『A列車で行こうIII』(パソコンゲーム)

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【発売】:アートディンク
【対応パソコン】:PC-9801、FM TOWNS、X68000、Windows など
【発売日】:1990年12月
【ジャンル】:シミュレーションゲーム

■ 概要・詳しい説明

『A列車で行こうIII』とは――シリーズの方向性を決定づけた歴史的な転換作

『A列車で行こうIII』は、アートディンクが1990年12月に発売した都市開発・鉄道会社経営シミュレーションゲームであり、『A列車で行こう』シリーズの第3作に当たる。最初はPC-9801を中心とした国産パソコン向けに登場し、その後はFM TOWNS、X68000などへ展開されたほか、PCエンジンやスーパーファミコンといった家庭用ゲーム機にも移植された。さらに後年にはWindows環境で遊べる復刻商品も発売され、長期間にわたって異なる世代の利用者へ受け継がれている。タイトルは商品によって『A.III.』『A列車で行こう3』『A列車で行こうIII』などと表記されることがあるが、いずれも鉄道会社を経営しながら都市を育成する本作の系統を指している。

本作がシリーズ史において特に重要なのは、単なる第3作ではなく、「A列車で行こう」というゲームの方向性を根本から作り替えた作品だからである。初代『A列車で行こう』と『A列車で行こうII』では、線路を延ばしながら特殊な列車を目的地まで送り届けることが主な目的となっていた。鉄道の運行や街の成長も組み込まれていたが、限られた資金や時間の中で正しい経路を探すパズルゲームとしての性格が強かった。

これに対して『A列車で行こうIII』では、決められた目的地へ到着することよりも、鉄道会社を長期的に経営し、地域全体を成長させることが中心となった。プレイヤーは完成された物語を追う主人公ではなく、一つの会社と都市の未来を預かる経営者として行動する。線路、駅、列車、ダイヤを管理するだけでなく、マンション、オフィスビル、工場、デパート、ホテル、遊園地などを建設し、不動産売買、株式投資、銀行融資、税金まで考えながら事業を広げていく。

一般的な物語型ゲームに登場する主人公や敵役はほとんど存在せず、会話イベントも前面には出てこない。その代わり、地図上を走る列車、発展していく駅前、増えていく住民、上へ伸びるビル群が、本作における登場人物のような役割を担う。何もなかった土地へ最初の駅を建て、数軒の住宅しかなかった地域がやがて大都市へ変わるまでの過程そのものが、プレイヤーごとに異なる物語となる。

本作には、一般的なゲームのような固定された最終目標がほとんどない。人口の多い巨大都市を作ってもよく、鉄道会社の資金を限界まで増やしてもよい。複雑な路線網とダイヤを完成させることも、実在する鉄道を思わせる街並みを再現することもできる。都市開発をあまり進めず、株式取引や不動産投資へ集中する遊び方さえ可能である。プレイヤー自身が成功の基準を決められる自由さが、本作最大の特徴となっている。

線路を敷くだけでは終わらない鉄道会社経営の仕組み

ゲーム開始直後に行う基本的な作業は、線路を建設し、駅を配置し、列車を購入して運行を開始することである。しかし、線路をつなげて列車を走らせるだけでは、会社を安定して成長させることはできない。駅をどこへ置くか、駅同士をどの程度離すか、どの車両を投入するか、何時に列車を発車させるか、分岐器をどの方向へ設定するかなど、複数の条件を考える必要がある。

駅は単なる乗降施設ではなく、周辺地域の発展を引き起こす中心装置でもある。列車が定期的に停車する駅の近くには人の流れが生まれ、住宅、店舗、事業所などが少しずつ増えていく。人口が増えれば鉄道利用者が増え、運賃収入が伸びる。その収益を使って新しい路線、列車、駅、子会社へ投資すると、さらに街が発展する。この循環を成立させることが、会社経営の基本となる。

ただし、利用客のほとんどいない地域へ長大な線路を建設したり、需要に対して高価すぎる車両を大量投入したりすると、収入より維持費の方が大きくなる。列車は走行しているだけでも費用を消費するため、空席の多い列車を何本も運転することは経営を圧迫する。将来の発展を期待して先行投資するのか、すでに人が集まっている地域へ堅実に路線を延ばすのかという判断が必要である。

単線は建設費を抑えられる一方、上下方向の列車を同じ線路へ走らせると、発車時刻や行き違い場所を慎重に考えなければならない。ポイントの方向やダイヤを誤ると、列車が予定と異なる方向へ進んだり、一か所で運行が滞ったりする。複線は列車を安定して走らせやすいが、線路用地と建設費が増える。安価な単線を巧みに使うか、費用をかけて余裕のある複線網を整備するかによって、同じマップでも経営の形は大きく異なる。

本作では、列車同士が接近した際に重大事故が発生して即座にゲームオーバーとなる仕組みは、前作までと比べて緩和されている。それでも、運行設定を誤れば列車が予定の駅へ到着しない、折り返せない、貨物列車が旅客列車を妨げるといった問題が起こる。自由な都市開発ゲームへ変化しながらも、線路配置と列車運行には前2作から続くパズル的な面白さが残されている。

資材輸送と貨物列車が支える都市建設

『A列車で行こうIII』の都市開発を理解するうえで欠かせないのが、建物の建設に必要となる資材である。十分な資金を持っていても、開発予定地の近くに資材がなければ、マンション、オフィスビル、ホテルなどを自由に増やすことはできない。現金と資材の両方がそろって初めて、大規模な都市開発が可能になる。

マップには外部地域へつながる線路が用意されており、貨物列車を走らせることで外部から資材を運び込める。運ばれた資材は駅や集積場所の周辺へ置かれ、その有効範囲内で建設に使用される。しかし、資材が使用できる範囲は限られているため、マップの入口へ大量に集めておくだけでは、遠く離れた開発地域まで届かない。そこで貨物列車を使い、必要な場所へ資材を移動させる物流網を作らなければならない。

旅客列車が人を運んで直接的な収益を得る存在であるのに対し、貨物列車は都市の成長を陰から支える存在である。都市中心部へ人を運ぶ旅客路線と、工場から建設資材を運ぶ貨物路線をどのように接続するかによって、開発効率は大きく変化する。同じ線路を共有すれば建設費を節約できるが、速度や停車時間の違いから運行が乱れやすい。貨物専用線を作れば安定するものの、追加の土地と建設費が必要になる。

貨物列車の積み下ろしは自動的に行われるが、必ずしもプレイヤーの希望どおりには動かない。何も考えずに複数の駅を経由させると、必要な地域へ到着する前に資材を途中駅へ降ろしたり、開発予定地から別の場所へ資材を持ち去ったりすることがある。そのため、列車の担当区間、停車駅、ポイント、発車時刻を整理し、資材の流れを制御する必要がある。

都市が小さい間は、外部から購入する資材だけでも開発を進められる。しかし、街が成長して建設量が増えると、外部からの供給では足りなくなる。その場合には工場を建設し、マップ内部で資材を生産する方法が重要になる。工場は資材を作ると同時に、住民へ雇用を提供する施設でもあるため、工業地区と住宅地区を鉄道で結ぶことで、貨物需要と旅客需要の両方を生み出せる。

子会社、不動産、株式、銀行を組み合わせる総合経営

本作でプレイヤーが経営する企業は、列車だけを運行する純粋な鉄道会社ではない。マンション、オフィスビル、デパート、ホテル、工場、遊園地、スタジアムなど、さまざまな施設を子会社として建設できる。これらは単独で利益を生み出すだけでなく、周辺地域の人口、雇用、集客力、地価へ影響を与え、最終的には鉄道利用者を増やす役割を持つ。

住宅ばかりを建設しても、住民が働く場所や買い物をする場所がなければ、都市は理想的に成長しない。反対に、オフィスや商業施設だけを増やしても、そこへ通勤する住民の生活拠点が不足する。住む場所と働く場所を別々の地域へ設け、鉄道で結ぶことで、自然な移動需要を発生させられる。

たとえば郊外駅の周囲にマンションを建設し、都心駅の周囲にオフィスやデパートを配置すれば、朝は郊外から中心部へ、夕方は中心部から郊外へ向かう流れを作りやすい。観光地や遊園地を別の地域へ設ければ、休日や特定の時間帯に利用客を集める路線も成立する。子会社は鉄道とは別の事業ではなく、乗客を生み出す都市施設として考えることが重要である。

建設した子会社は営業利益だけでなく、不動産としての評価額を持つ。駅前が発展して地価が上昇すれば、安い時期に購入した土地や物件の価値が高くなる。そこで、施設を長期間保有して営業利益を得る方法だけでなく、周辺地域の発展後に売却し、差額を利益として得る方法も利用できる。

株式市場では、鉄道や子会社を建設することなく資金を増やせる可能性がある。ただし、株価は常に上昇するわけではなく、都市開発へ使用する現金まで投資へ回せば、必要なときに線路や車両を購入できなくなる。余剰資金を使う補助的な運用とするか、株式取引を会社の中心的な収益源とするかは、プレイヤーの方針次第である。

手元資金が不足した場合には銀行から融資を受けられる。借入金によって大規模な路線や施設を早期に整備できる一方、返済と利息が将来の経営を圧迫する。収入増加が見込める投資に利用するなら有効だが、赤字補填のために借り続けると会社の状態を悪化させやすい。

駅を中心に成長し、昼夜と四季で表情を変える都市

『A列車で行こうIII』の魅力は、利益や人口の数字が増えることだけではない。プレイヤーの判断が、目に見える街並みの変化として表現される点に大きな特徴がある。最初は農地や空き地が広がっていた場所でも、駅を建設して列車を走らせると、周辺に住宅や店舗が現れ始める。さらに人口が増えれば、小さな建物がより大きなビルへ変わり、街の密度と高さが増していく。

建物の成長表現は現実の都市形成を完全に再現したものではないが、都市の発展度を視覚的に理解しやすい。少し前まで低い建物しかなかった地域へ高層ビルが並び始める光景は、経営の成果を直接感じさせる。鉄道収支の数字を見るだけでなく、都市景観を眺めること自体がプレイヤーへの報酬となる。

道路はプレイヤーが自由に一本ずつ敷設するのではなく、都市の発展に合わせて駅周辺から自然に延びていく。道路が伸びた方向には建物が増えやすくなり、市街地が駅から外側へ広がる。駅の配置によって道路の成長方向や街の形が変わるため、将来どの方向へ都市を拡大させたいかを考えた駅設計が必要である。

プレイヤー以外の企業や住民も建物を増やすため、都市のすべてを直接支配できるわけではない。予想していなかった場所へビルが建ち、思い描いていたものとは異なる方向へ市街地が成長することもある。この適度な予測不能性によって、都市が単なる模型ではなく、自分の意思とは別に活動する社会のように感じられる。

ゲーム内では朝、昼、夕方、夜へと時間が進み、街の明るさも変化する。夜になると住宅やビルの窓へ明かりがともり、発展した都市ほど華やかな夜景を楽しめる。季節によっても景色や施設の利用状況が変化し、スキー場のように冬に力を発揮する施設がある一方、ゴルフ場などは寒い時期に収益が落ちる。昼夜と四季は装飾だけではなく、乗客数や施設の稼働にも関係している。

クォータービューとマルチウィンドウが生み出した新しい操作感覚

画面構成も、前作までのシリーズから大きく変化した。従来作品が地図を真上から見下ろす平面的な表示を中心としていたのに対し、『A列車で行こうIII』では斜め上から街を眺めるクォータービューが採用された。線路、駅、列車、建物、高低差が立体的に見えるようになり、都市が横へ広がるだけでなく、建物が上へ伸びる様子も楽しめるようになった。

現代の完全な3Dゲームのように視点を自由回転できるわけではないが、当時のパソコン上で、立体的な鉄道模型が動き続けるような感覚を実現したことには大きな意味がある。列車がビルの間を走り、駅へ入り、夜になると街に明かりがともる光景は、経営シミュレーションであると同時に、観賞用の箱庭としても強い魅力を持っていた。

操作画面には、各機能を個別の窓として呼び出すマルチウィンドウ型の仕組みが採用された。線路建設、駅建設、車両購入、ダイヤ、会社情報、子会社、株式、銀行などをアイコンやメニューから選んで扱う方式である。必要な情報を必要なときに表示する設計は、複数の事業を同時に管理する本作の内容と相性がよかった。

一方で、クォータービュー特有の見づらさも存在する。斜め方向から地形を見るため、建物の裏側や高架線の位置が分かりにくく、細かな線路配置では意図しない場所を選択することもある。都市景観は美しく見えるが、厳密な建設作業には慣れが必要である。

多様な車両とAR-3の存在

本作では、過去作品に登場した単純な旅客列車や貨物列車だけでなく、当時のJRや私鉄を思わせる多様な車両が採用された。車両ごとに購入価格、速度、輸送力、維持費などが異なるため、路線の距離や利用客数に応じた車両選択が必要になる。

一般的な物語型ゲームのような人物キャラクターが少ない本作では、列車が事実上のキャラクターに近い役割を果たしている。都市を高速で結ぶ列車、短距離輸送を担当する通勤車両、都市建設を支える貨物列車など、それぞれに役割がある。プレイヤーが特定の車両へ愛着を持ち、自分の街を象徴する主力列車として運用することも楽しみの一つである。

その中でも架空車両AR-3は特に印象的である。購入費用は高いものの、性能と経済性のバランスが非常に優れており、多くの旅客路線で強力な選択肢となる。攻略を優先するとAR-3ばかりを導入する形になりやすく、実在系車両を使い分ける面白さが弱くなる点は、本作の代表的な問題として挙げられる。

6種類のマップと自由な都市設計を可能にした追加ソフト

パソコン版には、地形や初期状態の異なる複数の基本マップが用意されていた。平地が多く自由な路線建設を行いやすい地域、山や海によって土地が分断された地域、すでに一定の都市や鉄道網が存在する地域など、それぞれ異なる条件で会社経営を始められる。

平地の多いマップでは大規模な都市を作りやすい一方、山岳や水面の多いマップでは限られた土地をどう利用するかが重要になる。既存の街が存在するマップでは、最初からある線路や建物を生かしながら再開発する必要があり、何もない土地から作る場合とは異なる判断が求められる。

追加ソフトとして発売された『A列車で行こうIII マップコンストラクション』では、地形、建物、線路、都市の状態、会社の資金などを編集し、独自のマップを作れるようになった。山岳に囲まれた盆地、海上の島、超高層ビルが密集した都市、実在地域を意識した地形など、通常のゲームには存在しない舞台を作成できる。

この機能によって、本作は用意されたマップを遊ぶだけの作品から、都市設計そのものを創作する環境へと発展した。資金を少なく設定した高難度の経営に挑むことも、最初から十分な都市と資金を用意して観賞用マップを作ることもできる。後のシリーズにおけるマップエディターやユーザー作成シナリオへつながる重要な追加要素だった。

パソコンから家庭用ゲーム機、Windowsへ広がった移植展開

パソコン版の成功を受け、『A列車で行こうIII』は複数の機種へ展開された。PCエンジンのSUPER CD-ROM²版では、家庭用ゲーム機でありながらマウス操作へ対応し、パソコン版に近い感覚で都市経営を行えるよう工夫された。収録マップや音響面にも追加があり、単なる縮小移植ではない内容となっている。

スーパーファミコン版『AIII S.V. A列車で行こう3 スーパーバージョン』では、通常の建設画面にトップビューが採用された。線路や土地の位置を把握しやすくなり、家庭用コントローラーでも操作しやすい構成へ変更されている。クォータービューは都市を眺める役割が強く、施設誘致や車両開発などの独自要素も追加された。

後年にはWindows 95・98向けにも復刻され、旧型パソコンを持たない利用者でも作品に触れられるようになった。マップコンストラクションを含む構成も用意され、初期パソコン版の基本的な内容を後の環境へ橋渡しする役割を果たした。

後世へ残した影響

『A列車で行こうIII』は、鉄道敷設、列車運行、ダイヤ作成、貨物輸送、資材生産、住宅開発、商業経営、不動産売買、株式投資、銀行融資を一つの箱庭へまとめた。その結果を、高層ビルの成長や夜景という視覚的な変化として見せた点に独自性がある。

鉄道は単なる移動手段ではなく、人の流れを生み、土地の価値を変え、街の中心を形成する。子会社は単独で利益を出すだけでなく、鉄道利用者を増やす。貨物列車は直接大きな運賃収入を生まなくても、建設資材を運ぶことで都市全体の成長を支える。各事業が互いに影響し合う構造によって、プレイヤーは自分の判断が街全体へ波及する感覚を味わえる。

完成した都市を眺めれば鉄道模型のように楽しめ、資金繰りを突き詰めれば経営ゲームとなり、路線とダイヤを工夫すれば交通パズルとしても遊べる。複数の遊び方を一つの作品へ共存させたことが、本作が長く語り継がれている理由である。『A列車で行こうIII』は、シリーズ第3作という以上に、現在まで続く「鉄道会社を経営しながら都市を育てるA列車」の実質的な原点である。

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■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター

決められた正解に縛られず、自分だけの都市を作れる自由度

『A列車で行こうIII』の最大の魅力は、一般的なシミュレーションゲームのように明確な勝利条件へ向かって一直線に進むのではなく、プレイヤー自身が都市の目標や会社の経営方針を決められる点にある。特定の敵を倒す必要も、決められた期限までに最終目的地へ到達する必要もない。資金を増やして大企業を作ること、人口の多い巨大都市を完成させること、複雑な鉄道網を効率よく運行すること、実在の都市や路線を思わせる景観を再現することなど、何を成功と考えるかはプレイヤーによって変わる。

経営効率を重視するなら、需要の高い地域だけを短い路線で結び、収益性の高い列車を少数運行する堅実な会社を目指せる。一方、景観を重視するなら、利益が少なくても海岸沿いや山間部へ観光路線を敷き、駅前にホテルや娯楽施設を配置して、美しい都市を作ることもできる。環状線を中心に放射状の支線を延ばす大都市型の鉄道網、郊外住宅地と中心業務地区を一本の幹線で結ぶ通勤型都市、工場と貨物線を中心に発展する工業都市など、同じマップを使っても完成形は大きく異なる。

この自由度を支えているのが、鉄道、子会社、不動産、資材、株式、融資、税金といった複数の仕組みである。単に線路を長く敷けば優れた都市になるわけではなく、列車の運行費、駅周辺の需要、資材の供給、施設の収益、税負担などを考えなければならない。自由に遊べる一方で、経営上の結果は明確に表れるため、無計画に開発を進めれば資金不足へ陥る。この自由と責任の組み合わせが、本作を本格的な経営シミュレーションとして成立させている。

登場キャラクターの代わりとなる列車と都市の個性

本作には、物語型ゲームのような固有名を持つ主人公、仲間、敵役はほとんど登場しない。一般的な意味での「好きなキャラクター」を選ぶことは難しいが、『A列車で行こうIII』では、地図上を走る列車やプレイヤーが育てた都市そのものが、キャラクターに近い存在となっている。

旅客列車にはそれぞれ速度、購入価格、維持費、輸送力などの違いがあり、路線ごとに適性がある。短い駅間を何度も往復する通勤路線では、最高速度よりも経済性と輸送効率が重要になる。駅間が長い都市間路線では、高速な車両を投入する価値が高くなる。観光地へ向かう路線では、収益性だけでなく見た目や雰囲気を優先したくなることもある。

特に印象に残る存在が、架空車両AR-3である。AR-3は高額な車両でありながら、性能と運用効率のバランスに優れ、多くの路線で使いやすい。純粋に経営効率だけを求めると旅客列車がAR-3へ偏りやすいが、あえて使用を控え、路線の性格に合わせて実在系車両を使い分ければ、都市の個性を強く表現できる。

好きな存在として挙げたいのは、華やかな旅客列車だけでなく、都市建設を支える貨物列車である。貨物列車は大勢の乗客を運んで運賃収入を得るわけではないが、資材を各地へ届けることで都市の成長を支えている。貨物列車が止まれば建設も止まり、街の発展速度が大きく落ちるため、地味ながら重要な役割を持つ。

駅ごとに形成される街も一種のキャラクターと考えられる。住宅中心に成長した郊外駅、オフィスビルが密集する都心駅、工場と資材置き場に囲まれた貨物駅、ホテルや遊園地でにぎわう観光駅など、同じマップの中でも地域ごとに異なる表情が生まれる。

序盤攻略の基本――最初から大都市を目指さない

ゲーム開始直後の序盤で最も重要なのは、限られた資金を一度に使い切らないことである。広大な路線、高価な列車、大規模な子会社を最初からそろえたくなるが、開業直後は利用客が少なく、鉄道収入も十分ではない。維持費や税金の負担だけが先に発生すると、街が発展する前に資金不足へ追い込まれる可能性が高い。

最初の路線は、できるだけ短く単純な形にするのが安全である。外部線路に近い場所や、すでに建物が存在する地域を確認し、将来の発展が見込める場所へ駅を二つから三つ程度配置する。駅間が短すぎると一つの駅が集める利用客が分散し、列車が頻繁に停車するため運行効率が悪くなる。反対に駅間が長すぎれば、線路建設費が増え、駅の影響を受けない空白地帯も広がる。

序盤では、直線または単純な往復路線が扱いやすい。複雑な分岐や環状線は魅力的だが、列車数が少なく資金も限られている段階では必要性が低い。まず一つの路線で安定した利益を出し、その収益を使って支線や第二路線を建設する方が失敗しにくい。

列車についても、最初から最高性能の車両を何編成も購入する必要はない。利用客が少ない状態では、大容量の高価な列車を走らせても空席が多くなる。路線の需要に見合った車両を一編成か二編成投入し、乗客数と収支を確認しながら増発するのが基本となる。

資材を切らさない貨物輸送が都市発展の鍵

初心者が陥りやすい失敗の一つが、資金だけを見て開発を進め、資材の供給を軽視することである。建物を増やすには、建設予定地の近くに十分な資材が必要になる。駅前の土地が空いていて会社に多額の現金があっても、資材が届いていなければ開発は進まない。

まず、マップ外部から資材が入ってくる場所を確認する。そこへ貨物列車を走らせ、新しく開発したい地域の貨物取扱地点まで運ぶ。最初は一編成の貨物列車を単純に往復させるだけでもよいが、開発地域が増えると、どこへどれだけ資材を運ぶかを分ける必要が出てくる。

貨物列車は資材のある場所で積み込み、空きのある場所で荷降ろしを行う。この動作は機械的であるため、何も考えずに複数の駅を経由させると、必要な地域へ到着する前に途中駅へ資材を降ろしてしまうことがある。また、別の列車が開発地域の資材を再び積み込み、別の場所へ運び出す場合もある。

これを防ぐには、貨物列車ごとに担当区間を明確にすることが重要である。外部接続地点から中央集積駅まで運ぶ列車、中央集積駅から東側開発地区へ運ぶ列車、工場から西側住宅地へ運ぶ列車というように役割を分ければ、資材の流れを把握しやすい。一本の長い路線で全地域を回るより、短い区間ごとに分担させる方が管理しやすい。

工場を建設する場合は、貨物駅との位置関係を近づける。工場で生産された資材を効率よく積み込める場所へ線路を通し、旅客列車の多い中心部を避けて貨物専用線を設けると運行が安定する。

安定したダイヤを作るためのポイント設定と路線構成

『A列車で行こうIII』の鉄道運営では、路線を敷設した後のダイヤとポイント設定が重要になる。列車は設定された時刻や進行方向に従って運行するため、分岐が増えるほど管理が難しくなる。適切な設定を行わなければ、列車が目的とは異なる路線へ入り込んだり、同じ場所で停止を繰り返したりする。

一つの列車へ複数の役割を持たせすぎないことが大切である。一本の列車で住宅地、都心、工業地、観光地をすべて巡回させれば、一見効率的に見える。しかし路線が長くなるほど一周に必要な時間が増え、ダイヤやポイントの影響も大きくなる。短い区間ごとに列車を分け、主要駅で乗り換える形にした方が運行を管理しやすい。

単線区間では、列車同士が向かい合う状況を減らすため、発車時刻をずらす必要がある。駅や待避可能な区間を使って行き違いを行う場合には、どの列車が先に通過するかを決め、同じ時間帯へ集中させない。列車数が増えたら早めに複線化した方が安定する。

環状線は列車を一方向へ循環させることで、衝突や折り返しの問題を減らしやすい。都市中心部を一周する環状線を作り、郊外からの支線を複数接続すれば、大規模都市らしい鉄道網になる。ただし、建設距離が長く大量の資金を必要とするため、序盤では無理に建設せず、都市の成長後に既存路線をつないで環状化する方が安全である。

駅前開発は住宅と雇用を対にして考える

都市の人口を増やすには住宅が必要だが、住宅を建てるだけでは安定した発展につながらない。住民には働く場所が必要であり、オフィス、店舗、工場、ホテルなどの雇用施設も増やさなければならない。住宅と雇用のバランスが崩れると、建物が増えても鉄道利用が伸びにくい。

分かりやすい都市設計は、郊外駅を住宅中心、中心駅を業務・商業中心として役割分担させる方法である。郊外駅の周囲へマンションを建て、中心駅の周囲へオフィスビル、デパート、ホテルを配置する。両駅を高頻度の旅客列車で結べば、通勤や買い物による移動需要が生まれる。

駅のすぐ近くへ施設を集中させることも重要である。駅から離れた場所へ建物を置いても、鉄道利用へ結びつきにくい。将来、道路がどの方向へ伸びるかを予測し、駅前の土地を早い段階で確保しておくとよい。

娯楽施設や観光施設は、都市景観に変化を与えるだけでなく、特定の時間帯や季節に乗客を集める。遊園地やスタジアムを住宅地とは別の場所へ設け、休日向けの路線を作ると、通勤路線とは異なる需要を生み出せる。

不動産売買と税金を意識した中盤以降の経営

会社が成長すると、鉄道運賃だけでなく不動産の評価額が大きな利益源になる。駅を建てる前の土地は安くても、列車が頻繁に停車し、周囲に建物が増えると地価が上昇する。そこで、将来開発する予定の土地を早めに取得し、駅や子会社を整備した後に売却することで、大きな差益を得られる。

特に、自社で駅を建設する場所は地価上昇を予測しやすい。路線計画を決めた段階で周辺の土地や物件を取得し、鉄道開業後に価値が高まるのを待つ。これは自社が都市の成長を直接作り出せる鉄道会社だからこそ可能な投資方法である。

ただし、評価額が高い資産を大量に保有すると、資産に対する税負担が重くなる。決算前には利益の少ない物件や利用予定のない土地を売却し、必要以上に総資産を膨らませないことが重要である。税金を支払った直後に資金不足へ陥らないよう、決算と納税の時期を把握し、十分な現金を残しておかなければならない。

株式と融資を使う際の注意点

株式取引は、鉄道や子会社を建設せずに資金を増やせる可能性を持つ。しかし、株価の変動は確実ではなく、短期間で必ず利益を得られるわけではない。都市開発用の資金まで株式へ投入すると、線路や資材が必要なときに現金を用意できなくなる危険がある。

当面の運転資金、税金、列車維持費を確保したうえで、余剰資金だけを株式へ回すのが安全である。序盤では株式より鉄道と駅前開発へ投資した方が安定しやすく、会社の収益基盤が完成した後に資金運用として利用する方がよい。

銀行融資は、大規模な路線を早期に完成させるために有効である。人口の多い地域を結べば高収益が期待できる場合や、土地価格が上がる前に駅前用地を確保したい場合には、借入金を使う価値がある。しかし、開業後の収入が予想を下回れば、利息と返済が会社を圧迫する。

難易度を下げる最大の方法は、一度に多くを行わないこと

『A列車で行こうIII』は、鉄道、都市開発、貨物、税金、株式など覚える要素が多く、初めて遊ぶ際には難しく感じられる。しかし、すべての機能を最初から使いこなす必要はない。難易度を下げる最も確実な方法は、事業を一つずつ増やし、問題が起きたときに原因を特定できる状態を保つことである。

最初は旅客路線一本だけを経営し、列車の収支と街の発展を確認する。次に住宅とオフィスを建て、乗客がどのように増えるかを見る。その後、貨物列車と工場を導入し、資材の流れを理解する。会社が安定してから株式、不動産、複雑なダイヤへ進めば、仕組みを順番に学べる。

反対に、開始直後から複数路線、貨物網、多数の子会社、株式投資を同時に行うと、赤字の原因が分からなくなる。鉄道が不採算なのか、子会社が赤字なのか、借入金の利息が重いのか、税負担が大きいのかを判断しにくい。小規模な成功を積み重ねることが、結果として最も確実な攻略となる。

破産を避けるために確認すべき経営指標

本作で事実上のゲームオーバーとなるのは、資金を維持できず会社が倒産する場合である。都市がどれほど発展していても、会社の現金が不足すれば経営は終了する。そのため、人口や総資産だけでなく、毎日の現金収支を確認する必要がある。

まず見るべきなのは、鉄道事業が継続的に黒字かどうかである。利用客の少ない列車、長すぎる路線、過剰な運転本数がないかを確認する。赤字列車がある場合には、運転本数を減らす、安価な車両へ変更する、駅前へ住宅や商業施設を追加するなどの対策を行う。

次に、利益を生んでいない子会社を確認する。将来の地価上昇や旅客需要を目的に保有している施設なら、短期的な赤字を受け入れる価値がある。しかし、周囲の発展にも鉄道収入にも貢献していない施設は、売却を検討すべきである。

税金の支払い前には、十分な現金を残しておく。危険な状態になってから大規模な再建を始めるより、毎月の収支を小まめに確認し、赤字が小さい段階で修正する方が容易である。

クリア条件やエンディングがないからこそ生まれる目標設定

『A列車で行こうIII』には、固定された最終ボスや明確なエンディングが存在しない。会社が倒産しない限り、都市経営を長く続けられる。したがって、攻略における「クリア」はプレイヤーが自分で設定することになる。

代表的な目標としては、人口を一定数まで増やす、資金や総資産を大きくする、マップ全域へ鉄道を通す、すべての地域を駅の影響範囲に収める、高層ビル街を完成させる、新幹線の開通を見る、特定の列車だけで路線網を構成するなどが考えられる。

自分で制限を設けると、さらに長く楽しめる。融資を利用しない、株式取引を行わない、AR-3を使わない、貨物線と旅客線を完全分離する、既存の建物を撤去しない、特定の年代を意識した車両だけを使うといった条件を加えれば、同じマップでも別の攻略が必要になる。

裏技的に利用できる経営テクニック

本作では、システムの特徴を利用した裏技的な経営方法が存在する。代表的なのは、駅周辺の地価上昇を利用した不動産売買である。駅や路線を建設する前に安価な土地や物件を取得し、周辺が発展した後に売却すれば、営業利益以上の資金を得られる。

決算前に不要な資産を処分し、資産税の対象となる評価額を抑える方法も有効である。利益が大きい年度には、将来必要となる線路や駅、工場へ先行投資し、翌年度以降の収益基盤を作りながら課税対象となる利益を調整できる。

車両面ではAR-3を早期に導入し、旅客路線の主力へする方法が強力である。購入費は高いものの、長期的な効率がよいため、十分な利用客を確保できる路線なら高収益を期待できる。ただし、すべての路線をAR-3へ統一すると、車両選択の楽しみが減る。

貨物輸送では、資材を一か所に集めてから複数方面へ分配する中継方式が便利である。外部接続地点や大工場から中央貨物駅へ大量輸送し、そこから短距離列車で各開発地区へ届ける。路線ごとの役割が明確になり、資材の移動を把握しやすくなる。

攻略だけでは語り切れない、成長する鉄道模型としての魅力

『A列車で行こうIII』では、必勝法を使って資金を増やすことだけが楽しさではない。効率を追求して完成した都市よりも、失敗や遠回りを重ねながら育てた都市の方へ強い愛着を持つ場合も多い。採算の悪い路線を改善し、資材不足で停滞した地域へ貨物線を通し、寂しかった駅前が徐々に発展していく。その過程には、単なる数値上の成功とは異なる満足感がある。

路線設計に失敗して列車がうまく走らなかった経験も、後から見れば都市の歴史になる。不要になった古い駅、最初に建設した小さな路線、都心の発展によって作り直した線路など、都市の各所にプレイヤーの判断の跡が残る。

夜になり、高層ビルの窓へ明かりがともり、その間を自分で設定した列車が走り抜ける場面は、本作を象徴する光景である。そこには派手な戦闘も劇的な物語もないが、数時間、数十時間かけて作った都市が動いているという強い達成感がある。鉄道経営、都市計画、物流、不動産、景観鑑賞が一つにつながり、プレイヤーの考え方によって異なる楽しさを生み出すことこそ、『A列車で行こうIII』最大の魅力である。

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■ 感想・評判・口コミ

従来のシリーズ像を塗り替えた作品としての高い評価

『A列車で行こうIII』を実際に遊んだプレイヤーの感想を総合すると、最も多く語られるのは「ここから現在の『A列車で行こう』らしさが始まった」という評価である。初代作品や第2作にあった目的地到達型のゲーム性を大きく改め、鉄道会社の経営、都市開発、子会社運営、不動産、株式、資材輸送を一体化した本作は、単なる続編というより新しいシリーズの第1作に近い存在として受け止められてきた。

発売当時に触れたプレイヤーからは、線路を敷いて列車を走らせるだけで周囲の建物が増え、何もなかった土地が都市へ変わっていく仕組みに強い驚きを覚えたという感想が多い。アクションゲームのような派手な場面は少ないものの、自分の判断によって街の形が変わり、その結果が数時間後、数十時間後の景観として現れることが新鮮だったのである。

特に高く評価されているのは、鉄道経営と都市発展が相互に結びついている点である。駅を設置すると周囲に人が集まり、住宅や商業施設が増える。人口が増加すれば乗客も増え、列車の利益が伸びる。その資金を使って新しい路線や子会社を整備すると、さらに街が拡大する。この成長の循環が視覚的に分かりやすく表現されている。

一方で、最初から誰でも簡単に楽しめる作品だったわけではない。操作項目が多く、線路、駅、車両、ダイヤ、ポイント、資材、子会社、税金などを同時に考える必要があるため、開始直後に何をすればよいのか分からなかったという声も少なくない。それでも、仕組みを理解した後には他のゲームでは得られない自由度と奥深さが見えてくるため、最初は難しかったが分かり始めてから急激に面白くなったという評価が目立つ。

街が少しずつ変化する様子を眺める楽しさ

本作の口コミで特に印象的なのは、攻略や経営の成功だけではなく、都市を眺める時間そのものが楽しいとする意見である。駅前に小さな建物が現れ、それが次第に大きくなり、周囲へ道路や市街地が広がっていく。さらに夜になると建物に明かりがともり、列車がその間を走り抜ける。こうした変化を見守る感覚は、動く鉄道模型や成長する箱庭に近い。

特に、大規模な駅の周辺にビルが密集したときの達成感は高く評価されている。ゲーム開始時には空き地だった場所が、自分の建設した路線を中心に高層都市へ変わるため、単に人口や資産の数字が増えた場合よりも成果を実感しやすい。

昼夜の変化についても好意的な意見が多い。日中は建物や線路の配置を確認しやすく、夜間は都市の灯りを楽しめる。季節によって街の雰囲気や施設の稼働状況が変わるため、同じ地図を長期間遊んでも景色が単調になりにくい。

都市の発展が完全にはプレイヤーの思いどおりにならない点を面白いと感じる声もある。駅を置いた方向とは異なる場所へ道路が伸びたり、他社の建物が予想外の場所に建ったりするため、設計図どおりには進まない。しかし、その不確実さによって街が自律的に成長しているように見え、都市に個性が生まれる。

鉄道を走らせるだけでなく、経営全体を考える面白さ

経営シミュレーションを好むプレイヤーからは、鉄道事業だけでなく複数の収益源を組み合わせられることが高く評価されている。列車の運賃収入、ホテルやデパートなどの子会社利益、土地や建物の売却益、株式投資など、資金を増やす方法が一つに限定されていない。そのため、同じマップでもプレイヤーごとに会社の成長過程が異なる。

鉄道を中心に堅実な経営を行う人もいれば、不動産の値上がりを狙って駅前を開発し、物件を売却して資金を増やす人もいる。株式取引を中心に資本を築いた後、大規模な都市開発へ移る遊び方も可能である。

一方、経営要素の中では税金が厳しいと感じたプレイヤーも多い。順調に利益を上げているつもりでも、決算後の納税によって資金が大きく減り、新路線の建設計画を延期せざるを得ない場合がある。資産を多く保有しているだけで負担が増えるため、街が発展しているのに会社の現金が不足するという事態も起こる。

この税負担については、理不尽と感じる声がある一方で、本作の経営を単純な資金増加ゲームにしない重要な仕組みだと評価する意見もある。利益を上げるだけでなく、決算前に資産を整理し、納税後の運転資金を残し、将来の投資時期を考えなければならない。

資材輸送と貨物列車に対する評価

資材輸送は、本作を奥深くしている要素として評価される一方、初心者が苦戦しやすい部分としても頻繁に挙げられる。建物を増やすには資材が必要であり、外部から運び込むか、工場で生産して開発地域へ届けなければならない。資金さえあれば好きな場所に建物を建てられるわけではないため、都市開発と物流を同時に考える必要がある。

この仕組みを好むプレイヤーからは、貨物鉄道が単なる飾りではなく、都市成長に不可欠な役割を持つ点が高く評価されている。工場から貨物列車が資材を運び、その資材を使って駅前に住宅やビルが建つ流れは、鉄道と都市の関係を実感させる。

その一方、貨物列車の積み下ろしが機械的で、必要な場所から資材を持ち去ったり、特定の駅へ過剰に降ろしたりすることに不満を感じる声もある。資材の流れを細かく指定できないため、ポイントや停車駅、運転間隔を工夫しなければならない。

しかし、この扱いにくさを路線設計やダイヤで解決することに面白さを感じる人も多い。貨物専用線を作る、資材集積駅を設ける、外部輸送と地域輸送を分けるなど、試行錯誤によって効率が改善するからである。

ダイヤとポイント設定の難しさに対する反応

列車のダイヤ設定は、鉄道好きのプレイヤーから高い支持を受けた要素である。どの駅を何時に出発させ、どこで折り返し、分岐をどの方向へ通過させるかを決めることで、自分の手で運行体系を作れる。複数列車が規則的な間隔で走り、駅へ次々と出入りする様子を眺めることは、大きな満足感につながる。

特に単線区間で列車を行き違わせたり、旅客列車と貨物列車を同じ線路へ走らせたりする場合には、前後関係を考えた設定が必要になる。うまく運行できたときには、自分で複雑な鉄道網を制御しているという実感を得られる。

反面、ポイントの方向や発車時刻を一つ間違えただけで、列車が予定外の方向へ進み、運行全体が崩れることがある。列車数が増えるほど確認作業が多くなり、問題の原因を見つけにくくなる。細かく設定できることを長所と見る人と、操作が煩雑だと感じる人に評価が分かれる。

AR-3の性能と車両選択に関する賛否

車両の種類が増えたことは、本作の大きな魅力として評価されている。過去作品では列車の分類が限られていたが、『III』では当時の実在車両を思わせる多様な車両を選択できるようになった。鉄道好きのプレイヤーにとっては、好みの列車を自分の都市へ走らせること自体が大きな楽しみだった。

しかし、車両性能のバランスについては、架空車両AR-3が強すぎるという意見が多い。購入価格は高いものの、速度、輸送力、運用効率などが優秀で、資金さえ確保できれば多くの路線で有利に使える。そのため、効率を重視するとAR-3ばかりを導入することになり、ほかの車両を選ぶ意味が薄くなりやすい。

経営攻略を重視するプレイヤーにとっては、AR-3は頼れる主力車両として好意的に受け止められている。一方、車両ごとの特徴を比較しながら選びたいプレイヤーからは、選択の幅を狭める存在として批判される。

操作性や画面表示に対する当時と現在の評価

発売当時の評価では、アイコンと複数のウィンドウを使って会社を管理する画面構成は先進的に受け止められた。線路建設、車両購入、経営情報、子会社、銀行などを個別の画面で操作でき、マウスを使ったパソコンゲームらしい操作感を備えていた。

一方、現在のゲームに慣れた視点から見ると、情報表示や操作手順が分かりにくい部分もある。どのアイコンが何の機能を持つのかを覚える必要があり、画面上の説明も現代作品ほど親切ではない。建設後の修正に費用がかかるため、誤操作が会社経営へ大きな影響を与えることもある。

ゲーム速度についても意見が分かれる。都市が小さい間は変化を待つ時間が長く感じられ、利益が貯まるまで同じ路線を眺め続ける場面がある。反対に、都市が発展して列車や建物が増えると、画面上の情報量が多くなり、確認作業が忙しくなる。

初心者には難しいが、理解すると抜け出せなくなる中毒性

本作の難易度については、取扱説明書を読みながらでなければ遊び方が分からなかった、最初の会社をすぐに倒産させたといった苦戦の感想が見られる。特に、資材がなければ建物を建てられないこと、年度末の利益とは別に税金の支払いがあること、列車の運行費が継続的に発生することなどを理解しないまま開発すると、早い段階で資金不足に陥りやすい。

しかし、一度仕組みを理解すると、急にゲームの見え方が変わる。利用客の少ない列車を減らし、駅前に住宅と職場を配置し、貨物列車で資材を運び、不動産を売却して資金を確保する。それぞれの仕組みがつながり始めると、会社の成長を自分で制御できるようになる。

少しだけ街の様子を確認するつもりが、路線の延長や子会社の配置を考えているうちに長時間が経過したという反応も多い。本作には物語の続きが気になるタイプの引力はないが、次の駅を建てたい、この地域をもう少し発展させたい、赤字路線を黒字化したいという小さな目的が連続して生まれる。

明確なクリアや物語がないことへの評価

固定されたエンディングや最終目標がないことについては、プレイヤーの好みによって評価が分かれる。自由な箱庭ゲームを好む人からは、自分のペースで好きな都市を作れることが高く評価されている。人口、資産、鉄道網、景観など、何を目標にするかを自由に決められるため、同じマップを何度でも異なる方針で遊べる。

一方、明確な目標が必要な人からは、何を達成すればよいのか分からず、途中で目的を失いやすいという意見もある。物語上の登場人物やイベントが少ないため、都市が安定した後に刺激が減ったと感じる場合もある。

しかし、本作を長く遊んだプレイヤーほど、独自の目標を作ることに価値を見いだしている。全地域を鉄道で結ぶ、マップ最大級の都市を作る、融資なしで経営する、貨物と旅客を完全に分離する、特定の車両だけを使用するといった制限を加えることで、何度でも新しい挑戦が生まれる。

音楽や効果音、演出に対する印象

本作の音響面については、都市経営を邪魔しない落ち着いた雰囲気が評価されている。長時間遊ぶことを前提とした作品であるため、派手で緊迫した音楽よりも、作業を続けながら聴ける曲調が適している。機種によって音源や収録方法が異なり、FM TOWNS版や後年のWindows版などでは音質や演奏の印象に違いがある。

列車が駅へ到着する音、建設時の効果音、時間の経過を知らせる音などは、都市の状態を確認する手掛かりとなる。音だけで大きな物語を演出する作品ではないが、列車が走り続ける画面と控えめな音響が組み合わさることで、独特の落ち着いた空気が作られている。

夜景や季節変化、新幹線の登場など、都市の成長を示す演出については好意的な感想が多い。特に新幹線は、都市が十分に発展したことを象徴する出来事として強い達成感を与える。

パソコン版と家庭用移植版に対する印象の違い

パソコン版を高く評価するプレイヤーは、マウスによる操作、クォータービューの街並み、経営項目の充実、マップコンストラクションによる拡張性を長所として挙げる。シリーズの原型を作った作品を当時の操作感に近い形で楽しめることから、歴史的価値を重視する人にはPC-9801版などが支持されてきた。

FM TOWNS版については、音響面や付属内容の充実を魅力とする意見がある。マップコンストラクションを含む構成によって、用意されたマップだけでなく自作地形を楽しめるため、長期間遊びやすい。

PCエンジン版は、家庭用ゲーム機でありながら原作の雰囲気を比較的よく再現している点が評価されている。マウス対応や追加マップは好評だったが、保存環境を整えるための周辺機器が必要となる場合があり、手軽さの面では課題があった。

スーパーファミコン版は、トップビューを中心にすることで線路の配置が分かりやすく、進行も比較的快適だったと評価される。一方、パソコン版とは画面構成や一部システムが異なり、完全移植を期待したプレイヤーからは別作品に近い印象を持たれることもある。

現代の視点では不便でも、色あせにくいゲーム設計

現在の都市開発ゲームと比較すると、『A列車で行こうIII』には不足している機能も多い。自由な道路建設、細かな地形編集、高度な列車追跡、詳細な乗客行動、豊富なチュートリアル、簡単な操作取り消しなど、後の作品で一般的となった仕組みは十分に整っていない。グラフィックも解像度が低く、建物や列車の種類には限りがある。

それでも本作が現在まで評価されるのは、鉄道と都市開発を結びつける基本構造が明快だからである。駅を作れば人が集まり、人が集まれば街が育ち、街が育てば列車の収益が増える。この循環は現代のシリーズ作品にも通じており、古い画面表示であってもゲームの魅力を理解しやすい。

総合的な口コミ――不親切さを含めて記憶に残る名作

『A列車で行こうIII』に対する総合的な反応は、操作や経営の難しさを認めながらも、都市開発シミュレーションの基礎を作った名作として評価するものが中心である。説明不足に感じられる部分、貨物輸送の融通の利かなさ、クォータービューでの建設の難しさ、AR-3への性能集中など、問題点は少なくない。

しかし、それらの欠点がありながらも、鉄道網と都市が一緒に成長する体験は強い印象を残した。最初は何もなかった土地へ駅を置き、列車を走らせ、資材を運び、住宅やビルを増やす。時間が経つと自分の都市が夜景を持つほどの大都会となり、その中を何本もの列車が規則正しく走る。この一連の体験が、多くのプレイヤーにとって本作を忘れにくいものにしている。

遊んだ人の感想には、都市が完成しても壊すのが惜しかった、最初に作った小さな路線を最後まで残した、効率が悪くても好きな車両を走らせ続けたといった、個人的な都市への愛着を示す内容が多い。これは、用意された物語を消費したのではなく、自分自身で都市の歴史を作ったからこそ生まれる感情である。

総じて『A列車で行こうIII』は、誰にでも簡単に勧められる作品ではないものの、その仕組みを理解した人へ長く遊び続けられる魅力を与えた作品といえる。現代の視点では粗削りな部分も多いが、鉄道会社経営と都市育成を一体化し、自分の作った街を眺める喜びを提示した功績は大きい。

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■ 当時の宣伝・現在の中古市場など

パソコンゲーム専門誌が大きな役割を果たした発売当時の宣伝

『A列車で行こうIII』が発売された1990年前後は、インターネット上の動画広告や体験版配信、SNSによる口コミが存在しない時代であり、パソコンゲームの新作情報を広める中心的な媒体は専門雑誌だった。メーカーが用意した広告だけでなく、編集部による新作紹介、レビュー、攻略特集、開発者への取材、読者投稿などが作品の知名度を押し上げていた。

本作は雑誌文化と非常に相性がよく、都市が発展する前後の画面、複雑に延びる鉄道網、高層ビルが並ぶ夜景などが誌面で紹介されることによって、従来作とはまったく異なるゲームへ進化したことが伝えられた。文章だけでは説明しにくい都市成長の魅力も、複数の画面写真を並べることで理解しやすくなった。

特にパソコンゲーム誌『LOGiN』との関係が深く、発売後には新作紹介、攻略記事、都市開発企画などで継続的に取り上げられた。ゲームの仕組みを説明するだけでなく、編集者やライターが実際に育てた都市を紹介する記事も作りやすく、同じ作品から多様な企画を展開できた。

一般的な物語型ゲームでは、雑誌記事が発売前情報や攻略手順へ集中しやすい。しかし、『A列車で行こうIII』では、効率的な路線の引き方、赤字会社の再建、資材輸送の改善、株式投資、奇抜な都市計画など、プレイヤーごとに異なる内容を記事化できた。この継続的な話題性が、発売後の認知度を長期間維持することにつながった。

雑誌との連携から生まれた名鉄車両ディスク

当時の宣伝と商品展開を象徴する存在が、『A列車で行こうIII オリジナル名鉄車両ディスク』である。これは名古屋鉄道の車両をゲームへ追加する拡張商品で、X68000向けの商品として展開された。実在鉄道の車両を自分の都市で走らせたいという鉄道ファンの需要と、ゲーム雑誌の企画力が結びついた商品だった。

この商品は、ゲーム雑誌が完成したソフトを紹介するだけでなく、ゲームの遊び方を広げる追加データの企画や販売にも関わった例として興味深い。現在のダウンロードコンテンツに近い役割を、フロッピーディスクという物理媒体で実現していたのである。

通常版の車両だけで経営を楽しむ人に加え、特定の鉄道会社や車両へ愛着を持つ人を取り込んだことで、『A列車で行こうIII』は経営シミュレーションとしてだけでなく、鉄道模型的な趣味性を持つ作品としても定着した。車両ディスクの存在は、本作が単発の商品で終わらず、追加データや雑誌企画を通じて長く遊ばれる環境を形成していたことを示している。

プレビューディスクとパッケージが伝えた新しい都市開発ゲーム

中古市場には現在も『A列車で行こうIII プレビューディスク』と呼ばれるPC-9801用フロッピーディスクが残っている。これらの存在から、完成版の商品とは別に、ゲーム内容や映像を紹介するためのディスクが配布・流通していたことが分かる。動画配信によって実際のゲーム画面を見せられない時代には、店頭や雑誌、販促企画を通じてプレビュー用ディスクを届けることが、新しいシステムを説明する有効な方法だった。

本作のパッケージ販売では、鉄道会社経営と都市開発が結びついた内容を、箱の画面写真や説明文で理解してもらうことが重要だった。従来作を知る人に対しては、目的地を目指すパズル型作品から自由な都市経営へ変わったことを示し、初めてシリーズを見る人に対しては、鉄道を走らせながら街全体を発展させる壮大さを訴える必要があった。

PC-9801、FM TOWNS、X68000など、複数のパソコンへ順次展開したことも販売期間の長期化につながった。各機種の所有者に合わせた商品が作られたため、一度の発売で市場を終えるのではなく、移植版や追加商品によって継続的に話題を供給できた。後にはPCエンジン版やスーパーファミコン版も登場し、パソコンを持たない家庭用ゲーム機の利用者にも作品名が広がっていった。

攻略本と雑誌記事が担った取扱説明書以上の役割

『A列車で行こうIII』は、遊び始めれば直感的にすべてを理解できる種類のゲームではない。ダイヤ、ポイント、資材、子会社、株式、融資、決算、税金など、覚えるべき仕組みが多かった。そのため、発売後には雑誌の攻略記事だけでなく、都市開発や経営方法を体系的に説明する書籍も重要な役割を果たした。

関連書籍には、車両や施設のデータ、線路設計、資材輸送、黒字経営の方法などを詳しく解説するものがあり、取扱説明書だけでは理解しにくい応用的な知識を補っていた。本作には固定された攻略手順がないため、書籍も一本道の進め方を教えるのではなく、赤字を避ける基本、路線計画の考え方、街が発展する条件などを紹介する内容となった。

雑誌や攻略本を読み、その方法を自分の都市で試し、結果を友人や読者投稿で共有する循環が、発売後の人気を支えていた。ゲーム内の都市がプレイヤーごとに異なるため、他人の路線や街並みを見るだけでも新しい発見があった。

受賞歴と海外展開が作った長期的な実績

販売実績については、全機種を合計した正確な累計販売本数が広く公表されているわけではない。そのため、具体的な数字を断定することは難しい。ただし、国内外で高い評価を受け、後続作品の方向性を決める成功を収めたことは確かである。

国内ではパソコンゲーム誌の読者投票やソフトウェア賞でシミュレーションゲームとして評価され、海外では『A-Train』の名称で展開された。海外版では、日本の鉄道会社経営と都市育成を組み合わせた独自性が注目され、戦略・経営シミュレーションとして評価された。

この成功が、後続作『A列車で行こうIV』以降の都市開発路線へつながった。『III』で導入された鉄道会社経営、子会社、不動産、都市発展という方向性が支持されたことで、シリーズは従来の目的達成型パズルへ戻らず、より大規模な都市経営シミュレーションとして進化していった。

現在の中古市場で見られる価格帯

現在の中古市場では、『A列車で行こうIII』の物理パッケージは常に大量出品される商品ではないものの、PC-9801版、FM TOWNS版、PCエンジン版、スーパーファミコン版などが断続的に出品されている。通常の中古品は千円台から数千円程度で見かける場合があるが、価格は機種、付属品、状態、動作確認の有無によって大きく変わる。

パソコン版では、外箱や説明書のないディスク単体が比較的安価になりやすい。一方、箱、説明書、リファレンスマニュアル、車両資料などがそろった完全品は、通常のディスク単体より高く評価される。FM TOWNS版やX68000版はPC-9801版より出品数が少ない場合があり、購入希望者が重なると価格が上がる可能性がある。

プレビューディスク、マップコンストラクション、名鉄車両ディスクなどの関連商品は、通常版より流通数が少ない。そのため、ゲーム内容の量だけでは価格を説明できず、現存数や収集価値によって評価が決まることがある。

PCエンジン版やスーパーファミコン版は家庭用ゲームとして比較的見つけやすい場合があるが、ディスクやカセットだけの商品と、ケース、説明書、帯、外箱がそろった商品では価格差が生じる。中古価格は固定されたものではなく、出品数や状態によって変動する。

価格を左右する付属品と保存状態

『A列車で行こうIII』の中古価格では、対応機種以上に付属品の有無が重要になる。フロッピーディスクだけの商品と、外箱、取扱説明書、リファレンスマニュアル、車両カード、マップ資料、登録用紙などが残っている商品では、収集品としての評価が大きく異なる。

さらに、フロッピーディスクは経年劣化の影響を受ける。見た目がきれいでも正常に読み込めるとは限らず、出品時に動作未確認とされる商品も多い。購入者が実際に遊ぶ目的で探している場合、対応する旧型パソコン本体、フロッピーディスクドライブ、正しいOS環境まで必要になる。

PCエンジン版はCD媒体であるため、パソコン版のフロッピーディスクとは異なる保存上の特徴を持つ。ディスクだけなら比較的安価でも、ケース、説明書、帯などがそろった商品は収集価値が高くなりやすい。スーパーファミコン版もカセットのみの出品が多く、箱と説明書がそろうと価格差が生じる。

過去最高価格を断定することが難しい理由

本作の過去最高落札価格については、信頼できる一つの数字を断定することが難しい。オークションサイトが公開する履歴には保存期間があり、何年も前の取引がすべて残っているわけではない。また、通常版単体、複数ソフトのセット、未開封品、販促品、追加ディスク、攻略本付き商品などが同じ検索結果に混在する。

高額な取引が見つかったとしても、その価格が『A列車で行こうIII』本編だけの価値なのか、希少なパソコン本体や別ソフトを含むセット価格なのかを確認しなければならない。具体的な最高価格を紹介するためには、商品の機種、版、付属品、状態、落札日をそろえた記録が必要になる。

中古市場の記事としては、根拠の不明確な最高価格を強調するより、通常版は比較的手頃な価格で見つかる場合がある一方、完全品や希少な追加ディスクは別の価値を持つと説明する方が実態に近い。価格は出品の少なさによって短期間でも変動するため、一つの掲載額を恒久的な相場と考えないことが大切である。

復刻配信によって変化した実物ソフトの価値

現在では、当時のパソコンやフロッピーディスクを用意しなくても、復刻版を通じて作品へ触れる方法が存在する。これにより、純粋にゲーム内容を体験する目的であれば、必ずしも古い物理媒体を購入する必要はなくなった。

その一方で、復刻配信が存在するからこそ、実物パッケージの価値は「遊ぶためのソフト」から「1990年代のパソコンゲーム文化を残す資料」へ移りつつある。外箱のデザイン、厚い説明書、フロッピーディスク、ユーザー登録用紙、追加ディスクなどは、デジタル配信では完全に再現できない。

特に『A列車で行こうIII』は、後のシリーズの基礎を作った転換作であり、雑誌文化、実在車両への関心、追加ディスク販売、海外展開といった1990年代初頭のパソコンゲーム文化を象徴している。そのため、通常版だけでなく、マップコンストラクション、プレビューディスク、名鉄車両ディスク、攻略本をまとめて収集する楽しみも成立する。

宣伝と中古市場から見える『A列車で行こうIII』の存在感

『A列車で行こうIII』の宣伝は、テレビCMを大量に流して短期間に販売する方式というより、パソコン専門誌の記事、攻略特集、読者間の情報交換、追加ディスク、攻略本、移植版を重ねながら、長い期間をかけて知名度を高める形だったと考えられる。編集者自身がゲームへ熱中し、その体験を誌面へ反映したことで、通常の広告以上の説得力が生まれた。

正確な累計販売本数は確認しにくいものの、国内での受賞、海外版の展開、雑誌特集の反響、追加車両ディスクの販売、複数機種への移植、後続作品の継続から、当時大きな成功を収めたことは読み取れる。

現在の中古価格は、一部の極端に高額な希少ゲームと比べれば比較的入手しやすい範囲にある。しかし、正常に動作する完全品や追加ディスクが常に見つかるわけではない。一般的な中古ソフトとしての価格と、歴史的なパソコンゲーム資料としての価値が併存している点が、本作の中古市場における特徴である。

発売当時には、専門誌を読みながら鉄道網の作り方を学び、追加ディスクを購入し、自分だけの都市を育てる作品だった。そして現在では、復刻版で内容を遊ぶ人と、当時のパッケージや資料を収集する人の双方によって価値が受け継がれている。『A列車で行こうIII』は、ゲームそのものだけでなく、雑誌、書籍、販促物、追加商品、中古市場を含めた周辺文化まで残した作品なのである。

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■ 総合的なまとめ

『A列車で行こうIII』がシリーズにもたらした最大の変革

『A列車で行こうIII』は、1990年代初頭のパソコンゲームを代表する鉄道会社経営・都市開発シミュレーションであり、現在まで続く『A列車で行こう』シリーズの基本的な方向性を確立した作品である。第1作と第2作では、線路を建設して特定の列車を目的地まで導くという、鉄道を題材にしたパズルゲームとしての性格が比較的強かった。これに対して本作では、決められた目的地へ到達することよりも、鉄道会社を継続的に運営し、その活動によって地域全体を成長させることが中心となった。

この変更によって、プレイヤーの役割は線路を完成させる作業者から、一つの都市圏の未来を決める経営者へと大きく変わった。線路、駅、車両、ダイヤを管理するだけでなく、マンション、オフィスビル、ホテル、工場、デパート、遊園地などの子会社を建設し、不動産、株式、銀行融資、税金まで考えなければならない。鉄道事業だけを成功させればよいのではなく、人が住む場所、働く場所、買い物や観光に訪れる場所を組み合わせ、都市の中に継続的な移動需要を生み出す必要がある。

現代のシリーズ作品と比較すれば、操作方法や都市表現には古さがあり、線路配置、ポイント設定、資材輸送などにも扱いにくい部分が残っている。それでも、駅を中心に街が成長し、人口の増加が鉄道収入へつながり、その利益でさらに都市を広げるという循環は完成度が高い。この基本構造は後続作品にも受け継がれ、『A列車で行こうIII』はシリーズ第3作という位置づけを超えて、現在のシリーズに直結する実質的な原点となった。

鉄道経営と都市育成を一体化した完成度の高いゲーム設計

本作の優れている点は、鉄道と都市開発が別々の仕組みではなく、互いの結果を支え合う関係として作られていることである。駅を建設し、定期的に列車を運行すると、その周辺へ住宅や商業施設が増え始める。街が成長すれば駅の利用客が増え、列車の運賃収入が伸びる。会社に資金が蓄積すれば新しい路線や子会社へ投資でき、さらに人口と移動需要を増やせる。

反対に、利用客のいない地域へ高価な路線を建設したり、運転本数を増やしすぎたりすれば、維持費によって赤字が拡大する。住宅ばかり建てて雇用施設を用意しなければ、人口と鉄道利用は理想的に伸びない。資材が届かなければ、資金があっても建物を増やせない。このように、一つの要素だけを極端に強化しても成功しにくく、交通、住宅、雇用、物流、金融の釣り合いを考える必要がある。

特に資材輸送は、本作を単純な鉄道模型ゲームから都市経営シミュレーションへ押し上げた重要な仕組みである。工場で生産された資材や外部から持ち込まれた資材を貨物列車で運び、それを使って新しい建物を建設する。旅客列車が人の移動を担当し、貨物列車が都市の建設を支えることで、鉄道会社として二つの異なる輸送を管理することになる。

貨物列車の積み下ろしには融通が利かず、意図した地域へ資材が届かないこともある。しかし、その不便さを貨物専用線、中継駅、運転時刻、ポイント設定などで解決する過程には、交通パズルとしての面白さがある。都市開発ゲームへ大きく方向転換しながらも、前2作にあった線路構築と運行管理の思考性を残したことが、本作の完成度を高めている。

クォータービューによって生まれた成長する鉄道模型の魅力

『A列車で行こうIII』を印象づけた要素として、斜め上から都市を眺めるクォータービューを外すことはできない。平面的な地図表示を中心としていた従来作に対し、本作では建物の高さ、線路の重なり、駅周辺の密度が立体的に表現された。街が発展すると小さな建物が高層化し、都市が横方向だけでなく上方向へも成長していることを視覚的に理解できる。

昼から夕方、夜へと時間が進み、発展した市街地に明かりがともる光景は、本作を象徴する場面である。会社の利益や人口が数字として増えるだけでなく、その結果が夜景として画面上に現れるため、プレイヤーは長期間にわたる経営の成果を直感的に感じられる。何もなかった土地へ最初の駅を置き、少しずつ建物を増やし、最終的に巨大な都市の夜景を眺める流れには、一般的な勝敗とは異なる達成感がある。

クォータービューは建設作業において万能ではない。建物の裏に線路が隠れたり、細かな位置関係を確認しづらかったりするため、正確な線路敷設には慣れが必要である。都市の景観を美しく見せることと、工事の操作性を高めることを完全には両立できていなかった。

それでも、完成した都市を眺める楽しさは大きく、多少の操作上の不便を補う魅力を持っていた。自分が作った路線を列車が走り、駅前の建物が成長し、夜になると都市全体が輝く。この「成長する鉄道模型」と呼べる感覚が、多くのプレイヤーを長時間の都市経営へ引き込んだ。

自由度の高さと明確なエンディングを持たない遊び方

本作には、一般的なゲームのような固定された最終目的や一本道のエンディングがほとんど存在しない。会社を倒産させずに経営を継続できる限り、プレイヤーは都市を何年でも発展させられる。そのため、人口を増やす、資産を拡大する、鉄道網をマップ全体へ広げる、美しい景観を作るなど、自分で目標を決めることが重要になる。

この設計は、自由な箱庭ゲームを好む人には大きな魅力となる。経営効率を追求して巨大企業を作ることも、採算を度外視して好きな車両を走らせることもできる。株式取引だけで資金を増やす、不動産売買を中心に会社を成長させる、貨物鉄道を主体とした工業都市を作るなど、鉄道会社という枠の中でも多様な経営方針を選択できる。

一方、ゲーム側から明確な目標を示してほしい人には、途中で何をすればよいのか分からなくなる場合がある。会社が安定し、資金不足の危険がなくなると、経営上の緊張感が薄れることもある。しかし、本作ではプレイヤー自身が新しい条件を設定することで、その問題を補える。融資を利用しない、強力なAR-3を使用しない、既存建物を撤去しない、すべての地域を一本の環状線で結ぶなど、独自の制限を加えれば新たな難易度が生まれる。

決められた物語の終了ではなく、自分が都市を完成したと感じた瞬間がエンディングになる。この考え方は現在のサンドボックス型ゲームにも通じるものであり、1990年当時としては非常に先進的だった。

車両の豊富さとAR-3に見られるバランス上の課題

前作までと比べて車両の種類が大きく増えたことも、本作の重要な進化である。当時実在したJRや私鉄の車両を思わせる列車が登場し、路線の距離、輸送量、維持費に合わせて車両を選択できるようになった。鉄道ファンにとっては、好きな車両を自分の都市で走らせること自体が大きな魅力だった。

しかし、性能面では架空車両AR-3が非常に優秀であり、効率だけを考えると車両選択がAR-3へ集中しやすい。購入価格は高いものの、多くの旅客路線で使いやすく、長期的な経営では有力な選択肢になる。その結果、複数車両の性能を比較して路線ごとに使い分ける面白さが弱まりやすい。

この点は、本作の代表的なバランス上の問題として挙げられる。ただし、自由度の高いゲームであるため、AR-3を使わないという自己制限を設けることもできる。経営攻略を優先するなら積極的に利用し、鉄道模型としての景観や車両の多様性を重視するなら使用を控えるという選択が可能である。

PC-9801版の特徴と原点としての価値

PC-9801版は、『A列車で行こうIII』の基本形を確立した中心的なバージョンである。クォータービューによる都市表示、マウスを意識したマルチウィンドウ型の操作、鉄道経営、子会社、不動産、株式、資材輸送など、本作を特徴づける仕組みがまとめられている。

発売当初のフロッピーディスク版では、ディスクを使用しながらゲームを進める当時らしい運用が必要だった。その後、ハードディスクへ導入する版も登場し、ディスク交換の手間を抑えて遊べるようになった。さらに『マップコンストラクション』を組み合わせることで、用意された都市だけでなく、自作マップによる自由な開発も可能となった。

音源や表示性能は現代の基準では簡素だが、1990年当時の国産パソコン環境において、多数の建物と列車、昼夜、四季、会社経営を同時に処理したことには大きな価値がある。後の移植版や復刻版を理解するうえでも、PC-9801版は作品の原点として重要である。

FM TOWNS版の音響と収録内容の魅力

FM TOWNS版は、当時の高性能なマルチメディアパソコンの特徴を生かし、音響や商品構成の面で魅力を持つバージョンである。機種の音源やCD-ROMを活用した表現によって、都市を眺めながら長時間遊ぶ本作に、PC-9801版とは異なる雰囲気を与えていた。

また、FM TOWNS版ではマップ作成機能を含む商品構成も用意され、自分で地形や都市を作りたいプレイヤーにとって充実した内容だった。基本的な鉄道経営と都市開発は他のパソコン版と共通しているが、音の印象や読み込み環境、付属機能によって体験には違いが生まれている。

ただし、FM TOWNS本体は当時から比較的高価で、PC-9801ほど広く普及した環境ではなかった。現在では実機、モニター、ドライブ、ソフトを正常な状態でそろえる難しさもある。そのため、遊びやすさよりも、当時の高品質なパソコン版を体験したい人や、機種ごとの表現差を楽しみたい収集家に向いたバージョンといえる。

X68000版と追加車両による鉄道趣味性

X68000版は、グラフィックや音源に強みを持つパソコンで展開されたことに加え、名鉄車両ディスクの存在によって特に印象深いバージョンとなっている。実在する鉄道会社の車両を追加して自分の都市へ走らせられる点は、鉄道経営ゲームと鉄道模型趣味を強く結びつけた。

ゲームの中心システムはPC-9801版と共通しているが、機種ごとの表示や音響、操作環境には違いがある。X68000を所有していたプレイヤーにとっては、高性能な国産パソコン上で都市と列車を動かすこと自体に魅力があった。

現在の中古市場では、通常版だけでなく追加車両ディスクまでそろえることが難しく、実物で完全な環境を再現するには相応の費用と知識が必要になる。純粋にゲーム内容だけを遊ぶなら復刻環境の方が簡単だが、当時の追加商品を含めて体験することには、歴史資料として独自の価値がある。

Windows版が果たした復刻と再入門の役割

Windows 95・98向けに登場した版は、1990年の原作と同時期に作られた新規作品ではなく、旧パソコン版を後年の環境で遊びやすくした復刻商品としての性格が強い。基本的なゲーム内容を保ちながら、ハードディスクやCD-ROMを利用するWindowsパソコンで動作するようになり、旧型機を持たない利用者にも作品へ触れる機会を提供した。

マップコンストラクションを含む構成によって、本編だけでなく自作マップまで楽しめることも利点である。また、CD音源を使ったBGMによって、初期パソコン版とは異なる音響環境で都市経営を行えた。

ただし、このWindows版自体も現在では古いソフトとなっており、最新のWindows環境で必ず正常に動作するとは限らない。互換設定や仮想環境が必要になる場合があり、現代の利用者にとって無条件に遊びやすい版とはいえなくなっている。それでも、原作の内容を比較的新しいパソコンへ移した商品として、シリーズ保存の重要な段階を担った。

PCエンジン版の高い再現度と保存環境の問題

PCエンジンSUPER CD-ROM²版は、家庭用ゲーム機向けでありながら、パソコン版の複雑な経営要素を可能な限り再現しようとした移植である。専用マウスへ対応し、ゲームパッドだけでは扱いにくい線路建設や各種メニュー操作を、パソコン版に近い感覚で行えるよう工夫されている。

収録マップの増加や音楽面の強化もあり、単なる縮小移植ではなく、家庭用機向けの追加要素を持つ作品となった。テレビ画面で都市を眺めながら経営できることは、パソコンを所有していない利用者にとって大きな魅力だった。

一方、ゲームデータを十分に保存するためには周辺機器の利用が望ましく、当時の家庭用ゲームとしては環境を整える難易度が高かった。現在ではCD-ROMドライブの状態や保存用周辺機器の入手も問題となる。内容の再現度は高いものの、実機での継続的なプレイにはパソコン版とは別の準備が必要である。

スーパーファミコン版『AIII S.V.』の独自性

スーパーファミコン版『AIII S.V. A列車で行こう3 スーパーバージョン』は、原作をそのまま移植するのではなく、家庭用ゲーム機の性能とコントローラー操作に合わせて再構成された作品である。最大の違いは、線路や施設を配置しやすいトップビューを通常の建設画面に採用したことである。クォータービューは都市を鑑賞するための役割が強く、建設中の位置確認はパソコン版より分かりやすくなった。

ゲームの進行速度も比較的軽快で、家庭用ゲームとして遊びやすい調整が行われている。また、施設を誘致する仕組みや、独自の車両を開発する機能など、スーパーファミコン版ならではの追加要素が用意された。

しかし、施設誘致の条件は厳しく、人口を増やしても必ず成功するとは限らない。車両開発も多額の費用を必要とし、失敗すれば完成が遅れたり、性能が期待を下回ったりする。自由に理想の車両を作れる仕組みを期待すると、制限の多さを感じる場合がある。

さらに、本作は後の家庭用シリーズ作品が登場した後に発売されたため、時代的にはやや遅い移植だった。原作と完全に同じ感覚を求める人には違和感が残る可能性があるが、トップビューによる操作性と独自要素を持ち、家庭用に再解釈された『A列車で行こうIII』として独立した魅力がある。

機種ごとの完成度は何を重視するかで変わる

各機種版の完成度を単純な順位で決めることは難しい。原作の歴史的価値と基本システムを重視するならPC-9801版が中心となり、音響や付属機能を求めるならFM TOWNS版が魅力的である。実在車両の追加やX68000という機種そのものに関心があるなら、同機種版と名鉄車両ディスクの組み合わせに価値がある。

旧型パソコンを用意せず家庭用ゲーム機で原作に近い経営を楽しみたい場合には、PCエンジン版が有力だった。線路配置の分かりやすさや進行の軽快さを求めるなら、スーパーファミコン版にも独自の利点がある。Windows版は、旧パソコン版の内容を後年の環境へ橋渡しした復刻版として意味を持つ。

画面表示、音源、マップ数、マウス対応、保存方式、追加機能などは異なるものの、鉄道を中心に都市を育てる根本的な面白さは共通している。どの版が最も優れているかは、原作への忠実さ、操作性、音響、独自要素、実機収集など、プレイヤーが何を求めるかによって変わる。

問題点を含みながらも現在まで残る理由

本作には、クォータービューでの建設の難しさ、貨物輸送の融通の利かなさ、AR-3への性能集中、初心者向け説明の不足、税負担の厳しさなど、粗削りな部分がある。都市が発展するまで待ち時間が長く感じられることもあり、現代の利用者には不親切なゲームと映る可能性が高い。

それでも『A列車で行こうIII』が現在まで語り継がれているのは、欠点以上に基本設計が強かったからである。鉄道を作ると街が育ち、街が育つと鉄道が利益を生み、その利益でさらに都市を広げられる。この単純でありながら奥深い循環は、グラフィックや機種が古くなっても魅力を失いにくい。

また、プレイヤーが作った都市は、単なる攻略結果ではなく、試行錯誤の記録でもある。最初に建設した小さな駅、赤字から立て直した郊外線、資材不足を解決した貨物路線、高層ビルが集まった中心街など、都市の各所に経営判断の歴史が残る。完成した街へ愛着が生まれるからこそ、ゲームを終了した後も強い記憶として残るのである。

『A列車で行こうIII』の総合評価

総合的に見れば、『A列車で行こうIII』は、現在の基準で洗練された都市開発ゲームとはいえないものの、鉄道会社経営と箱庭都市育成を結びつけた先駆的な名作である。目的地到達型だったシリーズを自由な経営シミュレーションへ転換し、後続作品が進む方向を明確にした功績は非常に大きい。

鉄道事業、貨物輸送、資材生産、子会社、不動産、株式、銀行、税金といった複数の仕組みを扱いながら、その結果を高層ビルや夜景として見せる設計は優れている。数字を増やすだけではなく、自分の会社が都市の形そのものを変えていく感覚を味わえることが、本作最大の魅力である。

明確なエンディングがなく、遊び方をプレイヤーへ委ねているため、人によっては目標を見つけにくい。しかし、人口、資金、鉄道網、景観、車両運用など、自分の価値観に合わせた目標を作れる人にとっては、長期間遊び続けられる。効率的な経営を追求することも、好きな列車を走らせて都市を眺めることも、同じゲームの中で成立する。

PC-9801版を中心とした原作系、音響や追加機能に特徴を持つFM TOWNS版やX68000版、家庭用へ再構成されたPCエンジン版とスーパーファミコン版、後年のWindows復刻版では、それぞれ操作感や収録内容が異なる。それでも、線路を敷き、列車を走らせ、駅を中心に都市を育てる喜びは共通している。

何もない土地へ一本の線路を通し、最初の駅を建て、列車の運行を始める。やがて住宅が増え、道路が伸び、オフィスや商業施設が立ち並び、夜には街全体へ明かりがともる。その風景を眺めながら、次はどこへ路線を延ばすのかを考える。この終わりのない成長こそが『A列車で行こうIII』の本質であり、本作が現在まで続くシリーズの源流として高く評価される理由なのである。

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