
【中古】[DC] ペンペン トライアイスロン(PeN PeN TriIcelon) ゼネラル・エンタテイメント (19981127)
【発売】:ゼネラル・エンタテイメント
【発売日】:1998年11月27日
【ジャンル】:レースゲーム
■ 概要
『ペンペントライアイスロン』は、1998年11月27日にゼネラル・エンタテイメントから発売されたドリームキャスト専用ソフトで、同機のローンチタイトル4本のうちのひとつとして登場しました。ドリームキャストの登場はセガにとって重要な節目であり、その船出を彩る一本として、この作品は他のどのレースゲームとも異なる独創性を前面に押し出しています。
舞台は氷雪に覆われた架空の惑星「アイスドプラネット」。そこに暮らす「ペンペン」と呼ばれるペンギンに似た直立二足歩行の生き物たちが、自らの祭典として「ペンペントライアイスロン」という競技大会を開きます。この大会は地球のトライアスロンに似ていますが、競技内容は「走る・滑る・泳ぐ」の三種目。選手たちは氷の大地、滑りやすい氷面、冷たい水中を舞台に、様々な仕掛けや障害を乗り越えながらゴールを目指します。
このゲームを特徴づけるのは、単に「走る」だけではない複合的なレース構造です。コースは走行パート、氷上滑走パート、水泳パートが複雑に組み合わされており、プレイヤーは状況に応じて操作感覚を切り替えなければなりません。たとえば走行パートではテンポのよいストライドで加速し、氷上では慣性をコントロールしつつ滑る操作、水中では浮力や抵抗を考慮して長めのストロークを刻む必要があります。この切り替えは自動ではなく、プレイヤーがその場の状況に合わせてリズムを調整するため、常に集中力と反射神経が試されます。
操作面で最大の特徴となるのが「ストローク」システムです。これは一般的なレースゲームのようにアクセルボタンを押しっぱなしにするのではなく、一定の間隔で押して離すことで最大限の推進力を得られる仕組み。押すタイミングが早すぎても遅すぎてもスピードは上がらず、絶妙なリズム感が求められます。初心者はこのテンポを掴むまでに苦労しますが、マスターすればコースのタイム短縮が如実に現れ、練習の成果をダイレクトに感じられるという中毒性を生みます。
登場キャラクターは8種類以上で、それぞれ体格・性格・能力が異なります。例えばスピード特化型の「スパーキー」、加速力に優れる「ハナミズ」、パワーで相手を弾き飛ばす「バック」、トリッキーな泳法を得意とする「スニーク」など、外見や能力だけでなくボイスやモーションまで個性が作り込まれています。キャラクターボイスには有名声優や芸能人が起用され、セリフや挑発モーションを通じてプレイヤーに強烈な印象を残します。
レースは単に速さだけではなく、相手への妨害やコースギミックの活用も重要です。氷の壁を壊してショートカットを作ったり、相手の進路を塞いで転倒させたりと、攻防の駆け引きが熱く、終盤まで逆転のチャンスがあります。この「混戦感」は、パーティゲーム的な盛り上がりを生み、多人数プレイでは特に白熱します。
グラフィックは当時としても高水準で、氷や雪の質感、水中の揺らぎ、キャラクターのコミカルなアニメーションなど、視覚的な演出が豊富。カラフルでポップな美術設計は、子供から大人まで幅広い層にアピールしました。BGMも各コースのテーマに合わせた軽快な曲調で、テンポの良いゲームプレイと相まって爽快感を高めています。
結果的に『ペンペントライアイスロン』は、単なるレースゲームではなく、リズムゲーム的な要素とキャラクターゲーム的な魅力を融合させたハイブリッドな作品として、ドリームキャスト黎明期の個性派タイトルとして記憶されることになりました。
■■■■ ゲームの魅力とは?
『ペンペントライアイスロン』の魅力は、一言でいえば**「全身で楽しむアクションレース」**という点に集約されます。単なるタイムアタック型のレースゲームとは異なり、ここではプレイヤー自身がキャラクターと一体化し、走る・滑る・泳ぐという多彩な動きをリズムよくこなすことが求められます。この独自性が、発売から20年以上経った現在でも記憶に残る要因のひとつです。
まず特筆すべきは、やはり三種競技システムです。レース中は地形や状況に応じて走行、氷上滑走、水泳の3つのアクションが切り替わります。走行パートではテンポの良いダッシュと方向転換、氷上では滑りすぎないための細やかな制御、水中では流れや抵抗を読んだ長めのストロークが重要となります。それぞれのパートごとに必要な技術や感覚が異なるため、飽きずに何度も挑戦できる構造になっています。特に氷上パートの慣性表現は秀逸で、少しでも入力を誤ればコースアウトしてしまうスリリングさがプレイヤーの集中力を試します。
もうひとつの大きな魅力が**「ストローク」システム**です。通常のレースゲームではアクセルボタンを押し続けるだけで加速しますが、本作では一定のリズムで押して離すという動作が必要です。このため、単純な連打ではスピードが出ず、逆に遅すぎても推進力が落ちます。結果としてプレイヤーはBGMや自分の感覚に合わせてボタンを刻むことになり、レースがまるでリズムゲームのような楽しさを帯びます。習熟度がタイムに直結するため、「練習すればするほど早くなる」ことが実感でき、やり込み欲を強く刺激します。
キャラクター性の豊かさも、本作を魅力的にしている大きな要素です。スピード狂のスパーキー、色気とプライドを併せ持つティナ、のんびり屋のバック、猪突猛進型のMr.バウ、甘えん坊なバレリー、悪戯好きのスニーク、乱暴者のジョー、そして謎多きハナミズ──それぞれの性格はレース中のモーションやボイス、挑発アクションにも反映されています。対戦中に相手がこちらを挑発する動作を見せたり、転倒時のリアクションがキャラごとに違ったりすることで、単なる「能力の違うアバター」以上の存在感を放っています。
ビジュアルと世界観も見逃せません。ドリームキャストの性能を活かしたカラフルなポリゴン表現は、氷の透明感、雪面の反射、水面のゆらぎなど、当時としてはかなりリアルかつファンタジックな演出を実現しています。背景には観客席で応援するペンペンや、動くギミック、雪煙を上げて滑走するエフェクトなど、細部までこだわりが感じられます。コースごとに異なるテーマ(氷の洞窟、雪山、海底トンネルなど)も、プレイヤーを飽きさせない工夫です。
BGMと効果音は全体のテンションを高める重要な役割を果たしています。アップテンポな曲はストローク操作のリズム感と相性が良く、自然とボタンを押すタイミングが合ってくることもしばしば。キャラクターボイスや衝突音、氷の割れる音など、聴覚的なフィードバックが爽快感を倍増させます。
さらに、本作は対戦の盛り上がり方が格別です。CPU戦でも十分楽しいのですが、やはり人間同士の駆け引きは一味違います。相手の得意なパートでミスを誘ったり、自分が苦手なパートで防御に徹したりと、心理戦が展開されます。特に複数人で遊んだ場合は、最後の直線で一気に順位が入れ替わるドラマティックな展開が頻発し、勝敗以上に笑いと興奮が絶えません。
このように『ペンペントライアイスロン』は、操作のリズム感、三種競技の多様性、キャラクターの個性、ビジュアルの魅力、対戦の盛り上がりという5つの軸が有機的に組み合わさり、他のレースゲームでは味わえない独自の面白さを作り出しています。これらすべてが「単純に速く走るだけのゲーム」ではなく、「全身で楽しむ競技体験」としてプレイヤーの記憶に刻まれているのです。
■■■■ ゲームの攻略など
『ペンペントライアイスロン』で安定して勝利を収めるためには、単に操作に慣れるだけでは不十分です。リズム、コース研究、キャラクター特性の理解、そして妨害や防御の駆け引きまで、複合的な戦術が必要になります。この項では、初心者から上級者まで使える攻略のポイントを、できるだけ具体的に解説します。
1. ストローク操作のマスター
本作最大の特徴であり、攻略の核心ともいえるのが「ストローク」操作です。一定の間隔でボタンを押して離すことで、キャラクターが最大限の推進力を得られます。このタイミングは、走行・滑走・水泳で微妙に異なります。
走行パート:テンポはやや速め。地面との摩擦が大きいので、短い間隔で力強く押すと加速が持続します。
氷上パート:滑りすぎ防止のため、やや短めのストロークで細かく調整。押しっぱなしは禁物で、氷面での慣性を殺さない程度に力を入れます。
水泳パート:推進力を得るには長めのストロークが有効。水の抵抗を感じるようなゆったりとしたテンポで押すと効率的に前進できます。
リズム感を掴むまでは、BGMや効果音を利用すると効果的です。特にBGMのドラムパートに合わせると、自然に安定したテンポが身につきます。
2. コース研究と覚えゲー要素
各コースには特徴的なギミックが配置されています。氷柱の落下、雪の坂道、急流、ジャンプ台など、事前に位置とタイミングを把握しておくことが勝率を大きく左右します。
ショートカットの把握:一部コースには正規ルートより短い経路が存在します。たとえばジャンプ台を利用して障害物を飛び越えるルートや、壊せる壁の先に続く近道など。
危険地帯の回避:落ちると大幅なタイムロスになる穴や、氷塊の衝突ポイントなどは特に要注意。無理に突っ込むより、安全策を取った方が結果的に速い場合もあります。
加速ゾーンの利用:コース上に配置された加速パネルは、適切な角度で踏み込むと一気に距離を稼げますが、無理に狙うとコースアウトの危険も伴います。
攻略の基本は「一度走っただけで覚えようとしない」こと。繰り返しプレイしてギミックの出現タイミングを体に染み込ませましょう。
3. キャラクター選択の戦略
キャラごとに能力値が異なるため、自分の得意パートやプレイスタイルに合わせた選択が重要です。
スピード型(例:スパーキー):直線での速さが魅力。ただし妨害に弱く、転倒すると復帰が遅い。
パワー型(例:バック、ジョー):ぶつかり合いに強く、相手を弾き飛ばすのが得意。曲がり角や細道では威力を発揮しますが、小回りは苦手。
テクニック型(例:スニーク、ハナミズ):特定パート(水泳や氷上)に特化。コース特性に合わせると爆発的なタイムを叩き出せます。
初心者は平均的な性能のキャラを使い、全パートに慣れてから特化型を試すのが無難です。
4. 妨害と防御の駆け引き
本作では接触による妨害が戦術の一部です。相手の横に並んで進路を塞ぐ、タイミングよく体当たりして転倒させるなど、物理的な駆け引きが可能です。
妨害の狙い所:氷上やジャンプ直前など、相手が体勢を崩しやすい場面が狙い目です。
防御の基本:相手が近づいたらジグザグに動いて接触を避ける、または自分が壁側を走って進路を限定するなどの工夫が有効です。
ただし、妨害ばかりに気を取られると自分のタイムが落ちるため、使いどころを見極める必要があります。
5. タイムアタックの極意
シングルプレイでは、自己ベスト更新を狙うタイムアタックも楽しみのひとつです。ここでは加速を最大化し、障害物を最小限に避けるルート構築が鍵となります。ゴースト機能があれば自分の過去の走りと比較し、改善点を探すことも可能です。
6. 隠し要素・裏技
本作には特定条件で解放される隠しモードや、デバッグ的な要素も存在します。
隠しキャラ:条件を満たすとプレイアブルになる特殊キャラがいると言われています(詳細は発売当時の攻略本や雑誌情報に掲載)。
コースショートカット:公式ルートではない抜け道を利用できる場所が一部存在。リスクは高いですが成功すれば大幅な短縮が可能です。
7. 練習環境の整え方
本作は短時間で1レースを終えられるため、繰り返し練習しやすいのが利点です。特に苦手なパートだけを集中練習できるモードがあれば、効率的にスキルを向上させられます。音量を上げてBGMのリズムを感じながら練習すると、ストローク精度が上がる傾向があります。
総じて、『ペンペントライアイスロン』の攻略は「リズム感」「記憶力」「状況判断力」の3つの柱で成り立っています。ストロークを体に染み込ませ、コースを完全に覚え、相手との距離感を読む──これらを極めたとき、ようやく真のトップランカーとしての走りが可能になるのです。
■■■■ 感想や評判
『ペンペントライアイスロン』は1998年11月27日にドリームキャスト本体と同時発売されたことから、発売直後は多くのゲーマーやメディアの注目を集めました。当時のローンチタイトルの中でも、本作は特に「異色枠」として紹介されることが多く、初期購入者が選ぶ理由も「他にないタイプのゲームだから」という声が目立ちました。
発売直後のユーザー反応
発売当初、プレイヤーの感想は大きく二つに分かれました。
ひとつは「キャラクターの可愛らしさと世界観のユニークさに魅了された」という肯定的な意見。ペンペンたちの動きや挑発モーション、声優の演技に対して「笑える」「癒される」という声が多く、レース中の妨害や転倒シーンまで含めて楽しむプレイヤーが少なくありませんでした。家族や友人と一緒に遊んだという人の感想には、「ゲーム初心者でも楽しめるパーティ感覚が良い」というものも多く、ハードな競技感ではなくエンタメ性を重視する層に刺さっていました。
もうひとつは「操作が独特すぎて慣れるのに時間がかかる」という意見です。特にストローク操作に慣れていないプレイヤーからは「最初は何をしていいかわからなかった」「普通のレースゲームと感覚が全く違う」といった声が聞かれました。ただし、こうした意見の多くは「慣れたら面白い」に変わっていき、時間をかけて練習することで評価が上がる傾向がありました。
ゲームメディアでの評価
当時のゲーム雑誌や専門誌では、本作はおおむね好意的に扱われています。
グラフィックやキャラクターデザイン、アニメーションの滑らかさは特に高く評価され、「ドリームキャストの描画性能を生かしたカラフルで活き活きとした世界」として紹介されました。また、三種競技の切り替えやストロークシステムの新しさも評価ポイントとなり、「単なるレースゲームではなく、リズムアクション的な要素を取り入れた異色作」という位置付けが定着しました。
一方で、否定的なレビューでは「コース数が少なく長期的なやり込みには物足りない」「CPUの追い上げが強すぎて理不尽に感じる場面がある」という指摘もありました。しかし全体としては、ローンチ期における「短時間で盛り上がれるパーティゲーム」としてポジティブな印象を残しています。
長期的な評価の変化
発売から年月が経つにつれ、本作は「知る人ぞ知るドリームキャストの個性派タイトル」として語られることが増えました。特に、90年代後半から2000年代初頭にかけてセガハードを愛好していた層の間では、思い出深い作品として挙げられることが多く、「友達と夜通し遊んだ」「笑いすぎてレースにならなかった」というエピソードとともに懐かしむ声が聞かれます。
また、近年ではYouTubeやゲーム実況文化の広がりによって、本作が再び注目される機会も増えました。コミカルなキャラクター同士の妨害や予想外の転倒、最後の直線での逆転劇などは配信映えするため、実況動画のネタとしても好まれています。
プレイヤー層ごとの評価傾向
ライトユーザー層:キャラクターの魅力や操作の面白さを高く評価。短時間で盛り上がれる点が好評。
コアゲーマー層:ストローク操作やコース攻略の奥深さを評価する一方で、やり込み要素や難易度バランスに課題を感じる声も。
ファミリー層:対戦時の笑いの多さ、年齢差を超えて遊べる点を評価。
当時の印象的なエピソード
あるゲーム雑誌の特集では、編集部員同士の対戦中に、最後のジャンプ台で全員が同時にコースアウトしてゴール目前で混戦になったという話が掲載されました。こうした「予想外の展開」が頻発する点は、本作の面白さを象徴しています。
総合評価
『ペンペントライアイスロン』は、万人受けするわけではない独特の操作感を持ちながらも、慣れたプレイヤーにとっては中毒性の高い一作です。発売当時から現在に至るまで、「唯一無二の体験を提供するレースゲーム」として一定の支持を集め続けています。
■■■■ 良かったところ
『ペンペントライアイスロン』は、レースゲームという枠組みの中でもひときわ異彩を放つ存在でした。プレイヤーから「ここが素晴らしかった」と支持された部分は数多くありますが、その中でも特に顕著なものを詳しく挙げていきます。
1. 独創的な三種競技システム
最大の魅力は、やはり走る・滑る・泳ぐという三つのアクションを組み合わせたレース構造です。従来のレースゲームは陸上の走行に限定されることが多い中、本作は氷上や水中といった異なる物理挙動を持つパートを自然に組み込み、コース全体に緩急をつけています。プレイヤーはパートごとに操作感を切り替える必要があり、単調さを感じる暇がありません。「レースゲームなのに、アクションゲームやリズムゲームを同時に遊んでいる感覚」という感想は発売当初から今に至るまでよく聞かれます。
2. 中毒性の高いストローク操作
「ストローク」システムの存在は、本作を他のタイトルから決定的に差別化しました。単なるアクセル長押しではなく、一定のテンポで押して離す動作が要求されるため、プレイヤーはBGMや効果音に合わせて自然とリズムに乗ってしまいます。
このシステムは一見シンプルながら奥が深く、熟練度がそのままタイムや順位に反映されるため、「もう一回やればもっと速くなる」という欲求が止まらなくなります。結果として、短時間プレイでもつい何度も繰り返してしまう中毒性を生み出していました。
3. 個性的で魅力的なキャラクター
登場するペンペンたちは、見た目・性格・能力のすべてが個性的で、プレイヤーの愛着を誘います。スピード狂のスパーキー、色っぽくてプライドの高いティナ、のんびり屋のバック、猪突猛進のMr.バウ、甘えん坊のバレリー、悪戯好きのスニーク、乱暴者のジョー、そして謎のハナミズ──どのキャラも背景設定とビジュアルが合致しており、ボイスや挑発モーションによって性格がより強調されています。
「能力だけでなくキャラ性で選びたくなる」という点は、パーティゲーム的な楽しさを倍増させました。
4. 視覚的な楽しさ
ドリームキャストの性能を生かしたカラフルでポップなグラフィックも高評価ポイントです。氷の透明感や雪の反射、水中の光の揺らぎといった表現は、当時の家庭用ゲーム機としては非常に高品質でした。背景の細部にも手が入っており、観客席で動くペンペンや、レース進行に合わせて変化する演出は、プレイヤーの没入感を高めています。コーステーマごとの独自ギミックや景色の変化も、リプレイ性を高める要因でした。
5. 対戦時の盛り上がり
本作はシングルプレイでも十分楽しいのですが、真価を発揮するのはやはり対人戦です。友人や家族と並んでプレイした際の盛り上がりは格別で、最後の直線での逆転や、妨害による大混戦など、予想外の展開が次々と生まれます。勝っても負けても笑いが絶えず、「もう一回!」と自然に次のレースに進む雰囲気が作られます。この点はパーティゲームとして非常に優れていました。
6. サウンドデザイン
BGMは軽快で耳に残りやすく、ストローク操作とリズムが合致すると一層気持ち良さが増します。効果音やキャラクターボイスも印象的で、特に挑発や転倒時の声は何度聞いても笑ってしまうというプレイヤーも多いです。音響面での作り込みは、キャラ性の強化とゲーム全体の雰囲気作りに大きく貢献しています。
7. 学習曲線の面白さ
最初は操作や挙動に戸惑うものの、徐々に上達していく過程そのものが楽しい、という声も多くありました。練習を重ねるごとに、ストロークの精度が上がり、コースのギミックをスムーズにこなせるようになり、最初は歯が立たなかった相手にも勝てるようになる──この成長実感がモチベーションを高めます。
総じて『ペンペントライアイスロン』の「良かったところ」は、単なるスピード勝負ではなく、操作感・キャラクター性・演出・対戦性のすべてが高い次元で融合していたことです。これらが組み合わさることで、他のどのレースゲームにもない唯一無二の体験を生み出し、長く記憶に残る作品となりました。
■■■■ 悪かったところ
『ペンペントライアイスロン』はその独創性や楽しさで高い評価を得ましたが、すべてが完璧だったわけではありません。プレイヤーやメディアのレビューでは、いくつかの共通した不満点や改善要望も挙がっていました。ここでは、当時よく聞かれた「残念な点」を整理して詳しく解説します。
1. ストローク操作の習熟ハードル
本作最大の特徴でもあるストローク操作は、同時に最大の障壁でもありました。
アクセル長押しに慣れたプレイヤーからすると、「押して離す」をリズムよく繰り返す操作は最初の数レースで強い戸惑いを生みます。特にBGMのテンポと自分の操作感覚が合わないと、スピードが出ず、CPUにも人間対戦相手にも置いていかれがちです。
初心者からは「ゲームの面白さを理解する前に挫折した」という声も少なくありませんでした。
2. CPUの追い上げ補正の強さ
シングルプレイ時のCPUは、後半になると異常な加速を見せることがあります。俗に「ラバーバンドAI」と呼ばれる追い上げ補正で、こちらが完璧な走りをしていても、ゴール直前で突然抜かれるという理不尽さが指摘されました。特にタイムアタックではなく順位争いがメインのモードでは、勝敗がスキル以外の要素で左右されてしまう感覚が不満として残ったようです。
3. コース数とバリエーションの不足
収録コースは魅力的で個性的ですが、総数が少なく、数日遊ぶと全コースを覚えてしまうプレイヤーが続出しました。ギミックの種類も限られており、慣れたプレイヤー同士では展開が似通ってしまうという指摘も。長期的なやり込みには、追加コースや新しい仕掛けの存在が望まれていました。
4. 対戦バランスの偏り
キャラクターごとの能力差は本作の魅力でもありますが、同時にバランス面での課題もありました。特定のキャラクター(特に加速や水泳性能に優れるタイプ)は一部コースで圧倒的な有利を取れるため、大会や友人間の対戦では「結局このキャラばかり選ばれる」という偏りが発生しました。
バランス調整やミラーリング機能などがあれば、より多様な選択肢が活かせたかもしれません。
5. やり込み要素の薄さ
ストーリーモードやキャラクター育成要素は存在せず、基本はレースの繰り返しです。そのため、タイムアタックや対戦に興味が薄いプレイヤーは、比較的早い段階で飽きてしまう傾向がありました。「隠しキャラやコスチュームのアンロックがもっとあれば」という意見は、当時のファンコミュニティでも多く見られました。
6. マニュアルやチュートリアルの説明不足
説明書やゲーム内のガイドでは、ストローク操作のコツや各パートの挙動の違いが十分に解説されていませんでした。そのため、初見プレイヤーは「なぜ加速できないのか」がわからず、誤った操作を続けてしまうことも。チュートリアルモードや練習ステージがあれば、参入障壁は大きく下がったはずです。
7. ハード面の制約による制限
当時のドリームキャストの容量や開発期間の都合もあり、グラフィックや演出は優れていた反面、背景のオブジェクトや観客アニメーションがループする場面も見られました。また、ロード時間が長めで、特に対戦時にはテンポがやや悪く感じられるという意見もありました。
総評
『ペンペントライアイスロン』の悪かったところは、決して致命的な欠点ではありません。しかし、ゲームとしての寿命や初心者への配慮という面で、いくつかの改善の余地があったのは事実です。特にストローク操作の難易度とコンテンツ量の不足は、長期的な人気を阻む要因となりました。それでも、これらの課題は本作の独自性と裏表の関係にあるため、「完全に消すべきではない魅力的なクセ」と捉えるファンも少なくありません。
[game-6]
■ 好きなキャラクター
『ペンペントライアイスロン』の大きな魅力のひとつは、何といっても個性あふれるキャラクターたちです。どのキャラクターも能力値や見た目、性格、ボイスアクションまでしっかり作り込まれており、プレイヤーは単に性能で選ぶだけでなく、「このキャラと一緒に走りたい」という愛着から使用キャラを決めることが多くありました。ここでは、各キャラがどのようにプレイヤーの心をつかんだのかを詳しく見ていきます。
1. スパーキー
水色の体色にトレードマークの「スパークメット」をかぶったスピード狂の雄ペンペン。元気でサービス精神旺盛な性格から、初めてプレイする人が直感的に選びやすいキャラです。能力面では加速と最高速度がバランス良く、どのコースでも安定した走りが可能。ファンからは「ザ・主人公枠」として親しまれ、勝った時の笑顔や挑発モーションの可愛らしさも人気の理由です。
2. ティナ
茶色の体色に赤のボンデージを身にまとった雌ペンペン。常におしゃれを意識し、化粧も欠かさないという設定どおり、見た目はセクシーで華やか。スピードはやや控えめですが、旋回性能と氷上での安定感が高く、テクニカルな操作を好むプレイヤーに支持されました。特に女性プレイヤーや「見た目の格好良さ」を重視する層から高い人気がありました。
3. バック
オレンジ色の体をした雄のトドペン。のんびり屋ですが力持ちで、重量級キャラとして接触時の弾き飛ばし性能が高いのが特徴です。直線でのスピードは平凡でも、妨害能力の高さから対戦時には非常に厄介な存在。ファンの間では「のほほんとした外見からは想像できない強さ」として語られることが多く、見た目とのギャップが魅力でした。
4. Mr.バウ
赤いシルクハットを被った青いイヌペン。性格は猪突猛進で、理由もなく全力疾走する姿がコミカル。走行パートでのダッシュ力が非常に高く、短距離での爆発力が持ち味です。その分カーブや氷上での挙動が難しいため、扱いこなすには練習が必要。ユーモラスな外見と声優の演技が相まって、バラエティ色の強いキャラとして人気がありました。
5. バレリー
ピンク色の体に甘えん坊な性格の雌カバペン。全体的な性能は平均的ですが、水中パートでの安定感が高く、初心者にも扱いやすいキャラです。嫉妬深い一面や、興奮すると行動が大胆になる設定がレース中のボイスや動きに反映されており、ファンからは「感情豊かで見ていて飽きない」と評されました。
6. スニーク
赤い体色のタコペン。お調子者で悪戯好きという設定どおり、レース中のモーションや挑発がひときわ目立ちます。水泳パートでは背中を前にして泳ぐ独特なフォームを持ち、噴水孔を利用した推進力で他キャラを上回る速度を出せます。水中が多いコースでは圧倒的な存在感を発揮し、「水中戦の王者」と呼ばれることもありました。
7. ジョー
薄紫の体色に傷だらけの見た目を持つ雄サメペン。短気で乱暴な性格を反映し、接触時のパワーは全キャラ中でもトップクラス。最高速度も高く、パワー型の中では最も攻撃的な性能です。その荒々しいキャラクター性から、対戦時に使うと場が盛り上がることが多く、ファンの間では「喧嘩番長」的な立ち位置でした。
8. ハナミズ
空色の体を持ち、常に鼻水を垂らしている謎多きキャラ。性別も種族も不明で、独特の滑りモーションやスキー板を使った氷上パートが印象的です。加速性能が非常に高く、特にダッシュゾーンでは他キャラを大きく引き離すことが可能。CPUとして登場するときの強さも相まって、「裏ボス的存在」として恐れられながらも人気を集めました。
人気キャラの傾向とファンの選び方
プレイヤーは単に性能だけでなく、外見・声・性格といった要素でキャラを選びました。可愛さ重視でバレリーやスパーキーを選ぶ人もいれば、妨害重視でバックやジョーを使う人も。水中コースを得意とするスニークや、氷上特化のティナなど、コースとの相性で選ばれることも多かったです。
キャラクター人気投票(当時の雑誌より)
当時のゲーム雑誌で行われた人気投票では、1位スパーキー、2位ハナミズ、3位ティナという結果が報じられました。スパーキーは「王道主人公枠」として万人に愛され、ハナミズは圧倒的性能とユニークさで支持され、ティナはビジュアルと操作性の良さが評価されました。
総評
『ペンペントライアイスロン』のキャラクターたちは、それぞれが強い個性を持ち、能力・性格・見た目・ボイスが一体となって魅力を生み出していました。単なるアバター以上の存在感があり、「自分の分身」として感情移入できるからこそ、プレイヤーは長くこのゲームを楽しみ続けられたのです。
[game-7]
■ 中古市場での現状
『ペンペントライアイスロン』は1998年11月27日にドリームキャストのローンチタイトルとして登場し、当時は本体購入者の多くがセットで手にする機会がありました。しかし、ドリームキャスト自体の市場寿命が比較的短かったことや、本作がシリーズ化されなかったこともあり、再販や廉価版の流通はほぼ行われませんでした。そのため、発売から25年以上経った現在では、**「ドリームキャスト初期を象徴する個性派タイトル」**として、中古市場では安定した需要を保っています。
1. 中古価格の推移
発売から数年間は中古価格が1,000円台前半まで下がることもありましたが、2000年代半ば以降、徐々に値上がり傾向が見られました。2010年代に入ると、ドリームキャスト全体のレトロゲーム需要が高まり、相場は2,000円〜3,000円前後に安定。近年はゲーム配信やSNSでの紹介をきっかけに再評価され、さらに高値で取引されるケースもあります。
2000年代初頭:500〜1,200円(在庫過多、廉価傾向)
2010年代前半:1,500〜2,000円(レトロ需要で上昇)
2020年代以降:2,200〜3,500円(状態・付属品次第で変動)
特に帯付きの完品や未開封品はコレクター間で人気が高く、4,000円以上の値をつけることも珍しくありません。
2. 販売プラットフォーム別の傾向
ヤフオク!
ヤフオクでは、状態や付属品の有無によって落札価格に大きな差が出ます。説明書やケースのスレ、ディスクの研磨跡などがあると2,000円台前半に落ち着くことが多いですが、美品や未開封品は即決価格で4,000円近くになる場合があります。
入札件数は多くはないものの、ウォッチリスト登録は比較的多く、熱心なドリームキャストファンが常に市場を見張っている印象です。
メルカリ
メルカリでは回転率が高く、状態の良い出品はすぐに売れる傾向があります。相場は送料込みで2,300〜3,200円程度が主流で、「送料無料」「即購入可」といった条件付きの出品が人気です。写真の掲載枚数や説明文の丁寧さが売れ行きに直結しており、ディスクやケースの状態を詳細に示している出品は高値でも売れやすくなっています。
Amazonマーケットプレイス
Amazonではやや高めの価格設定が一般的で、中古品は3,000円〜3,800円が中心帯。プライム配送対応の商品は、多少高くても購入されやすい傾向があります。未開封品や極美品は4,000円台に設定されることもありますが、在庫が長期間動かないこともあるため、購入者は他プラットフォームとの比較を行うことが多いです。
楽天市場
楽天市場はゲームショップ系の出品が多く、価格はおおむね2,800〜3,500円前後。ポイント還元やセール期間を狙えば、他よりお得に入手できる場合があります。ただし在庫数は少なめで、売り切れ表示が長期間続く店舗も見られます。
駿河屋
中古ゲームの定番ショップである駿河屋では、相場は安定して2,500〜3,200円前後。タイミングによっては「在庫なし」となることも多く、入荷通知を利用して購入するファンもいます。美品や帯付きはすぐに売れてしまうため、欲しい場合は即決判断が求められます。
3. 状態による価値の変動
中古市場では状態の良し悪しが価格に直結します。本作はケースや説明書のデザインがカラフルで特徴的なため、外装の傷や日焼けが目立つと印象が大きく損なわれます。ディスク研磨跡や指紋汚れも価格を下げる要因です。
特にコレクターは「帯の有無」を重視する傾向が強く、帯付き完品は同じ美品でも1,000円以上高く評価されることがあります。
4. コレクター需要と希少性
本作はドリームキャストのローンチタイトルでありながら、一般的な人気シリーズに属さない単発作品です。そのため販売本数は一定規模に留まり、今後の再販の可能性も極めて低いと見られています。こうした背景から、ドリームキャストコレクションをコンプリートしようとするコレクターにとっては必須タイトルのひとつとなっており、安定した需要を生んでいます。
5. 今後の価格動向
現状の取引数や需要の安定感から見て、短期的に価格が大きく下がる可能性は低いと考えられます。むしろドリームキャスト本体やソフト全般のレトロゲーム価値が上昇傾向にあるため、良品の価格はじわじわと上がる可能性があります。特に未開封や帯付きの美品は、数年後には5,000円以上になる可能性も指摘されています。
総評
『ペンペントライアイスロン』は、中古市場では「ドリームキャストらしさ」を象徴する一作として安定した人気を誇っています。購入を検討する場合は、ヤフオクやメルカリで状態の良いものを探すか、駿河屋など信頼できるショップで確実に入手するのが無難です。コレクターにとっては今後の値上がりを見越して早めに確保しておきたい一本といえるでしょう。
[game-8]