『アルファ』(パソコンゲーム)

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【発売】:スクウェア
【対応パソコン】:PC-8801、PC-9801、X1turbo、FM-7
【発売日】:1986年
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム

[game-ue]

■ 概要

制作の狙いとシリーズ内での位置づけ

1980年代半ばの日本のPCゲーム市場において、スクウェア(後のスクウェア・エニックス)はまだ家庭用ゲーム機向けの大ヒット作を持たず、パソコンゲームの分野で独自の表現を模索していた。その中で誕生した『アルファ』は、『デス・トラップ』『WILL -THE DEATH TRAP II-』に続くアドベンチャーゲーム三部作の一つとして開発された作品である。前2作で培われたシナリオ重視・演出重視の姿勢をさらに進化させ、「静止画で読むADV」から「映像で体験するADV」への橋渡しを狙ったのがこの作品だった。発売年は1986年。当時のPC雑誌でも「国産ADVの進化を示す一本」と紹介されるなど、まだ小規模だったスクウェアの存在感を高める役割を果たした。

当時のPC環境とアニメーション導入の意義

1980年代中盤のパソコンは、グラフィック表示が1画面を描き切るのに数秒〜十数秒かかることも珍しくなく、「アニメーションをする」という発想自体が挑戦的であった。多くのアドベンチャーゲームは1枚絵を提示し、プレイヤーはその場面に対してコマンドを入力する方式が一般的だった。そんな時代に、『アルファ』はシーンの切り替え時やイベントの山場でキャラクターや背景が動く短いアニメーションを差し込んだ。これにより、プレイヤーは「静止画の連続」ではなく「劇的な瞬間」を体感でき、緊張感や没入感が一段と増した。後年から見ればわずかな動きにすぎないが、当時のプレイヤーにとっては新鮮で衝撃的な体験であった。

コマンド入力方式の特性

本作の操作はキーボードを用いたコマンド入力式で、プレイヤーは主人公クリスに対して「動詞+対象」を基本とした命令を下す。「ミル マエ」「ハナス オトコ」といった具合に日本語をローマ字入力する形式で、語順の柔軟性もある程度確保されていた。移動であれば「マエ」「ヒダリ」など簡潔な指示で進むことができ、直感的な入力と論理的な探索が融合していたのが特徴である。ただし自由度の高さは同時に誤入力のリスクも孕んでおり、重要な局面で入力を誤るとゲームが進行不能になることもあった。この「厳しさ」こそが80年代ADVの醍醐味であり、当時のユーザーにとっては挑戦の一部として受け止められていた。

物語の背景とテーマ性

物語の舞台は巨大な恒星間移民船「ダイダロス」。人類が地球を離れ、次なる居住地を求めて旅立った未来世界で、社会は惰性に支配され、理想や希望を失ってしまった人々が閉鎖空間で暮らしている。主人公クリスは記憶を失った少女として登場し、革命の混乱に巻き込まれながら自身の正体と使命を知っていく。テーマは「目覚め」と「自由の選択」。物語が進むにつれて、プレイヤーはクリスを通して「人間とは何か」「機械と人間の境界はどこにあるのか」といった問いに直面する。単なる事件解決型ADVではなく、SF的な思索性を兼ね備えていたことが、このゲームを特別なものにしている。

隠し要素と遊び心

本編の進行には無関係ながら、シーンごとに隠しコマンドを仕込んでいる点も特徴的である。例えば「ケガ サワル」と入力すると画面にユーモラスな反応が返ってきたり、「マド ミル」で忍者が一瞬だけ姿を見せたりといった仕掛けだ。これらはストーリーに影響しないが、プレイヤーに探索意欲を刺激する「お遊び」として機能していた。緊迫感のあるSFストーリーの合間にこうした小ネタを見つけることで、重苦しさを和らげ、作品全体のバランスを保っていたといえる。

音楽・パッケージ・付属物の特徴

BGMは、後に『ファイナルファンタジー』シリーズで名を馳せる植松伸夫が担当。『アルファ』は彼のデビュー作でもあり、シンプルながら印象的な旋律が作品世界を彩っている。また、当時としては珍しく、ゲームと共にソノシートが同梱され、主人公クリスのイメージソングやアレンジBGMを家庭で楽しむことができた。パッケージイラストは影山楙倫が手掛け、アニメ的な少女像を前面に押し出したビジュアルは、硬派なSFストーリーと対照的で強い印象を残した。広告ではアニメーションカットが大きく取り上げられ、当時のユーザーの興味を引く要素となっていた。

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■ ゲームの魅力とは?

アニメーション演出がもたらした驚き

1980年代のパソコンアドベンチャーは、多くが一枚絵を表示し、その上にテキストで状況を説明する方式に留まっていた。そうした中、『アルファ』はキャラクターや背景が実際に「動く」瞬間を導入したことが最大の魅力といえる。例えばクリスがレーザーガンを撃つ場面や、爆発が起きる場面で画面が切り替わるのではなく、数コマのアニメーションによって「過程」が描かれる。この短い動きが、当時のプレイヤーにとっては圧倒的な臨場感を生み出した。単なる絵の差し替えではなく、物語世界に触れているという実感を与えてくれる点こそ、『アルファ』を特別な作品にしている。

SF的世界観と人間ドラマの融合

『アルファ』は単に宇宙船を舞台にした冒険物語ではなく、「閉ざされた共同体の退廃」「機械に支配される人間」「自由を求める革命」といったテーマを正面から扱っている。記憶を失ったクリスが自分の存在理由を探る過程は、SF的な謎解きであると同時に、プレイヤー自身が「人間であるとはどういうことか」を問われる構造になっていた。未来の宇宙社会を舞台としつつも、描かれる葛藤や絶望、希望は普遍的であり、プレイヤーは単なる操作の主体ではなく、物語の一部を担う登場人物のように感じられる。こうした人間ドラマの厚みは、当時のADVには珍しい深さを備えていた。

コマンド入力の緊張感と自由度

「動詞+対象」という入力方式は、慣れないプレイヤーには難しく感じられたが、それが逆に魅力となっていた。選択肢から選ぶだけのシステムではなく、自分の言葉で命令を打ち込むからこそ、クリスを導いている感覚が強まる。さらに、自由度の高い入力は「試しにやってみる」という遊びを誘発し、意図せぬ発見や隠し反応に出会う楽しみをもたらした。誤入力で行き詰まる厳しさと隣り合わせであることが、逆に緊張感を生み、1つ1つの行動に重みを与えていたのである。

隠し反応と遊び心

本編の進行とは関係ないが、特定のシーンで奇妙なコマンドを入力するとユーモラスなリアクションが返ってくる。例えば「ケガ サワル」で「いててて」と表示されたり、「マド ミル」で窓の外に忍者が出現したりといった具合だ。これらはストーリーに一切影響しないが、プレイヤーに「この世界にはまだ何かが隠されている」という期待感を抱かせた。重厚な物語の中にちょっとしたユーモアを挟むことで、全体のテンポが和らぎ、プレイヤーの没入感を維持させる工夫となっていた。こうした「寄り道の楽しさ」も『アルファ』の大きな魅力である。

高難易度がもたらす達成感

当時のADVの多くがそうであったように、『アルファ』も一度のプレイでクリアできるほど甘くはなかった。重要アイテムを失うと再入手できない、入力のタイミングを誤ると進行不能になるといったシビアな設計が散りばめられていた。しかし、この厳しさこそがクリア時の達成感を増幅させた。攻略本やインターネットの情報がなかった時代、プレイヤー同士が雑誌投稿や友人同士の口コミで情報を交換しながら挑む姿は、今では考えられない共同体験だった。クリアできた者にとっては「自分で切り拓いた」という誇りが刻まれ、それが強い思い出として残った。

音楽とビジュアルの相乗効果

植松伸夫が手掛けたBGMは、シンプルながらも耳に残る旋律で、シーンの緊張や安堵を巧みに支えた。さらに、影山楙倫が描いたパッケージイラストは、当時としては珍しいアニメ風のヒロイン像を前面に押し出しており、ハードなSFの内容とギャップを成すことで強烈な印象を与えた。加えて、付属のソノシートで自宅でも音楽を楽しめるという試みは、作品世界をプレイヤーの生活空間に持ち込むユニークな仕掛けだった。ビジュアル・サウンド・物語が三位一体となって没入感を生み出した点も、本作の大きな魅力に数えられる。

「ゲームらしさ」と「物語性」の両立

『アルファ』のもう一つの魅力は、ゲーム的な挑戦要素と文学的なテーマ性が高次で融合していた点である。単に物語を読むだけのソフトではなく、入力の工夫や試行錯誤を通じてストーリーが展開する。そこには「読者」ではなく「共犯者」として参加する体験があった。クリスが人間かアンドロイドかというアイデンティティの問題を追体験しながら、プレイヤー自身も「どう選択するか」を迫られる。こうした「物語を能動的に生きる感覚」は、後年のRPGやアドベンチャーに繋がる重要な布石となった。

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■ ゲームの攻略など

コマンド入力の基本と誤入力対策

『アルファ』の攻略において最も重要なのは、キーボードによるコマンド入力の扱いに慣れることだ。本作では「動詞+対象」という基本形で入力する方式が採用されている。「ミル マエ」「ハナス オトコ」といった具合に、行動と対象を組み合わせるのだが、同じ意味を持つ言葉が複数通用するわけではなく、ゲーム側が認識する特定の単語を把握する必要がある。 例えば「見る」動作一つでも、「ミル」「ミテミル」「ミル マド」といった入力の中で、認識されるのは限定的だ。そのため、攻略時にはよく使う基本コマンドを紙にメモしておくことが推奨される。また、誤入力はゲームの進行を阻害する大きな原因となるため、タイプミスを避ける冷静さも重要だ。当時はオートセーブなど存在せず、一度のミスが取り返しのつかない詰みに直結するため、慎重なプレイが求められた。

セーブ運用と「詰み」回避の鉄則

本作最大の難関は「アイテムロスト=ゲームオーバー」に直結する設計だ。クリスがロボットに捕まるとアイテムが没収され、特に重要アイテムを失うと再入手できず、表向きはプレイが続行できても実質詰み状態になる。このため、攻略の基本はセーブデータの分割運用にある。 具体的には、進行に影響を与えそうなイベントの前後で最低でも3スロットに保存し、片方が行き詰まっても別ルートから再挑戦できるよう備える。これは現代のADVやRPGで当たり前となったセーブポイント戦略の先駆け的なプレイスタイルでもあった。特に「アジト壊滅後に捕まる場面」「ポリスセンターでのやり取り」「メインコンピューター突入前」などは分岐点になりやすいため、必ずセーブを分けることが推奨される。

序盤の安全な進め方

ゲーム序盤、革命による混乱に巻き込まれたクリスは酸素マスクを入手し、ロボットに捕まるイベントを経験する。ここで慌てて誤ったコマンドを入力すると先に進めなくなる危険がある。序盤の鉄則は「まず観察する」ことだ。すぐに「マエ イケ」など移動系コマンドを連打せず、「ミル マエ」「ミル ヒダリ」と周囲を確認する。周囲の状況を把握してから行動すれば、進行不能に陥るリスクを大幅に減らせる。 また、序盤に拾えるアイテムは後々の展開に繋がることが多いため、「ナニ カウ」「ナニ トル」などのコマンドを多用し、可能な限り収集しておくのがセオリーである。

中盤以降のアイテム管理

『アルファ』における最大の攻略ポイントはアイテムの管理である。レーザーガンやダイナマイトなどの重要アイテムは、使用タイミングを誤ると進行が詰まる。例えば、レーザーガンは特定のイベントでしか奪取できないが、取得前にロボットに捕まると入手不能になる。さらに、手に入れても適切な場面で使用しないと意味がなく、しかも消費アイテムであるためリトライが効かない。 このため、攻略では「このイベントで何を得るか」を逐一意識し、行動の前に必ずセーブすることが基本となる。また、重要アイテムを入手したら、すぐに使用せず持ち歩くことで後のイベントに備えるのが正しい進め方だ。誤った場面で使用してしまうと、再入手できずクリア不能に陥る可能性が高い。

イベント攻略の発想法

『アルファ』のイベント進行は、プレイヤーが「どんな行動が物語的に自然か」を考えることを前提として設計されている。例えば「キース救出」のイベントでは、ただ牢屋の前で「アケ ロウ」ではなく、状況に応じてロボットに体当たりし、レーザーガンを奪うという能動的な発想が求められる。プレイヤーはシナリオを読み取る読解力と、想像力を駆使して正解に辿り着かなければならない。 この「論理と直感を組み合わせて考える」プレイ感覚が、単純な総当たり入力とは異なる本作ならではの魅力であり、同時に最大の難関でもあった。

隠しコマンド探索の楽しみ

攻略とは直接関係ないが、各シーンに隠されたユーモラスなコマンド反応を探すのもプレイヤーの楽しみだった。これらは物語を進めるうえで必要ではないが、精神的な息抜きとなり、攻略のモチベーションを保つ役割を果たした。実際、雑誌投稿欄などでは「こんなコマンドで忍者が出た」といった報告が多数寄せられ、コミュニティの中で裏技的に共有されていった。攻略本やネットがなかった時代には、こうした小ネタも含めて「自分で発見した」という体験が大きな価値を持っていた。

高難易度とプレイヤー心理

『アルファ』の攻略で特徴的なのは、「即死や強制ゲームオーバーが少ない一方で、進行不能に陥る罠が多い」という設計だ。つまり、プレイヤーが不用意に進めばそのまま詰み、やり直しを余儀なくされる。この「見えない失敗」が積み重なることで、プレイヤーはより慎重になり、一手一手を熟考するようになる。結果として、ゲーム世界に対する没入感が高まるのだ。単にクリアするだけでなく、試行錯誤そのものがプレイ体験として価値を持つのが『アルファ』の攻略における本質である。

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■ 感想や評判

発売当時のプレイヤーの反応

1986年に『アルファ』が発売された際、最も強く語られたのは「画面が動いた」という体験だった。ほとんどのADVが静止画の切り替えにとどまっていた時代に、短いながらもアニメーションが挿入されることは衝撃であり、当時のユーザーは「これからはゲームもアニメのように進化していくのかもしれない」という未来への期待を抱いた。PC雑誌のレビューや読者投稿欄でも「レーザーガンを撃つカットが印象的だった」「爆発シーンの迫力に驚いた」といった感想が目立ち、技術的な進歩を実感できる作品として語られていた。

一方で、その分ゲームの難易度の高さについては賛否が分かれた。「入力ミスで先に進めなくなるのが厳しすぎる」「セーブを分けなければすぐ詰む」といった不満の声もあったが、それも含めて「遊びごたえのある挑戦」と評価する層も多かった。

メディアにおける評価

当時の専門誌『ログイン』『マイコンBASICマガジン』などでは、『アルファ』を単なるアドベンチャーゲームではなく「次世代を意識した作品」と位置づける論調が目立った。特に注目されたのは、スクウェアが一貫して「映画的演出」を取り入れようとする姿勢だ。既に『デス・トラップ』でスリラー的要素を盛り込み、『WILL』で演出強化を図っていたが、『アルファ』はその総決算として「映像の力をゲームに持ち込む」試みがより明確に現れていた。 また、音楽面でも評価は高く、後に『ファイナルファンタジー』で名を馳せる植松伸夫のデビュー作であることが紹介され、プレイヤーの記憶に強く残る要素となった。ソノシート同梱という試みは「ゲームが生活の中に音楽を持ち込む」という新しいスタイルを提示したと評されている。

ユーザーコミュニティでの話題

当時はインターネットが存在しなかったため、攻略情報や感想は雑誌の投稿欄や友人同士の口コミで広まっていった。その中で特に話題になったのは「隠しコマンド」の存在である。「マド ミル」で忍者が出る、「ケガ サワル」でユーモラスな反応が返る、といった小ネタは、直接的な攻略には無関係でありながら、プレイヤー間で「こんなの見つけた」と共有され、大いに盛り上がった。 こうした遊び心の発見は「難しくて進めない」というストレスを和らげ、同時にコミュニティの中での交流を活性化させる役割を果たした。難易度の高さが批判される一方で、このような「語れるネタ」が多かったことは、結果的にポジティブな評価へと繋がった。

後年の再評価

『アルファ』は発売当時の売上こそ大ヒットではなかったものの、後年になると「スクウェアの挑戦的な時代を象徴する作品」として再評価されるようになった。特に90年代以降、『ファイナルファンタジー』の成功でスクウェアの名前が広く知られるようになると、「その前夜にこうした意欲的なADVを手掛けていた」という事実が注目されるようになった。 また、技術史的な観点からも、限られた容量(2Dフロッピーディスク1枚)でアニメーションを導入し、物語性と演出を両立させた点は、当時の開発者たちの創意工夫を物語っている。レトロゲーム愛好家の間では「実験精神に溢れた野心作」として語り継がれ、今でもPCエミュレーターや中古市場でプレイされ続けている。

賛否の分かれた難易度

評価の中で常に議論となるのは、そのシビアさである。「取り返しのつかない選択が多すぎる」「アイテムを失うともう先に進めない」といった不満は発売当時から寄せられていた。しかし、それを「攻略本なしでクリアすることこそが誇り」と受け止めるプレイヤーもいた。難しさがコミュニティでの語り草になり、後年のADV史を語る上で欠かせない特徴となっている。つまり『アルファ』は「不親切さ」を逆に魅力に転化させた稀有なタイトルだったといえる。

キャラクター描写に対する反応

主人公クリスのデザインは当時としては大胆で、パッケージイラストや作中の露出度の高い衣装はプレイヤーに強烈な印象を残した。これについては「SF世界に似合わない」と批判する声もあったが、多くのユーザーにとっては「アニメ的なヒロインがゲームの中心にいる」という新鮮さが大きな魅力だった。のちにRPGで一般化する「キャラクター性の強いヒロイン像」を先取りしていたと考えることもできる。クリスやキース、アーノルドといった人物像は、当時のアドベンチャーゲームの中では異例の厚みを持って描かれたと評されている。

総合的な評価

総じて『アルファ』は「未完成ながら先鋭的」という評価に集約される。アニメーションの試み、SF的なテーマ性、コマンド入力の自由度と高難易度。それらが組み合わさることで、当時のADVの常識を超える体験を提示したが、一方でその複雑さや厳しさが万人受けを妨げた。 しかし、こうした挑戦は後のゲーム文化に確実に影響を与え、スクウェアという会社が「実験を恐れない」姿勢を持っていたことを証明するものとなった。今では「ファイナルファンタジー前夜の重要作」として、多くのプレイヤーや研究者から注目され続けている。

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■ 良かったところ

アニメーションによる臨場感

『アルファ』を語るとき、まず多くのプレイヤーが挙げるのが「画面が動いた」という体験だ。たった数コマの短いアニメーションであっても、静止画が中心だった当時のADVにおいては大きな革新であり、シナリオの緊迫感を倍加させた。特にクリスがレーザーガンを撃つ場面は、単なるコマンド成功の結果ではなく、「映像として目の前で起こる出来事」として記憶に刻まれた。こうした演出は、プレイヤーに物語の主体であるという感覚を強めさせ、従来の「読ませるADV」から「体験するADV」へと一歩踏み込ませた点で大きな功績を持つ。

濃厚なSF世界観とテーマ性

「人類が恒星間航行船で何世代もかけて新天地へ向かう」という物語のスケール感は、同時期の国産ADVの中でも際立っていた。閉ざされた空間で退廃していく人類社会、反乱と管理の対立、そして主人公クリスが背負う「人間とは何か」という問い――これらは単なる娯楽を超えてプレイヤーに考えさせるものがあった。特に「人間とアンドロイドの境界線」というテーマは、1980年代のSF文学や映画でも盛んに扱われていた題材であり、その最前線の空気をパソコンゲームに落とし込んだこと自体が画期的だった。

キャラクターの魅力

主人公クリスのデザインは当時としてはきわめてアニメ的で、露出度の高い衣装も相まってプレイヤーの記憶に残った。単なる記号的なヒロインではなく、物語を進める中で「自分が何者か」に悩み、決断を迫られる存在として描かれており、キャラクターに感情移入できる点が良かったと語るプレイヤーは多い。また、革命派のキースやアーノルドといった人物も、それぞれが明確な信念や個性を持っており、敵味方の区別を超えた人間臭さがにじみ出ていた。ADVでここまで人物像を厚く描いた例は少なく、ストーリーを支える大きな強みとなっていた。

遊び心に満ちた隠しコマンド

本編には直接関係のない「お遊び」が多数仕込まれており、これがプレイヤーの心を掴んだ。倒れている人に「ケガ サワル」と入力すると「いててて」と返ってきたり、移動中に「マド ミル」で忍者が現れたりといった小ネタは、雑誌の投稿欄や口コミで共有され、「自分だけが見つけた秘密」として大きな話題を呼んだ。こうした余白の楽しみは、難易度の高さで疲弊しがちなプレイ体験を和らげ、ユーザーの探求心を刺激する仕掛けとなった。ゲームを単なるシナリオ進行ではなく、「世界をいじる遊び」として認識させた点が好評だった。

音楽とパッケージの魅力

BGMを担当したのは、後に『ファイナルファンタジー』で世界的に知られる植松伸夫。デビュー作である本作の楽曲はシンプルながら印象に残る旋律が多く、宇宙船内の緊張感や未来都市の冷たさを巧みに表現していた。さらに、当時珍しかったソノシート同梱はプレイヤーに強烈な印象を与え、「ゲーム音楽を家庭で聴く」という新しい楽しみ方を提示した。 また、影山楙倫が描いたパッケージイラストは、アニメタッチのクリスを大きくあしらい、当時の硬派なPCゲームの棚で異彩を放った。後に「いのまたむつみ作」と誤解されるほどの完成度を持ち、プレイヤーの購買意欲を刺激する大きな要素となった。

チャレンジングな難易度

難しさを批判する声がある一方で、「歯ごたえがある」と好意的に捉えるユーザーも多かった。重要アイテムを失えば二度と入手できない緊張感や、誤入力で進行不能になる設計は、クリアしたときの達成感を格別のものにした。インターネットが存在しない時代、雑誌や友人との情報交換を通じて少しずつ攻略していく過程そのものが、コミュニティ的な楽しみを生んでいた。多くの人が「自分の力で最後までたどり着いた」という誇りを持てたことは、本作の魅力の一部であった。

実験精神に満ちたスクウェアの姿勢

『アルファ』の良さを語るとき、「挑戦を恐れないスクウェアの姿勢」を評価する声は欠かせない。当時のスクウェアはまだ小さな存在で、売上の安定を求めるよりも、新しい表現を模索することに全力を注いでいた。『アルファ』はその象徴的な例であり、映像表現、音楽の導入、キャラクター性の強調など、のちの大ヒット作品へと繋がる要素が既に芽生えていた。プレイヤーの目には「未完成だが輝きのある作品」として映り、その姿勢こそが支持を集める最大の理由だった。

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■ 悪かったところ

取り返しのつかない進行不能問題

『アルファ』最大の不満点として、発売当時から多くのプレイヤーが指摘していたのが「詰み」の存在だった。クリスがロボットに捕まった際、所持していたアイテムが没収され、その中に重要アイテムが含まれていると再取得できず、表面上はプレイが続いているように見えても、実際はクリア不可能な状態に陥る。この仕様はマニュアルなどでも明確に警告されておらず、プレイヤーが「知らないうちにゲームオーバー状態」に追い込まれることが多かった。これは挑戦的な設計とも言えるが、ユーザーからすると理不尽に感じられる部分であり、強い不満を残した。

入力コマンドの不親切さ

本作は「動詞+対象」という入力システムを採用していたが、認識される言葉が限られており、同じ意味でも別の言い回しだと通じないことがしばしばあった。例えば「ミル マド」と入力すれば反応するが、「マド ミル」では反応しない、といった微妙な違いがプレイヤーを混乱させた。シナリオ進行に直結する重要な場面でこの仕様に阻まれると、進めなくなり「一体何をすればいいのか分からない」と途方に暮れることになる。マニュアルやヒント集も存在したが、全てをフォローできるわけではなく、特に初心者にとっては高いハードルだった。

難易度の高さが招いたフラストレーション

シビアな難易度は「やりごたえ」として評価する声もあったが、一方で「理不尽」と感じるプレイヤーも少なくなかった。選択肢を間違えると進行不能、アイテム使用のタイミングを誤るとアウト、といった緊張感は魅力でもあるが、あまりに厳しすぎて途中で投げ出す人もいた。ゲームオーバーとして明示されるならまだ救いがあるが、進行不能状態に気付かず延々と彷徨うことも多く、それが強いストレスにつながった。「自分の努力不足ではなく、仕様にハメられた」と感じた瞬間に、ゲームへの熱意を失ったユーザーは少なくない。

演出の過大広告感

発売当時の広告では「クリスがレーザーガンを撃つシーン」など、アニメーションが大きく取り上げられていた。しかし実際には、全編で豊富に動くわけではなく、ほとんどは従来通りの静止画に近い演出だった。このギャップはプレイヤーに「思ったより動かない」という落胆をもたらした。確かに技術的には当時最先端の挑戦であったが、広告で強調されすぎたために期待値が過剰に膨らみ、結果として「宣伝に比べて地味」という印象が残ってしまったのは惜しい点だった。

シナリオの説明不足と急展開

物語自体は壮大なSFであるものの、イベント進行が唐突に感じられる場面もあった。特に革命派のアジト関連やキースの正体判明シーンは、プレイヤーに十分な伏線が提示されないまま急展開で明かされるため、「唐突にアンドロイドだと言われても感情が追いつかない」と戸惑う声があった。ボリュームや容量の制約が背景にあったとはいえ、丁寧さを欠いた進行がドラマ性を削いでしまった部分は否めない。

サービスシーンに対する賛否

本作では、クリスがロボットに捕まると全裸にされ拘束されるシーンがあり、当時のユーザーの間でも賛否両論を呼んだ。ファンサービス的な一面として話題になった一方で、「シリアスな物語の緊張感を損なう」「過剰な露出が不快」と批判する声もあった。後年になると、そうした演出がゲーム史の一部として面白がられる一方で、当時の真剣なプレイヤーからは「物語性とのミスマッチ」として否定的に語られることも多い。このギャップは、本作の評価が一枚岩にならない理由の一つとなっている。

機種間の不公平感

『アルファ』は複数のパソコンで発売されたが、音源やグラフィック表現には大きな差があった。PC-8801mkⅡSRやFM77AVではFM音源によるBGMが楽しめたのに対し、PC-9801シリーズではBGMがほぼ鳴らず、付属のソノシートで楽しむしかない、という仕様の違いが存在した。ユーザーは自分の環境によって体験の質が大きく変わることに不満を覚え、「なぜ同じ値段でこんなに差があるのか」という声も少なくなかった。技術的制約が原因とはいえ、当時のユーザーには「不公平さ」として印象に残った。

総合的に見た「惜しさ」

『アルファ』は挑戦的で野心的な作品だったが、その分だけ粗さや不親切さも目立った。宣伝されたほど豊富ではないアニメーション、厳しすぎる難易度、理不尽な詰み仕様、そしてプレイヤーごとに大きく体験が異なる機種差。これらが合わさり、「惜しい」「あと一歩で傑作になれた」という評価に集約されることが多い。とはいえ、その「未完成感」もまた、当時のユーザーにとっては挑戦の証として強く印象に残っている。スクウェアが大ヒット前夜に模索していた「未来への一歩」を感じられるがゆえに、良さと同時に不満点が語り継がれるタイトルとなったのである。

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■ 好きなキャラクター

クリス ― 主人公であり謎を背負う存在

『アルファ』の中心に立つキャラクターといえば、やはり記憶を失った少女・クリスだ。プレイヤーがコマンドを通じて直接行動を指示する存在であり、ゲーム体験そのものと不可分の関係にある。彼女は冒頭では自分の名前以外の記憶を持たず、混乱する社会の中で革命に巻き込まれ、やがて自身の正体が「ダイダロスに乗せられた二体のアンドロイドの一体」であることを知る。つまり、プレイヤーが導く過程そのものが「クリスの目覚め」に重なる構造になっている。 衣装デザインも強烈な印象を残した。露出度の高いスポーツブラ風の上衣に赤いビキニパンツ、長いブーツというスタイルは、当時のPCユーザーにとって衝撃的だった。賛否はあれど、アニメ調のヒロインがゲームの前面に押し出されたことで、『アルファ』は強烈な個性を獲得したのである。プレイヤーの多くが彼女に感情移入し、最後に「人類を新天地へ導く存在」として自覚していく姿に胸を打たれたと語っている。

キース ― 革命派のリーダーであり真実を告げる者

キースは、ダイダロス船内で革命を主導するリーダーであり、同時にクリスと同じくアンドロイドとして設計された存在だ。彼は人々を「革命によって目覚めさせる」役割を担っており、冷静でありながらも燃えるような使命感を抱いている。彼の正体が明かされるシーンはプレイヤーに大きな衝撃を与え、「人間とは何か」という物語の核心に迫る瞬間となる。 また、彼が最期にクリスへ鍵を託し「人々を救えるのは君しかいない」と告げる場面は、数ある名シーンの中でも特に印象的だ。プレイヤーにとってキースは単なる革命家ではなく、「使命を継承させる存在」であり、彼の言葉がその後の行動原理を決定づける。多くのユーザーが「キースの犠牲があったからこそ物語が心に残った」と語り、彼を好きなキャラクターとして挙げる理由の一つになっている。

アーノルド ― 荒々しさと優しさを併せ持つ男

革命派のサブリーダーであるアーノルドは、見た目はごつく、青いサングラスをかけた強面だが、実際は仲間思いで情に厚い人物として描かれている。コマンド「メガネ トル」でサングラスを外すと、意外にも少女漫画のように輝く瞳が現れるというユーモラスな一面もあり、プレイヤーに強い印象を残した。 彼は破壊行為に加担する反面、クリスには同情的な態度を見せるなど、単なる暴力的キャラクターではない。粗野で力強い外見とロマンチストな内面のギャップが魅力であり、プレイヤーの中には「アーノルドこそ一番人間らしい」と感じる人も少なくなかった。

ロボットたち ― 無機質な恐怖と演出的役割

プレイヤーを幾度となく捕らえる中央管理局のロボットたちは、いわゆる「好きなキャラ」として語られることは少ないが、彼らの存在がなければ『アルファ』の緊張感は成り立たなかった。無機質なセリフや容赦のない拘束シーンは、プレイヤーに「油断すればすべてを失う」という恐怖を与えた。その徹底した非情さがあるからこそ、クリスや革命派の人間味が際立ち、結果的に物語を引き締める役割を果たしている。ある意味で「嫌いだけど忘れられないキャラ」として、印象に残る存在だったといえる。

脇役たちが描く社会の退廃

クリスが出会う人々の多くは、怠惰で希望を失った姿として描かれている。スタジアムで逃げ惑う観客、ショッピングセンターで酸素マスクを奪い合う人々、あるいは革命に無関心で日々を過ごす住民たち。彼らは名前も持たない「群衆」ではあるが、ダイダロス社会の退廃を具体的に表現する存在であり、プレイヤーに「人類はなぜここまで堕落したのか」という疑問を抱かせる。主要キャラクターの濃さに比べると地味だが、この群像があることで作品のテーマ性が補強されている。

プレイヤーに愛された理由

総じて、『アルファ』のキャラクターは「単なる役割」に留まらず、それぞれが物語のテーマを体現していた。クリスは「導く存在」、キースは「覚醒を促す存在」、アーノルドは「人間らしさの象徴」、ロボットは「管理と抑圧の象徴」、そして群衆は「退廃した人類の現実」。それぞれが単独で魅力を持ちながら、同時に物語のメッセージを支えていたのだ。 だからこそ、プレイヤーは「誰が好きか」という議論を通じて、このゲームのテーマをもう一度考え直すことになった。好き嫌いの感情が単なるデザインや性格だけでなく、「物語をどう受け止めたか」に直結している点が、『アルファ』のキャラクター群の大きな特徴といえる。

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●対応パソコンによる違いなど

マルチプラットフォーム展開の背景

1980年代半ば、国産パソコンはNECのPC-8801シリーズを筆頭に、富士通FM-7/77シリーズ、シャープX1シリーズ、NECのPC-9801シリーズなど、多様な機種が市場でしのぎを削っていた。各機種はグラフィックやサウンド性能、ディスク媒体の仕様が異なり、ソフトメーカーは同じゲームを複数のプラットフォームに移植する際、それぞれに合わせた調整を施す必要があった。『アルファ』もこの例外ではなく、対応パソコンごとに表現力や操作感に差が出ていた。ユーザーは同じタイトルをプレイしているはずなのに、機種によって全く異なる体験を味わったのである。

PC-8801mkⅡSRシリーズ ― 標準機としての存在感

『アルファ』のメインターゲットとなったのは、当時国産PCゲーム市場で最も普及していたNEC PC-8801mkⅡSR以降のシリーズだった。この機種ではFM音源ボードを標準または増設で利用でき、植松伸夫が手掛けたBGMを存分に楽しめる環境が整っていた。グラフィック面でも8色同時表示から64色同時表示への進化が実現されており、キャラクターの表情や背景の色彩が比較的鮮やかに再現された。ユーザーの多くは「音と映像のバランスが最も整っていたバージョン」と評価しており、広告などでもPC-8801版が基準として紹介されることが多かった。

FM-7/FM77AVシリーズ ― 音楽の強みと描画速度

富士通のFMシリーズでも『アルファ』は移植されており、特にFM77AVではFM音源に対応していたため、BGMの再現度は高かった。描画速度も比較的高速で、アニメーション部分の表示に違和感が少なかったとされる。もっとも、ユーザー数自体はPC-8801に比べると少なく、プレイ人口は限られていた。それでも、FM-7ユーザーからは「植松伸夫の音楽をFM音源で聴ける贅沢」という声が多く聞かれ、サウンド面での満足度は非常に高かった。

X1シリーズ ― 広告と実際の差

シャープのX1シリーズは当時、グラフィック表示能力に定評があり、多くのゲームが移植された。しかし『アルファ』に関しては、FM音源対応と宣伝されながら実際にはPSG音源のみの対応であったという混乱があった。当時の専門誌広告にも「FM対応」と記載されていたが、実際に購入したユーザーは「PSGのみ」という事実に肩透かしを食らい、不満を漏らすケースが多かった。 ただし、X1シリーズは発色が鮮やかで、キャラクターの立ち絵や背景がシャープに表示される点では好評だった。音楽面では劣るが、ビジュアル重視のユーザーにとっては「色彩の良さで救われた」と語られることも多かった。

PC-9801シリーズ ― 高解像度だが音楽に難あり

ビジネス用として圧倒的なシェアを誇ったPC-9801シリーズでも『アルファ』はリリースされた。解像度が高く、キャラクターや背景の輪郭がくっきりと描かれた点は利点だったが、サウンドに関しては問題があった。標準状態では音源が非搭載に近く、効果音は鳴ってもBGMは再生されない。そこでスクウェアは同梱のピクチャーレコードを通じて「BGMはレコードで楽しんでください」と案内した。ユーザーからは「なぜゲーム中で流れないのか」という不満の声もあったが、一方で「家庭でゲーム音楽をレコードとして聴ける」という新鮮さを評価する声もあった。この機種特有の体験は、他のバージョンとは一線を画すものだった。

描画速度とアニメーション体験の違い

機種ごとの差が最も顕著に出たのはアニメーションの描画速度だった。PC-8801mkⅡSRやFM77AVでは比較的スムーズに動いた場面も、X1やPC-9801では表示にラグが生じ、アニメーションというより「コマ送り」に近く見えてしまうことがあった。広告では「劇的に動く」と紹介されていたため、この差異に不満を持つユーザーもいたが、それでも「自分のPCでこの表現が動いた」という喜びは大きく、多少の違いは許容された。ユーザー同士で「うちの機種だとこう見える」と比較し合うのも当時の楽しみ方の一つだった。

価格と付属物の差

各機種版とも価格はほぼ同水準で販売されたが、内容物や体験には差があった。特にPC-9801版のユーザーは「レコードが付属するのは嬉しいが、本体で音が鳴らないのは残念」という複雑な感想を抱いていた。一方でPC-8801版やFM77AV版を所有していたユーザーは、ゲーム内で音楽を聴きながらプレイできる環境に満足し、ある種の優越感を抱いた。この「同じ値段でも体験が違う」という現象は、当時のパソコン市場の多様性を象徴している。

総合的な評価と不公平感

総じて、PC-8801mkⅡSRやFM77AVなどFM音源対応機での体験がベストとされる一方、PC-9801やX1ユーザーには不満が残った。とりわけ「広告での表現」と「実際の体験」の差が議論を呼び、ユーザーの間では「同じゲームなのに格差が大きい」と語られた。 しかしその一方で、「同じ作品が複数のプラットフォームで遊べる」という事実自体が当時は貴重であり、各ユーザーが自分の環境に合わせた体験を楽しんだのも事実だ。結果的に、『アルファ』は機種ごとの差異すら話題性に変えてしまった作品であり、レトロゲームファンにとっては「どの機種版を遊んだか」で思い出が変わる、語り甲斐のあるタイトルとなった。

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●同時期に発売されたゲームなど

★ブラスティー

・販売会社:エニックス ・販売年:1986年 ・販売価格:7,800円前後。『ブラスティー』は、当時のPCユーザーに衝撃を与えたロボットシミュレーションゲームである。プレイヤーは巨大ロボット「ブラスティー」を操り、宇宙空間での戦いに挑む。リアルタイムで動くマップや複雑なエネルギー管理システムなど、マニア向けの要素が多く盛り込まれていた。アニメ的な演出とシステムの奥深さが話題を呼び、ハードSF的な雰囲気もあり、当時のアニメファンからも支持を得た。

★ハイドライド3

・販売会社:T&E SOFT ・販売年:1986年 ・販売価格:8,800円。RPGの名作『ハイドライド』シリーズの第3作目。広大なマップを探索する自由度の高さと、時間の概念を導入したリアルな世界観が特徴だった。朝昼夜の移り変わりや空腹度など、従来のRPGにはなかった要素を加え、より生活感のある冒険を体験できる。『アルファ』がアドベンチャーの新境地を目指したのと同様に、『ハイドライド3』はRPGに新しいリアリティを持ち込んだ挑戦作として高く評価された。

★ザナドゥ・シナリオII

・販売会社:日本ファルコム ・販売年:1986年 ・販売価格:7,800円。大ヒットRPG『ザナドゥ』の追加シナリオ。オリジナル版で冒険を終えたプレイヤーに、新たなマップとシナリオを提供した。『アルファ』が物語性の強い一本道型のアドベンチャーであったのに対し、『ザナドゥ・シナリオII』は広大な世界での自由な探索を中心に据えており、ジャンルの違いはあっても同時代の熱気を共有していた。

★ファイヤークリスタル

・販売会社:クリスタルソフト ・販売年:1986年 ・販売価格:6,800円。謎解きと探索を中心としたアドベンチャーRPG。プレイヤーは神秘のクリスタルを求め、ダンジョンやフィールドを探検していく。グラフィックは『アルファ』に比べると静的だが、複雑な謎解きとファンタジー的世界観がマニアの心を捉えた。アニメ調の表現を押し出した『アルファ』とは対照的に、こちらは硬派なファンタジー作品として差別化されていた。

★夢幻の心臓II

・販売会社:クリスタルソフト ・販売年:1986年 ・販売価格:7,800円。『夢幻の心臓』シリーズ第2作。大規模なワールドマップと複雑な戦闘システムを備え、RPGの定番として知られた。『アルファ』が近未来SFを題材にしたのに対し、本作は中世ファンタジー色が濃厚で、プレイヤーの好みによってどちらを支持するかが分かれた。同時代のPCゲーマーは、こうしたジャンルの幅広さを楽しめる時代に生きていたといえる。

★ソーサリアン

・販売会社:日本ファルコム ・販売年:1986年(体験的リリース) ・販売価格:8,800円。正式な発売は1987年だが、1986年には開発状況が雑誌で大きく報じられ、体験的なデモ版も出回っていた。職業選択やパーティ育成といった画期的な要素を備えており、すでに話題を独占していた。『アルファ』がアニメーション演出で注目を集めたのと同じように、『ソーサリアン』もシステムの斬新さでゲーマーの関心を集めた。

★ジーザス

・販売会社:エニックス ・販売年:1986年 ・販売価格:7,800円。宇宙を舞台にしたアドベンチャーゲーム。『アルファ』と同じくSFを題材にし、アニメ的な演出を取り入れた意欲作である。プレイヤーは宇宙船「ジーザス号」に乗り込み、異星生命体との遭遇を描く物語を進めていく。当時はストーリー性の高いSFアドベンチャーが少なく、『アルファ』とよく比較されたタイトルの一つだった。

★イースI

・販売会社:日本ファルコム ・販売年:1986年(正式発売は1987年) ・販売価格:7,800円。ファルコムの名作RPG『イース』は1987年の発売だが、1986年にはすでに雑誌や展示会で話題になっていた。軽快なアクション性と名曲BGMは当時から注目を集め、『アルファ』のように「映像表現」で勝負するアドベンチャーと並び立つ、「音楽で勝負するRPG」として位置づけられた。

★ウィル デス・トラップII

・販売会社:スクウェア ・販売年:1985年末~86年にかけて各機種展開 ・販売価格:7,800円。『アルファ』の前作にあたるアドベンチャー作品。スパイ映画のような舞台設定とコマンド入力による緊張感あるゲーム展開が特徴であった。『アルファ』ではさらにアニメーションが追加され、シナリオも壮大になったため、両者を比較しながらプレイするファンも多かった。

★セイバー

・販売会社:エニックス ・販売年:1986年 ・販売価格:6,800円。アニメーション表現を大胆に取り入れたアドベンチャーで、『アルファ』とよく並べて語られる作品。発売当時は「動くアドベンチャー」として注目され、ゲーム雑誌で特集が組まれた。『アルファ』が広い市場で語り草となったのに対し、『セイバー』はPC-9801専用であったためユーザーは限られたが、コアな支持を集めた。

同時期の潮流としてのまとめ

1986年は、アドベンチャーやRPGの進化が同時多発的に起こった年だった。『アルファ』が「アニメーション」という視覚的表現を武器にしたのに対し、『ハイドライド3』や『夢幻の心臓II』はリアルなRPG要素を拡張し、『ジーザス』や『セイバー』は同じくアニメーションを強調した。さらにファルコムの『ザナドゥ』や『イース』は、シナリオと音楽の面で新たな基準を打ち立てつつあった。 つまり『アルファ』は、1986年の「新しさ」を象徴する一本であり、他の作品と並べて語ることで、その時代のゲーム文化全体の変化が見えてくるのである。

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