『J.B.ハロルドシリーズ 殺人倶楽部(マーダークラブ)』(パソコンゲーム)

【PCE CD-ROM2】 J.B.ハロルド 殺人クラブ (マーダークラブ) 説明書なし【中古】PCエンジン CDロムロム

【PCE CD-ROM2】 J.B.ハロルド 殺人クラブ (マーダークラブ) 説明書なし【中古】PCエンジン CDロムロム
3,480 円 (税込)
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【発売】:リバーヒルソフト、マイクロキャビン
【対応パソコン】:PC-8801、PC-9801、MSX2、MZ-2500、FM-7、X1、X68000、FM-TOWNS
【発売日】:1986年
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム

[game-ue]

■ 概要

■ 作品の立ち位置: “刑事が主人公”ではなく、“捜査そのもの”が主人公

『J.B.ハロルドシリーズ 殺人倶楽部(マーダークラブ)』は、いわゆる「物語を読むためのADV」という枠に収まり切らない、捜査工程そのものを遊びとして成立させた“本格ミステリーADV”の初期到達点のひとつだ。プレイヤーが操作するのは架空の刑事J.B.ハロルドだが、主役は彼のキャラクター性というより「情報を集め、整理し、矛盾を潰し、次の一手を決める」という刑事の仕事の手触りにある。派手な演出で驚かせるのではなく、人物相関と証言の綾でじわじわと真相へ近づく。その粘り強い進行が、当時のPCアドベンチャーに新しい“重さ”を持ち込んだ。

本作が印象的なのは、事件の中心にあるのが単純な密室やトリックの妙ではなく、「被害者も含めて登場人物が抱える事情の重なり」だという点だ。誰もが何かしら隠し事をしており、真実に辿り着くほど「犯人」だけでなく「事件が起きる土壌」まで見えてくる。つまり、推理のゴールは“当てる”ことではなく、“理解する”ことに置かれている。その思想が、コマンド選択式という古典的な形式を逆手に取り、膨大な質問・聞き込み・調査の積み上げを「面倒」ではなく「捜査らしさ」に変換している。

■ 舞台と事件:静かな田舎町で起きた刺殺事件が、町の関係を暴き出す

舞台はアメリカの片田舎にあるリバティタウン。大都会の闇や国際的陰謀ではなく、郊外の空気感が漂う場所で起きるのは、地元に影響力を持つ人物の死だ。郊外のカレッジ近くで、ロビンズ商会社長ビル・ロビンズが刺殺体となって発見される。事件そのものは「殺人」だが、捜査を始めると、被害者の交友関係や町での立ち回りが“ただの被害者”ではない輪郭を帯びてくる。好かれていたからこそ悲しまれるのではなく、嫌われていたからこそ動機が増える。犯人候補が自然に膨らみ、同時に「誰が何を隠したがっているか」が重要な鍵になる。

この作品の面白さは、プレイヤーが“最初から犯人像を描けない”構造にある。序盤は手がかりが少なく、登場人物は口を濁し、警戒し、あるいは都合のよい話だけを流してくる。だが、聞き込みを繰り返し、話題が増え、人物同士のつながりが見えてくるほど、同じ証言が別の意味を持ち始める。「その時は気に留めなかった一言」が、別の人物の証言と噛み合った瞬間に、捜査が一段進む。この“遅れて効いてくる情報”の設計が、地道なプレイを報酬に変える。

■ ゲームデザイン:コマンドの多さは欠点ではなく「捜査の厚み」を作るための装置

基本はオーソドックスなコマンド選択式ADVだが、本作の特徴は“選べるコマンドが異様に多い”ことに尽きる。普通のADVが「見る」「話す」「取る」「使う」を中心に組み立てられるのに対し、本作は捜査の現場で必要になりそうな行為や質問を、可能な限り細分化してプレイヤーに渡してくる。聞き込み相手が多く、質問の切り口も多い。しかも「この人物にこの人物のことを聞く」といった、人物相関を横断する質問が成立するため、情報のネットワークが自然に広がっていく。

登場人物の人数が多いこと自体は珍しくない。しかし本作では、各人物に対して掘れる情報の層が厚い。個人情報のような基礎項目から、事件への関わり、被害者との関係、周辺人物の評判、当日の行動、矛盾点の確認まで、同じ“話す”が単なる会話ではなく「聞く」「詰める」「確かめる」「揺さぶる」に分かれていく感覚がある。プレイヤーは、会話の選択肢を選ぶというより、捜査官として質問票を埋め、穴を探し、再訪して更新していく。

また、行ける場所が多いことも重要だ。警察署を拠点にしながら、現場、関係先、人物の居場所へ移動し、必要なら家宅捜索のような“調べる行為”も絡めて情報を集める。場所が増えるのは「マップが広い」からではなく、捜査の進行に応じて“行くべき先”が増えるからで、これが物語の進行と捜査の進行を同時に引っ張る。ストーリーを見せるのではなく、捜査で開けた扉の先にストーリーがある、という順序だ。

■ 警察署パートの役割: “帰還地点”ではなく、捜査を前に進めるエンジン

多くのADVでは、拠点はセーブや整理のための場所になりがちだ。しかし本作の警察署は、捜査を加速させる機関として機能する。鑑識に調査を依頼して結果を待つ、法的手続きが必要な局面で検察(に相当する存在)と折衝する、容疑者を確保した後に取り調べを行う――こうした段取りが、単なるイベントではなく「捜査手順」として組み込まれている。つまり、外で集めた情報を署に持ち帰ると、新しい選択肢が生まれる。逆に署で得た結果が、外での聞き込みや調査の“質問の質”を変えていく。

取り調べがまた厄介で、しかし面白い。単純な二択の追及ではなく、相手の言葉の曖昧さや逃げ道を、手持ちの情報や証拠で潰していく発想が求められる。ここで重要になるのが「証拠は足で集める」という本作の精神だ。都合のいい場面だけ派手に見せて解決するのではなく、地味な確認の積み重ねが取り調べの説得力を生む。プレイヤーが“捜査した”という実感があるからこそ、署内のやり取りが単なる会話イベントに落ちず、事件を動かす歯車になる。

■ “詰まない”設計:理不尽な罠より、捜査の継続を優先した作り

当時のアドベンチャーには、必要アイテムの取り逃しや、特定の順序を外すと進行不能になる“トラップ”が少なくなかった。だが本作は、基本的に詰みにくい。もちろん、効率よく真相へ迫るには推理や整理が必要だが、仮に迷っても、聞き込みや調査を重ねることで突破口が出る作りになっている。この思想は、作品のテーマ――「捜査は粘りだ」という価値観――と一致している。理不尽でプレイヤーを振り落とすより、地道さを肯定して最後まで歩かせる。

その代わり、手間は増える。だが手間が増えること自体が、作品にとっては欠点ではなく“味”として扱われる。総当たりでも前へ進めるが、総当たりをした時の疲労感まで含めて「捜査の泥臭さ」を再現している。だからこそ、整理上手なプレイヤーほど快適になり、メモを取り、人物相関を自分の頭で組み立てられるプレイヤーほど、ゲームが「読ませてくる」より先に「考えさせてくる」快感を得られる。

■ 物語の骨格:被害者を中心に、動機が放射状に生まれる構造

ビル・ロビンズという被害者の描き方が、この作品の緊張感を支えている。被害者が善人で、犯人だけが異常、という構図にしてしまうと、容疑者はすぐ狭まってしまう。本作は逆で、被害者が一筋縄ではいかない人物として立ち上がる。結果として、関係者の証言には温度差が生まれ、同情もあれば憎悪もある。利害関係が複雑で、誰もが「動機を持ち得る」。その状況で、プレイヤーは“犯人探し”だけに集中できない。まずは「この町で何が起きていたのか」を把握しなければならない。

そして、事件が進むほど、人物同士の距離が変わっていく。最初は遠く見えた人物が実は核心に近かったり、核心に見えた人物が単なる目くらましだったりする。だがそれは唐突などんでん返しではなく、情報の組み合わせで自然にそう見えてくる。証言の矛盾は、物語上の演出ではなく、現実の人間が嘘をつく時の“ズレ”として出る。だからこそ、解決の瞬間にはトリックを解いたというより、人物の関係を理解し切ったという手応えが残る。

■ シリーズの起点としての意味:後年の移植・展開を呼ぶ“手触りの強さ”

本作は『J.B.ハロルドシリーズ』の第1作として、後続作品へ繋がる土台を作った。シリーズ全体のイメージで語られがちな「リアルなビジュアル」「重厚な人間ドラマ」「刑事ものの渋いテンポ」といった要素は、すでにここで方向性が定まっている。特に“捜査を遊ぶ”という芯は、派手な演出よりも長く残る。対応機種が多かったことも、当時のPC市場の広がりと相性が良く、さまざまな環境で遊ばれ、話題が広がりやすい形になった。

この作品が持つ強さは、当時のプレイヤーにとって「自分の頭と手で事件を動かした」という体験が残ることだ。ストーリーの名場面だけで語れるゲームではない。どの人物に、どの順で、何を聞き、どの場所を調べ、どのタイミングで署に戻ったか――その道筋がそのまま“自分だけの捜査記録”になる。そうした体験は、後年になっても「またあの捜査をやりたい」という欲求に繋がり、移植や復刻の価値を支える。

■ まとめ:地味さを武器にした、本格ミステリーADVの原型

『殺人倶楽部(マーダークラブ)』は、派手な仕掛けやスピード感で押し切るのではなく、情報を積み上げる“地味さ”を徹底することで、刑事捜査のリアリティとミステリーの醍醐味を両立させた作品だ。コマンドが多い、聞き込みが多い、移動と再訪が多い――そのすべてが「捜査とはそういうものだ」という思想に回収される。だからこそ、合う人には唯一無二の没入感を与え、合わない人にはとことん手間に見える。しかし、その尖りこそが第1作としての力であり、シリーズの顔を決定づけた。

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■ ゲームの魅力とは?

■ “事件を解く快感”ではなく、“事件が解けていく手応え”を味わわせる設計

『殺人倶楽部(マーダークラブ)』の魅力をひと言で言うなら、「謎解きの瞬間芸」ではなく「捜査の積み重ねそのもの」を面白さに変えているところだ。派手なカットインや劇的な演出で“解決した感”を与えるタイプではない。代わりに、関係者の発言、現場で拾う断片、署で返ってくる鑑識結果など、バラバラだったピースが少しずつ結びつき、頭の中の地図が更新されていく。プレイヤーはストーリーを受け取る側ではなく、“情報を編み直す側”として事件に参加する。この参加感が、地味な画面や硬派なテンポを超えて、独特の中毒性を生む。

本作は、推理が「正解を当てる」行為に収束しない。むしろ、真相に近づくほど人間関係の層が増え、単純な善悪では語れない温度が立ち上がる。犯人を指名することより、「なぜこの町で、なぜこの人が、なぜ今」という連鎖を理解することに達成感がある。推理というより調査分析に近い快感で、そこが他の同時代ADVと大きく違う。

■ 圧倒的な情報量が“選択の意味”を生む:会話が作業ではなく捜査になる

コマンド選択式ADVは、雑に言えば「選ぶ数が多いほど作業になりやすい」。しかし本作は、その危険を承知で、あえて選択肢を増やしている。そして増やした分を、捜査のリアリティと“判断の重さ”に変換しているのが巧い。

登場人物に対して聞ける項目が多いと、プレイヤーは自然に「まず何を聞くか」「次に誰へ当たるか」を考えるようになる。例えば、個人情報を押さえるのか、被害者との関係に踏み込むのか、当日の行動を詰めるのか。ここで重要なのは、同じ質問でも“いつ聞くか”で返ってくる意味が変わる感覚だ。序盤の曖昧な返答が、別の証言を得た後には矛盾に見えたり、別の意図を帯びて見えたりする。だから、会話が「一度見たら終わりの台詞」にならない。再訪して聞き直す行為が、ゲームの作法として成立する。

また、人数が多いこと自体も魅力に直結している。事件関係者が多いほど、動機の可能性は増え、同時に“誰が嘘をついているか”の見抜き合いが濃くなる。善意で隠している人もいれば、保身で誤魔化す人もいる。こちらが知っている情報量に応じて、相手の発言の信用度が変わっていく。その変化をプレイヤーの頭が追いかけるので、情報量がそのままゲームの厚みになる。

■ “足で稼ぐ捜査”が気持ちいい:移動・再訪が、探索ではなく仕事として響く

本作は、捜査の中心が「現場」「関係者の居場所」「警察署」という往復運動で回る。これが、ただの移動ではなく“仕事のリズム”として効いてくる。まず外で聞き込み、手がかりを拾い、署に戻って鑑識や手続きに回し、結果を受けて外へ再出動――このサイクルが、事件を動かす感触を生む。

特に、警察署が単なる休憩所ではなく、捜査を前進させる機関として用意されている点が魅力だ。鑑識結果が返ってくると視界がクリアになるし、法的手続きが必要な局面では署内の段取りが“捜査の次の段”を開く。現場で拾った情報が署で意味を持ち、署で得た意味が外で質問の角度を変える。この往復が“捜査している感”を強め、やっていることが単なるゲームの手順ではなく、刑事の工程として身体に残る。

■ “詰まない”のに“考える”必要がある絶妙なバランス

理不尽な詰みや取り返しのつかない分岐が少ないのは、本作の大きな魅力だ。プレイヤーを意地悪く落とすのではなく、「粘れば進める」構造を徹底している。だから、ミステリーADVにありがちな“ここだけのフラグ”で消耗しにくい。反面、何も考えずに気持ちよく進むわけでもない。情報が多い分、頭の中が散らかると迷う。ここが面白いところで、詰まないからこそプレイヤーの整理力が問われ、整理力が上がるほどゲームが速くなる。

つまりこのゲームは、プレイヤーに“推理力”よりも“捜査力”を求めている。メモを取る、相関を想像する、矛盾点を仮置きする、確認のために聞き直す。そうした地道な行為が、ゲーム内で確かな前進に変換される。努力が無駄になりにくい設計が、長時間プレイを支える。

■ 被害者像の作りが巧い:容疑者が自然に増え、犯人像が簡単に固定されない

多くのミステリーゲームは、「犯人探し」を成立させるために被害者を記号化しがちだ。しかし本作は、被害者であるビル・ロビンズを“事件の中心人物”として、しっかり不穏な影を持たせる。結果、関係者の感情は一色にならない。恨みもあれば恩もあり、利害もあれば負い目もある。だから誰もが“動機を持ち得る”。この構造が、捜査の面白さを長持ちさせる。

さらに、容疑者の候補が多いだけでなく、「犯人が一人に絞られていく過程」そのものにドラマがある。最初は“怪しい人”が多すぎて輪郭が見えないのに、証言と証言をつないでいくと、怪しさの質が変わる。表面的な挙動の怪しさより、証言のズレや行動の穴がじわじわ浮かび上がってくる。派手な伏線回収ではなく、矛盾の整理によって犯人像が固まるのが渋い。

■ リアル寄りの空気感:派手さの代わりに“人間の体温”が残る

『J.B.ハロルドシリーズ』が後年まで語られる理由のひとつは、事件の背後にある人間関係の描き方が、単なる舞台装置ではなく“生々しさ”として残るところだ。本作でも、登場人物は記号的に配置されるのではなく、生活や立場、町の力関係の中で言葉を選ぶ。だから聞き込みが面倒ではなく、むしろ“言質を取る”快感になる。相手が抵抗するほど、こちらが情報を積む意味が増える。捜査とは相手の心に踏み込む行為でもある、という感触が作品全体に漂う。

また、テンポが速くない分、プレイヤーの感情は“驚き”より“納得”へ向かう。答えが出た時、カタルシスは爆発ではなく沈殿だ。事件の全体像が理解できた時に、静かに背筋が伸びるタイプの余韻が残る。これは、好みが分かれるが、刺さる人には忘れがたい。

■ 当時のPC環境と相性が良い:複数機種展開が“体験の広がり”を作った

本作がPC向けに多機種で展開されたことは、単に市場の都合だけではなく、作品の性格とも噛み合っている。重い文章量、聞き込みの反復、情報整理の遊び――これらは、腰を据えてプレイするPCユーザーの遊び方と相性が良い。家庭用のように短時間で区切るより、メモを取りながら数時間単位で進めるほど気持ちよくなる設計だ。複数機種に広がったことで、同じゲームでもプレイヤーの環境やプレイスタイルに合わせて“自分の捜査”として語り継がれやすくなった。

■ まとめ:地味さを愛せる人にとって、これ以上なく贅沢な“捜査体験”

『殺人倶楽部(マーダークラブ)』は、派手な演出やテンポの良さで勝負する作品ではない。だがその代わりに、聞き込み、調査、帰還、分析、再出動という捜査の工程を、膨大な情報量と人物関係の厚みで支え、“刑事の仕事”として遊ばせてくる。ミステリーを「読む」より「やる」ゲーム。面倒さと引き換えに、手応えは確実に返ってくる。自分の頭で事件をほどいていく感覚を求める人にとって、本作は今でも特別な一作として残り続けるはずだ。

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■ ゲームの攻略など

■ まず押さえるべき前提:このゲームは“推理”より“捜査手順の最適化”で楽になる

『殺人倶楽部(マーダークラブ)』の攻略で最初に理解しておきたいのは、難所の多くが「トリックを見抜けない」ことではなく、「情報が散らかって次の一手が見えなくなる」ことから生まれる点だ。つまり、攻略のコツは名探偵のひらめきではなく、刑事としての段取り――誰に何を聞き、どの場所をいつ調べ、署に何を持ち帰るか――を整えることにある。

詰みづらい設計なので、粘れば前進はできる。ただし、粘り方が雑だと時間だけが溶ける。逆に、捜査の“型”を作ってしまえば、同じ情報量でもスムーズに回り始める。本作はその差が大きい。だから、攻略の第一歩は「ゲームを速くするための習慣」を身につけることだ。

■ メモ術が最強の裏技:人物・場所・時間を“3つの棚”で整理する

この作品は、ゲーム内に親切な自動整理があるタイプではない(少なくとも当時の基本思想としては“整理はプレイヤーがする”側に寄っている)。よって攻略の要はメモだ。おすすめは、情報を次の3棚に分けて書くこと。

人物棚:関係者ごとに「被害者との関係」「当日の動き」「発言の癖(曖昧、強気、話をそらす等)」「矛盾・穴」を箇条書き

場所棚:訪問可能地点ごとに「得られた情報」「未確認ポイント」「後で再訪すべき理由」

時間棚:当日または直近の時系列(誰がいつどこにいたと言っているか)

この3棚で整理すると、行き詰まった時に「人物棚の矛盾→時間棚で照合→場所棚の未確認へ」という流れが作れる。ゲームの進行は、この“照合と穴埋め”で必ず動くようにできている。逆に、これをやらないと「誰に何を聞いたか」が霧散し、総当たり地獄に落ちやすい。

■ 聞き込みの基本ループ:初回は広く、2回目以降は狙って刺す

本作の会話コマンドは膨大だが、全部を毎回やる必要はない。効率化のコツは“初回だけ広く、以降は狙う”に尽きる。

初回訪問:相手の素性・被害者との関係・当日の行動・周辺人物の評判など、ベース情報を広めに集める

新情報入手後の再訪:新しく得た固有名詞(人物名・場所名・アイテム)に絡む質問だけを重点的に当てる

矛盾が見えた再訪:相手の発言の穴を“確認の形”で詰め、逃げ道を削る

このループが回り始めると、聞き込みが作業ではなく“捜査”になる。再訪は面倒に見えるが、むしろ再訪の精度を上げるほどゲームが速くなる。重要なのは「全員に全部」ではなく、「全員にベース→必要な相手に追加」で、メリハリを付けることだ。

■ 捜査対象の優先順位:被害者の線から外へ“輪”を広げる

攻略上、動きやすい導線は「被害者中心→近い人物→周辺人物→噂・第三者」という同心円で考えることだ。

中心(被害者):被害者の評判、トラブル、利害関係

第一円(濃い関係者):被害者と直接利害がある人、最後に接触した可能性が高い人

第二円(周辺人物):関係者の証言を裏取りできる人、噂話を知る人

第三円(第三者):一見無関係だが“情報の鍵”を握る人(ここが本作のクセ)

本作が厄介なのは、第三円にある「無関係っぽい人物の噂話」が、突破口になることがある点だ。だから詰まったら、中心や第一円を殴り続けるのではなく、第二円・第三円へ意識的に足を伸ばすのが効く。「関係者の証言を裏付ける外部の視点」を拾うと、急に矛盾が立体化して進行することが多い。

■ 警察署の使い方:行き詰まりを“手続き”でほどく

外での聞き込みに偏りすぎると詰まりやすい。攻略では、警察署を「整理して次の段を開ける場所」として使うのが重要だ。

鑑識・調査系:現場で得た手がかりは、署で処理して“確定情報”に変える

手続き系:逮捕状や交渉など、進行の節目を署で踏む

取り調べ系:外で集めた情報が“圧”になって、容疑者の口が開く

ポイントは、署に戻るタイミングを「疲れたから」ではなく、「外で拾った断片を確定させたいから」にすること。確定情報が増えるほど、聞き込みの質問が鋭くなり、相手の逃げ道が減っていく。

■ “総当たり”を苦行にしないテク:チェックリスト化で抜けを潰す

どうしても行き詰まった時のために、総当たりを“仕組み化”しておくと精神的に楽になる。おすすめは次のチェックリスト方式だ。

人物ごとに:「新しく増えた話題(固有名詞)」の列を作り、聞いたらチェック

場所ごとに:「調べた/未調査」のチェック

時系列の穴:「この時間帯だけ空白」という穴を目印化

これをやると、総当たりが“闇雲”から“検査”に変わる。検査になれば、時間はかかっても確実に前へ進める。本作は詰まない設計だからこそ、検査の精度がそのまま攻略速度になる。

■ 難易度の正体:アクション難ではなく“情報処理難”

本作の難易度は、反射神経や操作テクではない。ひたすら情報の処理量だ。だから、難しいと感じた時は「自分の推理が間違っている」より先に、「情報が整理できていない」可能性を疑うといい。整理できていれば、次の一手は必ず候補が数個まで絞れる。候補が絞れない時点で、まだ拾えていない裏取り、聞けていない噂、確定していない証拠がどこかにある。

■ 裏技的な“楽しみ方”:自分だけの捜査ノートで没入する

いわゆるパスワードや隠しコマンドのような派手な裏技よりも、このゲームで効くのは“遊び方の裏技”だ。具体的には、捜査ノートを「刑事の報告書」っぽく書いてみる。人物ごとに「動機の可能性」「アリバイの強度」「信用度」を5段階で付け、更新履歴を残す。これをやると、情報が単なるメモから“捜査の記録”になり、ゲームのテンポの遅さがむしろ没入感に変わる。結末に辿り着いた時、自分のノート自体が“プレイの成果物”として残るのが本作らしい醍醐味だ。

■ まとめ:攻略の鍵は「広く拾って、狭く刺す」――捜査の型を作れば一気に面白くなる

『殺人倶楽部』は、行き詰まってもゲームオーバーで落とされるタイプではない。その代わり、情報の海で迷う。だから攻略は、(1)3棚メモで整理し、(2)聞き込みを“初回広く・再訪狙って”回し、(3)被害者中心の輪で対象を広げ、(4)署で確定情報に変換し、(5)詰まったらチェックリストで検査する――この型を作ることに尽きる。型ができれば、膨大なコマンドは苦行ではなく、捜査の自由度として輝き始める。

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■ 感想や評判

■ プレイヤーの第一声に出やすいのは「地味。でも、妙に止まらない」

『殺人倶楽部(マーダークラブ)』の感想でまず目立つのは、派手さの欠如を指摘しつつも、なぜか手が止まらなくなる――という相反する評価だ。画面演出で引っ張るタイプではなく、情報を積み上げて状況が変わっていく“捜査の手触り”で引っ張るため、最初は淡々として見える。ところが、聞き込みが進んで人物関係が繋がり始めると、同じ証言が別の意味を帯びて見え、気づけば「もう一人だけ会って確認したい」「あの発言をもう一度聞き直したい」と、自然に次の行動が生まれる。プレイヤーは刺激を受け取るのではなく、自分で刺激を作りに行く。その構造が刺さった人ほど、地味さを“渋さ”として語り、熱量のある評価に変わっていく。

■ 「推理させる」より「捜査させる」——当時としては珍しい快感があった

当時のアドベンチャーは、場面転換や謎解きの“仕掛け”を中心に据える作品が多かった。そんな中で本作は、犯人当てクイズを出すより、刑事の手順を踏ませることに重心を置いている。話を聞き、裏を取り、矛盾を詰め、警察署で処理し、また現場へ戻る。このループを「現実的で、面白い」と感じた層が一定数いた。特に、推理という言葉に期待する“ひらめき”より、調査という言葉に宿る“段取り”を好むプレイヤーには、唯一無二のゲーム体験として残りやすい。

このタイプの評価は、「自分が事件を動かしている」「自分の手で真相に近づいた」という実感に根ざしている。ストーリーの名台詞が心に残るというより、手帳にメモを取りながら捜査した時間そのものが記憶に残る。後から思い返す時に、プレイ体験が“作業”ではなく“捜査”だったと感じられる人ほど、作品の価値を強く語る傾向がある。

■ 逆に不満として多いのは「コマンドが多すぎる」「進め方が分かりにくい」

賛否が分かれるポイントもはっきりしている。最大の壁は、コマンドの多さと情報量の多さだ。聞ける項目が多いことは自由度だが、ゲーム慣れしていないと“何をすればいいか”が分からなくなる。現代的な導線(次に行くべき場所を強く示す、選択肢を絞る、ログや自動メモが充実する等)が薄い分、プレイヤーに整理を委ねる度合いが高い。ここが楽しい人には天国だが、「物語をテンポよく読みたい」人には手間に見える。

また、詰みづらい設計である反面、行き詰まりを解消する手段が「聞き直し・再訪・裏取り」になりがちで、短時間で解決できる爽快感は薄い。結果として、「総当たりになると辛い」「噂話や第三者の情報が鍵になっていると気づきにくい」といった声が出やすい。つまり不満の多くは、難易度というより“疲労度”に関するものだ。

■ 「理不尽な罠が少ない」点は、好意的に語られやすい

一方で、同時代のADVと比べた時の“安心感”もよく語られる。取り返しのつかないミスで進行不能になる罠が少なく、粘れば前へ進める作りは、当時としては貴重だった。プレイヤーが失敗しても、「やり直し」より「やり直さずに取り返す」方向に設計が寄っているため、捜査の蓄積が無駄になりにくい。これが、長時間プレイに耐える理由になっている。苦労はするが、苦労が消えない。だから達成感が残る、という評価に繋がる。

■ ビジュアルと空気感への評価:「リアル寄り」の説得力が事件を支える

本作は、見た目の派手さより“実写さながら”の雰囲気で現実味を押し出す方向性を持っている。プレイヤーの感想では、「画面が落ち着いているからこそ、人物の言葉や関係性に集中できる」という捉え方がされやすい。背景や人物表現が過剰にデフォルメされていない分、町の空気、事件の冷たさ、人間関係の温度差が伝わりやすい。結果、トリックより心理に寄ったミステリーとして記憶される。

この種の評価は、のちにシリーズ的な語られ方をするときにも重要になる。「派手な謎」ではなく「重い人間ドラマ」を核にするシリーズだ、という印象が第1作から固まっているため、後続作や移植版を触れた人の振り返りでも「原点らしい渋さ」「初期ならではの泥臭さ」といった言い方で本作が位置づけられやすい。

■ メディア・ゲーム雑誌的な見られ方:尖っているが、ジャンルを押し広げた

雑誌的な評価軸で語られる場合、本作は「コマンド量と情報量で本格推理の空気を作った」「当時のPCユーザー向けに、腰を据えたミステリーADVを提示した」という点が注目されやすい。万人向けの快適さより、ジャンルの可能性を押し広げる方向に尖っている。だから、総合点で満点を取るタイプというより、「ハマる人には最高」「合わない人にはとことん重い」という評価の分布になりやすい。

また、シリーズ第1作としての影響も語られやすい。単体の完成度に加え、「こういう捜査型ADVが成立する」という前例になったことが、評価に上乗せされる。ゲーム性が地味でも、設計思想が明確で、後の展開を呼び込んだ――そういう“歴史的な強さ”が、回顧の場面で強調されやすい。

■ 後年のプレイヤー視点:現代の親切設計に慣れているほど、評価が二極化する

後から触れた人の感想では、当時よりもさらに二極化しやすい。理由はシンプルで、現代のゲームはログ、ヒント、自動整理、クエスト管理などが手厚く、プレイヤーの負担を減らす方向へ進化しているからだ。その基準で見ると、本作の“整理をプレイヤーに委ねる”姿勢は不親切に映る。一方で、そこを「自分の頭でやる贅沢」と感じる層もいる。紙のメモを取る、相関を組み立てる、証言の矛盾を自分で見つける――この行為が面白い人にとっては、むしろ現代では得難い体験になる。

つまり後年の評判は、「古いからダメ」ではなく、「古い設計思想が、今は好みを強く選ぶ」という形で語られやすい。評価の核はずっと同じで、捜査の地道さを“面白い”と思えるかどうかに収束する。

■ まとめ:賛否の軸が明確だからこそ、語り継がれるタイプの作品

『殺人倶楽部(マーダークラブ)』の感想や評判を総合すると、長所も短所も“同じ根”から生えている。コマンドが多い、情報が多い、テンポが遅い――これらは人によって欠点にも魅力にもなる。しかし、その設計が「捜査とは手間がかかるもの」というテーマと一致しているため、刺さった人の記憶には強く残る。派手な名場面で語られるのではなく、“捜査した時間”で語られるゲーム。だからこそ、時代を越えて名前が上がり続ける。

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■ 良かったところ

■ ①「捜査の手応え」が本物:プレイヤーの行動が、そのまま事件の進行になる

本作でまず評価されやすいのは、プレイヤーが“物語を読まされている”のではなく、“捜査をしている”と感じられる点だ。どこへ行くか、誰に何を聞くか、署へ戻るか、鑑識に回すか――その選択が、直接的に次の情報や展開を引き出す。イベントが勝手に進むのではなく、自分の足と頭で押し出していく感覚が強い。だからクリア後に残るのは、結末の驚きより「自分がこの事件をほどいた」という仕事の達成感になる。

この手応えは、地味な反復が“作業”ではなく“工程”として成立しているからこそ生まれる。聞き込み→裏取り→署で確定→再出動の循環が、単なるルーチンではなく、状況が少しずつ変わっていく実感と結びついている。そこが、同時代の多くのADVと一線を画す。

■ ② 人間関係の厚みがある:犯人探しが“人の事情”をほどく作業になる

良かった点として語られやすいのが、事件の背後にある人間関係の描写だ。単に「この人が怪しい」「この人が犯人」という線引きに収まらず、被害者を中心に利害・感情・過去のしがらみが重なっていく。しかも登場人物が、都合よく全部しゃべってくれるわけではない。嘘、はぐらかし、言い淀み、保身――そうした“人間らしい抵抗”が、捜査の面白さになる。

結果として、真相に近づくほど「犯人」だけでなく「事件が起きる土壌」まで見えるようになる。プレイヤーが解くのはトリックではなく、関係の糸だ。ここに、渋いミステリーとしての強さがある。

■ ③ コマンドの多さが“自由度”になっている:問いの立て方を自分で選べる

コマンドが多いのは欠点にもなるが、良かった点として評価される場合は「捜査の自由度」として語られる。質問の切り口が多いほど、同じ相手でも“どこから崩すか”を選べる。まず当日の行動を固めるのか、被害者との関係を掘るのか、周辺人物から外堀を埋めるのか。プレイヤーの性格が捜査手順に出るため、攻略ルートが“自分の捜査”になる。

さらに、進行に応じて同じ質問でも意味が変わる設計が、再訪の価値を高めている。序盤は何気ない返答だったものが、後半には矛盾や伏線として立ち上がる。会話が一度きりの消費物になりにくい点も、良さとして挙がりやすい。

■ ④ 詰みにくい安心感:理不尽なトラップより、粘り勝ちを肯定する

当時のADVにありがちな「取り逃しで進行不能」「順序を外すと詰む」といった理不尽さが少ないのは、素直に評価されるポイントだ。迷っても、聞き込みや再確認を続ければ突破口が見える。これは“易しい”というより、“努力が無駄になりにくい”という意味での親切さだ。

この設計のおかげで、プレイヤーは罠に怯えずに捜査へ集中できる。ミスの恐怖より、情報整理の面白さを前に出せる。地味な作品ほど、この安心感はプレイ継続の支えになる。

■ ⑤ 警察署パートが機能している:捜査の“仕事感”を支える舞台装置

警察署が単なる拠点ではなく、捜査を進める装置としてちゃんと機能している点も良かったところだ。外で集めた断片が署で“確定情報”になり、確定情報が次の聞き込みの刃になる。鑑識、手続き、取り調べなど、刑事ドラマ的な要素が飾りではなく、進行の歯車として組み込まれている。

この構造があるから、プレイヤーは「町を歩き回る」だけでなく「捜査を運用する」感覚を得られる。情報収集と事務処理の往復が、逆にリアルで、没入感を強める。

■ ⑥ 空気の作り方が渋い:派手さの代わりに“現実味”が残る

本作の魅力は、驚かせる演出よりも、静かに追い詰めていく空気にある。人物が簡単に心を開かず、町の関係が少しずつ露わになり、被害者像がじわじわ変わる。その積み重ねが、派手ではないのに緊張感を生む。事件の冷たさ、人間の湿度、地方都市の閉鎖性――そうした要素が、ゲーム全体のトーンを支える。

結果として、クリア後に残るのは「面白かった!」という軽い熱ではなく、「あの事件、あの人間関係…」と反芻したくなる重い余韻になる。ここを良さとして挙げる人は多い。

■ ⑦ “メモを取る楽しさ”が成立する:プレイヤーの思考がゲームの一部になる

良かった点として地味に強いのが、メモを取る行為がしっかり報われることだ。人物相関や時系列を自分で組み立てるほど、捜査が速く、鋭くなる。つまり、プレイヤーの思考がゲームシステムの中に位置づけられている。ここが、単に情報量が多いだけのゲームと違う。

「自分で整理して自分で答えに辿り着く」という体験は、今の親切設計のゲームでは得難い贅沢でもある。そこを評価する声は、後年になるほどむしろ強まる傾向がある。

■ まとめ:泥臭さが“欠点”ではなく“設計思想”として貫かれている強さ

『殺人倶楽部』の良かったところは、派手な売りではなく、捜査の工程を面白さへ変換する徹底ぶりに集約される。情報量、人間関係、署の機能、詰みにくさ、空気感――それらが同じ方向を向いて「捜査とは粘りであり、整理であり、裏取りである」という体験を作っている。刺さる人にとっては、これ以上なく濃い“刑事の時間”を味わえる作品だ。

■■■

■ 悪かったところ

■ ① コマンド量が“自由度”を超えて負担になる瞬間がある

本作の象徴とも言える膨大なコマンド群は、ハマれば武器だが、合わないと一気に苦痛になる。特に、会話で聞ける項目が多いことは「掘り下げられる楽しさ」に直結する反面、「何を選べばいいのか分からない」「同じ人に何度も同じ質問をしてしまう」という迷子状態も生みやすい。捜査のリアリティを出すために情報の枝を増やしているのは分かるが、ゲームとしての快適さより“捜査っぽさ”を優先した結果、導線の弱さがそのまま負担として残りやすい。

さらに、プレイヤーが情報整理に失敗した時のペナルティが「ゲームオーバー」ではなく「時間が溶ける」形で来る。これは詰みにくい設計の裏返しで、失敗が明確に見えないぶん、同じ場所を往復し、同じ相手に聞き直し、気づけば疲労だけが積み上がることがある。

■ ② 行き詰まり時の“総当たり”が重すぎる:検査ではなく苦行になりがち

詰みづらい一方で、詰まりづらいわけではない。次の一手が見えなくなった時、突破口は大抵「誰かの証言の聞き直し」か「第三者の噂話」か「見落とした調査」だが、これが分からない状態だと、総当たりが現実的な選択肢になる。

問題は、その総当たりの“幅”が広いことだ。人物も多く、質問の切り口も多い。しかも本作は、捜査を進めるうえで「一見無関係な人物の言葉」が鍵になる場合があり、感覚的に“核心に近い人物”だけ追っていても前に進まない場面が出る。ここで「なぜ今その情報が必要なのか」が見えづらいと、プレイヤーは手順ではなく根性で突破することになり、楽しさより消耗が勝ちやすい。

■ ③ 進行の節目が分かりにくい:ストーリーの盛り上がりが掴みにくい

本作は事件が“派手に転がる”タイプではなく、少しずつ解像度が上がっていくタイプだ。そのため、盛り上がりが「演出」で提示されにくい。現代の感覚だと、章立てやミッション更新のような“節目の印”が薄く、どこまで進んだのか、何が更新されたのかが感覚的に掴みにくい瞬間がある。

特に、複数の情報が同時進行で増えていく中盤以降、プレイヤーが自分の中で「今はこの線を追っている」「次はこの矛盾を潰す」と方針を立てられないと、ただ聞き込みを回しているだけに見え、ストーリーのテンションが上がりにくい。これは作品の渋さでもあるが、ゲームとしては“掴みの弱さ”として不満に繋がりやすい。

■ ④ プレイヤーへの要求が高い:メモや整理を前提にしている

当時のPCゲームとしては自然だったかもしれないが、本作はプレイヤーの外部記憶(メモ)に頼る設計が濃い。もちろん頭の中だけでも進められなくはないが、情報量が多いぶん、整理しないと効率が落ちる。メモを取ること自体を楽しめる人には最高だが、「ゲーム内だけで完結したい」「画面の情報だけで進めたい」人にはハードルが高い。

この点は、後年に触れるほど不満として出やすい。現代のゲームは自動整理が前提になりつつあるため、プレイヤー側の習慣が変わっている。良さとして再評価されることもある一方で、初見の壁にもなりやすい。

■ ⑤ テンポが遅く感じる:移動・再訪が“雰囲気”ではなく“手間”に見えることがある

捜査の往復運動は本作の魅力だが、同時にテンポ面の弱点でもある。聞き込みで得た新情報を元に再訪する、署へ戻って手続きを進める、別の人物に裏を取る――この流れを“捜査らしい”と感じるか、“移動と会話の繰り返し”と感じるかで評価が割れる。とくに、短時間で区切って遊ぶと、前進の実感を得る前に同じルーチンを繰り返すことになり、テンポが悪いと感じやすい。

■ ⑥ “気づき”が要求される箇所がある:情報の重要度が均一に見えてしまう

本作は、あえて情報をフラットに提示する傾向がある。つまり、重要情報も雑談も同じ“会話の一部”として出てくることがある。これはリアルだが、ゲームとしては「どれが鍵なのか分かりにくい」原因にもなる。結果、重要情報を聞いているのに重要だと気づけず、詰まった後で別の話を探し続ける、というズレが起きやすい。

この問題は、“手掛かりの強調”が少ない作品ほど避けにくい。ただ、プレイヤーの集中力に依存する割合が上がるので、疲れている時に遊ぶと一気に辛さが増える。

■ ⑦ 好みが強く分かれる:シナリオだけ楽しみたい人には不向き

最後に、悪かったところとして挙がりやすい本質はこれだ。物語をテンポよく見たい、演出で引っ張ってほしい、推理はイベントとして体験したい――そういう層にとって、本作は“捜査の手順”が前に出すぎている。刑事ドラマの「事件が動く場面」だけを見たいのに、そのために“資料作り”や“裏取り”を自分でやらされる、という感覚になってしまう。ここは作品の個性であり、欠点というより相性だが、相性の悪い人には明確な不満点として残る。

■ まとめ:欠点の多くは“捜査のリアルさ”と表裏一体——快適さより体験の濃さを優先した代償

『殺人倶楽部』の悪かったところは、派手なバグや理不尽な仕様というより、設計思想の尖りから来る負担に集約される。コマンド量、情報整理の要求、節目の見えにくさ、総当たりの重さ、テンポの遅さ――これらは、捜査をリアルに見せるためのコストでもある。だから、ここを“渋さ”として飲み込める人には唯一無二だが、快適さを求める人には辛い。欠点が明確だからこそ、遊ぶ前に自分の好みを自覚しておくと、満足度は大きく変わる。

[game-6]

■ 好きなキャラクター

■ まず前提:この作品の“キャラクターの好き”は、派手な魅力より「人間の癖」に宿る

『殺人倶楽部(マーダークラブ)』で語られる「好きなキャラクター」は、アクションゲームのように分かりやすい強さや、漫画的な華やかさで決まりにくい。むしろ本作は、登場人物が口数や態度で“自分を守る”ように描かれ、そこから嘘や矛盾、弱さや打算が透けて見える作りになっている。だから好きになる理由も、「かっこいい」より「この人の言い訳が妙にリアル」「この人の本音が滲む瞬間が刺さる」といった、観察の積み重ねに近い。

また、事件関係者が多いぶん、プレイヤーの捜査の進め方によって印象が変わりやすい。早い段階で核心に触れる人物を“キーパーソンとして好き”になる人もいれば、遠回りの中で助け舟をくれる第三者を“頼れる存在として好き”になる人もいる。つまり本作のキャラ評価は、ストーリーの好み以上に「自分の捜査体験の記憶」と結びつく。

■ J.B.ハロルド:主張しすぎない主人公だからこそ“刑事の視点”に入り込める

主人公J.B.ハロルドは、強い個性で場を支配するタイプではない。むしろ淡々と仕事を進め、必要な質問を投げ、矛盾を確認し、次の行動を選ぶ。だからこそ、プレイヤーは彼を“鑑賞する主人公”ではなく“自分の視点の器”として受け止めやすい。ここが好きだと言う人は、ハロルドの魅力を「人格」より「仕事ぶり」に見る。

例えば、相手がはぐらかしても感情でぶつからず、証言の穴を冷静に拾っていく。派手な正義感ではなく、情報を積むことで真実を露出させる。そういう“地味な強さ”が、作品全体のトーンと噛み合っていて好印象になりやすい。プレイヤーが混乱しても、主人公が過剰にドラマを作らないから、捜査が自分のペースで進められる――その設計が、主人公への信頼に繋がっている。

■ 被害者ビル・ロビンズ:嫌われ役であり、事件の中心として強烈に記憶に残る存在

好きなキャラクターとして“被害者”が挙がるのは珍しいが、本作ではビル・ロビンズの存在感がそれだけ強い。もちろん、彼は理想的な被害者ではない。むしろ、関係者の証言から浮かび上がる人物像は一筋縄ではいかず、好感より反発を買うタイプとして立ち上がる。だが、だからこそ面白い。

捜査が進むほど、彼を取り巻く人間関係が放射状に広がり、事件の“動機の母体”になっていく。プレイヤーはビルという人物を、会話の断片と噂の集積で復元していくことになる。好きになる理由は「共感」ではなく、「この人物を中心に物語が回る構造が見事」「嫌われ役なのに生々しい」といった、作品の核としての評価になりやすい。結果的に、彼は“登場しないのに最も濃い登場人物”として記憶に残る。

■ “嘘のつき方が上手い人物”:嫌いになれない悪さ、あるいは生存戦略としての嘘

本作には、嘘をつく人物が少なくない。そして、その嘘が単純に悪意だけで作られていないことが多い。保身、恐れ、立場、守りたいもの、見られたくない過去――嘘が“生存戦略”として機能している。ここがキャラとしての魅力になり、「この人の嘘は下手じゃない」「この人は真実を隠す理由が分かる」と、観察の対象として好きになるケースがある。

こういう人物は、最初は苛立たせる。だが、証言の綾を解いていくと、嘘の構造が見え、「この人はここで線を引いている」「この話題には触れられたくない」という“境界”が分かってくる。境界が見えた瞬間、ただの障害物ではなく“立体的な人間”になる。好きというより、面白い、忘れられない、といった形で評価が残る。

■ “協力者ポジションの人物”:捜査の呼吸を整えてくれる存在が好かれやすい

大勢の関係者の中には、プレイヤーの捜査を進めやすくしてくれる“協力者”のような役回りの人物もいる。直接的に核心を語るわけではなくても、裏取りのヒントをくれたり、噂の断片をくれたり、別ルートの扉を開けてくれたりする。こうした人物は、ストーリー上の大スターではないのに、プレイ体験の中での重要度が高い。

好きになる理由も分かりやすい。「この人に会うと捜査が前に進む」「話が通じる」「質問の手応えがある」。本作は、会話の多くが探り合いになるので、そういう“会話が成立する相手”が貴重に感じられる。その安心感が好感へ直結しやすい。

■ “矛盾を抱えた人物”:善悪で割り切れないからこそ印象が強い

本作のキャラクターの良さは、善人・悪人の二択で切れないところにある。ある人物は誠実そうに見えて都合の悪い点は隠すし、別の人物は態度が悪いのに核心部分では妙に正直だったりする。こういう矛盾が、キャラの魅力になる。「嫌いだけど、言っていることは筋が通っている」「信用できないけど、感情は理解できる」。そうした複雑な感情を引き出す人物ほど、好き/嫌いを超えて“印象に残るキャラ”になりやすい。

■ プレイヤー視点の“推し”の作り方:好きな理由を「捜査の役割」で言語化すると深まる

この作品で推しを語るなら、キャラの属性より「捜査での役割」で言語化するとしっくり来る。

鍵を握る人:事件の核心へ直結する要素を持つ

疑いを増やす人:動機や矛盾で捜査の方向を揺らす

視点を変える人:第三者の噂や外部情報で構図を更新する

捜査を整える人:裏取り・確認の糸口をくれる

こうして見ると、“好き”が単なる好感ではなく、自分の捜査体験の中での価値として固まってくる。結果、同じ作品でもプレイヤーによって推しが大きく違うのが、本作らしい面白さだ。

■ まとめ:この作品のキャラ人気は、派手な魅力ではなく「人間の手触り」から生まれる

『殺人倶楽部』の登場人物は、プレイヤーに媚びない。だからこそ、捜査を通じて見えてくる嘘や弱さ、矛盾や本音が、キャラクターの魅力として立ち上がる。主人公ハロルドの淡々とした仕事ぶり、被害者ビルの強烈な存在感、嘘のうまい人物の生々しさ、協力者のありがたさ――どれも、捜査の過程で体温を持って記憶に残る。好きなキャラクターを語ること自体が、プレイヤーの“捜査の記録”を語ることになる。それがこの作品の渋い美味しさだ。

[game-7]

●対応パソコンによる違いなど

■ まず大前提:同じ事件でも“捜査の手触り”はハード性能と媒体で変わる

『殺人倶楽部(マーダークラブ)』は、物語やトリックの妙だけで成立している作品ではなく、「情報を集め、照合し、次の一手を選ぶ」という“捜査の運用”が面白さの核にある。だからこそ、同タイトルでも対応パソコンが変わると、プレイフィールが意外なほど変化する。グラフィックの鮮明さや色数が増えれば人物の表情の読み取りが楽になり、表示解像度が上がれば文章の見やすさが変わり、ロードが短ければ再訪のストレスが減る。つまり、捜査ゲームにおける快適さは「操作性+表示性+待ち時間」で決まりやすく、本作はそれが体験に直結するタイプだ。

さらに、当時のマルチプラットフォーム展開は“完全に同じものを移す”というより、「同じ事件を、各環境で成立する形へ再構成する」要素も含む。結果として、シナリオの骨格が同じでも、テンポや雰囲気、快適さ、没入のしやすさが変わり、同じ事件の印象まで微妙に変わってくる。ここが、対応機種の違いを語る面白さでもある。

■ 8bit世代の基本:PC-8801/PC-9801初期系/FM-7/X1/MZ-2500の「渋さ」

初期に触れられやすい8bit~準16bitの環境(PC-8801や当時のPC-9801環境、FM-7、X1、MZ-2500など)は、本作の“地味さ”を最も純粋な形で味わえる領域だ。画面は情報に集中しやすく、捜査の進行は淡々としている。だからプレイヤーは、派手な演出に引っ張られるのではなく、メモと照合で自分から前へ進む姿勢になりやすい。

ただし、この世代の違いは「性能差」というより「表示の雰囲気」と「操作レスポンス」が大きい。たとえば文字表示が読みやすいか、フォントの見栄えはどうか、画面の切り替えが軽いか、ロードやディスクアクセスがどれほど気にならないか。捜査の基本は“聞く→移動→確認→再訪”なので、切り替えの重さがそのまま疲労に直結する。逆に言えば、多少古くてもレスポンスが良い環境だと、捜査の泥臭さが“心地よい反復”になりやすい。

この世代で語られやすい魅力は、情報の取捨選択がプレイヤーの頭に委ねられる点が際立つことだ。補助機能が少ない分、捜査ノートを自分で組み立てる楽しさが濃くなる。まさに「捜査とは足と手帳でやるもの」という本作の思想に、ハード側が自然に寄り添う。

■ PC-8801系の“仕事机感”:文章とコマンドの関係が見えやすい

PC-8801系で遊ぶと、本作のコマンド選択と文章の関係がとてもストレートに感じられることが多い。画面構成が素朴であるほど、プレイヤーは「いま自分が何をしているのか」を見失いにくい。派手な画作りがないぶん、質問の選択、証言の更新、裏取りの必要性といった“捜査の論理”だけが手元に残る。結果として、プレイヤーの頭の中に人物相関が立ち上がりやすく、事件を“自分の手順でほどく”感覚が強まる。

一方で、素朴さはそのまま不便さにもなりうる。画面切り替えやロードの待ち時間、聞き直しの反復が重なると、捜査の魅力が疲労に傾くことがある。ここはハードの状態や環境にも左右されやすい。

■ PC-9801系の“読みやすさ”:情報処理ゲームとしての快適さが上がりやすい

PC-9801系で語られがちなのは、文字の読みやすさと画面の安定感だ。本作は“読んで整理する”比重が高いので、文章が読みやすいだけで疲労度が変わる。情報量が多いゲームほど、目が滑るか滑らないかは大問題で、ここが快適だとプレイ時間の伸びが変わってくる。

また、捜査の核が「たくさん聞いて、比べて、矛盾を掴む」なので、情報が頭に入りやすい環境は、そのまま攻略のしやすさに繋がる。つまり、同じ難易度でも“脳内メモリ効率”が上がるぶん、体感難易度が下がりやすい。

■ FM-7/X1/MZ-2500:同時代感の違いが“雰囲気”として残る

FM-7、X1、MZ-2500といった機種群は、性能差以上に“その機種で遊んでいる”という空気が体験の味になる。キーボードの感触、画面の雰囲気、色味、切り替えのテンポ――そうしたものが、捜査の体感温度を決める。ミステリーADVは、気分が乗るかどうかが没入を左右しやすいので、機種固有の空気は意外と侮れない。

このあたりの機種で遊ぶ面白さは、現代から見ると「事件を解く」以上に「当時の推理ゲームの作法に入り込む」ことにある。手元でメモを取り、同じ相手に聞き直し、少しずつ構図を変える――その“古典のリズム”がしっくり来る人には、むしろ贅沢な時間になる。

■ MSX2:操作の気軽さと引き換えに、テンポの調整が印象を左右しやすい

MSX2は、当時の家庭的な導入のしやすさや親しみやすさから、触れた人にとっての入り口になりやすい一方、作品の重さとハードの“気軽さ”が噛み合うかどうかで印象が分かれやすい。『殺人倶楽部』は腰を据えた捜査体験なので、気軽に起動できる環境だと「少しだけ進めよう」がしやすくなる反面、短いプレイを繰り返すと、情報が散らかりやすい。つまり、遊びやすいはずなのに“中断の弊害”が出やすい。

この差を埋める鍵は、プレイヤー側の整理習慣だ。MSX2で遊ぶ場合ほど、人物棚・場所棚・時間棚のようにメモを整えておくと、短時間プレイでも捜査が迷子になりにくい。環境が軽いぶん、プレイヤーの工夫がそのまま快適さに返ってくるタイプだ。

■ 16bit世代の上位移植:X68000/FM-TOWNS(DX系)の“映画っぽさ”と快適さ

後年「DX」として再構成された系統(X68000、FM-TOWNS)で語られやすいのは、ビジュアルやサウンドの密度が上がったことによる没入感の変化だ。『殺人倶楽部』は情報を読むゲームだが、同時に“空気”のゲームでもある。画面表現が豊かになり、人物や場面の印象がくっきりすると、証言や人間関係の重さがより“ドラマ”として立ち上がりやすい。

そして、上位環境の恩恵として大きいのが、切り替えやロードなど“待ち”が体験を邪魔しにくくなること。再訪や聞き直しが多いゲームほど、テンポの良さは正義だ。捜査の泥臭さは残しつつ、機械的ストレスを減らす方向に寄ると、「面倒だからやめる」が減り、「もう少しだけ詰めよう」が増える。結果として、本作の魅力である“じわじわ真相に近づく感覚”が、より純度高く味わえる。

ただし、上位表現が合わない人もいる。素朴な画面だからこそ、想像で補っていた余白が埋まりすぎると、逆に“作り物っぽさ”を感じる場合もある。ここは好みだが、少なくとも「捜査の快適さ」は上がりやすい領域と言える。

■ 家庭用移植(FC/PCエンジンCD-ROM²/DSなど)の違い:遊ぶ姿勢が変わる

家庭用移植で体験が変わる最大の理由は、性能差よりも“プレイスタイル”の変化だ。PCでは机に向かってメモを取りやすいが、家庭用はリビングで遊ぶことが多く、短い時間で区切りがちになる。その結果、同じ『殺人倶楽部』でも「捜査の集中」を維持する工夫が必要になる。

FC移植は、当時の家庭用としては貴重な本格ミステリー体験になり得る一方、操作や表示、入力の作法がPCと違い、聞き込み中心のゲーム性が“作業”に見えやすい瞬間も出る。逆に、家庭用でここまで地味な捜査をやること自体が尖っていて、「よくぞ持ってきた」という評価にも繋がりやすい。

PCエンジンCD-ROM²は、媒体の特性によって演出や音周りの印象が変わりやすく、事件の雰囲気を“ドラマ”として楽しみたい層に向くことがある。

DSのような携帯機は、短時間プレイとの相性が良い反面、情報が散らかりやすいという本作の弱点も増幅しやすい。ここはメモや整理をどう補うかで満足度が変わる。ただ、持ち運べる環境で“重い捜査”ができるという価値は大きく、当時の体験を現代に近い形で再接続する役割も果たす。

いずれにせよ、家庭用は「机で捜査」から「生活の中で捜査」へ変わる。その変化を受け入れられるかどうかが、評価を分けやすい。

■ スマホ系(iOS/Android)や現行機(Nintendo Switch等):快適さが増えるほど“プレイヤーの好み”が浮き彫りになる

後年のスマホや現行機への展開では、ロードや表示の快適さが上がり、遊び始めるハードルが下がる。すると何が起きるかというと、「このゲームが好きかどうか」がより純粋に“ゲーム性そのものの好み”として現れる。昔は環境の制約があったから続かなかった人も、今は軽く触れられる。そこで「地味で面倒だ」と感じるなら相性の問題だし、「この地道さがたまらない」と感じるなら、現代の快適環境は最高の味方になる。

特に、現行機での復刻や配信系は、当時の“手間”のうち機械的な部分だけを削り、捜査の本質(聞き込みと整理)だけを残しやすい。これによって、本作は「古いゲーム」ではなく「捜査型ADVという嗜好品」として再提示される。好きな人には、むしろ今の方が遊びやすい。

■ まとめ:違いを作るのは“画の豪華さ”より「読みやすさ・切り替え・中断耐性」

『殺人倶楽部(マーダークラブ)』の対応機種による違いは、スペック表の差以上に、「捜査が快適に回るかどうか」で体感が決まる。古い環境ほど“机でメモを取る渋い捜査”が似合い、上位環境ほど“再訪のストレスが減って没入が続く”。家庭用・携帯機・スマホは、プレイ時間の刻み方が変わるぶん、整理の習慣が鍵になる。

同じ事件でも、環境が変われば捜査のリズムが変わる。だからこそ、複数機種で語られ続ける価値がある。自分にとって一番“捜査が気持ちいい”環境を選べた時、この作品はただのレトロADVではなく、今でも通用する“捜査体験”として鮮明に立ち上がってくる。

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■ 当時の人気・評判・宣伝など

■ 1986年前後のPCゲーム市場と、本作が“刺さる土壌”

1986年前後のパソコンゲーム市場は、家庭用ゲーム機とは別の文脈で成熟し始めていた時期だ。アクションやRPGの熱も高かった一方で、パソコンならではの強み――文章量、情報量、操作の複雑さ、そして“机に向かって腰を据える遊び方”――を前提にしたアドベンチャーが存在感を増していた。『殺人倶楽部(マーダークラブ)』はまさに、その土壌に向けて「捜査という作業を、遊びの中心に置く」という明確な個性を持って登場した作品だ。 当時のPCユーザーの中には、単に派手な展開を追うのではなく、文章を読み、情報を整理し、推理を組み立てること自体を“知的な娯楽”として求める層がいた。本作はその層に対して、ミステリーを“読むもの”から“運用するもの”へ変える提案をした。だから、爆発的な大衆ヒットというより、刺さった人が強く支持し、口コミや回顧で評価が積み上がっていくタイプの人気になりやすかった。

■ “売り”が分かりやすい:本格ミステリー×刑事捜査×リアル寄りの空気

当時の宣伝や紹介で効いたのは、ジャンルの分かりやすさだ。「刑事が主人公」「殺人事件」「聞き込みと捜査」「人間関係の闇」といった要素は、スクリーンショット一枚で爆発する類ではないが、文章で説明すると途端に魅力が伝わる。パソコン雑誌やソフト紹介の枠では、むしろこの“言葉で売れる”性質が強い。派手なアクションの見た目で勝負しない代わりに、「これは本格派だ」「捜査の手順が味わえる」「地味だが濃い」といったコピーが効く。 さらに『殺人倶楽部』というタイトル自体が、当時の感覚でも引っかかりやすい強さを持っている。“倶楽部”という語感が不穏で、事件の背後に単なる個人の激情以上のものがあるのでは、と想像させる。タイトルが先に空気を作り、ゲーム内容がその空気を裏切らない。こうした一致は、紹介記事での印象を強くし、読者の記憶に残りやすい。

■ 対応機種の広さが宣伝効果を押し上げた:PCユーザーの「自分の環境で遊べる」安心

本作は複数のパソコンに展開されたことで、宣伝上の間口が広がった。パソコンゲームは機種の壁が強く、気になるソフトがあっても「自分の機種では出ない」で終わってしまうケースが多い。そこを越えて「自分の環境でも出る」ことは、そのまま購買動機になる。広告や紹介欄で対応機種がずらりと並ぶだけでも、“勢い”や“本気度”を感じさせる効果があるし、ユーザー同士の会話でも広がりやすい。 そして本作は、機種が違っても核の体験がブレにくい。派手な演出や瞬間的な操作性より、聞き込みと整理という骨格が中心なので、「どの機種版でも面白いらしい」という評判が立ちやすい。結果として、特定のコミュニティに閉じず、機種横断でじわじわ浸透していく形の人気を取りやすかった。

■ 当時のプレイヤーの反応:称賛は“重さ”に、苦言も“重さ”に集まる

発売当時に語られやすかった反応は、良くも悪くも「重い」「地味」「でも本格的」という一点に集約されやすい。称賛側は、捜査の工程を丁寧に踏ませることを「リアルだ」「頭を使う」「推理ゲームとして筋が通っている」と受け止める。特に、理不尽な詰みやトラップより、粘りで前へ進める設計が好意的に語られやすい。自分のメモと判断で事件が動く感覚が、パソコンならではの遊びとして評価された。 一方で苦言側は、同じ要素を「面倒」「総当たりがつらい」「テンポが遅い」と言う。ここで面白いのは、評価が作品の欠陥というより“遊び方の相性”に寄っている点だ。つまり当時からすでに、本作は「刺さる人には抜群」「合わない人には苦行」という二極化を起こしやすい性格を持っていた。それでも一定の熱量を獲得できたのは、刺さった側の声が強く、説得力があったからだ。単なる好みではなく、「この仕組みで捜査を遊ばせるのは凄い」という設計評価として語られたため、作品の価値が長持ちした。

■ 雑誌・メディア的な扱われ方:派手な点数より“尖った個性”として語られやすい

ゲーム雑誌的な文脈で見ると、本作は万人向けの快適さで高得点を取りに行くタイプではない。むしろ“こういう方向のミステリーADVが成立する”という提示として扱われやすい。紹介文では、コマンド量の多さ、聞き込みの地道さ、人物関係の濃さが強調され、それが魅力であると同時に注意点でもある、という書き方になりやすい。これは裏を返せば、作品の個性が説明しやすく、読者に誤解を与えにくいということでもある。 また、パソコンソフトの紹介枠では、読者は“自分の好みで選ぶ”前提が強い。だから「合う人には最高」の作品が評価されやすい。点数評価がどうこうより、読者の嗜好に刺すフックがあるかが重要で、本作はそのフックが明確だった。「刑事捜査を自分で回す」「人間関係を自分でほどく」という売りは、ミステリー好き・ADV好きにとって十分に強い。

■ 口コミの広がり方:派手な話題性ではなく“体験談”として伝播する

本作の評判は、スクリーンショット映えや衝撃展開のネタバレで広がるというより、「自分はこういう順序で捜査した」「ここで詰まりかけたが、あの噂話で一気に進んだ」といった体験談として語られやすい。つまり、語りが攻略メモに近い。その語り口自体が“捜査ゲームらしさ”を補強し、聞いた側も「それは面白そうだ」と感じやすい。 さらに、体験談型の口コミは、刺さった人ほど熱量が上がる。地味な作品ほど、刺さった側は「分かる人に分かってほしい」という気持ちで語りが濃くなる。その濃さが、次のプレイヤーを呼ぶ。結果として、短期の流行ではなく、静かなロングセラー的な評判の積み上がり方をする。

■ シリーズ化へつながる“宣伝資産”:第1作が作ったブランドの核

『殺人倶楽部』が後のシリーズ展開へ繋がった背景には、宣伝としても使いやすい“核”をこの1作が作ったことがある。リアル寄りの雰囲気、重厚な人間ドラマ、刑事捜査の地道さ、情報整理の快感――これらは続編を紹介する時にも「このシリーズはこういう味」という一文で伝えやすい。ブランドの輪郭がはっきりしているシリーズは、広告でも紹介でも強い。 また、「第1作が刺さった人は続編も追う」形になりやすいのもポイントだ。シリーズの中で方向性がぶれるとファンは離れるが、本作の時点で“渋い捜査ミステリー”という軸が定まっているため、支持層が育ちやすい。宣伝の場でも「本格派」「捜査型」「大人向け」という言葉が通りやすくなり、結果としてシリーズ全体の認知と価値を押し上げる起点になった。

■ 当時の“人気度”をどう捉えるべきか:派手な大ヒットではなく、名を残すタイプの成功

本作の当時の人気は、誰もが知る社会現象型の大ヒットというより、PCゲームの好き者が「これは本物だ」と言い始め、じわじわ存在感を増すタイプの成功だったと捉えるのがしっくり来る。理由はシンプルで、ゲーム性が尖っているからだ。テンポよく見せる娯楽ではなく、地道な捜査と情報整理をプレイヤーに要求する。だから母数は選ぶ。しかし、刺さった人の満足度が高いので、評判が消えない。評判が消えないから、移植や復刻で再び話題になる。そうして“名を残す”。 発売当時の宣伝も、おそらくはこの尖りを隠さずに出した方が強い。万人にウケると言うより、「こういうのが欲しかった人に刺さる」と言い切れる。結果として、作品は時代の中で埋もれず、シリーズの原点として語られ続ける立場を得た。

■ まとめ:宣伝の強みは“説明しやすい個性”と“機種横断の浸透”、評判の強みは“体験談として残る濃さ”

『殺人倶楽部(マーダークラブ)』の当時の人気・評判・宣伝をまとめると、派手な爆発力ではなく、個性の明確さで勝った作品と言える。捜査型ミステリーという説明しやすい核、複数機種展開による間口、刺さった人の熱量の高い体験談――これらが組み合わさって、静かに強い評判を形成した。地味で面倒と感じる人がいる一方、その地味さを“本格”として評価する人も確実にいる。その評価がシリーズの原動力になり、後年の再評価にも繋がっていく。つまり本作は、発売当時からすでに「一部に深く刺さって、長く残る」タイプの成功を手にしていた。

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【中古】刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~
4,380 円 (税込)
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【中古】ニンテンドーDSソフト 刑事J.B.ハロルドの事件簿 マンハッタン・レクイエム&キス・オブ・マーダー

【中古】ニンテンドーDSソフト 刑事J.B.ハロルドの事件簿 マンハッタン・レクイエム&キス・オブ・マーダー
12,500 円 (税込) 送料込
発売日 2008/11/27 メーカー フォンファン 型番 NTR-P-CJEJ JAN 4525642003036 関連商品はこちらから フォンファン 

【中古】ニンテンドーDSソフト 刑事J.B.ハロルドの事件簿 -殺人倶楽部-

【中古】ニンテンドーDSソフト 刑事J.B.ハロルドの事件簿 -殺人倶楽部-
3,500 円 (税込)
発売日 2008/02/21 メーカー フォンファン 型番 NTR-P-YVHJ JAN 4525642003005 関連商品はこちらから フォンファン 

【中古】【非常に良い】刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~ 6g7v4d0

【中古】【非常に良い】刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~ 6g7v4d0
7,480 円 (税込)
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【中古】 刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~

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4,480 円 (税込) 送料込
【状態】中古品(非常に良い)【メーカー名】fonfun【メーカー型番】13305881【ブランド名】fonfun掲載画像は全てイメージです。実際の商品とは色味等異なる場合がございますのでご了承ください。【 ご注文からお届けまで 】・ご注文 :ご注文は24時間受け付けております。..

【中古】刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~

【中古】刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~
2,674 円 (税込)
【商品状態など】中古品のため商品は多少のキズ・使用感がございます。画像はイメージです。記載がない限り帯・初回特典やメーカー特典などは付属致しません。プロダクト、ダウンロードコードは使用できません。万が一、品質不備があった場合は返金対応致します。(管理ラベ..

【中古】(未使用・未開封品) 刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~ sdt40b8

【中古】(未使用・未開封品) 刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~ sdt40b8
13,923 円 (税込)
未使用、未開封品ですが弊社で一般の方から買取しました中古品です。一点物で売り切れ終了です。(中古品)刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~【メーカー名】fonfun【メーカー型番】13305881【ブランド名】fonfun【商品説明】刑事J.B.ハロルドの事件簿 ~殺人倶楽部~当店で..
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