
【発売】:アスキー
【発売日】:2000年3月4日
【ジャンル】:テーブルゲーム
■ 概要
2000年3月4日、アスキーから発売された『プレイステーション2』用ソフト『柿木将棋IV』は、長年にわたり将棋ファンから支持を受けてきた「柿木将棋」シリーズの集大成とも言える作品です。本作は、プレイステーション2のハード性能を最大限に引き出し、従来の据え置き機では体験できなかった思考速度と柔軟な対局スタイルを実現しています。単なるゲームソフトという枠を超え、家庭用ゲーム機のユーザーに“本格的な将棋ソフト”の世界を開いてくれた意欲作だといえるでしょう。
従来の「柿木将棋」は、PC版を中心に改良を重ねてきた経緯があります。思考ルーチンの緻密さ、定跡データの豊富さ、ユーザーに合わせた柔軟な設定機能などで定評がありました。その成果を引き継いだうえで、プレイステーション2という次世代ハードで展開したのが『柿木将棋IV』です。PS2の高い処理能力は、トップクラスのパソコンにも匹敵する思考速度を生み出し、盤面を読む速さや深さが格段に向上しました。その結果、プレイヤーは待ち時間の少ない快適な対局を楽しむことができ、従来の将棋ソフトにありがちな“長い思考待ち”というストレスが大幅に軽減されています。
さらに特筆すべきは「学習機能」の強化です。PS2の大容量メモリーカードを活用し、コンピュータがプレイヤーの指し手や傾向を記録・学習する仕組みが搭載されました。これにより、同じ相手と繰り返し対局しても、常に新しい手応えを感じられるのです。例えば、攻め重視のプレイヤーには守備的な対策を強めたり、定跡外の手を多用するプレイヤーには柔軟な応手を返すなど、人間らしい対応を見せるのが魅力です。プレイヤーは、自分自身の成長とともにソフトの棋力が進化していく過程を体感でき、まるで実際の師匠やライバルと鍛錬を重ねているような感覚を得られます。
インターフェース面でも改良が施されています。駒の表示はシンプルで見やすく、将棋盤のデザインや視点切り替えも自由度が高いため、プレイヤーの好みに合わせた環境を整えることができます。初心者向けに用意された「ヒント機能」や「詰め将棋モード」は、学習ツールとしての役割も果たしており、単なる対局ソフトにとどまらず、将棋を覚えたい人から上級者まで幅広く活用できるよう設計されています。
また、『柿木将棋IV』はシリーズの伝統を受け継ぎながらも、AIの個性を活かした“相手らしさ”を強調しています。コンピュータの強さを一律に設定するのではなく、段位や棋風に応じて相手を選べるようになっており、定跡型・力戦型・守備重視など、プレイヤーが相手に求める性格を選択することで、まるで多彩な人間プレイヤーと戦っているかのような感覚を楽しめます。これによって、遊びとしての面白さと学習教材としての奥深さが見事に融合しているのです。
発売当時の家庭用ゲーム市場において、将棋ソフトは「入門用」や「軽い娯楽」という位置づけで見られることが少なくありませんでした。しかし、『柿木将棋IV』はその常識を打ち破り、“家庭用ハードでも本格的な将棋が楽しめる”という認識を広めました。特に、普段はパソコンを持たないユーザー層にとっては、自宅のテレビ画面を通して高水準の思考エンジンと対局できる点が大きな魅力となり、将棋人口の裾野を広げる役割を果たしたと言えるでしょう。
こうした背景を考えると、『柿木将棋IV』は単なるゲームソフトではなく、「プレイステーション2の高性能を活かした知的エンターテインメントの象徴」として位置づけられる作品でした。その存在は、将棋ファンにとってもゲーマーにとっても特別な意味を持ち、発売から年月を経た現在でも高い評価を受け続けています。
■■■■ ゲームの魅力とは?
『柿木将棋IV』が多くの将棋ファンやゲームユーザーから注目を集めた最大の理由は、単なる“強いAIとの対局”を提供するだけにとどまらず、その体験全体に「深み」と「多様性」を持たせていた点にあります。ここでは本作の魅力を大きく分けて紹介していきましょう。
まず第一に挙げられるのは 圧倒的な思考速度と棋力のバランス です。プレイステーション2という新世代ハードの性能を背景に、従来の家庭用将棋ソフトでは不可能とされていた高速かつ正確な読みを実現しました。ただ単に早く指すだけではなく、局面ごとに深く読み込むべき状況と軽く流す状況をAIが自動で判断し、プレイヤーにとって心地よいテンポを作り出してくれるのです。これにより、短時間でサクサク進む対局から、じっくり時間をかけて読みを深める本格的な将棋まで幅広く対応することが可能になっています。
次に注目したいのは 学習機能の強化による“成長するライバル”の存在感 です。『柿木将棋IV』は、対局ごとにプレイヤーの棋風を分析し、そのデータを蓄積していく仕組みを備えています。例えば、角交換を好むプレイヤーには次第に対応を強化してくるなど、回数を重ねるほど相手が手強くなっていくのです。この仕組みによって、プレイヤーは常に新鮮な気持ちで対局に挑めるだけでなく、勝った時の達成感や負けた時の悔しさがより強く心に残るようになりました。まさに「生きた相手」と戦っているかのような没入感を味わえるのが、このソフトの魅力のひとつです。
多彩な対局モード も人気の要因です。通常のフリー対局だけでなく、段級位認定モード、詰将棋モード、棋譜並べや検討モードといった多岐にわたる機能が搭載されており、ユーザーは自分の目的やレベルに応じて自由に楽しめます。初心者はヒントを活用しながら基本の寄せを学び、上級者は実戦さながらの緊張感を持ってAIに挑戦することができる。こうした幅の広さが、「遊ぶ人を選ばない」ソフトとしての価値を高めています。
また、インターフェースの使いやすさ も大きな魅力です。駒のデザインや盤面の表示はシンプルながら洗練されており、盤面を俯瞰するだけで状況を把握しやすいよう工夫されています。PS2特有のグラフィック性能を活かし、視点を切り替えて斜め上から盤を眺めたり、盤面の色を変更して自分好みにカスタマイズできる点も好評でした。長時間遊んでも疲れにくいレイアウトは、地味ながらプレイヤーの体験を支える重要なポイントです。
さらに、幅広いユーザー層に対応した親切設計 も見逃せません。将棋に触れたことのない初心者でも遊べるように、ルール説明や基本的な手筋の紹介が充実しており、「これから将棋を覚えたい」という人にとっても最適な教材となり得ます。一方で上級者には、実際のプロ棋士の棋譜を解析したかのような高度な指し手で挑んでくるため、「自分の実力を試したい」「コンピュータに勝ち越したい」といった意欲を強くかき立ててくれるのです。
『柿木将棋IV』のもう一つの大きな魅力は、人間らしさを感じさせるAIの指し回し です。無機質な計算による最善手ばかりを打つのではなく、局面によってはあえて“力戦”に持ち込んだり、“心理的な駆け引き”を思わせる手を選んでくることがあります。これにより、ただの機械相手という印象ではなく、「一人の将棋プレイヤー」と本気で戦っているような気分になれるのです。この部分は当時の雑誌レビューでも高く評価され、「コンピュータ将棋の冷たさを感じさせない」という意見が多く見られました。
最後に、プレイステーション2という家庭用ハードならではの手軽さ も忘れてはなりません。PC版の柿木将棋は高性能でしたが、どうしてもPC環境に依存してしまうため、設定や操作が煩雑になりがちでした。その点、PS2版はディスクをセットすればすぐに遊べるシンプルさがあり、誰でも気軽に「本格派の将棋」を体験できる環境を提供しました。この“気軽さ”と“本格さ”の両立こそが、多くのユーザーを惹きつけた最大の魅力だと言えるでしょう。
以上のように、『柿木将棋IV』の魅力は単一の要素ではなく、思考エンジンの強さ、学習機能の進化、多彩なモード、遊びやすいインターフェース、人間味ある指し手、そしてPS2ならではの手軽さといった複数の要素が組み合わさって生み出されています。その総合力の高さが、20年以上経った今でも語り継がれる理由なのです。
■■■■ ゲームの攻略など
『柿木将棋IV』を遊ぶうえで重要なのは、「ただコンピュータに挑む」のではなく、自分のレベルや目的に応じて上手に使い分けることです。本作は将棋そのものの深さを体験できるのはもちろん、プレイヤーがどのように成長していくかをサポートしてくれるツールでもあります。ここでは、楽しみ方や攻略法、そして難易度の捉え方を段階的に解説していきましょう。
● 初心者が押さえるべき基礎攻略
将棋を覚えたばかりの人にとっては、「どこから始めていいかわからない」という壁が立ちはだかります。『柿木将棋IV』には、初心者向けに ヒント機能 が用意されており、局面ごとに「おすすめの手」を提示してくれます。これを活用することで、自然と基本的な手筋や駒の使い方を学ぶことができます。
例えば「序盤で飛車や角を活かす展開」「終盤で玉を詰める攻め筋」などを繰り返し経験することで、将棋の流れが体に染み込んでいきます。初心者はまず「駒を損しない」「玉を安全に囲う」という基本戦略を徹底し、このソフトを使って感覚を養うのが有効です。
● 中級者のステップアップ攻略
中級者にとっての課題は「序盤の定跡理解」と「中盤の構想力」です。『柿木将棋IV』では、膨大な定跡データが搭載されており、居飛車・振り飛車など様々な戦型でAIが最適な応手を返してきます。これを繰り返し体験することで、「この形ではこう指すのが自然」というパターンを学べるのです。
また、中盤戦ではAIが力強い攻めを見せることも多く、守備やカウンターの重要性を学ぶ機会になります。ここでは 棋譜検討モード を併用するのがおすすめです。対局後に自分の悪手や疑問手を振り返ることで、実戦感覚を鍛えつつ弱点を補強できます。
● 上級者向けの攻略ポイント
上級者にとっても『柿木将棋IV』は大きな挑戦相手です。特に「段位認定モード」は、実力試しに最適です。高段位に挑戦すると、コンピュータはまるでプロ棋士のように緻密な寄せを繰り出してきます。攻略のポイントは、AIの読み筋を逆手に取る工夫 を意識することです。例えば、敢えて定跡から外れる「奇襲戦法」や、力戦模様に持ち込むことで、AIが想定していない局面に誘導することが可能です。
ただしAIは学習機能で順応していくため、同じ戦法を繰り返すのは効果が薄れます。定跡型と力戦型をバランスよく使い分け、常に“新しい武器”を取り入れることが攻略の鍵となります。
● 難易度の感じ方
本作は「初心者から上級者まで対応」とうたわれていますが、実際には難易度の幅が非常に広いのが特徴です。最も易しい設定では、あえて隙を作ってくれるような指し方をし、プレイヤーに勝つ喜びを与えてくれます。一方で最高レベルでは、人間のアマ高段者ですら苦戦するほどの強さを発揮します。この落差があるからこそ、誰でも自分の成長を実感しながら遊べるのです。
● 裏技的な楽しみ方
いわゆる“隠し要素”というよりも、プレイヤーの工夫次第で裏技的に楽しめる点もあります。例えば「自分の棋譜を保存し、別の視点でAIに解析させる」と、自分では気づかなかった最善手や新しい戦略が見えてくることがあります。これは棋力向上に直結する強力な学習法です。
また、CPU思考中に早送り機能を利用することで実質的に待ち時間をゼロに近づけたり、あえて弱い設定にして「自分が指導役」になった気分で遊ぶといった楽しみ方もできます。
● 総括
『柿木将棋IV』の攻略に王道はありません。AIの強さを利用して自分を磨くのか、気軽な対局を繰り返してリラックスするのかはプレイヤー次第です。ただひとつ確かなのは、「何度挑戦しても新しい発見がある」という点です。これこそが、長年にわたって本作が支持され続けている理由だと言えるでしょう。
■■■■ 感想や評判
『柿木将棋IV』は発売当時から現在に至るまで、多くのプレイヤーや将棋愛好家、さらにはメディアからも評価を受けてきました。その反応を整理していくと、このソフトがいかに幅広い層に支持されたかがよくわかります。
● 一般プレイヤーからの感想
一般のユーザーにとって最も大きな驚きは、やはり 思考の速さと自然さ でした。従来の将棋ソフトは「長考が続いてテンポが悪い」「最善手ばかりで人間味がない」といった不満が少なからずありました。しかし『柿木将棋IV』は、テンポよく指し進めつつも深い読みを見せるため、「ストレスなく遊べる」という意見が多く寄せられています。
また、初心者からは「ヒント機能が役に立った」「コンピュータ相手に練習することで人と対局するときに落ち着けるようになった」といった声が目立ちます。一方、中級者以上からは「定跡の勉強に役立つ」「力戦模様に持ち込んでも手応えがある」といった実戦的な感想が多く挙がりました。
特に印象的なのは、「まるで将棋クラブで色んな人と指している気分になれる」という意見です。相手の棋風を設定できる機能が、単なる難易度調整ではなく「棋士の個性」を感じさせる効果を生み出していたからでしょう。
● 上級者・アマ強豪からの評価
アマチュア高段者やプロ志向のユーザーからも本作は高く評価されました。彼らが注目したのは、単純な勝ち負け以上に「研究相手」としての可能性です。棋譜を保存して繰り返し検討したり、AIに解析をさせたりすることで、研究パートナーのように使える点が重宝されました。
もちろん、「人間相手に比べるとまだ癖が読める」「終盤で特定のパターンに陥る」といった指摘もありましたが、それを逆に「弱点を突く練習になる」と捉える声もあります。総じて、「家庭用ハードでここまでの研究ができるのは驚きだ」という評価が多かったのです。
● メディア・雑誌のレビュー
発売当時のゲーム雑誌では、『柿木将棋IV』は「PS2ローンチ期の知的ソフトの代表格」として紹介されました。アクションやRPGが目立つラインナップの中で、頭脳系ゲームとして存在感を放ち、特に 「PS2の処理能力を活かしたAIの進化」 が強調されていました。
ある雑誌では「家庭用将棋ソフトの完成形に近い」と評され、また別のレビューでは「初心者にとっての学習教材としても優秀」と評価されています。ゲームとしての娯楽性と、教材としての実用性が両立している点が高く評価されたのです。
● ネガティブな意見も
一方で、当然ながらすべてが絶賛されたわけではありません。プレイヤーによっては「対局画面が質素で地味」「演出面の派手さが足りない」といった不満を抱く人もいました。また、将棋そのものに馴染みがない層からは「難しすぎて続けられなかった」という声も挙がっています。
しかし、これらは“将棋というジャンル”の特性に由来するものであり、本作が持つ本格さを逆に裏付ける評価とも言えるでしょう。
● 長年遊ばれてきた理由
発売から20年以上が経った今でも、『柿木将棋IV』は中古市場や将棋ファンの間で語られる存在です。その理由は、「遊ぶほどに発見がある奥深さ」と「自分の成長を映す鏡のようなAI設計」にあります。人間同士の対局と同じように、勝っても負けても学びがある――この体験こそが長く愛されている要因です。
総合すると、『柿木将棋IV』の評判は「知的で実用的、かつ長く楽しめる将棋ソフト」という点に集約されます。娯楽でありながら学習ツールでもあり、初心者から上級者まで幅広く満足させた稀有な存在として、今なお多くの人の記憶に残っています。
■■■■ 良かったところ
『柿木将棋IV』の評価が高かった背景には、プレイヤーたちが実際に体験して「ここが素晴らしい」と感じた数多くのポイントがあります。ここでは、その魅力をユーザーの視点から掘り下げて紹介していきます。
● 思考の速さと滑らかさ
最も多くのユーザーが「良かった」と語るのは、やはり 思考速度の速さ です。従来の家庭用将棋ソフトでは、CPUの思考時間が長く、待ち時間のストレスを感じるケースが少なくありませんでした。しかし『柿木将棋IV』では、PS2の処理性能をフルに活かし、盤面に応じて的確に思考を切り替える仕組みが実装されています。テンポ良く駒が動くため、ゲーム全体の流れが快適で、プレイヤーは集中力を維持しやすいという意見が目立ちました。
● 学習機能による成長感
「良かったところ」として次に多く挙げられるのが 学習機能 です。AIがプレイヤーの棋風を覚えて対策してくるため、毎回の対局が新鮮で、飽きにくい設計になっています。「昨日勝てた戦法が今日は通じなかった」といった経験が、プレイヤーに強い印象を残しました。まるで生きている相手と対局しているような感覚を味わえる点は、当時としては非常に斬新でした。
● 幅広い難易度設定
本作は初心者から上級者まで幅広く楽しめるように作られています。易しいレベルではわざと甘い手を打ち、将棋を始めたばかりの人でも「勝てる楽しさ」を体験できます。一方で最高難度ではアマ高段者が苦戦するほどの実力を見せるため、強い相手を求めるユーザーにも応えてくれる。この難易度の広さが「長く遊べるソフト」という評価につながりました。
● 豊富なモードと機能
「詰将棋モード」や「段級位認定モード」、「棋譜検討機能」など、遊び方が多彩であることも好評でした。特に棋譜検討は「自分の悪手に気づける」「上達の手助けになる」と評判で、単なる娯楽を超えて学習教材として役立つ側面を持っています。「ゲームをしながら自然に勉強できる」という点は、将棋ファンにとって大きな魅力でした。
● インターフェースの快適さ
駒の表示や盤面のデザインがシンプルで見やすく、長時間プレイしても疲れにくいという点も多くのユーザーから支持されました。また、PS2ならではの視覚表現によって盤面を斜めから見たり、背景色を変えたりと、自分好みに環境を整えられる自由度も評価されています。「地味だが親切」といったコメントが多く、ユーザー体験を大切にしている設計が伝わってきます。
● リアルな棋風再現
対局相手の個性を設定できる点も好評でした。「守備型の相手」「攻撃型の相手」「バランス型の相手」など、相手の特徴を選ぶことで本当にクラブでいろいろな人と指しているような感覚が得られたのです。「毎回違う相手と指しているみたいで飽きない」という声は、実際の利用者から頻繁に聞かれました。
● 手軽に本格将棋を体験できる
PC版の「柿木将棋」は優秀でしたが、PC環境がないと遊べないというハードルがありました。その点、『柿木将棋IV』はPS2にディスクを入れるだけですぐに高性能AIと対局できる手軽さがあります。これにより「本格的な将棋を手軽に楽しめる」という理想が実現し、将棋に触れる裾野を広げた点も「良かったところ」として語られています。
● 総評
総じてユーザーが感じた「良かったところ」は、本格的でありながら手軽、そして長く遊んでも飽きない工夫がされている という点に集約されます。思考の速さ、学習機能、幅広い難易度、豊富なモード、親切なインターフェース――これらが組み合わさって、家庭用将棋ソフトとしての完成度を極めた存在になっているのです。
■■■■ 悪かったところ
『柿木将棋IV』は総合的に見れば高い完成度を誇る作品ですが、当然ながらすべてのユーザーが満足したわけではありません。長所が多い一方で、「ここは少し物足りない」「改善してほしい」と感じられた点も存在しました。ここでは、プレイヤーから挙がった主な不満や改善要望を整理して紹介します。
● ビジュアルや演出の地味さ
最も多く指摘されたのは 見た目のシンプルさ です。将棋というゲーム性の性質上、派手なグラフィックやアニメーションを求める必要はありません。しかし2000年当時のPS2は「次世代機らしい美しい映像表現」が期待されており、その点で『柿木将棋IV』は「PS2っぽさに欠ける」と感じる人も少なくありませんでした。
駒が淡々と動くだけの演出は「地味」「淡白」と評価されることもあり、例えば「対局中にもっと臨場感を演出してほしかった」「駒を打つ音やエフェクトを工夫してほしかった」という意見が散見されました。
● 将棋に興味がない人には敷居が高い
本作は将棋に特化したストイックな設計のため、将棋に馴染みのない人からは「難しい」「何が面白いのかわからない」と感じられることもありました。初心者用のヒント機能や解説は用意されていたものの、そもそも将棋の駒の動かし方すら覚えていない人にとってはややハードルが高く、ゲームとしてのとっつきやすさに欠けるという声もありました。
● 演出面の単調さと没入感不足
プレイヤーによっては「長く遊んでいると飽きる」という意見もありました。その理由のひとつは、対局画面が常に似たような印象であることです。将棋の性質上、盤面はほとんど変わりませんが、それでも「対局中の演出やBGMが単調で長時間のプレイには変化が少ない」と感じられるユーザーがいました。例えば「段位認定モードに専用の演出を入れて欲しかった」「対局相手にキャラクター的な個性があればよかった」という意見も挙がっています。
● 思考の偏りやクセ
強力なAIを搭載している一方で、「同じ局面になると毎回似たような手を指す」といった指摘もありました。AI学習機能があるためある程度修正されていきますが、それでも一部の戦型ではパターン化が見えてしまい、「人間相手とは違う独特のクセ」が露呈することもあったのです。特に上級者からは「終盤の詰めに入ると急に強さが落ちる」「無理攻めに出ることがある」といった具体的な弱点を指摘する声が聞かれました。
● インターフェースの細部に不満
操作自体は快適だったものの、一部のユーザーからは「もう少しユーザビリティに配慮してほしかった」という意見もありました。たとえば「棋譜検討時に自由に戻る操作がしづらい」「盤面の表示切り替えがワンタッチでできない」など、細かい点での改善要望が挙げられています。これらは致命的な問題ではないものの、将棋を長時間研究するユーザーにとっては気になる部分だったようです。
● 当時の価格設定への不満
一部のユーザーからは「定価に対して内容がシンプルすぎる」という声もありました。PS2初期のソフトは全般的に価格が高めに設定されていたため、本作のように“地味に見える知的ゲーム”にその金額を払うことに抵抗を感じた人もいたようです。特に演出の派手さを求めるユーザーからは「もう少し安ければ買いやすかった」との意見が残っています。
● 総括
『柿木将棋IV』の「悪かったところ」は、どれもソフトそのものの根幹を否定するものではなく、演出やインターフェース、将棋に不慣れなユーザーへの配慮といった周辺的な部分に集中しています。言い換えれば、ゲーム性やAIの質には大きな不満が少なく、それだけ将棋ソフトとしての完成度が高かった証とも言えます。とはいえ、「もっと将棋に触れてもらうための工夫」「遊びやすさを補う演出」があれば、さらに幅広い層に支持された可能性は高いでしょう。
[game-6]■ 好きなキャラクター
『柿木将棋IV』は、純粋な将棋対局ソフトとして開発されているため、RPGや格闘ゲームのような「物語上のキャラクター」が登場するわけではありません。しかし、本作において“キャラクター”という言葉は、コンピュータ側の対局者の個性 や ユーザーが投影する棋風のイメージ として表れる部分にあります。プレイヤーは、さまざまなスタイルを持つAIとの対局を通じて、「このタイプの相手が好きだ」「この棋風に魅力を感じる」といった愛着を抱くのです。
● 棋風がキャラクター化している
『柿木将棋IV』では、対局相手の棋風を設定することができます。守備を重視する相手、攻撃的で速攻を狙う相手、バランス型で柔軟に立ち回る相手など、それぞれに“性格”が付与されているため、実際にはAIであっても人間味を帯びたキャラクターのように感じられるのです。
「攻め一辺倒のAIは、まるで若手棋士のような勢いを持っている」「守りを固めるタイプは、落ち着いたベテラン棋士を思わせる」といった感想も多く聞かれます。ユーザーにとっては、こうした棋風そのものが“好きなキャラクター”として印象に残るのです。
● 初心者に優しいAIへの親近感
将棋を覚えたばかりのユーザーにとって、もっとも愛着を感じる“キャラクター”は 弱めに設定されたコンピュータ でした。易しいモードでは、わざと隙を見せてくれるため、初心者でも勝利体験を得やすいのです。「あの時に初めて勝てたのが嬉しくて忘れられない」という声も多く、この優しいAIは「最初の師匠」のような存在としてプレイヤーの記憶に残りました。
● 強敵AIへの挑戦心
一方で、上級者が魅力を感じるのは 最強レベルのAI です。読みの深さや終盤の鋭さは人間の高段者さながらで、「まるで本物の棋士と戦っているようだ」と感じさせる強敵でした。プレイヤーにとって、この強力なAIは“倒すべきライバル”であり、負けたときには悔しさを、勝てたときには大きな達成感を与えてくれる存在でした。まるで漫画やアニメに登場する宿敵キャラクターのように、挑戦心をかき立てる役割を果たしていたのです。
● 学習するAIの面白さ
もうひとつ特筆すべきは、学習機能によって変化していくAI です。プレイヤーの棋風を覚えて成長するため、「前回の対局と同じ戦法が通用しなくなった」という体験が頻繁に起こります。これにより、プレイヤーは相手に“意志”を感じやすくなり、あたかも長く付き合うライバルキャラクターのように親しみを持てるのです。「このAIは自分をよく知っている」と思わせる体験は、ゲーム内キャラクター以上の存在感を持っていました。
● プレイヤーごとの「好きなキャラクター」像
面白いのは、どの“キャラクター”に好意を持つかがプレイヤーごとに異なる点です。
「初心者に寄り添ってくれる弱いAIが一番好き」
「容赦なく攻めてくる最強AIがたまらない」
「柔軟で人間味のあるバランス型AIがちょうどいい」
このように、ユーザーの棋力や性格によって“好きなキャラクター像”が変わるのも、『柿木将棋IV』ならではの特徴でした。
● 総括
『柿木将棋IV』は、直接的にキャラクターデザインを押し出すソフトではありませんが、棋風の違いをキャラクターとして感じさせる設計 がプレイヤーに強い印象を残しました。ユーザーは自分の成長とともに「好きな相手」を見つけ出し、その相手との対局を通して忘れられない思い出を築いていったのです。
[game-7]■ 中古市場での現状
『柿木将棋IV』は2000年にアスキーから発売されて以来20年以上が経過しており、現在では新品の流通はほぼ見られず、中古市場での取引が中心となっています。家庭用将棋ソフトの中でも人気と完成度の高さを兼ね備えていたため、今でも一定の需要があり、コレクターや将棋ファンの間で取引が続いています。ここでは主要な中古市場の現状をまとめてみましょう。
★ ヤフオク!での取引価格
ヤフオク!では『柿木将棋IV』の出品はそれほど多くはありませんが、定期的に見かけることができます。取引価格帯は 1,200円〜2,500円程度 が中心です。
状態により価格差が大きく、ケースにスレや説明書の欠品があるものは1,000円台前半から出品されることが多い一方、外装が良好で付属品が揃っているものは即決価格で2,000円以上に設定されるケースもあります。
特に「状態が良好で動作確認済み」と記載された出品はウォッチ登録が多く、終了間際に入札が集中することもあります。ただし、新品未開封品の出品は非常にまれで、もし出てきた場合は3,000円前後の即決で落札される傾向にあります。
★ メルカリでの販売状況
フリマアプリ「メルカリ」では、ヤフオクに比べると出品数がやや多く、価格帯は 1,300円〜2,200円前後 が主流です。
「ケース・説明書付き」「動作確認済」といった商品は1,800円前後で売れることが多く、逆にディスクに傷やケース破損があるものは値下げ交渉を経て1,300円前後で取引されています。
また、メルカリの特徴として「送料無料」「即購入可」といった条件が人気を左右しており、1,800円程度で出品されている良品は短期間で売れる傾向にあります。
★ Amazonマーケットプレイスでの価格帯
Amazonのマーケットプレイスでは、価格設定がやや高めに維持されています。中古品は 2,000円〜3,200円程度 が中心で、Amazon倉庫発送の商品は安心感から3,000円前後で取引されることが多いです。
状態説明が丁寧にされている出品は価格が高めでも売れやすく、特に「美品」「ディスク無傷」と記載されているものはプレミアム感を持たれやすい傾向があります。
★ 楽天市場での取り扱い
楽天市場では、ゲームショップや中古販売店が出品しており、価格は 2,500円〜3,500円前後 に設定されていることが多いです。他のフリマアプリに比べるとやや高額ですが、ショップ保証やポイント還元などの安心感から購入されるケースも少なくありません。
★ 駿河屋での販売状況
中古ゲーム大手の駿河屋でも取り扱いがあり、価格は 1,800円〜2,600円前後 に安定しています。在庫状況によっては売り切れになることもあり、人気のある時期には品切れが続くこともあります。特に状態の良い商品はすぐに売れてしまうため、購入希望者はこまめなチェックが必要です。
● 総括
『柿木将棋IV』は現在も中古市場で安定した需要があり、価格帯は 1,200円〜3,000円程度 に収まっています。大きなプレミア価格がつくわけではありませんが、「完成度の高い将棋ソフト」として認知されているため、安定的に流通しているのが特徴です。
また、将棋ファンやコレクターの間では「PS2初期の知的ゲームの代表作」として評価されており、今後も中古市場で一定の存在感を持ち続けると考えられます。
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