『キン肉マン コロシアムデスマッチ』(パソコンゲーム)

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【発売】:バンダイ
【対応パソコン】:MSX など
【発売日】:1985年
【ジャンル】:アクションゲーム

■ 概要・詳しい説明

1985年のMSXに登場した『キン肉マン』題材の1対1アクションゲーム

『キン肉マン コロシアムデスマッチ』は、ゆでたまごによる人気漫画『キン肉マン』の世界をコンピューターゲームとして表現した作品で、1985年にバンダイからMSX向けに発売されたアクションゲームである。『キン肉マン』を題材とした1980年代のゲームといえば、後年まで語り継がれるファミリーコンピュータ用『キン肉マン マッスルタッグマッチ』の印象が非常に強いが、本作はそれとはゲーム構成も登場する超人も異なり、主人公キン肉マンが強敵と一人ずつリングで戦っていくシングルマッチ形式を採用している。現代的な分類なら対戦格闘ゲームに近い見た目を持っているものの、プレイヤー同士が好きな超人を選んで競い合う作品ではなく、あくまで一人用アクションゲームとして設計されている点が大きな特徴である。

ゲーム画面はリングを横方向から眺めるサイドビュー形式となっており、画面内にはキン肉マンと対戦相手となる超人が大きめのキャラクターとして表示される。当時のMSX用ゲームとしては、原作でおなじみの超人同士が正面から殴り合い、飛び技や投げ技、必殺技を繰り出すという題材そのものが分かりやすく、ゲーム開始直後から「キン肉マンで超人と戦っている」という感覚を味わえる作りになっていた。広大なマップを探索したり複雑なルールを覚えたりする必要はなく、目の前の敵を倒すという目的に徹底して絞り込んだゲーム内容であり、この簡潔さこそが本作の基本設計となっている。

プレイヤーが操作できるのは主人公キン肉マンのみ

本作でプレイヤーが操作するキャラクターはキン肉マンに固定されている。多数の超人から好きな人物を選択する方式ではなく、主人公として立ちはだかる強敵を順番に撃破していくという構成である。したがって、本作の楽しさはキャラクター選択の幅よりも、キン肉マンという一人のキャラクターの動きを理解し、それぞれ性格の異なる敵超人をどのように攻略するかという部分に置かれている。

ゲーム中のキン肉マンは、原作の象徴的なマスク姿に加えて、上半身を露出し、青系統のロングタイツを身に着けた姿で表現されている。限られた表示能力の中でもキン肉マンであることが一目で判断できるようデザインされており、リング上を移動しながら通常攻撃やジャンプを利用して相手へ接近する。単純に正面から攻撃を連打するだけではなく、相手との距離や位置関係を見ながら技を当てることが重要で、プロレスを題材にした作品らしく接近戦がゲームの中心となっている。

原作のキン肉マンは、普段はコミカルで頼りなく見える一方、窮地では驚異的な粘りを発揮して強敵を逆転で倒していく人物である。本作では物語的な演出こそ簡略化されているが、強敵と一対一で向き合い、体力を削り合った末に必殺技で勝利を目指す構造によって、そのヒーロー性をアクションゲームとして分かりやすく再構成している。

相手のゲージをゼロまで減らせば勝利するシンプルなルール

対戦の基本目的は極めて明快である。キン肉マンと敵超人にはそれぞれ戦闘状態を示すゲージが設定されており、攻撃を命中させることによって相手側のゲージを減らしていく。先に相手のゲージを完全に失わせればキン肉マンの勝利となり、次の対戦相手との試合へ進むことができる。逆にキン肉マン側のゲージが尽きれば敗北となる。

こうした仕組みは現在の格闘ゲームでは当たり前に感じられるが、1985年という時代を考えると、漫画作品に登場するキャラクター同士をリング上で直接戦わせ、体力の奪い合いによって決着をつけるという形式は非常に理解しやすいものだった。スポーツゲーム的なルールを細かく再現するのではなく、『キン肉マン』の魅力の中心である「超人同士の激しい戦い」を短時間のアクションゲームへ落とし込んでいる。

また、本作では通常攻撃だけでなく、キャラクターを象徴する必殺技が重要な意味を持っている。原作ファンにとって、単なるパンチやキックだけでは『キン肉マン』らしさが十分とはいえない。本作では対戦相手ごとに特徴的な技が用意され、それぞれの超人らしさを戦闘パターンそのものに反映させようとしている。このため登場人数こそ多くないものの、一戦ごとの個性は比較的はっきりしている。

最初の対戦相手・サンシャインが担う入門戦

キン肉マンの前に最初に立ちはだかるのがサンシャインである。巨大な砂の超人として知られるサンシャインは、悪魔超人・悪魔騎士側を代表する存在の一人であり、本作では第1戦の相手という重要な役割を与えられている。攻撃には「地獄のピラミッド」などサンシャインを象徴する要素が盛り込まれているほか、フライングボディアタックによる積極的な攻めも行ってくる。

第1戦であるため、本作の基本的な間合いや攻撃の当て方を覚える相手でもあるが、何も考えずに近づけば反撃を受けるため油断はできない。まずサンシャインとの戦いを通してキン肉マンの移動やジャンプ、攻撃のタイミングを理解し、その後に控えるさらに手強い相手へ備えるという流れになっている。

キャラクター数を大量に用意できない当時の作品では、誰を対戦相手として選ぶかがゲーム全体の印象を大きく左右する。その意味で、巨大な体格と独特な技を持つサンシャインを最初の敵として配置したことは、画面的にも分かりやすく、「普通の人間同士ではない超人プロレス」の雰囲気を短時間で示す役割を果たしている。

第二の壁として待ち構えるテクニカルなアシュラマン

サンシャインを倒したキン肉マンを待っている第2戦の相手がアシュラマンである。三つの顔と六本の腕という強烈な外見を持つアシュラマンは、『キン肉マン』を代表する人気超人の一人であり、ゲーム内でもサンシャインとは異なる強敵として登場する。

アシュラマンは「竜巻地獄」や「アシュラバスター」といった自身を象徴する攻撃を使用し、さらにキン肉マンの代名詞ともいえる必殺技に対抗するような行動を見せることもある。このため、第一戦と同じ感覚で攻撃しているだけでは対応しにくく、相手の動きを観察しながら慎重に戦う必要が出てくる。

原作でもアシュラマンは、単純な怪力だけに頼らず、多彩な技と特殊な肉体を武器に戦う超人として描かれている。本作でも限られたゲームシステムの中でそうした特徴を表現しようとしており、「次の敵になったので数字だけ強くなった」というより、技の違いによって敵としての存在感を生み出している点が興味深い。

3人目の強敵バッファローマンが事実上の最終関門

第3戦にはバッファローマンが登場する。1000万パワーを誇る豪快な戦闘スタイルで知られ、『キン肉マン』を象徴するライバル超人の一人でもある。巨大な角を利用して突進する「ハリケーンミキサー」をはじめ、バッファローマンらしい攻撃が用意されており、本作に登場する3人の敵超人の最後を飾る存在としてキン肉マンの前に立ちはだかる。

バッファローマン戦まで到達した時点で、プレイヤーにはそれまでに覚えた操作と間合いの取り方を活用することが求められる。攻撃を仕掛けるタイミングを誤れば強烈な反撃を受けやすく、特に相手の必殺技を警戒しながら戦わなければならない。豪快なパワー型超人という原作の印象を利用して、最後の敵にふさわしい圧力を与えている。

興味深いのは、バッファローマンを倒しても一般的な意味での物語的なエンディングへ直結するわけではない点である。3人目を撃破するとゲームは再びサンシャインとの戦いへ戻り、そこからアシュラマン、バッファローマンという順番を繰り返す。つまり本作は「ラスボスを倒して終了」という構造ではなく、どこまで連続して勝ち続けられるかを楽しむアーケードゲーム的な無限ループ構成を採用している。

3人撃破後も戦い続けるスコアアタック的なゲーム構造

サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンという3人を倒したあと、再び最初の対戦へ戻る仕組みは、本作のボリュームの小ささであると同時に、1980年代前半から中盤に多く見られたゲームらしい設計でもある。現在のゲームのように長大なストーリーや多数のステージを用意するのではなく、一定のゲームサイクルを繰り返しながらプレイヤー自身が記録更新を目指すことに重点が置かれている。

そのため、本作における一つの区切りはバッファローマン撃破だが、ゲームそのものの目的はそこで完全に終わるわけではない。操作に慣れれば「次の周回ではどこまで被害を抑えられるか」「何周連続で勝てるか」といった遊び方が生まれ、シンプルなルールの中に上達を実感する余地がある。

一方で、現在の感覚から見ると登場する敵が3人だけという点は、ボリューム不足と感じやすい部分でもある。ウォーズマン、ロビンマスク、ラーメンマン、テリーマンなど多数の人気超人を操作したり対戦したりできるわけではないため、「キン肉マンのゲームなのだから、もっと多くの超人を登場させてほしい」と考えるプレイヤーがいても不思議ではない。しかし、限られた容量とハードウェア性能の中で、一対一の戦闘と各超人の必殺技表現に絞り込んだ結果とも考えられ、本作の個性はそのコンパクトさにある。

2人対戦を採用しなかったことが後世での知名度にも影響

本作を語るうえで重要なのが、二人用の対戦モードを搭載していないことである。ゲーム画面だけを見ると友人同士で超人を操作して戦えそうに思えるが、実際にはプレイヤー側はキン肉マンに固定され、敵側はコンピューターが操作する。そのため、本作は「好きな超人を選び、友達と対戦して盛り上がるゲーム」ではなく、「キン肉マンとなって強敵を次々と倒す一人用キャラクターアクション」と捉える方が実態に近い。

この違いは、同じ1985年に登場した『キン肉マン マッスルタッグマッチ』と比較した際に特に大きく感じられる。同作が複数の超人を操作できる対戦型作品として広く知られるようになったのに対し、『コロシアムデスマッチ』は一人プレイに限定されたこともあって、後年の知名度には大きな差が生まれた。ただし、「どちらが優れているか」という単純な比較だけでは本作の面白さを十分に捉えることはできない。『コロシアムデスマッチ』はキン肉マン一人の戦いに焦点を絞り、敵ごとの必殺技を攻略していくという別方向のゲームデザインを採用しているからである。

少ない登場人物だからこそ分かりやすいキャラクター構成

登場する主要キャラクターは、プレイヤーキャラクターのキン肉マンと、敵として登場するサンシャイン、アシュラマン、バッファローマンの計4人である。人数だけを見れば非常に少ないものの、それぞれが原作でも強い印象を残した超人であるため、キャラクターの役割は分かりやすい。

主人公キン肉マンは攻撃を仕掛けるプレイヤーの分身であり、サンシャインはゲームへの入口、アシュラマンは技の多彩さによって難度を引き上げる中盤の強敵、バッファローマンはパワフルな攻撃でプレイヤーを押し切ろうとする最終関門という位置づけになっている。キャラクター数の少なさを、それぞれの必殺技や攻撃傾向によって補う構成である。

さらに原作ファンにとっては、単に姿だけが違う敵ではなく「この超人ならこの技」という記号性があることが重要だった。サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンという名前から連想される必殺技がゲーム内の攻撃へ組み込まれることで、当時の限られたグラフィック表現であっても原作とのつながりを感じやすくなっている。

ファミコン版とは異なる方向で作られた初期キャラクターゲームの一作

『キン肉マン コロシアムデスマッチ』の価値は、単純にゲームの規模だけで判断するより、1985年というキャラクターゲーム黎明期に、『キン肉マン』の超人プロレスを家庭用パソコン上でどのように再現しようとしたのかという視点から見ると分かりやすい。当時のMSXでは使用できる色数、キャラクター表示、容量などに大きな制約があり、現在のゲームのように原作の巨大なキャラクター群や長大な物語をそのまま収録することは難しかった。そのため、本作ではキン肉マン対強敵という最も理解しやすい部分を抜き出し、固定画面の一対一アクションへ凝縮している。

ゲーム内容は極めてシンプルであり、登場する敵も3人、二人対戦もなく、3人を倒した後は再び最初からという構造である。その一方、キャラクターを比較的大きく表示してリング上で直接戦わせること、敵超人ごとの特徴的な必殺技を採用すること、キン肉マン自身にもプロレスらしい攻撃を行わせることなど、「キン肉マンをゲームにするなら何を見せるべきか」という部分については明確な方向性を持っていた。

販売実績については、後年まで広く知られるファミコン版のように具体的な大ヒット記録が語られる作品ではなく、現在確認できる情報も限られている。このため正確な販売本数を断定することは難しい。むしろ現在では、1985年当時にMSXでも独自の『キン肉マン』ゲームが発売されていたという事実そのものが、レトロゲームファンにとって興味深いポイントになっている。

後世から振り返れば、キャラクター数やモード数の少なさ、二人対戦ができない点など物足りなさも目立つ。しかし、キン肉マンを操作してサンシャイン、アシュラマン、バッファローマンと順番に戦い、それぞれの必殺技をかいくぐって勝利するという分かりやすいゲーム性には、本作ならではの魅力がある。華やかな後続作品の陰に隠れがちな存在ではあるものの、1980年代中期のMSXキャラクターゲーム文化と『キン肉マン』ゲーム化の歴史を考えるうえでは、見逃せない一作といえるだろう。

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■ ゲームの魅力・攻略・好きなキャラクター

少ない操作と小さなリングの中に凝縮された「超人プロレス」の面白さ

『キン肉マン コロシアムデスマッチ』の魅力を考えるとき、まず注目したいのが、複雑なシステムを大量に盛り込むのではなく、「キン肉マンを動かして目の前の超人を倒す」という一点へゲーム内容を大胆に絞り込んでいることである。現在の格闘ゲームのように多数のキャラクター、何種類ものゲージ、コマンド入力、コンボ、特殊防御、キャンセル技といった仕組みが存在するわけではない。しかし、その単純さのおかげでゲームを開始するとすぐリング上の戦いへ集中でき、1980年代のパソコンゲームらしい分かりやすいアクションを楽しめる。

本作では主人公キン肉マンと敵超人が一対一で向かい合い、接近して攻撃しながら相手のゲージを削っていく。ゲーム画面そのものは簡素だが、敵との距離が近づけば「こちらから仕掛けるか、それとも相手の攻撃を待つか」という駆け引きが生まれる。強引に前へ出れば敵の必殺技を受ける可能性が高まり、反対に慎重になりすぎると有利な攻撃機会を逃してしまう。シンプルだからこそ、移動、接近、攻撃、回避という基本行動の判断が勝敗へ直結するのである。

そして本作の大きな特徴は、スポーツとしてのプロレスを忠実に再現することより、『キン肉マン』で描かれる超人プロレスの派手さを優先しているところにある。リング上ではサンシャイン、アシュラマン、バッファローマンといった強烈な個性を持つ超人が、それぞれを象徴する攻撃を仕掛けてくる。敵が変われば注意すべき動きも変化するため、登場人物が少ないからといって三試合が完全に同じ感覚になるわけではない。むしろ限られたキャラクターへ役割を集中させたことで、「次はあの技を持つ超人と戦う」という緊張感を分かりやすく作っている。

キン肉マン一人に固定したことが生み出す主人公になりきる感覚

本作ではプレイヤーが自由に超人を選択することはできず、操作するのは基本的にキン肉マンだけである。現代の対戦格闘ゲームに慣れていると、これは大きな制約に見える。しかし作品全体を一人用キャラクターアクションとして捉えれば、この仕様には別の面白さがある。

プレイヤーはキン肉マンとしてリングに立ち、自分よりも危険な技を持つ超人たちへ順番に挑んでいく。つまり「どのキャラクターを使えば有利か」を考えるゲームではなく、「キン肉マンでどうやってこの敵を倒すか」を考えるゲームなのである。使用キャラクターを交換して相性の良い超人を探す逃げ道がないため、負けた場合には相手の動きを覚え、自分の攻撃方法を改善し、再び同じキン肉マンで挑戦することになる。

この構造は、原作でキン肉マンが数々の強敵へ挑んでいく展開とも相性が良い。最初から万能な最強超人として敵を蹴散らすのではなく、危険な敵へ何度も挑戦しながら勝ち筋を見つけていくところに、本作らしい主人公体験がある。

また、キャラクター選択が存在しないため、一度基本操作を身につければ、その知識を最後まで利用できる点も初心者には分かりやすい。サンシャイン戦で覚えた間合いの感覚がアシュラマン戦で役立ち、アシュラマン戦で覚えた慎重な攻撃がバッファローマン戦につながる。このように三連戦そのものが短いながらも一種の上達過程を形成している。

攻略の基本は「攻撃回数」よりも「安全に当てられる瞬間」を見つけること

本作を攻略する際に重要なのは、ただ攻撃を連打して相手へ突進することではない。敵も積極的に攻撃してくるため、無計画な接近は相手の必殺技を受ける原因になる。初心者がまず意識したいのは、「相手の近くにいる時間を必要以上に長くしない」という考え方である。

攻撃を当てたいからと相手の目の前に居続ければ、それだけ反撃される機会も増える。そこで、敵が動いた直後、攻撃を終えた直後、位置関係が崩れた瞬間など、自分が比較的安全に行動できる場面を見つけて攻撃する。攻撃したら一度距離を取り、再び相手の動きを確認する。この繰り返しによって事故的なダメージを抑えやすくなる。

本作では相手のゲージをゼロにすればよいため、必ずしも派手な攻撃だけを狙う必要はない。大きな技を狙って失敗するより、確実に命中させられる攻撃を積み重ねた方が安定する場面も多い。特にゲームに慣れていない段階では、「一度に大ダメージを奪う」ことより「自分が攻撃を受けない」ことを優先すると進みやすい。

また、画面端付近では移動できる方向が限定されやすい。追い詰められた状態で敵の攻撃を受け続けると立て直しにくくなるため、可能であればリング中央付近へ戻れる位置を確保したい。相手へ攻撃を当てることだけに夢中にならず、「次に逃げられる空間があるか」を確認することが重要である。

第一戦・サンシャイン攻略――勢いに付き合わず基本操作を身につける

最初の相手となるサンシャインは、本作の基本ルールを理解するための相手として位置づけられる。地獄のピラミッドやフライングボディアタックといった特徴的な攻撃を仕掛けてくるため、初見ではその大きな動きに圧倒されやすい。しかし第一戦であることから、ここで焦って攻撃を連打するのではなく、まずキン肉マンの移動と攻撃距離を把握することが重要である。

サンシャイン戦では、敵が接近してきたからといってこちらも真正面から突っ込む必要はない。相手の攻撃が届く位置を確認し、その範囲へ長時間留まらないようにする。攻撃を空振りさせた後や、敵の位置がずれた瞬間を狙って反撃することで、比較的安全にゲージを削っていける。

特に初心者の場合、最初から華麗な勝ち方を目指すより、「サンシャインから大きなダメージを受けずに勝つ」ことを目標にするとよい。第一戦で消耗しすぎれば、その後のアシュラマン戦へ進んだ際にも余裕がなくなるという感覚でプレイすることで、自然と慎重な立ち回りが身につく。

サンシャインは本作の入口にあたるキャラクターだが、だからといって存在感が弱いわけではない。巨大な身体を持つ砂の超人という特徴が画面上でも分かりやすく、最初の敵として「これから普通ではない超人たちと戦う」という雰囲気を強く印象づけてくれる。最初は苦戦しても、何度か戦ううちに動きを読めるようになり、安定して勝利できるようになる。その上達感を最も実感しやすい相手でもある。

第二戦・アシュラマン攻略――必殺技を警戒しながら欲張らないことが重要

サンシャインを突破すると、第2戦ではアシュラマンが登場する。ここから本作の難しさをより強く感じるプレイヤーも多い。アシュラマンは竜巻地獄やアシュラバスターといった印象的な技を持ち、さらにキン肉マン側の攻撃へ対抗する行動を見せることもあるため、第一戦とまったく同じ感覚で戦うと一気にゲージを奪われる可能性がある。

攻略のポイントは「一度攻撃に成功したからといって、そのまま連続して攻め続けない」ことである。アシュラマンは存在そのものがテクニカルな超人であり、本作でも大技を警戒しながら慎重に立ち回る必要がある。攻撃を一度当てた後、さらに欲張って接近し続けると逆転される可能性が高まる。そこで一度距離を取り、もう一度安全な攻撃機会を作るという考え方が有効になる。

特に印象的なのが、キン肉マン側が有利と思われる場面でも必ずしも安心できない点である。原作でもアシュラマンは豊富な技と特殊な身体能力を駆使する相手であり、ゲームでも「大技を出せば無条件で勝てる」という単純な敵にはなっていない。そのため、自分の必殺攻撃だけへ依存するより、通常の攻撃や位置取りを組み合わせて少しずつ優位を作ることが大切である。

アシュラマン戦を安定して突破できるようになると、本作の操作にかなり慣れてきた証拠といえる。サンシャイン戦では操作方法そのものを覚え、アシュラマン戦では相手の行動へ対応することを覚える。この二段階を乗り越えることで、最終関門であるバッファローマンへ挑む準備が整う。

第三戦・バッファローマン攻略――ハリケーンミキサーを意識した距離管理

三人目のバッファローマンは、本作における事実上の最終関門である。巨大な角と圧倒的なパワーを武器とするキャラクターであり、代表的な攻撃としてハリケーンミキサーを仕掛けてくる。この突進系の攻撃があることで、バッファローマン戦では特に距離の取り方が重要となる。

危険なのは、攻撃したい気持ちから正面に立ち続けることである。バッファローマンは真正面への圧力が強く、相手の得意な間合いへ自分から入ってしまうと一気に展開を持っていかれやすい。そこで、相手が前へ出てくることを想定しながら移動し、攻撃を受けにくい位置を維持する。相手の大きな行動が終わったところへ反撃を入れ、再び距離を作るという戦い方が安定しやすい。

ここまで到達したプレイヤーは、キン肉マンの基本的な攻撃方法をすでに理解しているはずである。第三戦では新しい操作を覚えるというより、「今まで覚えたことを焦らず実行できるか」が試される。相手のゲージが残りわずかになると、つい最後の一撃を急ぎたくなる。しかしその瞬間こそ危険であり、無理に接近して強烈な反撃を受ければ、それまでの努力が一気に無駄になる。最後まで同じリズムを維持することが勝利への近道となる。

バッファローマンを撃破すれば、一つの大きな達成感を得られる。ただし本作では、その後に壮大な物語エンディングが始まるというタイプではなく、再びサンシャイン戦へ戻って戦いが続いていく。したがって、攻略上は三人を連続して倒すことを「一周クリア」と考えるのが分かりやすい。

本作には一般的な意味での最終エンディングが存在しない

『キン肉マン コロシアムデスマッチ』をプレイする際、現代のゲームと特に感覚が異なるのが終了条件である。サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンを倒したからといって、長いエンディング映像やスタッフロールが流れて完全終了する構造ではない。三人目のバッファローマンを倒すと再びサンシャインとの試合へ戻り、同じ流れが繰り返される。

したがって「クリアする」という言葉を使用する場合、本作ではバッファローマン撃破までを一周として考えるのが適切である。その後はプレイヤー自身がどこまで勝ち続けられるかを試す周回プレイとなる。

これは1980年代のアクションゲームでは珍しくない設計である。現在のゲームではエンディングを見ることが最終目的となることが多いが、当時は同じステージ構成を繰り返しながら得点や到達記録を競う作品も数多く存在した。本作もそうした文化の延長線上にあり、「物語を最後まで見る」というより「腕前を上げて長く生き残る」ことに価値が置かれている。

このため、バッファローマンを一度倒したプレイヤーには、次に「二周目ではもっと余裕を残して突破できるか」「連続して何周できるか」といった新しい目標が生まれる。ゲームそのものが明確な最終地点を提示しないからこそ、自分自身で遊びの目標を設定する余地がある。

攻略を安定させる最大のコツは敵三人を別々のゲームとして考えること

一周クリアを目指す際には、サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンを単純に「だんだん強くなる三人」とだけ考えない方が攻略しやすい。それぞれに異なる特徴があるため、三試合を別々の小さなゲームとして覚える感覚が重要である。

サンシャイン戦では基本操作と間合いを確認する。アシュラマン戦では相手の必殺技と反撃を警戒する。バッファローマン戦では正面からの強い攻撃を避けながら確実な反撃を狙う。このように試合ごとにテーマを決めれば、負けた場合にも原因を分析しやすい。

例えばサンシャインに負けたのであれば、まだ基本的な攻撃距離や回避方法に問題がある可能性が高い。アシュラマンで負けるのであれば、攻撃を欲張りすぎていないかを確認する。バッファローマンで負けるなら、相手の突進を警戒せず正面へ居続けていないかを考える。このように敗北を「難しいから仕方がない」で終わらせず、一試合ごとに原因を切り分けることで上達しやすくなる。

また、ゲームオーバーになって最初からやり直したとしても、短いゲーム構成だから再挑戦に時間がかかりすぎない。このテンポの良さも本作の特徴である。長時間進めたデータを失うような重さがなく、「今度はこう動いてみよう」と気軽に試行錯誤できる。

初心者ほど「必殺技だけで勝とうとしない」ことが攻略への近道

『キン肉マン』を題材としたゲームである以上、プレイヤーとしてはキン肉バスターのような象徴的な必殺技を使って派手に敵を倒したくなる。しかし攻略だけを考えるなら、必殺技を狙うことと勝利することは必ずしも同じではない。

大技を使うために無理な位置へ移動したり、相手へ不用意に接近したりすると、その準備中に攻撃を受けてしまう場合がある。特にアシュラマンやバッファローマンのような強敵では、大技を狙っている間に反撃を受ける危険性も意識したい。

そのため、一周クリアを最優先するなら、まず通常の立ち回りだけでも敵のゲージを安定して削れるようになることが重要である。そのうえで余裕のある状況では必殺技を狙う。こうすれば「必殺技が成功しなければ勝てない」という不安定な戦いから脱却できる。

逆にゲームに十分慣れた後は、あえて派手な技でフィニッシュすることを目標にするのも面白い。同じ三人との戦いを繰り返す作品だからこそ、「今回はなるべく通常攻撃だけで倒す」「今回は必殺技を狙う」と自分なりの条件を追加することで遊びの幅が広がる。

裏技よりも操作研究そのものを楽しむタイプの作品

本作については、現代のゲームのように大量の隠しキャラクター、秘密のステージ、特殊なエンディングなどが用意された作品ではない。そのため、「特定のボタンを押せば最強キャラクターが使える」「隠しコマンドで別モードへ入れる」といった大規模な裏技を前提として遊ぶゲームではない。

むしろ本作で重要なのは、限られた操作の組み合わせから、どの位置でどの攻撃が有効なのかを見つけていくことである。攻撃判定の届く距離、敵が技を出しやすい位置、ジャンプを使うべき場面、接近戦から離れるべきタイミングなど、何度も遊ぶことで感覚的に理解できる情報がそのまま攻略知識になる。

このような作品では、現代的な意味での「裏技」と、当時のプレイヤーが偶然見つけた特殊な挙動、操作上の小技、プログラム上の癖などが混同されることもある。そのため再現条件がはっきりしない情報を絶対的な攻略法として扱うより、通常のゲームシステムを理解したうえで活用する方が安全である。

特にレトロゲームでは、特定の動作によって想定外の挙動が起こることがあっても、それが正式な隠し要素なのか単なるプログラム上の現象なのか判別しにくい。したがって本作の攻略では、裏技に頼るより「敵の攻撃を見てから動く」「無理に接近しない」「一度攻撃したら位置を整える」という基本戦術を身につける方が、一周突破への確実な近道となる。

難易度は理不尽な超高難度というより短時間で学習できるタイプ

本作は敵キャラクターが三人だけであり、一周の構成そのものは短い。したがって、ステージ数が多く長時間の暗記を要求されるアクションゲームとは性格が異なる。初見では敵の必殺技に苦戦することがあるものの、何度か繰り返して相手の動きを覚えることで徐々に突破しやすくなるタイプである。

重要なのは、負けたときにすぐ再挑戦しやすいことである。サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンという三段階しかないため、「次はここで距離を取ろう」「この場面では攻撃しないようにしよう」と修正した内容を短時間で試すことができる。

ただしアクションゲームが苦手な人にとっては、敵との間合いが近くなることや、大技を受けた際の焦りによって難しく感じることもある。とりわけ第二戦以降は、画面上のキャラクターを眺めているだけでは勝てず、相手の行動を読みながら操作する必要がある。その意味では「簡単すぎるゲーム」ではなく、基本を理解すれば一周突破が現実的になるバランスと考えるとよい。

そして一周を突破した後は、同じ敵との戦いが続くため、難しさの質が「クリアできるか」から「どこまで安定して勝ち続けられるか」へ変化する。短い作品ながら、初心者と慣れたプレイヤーで目標を変えられるところは隠れた長所である。

好きなキャラクターとして特に印象に残るアシュラマン

本作に登場する敵超人の中でも、とりわけゲーム的な存在感が強いのがアシュラマンである。サンシャインが最初の壁、バッファローマンが最後の大物という明確な役割を持つ一方、アシュラマンはその中間でプレイヤーの戦い方を変えさせる存在となっている。

原作でも三つの顔と六本の腕を持つ独特なデザインによって、一目見ただけで忘れにくい超人である。さらに竜巻地獄やアシュラバスターといった名前だけでも強烈な必殺技を持っており、本作の限られたキャラクター構成の中では「技で怖さを感じさせる敵」として際立っている。

ゲーム攻略という観点でも面白い。第一戦を突破して少し自信を持ったプレイヤーに対し、「ただ攻撃しているだけでは次へ進めない」と教える役目を担うからである。サンシャイン戦で身につけた操作を一段階発展させ、攻撃と防御の切り替えを意識させる中盤の試験官のような存在になっている。

もちろん、豪快さを重視するならバッファローマンも非常に魅力的である。ハリケーンミキサーを武器に迫ってくる姿にはラスボス的な迫力があり、三人目に配置されたことにも納得できる。最初の対戦相手であるサンシャインも巨大な身体と特徴的な技によってゲーム開始直後の印象を強くしている。この三人は人数こそ少ないものの、「巨大」「技巧」「剛力」という異なる魅力を持っており、結果として短いゲームの中に変化を生み出している。

キャラクター数の少なさを逆手に取った楽しみ方

『キン肉マン』には非常に多くの人気超人が登場する。そのため、本作の敵がサンシャイン、アシュラマン、バッファローマンの三人だけという点は、どうしても物足りなく感じられる。しかし、見方を変えれば、その少なさが「三人全員の特徴を完全に覚える」という遊び方につながっている。

敵が何十人も存在するゲームでは、一人一人の行動を細かく覚えることは難しい。本作では三人しかいないため、サンシャインの動き、アシュラマンの危険な攻撃、バッファローマンの攻め方を何度も経験するうちに自然と身体で覚えられる。

最初はサンシャインにも苦戦していたプレイヤーが、何度も遊んだ後には第一戦をほとんど苦労せず突破し、アシュラマンを安定して倒し、最後にバッファローマンへ余裕を持って挑めるようになる。この「自分自身が強くなった」という感覚こそ、昔のシンプルなアクションゲームならではの魅力である。

また、一周クリア後には自分で遊び方を追加することもできる。なるべくダメージを受けずに三人を倒す、特定の攻撃を中心に戦う、短時間で一周する、何周連続で突破できるか挑戦するといった遊び方である。ゲーム側から大量のモードを提供されなくても、プレイヤー自身が目標を作ることで寿命を延ばせる。

ファミコン版とは方向性の異なる面白さ

『キン肉マン』の1980年代ゲームとしては『マッスルタッグマッチ』の知名度が非常に高いため、本作もどうしても比較されやすい。しかし両者は同じ作品を題材にしながら、狙っている楽しさがかなり異なっている。

『コロシアムデスマッチ』では主人公がキン肉マンに固定され、一人で三人の強敵へ挑戦していく。一方で多数のキャラクターを切り替えながら友人と対戦することを中心としたゲームとは異なり、本作は一人用の攻略型アクションとして成立している。

したがって「使用できる超人が少ない」「二人対戦ができない」という点だけを見れば不利だが、その代わりキン肉マン自身の戦いへ集中できる。敵ごとの必殺技を見極め、主人公として三人を倒すことが本作の目的であり、プレイヤー同士の対戦を中心にした作品とは評価軸を分けて考えるべきである。

また、真横から超人同士が向き合う画面構成には、後年の対戦格闘ゲームへ通じるような雰囲気も感じられる。もちろん現在の格闘ゲームと同じ高度なシステムを備えているわけではないが、大きく描かれた二人のキャラクターがリング上で技を掛け合うという構図には、1985年のキャラクターゲームとして独特の面白さがある。

一周クリアだけでは終わらない「上達そのもの」を楽しむゲーム

総合すると、『キン肉マン コロシアムデスマッチ』の最大の魅力は、非常に小さなゲーム構成の中で、自分の上達を短時間に実感できることである。サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンという三人しか登場しないことは明確な弱点でもあるが、その反面、一人一人の敵を覚え、攻略し、やがて安定して倒せるようになる過程が分かりやすい。

攻略の基本は、真正面から無計画に殴り続けないこと、敵との距離を意識すること、攻撃後に欲張らないこと、相手の大技を警戒すること、そして派手な必殺技だけへ頼らないことである。第一戦では基本操作を確認し、第二戦では慎重さを覚え、第三戦ではそれまでの経験をすべて活用する。この流れを理解すれば、一周突破への道筋が見えてくる。

一方、完全な物語エンディングを目的に遊ぶタイプではなく、バッファローマン撃破後は再び戦いが始まるため、現代的な意味では非常に素朴な構成である。しかし、その素朴さこそ1980年代中期のパソコンゲームらしい部分でもある。ゲームから用意された大量のイベントを消費するのではなく、プレイヤー自身が操作を研究し、昨日よりうまく戦えることを楽しむのである。

そして『キン肉マン』ファンにとっては、キン肉マンを自分で動かし、サンシャインの地獄のピラミッド、アシュラマンの竜巻地獄やアシュラバスター、バッファローマンのハリケーンミキサーと向き合えること自体が大きな魅力となる。豪華なキャラクター数や映画のような演出こそないものの、リングの中で超人同士が技をぶつけ合うという原作の根源的な面白さを、極めて簡潔なアクションへまとめた作品なのである。

現在遊べば粗削りな部分やボリュームの少なさは当然感じられるだろう。それでも、三人を初めて連続撃破したときの達成感、苦戦していたアシュラマンの動きを読めるようになった瞬間、バッファローマンをあと一撃まで追い詰めたときの緊張感など、シンプルなゲームだからこそ直接伝わる面白さがある。1985年という時代の制約の中で「キン肉マンになって強敵を倒す」という夢をできる限り直接的な形にしたこと、それが『キン肉マン コロシアムデスマッチ』の最大のアピールポイントといえるだろう。

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■ 感想・評判・口コミ

現在では「知る人ぞ知るキン肉マンゲーム」として語られる一作

『キン肉マン コロシアムデスマッチ』に対する現在の印象をまとめると、シリーズを代表する大ヒットゲームというより、「1985年にこんな『キン肉マン』ゲームも存在していたのか」とレトロゲーム愛好家から再発見されるタイプの作品といえる。『キン肉マン』のゲーム作品について話題になる場合、ファミリーコンピュータ用『キン肉マン マッスルタッグマッチ』が真っ先に思い浮かぶ人は多い。そのためMSX用として発売された本作は、当時遊んでいた人やMSXソフトを集めている人を除けば存在自体を知らない場合も珍しくなく、その知名度の低さが現在では逆に独特の魅力となっている。

実際にゲーム内容を知った人からは、主人公がキン肉マン一人だけで、サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンという三人を順番に倒していく非常に小規模な構成に驚く反応が出やすい。現在のキャラクターゲームでは大量の登場人物を収録することが当たり前になっているだけに、「キン肉マンのゲームなのに使用できるのはキン肉マンだけ」という仕様は強く印象に残る。その一方で、余計な要素を排除して一対一の超人プロレスへ集中させた潔さを評価する見方もあり、豪華さとは別方向に1980年代前半から中盤のゲームらしさを感じさせる作品となっている。

「シンプルで分かりやすい」という肯定的な評価

本作について肯定的に語られやすい部分の一つが、ルールの分かりやすさである。プレイヤーはキン肉マンを操作し、目の前の敵超人を攻撃してゲージを削り切れば勝利する。複雑なメニューや長い説明を必要とせず、ゲーム画面を見れば目的がほぼ理解できる。この直接性は、短時間で遊ぶことを前提とした1980年代のアクションゲームとして大きな長所だった。

特に原作を知っている人であれば、サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンが登場するだけで対戦の意味を理解しやすい。それぞれのキャラクターが固有の必殺技を使ってくるため、「見た目だけ別人にした敵」と感じにくいのも評価できる部分である。サンシャインなら地獄のピラミッド、アシュラマンならアシュラバスターや竜巻地獄、バッファローマンならハリケーンミキサーといった具合に、原作で記憶に残った技がゲーム攻略上の脅威として登場する。そのためグラフィックや演出が現在ほど豪華でなくても、当時のプレイヤーにとっては「知っている超人と本当に戦っている」という感覚を得やすかった。

また、一試合の目的が明快なので、負けた後にすぐもう一度挑戦したくなるテンポも本作の持ち味である。「今度は近づきすぎないようにしよう」「次は相手の技が終わるまで待ってみよう」と、失敗を次のプレイへ簡単に反映できる。長時間のストーリーを進め直す必要がなく、短い周期で試行錯誤できるため、昔ながらの反復型アクションゲームを好む人から見ると遊びやすい。

一方で最も多く指摘されやすいのは圧倒的なボリューム不足

反対に、本作の弱点としてまず挙げられるのが登場キャラクターの少なさである。『キン肉マン』という作品には、ロビンマスク、ウォーズマン、ラーメンマン、テリーマン、ブロッケンJr.、モンゴルマンをはじめ、当時すでに非常に多くの人気超人が存在していた。それにもかかわらず、本作でプレイヤーが戦える相手はサンシャイン、アシュラマン、バッファローマンの三人のみである。

しかも三人目のバッファローマンを倒した後には新しい敵や特別な最終ステージが用意されているわけではなく、再びサンシャイン戦へ戻る。この仕様を現在の感覚で見れば、「せっかく最後まで勝ったのにこれで終わりなのか」と物足りなく感じても不思議ではない。ゲームの容量や当時の制作環境を考慮する必要はあるものの、キャラクターゲームとして見た場合、もう数人でも敵超人が登場していれば印象は大きく違っただろう。

さらに、使用できるキャラクターがキン肉マンだけという点も賛否が分かれる。アシュラマンやバッファローマンの必殺技を見れば、「自分でもこのキャラクターを操作してみたい」と思うのは自然である。しかし敵側を操作するモードはなく、キャラクターを自由に選択して戦うこともできない。そのため原作キャラクターを幅広く動かしたい人には不満が残りやすい。

二人対戦ができないことへの惜しさ

本作の画面構成は一対一の格闘アクションに見えるため、初めて映像や画面写真を見た人ほど「友人と対戦できるゲームなのでは」と考えやすい。しかし実際には一人用であり、人間同士でキン肉マンとバッファローマンを操作して戦うようなモードは用意されていない。

これは後世の評価において非常に惜しまれやすい部分である。『キン肉マン』という題材は、どの超人が強いのか、どの必殺技が格好いいのかを友人同士で語り合うこと自体が楽しい作品であり、その世界をゲームへ持ち込むなら二人対戦との相性が非常に良い。そのため、もし敵超人を操作できる対戦モードが搭載されていたなら、本作の遊びの幅や寿命はかなり広がった可能性がある。

同時期の『マッスルタッグマッチ』が後年まで強い思い出として語られやすい理由の一つにも、友人や兄弟と一緒に遊んだ経験を共有しやすいことがある。本作にはそうした対人戦ならではの思い出が生まれにくく、結果として一人で遊んだMSXユーザーの記憶に残る比較的ニッチな作品となったと考えられる。

キャラクターの大きさと必殺技表現には当時ならではの魅力がある

一方で、ゲーム画面に登場する超人を比較的大きく見せ、一対一で戦わせる方向性については好意的に見ることができる。当時のパソコンゲームでは、キャラクターが非常に小さく描かれる作品も多かった。その中で『コロシアムデスマッチ』は、誰と誰が戦っているのかが分かりやすい画面作りを選択している。

特に原作ファンにとっては、敵の必殺技を見ることそのものが楽しみになり得る。現在のゲームのような滑らかなアニメーションや派手なカットインは存在しなくても、「バッファローマンならハリケーンミキサーを使う」「アシュラマンならアシュラバスターを狙ってくる」というキャラクター性がゲーム中に反映されているだけで満足感は生まれる。

レトロゲームとして遊んだ人からすれば、現代基準の再現度を期待するのではなく、数色のグラフィックや簡素な動きの中から原作の技を読み取ること自体が楽しみとなる。限られた性能の中でどこまで『キン肉マン』らしく見せようとしたのかを観察する楽しさがあり、これは最新ゲームでは味わいにくい魅力である。

操作に慣れるまでの不自由さもレトロゲームらしい評価ポイント

実際に本作のような1980年代のアクションゲームを現在プレイすると、操作レスポンスや当たり判定、キャラクターの動き方などに独特の癖を感じることがある。現代の対戦格闘ゲームは入力した操作が素早く反映されることを重視しているが、当時の作品はそうした基準そのものが異なる。そのため、最初は「思った通りに技が当たらない」「近づいたつもりなのに距離が合わない」と感じることもある。

しかし、こうした癖を理解する過程もレトロゲームの楽しみ方の一つである。何度か遊び続けていると、キャラクターがどの程度まで接近すれば攻撃が届くのか、敵がどの位置から技を出しやすいのか、どのタイミングで離れれば反撃を受けにくいのかが分かってくる。すると最初は不自由だと思っていた操作にも一定のリズムが見えてくる。

そのため評価はプレイヤーの価値観によってかなり変わる。現在の格闘ゲームの快適さをそのまま期待する人には粗削りに感じられる一方、昔のゲーム特有の操作感を攻略対象として楽しめる人には、その癖さえ面白さの一部になる。

「難しい」より「パターンを覚えると急に楽になる」という感想につながりやすい

本作は初めて遊んだ際には、敵の必殺技を受けてあっという間に不利になり、難しく感じる可能性がある。しかし登場する敵が三人に限定されているため、それぞれの行動を覚えるまでに極端な時間は必要としない。何度も戦ううちに危険な距離や反撃可能な瞬間が理解でき、ある時点から急に勝率が上がってくる。

こうした「プレイヤー自身が学習した結果、同じゲームなのに簡単に感じ始める」という感覚は、本作の評価において重要である。キャラクターの能力値を上げたり強力な装備を入手したりするゲームではないため、強くなるのは画面内のキン肉マンではなく操作しているプレイヤー自身である。

サンシャインに何度も敗北していた時期から、やがて第一戦を当然のように突破できるようになる。次にアシュラマンの大技へ対応できるようになり、最後にはバッファローマンを安定して倒せるようになる。この小さな成長の積み重ねが本作のプレイ体験を支えている。

一方で攻略法を完全に覚えてしまうと、新しい敵やステージが追加されないため急激に単調さが目立ち始める。この「覚えるまでは面白いが、覚えた後にやることが少ない」という点も本作を評価するうえで避けられない特徴である。

原作ファンと純粋なアクションゲームファンで評価が変わりやすい

『コロシアムデスマッチ』に対する満足度は、『キン肉マン』という原作にどれほど思い入れがあるかによっても大きく変化する。原作ファンであれば、キン肉マンを操作してアシュラマンやバッファローマンと戦えるだけでも一定の価値を感じることができる。敵の必殺技を知っていれば、その動きが画面上に表現された瞬間に原作の名勝負を思い浮かべる楽しみもある。

逆に原作をまったく知らず、一本のアクションゲームとしてだけ評価する場合、三人の敵を繰り返し倒すだけの内容はかなり単純に感じられる可能性がある。キャラクターの背景を知らなければ、なぜサンシャイン、アシュラマン、バッファローマンが特別なのかも伝わりにくい。その意味では、キャラクター人気をゲーム体験の重要な一部として成立させた典型的な版権ゲームといえる。

これは必ずしも欠点だけを意味しない。1980年代のキャラクターゲームには、「大好きな漫画やアニメの主人公を自分の手で動かせる」ということ自体が大きな商品価値を持っていた。本作もその時代性を強く反映しており、原作を知っていることによって完成する部分の多いゲームなのである。

レトロゲーム愛好家から見れば珍品としての面白さも大きい

発売から長い年月が経過した現在、本作は純粋なゲーム内容だけではなく、「1985年のバンダイがMSXでどのような『キン肉マン』ゲームを作っていたのか」という歴史的な興味からも注目される。

後年には『キン肉マン』を題材としたゲームが数多く発売され、3Dグラフィックで超人の必殺技を再現した作品や、多数のキャラクターを収録した作品も登場した。それらを知ったうえで本作を見ると、キャラクター四人という極端に小さな世界に『キン肉マン』を落とし込んだ大胆さが際立つ。

現在のプレイヤーが初めて見れば、「こんなゲームがあったのか」という驚きそのものが楽しみとなる。ファミコンだけではなくMSXにも独自のキャラクターゲーム文化が存在していたことを知る資料としても興味深く、当時のバンダイ作品やMSXゲームを収集している人にとっては特に印象深いタイトルになり得る。

ゲーム史では必ずしも名作だけが面白いわけではない。大ヒットしなかった作品、後世に忘れられた作品、独特すぎる仕様を持つ作品にも、その時代を知る手掛かりが残されている。本作はまさにそうした「遊ぶゲーム」であると同時に「1985年のゲーム文化を眺めるゲーム」という側面を持っている。

サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンの選出には魅力を感じる声も

敵キャラクターが三人しかいない点は不満につながりやすいが、その三人の顔ぶれそのものは非常に濃い。サンシャインとアシュラマンは悪魔超人側を代表する存在であり、バッファローマンも作品を代表する強豪超人である。デザインも戦い方も大きく異なるため、三人しかいないからこそ一人一人の存在感が強く残る。

サンシャインは巨大で異質な外見を持ち、最初の試合から普通のレスラーとは違う「超人プロレス」を感じさせる。アシュラマンは六本の腕を持つ特徴的な姿と多彩な必殺技によって技術的な怖さを担当する。そしてバッファローマンは巨大な角と圧倒的なパワーによって最後の壁らしい迫力を生み出す。

もし三人とも似たような体格と攻撃方法だったなら、短いゲームはさらに単調に感じられただろう。しかし本作では三者が明確に異なる特徴を備えているため、最低限ながら試合ごとの印象を変えることには成功している。このキャラクター選択は、少ない容量で変化を演出するという意味でも合理的だったと考えられる。

当時遊んだ世代にはゲームそのもの以上に「MSXの思い出」が重なる

レトロゲームの感想では、作品単体の完成度だけでなく、当時どのような環境で遊んだかという記憶も評価へ大きく影響する。本作も例外ではなく、MSXを家庭で使用していた世代にとっては、テレビにつないだパソコンで人気漫画のゲームを動かせること自体が特別な体験だった。

現在のように動画サイトですぐプレイ映像を確認したり、オンラインストアから多数のゲームを購入したりできる時代ではない。雑誌や店頭でタイトルを知り、パッケージを手に入れ、自宅へ持ち帰って初めて内容が分かるという経験には独特の期待感があった。その中で自分が知っているキン肉マンが画面に現れ、アシュラマンやバッファローマンと戦う姿を操作できることは、ゲーム内容の量とは別の感動を持っていたと考えられる。

このため、当時を知る人の評価と現在初めて遊ぶ人の評価には差が出やすい。現在なら「キャラクターが少ない」「対戦がない」「すぐ一周できる」という欠点が真っ先に目につく。一方、当時の技術やキャラクターゲーム市場を知る人であれば、その簡素さも含めて懐かしく受け止めることができる。

総合評価は「小粒だが忘れがたい80年代キャラクターゲーム」

『キン肉マン コロシアムデスマッチ』に対する感想や評価を総合すると、「ゲームとしての規模は小さいが、題材と時代背景を含めると非常に興味深い」という位置に落ち着く。

長所としては、ルールが分かりやすいこと、一対一の超人プロレスへ集中していること、サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンそれぞれの必殺技が用意されていること、短時間で何度も挑戦できること、プレイヤー自身の上達を感じやすいことなどが挙げられる。『キン肉マン』ファンなら、当時の技術で人気超人をどのように表現したのかを見るだけでも楽しめる。

一方で欠点も明確である。敵がわずか三人しかいないこと、操作できるキャラクターがキン肉マンに固定されていること、二人対戦が存在しないこと、三人を倒しても大規模なエンディングへ進まず同じ戦いが繰り返されることなどは、ボリュームを求める人には大きな弱点となる。特に同じ『キン肉マン』題材のゲームと比較された場合、キャラクター数や対戦の自由度では不利になりやすい。

それでも、本作は単純に「内容が少ない昔のゲーム」として片づけるには惜しい。キン肉マン一人で三人の強豪超人へ挑み、必殺技をかわしながらゲージを削り、バッファローマンを倒した後もさらに戦い続けるという徹底したシンプルさには、1985年当時のアクションゲームならではの味わいがある。

現在の豪華なゲームとはまったく異なる基準で作られた作品だからこそ、その不器用さや割り切りまで含めて楽しむことができる。大作として万人へ勧めるタイプではないが、『キン肉マン』ゲームの歴史を追いかけている人、MSXのキャラクターゲームに興味がある人、1980年代のゲームデザインを実際に体験したい人にとっては、一度触れてみる価値のある珍しい一作である。

「もっとキャラクターがいれば」「二人で対戦できれば」という惜しさが残る一方、「ここまで単純だからこそ覚えてしまう」という不思議な存在感もある。後世に名作として広く知られてはいなくても、レトロゲーム史の片隅で強烈な個性を放ち続ける――それが『キン肉マン コロシアムデスマッチ』に対する現在の総合的な印象といえるだろう。

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■ 当時の宣伝・現在の中古市場など

1985年当時のMSX市場で販売されたバンダイのキャラクターゲーム

『キン肉マン コロシアムデスマッチ』は、1985年にバンダイから発売されたMSX用ROMカートリッジ作品である。製品番号はBMX-005とされ、当時の価格は4,800円。現在のようにゲームソフトをインターネット上で動画広告やSNSを使って告知する時代ではなく、パソコン専門誌の記事、ソフトカタログ、販売店の店頭、パッケージなどが購入者へ存在を知らせる重要な窓口になっていた。MSX用ソフトの場合は特に、ファミコンをはじめとした家庭用ゲーム専用機とは販売環境が多少異なり、パソコンショップや家電店などでMSX本体、周辺機器、各メーカーのROMカートリッジと一緒に並べられる機会が多かった。

本作については当時のMSX専門誌のソフトカタログなどでも扱われ、発売後にも作品情報が読者へ届けられていた。こうした専門誌は単に発売日や価格を掲載するだけではなく、画面写真やゲーム内容、特徴的な操作などを紹介する役割を持ち、購入前のユーザーにとって極めて重要な情報源だった。

当時の4,800円という価格は、子供が気軽に何本もまとめ買いするには決して安くない。そのため『キン肉マン』という人気漫画・アニメの知名度は商品として非常に重要だった。タイトルを見ただけで何を題材にしたゲームなのか理解でき、パッケージでキン肉マンを認識できれば、原作ファンに対して内容を一から説明しなくても興味を持たせることができる。現在でいう大型シリーズのブランド力を利用したキャラクターゲーム販売の初期的な形と考えることができる。

雑誌の新作紹介やソフトカタログが重要だった時代

1980年代中盤のパソコンゲーム市場では、ゲーム雑誌やパソコン雑誌の役割が現在とは比較にならないほど大きかった。発売前後のソフトを知る方法として、専門誌の新作情報、紹介記事、ゲームカタログ、攻略記事などが重要であり、購入を検討する読者は掲載された画面写真や短い説明からゲーム内容を想像していた。

『コロシアムデスマッチ』もこうした情報流通の中で知られていった作品である。当時は雑誌掲載が単純な発売告知だけでなく、「このゲームでは何ができるのか」を購入希望者へ伝える実質的な宣伝媒体にもなっていた。

現在ならプレイ動画を数分見ればゲーム内容をかなり正確に把握できる。しかし1985年にはそうした確認方法は存在せず、読者は雑誌の数枚のスクリーンショットと説明文を見ながら、「キン肉マンを操作できる」「アシュラマンやバッファローマンが出てくる」「必殺技を使える」といった情報から購入するかどうかを判断していた。

そのため、人気漫画を題材としていること自体が極めて強力な宣伝要素だった。タイトル画面やパッケージを見ただけでキャラクターを理解できることは、新規タイトルにはない大きな利点である。特に当時テレビアニメや漫画で『キン肉マン』に熱中していた子供たちにとって、自宅のMSXでキン肉マン自身を動かせることは分かりやすい訴求点だった。

パッケージと店頭販売そのものが広告として機能した

1980年代のゲームソフトでは、パッケージデザインの重要性も現在以上に高かった。インターネット上で詳しい内容を調べることが難しいため、店頭で初めて存在を知るゲームも多く、箱に描かれたキャラクター、タイトルロゴ、裏面の説明や画面写真などがそのまま広告として機能していた。

『キン肉マン』のような人気作品の場合、原作キャラクターを前面へ押し出せることは特に有利である。無名のオリジナルキャラクターを使った新作なら、まず世界観や主人公を説明しなければならない。一方、『キン肉マン コロシアムデスマッチ』はタイトルだけで「キン肉マンのゲーム」であることが伝わる。そのうえでサンシャイン、アシュラマン、バッファローマンとの一対一の戦いを見せれば、原作ファンは自分の知っている必殺技や名勝負をゲームへ重ね合わせることができた。

当時のゲーム販売では、こうした知名度が購入の決め手になりやすい。特に子供向けキャラクター商品を多数扱っていたバンダイにとって、漫画・アニメ作品の知名度を利用してゲームソフトへ展開することは、玩具事業とも親和性の高い戦略だったと考えられる。

バンダイの初期MSXキャラクターゲーム群の中に位置する作品

『コロシアムデスマッチ』だけを単独で見るより、当時のバンダイによるMSX展開の中で見ると位置づけがさらに分かりやすい。バンダイは当時、『機動戦士ガンダム』など既存のアニメ・特撮作品を題材としたMSXソフトも展開しており、本作もそうしたキャラクターゲーム展開の流れに置かれた作品だった。

つまり本作は偶然一度だけ発売された『キン肉マン』商品というより、バンダイが自社の得意とするキャラクタービジネスを家庭用パソコン市場にも広げていた時期の一本として見ることができる。

ゲーム内容もその考え方を反映している。完全なオリジナルゲームとして複雑な世界を作るのではなく、購入者がすでに知っているキャラクターを使い、「キン肉マン対人気超人」という非常に分かりやすい状況をすぐ遊ばせる。限られたROM容量の中でキャラクター商品としての魅力を優先した設計だったと考えれば、登場人物を少数に絞った理由も理解しやすい。

大規模な販売本数を示す確実な資料は見つけにくい

販売実績については注意が必要である。本作には、後のファミコン版『キン肉マン マッスルタッグマッチ』のように「ミリオンセラー」として広く知られる具体的な販売記録がほとんど残されていない。現在確認できるMSX関連資料では発売年、メーカー、価格、媒体などは確認できるものの、正確な累計販売本数までは明らかになっていない。

そのため、「何万本売れた」「当時大ヒットした」といった数字を根拠なく記載するのは適切ではない。本作については、販売本数そのものよりも、1985年のMSX市場でバンダイが『キン肉マン』という人気作品をROMカートリッジ化していた事実を重視して評価する方が確実である。

同じ年に発売されたファミコン版が非常に大きな成功を収めたことで、後年の知名度ではMSX版がその陰に隠れる形になった。この差は必ずしも本作の販売成績だけを意味するものではない。当時のファミコンとMSXでは普及状況もソフト市場も異なっており、同じキャラクターを題材としたからといって販売本数を単純比較することはできないからである。

発売から40年以上を経てレトロゲーム商品へ変化

現在、『キン肉マン コロシアムデスマッチ』は新品の現行商品として通常流通しているゲームではなく、基本的には中古市場で探すタイトルとなっている。発売から40年以上が経過しているため、流通している個体にはソフト単品、説明書付き、外箱付きなどさまざまな状態があり、それによって価格が大きく変化する。

近年の中古市場では、カートリッジ単品で数千円台の出品が見つかる場合がある一方、箱や説明書の有無、商品の状態、販売店の価格設定などによって1万円を超えるケースも見られる。したがって、本作について「現在の価格は必ず○○円」と固定的に考えることはできない。

レトロゲームは出品者、保存状態、付属品、動作確認の有無によって価格差が非常に大きいため、同じタイトルでも数千円単位の差が生まれる。特に箱や説明書といった紙製品は40年以上の間に紛失・破損しやすく、完品に近い個体ほど収集価値が高くなりやすい。

中古価格は数千円から1万円台以上まで大きな幅が生まれやすい

本作の中古市場を特徴づけているのは、単純に「○○円が相場」と一つの数字で表しにくいことである。カートリッジ単品、箱付き、説明書付き、完品、美品、動作未確認品など条件が変わるだけで値段も大きく変化する。

さらに中古ショップが設定した販売価格と、ネットオークションで実際に成立した落札価格は意味が異なる。高額な値札が付いているからといって、それが市場全体の標準価格であるとは限らない。反対に安価な商品が出品された場合は、短時間で購入されて市場から消えてしまうこともある。

そのため購入を考える場合は、一件の高額出品だけを見て現在価値を判断するより、複数の中古店、フリマサービス、オークションなどを比較した方がよい。レトロゲーム市場では商品の状態まで含めて価格を判断することが重要なのである。

箱・説明書・動作確認の有無がコレクター価格を左右する

本作に限らずMSXカートリッジを購入するときに重要なのが、保存状態である。ゲームを単純にプレイしたいだけならカートリッジのみでも十分だが、コレクションとして所有したい人にとっては外箱、内箱、取扱説明書などがそろっているかどうかが重要になる。

特に1985年発売の作品では紙箱や説明書が失われている場合が多い。そのためソフト単品よりも付属品の残った個体に価値が付きやすい。またカートリッジのラベルに日焼け、剥がれ、書き込みがないか、端子部分に腐食がないか、実機で起動確認されているかといった点も購入判断へ影響する。

さらにMSXソフトには40年以上経過した個体が多いため、「現在動く」というだけで永久に動作が保証されるものではない。この点は中古市場で購入するときに理解しておきたい。動作確認済みという表記は安心材料になるが、未確認品やジャンク扱いの商品なら、その分価格が低くても動作しない可能性まで考慮する必要がある。

「キン肉マン」という作品人気も収集価値を支える要因

『コロシアムデスマッチ』が単なるMSXアクションゲームと異なるのは、現在も高い知名度を持つ『キン肉マン』という作品を題材にしていることである。MSXコレクターだけではなく、『キン肉マン』関連商品を集めるファンからも収集対象になり得る。

漫画、アニメ、キン消し、玩具、カード、ゲームなど幅広く商品展開された作品だけに、その歴史を体系的に集めたい人にとって、1985年のMSX版は興味深い存在である。しかもファミコン版とは内容がまったく異なるため、「ファミコン版を持っているからMSX版は不要」という関係ではない。シリーズのゲーム化史を追う場合には、それぞれ独立した価値を持つ。

この点が中古価値にも影響しやすい。人気作品の版権ゲームは、ゲーム内容の評価だけで価格が決まるわけではない。作品ファン、ゲームコレクター、MSX収集家という複数の需要が重なることで、知名度の低いオリジナル作品とは異なる価格形成が起こることがある。

「過去最高価格」は簡単には断定できない

中古市場について紹介するとき、「過去最高で何円になったのか」は非常に興味を引く情報である。しかし本作の場合、すべての中古店、ネットオークション、フリマ、店頭取引を長期間にわたって網羅した公的な売買データベースが存在するわけではない。そのため、特定の高額出品だけを取り上げて「史上最高額」と断定することはできない。

さらにオークションでは、開始価格、即決価格、実際の落札価格が異なる。フリマサイトでも値下げ交渉後に購入されることがあり、検索画面で見える価格が必ずしも最終取引価格とは限らない。箱説付きの美品とカートリッジのみの商品を同列に比較することも適切ではない。

したがって本作の中古市場を紹介する場合は、「過去最高○万円」と刺激的な数字を断定するより、現在確認される商品にはかなり価格差があること、保存状態や付属品によって価値が変化することを説明する方が正確である。

発売時のゲームが現在は「遊ぶ物」から「収集する物」にも変わった

1985年当時、本作はMSXへ挿して遊ぶための商品だった。それから40年以上が経過した現在では、その意味が大きく変化している。もちろん実機でプレイするために購入する人もいるが、それと同時に「1985年のバンダイ製MSXソフトを保存する」というコレクション目的も強くなった。

ソフト単品なら比較的手の届きやすい価格で見つかることがある一方、箱や説明書を含めた状態の良い品を探し始めると難度は高くなる。しかも時間が経つほどパッケージ類は劣化・散逸していくため、完品の希少性は高まりやすい。

だからこそ現在の『コロシアムデスマッチ』は、ゲームそのものの面白さだけで評価される存在ではない。1985年のMSX文化、当時のバンダイによるキャラクターゲーム事業、そして『キン肉マン』ゲーム化史を一つのカートリッジに残した資料的価値も持つようになっている。

当時はキャラクター商品の一つ、現在はキン肉マンゲーム史を伝えるレトロアイテム

発売当時の『キン肉マン コロシアムデスマッチ』は、人気の高かった『キン肉マン』をMSXで遊べることを最大の武器としたキャラクターゲームだった。専門誌のソフト紹介やカタログ、販売店の店頭、パッケージといった1980年代ならではの経路を通じてユーザーへ届けられた。

しかし現在では状況が完全に変わり、新品を普通のゲームショップで選ぶタイトルではなく、中古店、フリマ、オークションなどで一つ一つ残存個体を探すレトロゲームとなった。価格幅が大きいこと自体が、一般的な現行ゲームとは異なる中古市場の特徴である。

そして、この作品の場合は「ゲームとして名作だから高い」という単純な話でもない。MSXという古い規格、バンダイの初期キャラクターゲーム、『キン肉マン』という現在まで続く人気作品、ファミコン版とは別内容であること、40年以上前のROMカートリッジであることなど、複数の要素がコレクターとしての価値を生み出している。

販売本数の確実な記録が広く残っていないことも含め、本作には1980年代パソコンゲーム特有の「記録の少なさ」がある。しかし、その分だけ現存するカートリッジ、箱、説明書、雑誌記事など一つ一つが当時を知る手掛かりとなる。発売時には数多くあるキャラクターゲームの一本だった作品が、40年以上を経て「キン肉マンのゲーム史にはこんなMSX作品も存在した」と後世へ伝える資料になったのである。

現在購入するのであれば、単純に最安値だけを探すのではなく、遊ぶことが目的なのか、箱や説明書まで含めて収集したいのかを最初に決めるのがよい。プレイ目的なら動作確認済みのカートリッジ単品、保存目的なら多少高額でも付属品の状態を重視するという選び方が現実的である。発売当時とはまったく違う楽しみ方が生まれていることも、『キン肉マン コロシアムデスマッチ』という作品が長い年月を経た証しといえるだろう。

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■ 総合的なまとめ

1985年という時代だからこそ成立した、極めてシンプルな『キン肉マン』ゲーム

『キン肉マン コロシアムデスマッチ』を総合的に振り返ると、本作は現在の基準で見れば非常に小規模でありながら、1985年という時代のキャラクターゲームが持っていた魅力を分かりやすく凝縮した作品である。プレイヤーが操作できるのは主人公キン肉マンのみ。対戦相手もサンシャイン、アシュラマン、バッファローマンの3人に限定され、バッファローマンを倒した後は再びサンシャインとの試合へ戻っていく。一見すると驚くほど簡素な内容だが、その割り切りこそが本作の性格を決定している。

ゲーム開始後に長い物語説明を読む必要はなく、キン肉マンを操作して目の前にいる超人を倒せばよい。攻撃によって相手のゲージを削り、先にゼロへ追い込んだ側が勝利するというルールも明快である。広大なマップの探索や複雑な育成、アイテム収集といった要素を持たない代わりに、「キン肉マンと敵超人がリング上で戦う」という原作の最も象徴的な場面をそのままゲームの中心へ据えている。

現在ではキャラクターゲームにも大量の登場人物、豪華なストーリー、ボイス、ムービー、オンライン対戦などが求められるようになった。しかし1985年当時は、漫画で知っている主人公が家庭のパソコン画面に登場し、自分の操作によって動くだけでも大きな魅力があった。本作を現代のゲームと同じ尺度だけで評価するのではなく、当時のMSX環境で『キン肉マン』をどのように遊べる作品へ変換したのかを見ることで、その存在意義がはっきりしてくる。

最大の魅力は人気超人の特徴を必殺技としてゲームへ持ち込んだこと

『コロシアムデスマッチ』が単なる格闘アクションではなく『キン肉マン』のゲームとして成立している最大の理由は、登場する超人たちの特徴をそれぞれの技へ反映している点にある。

最初のサンシャインは、巨大な身体と地獄のピラミッド、フライングボディアタックなどによって、序盤から普通のプロレスゲームではない「超人同士の戦い」を印象づける。続くアシュラマンは竜巻地獄やアシュラバスターといった技巧的で危険な必殺技を持ち、キン肉マン側の攻撃にも対抗する強敵として登場する。そして最後のバッファローマンは、ハリケーンミキサーなど圧倒的なパワーを感じさせる攻撃によって事実上の最終関門を担当する。

登場人物が少ないこと自体は本作の弱点だが、選ばれた3人の個性がはっきりしているため、一戦ごとの印象は変化する。巨大で異質なサンシャイン、技巧派のアシュラマン、圧倒的なパワーを持つバッファローマンという順番には、短いゲームの中でも徐々に強敵へ近づいている感覚がある。

このキャラクター選択は非常に重要であり、もし三人とも似た攻撃を行うだけなら、本作は現在以上に単調な作品になっていただろう。原作でおなじみの技を利用しながら敵ごとの違いを作ったことで、容量の限られた作品ながら最低限の変化と『キン肉マン』らしさを両立させている。

短所である「3人しかいない」が、そのまま独特のゲーム性にもつながっている

一方で、総合評価を考えるうえで登場キャラクターの少なさを無視することはできない。『キン肉マン』にはロビンマスク、ウォーズマン、ラーメンマン、テリーマン、ブロッケンJr.をはじめ数多くの人気超人が存在する。それにもかかわらず、本作で戦える敵は3人だけであり、使用できるキャラクターもキン肉マンだけである。

さらに二人対戦にも対応していないため、「好きな超人を選んで友達と戦う」という楽しみは存在しない。キャラクターゲームとして考えれば、この制約はかなり大きい。特に後年の『キン肉マン』ゲームを知っている人が初めて本作を見ると、収録人数の少なさに驚く可能性が高い。

しかし、その短所が本作独自のゲーム性にもつながっている。敵が三人しかいないからこそ、プレイヤーはそれぞれの動きを徹底的に覚えることができる。最初はサンシャインにも苦戦していたプレイヤーが、繰り返し遊ぶことで第一戦を簡単に突破できるようになり、次はアシュラマンを安定して倒し、最後にはバッファローマンまで連続撃破できるようになる。

つまり本作ではキャラクターを増やして遊びを広げるのではなく、同じ敵を何度も攻略することによって腕前を高める方向へ遊びが作られている。ゲーム内のキン肉マンがレベルアップするのではなく、操作しているプレイヤー自身が上達するのである。

バッファローマン撃破後も続く無限ループは1980年代ゲームらしい設計

本作には、現代的な意味での壮大なエンディングは用意されていない。サンシャイン、アシュラマン、バッファローマンをすべて倒してもゲームそのものが完全終了するのではなく、再び最初のサンシャイン戦へ戻っていく。

この仕様は現在のプレイヤーには物足りなく見える。せっかく最後の敵まで倒したのだからエンディングを見たい、さらに強い敵と戦いたい、新しいステージへ進みたいと思うのが自然だからである。

しかし1980年代のアクションゲームでは、最終面を突破した後に難度を変えて最初へ戻ったり、同じステージを繰り返しながら得点や生存時間を競ったりする作品は珍しくなかった。本作もその延長線上にあり、物語を最後まで鑑賞するゲームというより、繰り返し遊びながら腕前を試すゲームとして設計されている。

したがってバッファローマン撃破を一周クリアと考え、その後は「二周目を突破できるか」「何周まで続けられるか」「どれだけ安定して三人を倒せるか」と目標を変えていくことで、本作本来の遊び方が見えてくる。

現在の対戦格闘ゲームとは異なる、攻略型一対一アクション

画面だけを見ると『コロシアムデスマッチ』は後年の対戦格闘ゲームに近い印象を与える。二人のキャラクターが横から見たリングで向かい合い、互いのゲージを削って勝敗を決めるからである。

しかし実際の思想は現在の対戦格闘ゲームとは大きく異なる。好きなキャラクターを選択する要素も、人間同士の対戦もなく、技の組み合わせを研究して対戦相手との読み合いを極限まで深める作品ではない。あくまでコンピューターが操作する敵を順番に攻略する一人用アクションゲームである。

そのため評価する際には、「格闘ゲームとしてキャラクターが少ない」という見方だけでは不十分である。むしろ固定主人公を操作して特徴の違うボスと連戦する、ボスラッシュ型アクションに近い感覚で捉えると分かりやすい。

サンシャイン戦では基本操作を身につけ、アシュラマン戦では必殺技を警戒しながら慎重に攻撃し、バッファローマン戦では正面からの圧力へ対応する。それぞれの試合が小さな攻略課題として配置され、その三つを連続して突破することがゲームの中心なのである。

ファミコン『マッスルタッグマッチ』とは別方向の完成度を持つ

1985年の『キン肉マン』ゲームを語る場合、どうしてもファミリーコンピュータ用『キン肉マン マッスルタッグマッチ』との比較が避けられない。後者は複数の超人を操作でき、対人戦も楽しめる作品として非常に高い知名度を持っている。そのため単純にキャラクター数や遊びの幅だけを比較すれば、『コロシアムデスマッチ』が不利に見えるのは当然である。

しかし両作品は同じゲームの単純な機種違いというより、『キン肉マン』という題材を異なる方向からゲーム化した作品として考えた方が実態に近い。

『マッスルタッグマッチ』では複数の超人を扱い、タッグ戦や対戦の面白さを前面へ押し出している。一方、『コロシアムデスマッチ』ではキン肉マン一人を主人公として固定し、三人の強敵を順番に攻略させる。この違いによって、同じ1985年の『キン肉マン』ゲームでありながらプレイ感覚はかなり異なる。

したがって本作について「ファミコン版よりキャラクターが少ないから未完成」とだけ評価するのは適切ではない。目標としているゲーム構造そのものが違うのである。もちろん二人対戦や追加キャラクターがあればさらに充実した作品になった可能性は高いが、キン肉マンによる一人用連続デスマッチという本作独自の方向性も確かに存在している。

同タイトルが多数機種へ移植された作品ではない点には注意したい

対応機種ごとの完成度についても整理しておきたい。『キン肉マン コロシアムデスマッチ』は、同一タイトルがPC-8801、X1、ファミコンなど数多くの機種へ移植され、それぞれの内容を比較できるタイプのゲームとして知られているわけではない。

したがって「MSX版とファミコン版の『コロシアムデスマッチ』ではどちらの完成度が高いか」という比較を行うのは正確ではない。ファミコンには別作品として『キン肉マン マッスルタッグマッチ』が存在し、ゲームルールもキャラクター構成も異なっている。

重要なのは、ハードごとの差ではなく、同時期に複数のゲーム機・パソコン市場で『キン肉マン』という題材がそれぞれ異なるゲームデザインへ変換されていたことである。MSX側では一人用の『コロシアムデスマッチ』、ファミコン側では複数の超人を扱う対戦色の強い作品というように、同じキャラクターIPでもゲーム内容は大きく変化した。

これは1980年代のキャラクターゲーム史を考えるうえでも興味深い。現在なら一つのタイトルを複数機種でほぼ同じ内容として発売するマルチプラットフォーム展開が一般的だが、当時はハードごとにまったく別の作品が制作されることも多かった。『キン肉マン』のゲーム化にもそうした時代性が表れている。

完成度を現代基準だけで評価すると低く見えるが、目的は非常に明快

現代のゲームと比較すれば、本作には不足している要素が多い。ストーリーモードは極めて簡素であり、敵は三人、使用キャラクターは一人、対人戦もなく、三人目を倒せば最初へ戻る。豪華な演出も多数のステージもない。

しかしゲームとして何をさせたいのかについては非常に明快である。キン肉マンになって強敵と戦わせる。それだけである。

この迷いのなさは一つの長所でもある。現在のゲームでは大量の要素が用意されている反面、最初に覚えなければならないルールが多い作品もある。本作はMSXへカートリッジをセットしてゲームを始めれば、ほぼすぐに超人との試合が始まる。敵を倒すことだけに集中できる。

現在プレイした場合の総合的な完成度を評価するなら、ボリュームや自由度では高評価を与えにくいものの、「キン肉マンで人気超人と一対一で戦う」という一点に関しては明確な個性を持っている作品とまとめることができる。

後世ではゲーム内容だけでなく資料的価値も大きくなった

発売から40年以上を経た現在、『コロシアムデスマッチ』にはゲームとしての評価とは別に、歴史資料としての面白さも生まれている。

1985年当時のMSXでどの程度のキャラクター表現が可能だったのか、バンダイが人気漫画作品をどのようなゲームへ変換していたのか、そして後の『キン肉マン』ゲームと比較してキャラクターゲームがどのように発展したのか。本作を実際に見ることで、そうした変化を具体的に感じ取ることができる。

現在の『キン肉マン』ゲームでは、多数の超人を精密なグラフィックで再現し、原作でおなじみの必殺技を派手な演出付きで表現することも可能になっている。それに比べれば、本作の表現は極めて素朴である。しかし、その素朴な画面こそが1985年当時の技術とゲーム文化を直接伝えている。

また、ファミコン版の圧倒的な知名度に隠れていることも、本作の希少な立ち位置につながっている。「昔の『キン肉マン』ゲーム」と聞けばファミコン作品しか思い浮かばなかった人が、本作を知ることでMSXにも独自作品があったことに驚く。その発見自体が現在では一つの楽しみになっている。

総合すると「大作ではないが、非常に1985年らしいキン肉マンゲーム」

『キン肉マン コロシアムデスマッチ』を総合的に評価するなら、「豪華な名作」というより「小さくまとめられているからこそ時代性が濃く残った作品」という表現が最も似合う。

敵はサンシャイン、アシュラマン、バッファローマンの三人だけ。操作できるのはキン肉マンのみ。二人対戦は存在せず、バッファローマンを倒しても戦いは終わらない。こうした仕様だけを並べれば欠点ばかりに見える。

ところが実際にゲーム全体を見ると、その制限の中で三人の必殺技を再現し、敵ごとに戦い方を変え、短時間で何度も挑戦できるアクションゲームへまとめている。最初は勝てなかった敵を繰り返し攻略し、やがて三人を連続撃破できるようになるという上達の感覚もある。

本作の面白さは、収録コンテンツの量ではなく、目の前の超人をどう倒すかという一点にある。サンシャインの攻撃を避け、アシュラマンの必殺技を警戒し、最後にバッファローマンの猛攻を切り抜ける。その短い三連戦へ『キン肉マン』らしい超人プロレスを詰め込んでいるのである。

現代の豪華なゲームに慣れた人が長期間遊び続ける作品かと問われれば、決して万人向けとはいえない。しかし『キン肉マン』のゲーム化史、MSXのキャラクターゲーム、1980年代バンダイ作品、当時の一対一アクションに興味があるなら、非常に味わい深い一本である。

「もっと超人が欲しかった」「二人対戦も欲しかった」「三人倒した後に新しい展開が欲しかった」という惜しさは確かに残る。それでも、その不足している部分まで含めて1985年のゲームなのである。限られた容量と性能の中で、キン肉マン対強敵という魅力を可能な限り直接的な形にした。その結果として誕生したのが『キン肉マン コロシアムデスマッチ』だった。

ファミコンの有名作とは違う道を選び、MSXという舞台でキン肉マン一人の戦いを描いた本作は、派手なゲーム史の表舞台には残らなかった。それでも現在までカートリッジが収集され、プレイ映像や当時資料を通じて語り継がれている。それは本作に、単なる古いキャラクターゲーム以上の個性が存在している証拠でもある。

大ヒット作の陰に隠れながらも、『キン肉マン』ゲームの歴史を振り返ると確かに存在している異色の一作――『キン肉マン コロシアムデスマッチ』は、1985年のMSXゲーム文化を現在へ伝える、小粒ながら忘れ難い超人アクションゲームと総括できるだろう。

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