『A-JAX』(パソコンゲーム)

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【発売】:コナミ
【対応パソコン】:X68000 など
【発売日】:1989年11月29日
【ジャンル】:シューティングゲーム

■ 概要・詳しい説明

アーケードの派手な映像表現をパソコンへ持ち込んだ『A-JAX』

『A-JAX(エー・ジャックス)』は、コナミが1987年にアーケード向けとして送り出したシューティングゲームを原点とし、その後X68000をはじめとするパソコン環境にも展開された作品である。X68000版は1989年頃に登場し、当時としては非常に高度だったアーケード版の映像表現やサウンドを、家庭で扱えるパーソナルコンピューター上へどこまで再現できるかという点でも注目された。単なる縦スクロールシューティングではなく、真上から戦場を見下ろす2Dステージと、画面奥へ向かって飛行する立体感重視の3Dステージを交互に配置していることが本作最大の特徴であり、遊ぶ場面によって操作感覚や敵の見え方、攻略の考え方まで変化する。当時のシューティングゲームとしても非常に演出志向の強い作品で、敵機の大群、巨大兵器、激しい爆発、回転しながら迫るオブジェクトなどを次々と画面へ送り込み、「戦場そのものが動いている」ような印象をプレイヤーへ与えるゲームとして仕上げられていた。

作品の基本設定は、強大な敵勢力に対して特殊戦闘部隊「A-JAX」が反撃を開始するという軍事SF色の濃い内容である。プレイヤーは単独の戦闘機だけを操るのではなく、ステージの形式によって異なる航空兵器へ搭乗する。通常の縦スクロール形式では超音速戦闘ヘリコプター「VW-80 トム・タイガー」、3D形式ではジェット戦闘機「ジェリー・マウス」を使用するという構成で、この二機の名称を並べると「トム」と「ジェリー」になるという遊び心のある命名も特徴の一つだった。兵器を中心に据えた硬派な世界観の一方で、こうしたコナミらしいユーモアが盛り込まれている点も、本作を語る際には見逃せない部分である。

2D縦スクロールと3Dシューティングを一作品へ融合

『A-JAX』が同時代のシューティングゲームと大きく異なっていた理由は、一つの作品の中へ性格の異なる二種類のゲームシステムを組み込んだことにある。中心となる2Dステージでは、プレイヤーがトム・タイガーを操縦し、地上と空中の敵を攻撃しながら画面上方向へ進んでいく。戦車、砲台、航空機、艦船、巨大兵器など、多種多様な敵が立体的な配置で登場し、前方からだけではなく左右や背後に近い位置から攻撃される場面もあるため、単純にショットを撃ち続けるだけでは突破できない。画面内のどこへ位置取りするか、危険な敵をどの順番で破壊するか、敵弾が増える前に火力で押し切るかといった判断が重要になる。

一方の3Dステージでは視点が大きく変化し、ジェリー・マウスに乗って画面奥方向へ突き進む疑似3D型のシューティングへ移行する。敵機や障害物が遠方から接近し、徐々に巨大化しながら目の前へ迫ってくることで、高速飛行している感覚を演出している。現代の完全なポリゴン3Dゲームとは仕組みがまったく異なるが、当時の2Dグラフィック技術を利用して拡大、縮小、回転を組み合わせることで立体空間を表現しており、1980年代後半のゲームセンターでは非常に派手な映像に見えた。

この二種類のゲーム形式が交互に現れることによって、プレイヤーは同じ操作感覚だけで最後まで進むことができない。2Dステージでは弾幕を避けながら敵配置を覚える縦シューティングらしい技術が要求され、3Dステージでは遠近感を把握しながら接近してくる敵を素早く狙う反射神経が求められる。つまり『A-JAX』は、一作品の中で二つの異なるシューティング体験を提供することで、ゲーム展開そのものに変化を持たせていたのである。

回転・拡大・縮小を多用した当時屈指の視覚演出

アーケード版『A-JAX』で特に強烈だったのが、キャラクターや背景を回転させたり、急激に大きくしたり小さくしたりする視覚演出である。1987年前後は、アーケードゲームにおいて専用ハードウェアを利用した高度な映像処理が急速に発展していた時期であり、本作もその流れを象徴するような作品だった。画面奥から敵が迫り、巨大化しながらプレイヤー機へ突撃する場面や、背景そのものがダイナミックに動いているように感じさせる構成など、単純なスプライト表示だけでは得られない映像的な迫力が重視されている。

さらに爆発演出も本作の重要な魅力だった。敵を撃破すると派手な効果音とともに画面内で大きな爆発が発生し、連続して敵を破壊すると爆発音が重なって戦場の騒々しさが強調される。視覚と音響を組み合わせることで攻撃した手応えを強く感じさせる設計となっており、ゲームセンターの騒音の中でも存在感を放つ作品だった。静かに攻略していくタイプのシューティングではなく、「撃つ」「壊す」「爆発する」という一連の動作そのものを豪快な娯楽として見せる方向性が明確なのである。

この派手な表現こそが後のパソコン移植では大きな課題となった。アーケード基板なら専用機能を利用できる処理でも、家庭用パソコンでは同じ方法が使えない場合がある。そのため移植版では、単純に絵や音を置き換えるだけではなく、それぞれのパソコンが持つ機能を利用しながらアーケード版らしい印象を再構築する必要があった。

X68000版が挑んだアーケード版の再現

中でも注目度が高かったのがX68000版である。X68000は当時、アーケードゲームに近いグラフィックを家庭で楽しめる高性能パソコンとして評価されており、多数の業務用ゲームが移植されていた。しかし『A-JAX』の場合、原作そのものが回転や拡大縮小といった特殊な映像処理を大量に利用していたため、X68000へ移す作業は決して単純ではなかった。

X68000版の開発にはSPSが関わったとされる。SPSは当時、アーケードゲームをパソコンへ移植する技術で高い評価を得ていた企業であり、『A-JAX』でもハードウェア性能の違いを考慮した独自の処理が採用された。製品上では開発会社が前面に表示される形ではなかったものの、ネームエントリーなどには遊びとしてSPSを示す要素が盛り込まれていたとされ、後年には同社が移植作業を担当していたことも知られるようになった。

X68000版はフロッピーディスク3枚という大容量構成で提供されていた。当時のフロッピーディスクは現代のSSDやメモリーカードのように瞬時に大量データを読み込める媒体ではないため、ステージの切り替え時には一定のロード時間が発生する。特にグラフィックデータ量の多い場面ではディスクアクセスが長く続き、プレイヤーは次の戦闘へ進むまで待つ必要があった。ただし単に無表示の状態で待たせるのではなく、その間にストーリーを補足する文章などを提示することで、読み込み時間をゲーム世界の説明へ利用していた。アーケード版には存在しないパソコン版ならではのテンポではあるものの、当時のディスクゲームとしては現実的な工夫でもあった。

横長のモニターで縦画面ゲームを再現する独自処理

X68000版でもう一つ興味深いのが、画面比率の違いに対する対応である。原作のアーケード版は縦長のモニターを前提として設計されており、縦方向に広い戦場を見渡せることがゲーム性にも影響していた。ところが一般的なX68000のディスプレイは横長であるため、そのまま移植すると縦方向の表示範囲が狭くなり、敵配置や自機の動き方が原作と大きく変わってしまう。

そこでX68000版では、内部的には実際に画面へ映っている範囲よりも縦方向へ広いゲームフィールドを用意し、自機が上下に動いた位置に合わせて表示領域も上下へ移動する方式が採られていた。つまり画面の外側にも仮想的な戦場が存在し、プレイヤーが下方向へ移動するとカメラもそれに合わせて戻るようにスクロールする。単純に縦画面を横長画面へ縮小するのではなく、プレイヤー自身の移動と表示範囲を連動させることで、アーケード版に近い縦方向の空間を疑似的に作り出そうとしたのである。

この方式には当然ながら独特の感触も生まれた。アーケード版では画面全体が固定された状態で自機だけが移動する場面でも、X68000版では自機の位置によって表示される範囲そのものが動くため、完全に同一の感覚ではない。しかし、限られた画面比率の中へ無理に全要素を押し込むよりも、原作の敵配置や縦方向の余裕を維持することを優先した結果と考えれば、非常に興味深い移植手法だったといえる。

ハードウェアにない回転・拡大縮小をソフトウェアで表現

さらに大きな技術的課題となったのが3Dステージである。アーケード版では回転や拡大縮小を利用して敵機や背景を動かしていたが、X68000には原作基板と同等の回転・拡大縮小処理を直接実行する専用機能が備わっているわけではない。そのためX68000版では、CPUや描画機能を利用したソフトウェア処理によって同様の視覚効果を作る必要があった。

結果として、3Dステージでも敵が回転しながら接近したり、大きさを変化させながら飛来したりする原作の雰囲気が再現されている。ただし処理量が増える場面では表示が完全に滑らかとはならず、回転や移動にわずかな段階的変化が感じられることもあった。それでも、専用の回転拡大機能に頼れないパソコン上でアーケード版の特徴そのものを再構築しようとした点は、当時の移植技術を見る上で非常に重要である。

後に登場したCPUクロックの高いX68000 XVIなどで動かすと、一部の重い処理が軽快になる場合もあった。一方で本来の動作環境とは速度条件が変化するため、FM音源周辺の処理などで挙動が不安定になり、環境によっては正常とは異なる音が発生することもあったとされる。高速な機種で動かせばすべてが完全になるわけではなく、当時のパソコンゲームが特定のCPU速度やタイミングを前提に作られていたことを示す例でもある。

FM音源とADPCMが生み出した迫力あるサウンド

『A-JAX』は映像だけではなく音楽と効果音にも強い個性を持つ。コナミ作品は1980年代後半からゲーム音楽の完成度でも高い評価を得ており、本作も戦闘の緊迫感を高めるテンポの速い楽曲と、重量感のある効果音を組み合わせていた。X68000版ではFM音源に加えてADPCM機能が積極的に利用され、アーケード版が持っていた厚みのある音響を可能な限りパソコン上へ再現している。

特に重要なのが、爆発音や各種効果音の存在感である。『A-JAX』では敵を破壊する回数が多く、大型兵器との戦闘では短時間に多数の爆発が連続する。そのため音の迫力が弱いとゲーム全体の印象まで変化してしまう。X68000版では映像だけを似せるのではなく、ADPCMを活用することで「破壊した瞬間の気持ち良さ」まで原作へ近づけようとしていた。家庭用パソコンへの移植作品でありながら、ゲームセンターで感じた派手さを音響面からも再構成していたことが大きな特徴である。

二機の主人公メカ「トム・タイガー」と「ジェリー・マウス」

本作では一般的な物語型ゲームのように人物キャラクターが前面へ出るわけではなく、プレイヤーが操縦する兵器そのものが主人公的な存在となっている。その代表がVW-80 トム・タイガーである。実在する攻撃ヘリコプターを連想させる攻撃的なシルエットを持ち、2Dステージのほとんどを担当するため、『A-JAX』を象徴する機体といってよい。空中の敵だけではなく地上兵器も次々と破壊しながら進む姿は、通常の戦闘機を主人公とするシューティングとは異なる重量感を生み出している。

もう一機のジェリー・マウスは3Dステージを担当する高速ジェット戦闘機で、トム・タイガーとは対照的にスピード感を強調した存在となっている。遠方に見える敵編隊へ高速で接近しながら攻撃を仕掛けることで、ヘリコプター戦とはまったく異なる空中戦を味わえる。二機をステージごとに切り替える構成は、単なる見た目の変更ではなく、ゲームそのものの遊び方を切り替える役割を果たしている。

敵側にも通常の航空機や戦車だけでなく、巨大な要塞兵器や特殊な攻撃装置などが登場する。リアルな軍事兵器を思わせるデザインとSF的な巨大メカが混在しているため、現実の戦争を忠実に再現するミリタリーゲームではなく、軍事的イメージを利用した大型SFアクションとして楽しめる世界観になっている。

高難度シューティングとしての性格とゲーム展開

『A-JAX』は映像演出ばかりが注目されやすいが、ゲームそのものはかなり歯応えのあるシューティングとして設計されている。敵の出現量が多く、地上と空中から同時に攻撃される場面も珍しくない。さらに高速で飛来する敵や突然出現する攻撃などが重なるため、初めて遊ぶプレイヤーが反射神経だけで最後まで進むのは難しい。敵が出現する位置や危険な攻撃が始まるタイミングを覚え、次の場面を予測しながら行動する「パターン攻略」の要素が強い。

一方で、この難しさは何度も挑戦することで徐々に突破口が見えるタイプでもある。最初は大量の敵弾に押されていた場所でも、優先して倒す敵や安全な位置を覚えれば安定して進めるようになる。そのため単純な映像鑑賞型ゲームではなく、繰り返しプレイによる上達を楽しむ1980年代アーケードシューティングらしい性質をしっかり備えている。

X68000ユーザーにとって「移植技術を見るゲーム」でもあった

X68000というパソコンには、ゲームを遊ぶだけでなく「アーケード版がどこまで再現されているか」を比較する楽しみがあった。『グラディウス』『沙羅曼蛇』などをはじめ、アーケードで人気を博した作品が次々とX68000へ登場した時代において、移植度はユーザーにとって非常に重要な評価基準だった。

『A-JAX』の場合は、もともとのアーケード版が特殊な映像処理を多用していたこともあり、完全に同じものをそのまま移植することは難しかった。しかし、画面比率の問題には仮想的な縦フィールドという発想で対応し、回転や拡大縮小についてはソフトウェア処理を利用し、さらにADPCMによるサウンド再現まで行うなど、「異なるハードウェアで原作の特徴をどう再現するか」という工夫が随所に見られる。

その意味ではX68000版『A-JAX』は単なるアーケードゲームの家庭向け移植ではなく、当時のパソコン技術と移植開発者の試行錯誤そのものを味わえる作品でもある。完全コピーではないからこそ、X68000という環境でどのような工夫が行われたのかを比較する面白さがあり、現在ではレトロパソコン移植史を語るうえでも興味深いタイトルとなっている。

販売実績以上に残った「技術的挑戦作」としての存在感

『A-JAX』については、X68000版単独の累計販売本数など、詳細な商業データが広く公表されている作品ではない。そのため具体的な数字を根拠なく断定することはできないが、当時のX68000市場自体が家庭用ゲーム機とは異なる高価格帯パソコンを中心とした比較的小規模な市場であり、ソフトの価値も単純な販売本数だけでは測れない。

むしろ本作の場合、アーケード版の高度な映像処理をX68000でどこまで表現できるのかという技術的な側面が長く語られてきた。ディスク3枚という構成、ステージ切り替え時の読み込み、横長画面への対応、ソフトウェアによる回転・拡大縮小、FM音源とADPCMによる音響再現など、当時のパソコンゲーム制作における制約と工夫が非常に分かりやすく表れているからである。

アーケード版そのものも、2Dと3Dを大胆に切り替える構成や派手な映像演出によって独自の存在感を確立した。コナミには『グラディウス』『沙羅曼蛇』『ツインビー』など非常に著名なシューティング作品が数多く存在するため、その陰に隠れて語られることもあるが、『A-JAX』はそれらとは異なる方向から映像技術とシューティングゲームを融合させた作品だった。

後世の復刻で再び遊べるようになった『A-JAX』

長い年月を経た後も『A-JAX』は過去の作品として完全に埋もれることなく、復刻タイトルとして再登場している。PlayStation 4では2015年に「アーケードアーカイブス」シリーズの一作として配信され、Nintendo Switchでも2021年に同シリーズから登場した。これらはX68000版の復刻ではなくアーケード版を再現したもので、日本版『A-JAX』だけでなく海外向けバージョンとして知られる『TYPHOON』も収録されている。

さらに2019年には『アーケードクラシックス アニバーサリーコレクション』にも収録され、『グラディウス』『グラディウスII GOFERの野望』『沙羅曼蛇』『ツインビー』『サンダークロス』『スクランブル』『悪魔城ドラキュラ』など、コナミの1980年代を代表するアーケード作品と並んで遊べるようになった。この収録ラインナップに名を連ねていることからも、『A-JAX』がコナミのアーケード史において一定の位置を占める作品であることが分かる。

現在の視点で遊ぶと、疑似3D表現そのものは素朴に感じられる部分もある。しかし、1987年という時代に回転・拡大・縮小を大量に用い、縦スクロールシューティングと奥行き型シューティングを一つの作品へ詰め込んだ発想は大胆である。さらに、その映像表現を1989年頃のX68000へ移植しようとした試みまで含めると、『A-JAX』は単なるレトロシューティング以上の意味を持つ。

アーケード版では専用ハードウェアを活用した豪快な映像を楽しみ、X68000版ではパソコン上でそれを再構成した技術的工夫を味わう。同じ『A-JAX』でありながら、その魅力を見る角度が異なるのである。コナミがシューティングゲーム黄金期に送り出した数々の作品の中でも、本作は「異なる視点のシューティングを融合する」「映像そのものをゲームの見せ場にする」という二つの挑戦を同時に行った異色作であり、X68000版はその挑戦を家庭のパソコン環境へ持ち込もうとした意欲的な移植作品として、現在もレトロゲーム史の中で独特の存在感を保っている。

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■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター

二つの異なるシューティングを一度に楽しめることが最大の魅力

『A-JAX』の面白さを語るうえで最初に挙げたいのは、一般的な縦スクロールシューティングだけでは終わらず、上空から戦場を見下ろす2Dステージと、戦闘機に乗って画面奥へ向かって進む3Dステージを一つの作品の中で切り替えている点である。プレイヤーは超音速ヘリコプター「VW-80 トム・タイガー」とジェット戦闘機「ジェリー・マウス」をステージに応じて乗り分けるため、同じゲームを続けているにもかかわらず、途中でプレイ感覚そのものが大きく変化する。この構成が『A-JAX』独自のテンポを作り出している。

2Dステージでは、自機の位置を細かく調整しながら空中と地上の敵を同時に処理していく、いかにも1980年代コナミ作品らしい緻密なシューティングが楽しめる。敵を撃つだけでなく、「次にどこから攻撃されるか」「どの敵を先に破壊するか」「画面のどの位置で迎え撃つか」といった判断が生死を分ける。一方、3Dステージでは遠方から接近してくる敵を照準感覚で撃ち落とし、障害物や攻撃をかわしながら高速で突破していく。2Dでは位置取り、3Dでは距離感と反応速度が重視されるため、一種類のプレイ方法に慣れただけでは最後まで安定しない。

こうした性格の違うステージを交互に配置したことによって、プレイヤーが単調さを感じにくいのが大きな強みである。縦シューティングとして集中して遊んでいたところへ突然奥行き表現を用いた高速戦闘が入り、さらにその後で再び2D戦闘へ戻る。この変化がゲーム全体にメリハリを与えており、「次はどのような戦場が待っているのか」という期待感にもつながっている。

トム・タイガーを操る2Dステージの爽快感

本作で最も長く付き合うことになる主役機が「VW-80 トム・タイガー」である。攻撃ヘリコプターらしい重厚な外観を持ちながら、シューティングゲームの自機としては俊敏に動き、画面内を縦横に移動して敵を攻撃する。高速戦闘機が主人公となる作品が多かった当時のシューティングゲームの中で、ヘリコプターを中心に据えたことは作品の軍事的な雰囲気を強める役割も果たしている。

2Dステージで面白いのは、空中の敵と地上兵器を同時に相手にする必要があることだ。敵戦闘機だけを見ていると地上砲台から弾を撃ち込まれ、逆に地上兵器の破壊へ集中していると航空機の編隊に包囲される。目の前にいる敵すべてを無計画に撃つよりも、「今もっとも危険なのはどれか」を瞬時に判断しながら戦うことが重要になる。

特に慣れていない時期には、自機を画面下部へ置いたまま前方だけを撃ち続けたくなる。しかし『A-JAX』は後方や側面方向にも注意を向ける必要がある場面があり、状況によっては大胆に前へ出たり、左右へ大きく動いたりすることが重要になる。敵の出現位置が分かってくると、敵が攻撃を始める前に接近して破壊できるようになり、それまで苦戦していた場面を一瞬で片付けられるようになる。この「覚えた分だけ戦場を支配できる」感覚が2Dステージの大きな魅力である。

ジェリー・マウスによる3Dステージのスピード感

3Dステージで登場する「ジェリー・マウス」は、トム・タイガーとはまったく異なる役割を持った機体である。こちらはジェット戦闘機として設定されており、プレイヤーは前方へ高速飛行しながら敵航空機や巨大兵器と交戦する。画面上では敵が小さな姿で遠方に出現し、接近するにつれて急激に大きくなるため、当時としては強い奥行き感を味わえる場面となっていた。

3Dステージでは、2Dステージのように画面全体を見渡しながら弾幕の隙間へ入るというよりも、接近してくる敵や障害物を早い段階で認識する能力が求められる。敵が遠くにいる時点で狙いを定めて攻撃すれば比較的安全だが、対応が遅れて画面手前まで接近されると一気に危険になる。つまり「近づいてから倒す」のではなく、「危険になる前に処理する」ことが基本的な攻略思想となる。

この先読み感覚を身につけると3Dステージの印象はかなり変わる。初見では大量の敵が突然こちらへ飛び込んでくるように感じられるが、出現位置や接近経路を覚えてしまえば、敵がまだ小さく表示されているうちから照準を合わせられるようになる。結果として、反射神経だけのゲームではなく、敵配置を記憶して次の行動を準備するパターン型シューティングとして攻略できる。

映像演出そのものを楽しむシューティングとしての魅力

『A-JAX』では敵を倒すことだけでなく、画面上で何が起こるかを見る楽しさが大きい。敵機や巨大物体が回転しながら迫ってきたり、遠方から急速に拡大したり、背景の景色が大きく動いたりと、画面そのものを大胆に変化させる演出が数多く盛り込まれている。現代の3Dゲームでは当たり前に見える表現でも、1980年代の2Dグラフィックを基盤としたゲームとして考えると非常に野心的な試みだった。

特に3Dステージでは、ゲームを遊んでいるという感覚と同時に、アーケード基板の映像能力を見せつけるデモンストレーションのような迫力も感じられる。敵が奥から手前へ飛んでくる際にサイズが変化し、画面全体に遠近感が生まれることで、平面的なシューティングとは異なる刺激がある。

2Dステージも決して地味ではない。大型兵器、激しい爆発、地上施設、編隊飛行する敵機が次々と現れ、画面内には常に何らかの事件が起きている。敵を一体倒して終わるのではなく、連続して複数の敵を破壊することで画面中に爆発が広がる場面もあり、非常に攻撃的なテンポを持っている。

爆発音とBGMが戦闘を盛り上げる音響面の魅力

コナミのシューティング作品はBGMの評価が高いものが多く、『A-JAX』も音による盛り上げ方が印象的である。戦闘中はテンポの良い楽曲が流れ、敵の出現や場面転換に合わせてゲーム全体の緊張感を高めていく。それに加えて本作では爆発音が非常に重要な役割を持つ。

通常の敵機を撃墜したときの破壊音、大型兵器が連続して爆発していく時の迫力など、敵を倒した結果が音によって明確に返ってくる。そのため大量の敵を一気に処理できた時には視覚だけでなく聴覚からも爽快感を得られる。特にヘッドホンや音量をある程度上げた環境では、当時のゲームセンターで感じられた派手さを想像しやすい。

シューティングゲームでは「攻撃した結果が気持ちよいか」が重要である。敵に弾を当てても反応が弱ければ爽快感は薄いが、『A-JAX』では敵を倒した瞬間を爆発映像と効果音で強調するため、プレイヤーに明確な手応えを返してくれる。この豪快さが本作を繰り返し遊びたくなる理由の一つである。

好きなキャラクターとして挙げたいVW-80 トム・タイガー

『A-JAX』には人物キャラクターを中心としたドラマが存在するわけではないため、好きなキャラクターを選ぶなら自機や敵兵器が候補になる。その中でも特に印象的なのはVW-80 トム・タイガーである。

ジェリー・マウスが高速戦闘を担当する華やかな機体であるのに対して、トム・タイガーはゲームの中心となる2Dステージを支える存在だ。攻撃ヘリらしい武骨な姿でありながら、画面上では素早く動き、航空機から地上兵器まで片っ端から破壊していく。この「見た目は重厚だが操作すると俊敏」という差が面白い。

名称にも遊び心があり、ジェリー・マウスと組み合わせることで「トムとジェリー」を連想させる。ゲーム本編は敵軍との激しい戦争を描いた硬派な内容でありながら、メカの名前には軽妙なネタを入れているところに、当時のコナミ作品らしい余裕を感じることができる。

また、シューティングゲームでヘリコプターを操作する作品では、戦闘機とは異なる「低空を飛びながら地上を制圧している」雰囲気を楽しめる。トム・タイガーはそうした感覚を強く持つ機体であり、『A-JAX』という作品の顔として記憶に残りやすい。

初心者が最初に覚えるべき攻略の基本

『A-JAX』は見た目の派手さとは裏腹に、何も考えずにショットを連打するだけでは簡単には進めない。特にゲーム開始直後から敵の出現量が比較的多く、初めて遊ぶ場合は「どこを見ればよいのか分からない」という状態になりやすい。

最初に意識したいのは、自分のショットではなく敵を見ることである。シューティングゲームに慣れていないと、自分が敵に弾を当てているかどうかを確認するため自機の前方ばかり見てしまう。しかし重要なのは敵弾と敵本体の位置であり、自機は視界の端で把握する程度でもよい。

次に、画面全体を大きく動き回りすぎないことも重要である。敵弾を一本避けるために画面端から反対側まで移動すると、別方向から出現した敵へ衝突する危険が高まる。必要最低限の移動で攻撃をかわし、安全が確認できた場合だけ大きく動くようにすると事故が減る。

また、一度にすべての敵を倒そうとしないことも大切である。危険な敵と放置しても問題のない敵を見分け、危険度の高い相手から優先して破壊する。スコアを追求する段階なら全滅を狙う楽しみもあるが、クリアを目的とするなら生存を最優先にする方がよい。

敵配置を覚えることが最大の攻略法

『A-JAX』の攻略で最も効果が大きい方法は、敵の出現パターンを覚えることである。現在のランダム生成型ゲームとは異なり、この時代のアーケードシューティングでは敵が登場する位置やタイミングがある程度決められている。そのため、一度失敗した場所でも「次は右側から敵編隊が来る」「この直後に地上砲台が攻撃する」と分かっていれば対応が容易になる。

初見では反射神経が必要に見える場面も、何度か遊べば準備できる。敵が画面へ入ってから撃つのではなく、出現する直前からショットを向けておけば、攻撃される前に破壊できる。強敵ほど攻撃開始前に倒すことが安全であり、これが上級者のプレイと初心者のプレイを分ける大きな違いとなる。

特に大量の敵が同時に現れる場面では、後手に回ると一気に画面内へ弾が増える。しかし敵の順番を理解していれば、最初の一体を出現直後に倒し、続く敵も順番に処理できるため、結果的に弾幕そのものを発生させずに済む。

つまり『A-JAX』では、弾を上手に避けること以上に、「避けなければならない弾を撃たせない」ことが強力な攻略方法になる。

2Dステージでは画面位置の管理が重要

2Dステージでは自機の位置によって敵への対応力が大きく変わる。基本的には画面中央からやや下側を基準にし、上下左右へ移動できる余裕を残しておくとよい。画面端へ張り付いてしまうと逃げられる方向が限定されるため、敵弾に追い込まれやすい。

ただし、いつでも中央にいれば安全というわけではない。敵によっては画面端から攻撃してきたり、正面方向へ集中攻撃したりするため、場面ごとに位置を調整する必要がある。重要なのは「敵が出たから避ける」のではなく、「次に敵が来る方向へ対応しやすい場所へ先に移動しておく」ことである。

スクロールする背景にも惑わされないようにしたい。地形や大型オブジェクトが動くと、自機まで流されているような錯覚を受ける場合があるが、実際に見るべきなのは自機と敵弾の相対的な位置である。背景ではなく攻撃判定のある対象を意識することが安定攻略につながる。

3Dステージでは近距離より遠距離を意識する

3Dステージでは画面手前に来た敵へ反応するのでは遅い。遠方に小さく表示された瞬間から敵の位置を把握し、接近経路を予測することが重要になる。

初心者は大きく表示された敵ほど危険に感じるため、自然と画面手前へ視線を集中させる。しかし実際には、その敵が巨大に見える時点ですでに対応時間が少なくなっている。そこで視線をやや画面奥へ置き、小さい段階の敵を認識する癖をつけると攻略しやすくなる。

また3D表現では、敵との距離感がつかみにくい場合がある。何度もプレイすることで、「このサイズならまだ遠い」「ここまで大きくなったら回避を優先する」といった感覚を身体で覚えていくことになる。

一見すると特殊なステージだが、基本は2Dステージと同じであり、出現位置を覚えれば難易度は下がる。遠方の敵を事前に撃ち、次の敵が現れる方向へ照準を準備しておけば、かなり安定する。

ミスをした直後に焦らないことも重要

昔のシューティングゲームでありがちな失敗が、一度ミスした後に焦って連続ミスをすることである。『A-JAX』も例外ではなく、危険な場面で自機を失うと立て直す前に次の敵が迫り、さらにミスしてしまう場合がある。

このような時は、復帰直後からすべての敵を倒そうとせず、まず生存できる場所を確保する方がよい。攻撃より回避を優先し、画面内の敵数が減ったところから攻撃へ戻る。ゲームオーバーまで一気に崩れる原因の多くは、最初の一ミスそのものよりも、その後の焦りにある。

また、難所で毎回同じようにミスするなら、反射神経ではなく攻略方法が間違っている可能性が高い。その場面へ突入する位置、最初に攻撃する敵、移動方向などを一つずつ変えて試すことで安全なパターンを発見できる。

クリアを目指すならスコアより生存を優先

シューティングゲームには得点を競う楽しみがあるが、初めてエンディングを目指す場合はスコア稼ぎを後回しにした方がよい。倒せる敵をすべて追いかけたり、危険な位置へ移動して得点源を狙ったりすると、クリア難易度は大きく上がる。

敵を逃しても自機が残れば次へ進める。反対に高得点を得てもミスすれば攻略は不利になる。そのため最初は「倒せる敵だけ倒す」「危険な相手には無理に近づかない」「安全地帯を優先する」という考え方が有効である。

エンディングを見るための基本条件は、途中のステージを突破して最終局面まで進み、最後に待つ敵戦力を撃破してゲームを完遂することである。特定の隠し条件を大量に満たさなければエンディングへ到達できない種類の作品ではなく、純粋にシューティングゲームとして最後まで生き残ることが最大の目標となる。

ボス戦では本体より攻撃パターンを見る

大型兵器との戦いでは、ついボス本体へ視線が集中する。しかし重要なのは本体のグラフィックではなく、攻撃がどこから発生し、どの方向へ飛んでくるかである。

ボスが巨大であればあるほど画面を圧迫し、プレイヤーは心理的に追い込まれる。しかし攻撃パターンを分解すると、「一定方向へ撃つ」「一定周期で攻撃が切れる」など規則性を持っている場合が多い。攻撃の合間に撃ち込み、危険な時は回避へ専念するという基本を守れば突破しやすい。

初回から短時間撃破を狙う必要はない。安全な場所を確認しながら少しずつダメージを与え、攻撃周期を覚える方が確実である。慣れてくれば、攻撃開始前から撃ち込んで戦闘時間を短縮することもできる。

難易度は高めだが理不尽一辺倒ではない

『A-JAX』は決して簡単なゲームではない。敵の攻撃が激しく、展開も速いため、シューティングゲーム初心者が最初から一気に最後まで進むのは難しい。しかし、すべてが運任せで決まるようなゲームでもない。

敵配置を覚え、危険な場面を事前に知り、安全な位置取りを作ることで確実に進歩できる。昨日は突破できなかった場所を今日は安定して越えられるようになるという、昔のアーケードゲームらしい成長感がある。

このため、最初の印象だけでは「難しいゲーム」に見えても、繰り返し遊ぶことで「攻略方法を覚えるゲーム」へ変化していく。その変化を味わうところに『A-JAX』の本当の面白さがある。

上達すると映像の派手さとは別の面白さが見えてくる

初めて『A-JAX』を見た時には、回転、拡大縮小、爆発、3Dステージといった派手な演出に目を奪われる。しかし何度も遊び、敵配置を理解するようになると、その内側に非常にパターン性の強いシューティングゲームが存在していることに気づく。

どの敵から撃つか、自機をどこへ置くか、どの瞬間に移動するか。こうした判断が少し違うだけで難易度が大きく変わる。上手なプレイヤーのゲーム画面を見ると非常に簡単そうに見えることがあるが、それは反射神経だけが優れているからではない。敵の出現を理解し、攻撃される前に対処しているからである。

この「派手な映像の裏側に緻密な攻略が存在する」という二重構造こそが、『A-JAX』を単なる技術デモ的な作品ではなく、繰り返し遊べるシューティングゲームとして成立させている。

2Dと3Dの得意不得意がプレイヤーごとに分かれる面白さ

本作を複数のプレイヤーが遊ぶと、2Dステージが得意な人と3Dステージが得意な人に分かれやすい。通常の縦シューティングを数多く経験してきた人なら、2Dステージでは敵弾の軌道や安全地帯を直感的に理解しやすい。一方で3Dステージでは距離感が掴みにくく、予想外に苦戦することがある。

逆に疑似3Dタイプのシューティングに慣れているプレイヤーなら、遠方から接近してくる敵への対処は得意でも、2Dステージで大量の地上砲台と航空機を同時に処理することに難しさを感じる場合がある。

二種類のゲーム方式を組み合わせたことで、プレイヤー自身の得意分野が見えやすい。苦手なステージを練習し、少しずつ克服していくことが長く遊ぶ動機になる。

コンティニューだけでは得られない「一周を通す」楽しさ

現代の復刻環境では途中保存などを利用できる場合があり、当時よりも各ステージを確認しやすくなっている。しかし『A-JAX』本来の面白さを深く味わうなら、最終的には一連のステージを通して攻略することを目標にするとよい。

序盤で余計なミスをせず、中盤まで余力を残し、難所に備える。一つのステージだけを突破する技術だけではなく、ゲーム全体を通したペース配分が必要になるからである。

最初は数分しか進めなかったプレイヤーが敵配置を覚え、徐々に到達地点を伸ばし、最後には一周を通してクリアできるようになる。この達成感こそ、古典的なアーケードシューティングを遊び込む醍醐味である。

現代から遊んでも個性が失われていない理由

現在では高度な3Dグラフィックを使用したシューティングゲームが当たり前になっているため、『A-JAX』の疑似3D表現そのものに技術的な驚きを感じる人は少ないかもしれない。しかしゲームデザインとして見ると、2Dと3Dを大胆に切り替える構成はいまなお強い個性を持っている。

現代の作品ならステージごとに視点が変わることは珍しくないが、1980年代のアーケードゲームでこれを積極的に行ったことには大きな意味がある。しかも単なるイベント演出として3D場面を入れるのではなく、それぞれを独立したシューティングゲームとして成立させている。

さらに、コナミらしい緻密な敵配置、特徴的な音楽、豪快な爆発、軍事SF的なメカデザインなどが組み合わされているため、単なる「昔の技術を見るゲーム」では終わらない。

『A-JAX』の魅力は、一見すると豪快でありながら、実際には敵配置を一つずつ覚えて攻略していく緻密さを持っていることにある。トム・タイガーで戦場を制圧する2Dステージ、ジェリー・マウスで高速空中戦へ挑む3Dステージという二つの顔を持ち、その両方を克服した時に初めて一作品を攻略したという満足感が得られる。派手な映像、強烈なサウンド、独特のメカ、厳しい難易度、そして繰り返すほど上達を実感できるゲーム性が重なったことで、『A-JAX』はコナミの数多いシューティング作品の中でも他作品とは簡単に置き換えられない独特の存在となっている。

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■ 感想・評判・口コミ

最初に語られやすいのは「とにかく派手だった」という第一印象

『A-JAX』についてプレイヤーの感想をまとめていくと、まず大きな評価点として挙がりやすいのが、1980年代後半のシューティングゲームとして非常に派手な作品だったということである。現在の目で見れば、回転や拡大縮小を利用した疑似3D表現は古典的な技術に見える。しかし発売当時にゲームセンターで目にしたプレイヤーにとっては、敵機が画面奥から急接近し、巨大化しながらこちらへ迫ってくる演出や、戦場全体が激しく動いて見える場面には強いインパクトがあった。

一般的な縦スクロールシューティングでは、背景が一定方向へ流れ、その中を敵と自機が移動する形が基本だった。ところが『A-JAX』では、通常の縦スクロール面を進んでいたと思った直後に視点が大きく変わり、ジェット戦闘機で正面方向へ飛ぶ3Dステージへ突入する。そのため初めてプレイした時には、「一つのゲームなのに途中から別のシューティングへ変わったように感じた」という印象を受けやすい。

この視点変更は単なるデモ演出ではなく、実際にプレイヤーが操作しなければならないゲーム部分として組み込まれている。そこが本作の評価を特徴づけている部分であり、「映像技術を見せるためだけの作品ではなく、その技術をゲームそのものへ組み込もうとしている」と感じられる要素でもある。

一方で、派手さを優先した結果として画面内の情報量が多く、初めて遊ぶと何に注意すればよいのか分かりにくいという感想も生まれやすい。巨大な敵、背景、爆発、敵弾などが同時に表示されるため、視覚的な迫力と遊びやすさが必ずしも一致しているわけではない。それでも、この多少荒々しいほどの情報量こそが『A-JAX』らしいという見方もでき、整然としたシューティングとは異なる戦場の混乱を楽しめる作品として支持されてきた。

「コナミらしい作品だが、グラディウス系とはまったく違う」という評価

1980年代のコナミといえば、『グラディウス』『沙羅曼蛇』『ツインビー』など、現在まで名前が残るシューティングゲームを多数送り出していた。そのため『A-JAX』を遊ぶ際にも、こうした作品と比較するプレイヤーは少なくない。

しかし実際にプレイすると、『A-JAX』は同じコナミ製シューティングでありながら、『グラディウス』とはゲームの考え方がかなり違うことが分かる。パワーアップシステムを計画的に構築して攻略するというより、画面内に次々と現れる敵を素早く処理し、激しい攻撃を切り抜ける瞬間的な戦闘が中心となる。さらに2Dと3Dが交互に登場するため、一つの攻略方法を最後まで維持することもできない。

この点については、「コナミのシューティングだからグラディウスのような作品を想像していたらかなり違った」という印象につながりやすい。一方で、その違いこそを魅力として挙げる人もいる。『グラディウス』型のゲームをもう一本作るのではなく、回転・拡大縮小技術を大胆に使用し、戦場を上空と正面の二方向から描くことで別の方向性を追求したところに、本作の存在価値がある。

コナミのシューティング作品を幅広く遊んできたプレイヤーほど、『A-JAX』はシリーズ物とは違った実験的な一本として興味深く感じられるだろう。完成度だけを比較するのではなく、「当時のコナミがどこまで異なるゲーム表現を試していたのか」を知る作品として見ると評価しやすい。

2Dステージを高く評価するプレイヤーの声

ゲーム性そのものについては、トム・タイガーを操作する2D縦スクロールステージを好むプレイヤーが比較的多くなりやすい。こちらはシューティングゲームとしてのルールを直感的に理解しやすく、敵の配置を覚えながら少しずつ攻略精度を上げていく面白さがはっきりしているからである。

上空から戦場を見下ろし、空中の航空機と地上の戦車や砲台を次々に破壊していく感覚には独特の爽快感がある。特に敵が密集した場所を効率良く攻撃し、短時間に複数の爆発を発生させた時には非常に豪快である。自分が戦場の中心へ突入し、敵部隊を強引に突破している感覚が強い。

また、繰り返し遊ぶことで敵の位置を覚えられる点も評価されやすい。初回プレイでは突然現れた敵に倒されても、次の挑戦では出現場所が分かっているため先に攻撃できる。こうして一つの難所を突破すると、以前よりも明確に上達したことが感じられる。

逆に、覚えなければ避けにくい攻撃があることを欠点と感じる人もいる。現代的な感覚では初見でも反応できる公平さを重視するプレイヤーも多いが、1980年代のアーケードゲームでは繰り返し遊びながら攻略パターンを構築する設計は珍しくなかった。したがって『A-JAX』の難しさは、どの時代のゲーム文化を基準にするかによって評価が変わる。

昔ながらのシューティングを好む人には「覚えるほど安定するのが面白い」と評価される一方、初見攻略を重視する人には「敵の出現を知らないと厳しい」と映りやすい。この両面性が本作の評判を分けるポイントである。

3Dステージは大きな個性である一方、好みも分かれやすい

『A-JAX』の感想で特に意見が分かれやすいのが3Dステージである。作品最大の特徴として高く評価される一方、通常の縦シューティングだけを楽しみたいプレイヤーにとっては、テンポを中断する要素にもなり得る。

肯定的な見方では、画面奥へ高速で飛ぶ感覚が新鮮であり、2Dステージの途中に別形式の戦闘が入ることで最後まで飽きにくいと評価できる。巨大な敵や障害物が遠方から迫ってくる映像は、『A-JAX』を一目で他作品と区別できる象徴的な場面でもある。ゲームセンターで横からプレイを眺めていた人にとっても、この3Dステージは非常に目立つ存在だった。

その反対に、疑似3D独特の距離感が分かりにくいという感想も出やすい。敵との位置関係を完全な三次元で計算しているわけではないため、現代の3Dシューティングと同じ感覚で操作すると戸惑う場合がある。敵がどの程度まで接近すると危険なのか、攻撃が自機へ当たる位置はどこなのかを感覚的に理解するまで多少の慣れが必要となる。

さらに、2Dステージで培った避け方がそのまま利用できないことも難しさにつながる。縦スクロール面なら敵弾を見ながら小さく移動するという方法が使えるが、3Dステージでは遠方の敵を早期に発見して処理する考え方が必要となる。

このため3Dステージは、「『A-JAX』で最も好きなところ」と考える人と、「2Dステージだけでもよかった」と感じる人に分かれやすい。しかし好き嫌いが分かれるほど強い特徴を持っていること自体、本作が没個性的なシューティングではなかった証拠ともいえる。

難易度については「かなり厳しい」という印象を持たれやすい

『A-JAX』を実際に遊んだ際の感想として非常に出やすいのが難易度の高さである。敵の攻撃量が多く、出現速度も速いため、初見で簡単に先へ進めるタイプのゲームではない。特にシューティングゲームに慣れていないプレイヤーの場合、派手な画面を楽しむ余裕もないままミスを繰り返してしまう可能性がある。

敵機だけではなく地上兵器からも攻撃されるため、画面全体へ注意を向ける必要がある。また、大量の敵が出現する場面では、敵弾を避けることだけを考えていると次々に攻撃が追加され、画面がさらに危険になる。攻撃を受けてから回避するのではなく、危険な敵を早めに倒して攻撃そのものを発生させないことが求められる。

このゲームデザインは、初心者にとっては厳しい。しかし攻略法を覚えたプレイヤーにとっては、それが面白さへ変わる。最初は絶望的に見えた敵の大群を、出現直後に順番に破壊できるようになると、難しかった場面が急に簡単に感じられるからである。

そのため評価としては、「難しいけれど攻略する楽しさがある」という言葉が似合う。無条件に万人向けとは言いにくいが、何度も挑戦してパターンを覚えるタイプのシューティングが好きな人にとっては、長く付き合える難しさを持っている。

敵を連続して破壊する爽快感への評価

難易度が高い一方で、攻撃がうまく決まった時の爽快感は本作の高評価につながりやすい。『A-JAX』では敵の数が多いため、それだけ破壊できる対象も多い。危険な敵を次々と撃墜し、地上施設をまとめて破壊し、大型兵器を爆発させていく過程には非常に強い攻撃感覚がある。

ゲームによっては敵が少なく、一機ずつ慎重に戦うタイプもあるが、本作は比較的物量で押してくる場面が多い。その物量に対してプレイヤーも強力な攻撃を浴びせ、画面中を爆発で埋めていく。この豪快さが好きな人には非常に印象に残る。

特に攻略に慣れてくると、敵が画面内へ十分に展開する前に処理できるため、自分から戦場を支配しているような感覚が強まる。初心者の頃には追い詰められていた場所で、次々に敵を先回りして撃墜できるようになることが、そのままプレイヤー自身の成長を示している。

単にステージを進めるだけでなく、「以前より美しく敵を処理できた」と感じられることが繰り返しプレイの魅力につながっている。

サウンドはコナミ作品らしい高評価につながりやすい部分

『A-JAX』についてはBGMや効果音を好むプレイヤーも多い。1980年代のコナミはゲーム音楽の分野でも独特の存在感を持っており、本作でも激しい戦闘に負けない力強いサウンドが用意されている。

BGMは単なる背景音ではなく、戦場を高速で突破していく雰囲気を作る重要な要素となっている。テンポの速い曲と派手な画面演出が組み合わさることで、ゲームそのものの勢いが強調される。

さらに評価したいのが効果音である。『A-JAX』では爆発が頻繁に発生するため、その音が弱ければ作品の印象まで小さくなってしまう。しかし敵機や兵器を破壊した時には視覚と音の双方から反応が返ってくるため、敵を撃墜した瞬間の満足感が大きい。

レトロゲームでは、現在のゲームほど大量の音声データを利用できないからこそ、一つひとつの効果音が作品の印象を左右する。『A-JAX』は破壊音を含めて戦争アクションらしい騒々しさを演出しており、「音も含めて派手なゲームだった」と記憶されやすい。

硬派な兵器デザインを好む人から見た魅力

キャラクター性については、人物を前面へ押し出すゲームではないため、萌えキャラクターや物語上の主人公を求める作品とは方向性が異なる。その代わり、戦闘ヘリ、ジェット戦闘機、戦車、大型航空兵器など、機械そのものの格好良さを楽しめる。

特にトム・タイガーは、単純な宇宙戦闘機ではなく攻撃ヘリを思わせる外観を持っており、低空から地上部隊を制圧していく世界観とよく合っている。ジェリー・マウスは逆に高速戦闘機としてスマートな印象を持ち、二つの機体で異なる戦争アクションを表現している。

リアルな兵器そのものではなく、実在兵器を連想させながらゲーム向けに大胆なアレンジを施したデザインであることも重要である。本格的な戦争シミュレーションほど現実的ではなく、完全な宇宙SFほど現実離れしてもいない。その中間にある「架空の近未来戦争」という雰囲気が好きなプレイヤーには魅力的に映る。

初見プレイと熟練後では評価が大きく変わりやすいゲーム

『A-JAX』は一度だけ短時間遊んだ場合と、何度も攻略した場合で印象がかなり変化する作品である。初見では、「敵が多い」「攻撃が激しい」「突然やられた」「3D面の距離感が分からない」という感想になりやすい。

しかし繰り返し遊ぶと、敵が完全な無秩序で出現しているわけではないことが理解できる。次に何が出てくるか分かれば、あらかじめ安全な位置へ移動したり、敵が攻撃する前に破壊したりできる。すると同じステージでも難しさが大幅に低下する。

ここまで進むと、ゲームに対する評価も「理不尽に難しい」から「覚えることで攻略できる」へ変化しやすい。この感覚は1980年代のアーケードシューティングに共通する楽しさでもあり、一回のプレイだけでは作品の本質を判断しにくい理由にもなっている。

一方で「覚えゲー的すぎる」と感じる場合もある

肯定的な評価だけでなく、苦手と感じられやすい要素もある。その代表がパターン記憶への依存度である。

敵の出現場所を知っているかどうかで生存率が大きく変わるため、完全な初見対応だけで進めたいプレイヤーにとっては不公平に感じる場面がある。特に高速で接近する敵や突然攻撃してくる敵に対して、最初から完璧に対応するのは難しい。

現在のゲームでは、初めて見る攻撃でも視覚的な予告を十分に与え、プレイヤー自身の反応だけで回避できるように設計される作品が多い。それと比較すると、『A-JAX』は「一度やられて覚える」というアーケードゲームらしい設計思想が強い。

したがって、短時間で最後まで楽しみたい人よりも、同じステージを繰り返し攻略し、少しずつ到達地点を伸ばしていく遊び方を好む人の方が相性は良い。

3D表現の古さを「味」と見るか「遊びづらさ」と見るか

現在『A-JAX』を初めて遊ぶ人にとって、最も時代を感じやすい部分は3Dステージだろう。現代のゲームではポリゴンによって三次元空間を滑らかに描くことが当たり前だが、本作は2D画像の拡大縮小を利用して奥行きを表現している。

そのため敵が近づく過程や回転の仕方には、現代ゲームとは異なる独特の動きがある。これを古臭いと感じる人もいれば、「この時代ならではの技術表現が面白い」と感じる人もいる。

特にレトロゲームを歴史的な視点から楽しむ場合、この3D表現はむしろ大きな見どころとなる。限られた技術を使ってどうすれば高速飛行を表現できるのか、どのように巨大物体が接近する迫力を作るのか。当時の開発者が考えた答えを実際に操作しながら確認できるからである。

完成された現代技術と比較するより、1987年当時のゲームセンターに突然この映像が現れた状況を想像すると、評価が大きく変わる作品である。

コナミの有名作品に挟まれた「知る人ぞ知る一本」という印象

『A-JAX』の評判を考える際には、同時期のコナミ作品があまりにも強力だったことも無視できない。『グラディウス』シリーズや『沙羅曼蛇』、『ツインビー』などは家庭用ゲーム機への展開も大きく、長期シリーズとして知名度を高めていった。

それに対して『A-JAX』は大規模なシリーズ化を遂げたわけではなく、単独作品として語られることが多い。このため一般的なゲームファンには名前を知られていなくても、1980年代のアーケードゲームやX68000などのパソコンゲームを好む人には印象深い作品となっている。

こうした立ち位置から、「コナミのシューティングを代表する一本」と断定するよりも、「コナミが非常に多彩なアーケード作品を開発していた時代を象徴する異色の一本」と見る方が本作には合っている。

「名作」よりも「強烈な個性を持つ挑戦作」という評価が似合う

『A-JAX』を総合的な口コミや評価の傾向として捉えると、万人が同じように絶賛する完成型シューティングというより、「特徴が非常にはっきりした挑戦作」と評価するのが適切である。

2D縦スクロール面については比較的分かりやすい一方、3Dステージは好みが分かれる。難易度も高く、初見では敵配置に翻弄されやすい。現代のゲームと比較すると操作感覚や疑似3D表現に古さを感じる部分もある。

しかし、その弱点を差し引いても残るのが圧倒的な個性である。トム・タイガーによる地上制圧戦からジェリー・マウスの高速空中戦へ切り替わり、敵が回転し、拡大し、大爆発を起こす。その展開は一度見れば忘れにくい。

『グラディウス』のような巨大シリーズにはならなかったものの、既存の縦シューティングへ疑似3Dという異質な要素を大胆に組み込み、アーケード映像技術の可能性をゲームとして見せようとした点は高く評価できる。現在振り返れば、洗練だけを追求した作品というより、技術、演出、ゲーム性を勢いよく一つへ詰め込んだ1980年代後半らしい意欲作であり、その少し荒削りな部分も含めて独特の魅力を持つシューティングゲームである。

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■ 当時の宣伝・現在の中古市場など

アーケード版の知名度を背景に登場したX68000版

『A-JAX』のX68000版が発売されたのは1989年11月29日で、メーカーはコナミ、当時の定価は9,680円だった。5インチフロッピーディスク3枚組という、当時のX68000用ゲームとしては本格的なパッケージ構成で販売されている。現在の家庭用ゲーム市場と比較すると9,680円という価格は高価に感じられるが、1980年代末から1990年代初頭の国産パソコンゲームでは1万円前後の価格設定は決して珍しいものではなく、X68000のユーザーもアーケードゲームに近い映像や音楽を自宅で味わえることに大きな価値を見いだしていた。

本作の場合、まったく無名の新作パソコンゲームとして売り出されたわけではない。原型となったアーケード版『A-JAX』は1987年にゲームセンターへ登場しており、縦スクロールシューティングと疑似3Dシューティングを一つに組み込んだ派手な作品としてすでに知られていた。そのためX68000版の訴求点は、「新しいゲームが遊べる」というだけでなく、「ゲームセンターで動いていた高度な作品を自宅のX68000で遊べる」というところにあった。

ゲーム専門誌やパソコン雑誌による紹介

1980年代後半のゲーム情報は、現在のようなインターネット動画ではなくゲーム専門誌、パソコン雑誌、ショップ広告などを通して広がっていた。アーケードゲームであれば新作紹介、攻略記事、ハイスコア情報などから存在を知り、パソコンゲームであれば新作欄やメーカー広告、販売店広告などから発売予定や価格を確認するという流れが一般的だった。

『A-JAX』は画面写真だけでも特徴が伝わりやすいゲームだった。戦闘ヘリが進む縦スクロール画面と、ジェット戦闘機が画面奥へ飛ぶ3D画面を並べれば、「一つのゲームで二種類のシューティングが楽しめる」という特色を視覚的に理解できる。さらにアーケード版の派手な拡大縮小、回転、巨大兵器といった要素は雑誌誌面でも紹介しやすく、X68000版ではそれがどの程度再現されるのかという話題そのものが読者の関心を引いた。

X68000版では「移植度」そのものが宣伝材料になった

X68000版を紹介する際に最大の話題となったのは、アーケード版をどの程度再現できるのかという点だった。『A-JAX』は通常の2Dシューティングだけならまだしも、回転・拡大縮小を多用した3Dステージを持つため、移植難度の高い作品である。

X68000ユーザーには、単にゲームを遊ぶだけでなく、アーケード版と比較して「背景はどこまで再現されたか」「キャラクターの動きはどうか」「音楽は似ているか」「処理速度は十分か」と確認する楽しみがあった。そのため『A-JAX』のような高度なアーケード作品は、移植されたという事実そのものが大きな話題となった。

1989年当時は、「このアーケードゲームを本当に家庭のパソコンで動かせるのか」という技術的な好奇心が商品価値へ直結していた。その期待がX68000版『A-JAX』の存在感を高めていたのである。

パソコンショップと雑誌広告を中心とした当時の販売形態

X68000版『A-JAX』のようなソフトは、現在のダウンロード販売とは異なり、箱入りのパッケージ商品として流通した。パソコン専門店、家電量販店のパソコン売り場、ゲームソフト取扱店などで販売され、ユーザーは店頭でパッケージを確認して購入することになる。

また、地方在住者にとって重要だったのが雑誌広告や通信販売だった。パソコン雑誌の後半には多数のショップが広告を掲載し、ソフト名、対応機種、価格を一覧形式で並べていた。欲しい商品を誌面で探し、電話や郵便などを利用して注文するという購入方法も珍しくなかった。

さらにX68000そのものがファミリーコンピュータのような大衆向けゲーム専用機よりユーザー数の限られる高価格帯パソコンだったため、ソフト販売も家庭用ゲーム市場とは規模が異なる。全国の玩具店に大量出荷するというより、パソコンを扱う専門的な販売網との結び付きが強い商品だったと考えられる。

正確な販売本数については慎重に見る必要がある

『A-JAX』X68000版について、現在広く参照できる資料の中には累計販売本数を明確に示す信頼性の高い数字がほとんど見当たらない。そのため、「何万本売れた」「X68000ソフトの中で何位だった」といった数字を根拠なく断定するべきではない。

これは『A-JAX』だけに限った問題ではなく、1980年代から1990年代初頭の国産パソコンゲーム全般に当てはまる。家庭用ゲーム機の大ヒット作品ほど販売本数資料が体系的に保存されておらず、メーカー自身が数字を公表していない場合、後世から正確な実績を把握することは難しい。

したがって本作の商業的価値については、単純な販売本数だけではなく、現在まで中古市場で商品が流通していること、アーケード版が後年の復刻作品へ何度も収録されていること、X68000移植史の中で話題にされ続けていることなどから総合的に考える方が適切である。

現在もX68000版は中古市場で見つけられる

現在のX68000版『A-JAX』は、市場から完全に消えた幻のソフトというわけではない。レトロパソコン専門店、大手中古ショップ、ネットオークション、フリマサービスなどで時折出品されている。

価格は商品の状態によって変動し、ディスクのみの商品、箱と説明書が揃った完品、動作確認済みの商品、動作未確認のジャンク品などで大きな差が生じる。通常の中古品では数千円台で取引されることがあり、X68000用ソフトとして一定の収集需要を持ちながらも、常に数万円や数十万円という価格になる超希少ソフトではない。

ただし、レトロパソコン用ソフト全体の価格は市場に出る数量が少ないため、一件の出品条件によって大きく変わる場合がある。したがって「A-JAXの相場は必ず○円」と固定的に考えるより、その時点での出品状況や商品の保存状態を確認する必要がある。

3枚のディスクが揃っていることが重要なチェックポイント

X68000版はゲームディスク3枚で構成されるため、中古品を購入する際には三枚すべて揃っているかを必ず確認したい。ディスクが一本でも欠けていれば、本来のゲームを最後まで正常に利用できない可能性がある。

中古市場では「ディスクのみ」「箱なし」「説明書なし」といった商品も流通する。プレイするだけなら必要なディスクが正常に読み込めれば問題は少ないが、収集目的では箱、説明書、ディスクを含めて発売当時の状態に近い商品ほど評価されやすい。

特に5インチフロッピーディスクは非常に古い磁気媒体である。パッケージの外観がきれいでもデータを正常に読み込めるとは限らず、保管環境によって状態が異なる。湿気や磁気、経年劣化などの影響を受けるため、実機で遊ぶ目的なら「動作確認済み」という条件は非常に重要である。

「過去最高価格」は安易に断定できない

レトロゲームの記事では「過去最高○万円」といった表現が使われることがあるが、『A-JAX』X68000版については慎重に扱う必要がある。中古ショップ、個人売買、オークション、フリマなど取引経路が複数存在し、それらの全期間の売買記録を一括で保存した公的な資料はない。

そのため、一部のオークション記録だけをもとに「これが歴代最高額」と断定することは難しい。新品未開封品、非常に状態の良い完品、複数ソフトとのセット販売など、通常中古とは異なる条件の商品が過去に存在している可能性もある。

記事として信頼性を重視するなら、具体的な最高額を無理に決めるのではなく、「通常中古では数千円台を中心とした出品例が見られるが、状態や付属品によって価格差が大きい」と整理する方が適切である。

ゲーム本編より「当時の移植文化を保存する商品」へ変化

発売当時の『A-JAX』X68000版は、ゲームセンターで遊んだシューティングを自宅で楽しむための商品だった。しかし現在では、その役割が大きく変化している。

ゲームそのものをプレイするだけなら、後年のアーケード版復刻を利用する方が容易である。それでもX68000版を所有する意味があるのは、このパッケージが1989年当時のパソコンゲーム文化そのものを残しているからだ。

5インチディスク3枚を利用すること、ステージ間でディスクアクセスを待つこと、横長モニターの中で縦画面アーケード作品を再現する工夫を見ること、FM音源とADPCMから流れるサウンドを実機で聴くこと。これらは現代のアーケード版復刻では完全に同じ形で体験できるものではない。

つまり中古市場で売買されるX68000版『A-JAX』の価値は、単なる「ゲームデータの入った古いディスク」から、「1980年代末にアーケードゲームをパソコンへ移植するためどのような技術が使われていたのかを体験できる資料」へ変化しているのである。

現在の立ち位置は価値の分かりやすいコレクターズアイテム

中古市場を総合的に見ると、X68000版『A-JAX』は入手不可能な幻のゲームではなく、現在でもタイミングが合えば見つけられる作品である。その一方、発売から長期間が経過しており、箱、説明書、三枚のディスクが良好な状態で揃った個体は今後少しずつ減少していくことが予想される。

このため、純粋に遊びたいだけなら現代のアーケード復刻版を選び、X68000独自の移植を体験したい場合やコレクション目的ならオリジナルパッケージを探す、という住み分けができる。

1989年当時には約1万円を支払って最新のアーケード移植を楽しむ商品だったものが、現在ではゲーム史、X68000史、コナミ作品史、そして移植開発技術を振り返るためのコレクターズアイテムになった。その意味で『A-JAX』の市場価値は、単純な中古価格だけでは測れない。

ゲームセンターで人目を引いた回転・拡大縮小表現、雑誌で紹介された高難度シューティングとしての存在感、ゲームミュージックなどを通じた知名度、そしてそれを家庭のX68000へ持ち込もうとした移植技術。こうした複数の歴史が一つのパッケージへ凝縮されていることこそ、現在までX68000版『A-JAX』が中古市場で扱われ続けている理由の一つといえるだろう。

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■ 総合的なまとめ

『A-JAX』は映像技術とゲーム性の両方で挑戦したコナミの異色シューティング

『A-JAX』を総合的に振り返ると、この作品の最大の価値は「1980年代後半のアーケードゲームで何ができるのか」を大胆に試したシューティングゲームだったことにある。一般的な縦スクロールシューティングとして完成させるだけなら、ここまで特殊な構成にする必要はなかった。しかしコナミは、超音速戦闘ヘリコプター「VW-80 トム・タイガー」を操る2D縦スクロールステージと、ジェット戦闘機「ジェリー・マウス」による疑似3Dステージを同じ一本のゲームへ組み込み、プレイヤーが進行する途中で視点も攻略感覚も大幅に切り替わる作品を作り上げた。現在の視点で見ると回転や拡大縮小による疑似3D表現そのものは素朴に映る部分もあるが、1987年という時代を考えれば、それらを単なるデモ画面ではなく実際のゲームプレイへ積極的に利用していることに大きな意味がある。画面奥から敵が迫り、巨大化しながら接近する3Dステージ、上空から戦場を見下ろして航空機と地上兵器を同時に処理する2Dステージ、大量の爆発、重量感のある効果音、緊迫感のある音楽。それらが一体となり、『A-JAX』ならではの騒々しく豪快な戦場を作り出している。

名作シリーズとは違う方向を目指したことが『A-JAX』の個性

コナミのシューティングゲームを語る際には、『グラディウス』『沙羅曼蛇』『ツインビー』などの知名度が非常に高い。そのため『A-JAX』は、それら巨大シリーズと比べるとやや目立ちにくい存在になっている。しかし逆にいえば、既存の人気作品を単純に踏襲しなかったところこそ『A-JAX』の特徴である。『グラディウス』のようにパワーアップゲージを計画的に組み立てて進む横スクロールゲームでもなければ、『ツインビー』のような明るいキャラクター性を前面に押し出した作品でもない。本作が目指したのは、軍事SF的な世界観と大型兵器、回転・拡大縮小による映像表現、そして二種類のシューティング方式を融合させた、より攻撃的で迫力を重視したゲームだった。

シューティングとしての本質は派手な映像以上に「覚えて攻略する楽しさ」

初めて『A-JAX』を見ると、もっとも印象に残るのは回転、拡大縮小、爆発などの映像演出だろう。しかし実際に何度もプレイすると、ゲームの核心はむしろ古典的なパターン攻略にあることが分かる。敵がどこから現れるのか、どの敵を先に撃破すべきか、次の攻撃へ備えて自機をどこへ置くべきかを少しずつ理解し、自分なりの攻略手順を作っていく作品だからである。

最初は大量の敵に圧倒された場面でも、出現位置を覚えれば攻撃される前に倒せる。初見では回避不能に感じた攻撃でも、事前に安全な位置へ移動していれば簡単に抜けられることがある。この変化がプレイヤー自身の上達として強く感じられる。

X68000版は完全再現より「どう再構築したか」に価値がある

パソコン版、とりわけ1989年に登場したX68000版を評価する場合、単純にアーケード版と一画面ずつ比較して同じかどうかだけを見ると、本作の面白さを十分には理解できない。アーケード版とX68000ではハードウェア構成が異なり、原作で重要だった回転や拡大縮小をまったく同じ方法で処理することは困難だったからである。

それにもかかわらず、X68000版はソフトウェア処理を駆使することで3Dステージを再構築し、原作を特徴づけていた「敵が回転しながら迫ってくる」「遠方から拡大しながら接近する」といった印象を家庭のパソコン上へ持ち込もうとした。また、アーケード版が縦長画面を前提としているのに対して、X68000では一般的な横長ディスプレイを使用する。この問題についても、単純に縦方向を圧縮して狭い画面へ押し込むのではなく、内部的に縦方向へ広いフィールドを設け、自機の上下移動に合わせて表示範囲を動かすという方法が採られていた。

処理落ちやロード時間も含めて1989年のパソコン移植を象徴している

もちろんX68000版には弱点もある。回転・拡大縮小をソフトウェア側で処理する都合から、3Dステージでは状況によって動きが完全に滑らかにならない場合があり、アーケード版と比較すると処理の違いを感じる。またフロッピーディスク3枚組という構成であるため、ステージ切り替え時にはディスクからデータを読み込む時間が必要になり、ゲームセンター版のように次々と場面が続くテンポとは異なる。

しかし、これらを単純に欠点として片付けるだけでは不十分である。1989年の家庭用パソコン環境で、アーケード専用基板向けに作られた高度なゲームを再現しようとすれば、性能差や記録媒体の速度と向き合わなければならないからだ。ロード中に物語説明を表示したことなども、パソコン版の制約を少しでも演出へ変えようとした工夫として見ることができる。

音楽についてはX68000の能力を生かした満足度の高い仕上がり

映像と並んでX68000版の魅力を支えたのがサウンドである。『A-JAX』は元来、音楽と爆発音を含めた派手な音響演出を大きな特徴とする作品であり、音の再現度が低ければ映像が似ていても作品全体の印象が変わってしまう。その点でX68000のFM音源とADPCMは本作との相性が良く、当時の家庭用パソコンとしては迫力あるサウンドを実現することができた。

敵を撃墜した時の破壊音、大型兵器が連続して爆発する感触、戦闘を盛り上げるBGMが組み合わさることで、「敵を破壊する気持ち良さ」が維持されている。グラフィック処理にはハードウェア上の制限があっても、音響部分ではX68000の長所を積極的に利用していた点は高く評価できる。

欧州向けパソコン版は限られた性能へ落とし込んだ別方向の移植

『A-JAX』はX68000だけではなく、海外では『Typhoon』の名称を中心としてZX Spectrum、Commodore 64、Amstrad CPCなど当時普及していたホームコンピューターへも展開された。これらの機種はX68000とは性能や画面表示能力、音源構成が大きく異なるため、アーケード版をそのまま再現するというよりも、「A-JAXのゲーム構成を各機種で成立させる」ことを優先した移植と見る方が分かりやすい。

色数、キャラクターの細かさ、スクロールの滑らかさ、回転・拡大縮小表現、サウンドなどでは当然ながらアーケード版との差が大きくなる。しかし、当時のホームコンピューターへ人気アーケード作品を持ち込むという文化を理解するうえでは非常に興味深い。移植版ごとに何を残し、何を簡略化したのかを見ることで、それぞれのパソコンの性能差まで分かりやすくなる。

X68000版が他の当時のパソコン移植より有利だった部分

複数の旧パソコン版を比較した場合、X68000版が有利なのは、もともと同機種がアーケードゲームの移植を強く意識できるほど高いグラフィック性能とサウンド性能を備えていたことである。もちろん『A-JAX』の場合は専用回転・拡大縮小機能の差という大きな壁があったため完全移植ではないが、キャラクターの情報量、色彩、音楽、ゲーム全体の雰囲気については、8ビット系ホームコンピューター版よりアーケードへ近い方向を目指すことができた。

特に「アーケード版を知っている人が自宅で似た感覚を味わう」という目的ではX68000版の意義が大きい。一方で、処理速度や縦横比率、ロードなど独自の違いがあるため、アーケード版と完全に置き換えられるものでもない。この絶妙な位置こそX68000版の魅力である。

現代のPlayStation 4・Nintendo Switch版はアーケード保存に近い

後年になると『A-JAX』はPlayStation 4やNintendo Switchの「アーケードアーカイブス」として復刻され、さらにPlayStation 4、Nintendo Switch、Xbox One、Steam向け『アーケードクラシックス アニバーサリーコレクション』にもアーケード版が収録された。これら現代のバージョンは、X68000時代の移植とは基本的な考え方が異なる。

かつては性能の異なるパソコンへゲームを作り直す必要があったが、現在のゲーム機やPCは1987年のアーケード基板を大幅に上回る性能を持つ。そのためゲーム内容を大きく簡略化する必要がなく、原作アーケード版を忠実に再現・保存する方向へ重点を置くことができる。

アーケード版とX68000版は優劣だけで比較しない方が面白い

完成度を純粋な「原作への忠実さ」で比較すれば、当然ながら基準になるのはアーケード版である。回転・拡大縮小処理、縦長画面、ゲームテンポ、ロードのない進行など、すべてが最初からそのハードウェア向けに設計されている。

一方、X68000版には横画面化に伴う表示方法の変更やソフトウェア処理、ディスクロードなど、オリジナルにはない特徴が存在する。このため「どちらが上か」という二者択一より、それぞれ別の価値を持つものとして考える方が楽しめる。

アーケード版では1987年当時のコナミが目指した本来の『A-JAX』を体験できる。X68000版では、その作品を1989年の家庭用パソコンへ移そうとした技術者たちの工夫を体験できる。同じステージや敵が登場しても、作品を見る視点が違うのである。

現在初めて遊ぶならアーケード復刻、研究するならX68000版も重要

これから初めて『A-JAX』へ触れる場合、ゲームそのものを知る目的なら現代のアーケード版復刻から始める方法が分かりやすい。本来の画面構成、敵配置、サウンド、2Dと3Dの切り替えなどを確認できるため、「A-JAXとはどのような作品だったのか」を理解しやすいからである。

その後でX68000版を見ると、移植時に何を変更し、何を残そうとしたのかがはっきり見えてくる。アーケード版と比較しながら遊ぶことでX68000版の工夫がより際立つ。その意味では現在の『A-JAX』は、一つのバージョンだけを遊ぶより複数の環境を見比べることで面白さが増す作品でもある。

現在でも評価できるのは「一目でA-JAXだと分かる個性」

ゲーム技術は1987年から大幅に進化し、現在では巨大な3D空間を高解像度で描き、数え切れないほどの物体を同時に表示することも珍しくなくなった。それでも『A-JAX』が現在まで忘れられずにいる理由は、技術的な高度さそのものではなく、その技術を使って非常に分かりやすい個性を作ったからである。

トム・タイガーによる縦スクロール戦闘、突然視点が変わるジェリー・マウスの3D戦、迫ってくる敵、大量の爆発、強烈なサウンド。この組み合わせは一度見れば記憶へ残りやすい。「古いシューティングゲーム」という大きな括りの中へ埋もれず、「2Dと3Dが交互に現れるあのコナミ作品」と説明できる。それはゲームデザインとして非常に重要な強さである。

欠点も含めて1980年代アーケードゲームらしい魅力を持つ

もちろん現在の基準で見ると問題点も存在する。難易度は高く、敵配置を知らないと対応しにくい場面がある。3Dステージは距離感を把握するまで慣れが必要であり、2Dステージを好む人にはゲームテンポを分断するように感じられる場合もある。X68000版ではさらにロード時間や処理速度の問題が加わる。

しかし、こうした荒々しさも1980年代アーケードゲームらしさの一部である。当時のゲームは短時間でプレイヤーへ強い刺激を与える必要があり、難しさそのものが再挑戦を促す要素として利用されていた。すべてを初見で公平に突破させることより、何度も挑戦しながら攻略法を発見することが重視されていたのである。

『A-JAX』はアーケードとパソコン移植の歴史を同時に楽しめる作品

総合的に見ると、『A-JAX』はコナミのシューティングゲーム史において最も有名な一本ではないかもしれない。しかしゲーム史という観点から見ると非常に興味深い作品である。アーケード版では回転・拡大縮小など当時注目された映像技術を積極的に利用し、2Dと3Dを一作品へ融合した。そしてパソコン版では、その高度なアーケードゲームを性能も画面構成も異なる家庭向けコンピューターへどう移すかという新たな課題が生まれた。

特にX68000版は、高性能パソコンといえども原作の特殊機能をそのまま使用できないという条件の中、画面スクロールやソフトウェア処理、FM音源、ADPCMなどを駆使して『A-JAX』らしさを再構築した。その結果、アーケード版とは異なる部分を持ちながら、単なる簡略版ではない個性的な移植作品になっている。

最終評価――技術的野心とシューティングの面白さが融合した記憶に残る一本

『A-JAX』を最終的に評価するなら、「完全無欠のシューティング」というより、「非常に強い技術的野心をゲームの面白さへ結び付けようとした意欲作」という表現が最も似合う。2D縦スクロール部分だけを見ても、空中と地上の敵を同時に処理する忙しさ、敵配置を覚えて先手を取る攻略性、大量の敵を破壊する爽快感がある。そこへジェリー・マウスによる疑似3D戦闘を加えたことで、他のシューティングとは簡単に比較できない作品になった。さらにX68000版という存在を通じて、アーケード専用ゲームを家庭用パソコンへ移植すること自体が大きな技術的挑戦だった時代まで知ることができる。

アーケード版には原作ならではの滑らかさと迫力があり、X68000版には制約へ挑んだ移植技術の面白さがある。ZX Spectrum、Commodore 64、Amstrad CPCなどの海外パソコン版には限られた性能の中で『A-JAX』を成立させようとした別の工夫があり、現代のPlayStation 4やNintendo Switchなどではアーケード版を忠実に保存して遊ぶ方向へ到達した。同じタイトルを時代の異なる機種で見比べることで、「移植」という言葉の意味そのものが時代とともに変化してきたことまで理解できるのである。

発売当時には最新技術を前面へ押し出した派手なアーケードシューティングであり、1989年頃には高性能パソコンへの難移植作品として注目され、現在では1980年代コナミの技術とゲームデザインを振り返ることのできる歴史的タイトルになった。初めて触れた時にはその激しい画面に圧倒され、何度も遊べば敵配置を攻略する奥深さが見え、各機種版を比較すれば当時のハードウェアと開発技術の違いまで見えてくる。こうした複数の楽しみ方が成立することこそ、『A-JAX』が単なる古いシューティングゲームで終わらない理由である。

『グラディウス』や『沙羅曼蛇』ほど巨大なシリーズへ成長しなかったからこそ、逆に一作品へ凝縮された独特の実験精神が際立っている。回転する敵、巨大化しながら迫る兵器、縦方向へ進むトム・タイガー、画面奥へ飛び込むジェリー・マウス、鳴り響く爆発音。そのすべてを含めて『A-JAX』は、1980年代後半というゲーム技術が急速に変化していた時代だからこそ生まれた作品であり、X68000版はその大胆なアーケード作品へ真正面から挑んだパソコン移植として、現在でも十分に振り返る価値のある一本なのである。

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