『AmbivalenZ -二律背反-』(パソコンゲーム)

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【発売】:アリスソフト
【対応パソコン】:PC-9801、FM-TOWNS、X68000、Windows
【発売日】:1994年4月28日
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム

[game-ue]

■ 概要

作品誕生の時代的背景

1990年代前半は、日本のPCゲーム市場が急速に拡大を遂げていた時期である。PC-9801シリーズを中心にパソコンはビジネスだけでなく家庭へも普及し、ゲーム雑誌やショップではアダルトゲームや美少女ゲームと呼ばれるジャンルが次々と登場していた。その中でアリスソフトは、コミカルな表現や戦略性を持ち合わせた『Rance』シリーズや『DALK』などでユーザーの心を掴み、業界の先駆者として存在感を放っていた。 しかし、1994年に投入された『AmbivalenZ -二律背反-』は、これまでの軽妙な作風とは異なり、重厚な伝奇小説的アドベンチャーを前面に押し出すという挑戦的な一作だった。発売当初から「異色作」として扱われた理由は、単にアリスソフトの作品傾向から外れていたからではなく、ゲームそのものがユーザーに問いを投げかけるような文学的テーマを孕んでいたからである。

タイトルの意味に込められた矛盾

「AmbivalenZ」という単語はドイツ語の心理学用語であり、愛と憎しみのように正反対の感情が同時に存在する状態を指す。一方、副題として添えられた「二律背反」は哲学的な意味で、「両立し得ない二つの命題が同時に成立しようとする矛盾」を表す。両者は厳密には異なるが、タイトル全体を通して「矛盾の共存」「宿命の二面性」を示唆している。 このネーミングは決して偶然ではない。本作の主人公シュラは、愛した王女シィアを失ったことで復讐に生きるが、そのシィアは転生して桂木花梨という少女として再び彼の前に現れる。彼にとって花梨は「守るべき存在」であると同時に、「宿命の呪縛を思い起こさせる存在」でもある。愛と憎しみ、救いと破滅、希望と絶望。まさに二律背反の状況に立たされる彼の姿が、タイトルに凝縮されているのだ。

物語の骨子と伝奇的要素

物語は、異世界「サエルーナ王国」で起きた悲劇から始まる。邪教組織ギンヌンガガップの儀式によって誕生した「闇の娘」ディアドラは、王女シィアの肉体と魂を喰らうことでこの世に現れる。シィアを慕っていた近衛騎士シュラは、救出に駆けつけたものの間に合わず、逆にディアドラから不老の呪いとアルビノの身体を与えられ、数百年の時をさまよう存在となる。 この時点で本作は典型的なファンタジーに見えるが、やがて舞台は現代日本へとシフトする。そこでは異界の因縁と現代社会が交錯し、剣と呪術が高校生や神父といった現代のキャラクターたちの生活に侵入していく。伝奇小説的な手法をゲームに落とし込んだ点が、本作を「読むだけのADV」に終わらせない独自の魅力となっている。

主要キャラクターと関係性の深さ

– **修羅(シュラ)**  永遠の時を背負った主人公。彼の存在は「生きながら死んでいる」ようなもので、愛する者を奪われた恨みと復讐心に突き動かされている。 – **桂木花梨**  現代日本に生きる少女で、シィアの転生体。清らかさと強さを兼ね備え、シュラにとって救いと苦悩を同時に与える存在である。 – **ディアドラ**  破壊と混沌を体現する「闇の娘」。彼女の登場は常に悲劇を呼び込み、修羅の宿命をさらに深める。 – **笙姫や由羅、有馬紅葉**  彼らは物語の補助線を描くキャラクターであり、現代の人間社会と異界の狭間を結ぶ存在として機能している。特に由羅は修羅に恋心を抱くが、それが報われないこと自体が「愛と無関心の二律背反」を示している。

キャラクター同士の関係は単純な敵味方ではなく、愛憎・忠誠・裏切り・宿命といった複雑な糸で結ばれている。この濃密な人間関係こそが、プレイヤーを物語に引き込む要因となった。

ゲームシステムと演出の革新

『AmbivalenZ』は基本的には選択肢型ADVであるが、シナリオ上の呪術や戦闘演出が強く印象に残る。例えば呪文を唱えることで発動する風の刃や霊的攻撃は、テキストと簡易アニメーション、効果音を組み合わせることで臨場感を持たせている。当時のハード性能では限界がある中で、プレイヤーに「見せる工夫」を凝らした点は高く評価される。 さらにCD-ROM版では音楽や効果音が強化され、物語全体を覆う重苦しい雰囲気を増幅させた。悲劇的な旋律が流れる中、修羅とディアドラが対峙する場面では、テキスト以上の緊張感が伝わる。これらの演出は決して派手ではないが、作品のシリアスさを補強する役割を果たした。

アダルト要素の位置づけ

本作にはアダルトシーンが存在するが、他のアリスソフト作品と異なり、それは単なるサービス要素ではない。愛と憎しみ、呪術と性が複雑に絡み合い、物語の必然として配置されている。特に「ドゥエンディ」の消滅条件に性的要素が絡む設定は議論を呼んだが、それもまた「生と死」「愛と破壊」という二律背反的テーマを象徴していると解釈できる。

テーマ性の文学的考察

『AmbivalenZ』は単なるゲームを超え、「文学的テーマを体験する装置」として設計されている。例えば、修羅が背負った「不老」という呪いは、永遠の命が必ずしも幸福ではないことを示す。彼の存在は人間性を削ぎ落とし、愛を抱きながらも冷酷な戦士として生きるしかないという矛盾を背負わせる。 また、花梨とシィアの二重性は「同一人物でありながら別人」というアイデンティティの揺らぎを表す。これは転生をモチーフとしつつ、実は「愛する人が同じであると信じたい」という人間の願望と、「時間は戻らない」という現実の矛盾を同時に描いているのだ。

ファンへの衝撃と後の評価

発売当時、本作はアリスソフトファンの間で賛否両論を巻き起こした。従来のコミカルさを期待したユーザーには重すぎる内容だったが、一方で伝奇ADVを求めていた層には絶賛された。雑誌レビューでも「異彩を放つ作品」「アリスソフトの真剣勝負」と評され、長く記憶に残る一作となった。 特にシリアス路線に挑戦したことは、後の作品群にも影響を与え、アリスソフトが「笑い」だけでなく「物語性」でも勝負できるメーカーであることを証明した。

まとめ

『AmbivalenZ -二律背反-』は、単なる美少女ゲームの枠を超えた「伝奇アドベンチャーの挑戦作」である。タイトルに込められた二律背反の思想、復讐と愛の物語、キャラクター同士の複雑な関係、そして当時の技術を駆使した演出。そのすべてが絡み合い、プレイヤーに強い読後感を残した。今なお語られる理由は、その重厚さと矛盾に満ちた美しさにある。

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■ ゲームの魅力とは?

アリスソフト作品の中で異彩を放つ存在感

『AmbivalenZ -二律背反-』の最大の魅力は、アリスソフトというブランドにおいて特異な立ち位置を占めている点にある。それまでの作品群は、どこかしらコミカルなタッチを残しつつシリアスを描くスタイルが多かった。しかし本作では徹底して笑いを排し、シリアスと伝奇的世界観に振り切った。結果として、他社の伝奇ADVに匹敵する文学性を備えつつ、アリスソフトらしい緻密なキャラクター造形が光る「唯一無二の異色作」としてファンに強烈な印象を残したのである。

重厚なシナリオが生む没入感

物語の魅力は「復讐」「宿命」「転生」「愛憎」といった普遍的なテーマを扱いながら、それをファンタジーと現代が交錯する舞台で描き出した点にある。修羅が背負う長い時間の重さ、シィアの転生体である花梨の存在、そして破壊の化身ディアドラとの終わりなき対峙。こうした壮大なテーマが緻密な文章で綴られているため、プレイヤーは単なる「読み物」以上の没入感を味わうことができる。まるで長編伝奇小説を読み進めているかのような感覚は、当時のADVとしては突出していた。

キャラクターの魅力と人間模様

『AmbivalenZ』の登場人物は一見すると典型的なファンタジーの役割を担っているように思えるが、実際にはどのキャラクターも一筋縄ではいかない複雑な背景を抱えている。 – 修羅は復讐者であると同時に、かつて愛した者を守れなかった悔恨を抱え続ける存在。 – 桂木花梨は純粋なヒロイン像でありながら、彼女の存在自体が「宿命を背負った少女」であるという二面性を持つ。 – ディアドラは単なる悪役ではなく、誕生そのものが悲劇であり、破壊の象徴として世界に存在を許された存在。

これらのキャラクター同士の関係は単純な善悪ではなく、愛憎や矛盾が交錯する。そのためプレイヤーは「もし自分ならどうするのか?」と問いかけられるような感覚を味わうことになる。人間模様が物語の深みを生み、強烈な感情移入を可能にしているのだ。

ダークファンタジーと現代伝奇の融合

本作のもうひとつの魅力は、舞台設定にある。古代王国の壮大な悲劇と現代日本という日常的な舞台が、シームレスに繋がっていることだ。これにより「異界の戦士が現代を生きる」という緊張感が常に物語を覆っている。現代的なキャラクターである由羅や紅葉と、異界の存在である修羅やディアドラが同じ世界で交錯することで、物語は単なるファンタジーではなく、現代伝奇としての奥行きを獲得している。

ゲームとしてのプレイ体験

テキストADVでありながら、戦闘や呪術の演出が随所に挟まれる点も本作の魅力だ。選択肢の積み重ねによって物語の展開が分岐し、プレイヤー自身が修羅としてどのように行動するかが問われる。派手なアクションはないが、その分、緊迫感のある文章表現と演出によって「自分が戦っている」という感覚を味わえる。こうした点は、同時期のADVと比較しても没入感の深さで群を抜いていた。

音楽と演出の相乗効果

CD-ROM版で導入された音楽や効果音は、作品世界の雰囲気を決定づけた要素のひとつだ。重厚で陰鬱な旋律、戦闘時の緊張感を煽るBGM、そして静寂を強調する音の使い方。これらがテキストの内容と組み合わさることで、プレイヤーは視覚と聴覚の両面から「AmbivalenZの世界」に取り込まれていく。単なる文章の読み上げにとどまらず、音楽が感情を増幅する仕組みは、当時としては非常に先進的だった。

アダルト表現の新しい位置づけ

多くのアダルトゲームがサービス要素として性表現を取り入れていた時代にあって、『AmbivalenZ』のそれは物語上の必然として配置されていた。特にドゥエンディとの戦いや呪術との関係で挿入される描写は、「愛と破壊」「生と死」というテーマを補強する役割を担っていた。これにより、従来の「消費されるアダルトシーン」とは異なり、プレイヤーに心理的な衝撃を与える「物語体験」として機能した。

プレイヤーに突きつけられる問い

『AmbivalenZ』をプレイすると、単に物語を追うだけではなく「人間は矛盾を抱えながら生きる存在である」という問いを突きつけられる。愛する者を守るために他者を犠牲にするのは正しいのか? 復讐に生きることは正義なのか、それとも呪縛なのか? こうした哲学的な問いをプレイヤーに投げかける点こそが、本作の真の魅力だといえる。

まとめ

『AmbivalenZ -二律背反-』の魅力は、単にゲームのシステムやビジュアルにあるのではなく、プレイヤーの心を揺さぶる「人間存在の二面性」を描き出した点に集約される。アリスソフトが挑戦した重厚な物語世界は、1990年代のADVの中でも異彩を放ち、現在でも根強い評価を受け続けている。その唯一無二の雰囲気こそが、本作を語り継ぐ上で欠かせない要素である。

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■ ゲームの攻略など

攻略の基本姿勢

『AmbivalenZ -二律背反-』は、一本道の小説的ADVでありながらも、随所に選択肢が用意されており、それによって物語の進行がわずかに変化する構造になっている。完全なマルチエンディングではないものの、重要な選択によってキャラクターの運命やシーンの描写が変わることがある。そのため攻略の第一歩は「選択肢を慎重に選ぶ」ことに尽きる。特に修羅と花梨の関係を深める場面、あるいはドゥエンディとの戦いに関わる場面では、プレイヤーの選択が大きく影響する。

シナリオ分岐の仕組み

本作の分岐は複雑なようで実はシンプルだ。大きく分けると以下の三種類に分類できる。 1. **物語を進めるための必須選択肢**:間違えるとバッドエンドに直結する。 2. **キャラクターの関係性に影響する選択肢**:花梨や由羅といった主要キャラの心情に変化を与える。 3. **イベント演出に差異が出る選択肢**:同じ結末に到達しても、途中の描写が変化する場合がある。

特に注意したいのは1の「必須選択肢」で、これを誤ると即座に修羅が窮地に陥り、ディアドラやドゥエンディに敗北するシーンに繋がる。シナリオを深く味わうためには、選択肢を読み飛ばさず熟慮する必要がある。

戦闘・呪術システムの攻略ポイント

『AmbivalenZ』では、通常のテキストADVに比べて「戦闘演出」が目立つ。修羅が操る「負の草薙」と呪術は物語を進行する重要な要素であり、時には攻略上のカギを握る。 – **負の草薙**:ディアドラの生み出すドゥエンディを滅ぼす唯一の武器。選択肢によって「剣を抜く/抜かない」を選ばされる場面があり、ここで迷うと致命的。 – **呪術の使用**:呪術は攻撃系と防御系があり、テキスト上で「唱える/唱えない」と選ばせる。正しい場面で使用すれば危機を回避できるが、無駄に唱えると展開が破綻することもある。 – **治癒呪術**:直接プレイヤーが使うことは少ないが、物語上で修羅が回復する場面に繋がる。ここで油断せず、伏線として読み取ることが重要。

戦闘においては「剣を抜くタイミング」と「呪術を適切に使う」ことが最大の攻略ポイントであり、緊張感のある場面ではセーブをこまめに残すのが定石だ。

キャラクターイベントの取りこぼしを防ぐ

花梨や由羅、笙姫といったキャラクターには、物語の合間に特定の選択肢を選ぶことで見られる「イベントシーン」がある。これらは本筋の進行に大きな影響を与えないが、キャラクターの深い側面を知ることができるため、見逃さないことが作品理解につながる。 特に由羅は修羅への想いを抱えているため、彼女に協力する選択を続けると好感度が上がり、終盤で彼女の行動が変わる。笙姫に関しても、修羅と過去を共有しているため、彼女とのイベントを見ることで「修羅がどれだけ長い戦いを続けてきたか」を実感できる。

エンディングの種類

『AmbivalenZ』のエンディングは大きく分けて以下の3種類に分類される。 – **バッドエンド**:選択肢の誤りによって修羅が倒れたり、花梨が犠牲になったりする展開。ゲームオーバーに近い。 – **ノーマルエンド**:修羅がディアドラとの戦いを継続する形で物語が閉じる。宿命の戦いが続くことを暗示する終わり方。 – **グッドエンド**:花梨との絆が深まり、修羅が長い呪縛から解放される兆しを見せる結末。希望を感じさせるが、完全な救済ではなく余韻を残す。

プレイヤーによっては「完全にハッピーエンドが存在しない」と感じるかもしれないが、それもまた二律背反のテーマを体現した構成である。

難易度と攻略の達成感

本作はADVとしての難易度は比較的高い部類に入る。理由は以下の通りだ。 1. 選択肢が物語全体の流れに大きく影響する。 2. セーブポイントを適切に残さなければ、やり直しに大きな時間がかかる。 3. ドゥエンディとの戦いにおける演出が「どの行動が正しいか」を曖昧に提示するため、直感だけでは突破できない。

ただし、こうした難易度の高さが逆に「正しい選択肢を選んで先に進んだ時の達成感」を際立たせている。特に終盤のディアドラ戦を突破してエンディングに辿り着いた時の充実感は、長大な小説を読み切った時の満足感に近い。

裏技・隠し要素

『AmbivalenZ』には、いわゆる派手な隠し要素は少ない。しかし、細かな演出や小ネタが存在する。 – **草薙丸のセリフ変化**:同じ場面でも何度か挑戦すると草薙丸の台詞が変化し、ユーモラスな一面を見ることができる。 – **花梨の特殊イベント**:一部の選択肢を特定の順序で選ぶと、通常見られない会話シーンが挿入される。 – **由羅の戦闘描写**:彼女の格闘能力が強調される隠し演出が存在し、攻略本などで発見したユーザーも多い。

こうした小さな隠し要素は、作品全体の緊張感を和らげると同時に、キャラクターへの愛着を深める役割を果たしていた。

総括

『AmbivalenZ -二律背反-』の攻略は、単なる選択肢の正解探しではなく「物語を深く味わう過程」そのものである。エンディングの多様性、戦闘や呪術の演出、キャラクターイベントの積み重ね。これらをすべて体験することで初めて、本作のテーマである「二律背反」の重みを実感できる。難易度は高めだが、その分クリアした時の達成感は他に代え難い。

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■ 感想や評判

発売当時のユーザーの第一印象

1994年当時、本作『AmbivalenZ -二律背反-』を手に取ったプレイヤーの多くが最初に抱いた感想は「これまでのアリスソフト作品とはまるで違う」という驚きだった。Ranceシリーズに代表されるように、ユーモラスかつコミカルな雰囲気を期待していたユーザーにとって、シリアス一辺倒の伝奇的ストーリーは予想外であり、戸惑いすら覚えるほどだった。一方で、文学的で重厚な物語を好むユーザーには「アリスソフトがここまでの作品を作れるのか」と強い衝撃を与え、高評価につながった。

雑誌・メディアでの評価

ゲーム雑誌や専門誌のレビューでは、「異彩を放つ作品」「美少女ゲームの枠を超えた挑戦的な試み」と評されることが多かった。特にシナリオライティングの緻密さや世界観の構築力は高く評価され、「小説として読んでも成立するレベル」と称賛された。ただし一方で、重苦しい雰囲気や難易度の高さから「人を選ぶ作品」という指摘も少なくなかった。メディアは総じて肯定的ながらも、万人向けではないことを強調していたのが特徴的である。

ファンの間での議論

発売直後から、プレイヤー同士の間で盛んに議論が交わされたのも本作の特徴だ。「修羅と花梨の関係は真の救済に繋がるのか」「ディアドラは単なる悪か、それとも悲劇の存在か」「真のエンディングは存在するのか」など、プレイヤーごとに解釈が分かれる余地が多く用意されていたため、コミュニティや同人誌においても盛り上がりを見せた。単なるゲームの感想を超え、作品をめぐる哲学的な議論が広がった点は、同時期の美少女ゲームとしては極めて稀有であった。

キャラクターへの感情移入

プレイヤーの感想の中で特に目立ったのは「キャラクターの人間臭さが心に残る」という声だ。 – 修羅の冷徹さと人間性の欠落は、復讐に囚われる人間の弱さと強さを同時に感じさせる。 – 花梨の純真さは、プレイヤーにとっての救済の象徴となり、彼女を守りたいという気持ちを強く抱かせた。 – ディアドラの存在は恐怖でありながらも、単なる悪役には収まらない魅力を放ち、「彼女にもまた宿命があったのではないか」と同情する声もあった。

こうしたキャラクターへの多様な感情が、プレイヤーのレビューや感想をより熱量のあるものにしていた。

アダルト表現への評価

当時のアダルトゲーム市場において、エロティックなシーンは「おまけ的要素」として扱われることが多かった。しかし『AmbivalenZ』はそうしたシーンを物語に不可欠な要素として組み込み、世界観の一部に昇華していた。この点については「衝撃的だが必然性を感じた」「生と死、愛と破壊のテーマに直結している」と評価する声が多かった。もちろん一部には「重すぎる」「純粋に楽しめない」と否定的な意見も存在したが、総じて「単なる消費ではなく、物語を補強する要素」として肯定されることが多かった。

難易度への賛否

攻略面については、ユーザーの間で意見が分かれた。バッドエンドに直結する選択肢が多いため「難しすぎる」と感じる人も少なくなかった。しかし、逆にその難しさが「自分の選択に責任を持たされている感覚」を強め、「クリアした時の達成感が大きい」と肯定的に捉える人もいた。特にディアドラとの最終局面を突破した際の解放感は、多くのプレイヤーに強い印象を残した。

長期的な評価と再評価

発売から年月が経過しても、『AmbivalenZ』は「知る人ぞ知る傑作」として語り継がれている。後に登場する数々の伝奇ADV作品と比較しても、テーマの重厚さや哲学的な問いかけは色褪せていない。むしろ「アリスソフトがこのような作品を世に送り出していた」という事実そのものが、ファンにとって誇りのように語られることすらある。ネット上でも再評価の声があり、「もっと広く知られてもいい作品」と位置づけられている。

総括としての世間的評価

総じて『AmbivalenZ -二律背反-』の感想や評判は、「アリスソフトの異色作にして挑戦作」という言葉に集約されるだろう。好みが大きく分かれるため万人向けではないが、深く刺さったプレイヤーにとっては「人生で忘れられない一本」となるほど強烈な体験を与える。賛否両論があったからこそ、本作は語り草となり、今もなお古参ゲーマーの記憶に鮮烈に残っているのである。

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■ 良かったところ

重厚な物語性と文学的深み

『AmbivalenZ -二律背反-』がプレイヤーから高く評価された最大の理由のひとつは、その物語性の深さにある。当時のアダルトゲームは比較的ライトな恋愛ものやコメディ色の強い作品が主流であったが、本作は小説顔負けの重厚なストーリーを展開した。復讐・愛憎・宿命といった人間の根源的テーマを前面に押し出し、ゲームを進めるたびに哲学的な問いを投げかけられる。そのシナリオは「読み応えがある」「何度も噛みしめる価値がある」と多くのユーザーに支持された。

キャラクター造形の巧みさ

キャラクターひとりひとりの背景が緻密に設定されている点も「良かったところ」として語られる。修羅の孤独と宿命、花梨の純粋さと運命を背負った強さ、由羅の一途さと報われない想い、笙姫の長命ゆえの哀愁…。こうした人間的な弱さや強さが巧みに描かれており、プレイヤーは単なる美少女ゲームの登場人物以上のリアリティを感じることができた。特に花梨に対しては「守りたい」という気持ちを自然に抱かされ、プレイヤー自身が修羅と同じように彼女に惹かれていく感覚が魅力とされた。

演出と雰囲気作り

グラフィックやサウンド面での演出も高く評価された部分だ。当時の技術水準を考えれば決して豪華とは言えないものの、効果音やBGMの使い方、シーンごとの静と動の緩急が絶妙で、重苦しい物語世界を鮮やかに描き出していた。特にCD-ROM版では音質の良さが物語の緊張感を増幅させ、「ただ読むADV」から「体験する伝奇物語」へと進化させていた。BGMが流れる瞬間のタイミングや無音の効果は、後年のユーザーからも「印象に残る」「忘れられない」との声が多い。

アダルト表現の必然性

単なるサービスシーンではなく、ストーリーの根幹と密接に結びついたアダルト表現は、プレイヤーに「重さ」を実感させた。特にドゥエンディとの対峙における性的要素は賛否を呼んだが、肯定的なユーザーからは「テーマに合致している」「ただの消費ではなく必然性がある」と評価された。結果的に、アダルトゲームというジャンルにおける新しい可能性を提示したという点で、大きな意義を持ったといえる。

プレイヤーに残る強烈な余韻

本作をクリアしたプレイヤーの多くが口を揃えて語ったのは「終わったあとに強烈な余韻が残る」ということだった。完全なハッピーエンドが存在しないため、プレイヤーは「これで良かったのか?」と自問しながらエンディングを受け止めることになる。この余韻こそが『AmbivalenZ』の魅力であり、「ただ遊んで終わるゲーム」ではなく「心に問いを残す作品」として高く評価された。

難易度と達成感のバランス

攻略の難しさも、良い点として語られることがある。バッドエンドに陥る危険が常に潜んでいるため、プレイヤーは慎重に選択肢を選ばなければならない。しかし、それだけに正しい選択を重ねて物語を進め、グッドエンドに辿り着いたときの達成感は格別だった。「苦労した分だけ深い感動を味わえた」という声は少なくなく、難易度の高さを肯定的に受け止めるユーザーが多かったのも特徴である。

アリスソフトの挑戦心を示す作品

ユーザーからの感想の中には、「アリスソフトがこういう作品を出したこと自体が素晴らしい」という評価もあった。当時すでに人気ブランドだった同社が、あえて既存のファン層を驚かせる方向へ挑戦したことは、クリエイターの柔軟性や意欲を示すものだった。その挑戦を評価する声は根強く、のちのアリスソフト作品の多様性を語る上で欠かせない存在とされている。

長期的な価値と語り草としての存在

『AmbivalenZ』は発売から年月が経ってもなお「知る人ぞ知る名作」として語り草になっている。その理由は、単なるゲームとしての面白さだけではなく、文学的テーマやキャラクター描写の深さが普遍的な価値を持っているからである。ユーザーの記憶に長く残り、後年のファンにも「一度は体験すべき作品」と薦められることが多い。これは「良かったところ」の中でも最も大きな要素だといえる。

まとめ

総合的に見て、『AmbivalenZ -二律背反-』の「良かったところ」は、重厚な物語、深いキャラクター描写、緻密な演出、そしてプレイヤーに問いを残す哲学性に集約される。決して万人向けではないが、その独自性ゆえに強烈な印象を与え、長く語り継がれる存在となった。プレイヤーに「ゲームが心を揺さぶる体験になり得る」ことを証明した稀有なタイトル、それが『AmbivalenZ』だった。

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■ 悪かったところ

難易度の高さとバッドエンドの多さ

『AmbivalenZ -二律背反-』に対して最も多く挙げられた不満点は「難易度の高さ」である。 本作は選択肢を誤るとすぐにバッドエンドへ直結する構造を持っており、プレイヤーが少しでも油断すると修羅が命を落としたり、花梨が悲惨な運命を辿ったりする。物語の緊張感を高める効果はあるが、一方で「セーブ&ロードの繰り返しが煩雑」「先が気になるのにストレスが溜まる」といった声も多かった。特にADV初心者やアリスソフトのコミカル作品に慣れたファンには敷居が高く、「遊びづらい」と感じるユーザーも少なくなかった。

救済要素の少なさ

多くの当時のADVには「ヒント機能」や「選択肢の分かりやすい誘導」が備わっていたが、本作はそうした救済がほぼ存在しない。選択肢が曖昧に提示されるため、プレイヤーは自ら推測しながら進めるしかない。これはシナリオのシリアスさと整合している一方で、「ゲームとしての遊びやすさ」という観点からは不満を招いた。攻略本や雑誌の情報を頼りにするプレイヤーが多かったのも、この不親切さの裏返しである。

重苦しい雰囲気が人を選ぶ

『AmbivalenZ』は徹頭徹尾シリアスで、救いのある笑いやコミカルな要素はほとんど存在しない。そのため、長時間プレイすると精神的に疲労を感じるプレイヤーが多かった。「気分転換になる場面がない」「プレイ後にどっと疲れる」といった声もあり、娯楽性を求めていた層には不向きだった。重厚なストーリーを魅力とする一方で、その重さゆえに「楽しむ」というより「耐える」に近い感覚を与えたのは否めない。

ビジュアル面での限界

1994年当時の技術水準としては標準的であったものの、キャラクターグラフィックや背景のバリエーションが少なく、演出面で単調さを感じるという意見もあった。特に戦闘シーンや呪術の発動場面はテキストによる補完が中心で、視覚的に派手な演出を期待していたユーザーには物足りなかった。のちにCD-ROM版で音声や音楽が強化されたものの、「グラフィック面でもっと工夫が欲しかった」という声は根強く残った。

アダルト表現に対する賛否

本作の特徴のひとつである「アダルト表現の必然性」は高評価を得る一方で、否定的な意見も少なくなかった。特に「ドゥエンディを倒すために性行為が絡む」という設定は、プレイヤーによっては衝撃が強すぎ、嫌悪感を抱いたというケースも報告されている。「テーマに合っているが生々しすぎる」「純粋に物語を楽しみたい人には障害になる」といった意見もあり、アリスソフトの中でも異例の賛否分かれる要素となった。

エンディングの不完全感

プレイヤーの中には「どのエンディングも完全な救済が存在しない」という点を不満に思う人もいた。グッドエンドとされる展開でさえ、修羅と花梨に明確な幸福が訪れるわけではなく、あくまで「希望の兆し」にとどまる。この「余韻の強さ」こそが魅力と評価される一方で、「報われない」「気持ちよく終わらない」という意見もあり、ゲームを通じてカタルシスを得たい人には不向きだった。

テンポの遅さ

シナリオの分量が多いため、一つのイベントに到達するまでに長時間のテキスト読みが続く。特に戦闘シーンなどでは「選択肢を選ぶまでに説明が長すぎる」と感じる人も多かった。当時はテキストADVに慣れているプレイヤーも多かったが、それでも「読むことに疲れる」という声は散見され、気軽に楽しめる作品とは言い難かった。

アリスソフトらしさの欠如

長年のファンからは「アリスソフトらしいコミカルさや遊び心が全くない」と指摘されることも多かった。確かに本作は挑戦的な意味で異色作だったが、その挑戦が「ブランドの個性を薄めた」と感じたユーザーもいた。特に『Rance』シリーズなどでアリスソフトに親しんでいたプレイヤーにとっては、期待と実際の乖離が大きく、「これじゃない感」が生じたのである。

総括

『AmbivalenZ -二律背反-』の悪かったところをまとめると、難易度の高さと救済要素の少なさ、重苦しい雰囲気、ビジュアル演出の限界、アダルト表現の賛否、そして完全な救済のないエンディングなどが挙げられる。これらはいずれも「挑戦作」であるがゆえに生じた課題であり、同時に本作を語る上で避けて通れない特徴でもある。結果として、本作は「人を選ぶ作品」でありながら、その尖った部分こそが一部のユーザーには強烈な魅力として刻まれたのだった。

[game-6]

■ 好きなキャラクター

主人公・修羅(シュラ)に寄せられる共感

プレイヤーの間で最も印象に残り、かつ「好きなキャラクター」として挙げられることが多いのが主人公の修羅だ。彼はサエルーナ王国の騎士として王女シィアを守れなかった過去を抱き、永遠の時をさまよう宿命を背負った存在である。 その冷酷さと孤独は一見すると感情移入しにくいが、プレイヤーは長いプレイの中で彼の人間的な弱さや心の葛藤に触れていく。特に花梨との交流を通じて「かつての自分」を取り戻そうとする姿には、「報われてほしい」「救われてほしい」という気持ちを強く抱かされる。修羅は決して完璧な英雄ではなく、矛盾に苦しみ続ける人間だからこそ、多くのプレイヤーから支持を集めた。

純粋さと強さを併せ持つ桂木花梨

ヒロインの桂木花梨は、シィアの転生体でありながら、ひとりの少女としての魅力を放っている。両親を失った過去を持ち、それでも健気に生きてきた彼女の姿は、プレイヤーに「守りたい」という感情を自然に呼び起こす。 花梨は単なる受け身のヒロインではなく、物語の中で積極的に修羅を支え、最終的には彼の宿命を変える鍵となる。儚さと強さを兼ね備えたキャラクター像は、当時の美少女ゲームヒロイン像の中でも特に完成度が高く、多くのユーザーが「本作最大の魅力」と評価している。

報われぬ想いを抱く由羅

由羅は笙姫の子孫であり、修羅の戦いを支える存在のひとりだ。彼女の最大の特徴は、修羅への一途な恋心である。しかし、修羅は過去の想いに囚われ続け、彼女の気持ちに気づくことはない。この「報われぬ想い」が、多くのプレイヤーに強い印象を残した。 また、由羅は格闘技に長け、戦闘でも修羅を支援する。強さと女性らしさの両面を持つ彼女は、花梨とは違ったヒロイン像として人気を博した。「彼女こそ幸せになってほしい」と感じるユーザーも多く、ファンの間で支持を集め続けた。

長命の知恵を持つ笙姫

150年以上生き続ける笙姫は、物語における精神的支柱であり、修羅の戦いの歴史を知る数少ない存在だ。彼女は修羅の過去を知りながらも、淡々と「姫」としての役割を果たし続ける。その姿には悲哀と尊厳があり、「脇役ながら忘れられない存在」として好意的に挙げるファンが多い。 また、彼女は修羅の背負う宿命を理解しつつ、彼に人間的な側面を取り戻させようとする。その静かな支援は派手さこそないが、作品世界に深みを与える重要な役割を果たしている。

草薙丸のユーモラスな存在感

『AmbivalenZ』は基本的にシリアス一辺倒の作品だが、その中で草薙丸の存在は一種の救いとなっている。負の草薙の精霊である草薙丸は、戦闘では頼もしい力を発揮するが、普段の言動はどこか無邪気でユーモラスだ。 プレイヤーからは「緊張感の中で唯一ホッとできる存在」「草薙丸のセリフがなければ重すぎて耐えられなかった」という感想も多く、重厚な作品においてバランスを取る重要なキャラクターとなっている。

悪役であり象徴的存在のディアドラ

「闇の娘」ディアドラは本作のラスボス的存在でありながら、プレイヤーに強い印象を残すキャラクターでもある。彼女は残虐で破壊を好むが、その存在自体が悲劇的であり、ただの悪役にとどまらない。 プレイヤーの中には「彼女もまた生贄から生まれた存在であり、ある意味では被害者」と捉える人も多く、憎むべき敵でありながら同情を集める複雑な立ち位置を持っている。ディアドラの登場シーンは常に緊張感を伴い、その圧倒的な存在感は「好きなキャラクター」として挙げる人も少なくない。

脇役たちの魅力

有馬紅葉や二宮亜沙子、さらには魔界の存在アスタロトといった脇役たちも、作品の彩りとして重要だ。有馬紅葉は一見頼れる神父の顔を持ちながら女好きという二面性を持ち、亜沙子は花梨の友人としてプレイヤーに安心感を与える。アスタロトは悪魔でありながらユーモラスなやり取りを見せ、緊張感のある物語に異質な色を加える。 これらの脇役が存在することで物語は単調にならず、多面的な魅力を備えることができた。プレイヤーの中には「由羅や花梨よりも紅葉が好き」と語る者もおり、それぞれのキャラクターが確かな個性を放っていることが分かる。

プレイヤーの選択による愛着の変化

ADVとしての本作の特性上、プレイヤーの選択によってキャラクターとの関わり方が変化するため、どのキャラクターを好きになるかはプレイヤーごとに異なる。由羅を重視する選択をした人は彼女への愛着が深まり、花梨とのイベントを多く見ることで彼女を守りたい気持ちが強くなる。こうした「選択によって好きなキャラが変わる」という体験自体が、本作の魅力のひとつであった。

総括

『AmbivalenZ -二律背反-』における「好きなキャラクター」は、単なる外見や属性による人気ではなく、物語を通じて描かれる人間性や矛盾、宿命の重さに基づいている。修羅の孤独、花梨の純粋さ、由羅の報われぬ想い、笙姫の知恵、草薙丸のユーモア、ディアドラの悲劇的存在感。これらすべてがプレイヤーの心に深く刻まれ、それぞれが「自分にとって特別な存在」として語られている。キャラクターひとりひとりの強烈な印象こそが、本作を忘れ難いものにしているのである。

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●対応パソコンによる違いなど

PC-9801版の特徴

『AmbivalenZ -二律背反-』のオリジナルとして最初に多くのユーザーの手に渡ったのは、NECのPC-9801シリーズ向けにリリースされたバージョンである。PC-98は当時の国内パソコン市場において圧倒的シェアを誇っており、美少女ゲームやアダルトゲームの主戦場もこの機種だった。 PC-98版の特徴は、フロッピーディスク7枚組という大容量構成にある。インストールとディスク入れ替えの手間はあるものの、当時としてはシナリオボリュームを保証する「安心感」の象徴であり、長大な物語を楽しめる期待感をプレイヤーに与えた。グラフィックは16色表示ながらも、独特の色使いや陰影の工夫によって作品のダークな雰囲気が的確に再現されていた。 サウンドはFM音源(OPNAチップ)を中心にしたBGM構成で、重厚かつ緊張感のある曲調がプレイヤーを作品世界へと引き込んだ。PC-98版を経験したユーザーからは「シンプルだが想像力をかき立てる表現が素晴らしかった」という声が多く、テキスト主体のADVとしての魅力がもっともストレートに味わえるバージョンといえる。

X68000版の特徴

X68000版は、ハードの高いグラフィック性能とサウンド機能を活かした移植として注目された。X68000はハイエンド志向のユーザーが多く、「高性能なマシンで遊ぶ伝奇ADV」という点がファンの満足度を高めた。 グラフィック面ではドットの描写力が向上し、キャラクターの表情や背景の陰影がより鮮明に描かれている。特に戦闘シーンの迫力はPC-98版に比べて一段増しており、「異界と現代の緊張感を強く実感できた」という評価があった。 サウンド面でもX68000特有の高品質FM音源によって、重厚で荘厳なBGMが流れる。オーケストラ調の楽曲が多く採用され、物語のシリアスさを演出する効果が高まった。ディスクの容量制限があるためシナリオ自体は変わらないが、「演出強化版」として評価されることが多い。

FM-TOWNS版の特徴

FM-TOWNS版は、CD-ROMを活用したメディアの強みを最大限に生かしたバージョンである。TOWNSはグラフィックとサウンドに優れたマシンであり、ビジュアル面・音響面での強化が顕著だった。 まずBGMはCD-DAによる高音質サウンドで再生され、FM音源に比べて臨場感と深みが大幅に向上している。オープニングやクライマックスではCD音源ならではの重厚な音楽が流れ、プレイヤーの没入感を飛躍的に高めた。 また、グラフィックは256色表示が可能になり、キャラクターの髪や瞳の色彩、背景の細部まで鮮やかに描写された。特に夜のシーンや呪術のエフェクトは、「TOWNS版でこそ真価を発揮した」と評されるほど。プレイヤーからは「映像と音楽の融合で別物のように感じた」という感想も寄せられている。

Windows版の特徴

Windows 95/Windows 3.1対応版は1996年に発売され、当時新しいプラットフォームにシフトしつつあったPCゲーム市場に合わせた再登場となった。Windows版はCD-ROM1枚で提供され、インストールや起動がスムーズになったことでユーザーの利便性が大きく向上している。 また、マウス操作を前提としたUI改善がなされ、テキスト送りや選択肢の操作が直感的になった点も評価された。グラフィックは基本的にTOWNS版をベースにしているが、Windows環境に合わせて描画が調整され、より安定した表示が可能になった。 サウンドもCD音源で提供され、BGMの質感はTOWNS版に近い。ただし、TOWNSの独自機能を完全には再現できない部分もあり、「完全版ではなく実用的移植」として認識されることが多い。それでも「Windows 95時代のユーザーが遊びやすい形で復刻した意義」は大きく、アリスソフト作品の新規ファン層獲得に貢献した。

各バージョンにおけるプレイ感覚の違い

ハードごとの違いを比較すると、以下のような評価が一般的だ。 – **PC-98版**:最もオリジナルに近く、テキスト主体のストイックな体験ができる。 – **X68000版**:グラフィックとサウンドの向上により、緊張感がより鮮明に表現された。 – **FM-TOWNS版**:CD-ROMの強みを生かした豪華演出版。映像と音楽の完成度が高い。 – **Windows版**:操作性が改善され、現行環境に近い感覚で遊べる「手軽な復刻版」。

プレイヤーの好みによってどのバージョンが最良とされるかは異なるが、共通して言えるのは「どの機種でも作品の核である重厚な物語は変わらない」という点だ。機種ごとの違いは「どう物語を体験するか」という演出の差に過ぎず、内容そのものは一貫している。

総括

『AmbivalenZ -二律背反-』は、PC-98、X68000、FM-TOWNS、Windowsと複数のプラットフォームに展開されたことで、多様なユーザーに届けられた。それぞれのハードが持つ性能差を活かしつつも、作品の根幹となるシナリオやテーマは不変であり、どのバージョンでも同じ重厚な体験を味わえる。むしろ異なるハードで遊ぶことで「同じ物語なのに違う表情を見せる」楽しみがあり、コアなファンにとっては全機種プレイが一種の到達点ともいえる。

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●同時期に発売されたゲームなど

1994年前後のPCゲーム市場の状況

『AmbivalenZ -二律背反-』が発売された1994年前後は、国産パソコンゲームの成熟期ともいえる時代であった。PC-9801を中心にX68000やFM-TOWNSといった高性能機種がユーザーに普及し、CD-ROMを媒体とする作品も増加していた。アダルトゲーム市場においても、単なる性的描写にとどまらず、シナリオ性や世界観を重視する作品が登場し始めていた。まさに「読み物としてのゲーム」が注目され始めた時期であり、『AmbivalenZ』のような伝奇的なアプローチはその潮流に合致していた。

★同時期の代表作:『同級生2』

・販売会社:エルフ ・発売年:1994年 ・販売価格:9,800円(PC-98版) ・内容:恋愛シミュレーションゲームの金字塔であり、自由度の高い行動選択と多彩なヒロインたちとの交流を楽しめる作品。 『AmbivalenZ』が伝奇ADVとして「読む重さ」を強調したのに対し、『同級生2』はプレイヤーの自由行動によって物語が形作られるという対照的な作品であった。両作は同じ時期に登場したが、プレイヤー層を二分し、ジャンルの多様化を示した。

★『DESIRE』

・販売会社:シーズウェア ・発売年:1994年 ・価格:9,800円 ・内容:島を舞台にしたサスペンスADV。男女主人公を切り替えながら進行し、同じ出来事を異なる視点で描く手法が話題となった。 『AmbivalenZ』が「復讐と宿命」を描いたのに対し、『DESIRE』は「真実と欺瞞」をテーマにしており、両者ともシナリオ性重視で共鳴する部分がある。

★『YU-NO この世の果てで恋を唄う少女』

・販売会社:エルフ ・発売年:1996年(『AmbivalenZ』から約2年後) ・価格:9,800円 ・内容:マルチタイムトラベルADV。分岐を視覚化したシステムと壮大なシナリオで知られる。 『AmbivalenZ』の後に登場したが、比較対象として語られることが多い。『YU-NO』が分岐構造を革新したのに対し、『AmbivalenZ』は一本道に近いながらも「宿命の重さ」で勝負していた点が大きな違いである。

★『EVE burst error』

・販売会社:C’s ware ・発売年:1995年 ・価格:9,800円 ・内容:刑事と探偵の二人の主人公が活躍するサスペンスADV。 こちらも複数視点を駆使したシナリオ構造が特徴であり、重厚さという点で『AmbivalenZ』と比較されることがある。

★『臭作』

・販売会社:エルフ ・発売年:1998年(少し後年だが参考として言及される) ・価格:9,800円 ・内容:学園を舞台にしたサスペンス要素の強いアダルトゲーム。 『AmbivalenZ』同様にアダルト要素を物語に組み込み、シリアスな展開を描いた点で共通性がある。

同ジャンル作品との比較

同時期の他の伝奇ADV作品と比べても、『AmbivalenZ』はより「純文学的」な方向性を持っていた。例えば、同じく伝奇的題材を扱った作品として『斬 魔剣』や『夜が来る!』などがあるが、これらはバトル要素を強調していたのに対し、『AmbivalenZ』は徹底的に物語の重みを前面に押し出していた。つまりゲーム性よりも「読むこと」に価値を置いたのが最大の特徴だったといえる。

同時代のプレイヤー文化との関係

当時はパソコン通信や同人誌即売会を通じてゲームファンが感想を交換する文化があり、シナリオ重視作品は特に議論の題材となりやすかった。『AmbivalenZ』も例外ではなく、ファンの間では「修羅は救われるべきか」「ディアドラは単なる悪か」などが繰り返し議論された。これは『同級生2』のように「どのヒロインを攻略したか」という話題性とは異なり、より思想的で深いテーマに基づく交流を促した点で独自だった。

市場的立ち位置

『AmbivalenZ』は決して大ヒット作ではなかったものの、同時期の名作群と並べて語られることが多い。それは作品の完成度だけでなく、アリスソフトが「コミカル路線以外でも勝負できる」ことを示したからだ。もし1994年にこの作品が発売されていなければ、後のADVシーンにおいて「シリアス伝奇もの」が注目を浴びる機会は少し遅れていたかもしれない。

総括

同時期に登場した『同級生2』『DESIRE』『EVE burst error』などは、それぞれ恋愛・サスペンス・マルチシナリオといった新しい潮流を作り出した。その中で『AmbivalenZ -二律背反-』は「伝奇ADVの深化」という位置づけを担い、1990年代のADVシーンを形作る一角を担ったといえる。大衆的ヒットではなくとも、ジャンルの多様性を示す重要な作品として、当時を語る上で欠かせない存在である。

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