【原作】:渡辺多恵子
【アニメの放送期間】:1986年10月6日~1987年3月30日
【放送話数】:全26話
【放送局】:テレビ東京系列
【関連会社】:ナック、サンシャインコーポレーション・オブ・ジャパン、IVS音楽出版
■ 概要・あらすじ
カリフォルニアを舞台に描かれる、少し変わっていて温かなホームコメディ
『Oh!ファミリー』は、1986年10月6日から1987年3月30日までテレビ東京系列で放送されたテレビアニメで、渡辺多恵子による漫画『ファミリー!』を原作として制作されたホームコメディ作品である。原作漫画は小学館の『別冊少女コミック』で1981年7月号から1985年9月号まで連載され、少女漫画という枠組みの中に家族愛、友情、恋愛、思春期の悩み、人間関係のすれ違いなど多彩なテーマを盛り込みながら人気を集めた。その世界観をテレビアニメとして再構成したのが『Oh!ファミリー』であり、毎週月曜日19時30分から20時まで放送された。舞台となるのは日本ではなく、陽光あふれるアメリカ・カリフォルニア。そこに暮らすアンダーソン一家の日常を軸に、一見すると明るくにぎやかな家族ドラマでありながら、登場人物それぞれの恋愛観や価値観まで踏み込んで描いているところに本作ならではの個性がある。1980年代の日本製テレビアニメとしては海外生活そのものを物語の基本環境に据えている点も特徴的で、広い住宅、開放的な街並み、学校生活、友人との付き合い方などが、日本の日常ものとは異なる空気を作品にもたらしている。単純に外国を舞台にした華やかな物語に終わらず、その環境だからこそ成立する自由な人間関係や、それぞれの個性を尊重する登場人物たちの姿が物語の根幹になっている。
アンダーソン家を突然揺さぶった、小さな訪問者ジョナサン
物語の中心となるアンダーソン家は、父ウィルフレッド、母シェレン、長男ケイ、長女フィー、次女トレーシーという家族構成で暮らしている。家族それぞれの性格は驚くほど異なっているものの、基本的には互いを信頼しており、多少の騒動が起きても最後には自然と同じ食卓へ戻ってこられるような温かい家庭である。そんなアンダーソン家の平穏な日々を大きく変える人物として登場するのが、まだ幼い少年ジョナサン・アレンである。眼鏡をかけた小柄なジョナサンは、外見だけなら頼りなさそうな子供にも見えるが、年齢からは想像できないほど頭の回転が速く、大人とも対等に話そうとする大胆さを持っている。しかも彼は単なる迷子でも近所の子供でもない。突然アンダーソン家を訪れ、父ウィルフレッドに対して自分が彼の息子であるという、家族全員を驚かせる話を持ち出すのである。平穏だった一家に「父親の知られざる子供が現れたのではないか」という疑惑が持ち上がったことで、家の中はたちまち大騒ぎになる。人の良いウィルフレッド本人はもちろん、妻や子供たちまで巻き込み、真相が分からないまま事態だけが大きくなっていく導入は、本作が得意とするホームコメディらしい勢いに満ちている。一方で、この出来事は単なる笑い話として消費されるものではない。ジョナサンという外部から来た存在を家族がどのように受け入れていくのかという、本作全体につながる大切な問いを提示するきっかけにもなっている。
血縁だけでは決まらない「家族」というものを描く物語
ジョナサンの登場によって浮上したウィルフレッドの隠し子疑惑は、やがて誤解を含んだ騒動であることが分かっていく。しかし『Oh!ファミリー』で重要なのは、疑惑そのものが解決したことではない。物語の本当の出発点は、その後もジョナサンがアンダーソン一家と深く関わり続け、次第に一家にとって欠かすことのできない存在になっていくところにある。最初から全員が何の抵抗もなく彼を受け入れるわけではなく、とりわけフィーとジョナサンの間には激しい反発が起こる。気が強く行動的なフィーと、幼いながら理屈では決して引き下がらないジョナサンは、顔を合わせれば口論になることも少なくない。しかし皮肉なことに、そうした衝突を何度も経験していくからこそ、二人の間には単なる同居人では説明できない強い結びつきが生まれていく。言い争いをしながらも相手が本当に困っていると放っておけず、危険な場面では互いを気遣う。そうした関係の積み重ねによって、形式上の家系図では表現できない家族らしさが形作られていくのである。本作では、同じ血が流れていることだけが家族の条件なのか、それとも互いを必要とし、支え合うことで家族になるのかというテーマが、重々しい説教ではなく、日常の騒動や笑いの中から自然に浮かび上がってくる。
フィーを中心に広がっていく恋愛、友情、青春の日々
物語が進むにつれ、アンダーソン家の内部だけでなく、フィーたちを取り巻く友人関係や恋愛模様も大きな柱となっていく。なかでも重要な存在が、フィーに強い関心を寄せるレイフ・マクギャリーである。活動的でどちらかといえば少年のような雰囲気を持つフィーは、恋愛に対して器用な少女ではない。それに対してレイフは彼女との距離を縮めようとするが、思ったようには関係が進まず、そのもどかしさが物語に青春ラブコメディとしての味わいを加えている。フィー自身も家族や友人との出来事を通して少しずつ他人の気持ちを理解していき、強気な態度の裏側にある優しさや繊細さを見せるようになる。さらに兄ケイの恋愛や、個性的な友人たちとの交流が加わることによって、本作の恋愛描写は単純な男女の恋だけには収まらない。人を好きになる形は一つではなく、それぞれがそれぞれの価値観を持って生活していることを、ごく自然な日常の一部として扱っている。笑える出来事のすぐ隣で恋に悩む人物がいたり、家族の問題と友情の問題が同時に進行したりするため、一話ごとの出来事以上に、この家族と周囲の人々がどんな人生を送っていくのかを見続けたくなる構成となっている。
笑いと人情を同じ物語の中で成立させる独特のストーリー構成
『Oh!ファミリー』のあらすじを単純に整理すると、アンダーソン一家と、そこへ加わったジョナサンを中心に起こるさまざまな出来事を描く作品ということになる。しかし実際の魅力は、事件そのものよりも、それに直面した登場人物たちがどのような反応を見せるかという部分にある。家族の誰かが恋に悩めば全員が何らかの形で首を突っ込み、ジョナサンが問題を起こせばフィーが怒り、フィーが無茶をすればケイや家族が心配する。一つの出来事が次々と別の人物へ波及していき、最後には家族総出の騒動になることも珍しくない。こうしたテンポの良いコメディ展開の一方で、誰かが本当に傷ついている場面では物語の空気が変わり、家族や友人がその人物を支えようとする姿が丁寧に描かれる。そのため、にぎやかな作品でありながら見終わった後には不思議な温かさが残る。登場人物は決して理想的な善人ばかりではなく、思い込みもあれば嫉妬もあり、失敗もする。しかし完全ではない人々だからこそ、互いの欠点まで含めて受け入れていく姿に説得力が生まれているのである。
1980年代アニメの中でも異彩を放つ自由な家族像
『Oh!ファミリー』を現在あらためて振り返ったとき、特に印象的なのは「家族とはこうでなければならない」という固定した形を作品が押しつけてこないことである。性格も恋愛観も考え方も違う人々が一つ屋根の下で暮らし、ときには大げんかをしながら、それでも相手を簡単には見捨てない。そこへ血縁上は家族とは言い切れないジョナサンまで加わることで、「家族」という概念はさらに広がっていく。父親らしさ、母親らしさ、男らしさ、女らしさといった決められた役割だけで人物を分類しない点も、この作品の特徴の一つといえる。フィーは活発でボーイッシュな性格を隠そうとはせず、ケイにも独自の恋愛観と生き方があり、幼いジョナサンですら一人の人格を持った人間として家族と対等にぶつかっていく。それでも物語全体が難解な社会ドラマになることはなく、明るいカリフォルニアの日常と軽快な会話を通じて親しみやすく描かれている。突然現れた少年をめぐる騒動から幕を開け、やがて誰もがその少年のいる生活を当たり前と感じるようになっていく。その変化そのものが本作の題名を象徴しているのである。
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■ 登場キャラクターについて
フィー・アンダーソン ― 物語を引っ張る行動派のヒロイン
フィー・アンダーソンは『Oh!ファミリー』の中心人物であり、アンダーソン家の長女として物語の多くの出来事に関わっていく少女である。声を担当したのは島本須美。少女漫画のヒロインと聞いて連想されやすい、おとなしく可憐で恋に夢見るタイプとはかなり異なり、フィーは活発で行動力があり、思ったことをはっきり口にするボーイッシュな性格として描かれている。誰かが間違ったことをしていると思えば相手が誰であっても遠慮なく意見し、自分自身も納得できないことには簡単に引き下がらない。その反面、困っている人間を見捨てられない情の深さを持っており、強気な言動の裏側に優しさが隠れているところが彼女の大きな魅力である。ジョナサンが突然アンダーソン家に現れた当初は、その生意気な態度に反発し、激しい口論を繰り返すことになる。しかし、さまざまな事件を一緒に経験するにつれて、フィーにとってジョナサンは単なる居候ではなく、守ってやりたい弟のような大切な存在へ変化していく。この二人の関係は本作を象徴する要素の一つであり、口では文句を言い合っているのに、本当に危険が迫れば誰よりも相手を心配するという距離感が微笑ましい。恋愛面ではレイフとの関係が大きな見どころとなり、恋愛に不器用なフィーが少しずつ自分の感情に向き合っていく姿も描かれる。
ケイ・アンダーソン ― 穏やかさと独自の価値観を備えた長男
ケイ・アンダーソンはアンダーソン家の長男で、声を中原茂が担当している。感情を直線的にぶつけるフィーとは対照的に、比較的落ち着いており、物事を一歩引いた位置から眺められる人物として一家のバランスを取っている。ケイは自分自身の感情や恋愛観についても必要以上に隠そうとせず、周囲と異なる部分があっても、それを殊更に大事件として扱わない。その自然体の描き方は『Oh!ファミリー』という作品の価値観をよく象徴している。家族もまた、ケイを何か特別な存在として遠ざけるのではなく、多少のからかいや口論を交えながら、あくまで大切な家族の一人として接している。ケイは繊細なだけの青年ではなく、妹たちの騒動に巻き込まれて呆れたり、ときには鋭い言葉を返したりすることもあり、一人の生活者としてしっかり個性を与えられている。恋愛や人間関係について悩む場面では、普段の余裕ある姿とは異なる表情を見せるため、それまで頼れる兄として見ていた視聴者も、ケイ自身が迷いながら生きている若者なのだと実感できる。
トレーシー・アンダーソン ― 小さな体に大人顔負けの存在感を持つ次女
トレーシー・アンダーソンはアンダーソン家の次女で、声を松井菜桜子が担当した。まだ幼い少女でありながら非常におませで、家族の恋愛問題や大人同士の会話にも臆することなく入り込んでいく。子供だから事情を理解していないと思っていると、思いがけないほど核心を突いた発言をすることがあり、その一言によって家族が慌てたり、隠していた感情が露呈したりする場面も彼女ならではの面白さである。フィーが身体を使って事件を動かし、ケイが冷静な視点を提供する人物だとすれば、トレーシーは言葉と観察力で物語をかき回すタイプである。子供らしい無邪気さを見せる一方で、大人の恋愛や人間関係に強い関心を示すため、そのギャップがコメディとして機能している。しかし単なるませた少女という記号に終わらず、家族が傷つけば心配し、寂しいときには年齢相応の表情を見せることで、かわいらしさと人間味を両立している。
ジョナサン・アレン ― 家族の形そのものを変えていく小さなキーパーソン
ジョナサン・アレンは、アンダーソン家の日常を大きく変化させる少年であり、声を菅谷政子が担当している。物語序盤では突然ウィルフレッドの前に現れ、自分が彼の息子であると主張したことから、一家を巻き込む大騒動を引き起こす。眼鏡をかけた小柄な少年という外見に反してかなり頭の回転が速く、言葉も達者で、大人や年上のフィーを相手にしても簡単には負けない。特にフィーとは衝突が多く、二人が言い争う場面は作品の定番ともいえる楽しさを生み出している。しかしジョナサンというキャラクターの重要性は、笑いを起こすトラブルメーカーであることだけではない。彼には彼なりの事情や寂しさがあり、自分の居場所を求める気持ちが物語の奥に存在している。アンダーソン一家と過ごす時間が増えるにつれ、ジョナサン自身も家族に心を開き、強がる必要のない場所を得ていく。その変化と同時に、一家もまた血縁で結ばれていなくても大切な人は家族になれるということを体現していくようになる。
ウィルフレッドとシェレン ― 個性的な子供たちを包み込む父と母
一家の父親であるウィルフレッド・アンダーソンは富山敬、母親のシェレン・アンダーソンは高木早苗が声を担当している。ウィルフレッドは家長という立場でありながら、威圧的に家族を従わせる人物ではない。むしろ家族の騒動に巻き込まれて右往左往したり、ジョナサンによる突然の発言によって大混乱に陥ったりするなど、親しみやすい父親像として描かれている。一方のシェレンも、単に家庭を守る母親という役割に収まらない。子供たちの個性を尊重しながら必要な場面ではきちんと意見し、家庭内の混乱を現実的な感覚で受け止める。二人の夫婦関係には、完璧ではなくとも長い時間を一緒に過ごしてきた人間同士の信頼が感じられる。子供たちが自由な個性を保ちながら育っているのも、この両親が家庭を絶対的な規則で縛っていないからこそだと見ることができる。
アダム ― 臆病さまで愛らしいアンダーソン家の名脇役
アンダーソン家には人間だけでなく、犬のアダムも暮らしている。声を担当したのは沢木郁也。一般的なホームアニメに登場する犬であれば、勇敢に主人を助けたり、危険を察知して活躍したりする姿が期待されるところだが、アダムはむしろ臆病な性格を持つことで個性を発揮している。家族が大騒ぎしている横で独特の反応を見せたり、怖がって逃げ腰になったりする姿が笑いを生み、アンダーソン家の日常をよりにぎやかにしている。一見するとストーリーの中心には関係のない存在のようでありながら、家族が集まる場面には自然にアダムもいる。そのため視聴を重ねるほど、アダムもまた一家を構成する欠かせない一員として感じられるようになる。
レイフ・マクギャリー ― フィーとの恋模様を彩る青年
レイフ・マクギャリーは難波圭一が演じる青年で、フィーとの関係を通じて作品に青春恋愛ドラマとしての要素を加えている重要人物である。レイフはフィーに惹かれているものの、当のフィーが典型的な恋愛ヒロインのように相手の好意を素直に受け取る人物ではないため、二人の距離は簡単には縮まらない。レイフが積極的になればフィーが意地を張り、フィーの方が少し気持ちを見せたかと思えば別の出来事が起こる。その微妙なすれ違いが二人の関係を面白くしている。レイフ自身も完璧な王子様として描かれるのではなく、恋愛に悩み、感情的になり、ときには思い通りにいかない状況に戸惑う一人の青年である。そのため視聴者は単純にフィーの恋人候補としてだけでなく、青春を過ごす登場人物の一人として彼を見ることができる。
ルイス、デビー、瀬川鞠子らが広げるアンダーソン家の外側の世界
主要一家以外にも、『Oh!ファミリー』にはルイス・ゴールドマン、デビー・ジャクソン、瀬川鞠子など個性的な人物が登場し、物語の世界を家庭の内部だけに閉じない役割を果たしている。ルイス・ゴールドマンの声は吉田理保子、デビー・ジャクソンは富沢美智恵、瀬川鞠子は本多知恵子が担当している。こうした周辺人物が家族や学校、恋愛関係へ入り込んでくることで、アンダーソン一家の日常には次々と新しい変化が生まれる。友人同士だからこそ言える率直な意見や、家族には見せない表情が描かれることもあり、フィーやケイたちの人物像を別の角度から知る役割も大きい。主人公一家だけを描いていたなら単なる家庭コメディで終わりかねないところを、学校や友人、恋愛相手など多様な人間関係へ広げていることが、『Oh!ファミリー』に青春群像劇としての厚みを与えている。
「変わった人」ではなく「それぞれ違う人」として描くキャラクター造形
『Oh!ファミリー』のキャラクターが現在見ても興味深い理由は、一人ひとりが何かしら強い個性を持ちながら、その個性を単なる奇人変人の笑いとして処理していないところにある。活発なフィー、おませなトレーシー、理知的なジョナサン、穏やかなケイ、人の良いウィルフレッド、包容力のあるシェレン、フィーへの思いに揺れるレイフ。誰一人として同じ考え方を持っておらず、その違いが日常的な衝突を生み出している。しかし作品が最終的に示すのは、違うから離れるのではなく、違うからこそ相手を知ろうとすることの大切さである。島本須美、中原茂、松井菜桜子、菅谷政子、富山敬、高木早苗、難波圭一ら、それぞれ異なる声質と演技の持ち味を持つ声優陣が揃ったことも、会話中心のホームコメディである本作に豊かなリズムを与えている。
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■ 主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
オープニングテーマ「カリフォルニア・ドリーミング」― 作品世界へ一気に連れていく爽快な一曲
『Oh!ファミリー』のオープニングテーマとして使用された「カリフォルニア・ドリーミング」は、橋本潮が歌唱を担当し、こおろぎ’73がコーラスとして参加した楽曲である。作詞は竜真知子、作曲は根岸孝旨、編曲は松井忠重。作品の舞台であるカリフォルニアの明るさや開放感を、そのまま音楽に置き換えたような爽やかな雰囲気を備えている。青い空、明るい日差し、広々とした街並み、若者たちの自由な生活といった『Oh!ファミリー』のイメージと強く結びつき、軽快で親しみやすいリズムと橋本潮の伸びやかな歌声、こおろぎ’73のコーラスによって、視聴者をアンダーソン一家の暮らす世界へ自然に誘う。歌詞をそのまま引用しなくても、遠い場所への憧れや自由な気分、明るい日々への期待を感じさせる内容となっており、番組の始まりを告げるだけでなく、この作品が持つ空気そのものを凝縮した主題歌といえる。
橋本潮の歌声が生み出す、少女漫画原作アニメらしい柔らかな華やかさ
「カリフォルニア・ドリーミング」を印象づける大きな要素が橋本潮の歌声である。作品のホームドラマ的な温かさに合わせ、明るさと柔らかさを両立した歌唱が効果的に使われている。フィーを中心とした若者たちの活発さを連想させる軽快さと、アンダーソン一家全体を包み込むような親しみやすさが同居している点が特徴である。こおろぎ’73によるコーラスも楽曲に厚みを加え、一人の少女だけではなく、家族みんなが登場するにぎやかな作品であることを音楽面から伝えている。現在聴けば1980年代らしい編曲や音色に懐かしさを感じる一方、メロディー自体は覚えやすく、作品を知らない世代でも親しみやすい。
映像と合わせることで完成する「アメリカ西海岸」への憧れ
本作のオープニングは、楽曲だけでなく映像との組み合わせによって強い印象を残す。『Oh!ファミリー』はカリフォルニアを舞台としているため、日本の住宅街や学校を中心にした日常アニメとは異なる風景が作品の個性になっている。軽快な音楽とキャラクターたちの明るい表情、広々とした海外の街を思わせる画面が重なることで、短いオープニングの時間だけでも開放的な世界観が伝わってくる。1980年代当時、海外旅行や海外生活は現在ほど身近ではなく、アメリカ西海岸そのものが一種の憧れとして受け取られることも多かった。そうした時代背景まで含めて考えると、この主題歌は単なる番組用楽曲以上に、作品が持つ海外への憧れを象徴する存在だったといえる。
エンディングテーマ「サニー・サイド物語(ストーリー)」― 一日の終わりに似合う温かな余韻
エンディングテーマには「サニー・サイド物語(ストーリー)」が使用された。歌唱は橋本潮、コーラスはこおろぎ’73、作詞は竜真知子、作曲は和泉常寛、編曲は松井忠重である。オープニングテーマが番組の始まりを華やかに告げる楽曲だとすれば、こちらは一話を見終えた視聴者を優しく日常へ戻す役割を持つ。物語では家族の口げんかや恋愛のすれ違い、思春期ならではの悩みが描かれることもあるが、最終的には人と人との温かなつながりが残る場合が多い。その感覚を音楽として受け止めるのが、このエンディングテーマである。明るさの中に穏やかな余韻があり、アンダーソン一家の一日が終わっていくような感覚を味わえる。
オープニングとエンディングが作る対照的で一体感のある音楽世界
『Oh!ファミリー』の主題歌で興味深いのは、オープニングとエンディングが同じ歌手とコーラス陣によって歌われながら、それぞれ明確に異なる役割を持っていることである。「カリフォルニア・ドリーミング」は外へ飛び出していくような躍動感があり、物語がこれから始まる期待を高める。一方の「サニー・サイド物語(ストーリー)」は、一日の出来事を振り返りながら家族の温かさを確認するような落ち着きを備えている。この二曲を合わせて考えると、『Oh!ファミリー』が「外へ向かう青春」と「帰ってこられる家庭」という二つの要素によって成立していることが分かりやすい。
劇中BGMが支えるホームコメディ、恋愛、感動の場面
テレビアニメにおける音楽の役割は主題歌だけではない。『Oh!ファミリー』でも、日常的な会話、家族の騒動、フィーとレイフの恋愛、ジョナサンのいたずらや寂しさなど、それぞれの場面に応じたBGMが作品の雰囲気を支えている。特にホームコメディでは、音楽が重すぎれば会話のテンポが損なわれるため、軽快な曲調やコミカルなフレーズで場面を補強することが重要になる。一方、家族の誰かが傷ついていたり、恋愛で悩んでいたりする場面では、BGMが前へ出すぎず、登場人物の感情をそっと支える。この使い分けによって、笑った直後に少し胸が温かくなるという本作独特の感覚が作られている。
イメージソングによって広げられた『Oh!ファミリー』の音楽世界
『Oh!ファミリー』では、主題歌二曲だけでなく、作品世界をイメージした複数の楽曲も制作された。「My family」「ふたりでダンス・ダンス・ダンス」「よろしく School days」「Only Boys」「ハロー!ミセス・アンダーソン」「Like a boy―君はほとんど男の子―」「Come on!Adam」「Rainy afternoon」といった楽曲があり、アンダーソン一家、学校生活、フィーのキャラクター性、愛犬アダムなどを音楽の側から描いている。これらは本編で毎回流れる主題歌とは役割が異なり、作品の雰囲気や登場人物をさらに掘り下げるイメージソングとして楽しめる。本編を見るだけでは分からない音楽的な広がりが存在していたことは、当時のアニメ音楽文化を知るうえでも興味深い部分である。
1980年代アニメソングとして聴き直したときの魅力
現在の音楽環境から『Oh!ファミリー』の楽曲を聴き直すと、1980年代アニメソング特有の音作りが強い魅力として感じられる。楽器の音色やコーラスの入り方、親しみやすいメロディー、歌詞を明確に届ける歌唱など、当時のテレビアニメ主題歌に共通する特徴を持ちながら、アメリカ西海岸を意識した軽快さも取り入れられている。主題歌を耳にしただけでフィー、ジョナサン、ケイ、トレーシー、レイフたちの姿を思い浮かべられる人もいるだろう。アニメ本編が家族の多様な形を描いていたように、音楽もまた楽しさ、優しさ、憧れ、少しの切なさを組み合わせ、『Oh!ファミリー』という作品の記憶を支える大切な要素となっている。
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■ 魅力・好きなところ
最大の魅力は、型にはまらないアンダーソン一家のにぎやかな日常
『Oh!ファミリー』の魅力を語るうえで、まず外すことができないのがアンダーソン一家そのものの楽しさである。本作には世界を揺るがす巨大な事件や悪の組織との戦いといった派手な要素は登場しない。物語の中心にあるのは、家族の誰かが問題を持ち込み、別の家族がそこへ首を突っ込み、気が付けば一家全員を巻き込む騒動に発展しているという日常である。しかし、その普通の生活の中に十分なドラマが存在する。父ウィルフレッド、母シェレン、ケイ、フィー、トレーシー、そしてジョナサンは、それぞれ考え方も性格も大きく違う。そのため一つの問題が起きても全員が同じ反応をすることはなく、誰かは怒り、誰かは面白がり、誰かは冷静に分析し、また別の人物が余計な一言を加えて事態を複雑にしてしまう。この掛け合いこそがホームコメディとしての面白さを生み出している。
フィーとジョナサンのケンカから見えてくる、本当の姉弟のような絆
作品の中でも特に印象に残りやすい組み合わせが、フィーとジョナサンである。二人は性格的に衝突しやすく、ジョナサンが生意気な態度を取ればフィーが本気で怒り、フィーが感情的になればジョナサンが理屈で言い返す。表面的に見ると相性が悪いようにも感じられるが、物語を見続けるほど、その口げんかそのものが二人にとって一種のコミュニケーションになっていることが分かってくる。普段は相手を邪魔者のように扱っていても、いざジョナサンが傷つけばフィーは放っておけない。またフィーが困っていれば、ジョナサンも生意気な言葉とは裏腹に彼女を気に掛ける。この素直に優しくできないのに、行動では相手を大切にしているという関係が非常に魅力的である。
フィーとレイフの恋愛が生み出す、甘すぎない青春ラブコメディ
フィーとレイフの関係も、本作を楽しむうえで欠かせない見どころである。フィーは行動力があり、他人の問題には積極的に関われる一方、自分自身の恋愛になると必ずしも素直ではない。レイフから向けられる気持ちに対して正面から甘い態度を示すことが少ないため、二人の恋模様には独特のもどかしさがある。華やかな告白や理想的なデートばかりではなく、普段の言い争いや意地の張り合い、嫉妬、勘違いといった日常的な感情が積み重なり、少しずつ相手が特別な存在になっていくところが魅力である。フィー自身が恋愛一辺倒のヒロインではないため、彼女がレイフを意識するわずかな変化ほど印象的に映る。
ケイを通して描かれる、人それぞれ違っていてよいという価値観
『Oh!ファミリー』が1980年代の作品として興味深いのは、登場人物の生き方や恋愛観を単純な一つの基準へ押し込めていないことである。その象徴となるのがケイの存在である。ケイは家族の中でも比較的穏やかな人物であるが、恋愛に関する考え方を含めて独自の個性を持っている。しかし作品は、それを極端な異常性として取り上げたり、家族から排除されるための材料にしたりしない。アンダーソン一家にとって重要なのは、人と違っているかどうかより、その人が大切な家族であるかどうかなのである。しかもそれを思想的な説明ではなく、笑いや恋愛を含む日常ドラマとして自然に描いている点に、本作の柔軟さがある。
カリフォルニアという舞台が生み出す1980年代ならではの異国情緒
日本のテレビアニメでありながら、物語の主要な舞台がアメリカ・カリフォルニアであることも『Oh!ファミリー』の大きな魅力である。広々とした住宅、明るい空、学校や街での生活、若者たちの交流など、日本を舞台にした学園アニメとは違った風景が物語全体に漂っている。特に1980年代当時の日本において、アメリカ西海岸は自由で明るく、おしゃれな生活を象徴する場所として強い憧れを集めていた。その空気が少女漫画原作の軽やかな画面と組み合わさり、本作独自の華やかさを生み出している。一方で、親子げんか、兄妹げんか、恋愛の悩み、友人への嫉妬、誰かを心配する気持ちなど、物語の中心となる感情は非常に身近である。この少し遠い場所への憧れと、どこにでもありそうな家族の日常が同時に存在していることが面白い。
笑わせた直後に胸を温かくする、ホームドラマとしての緩急
本作にはドタバタした場面が多く、登場人物同士の言葉の応酬も軽快である。そのため第一印象では明るいコメディ作品に見える。しかし、見続けるうちに印象に残るのは、むしろ笑いの裏側にある少し切ない場面だったりする。いつも強気な人物が弱音を見せた瞬間、普段ケンカしている相手が心配そうに見守る瞬間、自分の居場所を求めていた人物が家族の一員として受け入れられていることに気付く瞬間など、日常的な積み重ねがあるからこそ成立する感動が随所にある。誰かが長々と家族愛を説明する必要はなく、何気ない行動だけで関係性が伝わるところが『Oh!ファミリー』の感情表現の上手さである。
家族全員が主役になれる群像劇としての面白さ
『Oh!ファミリー』ではフィーが中心人物ではあるものの、彼女だけを追っていれば物語が成立するという作りにはなっていない。ケイにはケイの人生があり、トレーシーにはトレーシーの視点があり、ジョナサンにも独自の悩みがある。さらに父母にも夫婦としての関係や親としての迷いが存在し、レイフをはじめとした周辺人物もそれぞれの感情を持って行動する。そのため、ある回ではフィーが目立ち、別の回ではジョナサンやケイが強い印象を残すなど、家族全体を眺める群像劇として楽しめる。視聴者によってお気に入りの登場人物が変わることも、本作の面白さにつながっている。
最終盤になるほど実感できる、家族が積み重ねてきた時間
物語の終盤や最終回に近づくにつれて印象的になるのは、一つ一つの事件以上に、ここまで一緒に生活してきた時間である。序盤では突然やって来た異物のようでもあったジョナサンが、物語が進んだ後にはアンダーソン家の風景の一部として自然に存在している。その変化を視聴者自身も長い話数を通して体験しているため、家族同士が互いを大切にする場面には序盤とは異なる重みが生まれる。最終回を迎えたときに「この家族の日常をもう少し見ていたかった」と感じさせることこそ、ホームドラマとしての完成度を示す部分といえる。
声優陣の掛け合いも見逃せない魅力
キャラクター同士の会話が大きな比重を占める『Oh!ファミリー』では、声優陣の演技も作品の印象を左右する重要な要素となっている。フィー役の島本須美は、柔らかな声だけでなく、怒り、慌て、照れといったフィーの活発な感情を幅広く表現している。ジョナサン役の菅谷政子との掛け合いでは、本当に遠慮のない姉弟のようなテンポが楽しい。富山敬によるウィルフレッドも、頼れる家長でありながら家族の騒動で慌てるコミカルさを自然に表現しており、家庭の明るさを支えている。中原茂、松井菜桜子、高木早苗、難波圭一らの声が組み合わさることで、アンダーソン家とその周辺の会話に豊かなリズムが生まれている。
時代を越えて残る魅力は「帰りたくなる家族」が描かれていること
『Oh!ファミリー』を最後まで見たときに残る最大の印象は、アンダーソン一家が完璧だから魅力的なのではなく、不完全な人々が一緒に暮らしているから魅力的だということである。彼らは毎日のように騒ぎを起こし、ときには傷つけ合い、自分勝手な判断で失敗する。しかし家族の誰かが本当に苦しんでいるときには、最後まで突き放すことができない。何度ケンカをしても結局は同じ家に帰り、また翌日には新しい騒動が始まる。そんなアンダーソン一家の日々を、いつまでも見守っていたくなることこそが、『Oh!ファミリー』最大の魅力といえるだろう。
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■ 感想・評判・口コミ
「普通の家族アニメとは少し違う」と感じさせる独特の第一印象
『Oh!ファミリー』を振り返ったとき、まず印象に残りやすいのは、1980年代のテレビアニメとしてはかなり個性的な家族像を前面に出していた点である。物語の舞台がアメリカ・カリフォルニアであり、登場人物の生活様式や考え方も、日本の一般的な家庭を描いた作品とは異なる。そのため、初めて作品に触れた視聴者からすると、少女漫画原作のホームドラマでありながら、どこか海外ドラマを眺めているような感覚を受けやすい。父親、母親、兄妹、突然家族へ入り込む少年、友人や恋人候補まで、誰もが強い個性を持っており、決まりきった役割に収まっていない。数話見続けると、海外を舞台にしながら描かれている感情そのものは親子げんかや恋愛、友情、嫉妬、寂しさなど非常に普遍的であり、次第にアンダーソン一家が身近な存在に感じられるようになる。
フィーのボーイッシュで一直線な性格を高く評価したくなる理由
主人公格であるフィーについては、一般的な少女漫画のヒロイン像とは異なるところが強く印象に残る。恋愛だけを人生の中心に置くのではなく、自分で考え、自分で動き、間違っていると思えば相手に遠慮なくぶつかっていく。気が強すぎて失敗することもあり、恋愛では素直になれず、ジョナサンとは本気の口げんかを繰り返すが、その不器用さまで含めて親しみやすいキャラクターである。特に、強気なフィーが本当に大切な相手を前にすると急に弱さや優しさを見せる場面は、彼女の印象を大きく変える。普段との差が大きいため、恋愛場面や家族を心配する場面での表情がより印象的に感じられるのである。
フィーとジョナサンの掛け合いが忘れられない理由
作品全体の中でも特に支持されやすい関係が、フィーとジョナサンの組み合わせである。最初は突然現れたジョナサンにフィーが強い反発を覚え、ジョナサンも年上の彼女へ遠慮なく言い返すため、二人の会話は毎回のようににぎやかになる。ところが物語が進むにつれ、言葉では反発しながらも行動では互いを心配していることが少しずつ見えてくる。最初から仲の良い姉弟であれば当たり前に見える行動も、何度も衝突してきた二人だからこそ特別な意味を持つ。ジョナサンが家族の一員になる過程は本作全体の大きな感情的な軸であり、その中心で最も激しくぶつかったフィーとの関係だからこそ、後半になるほど温かく感じられる。
レイフとの恋模様は、じれったいからこそ見続けたくなる
フィーとレイフの恋愛については、派手な恋愛劇というよりも、互いの距離が少しずつ変わっていく過程を楽しむものとして受け取ることができる。レイフがフィーに好意を寄せていても、フィー自身がすぐに恋愛モードへ切り替わるわけではない。強がったり、意地を張ったり、本人ですら自分の気持ちを整理できていなかったりするため、見ている側はもう少し素直になればいいのにと思いながら二人を見守ることになる。このじれったさが青春ドラマらしい楽しさを生み出している。恋愛だけに物語を集中させず、アンダーソン家の日常の中へ自然に組み込んでいる点も、本作らしい魅力といえる。
ケイの存在によって作品全体の価値観が広がっている
『Oh!ファミリー』について現在あらためて語る際、ケイの人物設定は重要な要素の一つである。恋愛や生き方に関して周囲と異なる価値観を持つ彼を、作品は単なる笑いのための奇抜なキャラクターとしてだけ扱っていない。家族の一員としてごく自然に生活し、妹たちの相談に乗ったり、家族の騒動へ巻き込まれたり、自分自身も恋愛や人間関係に悩んだりする。特別扱いして遠くへ置くのではなく、日常の中に存在させていることが特徴である。子供のころに見たときと、大人になってから見直したときとで印象が変わりやすい人物でもあり、本作が持つ柔軟な家族観を再発見するきっかけになる。
「笑えるのに突然しんみりする」感情の振れ幅
『Oh!ファミリー』は基本的に明るいホームコメディであり、フィーとジョナサンの口論、父ウィルフレッドの慌てぶり、トレーシーのおませな言動など、笑いにつながる場面が数多く用意されている。しかし一方で、登場人物の寂しさや傷ついた気持ちを描く場面になると、それまでの軽快な雰囲気から自然に感情的なドラマへ移行する。この切り替えが本作への印象を深めている。ずっと明るいだけなら楽しい作品として記憶されるだけかもしれないが、笑った後に少し胸が苦しくなる場面があることで、キャラクターをより大切に感じられるようになる。
海外を舞台にした生活感が、当時ならではの憧れにつながる
放送当時の視聴者にとって、本作のカリフォルニアという舞台そのものも強い魅力だったと考えられる。現在では世界各国の街並みや生活を簡単に見ることができるが、1980年代には海外の日常生活は今ほど身近ではなかった。その時代に、アメリカの家庭を舞台として若者たちが学校へ通い、恋愛をし、家族で暮らしている様子をアニメで継続的に描いたことには独特の新鮮さがあった。現在見返す場合には、1980年代の日本から見たアメリカへの憧れや時代感覚まで含めて楽しめる作品になっている。
作画やテンポには時代を感じても、それが懐かしさとして楽しめる
1986年から1987年に放送されたテレビアニメである以上、現在の高精細なデジタル作画と比較すれば、映像表現や画面の密度には大きな違いがある。また、一話の中で会話をじっくり見せる場面が多く、近年のスピード感のある作品に慣れている場合には、展開をゆっくりと感じることもある。しかし、その時代性が作品の欠点だけになるわけではない。手描きセルアニメ特有の柔らかな線、1980年代らしいファッション、髪型、街の描写、明るい色彩などは、現在ではむしろ魅力として楽しめる。昔リアルタイムで見た人にとっては懐かしさを呼び起こし、初めて見る世代にとっては昭和末期の少女漫画アニメ文化を知る入り口にもなる。
もっと知られていてもよい作品と思わせる隠れた魅力
『Oh!ファミリー』は、長期間にわたって新作が作られ続けた巨大シリーズではなく、再放送や映像ソフトによって何度も世代を超えて目に触れた作品とも言いにくい。そのため1980年代アニメの中でも、題名は聞いたことがあるが本編を見たことはないという人が存在する。反対に放送当時に作品を見ていた人にとっては、フィーやジョナサン、主題歌などが強く記憶に残り、「もう一度見たい」と感じやすい作品でもある。知名度の大きさだけでは測れない、記憶に残るタイプのアニメといえる。
主題歌を聴くだけで作品世界を思い出せる懐かしさ
本編そのものと並んで記憶に残りやすいのが、橋本潮が歌うオープニングテーマ「カリフォルニア・ドリーミング」とエンディングテーマ「サニー・サイド物語(ストーリー)」である。作品を長く見ていなかった場合でも、主題歌を耳にするとフィーたちの姿やアンダーソン家の雰囲気を思い出す人もいるだろう。特にオープニング曲の明るさはカリフォルニアという舞台と強く結びついており、曲だけでも作品の空気を思い起こさせる。昔のアニメでは毎週同じ主題歌を繰り返し聴くため、作品と楽曲の記憶が強く結びつきやすい。その意味でも『Oh!ファミリー』の主題歌は作品を象徴する重要な存在である。
最終回を迎えたときに感じるのは、一家と別れる寂しさ
ホームドラマ型の作品では、最終回に巨大な敵を倒したり世界を救ったりする必要はない。むしろ長く見てきた登場人物たちの日常がテレビから消えてしまうこと自体が、一番大きな変化となる。『Oh!ファミリー』も同様で、物語の終盤まで付き合った視聴者ほど、アンダーソン一家の日常が終わってしまうことに寂しさを感じやすい。序盤には家族の外側にいたジョナサンが、いつの間にか一家に欠かせない存在になり、フィーやレイフをはじめとする人間関係にも積み重ねが生まれている。そうした状態で物語が終わるため、もっとこの家族の日常を見ていたかったという感覚が残る。
現在見ても評価できるのは「家族とは何か」を押しつけずに描いているところ
本作を現在の視点から見直した場合、最も評価したくなる部分の一つが家族の定義を狭く決めつけていないことである。同じ名字を持ち、血のつながった人だけが家族というわけではない。さまざまな事情を持つ人間が一緒に暮らし、互いの欠点に腹を立てながらも、本当に困ったときには手を差し伸べる。その時間の積み重ねによって家族になっていくという考え方が、ジョナサンとアンダーソン一家の関係から自然に伝わってくる。また、一人ひとりが異なる恋愛観や性格を持っていても、それだけを理由に家庭から排除されない。こうした感覚が日常のコメディの中で示されているため、構えずに見ることができる。
総合的には、華やかな大作ではなくても忘れにくいホームアニメ
『Oh!ファミリー』は、社会現象を巻き起こした巨大シリーズや、大規模なメディア展開を続けた作品とは異なる。しかし、一度アンダーソン一家の空気を好きになると忘れにくいタイプのアニメである。カリフォルニアを舞台にした開放感、渡辺多恵子原作ならではの個性的な人物造形、フィーとジョナサンの姉弟のような関係、フィーとレイフのじれったい恋模様、ケイをはじめとした多様な登場人物、そして家族全員が繰り広げるホームコメディが一つになり、他作品にはない独自の雰囲気を作り出している。視聴後に強く残るのは壮大な事件ではなく、食卓での会話や口げんか、誰かを心配する表情といった小さな場面であり、それこそが本作が長く記憶に残る理由なのである。
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■ 関連商品のまとめ
関連商品は大量展開型ではなく、原作・音楽・紙ものを中心に楽しむ作品
『Oh!ファミリー』の関連商品を現在の視点から整理すると、現代の人気アニメのようにフィギュア、アクリルスタンド、缶バッジ、ぬいぐるみ、ゲーム、菓子、各種コラボ商品が大量に展開されたタイプとは性格が異なる。放送された1986年から1987年という時代を考えても、関連商品の中心は原作漫画、レコードやカセット、音楽アルバム、アニメ雑誌の記事や付録、文房具などであった。巨大な玩具販売を目的とする作品ではなく、渡辺多恵子の少女漫画を原作としたホームコメディだったため、商品展開もキャラクター玩具より、作品を読む、音楽を聴く、イラストを手元に置くという方向との相性が良かった。その結果、現在の中古市場では多数の商品が常に流通するというより、特定の品物が時折出品されるとファンや1980年代アニメの収集家から注目されるという傾向が強い。
原作漫画『ファミリー!』は作品世界を深く楽しめる基本アイテム
関連商品の中で最も基本となるのが、渡辺多恵子による原作漫画『ファミリー!』である。フラワーコミックスとして刊行されたシリーズは全11巻で完結しており、アンダーソン一家とジョナサンを中心にした物語を、アニメとはまた異なる形で深く味わうことができる。現在では電子書籍でも読むことができるため、物語そのものに触れたい場合には比較的入手しやすい。一方、コレクションを目的とする場合には1980年代に刊行された紙のコミックスが魅力的である。古い少女漫画単行本では、本文を読むことだけが目的ではなく、当時のカバーイラスト、背表紙、奥付、広告ページなども時代資料として価値を持つ。全巻セットでは巻抜けだけでなく、カバーの日焼け、背表紙の退色、ページのヤケ、シミ、折れ、値札跡などによって状態評価が変わる。
テレビアニメ本編は映像ソフトの入手難度が高い
『Oh!ファミリー』の商品事情で特に大きな特徴となるのが映像ソフトである。日本国内では長期間にわたり、一般的なDVD-BOXとして気軽に全話を揃えられる作品にはなっていない。その一方で海外ではDVD商品が存在しており、外国語版を含む映像ソフトがコレクター市場へ姿を見せることがある。このような海外版は、単に商品が珍しいだけでなく、日本語音声の有無、字幕、リージョンコード、収録話数、ディスク枚数などを確認する必要があるため、購入時には注意が必要である。中古市場で高額な希望価格が付けられる場合もあるが、出品価格と実際の取引価値は同じとは限らないため、一件の価格だけを見て相場を決めないことが大切である。
Blu-rayやVHSは実在確認を重視したい分野
古いアニメの関連商品をまとめる際には、DVD、Blu-ray、VHSを一括して並べたくなるが、『Oh!ファミリー』については実在確認を重視する必要がある。特に国内向けBlu-ray BOXや一般流通したVHS全巻シリーズなどは、誰でも容易に確認できる定番商品として知られているわけではない。そのため、オークションやフリマで見慣れない映像商品を見つけた場合には、ジャケット写真だけで判断せず、メーカー、発売元、品番、収録内容を確認することが重要になる。映像商品が豊富ではないこと自体が、本作のコレクション難度を高めている要因の一つである。
EPレコードとカセットは放送当時の空気を残す代表的な音楽商品
音楽関連では、オープニングテーマ「カリフォルニア・ドリーミング」とエンディングテーマ「サニー・サイド物語(ストーリー)」を収録した音源が重要な収集対象になる。橋本潮の歌唱とこおろぎ’73のコーラスによる二曲は、作品そのものを象徴する楽曲として現在でも印象が強い。当時物のEPレコードは単に音楽を再生するための媒体ではなく、ジャケットイラスト、盤面ラベル、歌詞カードなどを含めて1980年代アニメ商品を保存した資料として楽しめる。中古レコードでは盤面の傷だけでなく、ジャケットの折れや退色、シミ、書き込み、歌詞カードの有無などで状態が大きく変化する。
『Oh!ファミリー ヒット曲集』で広がる作品の音楽世界
音楽商品の中でも特に興味深いのが『Oh!ファミリー ヒット曲集』である。ここにはオープニングとエンディングだけでなく、「My family」「ふたりでダンス・ダンス・ダンス」「よろしく School days」「Only Boys」「ハロー!ミセス・アンダーソン」「Like a boy―君はほとんど男の子―」「Come on!Adam」「Rainy afternoon」など、作品世界を意識した楽曲が収録されている。アンダーソン一家、学校生活、フィーの性格、愛犬アダムなど、本編を連想させる題材が音楽へ広げられていることが分かる。主題歌二曲しか知らなかった人にとっては、『Oh!ファミリー』が当時それなりに充実した音楽展開を持っていたことを知ることのできる興味深い商品である。
後年のアニメ主題歌コンピレーションも収集候補
オリジナル盤そのものにこだわらず、楽曲を聴くことを目的とする場合には、後年発売されたアニメソングのコンピレーションCDなども候補になる。1980年代作品の主題歌をまとめたアルバムに「カリフォルニア・ドリーミング」が収録されることもあり、当時物のEPより扱いやすい媒体で聴ける場合がある。オリジナル盤を保存用にし、実際の鑑賞にはCDなどを利用するという集め方も、古いアニメソングのコレクターには適している。
B5下敷きなどの文房具は、残存数の少なさも魅力
文房具系では、アンダーソン一家を描いたB5サイズの下敷きなどが知られている。1980年代のアニメ・漫画では下敷きは定番のキャラクター商品で、学校で実際に使用できる実用品として販売されることが多かった。そのため長い年月を経た現在では、表面の擦り傷、角の欠け、反り、名前の書き込み、汚れなどがある商品も少なくない。逆に未使用または状態の良いものは、単なる文房具を超えて1980年代少女漫画・アニメ文化を感じさせるコレクターズアイテムとして魅力を持つ。
アニメ雑誌、ポスター、記事切り抜きも現在では貴重な資料
放送当時のアニメ雑誌も、『Oh!ファミリー』関連品として見逃せない。番組紹介、原作者の記事、スタッフ情報、キャラクター紹介、イラストなどが掲載された号は、現在では当時の作品がどのように紹介されていたのかを知る資料になる。雑誌付録のポスターや切り抜きも中古市場へ出てくる場合があり、作品そのものの商品数が多くないだけに、こうした紙ものの価値は相対的に高い。付録では折り目、ピン穴、破れ、テープ跡などが状態評価に影響するため、本誌と付録が揃ったものほど収集難度が上がる。
フィギュア、玩具、ゲーム類は大規模展開された作品ではない
『Oh!ファミリー』は家族の日常や恋愛を描いたホームドラマなので、ロボット玩具や変身アイテムを販売する作品とは商品設計が根本的に異なる。少なくとも一般的に知られる範囲では、フィーやジョナサンを題材にした大型フィギュアシリーズ、作品専用の家庭用ゲーム、大規模なカード商品や玩具シリーズが中心だったわけではない。そのため中古市場を探す場合も、フィギュアやゲームより、レコード、CD、コミックス、雑誌、ポスター、下敷きといったカテゴリーから探した方が関連品へたどり着きやすい。もちろん古い作品では、販売促進物や限定品など、現在広く記録されていない品物が見つかる可能性はあるが、確認できない品を想像だけで実在商品として扱わないことが重要である。
菓子・食品・日用品系も大規模商品化より紙もの中心
お菓子、食品、食玩、家庭用品などについても、『Oh!ファミリー』専用の商品シリーズが大量に流通した作品とは考えにくい。1980年代のアニメでは、すべての番組が食品メーカーと組んで菓子や食玩を販売したわけではなく、作品の視聴者層やスポンサーによって商品展開は大きく異なっていた。本作の場合、少女漫画原作という性格から、漫画単行本、音楽、文房具、雑誌付録など、イラストや物語そのものを楽しむ商品との相性が特に強かった。珍しい食品系商品などが中古市場へ現れた場合には、メーカー名や発売時期などを確認し、本当に当時の正式商品なのかを見極める必要がある。
中古市場では出品価格と実際の価値を分けて考える
『Oh!ファミリー』の中古商品を探す際に最も重要なのは、表示されている出品価格をそのまま市場相場と思わないことである。流通量が少ない作品では、出品者が希少性を見込んで高い希望価格を設定する場合がある。しかし実際にその価格で売買されるとは限らない。映像商品ならBOXの揃い具合、ディスク傷、リージョン、字幕・音声仕様、外箱の状態、レコードなら帯や歌詞カード、ジャケットの保存状態、コミックスなら全巻揃いと日焼け、雑誌なら付録の有無、下敷きなら擦れや書き込みの有無などが評価を左右する。約40年前の商品では状態の良さそのものが希少性につながるため、同じ商品名でも価格差が大きくなりやすい。
『Oh!ファミリー』の商品収集は1980年代という時代を集める楽しさがある
総合的に見ると、『Oh!ファミリー』の関連商品は種類の多さを競うタイプではない。しかし、その少なさこそが現在では収集の面白さになっている。原作『ファミリー!』の旧コミックス、橋本潮による主題歌の音源、『Oh!ファミリー ヒット曲集』、海外版を含む映像ソフト、アンダーソン一家が描かれた文房具、放送当時のアニメ雑誌やポスターなどを一つずつ集めていけば、テレビ放送だけでは分からない作品の歴史が見えてくる。現在では原作漫画へ比較的触れやすい一方、アニメ本編や当時物グッズは簡単には揃わない。この作品そのものには触れられるが、放送当時の商品は希少という状態が『Oh!ファミリー』のコレクション事情を特徴づけている。高額な希少品だけを追いかけるのではなく、古本、雑誌、紙もの、レコードなどを少しずつ探していくことも楽しみ方の一つである。フィー、ケイ、トレーシー、ジョナサン、ウィルフレッド、シェレン、レイフ、そしてアダムたちが描かれた品物を手にすると、単なる昔のアニメグッズではなく、1986年から1987年に『Oh!ファミリー』が放送されていた時代の空気まで一緒に集めているような感覚を味わえる。商品点数こそ限られているものの、原作、音楽、映像、雑誌、文房具という複数の角度から作品世界をたどれることが、『Oh!ファミリー』関連商品の最大の魅力なのである。
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