『艶談・源平争乱記いろはにほへと』(パソコンゲーム)

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【発売】:全流通
【対応パソコン】:PC-8801、MSX、X1、FM-7、X68000 など
【発売日】:1988年3月
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム

■ 概要・詳しい説明

源平合戦の歴史を書き換える異色の成人向けアドベンチャー

『艶談・源平争乱記いろはにほへと』は、STUDIO ANGELが開発を担当し、全流通から1988年ごろに発売された成人向けアドベンチャーゲームである。PC-8801シリーズ、MSX2、X1、FM77AV、X68000など、当時の日本国内で普及していた複数のパソコンへ展開され、源氏と平氏が激しく争った平安時代末期を舞台に、現代から迷い込んだ学生が歴史そのものを作り替えようとする物語が描かれている。

本作は、STUDIO ANGELと全流通が手掛けた「歴史絵巻アダルトアドベンチャー」と呼ばれる三部作の第1作に位置づけられる。後には戦国時代から安土桃山時代を扱った『艶談・徳川興隆記ごらくいん』、飛鳥時代の額田王を題材にした『艶談・歴史絵巻ぬかたのおおきみ』が登場した。いずれの作品も、現代人が日本史の重要な時代へ移動し、歴史上の人物や事件へ介入していくという共通した構造を持っている。

シリーズの出発点となる本作では、後世に悲劇の英雄として語られる源義経を、兄の源頼朝に代わる天下人へ押し上げようとする大胆な歴史改変が中心となる。主人公は本来の歴史を守るために過去へ向かうのではない。自分が学校の試験で書いた誤答を正解へ変えるため、日本史そのものを誤答に合わせて作り替えようとするのである。この不真面目で個人的な動機と、源平合戦という重大な歴史事件の組み合わせが、本作をほかの歴史アドベンチャーとは異なる作品にしている。

歴史の試験で失敗した学生・東国武士

主人公は、東国武士という名前の現代の学生である。名前だけを見れば勇ましい武将のようだが、実際には歴史の勉強を苦手とし、授業や試験にも十分集中できない未熟な少年として登場する。物語の発端となるのは、武士が学校の歴史試験で大きな失敗をしてしまう出来事である。

武士は試験中に居眠りし、「鎌倉幕府を開いた人物は誰か」という趣旨の問題に対して、源頼朝ではなく源義経と書いてしまう。しかも、その誤答が周囲へ知られ、思いを寄せているクラスメイトの山本静香から笑われてしまう。静香の前で格好をつけたい武士にとって、この失敗は簡単に忘れられるものではなかった。

どうにかして答案を書き直そうと考えた武士は、深夜の学校へ忍び込む。しかし、試験結果はすでに学校のコンピューターへ入力されており、紙の答案だけを書き換えても意味がない。そこで職員室やコンピュータールームにあるパソコンを操作したところ、通常の教育用機器とは思えない装置が作動し、武士は西暦1169年の京都へ送り込まれてしまう。

見知らぬ平安時代へ到着した武士は、答案を現代で訂正できないのなら、自分の書いた答えが正しくなるように歴史のほうを変えてしまえばよいと思いつく。源義経が鎌倉幕府を開いたと記録される世界を作れば、武士の答案は誤答ではなくなる。このあまりにも無謀な考えから、源平合戦の流れへ介入する長い冒険が始まる。

源義経を天下人へ導くことがゲームの目的

ゲームの大きな目的は、源義経を戦場で活躍するだけの武将や悲劇的な英雄として終わらせず、新しい時代の支配者へ導くことである。プレイヤーは未来から来た東国武士の立場で、少年時代の義経やその周囲の人物と接触し、後に起こる源平争乱の展開を予測しながら行動を選んでいく。

もっとも、過去へ到着した瞬間から自由に歴史を書き換えられるわけではない。物語は源氏と平氏の対立、京都と鎌倉の政治的な距離、奥州藤原氏と義経の関係、頼朝と義経の兄弟対立など、史実を思わせる流れに沿って進む。その中で、どの人物を救うのか、誰をどこへ向かわせるのか、情報を誰へ伝えるのかを選び、少しずつ本来とは異なる歴史へ誘導しなければならない。

源義経を天下人へするためには、単に頼朝を排除すればよいわけではない。源氏の勢力をまとめ、平氏へ対抗する段階では、頼朝の政治力や東国武士団の支持が必要になる。序盤では兄弟を協力させ、源氏全体の基盤を作り、その後に義経と頼朝へ異なる役割を与えることが重要となる。

そのため、本作は戦場で兵を動かす歴史シミュレーションというより、人物同士の関係を整える歴史パズルに近い。プレイヤーが直接操作するのは軍団ではなく、義経、頼朝、北条政子、藤原秀衡などの立場や距離である。史実を知っているほど、どの選択が後の悲劇につながるのかを予想でき、歴史をどこで変えるべきかを考える楽しみが増していく。

ゲームブックに近いコマンド選択式の進行

基本的なゲームシステムは、画面に表示される場面説明や人物の会話を読み、複数のコマンドから行動を選択する方式である。人物に話しかける、周辺を調べる、相手の後を追う、別の場所へ移動する、助ける、断るといった行動を選ぶことで、次の場面や人物の反応が変化する。

一見すると多くの道へ自由に進めるように感じられるが、すべての分岐が完全に独立した物語になるわけではない。異なる選択を行っても途中で同じ場面へ戻ったり、複数の経路が共通の失敗結末へ合流したりする。その中から、義経を天下人へ導き、現代側の問題も解決する唯一の幸福な結末を探すことになる。

この構造は、ページ番号を選びながら物語を進めるゲームブックに近い。正解を知らない初回プレイでは、どの行動が後に影響するのか判断しにくい。表面的には正しそうな選択が悪い結果を招くこともあれば、一見遠回りに見える会話や調査が重要な条件を満たすこともある。

本作では、行動の善悪だけでは正解を決められない。平氏との争いが続く段階では源氏兄弟を協力させる必要がある一方、頼朝へ権力が集中しすぎれば、史実に近い義経の悲劇が繰り返される。序盤、中盤、終盤で求められる判断が変わるため、場面の目的を考えながら選択しなければならない。

失敗を夢として処理する独自のゲームオーバー

本作を特徴づける仕掛けの一つが、歴史改変の失敗を主人公の夢として処理する構成である。誤った選択を重ねて目的を達成できない結末へ進むと、それまでの平安時代での冒険は、東国武士が歴史の試験中に見ていた夢だったことになる。そして物語は、学校の試験場面へ戻される。

単純なゲームオーバー画面を表示するのではなく、冒頭の居眠りへ自然に戻すことで、何度も挑戦する行為を物語の一部として成立させている。プレイヤーは別の可能性を夢の中で何度も試し、正しい歴史改変の道を探しているような感覚を味わえる。

さらに、夢から覚めた武士へ山本静香が投げかける言葉は、直前のプレイで誤った判断を暗示する場合がある。静香は武士の歴史知識を馬鹿にしながら、選択した行動の矛盾を遠回しに指摘する。主人公にとっては恥ずかしい会話だが、プレイヤーにとっては次の周回へ向けた攻略情報となる。

ただし、静香が正しいコマンドを直接教えてくれるわけではない。どの発言がどの場面を指しているのかを考え、以前の選択と照らし合わせる必要がある。失敗した場面、人物、選択肢をノートへ記録しておけば、同じ間違いを繰り返しにくくなる。

東国武士と山本静香を結ぶ現代側の物語

東国武士は、歴史を守る使命を持つ英雄ではなく、自分の失敗を認めたくないという理由から行動を始める。身勝手で調子のよい面を持つ一方、プレイヤーと同じように歴史を学び直し、失敗を重ねながら正しい判断へ近づいていく人物でもある。

山本静香は、武士が思いを寄せるクラスメイトであり、物語の始まりと終わりをつなぐ重要人物である。彼女に笑われたことが武士の行動を引き起こし、失敗時には攻略の手掛かりを与え、幸福な結末では現代に戻った武士の前へ現れる。単なる恋愛対象ではなく、物語の採点者や案内役としても機能している。

また、静香は源義経と深い関係を持った静御前の血を引く人物として設定され、現代の恋愛関係と平安時代の人間関係が重ねられている。武士の同級生である「ひろき」は静香と交際している人物として描かれ、武士にとって恋愛面での競争相手となる。武士が歴史を変えようとする背景には、試験の失敗を隠すだけでなく、静香の前で自分の価値を証明したいという感情も存在する。

源義経・源頼朝・弁慶・政子・静御前

過去の世界では、源義経が物語の中心人物となる。後世には天才的な軍事指揮官として語られながら、兄の源頼朝と対立し、奥州で命を落とした人物である。本作では、その運命を未来人の知識によって変え、頼朝に代わる天下人へ育てることが目的となる。

源頼朝は、本来の歴史では鎌倉を本拠として武家政権を築く人物である。義経を天下人にする計画にとって大きな障害に見えるが、源氏をまとめる政治力を持つため、簡単に排除することはできない。どの段階で頼朝と義経を協力させ、いつ役割を分けるかが重要になる。

武蔵坊弁慶は義経を支える豪傑として登場し、北条政子は頼朝の妻として鎌倉側の政治的な人間関係を象徴する。静御前は義経と結びついた女性として描かれ、現代の山本静香との血縁設定を通じて、過去と未来をつなぐ存在となる。

このほかにも藤原秀衡をはじめとする奥州の人物、平氏側の人々、物語独自の女性などが登場する。史実上の有名人物と架空の人物を組み合わせることで、戦乱、政略、恋愛、成人向け場面を含む独自の歴史絵巻が作られている。

複数のパソコンへ展開された1980年代後半の作品

対応機種にはPC-8801シリーズ、MSX2、X1、FM77AV、X68000などがあり、当時の主要な国産パソコン市場へ幅広く展開された。パソコンごとに画面表示能力、色数、音源、入力機器、フロッピーディスクの規格が異なるため、基本的な物語は同じでも、操作感や画面の印象には違いがある。

PC-8801系ではテンキーを中心に選択肢を操作する古典的な形式が用いられ、X68000版ではマウス操作にも対応していた。ディスク構成も機種によって異なり、それぞれの記録容量や本体性能に合わせて商品仕様が調整されていた。

正確な販売本数や売上高は公表資料が乏しく、大ヒット作だったと数字を挙げて断定することはできない。しかし、本作の後に第2作、第3作が制作され、三部作として展開されたことから、歴史改変と成人向けアドベンチャーを組み合わせる企画には一定の反響や商品性があったと考えられる。

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■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター

歴史を覚えるのではなく正解となる歴史を作る面白さ

『艶談・源平争乱記いろはにほへと』最大の魅力は、すでに決まっている日本史の結末を知りながら、あえて別の歴史を成立させる方法を探すところにある。主人公の誤答を正解にするため、源義経を源頼朝に代わる天下人へ導くという目的は、数ある時間旅行作品の中でも非常に風変わりである。

一般的な歴史ゲームでは、史実に沿って軍勢を動かしたり、武将を育成したりすることが中心になる。これに対して本作では、誰を信頼するのか、どの人物をどこへ向かわせるのか、いつ情報を伝えるのかという判断が重要となる。プレイヤーが動かすのは軍団ではなく、歴史上の人物を結ぶ関係である。

源義経の武勇だけを高めても天下人にはなれない。頼朝、北条政子、藤原秀衡、京都や鎌倉の勢力などとの関係を整えなければ、安定した新しい歴史は成立しない。史実どおりなら義経が頼朝と対立することを知ったうえで、その原因となる政治的な行き違いを防ぐ必要がある。

重要な分岐を見抜くゲームブック型の攻略

ゲームには多くの選択肢が登場するが、すべての分岐が同じ規模で展開するわけではない。別の行動を選べば異なる場面を見ることができるものの、歴史改変に必要な条件を満たしていなければ、最終的には共通する失敗結末へ進みやすい。

攻略では、表示された選択肢を無作為に試すのではなく、それまでの会話や歴史的な状況から、各人物が次に何を必要としているのかを考えることが重要である。義経を天下人にしたいからといって、頼朝を最初から敵として扱えばよいわけではない。平氏との戦いが続く段階では源氏側をまとめ、兄弟を協力させる必要がある。

一方で、頼朝だけへ政治権力を集中させれば、結局は本来の歴史に近い力関係が完成してしまう。序盤では兄弟を結びつけ、中盤以降に頼朝と義経へ別々の役割を与えるという段階的な調整が必要となる。

静香の言葉を失敗原因の分析に利用する

ゲームオーバー後に現れる山本静香の発言は、攻略上の重要な手掛かりである。彼女は東国武士の知識不足を笑いながら、直前のプレイで生じた歴史的な矛盾を遠回しに指摘することがある。

攻略時には、静香の会話を読み飛ばさず、誰をどこへ向かわせたか、どの人物へ情報を伝えたか、誰を助けたかを振り返る必要がある。失敗の原因が直前の選択とは限らず、序盤の小さな判断が終盤で影響する場合もある。そのため、地名、人物名、選択した行動を簡単に記録すると進めやすい。

現代の学校では静香とひろきに接触する

物語序盤の学校場面は、平安時代へ移動するまでの導入であると同時に、最終的な結末へ関係する条件を整える場面でもある。早くタイムスリップしようとして会話を省略するのではなく、静香とひろきの様子を確認し、教室や校門で二人と接触しておくことが大切である。

コンピュータールームでは、すぐに機械へ触れるのではなく、室内や引き出しを調べてからパソコンを操作する。現代側の人物関係や学校内の情報を確認してから過去へ移動することで、終盤に静香が現れるための条件を整えられる。

橋では少年を助け延暦寺で信頼を築く

1169年の京都へ移動した後、橋の上で起こる出来事が最初の大きな分岐となる。ここでは周囲から状況を聞き、争いに巻き込まれている少年の側へ立ち、その少年と行動を共にする道が重要となる。

少年を見捨てたり、別の人物だけを追いかけたりすると、異なる場面を見ることはできても、義経を天下人へ導く本来の目的から外れやすい。延暦寺へ移動した後も、一度話しただけで離れず、会話を重ねて信頼関係を作る必要がある。

主人公は未来から来た人物だが、過去の人々から見れば突然現れた不審な若者である。未来の知識を持っているだけでは信頼されず、行動と会話によって味方として認めてもらわなければならない。

平泉では複数の人物から意見を聞く

物語が平泉へ進むと、藤原秀衡、義経、楓などの人物と接触する。ここでは主人公が未来の知識だけを頼りに方針を決めるのではなく、それぞれの人物から十分に意見を聞いた後、最後に自分が発言することが重要となる。

未来人だから常に正しいわけではなく、その時代を生きる人物の事情や考えを知る必要がある。秀衡は奥州における政治的な後ろ盾、義経は歴史を変える中心人物、楓はゲーム独自の人間関係を支える存在として異なる役割を持っている。

複数回の会話は冗長に見えるが、人物同士の合意を形成し、協力関係を築く過程として意味を持つ。会話を省略したり、一人の意見だけで行動したりすると、後の分岐に必要な条件が不足する可能性がある。

大輪田泊と富士川では行動力と信頼が必要

平泉で方針を定めた後、大輪田泊に関する場面へ進む。ここでは状況を観察しているだけではなく、船に対して積極的な行動を取ることが正しい流れにつながる。序盤では慎重な調査が必要だったが、この段階では好機を逃さず行動する勇気が求められる。

続く富士川では、近づいてくる人物を疑い続けるのではなく、味方だと信じて接近する判断が重要となる。歴史を変えるためには、すべての相手を警戒するだけでなく、信頼できる人物を見分け、必要な場面で協力しなければならない。

頼朝と義経を一度協力させた後に分担させる

中盤以降で最も重要になるのが、源頼朝と源義経の配置である。最初の段階では、二人を鎌倉へ向かわせて源氏側の基盤を整える必要がある。早い段階から兄弟を別々に行動させると、連携が不足し、後の政治的な配置変更が機能しにくくなる。

鎌倉では北条政子に関係する場面があり、彼女についていきながらも、すべての問いへ安易に同意しない判断が必要となる。政子へ無条件に迎合すると、頼朝を中心とする史実に近い体制が強まり、義経の立場を高める余地が小さくなる。

その後、頼朝を鎌倉、義経を京都へ配置する。頼朝には東国の武士や鎌倉の政治をまとめさせ、義経には京都と西国で軍事的・象徴的な役割を与える。頼朝を排除せず、二人の能力を異なる場所で生かすことで、源氏全体を崩さずに義経の立場を高められる。

北条政子は攻略上の重要人物

北条政子は、源義経や静御前ほど物語の表面で目立たないように見えるが、攻略上では鎌倉の権力構造を理解するための重要人物である。政子についていくか、どのように返答するか、終盤で再び会いに行くかといった選択が幸福な結末へ影響する。

義経を天下人へしたいからといって、頼朝や政子を敵視するだけでは新しい歴史を成立させられない。彼女と接触し、鎌倉側の動向を把握しながら、頼朝へ権力が集中しすぎないよう調整する必要がある。

京都では救助・追跡・情報伝達を行う

義経を京都へ向かわせた後は、木曾義仲や巴御前を思わせる人物、平氏側の人々などが関係する複雑な局面へ進む。ここでは困っている尼を助け、義仲を追い、得られた情報を鎌倉にいる頼朝へ知らせた後、平氏との戦いへ向かう流れが重要となる。

義経だけで平氏を倒そうとするのではなく、頼朝とも情報を共有し、源氏全体として行動させる必要がある。成人向けの寄り道や個別の女性に関係する分岐も存在するが、それらをすべて通過することが幸福な結末の必須条件とは限らない。

最短でクリアを目指す場合は、成人向け場面の回収より、歴史上の人物配置と情報伝達を優先したほうがよい。すべての場面を見たい場合は、一度正しい結末へ到達してから、重要な分岐の直前に残したセーブデータを利用して別の道を確認すると効率的である。

平氏滅亡場面には複数の救助分岐がある

物語終盤では、滅亡へ向かう平家の人々をどのように扱うかという選択が登場する。安徳天皇、二位尼、建礼門院などに関係する救助の道があり、誰を助けるかによって内容が変化する。

この場面では複数の選択が許容され、特定の一人だけを助けなければ幸福な結末へ進めないという完全な一本道ではない。プレイヤーがどの人物を救いたいかによって異なる展開を見る余地が残されている。

ただし、現在の基準では扱いに注意が必要な成人向け表現も含まれる。作品の保存や研究上の価値と、表現内容への批判的な視点は分けて考える必要がある。

現代へ戻った後の静香が最終判定となる

平氏との争いを終えただけでは、完全な幸福な結末にはならない。京都での事件後には北条政子と再び接触し、鎌倉側との関係を最後まで維持する必要がある。

やがて場面は現代の教室へ戻り、武士は山本静香と会話する。その後コンピュータールームへ向かい、そこで静香が現れれば、過去と現代の双方に関係する条件を満たしたことになる。静香が現れない場合は、序盤の会話、少年の救助、平泉での意見収集、頼朝と義経の配置、政子との関係などを見直す必要がある。

攻略の基本方針

序盤の現代では静香とひろきの関係を確認し、学校内を調べてからコンピューターへ触れる。過去へ移動した後は橋で少年を助け、延暦寺で会話を重ねる。平泉では秀衡、義経、楓の意見を十分に聞き、主人公が最後に方針を決める。

中盤では大輪田泊で積極的に行動し、富士川では味方を信じる。頼朝と義経は最初から対立させず、いったん二人を鎌倉へ集める。鎌倉では政子に接触しながら、全面的には同意しない。その後、頼朝を鎌倉、義経を京都へ分ける。

京都では救助と追跡を行い、情報を頼朝へ伝えてから平氏との決戦へ進む。戦いの後も政子との接触を忘れず、現代へ戻ったら教室で静香と話し、最後にコンピュータールームへ向かう。

セーブデータを分けられる場合は、「橋の前」「平泉到着」「頼朝と義経の配置前」「京都到着」「平氏決戦前」「現代帰還後」など、大きな場面ごとに記録しておくとよい。特別な隠しコマンドよりも、選択を記録し、静香の助言を分析する地道な方法が最大の必勝法となる。

好きなキャラクターとしての源義経

登場人物の中で作品を最も象徴するのは、やはり源義経である。主人公が歴史を変える目的そのものであり、彼の運命をどのように救うかがゲーム全体の中心になる。

義経は戦場で優れた働きを見せながら、政治的には孤立していく人物として知られる。本作では義経を単純に強化するのではなく、彼が孤立しないよう周囲の関係を整える。頼朝と協力させ、秀衡の支援を得て、京都で役割を与えることで、史実とは異なる未来を作る。

義経の悲劇は戦闘能力の不足ではなく、政治的な立場と人間関係の弱さによって生じる。本作の攻略は、その弱点を未来人の知識で補う物語になっており、歴史改変の面白さを最も強く感じさせる人物である。

山本静香も作品を支える中心人物

山本静香は過去の合戦に参加する武将ではないが、物語を成立させるうえで欠かせない。武士が過去へ向かう原因となり、失敗時に助言し、最終的な幸福な結末を確認する役割を持つ。

静香は主人公へ都合よく好意を示すだけの人物ではない。武士の間違いを厳しく指摘し、曖昧な知識を許さない。その厳しさがプレイヤーを正解へ導く機能となっており、義経とは別の意味で本作を代表するキャラクターである。

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■ 感想・評判・口コミ

大規模な評価記録が残りにくい作品

『艶談・源平争乱記いろはにほへと』は、家庭用ゲーム機の人気作品のように、大量のレビューや読者投票、販売本数が残されているタイトルではない。発売当時の成人向けパソコンゲームは、専門誌の紹介、販売店の広告、ユーザー同士の情報交換によって知られることが多く、現在のような投稿型レビューサービスも存在しなかった。

そのため、本作の評判を考える際には、明確な平均点ではなく、後年の回顧、攻略記録、レトロパソコン愛好家の言及などから、どの部分が印象に残ったのかを読み取る必要がある。

限られた情報の中でも、本作が単なる成人向け作品としてではなく、源平合戦を題材にした歴史改変ゲームとして記憶されている点は重要である。歴史の試験で誤答した学生が、その答えを正しくするために義経を天下人へ変えようとする導入は、作品を知らない人にも説明しやすく、強い印象を残す。

物語設定の珍しさは好意的に受け止められやすい

好意的な評価の中心となりやすいのは、物語の発想である。主人公が歴史研究者や軍人ではなく、試験の失敗を隠したい学生であることが、源平合戦という重厚な題材へ軽快な入口を作っている。

自分の誤りを認めて勉強し直すのではなく、日本史そのものを変更しようとする主人公の行動は無茶だが、その無茶を本当に実行してしまうところからゲームが始まる。源義経を天下人にすることがどれほど難しいかを知っている人ほど、作品の目的に興味を持ちやすい。

義経を救うだけなら頼朝を倒せばよいように見えるが、それでは源氏の政治的な基盤が崩れる。頼朝の政治力を利用しながら、義経へ別の役割を与える必要があり、単純な英雄救済では終わらない点が評価されやすい。

歴史を知っているほど選択の意味が深くなる

源義経、源頼朝、北条政子、弁慶、静御前、藤原秀衡など、知名度の高い人物が登場するため、歴史に詳しくなくても物語の中心は理解しやすい。一方、人物同士の関係や後の運命を知っていれば、なぜその行動が危険なのか、なぜ兄弟を一度協力させる必要があるのかを考えながら遊べる。

特に、義経だけが善で頼朝だけが悪という単純な構図にしていないところは興味深い。義経を救うためにも、頼朝の政治力や政子の影響力が必要となる。義経の軍事能力だけでは政権を維持できず、周囲の支援や役割分担が必要だと分かる。

夢として処理される失敗は印象的

歴史改変に失敗すると、それまでの出来事が試験中の夢として処理される構成は、本作の中でも印象に残りやすい。何度も最初から挑戦することが、システム上のやり直しではなく、主人公が異なる可能性を夢の中で試しているように見える。

静香の発言が攻略ヒントとして働く点も面白い。現代のゲームのように失敗理由を数値や一覧で表示するのではなく、登場人物の会話として助言する。物語とシステムを結びつける工夫として、現在見ても個性的である。

一方、同じ冒頭場面を繰り返すことや、失敗原因が分かりにくいことを煩わしいと感じる人もいる。数回の挑戦では面白くても、同じ会話を何度も読むうちに作業感が強くなる可能性がある。

ゲームブック型の試行錯誤を楽しめる人向け

選択式アドベンチャーが好きな人にとって、本作には分岐を記録しながら正しい道を探す楽しさがある。正解だけを追うのではなく、あえて誤った選択を行い、どのような失敗結末になるのかを確かめる遊び方もできる。

当時は攻略サイトをすぐに閲覧できなかったため、ノートへ選択肢を書き留め、友人や雑誌の情報を利用しながら進めることもゲーム体験の一部だった。現在でも、最初から完全な攻略手順を見るより、一度は自分で判断し、静香から指摘される体験をしたほうが本作の構造を理解しやすい。

成人向け場面だけを期待すると印象が異なる

題名に「艶談」と付くため、成人向け画像を主な目的として遊んだ人もいたと考えられる。しかし、本作は短い操作だけで次々と画像を見られる作品ではなく、長い歴史物語を読み、多数の分岐を乗り越える必要がある。

成人向け要素だけを素早く楽しみたい人からは、会話が長い、歴史説明が多い、攻略が面倒だという不満が出やすい。一方、物語の中に成人向け場面が組み込まれた長編アドベンチャーとして見る人からは、ゲーム部分がしっかりしていると受け止められる。

成人向け場面をすべて通過しなくても幸福な結末へ進めることから、歴史改変の成功と場面回収はある程度分けられている。物語を優先する人と、分岐をすべて確認したい人が異なる遊び方を選べる。

主人公の軽さは評価を分ける

源平合戦を厳粛な歴史悲劇として扱う作品を期待する人には、主人公の動機が軽すぎると感じられる可能性がある。歴史上の人物の人生を、自分の試験答案のために変更しようとする行動は、冷静に考えれば身勝手である。

一方で、その落差こそ本作の個性でもある。最初は答案を書き換えるだけのつもりだった学生が、頼朝と義経の関係や平氏滅亡の悲劇へ巻き込まれ、多くの人々の運命に責任を持つことになる。学園コメディのような導入から歴史絵巻へ発展する構成には、独特の広がりがある。

東国武士への感情移入は好みが分かれる

東国武士は、親しみやすい未熟な主人公と見ることもできれば、無責任で頼りない人物と見ることもできる。歴史に詳しくないため、プレイヤーと同じ立場で失敗し、静香に指摘されながら学び直していく。

最初からすべてを理解している主人公ではないため、プレイヤーが選択を誤っても物語上の不自然さが少ない。一方、義経や静御前の人生を自分の都合で変えようとする点に感情移入できず、主人公より歴史上の人物のほうが魅力的だと感じる人もいる。

山本静香は厳しい案内役として好印象

山本静香は武士を笑い、間違いを指摘するため、一見すると冷たい人物に見える。しかし、物語の始まり、失敗時の助言、幸福な結末の判定という重要な役割を担っている。

主人公へ都合よく接するのではなく、誤りは誤りとして指摘する姿勢が、攻略システムと結びついている。歴史上の有名人物が多数登場する中でも、現代の学生である静香が強い印象を残すのは、ゲーム全体の進行へ深く関係する人物だからである。

義経を救済できる展開は歴史ファンの願望に応える

源義経は日本史上でも特に人気の高い悲劇的英雄である。本作で義経を天下人へ導けることは、史実では救われなかった人物に別の未来を与えたいという歴史ファンの願望に応える。

義経を頼朝へ反逆させるだけではなく、一度は兄弟を協力させ、後に異なる役割を持たせる構成には、歴史改変物として一定の説得力がある。頼朝の政治力と義経の軍事力を両立させることで、史実とは別の源氏政権を作ろうとする。

当時らしいグラフィックへの評価

発売当時は、歴史上の衣装や背景、女性キャラクター、成人向け場面をカラーグラフィックで見られること自体が商品の魅力だった。限られた色数や解像度の中で、人物の表情、着物、寺院、京都や平泉の雰囲気が描かれている。

現在の高解像度作品に慣れた人には、人物の形が硬い、背景が簡素、同じ静止画が長く表示されると感じられる可能性がある。しかし、レトロパソコンゲームの表現を好む人にとっては、粗いドットや限定された色、機種ごとの画面の違いが魅力となる。

攻略難度は理不尽さと達成感を併せ持つ

本作の難しさは反射神経ではなく、選択肢の因果関係を理解できるかどうかで決まる。人物へ何回話しかけるか、どの順番で意見を聞くかなど、初見では判断しにくい条件も存在する。

こうした不親切さを、昔のアドベンチャーゲームらしい歯応えとして楽しめる人もいる。ノートを作り、何度も失敗し、静香のヒントを利用して正解へ到達したときには大きな達成感が得られる。

反対に、物語上は重要に見えない会話回数が結末へ影響したり、かなり前の選択が原因で終盤に失敗したりすることを、理不尽な総当たりだと感じる人もいる。攻略情報をどこまで利用するかによって、難度と評価は大きく変化する。

資料的価値も高まっている作品

現在では、純粋なゲームとしての面白さだけでなく、1980年代後半の成人向けパソコンゲーム文化を知る資料としても注目できる。全流通とSTUDIO ANGELの作品であること、歴史絵巻三部作の第1作であること、複数の国産パソコンへ展開されたことは、当時の市場の多様さを示している。

外箱、ディスクラベル、説明書、機種別の画面なども、当時の商品がどのように作られていたかを知るための資料になる。遊びやすさより企画の個性や歴史的な位置づけを評価する人にとって、興味深い一本である。

総合的な評判は不親切だが忘れにくい作品

本作への感想を総合すると、「遊びにくさはあるが、設定が非常に印象的な作品」とまとめられる。好意的な人は、奇抜な導入、ゲームブック的な分岐、静香の助言、義経救済、レトログラフィックを評価する。

否定的な人は、分岐条件の分かりにくさ、繰り返しの多さ、展開の遅さ、歴史物語と成人向け表現の不均衡を問題にする。どちらの評価も本作の特徴から自然に生まれるものであり、一方だけが正しいとは言い切れない。

歴史に関心がなく、古いアドベンチャーゲームの操作にも慣れていない人には勧めにくい。一方、源平合戦が好きな人、義経の異なる未来を見たい人、選択肢を記録しながら攻略することが好きな人には、独特の魅力を感じられる作品である。

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■ 当時の宣伝・現在の中古市場など

パソコン専門誌と販売店が宣伝の中心だった時代

本作が発売された1988年は、インターネット通販、動画配信、SNS広告などが存在しなかった。パソコンゲームの新作情報を知る主な手段は、パソコン専門誌、ゲーム情報誌、メーカー広告、販売店の商品案内、店頭に並べられた外箱などであった。

当時は総合パソコン誌、機種別専門誌、ゲーム情報誌などが多数刊行され、成人向けゲームも新作紹介欄やメーカー広告、読者向け企画などで扱われていた。秋葉原をはじめとするマイコンショップは、商品を購入するだけでなく、新作情報やユーザー同士の評判を知る場所としても機能していた。

ただし、本作の広告が具体的にどの雑誌の何年何月号へ掲載されたのか、何ページの広告が組まれたのかを示す完全な資料は乏しい。そのため、特定の雑誌で大規模な宣伝が行われたと断定することはできない。一般的な時代背景から考えれば、雑誌広告、新作一覧、販売店の商品リスト、パッケージ展示などを通じて認知された可能性が高い。

題名だけで歴史物と成人向け作品を示す

「艶談」という言葉は男女関係や成人向けの内容を連想させ、「源平争乱記」は源氏と平氏の戦いを題材にした歴史作品であることを示す。さらに「いろはにほへと」という古典的な響きを持つ題名を組み合わせることで、一般的な現代恋愛物とは異なる和風歴史アドベンチャーであることを印象づけている。

多数の成人向けパソコンソフトが発売されていた時代には、美少女が登場するだけでは他作品との差を作りにくかった。本作は源義経、源頼朝、静御前、北条政子、弁慶などの有名人物と、現代の学生が歴史へ介入する物語を組み合わせることで独自性を示していた。

特に、歴史の試験で誤答した主人公が、答案を訂正せずに義経を天下人へ変えようとする導入は、短い説明でも内容を伝えやすい。学園コメディ、時間旅行、歴史改変、成人向け要素を一度に紹介できるため、宣伝上も強い特徴になったと考えられる。

外箱と画面写真が購入判断を左右した

当時の利用者は、購入前に長時間の動画や無料体験版を見ることが難しかった。そのため、外箱のイラスト、裏面の画面写真、登場人物紹介、説明書に記された物語が重要な判断材料となった。

本作のような成人向け歴史アドベンチャーでは、和装の女性キャラクター、源平合戦を連想させる背景、会話や選択肢が表示されたゲーム画面などによって、作品の雰囲気を伝える必要があった。

販売店では、同じ作品でも対応機種ごとに別の商品として並べられた。利用者は所有するPC-8801、MSX2、X1、FM77AV、X68000などに対応した版を選び、ディスク規格や本体仕様を確認して購入する必要があった。

複数機種への展開が認知を広げた

当時の国内パソコン市場は、一つの統一規格へ集約されていなかった。NEC、シャープ、富士通、MSX規格などが、それぞれ異なる利用者層を持っていた。そのため、複数機種へ移植することは、異なる専門誌や販売店へ作品を露出させる意味を持っていた。

PC-8801版はPC-88用アドベンチャーとして、MSX2版はMSX専門誌や専用売り場で、X68000版は高性能な16ビットパソコン向け作品として紹介できる。対応機種が増えるほど、新作一覧や価格表に作品名が掲載される機会も増える。

ただし、すべての機種版が同じ数量だけ生産されたとは限らない。本体の普及台数や成人向け作品への需要が機種ごとに異なり、現在の中古市場でも出現数や査定額に差が見られる。

定価6800円前後の商品

本作の発売時価格は6800円前後とされ、1980年代後半のパッケージ型パソコンゲームとしては一般的な範囲だった。同時期には5800円、6800円、7800円、9800円以上の作品もあり、本作は中間的な価格帯に位置していた。

フロッピーディスク、外箱、説明書などを含む商品であり、購入者は同じ価格を支払っても、自分の所有するパソコンに対応した版を選ぶ必要があった。現在では機種違いが収集価値へつながるが、当時は正常に起動できる版を選ぶことが最優先だった。

正確な販売本数は確認できない

本作について、出荷本数、実売本数、売上金額、市場占有率などの明確な数字は公表資料が乏しい。そのため、大ヒット作だった、何万本を販売したといった断定は避ける必要がある。

成人向けパソコンゲームは、家庭用ゲーム機の人気作ほど販売本数が公表されず、発売元や開発会社が活動を終えた後には内部資料も残りにくい。現在の知名度や中古価格から発売当時の本数を推定することもできない。

ただし、本作の後に『艶談・徳川興隆記ごらくいん』と『艶談・歴史絵巻ぬかたのおおきみ』が制作されたことから、単発で終わらずシリーズを継続できる程度の反響や商品性はあったと考えられる。

現在は常時購入できる作品ではない

現在、本作は大手中古ゲーム店でも常に在庫がある商品ではない。商品情報が登録されていても在庫切れとなっていることが多く、購入希望者は再入荷、店頭在庫、インターネットオークション、フリマ出品などを待つ必要がある。

発売から長い年月が経過していること、フロッピーディスク商品であること、成人向け作品として流通範囲が限られていたこと、外箱や説明書が処分されやすかったことなどが、出品数の少なさにつながっている。

また、PC-8801、X1、FM77AV、X68000などの実機を現在も保有している人は限られ、動作確認には対応本体や正常なディスクドライブが必要になる。中古品には動作未確認、ディスクのみ、説明書なしといった状態のものも多い。

機種によって市場評価が異なる

中古市場では、MSX2版が比較的高い価格や査定額を付けられる傾向が見られる。背景には、国内外にMSX収集家が存在すること、成人向けMSXディスクソフトの現存数が限られること、箱や説明書のそろった商品が見つかりにくいことなどが考えられる。

一方、X1版やFM77AV版の価格が低く表示される場合があっても、ゲームとしての完成度が劣ることを意味するわけではない。中古価格は店の在庫数、購入希望者の数、過去の販売速度、対応機種の収集人口などに左右される。

ディスク単品と完品の価格差

中古市場では、ディスクだけの商品と、外箱や説明書がそろった完品では価格が大きく異なる。ディスク単品は数千円程度で取引される場合がある一方、保存状態のよい箱付き商品には、それを大きく上回る販売価格が設定されることもある。

ただし、販売店が表示した価格と、実際に購入者が支払った落札額は同じではない。販売価格は店や出品者の希望額、買取価格は店が商品を仕入れる基準、落札価格は実際の取引成立額である。相場を調べる際には、それぞれを区別する必要がある。

価格が一直線に上昇したとは断定できない

本作には、毎年の平均落札額や取引件数を連続して記録した十分な公開統計がない。そのため、何年間で何倍になった、毎年値上がりしているといった具体的な価格推移は示せない。

フロッピーディスクや外箱付き完品が減少すれば、保存状態のよい商品は希少になる可能性がある。一方、対応本体を所有する購入者も減少するため、希少になれば必ず価格が上がるわけではない。

過去最高の落札額についても、すべてのオークション、店頭販売、個人取引を網羅した記録はなく、確定できない。高額な出品が存在しても、その価格で売れたとは限らないため、最高出品額を最高落札額として扱うべきではない。

三部作セットには別の収集価値がある

本作は歴史絵巻三部作の第1作であるため、収集家の中には同じ機種版で三作品をそろえようとする人もいる。PC-8801版三部作、MSX2版三部作、X68000版三部作など、対応機種を統一した完品セットは単品以上に見つけにくい。

ただし、セット販売の価格には複数作品の価値が含まれるため、本作一作だけの相場として扱うことはできない。何作品が含まれているか、各作品の箱と説明書がそろっているか、機種が統一されているかを確認する必要がある。

購入時にはディスクの状態を確認する

現在本作を購入する場合、最も注意したいのはフロッピーディスクの状態である。外見がきれいでも磁性面が劣化し、読み込めない可能性がある。「動作未確認」「起動のみ確認」「最後までプレイ確認済み」では信頼度が異なる。

複数枚のディスクを使用する版では、一枚欠けただけでも最後まで遊べない可能性がある。ディスク番号、枚数、ラベル、対応機種を写真や説明で確認する必要がある。PC-8801版とX1版は同じ大きさのディスクであっても互換性はない。

外箱、説明書、操作表、登録カードなどの付属品は、収集価値だけでなく、操作方法や物語設定を知る資料にもなる。本作のように公開情報が少ない作品では、説明書や外箱にしか残されていない情報が存在する可能性もある。

遊ぶ目的と収集目的で選び方が変わる

実際に遊ぶことを目的とする場合は、箱の美しさよりもディスクの動作確認を優先したほうがよい。説明書がなくても操作方法を別に確認できるなら、ディスク単品を比較的低い価格で購入できる可能性がある。

収集目的の場合は、多少高額でも外箱、説明書、ディスクがそろった商品を選ぶほうがよい。不足した説明書や箱だけを後から探すことは、本体商品を探す以上に難しい場合がある。

高額商品についても、出品者の希望価格が市場相場を正確に反映しているとは限らない。過去の取引、専門店の査定、付属品、動作状況を比較して判断する必要がある。

公式復刻が少ないため現物市場へ依存する

本作には、現行パソコン向けの一般的な公式移植や広く利用できるダウンロード販売が確認しにくい。そのため、合法的に所有して遊ぶには、当時の中古パッケージを探す方法が中心となる。

古い成人向け作品を復刻するには、発売元や開発元の権利、画像や音楽の権利、現代環境への対応、現在の表現基準など、多くの問題を整理しなければならない。公式復刻が行われない状態では、現存する外箱、説明書、ディスク、雑誌記事などの資料的価値が高まっていく。

中古品そのものが作品史を伝える資料

発売当時の販売本数や広告資料が十分に残されていない現在、外箱、説明書、雑誌の記事、店舗の商品リスト、オークション写真などは、作品の存在と販売形態を証明する重要な資料となる。

本作の中古品は、単なる古いゲームソフトではない。どの機種へ移植され、どのようなディスク構成で販売され、どの会社名が記されていたのかを知る実物資料でもある。1980年代の国産パソコン文化と成人向けアドベンチャーの歴史を伝える保存対象として、現在も一定の価値を持っている。

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■ 総合的なまとめ

誤った答案を正解に変えるという発想が最大の魅力

『艶談・源平争乱記いろはにほへと』は、1988年ごろの国産パソコン市場で登場した成人向けアドベンチャーゲームでありながら、単純な恋愛作品や画像鑑賞作品には収まらない、非常に個性的な歴史改変劇である。

歴史の試験で「鎌倉幕府を開いたのは源義経」と誤答した東国武士が、その答えを訂正するのではなく、過去へ移動して義経を天下人にすることで答案を正解へ変えようとする。この無茶な発想が作品全体を支える最も強い特徴である。

物語の入口は軽い学園コメディだが、主人公が向かうのは源氏と平氏が争い、武家政権の成立へ進んでいく平安時代末期である。個人的な失敗から始まった行動が、京都、鎌倉、平泉を巻き込み、多くの歴史人物の運命へ影響を与えていく。

義経だけを強くしても歴史は変えられない

本作で重要なのは、義経一人を英雄として押し上げるだけでは新しい歴史を成立させられないことである。頼朝の政治力、北条政子の影響力、藤原秀衡の支援、鎌倉と京都の役割分担を利用しなければならない。

序盤では頼朝と義経を協力させ、源氏の基盤を作る。その後、頼朝を鎌倉、義経を京都へ配置し、それぞれの能力を別の地域で生かす。頼朝を完全に排除するのではなく、源氏全体を維持したまま義経の立場を高めるところに、本作の歴史改変ゲームとしての面白さがある。

ゲームオーバーと物語を結びつけた構成

失敗した冒険を夢として処理し、試験場面へ戻す仕掛けは、本作を記憶に残る作品にしている。静香の言葉が失敗原因のヒントになるため、ゲームオーバーは単なる罰ではなく、次の挑戦へ必要な情報を得る過程となる。

一方で、失敗の原因がすぐには判明せず、序盤の会話不足が終盤へ影響する場合もある。現代のゲームほど親切ではなく、ノートへ選択を記録しながら進める必要がある。この不便さを歯応えと感じるか、理不尽さと感じるかで評価は分かれる。

成人向け作品でありながら攻略と物語を重視

本作には成人向け場面が含まれるが、画像を短時間で見るだけの作品ではない。学校から平安時代へ移動し、京都、平泉、鎌倉を巡りながら歴史を変更する長編アドベンチャーとして作られている。

成人向けの寄り道と歴史改変の成功条件は、ある程度別々に設定されている。すべての場面を回収しなくても幸福な結末へ進めるため、物語を優先する遊び方と、分岐を広く調べる遊び方の両方が可能である。

ただし、現在では問題視される表現や人物の扱いも含まれる。企画やゲーム構造の独創性を評価しながら、表現内容については当時の文化的背景と現代の基準を分けて考える必要がある。

PC-8801版の特徴

PC-8801系は、1980年代の国内アドベンチャーゲーム市場を代表する機種であり、本作もテンキーを中心とした古典的な操作で進行する。使用できる色数や画面表現には制約があるが、その制限の中で描かれた人物や和風背景には、PC-88作品らしい味わいがある。

本作が発売された時代の雰囲気を重視する人にとって、PC-8801版は象徴的な存在となる。派手な演出よりも、文章と静止画をじっくり読み進めるレトロアドベンチャーらしい感覚を味わえる。

MSX2版の特徴

MSX2版は、MSX2のグラフィック機能を利用して移植された版であり、現在ではコレクター市場でも注目されやすい。MSXには国内外の愛好家が存在し、成人向けディスクソフトの現存数も限られるため、完品には高い収集価値が生じる場合がある。

ただし、中古価格が高いことと、ゲームとしてほかの機種版より優れていることは同じ意味ではない。基本的な物語と選択構造は共通しており、MSX2版独自の価値は画面の雰囲気、実機で遊ぶ体験、収集性などにある。

X1版の特徴

X1版は、シャープ製8ビットパソコンの利用者向けに用意された移植版である。X1特有の画面表示や入力環境で同じ歴史改変物語を体験できる。

中古市場でほかの機種版より低い査定が表示される場合があっても、作品としての完成度が低いことを意味しない。中古価格は機種ごとの収集人口や在庫状況に左右されるため、ゲーム内容の評価とは分けて考える必要がある。

FM77AV版の特徴

FM77AV版は、多色表示を得意とした富士通系パソコン向けの版である。アドベンチャーゲームでは人物や背景の色彩が印象を左右するため、和装や歴史的な風景を描く本作との相性はよい。

ただし、実際の遊びやすさは画面能力だけでなく、本体やディスクドライブの状態、読み込み速度にも左右される。現在実機で遊ぶ場合は、ソフトだけでなく対応環境を維持する難しさも考慮しなければならない。

X68000版の特徴

X68000版は16ビット機としての性能を生かし、8ビット機版より画面や操作環境に余裕を持たせやすい。マウス操作にも対応し、テンキーだけで選択する版より直感的に進められる。

複数機種版の中では、操作性や表示能力を重視する人に向く版といえる。ただし、本作の中心は派手な映像や音楽ではなく、文章、分岐、人物関係であるため、高性能な機種版が唯一の決定版になるわけではない。

どの機種版にも異なる価値がある

基本となる物語、登場人物、義経を天下人へ導く目的は各版で共通している。快適さを優先するならX68000版、発売当時の8ビットパソコンらしい質感を重視するならPC-8801版やMSX2版、特定機種への思い入れがあるならX1版やFM77AV版という選び方ができる。

現在では機種ごとの希少性や中古価格も異なるため、どの版が最も価値があるかは、遊ぶ目的、収集目的、画面の好み、実機環境によって変わる。

シリーズ化が作品の反響を伝えている

正確な販売本数は確認しにくいが、本作の後に『艶談・徳川興隆記ごらくいん』『艶談・歴史絵巻ぬかたのおおきみ』が制作され、三部作として展開された。

続編では、本作で頼朝と義経の立場を変えた結果が後世へ影響し、主人公が別の時代へ向かうという連続性も設けられている。本作の歴史改変が一作品の中だけで終わらず、新しい問題を生み出す構造は、シリーズ物として興味深い。

現在では遊ぶこと自体が難しい

本作を現在遊ぶには、当時の中古パッケージ、対応するパソコン本体、正常なディスクドライブなどが必要になる。発売から長い年月が経過したフロッピーディスクは、外見に問題がなくても読み込めない可能性がある。

中古品の価格は、機種、外箱、説明書、ディスク枚数、動作確認の有無によって大きく異なる。特にMSX2版のように収集家から注目される版は高額になることがあるが、ディスク単品と完品では別の商品に近い価格差が生じる。

過去最高額や長期的な価格推移を示す十分な統計はないため、将来必ず値上がりすると考えるべきではない。実際に遊ぶなら動作確認済みのディスクを、保存を重視するなら外箱や説明書がそろった商品を選ぶことが大切である。

遊びにくくても一度聞けば忘れにくい異色作

現代のゲームと比較すると、本作には分岐条件の分かりにくさ、同じ場面を繰り返す周回構造、既読部分を省略しにくい進行、ディスク読み込みなどの不便さがある。完全な自力攻略では、総当たりに近い作業が必要になることもある。

それでも、歴史の答案を正しくするため義経を天下人へ変えるという設定は強烈である。失敗を夢として処理し、静香の言葉から誤りを考え直す仕掛けも、物語とゲームシステムを結びつけた印象的なアイデアとなっている。

義経一人だけを英雄として扱わず、頼朝の政治力、政子の影響力、秀衡の支援、京都と鎌倉の役割分担まで考えさせる内容も興味深い。史実を厳密に再現する作品ではないが、なぜ義経が天下人になれなかったのかを、政治と人間関係の面から考えるきっかけを与える。

最終的な総合評価

『艶談・源平争乱記いろはにほへと』は、誰にでも勧めやすい快適なアドベンチャーゲームではない。古い操作方法、説明不足の分岐、現在では問題となる成人向け表現、入手と起動の難しさなど、遊ぶために越えなければならない壁は多い。

しかし、1980年代後半のパソコンゲームが持っていた自由な企画性、歴史物と成人向け作品を結びつける大胆さ、文章と選択肢で長い物語を成立させる工夫は、現在見ても興味深い。

本作を最も楽しめるのは、源平合戦や源義経に関心があり、古いアドベンチャーゲームの不親切さも含めて試行錯誤できる人である。なぜ頼朝と義経を一度協力させるのか、なぜ政子や秀衡との関係が必要なのかを考えれば、選択肢が一つの歴史改変計画として見えてくる。

成人向け作品、歴史改変物、学園コメディ、ゲームブック型アドベンチャーという異なる要素を一つの物語へまとめた点が、本作最大の価値である。販売本数や知名度では後世の有名作品に及ばなくても、「間違った答案を正解にするため、源義経を天下人にするゲーム」という一文だけで、作品内容を強く印象づけられる。

遊びやすさではなく企画の個性によって記憶される、1980年代の国産レトロパソコンゲームらしい異色作であり、成人向けアドベンチャーが歴史、時間旅行、政治的な人物配置という題材に挑戦した作品として、現在も振り返る価値のある一本である。

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