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評価 4.71【発売】:テクノソフト
【対応パソコン】:PC-8801、X1turbo、X68000
【発売日】:1987年8月
【ジャンル】:シミュレーションゲーム
■ 概要
●『COMSIGHT』はどんなゲームか(発売情報と立ち位置)
『COMSIGHT(コムサイト)』は、テクノソフトが手がけたパソコン向けの対戦シミュレーションで、対応機種はPC-8801mkIISR以降、X1turbo、X68000。PC-88版は1987年8月に登場したとされ、当時としてはかなり尖った「アルゴリズム構築型」の作品として知られている。 このゲームを一言で表すなら「戦車(タンク)を操作するゲーム」ではなく、「戦車が動くための“考え方”を先に作り、それが本番で通用するかを見届けるゲーム」。アクションの腕前ではなく、設計・試行錯誤・改善の積み重ねで勝敗が決まるタイプで、80年代PCゲームの中でも発想がひときわ異彩を放っている。
●最大の特徴:プレイヤーは“操縦者”ではなく“設計者”になる
一般的な対戦ゲームは、試合中にプレイヤーが入力してキャラクターを動かし、状況を見て判断を更新していく。しかし本作では、対戦が始まってしまうとプレイヤーが直接ハンドルを握る場面がほぼない。代わりに、事前に用意したプログラム(行動規則)に従ってタンクが自律的に動き、索敵し、旋回し、攻撃し、回避し、状況に応じて次の一手を選ぶ。 つまり勝つために必要なのは、反射神経よりも「相手はどう動くか」「センサーでどこまで見えるか」「攻撃の手数を増やすほどエネルギーが足りるのか」「弱点方向を晒さない旋回角はどう組むか」といった設計思想。観戦型の対戦なのに、作り手の個性や読みが濃く出るのが面白いところだ。
●対戦の土台:エネルギー・シールド・ダメージの管理が“戦術の骨格”
タンクには複数のゲージ(資源)があり、これがゲーム全体の緊張感を作っている。代表的なのが「エネルギー」「シールド」「ダメージ」で、行動や攻撃に応じてエネルギーが減り、被弾するとまずシールドが削られ、シールドが尽きた後はダメージが蓄積していく――という考え方で理解すると分かりやすい。 ここが重要で、強いプログラムほど“よく動く”が、よく動くほどエネルギーの消費も増える。さらに索敵や計算、旋回や射撃など、行動の種類によってコスト感が違うため、「賢いが重い処理」を多用すると息切れして負けることがある。逆に節約しすぎると攻撃チャンスを逃し、ジリ貧になる。エネルギー管理が単なる制限ではなく、アルゴリズムの良し悪しを測る物差しとして機能している点が本作らしさだ。
●“プログラムエラー=敗北”が生む、独特の張り詰めた空気
もう一つ、このゲームを特別にしている要素が「プログラムの事故がそのまま負けに直結する」こと。分岐の書き方、計算の前提、想定外の値が入ったときの処理――こうした設計の甘さが、単なる挙動の乱れではなく、敗北という形で跳ね返ってくる。 そのため、強いタンクは単に攻撃が上手いだけでなく、例外に強く、状況が崩れても最低限の行動を続けられる“堅牢性”を備えている。勝負の中身が「射撃精度」だけでなく「安全設計」や「保険の手順」まで含むため、見た目は戦車バトルでも、実際には競技プログラミング的な香りが漂う。
●BPL(BATTLE PROGRAMMING LANGUAGE):ゲームのための“書きやすい命令体系”
タンクを動かすための言語として用意されているのが、BPLと呼ばれるBASICライクな仕組み。プレイヤーはテキストで命令を書き、移動・旋回・索敵・攻撃・待機・内部計算などの行動を組み合わせて“行動方針”を作っていく。 ポイントは、ただ命令を並べるだけではなく、「索敵に成功したときに相手の相対位置をどう解釈するか」「相手が次に来そうな場所をどう予測するか」「旋回中に弱点方向を晒さないための手順をどうするか」など、戦術そのものをロジックに落とし込む必要がある点。ゲーム内で使うために、完全な汎用言語ほど難解ではない一方、勝つために突き詰め始めると“工夫の余地”が底なしに広がるよう設計されている。
●CREATEとBATTLE:試作→検証→本番のサイクルがゲームの中心
遊びの流れは大きく分けて、作る(CREATE)と戦う(BATTLE)の二本立て。CREATEでは、タンクのタイプ選択と、行動プログラムの作成が主役になる。さらに、実戦に出す前に動作確認できる領域(テストの場)が用意され、そこで「意図どおりに曲がるか」「索敵が空振りしたときの復帰はできるか」「不用意にエネルギーを浪費していないか」といったチェックを積み上げていく。 そしてBATTLEでは、準備してきた2台を戦わせる。対戦中にできるのは“見守ること”が中心で、だからこそ観戦する側の視点が鋭くなる。「今の索敵ルーチンが遅い」「旋回の癖で背中を晒している」「攻撃の間合い管理が雑で無駄撃ちが多い」など、挙動を見れば改善点が浮かび上がり、次のCREATEへ戻る動機になる。勝敗よりも、改善サイクルを回すこと自体が面白さになる作りだ。
●8種類のタンクタイプ:防御の“向き”が、アルゴリズムの性格を決める
本作ではタンクのタイプが複数用意され、タイプごとにシールドの得意方向(前が強い、斜めが強い、後ろが強い、全周が平均的など)が異なる。ここがプログラム設計と直結していて、たとえば正面が強いなら「正面を向け続ける旋回・間合いの取り方」が必要になり、斜めが強いなら「斜めを維持する角度制御」が重要になる。 つまり機体選びは単なる性能差ではなく、「どんな思想のアルゴリズムを組むか」を先に決める“宣言”に近い。全周型で堅実にするのか、弱点が大きい代わりに得意角で圧をかけるのか。設計者としての嗜好が機体とコードに分かれて表れるのが、このゲームの美味しい部分である。
●1987年に3Dポリゴンで戦車戦:見た目のインパクトも当時級に強い
仕組みが先進的なだけでなく、戦闘が3Dポリゴンで表現される点も、時代を考えると目を引く。単に数値や記号で結果だけを出すのではなく、「実際に動く様子」を見せることで、アルゴリズムのクセや失敗が直感的に分かる。観戦型だからこそ、見た目が情報そのものになっていて、設計→観察→改良のループを支える重要な役割を担っている。
●通信対戦・コンテスト文化:プログラムを“持ち寄る”遊び方が成立していた
『COMSIGHT』は、個人で黙々と詰めるだけでも成立するが、真価が出るのは“他人の設計思想”とぶつけたとき。発売当時にはパソコン通信を使った対戦や、メーカー主催のコンテストが行われたと伝えられており、プログラムを交換・投稿して戦わせる文化と相性が良かった。 勝つための最適解が一つに収束しにくく、相手に合わせてメタが回る(読み合いが起きる)ので、「同じゲームなのに、対戦相手が変わると戦術も変わる」という長寿命な遊びになりやすい。現代で言えば、AIバトルや自作ボット競技の感覚に近いが、それを80年代のパソコンゲームとして製品化していた点が、今でも語られる理由だろう。
■■■■ ゲームの魅力とは?
●「操作しない対戦ゲーム」という逆転の発明が、遊びの芯を太くする
『COMSIGHT』の面白さは、まず発想そのものが“常識の反対側”にある点から始まる。普通の対戦ゲームは、試合中に入力して勝ち筋を作る。しかし本作で試合中に求められるのは、ボタン操作の速さではなく「自分が組んだ思考が、現実の状況でどこまで通用するか」を見届ける冷静さだ。タンクは3Dポリゴンで戦場を走り回り、索敵して向きを変え、武装を選び、こちらが用意した行動規則に沿って戦う。プレイヤーは“操縦者”ではなく“設計者”として、事前準備の質で勝負する。 この構造が何を生むかというと、対戦そのものが「答案の採点」になりやすいこと。勝てば気持ちいいのは当然として、負けても「どこが設計ミスだったのか」を読み取れるから、悔しさが次の改善に直結する。しかも改善は、単なる数値の強化ではなく、発想の転換や手順の見直しで起こせる。だから“遊びが伸びる”。一度ハマると、勝敗以上に「このロジックが気持ちよく回る瞬間」を探すようになり、ゲームが研究室みたいな熱量を持ちはじめる。
●BPLが作る「自分だけの戦術」—考え方に個性が出る対戦
タンクの行動を決めるのは、BASICに似た専用言語BPLで書くプログラムだ。ここが魅力の核で、同じ武器・同じフィールドでも、プレイヤーの発想によってタンクの性格が驚くほど変わる。索敵を頻繁に回して“視界優先”で立ち回るのか、消費を抑えて“省エネ型の待ち伏せ”をするのか。あるいは、相手を見つけた後に距離や角度を整えて確実に当てるのか、多少外しても手数で押すのか。こうした戦術判断を、そのまま命令の組み合わせとして形にできるのが本作の気持ちよさだ。 さらに、プログラムには「処理時間」や「消費エネルギー」といったコストの考え方が絡む。賢くしようとして計算や分岐を増やすと、そのぶん動きが重くなったり、エネルギーが先に尽きたりもする。逆に単純化しすぎると、相手の動きに対応できず、無駄な旋回や撃ち損じを繰り返してジリ貧になる。賢さと軽さのバランス取りが、ロジック設計そのものをゲームにしている。
●“観戦が情報”になる:自律戦闘の見た目が、そのままデバッグ画面
『COMSIGHT』の対戦は、眺めているだけでもちゃんと面白い。理由は明確で、戦い方の欠点が「画面に出る」からだ。例えば、索敵ルーチンが空振りすると、タンクが同じ場所で落ち着きなく首を振ったり、似た軌跡を何度も描いたりする。旋回の癖が悪いと、相手の攻撃を受けやすい角度で長く止まってしまう。射撃の間合いが雑だと、当たらない距離で撃ち続けてエネルギーだけが減る。こうした“悪い癖”が観戦だけで分かるので、次に直すべき点が自然に見えてくる。 この「見て分かる」感じは、3Dポリゴン表示の恩恵も大きい。数字だけで結果を出すのではなく、空間の中で動いて見せることで、“設計のクセ”が身体感覚として理解できる。観戦型なのに退屈しにくいのは、試合が単なる鑑賞ではなく、改善のための観測になっているからだ。
●勝ち方が一つに固まりにくい—メタが回る設計思想
本作は、いわゆる“最強手順”に寄りきらない面白さがある。もちろん強い型は生まれるが、相手がそれを読むと対策が成立し、対策にさらに裏をかく余地が出てくる。例えば、索敵重視の相手には“索敵のタイミングをずらして裏を取る”発想が生きるし、遠距離撃ち合いが得意な相手には“距離を詰めて角度の弱点を突く”設計が刺さる。タンクのタイプ(シールドの得意方向が異なる機体群)も絡むため、同じロジックでも機体を変えれば評価が変わるし、逆に同じ機体でもロジック次第でまるで別物になる。 この“揺らぎ”があるから、対戦を重ねても飽きにくい。相手が人間ならなおさらで、「勝つために作ったはずのロジックが、相手の読みであっさり崩れる」ことが起きる。その瞬間に、次の改良テーマが生まれる。ゲームが終わっても、頭の中では対戦が続いているような感覚が残る。
●「プログラミングの遊び」がそのまま娯楽になる稀少さ
80年代のPCゲームには、プログラム入力や自作に近い文化があったとはいえ、『COMSIGHT』は“プログラミングを主役に据えた対戦”としてかなり尖っている。BPLはゲームのための命令体系だから、汎用言語ほど敷居が高くない一方、勝とうとすると自然に「条件分岐の整理」「例外処理」「処理の軽量化」「ループの設計」「探索の効率化」といった考え方に踏み込む。つまり、うまくなろうとする過程が、そのまま思考の訓練になる。 しかも学習が“点数”ではなく“勝敗と挙動”で返ってくるから、理解が体験として定着しやすい。机上で学ぶより、戦場で失敗したほうが忘れない。プログラムエラーが即敗北につながる緊張感も相まって、「安全に動くロジック」を作る意識が芽生える。このあたりは、後年の自律AI競技やボット対戦の楽しさに通じるものがある。
●メーカー用意のタンクと戦える「入口の優しさ」もある
こういうゲームは、自由度が高いほど初心者が迷いやすい。しかし『COMSIGHT』は、最初から用意されたタンク(メーカー側が作った対戦相手)と戦える仕組みがあり、プレイヤーは“最初の目標”を持ちやすい。いきなり同レベルの人間と戦うのが難しい場合でも、まずは用意された相手を観察して「こういう動きが強いのか」を感じ取れる。メーカー側のプログラムは中身を見られないとされるため、完全な答え合わせにはならないが、逆に言えば“見えない強さ”を相手にすることで、仮説と検証の姿勢が育つ。
●通信対戦やコンテストと相性抜群—「持ち寄って遊ぶ」文化が成立する
本作の魅力を語るうえで、当時のパソコン通信や対戦イベント文化との噛み合いは外せない。ロジックを作るゲームは、他人のロジックとぶつけた瞬間に世界が広がる。自分では思いつかなかった索敵の回し方、距離の詰め方、角度の維持の仕方、無駄を削った手順――それらを“挙動”として目撃すると、衝撃と学びが一緒にやってくる。メーカー主催のバトルコンテストが行われたという話が残っているのも、まさにこのゲーム性が「共有して盛り上がる」性格を持っていたからだろう。 勝つための改善は、必ずしも派手ではない。1手順減らす、索敵の回数を調整する、旋回の癖を直す、弱点方向を晒す時間を短くする。こうした細い改良が積み上がって差になる。だからこそ、競技としても面白いし、観戦して語り合う題材にもなる。
●“ゲームを作っている気分”になれる:設計→検証→改良の中毒性
結局のところ、『COMSIGHT』の魅力は「対戦ゲーム」だけで完結しない点にある。CREATEで作る、BATTLEで試す、結果を見て直す。これを繰り返すうちに、プレイヤーは遊んでいるというより“作品を育てている”感覚に近づく。タンクは自分の分身であり、同時に自分の思考の写し鏡でもある。勝ったときは、撃ち合いに勝っただけではなく「自分の設計が通った」喜びが残る。負けたときも、設計の穴が見えれば、それは次の強化点になる。 この“改善が楽しい”構造は、短時間で消費されるゲームとは真逆の寿命を持つ。初期は単純なロジックでも勝てたり負けたりするが、慣れてくると「より少ない手順で、より安全に、より確実に当てる」方向へ自然に欲が出る。ゲームがプレイヤーを育て、プレイヤーがゲームの奥行きを引き出す。『COMSIGHT』は、そういう関係が成立するタイプの一本だ。
■■■■ ゲームの攻略など
●攻略の前提:このゲームは「腕前」より「設計と検証」の勝負
『COMSIGHT』で強くなる近道は、操作精度を磨くことではなく、タンクの行動規則を“設計→実戦→反省→改良”で回し続けることにある。対戦が始まったらプログラムは途中変更できず、タンクは事前に作った命令列に従って自律行動するため、勝敗は準備段階の出来でほぼ決まる。 この「準備で勝つ」構造を理解すると、攻略の考え方が一気に整理される。やるべきことは大きく3つだけで、①負け筋(事故)を消す、②エネルギーの無駄を減らす、③当て方と立ち位置を作る――この順番で積み上げていくのが安定する。
●まずは“事故死”をなくす:プログラムエラー対策が最優先
本作は文法ミスや計算の破綻など、プログラムエラーが起きるとその時点で敗北扱いになる性格が強い。 だから初心者ほど「強い行動」を先に足すより、「絶対に落ちない」骨格を先に作るのが重要になる。たとえば次のような考え方が効く。
値が取れなかったときの“逃げ道”を必ず用意する(索敵失敗時、相手座標が取れない時など)
計算の前に、想定外の値が入っていないかを確認する(ゼロ割、範囲外角度などの事故を避ける)
条件分岐を増やしすぎず、優先順位を決めて処理を単純化する(複雑化=バグと重さの温床)
ここを固めると、負け方が「自滅」から「実力負け」に変わる。実力負けは改善点が読み取りやすいので、以降の改良サイクルが速くなる。
●エネルギー設計が“持久力”を作る:索敵・旋回・射撃のコスト感を覚える
タンクの行動にはエネルギー消費と処理時間の概念があり、移動・旋回・索敵・武装使用・待機・内部計算など、命令の種類ごとにコストが異なる。 攻略で大切なのは「賢いことをする」より「賢いことを安くやる」発想だ。よくある失敗は、索敵を回しすぎてエネルギーが先に尽きる、細かく旋回しすぎて隙が増える、当たらない距離で撃って浪費する――など。逆に強いプログラムは、次のような“省エネの型”を持っている。
索敵は常時連打ではなく、移動や角度変更の節目に挟む(情報更新の頻度を“必要十分”にする)
角度調整は小刻みに繰り返さず、「まず大きく合わせて、最後に微調整」という2段階にする
射撃は条件付きにして、当たる見込みが薄い状況では撃たない(無駄撃ちを防ぐ)
このあたりはゲーム内の挙動として目に見える。エネルギーの減りが早いタンクは、観戦しているだけで“せわしない動き”になりやすいので、まずは落ち着いた挙動を目標にすると改善しやすい。
●索敵ルーチンの作り方:見つからない時間を減らし、見つけた後の手順を固定する
索敵に成功すると相手位置を相対座標として取得でき、そこから追尾・迎撃の判断を組み立てられるのが本作の基本だ。 攻略のコツは、索敵を“発見イベント”として扱い、見つけたら「追う→角度を整える→撃つ→再索敵」みたいに、やることを固定化しておくこと。固定化するとデバッグが楽で、どこが弱いのか切り分けしやすい。
また、索敵失敗が続く時間は実質的な“無防備時間”になるので、見つからない時の動きも重要になる。ありがちな強い設計は次の2つ。
走査型:一定角度ごとに向きを変えながら索敵し、フィールド内を規則的に潰す(見つけるまでの期待値が安定)
待ち伏せ型:無駄に動かず、相手が近づくまで索敵と角度調整を少なめに回す(省エネだが相性差が出る)
最初は走査型が扱いやすい。勝てるようになってきたら、相手の型を読んで待ち伏せや奇襲寄りに寄せると“メタ”が回り始める。
●攻撃の考え方:直撃だけを狙わず「相手の未来」を撃つ
本作にはビームやミサイルなどの攻撃命令があり、索敵で得た相手位置を元に撃つのが基本になる。さらに内部計算を組み合わせ、相手の動きを予測して“今いる場所からズレた位置”を狙うようなロジックも作れる。 ここが攻略の分かれ目で、初心者は「見えた場所に撃つ」だけで終わりやすいが、強いプログラムは「相手が次に通る場所」を作って撃つ。たとえば、
相手が回避行動を取りやすい角度に誘導して、その回避先へ先置きする
一度撃って相手が旋回を始めたら、旋回中の弱点方向が出る瞬間を狙う
距離を保ちたい相手には、接近圧をかけて“逃げの動き”を強制し、逃げ道へ撃つ
ただし予測は計算コストも増えがちなので、やり過ぎるとエネルギー負けになりやすい。まずは「相手は直進しがち」「旋回で一定のクセが出る」といった“粗い予測”から始めて、当たり方が見えてきたら精度を上げるのが安全だ。
●機体タイプとシールド方向を活かす:強い面を相手に向け、弱い面を晒さない
タンクには複数のタイプが用意され、タイプによってシールドの強い方向・弱い方向が変わる。 攻略としては、まず自機の“強い面”を維持する行動を土台にすること。正面が強い機体なら「正面維持」が最優先、斜めが強いなら「斜め維持」を守る――といった具合だ。ここを守るだけで被弾が減り、結果としてエネルギーと時間に余裕が生まれる。
逆に、相手のタイプが分かる状況(対戦の蓄積や観戦から推測できる状況)では、弱い方向を突くように誘導するのが勝ち筋になる。相手が正面維持型なら側面を取りに行く動き、斜め維持型なら正面・背面のぶつけ合いに引きずり込む動き――というように、設計思想の読み合いが成立する。
●実戦の見方:負け試合は「原因を1つだけ」直して再戦する
『COMSIGHT』は対戦中にタンクの挙動を眺められるので、負け試合ほど情報が多い。 ただし、改善点を一気に直そうとすると、どの改良が効いたのか分からなくなる。攻略の鉄則は「負け方を1種類に分類して、原因を1つだけ直す」こと。分類の例を挙げると、
見失い負け:索敵が回っていない/発見後の追尾が崩れる
エネルギー負け:無駄動作が多い/射撃が多すぎる/計算が重い
角度負け:弱点方向を晒す時間が長い/旋回が遅い
命中負け:撃つ条件が雑/相手の回避に追いつけない
事故負け:例外処理不足/分岐の想定漏れ
まずはどれか一つに決め、その一点だけ手当てして再戦する。これを繰り返すと、タンクが“意図を持って動く”ようになり、勝率の伸びが安定する。
●対人(または強い相手)を意識した上級テク:型を読んで、型を崩す
相手が作り込んだプログラムだと、こちらの改善だけでは追いつかない場面も出る。そういう時は「こちらを強くする」より「相手の強みを出させない」方向へ発想を切り替える。たとえば、
索敵依存が強い相手には、近距離で角度変化を増やし、索敵更新の遅れを突く
待ち伏せ型には、フィールドの回り方を変えて“想定外の角度”から接触する
省エネ型には、距離を詰めて撃ち合い回数を増やし、シールド勝負へ持ち込む
予測射撃型には、わざと不規則な角度変化を混ぜ、読みの前提を壊す
こうした“対策の対策”が回り始めると、このゲームは終わらなくなる。メーカー主催のコンテストや通信対戦が語られるのも、こうした読み合いが成立するからだ。
■ 感想や評判
●当時の受け止められ方:遊びというより“実験”に近い新鮮さ
『COMSIGHT』は、発売当時のパソコンゲームとしてはかなり異色で、「戦車で撃ち合うゲーム」という見た目に反して、実態は“自分で作ったロジック(プログラム)を競わせるゲーム”だった。そのため、第一印象の段階で評価が二分されやすい。直感的に動かして遊ぶ人ほど戸惑い、逆に「考えて組み立てて強くする」遊びが好きな人ほど強く刺さる――という構図が生まれやすかった。BPLというBASICライクな言語で命令を組む点、試合中は介入できずタンクの挙動を見守る点など、ゲームの成立条件そのものが普段の作品と違うため、「これはゲームというより研究・工作に近い」と語られることも多い。 一方で、当時からこのタイプの作品を面白がる層は確実に存在していて、むしろ“異質さ”が魅力として働いた。現代で言うボット対戦や自律AI競技のように、プレイヤーが戦場で直接手を動かすのではなく、事前に仕込んだ思考が結果を出す。その快感を早い時期に体験できたタイトルとして、後年になってからも「先見性がある」と再評価されやすい位置にいる。
●プレイヤーの反応:勝ち負けより“設計が通った瞬間”が気持ちいい
実際に遊んだ人の感想で多いのは、勝敗以上に「自分の作ったタンクが狙いどおりに動いた時の手応え」が強い、というタイプのものだ。たとえば、索敵→追尾→角度調整→攻撃→再索敵、という流れを自分の意図どおりに回せたとき、対戦は単なる結果ではなく“設計の実演”になる。ここに他の対戦ゲームにはない満足感がある。 しかも、負けた場合も「負けた理由が挙動として見える」ため、悔しさが改善に直結しやすい。索敵の間隔が長すぎる、旋回のクセで弱点方向を晒している、当たらない距離で撃ってエネルギーを浪費している、例外処理が薄くて事故る――といった問題点が観戦で露呈する。すると、次に直すべき箇所が自然に決まり、作り直すモチベーションが湧く。この“負けが無駄になりにくい”感触が、ハマる人にはたまらない。
●難しいと言われる理由:入口は親切でも、奥に進むほど底が見えない
評判の中でしばしば触れられるのが難易度の高さだ。ただしこの難しさは、反射神経やアクション性ではなく、思考と設計の難しさに由来する。BPLはBASICを易しくしたような言語として説明され、プログラミング未経験でも触れられると言われる一方で、勝とうとすると「処理の重さ」「命令のコスト」「例外処理」「ロジックの単純化」など、工学的な課題が次々に現れる。 とくに、プログラムエラーが敗北に直結する点は独特で、ちょっとした想定漏れが“自滅”になる。これはシビアに感じる人がいる反面、逆に「ちゃんと作ればちゃんと勝てる」「適当に作るとちゃんと負ける」という公平さとして評価されることもある。ゲームとしての“厳しさ”が、そのまま設計ゲームとしての“手応え”に変換されている。
●面白いと言われる理由:観戦が成立する3Dと、ロジックの個性が見える挙動
『COMSIGHT』は、試合中にプレイヤーが入力で介入しない。そのため、対戦が退屈になりやすい条件を満たしているように見えるが、実際は「見ているだけで面白い」と語られやすい。理由は2つある。 1つ目は、戦闘が3Dポリゴンで表現されるため、タンクの動き・距離・角度・追い方が直感的に読めること。単なる数字のぶつけ合いではなく、空間の中でロジックが“身体化”されるので、同じ命令体系でも挙動の差がはっきり出る。 2つ目は、強いタンクほど動きに“意志”が見えることだ。索敵の癖、追尾の角度の取り方、撃つタイミング、無駄のなさ、弱点方向を晒さない立ち回り。こうした違いが見た目に反映されるので、観戦がそのまま学習と分析になる。結果として、勝ち試合も負け試合も「次はこうしよう」が生まれ、遊びが止まりにくい。
●コミュニティ評価:通信対戦・コンテストが“熱量の行き先”になった
このゲームは、強くなるほど孤独に没頭しがちな側面がある一方で、他人のロジックとぶつけた瞬間に面白さが跳ね上がる性格も持っている。発売当時にはパソコン通信を用いた対戦や、テクノソフト主催のバトルコンテストが行われたという記録が残っており、プログラムを持ち寄って競う文化と非常に相性が良かった。 この“共有できる強さ”があるから、単なる一人用の研究で終わらない。自分のロジックが通用したときの喜びも大きいし、負けたときのショックも次の改善に火がつく。今で言う大会用ビルド、メタの読み合い、対策の対策が自然に発生しやすい構造で、当時としてはかなり先進的な遊び方が成立していたことがうかがえる。
●雑誌・メディア的な視点で語られやすいポイント:技術力と企画の尖り
当時のパソコンゲームは、グラフィックやサウンド、アクション性だけでなく「その機種で何ができるか」を見せる“技術的な見世物”の側面も強かった。『COMSIGHT』は、3Dポリゴンの戦闘表示と、BPLによる行動設計、さらに通信対戦・コンテストといった企画性まで絡むため、話題としての密度が高い。だからメディア視点でも「技術・企画・遊び方の提案」がセットで語りやすいタイプの作品だったと言える。 また、後年に似た性格の作品(プログラムで戦うロボット/兵器ゲーム)が増えたことで、「この時代に商業パッケージとして出ていたのが珍しい」といった回顧的評価も生まれやすい。実際、個人ブログなどでも“同ジャンルの先駆け”として触れられることがある。
●総合評価の傾向:刺さる人には一生モノ、合わない人には取っつきにくい
最終的な評判をまとめると、『COMSIGHT』は万人向けではないが、ハマる人には極端に深い作品として記憶されやすい。直感的に遊びたい人には取っつきにくい反面、試行錯誤・改善・設計・検証が好きな人にとっては、ゲームという枠を超えて“自分の思考を育てる遊び”になる。 さらに、対戦相手が増えるほど価値が上がるタイプなので、通信対戦やコンテストが成立した時期には熱量が跳ねやすかった。今プレイする場合でも、当時の空気を想像しながら「この制約の中で、どこまで賢く・軽く・安全に作れるか」を追い込むと、本作の評判の理由が腑に落ちてくるはずだ。
■■■■ 良かったところ
●発想の勝利:80年代に“自律戦闘プログラム対戦”を商品化した胆力
『COMSIGHT』の良さとしてまず挙がりやすいのは、企画そのものが時代の先を走っている点だ。プレイヤーが戦車を直接操縦するのではなく、事前に作ったアルゴリズム(行動規則)でタンクを動かし、対戦中は挙動を見守る――という仕組みは、当時のゲームの常識から見ても相当に挑戦的だった。 後年にボット対戦や自律AI競技が一般化したことを踏まえると、本作は「その楽しさの原型」をパソコンゲームとして早期に提示していたと言える。遊びの中心が“入力”ではなく“設計”に置かれているため、同時代のアクション・RPGとは別の軸で記憶に残りやすい。
●観戦型なのに退屈しにくい:3Dポリゴン表示が“情報”として働く
対戦中に介入できないゲームは、普通なら単調になりやすい。しかし『COMSIGHT』が「見ているだけでも面白い」と言われやすいのは、3Dポリゴンの戦闘表示が、単なる演出ではなく“解析の材料”になっているからだ。 索敵の癖、旋回のクセ、距離の詰め方、撃つタイミング、弱点方向を晒す時間――こうしたロジックの特徴が、そのまま動きとして見える。勝った時は「設計が噛み合った」と分かるし、負けた時も「ここが弱い」と見抜ける。観戦がデバッグであり、デバッグが次の制作に繋がるという循環が成立している点は、他のゲームにはない長所だ。
●負けても無駄になりにくい:改善点が“見える”ことで学習が進む
プレイ体験として印象深い良さは、「負けが学びになる」構造だ。対戦が終わった時、ただ悔しいだけで終わらず、挙動を思い出すだけで問題点が浮かびやすい。索敵が空振りし続けた、追尾の角度が雑だった、無駄撃ちが多かった、旋回で背中を晒し続けた、例外処理が薄くて自滅した――など、原因が具体的に列挙できる。 そして原因が分かると、直す箇所も明確になる。強化策が「レベルを上げる」ではなく「設計を整える」なので、やることが能動的で、改善がそのまま達成感になる。ゲームがプレイヤーを“育てる”方向に働きやすいのは、とても良い点だ。
●BPLがちょうどいい:プログラミング未経験でも触れ、上達余地も深い
タンク制御に使うBPL(BATTLE PROGRAMMING LANGUAGE)は、BASICに似た感覚で命令を書ける仕組みとして知られ、専門的な開発環境なしに「自分で考えて書いた動き」を作れるのが魅力だ。 一方で、勝とうとすると自然に「分岐の整理」「処理の軽量化」「例外の扱い」「探索の効率化」「予測射撃」など、深い領域に踏み込むことになる。入口は比較的広いのに、奥は底が見えない。この“間口と奥行きの両立”が、長く語られる理由の一つになっている。
●エネルギーと処理コストの概念が、ロジックを“競技”に変える
単に賢い動きを書くだけなら、手数を増やしてでも安全に作る方向へ寄りがちだ。しかし本作では行動ごとにエネルギー消費や処理時間が絡むため、「賢い=強い」では終わらない。賢さを“安く実現できるか”が強さになる。 この制約があることで、同じ狙いでも実装の巧拙が勝敗に直結する。たとえば索敵の頻度、旋回の刻み、射撃条件の厳密さ、内部計算の量――これらを整理して無駄を削るだけで勝率が上がる。ロジックを磨く行為が“競技性”に直結するのは、非常に気持ちのいい設計だ。
●機体タイプ×ロジックで個性が出る:同じゲームでも戦い方が多様
タンクにはタイプ差があり、タイプごとにシールドの得意方向が異なる。 これが良いのは、単なる性能差ではなく「どう戦うか」を決める骨格になること。正面が強い機体なら正面維持が重要になるし、斜めが強いなら斜め維持の角度制御が重要になる。弱点方向を晒さない旋回や距離の取り方を、プログラムとして組む必要がある。つまり、機体選びとロジックがセットで“プレイヤーの作風”になる。 結果として、同じ対戦でも相手が変わると有効な戦術が変わり、読み合いが成立しやすい。遊びが一つに収束しにくい点は、大きな長所だ。
●通信対戦・コンテストとの相性:他人の設計とぶつけることで価値が上がる
『COMSIGHT』は、対戦相手が強いほど面白くなる。自分のロジックが通用しない時、何が足りないのかを突き詰める楽しさが生まれるからだ。発売当時にパソコン通信での対戦や、メーカー主催のコンテストが行われたとされるのも、この性格と噛み合っている。 他人のタンクを見て驚き、真似して崩して、対策してまた崩される――この繰り返しが、単なる一人用の遊びをコミュニティの遊びへ押し上げる。今の感覚で言えば“メタが回る”面白さで、当時としてはかなり早い段階で実現していたのが評価点になる。
●まとめ:尖りがあるのに、ちゃんと“ゲームとして回る”のが凄い
良かったところをまとめると、①設計主体の対戦という先進性、②3D表示による観戦=解析の成立、③負けが改善に繋がる学習性、④BPLの間口と奥行き、⑤コスト概念が競技性を生む、⑥機体タイプ×ロジックの多様性、⑦通信文化と相性の良さ――このあたりが核になる。 “合う人には一生モノ”と言われやすいのは、これらが全部「繰り返し遊ぶほど価値が増える」方向に働くからだ。勝って終わりではなく、勝ったあとも改良したくなる。負けても次を作りたくなる。そういう中毒性が、当時のプレイヤーの記憶に強く残ったのだと思う。
■■■■ 悪かったところ
●取っつきにくさ:見た目が戦車戦でも、実態は“設計ゲーム”である
『COMSIGHT』の不満点として最初に出やすいのは、入口の分かりづらさだ。画面上は3Dポリゴンでタンクが走り回り、ビームやミサイルらしき攻撃も飛び交うため、「戦車アクション」「戦車シューティング」を期待して触れると、手触りがまったく違う。対戦中にプレイヤーが直接操縦できず、事前に作ったプログラムどおりにタンクが動くという構造そのものが、一般的な“ゲームの快感”からズレている。 結果として、最初の数回は「何をすれば上達するのか」が掴みにくい人が出る。面白さの芯が“操作”ではなく“設計と検証”にあるため、その価値観に切り替わるまでが壁になりやすい。
●プログラミング前提の負荷:未経験者には心理的ハードルが高い
BPLはBASICに似た言語として説明され、ゲーム内で扱える範囲に絞られているとはいえ、「テキストで命令を書く」こと自体が人を選ぶ。 とくに当時でも、PCを“遊びの道具”として使っていた層は広かったが、必ずしも全員がプログラムに慣れていたわけではない。読み書きに抵抗がある人にとっては、いきなり「ロジックを組んで戦え」と言われても、遊びとしての敷居が高く感じられる。 逆に、プログラムが好きな層には刺さるが、そうでない層には「ゲームなのに勉強っぽい」と受け取られる可能性がある。この“刺さる人が限定される”性格は、欠点として語られやすい。
●対戦中に介入できないもどかしさ:観戦型が合わない人もいる
本作の最大の特徴は、対戦が始まったら基本的に見守るしかない点だが、ここがそのまま不満点にもなる。 たとえば、索敵が空振りしてタンクが無駄に旋回し続ける、相手が近いのに撃たない、無意味な距離で撃ってエネルギーを減らす――こうした“悪い挙動”が目に見えるほど、「そこで手を入れたい!」という衝動が強くなる。しかし本作は、その場で直せない。終わった後に直すゲームだからこそ、リアルタイムに操作したい人にはストレスになる。 観戦が“解析”として楽しい人には長所だが、「その瞬間に判断を変える快感」を求める人にとっては、もどかしさが勝ちやすい。
●プログラムエラー即敗北の厳しさ:納得できるが、理不尽にも感じやすい
BPLの文法ミスや計算の破綻など、プログラムエラーが発生するとその時点で負けになるという仕様は、ゲームとしてかなりシビアだ。 設計ゲームとしては「安全に作れ」という明確なメッセージになっている一方、プレイヤーの心理としては「戦いで負けた」というより「作業ミスで失格になった」感覚になりやすい。ここは人によって評価が割れ、厳密さを好む人には良いが、エンタメとして気軽に楽しみたい人には“冷たい仕様”に見える。 また、原因が単純な入力ミスだった場合、負けの理由が戦術ではなく“タイピング事故”に寄ってしまい、気分が削がれることもある。
●深さゆえの時間泥棒:完成が見えず、延々と調整してしまう
これは長所の裏返しだが、ハマるほど終わりが見えなくなる。索敵の頻度を変える、旋回の刻みを変える、射撃条件を微調整する、例外処理を足す、無駄命令を削る――こうした改良は小さく見えて、勝率に確実に影響する。 そのため、遊びの中心が「一戦の興奮」ではなく「調整作業」へ寄っていく瞬間があり、これを“楽しい研究”と感じる人もいれば、“いつまでも終わらない作業”と感じる人もいる。 特に、強い相手に勝てない時ほど調整の泥沼に入りやすく、時間を溶かして疲れるケースが出る。ゲームとしてのテンポ感を求める人には、弱点になり得る。
●対戦相手がいないと伸びにくい:一人遊びだけだと“天井”が来やすい
『COMSIGHT』は、他人のロジックとぶつけた時に面白さが跳ね上がる設計だ。発売当時に通信対戦やコンテストが行われたとされるのも、その性格を補うための文化だった。 しかし裏を返すと、対戦相手が少ない環境だと、成長の刺激が減りやすい。メーカー用意のタンクで練習はできるが、やがて「この相手には勝てる」が増えてくると、次の目標が欲しくなる。対人戦が成立しない場合、モチベーションの維持が難しく感じる人もいるだろう。 現代で遊ぶ場合も、同好の士がいないと当時の熱狂を再現しにくいという点は、残念ポイントとして挙げられやすい。
●機種差や環境依存への不満:同じゲームでも“遊びやすさ”が変わり得る
対応機種がPC-8801、X1turbo、X68000と複数に渡るため、体感の滑らかさ、表示の快適さ、入力のしやすさなどは環境の影響を受ける可能性がある。 当時のPC事情では、同じタイトルでもマシン性能や設定によって「見やすさ」「テンポ」「操作性(編集のしやすさ)」が変わることが珍しくなく、そこが不満として語られる余地がある。特に本作はテキスト編集の比重が高いので、入力まわりの快適性が作品評価に直結しやすい。
●まとめ:尖りを受け止められないと“欠点がそのまま壁”になる
悪かったところをまとめると、①取っつきにくさ、②プログラム前提のハードル、③観戦型ゆえのもどかしさ、④エラー即敗北の厳しさ、⑤時間を溶かす調整沼、⑥対戦相手依存の面、⑦環境差の影響――このあたりが中心になる。 ただし、これらは多くが“本作の魅力の裏面”でもある。尖った設計を尖ったまま出しているからこそ、合わない人には壁として立ちはだかる。逆に、その壁を越えた人には、代わりの利かない深い遊びが待っている――という評価の分かれ方が、このゲームらしいと言える。
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■ 好きなキャラクター
●このゲームにおける「キャラクター」とは何か(人ではなく“設計思想”が顔になる)
『COMSIGHT』は、物語の登場人物が掛け合いをするタイプの作品ではない。その代わり、プレイヤーが作るタンクや、最初から用意されているタンク(CPU側の戦闘AI)が、動きそのものによって“性格”を持つ。つまりこのゲームのキャラクターは、台詞や設定ではなく、挙動で語る。索敵の癖、旋回の角度、射撃の間合い、無駄の少なさ、粘り強さ、事故の少なさ──そういった要素が、観戦しているうちに「こいつはこういう奴だ」と印象を固めていく。 だから「好きなキャラクター」を語るなら、好きな“タンクのタイプ”や、好きな“戦い方をするAI”を挙げるのが一番しっくりくる。設計の思想が可視化されるゲームだからこそ、プレイヤーは自然に“挙動に愛着を持つ”ようになる。
●好きになりやすい①:全方位バランス型(堅実で裏切らない相棒枠)
シールドに極端な弱点が少ないバランス型は、初心者でも扱いやすく、長く付き合っても飽きにくい。理由は簡単で、ロジックの欠点が露骨な“方向の弱さ”として噴き出しにくいからだ。 こういう機体は、戦術の軸を「索敵の回し方」「距離管理」「射撃条件の精度」「省エネの徹底」に置ける。つまり、戦い方の改善が“純粋にプログラムの質”として積み上がる。勝っても負けても納得感が出やすく、作り手の成長を映す鏡になってくれる。 見た目が地味でも、安定して動き続け、最後まで粘って勝ち筋を拾う相棒は、対戦を重ねるほど可愛く見えてくるタイプだ。
●好きになりやすい②:正面特化型(武骨で職人気質、勝ち方が分かりやすい)
正面が硬く、背面が薄いような“正面番長”タイプは、キャラクター性が強い。狙いが単純で、「相手に正面を向け続ける」「背中を見せない」「相手の横に回られない」ことが生命線になるからだ。 このタイプを好きになる人は、タンクを“盾と槍”として扱うのが得意で、正面火力のぶつけ合いで押し切る勝ち方に魅力を感じる。設計面では、旋回の制御が主役になりやすく、正面維持の角度調整が綺麗に決まると挙動が非常に美しい。 弱点がはっきりしているぶん、プログラムが上達すると「弱点を晒さないための工夫」がどんどん洗練され、動きに“意志の強さ”が出る。それがキャラとして立ってくる。
●好きになりやすい③:斜め特化型(クセが強いが、ハマると芸術になる)
斜め方向に強みがあるタイプは、観戦しているだけで「独特の立ち回り」を見せやすい。正面を向けるのではなく、あえて斜めを維持するように間合いと角度を整え、相手の攻撃を受け流しつつ自分の当たり筋を押し付ける。 このタイプの魅力は、“良い斜め”を維持できた瞬間に出る。角度が決まると、相手の攻撃が薄く入り、自分の攻撃が濃く入る。その状態をループとして維持できると、戦い方がまるでダンスのように見えることがある。 逆に角度が崩れると一気に脆くなるため、設計者の腕がそのまま現れる。だからこそ、上手い斜め型タンクはキャラクターとして映えるし、観戦して惚れる人が出やすい。
●好きになりやすい④:後方が硬い型(ひねくれ者に見えて、実は理にかなっている)
一見すると「背中が硬いってどう使うの?」と思われがちだが、ここに美学を感じる人もいる。相手に背を向けること自体が危険になりがちな戦車戦で、あえて“背を見せても崩れない”設計を押し通すからだ。 こういうタンクの面白さは、回避や距離調整の場面で出る。逃げるのではなく、“背中の硬さ”を前提にした退き方をすることで、相手の追撃をいなして体勢を立て直す。設計としては「退く時のルーチン」を丁寧に作る必要があり、戦術の幅が増える。 正面維持と違う思想で成立するため、観戦すると妙に記憶に残る。“変化球の強さ”がキャラになるタイプだ。
●CPU側タンク(メーカータンク)を「キャラ」として好きになる瞬間
最初から用意された対戦相手は、プレイヤーの作ったタンクと違い、内部が見えない分だけ“謎の強さ”がある。だからこそ、対戦を重ねるほど「この相手はこういう癖がある」「この局面でこう動く」といった印象が固まっていき、キャラクター化しやすい。 強いCPUに負け続けている間は腹が立つのに、ある日こちらの改良が噛み合って勝てた瞬間、相手が“越えるべき壁”から“良いライバル”へ変わる。そうなると、不思議とまた戦いたくなる。 このゲームは物語が薄い代わりに、対戦の積み重ねが“関係性”を作る。だからCPU相手でも、勝ち方を覚えるほどに愛着が芽生えることがある。
●プレイヤーのタンクが一番の推しになる:自分の欠点ごと可愛く見える
結局、多くのプレイヤーが最終的に「好きなキャラ」として挙げたくなるのは、自分で育てたタンクだと思う。最初は無駄な旋回が多く、索敵も粗く、射撃も当たらず、時々エラーで自滅する。けれど改良していくうちに、動きが落ち着き、判断が速くなり、無駄が減り、勝ち筋を自分で作るようになる。 その成長は“ステータスが上がる”のではなく、“考え方が賢くなる”。だから育成感が強い。挙動のクセも個性として残りやすく、「ここで焦る」「ここで堅実」「ここで強気に押す」みたいな癖が見えてくると、もう完全にキャラクターだ。 そして何より、推しの一番の理由はシンプルで、勝ち負けの結果以上に「設計が通った瞬間」が嬉しいから。タンクが自分の思考を代わりに演じてくれる感覚が、このゲームの“推し文化”を成立させている。
●まとめ:COMSIGHTのキャラは、動きと思想で記憶に残る
『COMSIGHT』における「好きなキャラクター」は、物語の登場人物ではなく、タンクのタイプやAIの戦い方、そして自分で育てたロジックそのものになる。全方位の堅実さ、正面特化の武骨さ、斜め特化の芸術性、後方が硬い変化球、CPUライバルの癖、そして自分の相棒の成長──それぞれが、挙動で語るキャラクターだ。 このゲームは、画面の中で台詞は少ないのに、戦い方で雄弁に語ってくる。だからこそ「推し」が生まれ、観戦型なのに熱くなれる。
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●対応パソコンによる違いなど
●まず押さえる前提:基本設計(BPLで組んで自律戦闘)は共通
『COMSIGHT』は、PC-8801mkIISR以降、X1turbo、X68000向けに展開されたタイトルで、タンクの行動をBPL(BATTLE PROGRAMMING LANGUAGE)で組み、対戦は自律実行で進む――という根っこの遊び方は共通している。 そのため「別機種版は別物」というより、同じルールを別ハードの表示・処理の枠に合わせて載せ替えた、と捉えるのが自然だ。機種差は主に、(1)画面表示の快適さ、(2)3D表示の滑らかさ、(3)入力・編集のしやすさ、(4)サウンドまわり……といった“体験の質”に出やすい。
●PC-8801版:標準的な入口になりやすいが、動作テンポは環境に左右される
PC-8801mkIISR以降対応のPC-88版は、発売時期の情報が比較的まとまっており、1987年8月のリリースが記録されている。 PC-88は解像度や表示モードの選択肢が複数あり、ゲーム側の作りに応じて“見やすさ”や“情報の取りやすさ”が変わり得る。例えばPC-8801mkIISRの仕様として、640×400ドットのモノクロ表示や、640×200ドットの複数ページといった枠組みが知られている。 本作は「対戦そのもの」よりも「プログラム作成と検証」の比重が大きいので、テキスト編集のしやすさや、表示の読みやすさが体験に直結する。PC-88版は当時の定番環境として“基本を学ぶ入口”になりやすい一方、マシンや設定でテンポ感が変わると、観戦の気持ちよさ(挙動の把握のしやすさ)にも影響が出やすい、というタイプだ。
●X1turbo版:同じルールでも“見え方・触り心地”が変わりやすい枠
X1turbo版も公式の対応機種として挙げられており、PC-88・X68と並ぶ展開先になっている。 ただ、現存する公開資料では「X1turbo版はここが追加」「この画面モードが違う」といった細部の比較が、PC-88版ほどまとまって語られているケースは多くない(少なくとも主要な解説ページでは、根本のシステム説明が中心になりがち)。 そこで現実的な捉え方としては、X1turbo版は“同じ設計思想を、X1系列の表示・操作環境で味わう版”。3D表示の見やすさ、テキストの読みやすさ、入力レスポンスなどがプレイ感を左右し、結果として「プログラムを組むテンポ」「対戦を観察して改善点を拾うテンポ」が、人によって合う・合わないが出やすい。
●X68000版:高解像度・多彩な表示モードの土台があり、観戦が映える可能性
X68000は表示モードの選択肢が広く、たとえば768×512や512×512など複数の解像度が扱えることが知られている。 『COMSIGHT』の面白さは、タンクの挙動を“観察して読み解く”ところにあるので、表示がシャープになるほど「索敵の癖」「旋回のクセ」「距離の詰め方」などが追いやすくなる可能性がある。つまりX68版は、同じロジック勝負でも“観戦の情報量”が増えたように感じられて、デバッグ(改善点発見)が捗る、という評価に繋がりやすい。 もちろん、実際の移植内容(フレームやUIの細部)で体感は変わるが、少なくともハード側の土台としては“見やすさの伸びしろ”がある環境だと言える。
●機種差を意識した遊び分け:おすすめの考え方
同じ『COMSIGHT』でも、目的で版を選ぶと納得しやすい。 – **BPLの基本と勝ち筋の作法を覚える**:まずは“標準環境”として情報が多いPC-88起点が分かりやすい(発売時期や概要情報が追いやすい)。 – **観戦の情報を拾って改善を回す**:表示の見やすさが武器になりやすいX68は相性が良い可能性がある(挙動の観察が主役のゲーム性だから)。 – **同じロジックで“触り心地”の違いを楽しむ**:X1turboは同一設計を別環境で味わう面白さがある(体験の質の差を比較する遊び)。
●アーケード版・家庭用ゲーム機版はある?
少なくとも主要なまとめ情報では、『COMSIGHT』の対応機種として挙げられるのはPC-8801mkIISR以降・X1turbo・X68000で、アーケードや家庭用ゲーム機への展開は確認できない。 そのため「機種ごとの差」を語る場合は、移植の有無よりも、同一ルールを各ハードの表示・操作性でどう味わえるか、に焦点を当てるのが筋になる。
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●同時期に発売されたゲームなど
『COMSIGHT』はPC-8801向けでは1987年8月ごろに登場したタイトルとして知られており、当時の国産PCゲーム市場(特にPC-88系)では、RPG・SLG・ADV・3D表現などが一気に多様化していった時期と重なります。 ここでは「1987年(前後)」の空気感を掴みやすいように、同時期に発売された代表的な人気PCゲームを10本ピックアップし、当時の遊ばれ方まで含めて“記事として読める説明”に肉付けしてまとめます。
★イース -Ancient Ys Vanished Omen-
・販売会社:日本ファルコム ・販売された年:1987年(6月) ・販売価格:7,800円 当時のPCゲームで「物語を追う面白さ」と「手触りの良いアクション」を同居させた代表格が『イース』です。画面の見た目はRPGらしくフィールドとダンジョンを歩いて進めていく形式ですが、戦闘はコマンド入力で殴り合うのではなく、相手に体当たりするような“当たり方”で結果が変わるアクション寄りの設計になっています。正面からぶつかるより、少しズラして斜めに当てるほうが安全、といったコツが自然に身につき、レベル上げが単調な作業になりにくいのが強みでした。 また、PC-88世代では音楽の存在感が大きく、イベントや場所ごとの曲が「先へ進みたい気持ち」を引っ張ってくれる作りになっているのもポイントです。物語面では、主人公アドルが“古代王国の謎”へ踏み込んでいく導入が分かりやすく、難しすぎない文章量でテンポよく進むため、RPG初心者の入口としても語られがちでした。
★ソーサリアン
・販売会社:日本ファルコム ・販売された年:1987年(12月) ・販売価格:9,800円 『ソーサリアン』は「1本のRPGに、複数の冒険が詰まっている」という発想を強く押し出した大作で、当時の“遊びの密度”という点では抜けた存在でした。1本のメインストーリーを一直線に進むのではなく、町を拠点にして多数のシナリオへ挑む構成のため、遊ぶたびに手触りが変わりやすく、友人同士で「どのシナリオが面白い」「この組み合わせが楽」と語り合う余地が広いゲームです。 さらに魔法や成長要素も“試行錯誤して覚えていく面白さ”に寄せられており、単に強い呪文を連打するより、状況に合わせて工夫したほうが得をする場面が多いのが特徴でした。価格帯も当時としては上のレンジですが、それに見合うだけの「長く遊べる設計」を詰め込んだ、いわばPC RPGの“箱庭型・長寿命モデル”の代表例として語りやすい一本です。
★ハイドライド3 -異次元の思い出-
・販売会社:ティーアンドイーソフト ・販売された年:1987年(11月) ・販売価格:7,800円 『ハイドライド3』は、シリーズの流れを引き継ぎつつ、当時のRPGが抱えがちな「ただ広いだけ」「ただ強い敵がいるだけ」にならないよう、冒険の感触そのものを“重く、手応えのある体験”として作り直した印象が強い作品です。舞台の規模が大きく、探索の比重が高いぶん、迷ったり遠回りしたりする時間も発生しますが、そこに「未知の場所へ踏み込む怖さ・楽しさ」を感じられるのが持ち味でした。 また、シリーズファンからは「当時のアクションRPGとしての集大成感」が語られやすく、テンポよく敵を倒して前へ進むだけでなく、装備・状況・地形の読み合いが効いてくる場面が多いのも魅力です。派手な演出で引っ張るタイプというより、プレイヤーの“探索の粘り”がそのまま成果に繋がる作りなので、腰を据えて遊ぶPCユーザーの気質とも噛み合っていました。
★シルフィード
・販売会社:ゲームアーツ ・販売された年:1987年(3月) ・販売価格:7,800円 『シルフィード』は、当時のPCで「映像表現の見栄え」を強く意識したシューティングとして知られ、遊んだ瞬間に“それっぽい未来戦争の雰囲気”が立ち上がるのが魅力でした。単に自機が動いて敵が出るだけではなく、背景や演出が「宇宙の奥行き」「基地や艦隊の存在感」を感じさせる方向へ寄せられていて、プレイ体験が“映画的”に寄っていく感触があります。 もちろん中身はしっかりシューティングで、敵の出現位置、撃つタイミング、危ない瞬間の回避など、反射神経と状況判断の組み合わせが問われます。ただし難易度の印象は「ただ理不尽」というより、“慣れると上達が見える”タイプに寄りやすく、スコアやクリア到達の伸びが実感しやすいのが人気の要因になりました。
★リバイバー(Reviver)
・販売会社:アルシスソフトウェア ・販売された年:1987年(8月) ・販売価格:6,800円 『リバイバー』は、同じRPGでも“硬派な数値の積み上げ”より「世界観と冒険の進行で気分を盛り上げる」方向へ比重を置いたタイプとして受け取られやすい作品です。操作感はPC RPGらしくメニューを開いて状況を確認しながら進める流れですが、遊んでいる最中に「いま自分がどこへ向かっているか」「何が危険か」が自然に意識できる作りがあり、迷う時間すら“旅の一部”として機能しやすいのがポイントでした。 価格帯が6,800円というのも当時の感覚では手に取りやすい部類で、RPG好きが「次はこれも試してみるか」と広げていくラインに置かれやすかった印象です。結果として、1987年のRPG隆盛期を“層として支えたタイトル”の一つとして語りやすい存在になります。
★ハウメニロボット
・販売会社:アートディンク ・販売された年:1987年(11月) ・販売価格:7,800円 『ハウメニロボット』は、アクションやRPGのように“手で操作して上手くなる”のではなく、ロボットに行動を覚えさせ、状況を整理して、解決策へ辿り着くタイプの思考系ゲームです。プレイヤーはロボットの主人として「こういう状況ではこう動く」といった学習・記憶の方向へ導き、制限時間の中で目的(爆弾処理)を達成する流れになります。 面白いのは、正解が一つに固定されにくい点です。手順の組み方、道具の使い方、どこまで“自律行動”に任せるかで結果が変わり、同じ面でも改善が積み上がる感触が出ます。こうした「考えた分だけ賢くなる」体験は、プログラム的思考やシミュレーション好きのPCユーザーと相性が良く、後年の自動化・最適化系ゲームへ繋がる系譜として眺めても面白い一本です。
★レニングラード
・販売会社:ポニカ ・販売された年:1987年(8月) ・販売価格:7,800円 『レニングラード』は独ソ戦を題材にしたシミュレーションで、当時のウォーゲーム好きにとっては“定番テーマ”をどう料理するかが見どころになるタイトルでした。本作が面白いのは、プレイヤーが細部まで全部動かすより「司令官として大枠の命令を与え、現場はある程度自動判断で進む」という指揮系統の感触を持たせている点です。 これにより、1ユニットずつ最適手を延々と探すより、戦線全体の形、補給、進軍速度、遅れた部隊の扱いなど、“戦争らしい悩み”が前へ出てきます。PCのシミュレーションは「時間が溶ける」と言われがちですが、この手の作品は特に、状況が動くたびに意思決定を迫られるので、気づくと何時間も経っている――という没入を作りやすいタイプでした。
★タイムパラドックス
・販売会社:ハドソン ・販売された年:1987年(8月) ・販売価格:7,800円 『タイムパラドックス』は、ADVの中でも“物語の仕掛け”を前面に押し出した一本で、時間移動が単なる舞台装置ではなく、プレイヤーの選択そのものを揺さぶる装置として働きます。状況を変えるために時間を遡るのは爽快ですが、選び方を誤ると世界線がズレていくような感触が出て、プレイヤーは「何を変え、何を変えないべきか」を考えさせられます。 当時のPC ADVは、推理・コマンド総当たり・演出重視など方向性が割れていましたが、本作は“設定の面白さで引っ張る”側の代表例になりやすい作品です。話を畳むための手順を見つけたとき、単なる謎解き以上に「物語のつじつまが合った」という快感が出るタイプで、ストーリー好きに刺さりやすい構造でした。
★ラビリンス
・販売会社:パックインビデオ ・販売された年:1987年(6月) ・販売価格:7,800円 『ラビリンス』は、アクションとアドベンチャーを混ぜた“脱出型”の構成が特徴で、単に敵を倒すよりも「情報を拾う」「アイテムを選ぶ」「時間制限を意識する」といった、状況整理の面白さが前へ出ます。舞台に迷い込んだ主人公が、限られた時間内に世界から抜け出す――という枠組みがあるため、探索がダラダラしにくく、緊張感が維持されやすいのもポイントでした。 コマンドの組み合わせで行動を決めるタイプの手触りがあり、ADV的な“言葉の選び”と、ACT的な“場面突破”が交互に来る感覚になります。成功すると「判断が噛み合った」気持ちよさがあり、失敗しても「次はこの順番で行こう」と改善案が立ちやすい。PCゲームに多かった“やり直しの学習”が、そのまま魅力に変わるタイプの作品です。
★OGRE
・販売会社:システムソフト ・販売された年:1987年(4月) ・販売価格:6,800円 『OGRE』はボードゲーム由来の空気を色濃く残したシミュレーションで、PC-88のゲーム群の中でも「盤上の駆け引き」を楽しむ方向へ強く寄っています。フィールドはやたら広大というより、限られた範囲にユニットや射程、移動、配置の意味がギュッと詰まっていて、手番ごとの選択が重いのが特徴です。 近未来兵器を扱う題材もあって、戦車・砲撃・高速ユニットの使い分けが“軍事パズル”のように機能します。プレイヤーが防衛側で、巨大戦車(あるいはそれに相当する脅威)をどう止めるか、という構図は、攻略が進むほどに「勝ち筋の作り方」が見えてきて、研究のしがいが出ます。派手さよりも、読み合いの濃さで評価されるタイプの、1987年らしいSLGです。
★(おまけとしての整理)この10本が“1987年の空気”を映す理由
1987年前後のPCゲームは、同じ“パソコンソフト”でも方向性がかなりバラけています。RPGは『イース』『ソーサリアン』『ハイドライド3』『リバイバー』のように「体験の設計思想」がそれぞれ違い、SLGは『OGRE』『レニングラード』『ハウメニロボット』のように「盤上」「戦線」「自動化・学習」と切り口が分散し、ADVは『タイムパラドックス』『ラビリンス』のように“物語の仕掛け”や“制限時間の緊張”で勝負していました。
[game-8]






























