『きゃんきゃんバニープルミエール』(パソコンゲーム)

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【発売】:カクテル・ソフト
【対応パソコン】:PC-9801、X68000、FM TOWNS、Windows など
【発売日】:1992年7月30日
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム、シミュレーションゲーム

■ 概要・詳しい説明

シリーズの新しい時代を切り開いた『きゃんきゃんバニープルミエール』

『きゃんきゃんバニープルミエール』は、カクテル・ソフトが1992年頃から展開した恋愛アドベンチャーゲームであり、『きゃんきゃんバニー』シリーズでは初代、『スペリオール』、『スピリッツ』に続く第4弾に位置づけられる作品である。PC-9801を中心としてX68000、FM TOWNS、MSX2系、後にはWindowsなどにも展開され、さらに家庭用ゲーム機であるセガサターンにも移植された。1990年代前半の国産パソコン市場では機種ごとにハードウェアや画面表示、音源、記録媒体などが大きく異なっていたため、これほど幅広い環境へ移植されたこと自体が、シリーズの知名度と商品展開の広がりを示す特徴の一つといえる。

本作をシリーズ史の中で特に重要な存在にしているのが、ナビゲーションキャラクターの交代である。それ以前の作品では亜理子が主人公を導く役割を担っていたが、『プルミエール』からは新たにスワティが登場した。後にスワティは『きゃんきゃんバニー』を代表するキャラクターの一人として定着するため、本作は単なる第4作ではなく、「スワティ時代」の出発点という意味でも大きな転換点になっている。

物語は一人のヒロインだけを追いかける長大な一本のシナリオではなく、複数の章を通して異なる女性たちとの出会いや恋愛を体験していく構成となっている。主人公はアルバイトや日常生活の中で女性と知り合い、会話を重ね、電話をかけ、デートへ誘い、ときには仕事をして資金を準備しながら関係を深めていく。単純に選択肢を一度選べばストーリーが自動的に進むのではなく、画面内の人物や対象を何度も調べたり、正しいタイミングで行動したりする必要があり、恋愛ADVでありながら古典的なコマンド選択型アドベンチャーのゲーム性を色濃く残している。

「見る・話す・聞く・考える」を繰り返して物語を進めるゲームシステム

ゲーム進行の基本となるのは、画面に表示された人物や場所などに対してコマンドを選択し、イベントを発生させていく方式である。現在の恋愛アドベンチャーゲームでは、文章を読み進めながら重要な場面だけで選択肢を選ぶ作品が多いが、本作ではプレイヤー自身が「次に何をすればよいのか」を探し出さなければならない。新しく女性が登場したら「見る」、会話できそうなら「話す」、相手についてより詳しく知りたい場合は「聞く」、状況を整理するときは「考える」といった具合にコマンドを使い分ける。

さらに本作では、同じ対象に同じコマンドを一度使っただけではイベントが終わらないことも多い。一度「見る」を選んだ後でも、再び「見る」と別の文章が表示され、その後さらに「話す」ことで次の展開が発生するといった構造が採用されている。このため初めて遊ぶと「何をすれば進むのか分からない」と感じやすい反面、画面を総当たり的に調査しながら隠れた進行条件を見つけ出す楽しさがある。

恋愛ゲームでありながら、プレイヤーの役割は単に女性へ好かれる選択肢を選ぶことだけではない。アルバイトで得たお金をどのように使うか、いつ休みを取るか、どの人物に集中して会話するかなど、生活全体を調整しながらイベント条件を整える必要がある。この点が『プルミエール』を単なるビジュアル鑑賞型作品ではなく、実際に攻略する手応えを備えたアドベンチャーゲームにしている。

章ごとに変化する恋愛ドラマと登場キャラクター

本作では複数の女性が登場するが、それぞれの人物は単純に髪型や服装が違うだけではなく、年齢、職業、家庭環境、性格、趣味などが明確に描き分けられている。代表的な人物として小川由真、氷室深雪、江藤莉奈、有栖川真穂子などがおり、PC版の第3章にはさらに異なる女性たちが登場する。

小川由真は主人公より年下でありながらアルバイト先では先輩という、少し変わった立場の人物である。同じ職場で顔を合わせながら少しずつ仲良くなっていくため、本作の中でも比較的身近な恋愛を体験できる。華やかな設定よりも、アルバイト中の出来事やちょっとした会話を通して関係が変化していく親しみやすさが魅力となっている。

氷室深雪は銀行に勤める社会人女性であり、若いヒロインが中心となる恋愛ゲームの中では大人びた雰囲気を持つ。仕事だけではなく音楽への思いなども描かれ、単なる年上女性という属性だけでなく、一人の社会人としての悩みや価値観を感じさせる人物になっている。由真とはまったく異なる恋愛の距離感を楽しめる点が特徴である。

江藤莉奈はバイクを好む行動的な女性であり、物語にもスピード感を与える存在である。静かな会話だけではなく移動や外出を伴うイベントが印象に残りやすく、活発なヒロインを好むプレイヤーには魅力的に映る。一方、有栖川真穂子は裕福な家庭で育った箱入り娘として登場し、世間一般の感覚とは少しずれた行動がコミカルな展開を生み出す。お嬢様らしい華やかさと世間知らずな可愛らしさを同時に持っていることが、彼女の大きな個性である。

シリーズの象徴となったスワティの初登場

本作で最も重要な新キャラクターの一人がスワティである。彼女は主人公の恋愛を導くナビゲーション役として登場し、それ以前のシリーズで同じ役割を担当していた亜理子からバトンを受け継いだ。攻略対象となる女性とは役割が異なるものの、作品全体の雰囲気をまとめる存在として非常に大きな役割を担っている。

本編ではアルバイト、銀行、ガソリンスタンド、街中でのデートなど現実的な日常が描かれる一方、スワティはそれとは違うファンタジー的な存在として主人公のそばにいる。この現実と非現実の組み合わせによって、『きゃんきゃんバニー』らしい独特の世界観が形成されている。

また、一つの章が終われば恋愛対象や舞台が変わる本作において、スワティは全体を結び付ける共通キャラクターでもある。彼女がいることで、複数の短編恋愛ドラマが単なる寄せ集めではなく、一人の主人公がさまざまな恋を経験する一つの作品としてまとまっている。後のシリーズにもスワティが引き続き登場したことを考えれば、本作における彼女の登場はシリーズ全体に与えた影響が非常に大きかったといえる。

PC版とセガサターン版で異なる第3章

『きゃんきゃんバニープルミエール』を語るうえで忘れてはならないのが、PC版と後発のセガサターン版で内容の一部が異なることである。特に第3章は単純なグラフィック調整ではなく、シナリオや登場人物そのものが変更されている。このため、同じタイトルを購入してもPC版とセガサターン版では途中から違った物語を体験することになる。

これは移植作品としては非常に興味深い特徴であり、PC版を遊んだ人がセガサターン版へ移っても完全な繰り返しにならない。逆に家庭用版から入った人が後にPC版を知れば、「元の第3章はこうなっていたのか」という新しい発見がある。

その一方で攻略情報を利用するときには注意が必要である。インターネット上や古い攻略資料に書かれている人物名や進行手順が自分のゲームと一致しない場合、情報そのものが間違っているのではなく、違うバージョンを扱っている可能性がある。特に第3章を攻略するときは、PC版向けなのかセガサターン版向けなのかを確認することが重要である。

多機種展開が示す1990年代パソコンゲーム文化

本作はPC-9801だけでなくX68000、FM TOWNS、MSX2系、後のWindows環境へも展開された。これは現在のPCゲームとは大きく異なる1990年代前半の市場構造を象徴している。当時は「パソコン用ゲーム」といっても規格が統一されておらず、PC-9801、X68000、FM TOWNS、MSXなどが独自のユーザー層を形成していた。同じゲームを多くのユーザーへ届けるためには、それぞれの機種に合わせた移植作業が必要だったのである。

媒体もフロッピーディスクからCD-ROMまでさまざまで、同じ『プルミエール』でも所有している機種によってゲームを手にする形そのものが異なっていた。FM TOWNSではCD-ROMという当時としては先進的な媒体を利用でき、商品によっては前作『スピリッツ』と組み合わせた形でも提供された。シリーズをまとめて遊びたいユーザーにとっては魅力的な構成だったといえる。

後にはWindows版も登場し、PC-9801など独自規格中心だった日本のパソコン市場がWindows中心へ変化していく時期まで本作の商品寿命が続いた。さらに家庭用ゲーム機であるセガサターンへも移植されたことで、『プルミエール』は一つの時代、一つの機種に閉じ込められないタイトルとなったのである。

グラフィックとキャラクター性を前面に押し出した作品

1990年代初頭の美少女ゲームでは、キャラクターグラフィックそのものが商品の価値を大きく左右した。インターネットで大量の画像を事前に見られなかった時代だけに、雑誌広告や店頭パッケージで目にする女性キャラクターの第一印象は非常に重要だった。

『プルミエール』では女性たちの外見だけでなく、人物設定とデザインを一致させる工夫が見られる。由真なら親しみやすさ、深雪なら大人らしい落ち着き、莉奈なら活動的な雰囲気、真穂子ならお嬢様らしい華やかさというように、それぞれが視覚的にも分かりやすい。

現在の高解像度ゲームと比較すれば表現上の制約は大きいが、限られた色数や画面サイズの中で人物を魅力的に見せることが求められた時代の技術を楽しめる。現在プレイすると、グラフィックそのものの美しさだけでなく、「1992年前後の美少女キャラクターがどのように描かれていたか」を知る文化的な面白さも感じられる。

販売本数だけでは測れないシリーズ史上の実績

『プルミエール』単体について、すべての機種を合算した正確な累計販売本数を現在確認できる公的な数字は限られている。そのため、具体的な本数を根拠なく推測して「何万本の大ヒットだった」と断定するべきではない。

しかし、作品がPC-9801だけで終わらず、X68000、FM TOWNS、MSX系、Windowsへ展開され、さらに数年後には家庭用ゲーム機であるセガサターンへも移植されたことは大きな実績である。また、本作で初登場したスワティが後のシリーズへ引き継がれ、『プルミエール』という名称自体も続編へ使用された。

つまり本作の成功を考えるときには販売本数だけを見るのではなく、「複数機種へ長期間商品展開された」「新しいシリーズの顔を生み出した」「家庭用ゲーム機への展開へつながった」「後年まで続く作品名を確立した」という点まで含めて評価する必要がある。シリーズの歴史を振り返るうえで外すことのできない一作である。

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■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター

章ごとに違う恋愛を味わえることが最大の魅力

『きゃんきゃんバニープルミエール』のゲームとしての魅力は、一人の主人公を通して複数種類の恋愛ドラマを体験できるところにある。攻略対象が変わっても同じことを繰り返すだけではなく、舞台、仕事内容、休日の過ごし方、必要になる行動などが章ごとに変化する。そのため一本のゲームの中に複数の短編恋愛ADVが収録されているような感覚で楽しめる。

第1章ではアルバイト先を中心とした身近な生活が描かれ、資金管理が攻略上の重要な意味を持つ。第2章では勤務予定や休日、天候などを意識する場面があり、単なる会話だけではなくスケジュールを考える必要が出てくる。さらにキャラクターによってはクイズや移動を伴うイベントが用意されており、同じシステムを使いながら違った遊び方を体験させる工夫がある。

このような構造があるため、本作では「一番好きなヒロインを一人攻略して終わり」にするより、複数の人物を攻略することでゲーム全体の魅力が見えてくる。由真のような日常的な恋愛と、真穂子のようなコミカルな展開とでは作品の雰囲気がかなり違うため、一人目をクリアした後でも新鮮さを保ちやすい。

攻略の基本は「同じ場所を何度も調べる」こと

本作を攻略するときに最も重要なのは、一度コマンドを選択しただけで終わらせないことである。人物や場所が新しく表示されたら、「見る」「話す」「聞く」「考える」などのコマンドを一通り試し、反応が変化する間は繰り返してみる必要がある。

現在のゲームでは、一度調べた対象に重要な情報が残っている場合、アイコンやマーカーが表示されることが多い。しかし本作にはそのような親切な案内がない。プレイヤー自身が「まだ何か残っているのではないか」と考えながら操作する必要がある。

したがって行き詰まったときに最初に試すべきなのは、別の場所へ移動することではなく、現在の画面にある人物や物へ別のコマンドを使うことである。特に会話相手には何度も「話す」「聞く」を試し、主人公自身の反応を確認する「考える」も忘れないようにしたい。これだけで解決する場面は多い。

第1章は資金管理が重要な攻略ポイント

第1章では女性との会話だけでなく、お金の使い方が攻略へ影響する。デートやプレゼントなどで費用が必要になるため、序盤から無計画に所持金を使っていると重要な場面で足りなくなる可能性がある。

攻略の基本は、必要のない買い物を避けながらアルバイトによって資金を確保し、攻略する女性が決まったら必要なイベントへ集中して使うことである。何でも節約すればよいわけではなく、重要なデートではきちんとお金を使う必要がある。この「貯める場面」と「使う場面」の判断が第1章のゲーム性になっている。

初回プレイでは、デートへ誘う直前や大きな買い物の直前に別セーブを作成しておくとよい。資金不足になった場合でも、そのデータから数日前まで戻ってアルバイト回数や買い物を調整できる。

小川由真は身近な恋愛を楽しみたい人に向くヒロイン

小川由真は、アルバイト先で一緒に働くという非常に日常的な関係から恋愛へ発展していく人物である。主人公より年下でありながら職場では先輩という立場が面白く、最初から遠い存在として描かれるのではなく、毎日の仕事やちょっとした出来事を通して距離が縮まっていく。

由真の魅力は、特別な肩書きや派手な事件を必要としない親しみやすさにある。アルバイト中の失敗や会話、何気ない気遣いなどが恋愛イベントへつながるため、「身近な女の子と少しずつ仲良くなる」という王道の恋愛物語を楽しみたい人に向いている。

攻略では、仕事中に発生するイベントを見逃さず、由真との会話を十分に進めることが大切になる。何か出来事が起きたらすぐに画面を切り替えず、本人や周囲を何度も調べるようにするとフラグを拾いやすい。

氷室深雪は大人の女性との距離感が魅力

氷室深雪は社会人として生活しているため、由真とはまったく違う雰囲気を持つ。仕事を持ちながら音楽への思いを抱えているなど、自分自身の人生を持った人物として描かれ、単なる年上ヒロインに留まらない。

深雪を攻略する面白さは、主人公より成熟した相手との距離を少しずつ縮めるところにある。すぐに恋愛関係になるのではなく、会話を重ねながら相手の価値観や興味を理解する必要があるため、大人っぽい恋愛ドラマを楽しみたい人に向く。

攻略面では、重要な会話を十分に引き出すこと、必要なプレゼントや資金を準備すること、デート場所での探索を丁寧に行うことなどがポイントになる。由真と同じ感覚で進めるのではなく、相手ごとに必要な行動が違うことを意識したい。

第2章では休日とスケジュールを意識する

第2章ではガソリンスタンドで働きながら江藤莉奈や有栖川真穂子と関わっていく。この章では資金だけではなく、いつ働き、いつ休むのかという予定の組み方が重要になる。

特に休日を適切な日に設定しておかないと、デートや特定イベントへ進みにくくなる場合がある。また天候が関係する場面もあるため、単純に毎日同じ行動を繰り返せばよいわけではない。

攻略に失敗した場合、直前の会話だけではなく、数日前に設定した勤務予定まで見直す必要がある。このため第2章へ入ったら、スケジュール設定前のセーブデータを残しておくことをおすすめしたい。

江藤莉奈は行動的なイベントを楽しめるキャラクター

江藤莉奈はバイクを好む活動的な人物で、彼女が関わることでゲームの雰囲気も大きく変わる。移動や外出などを伴うイベントが増え、アルバイト先中心だった前章とは異なる開放感が生まれる。

莉奈を攻略する際には、積極性だけでなく、相手との現在の距離を見極めることも必要になる。恋愛ゲームだからといって常に最も大胆な選択をすれば正解になるわけではなく、ときには一歩引いた行動が次の展開へつながる。

この点は本作全体にも共通している。キャラクターごとに性格が違う以上、すべての女性へ同じ態度を取るのではなく、その相手に合った行動を考えることが攻略の面白さになっている。

有栖川真穂子は個性とゲーム性が強く結び付いたキャラクター

有栖川真穂子は、裕福な家庭で育ったお嬢様という設定を持つ人物である。世間一般とは少しずれた感覚や、主人公へ会うために思い切った行動を取ってしまうところなど、コミカルな魅力が非常に強い。

真穂子のルートでは彼女の性格を反映したイベントが多く、クイズなど通常の会話とは異なる要素も登場する。こうしたイベントでは事前にセーブを残しておき、失敗した場合はやり直せるようにしておくと安心である。

記事として一人だけ特におすすめのキャラクターを挙げるなら、真穂子は非常に面白い存在である。理由は、単に可愛いだけではなく、彼女の性格そのものがイベント内容へ反映されているからである。「お嬢様」という設定がプロフィールだけに書かれているのではなく、実際のゲーム体験を変えている。このキャラクターとシナリオの一体感が強い。

スワティは攻略対象とは別の意味で最も印象に残る存在

攻略対象の女性たちとは別に、ゲームを最後まで遊んだ後に強く印象へ残るのがスワティである。章ごとに攻略対象や舞台が変わっても、彼女は作品全体を通して主人公を導き続ける。

恋愛対象ではないからこそ特別な存在感があり、攻略女性が入れ替わっても「きゃんきゃんバニーの世界にいる」という感覚を保ってくれる。コミカルなやり取りも多く、物語が重くなりすぎないよう調整する役割も持っている。

後のシリーズまで含めて考えると、本作でスワティに魅力を感じたプレイヤーが多かったことはシリーズの方向性にも大きな意味を持ったと考えられる。攻略女性とは異なる「シリーズそのもののヒロイン」として見ることもできる存在である。

第3章攻略ではバージョン違いを最初に確認する

本作の攻略で特に間違えやすいのが第3章である。PC版とセガサターン版では登場人物やシナリオが異なるため、別機種用の攻略チャートを参考にすると途中から完全に内容が合わなくなる。

したがって第3章で攻略情報を探す場合は、必ず自分が遊んでいる機種を確認したい。PC-9801、X68000、FM TOWNSなどPC系統の内容を知りたいのか、セガサターン版を攻略したいのかによって参照すべき情報が異なる。

これは不便な点である一方、複数バージョンを遊ぶファンにとっては大きな魅力でもある。同じタイトルを買い直しても第3章で違ったストーリーを楽しめるため、単純移植よりも再プレイの価値が高い。

クリアするための基本攻略法

本作を効率よくクリアするためには、まず新しい画面へ移ったら人物や物を一通り調べることである。一回の反応だけで終わらず、台詞が変わる間は同じコマンドも何度か試す。特に新しい人物が登場した直後は、見る、話す、聞く、考えるを順番に試すだけでも多くの進行条件を拾える。

次に重要なのがセーブデータの分散である。「章開始時」「攻略対象を決める前」「デート前」「クイズや重大な選択肢の直前」というように数種類残しておくと、失敗した場合の戻り幅を小さくできる。一つだけのセーブを上書きし続けると、数日前の行動ミスが原因だった場合に最初からやり直すことになりやすい。

第1章では資金を意識し、第2章では休日や予定を意識する。また、攻略する女性をある程度決めたら、その人物へ重点的に行動するほうがフラグを把握しやすい。複数の女性へ同時に中途半端な行動をすると、どのイベントが誰のルートに関係するのか分かりにくくなる。

難しさの正体はゲームオーバーではなく「フラグの見えにくさ」

『プルミエール』はアクションゲームのような反射神経を要求しないため、一見すると難易度は低そうに見える。しかし攻略情報なしでは意外に苦労する。その理由は、失敗した瞬間に明確なゲームオーバーが表示されるとは限らないからである。

必要な会話を一つ逃していてもゲーム自体は進行し、後になって目的のデートやイベントが発生しないという形で結果が表れることがある。その場合、プレイヤーは「どこで間違えたのか」を自分で推測しなければならない。

このため、本作の難しさは敵の強さではなく「目に見えない条件を探す難しさ」にある。一度仕組みを理解すればかなり楽になるため、最初の章でコマンドの使い方、資金管理、セーブ方法を身につけることが重要である。

攻略情報を利用しても魅力が失われにくい作品

本作は謎解きそのものだけが魅力ではないため、攻略情報を見ながら遊んでも楽しさが大きく失われるタイプではない。キャラクターとの会話、イベント、CG、ストーリーを見ることにも大きな価値があるからである。

現在初めて遊ぶのであれば、最初は自力で進め、何度試しても変化がない場合だけ攻略情報を見る方法が最もバランスがよい。古典的なフラグ探しの面白さを残しながら、何時間も一か所で停滞することを防げる。

また、正解以外の選択肢をあえて試して反応を見るのもおすすめである。重要な選択肢の直前でセーブし、普通なら選ばないような行動を試すことで、最短攻略では見られない文章や主人公の反応を楽しめる。

現在遊ぶからこそ分かるレトロ恋愛ADVとしての味

現在の恋愛ゲームに慣れていると、本作の不便さはかなり目立つ。しかしその不便さこそが、1990年代初頭のゲームが「読む作品」と「操作する作品」の中間にあったことを感じさせる。

アルバイトをしてお金を稼ぎ、デート費用を準備し、休日を決め、電話をかけ、相手へ何度も話しかける。今なら自動イベントとして処理されそうな行動をプレイヤー自身が一つずつ操作するため、恋愛が成立したときに「自分でそこまで進めた」という実感が残る。

効率だけを考えれば現在のゲームのほうが圧倒的に快適である。それでも、この手間を含めて楽しむことで、『プルミエール』という作品が当時どのような考え方で作られていたのかが分かる。レトロPCゲームを体験するという目的では、この古さ自体が大きな魅力になる。

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■ 感想・評判・口コミ

シリーズ経験者ほど「ここから雰囲気が変わった」と感じやすい

『きゃんきゃんバニープルミエール』をシリーズ全体の流れで振り返ると、それ以前の作品とは少し違った印象を持つタイトルとして語られやすい。最大の理由はやはりナビゲーターが亜理子からスワティへ交代したことであり、シリーズを継続して遊んでいた人ほど、この変更を強く意識したと考えられる。

スワティは後のシリーズでも重要なキャラクターとなるため、後年から振り返れば「ここから新しいきゃんきゃんバニーが始まった」という印象がさらに強くなる。本作だけで完結する変化ではなく、その後のシリーズイメージまで左右したためである。

一方、過去作に思い入れのあるプレイヤーにとっては最初に違和感を覚える可能性もある。しかし作品を進めるにつれてスワティのコミカルな存在感が定着し、最終的には「このシリーズといえばスワティ」という印象を持つ人も少なくない。新キャラクター導入が成功した例として評価しやすい部分である。

グラフィックは当時らしい華やかさが大きな魅力

グラフィックについては、現在の高解像度作品と直接比較すれば当然古さがある。それでも1992年前後のパソコンゲームとして見ると、女性キャラクターを魅力的に見せることへ強い意識が向けられている。

由真、深雪、莉奈、真穂子といった主要女性は、髪型や服装だけでなく全体の雰囲気まで明確に違う。キャラクター名を忘れていても画面を見れば「あのお嬢様」「バイク好きの女性」と思い出せる程度に視覚的な区別がついており、キャラクターゲームとして重要な点を押さえている。

発売当時は雑誌に掲載された数枚の画面写真が購入判断の大きな材料となった時代であり、こうしたビジュアルの強さは現在以上に重要だった。美少女ゲームを選ぶ際、「このキャラクターが気になる」という感情がそのまま購入へつながるため、本作の華やかなキャラクター表現は大きな長所だったと考えられる。

キャラクターのタイプが重ならないため好みが分かれやすい

登場女性への評価は、一人に人気が集中するというより、プレイヤーの好みによってお気に入りが分かれやすい作品である。これは人物設定の差別化がしっかりしていることの裏返しでもある。

身近で親しみやすい女性が好きなら由真、大人びた女性が好きなら深雪、活発なタイプが好きなら莉奈、個性的なお嬢様が好きなら真穂子というように、それぞれ異なる魅力がある。

「全員同じ性格で髪型だけ違う」という印象が少なく、攻略する相手を変えることで物語の空気も変わる。そのため一周だけで終えるより、他の人物の展開まで見たくなるキャラクター配置になっている。

シナリオは壮大さより日常の積み重ねを楽しむタイプ

物語については、巨大な陰謀や世界を揺るがす事件が起きる作品ではない。中心になるのは仕事、アルバイト、電話、デート、街中での出来事など、日常生活に近い出来事である。

そのため派手なストーリーを期待すると地味に感じる可能性があるが、「知り合った女性との距離が少しずつ縮まる過程」を楽しむ作品として見ると魅力が分かりやすい。最初から恋人候補として配置されている人物ではなく、仕事仲間や偶然知り合った女性が徐々に特別な存在になっていく。

一人あたりの物語は現代の超長編恋愛ADVほど長大ではないため、テンポよく複数の恋愛を見ることができる。このコンパクトさを長所と感じる人もいれば、「もっと一人のヒロインを深く描いてほしい」と感じる人もいるだろう。評価が分かれる部分である。

ゲームシステムは現在遊ぶとかなり根気を要求される

現在のプレイヤーから最も不満が出やすいのは、やはりコマンド総当たり的な進行である。一つの対象へ一回「話す」を実行すれば自動で次へ進むわけではなく、同じコマンドを何度も試さなければならない。

この仕組みを「自分で調べる面白さ」と感じるか、「同じ操作の繰り返しで面倒」と感じるかによって評価は大きく変わる。1990年代のアドベンチャーゲームを知っている人には懐かしいが、現代のノベルゲーム中心に遊んできた人には非常に古典的に感じられる。

ただし、この仕組みがあることでプレイヤーがゲーム世界へ能動的に関わる感覚が生まれているのも事実である。文章が自動的に流れていくのを読むのではなく、自分の操作によって相手の新しい反応を引き出していく。それを楽しめるかどうかが本作との相性を決める。

主人公の性格や言動にも1990年代初頭の空気が強く残る

現在プレイすると、主人公の言動や恋愛観にもかなり時代を感じる場面がある。現在の恋愛ゲームでは主人公を無個性にしてプレイヤー自身を投影しやすくする作品も多いが、本作では主人公に一定の個性があり、軽い調子の独白や女性への反応も目立つ。

当時ならギャグとして自然に受け入れられていた表現でも、現在見ると驚くことがある。そのため最新作品と同じ感覚で物語へ入り込むと違和感を覚える人もいるだろう。

一方でレトロゲーム好きにとっては、この時代差も魅力である。ゲーム機の性能だけでなく、当時の若者文化、恋愛観、ファッション、会話のテンポなどが作品の中に残っているため、1990年代初頭の空気を感じる資料としても楽しめる。

スワティの存在感は攻略対象以上に強い場合もある

本作の感想を語るとき、攻略女性とは別にスワティを挙げる人が多くなりやすい。理由は、彼女が毎章共通して登場し、作品の顔として機能しているからである。

由真や莉奈などは特定の章で物語の中心になるが、スワティはゲーム全体を通して主人公とプレイヤーのそばにいる。その結果、一人の攻略ヒロイン以上にプレイ時間全体へ関わることになり、最終的な記憶にも残りやすい。

コミカルな反応やファンタジー的な設定も、現実的な恋愛シナリオとの対比として効果的である。後年シリーズを象徴する存在になったことを考えると、本作でのスワティ導入は非常に大きな成功だったと評価できる。

攻略情報なしでは意外に詰まりやすいという印象

難易度については「操作そのものは簡単なのに、なぜか先へ進まない」というタイプの難しさがある。複雑なアクションや計算を要求されるわけではないが、必要なフラグが目に見えないためである。

会話回数が足りない、必要な場所を見ていない、資金が不足している、休日の設定が違うといった原因でイベントが起きない場合、ゲーム側から具体的な理由を教えてもらえない。そのため初回プレイでは試行錯誤が必要になる。

当時はゲーム雑誌の攻略記事や友人との情報交換が重要であり、攻略ノートを作りながら進める人も珍しくなかった。現在は攻略情報を簡単に探せるため、この難点はかなり軽減されている。

PC版とセガサターン版の違いが比較の楽しさを生む

後発のセガサターン版はPC版と第3章が異なるため、「移植版なら一度遊べば十分」とはならない。両方を遊ぶことで違う人物やストーリーを見ることができ、シリーズファンにとっては比較そのものが楽しみになる。

一方で、どちらが完全版なのかという単純な優劣は付けにくい。PC版にはオリジナルの第3章があり、セガサターン版には家庭用向けに変更された独自内容がある。それぞれ別の価値を持つ。

現在レトロゲームとして収集する場合にも、「PC版を所有する意味」と「セガサターン版を所有する意味」が違う。こうした複数版の存在も、本作を長く語れる理由の一つになっている。

欠点としてはテンポの遅さと周回時の負担が目立つ

否定的な評価として挙げやすいのは、同じコマンドを何度も選択することによるテンポの遅さである。一回の操作で進められる内容でも、数回の確認が必要になることがあり、正解を知っている二周目以降ほど面倒さを感じやすい。

現代のゲームでは既読スキップ、チャプタージャンプ、ルートマップなどが一般的になっているが、本作にはそうした便利機能を期待できない。そのため複数のエンディングを集める場合、セーブデータをうまく分岐点へ残しておくことが非常に重要になる。

ただし、これは本作だけの問題というより当時のADV全体が持っていた設計思想でもある。「操作すること自体がゲーム」という考え方が強かったため、現在のノベルゲームと同じ基準だけで評価すると厳しくなりすぎる。

現在では美少女ゲーム史を体験する一本としても価値がある

発売当時、本作は最新の美少女ゲームだった。しかし現在では、1990年代初頭のPCゲーム文化を知る歴史的作品という見方もできる。

複数の女性を明確に描き分け、日常生活の中で出会いを作り、それぞれ異なるイベントやルートを持たせ、ナビゲーターとなる人気キャラクターを配置する。現在の恋愛ゲームで定番になっているさまざまな要素の原型を、本作のような作品から感じ取ることができる。

その意味では、操作性だけを見て古い作品と切り捨てるのは惜しい。現在とは異なる設計、キャラクターデザイン、ゲーム雑誌中心の文化まで含めて楽しむことで、本作の価値がより分かりやすくなる。

総合的な評判は「古さはあるがキャラクターとシリーズ史が強い」

総合すると、『プルミエール』は現在のゲームと比較して操作性やテンポに古さを感じるものの、キャラクターの個性、章ごとの変化、スワティ初登場というシリーズ史上の意味によって現在も語る価値を持つ作品である。

良い点としては「女性キャラクターがそれぞれ違う」「スワティが印象に残る」「章が変わるたびに雰囲気が変化する」「レトロPCゲームらしい攻略感がある」といった部分が挙げられる。逆に「同じコマンドを繰り返すのが面倒」「イベント条件が分かりにくい」「周回が大変」といった部分は現在では弱点になりやすい。

それでも、不便さまで含めて当時のPCゲームを味わいたい人にとっては非常に興味深い。シリーズファン、1990年代美少女ゲームに興味のある人、古典的なコマンドADVを楽しめる人には、現在でも十分に魅力を感じられる一作である。

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■ 当時の宣伝・現在の中古市場など

発売当時はパソコンゲーム専門誌が重要な情報源だった

1992年前後にはインターネット検索、動画配信、SNSなどは一般的ではなく、新作ゲームを知るための中心的な媒体はパソコン専門誌やゲーム雑誌だった。書店で雑誌を購入し、新作紹介ページ、発売予定表、広告、攻略記事などから作品を知ることが一般的だったのである。

『きゃんきゃんバニープルミエール』のような美少女ゲームにとって、雑誌に掲載されるキャラクターイラストやゲーム画面は特に重要だった。文章だけでは魅力を伝えにくいジャンルであるため、誌面で女性キャラクターを大きく見せ、「どんな人物が登場するのか」「前作とどこが違うのか」を視覚的に伝えることが購入につながった。

専門誌では発売前の紹介だけでなく、発売後に攻略記事や特集が組まれることもあった。こうした記事は既に購入したユーザーには攻略情報となり、まだ購入していない人には作品内容を詳しく知る宣伝にもなる。現在の攻略サイトと広告メディアを一冊の雑誌が同時に担っていたような構造である。

専用冊子や雑誌付録も宣伝に利用された時代

当時のパソコン雑誌では、人気が期待される作品を通常の記事だけでなく別冊付録や小冊子として扱うこともあった。『プルミエール』についてもキャラクター紹介や攻略に関係する内容をまとめた専用の冊子が存在し、作品名を強く印象付ける役割を果たした。

こうした付録は、発売当時にはゲームを楽しむための実用品だった。しかし30年以上が経過した現在では、当時の雑誌文化を示す資料としてコレクターズアイテム化している。ゲーム本体は箱に入れて保存されても雑誌付録は捨てられやすいため、紙製資料のほうが残存数が少ない場合もある。

当時の宣伝物まで中古市場で取引されていることは、本作が単なるゲームソフトだけでなく1990年代PCゲーム文化の一部として収集されていることを示している。

店頭ではパッケージ自体が大きな広告だった

当時、ゲームを購入する場合はパソコンショップや大型家電量販店のソフト売り場へ行き、実際に並んでいるパッケージを見て選ぶことが多かった。ダウンロード販売のように一覧画面から即座に購入するのではなく、箱を手に取り、表面のイラスト、裏面の画面写真、説明文を確認して購入を決断した。

そのため美少女ゲームではパッケージデザインが非常に重要である。棚に何十本ものソフトが並んでいる中で目に留まり、さらに手に取ってもらわなければならないからである。

『プルミエール』が魅力的な女性キャラクターを前面へ押し出したことは、この販売環境と非常に相性が良かった。当時のゲーム価格は決して安くなかったため、雑誌で作品を知り、店頭で箱を確認し、内容を比較してから購入するという流れが一般的だった。パッケージは単なる収納箱ではなく、購入直前のユーザーへ訴える最後の広告でもあった。

多機種への移植自体が長期間の宣伝につながった

本作はPC-9801だけでなくX68000、FM TOWNS、MSX系、Windowsなどへ展開された。これは販売対象を広げるだけでなく、作品名を長期間市場へ露出させる効果も持っていた。

新しい機種版が登場すれば、その機種を扱う雑誌の発売予定表や新作紹介へ再びタイトルが掲載される。店舗でも新しいパッケージが棚へ並ぶ。その結果、一度発売して終了するタイトルより長くユーザーの目に触れることになる。

特にFM TOWNS版ではCD-ROMを利用した商品展開や、前作『スピリッツ』と組み合わせた構成があり、単なる同内容移植とは違う商品価値が付加された。既存ファンにはシリーズをまとめて遊べる商品、新規ユーザーには過去作品も一緒に知ることができる商品として訴求できた。

セガサターン版によって家庭用ゲーム市場へも進出

数年後にはセガサターン版が発売され、本作はパソコンゲーム市場から家庭用ゲーム市場へ進出した。これはシリーズにとって大きな変化である。

家庭用ゲーム機へ移植されることで、それまでPC専門誌を読まなかったユーザーにも作品名が知られるようになる。ゲーム雑誌の新作紹介や発売予定表に掲載される媒体も変わり、パソコンユーザーとは異なる層へ届く機会が生まれた。

しかもセガサターン版では第3章の内容まで変更されたため、既存ファンに対しても「同じ作品だから買う必要がない」と思わせない要素があった。単なる廉価な移植ではなく、家庭用版独自の内容を持たせたことが特徴である。

正確な累計販売本数は断定しにくい

『プルミエール』について、PC各機種や家庭用版をすべて合計した正確な販売数を示す信頼性の高い公開資料は限られている。このため具体的な販売本数を推測して「何万本売れた」と断言するべきではない。

しかし販売展開そのものを見ると、複数のパソコンへ移植され、さらにWindows時代、家庭用ゲーム機へまで商品化が続いている。一つの作品として長期間販売の機会を持ったことは明らかな実績である。

さらに後に『プルミエール』の名称を引き継いだ作品が登場し、スワティもシリーズの象徴として継続した。したがって作品の成功は、本数だけではなくシリーズへの影響や商品寿命まで含めて考えるべきである。

現在の中古市場では機種と状態による価格差が大きい

現在の中古市場では、『プルミエール』全体が一律に数万円するような超高額プレミアソフトになっているわけではない。セガサターン版など比較的流通数が残っているものは安価に見つかることがあり、一方でPC-9801、X68000、FM TOWNSなどの古いパソコン版は出品そのものが少なくなりやすい。

価格を比較するときに重要なのは、同じタイトルでも商品状態がまったく違うことである。箱あり、説明書あり、ディスク完備の完品と、ディスクだけの状態では価値が大きく異なる。さらにフロッピーディスクの場合は外見がきれいでも正常に読み込める保証がなく、30年以上前の磁気媒体であることを忘れてはならない。

そのため中古価格だけを見て「安い」「高い」と判断するより、機種、媒体、付属品、保存状態、動作確認の有無を合わせて確認する必要がある。

PC-9801・X68000版はコレクション性が強くなっている

PC-9801やX68000版は、現在では実際に遊ぶためだけでなくコレクション目的で購入されることが多くなっている。実機そのものを維持する難易度が上がっているうえ、フロッピーディスクの劣化も進んでいるためである。

特に箱、説明書、ディスク、その他の付属品が揃った状態のよい個体は、単なるゲームソフトではなく当時の商品形態を保存する資料として価値を持つ。

またX68000ソフトを専門的に集めるコレクター、PC-9801の美少女ゲームを集めるコレクターなど、ゲームタイトルだけでなくハード単位の収集需要もある。そのため同じ『プルミエール』でも機種によって市場での評価が変わる。

FM TOWNS版は収録内容の違いも魅力になる

FM TOWNS版はCD-ROMという媒体に加え、商品形態によって前作『スピリッツ』も楽しめる点が特徴である。そのため単純な一作品の移植版としてではなく、シリーズをまとめて所有する商品としての魅力がある。

現在FM TOWNS実機を使用している人は限られているため、購入者すべてが実際のプレイを目的としているわけではない。FM TOWNS用CD-ROMソフトそのものを収集する人、カクテル・ソフト作品を集める人、当時のパッケージを保存したい人など、さまざまな需要が考えられる。

こうした版では「遊べるかどうか」以外に、「その商品形態を所有していること」そのものが価値になる。

Windows版も現行Windowsですぐ動くとは限らない

Windows版はPC-9801やX68000より新しいため、現在でも簡単に使用できそうに見える。しかしWindows 3.1やWindows 95向けソフトは、現在のWindows環境と内部構造が大きく異なる。

古いインストーラー、16bitプログラム、画面表示方式、音源などが原因で正常に起動できない場合があり、「Windows版だからWindows 11でそのまま遊べる」とは限らない。

したがって中古で購入する場合、実際に遊ぶ目的なら対応環境を十分に調べる必要がある。コレクション目的であればCD-ROM、ケース、説明書、パッケージの状態が価値を左右する。

セガサターン版は比較的入手しやすい入口

家庭用のセガサターン版は、古いPC版に比べると現在も見つけやすい。中古ショップやオークション、フリーマーケットなどへ出品されることがあり、極端なプレミア価格でなければ比較的購入しやすい。

本作へ初めて触れる場合、セガサターン実機を所有しているなら一つの現実的な選択肢になる。ただしPC版とは第3章の内容が異なるため、「オリジナルPC版を完全に再現した家庭用版」ではない点には注意したい。

逆にその違いを理解していれば、セガサターン版独自の物語を楽しむ価値がある。安価な代用品ではなく、一つの異なるバージョンとして見るべきである。

オークションの歴代最高価格を正確に断定するのは難しい

「過去最高でいくらになったのか」という情報は、レトロゲームでは特に断定が難しい。オークションサイトの検索履歴には保存期間があり、サービス開始以来すべての取引を確認できるわけではない。またタイトルだけで検索すると続編、雑誌、付録、チラシなどが混ざることもある。

そのため、一時的に見つかった最高額をそのまま「歴代最高落札価格」とするのは危険である。PC-9801版完品、X68000版、FM TOWNS版、Windows版、セガサターン版では条件が違い、未開封や付属品完備など特殊な個体はさらに別の市場価値を持つ。

正確な最高価格が確認できない場合は、無理に数字を示すより「状態や機種によって大きく変化する」と説明するほうが適切である。

雑誌付録や販促資料まで収集対象になっている

発売から長期間が経過した現在では、ゲーム本体以外の資料にも価値が生まれている。当時の専門誌付録、攻略冊子、広告、チラシ、カタログなどがその代表例である。

ゲームソフトは高価な商品だったため保管されやすいが、雑誌や広告は読み終えれば処分されることが多い。その結果、30年以上後には紙資料のほうが見つけにくくなる場合がある。

シリーズを本格的に集めるコレクターにとっては、ゲーム本体だけでなく「発売当時どのように紹介されていたか」を示す資料も重要になる。この点からも『プルミエール』はゲームそのものだけでなく、1990年代のPCゲーム文化を収集する対象へ変化している。

将来必ず値上がりするとは限らない

レトロゲームというだけで、今後必ず中古価格が上昇するわけではない。価格は残存数だけでなく需要、シリーズ人気、ハード人気、再発売の有無、保存状態など多くの条件によって決まる。

PC-9801やX68000版では時間が経つほど正常なフロッピーが減る可能性がある。しかし同時に実機ユーザーが減れば需要も減少する可能性がある。希少性が高くなるだけで必ず高額化するわけではない。

一方、未開封品や非常に保存状態のよい完品などは一般的な中古品とは別の市場を形成する可能性がある。将来的に高額化するとすれば、すべての個体ではなく条件のよい一部の商品へ価格が集中する可能性が高い。

中古購入では価格より機種・付属品・動作環境を優先したい

現在本作を中古で購入するなら、最安値だけを見るのではなく、自分が何を目的としているのかを最初に決めたほうがよい。

実際に遊びたいなら、所有しているハードで動作する版かどうかが最優先になる。PC-9801のソフトを買っても実機や対応ドライブがなければ利用できない。Windows版も最新環境で簡単に起動できるとは限らない。

コレクション目的なら箱、説明書、ディスク、付属冊子などの有無を重視するべきである。多少安くても説明書欠品の商品を購入し、後から説明書だけを探すほうが難しい場合もある。

セガサターン版を物語鑑賞用に購入するのか、PC-9801版の完品を保存したいのかでは、同じ『プルミエール』でも理想的な買い方がまったく違うのである。

最新ゲームから1990年代文化を伝える収集品へ変化した作品

発売当時の『プルミエール』は、美しい女性キャラクターを前面へ押し出し、雑誌広告や専門誌の記事、店頭パッケージなどによって販売される最新の美少女ゲームだった。

それが30年以上を経た現在では、PC-9801用フロッピーも、FM TOWNS用CD-ROMも、セガサターン版も、当時の雑誌付録までがレトロゲーム市場で取引されるようになった。商品としての役割が「最新ゲーム」から「過去のPCゲーム文化を残す資料」へ変化したのである。

販売本数や歴代最高落札額を正確に示すことが難しくても、多数の機種へ展開され、現在まで実物が中古市場に残り、雑誌付録まで収集対象となっていること自体が本作の長い生命力を示している。

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■ 総合的なまとめ

『プルミエール』はシリーズの過去と未来をつないだ重要作

『きゃんきゃんバニープルミエール』を総合的に見ると、1992年前後に発売された一作の恋愛アドベンチャーというだけではなく、『きゃんきゃんバニー』シリーズの方向性を大きく変えた転換点として評価できる。

従来作品の基本的なゲームシステムを受け継ぎながら、ナビゲーション役を亜理子からスワティへ交代し、複数の女性との恋愛を章ごとに描く構成を強く打ち出した。そしてそのスワティは後のシリーズを象徴する存在となり、『プルミエール』というタイトルも後世へ引き継がれていった。

この意味で本作は、初期シリーズの延長線上にありながら、後期シリーズへの出発点にもなっている。過去と未来が交差した位置に存在する作品といえる。

最大の魅力はキャラクターとゲームシステムが結び付いていること

本作では、女性キャラクターの設定が単なるプロフィールで終わっていない。アルバイト仲間である由真なら職場での日常、大人の女性である深雪なら落ち着いた交流、バイク好きの莉奈なら活動的なイベント、お嬢様の真穂子なら世間知らずな行動やクイズといった具合に、それぞれの人物設定が実際のシナリオやゲーム進行へ反映されている。

このため、一人を攻略して終わるのではなく別の女性を攻略することで違ったゲーム体験が生まれる。キャラクターの数を増やしただけではなく、人物ごとに物語の質を変えたことが完成度につながっている。

PC-9801版は当時のオリジナル体験を感じる中心的存在

PC-9801版は、本作が誕生した時代のパソコンゲーム文化を最も直接的に感じられる版の一つである。フロッピーディスクを使用し、当時の画面環境や操作体系で遊ぶ体験そのものが現在では貴重になっている。

また、セガサターン版では第3章が変更されているため、PC系統の版にしか存在しない物語がある。この意味でもオリジナル内容を重視するならPC版の存在は重要である。

ただし現在実際に遊ぶには実機環境の確保が難しく、フロッピーの状態にも注意が必要である。歴史的価値とプレイのしやすさは別問題として考える必要がある。

X68000版はハード文化まで含めて楽しむ版

X68000版の魅力は、ゲーム内容だけではなくX68000というパソコンそのものが持つ文化的な価値と結び付いている。高性能ゲーム機のような存在として支持されたX68000で、美少女ADVを遊ぶという体験は当時ならではのものである。

現在では実機の維持やフロッピーディスクの扱いが難しくなっているため、気軽に遊ぶための版というより、レトロPC環境そのものを楽しみたい人に向く。コレクションとしてもハード別収集の対象になりやすい。

FM TOWNS版はCD-ROMとシリーズ収録内容が魅力

FM TOWNS版はCD-ROM媒体を活用できる点に加え、商品によって前作『スピリッツ』もまとめて楽しめることが大きな特徴である。

亜理子が中心だった時代からスワティが登場する時代への変化を連続して確認できるため、シリーズの歴史を追いたい人には興味深い構成である。

また、CD-ROMという媒体そのものも当時の先進性を感じさせる。フロッピーディスク中心だった時代から大容量媒体へ移行していくPCゲーム史を見るうえでも面白い存在である。

Windows版は国産独自PCからWindows時代への橋渡し

Windows版は、PC-9801、X68000、FM TOWNSなど複数規格が並立していた日本のPC市場が、Windows中心へ移行する時期まで本作が展開されたことを示している。

現在では「PCゲーム=Windows」という感覚が一般的だが、1990年代前半にはその前提が存在しなかった。本作の多機種展開を追うだけでも、日本のパソコンゲーム市場がどのように変化したのかを見ることができる。

セガサターン版は単なる移植ではなく独自版として価値がある

セガサターン版は、PC版と第3章が異なるため単なる移植と呼ぶだけでは不十分である。家庭用ゲーム機で遊べる利便性に加え、PC版とは違った人物やシナリオを体験できる。

したがって「新しい機種だから完全版」「内容が違うから劣化版」と単純に評価するべきではない。PC版にはオリジナルの価値があり、セガサターン版には別展開を楽しめる価値がある。

複数バージョンを遊ぶことによって初めて見えてくる違いがある点も、『プルミエール』という作品の面白さである。

どの版が最高かは何を重視するかによって変わる

複数機種へ移植された作品では「結局どの版が一番よいのか」と考えたくなる。しかし本作の場合、一つの絶対的な完成版を決めることは難しい。

当時の原典らしさを求めるならPC系統、X68000というハード文化を楽しみたいならX68000版、シリーズをまとめて味わいたいならFM TOWNS版、Windows移行期のPCゲームを知りたいならWindows版、家庭用ゲームとして遊びやすさや独自第3章を楽しみたいならセガサターン版というように目的によって変わる。

画面性能だけを比較して優劣を決めるより、「その版だからこそ体験できるもの」を見るほうが、本作の多機種展開を楽しみやすい。

現在のゲームより不便だからこそ当時の設計思想が分かる

現在の恋愛ADVと比較すると、本作は明らかに不便である。コマンドを繰り返し、見えないフラグを探し、資金や休日まで自分で管理しなければならない。高速スキップやルート表示なども期待できない。

しかし、それは当時のアドベンチャーゲームが「物語を読むこと」だけではなく、「正しい進行方法を探すこと」までゲームとしていたからである。

主人公と一緒にアルバイトをし、所持金を増やし、電話をかけ、相手へ話しかけ、デートへこぎ着ける。その手間があるからこそ、イベントが発生したときの達成感も大きい。

現在の作品と同じ快適性を求めるのではなく、当時のゲーム設計を体験する作品として遊ぶと評価は大きく変わる。

1990年代美少女ゲーム文化を知る資料としても面白い

本作にはキャラクター、ゲームシステムだけでなく、当時のPCゲーム文化そのものが詰まっている。

PC-9801、X68000、FM TOWNS、MSX、Windowsという複数の規格へ同じ作品が移植されたこと、専門誌や雑誌付録が重要な宣伝手段だったこと、店頭パッケージが購入判断に大きな影響を与えたことなど、現在とはまったく違うゲーム市場の姿が見える。

その意味で『プルミエール』は、ストーリーだけを見るためのゲームではなく、1990年代初頭の美少女ゲームがどのような環境で作られ、販売され、遊ばれていたのかを知るための一本でもある。

これから遊ぶならセーブを細かく残すことが最重要

現在初めてプレイするなら、攻略上最も大切なのはセーブデータを複数残すことである。章開始時、攻略対象を決める前、デート前、クイズ前など、進行の節目ごとに保存しておけば大幅なやり直しを避けられる。

また、行き詰まった場合はすぐに攻略チャートへ頼るのではなく、まず現在の画面をもう一度調べてみる。見る、話す、聞く、考えるを数回繰り返し、それでも進まない場合だけ情報を確認する方法が本作を最も楽しみやすい。

そして第3章だけは、自分がPC版とセガサターン版のどちらを遊んでいるか必ず確認する。この違いを把握していれば、攻略情報の混乱をかなり防ぐことができる。

シリーズファンなら一度は触れておきたいタイトル

『きゃんきゃんバニー』シリーズを順番に追うなら、『プルミエール』は特に重要である。それまでの亜理子中心の時代からスワティ中心の時代へ移る瞬間を体験できるからである。

後のシリーズ作品から入った人にとっても、スワティの原点を知る意味がある。また、後年の作品と比べることでゲームシステムやキャラクター描写がどのように変化したのかを確認できる。

シリーズ全体の進化を見るうえで、本作は単なる途中の一作ではなく明確な分岐点になっている。

最終評価――古さまで含めて『きゃんきゃんバニー』の魅力を感じられる記念碑的作品

総合的に評価すれば、『きゃんきゃんバニープルミエール』は操作性やテンポの面では現代のゲームより明確に古い。それでも、女性キャラクターの豊かな個性、章ごとに異なる恋愛体験、スワティの初登場、複数機種への長期的な展開など、現在まで語ることのできる多くの魅力を持っている。

攻略は決して完全に親切ではない。同じコマンドを何度も試し、必要なイベントを探し、アルバイトでお金を貯め、休日を調整しなければならない。しかしそれらの作業は、主人公が女性との関係を作り上げていく過程そのものでもある。結果だけを見るのではなく、その途中の試行錯誤まで含めて恋愛をゲーム化しているところが本作の特徴である。

キャラクターも、由真、深雪、莉奈、真穂子をはじめ、それぞれにまったく違った魅力が用意されている。一人を攻略しただけではゲーム全体の印象を決められず、別の女性へ進むことで新しい雰囲気が見えてくる。そして複数の恋愛を一つのシリーズ世界としてまとめる存在がスワティである。

PC-9801、X68000、FM TOWNS、MSX系、Windows、セガサターンと複数の環境へ展開されたことも、本作の長い商品寿命を象徴している。しかもセガサターン版では第3章が変更されているため、単なる移植だけでは終わっていない。

現在から見れば間違いなくレトロゲームである。しかし古いことは必ずしも欠点だけではない。1992年前後の美少女ゲームがどのように遊ばれ、キャラクターがどのように作られ、どのような媒体で宣伝され、どのようなパソコンへ移植されていたのか。そのすべてを一つのタイトルから感じ取れる。

『きゃんきゃんバニープルミエール』は、シリーズ第四弾という数字だけでは説明できない。初期『きゃんきゃんバニー』の流れを受け継ぎながら新しい象徴であるスワティを生み、キャラクター中心の恋愛ADVとして方向性を強め、多機種展開と家庭用ゲーム機への進出へつながる土台を作った。シリーズの過去と未来をつなぐ転換点として、そして1990年代前半の国産パソコン美少女ゲーム文化を伝える作品として、現在でも十分に振り返る価値を持つ一本である。

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