【製作】:ダックスインターナショナル、TBS
【アニメの放送期間】:1989年2月4日~1991年4月27日
【放送話数】:全110話
【放送局】:TBS系列
【関連会社】:童話舎
■ 概要・あらすじ
『まんがはじめて面白塾』とは――平成の始まりとともに登場した「はじめて物語」シリーズの新展開
『まんがはじめて面白塾』は、1989年2月4日から1991年4月27日までTBS系列で放送された子供向けの教養・アニメーション番組である。毎週土曜日の夕方17時30分から18時までという、子供が家庭でテレビを見やすい時間帯に編成され、身の回りにある物、習慣、技術、文化などについて、「いったいこれはいつ、どこで、どのように始まったのか」という素朴な疑問から、その歴史や仕組みを分かりやすく紹介していく内容になっていた。
本作は単独で誕生した番組というより、長期間にわたってTBS系で展開されてきた「まんがはじめて物語」系列の流れを受け継いだ作品として見ると、その特徴が非常に分かりやすい。シリーズでは、それまでにも身近な物事の起源や発明の歴史を実写とアニメーションを組み合わせながら説明するスタイルが続いており、『まんがはじめて面白塾』はその系譜に位置する第5作、そしてレギュラーシリーズとしては最終作となった番組である。制作を担当したのはダックスインターナショナルで、児童向けの教育性を備えた番組として厚生省中央児童福祉審議会の推薦番組にもなっていた。
ただし、『まんがはじめて面白塾』は過去の形式をそのまま再現しただけの作品ではない。1989年という時代に合わせ、それまでのシリーズより明るくポップで、テンポの良い番組へ変化させようとした点が大きな特徴だった。昭和から平成へ時代が切り替わった直後の作品ということもあり、番組全体からは「昔から続く教育番組を、新しい世代の子供たちにも親しみやすいものへ作り直そう」という試行錯誤が感じられる。
実写とアニメを組み合わせた「知りたい」が物語を動かす教養エンターテインメント
基本的なストーリーは非常にシンプルである。日常生活の中で、お姉さん役の女性が何気ない物や出来事に疑問を抱く。「これは昔からあったの?」「どうしてこんな形になったの?」「最初に考えた人は誰なの?」といった疑問が物語の出発点になり、その答えを探すため、不思議なマスコットキャラクターのゴン左衛門と一緒に過去の時代へ向かうのである。
つまり本作では、「事件を解決する」「敵を倒す」といった一般的なテレビアニメの目的ではなく、「知らないことを知る」ことそのものが冒険の目的になっている。現代では当たり前に使われている道具や食べ物、スポーツ、生活習慣などについて、その誕生した時代へさかのぼり、当時の人々がどのような工夫を重ねたのかをアニメーションによって体験する。この構成によって、教科書では数行で終わってしまいそうな知識も、一つの小さな冒険物語として楽しめるようになっていた。
番組は30分枠の中で複数の題材を扱う構成が中心で、ひとつひとつの話題を必要以上に難しく掘り下げるのではなく、子供が「なるほど」「そうだったのか」と感じられるところまで簡潔に整理して伝えていた。そのため、歴史番組ほど堅苦しくなく、純粋なアニメ作品ほどフィクションに偏っていない。この中間的な立ち位置こそが、「はじめて物語」シリーズならではの面白さだった。
ゴン左衛門とお姉さんが過去へ――「タイムトラベル」が難しい歴史を身近にする
物語上の大きな仕掛けとなっているのが、ゴン左衛門とお姉さんによる時間旅行である。何かについて疑問を抱いた二人は、説明を聞くだけではなく、実際にその物事が生まれた時代へ飛んでいく。この形式によって視聴者も二人と一緒に過去を訪れているような感覚で歴史を見ることができた。
例えば、現在では誰もが当然のように使っている物であっても、その原型が誕生した当時には画期的な発明だったかもしれない。また、一見すると単純な道具でも、完成するまでには失敗や改良が何度も繰り返されていることがある。本作では、そうした「完成品だけを見ていては気づかない歴史」をアニメーションによって再現し、発明や文化が一瞬で生まれたわけではないことを子供にも理解しやすく伝えていた。
ここが単なる雑学番組との大きな違いである。「○○は何年に発明されました」と答えだけを教えるのではなく、「なぜ必要だったのか」「昔の人は何に困っていたのか」「どのような発想によって改善されたのか」という過程を見ることで、知識に物語性が生まれている。視聴者はゴン左衛門たちと一緒に驚き、失敗を目撃し、ときには昔の暮らしの不便さに感心しながら自然に知識を覚えていくことができた。
前期のユカリン――従来とは違う活発でポップなお姉さん像
番組開始当初のお姉さん役を務めたのは森川由加里で、番組内では「ユカリン」と呼ばれていた。『まんがはじめて面白塾』前期を象徴する最大の特徴のひとつが、このユカリンのキャラクターである。
従来の児童向け教養番組に登場する女性進行役というと、優しく落ち着いた雰囲気で子供を導いていくタイプが想像されやすい。しかしユカリンは、そこからかなり離れた人物として描かれている。明るく元気で行動的、思ったことをストレートに口にし、ゴン左衛門と対等に言い合うような場面も見られる。好奇心が旺盛だからこそ次々と疑問を持ち、その勢いのまま歴史の世界へ飛び込んでいくのである。
このキャラクター作りによって前期の『面白塾』には、シリーズの過去作品とは少し異なる軽快さが生まれていた。教育番組の案内役というより、「一緒に面白いものを探しに行く元気なお姉さん」に近い存在であり、ゴン左衛門との会話もテンポよく進んでいく。番組タイトルに「面白塾」と付けられていることからも分かるように、学校の授業をそのままテレビ化するのではなく、「楽しんでいたら結果として勉強にもなっていた」という方向を強く目指していたと考えられる。
第35回からオリーブへ――番組の空気を変えた大きなリニューアル
1989年10月7日放送の第35回からは、お姉さん役が森川由加里から貴本亜莉紗へ交代する。貴本が演じるお姉さんには「オリーブ」という愛称が付けられ、ここから番組の雰囲気にも変化が現れる。
ユカリンが元気で歯切れのよい現代的なキャラクターだったのに対し、オリーブはどこか親しみやすく、柔らかな雰囲気を持った人物として番組になじんでいった。ゴン左衛門とのコンビネーションも改められ、二人で声を合わせて時間旅行へ向かう演出など、子供が覚えやすい定番のパターンが強調されていく。
この途中交代は、『まんがはじめて面白塾』という番組を語るうえで非常に重要である。前半と後半では司会役の個性が大きく異なるため、同じタイトルの番組でありながら二つの時期でかなり印象が違うからだ。前半は新しい「はじめて物語」を作ろうとする勢いが強く、後半は歴代シリーズで親しまれてきた安心感や親しみやすさを意識した方向へ少し戻っていったように見える。
「昔を知ることで今が見えてくる」という番組の基本テーマ
『まんがはじめて面白塾』で扱われる題材の魅力は、必ずしも歴史上の大事件ばかりではないところにある。むしろ、普段の暮らしの中にある「当たり前」を題材にすることこそ、このシリーズの本領だった。
毎日のように使っている道具、何気なく口にしている食品、普段遊んでいる遊びやスポーツ、街で見かける施設などにも、それぞれ最初の形や誕生した理由がある。本作では、そうした身近なテーマの過去をたどることで、「現在の生活は昔から完成していたわけではない」ということを伝えていく。
この考え方は、子供向け番組でありながら大人が見ても興味深い。便利な現代生活の背景には、多くの発明家や職人、研究者、さらには名前の残っていない無数の人々の工夫が積み重なっている。子供のころには単純に「へえ、そうなんだ」と楽しめた内容でも、大人になって見直すと、文化史や生活史を扱った番組として意外なほど奥深い部分が見えてくる。
13年近く続いたシリーズを締めくくった作品としての意味
『まんがはじめて物語』から続いてきた一連のシリーズは、形を変えながら長期間にわたり放送された。『まんがはじめて面白塾』はその最後に位置する作品となり、1991年4月27日にレギュラー放送を終了した。
興味深いのは、最終回が「長いシリーズの歴史を盛大に振り返る」という形式ではなかった点である。番組自体の終了は示されたものの、十年以上に及ぶシリーズ全体がこれで終わることを大々的に宣言するような最終回ではなかった。そのため当時の視聴者の中には、普通の番組改編として終わったように感じた人もいただろう。
しかし後から振り返ると、この作品の終了は日本の子供向けテレビ番組史のひとつの区切りだったことが分かる。インターネット検索どころか家庭用パソコンで簡単に情報を調べることも一般的ではなかった時代、テレビは子供にとって「知らなかった世界」を見せてくれる非常に大きな窓だった。『まんがはじめて面白塾』は、そのテレビという媒体を活用し、娯楽と教育を結びつけた番組だったのである。
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■ 登場キャラクターについて
ユカリン/森川由加里――元気の良さでシリーズのイメージを大きく変えた初代お姉さん
『まんがはじめて面白塾』の放送開始から第34回まで中心人物として登場したのが、森川由加里が演じる「ユカリン」である。それまでの「まんがはじめて」シリーズにも、視聴者と同じ目線で疑問を持ち、マスコットキャラクターと一緒に物事の由来を調べるお姉さんが登場していたが、ユカリンは従来のイメージとはかなり異なるタイプとして作られていた。
優しく穏やかに子供たちを導くというより、とにかく元気で行動力があり、思ったことをすぐ口に出す。時にはゴン左衛門と遠慮なく言い合いをするなど、教育番組の進行役という枠に収まらない活発さが大きな特徴だった。
好奇心の強さについては歴代のお姉さん役と共通している。身近な道具や食べ物、習慣などを見て「これはどうしてこうなったんだろう」「最初に考えた人は誰なんだろう」と疑問を持つことが、毎回の物語を始めるきっかけになっている。しかしユカリンの場合、その疑問の持ち方が非常に勢いにあふれている。何かが気になれば、じっくり考え込むより先に「じゃあ調べに行こう」という方向へ進んでいくため、ゴン左衛門との歴史探訪にも軽快なテンポが生まれていた。
性格は男勝りでさっぱりしており、ときには口調も強めになる。それをゴン左衛門から注意されたり、逆にゴン左衛門へ突っ込みを入れたりするやり取りも前期の見どころだった。二人は「先生と生徒」という関係ではなく、どちらかというと気の合う友達や凸凹コンビに近い。
また、活発なユカリンにも弱点があり、高い場所を苦手としているという一面が設定されていた。いつも怖いもの知らずに見える人物が意外なところで怖がるというギャップは、キャラクターを身近に感じさせるポイントである。
森川由加里本人が前期のオープニングテーマ「あなたらしく」、エンディングテーマ「DEAR FRIEND」も担当しているため、前期の『まんがはじめて面白塾』はユカリンのキャラクターと音楽が強く結び付いていた。
オリーブ/貴本亜莉紗――眼鏡と独特の髪形が印象的な後期のお姉さん
1989年10月7日に放送された第35回からユカリンに代わって登場したのが、貴本亜莉紗が演じる「オリーブ」である。以降、1991年4月27日の最終回までゴン左衛門のパートナーを務め、『まんがはじめて面白塾』後期の顔となった。
オリーブを初めて見て最も印象に残りやすいのは眼鏡である。「はじめて物語」シリーズのお姉さん役の中でも珍しいビジュアルで、ユカリンとは一目で区別できる。さらに、多くの回で左右に大きくまとめた特徴的な髪形をしており、そのシルエットも強い個性となっていた。
性格は好奇心旺盛というシリーズのお姉さん役に共通する要素を受け継ぎながら、ユカリンほど攻撃的・活動的な方向には寄せられていない。どちらかというと親しみやすく、素直に驚きながらゴン左衛門と一緒に知識を身につけていく人物である。また、お婆ちゃん子として描かれる部分もあり、昔の暮らしや生活文化を扱う本作との相性も良かった。
オリーブ期になると、ゴン左衛門との決まった掛け声によるワープ演出が印象的になり、コンビとしての一体感も強まった。毎週同じお約束があることによって、小さな子供にも「ここから過去への冒険が始まる」と理解しやすい構成になっていた。
ゴン左衛門/声・伊東みやこ――モグタン系とは異なる新世代のマスコット
『まんがはじめて面白塾』で最も作品独自のキャラクターといえるのが「ゴン左衛門」である。声を担当したのは伊東みやこ。黄色系の体、頭部の毛、牙、尻尾などを持つ小さな怪獣のような姿をしており、何より右側の額に貼られた絆創膏が非常に分かりやすい特徴となっている。
以前の「まんがはじめて」シリーズを知っている視聴者にとって、ゴン左衛門の登場はかなり大きな変化だった。初期シリーズを象徴するマスコットといえばモグタンであり、その後もモグタンを意識した系統のキャラクターが使われていたが、ゴン左衛門はそこからデザインの方向性を大きく変えている。
役割としては、お姉さんと一緒に疑問を解決する相棒であると同時に、時間旅行を可能にする物語上の重要人物でもある。つまりゴン左衛門がいなければ、ユカリンやオリーブは過去の世界へ簡単に足を運ぶことができない。かわいいマスコットでありながら、番組の「現在から過去へ飛んで物事の起源を調べる」という基本構造を成立させる存在でもあった。
ユカリンと組んでいたころには、比較的さっぱりとした性格で気の強いユカリンと対等にやり取りし、時間旅行ではカラフルな傘を使った演出も見られた。オリーブ期になると、二人一緒の決め台詞によるワープが前面に出され、よりコンビとしてのまとまりが強調される。
ナレーター/桝井論平――にぎやかな二人を支えた落ち着いた案内役
ユカリン、オリーブ、ゴン左衛門というキャラクターの掛け合いとは別に、番組を情報面から支えたのがナレーターである。担当した桝井論平は当時TBSのアナウンサーで、物語の状況や歴史上の情報を視聴者へ分かりやすく伝える役目を果たしていた。
『まんがはじめて面白塾』では、キャラクターが驚いたり笑ったりするだけでは教育番組として必要な情報を十分に整理できない。そのため、重要な年代、発明の背景、社会状況などをナレーションで補足することによって、娯楽性と分かりやすさを両立させている。
二人のお姉さんとゴン左衛門が作った「二つの面白塾」
『まんがはじめて面白塾』の登場人物を振り返ると、途中で主人公のお姉さんが交代したことによって、一作品の中に二つのカラーが生まれていることが分かる。
ユカリン期には、森川由加里の元気な個性を前面に出した1980年代末らしい明るさと勢いがある。一方、オリーブ期は奇抜さを少し抑え、好奇心旺盛なお姉さんとかわいいマスコットが一緒に過去を旅するというシリーズ伝統の安心感が強くなっている。
どちらが優れているというより、この違いこそが『まんがはじめて面白塾』の面白いところである。そして二人に共通しているのは、「知らないものを面白がる」という姿勢だった。性格も見た目も違う二人だが、子供の「どうして?」を大切にする精神は最後まで変わらなかったのである。
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■ 主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
音楽面でも前期と後期で大きく印象が変わる『まんがはじめて面白塾』
『まんがはじめて面白塾』の音楽を振り返るうえで最も重要なのは、お姉さん役がユカリンからオリーブへ交代した第35回を境として、オープニングテーマとエンディングテーマもまとめて変更されていることである。第1回から第34回までは森川由加里が歌う「あなたらしく」と「DEAR FRIEND」、第35回以降は女性グループ・BANANAによる「知らないおばけはでてこない」と「がんばれ!」が使用された。
この変更によって番組の音楽的なカラーもかなり異なるものになった。森川由加里時代の楽曲は、当時のポップスとして単独で聴いても成立する大人びた雰囲気を持っており、子供向け教養番組だからといって極端に幼児向けへ寄せていない。一方、オリーブ期のBANANAによる楽曲は親しみやすく、明るくユーモラスで、子供が一度聴けば覚えやすい方向へ変化している。
前期オープニングテーマ「あなたらしく」
第1回から第34回までオープニングテーマとして使用されたのが、森川由加里の「あなたらしく」である。作詞は森浩美、作曲は高槻真裕、編曲は森村献が担当している。
森川由加里本人が番組のお姉さん「ユカリン」として出演していたため、主役自身がオープニングを歌っているという非常に分かりやすい構成になっている。ユカリンの元気で行動的な性格と、森川由加里の力強い歌声がよく似合っており、番組開始直後から「これまでの『はじめて物語』とは少し違う」と感じさせる役割を果たしていた。
楽曲は単純に明るいだけの児童向けソングではなく、1980年代末のポップスらしい華やかさと力強さを持っている。タイトルの「あなたらしく」が示すように、自分自身を肯定しながら前へ進むような雰囲気もあり、未知の世界へ興味を持って飛び込んでいくユカリンに似合った楽曲だった。
前期エンディングテーマ「DEAR FRIEND」
前期エンディングテーマは、同じく森川由加里が歌う「DEAR FRIEND」。作詞は森浩美、作曲・編曲は森村献が担当した。
オープニングの「あなたらしく」が番組開始時の勢いを作る役割だとすれば、「DEAR FRIEND」は30分の冒険を終えた後に気持ちを落ち着かせる役割を持つ楽曲だった。前者で元気に始まり、後者で柔らかく締めるという組み合わせによって、森川由加里期の音楽には一つのまとまりが生まれていた。
後期オープニングテーマ「知らないおばけはでてこない」
第35回から使用された後期オープニングテーマが、BANANAによる「知らないおばけはでてこない」である。作詞表記はL. Russell Brown、訳詞は秋元康、作曲はIrwin Levine、編曲は鶴由雄。海外で広く知られた楽曲のメロディーを基礎に、日本語の番組主題歌として仕上げた楽曲である。
タイトル自体が『まんがはじめて面白塾』のテーマによく合っている。「知らないもの」は子供にとって不安や怖さを感じさせることがある。しかし、実際に調べて正体を知れば、それほど怖いものではなくなる。本作では毎回、未知のものを知識によって身近なものへ変えていたため、この曲は後期の番組精神を象徴する一曲といえる。
後期エンディングテーマ「がんばれ!」
第35回以降のエンディングテーマとして使われたのが、BANANAによる「がんばれ!」である。海外由来の親しみやすいメロディーを日本語の児童向け番組に合わせた一曲で、タイトルの通り前向きな応援歌としての性格を持っていた。
『まんがはじめて面白塾』で紹介される発明や文化の歴史には、失敗と試行錯誤が付きものである。そうした物語を見た後に「がんばれ!」という楽曲が流れることで、昔の人々の努力と視聴者自身の挑戦が自然につながっていく。
劇伴・BGM――歴史の世界と現代をつなぐ音楽
番組の劇伴音楽は伊部晴美が担当した。実写パート、ゴン左衛門とのコミカルな掛け合い、時間旅行、歴史再現アニメなど、番組内では多様な場面が展開するため、BGMは場面転換や雰囲気づくりに重要な役割を果たしていた。
本作は毎回テーマが変化するため、ある回では昔のヨーロッパへ、ある回では昔の日本へ、別の回では科学技術やスポーツの世界へ向かう。劇伴はそうした異なる世界を視聴者に分かりやすく伝えるための重要な要素だった。
挿入歌・キャラクターソング・イメージソングについて
現在確認できる主要資料を見る限り、『まんがはじめて面白塾』には現代のアニメで一般的なような、大規模なキャラクターソングシリーズは確認しにくい。また、ゴン左衛門やオリーブの単独キャラクターソング、番組専用イメージアルバムなどの大規模展開についても確実な記録は非常に少ない。
したがって本作の音楽は、前後期4曲の主題歌と伊部晴美による劇伴を中心に考えるのが分かりやすい。ただし森川由加里本人がユカリン役として出演しながら前期主題歌を歌っているため、「あなたらしく」「DEAR FRIEND」は厳密なキャラクターソングではないものの、ユカリンのイメージソングに近い役割も果たしていたと考えられる。
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■ 魅力・好きなところ
「勉強している」と感じさせずに知識が身につくところが最大の魅力
『まんがはじめて面白塾』の最大の魅力は、子供に何かを教える番組でありながら、学校の授業をそのままテレビへ持ち込んだような堅苦しさがほとんどないところである。番組の中心にあるのは「これはいつからあるの?」「誰が考えたの?」「昔はどんな形だったの?」という非常に素朴な疑問であり、そこからユカリンやオリーブとゴン左衛門が時間をさかのぼって物事のルーツを探していく。
最初に答えを提示して暗記させるのではなく、疑問を持ち、過去へ行き、その時代の人々がどのように考え、工夫し、現在につながるものを作っていったのかを物語として見せる。そのため、子供は「今日は歴史を勉強しよう」と身構えなくても、アニメやキャラクターのやり取りを楽しんでいるうちに自然と知識へ触れられた。
個人的に特に好きなのは、子供の「どうして?」を決してくだらない疑問として扱わないところである。大人にとって当たり前のことでも、子供にとっては未知の世界である。本作では、その「知らない」という状態そのものが冒険の出発点になる。
実写とアニメーションを行き来する構成が生み出す独特のワクワク感
『まんがはじめて面白塾』は一般的なテレビアニメとは少し異なり、実写パートとアニメーションパートを組み合わせている。この形式が番組ならではの大きな魅力になっている。
物語の最初は現代の世界で始まり、ユカリンやオリーブが身近な物事に疑問を持つ。そしてゴン左衛門の力によって時間旅行を開始すると、視聴者も現在から過去へ一緒に移動したような感覚になる。
アニメーションになることで、何百年も前の出来事や海外の歴史、発明の過程など、実写で再現すれば大掛かりになる題材も自由に描くことができた。「テレビを見ながら小さな社会科見学へ出かける」ような楽しさが、本作独自の魅力だった。
ゴン左衛門の存在――教育番組を楽しい冒険番組へ変えた名マスコット
ゴン左衛門は右の額に絆創膏を貼った独特の姿をしており、少し生意気そうでもあり、同時にかわいらしくもある。「ゴン左衛門」という古風な名前も強烈で、一度知れば忘れにくい。
優れているのは、単なる解説係になっていないことである。何でも知っている博士キャラクターが一方的に説明するのではなく、ユカリンやオリーブと会話し、時には言い合いをし、一緒に過去へ向かう相棒として存在している。そのため番組が「先生から授業を受ける時間」にならず、「友達と秘密を調べに行く時間」のように感じられる。
ユカリン期の魅力――従来シリーズを大胆に変えたポップな勢い
前期最大の魅力は、森川由加里演じるユカリンの強烈な個性である。歴代シリーズのお姉さん役と比べても元気で、男勝りで、言いたいことをはっきり言う。
教育番組のお姉さんという既成概念から良い意味ではみ出しており、1980年代末らしいポップな衣装や主題歌も含めて、番組全体に新鮮な空気を与えていた。
また、高所恐怖症という弱点も親しみやすい。普段は勢いがあるのに、苦手なものの前では普通に怖がる。そのギャップが単なる進行役ではなく、一人のキャラクターとしての魅力につながっている。
オリーブ期の魅力――安心して見られる親しみやすいコンビ
第35回から登場するオリーブは、ユカリンとはかなり違った魅力を持っている。眼鏡と特徴的な髪形によって一目で覚えられる個性を持ちながら、性格そのものは柔らかく、ゴン左衛門と一緒に素直に物事へ興味を示していく。
ユカリン期の魅力が「勢い」だとすれば、オリーブ期の魅力は「親しみやすさ」である。二人で決め台詞を言って時間旅行へ向かう構成は、子供にも番組の流れが分かりやすく、毎週繰り返されることで安心感が生まれた。
「ワープ」が始まる瞬間――子供心を刺激する印象的な場面
ユカリン時代にはカラフルな傘を使ったワープ演出があり、日常の世界から不思議な歴史世界へ移動する境界線として機能していた。普通なら雨の日に使う傘がタイムワープの道具になるという発想自体、子供にとって楽しい。
オリーブ期では「ゴンと、オリーブの、ワープでジャンプ!」という覚えやすい掛け声が使われ、さらに番組のお約束として定着した。
こうした決まった場面は、変身ヒーローや魔法少女作品の変身シーンと同じように、「これから冒険が始まる」という高揚感を生み出していた。
扱うテーマが幅広く、毎回違う世界を楽しめる
本作では、乗り物、スポーツ、食べ物、楽器、生活用品、社会の仕組みなど、身近なあらゆる物事がテーマになり得る。
現在の形だけを知っている子供にとって、昔の姿はそれだけで新鮮であり、「最初はこんな形だったのか」「こんな不便な時代があったのか」という驚きが毎回用意されていた。
一話完結型のため、前週を見逃しても問題なく楽しめる。この見やすさも土曜夕方の番組として大きな強みだった。
最終回――大げさな別れをしなかったからこその独特な余韻
1991年4月27日の最終回では、長年続いたシリーズの歴史を盛大に振り返るようなフィナーレは行われなかった。ゴン左衛門とオリーブが番組終了を知らせる形で比較的淡々と締めくくられ、シリーズ全体の終了を強く宣言する演出でもなかった。
現在見ると少しあっさりした印象を受ける一方、それも当時のテレビ番組らしい。毎週そこにあるのが当たり前だった番組が静かに終わり、後になって「あれが最後だったのか」と気付く。その感覚も含めて強い懐かしさにつながっている。
個人的に一番好きなところ――「知らない」を楽しいものとして描いていること
『まんがはじめて面白塾』で最も好きなところを一つ挙げるなら、「知らない」ということを決して恥ずかしいものとして描かないところである。
ユカリンもオリーブも、知らないから疑問を持つ。そして疑問があるからゴン左衛門と過去へ行く。もし最初から何でも知っていたら、この番組の冒険は一つも始まらない。
つまり『まんがはじめて面白塾』の世界では、「分からない」という状態こそ新しい世界への入口なのである。子供に「勉強しなさい」と押しつけるのではなく、「世の中には面白いことがたくさんある」と見せる。これこそ本作の大きな魅力である。
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■ 感想・評判・口コミ
長年のシリーズファンほど評価が分かれやすかった作品
『まんがはじめて面白塾』について後年の感想や回想を見ていくと、単純に「面白かった」「つまらなかった」という二つに分けられる作品ではない。特に『まんがはじめて物語』から続くシリーズを長年見ていた視聴者と、本作を入口に初めてシリーズへ触れた視聴者では、受け止め方がかなり違ったと考えられる。
長年のシリーズファンにとって大きかったのは、番組開始当初の大胆な路線変更である。森川由加里を迎え、従来の穏やかな案内役とは異なる元気なユカリンを前面に出し、マスコットもゴン左衛門へ変更された。
こうした刷新については「新鮮だった」「テンポが良かった」と評価できる一方、過去シリーズの空気を愛していた視聴者からすると、「いつもの『はじめて物語』とは違う」という違和感にもなった。
長寿シリーズには、視聴者それぞれの中に「こういう作品であってほしい」というイメージが出来上がっている。それを守れば新鮮味がなくなり、変えれば古くからのファンが戸惑う。『まんがはじめて面白塾』は、その難しい局面で大胆な刷新に挑戦した作品だった。
ユカリンを「元気で面白い」と感じた人と、従来との違いに戸惑った人
森川由加里演じるユカリンに対する印象は、本作の評価を考えるうえで非常に重要である。
好意的に見ると、教育番組のお姉さんらしくないところがむしろ魅力になる。ゴン左衛門と遠慮なく言い合い、驚けば大きく反応し、気になることがあれば勢いよく調べに行く。そのため番組全体が明るく、バラエティ番組のような軽快さを持っていた。
一方、シリーズの過去作品を好きだった人には、その勢いの強さが「以前と違いすぎる」と映ることもあった。つまりユカリンへの評価の違いは、本人の良し悪しというより、視聴者が「はじめて物語」に何を求めていたかの違いだったとも考えられる。
オリーブへの交代を原点回帰と感じた視聴者
第35回から貴本亜莉紗演じるオリーブへお姉さん役が交代すると、番組の雰囲気も変化した。
眼鏡と特徴的な髪形を持つオリーブは外見こそ個性的だったが、ゴン左衛門との関係や番組進行はユカリン期よりも従来シリーズに近い親しみやすさを持っていた。
そのため、過去シリーズから見続けていた人には「昔の雰囲気に少し戻った」と感じられた可能性がある。ゴン左衛門との決め台詞によるワープなど、毎週同じ流れを楽しめる児童番組らしい安心感も増した。
ゴン左衛門は現在でも記憶に残りやすいキャラクター
ゴン左衛門については、番組終了後かなりの年月が経っても、名前や特徴的な外見を覚えている人がいる。
黄色い体、牙や尻尾、そして何より右の額に貼った絆創膏というデザインは非常に分かりやすい。かわいいだけのマスコットではなく、特にユカリン期では遠慮のない掛け合いによって笑いを作る存在でもあった。
ユカリン、オリーブという二人のお姉さんが交代しても番組の顔として残り続けた点から見ても、『まんがはじめて面白塾』を象徴するキャラクターだったといえる。
「内容を忘れていても主題歌は覚えている」という懐かしさ
昔のテレビ番組には、「どんな回を見たかは思い出せないのに、主題歌だけは覚えている」ということがよくある。『まんがはじめて面白塾』もそのような作品の一つである。
前期の森川由加里による「あなたらしく」と「DEAR FRIEND」は、一般的な幼児向け番組ソングとは違い、1980年代末のポップスとしても成立する雰囲気を持っていた。
後期の「知らないおばけはでてこない」や「がんばれ!」も耳に残りやすく、オリーブとゴン左衛門の時代を象徴する曲として記憶されている。
昔テレビで聴いたメロディーを何十年かぶりに耳にすると、当時住んでいた家やテレビのある部屋、土曜日の夕方の空気まで一緒によみがえることがある。本作の主題歌には、そうした懐かしさを呼び起こす力がある。
「勉強番組なのに面白かった」という評価こそ最大の功績
本作が持つ最も大きな価値は、「知識を物語へ変えた」ことである。
自転車、楽器、食べ物、生活用品などの歴史を授業として説明されれば堅く感じる。しかし、ゴン左衛門とお姉さんが実際にその時代へ向かい、昔の人の失敗や工夫を見ることで、それは冒険物語へ変わる。
勉強と娯楽を完全に分離せず、「面白いから見ていたら、いつの間にか知識も身についていた」という形を作ったことは、シリーズ全体の大きな功績だった。
視聴率面では苦戦――作品の良さと番組としての成功は同じではなかった
『まんがはじめて面白塾』は、シリーズ末期作品として視聴率面では苦戦したとされる。ユカリンからオリーブへの交代を含む路線調整を行いながらも、最終的に長く続いたシリーズは1991年で終了した。
しかし、これは単純に「内容が悪かったから」と考えるべきではないだろう。1989年から1991年にかけてはテレビアニメや家庭用ゲーム機など子供向け娯楽の種類が急速に増えていた。
子供が選べるコンテンツが増えれば、1970年代から続く教育シリーズが以前と同じ存在感を保つことは難しくなる。その意味で本作の終了は、一作品の問題だけではなく、子供向けテレビ文化そのものが変化していた時代の出来事でもあった。
現在の評価では「懐かしい」「もう一度見たい」という声が中心
現在『まんがはじめて面白塾』について語られる場合、厳密な作品採点より、「懐かしい」「子供のころ見ていた」「ゴン左衛門を覚えている」「主題歌をもう一度聴きたい」といった記憶に結び付いた感想が中心となりやすい。
当時子供だった視聴者はすでに大人になっており、作品への評価と自分の子供時代への思い出が重なっている。
また、いつでも全話を気軽に視聴できる作品ではないからこそ、「もう一度きちんと見直したい」という気持ちも強くなる。記憶の中に断片しか残っていないからこそ、ゴン左衛門や主題歌に再会したときに強い懐かしさを感じるのである。
総合的な感想――失敗作ではなく「最後まで変化しようとした作品」
『まんがはじめて面白塾』を後世から評価するとき、視聴率が苦戦し、結果的にシリーズ最終作となったという事実だけを見ると、「人気を失って終了した番組」と単純に整理されやすい。しかし実際に内容を振り返ると、それだけでは作品の面白さを十分に説明できない。
ユカリンという従来とは異なるお姉さん像を採用し、モグタン系とは違うゴン左衛門を作り、音楽にも1980年代末らしいポップさを取り入れる。そして途中からオリーブへ交代し、シリーズ本来の親しみやすさへ調整する。
成功した部分もあれば、視聴者に受け入れられにくかった部分もあっただろう。しかし何も変えずに終わったのではなく、「次の時代の子供たちには何が面白いのか」を最後まで模索していた作品だった。
そしてお姉さんが変わっても、主題歌が変わっても、「知らないことを面白がる」というシリーズの根本だけは失わなかった。その姿勢こそ、『まんがはじめて面白塾』を現在改めて振り返る価値なのである。
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■ 関連商品のまとめ
数が少ないからこそ探す面白さがある『まんがはじめて面白塾』関連商品
『まんがはじめて面白塾』の関連商品を現在の視点から調べると、人気テレビアニメのようにDVD-BOX、Blu-ray BOX、フィギュア、アクリルスタンド、ゲーム、食玩などが大量に展開された作品とは大きく事情が異なる。
1989年から1991年という放送時期に加え、本作が純粋なキャラクターアニメではなく、実写とアニメを組み合わせた児童向け教養番組だったこともあり、現在一般的な「アニメグッズ」の商品展開はかなり限定的だった。
しかし商品が存在しなかったわけではない。主題歌を収録した8cm CD、番組内容をもとに構成された学習漫画、教育用途の映像資料などが確認されている。現在では長期間再生産されていないものが多く、番組ファンには興味深いコレクターズアイテムとなっている。
映像関連――DVD・Blu-rayよりも当時のビデオ資料が中心
2026年現在、『まんがはじめて面白塾』全話を収録した一般販売の完全版DVD-BOXやBlu-ray BOXは、広く流通している状況ではない。
ここでは『まんがはじめて物語』などシリーズの別作品と混同しないよう注意が必要である。初期作品に映像ソフト化の記録が存在していても、それがそのまま『まんがはじめて面白塾』の全話商品化を意味するわけではない。
一方で教育利用を目的としたビデオ資料などの存在は確認できる。現在本編をまとめて見返すことが簡単ではないだけに、将来的な完全版映像ソフト化を望みたくなる作品である。
もし全話BOXが実現するなら、ユカリン期とオリーブ期を完全収録し、当時のオープニング、エンディング、番組資料、出演者インタビュー、設定画などを加えれば、児童番組史の資料としても大きな価値を持つだろう。
森川由加里「あなたらしく/DEAR FRIEND」
音楽関連商品の中でまず注目したいのが、森川由加里のシングル「あなたらしく」である。1989年3月1日に発売され、表題曲「あなたらしく」が前期オープニングテーマ、カップリングの「DEAR FRIEND」が前期エンディングテーマとして使用された。
現在ではほとんど見かけなくなった8cm CDシングルであり、パッケージそのものから平成初期の音楽文化を感じることができる。
森川由加里のファンにとっては代表曲とは異なる一面を楽しめるシングルであり、『まんがはじめて面白塾』のファンにはユカリン期の空気を思い出させてくれる重要なアイテムである。
中古市場では盤面だけでなく、短冊形ジャケットや外装の保存状態によって価値が変わる。8cm CDはケースが折られたり、通常サイズのケースへ交換されていたりすることもあるため、コレクション目的なら付属品や保存状態にも注目したい。
BANANA「知らないおばけはでてこない/がんばれ!」
関連商品の中でも希少性が高いのが、BANANAによる後期主題歌の8cm CDである。
1989年11月1日に日本コロムビアから発売され、後期オープニングテーマ「知らないおばけはでてこない」と、後期エンディングテーマ「がんばれ!」を収録している。
現在は廃盤であり、中古専門店やフリマ市場でも常時多数が流通する商品ではない。出品例によっては1万円を超える価格が提示されることもあり、一般的な中古8cm CDと比べてもかなり希少な部類に入る。
ただし中古市場では出品価格と実際の成約価格が同じとは限らないため、「必ずその価格で売買される」と考えるのではなく、希少性の目安として見るのが適切である。
番組ファン、1980年代末のテレビ主題歌コレクター、8cm CD収集家など複数の需要が重なっていることも、現在の希少性につながっていると考えられる。
書籍――「テレビランド・わんぱっく学習百科」の『まんがはじめて面白塾』
書籍関連では、徳間書店から「テレビランド・わんぱっく学習百科」の『まんがはじめて面白塾』が刊行されている。
テレビ番組で紹介された知識を、家庭で漫画として読み返せる学習書という位置づけで、複数巻が発売された。中古市場では1巻から4巻までをまとめたセットとして扱われる例もある。
この書籍シリーズは番組の内容と非常に相性が良い。テレビ放送は一度見れば終わってしまうが、漫画なら何度でもページを開いて読み返すことができるためである。
児童向け学習本は実際に子供が使ったものが多く、現存品には日焼け、破れ、書き込み、記名、シール跡などが見られる場合がある。そのため全巻がそろい、保存状態も良いものはコレクションとして価値が高くなる可能性がある。
台本・シナリオなどの制作資料
一般販売された関連商品とは異なるが、番組制作で使用されたシナリオや原稿などの資料も残されている。
こうした資料は玩具やCDとは性格が異なるものの、番組研究という意味では非常に重要である。完成した放送だけでは分からない企画段階の構成、仮題、脚本上の表現などを知る手掛かりになるためである。
将来的に資料集や映像BOXが発売される場合には、こうしたシナリオや設定資料を特典として収録してほしいところである。
玩具・フィギュア――ゴン左衛門の商品化を期待したくなる分野
ゴン左衛門は、額の絆創膏や黄色系の体、尻尾など特徴が明確で、現在の感覚なら非常に商品化しやすそうなマスコットである。
しかし、一般販売された代表的なゴン左衛門のフィギュア、ソフビ、ぬいぐるみなどは、現在確認できる商品記録が非常に少ない。
1989年前後の児童向け教養番組では、現在のアニメ作品のようにマスコットが必ず大量の商品へ展開される時代ではなかった。
もし現在復刻企画が行われるなら、額の絆創膏まで忠実に再現したゴン左衛門のぬいぐるみやソフビは、当時の視聴者にかなり魅力的な商品になるだろう。
ゲーム・ボードゲーム・文房具・食品などについて
家庭用ゲーム、パソコンゲーム、ボードゲーム、文房具、食玩、お菓子などについては、『まんがはじめて面白塾』専用として広く知られた代表商品は確認しにくい。
本作はスポンサー玩具を販売することを大きな目的としたロボットアニメや変身ヒーロー作品ではなく、物事の由来を紹介する教育番組である。そのため商品展開の中心が学習書籍や主題歌音源になったのは自然だったと考えられる。
ただし現代であれば、ゴン左衛門とオリーブが過去を旅し、歴史や発明に関するクイズへ挑戦する教育ゲームなどは十分成立しそうであり、当時ゲーム展開が大きく行われなかったことは少し惜しく感じられる。
現在の中古市場――主題歌CDと学習書籍が中心
2026年現在の中古市場で比較的見つけやすい関連商品は音楽CDである。
森川由加里の「あなたらしく/DEAR FRIEND」と、BANANAの「知らないおばけはでてこない/がんばれ!」は代表的な収集対象である。特にBANANA盤は希少性が高く、プレミア価格で出品される例もある。
書籍については出品のタイミングによる差が大きく、単巻だけでなく全巻セットが見つかった場合は貴重である。
映像資料はさらに難易度が高く、現在一般流通している完全版DVDやBlu-rayを簡単に購入できる作品ではない。このことがかえって「もう一度全編を見たい」というファンの思いを強くしている。
中古商品を探すときはシリーズ別作品との混同に注意
中古市場で商品を探す場合には、『まんがはじめて物語』『まんがどうして物語』『まんがなるほど物語』など、同じシリーズの別作品との混同に注意したい。
「まんがはじめて」だけで検索すると別作品の商品が多数表示されることがあるため、「まんがはじめて面白塾」「ゴン左衛門」「森川由加里」「BANANA」「知らないおばけはでてこない」など、固有名詞を組み合わせると探しやすい。
特に映像ソフトについては、『まんがはじめて物語』の商品を『まんがはじめて面白塾』のDVDだと誤認しないよう、タイトルをよく確認しておきたい。
関連商品から見えてくる『まんがはじめて面白塾』の現在価値
『まんがはじめて面白塾』の関連商品は、現代の人気アニメと比べれば決して多くない。しかし、それが逆に作品の時代性をよく表している。
1989年当時は、テレビ番組なら必ず大量のキャラクターグッズが販売されるという状況ではなかった。まして本作は、商品販売を前提としたキャラクター番組ではなく、子供へ知識と好奇心を届けることを中心にした作品である。
だからこそ、現在残されている主題歌CDや学習漫画には単なる中古品以上の意味がある。8cm CDのジャケットを見れば土曜日の夕方にテレビを見ていた時代を思い出し、学習漫画を開けば「どうして?」を追いかけていた子供時代の感覚がよみがえる。
商品数は少ない。しかし少ないからこそ、一つ見つけたときの喜びが大きい。現在のオークションやフリマ市場における『まんがはじめて面白塾』は、忘れられかけた平成初期のテレビ番組の記憶を、一点ずつ集めていく楽しさを味わえる作品なのである。
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