【発売】:コナミ
【対応パソコン】:MSX2 など
【発売日】:1986年12月
【ジャンル】:アクションロールプレイングゲーム
■ 概要・詳しい説明
映画『キングコング2』を題材にしながら、独自の冒険世界へ発展させたMSX2用アクションRPG
『キングコング2 甦る伝説』は、1986年にコナミから発売されたMSX2向けのアクションRPGである。題材となっているのは、日本では『キングコング2』の題名で公開されたアメリカ映画であり、巨大類人猿キングコングをめぐる物語や世界観を取り入れながら、ゲームとして楽しめるよう大胆な再構成が施されている。同時期にはファミリーコンピュータ向けに『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』も登場しているが、両作品は単純な機種違いの移植作品ではない。ファミコン版が巨大なキングコング自身を操作して敵や障害物を豪快に破壊していくアクションゲームであるのに対し、『甦る伝説』では人間のハンク・ミッチェルを主人公とし、未知の島を歩き回りながら情報、武器、魔法、重要アイテムを集め、謎を解明していく探索型の作品として作られている。この方向性の違いこそ、本作を単なる映画原作ゲームではなく、1980年代のコナミらしい独創的なアクションRPGとして印象付けている最大の特徴といえる。
ゲームの舞台となるのは、謎に満ちたゴルネボ島である。プレイヤーは主人公ハンク・ミッチェルとなり、島の各地を調査しながらキングコングを救うための手掛かりを探していく。ゲーム開始直後から目的地や攻略手順が細かく示される作品ではなく、自分の足で島を歩き、建物を訪ね、住人の話を聞き、怪しい場所を調べることで少しずつ冒険の全体像を理解していく構成となっている。そのため第一印象はアクションゲームでありながら、実際に遊び込むほど「情報収集型RPG」「アドベンチャーゲーム」「フィールド探索ゲーム」といった複数の性格が見えてくる。敵を倒す技術だけで最後まで進めるわけではなく、何を入手し、どこで使用し、誰から重要情報を聞き出すのかという判断力が攻略に大きく影響する。
特に興味深いのは、映画の物語をそのまま順番に追体験する方式ではなく、キングコングという題材を利用して一本の独立した冒険ゲームを作り上げている点である。映画を知らないプレイヤーでもゲームとして成立する一方、原作を知っている人であれば、コングやレディ・コングといった存在をめぐる物語に別の角度から触れられる。映画原作作品でありながらゲーム独自の謎解きや探索を前面に押し出した構成は、当時のコナミが得意としていた「原作の雰囲気を借りながら、ゲームとして面白く作り替える」という姿勢を感じさせる部分である。
主人公ハンク・ミッチェルとなってゴルネボ島を探索する、自由度の高い冒険構成
本作の主人公は、キングコングそのものではなくハンク・ミッチェルである。巨大怪獣を操作する豪快なゲームを想像すると意外に感じられるが、この主人公設定によって『甦る伝説』には「人間の視点から巨大な伝説の存在を追い求める」という独特の冒険感覚が生まれている。ミッチェルはゲーム開始当初から圧倒的な戦闘能力を持っているわけではなく、島を探索して経験を積み、武器を手に入れ、魔法を習得し、必要な道具を揃えながら徐々に行動範囲を広げていく。その過程そのものがゲームの中心となっている。
フィールドには原住民たちの村やさまざまな建物があり、内部では冒険に役立つ情報を聞いたり、装備品を購入したり、食事や休息によって体勢を整えたりできる。重要なのは、こうした場所が単なる回復施設として配置されているのではなく、攻略情報を得る拠点としても機能していることである。何気ない人物の言葉が後の謎解きに関係している場合もあり、初めて訪れた土地では建物を一軒ずつ調べて会話していくことが重要になる。現代のゲームのような目的地マーカーや詳細なクエスト一覧は存在しないため、自分自身で情報を整理し、「あの場所で聞いた話は、ここの仕掛けを意味しているのではないか」と推理しながら進める楽しさがある。
島は最初からすべて自由に進めるわけではない。探索を続けて重要な敵を倒したり、特別な道具や呪文を入手したりすることで、それまで進めなかった場所への道が開かれていく。この仕組みによって、本作の広大なマップは段階的に攻略範囲が拡張される構造となっている。序盤では限られた場所しか移動できなくても、ゲームが進むにつれて島の奥地、危険な地域、海を越えた先などへ足を伸ばせるようになり、「次は何が待っているのか」という探索欲を自然に刺激してくれる。
その象徴的な要素が「てむさの呪文」である。ある場所に住む祈祷師からこの呪文を授かり、特定の石造建築物などに対して使用することで、隠されていた入口が姿を現す。見た目には単なる背景や障害物だったものが重要なダンジョンへの入口へ変化する仕掛けは、当時としても強い驚きを与えるものだった。こうした特殊な能力を覚えるたびに、それまで通り過ぎていた場所をもう一度調べ直す必要が生じるため、本作では同じフィールドを何度も往復することになる。しかし、この往復が単調な作業ではなく、「新しい能力を得たことで以前とは違う発見ができる」という探索ゲームならではの面白さにつながっている。
画面切り替え式フィールドとリアルタイム戦闘を組み合わせた独特のゲームシステム
フィールドの移動には画面切り替え方式が採用されている。主人公を画面端まで移動させると隣のエリアへ切り替わり、次々と画面を移動しながら島全体を探索していく仕組みである。現在のオープンワールドゲームのように巨大なフィールドが連続的にスクロールするわけではないものの、一枚一枚の画面がつながって巨大な世界を形成しており、遊び始めたばかりの頃には迷子になるほどの広さを感じさせる。
戦闘はリアルタイムで進行し、フィールド上に現れる敵を武器や魔法で攻撃する。RPG的な成長要素を持ちながら、敵との遭遇後に専用の戦闘画面へ移行する方式ではないため、探索と戦闘が切れ目なく続いていく。このテンポの良さが『甦る伝説』の大きな個性である。敵を倒して経験値を蓄積すると主人公のレベルが上昇し、より危険な地域でも戦いやすくなる。序盤では強く感じた敵でも成長後には比較的容易に倒せるようになるため、自分自身が島の環境に適応していく感覚を味わえる。
画面右側には主人公の状態を確認できるステータス欄が配置されており、DAYS、LIFE、EXP、LEVEL、MP、GOLDといった情報がまとめて表示される。LIFEは主人公の生命力で、これがなくなると戦闘不能となる。EXPは経験値、LEVELは現在の成長段階、MPは魔法などの特殊能力に必要なポイント、GOLDは買い物などに使用する所持金を示す。またDAYSという項目が存在することも本作ならではの特徴で、ゲーム世界の中で何日が経過したかが記録される。単なる飾りではなく、最終的な結果にも関係する重要な数値となっているため、効率良く冒険を進めることには実際の意味がある。
装備関係ではSHOT1とSHOT2という二つの枠が用意されている。入手したすべての武器や魔法を常時即座に使えるわけではなく、必要なものを選択してこの二つの枠へ割り当てることで実際に使用できるようになる。F2キーを押すとアイテム選択画面へ入り、その場面に適した装備へ切り替えることが可能である。敵と戦うための武器、探索に使用する特殊アイテム、MPを消費する呪文などを状況に応じて選択する必要があり、単に強い武器だけを装備していればよいわけではない。フィールド探索中に怪しい場所へ到達したときには装備を変更し、目的に合った道具を試してみるという操作が頻繁に求められる。
35種類に及ぶアイテムと魔法が、探索・戦闘・謎解きを一つにつないでいる
『キングコング2 甦る伝説』には数多くのアイテムが用意されており、その総数は35種類に及ぶ。これらは大きく分けると、敵を攻撃する武器、MPを消費して特殊な効果を発生させる魔法、ストーリー進行や謎解きに必要となる重要品という三つの系統に分類できる。ただし、単純に「武器は強いものへ交換し続ける」「重要アイテムは持っているだけ」という設計ではなく、それぞれに使用すべき場面が設定されているため、どの道具にどんな意味があるのかを把握することが重要になる。
武器にはナイフなど人間用の装備だけでなく、「コングの爪」のように作品世界を強く意識させる品も登場する。新しい武器を発見したときには単純な攻撃力の上昇だけでなく、「これを使えば今まで苦戦していた敵を倒せるかもしれない」という攻略上の期待が生まれる。魔法系では「てむさの呪文」や「ねむりの呪文」などが代表的で、攻撃一辺倒ではない使い方が要求される。MPには限りがあるため、必要のない場面で乱用すると肝心な場所で使用できなくなる可能性がある。MPを回復するには宿泊などを利用するほか、特定の敵を倒すことで補給できる場合もあり、探索ルートと資源管理を考えることが大切である。
さらに「本」や「コングの瞳」といった、物語や攻略条件と深く結び付いたアイテムも存在する。こうした重要品は、一見しただけでは用途が分かりにくいものも多い。入手した直後に使うのではなく、かなり後になってから意味が判明する場合もあるため、プレイヤーは村人から聞いた情報や過去に見つけた不審な場所を記憶しておく必要がある。1980年代のゲームらしく説明は必要最小限であり、「ここではこのアイテムを使いなさい」と親切に教えてくれるわけではない。だからこそ、自分の推理が的中して隠された道やイベントを発見した瞬間には大きな達成感がある。
ゲームを進めて島から海へ出て、その先の陸地へ到達すると、冒険はさらに危険な段階へ進んでいく。強力な敵が出現する地域やコングに関係する神殿など、物語の核心へつながる場所が登場し、序盤の村周辺とは明らかに異なる緊張感が生まれる。レベルを上げるだけでなく、それまでに集めた道具や呪文、情報を総合的に利用しなければ先へ進むことは難しい。こうした「探索した成果のすべてが終盤へ結び付いていく」という構造が、本作を本格的なアクションRPGとして成立させている。
レディ・コングとの出会いとキングコング復活を目指す物語、そして行動次第で変化する結末
冒険の大きな目的となるのが、キングコングを復活させるための条件を整えることである。その過程ではレディ・コングを探し出すことが重要になり、単純に最終地点まで到達すればクリアというゲームではない。特定の重要アイテムを所持した状態でレディ・コングと出会う必要があり、それまでの探索で何を発見してきたのかが最終局面に影響してくる。プレイヤーは広大な島を歩き回りながら、表面的には無関係に見える出来事を少しずつ一本の目的へつなげていくことになる。
さらに特徴的なのが、ゲーム中に経過したDAYSやコンティニューの回数などによって最終的な結末が変化することである。本作には複数のエンディングが用意されており、条件によってキングコングの蘇生に失敗する結果、蘇生そのものには成功する結果、さらにその先の幸福な展開へ到達する結果へと分岐する。この仕組みによって、一度エンディングを見ただけではゲームを完全に遊び尽くしたことにはならない。
特に最高の結果を目指す場合、ただ慎重にレベルを上げ続ければよいとは限らない。時間をかけすぎることそのものが不利に働く可能性があるため、マップ構造、重要アイテムの位置、イベント発生条件などを理解し、二回目以降のプレイでは効率的な攻略ルートを組み立てる必要が生じる。初回プレイでは謎解きを楽しみ、次回はより短い日数と少ない失敗で進み、さらに良いエンディングを狙う。この段階的な遊び方によって、ゲームクリア後にも再挑戦する目的が残されている。
主人公が倒されてLIFEを失った場合でも、コンティニューによって冒険を再開できるため、一度の失敗ですべてが終わるほど厳しい設計ではない。しかもコンティニューそのものは繰り返し利用できるため、時間をかければエンディングへ到達することは可能である。しかし、前述したように失敗の積み重ねが最終結果へ影響するため、「コンティニューできるから何度倒されても問題ない」とは言い切れない。この絶妙な設計により、初心者でも冒険を続けることはできる一方、最良のエンディングを目指す上級者には高度な攻略が要求される。
セーブ機能まで含めて当時のコナミ製MSXソフトらしい実験精神が感じられる一本
本作を語るうえで非常に珍しい特徴となっているのが、通常状態ではゲーム途中の進行状況を保存する標準的なセーブ機能が用意されていないことである。広大なフィールドを探索するRPGとして考えると厳しい仕様だが、後に発売されたコナミのMSX用ソフト『火の鳥 鳳凰編』を別スロットへ装着することによって、ゲーム進行を保存できる仕組みが利用できる。同じメーカーの別ソフトを組み合わせることで新しい機能が追加されるという発想は、カートリッジスロットを複数備えたMSXならではの遊びであり、当時のコナミがハードウェアの特徴を積極的に利用していたことを象徴する要素でもある。
グラフィックについても、MSX2という当時の新しい規格を生かし、島、村、建物、神殿、海などを色彩豊かに描き分けている。巨大なキングコングを題材とした作品でありながら、派手な巨大怪獣戦だけを前面に出すのではなく、「南海の孤島を探検している」という雰囲気づくりに力が入れられているところが興味深い。地域が変われば敵の種類や景観も変化するため、次の画面へ進むことそのものが楽しみになる。
音楽も冒険の雰囲気を盛り上げる重要な要素で、探索時や重要場面などでゲームの印象を支えている。長時間同じフィールドを歩き回るゲームではBGMの存在感が大きいが、本作ではコナミ作品らしい印象的な楽曲が探索のテンポを支え、危険な土地へ踏み込んだときの緊張感や、重要なイベントへ到達した際の達成感を強めている。
販売面では、ファミコン版『怒りのメガトンパンチ』ほど一般家庭へ広く知られた作品ではなく、具体的な累計販売本数も広く公表されているタイトルではない。しかしMSX2向け作品としては、映画とのタイアップ、アクションとRPGを組み合わせたゲーム設計、広大な探索フィールド、複数エンディング、独特なセーブ方法など、多くの特色を備えていた。何より重要なのは、「キングコングのゲームだからキングコングを操作して暴れさせる」という分かりやすい方向だけを選ばず、人間の主人公が伝説の巨大生物を救うために未知の島を探索するという、まったく異なる作品へ仕立てたことである。
『キングコング2 甦る伝説』は、敵を次々に倒すだけでは攻略できず、住人との会話から情報を集め、武器を整え、魔法を覚え、重要アイテムを発見し、隠された入口を開き、島全体を何度も調査することで少しずつ真相へ近づいていく。そこにはRPGの成長、アクションゲームの緊張感、アドベンチャーゲームの謎解き、探索ゲームの発見する喜びが凝縮されている。映画原作作品という枠を越え、MSX2というハードの特性と1980年代コナミのゲーム作りが融合した独自性の高い一本である。
■■■■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター
広大な島を自分の判断で歩き回り、少しずつ謎を解き明かしていく探索そのものが最大の魅力
『キングコング2 甦る伝説』の魅力を一言で表現するならば、「何が起こるのか分からない島を自分自身の判断で調査していく面白さ」にある。ゲーム開始直後から明確な一本道が用意されているわけではなく、プレイヤーは主人公ハンク・ミッチェルを操作しながらゴルネボ島を歩き、村人の話を聞き、建物を訪ね、敵と戦い、新しいアイテムを探して冒険を進めていく。そのため本作では、単純に敵を倒すことよりも「次にどこを調べるべきか」を考える時間が非常に重要になる。
現代のゲームで一般的になった目的地マーカーやクエスト表示はなく、プレイヤー自身が情報を整理しなければならない。ある住人から聞いた意味深な言葉が数十分後、あるいはさらに先へ進んだところで重要な手掛かりになることもある。初めて遊ぶ場合には、「あの人物が言っていた場所はどこだったか」「以前見つけた怪しい建造物に新しく手に入れた道具を使えないか」と考えながら島を往復することになる。この試行錯誤こそが本作ならではのゲーム性であり、攻略情報を完全に知った状態では味わいにくい独特の冒険感を作り出している。
特に印象的なのが、ゲームを進めることで同じ場所の意味が変化する点である。最初に訪れたときには何もできなかった場所でも、新しいアイテムや呪文を手に入れてから戻ってみると隠された入口を発見できる場合がある。「てむさの呪文」に代表される特殊能力はその象徴であり、石の建物などに働きかけることで、それまで見えていなかった攻略ルートが姿を現す。プレイヤーは新しい能力を入手するたびに過去の場所を思い返し、「あそこへ戻れば何か起こるのではないか」と推理することになる。
この構造によってフィールドそのものが巨大な謎解き装置として機能している。ただ広いだけのマップではなく、武器、呪文、重要アイテム、登場人物から得られる情報が複雑につながっており、それらを理解するほど世界の構造が見えてくる。初見では迷路のように感じられた島が、何度も冒険するうちに自分の頭の中で地図になっていく感覚は非常に気持ちが良い。これは『キングコング2 甦る伝説』を単なるアクションゲームとは呼べない理由の一つでもある。
アクションの腕前だけでは突破できない、RPGとアドベンチャーゲームを融合させた面白さ
本作ではリアルタイムで敵と戦うため、もちろんアクションゲームとしての操作技術も必要になる。しかし、戦闘能力だけを高めれば必ずクリアできる作品ではない。主人公を成長させながら、その場面に適した装備やアイテムを使い、NPCから得た情報を利用して謎を解かなければならないため、プレイヤーには複数の能力が要求される。
敵を倒すことで経験値を獲得し、LEVELを上げていく部分は典型的なRPGの楽しさを持っている。序盤では手強かった敵でも、経験を積んで主人公が成長すると余裕を持って対処できるようになる。この成長感は分かりやすく、危険だった地域を自由に歩けるようになったときには大きな達成感が得られる。
一方で、レベルを必要以上に上げるため同じ場所で延々と戦い続ければよいというゲームでもない。本作では経過日数を示すDAYSが存在し、ゲーム内で時間を浪費することが最終的な結果に関係してくる。そのため良いエンディングを狙う場合には、「安全だから時間をかけて強くする」というRPGで一般的な攻略方法が必ずしも最善ではなくなる。
必要な戦闘だけを行い、必要なアイテムを効率良く集め、最短に近いルートで目的を達成することが理想となる。この「強くなりたいが、時間も無駄にできない」というバランスが非常に面白い。初回プレイでは自由に冒険して世界を理解し、二周目以降では無駄を削って効率的な進行を目指すという遊び方が自然に生まれる。
また、SHOT1とSHOT2へ装備するアイテムを選択するシステムも戦略性を高めている。持っているアイテムをすべて同時に即使用できるわけではないため、戦闘を優先するなら攻撃用装備を組み合わせ、探索する場合には呪文や特殊アイテムを用意するなど、その都度装備構成を考える必要がある。この小さな判断の積み重ねが攻略のテンポを生み、本作独特の「探索しながら装備を使い分ける」というプレイ感覚を作っている。
攻略の基本は「地図を覚える」「会話を記録する」「入手品を試す」の三つ
初めて『キングコング2 甦る伝説』を攻略するとき、最も重要なのは無理に先へ進もうとしないことである。本作では現在地が分からなくなることそのものが大きな障害となるため、まず周辺の地形を理解することが攻略への第一歩になる。
特に有効なのが、自分で簡単なマップを作る方法である。画面切り替え式のフィールドなので、方眼紙などに一画面を一マスとして記録すると位置関係を把握しやすい。村、宿屋、重要人物が住む建物、通れない場所、不自然な石造物、強敵がいる場所などを書き込んでおけば、新しいアイテムを入手した際に再探索すべき場所を判断しやすくなる。本作は手書き地図を作りながら攻略する遊び方との相性が非常に良い。
次に重要なのがNPCとの会話である。建物の中にいる人物は単なる雰囲気づくりとして配置されているとは限らず、ゲーム進行に必要な情報を持っている場合がある。何を言われたのかを忘れてしまうと後で迷いやすいため、重要そうな言葉はメモしておきたい。「場所」「人物」「アイテム」「呪文」に関係する言葉が出てきた場合には特に注意する必要がある。
そして三つ目が、新しく入手したアイテムの用途を積極的に考えることである。『キングコング2 甦る伝説』では、手に入れた道具の用途が必ずしも直後に分かるとは限らない。その場合には「以前進めなかった場所」「意味が分からなかった建物」「不自然な地形」などを思い出し、そこへ戻って試してみる。これを繰り返すことで新しいルートが開けていく。
つまり本作の攻略は、敵を倒すことだけではなく、「情報を集める→仮説を立てる→現地へ行く→アイテムを試す→新しい情報を得る」というサイクルで成り立っている。この流れを理解すると、それまで何をすればよいのか分からなかったゲームが急に面白く感じられるようになる。
序盤攻略では無理な遠征を避け、村を拠点に資金・経験値・情報を確実に集める
ゲーム序盤では主人公の戦闘能力がまだ低く、装備も十分ではない。その状態で遠くまで探索しようとすると強敵に囲まれ、LIFEを消耗したまま帰れなくなる危険がある。したがって最初の段階では、スタート地点周辺の地形と施設を把握することを優先したい。
まず訪れられる建物には可能な限り入っておく。そこで何が購入できるのか、どこで回復できるのか、どの人物が重要な話をするのかを確認する。特に宿屋など安全に体勢を立て直せる場所は、その後の探索拠点となるため位置を必ず覚えておきたい。
敵との戦闘では、最初からすべての敵を倒そうと考えないほうがよい。強い敵に無理に挑むより、現在の武器で安全に倒せる相手を選んで経験値やGOLDを確保することが重要である。敵の動きを観察し、接触されにくい位置から攻撃するなど、LIFEを温存する戦い方を覚えていく。
ある程度資金が貯まったなら武器や必要品を整え、次の地域へ進む準備をする。ただし、レベル上げに熱中しすぎないことも重要である。普通にクリアするだけなら多少寄り道しても問題ないが、より良い結果を狙う場合にはDAYSを意識しなければならないからである。
初回プレイでは効率を気にしすぎるより、まず地理とゲームルールを覚えることを優先したほうが楽しみやすい。どこに何があるかを理解してから再挑戦すると、驚くほど短い時間で先へ進めるようになる。本作ではプレイヤー自身の知識が、主人公のLEVEL以上に大きな武器となるのである。
「てむさの呪文」を手に入れてからが本格的な探索の始まり
攻略上の重要な転換点となるのが「てむさの呪文」の入手である。この呪文を使えるようになることで、それまで単なる障害物や背景の一部に見えていた石造物に新たな意味が生まれる。
重要なのは、呪文を手に入れた後に新しい場所だけを探すのではなく、それまで通ってきた地域をもう一度確認することである。探索型ゲームでは、新能力を得たときに過去の場所へ戻るという考え方が非常に重要だが、本作でもその基本は変わらない。
「以前ここに変わった建物があった」「不自然な石があった」「行き止まりなのに何かありそうだった」と感じた場所を順番に訪ねれば、新しい入口を発見できる可能性が高くなる。見つかったダンジョンや隠し場所の先には、次の攻略へ必要となるアイテムや情報が待っている。
この仕組みの面白いところは、呪文そのものが単なる鍵ではないことである。プレイヤーが「どこで使うのか」を考えなければならないため、アイテムを入手した瞬間ではなく、その使用場所を見抜いた瞬間に本当の達成感が発生する。
武器だけでなく魔法を使いこなすことが、中盤以降の安定した攻略につながる
中盤以降になると敵も強くなり、単純に正面から攻撃するだけではLIFEの消耗が激しくなる。そのため、武器の強さだけでなく魔法や特殊アイテムを使い分けることが重要になる。
「ねむりの呪文」のような特殊効果を持つ魔法は、敵との戦い方に変化を与えてくれる。すべての状況で攻撃力を最大化するより、敵を無力化して危険を減らしたほうが効率的な場面も存在する。特に複数の敵がいる場所や、LIFEが少ない状態で突破しなければならない地域では、攻撃以外の選択肢を持っていることが大きな助けとなる。
ただしMPは無限ではない。使用しすぎると謎解きや重要戦闘で必要になったときに足りなくなる可能性がある。そのため普段の弱い敵には通常武器を使い、危険な場面だけ魔法を投入するという資源管理が基本になる。
このように本作で求められる「上手さ」は単純な反射神経だけではない。戦うべき敵と避ける敵を判断し、武器と魔法を使い分け、残りLIFEとMPを見ながら次の目的地まで進む計画性が重要なのである。
海を越えた先から難易度が上昇し、これまで蓄積した攻略知識が試される
冒険が進み、島だけではなく海を越えた地域へ移動できるようになると、ゲームは一段階難しくなる。ここまでの地域で基本的な戦闘や探索方法を習得していても、より強い敵や複雑な攻略条件が現れ、適当に歩いているだけでは突破しにくくなる。
特にコングに関係する神殿周辺など物語の核心へ近づく地域では、主人公のLEVEL、装備、重要アイテムの収集状況が問われる。戦闘力が足りなければ敵に押し切られ、必要なアイテムを取り逃していればイベントが進まず、情報を覚えていなければ次の目的地が分からなくなる。
ここで重要になるのが、序盤から続けてきたメモや地図である。すでに訪れた場所を整理しておけば、「まだ使っていないアイテム」「まだ意味が判明していない場所」を洗い出せる。逆に何も記録せず進めている場合は、島全体を再び探し回ることになりやすい。
また、終盤へ進む前に装備を一度整理しておくことも大切である。SHOT1とSHOT2へ何を設定しているのか、MPは十分か、LIFEに余裕があるかを確認し、危険な地域へ入ってから装備変更に慌てないようにしたい。
クリアだけなら粘り強く挑戦可能だが、最高のエンディングを狙うと難易度が一変する
『キングコング2 甦る伝説』の難易度を評価するときには、単純に「クリアできるか」という基準と、「最良の結末へ到達できるか」という基準を分けて考える必要がある。
主人公が倒されてもコンティニューできるため、通常のクリアだけを目的とするなら何度も挑戦しながら攻略法を覚えていくことができる。一度ゲームオーバーになっただけですべてを最初からやり直さなければならないタイプではなく、失敗を経験しながら先へ進める余地がある。
しかし本作には複数のエンディングがあり、経過日数やコンティニューの状況が最終結果に影響する。キングコングの蘇生そのものに失敗する結末、復活に成功する結末、さらにその先へ進んでベビーコングの誕生まで描かれる最良の結末が存在し、良い結果を狙うほど効率的なプレイが要求される。
したがって、初回で最良のエンディングを見ることを目標にするとかなり難しい。何も知らない状態では道に迷い、アイテムの用途を試し、何度も村へ戻り、強敵に敗れることになるため、どうしてもDAYSやコンティニューが増えてしまう。
むしろ本作は一周目で島の秘密を知り、二周目以降で最適化するゲームとして考えると分かりやすい。一度攻略したプレイヤーは、「この建物は後回しでよい」「ここではこのアイテムを取る」「次はこの道を進む」と判断できるため、初回とはまったく異なるテンポで進行できる。プレイヤー自身が成長したことを実感できる非常に面白い構造である。
最高ランクの結末を目指すなら、戦闘よりも「無駄な行動を減らす」ことが最大の攻略法
良いエンディングを目指すうえで最も大切なのは、強力な敵を華麗に倒すことではなく、攻略に必要のない行動を可能な限り削減することである。
初回ではすべての建物を訪れ、あらゆる道を確認する必要があるが、二周目以降は必要な情報をすでに知っている。そこで、攻略に直接関係する場所だけを巡るルートを考えることになる。武器購入、重要人物との会話、呪文入手、重要アイテム回収、ダンジョン攻略という流れをなるべく一直線につなぐことが理想となる。
特に大きなロスとなるのが迷子である。目的地を間違えると数画面、場合によってはそれ以上の距離を往復する必要があり、その間に敵との戦闘やLIFE消耗も増える。地図を頭へ入れておくだけでも攻略速度は大幅に向上する。
次に重要なのが無駄なレベル上げをしないこと。もちろん弱すぎれば終盤で苦戦するため必要な成長は行うべきだが、十分な強さになった後まで同じ敵を倒し続ける意味は小さい。移動途中の敵を倒して自然にEXPを稼ぎながら進む程度にとどめたほうが効率はよい。
最高の結末を狙う攻略は、一種のタイムアタックに近い楽しさを持っている。ただ速く操作するだけではなく、ゲーム全体の構造を把握し、最適な順番を考える知識型のタイムアタックである。初回プレイでは大冒険だった島が、熟練後には一つの巨大な攻略パズルとして見えてくる。
好きなキャラクターとして挙げたいハンク・ミッチェルは、巨大怪獣ゲームを冒険RPGへ変えた存在
本作の登場人物の中で特に印象深いキャラクターを一人挙げるなら、やはり主人公ハンク・ミッチェルである。キングコングを題材にしたゲームでありながら、実際にプレイヤーが長時間操作するのは巨大なコングではなく一人の人間である。この大胆な主人公設定こそが、『甦る伝説』を特徴的な作品にしている。
ハンクには巨大怪獣のような圧倒的な力はない。島へ足を踏み入れた段階では十分な装備も知識もなく、敵と戦い、人々から情報を集め、道具を買い、魔法を覚えながら少しずつ前進していく。そのためプレイヤー自身の成長と主人公の成長が重なりやすい。
最初は何の意味があるのか分からなかった島の風景も、ハンクと共に旅を続けるうちに理解できるようになる。強敵に追われて逃げ回っていた地域を、後に強力な武器を持って堂々と通過できるようになる変化も気持ちが良い。
そして最大の特徴は、ハンクが単なる「キングコングを見るための案内役」ではなく、ゲーム世界の謎を解決する主体として描かれていることにある。プレイヤーは彼を通して島の住人と交流し、魔法を習い、危険な場所へ踏み込み、最後にはコングの運命そのものへ関わっていく。
キングコングとレディ・コングが「物語の目的」として強い存在感を発揮
タイトルにも名前が掲げられているキングコングは、本作ではプレイヤーが最初から自由に操作する主人公ではない。しかし、それによって存在感が弱くなっているわけではなく、むしろ「会いたくてもすぐには会えない伝説的な存在」として物語全体を動かしている。
レディ・コングも同様で、単なる脇役としてではなく、最終目的を達成するための重要な存在として位置付けられている。特定のアイテムを持ったうえで彼女と出会う必要があることから、それまで集めてきた道具や情報がここで一本につながる。
さらに条件を満たした先にはベビーコングへつながる結末も用意されているため、コングたちは単なる映画原作を示す記号ではなく、プレイヤーの冒険結果を象徴する存在となっている。
難しいからこそ攻略法を発見した瞬間が気持ちいい、1980年代らしい硬派なゲームバランス
『キングコング2 甦る伝説』は、現在の基準から見れば決して親切なゲームではない。次に何をすればよいのか明確に表示されず、アイテムの用途も自分で考える必要があり、広いフィールドでは方向感覚を失いやすい。初めて遊ぶプレイヤーにとっては、「どこへ行けばいいのか分からない」という状況そのものが最大の難関になり得る。
しかし、この不親切さは欠点であると同時に本作最大の魅力でもある。誰かから正解を教えてもらうのではなく、自分自身で解決方法を見つけたときの満足感が非常に大きいからである。
てむさの呪文の使用場所を自力で発見した瞬間、意味不明だったアイテムの用途に気付いた瞬間、苦戦していた敵を新しい武器で倒せた瞬間、迷っていたマップのつながりを理解した瞬間など、小さな発見が積み重なって攻略へつながっていく。
一度解法が分かると、それまで高かった難易度が一気に下がることも面白い。ゲームキャラクターの能力だけではなく、プレイヤー自身が知識を獲得することでゲームが簡単になっていくのである。
裏技よりも知識とルート構築が強力な武器になるゲーム
本作を攻略する際、現代的な意味でゲームバランスを大きく崩壊させるような裏技を前提にする必要はない。むしろ最も強力な「裏技」に相当するものは、ゲームの構造そのものを理解してしまうことである。
どこに重要アイテムがあるのか、どのNPCと話せばよいのか、どの場所へてむさの呪文を使うのか、どの敵は倒す必要があり、どの敵は無視できるのか。これを覚えてしまえば初回とは比較にならないほど効率良く進められる。
敵の移動パターンや攻撃可能な距離を把握することも実戦的な攻略テクニックになる。敵へ無闇に近づかず、攻撃が届くぎりぎりの距離を保つことで被弾を減らし、LIFE回復の回数を抑えられる。敵が多い画面では全滅させようとせず、出口まで安全なラインを確保して素早く次画面へ移動する判断も有効である。
アイテム選択についても、頻繁に使う武器と、その地域で必要となる特殊能力をSHOT1・SHOT2へ設定しておけば操作の無駄が減る。目的地に合わせて装備を事前に整えることが、結果的には大きな時間短縮につながる。
一周目の「未知の冒険」と二周目以降の「攻略最適化」でまったく違う面白さを味わえる
本作が長く楽しめる理由の一つが、初回と二回目以降でゲームの印象が大きく変わることである。
一周目では、どこに何があるのか分からない。道に迷い、見知らぬ敵と遭遇し、意味の分からないアイテムを手に入れ、不思議な言葉を残す住人と会う。そのすべてが未知であり、「島を探検する」という感覚が最も強く味わえる。
一方、一度クリアした後は世界の構造をある程度理解している。そのため次は「もっと短い日数で進めたい」「コンティニューを減らしたい」「前回より良いエンディングを見たい」という新しい目的が生まれる。
どの順番でイベントを進めれば無駄がないかを考え、寄り道を減らし、敵を必要以上に倒さず、必要な装備だけを整えて進む。これは一周目とは別のゲームを遊んでいるような感覚であり、探索RPGだった作品がルート構築型の攻略ゲームへ変化する。
そして最良の結末に到達したとき、プレイヤーは単にゲームをクリアしただけではなく、「ゴルネボ島そのものを理解した」という満足感を得られる。複数エンディングという仕組みが単なるおまけではなく、繰り返し遊ぶ動機としてゲームシステムときちんと結び付いているのである。
『キングコング2 甦る伝説』の面白さは、プレイヤー自身が冒険家になれること
総合すると、『キングコング2 甦る伝説』の最大のアピールポイントは、映画の有名キャラクターを使った派手さではなく、プレイヤー自身が未知の土地を調査する冒険家になれるところにある。
主人公ハンク・ミッチェルには、最初から世界を救えるほどの力も、目的地を示してくれる便利な地図もない。プレイヤーが島の住民から情報を集め、自分で道を覚え、戦いながら成長し、魔法と道具の用途を理解して初めて物語が前へ進む。
だからこそ、攻略情報を知らずに遊ぶ一周目には独特の緊張感がある。画面を一つ切り替えるだけでも、そこに新しい村があるのか、強敵が待っているのか、重要なダンジョンにつながる場所なのか分からない。その未知への期待がプレイヤーを先へ進ませる。
そしてゲームシステムを理解した後には、今度はDAYSやコンティニューを抑えながら最良の結果を狙う高度な攻略が始まる。一度クリアして終わりではなく、知識を増やすほど効率的に攻略できる点が本作の大きな魅力となっている。
■■■■ 感想・評判・口コミ
「キングコングのゲーム」という予想を良い意味で裏切る、独特なアクションRPGとしての評価
『キングコング2 甦る伝説』を実際に遊んだ人の感想でまず語りやすいのは、タイトルから想像する内容と実際のゲーム性との大きな違いである。「キングコング2」という名前だけを見れば、巨大なキングコングを操作して建物を破壊したり、大型の敵と豪快に戦ったりするアクションゲームを思い浮かべやすい。実際、同じ題材を扱ったファミリーコンピュータ版『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』は、キングコングを自ら操作する分かりやすいアクション作品だった。それに対してMSX2向けの『甦る伝説』は、人間であるハンク・ミッチェルを主人公とした探索型アクションRPGであり、この大胆な方向性の違いがプレイヤーの印象を大きく左右している。
初めてプレイした人の中には、「キングコングを動かすゲームだと思っていたら、人間の主人公が島を歩き始めた」という驚きを感じた人もいただろう。しかし、そこで作品の方向性を理解できると、今度はゴルネボ島を探索して謎を解くゲームとして面白さが見えてくる。映画をゲーム化する際に、原作の出来事をそのまま再現するのではなく、ゲーム独自の冒険を作り上げている点は、本作を評価するうえで重要な部分である。
特に当時のMSX2作品を好むプレイヤーから見れば、単純なキャラクターゲームではなく、フィールド探索、経験値による成長、武器の購入、魔法の習得、アイテムによる謎解き、複数のエンディングといった多数の要素が組み込まれていることに魅力を感じやすい。映画の知名度だけに頼って短時間で遊び終わる作品ではなく、自分でマップを理解しながら腰を据えて攻略するゲームとして作り込まれているため、「思っていた以上に本格的」という印象につながる。
「自分で道を見つけたときが面白い」という探索型ゲームならではの満足感
プレイヤーから高く評価されやすい要素の一つが、フィールド探索の楽しさである。本作では、次の目的地が常に画面上へ表示されるわけではない。プレイヤーはゴルネボ島の各地を歩き回り、建物へ入り、住人から情報を聞き、入手したアイテムを使いながら自力で攻略ルートを見つける必要がある。
この設計は現在のゲームに慣れている人からすると不親切に感じられるかもしれない。しかし、攻略方法を知らずにプレイした場合、「自分で発見した」という感覚が非常に強く残る。何度も通り過ぎていた場所へ新しく覚えた呪文を使ったことで秘密の入口が現れたり、用途不明だったアイテムが重要な局面で役立ったりした瞬間には、単に敵を倒したときとは異なる達成感がある。
一度行き詰まってから島を再探索し、「もしかすると以前見つけた石の建物が怪しい」と気付いて試してみた結果、正解だったときの気持ち良さは本作ならではである。こうした体験を好むプレイヤーにとって、『甦る伝説』は攻略情報を見ずに遊ぶ価値が高い作品になる。
また、画面切り替え式の広大なマップには、現在位置を把握する面白さもある。最初はどこを歩いているのか分からなかった島でも、繰り返し探索することで「あちらへ行けば村」「この先には危険地帯」「ここから戻れば宿屋」と地理関係を覚えられるようになる。ゲーム内の主人公だけでなく、プレイヤー自身が土地に詳しくなっていく感覚があり、それが長時間プレイした際の愛着にもつながる。
アクションとRPGが自然につながっており、キャラクターの成長を実感しやすいという好印象
戦闘については、コマンド選択式ではなくフィールド上でそのまま敵と戦うため、テンポの良さを評価しやすい。敵と接触するたびに戦闘専用画面へ切り替わるのではなく、探索中の操作がそのまま戦いへつながるため、島を歩いている感覚が途切れにくい。
同時に、敵を倒してEXPを獲得し、LEVELが上がることで主人公が強くなるRPGらしい成長要素も存在する。ゲーム序盤では危険だった敵が、後半では比較的楽に倒せるようになるため、自分が強くなったことを直接体感しやすい。新しい武器を入手した直後に敵へ試してみて、それまで苦戦していた相手を倒せたときなどは非常に分かりやすい爽快感がある。
特に評価されやすいのが、成長が単純な数値上昇だけで終わらない点である。武器が増え、魔法を覚え、重要アイテムを手に入れることで、戦闘能力だけでなく「できること」そのものが増えていく。ゲームを始めたばかりのハンク・ミッチェルと終盤のハンクでは、プレイヤーが選べる行動の幅が大きく異なる。
35種類のアイテムをどう使うか考えることが面白い一方、説明不足を難点と感じる場合もある
本作では武器、魔法、重要品など多数のアイテムが登場し、それぞれが攻略に関係している。このアイテムの多さについては、プレイヤーの好みによって評価が分かれやすい。
謎解きが好きな人にとっては、「この道具は何のために存在するのか」と考えることそのものが楽しい。入手した瞬間に用途が分からないからこそ、後から使い道に気付いたときの喜びが大きい。特に「てむさの呪文」のようにフィールドそのものへ変化を与える能力は、ゲーム世界の見え方まで変えてくれるため印象に残りやすい。
一方、十分な情報を得ないまま進めると、どこで何を使えばよいのか分からなくなる可能性もある。現在のゲームでは、重要アイテムを入手した直後に詳しい説明が表示されたり、使用場所の近くにアイコンが出たりすることが多いが、本作にはそうした補助がほとんど存在しない。
そのため「考える楽しさ」と「分かりにくさ」が表裏一体となっている。自分で攻略方法を探すことが好きなら魅力になるが、スムーズな進行を求めるプレイヤーには難点として感じられるだろう。
ゲーム世界の「日数」が結末に影響する仕組みは緊張感を生む反面、焦りを感じさせる要素でもある
『キングコング2 甦る伝説』を特徴付けるシステムとして、DAYSというゲーム内の経過日数が挙げられる。通常のRPGであれば、レベル上げや探索にどれだけ時間をかけても基本的には問題にならない。しかし本作ではプレイ中の行動やコンティニュー状況がエンディングに関係するため、より良い結末を狙うプレイヤーには効率的な攻略が求められる。
このシステムを高く評価する人にとっては、ゲーム全体へ適度な緊張感を与える仕掛けになる。「いつまでも同じ場所でレベルを上げていれば絶対安全」という遊び方を抑制し、必要な情報を集めたら次の目的地へ進むよう促しているからである。
また、一周目と二周目以降の遊び方を明確に変える役割も持っている。最初は自由に探索して地形やイベントを覚え、次のプレイでは無駄な行動を減らして短期間での攻略を目指す。この流れによって、同じ内容を繰り返すだけではない再プレイ性が生まれている。
コンティニュー可能という安心感と、最良の結果を狙った場合の厳しさを両立
1980年代のゲームには、一度ゲームオーバーになると長時間のプレイがほぼ無駄になる作品も少なくなかった。その点、『甦る伝説』は主人公が倒されてもコンティニューによって冒険を継続できるため、通常のクリアを目的とするプレイヤーにとっては比較的挑戦しやすい。
何度失敗しても攻略方法を覚えながら先へ進めることができるので、アクションゲームがそれほど得意でなくても、時間をかけてゲームの仕組みを学べば物語を進められる。この点については、難しい作品でありながら完全に初心者を突き放しているわけではないという好意的な評価につながる。
ところが、良いエンディングを狙った瞬間に意味が変わる。コンティニューを繰り返してもゲームそのものは進められるが、最終結果を意識するなら失敗をできるだけ避けなければならない。この二重構造が面白い。
グラフィックはMSX2らしい色彩の豊かさが印象的で、未知の島を歩く雰囲気づくりに貢献
視覚面では、MSX2向けタイトルとして島や村、建物、海、神殿といったさまざまな場所が描き分けられており、冒険の雰囲気を作ることに成功している。現在の基準で見れば画面構成は非常にシンプルだが、当時の8ビットパソコンゲームとして見ると、色彩を生かしたフィールド表現には独特の味がある。
画面切り替え式という構成も、本作の場合には冒険感の演出に役立っている。画面端へ到達して次のエリアへ切り替わるたび、「次には何があるのだろう」という期待が生まれるためである。新しい画面で見慣れない敵や建物を発見すると、それだけで探索が一歩進んだ感覚になる。
コナミ作品らしい音楽の存在感も評価ポイントで、長時間の探索を支える重要な魅力
ゲームの感想を語るうえで、音楽も忘れられない要素である。コナミは当時からゲーム音楽への評価が高いメーカーであり、『キングコング2 甦る伝説』でも探索を支えるBGMが作品の雰囲気づくりに大きく貢献している。
フィールドを長時間歩き回るゲームでは、同じ音楽を何度も耳にすることになる。そのためBGMがゲーム全体へ与える影響は大きい。本作ではコナミらしいテンポのある楽曲が冒険を盛り上げ、特定の地域や重要イベントの記憶と音楽が結び付きやすい。
現在の豪華なゲーム音楽と比較すれば使用できる音源やチャンネル数は限られている。しかし制約があるからこそメロディーそのものが前面へ出ており、短いフレーズでも印象へ残りやすい。レトロゲーム音楽を好むプレイヤーにとっては、本作の評価を高める要素の一つになる。
「どこへ行けばいいのか分からない」という不満は、本作で最も挙げられやすい弱点
一方で、本作の欠点として最も感じやすいのはゲーム進行の分かりにくさである。十分な攻略情報を持たずにプレイすると、次の目的地が分からなくなり、広い島を何度も往復することになりやすい。
村人の話を聞き逃していた、重要な場所を一つ見落としていた、入手済みアイテムの使用方法に気付かなかった、といったわずかな原因でも進行が止まる可能性がある。そしてゲーム自身は「あなたはここを見落としています」と教えてはくれない。
そのため、探索そのものが好きではないプレイヤーにはかなり厳しい。行き詰まった際に「もう一度すべての場所を調べる」という作業が苦痛になってしまうと、評価は低くなりやすい。
逆に言えば、この部分を楽しめるかどうかが本作への評価を分ける最大の境目である。「不親切だから面白くない」と感じる人と、「不親切だから自分で考える余地があって面白い」と感じる人では、同じゲームでも評価が大きく異なる。
標準セーブを備えていない点は、長編アクションRPGとして現在では大きな難点
現在の視点から特に厳しく感じられるのが、標準状態では一般的な途中セーブ機能を備えていないことである。探索範囲が広く、アイテムや成長要素を持つRPGでありながら、一度のプレイを途中で気軽に保存できないという仕様は、長時間遊ぶことが難しいプレイヤーには大きな負担になる。
一方、後発作品『火の鳥 鳳凰編』との組み合わせを利用することでセーブ可能になるという仕掛けは、MSXの複数スロットを利用したコナミらしい遊び心として評価できる。複数のゲームカートリッジを組み合わせて機能が増えるという発想自体は非常に面白い。
キングコングの出番を期待すると物足りなさを感じる可能性もある
タイトルへ「キングコング2」と大きく掲げられていることから、当然ながらキングコング自身の活躍を期待して購入した人もいただろう。その視点から本作を遊ぶと、主人公がハンク・ミッチェルであることを物足りなく感じる可能性がある。
ファミコン版ではキングコングを自由に操作し、巨大な体で敵を倒す楽しさが前面へ押し出されている。それと比較すると『甦る伝説』は非常に地味に見える。巨大怪獣を操作して暴れ回る爽快感を求める人には、ファミコン版のほうが好みに合うだろう。
しかし、これは作品の完成度が低いということではなく、そもそもの設計思想が違う。本作が目指したのは「キングコングになって暴れるゲーム」ではなく、「キングコングをめぐる謎を解く冒険ゲーム」である。
攻略方法が分かるほど評価が高くなりやすい、典型的な「噛めば噛むほど味が出る」タイプ
『キングコング2 甦る伝説』は、短時間遊んだだけでは魅力を判断しにくい作品でもある。序盤では主人公が弱く、行ける場所も限られ、何をすればよいのか分からない。その段階だけで判断すると、難しくて地味なゲームという印象を持ちやすい。
しかし、重要な呪文を入手し、新しい地域が開き、アイテム同士の関係が分かってくるにつれてゲームの面白さが増していく。一見無関係だった場所や情報が次々とつながるため、終盤ほど「ここまで調べてきた意味」が分かる構成になっている。
さらに一度クリアすると、今度は効率を考える遊びが始まる。最初のプレイでは長時間迷った場所を迷わず突破し、必要なアイテムだけを取り、DAYSを抑えながら進行する。自分の知識によってゲームが劇的に簡単になる感覚は非常に爽快である。
最良のエンディングへ到達したときの達成感が強く、やり込み派には印象深い作品
複数エンディングを持つことも、本作の評判を支える重要な要素である。単に最後まで進めば全員同じ結末を見るのではなく、それまでのプレイ内容によって結果が変化するため、より良いエンディングを見ること自体がやり込み目標となる。
特に最高の結果へ到達するには、島の構造やアイテム配置、イベントの順序などを理解し、余計な失敗を減らす必要がある。そのため最良のエンディングは、攻略情報を知っているだけではなく、ゲームを十分に理解したことへの報酬という意味合いが強い。
最初はキングコングを復活させるだけでも苦労していたプレイヤーが、繰り返し遊ぶことで短期間に必要な条件を整え、最終的にはベビーコングへつながる結果へ到達する。この過程そのものがゲームに対する思い出となる。
現在遊ぶと「不便さ」は目立つが、それ以上に当時ならではの自由なゲーム作りが新鮮
現在のゲームとして評価すれば、目的地表示がない、説明が少ない、標準セーブに制限がある、フィールドで迷いやすいといった不便な部分は確かに多い。遊びやすさという点だけを比較すれば、現代作品のほうが圧倒的に優れている。
しかしレトロゲームとして見る場合、その不便さも含めて1980年代ならではのゲームデザインを感じられる。プレイヤーへ大量の説明を与えるのではなく、「まず歩いてみる」「分からなければ考える」という設計思想が貫かれている。
また、有名映画をゲーム化する際に、原作通りの展開を再現することへこだわらず、アクションRPGへ大胆に作り替えた自由さも現在見ると興味深い。同じ映画を題材にしたファミコン版とMSX2版でゲームジャンルそのものを変えてしまうところに、当時のコナミの積極性が感じられる。
総合的な評判は「万人向けではないが、探索型RPG好きには強く刺さる個性派作品」
ゲーム全体の評価をまとめるなら、『キングコング2 甦る伝説』は誰にでも分かりやすくおすすめできるタイプの作品ではない。何をすればよいのか親切に教えてほしい人、短時間でテンポ良く進めたい人、キングコングを操作する豪快なアクションだけを期待する人には、合わない可能性が高い。
反対に、広い世界を自分で調べることが好きな人、謎解きの答えを自力で発見したい人、アイテムを集めながら少しずつ行動範囲を広げるゲームを好む人とは非常に相性が良い。序盤の分かりにくさを乗り越えるほどゲーム世界への理解が深まり、その理解そのものが攻略力となるからである。
良い部分としては、広大な探索マップ、アクションとRPGの融合、豊富なアイテム、魔法を使った仕掛け、複数エンディング、主人公の成長、コナミらしい音楽などが挙げられる。一方の弱点としては、進行方法の分かりにくさ、迷いやすいマップ、現代基準では不便なセーブ環境、キングコング自身を操作できないことへの期待との差などがある。
しかし、欠点の多くは同時に本作の個性でもある。誘導が少ないから探索が成立し、地図が複雑だから覚える楽しみがあり、最良の結末を見る条件が厳しいからこそ再挑戦する意味が生まれる。遊び始めた直後には「難しい」「分かりにくい」と感じても、何度もゴルネボ島を歩いているうちに地形を覚え、アイテムの用途が分かり、効率的なルートを作れるようになる。その頃には、単なる映画原作ゲームではなく、自分自身が攻略して身につけた一つの世界として記憶へ残るのである。
■■■■ 当時の宣伝・現在の中古市場など
映画『キングコング2』との連動性を前面に出しながら登場した、コナミのMSX2向けタイトル
『キングコング2 甦る伝説』が市場へ送り出された1986年前後は、MSXからMSX2への世代交代が進み、新しい規格による表現力の向上がパソコンゲームファンから注目されていた時代である。その中でコナミはMSX市場へ非常に積極的にソフトを投入しており、アクション、シューティング、スポーツ、探索型作品など幅広いジャンルを展開していた。本作もそうしたコナミのMSX戦略の一角に位置付けられる作品であり、さらにアメリカ映画『キングコング2』という一般にも知られやすい題材を採用したことで、通常のオリジナルゲームとは異なる訴求力を備えていた。
同じ映画を題材としてファミリーコンピュータ向けには『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』が発売されており、一つの題材から家庭用ゲーム機とパソコン向けに内容の異なる作品を展開するという方法が採られていた。ファミコン版はキングコングを直接操作する豪快なアクション性を分かりやすく伝えられる作品だったのに対し、MSX2版『甦る伝説』では、人間のハンク・ミッチェルとなって島を探索するアクションRPGとして設計されている。そのため商品としても、単純にファミコン版をMSX2で遊べるという位置付けではなく、「同じ映画を題材にしながら異なる冒険を楽しめるゲーム」として独自の価値を持っていた。
当時のパソコンソフト販売では、現在のような動画配信サービスやSNSによって実際のプレイ映像を気軽に確認できる環境は存在しない。そのため購入前に得られる情報として大きな役割を果たしていたのが、パソコンゲーム雑誌、MSX専門誌、ゲーム総合誌、販売店の店頭、ソフトのパッケージ、メーカー広告などである。雑誌に掲載される画面写真や紹介記事によって初めてゲーム内容を知り、そこから購入するかどうかを判断するユーザーも多かった。
ゲーム雑誌やMSX専門誌の画面写真が重要だった時代ならではの宣伝方法
1980年代半ばのパソコンゲーム市場では、雑誌媒体が現在とは比較にならないほど重要な宣伝経路だった。特にMSXユーザーにとっては、新作ソフトの発売予定、ゲーム画面、メーカー広告、攻略情報、読者投稿などを掲載する専門誌やパソコン誌が、新しい作品を知るための主要な情報源だった。
『キングコング2 甦る伝説』のような探索型ゲームでは、一枚のゲーム画面だけでは内容を完全に説明することが難しい。そのため、フィールド上で敵と戦っている場面、村や建物を探索している画面、ステータス表示、アイテム選択など複数の画面が紹介されることで、「単純なアクションゲームではなくRPG的な要素を持っている」という特徴を伝えやすくなった。
また、発売後には攻略記事そのものが間接的な宣伝として機能することもあった。謎解きの多い作品は、読者から攻略情報への需要が生まれやすい。どこへ行けばよいのか、特定アイテムは何に使うのか、どのようにエンディングへ到達するのかという情報が誌面へ掲載されることで、発売後もしばらく作品名が読者の目に触れ続けることになる。
店頭で存在感を発揮したROMカートリッジ商品と、パッケージそのものの広告効果
本作はMSX2専用のROMカートリッジ作品として販売された。カセットを本体へ差し込めば比較的すぐゲームを開始できるROMカートリッジ方式は、カセットテープやフロッピーディスクと比べて扱いやすく、家庭用ゲーム機に近い手軽さを持っていた。
販売店ではパッケージが棚へ並び、ユーザーはタイトル、イラスト、メーカー名、裏面のゲーム説明などから内容を想像して購入する。当時は実際に遊んだ映像を事前に動画で確認できないため、パッケージデザインの持つ広告力は現在以上に大きかった。
特に「キングコング」という名称は、オリジナルの無名キャラクターと比較すると圧倒的に認識しやすい。映画を知っている人であれば、ゲームファンでなくても一度は商品へ目を向ける可能性がある。さらに当時のコナミはすでにゲームメーカーとして高い認知度を持っており、「コナミのMSX2用ソフト」という点そのものがゲームファンへのアピールになった。
MSX2専用・大容量ROMという商品仕様も当時のアピール材料
『キングコング2 甦る伝説』はMSX2専用タイトルとして発売され、当時のユーザーにとっては「新しいMSX2で遊ぶ大型作品」という意味でも存在感を持っていた。
当時のゲームソフトは数千円台が一般的で、子供や学生にとって一本購入すれば長期間遊ぶことになる高価な娯楽品だった。そのため、広いマップ、多数のアイテム、主人公の成長、魔法、複数エンディングなど、繰り返して遊べる内容を備えていることは商品価値にも直結していた。
ROM容量を強調する表現も、当時はゲーム内容の豊富さや豪華さを想像させる宣伝材料になりやすかった。もちろん容量が大きければ必ず面白いというわけではないが、新作を購入するときの期待感を高める要素にはなっていた。
さらにMSX2専用であることは、MSX2本体を購入したユーザーに対して「新しいハードの能力を生かしたソフトを遊びたい」という需要へ応える意味を持つ。旧MSXでも遊べる共通ソフトではなく、MSX2を所有していることで楽しめる作品である点が、一種の特別感につながっていた。
ファミコン版との同時期展開が生んだ、二種類の『キングコング2』という面白い商品戦略
本作を宣伝・販売面から見る際に非常に興味深いのが、ファミコン版『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』との関係である。同じ題材を使用しながら、一方ではキングコングを操作するアクションゲーム、もう一方ではハンク・ミッチェルを操作するアクションRPGという大きく異なる内容が用意された。
通常であれば、複数のハードへ展開するときには基本システムを共通化して移植する方法が効率的である。しかしコナミは、ハードごとに別作品と言えるほどゲーム内容を変更した。これは開発の手間という意味では大きな取り組みだが、消費者から見ると「片方を持っているからもう片方はいらない」という状況を避けられる。
ファミコンユーザーには巨大なコングの力を使う爽快なアクションを、MSX2ユーザーには広大な島を探索するRPG的な冒険を提供する。両機種を所有していたユーザーであれば、それぞれまったく違うゲームとして楽しむことができた。
具体的な累計販売本数は広く公表されておらず、大ヒット本数を断定することは難しい
販売実績について注意したいのは、『キングコング2 甦る伝説』単体の正確な国内累計販売本数について、現在一般に参照しやすい形で確定的な数字が広く公開されているわけではないことである。
ファミコンの著名タイトルでは後年になって何十万本、何百万本という販売本数が資料へ掲載される場合があるが、1980年代の国内パソコンゲームでは、個別タイトルの販売実績が体系的に残されていないケースも多い。したがって、本作について具体的な販売数を推測だけで記載するのは適切ではない。
ただし販売本数が不明だからといって、作品として存在感がなかったという意味ではない。当時のコナミはMSX市場を代表するメーカーの一つであり、『グラディウス』『沙羅曼蛇』『夢大陸アドベンチャー』『メタルギア』など後に高い評価を受ける多くのタイトルを展開している。『キングコング2 甦る伝説』も、そうしたコナミのMSX・MSX2作品群の中で映画原作を利用した異色のアクションRPGとして独自の位置を占めた。
発売から長い年月を経て、実用品からコレクターズアイテムへ性格が変化
発売当時の『キングコング2 甦る伝説』は、当然ながら遊ぶことを目的として購入される現役ゲームソフトだった。しかし発売から長い年月が経過した現在では、商品としての意味が大きく変化している。
MSX2本体そのものがレトロパソコンとなり、純正環境で実際にゲームを動かして楽しむユーザーだけでなく、1980年代コナミ作品を収集するコレクター、MSXソフトを体系的に集める愛好家、映画原作ゲームを集める人など複数の需要が存在する。
特にROMカートリッジはフロッピーディスクと比較すると記録媒体そのものの取り扱いが容易で、外観状態さえ良ければ「当時のゲームソフトを所有する」というコレクション目的とも相性が良い。その一方、カートリッジ内部の経年劣化、本体側の動作環境、端子の状態などによって実際に正常動作するかどうかは個体ごとに異なるため、購入するときには状態確認が重要となる。
発売当時は説明書を読んだ後に箱を処分してしまうユーザーもいたため、数十年後の現在ではカートリッジだけ残っている個体より、外箱・説明書まで揃った品のほうがコレクション価値を評価されやすい。
現在の中古相場は付属品・保存状態・動作確認によって大きく変化
現在の中古市場を見ると、『キングコング2 甦る伝説』は常に極端なプレミア価格となる超高額ソフトではないものの、一般的な裸カセットと付属品の揃ったコレクション向け商品との間に明確な価格差が生じやすい。
カートリッジのみの品、箱・説明書付きの品、傷や汚れが少ない美品、動作確認済みの商品などによって販売価格は異なる。中古専門店やオークションでは数千円台で見られることがある一方、状態の良い箱・説明書付き商品では1万円前後、あるいはそれ以上の販売価格が設定される場合もある。
したがって現在の相場を単純に「○円」と一本の数字へ固定することは難しい。出品時期、競争入札の有無、商品の保存状態、動作確認、箱や説明書の有無によって価格差が発生するためである。
中古価格を大きく左右する最大の要素は、箱・説明書・カートリッジの保存状態
レトロゲームを購入するときに価格差を生みやすいのが付属品であり、『キングコング2 甦る伝説』も例外ではない。
最も安く入手しやすいのは、基本的にROMカートリッジ単体の商品である。ラベルに傷や汚れがあり、動作未確認として販売される品では価格が抑えられやすい。純粋に実機でゲームを遊びたいだけなら、このような商品は選択肢になり得る。
次に価値が上がるのが説明書付きである。本作は探索やアイテム利用が重要なゲームなので、オリジナルのマニュアルはゲーム資料としても意味を持つ。単なる操作説明だけでなく、「発売当時のプレイヤーがどのような情報を与えられてゲームを始めたのか」を知ることができるため、レトロゲーム研究という面でも価値がある。
さらに外箱まで揃えばコレクション性は一段階高くなる。箱の角につぶれがない、色褪せが少ない、破れや値札跡がない、説明書へ書き込みがないといった条件が重なるほど評価されやすい。
「過去最高価格」は単純に断定せず、セット出品や別商品との混同に注意
オークション相場を調べる際に注意したいのが、検索結果へ表示された最高額が必ずしも『キングコング2 甦る伝説』単品の価格ではないことである。
「キングコング」という検索語だけで調べると、別作品や関連商品、複数ゲームのセットなども結果へ混ざる。そのため一覧画面の最高落札額だけを取り上げて「このゲームが過去最高○万円で売れた」と判断すると誤情報になりかねない。
本作については、状態の良い箱・説明書付きの個体が通常のカートリッジ単品より高値になる傾向を述べる程度にとどめ、「史上最高価格」を断定しないほうが正確である。レトロゲーム価格は出品数が少ないほど、一件の特殊な取引によって大きく変動するからである。
ファミコン版とは中古市場での性格が異なり、MSX2版はよりコレクター寄りの商品
『キングコング2』という名称からファミコン版とMSX2版を同じような中古商品と考えがちだが、現在の市場では両者の性格に違いがある。
ファミコンは国内で非常に多く普及したため、『怒りのメガトンパンチ』も比較的多くの中古品が流通している。それに対してMSX2はファミコンほど統一された巨大な家庭用ゲーム市場ではなく、MSX2専用ソフトの現存数や中古流通量も作品によって大きく異なる。
そのためMSX2版『甦る伝説』を探す購入者には、「昔遊んだからもう一度欲しい」という懐古目的だけでなく、「コナミのMSX2作品を揃えたい」という収集目的も存在する。極端な高額プレミア作品ではないとしても、箱・説明書付きの良品が常に大量に存在するタイトルでもない。
購入するなら安さだけではなく、動作確認とラベル・端子の状態を確認したい
現在実物のカートリッジを購入して遊びたい場合、価格だけで判断するのはおすすめしにくい。発売から非常に長い年月が経過しているため、外観がきれいでも内部まで完全な状態とは限らないからである。
まず確認したいのが動作確認の有無である。「起動確認済み」「実機確認済み」と記載されている商品は、少なくとも出品時点でゲームが起動した可能性が高い。一方、「動作未確認」「現状品」「ジャンク」とされている商品は安くても正常に動作しない可能性を考慮する必要がある。
次に重要なのがカートリッジ端子である。長期間保管されたROMカセットでは端子の汚れや酸化によって接触不良が起きる場合がある。ラベルの剥がれやケースの割れもコレクション目的なら価格評価へ影響する。
箱や説明書付きの商品では、ゲーム本体だけでなく紙類の状態も確認したい。箱の日焼け、破れ、つぶれ、説明書の折れや書き込みなどは数十年前の中古品では珍しくない。「完品」と「美品」は同じ意味ではなく、付属品が全部存在していても状態が悪い可能性はある。
今後もMSX・コナミ作品への再評価によって一定の需要が続く可能性
レトロゲーム市場では、発売当時の販売本数だけで現在の価格が決まるわけではない。現存する商品の数、海外需要、メーカー人気、シリーズ人気、動画や記事による再発見、復刻版の登場など多くの要因が価格へ影響する。
コナミのMSX・MSX2作品には現在でも熱心なファンが存在し、特に同社の1980年代作品をまとめて集めるコレクターにとって『キングコング2 甦る伝説』も興味深い一本である。
さらに本作は「同じ映画を題材にしたファミコン版とはまったく違うゲーム」という分かりやすい特徴を持つ。この背景がレトロゲーム紹介などで取り上げられるたび、初めて存在を知るユーザーが出てくる可能性もある。
一方、レトロゲーム価格は必ず上昇するものではない。復刻や配信などによって実際に遊ぶ目的の需要が変化する場合もあり、景気やコレクターブームによって相場が変動する。そのため現在の販売価格だけを根拠として将来的に必ず高騰すると考えるべきではない。
宣伝・販売・中古市場まで振り返ることで見えてくる『甦る伝説』の独特な立ち位置
『キングコング2 甦る伝説』を商品として振り返ると、その魅力はゲーム内容だけに存在するのではない。1980年代の映画タイアップ、MSX2という新しいパソコン規格、コナミのブランド力、ROMカートリッジによる販売、ゲーム雑誌中心の情報流通など、当時のゲーム文化そのものが詰まっている。
発売当時は映画『キングコング2』との関係によって注目を集め、ゲームショップやパソコンショップではコナミのMSX2用新作として販売された。ユーザーは雑誌広告や紹介記事、店頭のパッケージなど限られた情報からゲーム内容を想像し、購入後に広大なゴルネボ島を自力で探索した。
それから長い歳月を経ることで、ゲームソフトとしての価値だけでなく「1980年代のMSX文化を残す物品」としての価値も加わった。箱や説明書まで残された個体には、当時の商品デザインや説明方法をそのまま確認できる資料的価値もある。
現在の市場では、カートリッジ単体なら比較的手を伸ばしやすい価格で見つかる場合がある一方、状態の良い箱・説明書付き商品には相応の価格が付く。極端な超高額プレミアゲームとは言いにくいが、一般的な中古ゲームとして大量に流通する存在でもなく、MSX2コレクターから一定の需要がある作品という位置付けが適切である。
■■■■ 総合的なまとめ
映画原作という枠に収まらず、コナミ独自の発想で探索型アクションRPGへ作り替えた意欲作
『キングコング2 甦る伝説』を総合的に振り返ると、この作品で最も評価したいのは、有名映画をゲーム化する際に原作の展開をそのまま再現する安易な方法を選ばず、一本の本格的な探索型アクションRPGとして再構築したことである。タイトルだけを見れば巨大なキングコングを操作して敵を倒していくゲームを想像しやすいが、実際の主人公は人間のハンク・ミッチェルであり、プレイヤーはゴルネボ島の各地を歩きながら情報を収集し、武器を買い、魔法を覚え、重要なアイテムを探し、隠された場所を発見してキングコング復活への道を切り開いていく。
このゲームデザインによって、『キングコング2』という映画の知名度に依存するだけのキャラクターゲームとは明確に異なる作品となった。映画を知らない人でも、未知の島を探索するアクションRPGとして十分に楽しむことができる一方、映画を知っているプレイヤーならキングコングやレディ・コングといった存在が物語へどのように取り込まれているのかという別の楽しみ方ができる。
ゲームの基本となるのは、画面切り替え式の広大なフィールド探索である。村や建物を訪問し、住民から得られる情報を整理しながら次の目的地を推測する。途中では多数の敵が現れるため、武器を使用したリアルタイム戦闘も必要になる。さらに敵を倒せば経験値を獲得し、LEVELが上昇して主人公自身も成長していく。この時点だけでもアクションとRPGが融合しているが、本作にはさらに魔法を使用した謎解きや重要アイテムの収集が加わっている。
つまり『甦る伝説』は、アクション、RPG、アドベンチャー、謎解きという複数ジャンルの要素を一本へ詰め込んだ作品である。それぞれが独立しているのではなく、「敵と戦って強くなる→新しい土地へ進む→情報や道具を手に入れる→以前通れなかった場所を調べ直す→新しいルートが開く」という循環によって密接につながっている。この構成こそ、本作が1980年代のMSX2作品の中でも独特の存在感を持つ理由である。
プレイヤーへ答えを与えすぎない設計が、ゴルネボ島を本当に冒険している感覚を生み出している
本作を現在のゲームと比較した場合、最も大きく異なる部分の一つが、プレイヤーへの誘導の少なさである。次の目的地を示す矢印もなければ、現在取り組むべきイベントを一覧表示してくれる機能もない。どこへ向かうか、誰と話すか、入手したアイテムをどこで使うかは基本的にプレイヤー自身で考えなければならない。
この仕様は現代的な遊びやすさという観点から見ると、不便に感じる部分でもある。ヒントを見落とせば長時間迷う可能性があり、地図を把握できなければ何度も同じ場所を往復することになる。アイテムの用途が分からなければ攻略が完全に止まる場合すらある。
しかし、この不親切さこそが『甦る伝説』特有の冒険感を生み出している。ゲーム側から「ここへ行きなさい」と命令されるのではなく、自分で怪しい場所を探し、情報を組み合わせ、「ここでこの呪文を使えば何か起こるのではないか」と仮説を立てて行動する。予想が当たり、それまで隠されていた道が開いた瞬間には非常に大きな満足感がある。
特に「てむさの呪文」によって石造物などが消え、その奥から新たな入口が現れる仕掛けは、本作を象徴する要素である。新しい能力を手に入れたことで以前訪れた場所の意味が変化し、フィールド全体をもう一度見直す必要が生まれる。この仕組みによってゴルネボ島は単なる背景ではなく、それ自体が巨大な謎解き装置として機能している。
武器・魔法・成長要素が豊富で、「できること」が少しずつ増えていく喜びがある
本作の成長要素も完成度を支えている。主人公ハンクは最初から圧倒的な能力を持っているわけではなく、敵との戦闘を繰り返しながら経験値を蓄積し、LEVELを上げて強くなっていく。さらにGOLDを使って装備を整え、探索によって新しい武器や特殊アイテムを発見し、魔法を習得することで行動の選択肢が広がっていく。
ゲーム中には多数のアイテムが存在し、ナイフやコングの爪など戦闘に利用するものだけでなく、てむさの呪文やねむりの呪文といったMPを消費する特殊能力、さらに本やコングの瞳など物語を進めるために重要な品も用意されている。
SHOT1とSHOT2という二つの使用枠へ必要なものをセットする方式も、本作独特の戦略性を作り出している。攻撃だけを考えるなら強い武器を設定すればよいが、探索中には特殊アイテムや呪文へ切り替えなければならない。現在いる場所と目的に応じて装備を変更することで、単純な攻撃力以外の判断が要求される。
こうした成長の面白さは、「数値が増える」だけではないところが重要である。新しい魔法を覚えることで今まで入れなかった場所へ進め、新しい道具を発見することで以前意味不明だった仕掛けを解けるようになる。主人公の成長とプレイヤー自身の知識の増加が同時に進むため、ゲーム開始時と終盤では同じ世界がまったく違って見えてくる。
DAYSと複数エンディングによって、単なる長時間のレベル上げを最適解にしなかった設計
『キングコング2 甦る伝説』を一般的なRPGと大きく分けているのがDAYSの存在である。ゲーム世界で経過した日数が記録され、それまでの進め方やコンティニューなどが最終結果に関係するため、単純に時間をかけて最大限まで主人公を強化してから進むことが常に最良とは限らない。
これは非常に興味深いゲームデザインである。通常のRPGでは、強敵に勝てなければ大量に経験値を稼いでレベルを上げることが安全な攻略法となる。しかし本作で最良の結末を目指す場合、必要以上のレベル上げや無駄な往復が結果的に不利になる可能性がある。
そこで二周目以降では、プレイヤーの目的そのものが変化する。最初のプレイでは島を自由に探索して世界の仕組みを理解し、次回からは必要な場所だけを効率良く回り、重要アイテムを最短に近い順番で集める。無駄な敵とは戦わず、LIFEやMPを適切に管理しながら進めることで、より良いエンディングを狙うのである。
キングコングの蘇生に関する結果だけでなく、さらに条件を満たした先にベビーコングへつながる展開が存在することも、再プレイへの意欲を高めている。一度最後まで到達しただけで完全終了ではなく、「今度はもっと上手く攻略できる」という目標が残る。
最大の欠点は分かりにくさと保存環境だが、それも当時のゲーム文化を象徴している
もちろん『キングコング2 甦る伝説』は欠点のないゲームではない。現在遊んだ場合、特に問題となりやすいのが進行方法の分かりにくさである。
NPCから重要な情報を聞き逃した場合や、必要なアイテムの用途に気付けなかった場合、次に何をすればよいのか分からなくなる可能性がある。ゲーム側から救済ヒントが大量に提示されることもないため、場合によっては広い島を再び一から調査する必要がある。
また、標準状態で一般的な途中セーブを備えていない点も、長時間遊ぶアクションRPGとして大きな弱点である。後発の『火の鳥 鳳凰編』を別スロットで利用することによってセーブできる仕掛けはMSXらしく面白いが、本作単体で遊ぶ場合の利便性という意味では厳しい。
ただし、こうした特徴は本作だけが特別に異常だったというより、当時のゲーム文化そのものとも深く関係している。現在ほどユーザーインターフェースの標準化が進んでおらず、ゲームごとに操作方法や攻略の常識が違っていた時代だからこそ、メーカーは大胆な仕組みを試すことができた。
同じ『キングコング2』を題材にしたファミコン版とは、完成度を単純比較できないほど別物
本作を評価するときに必ず比較対象となるのが、コナミから発売されたファミリーコンピュータ用『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』である。ただし、この二作品を単純に「MSX2版とファミコン版」と呼んで移植度やグラフィックだけで比較するのは適切ではない。題材こそ共通しているものの、ゲームジャンル、主人公、ゲーム目的、進行方法が大きく異なり、事実上それぞれ独立した作品だからである。
『怒りのメガトンパンチ』ではキングコング自身を操作し、その巨大な力で敵を倒しながらフィールドを進む。タイトルを見た瞬間に想像する「キングコングを操作したい」という期待へ直接応えるゲームであり、アクションの分かりやすさや破壊する爽快感を重視した作品といえる。
それに対して『甦る伝説』ではハンク・ミッチェルを操作し、島の住民から話を聞き、道具と魔法を集め、キングコング復活を目指す。こちらの魅力は豪快な破壊ではなく、未知の場所を少しずつ解明していくことにある。
したがって、アクションゲームとして瞬間的な楽しさを重視するならファミコン版を好む人もいるだろう。一方で、長時間かけて世界を探索し、謎を解き、自分なりの攻略ルートを完成させる楽しさならMSX2版が優れている。
どちらが上というより、「同じ映画からまったく異なる二種類のゲームを作り出した」という事実そのものが面白いのである。
『甦る伝説』そのものはMSX2版を中心とした作品であり、多機種移植作品として考えないほうが分かりやすい
タイトルの対応機種について整理すると、『キングコング2 甦る伝説』は基本的にMSX2向けとして知られている作品であり、同一内容のゲームがPC-8801、PC-9801、X1、FM-7、ファミコンなどへ次々と移植された典型的な多機種展開タイトルではない。
したがって、「MSX2版と各種パソコン版でどの機種が最も完成度が高いか」という形で比較するより、MSX2用として作られた『甦る伝説』と、同じ映画をゲーム化した別作品『怒りのメガトンパンチ』との設計思想の違いを見るほうが本作の特徴を理解しやすい。
この点は非常に重要であり、ファミコン版を『甦る伝説』の移植版として扱うとゲーム史的な位置付けを誤ってしまう。同じキングコング、同じ映画タイアップ、同じコナミ作品であっても、ゲームとしては別々の方向を目指して作られている。
コナミのMSX時代を語るうえで、メタルギアやグラディウスとは違った方向性を示す重要な一本
1980年代のコナミによるMSX作品を振り返ると、『グラディウス』をはじめとするシューティング、『夢大陸アドベンチャー』のようなアクション作品、後にシリーズ化される『メタルギア』など、現在まで名前が残るタイトルが数多く存在する。
その中で『キングコング2 甦る伝説』は、シリーズの知名度という点ではそれらの代表作より控えめかもしれない。しかし、ゲームの実験性という意味では非常に興味深い位置を占めている。
映画とのタイアップ作品でありながら、人気キャラクターを直接操作させるだけのゲームにはせず、広大なフィールド探索とRPG要素を組み合わせた。そこへ多数のアイテム、魔法、レベルアップ、資金管理、DAYS、複数エンディングといった仕組みを投入している。
一つ一つの要素だけを見れば後のゲームでも一般的になるものだが、それらを1980年代半ばのMSX2タイトルへまとめて導入したことに価値がある。コナミが当時、既存ジャンルの形式にこだわらず、面白いと思った仕組みを積極的に組み合わせていたことが分かる作品である。
現在プレイするなら、不便さを理解したうえで「攻略情報をどこまで見るか」を自分で決めると楽しみやすい
現在『キングコング2 甦る伝説』へ初めて挑戦する場合、最初から攻略手順を完全に確認してしまわないほうが本作ならではの面白さを味わいやすい。本作最大の魅力は謎解きと探索なので、すべての正解を知った状態で始めるとゲームの魅力をかなり失ってしまう。
まずは自分で島を歩き、建物を調べ、住民の話を聞きながらプレイする。紙やメモアプリへ簡単な地図や重要情報を書いておくだけでも、当時に近い感覚で楽しめる。
どうしても進めなくなった場合には、答えそのものではなくヒントだけ確認する方法も良い。たとえば「このアイテムはどの地域で使うのか」という程度だけ知り、実際の場所は自分で探すようにすれば探索の楽しみを残せる。
一方で、1980年代らしい不便さを体験すること自体に興味がなく、ゲーム内容を効率良く最後まで確認したい場合には攻略情報を利用してもよい。本作は最良のエンディングを狙う二周目以降にも楽しみがあるため、一周目を攻略情報ありで進めても別の遊び方は残されている。
最終評価――『キングコング2 甦る伝説』は知識と経験そのものが最大の武器になる冒険ゲーム
『キングコング2 甦る伝説』を最後まで振り返ったとき、このゲームを象徴する言葉は「探索」と「発見」である。
主人公ハンク・ミッチェルは最初から万能ではない。武器も魔法も十分ではなく、島についての知識もない。しかしプレイヤーと一緒に各地を歩き、人々から情報を集め、敵と戦い、経験を積みながら少しずつ成長する。そして新しいアイテムや呪文を入手するたびに、それまで閉ざされていた道が開いていく。
同時に成長しているのはプレイヤー自身でもある。初めて見たときには複雑だったゴルネボ島のマップを覚え、どこで何を入手できるのか、どの敵は危険なのか、どこに隠された入口があるのかを理解していく。二回目のプレイでは、その知識がそのまま強力な攻略能力になる。
キャラクターのLEVELだけを最大にすれば上手くなるゲームではなく、「プレイヤーが作品世界について詳しくなるほど上手くなる」という設計は、本作最大の魅力である。
もちろん万人向けではない。迷いやすく、説明は少なく、標準の保存環境も現在の感覚では不便である。キングコング自身を操作して派手に暴れたい人にとっては期待とは違う作品でもある。
しかし、未知の土地を自分で調査することが好きな人、意味の分からないアイテムの用途を考えることが好きな人、一度クリアしたゲームをより効率的に攻略することが好きな人には、非常に印象深い一本となる可能性を持っている。
ファミコン版『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』が「キングコングになって暴れる楽しさ」を追求した作品なら、MSX2の『キングコング2 甦る伝説』は「キングコングを救うための冒険を自分自身で解き明かす楽しさ」を追求した作品である。同じ映画を題材にしながら、これほど異なる方向へゲーム化したところにも1980年代コナミの創造性が表れている。
発売から長い年月が経過した現在では、操作性や利便性の古さを感じる部分は否定できない。それでも、広大なフィールド、多数のアイテム、魔法による謎解き、主人公の成長、時間を意識した攻略、複数のエンディングといった要素が組み合わされたゲーム構造には、現在振り返っても独自の面白さが残っている。
『キングコング2 甦る伝説』は、単なる映画の関連商品でも、ファミコン版の代替品でもない。MSX2という環境の中で独自に作り上げられた一つの完成した冒険世界であり、「知らない場所を歩き、自分の知識で謎を解く」というゲーム本来の喜びを強く味わえる作品である。1980年代のコナミが持っていた挑戦的なゲーム作りと、MSX2時代ならではの自由な発想を現在へ伝える、個性豊かなアクションRPGとして評価できるだろう。
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