『河原崎家の一族』(パソコンゲーム)

【公式・直販】 ゲーミング PC ノートパソコン 新品 Lenovo LOQ 15IRX9 15.6インチ FHD IPS液晶 GeForce RTX 4050 Core i7 13650HX メ..

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【発売】:シルキーズ
【対応パソコン】:PC-9801、Windows
【発売日】:1993年12月22日
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム

[game-ue]

■ 概要

エルフ姉妹ブランド・シルキーズを象徴する問題作

「河原崎家の一族」は、PC-9801向けに1993年末に登場したアダルト向けアドベンチャーゲームで、のちにDOS/V版やWindows 3.1版、Windows 95版などへと移植されたロングセラー作品です。発売元は、恋愛アドベンチャー「同級生」で一気に知名度を高めたエルフの姉妹ブランド・シルキーズ。恋愛寄りだったエルフ本体の作品群に対し、より濃密でダークな作風を任せるための“実験場”的な位置づけを持つブランドであり、その代表作として語られるのが本作です。対応機種は初期のPC-9801VM以降を皮切りに、DOS/V、各種Windows環境へと広がり、DVD-PG版やダウンロード配信版などを通じて、長い期間にわたってプレイされてきました。

ジャンルとしては、複数のシナリオ分岐と多彩なエンディングを備えたコマンド選択式アドベンチャー。プレイヤーの選択が物語を大きく変化させるスタイルは、当時のアダルトゲームの中でもかなり野心的な部類に入り、後の作品群にも大きな影響を与えたとされています。エンディングは19種類とされ、同じ舞台・同じ夏の数日間でありながら、プレイごとにまったく違う決着へと転がっていく構造は、一種の“分岐群小説”のようでもあります。
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開発の背景とコンセプト

企画とシナリオ、ゲームデザインを担ったのは、エルフ作品でお馴染みの蛭田昌人。前作「同級生」で大成功を収める一方で、「純愛・青春路線のイメージが強くなりすぎた」という作者本人のジレンマもあったと言われています。そこから生まれたのが、「もっと泥臭く、負の感情や欲望を前面に押し出した作品を作りたい」という発想です。自らの鬱屈した部分やブラックユーモア、背徳感への興味を遠慮なく盛り込める場所としてシルキーズを活用し、その第1弾級のタイトルとして作られたのが「河原崎家の一族」と考えると、本作のトーンの濃さも納得がいきます。

コンセプトの中核にあるのは、「閉ざされた名家の洋館」と「外部からやってきた一般人」の対比です。プレイヤーは何の変哲もない大学生の青年となり、経済的事情から名家・河原崎家の住み込み使用人を引き受けることになります。ところが、その家は表から見える“上品な名家”とは別の顔を持ち、住人たちはどこか歪んだ欲望や秘密を抱えている――この「常識人が異常な環境に放り込まれる」構図が、ゲーム全体の不穏さを支えています。

物語の舞台と基本設定

舞台となるのは、地方のとある街外れに建つ巨大な洋館。歴史のある名家という設定にふさわしく、広大な敷地と立派な門構え、内部には客間や応接室、書斎、主の部屋、使用人エリアなどが張り巡らされ、ゲーム中でもさまざまな部屋を行き来することになります。室内はクラシカルな調度品で飾られていますが、その豪華さは同時に“閉じ込められた箱庭”であることを強調し、プレイヤーに微妙な居心地の悪さを感じさせます。

外部とを結ぶのは、ほとんど自動車だけという立地条件もポイントです。広大な敷地の周囲には人気が少なく、簡単には街へ戻れないような雰囲気が演出されており、主人公は「高額なバイト代」と引き換えに、半ば隔離されたような生活を送ることになります。使用人部屋からは他のメイドの気配や、どこからともなく聞こえる物音が伝わり、プレイヤーは“この家では何かがおかしいのではないか”という不安を、徐々にふくらませていくことになります。

河原崎家の構成員たちは、一見すると上流階級らしい立ち居振る舞いを見せますが、その裏では異様な人間関係が絡み合っています。厳格な夫人、謎の多い運転手、妙に怯えた様子のメイドたち、どこか陰のある子女たち――こうした人物像は、それぞれが別の秘密や欲望を隠し持っていることを匂わせ、プレイヤーに「この人は味方なのか、それとも危険な存在なのか」という疑念を抱かせるように設計されています。

ゲームシステムとしての特徴

ゲームパートは、当時のPC-98アドベンチャーとしては王道の、テキストと立ち絵、コマンドメニューを組み合わせた形式です。画面上部または中央にキャラクターの立ち絵と背景グラフィックが表示され、その下に文章ウィンドウ、その横あるいは画面下部に行動コマンドが並ぶというスタイルで、プレイヤーは「話す」「移動する」「調べる」といった選択肢を選びながら物語を進めていきます。

本作が特徴的なのは、こうした基本構造の上に、多数の分岐とエンディングが細かく仕込まれている点です。一度の選択が、その時点ではささいな違いに見えても、後のイベントで大きな影響を及ぼし、特定のキャラクターと深く関わるルートへ入ったり、逆に取り返しのつかない結末へ転がり落ちたりします。単にテキストを読み進めるだけでなく、どのタイミングで誰と会話し、どのイベントを優先するかを意識しながら行動しないと、見られる結末が大きく変わる――この「計画的な行動」が求められる設計が、本作のADVとしての骨太さを生み出しています。
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また、PC-98版では640×400ドット・16色表示という当時標準的なスペックを前提に、陰影を活かしたグラフィックスが描かれています。薄暗い廊下や夜の庭、ランプの光だけが差し込む部屋など、単色に近いパレットを巧みに使い、洋館の不気味さと妖しさを両立させているのが印象的です。サウンド面ではFM音源によるBGMが採用され、低音の効いた不穏な曲や、静かなピアノ調の楽曲によって、じわじわと緊張感を高めていきます。後発のWindows版ではカラー数の増加やPCM音源によるサウンドの強化、さらにはボイス付きバージョンなども登場し、同じ物語でありながら視覚・聴覚的な印象は大きく変化しました。
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マルチシナリオ作品としての立ち位置

「河原崎家の一族」は、複数のシナリオラインとエンディングを持つ作品としてよく語られますが、いわゆる“マルチシナリオADV”そのものの元祖というわけではありません。それ以前から、マルチエンディングを取り入れたアダルトゲームは存在しており、本作より少し前の時期にも、同様の発想で作られたタイトルが出ています。

しかし、本作の特徴は、そうした仕組みを“洋館という限定空間”に凝縮し、主だった登場人物たちの視点や運命を、1つの舞台装置の中で多層的に描き出した点にあります。同じ夏の数日間という時間軸のもとで、プレイヤーの行動次第で、あるルートでは特定のメイドが救われ、別のルートでは別のヒロインが破滅する――そうした“パラレルな結末”の連なりとして見ると、「同じ世界の可能性を何度も覗き込む」タイプのゲームともいえます。この構造が、のちのシルキーズ作品や他ブランドのマルチエンディングADVに与えた影響は小さくなく、現在では“ダーク系マルチシナリオADVの古典”的な位置づけで語られることが多い作品です。

メディアミックス展開と長期的な影響

ゲームとしての成功を受け、本作はのちにアダルトアニメやアダルトビデオとして映像化されました。1990年代後半にピンクパイナップルから全2巻のOVAがリリースされており、ゲーム版の物語をベースにしつつ、アニメならではの表現や設定の変更が加えられています。ゲームで描かれた複数ルートの中から代表的な要素を抽出し、尺に合わせて再構成した内容になっており、「ゲームを遊んでからアニメを見ると、どのエンディングの要素を拾っているのかが分かる」といった楽しみ方もできるようになっています。

その後も、マルチパックやダウンロード配信といった形で再発売が続いたことで、PC-98世代を知らないプレイヤーにも触れられる機会が残されました。現在では、倫理規制や表現の流行の変化により、内容的にはかなり過激な部類に入る作品ですが、“閉ざされた洋館で繰り広げられる背徳的なドラマ”という構図や、分岐の多さからくる没入感は、アダルトADV史を振り返るうえで避けて通れない存在といえるでしょう。

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■ ゲームの魅力とは?

閉ざされた洋館が生み出す濃密な恐怖とエロスの空気

「河原崎家の一族」の一番の魅力は、プレイヤーを逃げ場のない空間へ閉じ込めてくる空気感の濃さです。舞台となるのは地方の名家・河原崎家の広大な洋館。格調高い調度品や手入れの行き届いた庭園など、一見すると「由緒正しい良家の邸宅」なのですが、ゲームを進めるにつれて、その豪奢さが逆に“牢獄”のように感じられてくる作りになっています。館の中は常に薄暗く、プレイヤーが移動できる場所も限られており、昼間であってもどこか陰鬱な色調が支配しているため、「この建物のどこかで必ず何かがおかしくなっている」という予感から逃れられません。

そこに重ねられるのが、歪んだ欲望と背徳感を前面に押し出したエロティックな描写です。名家の人間たちが抱える秘密や性的な癖、主従関係に潜む支配と服従の構図など、本作は綺麗事だけでは済まない“人間の暗部”を容赦なく突いてきます。ただし、単に過激なシーンを並べるのではなく、物語の流れの中でじわじわと積み上がる不安と緊張の果てにそうした場面が現れるため、一つひとつの場面が「怖さ」と「興奮」を同時に引き起こすようにデザインされています。外界から切り離された洋館で精神的にも逃げ場を失っていく感覚は、純愛路線中心だった当時のアダルトゲームの中でも際立って異質であり、その異様さこそが本作ならではの魅力といえます。
メタリスト

選択が運命をねじ曲げるマルチシナリオ構造

ゲームシステムの面で本作を語るうえで外せないのが、細かく枝分かれするマルチシナリオ・マルチエンディング構造です。エンディング数は19にも及び、プレイヤーがどのタイミングでどのキャラクターと関わり、どの行動を選ぶかによって、同じ夏の数日間でありながらまったく違う結末が待ち構えています。

特徴的なのは、「分岐ポイントらしい派手な分岐」がはっきり提示されるのではなく、日常的な選択の積み重ねがいつの間にか大きな分岐を生んでいることです。例えば、朝の巡回で誰の様子を見に行くか、食事の場で誰と会話を交わすか、疑わしい物音を聞いたときに調べに行くか放置するか――こうした行動の組み合わせが、やがて特定の人物と親密になったり、逆に決定的な不信感を招いてしまったりと、後々まで尾を引く結果をもたらします。

さらに、選択を誤った場合には唐突にバッドエンドへ叩き落とされることもあり、「この選択で本当に良かったのか?」という不安が、最後まで消えません。そのため、初回プレイでは手探り状態で進めざるを得ず、何度も遊び直してルートを検証したくなる作りになっています。「この時ああしていれば、違う運命になったのではないか」という“もしも”のパターンを、自分の手で確かめていく過程そのものが、本作の最大の面白さの一つです。

一癖も二癖もある登場人物たち

物語を彩るキャラクターたちも、「河原崎家の一族」の魅力を語るうえで欠かせません。主人公はどこにでもいるような大学生であり、プレイヤーの視点を担う“普通の青年”として描かれますが、それ以外の人物は全員が何かしらの秘密や事情を抱えており、誰一人として真正面から信用できません。

家政を取り仕切る未亡人然とした夫人は、表向きは冷静で厳格な人物でありながら、どこか隠し立てをしている素振りを見せます。メイドたちは従順そうに見えて、主人には言えない悩みを抱えていたり、過去の出来事に囚われていたりします。無口な運転手や、どこか憂いを帯びた娘たちも含め、全員が「この人は味方なのか、それとも敵なのか」とプレイヤーに疑念を抱かせるような描き方をされているため、会話の一つひとつを読み解く緊張感が生まれています。

また、キャラクター同士の関係性も非常に複雑です。主従関係、血縁関係、過去の因縁、金銭や権力をめぐる利害などが絡み合い、その中に主人公が突然放り込まれる形になるため、プレイヤーは“外部者の視点”から、徐々にその人間関係の網の目を解きほぐしていくことになります。あるルートでは優しく接してくれた人物が、別ルートでは冷酷な一面を見せたり、ときに恐るべき本性を露わにしたりするため、「同じキャラでここまで印象が変わるのか」という驚きも、本作を何度も遊び直したくなる大きな要因となっています。

PC-98発のグラフィック表現とサウンドの迫力

ビジュアル面では、PC-9801の640×400ドット・16色表示という制約の中で、陰影豊かなグラフィックを描き切っている点が評価されています。洋館の廊下や客間は、明るい場所であってもどこか色数を抑えた陰鬱なパレットで描かれており、プレイヤーが常に「光の届かない隅」を意識させられるような画面構成になっています。夜の場面では窓から差し込む月明かりや、スタンドライトの局所的な光が強調され、キャラクターの表情の陰影がいっそう不穏に見えるよう工夫されています。

キャラクターデザインは耽美的でありながら、どこか不安を掻き立てる雰囲気をまとっており、清楚な外見のヒロインでさえ、状況次第で妖しく崩れていく危うさを感じさせます。後年のWindows版では表示色が増え、より滑らかな陰影や肌の質感が表現できるようになったことで、PC-98版とはまた違った“生々しさ”が強まりました。

サウンド面では、PC-98版・DOS/V版ではFM音源によるBGMが採用されており、低くうねるベースや不協和音を効かせたメロディが、洋館の閉塞感と相まって独特の緊張感を生み出しています。Windows版やマルチパック版などではPCM音源によるアレンジBGMとなり、よりクリアな音質で不穏なフレーズを響かせるようになりました。また、PC-98版では無音に近い静寂の時間も多く、その“何も鳴っていない時間”がかえって不安を煽る仕掛けとして機能しており、プレイヤーはちょっとした効果音やドアの軋みだけで驚かされることになります。
ウィキペディア

後発のWindows 95版やマルチパック版などでは、主人公以外のキャラクターにボイスが付与され、登場人物の狂気や甘言が“声”として迫ってくるようになりました。これにより、同じシーンであってもPC-98版とは印象が大きく変わり、耳からの情報が恐怖や背徳感をさらに増幅させる形になっています。

遊ぶたびに違う「後味」が残る体験性

「河原崎家の一族」は、単にエロティックなイベントを集めたゲームではなく、「プレイヤーの選択によって後味が大きく変わる作品」として記憶に残るタイトルです。あるルートでは特定のヒロインを救うことができ、別のルートでは彼女が悲惨な運命を辿ってしまう――そうした“分岐した世界”を何度も覗き込むことで、プレイヤーは徐々に「自分はどんな結末を望んでいるのか」を意識するようになります。

中には、性的な欲望を優先することで即物的な快楽を得られるルートもあれば、あえて欲望を抑え、住人たちに対して誠実に接することで、比較的穏やかな結末へたどり着くルートも存在します。しかし、どのルートを選んだとしても、プレイヤーの胸には必ず何らかの「後味」が残るよう構成されており、誰かを救えば誰かがこぼれ落ちてしまう、あるいは自分だけが傷つかずに済もうとした結果、より大きな悲劇を招いてしまう――そんな“やり直しの効かない人生”の縮図のようなテーマが、プレイ後に重くのしかかってきます。

この「どこかに必ず後悔が残る」感覚こそが、本作に特有の魅力です。すべてのエンディングを見るころには、単なるエロティックゲームを遊んだというより、一冊の分厚い怪奇小説やサスペンス小説を何度も読み返した後のような、妙な疲労感と充足感が入り混じった気分を味わえるはずです。当時のアダルトゲームとしてはかなり踏み込んだ表現を含むものの、「人の欲望と選択の結果」を徹底的に描き切った作品だからこそ、今なお名前が挙がり続けるのだと言えるでしょう。
メタリスト

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■ ゲームの攻略など

まず押さえておきたい「基本戦略」

「河原崎家の一族」は、コマンド選択式のオーソドックスなアドベンチャーゲームですが、内部ではかなり複雑な分岐が組まれており、エンディングは19種類にも及びます。 そのため、「一度で全てを見尽くす」のではなく、「まずは1つのルートを最後まで通して全体像を掴む」「そのあとで少しずつ狙いを変えて周回する」という段階的なプレイ方針が重要になります。

最初の数周は、「とにかくバッドエンドを避けて、何らかのエンディングに辿り着く」ことを目標にするとよいでしょう。序盤からあまりに怪しげな選択を連発すると、あっさり破滅的な結末を迎えることもあり、ゲームの全体像が見えないまま終わってしまいます。むしろ最初は、“常識的な選択”を心がけ、使用人として真面目に働き、住人たちにも丁寧に接することで、物語の骨格と人物相関を把握するのが得策です。

また、PC-9801版・Windows版ともにセーブ機能は十分用意されていますから、重要そうなイベントの前後では積極的にセーブを残しておきましょう。特定の選択肢を基点に、分岐の両側を試す“分岐観光”を行いやすくなり、周回の効率が一気に上がります。特に、序盤の共通パートでの行動は多くのルートに影響するため、「朝の行動」「食事の場」「夜の見回り」など、日課のように発生するタイミングの前後には、こまめなセーブを習慣にしておくと後々便利です。

日々の行動で意識したいポイント

本作の進行は、洋館での日常を数日間にわたって過ごす、という形で進みます。時間帯ごとに行き先や行動が選べるため、どこへ行き、誰と会い、何を話すかがそのままフラグになっていきます。

攻略の大きなポイントになるのが、

「誰と頻繁に顔を合わせているか」

「困っている人物をどれだけフォローしたか」

「怪しい出来事にどれだけ首を突っ込んだか」
といった“積み重ね”です。あるキャラクターのイベントを進めたい場合は、その人がいそうな場所や時間帯を意識して足を運び、会話を重ねることが大切です。一度や二度話しただけでは何も起きず、「何度も顔を合わせてようやく核心に触れる会話が発生する」という構成になっていることも多いので、同じ場所に何度か通ってみる根気も必要になります。

また、館の中では、時折「妙な物音が聞こえる」「誰かの声がかすかに聞こえる」といった、不穏な前兆イベントが挟まれます。ここで“気のせいだと放置する”か“あえて調べに行く”かで、後の展開が変わってくることも多く、ホラー的な雰囲気を味わうだけでなく、ルート分岐上も重要な分かれ目となります。基本的には、「何か変だ」と感じる出来事があったら、積極的に追いかけてみる方が、多くのイベントを回収しやすくなります。

ヒロイン別ルートに入るための考え方

本作には複数の女性キャラクターが登場し、それぞれに近しい関係になっていく“ルート”が用意されていますが、いわゆる恋愛ADVのように「好感度パラメータ」が数値で見えるわけではありません。代わりに、「どの時間帯に誰を訪ねたか」「相談に乗るかどうか」「危険な場面で庇うか見捨てるか」といった、一連の選択の流れが、そのキャラクターとのルートフラグになっています。

攻略の指針としては、

気になるキャラクターを一人か二人に絞る

その人物に関係しそうなイベントを優先して追いかける

途中で別キャラに浮気しすぎない
という方針が有効です。あれもこれもと欲張ると、どのヒロインとの関係も中途半端なまま進行し、結果として中途半端なエンディングやバッドエンドに流れてしまうことがあります。

また、河原崎家という舞台そのものが“何かを隠している”という構図のため、あるヒロインのルートを進めることで、別のキャラクターの過去や真実が断片的に明らかになるケースもあります。最初から全キャラを完璧に攻略しようとするよりも、「この周はメイドAを軸に」「次の周では夫人を軸に」といった形で、周回ごとに視点を変え、少しずつ全体像を繋ぎ合わせていくのが、本作の楽しみ方としてもおすすめです。

マルチエンディングを制覇するための周回テクニック

19種類ものエンディングを全て見るのは、さすがに一筋縄ではいきません。一つのルートをクリアするだけならそこまで難しくないものの、分岐の網の目をすべて埋めようとすると、かなりの根気が要求されます。 ここでは、コンプリートを目指す際の具体的なテクニックをいくつか挙げておきます。

メモを取りながらプレイする
 どの時間帯にどの場所へ行き、誰と会い、どんな会話をしたか――を簡単にメモしておくと、「前回と違う行動」を意識的に選びやすくなります。分岐を探る段階では、紙でもテキストファイルでも構わないので、プレイログを残しておくと便利です。

“分かれ目”になりそうな選択の直前にセーブを残す
 明らかに重要そうな場面(告白めいた会話、重大な事件、誰かを助けるか見捨てるかの選択など)の手前では、必ず別スロットにセーブをとっておきます。そこを起点に、片方の選択肢を選んだ後の展開を一通り確認したら、ロードして逆側も試す、という形で効率的にエンディング分岐を埋めていくとよいでしょう。

バッドエンドもあえて回収する
 本作のバッドエンドの多くは、「なぜそうなったのか」が物語的に意味を持つように作られています。あえて救いのない結末を見ておくことで、キャラクターの本性や、館の成り立ちについてのヒントが得られることも少なくありません。コンプリートを目指すなら、“ハズレ”として切り捨てず、物語の別の側面として味わっておくのがおすすめです。

CGモード・回想モードを進捗確認に利用する
 後発のWindows版やマルチパック版では、CGモード・音楽モード・回想モードなどのギャラリ機能が充実しており、どのイベントCGやシーンを見逃しているかが一目で分かります。
 ギャラリ画面を“地図”のように活用し、空白になっている箇所を埋める感覚でプレイルートを調整していくと、自然とエンディング制覇に近づいていきます。

難易度と「遊びやすくする」システム機能

シナリオの歯ごたえという意味では、中盤以降の分岐を追い込もうとすると相応に難しく、ノーヒントで全エンディングまでたどり着くのはかなり根気が要ります。その一方で、本作には遊びやすさを補助するシステムも多く、Windows版やDMM配信版ではメッセージスキップやオートモードなどが充実しています。

特に周回プレイでは、既読メッセージのスキップ機能が大きな助けになります。一度読んだ共通パートは高速で飛ばし、分岐を変えたい場面だけ手動で操作する、というスタイルを徹底すれば、プレイ時間と疲労感をかなり抑えることができます。初回プレイではじっくりテキストを味わい、2周目以降はスキップとオートモードを駆使して「検証モード」に切り替える、といった使い分けが効果的です。

また、難易度を“自分なりに調整する”という意味では、「一度に追いかけるルートを少なくする」「夜の探索範囲を敢えて絞る」といった“縛りプレイ”も有効です。欲張って館中を駆け回るより、毎晩決まった場所と数カ所だけを重点的にチェックする方が、どの行動がどのキャラや結末に影響しているのかを理解しやすくなります。慣れてきたら、逆に「今回はあえて怪しい選択を優先する」「明らかに危険そうな人物に付いて行ってみる」といったチャレンジングな遊び方を試してみるのも面白いでしょう。

「怖さ」と「謎解き」を両立させた楽しみ方

攻略という視点から見ると、「河原崎家の一族」は“エンディングコンプリートを目指すパズル”として楽しむこともできますが、同時に“ホラー仕立てのサスペンスADV”としての顔も忘れてはいけません。あまり効率だけを求めてしまうと、せっかくの不穏な雰囲気や、じわじわと真相が見えてくる感覚が薄れてしまうことがあります。

おすすめなのは、

初回~数周目:効率よりも雰囲気とストーリー重視で、素直に驚き・恐怖を味わう

中盤以降:登場人物の背景や真相を把握してきた段階で、分岐を埋めるパズルとして攻略に専念する
という二段構えの遊び方です。

初見のイベントや不気味な演出は、一度きりしか味わえない“新鮮な怖さ”を持っています。これを大事にするためにも、最初から攻略サイト的な情報に頼りきるのではなく、自分の勘と推理で「この人は信用していいのか」「この行動は危険ではないか」を考えながら選択してみると、本作本来の魅力がいっそう強く感じられるはずです。そのうえで、どうしても行き詰まった時にだけ、エンディング一覧や分岐情報を参考にしつつ、埋まっていないルートを一つひとつ丁寧に辿っていく――このバランス感覚こそ、長く遊べる作品である「河原崎家の一族」を最後まで楽しみ尽くすコツと言えるでしょう。

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■ 感想や評判

発売当時のプレイヤーが受けた「衝撃」の大きさ

「河原崎家の一族」がPC-9801向けに登場した当時、多くのプレイヤーがまず驚かされたのは、その“空気の重さ”でした。ギャルゲーやラブコメ寄りのアダルトゲームが台頭しつつあった時期に、ここまで徹底して陰鬱で、背徳感と恐怖を前面に押し出した作品は決して多くありません。エルフ本体のブランドイメージが「同級生」などにより、甘酸っぱい青春や恋愛のイメージと結びついていったのに対し、シルキーズが放ったこのタイトルは、まさに“真逆のベクトル”を突き進む作品として受け止められました。 口コミや当時の雑誌記事などでは、「とにかく雰囲気がねっとりしている」「洋館の閉塞感がすごい」といった感想が多く、単に刺激的なシーンが多いというだけでなく、物語全体が放つ不穏さや心理的な圧力に言及する声が目立ちます。日を跨いでプレイしたのに、電源を落とした後もしばらく洋館の暗い廊下や、住人たちのくぐもった声が頭から離れない――そうした“後を引く体験”として記憶している人も少なくありません。

恐怖とエロスのバランスへの評価

本作はしばしば“SM色の強い作品”として語られますが、その評価は決して一面的ではありません。BGMサウンドトラックの紹介などでも、全体的に重く、緊張感を持続させるような楽曲が収録されたタイトルとして扱われており、単なる官能ゲームではなく、ホラー・サスペンス要素と結びついた独特の世界観が特徴だとされています。 一方で、プレイヤーの感想を辿ると、「性描写がかなりきつく、人を選ぶ」「どうしても暴力性の高さが気になる」という慎重な意見も見受けられます。特に、後年になってからプレイした層には、現在のコンプライアンスや倫理観からするとかなり攻めた表現が多く、心情的に受け容れがたいと感じる人も一定数います。それでも、そうした意見の多くが「嫌悪感も含めて強烈に印象に残る」「良くも悪くも忘れがたい」と語っている点は興味深いところです。恐怖とエロスの境界線をギリギリまで攻めることで、快楽だけに終わらない“尖った体験”として成立している――この危ういバランスが、多くのプレイヤーにとって賛否を含めた語り甲斐のあるポイントになっています。

シナリオ面への賛否と、その後の影響

シナリオについての評価は、時期やプレイヤー層によって色合いが変わります。発売当時は「他のアダルトゲームと比べれば十分にドラマ性がある」「館の秘密を探るサスペンスとして面白い」といった好意的な評価が多かった一方で、「もっと人間関係や事件の掘り下げが欲しい」「性的な場面が中心で、物語がやや後回しになっている」といった声も存在しました。 こうしたフィードバックが後のシルキーズ作品に反映され、よりストーリー性を強めた後継作(たとえば同じくマルチシナリオを推し出した病院もののタイトルなど)へと繋がっていったことを振り返ると、「河原崎家の一族」はまさに“試金石”のような位置づけだったといえます。 プレイヤー目線で見ると、ストーリーへの評価は大きく二極化しがちです。ミステリとしての構成や、最後に明かされる真相、各キャラクターの背景に関して「思った以上にきちんと伏線が張られていて良かった」と評価する人もいれば、「雰囲気は抜群だが論理的な推理ゲームというより、あくまで雰囲気を味わう作品」という見方で受け止める人もいます。いずれにしても、“怖くて妖しい洋館ドラマ”としての印象が先に立ち、細かなロジックよりも雰囲気と感情の揺さぶりを重視した作品、という評価が総体としては優勢です。

メイド像・ダーク系美少女ゲームの文脈での評価

「河原崎家の一族」が語られる際にしばしば触れられるのが、美少女ゲームにおける“メイド”という存在や、ダーク寄りの美少女ゲーム史の中での役割です。PC-98時代の美少女ゲームを振り返る記事でも、1993年前後の作品群の中で本作の名前が挙がり、メイドや屋敷モノの設定を前面に出したタイトルの一つとして位置づけられています。 執事やメイドが登場するゲーム自体はそれ以前から存在したものの、彼女たちを“物語の中核に据えたヒロイン”として描き、しかも明るいギャグやラブコメではなく、陰惨な事件や肉体的・精神的な拘束と結びつけた形で表現した点は、当時のプレイヤーに強いインパクトを与えました。 その結果、後年のダーク系アダルトゲームや、“閉ざされた洋館+メイド+ミステリ”といった要素を組み合わせた作品が語られるとき、しばしば「河原崎家の一族」の名前が比較対象として挙がるようになります。現在では、より洗練されたシナリオやグラフィックを持つ作品が多数登場していますが、“この系譜の源流の一つ”として、レトロPCゲームファンの間では今もなお言及され続ける存在です。

ノベライズやサントラなど周辺展開の印象

ゲームの人気を背景に、本作はノベライズやサウンドトラックCDといった周辺展開も行われています。Carrot NOVELSレーベルから刊行されたノベライズは、原作ゲームをベースにしつつ、登場人物の心理描写や謎解きの過程を文章ならではの密度で描き直した作品で、読書系サイト上では“往年の名作エロゲの小説版”として一定の支持を集めています。星取り評価はおおむね中堅クラスながら、「ラストのどんでん返しや謎解きに読み応えがある」「ゲームを知らなくてもサスペンスとして楽しめる」といった感想が寄せられており、ゲーム未プレイ層にも一定の間口を広げる役割を果たしました。 サウンドトラックCDに関しても、弦楽器を主体とした重めの楽曲群が印象的なアルバムとして扱われており、ゲームのプレイ経験者が「BGMを聴くだけであの洋館の空気を思い出す」と語るケースも見られます。 ノベライズやサントラが今も中古市場で流通していることからも、単なる“その場限りの話題作”ではなく、長く記憶に残るタイトルだったことがうかがえます。

総合的な評価――“万人向けではないが、確かな存在感”

総合的に見ると、「河原崎家の一族」は決して万人に勧められるタイトルではありません。性描写の内容や暴力性、登場人物の救いのなさなど、今の基準から見てもなお過激と言える要素を多く含んでおり、“暗く重い作品が苦手な人には向かない”という感想が出てくるのも自然です。一方で、そうした要素を含むからこそ「これぞシルキーズ」「エルフ周辺ブランドの中でも最も攻めていた時期を象徴する一本」として熱く語るファンも多く、アダルトゲーム史を振り返るうえで外せない作品だとする見方は根強く存在します。 PC-98実機やレトロPCエミュレータで当時の環境を再現し、あえて古色蒼然とした16色画面とFM音源で本作を遊び直すプレイヤーもおり、その多くが「今遊んでも雰囲気の強さは色褪せていない」と語っています。現在の作品群と比べればインターフェースは不便で、シナリオ構造も荒削りな部分がありますが、それらを補って余りある“生々しさ”と“記憶に残る後味”がある――それが、長年にわたって口コミや記事の中で繰り返し語られてきた、「河原崎家の一族」という作品への典型的な評価と言えるでしょう。

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■ 良かったところ

圧倒的な“雰囲気ゲー”としての完成度

「河原崎家の一族」を語るうえで、多くのプレイヤーがまず挙げるのが、“雰囲気の作り方が飛び抜けている”という点です。由緒ある洋館を舞台に、外界から切り離されたような閉塞感をじっくりと積み上げていく演出は、当時の美少女ゲームの中でもひときわ異彩を放っていました。屋敷の廊下はどこか薄暗く、使用人部屋や客間にも陰が落ちており、画面を眺めているだけで「この家は何かを隠している」という印象が自然と染み込んできます。そうした静かな不穏さに、ねっとりとした人間関係や欲望の渦が重なっていくため、プレイヤーは常に胸の奥に重りを抱えたような感覚でテキストを読み進めることになります。

この“空気の重さ”がしっかりしているおかげで、イベントシーンのインパクトも増幅されます。本来であれば単なる一枚絵のシーンですら、そこに至るまでの会話や沈黙、視線の交錯を思い出させることで、より強い印象として刻み込まれるのです。プレイヤーの感想には、「ゲームを終えた後もしばらく河原崎家の廊下が頭から離れない」「画面の暗さや静けさが怖さを何倍にもしている」といった声が多く、単に刺激的な内容だからではなく、“空間そのものを印象づける演出力”こそが良かった点として挙げられています。

人間臭いキャラクター配置と関係性の妙

キャラクター面でも、本作は“好きになる要素と警戒したくなる要素が同居している”人物像が高く評価されています。温厚で優しげなメイド、どこか陰のある令嬢、世間知らずなお嬢様タイプ、厳格な夫人、無口で何を考えているか分からない男たち――いずれも一見すると分かりやすい記号で描かれているようでいて、物語が進むに連れてそれぞれの裏側や歪みが見え始めます。

特に好意的に語られがちなのが、「異常者揃いの河原崎家の中で、かろうじて“普通の感覚”を持っている人物」が存在する点です。そのキャラクターはプレイヤーにとって精神的な拠り所となり、彼女を救えるかどうかが一つの大きな目標になります。暗く救いの少ない世界観だからこそ、「この人だけは報われてほしい」という気持ちが芽生えやすく、彼女のルートを追うこと自体が、ゲーム全体のモチベーションにつながっていく構図になっています。こうした“人間臭い葛藤”を抱えたキャラクターが、単なる記号的ヒロインではなく、“物語の中で最後まで見守りたくなる存在”として機能している点は、多くのプレイヤーが「良かった」と感じた部分でしょう。

さらに、キャラクター同士の関係性が複雑に絡み合っていることも評価のポイントです。血縁や主従、利害関係が網の目のように結びつき、ある人物を助ける選択が別の人物の悲劇に繋がる、といった構造が随所に仕込まれています。そのため、単純な“ヒロイン攻略ゲーム”にとどまらず、“誰の味方になるのか”“どこまで深入りするのか”をプレイヤー自身が選ばされるドラマとして成立しているところが、長く語り草になっている点と言えるでしょう。

マルチシナリオ・マルチエンディングのやり応え

19種類にも及ぶエンディング構成は、本作の大きな売りの一つであり、「遊び終えた後も分岐を埋めたくなる」というやり応えにつながっています。 行動の選択肢は一つひとつはシンプルですが、それらの組み合わせが複雑に絡み合うことで、最終的な結末が大きく変化します。同じ数日間の物語でありながら、ある周回では特定のヒロインが救われ、別の周回ではまったく違う人物に焦点が当たる――この“平行世界を渡り歩く”ような感覚が、当時のプレイヤーには新鮮に映りました。

プレイした人の多くは、「最初は無我夢中で進めていたらバッドエンドだらけだったが、工夫しながら何度も周回するうちに、少しずつハッピーエンドへ辿り着けるようになった」と振り返っています。攻略情報が限られていた時代、試行錯誤の末にようやく一つの救いあるエンディングを見つけた時の達成感はひとしおで、「分岐を研究していく過程そのものが面白かった」という声も多く聞かれます。

また、全エンディングを制覇すると、キャラクターたちの過去や河原崎家の真相がより立体的に見えてくる構成になっている点も好評でした。単に“CGを埋める作業”ではなく、“この世界の別の可能性を覗き込む行為”としてプレイヤーが周回を重ねられるため、コンプリートまでの道のりが苦行になりにくく、「大変だけれど、やり遂げたくなる」という絶妙なバランスに仕上がっています。

レトロPCならではのグラフィックとサウンドの味わい

技術的な制約が大きかったPC-9801時代の作品でありながら、グラフィックとサウンドのクオリティは今なお評価が高いポイントです。640×400ドット・16色という限られた環境でありながら、陰影とシルエットを巧みに使った背景は、今見ても独特の味わいがあります。特に、夜の屋敷や、ランプの光だけが部屋の一部を照らしているようなシーンでは、わざと色数を抑えた画面構成が“何かが潜んでいる”という不安感を際立たせており、「古いのに雰囲気作りが上手い」と好意的に語られています。

サウンド面でも、FM音源によるBGMが“古き良きPCゲームらしさ”と“ホラーサスペンスの緊張感”をうまく両立させています。低くうなるベースラインや、不穏な和音をじわじわ鳴らし続ける曲調は、決して派手ではありませんが、静かに神経を削られるような心地よさがあり、「BGMを聴くだけで当時の画面が思い浮かぶ」という感想を引き出す大きな要因になっています。後年のWindows版ではPCM音源+高解像度グラフィックへの刷新によって、より生々しい音と色彩で同じ世界を味わえるようになり、「PC-98版の味わい深さ」「Windows版の鮮明さ」という二つの魅力を比較する楽しみ方もできるようになりました。

アダルトゲーム史の中での“象徴”としての価値

もう一つ見逃せない“良かったところ”として、多くのファンが挙げるのが、「アダルトゲーム史を語るうえで欠かせない象徴的な一本になった」という点です。シルキーズというブランド自体が、エルフとは異なる“ダーク寄り・背徳寄り”の路線を担う役割を持っていましたが、その性格を世に強烈に印象付けたタイトルの一つが、この「河原崎家の一族」でした。

後年の美少女ゲームを振り返る記事やブログでも、1993年前後の代表作として本作がしばしば挙げられ、特に「閉ざされた屋敷」「メイド」「異常な一家」「マルチエンディング」といった要素の組み合わせを持つ作品が紹介される際には、比較対象やルーツの一つとして言及されることが少なくありません。そうした意味で、「河原崎家の一族」は、現在のプレイヤーが“教科書代わり”に触れる価値のある一本として位置づけられており、実際に遊んだプレイヤーからも「今から見ると荒削りな部分もあるが、この時代にこれだけ攻めた作品を出したこと自体が凄い」「好き嫌いはあっても、存在感だけはずば抜けている」といった声が多く聞かれます。

総評:強烈さゆえに“忘れられない”ゲーム

総じて、「河原崎家の一族」の“良かったところ”は、どれも一言でまとめるなら「強烈」という点に集約されます。舞台となる洋館の雰囲気、歪んだ欲望を抱えた登場人物たち、容赦のないバッドエンドの数々、それでもなお掴み取りたくなるわずかな救い――そうした要素が塊となって、プレイヤーの記憶に深く突き刺さります。

万人に薦められる作品ではないものの、一度じっくり向き合うと、良くも悪くも“忘れ難い一本”として心に居座り続ける。レトロPCゲームを掘り下げていく過程で、いつかは必ず行き当たる節目の作品であり、「遊んだことがあるかどうか」が一種の通過儀礼のように語られる――そうした独特の存在感こそが、このゲームに対して多くのファンが「良かった」と口を揃える最大の理由だと言えるでしょう。

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■ 悪かったところ

表現の過激さと人を選ぶ世界観

「河原崎家の一族」でまず問題になりやすいのが、表現のトーンがあまりにも尖り過ぎている点です。舞台が“名家の洋館”であるにもかかわらず、その内部で描かれる出来事は、暴力性や支配・被支配の関係を強く伴った性描写が多く、いわゆる“背徳的な官能”を越えて、ショッキングな方向へ踏み込んでいる場面も少なくありません。そのため、ホラー寄りのアダルトゲームに慣れていないプレイヤーからは、「不快感が勝ってしまった」「さすがに行き過ぎではないか」といった感想も出ています。 また、登場人物の多くが何らかのゆがんだ欲望や異常性を抱えているため、「誰にも感情移入しづらい」「救われなさが強すぎて、純粋に楽しむのが難しい」という声もあります。洋館を舞台にしたミステリやサスペンスに期待されがちな“スリルとカタルシス”よりも、“じわじわと疲弊させられる後味”の方が勝ってしまうプレイ感は、好みがはっきり分かれるところです。実際、後年のシルキーズ作品では「もっとストーリー性を高めてほしい」という要望が寄せられ、それを受けて物語重視の後継作が作られたことが語られており、当時から「雰囲気と過激さは抜群だが、ドラマとしてのバランスは課題」という受け止め方も存在していたと考えられます。

シナリオの掘り下げ不足と“雰囲気頼み”な部分

物語そのものについても、「もっと丁寧に掘り下げてほしかった」という不満は少なくありません。河原崎家には過去の因縁や複雑な人間関係が渦巻いており、断片的には興味を引く設定が数多く示されていますが、それらが十分に説明されないまま終わってしまうルートも多く、「雰囲気は最高だが、真相を知った時のカタルシスが弱い」「謎が謎のまま放り出された印象」という指摘も散見されます。 マルチエンディング構造であるがゆえ、一つの周回で語りきれる情報量に限界があるのは事実ですが、それでも「あるエンディングでは重要そうな伏線が活かされない」「キャラクターの背景が途中で途切れてしまう」と感じる場面もあり、“フラグの管理”と“物語の完成度”の両立には課題が残っています。のちの作品では、“河原崎家の一族的な雰囲気を持ちつつ、ストーリーをより明快にしたタイトル”が高評価を得ていることからも、プレイヤーの多くが「このテイスト自体は好きだが、ドラマとしてはまだ伸びしろがあった」と感じていたことがうかがえます。

分岐構造の分かりにくさと周回時のストレス

エンディング数が19と豊富なのは長所である一方で、「どうやってそこに到達するのか」が非常に掴みにくいという声もあります。本作は、特定の場面で露骨な“二者択一”が提示されるタイプではなく、日々の細かな行動や会話選択の積み重ねがいつの間にか分岐条件になっているため、「どこでミスをしたのかが分からないままバッドエンドに落ちた」という体験が起こりやすい構造です。 さらに、当時のADVらしく“手当たり次第にコマンドを総当たりする”プレイでも一応進行できてしまうため、意識的にルートを切り替えようとしても、「前回とほとんど同じ展開のまま終わってしまった」「狙っていないエンディングにまた入ってしまった」といった事態も起きがちです。後年のレビューでも、「やり込み派には楽しいが、ライトユーザーには不親切」「ヒントが少なく、マルチエンディングを意識した設計としては荒削り」といった評価が見られます。 Windows版以降ではメッセージスキップなどの機能が充実し、周回の負担はある程度軽減されましたが、それでも「同じ共通パートを何度もなぞる」必要がある点は変わらず、分岐探索に時間と根気を要求される作りであることには賛否があります。「真相や他ルートのドラマを知りたい気持ちはあるのに、その道のりが遠すぎて途中で断念してしまった」という声が出るのも、ある意味では当然と言えるでしょう。

グラフィック面の古さとキャラデザインの不統一

グラフィックについては、「当時としてはよく描き込まれているが、現在の目で見るとさすがに古さが目立つ」という評価が多くなります。PC-9801版は16色表示という制約の中で雰囲気作りに成功しているものの、現代の美麗なビジュアルに慣れたプレイヤーにとっては、「硬い線」「色数の少なさ」がどうしても気になるポイントになりがちです。レトロPCゲームに親しみのある層からは“味”として受け止められていますが、そうでない層には「今風のキャラクターが好きな人には合わないかも」といったコメントも見られます。 また、ヒロインの一人については、「シーンごとに顔立ちの印象が変わりすぎる」「絵柄の統一感がもう少し欲しかった」といった不満も挙げられています。あるプレイヤーは、彼女をメインヒロインとして好んでいながらも、“CGによって雰囲気がばらつく”点を唯一の欠点として言及しており、人物ごとの魅力は高く評価されつつも、グラフィッカーの分担や制作時期の違いが画面上ににじんでしまった印象は否めません。 Windows版や後年の移植で解像度や色数は向上したものの、根本のレイアウトや構図はPC-98時代の設計を踏襲しているため、「UIや画面構成が古典的すぎる」「テキスト枠やコマンド配置が今のADVと比べると堅い」という指摘もあります。結果として、「雰囲気重視のレトロゲームとして楽しむなら良いが、今の感覚で“ビジュアル重視の作品”として期待すると厳しい」というのが、グラフィックまわりに対する多くの率直な感想になっています。

操作性・インターフェースの時代遅れ感

ゲームシステムそのものはクラシックなコマンド選択式ADVであり、当時の基準では標準的でしたが、現代の視点から見ると「UIまわりがこなれていない」と感じるプレイヤーも多いです。キーボード主体の操作や、マウスを使うにしてもクリック箇所が限定されている画面構成など、細かな使い勝手の面でストレスが溜まりやすく、「文章を読むこと自体よりも、操作の古さに気を取られてしまう」といった感想もあります。 特に、ルート分岐を意識して周回する段階になると、コンフィグでメッセージスキップを設定していても、要所要所で毎回コマンドを繰り返し選択する必要があり、「肝心の物語以外の作業感が多い」という印象も強まります。また、セーブスロット数が限られている環境では、細かく分岐ごとにセーブを残しておきたいプレイヤーほど、スロットのやりくりに頭を悩ませることになります。こうしたインターフェース面の古さは、「レトロ作品に慣れた人にとっては許容範囲だが、今のADVの快適さに慣れたユーザーには敷居が高い」とされる大きな要因となっています。

倫理・規制の観点からくる“遊びづらさ”

最後に、本作特有の問題として挙げられるのが、倫理・規制面からくる“扱いづらさ”です。内容があまりにも過激なため、現在の配信プラットフォームや店舗では取り扱いに制限がかかるケースもあり、「興味はあるが、正規ルートで入手するのが難しい」「人におすすめしにくい」といった声があります。中古市場では今もPC-9801版や各種移植版が流通していますが、“成人向け商品”としてしっかり区分されているうえに、パッケージ版の価格が高騰していることもあり、気軽に手を出せる作品とは言いにくい状況です。 また、内容を詳しく説明しようとすると、どうしても過激な表現に触れざるを得ないため、「他人に魅力を説明しづらい」「人前で話題にしにくい」という点も、ある意味では“悪いところ”として挙げられます。アダルトゲーム史を語るうえでは重要な一本でありながら、実際にプレイしてもらうハードルが高い――このねじれた状況は、本作が“強烈だが扱いに困る作品”であることを象徴していると言えるでしょう。

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■ 好きなキャラクター

プレイヤーに愛されるキャラたちの「タイプ分け」

「河原崎家の一族」のキャラクター人気を振り返ると、きれいに三つのグループに分かれる傾向があります。ひとつは“唯一のオアシス”として好かれる癒し系ヒロイン枠、もうひとつは“堕ちていく姿”も含めて支持されるダーク寄りのヒロイン枠、そして最後に、“悪役として魅力的”“怖いからこそ忘れられない”と語られる敵役・怪人物の枠です。どのキャラクターも単なる記号的な属性に留まらず、複数ルートを通して見ていくことで印象が変化していくため、「初回とコンプリート後で“推し”が変わった」というプレイヤーも少なくありません。特に、美佐子・香織・麗といったメインヒロイン三人と、南原・京子・俊介らの強烈な敵役組は、感情移入の方向性こそ違うものの、“とにかく記憶に残る”存在として名前が挙がりやすいキャラクターたちです。

斉藤六郎――振り回され系主人公なのに「意外と嫌いになれない」

主人公の斉藤六郎は、いわゆる“普通の大学生”として河原崎家に足を踏み入れる青年です。二流大学の二年生で、家計が苦しく高給の住み込みバイトに飛びついた結果、あの洋館の狂った日々に巻き込まれていきます。 プレイヤーから見ると、六郎は決して聖人君子ではありません。欲望にはかなり正直で、流されやすく、ルートによっては倫理ギリギリどころか踏み越えてしまう行動も取ります。それでも彼が完全に嫌われ主人公にならず、「ダメなところも含めて人間臭い」「極限状態に放り込まれたら、こういうふうにブレるのも分かる」と擁護されがちなところが、このキャラクターの不思議な魅力です。 彼が特に好意的に語られるのは、“誰かを守ろう”と決心したルートで見せる踏ん張り方です。普段は流されがちな六郎が、特定のヒロインのためだけに危険を承知で行動する展開では、プレイヤーの視点と彼の視点が重なり、「ここだけは譲れない」と感情移入しやすくなります。単に“エロシーンの媒体”ではなく、選択次第で情けなさから勇気まで振れ幅を見せてくれる主人公だからこそ、「好感度は高くないのに、なぜか嫌いになれない」という評価が多いのも納得できます。

古手川美佐子――癒し系メイドが一番人気ヒロインに

ヒロインの中でも圧倒的な支持を集めるのが、メイドの古手川美佐子です。二十歳の若さで河原崎家に勤める彼女は、主人公より少し先輩にあたる使用人で、明るく穏やかな性格と、素直で人を疑わない性質から、プレイヤーにとっても“心の拠り所”になりやすい存在です。 陰鬱な雰囲気が支配する洋館の中で、何気ない会話や気遣いを通じて「普通の感覚」を見せてくれる貴重な人物であり、六郎だけでなくプレイヤーも、ついつい彼女の笑顔に救われてしまいます。 しかし、美佐子ルートは決して“癒しだけ”では終わりません。ルートの進め方次第では、彼女が河原崎家の闇に呑み込まれていく展開もあれば、逆にその闇から救い出して共に逃げ出す展開も用意されています。特にハッピーエンド側では、危険な状況から抜け出した後の、慎ましくも温かな生活が描かれ、「この結末を見るためにゲームを頑張った」と語るプレイヤーも多いほどです。一方で、ダークな結末を見てしまったプレイヤーは、「二度とあのルートには行きたくない」「あれがあるから、余計に美佐子を守りたくなる」と複雑な感情を抱きます。こうした“守ってあげたくなるヒロイン”像と、ルートごとに変わる運命の苛烈さが相まって、美佐子は長年にわたって一番人気ヒロインとして語られ続けているのです。

安藤香織――上品なお姉さんが見せるギャップに惹かれる声

麗の家庭教師として登場する安藤香織は、大学生のお嬢様という立場もあって、最初は“優雅で柔らかな雰囲気のお姉さん”という印象が強いキャラクターです。年齢も二十一歳と少し年上で、言葉遣いも落ち着いており、六郎にとってはどこか“手の届かない人”のように見える瞬間もあります。 ところが、ルートを進めていくと、その上品さの裏側に、抑え込まれていた感情や欲望、そして河原崎家の環境によって引き出されてしまう弱さが見え始めます。この“きちんとした人が、極限状況の中で崩れてしまう”ギャップは、プレイヤーの間で賛否を呼びつつも、「一番印象に残るヒロイン」として名前が挙がりやすい要因になっています。 ハッピーエンド側では、精神的な傷を負いながらも、六郎と共に新しい生活に踏み出そうとする姿が描かれます。過去を振り返りながらも、前に進むために自らの進路を選び直す香織の姿に、「ただ不幸な被害者で終わらないところが好き」「彼女なりの再生の物語として胸に残る」という声も多く、ある意味では“最も大人のヒロイン”として支持されているキャラクターだと言えるでしょう。

河原崎麗――イタズラ好きなお嬢様から“良心枠ヒロイン”へ

次女の河原崎麗は、ツインテールのいたずらっ子という外見どおり、初登場時は主人公をからかったり、スレンダーな体つきで翻弄したりする“小悪魔系ヒロイン”として描かれます。しかし、物語を進めていくと、彼女こそが“この家でまともな感性を保っている数少ない人物”であることが分かってきます。 狂気と背徳に満ちた河原崎家の中で、麗は純粋に六郎の身を案じ、危険から救おうと奔走します。彼女のルートでは、表面的なイタズラ好きの裏にある責任感や、家族に対する複雑な思いが浮かび上がり、“家の一員でありながら、家そのものと戦おうとする”強さが描かれます。 ハッピーエンドで描かれる、逃亡とその後の選択は、多くのプレイヤーにとって強い印象を残す展開です。自分だけが助かるのではなく、“河原崎家の罪”に向き合おうとする決断は、他のルートとは別種の“正しさ”を感じさせ、彼女を「この作品の良心」と評する感想も少なくありません。明るい振る舞いの奥にある芯の強さが、プレイを重ねるほどに伝わってくるため、「最初はただのわがままお嬢様かと思っていたけれど、最終的には一番好きになった」という声が多いのも麗ならではです。

倉田亜栗栖・朝倉みいな・河原崎さちこ――サブヒロインたちの重いドラマ

メインヒロイン以外にも、プレイヤーの心に深く刺さるサブヒロインたちが登場します。長く屋敷に勤めるメイドの倉田亜栗栖は、いつも怯えたような眼差しと寡黙さが印象的なキャラクターで、彼女の背景を知ると「一番救ってあげたかった」と語るプレイヤーも多い人物です。関わり方によっては、過酷な結末に直結してしまうルートもあり、その重さゆえに“好きなキャラなのに、好感度を上げるほど危険になる”というジレンマを感じさせます。 さちことみいなの関係性も、プレイヤーに強い印象を残します。プライドが高く冷たい態度を崩さないさちこと、彼女の支配下で苦しむみいなという構図は、単なる“いじめる側といじめられる側”を越えて、河原崎家という環境が生み出した歪みを象徴する存在として描かれます。みいなに対して感情移入するプレイヤーは多く、「どうにか救いのあるルートがあれば」と願いつつも、行動次第ではバッドエンドへと繋がってしまう展開に、やりきれなさを覚える人も少なくありません。 こうしたサブヒロインたちは、メインヒロインのような“王道のハッピーエンド”こそ持たないものの、その境遇や結末の重さによって、「一番心に残ったのは実はサブヒロインだった」と語られることも多いキャラクター群です。

河原崎京子・南原正明・俊介・謎の老人――“嫌いなのに目が離せない”悪役たち

プレイヤー人気という観点で忘れてはならないのが、河原崎京子や南原正明、河原崎俊介といった“悪役サイド”の人物たちです。京子は一見、冷たく威圧的な当主夫人として立ちはだかりますが、物語が進むと、その出自や屋敷内での立場、そして河原崎家における役割が徐々に明らかになり、「完全な悪では割り切れない」「この人もまた、この家に囚われた被害者なのではないか」と感じさせる存在になっていきます。 その一方で、南原と俊介は、多くのプレイヤーにとってまさに“顔を見るだけで不安を掻き立てられる”タイプのキャラクターです。南原は飄々とした口調の裏で、屋敷の実権の一端を握る策士的な人物として描かれ、彼の言動には常に二重三重の含みが感じられます。後年の作品に受け継がれるキャラクターの原型としても語られることが多く、“嫌悪感と同時に、キャラとしては非常によく出来ている”と評価されがちです。 俊介は年少ながら陰鬱で危うい雰囲気をまとっており、特定のキャラとの関係性やルートによっては、プレイヤーにとって最悪の敵役に変貌します。彼の存在は、河原崎家という環境がどれほど歪んでいるかを示す象徴でもあり、「怖くて嫌いだが、この作品の印象を決定づけている重要人物」という位置づけで語られます。さらには郊外の屋敷に住む“謎の老人”も加わり、これらの人物が終盤の真相にどのように関わるかを知ったとき、「このゲームのキャラ配置は本当によく練られている」と感心したという感想も少なくありません。

プレイヤーごとに「推し」が変わる奥行き

最終的に「誰が一番好きか」を語る場になると、この作品は驚くほど意見が割れます。王道ヒロインとしての美佐子を推す人、ギャップの激しい香織に惹かれる人、良心枠としての麗に心を掴まれた人、あるいは亜栗栖やみいなといったサブヒロインの悲劇性に胸を締め付けられた人――さらには、「実は南原が一番キャラとして面白い」「京子の立ち位置がたまらない」と、悪役組を“推し”として挙げるプレイヤーまでいます。 一度クリアしただけでは見えなかった側面が、周回を重ねるごとに少しずつ見えてくる構造のおかげで、「最初は苦手だったキャラが、真相を知ると好きになった」「あるルートの出来事を知ってから、別ルートでの言動が全く違って見えた」といった体験談が尽きません。人によってお気に入りキャラが全く違うという事実そのものが、この作品に登場する人物たちが“単なる属性の記号”ではなく、それぞれに独自の背景とドラマを背負った存在として機能している証拠だと言えるでしょう。

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●対応パソコンによる違いなど

PC-9801版――“元祖・河原崎家”の暗さと重さ

まず語るべきは、最初に世に出たPC-9801版です。当時のPC-98シリーズは640×400ドット・16色という独特の表示環境で、本作もその前提で作られています。グラフィックは線や陰影を強く意識した塗りで、色数の少なさがかえって洋館の薄暗さを際立たせる結果になっており、廊下や部屋の隅が“ベタ塗りの影”として沈んでいる画面は、今見ても独特の迫力があります。テキストは白や淡い色で表示され、暗い背景の上に浮かび上がるようなレイアウトになっているため、“闇の中で物語だけが光っている”ような印象を覚えるプレイヤーも多いでしょう。 サウンド面では、FM音源(OPN系)の金属的で硬質な音色が主役です。チープと評されることもあるその音質が、むしろ本作の不穏な雰囲気とは相性が良く、単純なフレーズやリフレインが神経をじわじわと締め付ける効果を生んでいます。環境音は最小限で、BGMが止んだ時には本当に“何も鳴っていない”静寂が訪れるため、ドアが軋む音や足音だけで妙にびくっとさせられる――そんなアナログな怖さが味わえるのもPC-98版ならではです。 操作感は完全にキーボード主体で、方向キー(テンキー)とスペース、エンターキー、いくつかのファンクションキーを組み合わせてテキストを読み進めたり、コマンドを選択したりします。マウスがあってもフルには活用されず、“ADVといえばキーボード”だった時代の手触りがそのまま残っています。セーブ・ロードもシンプルなスロット制で、フロッピーやHDDの容量を気にしながらこまめにデータを残していく感覚は、レトロPC世代には懐かしく、逆に今のプレイヤーには新鮮かもしれません。 総じてPC-9801版は、画面も音も操作系も含めて“当時の空気”が詰まったバージョンであり、本作の名を高めたオリジナルとしての価値が非常に高いと言えます。「河原崎家の一族」というタイトルにまつわる伝説めいた評判の多くは、このPC-98版を実機あるいは初期エミュレータで体験したユーザーから生まれたものだと言っても過言ではありません。

DOS/V版・他PC互換機向け――環境の差を越えて“移植された悪夢”

続いて、PC/AT互換機(いわゆるDOS/Vマシン)向けに用意されたバージョンでは、基本的な内容はPC-98版を踏襲しつつも、OSやハードウェアの違いに合わせた調整が行われています。当時のDOS/V環境は、ビデオカードやサウンドカードの構成が多種多様であったため、表示モードや音源設定をユーザー側である程度合わせる必要がありました。そのぶん、VGA相当の解像度や、サウンドカードの性能を活かして、やや発色の良い画面やリッチな音質でプレイできるケースもありました。 ただし、グラフィックそのものはPC-98版の素材がベースになっているため、絵柄や構図が大きく変わることはありません。色の出方やドットのにじみ具合が機種によって違い、環境によっては“モニタの設定次第でさらに暗く陰鬱に見える”“逆に少し明るく見やすい”といった差が出るのも、DOS/V版独自の味と言えるでしょう。 テキスト表示やインターフェースは、PC-98版と比べるとやや洗練され、マウスを使った操作にも一定程度対応するようになりました。とはいえ、根本のゲームデザインはあくまでPC-98基準のコマンド選択式ADVであり、DOS/V版は“オリジナルを別のプラットフォームで動かすための橋渡し”という性格が強いバージョンです。「自作DOS機で、かつての名作を動かしてみたい」というユーザーには、当時ありがたい存在だった、といった位置付けになるでしょう。

Windows 3.1 / Windows 95版――カラーとボイスで一段と生々しく

時代がWindowsへと移行していく中で発売されたWindows 3.1版およびWindows 95版では、グラフィックとサウンドが大きく強化されました。ハイカラーやフルカラー表示に対応したことで、肌の質感や衣服の陰影、背景のディテールがより細かく描き込まれ、PC-98版では“暗いワントーン”に見えた場面が、Windows版では“重苦しいながらも色味のある画面”として再構成されています。 また、後発のWindows版では一部バージョンでボイスが追加され、ヒロインや重要キャラクターに声優の演技が付くことで、河原崎家の奇妙な人間関係が一層立体的に感じられるようになりました。クールな台詞回しや、追い詰められた時の叫び声など、文字だけでは想像に頼っていた感情表現が、音声によって直接耳に届くようになったことで、恐怖や背徳感の度合いも増しています。静かな館内で、ふと耳に入る囁き声や笑い声が、プレイヤーの想像力を刺激するのも、ボイス付きWindows版ならではの体験です。 インターフェース面では、マウス操作への最適化が進み、テキスト送りやコマンド選択、セーブ・ロードなどがアイコンやメニューからスムーズに行えるようになりました。メッセージスキップやオートモード、既読判定なども充実し、周回プレイの負担が大幅に軽減されたのは、Windows版の大きな利点です。同時に、音量調整やウィンドウモード・フルスクリーンモードの切り替えといった現代的な設定項目が追加され、環境に合わせた快適なプレイが可能になりました。 このように、Windows版は“オリジナルの骨格をそのままに、視覚・聴覚・操作性を現代風にアップデートしたバージョン”と位置づけられ、PC-98世代以降のプレイヤーが本作に触れる際の入り口として、長く機能することになります。

DVD-PG版・コンシューマ向け派生――インタラクティブ映像としての再構成

PC向け以外の展開としては、DVDプレーヤー上で遊べるDVD-PG版など、映像メディアを利用した派生バージョンも存在します。これらは、本来PC上でテキストとコマンド選択を行っていたADVパートを、“リモコン操作でメニューを選ぶインタラクティブムービー”として再構成したものです。 DVD-PG版では、画面解像度こそテレビ向けに最適化されているものの、静止画やイベントシーンはPC版のグラフィックをベースにしつつ、選択肢の表示スタイルやインターフェースがDVDプレーヤー前提に簡略化されています。セーブ・ロード機能がなく、チャプターメニューを使って分岐ポイントに戻る形式になっているなど、“据え置き機で気軽に遊べる代わりに細かなやり込みには向かない”仕様であることが多く、本格的なコンプリートを目指すにはやや不向きです。 一方で、“PCを持っていないけれど話題の作品を体験してみたい”“キーボード操作が苦手だが、リモコンでなら遊べる”といった層には手軽な入り口になり、またアニメ版との橋渡し的な存在としても機能しました。PC版に比べると制約は多いものの、「河原崎家の一族」という物語の大筋や雰囲気を味わうには十分であり、ライト層に向けたパッケージとして一定の役割を果たしたと言えます。

エミュレータ・配信版での違い――現代環境でどう遊ぶか

現代において本作をプレイしようとする場合、多くの人は“レトロPCエミュレータでPC-98版を動かす”か、“Windows向けに再パッケージされた配信版や廉価版”を利用することになります。エミュレータ上のPC-98版は、当時の画面解像度や音源をかなり忠実に再現できる一方、設定や動作確認に少し手間がかかるため、“環境構築も含めてレトロPC趣味として楽しむ人向け”の選択肢と言えるでしょう。 配信版やマルチパック収録のWindows版は、インストール手順が簡略化され、現行OSに合わせた互換パッチやランチャーが付属している場合も多く、「クリックして起動すればすぐ遊べる」手軽さが魅力です。その代わり、画面比率の問題やウィンドウサイズの固定など、現代のワイドモニタ環境では多少のレターボックス表示を受け入れる必要が出てくることもあります。 どの環境で遊ぶにせよ、“対応パソコンによる違い”は、主に – 画面解像度と色数(=雰囲気の見え方) – サウンドの質感(FM音源の硬さか、PCMのクリアさか) – 操作性・インターフェース(キーボード主体か、マウス・リモコンか) といった要素に集約されます。物語の骨格や分岐構造はほぼ共通しているため、「どのバージョンが決定版か」というよりも、「自分がどんな雰囲気で体験したいか」という好みで選ぶのが一番しっくりくるでしょう。レトロ感を含めて当時の空気に浸りたいならPC-98版、快適さとボイスを重視するなら後期Windows版、気軽さを取るならDVD-PGや簡易配信版――といった具合に、同じ“河原崎家”でも、対応パソコンの違いによってまるで別の顔を見せてくれるのです。

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●同時期に発売されたゲームなど

『河原崎家の一族』が登場した90年代前半のPC-9801市場は、まさに「PCゲーム黄金期」と呼べるほど多彩な作品がひしめき合っていました。ここでは、そのなかから同作と近い時期に発売され、当時のユーザーから強い支持を集めた代表的なPCゲームを10本ピックアップし、それぞれ「★ゲーム名」「販売会社」「発売年」「販売価格」「具体的なゲーム内容」という切り口で掘り下げていきます。いずれもジャンルや方向性は違いますが、「物語性の強さ」「遊び応えのあるシステム」「当時としては贅沢なビジュアルやサウンド」といった要素で、河原崎家と同じ空気を共有していたタイトルばかりです。

★同級生

・ゲーム名:★同級生 ・販売会社:エルフ ・販売された年:1992年 ・販売価格:9,680円(税込)

『同級生』は、夏休みの数週間を自由に過ごしながら、街に暮らす複数のヒロインと交流していく恋愛アドベンチャーです。時間帯や曜日ごとにヒロインの行動パターンが決まっており、プレイヤーは地図画面から行き先を選び、会話やイベントを通じて少しずつ距離を縮めていきます。限られた期間のなかで誰に会いに行くか、どのイベントを優先するかといったスケジュール管理が、そのまま恋愛模様の分岐に直結する構造になっており、「攻略」という言葉が単なる謎解きではなく、キャラクターの内面を読み解く行為として機能しているのが特徴です。
また、当時のアダルトゲームとしては異例なほどドラマ性が重視されており、単純な刺激ではなく、悩みや家庭の事情を抱えたヒロインたちとの人間ドラマを追体験できる点が、多くのユーザーに深く刺さりました。夏の終わりが近づくほどに選択の重さが増し、最後の数日は「誰と過ごすか」でプレイヤーの胸中も揺れ動きます。『河原崎家の一族』が閉ざされた洋館の「濃密な一夏」だとすれば、『同級生』は開放的な街全体を舞台にした「青春の一夏」を描いた作品であり、同時代の美少女ゲームシーンを二方向から牽引した存在だと言えるでしょう。
note(ノート)
+1

★卒業 ~Graduation~

・ゲーム名:★卒業 ~Graduation~ ・販売会社:ジャパンホームビデオ(後のJHV) ・販売された年:1992年 ・販売価格:12,980円(税込)

『卒業 ~Graduation~』は、女子高の臨時教師となったプレイヤーが、担任クラスの生徒たちを三年間かけて指導していく育成シミュレーションです。行事やテスト、進路指導など学校生活のイベントがカレンダー形式で進行し、その合間に授業方針や生徒の相談対応を行っていきます。教師としての姿勢が生徒のストレスや学力、やる気に影響を与え、最終的な進路やエンディングに反映されるため、単に成績を上げれば良いわけではなく、一人ひとりの個性を汲み取ったバランス感覚が求められます。
生徒たちはそれぞれ家庭環境や性格、将来の夢が細かく設定されており、ちょっとしたイベント選択によっても彼女たちの心情が変化します。教師として真っ当に導くのか、距離を詰めすぎて関係性をこじらせてしまうのか――その危うさも含めて、人間関係シミュレーションとしての奥深さが魅力です。重厚なダーク路線の『河原崎家の一族』とは雰囲気こそ違うものの、「キャラクターの人生を見守りながらエンディングを迎える」という構造は近く、同時期のPC-98ユーザーのなかで両方を遊び比べたプレイヤーも多かったタイトルです。

★大航海時代II

・ゲーム名:★大航海時代II ・販売会社:光栄(現コーエーテクモゲームス) ・販売された年:1993年 ・販売価格:10,780円(税込)

『大航海時代II』は、16世紀のヨーロッパを舞台に、プレイヤーが6人の主人公から一人を選び、世界各地の海を股にかけて活躍する歴史シミュレーションRPGです。交易・冒険・海戦という三つの名声パラメータが存在し、どの名声を伸ばしていくかによってイベントや結末が変化するため、同じ世界地図でもプレイごとに異なる歴史を辿れる自由度が魅力になっています。
アットウィキ

商館を拠点に各地の港を巡り、香辛料や工業製品を売買して資金を稼ぎ、艦隊を強化しながら未知の海域へと進出していくゲームサイクルは、当時のPCユーザーにとって極めて中毒性が高いものでした。航海中には嵐や疫病、海賊との戦闘などさまざまなトラブルが発生し、プレイヤーの判断ひとつで艦隊の命運が大きく揺れ動きます。
『河原崎家の一族』が洋館という閉鎖空間で人間関係の濃さを追求しているのに対し、『大航海時代II』は地球規模のスケールで「自分の物語」を紡ぎ出すタイプのゲームですが、どちらも選択の積み重ねが分岐やエンディングに直結する点では近く、当時のPC-98ユーザーはジャンルは違えど「自分の決断で世界が変わる」という感覚を味わっていました。

★ルナティックドーン

・ゲーム名:★ルナティックドーン ・販売会社:アートディンク ・販売された年:1992年 ・販売価格:11,880円(税込)

『ルナティックドーン』は、「好きなように生きて、好きなように死ぬ」というコンセプトを掲げたファンタジーRPGです。特定のストーリーラインに縛られず、プレイヤーは傭兵として戦場を渡り歩いてもよし、商人として物資輸送で稼いでもよし、賞金稼ぎとして指名手配の魔物を追ってもよしと、さまざまな生き方を選択できます。街で仕事を請け負い、ダンジョンで戦利品を集め、装備や仲間を整えながら自由に世界を旅していくスタイルは、後のオープンワールドRPGにも通じる先進的なものでした。
パラメータの変動や寿命の概念もあり、ときには大きな功績を残す前に事件に巻き込まれて命を落としてしまうこともありますが、そうした「不条理さ」も含めて人生シミュレーション的な奥深さを演出しています。閉鎖的な屋敷でじわじわと追い詰められていく『河原崎家の一族』とは正反対に、こちらは広い世界で気ままに生きる開放感を重視したタイトルで、同じPC-98ユーザー層でも「濃密な物語を楽しむ日」と「自由度の高い冒険に浸る日」で遊び分けることができました。

★プリンセスメーカー2

・ゲーム名:★プリンセスメーカー2 ・販売会社:ガイナックス ・販売された年:1993年 ・販売価格:16,280円(税込)

『プリンセスメーカー2』は、天から授かった一人の娘を、8年間にわたって育て上げる「育成シミュレーション」の代表格です。プレイヤーは父親となり、娘のスケジュールを月単位で管理します。学校・アルバイト・お稽古事・休養などの配分によって能力値や性格が変化し、その結果として将来の職業やエンディングが決まる仕組みです。
娘のステータスは単純な数値だけでなく、気品や道徳心、信仰心といった多面的な要素で構成されており、同じパラメータ構成でも選ぶイベントや行動によって微妙に違う娘へと成長していきます。騎士として名を上げる武闘派の娘もいれば、王侯貴族に見初められる才女、あるいは庶民的な職業に就きながら幸せな結婚を迎える娘もいるなど、多彩な将来像が用意されています。
『河原崎家の一族』と比べると世界観はコミカルでファンタジックですが、「時間経過」「パラメータ変化」「多数のエンディング」という当時のPCゲームらしい構造は共通しており、同じユーザー層の中で両作品を語る際に「こちらは育成の方向で人生を描いたゲーム」として並べて挙げられることも多い作品です。

★ランス4 -教団の遺産-

・ゲーム名:★ランス4 -教団の遺産- ・販売会社:アリスソフト ・販売された年:1993年 ・販売価格:9,680円前後(税込)

『ランス4 -教団の遺産-』は、シリーズを重ねるごとに世界観が拡張していったアダルトRPG「ランス」シリーズの中盤に位置する作品です。プレイヤーは破天荒な傭兵ランスとなり、相棒シィルとともに謎の教団が絡む事件に巻き込まれていきます。マップ探索や戦闘はRPGとしての骨太な作りで、敵との戦闘バランスやダンジョンの構造も考え抜かれており、単なるアドベンチャーでは味わえない「手ごたえのある攻略」が楽しめます。
物語面では、シリアスな陰謀劇とコミカルな掛け合いが絶妙なバランスで同居しており、時にシビアな展開を見せつつも、シリーズ特有の軽妙なテンポで最後まで引っ張っていく構成になっています。重く濃密なエロティックホラーとも言える『河原崎家の一族』と比べると、ランスシリーズは冒険色とギャグ色が強いものの、「成人向けでありながらゲーム性も高い」という方向性で時代を牽引した点では共通しています。PC-98のユーザーにとって、河原崎家とランス4は「物語重視のAVG」と「RPG寄りの美少女ゲーム」という、違うベクトルの名作としてセットで語られることも多いタイトルです。

★奈緒美 美少女たちの館

・ゲーム名:★奈緒美 美少女たちの館 ・販売会社:フェアリーテール RED-ZONE ・販売された年:1993年 ・販売価格:6,380円(税込)

『奈緒美 美少女たちの館』は、女子高生・奈緒美が、友人に誘われて足を踏み入れた古びた洋館で不穏な出来事に巻き込まれていくノベル形式のアドベンチャーです。プレイヤーは基本的にテキストを読み進めながら要所で選択肢を選ぶだけというシンプルな操作ですが、閉ざされた館に漂う不気味さや、住人たちの奇妙な言動がじわじわと緊張感を高めていきます。
河原崎家同様、「洋館」という空間を舞台にした美少女ゲームであり、登場人物の多くが何らかの秘密を抱えている点も共通しています。ただし、『奈緒美』は主人公が若い女子生徒であるため、プレイヤー視点もどちらかというと被害者寄りで、「知らないうちに危険な領域へ踏み込んでしまう恐怖」を味わう方向性になっているのが特徴です。
設定や演出のテイストは異なるものの、重厚なテキストで洋館の雰囲気を描き出し、選択によって結末が変化する構造は『河原崎家の一族』とよく似ており、両作を遊び比べることで、同じ「洋館ものアダルトAVG」がブランドや製作陣によってどれだけ違う表情を見せるかを感じられる一作です。

★あゆみちゃん物語

・ゲーム名:★あゆみちゃん物語 ・販売会社:アリスソフト ・販売された年:1993年 ・販売価格:6,800円(税込)

『あゆみちゃん物語』は、アリスソフトから発売されたシミュレーション要素を持つアダルトゲームで、ヒロイン・河合あゆみとの関係性だけに焦点を当てた極端なコンセプトが特徴です。プレイヤーはひたすら彼女とのやり取りを重ねていくことになり、ストーリー分岐や壮大な世界観よりも、「一人のキャラクターを徹底的に掘り下げる」という方向で作られています。
ゲームとしての目的が非常にシンプルな一方で、行動の積み重ねがパラメータやシチュエーションの変化としてフィードバックされるため、プレイヤーは「あと少し試してみたい」「別の選択肢を選んだらどうなるか」といった好奇心に駆られ、短いサイクルで何度もプレイしたくなる作りです。河原崎家のように一族全体にまつわる謎や因縁を追うゲームとは正反対で、「一人のヒロインに徹底的にフォーカスした作品」として当時のシーンに強いインパクトを残しました。

★いまどき純情物語

・ゲーム名:★いまどき純情物語 ・販売会社:アロット(Allot) ・販売された年:1991年 ・販売価格:6,800円(税込)

『いまどき純情物語』は、1991年にPC-9801/9821向けに発売されたアダルト寄りのAVG/RPGで、現代的な若者たちの恋模様を、当時としては珍しいRPG的な成長要素と組み合わせて表現した作品です。プレイヤーキャラクターはステータスや装備を整えつつ、さまざまな場所を歩き回り、出会ったキャラクターとの会話やイベントを通じて物語を進めていきます。
一般的なファンタジーRPGとは異なり、舞台は現代日本に近い世界観で、ダンジョン風のマップを探索しながらも、出会うのは「魔王」ではなく普通の人々というギャップがユニークでした。数値的な強さだけでなく、会話の選び方や行動パターンがイベントの分岐に大きく関わるため、プレイヤーは“攻略対象”としてのキャラクターを意識しながらも、RPGのような育成・探索の楽しさを味わうことができます。『河原崎家の一族』がアドベンチャー寄りのシステムで心理描写を重ねたのに対し、『いまどき純情物語』はRPGの枠組みを使って同じ「人間関係」を描いたという点で、時代の試行錯誤を感じさせる一本です。

★愛姉妹 ~二人の果実~

・ゲーム名:★愛姉妹 ~二人の果実~ ・販売会社:シルキーズ ・販売された年:1994年 ・販売価格:8,580円(税込)

『愛姉妹 ~二人の果実~』は、『河原崎家の一族』と同じシルキーズから1994年に発売されたアドベンチャーゲームで、タイトル通り「姉妹」という関係性に焦点を当てた作品です。プレイヤーは主人公として、二人の姉妹と複雑な感情を交わしながら物語を進めていきます。
ゲームはテキストと選択肢を中心に進行し、どのような態度を取るかによって姉妹との距離感や結末が変化します。河原崎家のような一族全体の因縁やミステリー要素は薄いものの、その分、登場人物の心理描写や関係の変化に尺が割かれており、密度の高い対人ドラマが展開されます。同じブランドならではの緊張感あるシーン構成や、行き過ぎた欲望が引き起こす破綻の描写などには共通点も多く、河原崎家を気に入ったユーザーが次に手に取る作品としても自然なポジションにあります。
PC-98全盛期のシルキーズ作品を振り返ると、『河原崎家の一族』が「洋館ホラー寄りの怪作」だとすれば、『愛姉妹』はより恋愛ドラマ寄りに振った一本と言えるでしょう。同じブランドが、ダークホラーからセンシティブな人間ドラマまで幅広い作風に挑戦していたことを示す代表作のひとつです。

これら10本はいずれも、『河原崎家の一族』と同じ90年代前半のPC-98シーンを彩ったタイトルであり、それぞれが異なる方向から「大人向けPCゲームの可能性」を押し広げていました。河原崎家を軸に、ここで挙げたゲームを並べてみると、当時のユーザーがどれだけ多様なジャンルと作風に触れながらPCゲーム文化を育てていったか、その空気感がより鮮明に見えてくるはずです。

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