグラフィック機能により、比較的スムーズなスクロールと多彩な色彩が実現されました。他のパソコン版と比べても「アーケードに最も近い」と評される完成度を誇りました。

サウンド
Amigaのサウンドチップを活かし、原曲に近いBGMを再現。欧州のゲーマーはこのサウンドの完成度を絶賛しており、「アーケードそのままとは言えないが雰囲気は十分」と高く評価しました。

ユーザー評価
アーケードと比較すれば粗さは残るものの、欧州市場では「家庭で遊べる最高のアウトラン」と称されました。

◆ Atari ST版

Amigaと双璧を成した欧州のホビーパソコンがAtari STです。

技術的特徴
Atari STはAmigaよりもやや色数が少なく、グラフィックの鮮やかさでは一歩劣りました。ただし処理速度は比較的安定しており、遊びやすい移植とされました。

サウンド
音源性能はAmigaに比べると弱いため、BGMの再現度は控えめでした。しかし旋律そのものはしっかり残されており、ゲーム体験を損なうほどではありませんでした。

ユーザー評価
「Amiga版に比べると地味」との声もありましたが、それでも十分楽しめると受け止められ、欧州のAtari STファンにとっては定番ソフトのひとつとなりました。

◆ Amstrad CPC版

Amstrad CPCはイギリスを中心に普及した8ビットパソコンです。

技術的特徴
色数が限られていたため、グラフィックはかなり簡素化されました。処理速度も遅めで、道路描写はカクカクしていました。

ユーザー評価
多くのプレイヤーは「動くだけでも感謝」というスタンスで楽しんでいました。アーケードの迫力を求めると不満が出るものの、CPCユーザーにとっては貴重な一本でした。

◆ ZX Spectrum版

イギリスを代表する8ビットパソコン、ZX Spectrum版も存在します。

技術的特徴
極端に色数が少なく、キャラクターや背景は単色で表現されることが多かったです。そのため、アーケード版の華やかさはほとんど再現できませんでした。

サウンド
単純なビープ音に近く、音楽面は期待できませんでした。

ユーザー評価
「まったく別物」「これはこれで味がある」と意見が分かれました。ただ、Spectrumユーザーの間では「動いているだけで嬉しい」という肯定的な声も多くありました。

◆ Commodore 64版

C64はSIDチップによる音楽性能で有名な機種です。

技術的特徴
グラフィックは限界があり、シンプルな表現に留まりました。

サウンド
BGMはSIDチップによって独特のアレンジが施され、アーケード版とは違うものの、C64ファンから「むしろこっちのほうが好き」という声が出るほどの人気を得ました。特に「MAGICAL SOUND SHOWER」はC64風チップチューンとして評価が高いです。

ユーザー評価
「見た目は貧弱だが音楽は最高」という意見が多く、C64版ならではの魅力を持っていました。

◆ PC/AT互換機版(Mindscape/1989年)

IBM PC/AT互換機向けにUnlimited Softwareが開発し、Mindscapeから発売されたバージョンです。

技術的特徴
当時のPC/ATはグラフィック性能にばらつきがあり、EGAやVGA対応で表現が異なりました。描画は単純化されがちで、アーケード版の派手さには及びませんでした。

サウンド
PCスピーカー出力が主流で、音楽は簡素でした。Sound Blaster対応が進む前だったため、音響面は大きな弱点となりました。

ユーザー評価
グラフィックと音楽の制約で不評も多かった一方、「会社のPCでもアウトランが動いた」という喜びの声もあり、オフィスで遊ばれることもあったそうです。

◆ 総括

対応パソコンごとの差異をまとめると次の通りです。

MSX2版 … 技術的挑戦と簡素な音楽、だが日本ユーザーにとっては貴重。

Amiga版 … アーケードに最も近い移植。サウンドも高評価。

Atari ST版 … Amigaに劣るが安定した移植。

Amstrad CPC版 … シンプルだが遊べる。限定的な評価。

ZX Spectrum版 … 単色で地味だが「味がある」と好意的な声も。

Commodore 64版 … 音楽が高評価。C64ファンにとっては名作。

PC/AT版 … 技術制約が多いが、オフィスでも遊べた点がユニーク。

つまり『アウトラン』は、単なる移植ではなく「各機種が持つ個性を映し出す鏡」として存在しました。どの機種のファンにとっても、自分の愛用パソコンで遊べる『アウトラン』は大切な存在だったのです。

●同時期に発売されたゲームなど

『アウトラン』がパソコンに移植された1988〜1989年という時期は、まさに家庭用パソコンゲームの移植ラッシュが続いていた時代でした。特に欧州市場では、アーケードで人気を博したタイトルが次々にAmiga、Atari ST、C64、ZX Spectrumといったホビーパソコンへ移植され、プレイヤーは「自宅でアーケード体験を楽しむ」ことを夢見て購入していました。ここでは、『アウトラン』とほぼ同時期に発売された代表的なパソコンゲームを10作品取り上げ、それぞれの概要を紹介していきます。

★アフターバーナーII

販売会社:SEGA/欧州版はActivisionなどを通じて流通

販売年:1988年(各国PC向け移植)

販売価格:機種によって30〜40ポンド前後

内容:戦闘機を操縦し、次々と迫り来る敵機を撃墜していくアーケードシューティングの移植版。AmigaやAtari ST、C64、ZX Spectrumといった幅広い機種に展開されました。『アウトラン』と同じくスピード感が命の作品であり、疑似3D表現の迫力が移植時の大きな課題となりました。

★スペースハリアー

販売会社:SEGA/欧州ではElite Systemsが担当

販売年:1986年アーケード、1988年前後にPC移植

販売価格:25〜30ポンド前後

内容:ファンタジー世界を舞台に、空を飛ぶ主人公がレーザーで敵を倒していく疑似3Dシューティング。Amiga版やAtari ST版は比較的評価が高く、「移植度の高さ」がファンの間で話題に。『アウトラン』同様、スピードとカラフルな世界観の再現がポイントでした。

★ゴーストバスターズII

販売会社:Activision

販売年:1989年

販売価格:C64やAmiga版で約25ポンド

内容:大人気映画『ゴーストバスターズ2』を題材にしたアクションゲーム。プレイヤーはバスターズのメンバーを操作し、ニューヨークの街でゴースト退治を繰り広げます。映画ゲームという点で注目度が高く、アウトラン同様に「時代の空気」を映した作品でした。

★R-TYPE

販売会社:IREM(アーケード)/欧州移植はElectric Dreams

販売年:1988年

販売価格:約30ポンド

内容:横スクロールシューティングの金字塔。Amiga、C64、ZX Spectrumなど多数の機種に移植され、アーケード版さながらの難易度でプレイヤーを魅了しました。スピード感あるゲーム性という点で『アウトラン』と並んでよく比較されるタイトルです。

★シャドー・オブ・ザ・ビースト

販売会社:Psygnosis

販売年:1989年(Amiga版)

販売価格:35ポンド前後

内容:Amigaの性能を活かした美麗グラフィックと、幻想的な世界観で話題になったアクションゲーム。『アウトラン』が「爽快なドライブ」を提供したのに対し、本作は「美しさと不気味さが共存する世界」を体感させました。

★ダブルドラゴン

販売会社:Technōs Japan(アーケード)、欧州移植はVirgin Gamesなど

販売年:1988年

販売価格:各機種版で25〜30ポンド程度

内容:アーケードで人気のベルトスクロールアクション。AmigaやAtari ST、C64などに移植され、友人と協力プレイを楽しむことができました。『アウトラン』が「ひとりで旅する喜び」なら、こちらは「二人で戦う楽しさ」を象徴するタイトルでした。

★トップガン

販売会社:Konami/欧州ではOcean Software

販売年:1987年(アーケード)、1989年前後にPC版展開

販売価格:25〜30ポンド

内容:映画『トップガン』をベースにしたフライトシューティング。スピード感と映画の人気が相まって大ヒットしました。アウトランと同様、「速さの再現」が評価と不満の分かれ目となりました。

★ゴールデンアックス

販売会社:SEGA/欧州移植はVirgin Gamesなど

販売年:1989年

販売価格:30〜35ポンド

内容:アーケードで人気を博したファンタジーアクション。Amiga、Atari ST、C64などで移植版が発売されました。『アウトラン』と同じく「アーケード体験を家に持ち込む」ことがテーマの一本です。

★スーパーハングオン

販売会社:SEGA

販売年:1987年アーケード、1989年前後にPC移植

販売価格:30ポンド前後

内容:オートバイで疾走する体感型レースゲーム。『アウトラン』の兄弟作品とも言える存在で、AmigaやAtari STに移植されました。両作を比較して「どちらがスピード感を再現できているか」がよく議論されました。

★ロードランナー

販売会社:Brøderbund/欧州はU.S. Gold

販売年:1988年(PC版多数)

販売価格:20〜25ポンド

内容:アーケード発のアクションパズル。C64やZX Spectrumなどに移植され、当時の定番タイトルのひとつでした。『アウトラン』と同時期に遊ばれることが多く、ジャンルは違えど「中毒性の高さ」で並び称されることもありました。

◆ 総括

こうして見てみると、『アウトラン』と同時期に登場したゲーム群は「アーケードの人気作を家庭で楽しむ」という共通テーマを持っていました。

スピード感重視(アフターバーナーII、スペースハリアー、スーパーハングオン)

アクション・格闘重視(ダブルドラゴン、ゴールデンアックス)

映画・ライセンス作品(トップガン、ゴーストバスターズII)

美麗グラフィック重視(シャドー・オブ・ザ・ビースト)

パズル・頭脳系(ロードランナー)

『アウトラン』はその中で「旅と自由」という独自のテーマを掲げ、単なるレースゲームを超えた存在感を発揮していました。同時期のタイトルと比べても、その“爽快なドライブ体験”は唯一無二であり、だからこそ今でも語り継がれているのです。

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