【SS】 きゃんきゃんバニー プルミエール2 (付録ディスクあり)【中古】セガサターン
【発売】:カクテル・ソフト
【対応パソコン】:PC-9801、Windows
【発売日】:1994年11月11日、1997年1月30日
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム、シミュレーションゲーム
■ 概要
カクテル・ソフト黄金期を彩った“5と6のあいだ”の一作
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』は、PC-9801シリーズ向けに登場し、のちにWindowsにも移植された、カクテル・ソフトの看板シリーズ「きゃんきゃんバニー」の一本です。ジャンルとしては、恋愛アドベンチャーに育成・シミュレーション的な味付けを加えた、いわゆる美少女ゲームに属する作品で、18歳以上対象のアダルト向けタイトルとして発売されました。オフィシャルのカタログではPC-9801用タイトルとして1994年11月11日発売、価格6,380円(税込)とされており、当時のPCゲームとしては標準的な価格帯に位置しています。 タイトルに「5 1/2」と付いているように、シリーズ本編の「5」と「6」のちょうどあいだを埋める“番外編”的な位置づけを持ちつつ、世界観や設定は本流と密接に繋がっているのが特徴です。ヒロインの人数やボリュームはやや抑えめで、その代わりに一人ひとりの描写を丁寧に掘り下げ、限られた日数の中で濃密な時間を過ごすことに重きを置いた構成になっています。
天から落ちてきた「見習いの神様」と5日間の同居生活
物語の発端は、とても「きゃんきゃんバニー」らしいコミカルさと、少しだけファンタジックな演出が合わさったシーンから始まります。ある夜、主人公は夢の中で女の子と甘いひとときを過ごしていました。ところが、突然の衝撃とともに目を覚ますと、自分の頭上に、見覚えのない少女が落ちてきている……という、まさにマンガのような導入です。少女は自分のことを「神に類する存在」と名乗りますが、実際には天界の学校に通う修行中の身で、まだ一人前とは言えない半人前の見習い。しかも、本来の名前は人間には発音できない音で構成されているため、人間界では別の呼び名が必要になります。そこで主人公は、半ば勢いで彼女に「サワディ」という名前を与えます。以降、彼女はサワディとして主人公の前に立ち、願いをかなえる代償として、一定期間人間界で過ごすことになります。 主人公が提示した願いは、「5日間ここにいてくれ、そのあいだに女の子を紹介してほしい」というもの。恋に不器用な青年が、天界から来た見習いの女の子の力を借りて、自分にぴったりの相手を探そうとする――そんな、少しズルくて、どこか切実でもある願いが、このゲーム全体の目的と雰囲気を決定づけています。プレイヤーは主人公となり、サワディとの奇妙な同居生活を送りながら、短い日数の中でさまざまな女の子たちと出会い、会話し、心の距離を縮めていきます。
番外編でありながら、シリーズ世界と密接に繋がる舞台設定
『5 1/2』は、ストーリー上の時間軸で見ると『きゃんきゃんバニープルミエール』より前の出来事とされており、シリーズ全体の歴史の中では“過去にこんな出来事があった”という位置に収まる作品です。一方で、舞台となる世界そのものは『きゃんきゃんバニーエクストラ』と共通の設定が用意されており、街の雰囲気や世界のルール、神様や不思議な存在が近くにいる感覚など、シリーズ経験者であれば「あ、この感じはエクストラと同じだ」と思わせる空気が受け継がれています。 そのため、本作は単独でも十分に楽しめる構成でありながら、他の作品を遊んだことのあるプレイヤーにとっては“シリーズの裏側を補完してくれるスピンオフ”的な魅力を持っています。メインヒロインであるサワディの初登場作でもあり、後続作品で彼女を見知っているプレイヤーにとっては、「彼女が主人公と出会った原点」を描くエピソードとして楽しめるようになっています。シリーズ内での位置づけが明確なので、物語を時系列順に追いかけたいファンにとっても重要な一本と言えるでしょう。
ゲームジャンルと基本システムの概要
作品の公式ジャンル表記はADVあるいはSLGとされており、テキスト主体のアドベンチャーパートをベースに、日数管理や行動選択といったシミュレーション要素を軽くミックスした形式になっています。 プレイヤーは限られた5日間のあいだ、毎日どこへ出かけ、どの女の子に会いに行くかを判断しながら行動していきます。一日の中で動ける回数には上限があり、行動する場所やタイミングによって見られるイベントや会話が変化するため、「どの時間帯に誰に会うか」を考えることが自然と戦略要素になります。あるヒロインは昼下がりの商店街に姿を現し、別のヒロインは夜にしか会えなかったりと、キャラクターごとに生活リズムや行動範囲が決められており、それを読み解いていく過程が探索の楽しさにつながっています。 会話パートでは、選択肢によってヒロインの反応が細かく変化し、好感度が上がるルートもあれば、そっけない態度を取られてしまう選択肢も用意されています。プレイヤーはサワディの力を頼りつつも、最終的には自分自身の言動で女の子たちの心をつかまなければならず、その点が単なるイベント回収ゲームで終わらない、人間関係シミュレーションとしての奥行きになっています。
PC-9801版ならではの雰囲気とサウンドCD同梱のこだわり
PC-9801版は、当時の国産PC向け美少女ゲームとして標準的な2DグラフィックとFM音源サウンドを採用し、2枚組フロッピーディスク+マニュアルという構成でリリースされました。中古市場では、ゲーム本体に加えて音楽CD『カクテル・ソフト SOUND BOX』が同梱されたセット品が確認されており、このCDには本作を含むカクテル・ソフト作品の楽曲が収録されています。 ゲーム中で耳にするBGMを、パソコンの前を離れても楽しめるようにしたこの仕様は、当時としてはかなり贅沢なファンアイテムと言えます。パッケージイラストも、シリーズらしい柔らかな線とパステル調の色使いでまとめられており、“ちょっと不思議で、でもどこか温かい恋物語”という作品のトーンを視覚的にも伝えてくれます。
Windows版への展開とプレイ環境の広がり
『5 1/2』はもともとPC-9801向けに作られた作品ですが、その後、Windows環境でも遊べるよう移植版が制作されました。発売年代については資料によって1990年代後半とする記述に差がありますが、おおむねPC-98版から数年後にWindows版が登場したと考えられます。 Windows版は、シナリオやイベントの骨格はそのままに、当時主流になりつつあったマウス操作に最適化され、より多くのユーザーが気軽にプレイできるようになったバージョンと捉えられます。PC-98環境が手元にないプレイヤーでも、汎用的なWindowsマシンさえあれば『きゃんきゃんバニー』の世界に触れられるようになり、シリーズの間口を広げる役割を果たしました。 こうしたマルチプラットフォーム展開により、『5 1/2』は単にシリーズの番外編にとどまらず、“きゃんきゃんバニーの世界に初めて触れる入口”として受け入れられることも多かった作品です。サワディという印象的なヒロインと、5日間という分かりやすい枠組みが組み合わさることで、シリーズ初心者でもストーリーに入りやすい構造になっている点も、入門編的な立ち位置を支えています。
短い日数に凝縮された“恋と願い”の物語
総じて『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』の概要を一言でまとめるなら、「天から降ってきた見習い神様と共に、5日間で”特別な女の子”を見つけるアドベンチャー」と表現できるでしょう。限られた時間の中で、主人公はさまざまな女の子と出会い、時に失敗しながらも少しずつ距離を縮めていきます。その過程で、主人公自身の恋愛観や人生観が揺さぶられるだけでなく、サワディ自身も人間と過ごす日々を通じて成長していく――そんな、二人の変化が丁寧に描かれています。 シリーズ特有の軽妙な会話と、どこか夢のようなファンタジー要素がほどよく混ざり合い、「ただのエッチなゲーム」では終わらない、人肌のぬくもりと少し切ない余韻を残す作品として、今なおレトロPCゲームファンの記憶に残り続けているタイトルだと言えるでしょう。
■■■■ ゲームの魅力とは?
少人数ヒロインだからこそ光る「密度の高い恋愛ドラマ」
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』の魅力としてまず挙げたいのは、“ボリュームより密度”を重視した作りです。シリーズ本編のナンバリング作に比べると、攻略対象の女の子の人数は意図的に絞り込まれており、その代わりに一人ひとりの背景や心情の変化が丁寧に描かれています。 プレイヤーはたった5日という短い期間の中でヒロインたちと向き合うことになりますが、限られた日数だからこそ、何気ない会話や小さな選択肢の積み重ねが、物語全体に大きく響いてくる構造になっています。 例えば、何気ない雑談の中でヒロインが口にした「好きなもの」「やってみたいこと」が、後日のイベントでさりげなく回収される、といった作りが随所に見られます。プレイヤーが覚えていて行動を合わせれば親密度は一気に高まり、逆に覚えていないまま他の選択肢を選ぶと、どこか噛み合わないまま時間だけが過ぎていく――その“上手くいったときと、いかなかったときの落差”が、恋愛シミュレーションとしての手応えと切なさを同時に演出しているのです。 攻略人数が多い作品では、どうしても一人あたりの掘り下げが浅くなりがちですが、本作のように少数精鋭スタイルをとることで、プレイヤーは特定のヒロインに感情移入しやすくなり、「たった数日の出会いなのに、終盤には長い時間を一緒に過ごしたような気持ちになる」という不思議な余韻が生まれます。
サワディという“見習い神様”が生む、ユーモラスで温かい空気
シリーズを通して案内役・ナビゲーション役の女の子はそれぞれ強い個性を持っていますが、本作のサワディはその中でも“異世界から落ちてきた半人前の神様”という設定によって、特に印象に残りやすい存在になっています。 彼女は天界の学校で修行中という立場ゆえに、常識的なことが分かっていなかったり、人間の恋愛事情に妙な誤解をしていたりと、ズレた発言や行動が多く、そのたびにゲーム画面はコミカルな雰囲気に包まれます。しかし、決してドタバタ一辺倒ではなく、主人公の願いを叶えようと懸命に動く健気さや、自分の未熟さを自覚して落ち込む繊細な一面もあり、プレイヤーは笑わされながらも、次第に彼女を応援したくなっていきます。 また、サワディは単なる“案内役”に留まらず、物語の核心にも深く関わっています。主人公が女の子を探して奔走する一方で、サワディ自身も人間界で過ごすうちに、恋や友情、願いを叶えることの重みを学んでいきます。その過程で見せる表情の変化が、本作全体のテーマである「願いと選択の責任」をより印象深いものにしており、プレイヤーは“攻略対象ではないけれど、大切な登場人物”としてサワディに強い愛着を抱くことになるでしょう。
5日間という時間制限が生み出す緊張感とリプレイ性
本作のゲームプレイは、「5日間」という明確な制限時間を軸に回っています。毎日、主人公は限られた行動ポイントの中で、どの場所へ行き、誰に会うかを決め、日々の予定を組み立てていきます。この短期決戦型の設計が、プレイヤーに心地良いプレッシャーを与えます。 「もう一人の子とも話しておきたいけれど、今日は彼女との約束を優先すべきか」 「このイベントを見るためには昼過ぎに商店街へ行く必要があるが、夜の公園で起こるらしい別イベントも気になる」 といった具合に、一手ごとの重みが非常に大きいため、時間配分を考える楽しさが自然と生まれます。最初のプレイでは手探りで動き、なかなか思うような結果に辿りつけないかもしれませんが、その失敗経験が次の周回の戦略に活かされ、「次こそはこの子を中心に動いてみよう」「序盤からこのイベントを押さえておけば、終盤の展開が変わるかもしれない」といったリプレイ動機につながります。 クリアエンディング自体は1種類とされているものの、その道筋に至るまでの過程はプレイヤーの選択次第で大きく変わり、どのヒロインとどれだけ密度の高い時間を過ごしたか、どんな会話を紡いだかによって、プレイヤーごとに“自分だけの物語”が記憶に残る構造になっています。
PC-98時代らしい640×400ドットのグラフィックと繊細なキャラクターデザイン
『5 1/2』の画面解像度は、PC-9801の定番である640×400ドットのモードを採用しており、限られた色数と解像度の中で、少女たちの表情や衣装のディテールが丁寧に描き込まれています。 キャラクターデザインを担当しているのは、としまちはや(サワディ名義を含む)で、丸みのある輪郭と細やかな目の描写、柔らかい髪の表現など、90年代前半のPC美少女ゲームを象徴するテイストがふんだんに盛り込まれています。 特に印象的なのは、天界出身のサワディと、人間界で暮らす女の子たちとの描き分けです。サワディは、どこか浮世離れした衣装や髪型、表情のつくりによって、“普通の女の子とは少し違う存在”であることが視覚的に示されています。一方、他のヒロインたちは、学生服や私服、アルバイトの制服など、日常生活に根ざした服装で描かれており、プレイヤーが「こんな子が実際に街を歩いていそうだ」と感じられるような生活感が漂っています。 画面の構成も、キャラクタースチルを大きく配置し、その下にメッセージウィンドウが控えめに配置されるというオーソドックスなスタイルで、プレイヤーの視線は自然とヒロインの表情に向かうよう設計されています。表情差分やポーズの変化は、当時としては十分な数が用意されており、テキストだけでは伝わりにくい微妙な感情の揺れを、イラスト面からも補ってくれます。
音楽CD同梱による“耳でも楽しむキャンバニ・ワールド”
PC-9801版『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』には、音楽CD『カクテル・ソフト SOUND BOX』が同梱されていたバージョンが存在し、本作を含む複数のカクテル・ソフト作品の楽曲を高音質で楽しめるようになっています。 ゲーム本編で流れるFM音源BGMは、PC-98らしい温かみのあるサウンドで、恋愛シーンでは柔らかなメロディ、コミカルなシーンでは軽快なリズムと、場面ごとにきちんと役割を果たしています。これを音楽CDで聴き直すと、ゲーム中には意識していなかったフレーズやアレンジの工夫に気づかされ、「あのイベントで流れていた曲は、こんな構成だったのか」と新たな発見が得られます。 また、サウンドCDには他作品の楽曲も収められているため、「エクストラ」や「電撃ナース」など、当時のカクテル・ソフト作品を幅広く追いかけていたユーザーにとっては、単なるおまけを超えた“シリーズの音の総集編”として機能していました。メロディラインの方向性が共通しているので、別作品の曲を聴いているうちに、自然と『5 1/2』のシーンを思い出す、といった相互作用もあり、シリーズ全体の世界観を“耳から”補強してくれるアイテムになっています。
シンプルなインターフェースとマウス操作で遊びやすい設計
インターフェース面では、PC-98版・Windows版ともに、当時のアドベンチャーゲームらしいシンプルで分かりやすい構成が採用されています。選択肢は画面下部に並ぶテキストボタンとして提示され、マウスもしくはキーボード操作で直感的に選ぶことができます。 コマンドを細かく選んで調べ回るタイプではなく、「どこへ行くか」「誰に会うか」「どの会話を選ぶか」という大きな選択に絞っているため、システムに慣れるまでの時間はほとんどかかりません。その分、プレイヤーはシステムではなく“キャラクターとのやり取り”に集中でき、物語への没入感が損なわれないようになっています。 Windows版では、OS標準のUIに近い感覚でウインドウ操作ができるため、当時のPCユーザーにとっては“仕事の合間に最小化/最大化して楽しめるゲーム”という意味でも親和性が高く、プレイ環境の自由度も魅力の一つと言えるでしょう。
シリーズの中での“つなぎ”であり“入口”でもある特異なポジション
『きゃんきゃんバニー』シリーズ全体の歴史を振り返ると、『リミテッド 5 1/2』は本編5作目と6作目の間に挟まる、いわば“つなぎ”のポジションにあります。 しかし、単なる補完エピソードに留まらず、「エクストラ」と同じ世界観を使いながら、時間軸をさかのぼって“プルミエール以前の出来事”を描くなど、シリーズファンにとっては世界観を立体的に理解する手がかりとなる重要な一作です。サワディ初登場作としての側面もあり、彼女を起点に他の作品へ興味が広がっていくケースも少なくありません。 一方で、システムやルールは比較的シンプルなため、「きゃんきゃんバニーのどれから遊べばいいかわからない」という人にとっては、手を伸ばしやすいエントリーポイントにもなっています。 ――シリーズファンにとっては世界の深みを増す“スパイス”であり、初めてのプレイヤーにとっては“入口”にもなる。この両立こそが、『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』という作品の大きな魅力であり、長年にわたって語り継がれている理由のひとつだと言えるでしょう。
■■■■ ゲームの攻略など
まず押さえたい「5日間攻略」の基本方針
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』は、システム的には複雑なRPGのような数値管理はなく、テキストアドベンチャーをベースにしたシンプルな作りです。しかし、5日という限られた期間の中でヒロインたちと出会い、親密になっていかなければならないため、何も考えずに動いているとなかなか思うような展開になりません。そこで重要になるのが、「誰を中心に攻略するのかを早い段階で決める」「最初の2日間で行動範囲とイベント発生ポイントを把握する」という二つの基本方針です。 初回プレイではあえて一人に絞らず、街を広く歩き回ってみるのも悪くありませんが、エンディングをきちんと目指したい周回では、気になったヒロインを一人か二人に絞り、その子に会えそうな場所や時間帯を優先して行動するのがポイントです。イベントの多くは「特定の場所+時間帯+前日までに起こしている会話」の組み合わせで発生するため、広く浅くではなく、狙いを決めて行動することで効率がぐっと上がります。
時間管理と行動ルートの組み立て方
ゲーム内の一日は大まかにいくつかの時間帯に区切られています。朝・昼・夕方・夜といった区分ごとに行動できる回数が限られており、その中で「どこに行くか」「誰に会いに行くか」を選ぶことになります。攻略のコツは、この時間帯ごとの“行動優先度”を自分なりに決めておくことです。例えば、あるヒロインは昼の商店街にいることが多く、別のヒロインは放課後の学校周辺や公園で見かけることが多い、といった傾向が見えてくるはずです。 序盤の2日間は、あえて広く移動して「この時間にこの場所に行くとこの子がいる」という“生活パターン”をつかむ探索フェーズと割り切ると、その後の3日間がぐっと楽になります。また、同じ場所に何度か通うことで発生する連続イベントも存在するため、「昨日あの子と話せた場所には、今日も顔を出してみる」という習慣を付けておくと、取りこぼしを減らせます。 加えて、夜の時間帯はイベントの密度が高く、重要な分岐が起こることも多いので、無駄に移動を繰り返すよりも「今日はこの子と話す」と心に決めて向かうのが得策です。慣れるまでは、日ごとに簡単なメモを取り、「どの時間にどこへ行き、誰に会えたのか」をざっくり記録しておくと、次の周回プレイにも活かしやすくなります。
会話選択で好感度を上げるための考え方
本作では、ヒロインとの会話の途中で選択肢が現れ、その内容によって好感度が上下したり、後日のイベント解放に影響したりします。攻略本のような“正解選択肢一覧”が手元になくても、テキストの流れをよく読めば、どの選択肢がふさわしいかある程度は推測できます。 基本となるのは、ヒロインが話している内容にきちんと寄り添うこと。真剣な悩みを打ち明けている時には軽口を叩かない、照れているときには無理に踏み込まない、といったごく当たり前の態度が高い評価につながります。また、シリーズらしく少しイタズラっぽい選択肢も用意されていますが、そういった返事は「ある程度親しくなってから」でないとマイナスに働くことが多いので、序盤はあくまで丁寧で誠実な受け答えを心がけましょう。 逆に、あえて少し毒のある選択肢を選んで相手の反応を見るのも、このゲームの楽しみ方のひとつです。攻略上は遠回りになりますが、「こういう返し方をするとこんな返事が返ってくるのか」という発見は、周回プレイの大きなモチベーションになります。
ヒロイン別攻略の進め方とルート固定のタイミング
作品構造としては「一本道エンディング」とされているものの、実際のプレイ感覚では、どのヒロインとどれだけ濃く関わったかによって、物語の印象が大きく変わります。そのため、“どの子をメインヒロインに据えるか”を事実上決めるタイミングが重要です。 目安としては、3日目の夕方までには「この子を中心に進める」と決めてしまうのがおすすめです。それまでの2日間である程度の顔つなぎを済ませ、イベントの発生条件や登場パターンが分かってきたら、3日目以降は極力その子との会話を優先し、他のヒロインに会いに行く回数は絞ります。複数のキャラを同時に追いかけていると、どの子とも決定的なイベントまで辿りつけないまま5日目の夜を迎えてしまうことが多いため、終盤は“浮気しない勇気”が大切です。 また、一部のイベントは他のヒロインとの関わりによってもフラグが変化するため、完全に一人だけと交流していれば良い、というわけでもありません。2日目までに広く交流しておき、その中から「この子となら最後まで一緒にいたい」と思える相手を選んで、3~5日目を重点的に使う――これがもっとも安定した攻略パターンとなるでしょう。
サワディの存在を“システム的”に上手く活かす
物語の要となるサワディは、ストーリー上の重要キャラクターであると同時に、ゲームシステムの面でもさりげなくプレイヤーを支援してくれる存在です。彼女との会話の中には、ヒロインの居場所や好みについてほのめかす台詞や、今後起こりそうなイベントを示唆するような発言が織り込まれています。 攻略を意識するなら、ヒロインと会った後には、できるだけサワディとも話をしておくと良いでしょう。彼女は天界から来た見習いでありながら、人間関係の“観察者”として鋭い一面を持っており、「あの子、こういうのが好きそうだよ」「明日はこっちの方へ行ってみたら?」といった、遠回しながら有用なアドバイスをくれることがあります。 また、サワディ自身との親密度も、ストーリー上の描写に微妙な変化をもたらします。攻略対象ではないものの、彼女との距離感が近づくほど、ラスト付近のシーンで見せる表情や台詞にも変化が感じられるため、ヒロイン攻略と並行して“サワディとの関係性”も大切にしておくと、物語の味わいが一段と増します。
セーブ活用と周回プレイでイベントを網羅するコツ
本作は日数制限がはっきりしているため、すべてのイベントを一周で見るのは難しく設計されています。その代わり、セーブ機能を上手に利用することで、効率良くイベントを回収していくことが可能です。 おすすめのやり方は、「1日目の朝」「2日目の朝」「3日目の朝」といった具合に、日付の切れ目ごとに共通セーブを作っておく方法です。ある周回では2日目以降をAヒロイン中心に動き、次の周回では共通セーブからロードして、今度はBヒロインを追いかける、といった形で分岐を試すと、一からやり直す時間を大幅に短縮できます。 また、重要そうな会話選択肢の直前にも個別セーブを用意しておくと、「Aの選択肢だとどうなるか」「Bを選んだ場合のバリエーションは?」といった検証がしやすくなり、イベントの網羅も格段にやりやすくなります。 本作はテキスト量自体が極端に多いわけではないので、同じシーンを何度か見ることにそれほどストレスを感じにくく、“別の選択肢を試すためのロード”を繰り返しても、テンポよくプレイを続けられるのが利点です。
難易度と失敗ルートへの向き合い方
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』は、アクションゲームのような反射神経を求められる場面はなく、いわゆる“ゲームオーバー”の概念もあまり前面には出てきません。ただし、攻略的な意味での難易度という観点では、「何となく遊んでいるだけだと、印象的なクライマックスにたどりつけないことがある」といった“地味な難しさ”を持っています。 5日間を通じて誰とも深い関係になれないままエンディングを迎えてしまったり、気になっていたヒロインがいるのに、最後まで心の距離が縮まらなかったりといった結果は、ある意味では“バッドエンド”と呼べるかもしれません。しかし、これらの失敗ルートも含めて、「こういう選択をするとこういう結末になる」という経験値として蓄積されていきます。 重要なのは、一度のプレイで完璧を目指しすぎないこと。少し物足りない終わり方をしても、「じゃあ次は3日目からこの子を最優先にしてみよう」と、次の周回への改善点が自然と見えてくるはずです。その積み重ねが、最終的に自分なりに納得できる“5日間の物語”を形づくることにつながります。
裏技というより“遊び方の工夫”として楽しむ小ネタ
本作には、いわゆる数値を大きくいじるような派手な裏技は多くありませんが、ちょっとした遊び方の工夫で、何度でも楽しめるように作られています。例えば、あえて特定のヒロインとは距離を取ってみて、「サワディとのやり取りを中心に5日間を過ごしたら、どんな心境の変化が起きるのか」を観察してみるプレイスタイルや、逆に可能な限り多くの女の子と浅く広く関わって、「一番記憶に残るのは誰か」を自分の中で比べてみる方法などがあります。 また、時系列的に“プルミエールより前”という位置づけを意識してプレイすると、「この時点ではまだ、あの作品の出来事は起きていない」という前提でキャラクターの言動を見ることができ、シリーズ全体を縦に見通した遊び方も可能になります。 こうした“自分なりの縛りプレイ”や“テーマを決めた遊び方”を試すことで、単なる攻略本的なプレイを超え、「同じゲームなのに、毎回違う味わい方ができる作品」として長く付き合えるのも、『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』の魅力的な攻略スタイルと言えるでしょう。
■■■■ 感想や評判
発売当時の受け止められ方と“番外編”らしい落ち着いた評価
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』が登場した1994年前後は、美少女ゲーム市場全体が急速に拡大していた時期で、シリーズものも新作ラッシュ状態でした。その中で本作は、あえて“5と6のあいだ”を埋める外伝的な位置づけで発売されたこともあり、「シリーズの世界を補完する一作」として静かな注目を集めた作品です。 発売直後から、雑誌の新作紹介欄などでは「短期決戦型の恋愛シミュレーション」「サワディ初登場のスピンオフ的タイトル」といった紹介のされ方が多く、シリーズのメインストリームにがっつり食い込む“大型新作”というよりは、ファン向けの「ちょっと通好みの追加エピソード」として受け止められていました。とはいえ、カクテル・ソフトの看板ブランドである「きゃんきゃんバニー」の名を冠しているだけに、ビジュアルや音楽、テキストのクオリティについては一定以上の信頼があり、「外伝だからといって手抜き感はない」「小粒だがまとまりが良い」といった評価が多かったとされています。
シリーズファンの中でのポジション――“世界観をつなぐ一作”
シリーズ全体の時間軸の中で見ると、『5 1/2』は『プルミエール』より前、『エクストラ』と同じ世界という少し特殊な配置を与えられています。 この構造が、シリーズファンの評価に独特の色を添えています。 「本編の流れを豪快に変えるような大事件は起こらないが、その分、世界の厚みが増したように感じられる」「エクストラの空気感を保ったまま、別方向からキャンバニ世界を眺め直せる」という声も多く、特にプルミエール~エクストラあたりを遊び込んでいるファンの間では、“シリーズ世界の立体感を補うピース”として好意的に語られることが少なくありません。 一方で、「初代やスペリオールのような鮮烈なインパクトを期待して遊ぶと、ややおとなしめに感じる」という感想もあり、評価は“激賞”よりも“しみじみと良い”タイプに偏る傾向があります。ストーリーやキャラクターに焦点を当てたプレイヤーほど「味わい深い」「後からじわじわくる」と表現し、システム面の派手さや目新しさを求めるプレイヤーにはやや地味に見える――そんな二面性を指摘する声も見られます。
シナリオ・キャラクターへの評価――サワディの存在感と短期集中のドラマ性
感想の中で最も多く言及されるのは、やはり“見習い神様”サワディの存在感です。シリーズを通して人気の高いキャラクターである彼女の「原点」として本作に触れるプレイヤーも多く、「天界の見習いが人間界で右往左往しつつ、主人公を手助けする」という構図は、コミカルで親しみやすいと同時に、終盤になると少し切なさを伴ったドラマに変わっていきます。 サワディは攻略対象ではないものの、主人公と常に近い距離にいて、時に相談役、時にからかい役として物語を支えます。そのため、「エンディングを迎える頃には、ヒロイン達と同じくらい、あるいはそれ以上に彼女に愛着が湧いていた」という声も珍しくありません。シリーズの他作品で彼女を知っているプレイヤーからは、「後の作品での言動を思い出しながらプレイすると、5 1/2のサワディが一段と愛おしく見える」といった感想も挙がっています。 また、5日間というタイトな時間枠の中に、各ヒロインのエピソードがぎゅっと詰め込まれているため、「長編ドラマというよりは、短編連作のようなテンポの良さがある」「振り返ると、一日ごとに何かしら印象的な出来事が起きていた」といった評価もあります。決して派手な展開ばかりではありませんが、日常の延長線上にある小さな事件が積み重なっていく描写が好まれ、「肩の力を抜いて読めるラブストーリー」として親しまれています。
システム面・難易度に対する賛否――“遊びやすさ重視”だが人によっては物足りない
システム面については、シリーズの中でも比較的シンプルで遊びやすい部類に入るため、「難しすぎて先へ進めない」という不満はあまり聞かれません。基本的には、日数と行動回数の制限の中でヒロインと会い、会話の選択を工夫していけば自然と物語が前に進むバランスになっており、「時間制限つきのADVにしてはストレスが少ない」「試行錯誤の余地はあるが、理不尽に感じる場面は少ない」という意見が多めです。 一方で、シリーズの中には高難度で知られる作品もあるため、それらを遊び込んできたプレイヤーの中には、「パズル的な歯ごたえは薄め」「イベントフラグの読み合いを楽しみたい人にはあっさりしすぎている」と評価する人もいます。つまり、“読み物として楽しみたい派”には好評、“ゲーム的な攻略の手応えを重視する派”にはやや物足りない――という構図が見て取れます。 また、PC-98時代のADVとしてはごく普通のインターフェースですが、現在の視点から見ると「セーブ/ロードを頻繁に使う前提」「一本道エンディングという仕様」を好みと感じるかどうかで、評価が分かれるところでもあります。
グラフィック・音楽への評価――“90年代PC美少女ゲーム”の空気を凝縮
ビジュアル面については、「まさに90年代PC-98らしい絵柄」として好意的に語られることが多く、特に当時を知るプレイヤーにとってはノスタルジーを喚起する要素になっています。640×400ドットの画面に描かれた柔らかな線と落ち着いた色使いは、ハードウェアの制約ゆえの味わいも相まって、「最近の高解像度なイラストとは違う、独特の温度感がある」と評されがちです。 音楽面では、同梱のサウンドCD『カクテル・ソフト SOUND BOX』の存在が、評価を押し上げる要因になっています。ゲームプレイ中に聴いた曲をCDで改めて楽しめること、さらに他のカクテル作品のアレンジやボーカル曲も収録されていることから、「ゲームの枠を越えてシリーズ全体の世界観を音楽で味わえる」と好意的に受け取られています。中古市場でも、ゲーム単体だけでなく、このサウンドCD付きセットが出品されていることから、コレクターの間で“付属CD込みで完品を揃えたいタイトル”の一つと見なされていることがうかがえます。
プレイヤー個人の感想に見られる傾向――“積みゲー”にしてしまう人も
個人ブログやSNSなどで散見される感想をまとめると、「途中まで遊んで止まっている」「他のキャンバニ作品を優先してしまい、5 1/2は積んだまま」という声も少なくありません。実際、PC-98実機やエミュレータ環境を整えたレトロゲーマーの中には、パッケージを購入して写真だけ撮り、プレイ自体は途中で止まっているという報告も見られます。 これは作品そのものの出来が悪いというより、シリーズ全体のボリュームと歴史の中で、「どうしても優先順位が後ろに回りがち」という事情も影響しているようです。初代やスペリオール、プルミエール、エクストラといった代表作が強烈な印象を残しているため、限られた時間で“代表作だけをまず押さえたい”というプレイヤーにとって、5 1/2は「落ち着いた頃に取り組む予備枠」として扱われがちな側面があります。 一方で、実際に最後まで遊んだプレイヤーからは、「期待値をあまり上げずに遊んだら、思った以上に物語のまとまりが良くて驚いた」「シリーズの派手な部分に疲れたあとにプレイすると、ちょうど良い糖度のデザートのように感じる」といった、静かな好評価が寄せられがちです。遊ぶ人を選ぶタイトルではあるものの、ハマる人には深く刺さるタイプの作品と言えるでしょう。
中古市場・レトロゲーム的価値から見た“根強い人気”
現在の中古市場を眺めると、『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』は、プレミアが付くほど極端に高価ではないものの、一定の需要を保ち続けているタイトルです。オークションサイトやフリマアプリでは、PC-9801用のフロッピーディスク版や、Windows版CD-ROM、サウンドCD付きのセットなどが継続的に出品されており、価格帯も数千円前後で安定しています。 これは、「シリーズ全体としての知名度は非常に高いが、その中では比較的マイナー寄りの一本」という微妙なポジションを反映したものとも言えます。コレクターにとっては「どうせならシリーズを通しで揃えたい」対象の一つであり、単体での爆発的な人気というより、“シリーズコンプリートのために欠かせないピース”として継続的に取引されている印象です。 この“静かな需要”は、そのまま作品への評価にもつながっています。派手に語り継がれる伝説級タイトルではないものの、「キャンバニ好きなら、いずれ手元に置いておきたい」「棚に並べて眺めたとき、ロゴが揃っていると気持ちいい」といった、コレクション的な満足感をもたらす一本として愛されているのです。
総評――“レトロPC恋愛ADV”を味わう人向けの隠れた佳作
総合的に見ると、『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』への感想や評判は、極端な賛否ではなく、「シリーズの中で静かに光る佳作」という落ち着いた評価に落ち着いています。 ・サワディという象徴的キャラクターの原点を描く物語 ・5日間という限られた時間の中に凝縮された、肩肘張らない恋愛ドラマ ・PC-98時代特有のグラフィックと音楽が醸し出すノスタルジックな空気 といった要素に魅力を感じるプレイヤーにとって、本作は非常に味わい深い一本です。 逆に、派手なマルチエンディングや高度なシミュレーション性を求める人にとっては、やや物足りなく映ることもあるでしょう。しかし、レトロPCゲームを一本一本じっくり噛みしめたい人、シリーズの歴史を踏まえながら世界観を追体験したい人にとっては、“静かに棚から取り出してプレイしたくなる”、そんな類い稀なスピンオフ作品として、今も確かな評価を得ていると言えます。
■■■■ 良かったところ
サワディを中心にした「関係性の物語」がとにかく心地良い
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』を実際にプレイした人がまず挙げる“良かった点”として大きいのが、サワディを軸にした人間関係の描き方の心地良さです。天界から落ちてきた見習いの女の子と、どこにでもいそうな青年という組み合わせは、一歩間違えるとドタバタ寄りのギャグに振り切れてしまいがちですが、本作は軽妙さと温かさのバランスが絶妙です。サワディはおっちょこちょいで空気が読めないところもありますが、プレイヤーが困っている時にはさりげなく背中を押してくれるし、落ち込んでいるときには無理に元気づけようとせず、隣で一緒に悩んでくれる。ゲームを進めるほど、「神様見習い」という設定以上に、“同じ屋根の下で生活する不思議なルームメイト”としての距離感が自然に感じられるようになります。これが単に攻略対象の一人として登場していたら、ここまで独特な味にはならなかったでしょう。恋愛アドベンチャーでありながら、サワディとの関係は少し違うベクトルの“特別さ”を持っていて、プレイヤーごとに彼女への感情の落としどころが変わってくる、その曖昧さが逆に魅力として語られています。
5日間という短いスパンに凝縮された濃厚なドラマ
「たった5日」という制限は、一見するとボリューム不足の原因になりそうですが、遊んでみるとむしろ“良い意味での圧縮効果”になっていると感じる人が多いようです。日数が短いからこそ、毎日がイベントの連続で、一日を終えるたびに「今日もいろいろあったな」と思わせる密度があります。長編のノベルゲームにありがちな“中だるみ”がほとんどなく、最後までテンポ良く読み進められるので、社会人であっても休日を一日しっかり使えばエンディングまでたどりつけるくらいのボリューム感に収まっています。このコンパクトさを「手軽でありがたい」と評価する声は多く、特に当時のユーザーにとっては、「学校や仕事の合間にちょこちょこ進めて、数日で遊び切れるサイズの恋愛ゲーム」として親しみやすかったと言えます。5日間という枠の中で、ヒロインたちとどれだけ本音を交わせるか、自分の選択次第で印象が変わってしまう――そんな“短距離走的なドラマ”が、本作ならではの魅力として好意的に語られています。
少人数ヒロインだからこそ一人ひとりが印象に残る
攻略対象が多すぎると、どうしても「名前は覚えているけれど、どんなエピソードの子だったか思い出しづらい」という現象が起きがちです。その点、本作は登場するヒロインの人数を意識的に絞り込み、各キャラクターにじっくりスポットライトを当てる構成になっているため、「どの子にもちゃんと見せ場がある」「エンディングを見たあとでも、一人ひとりの印象がはっきり残っている」といった感想が多く挙がります。性格のベースは王道のタイプ分けでありながら、短い期間の中で“ちょっとしたコンプレックス”や“他人には見せていない顔”が覗けるイベントが用意されているので、プレイヤーは「この子はこういうところが可愛い」「こういう部分は意外としっかりしている」と、自分なりの視点でキャラクターを語りたくなってきます。キャラ数を増やして薄く広く描くのではなく、少数精鋭で濃く描く方針が功を奏していて、「派手さはないけれど記憶に残るキャラゲー」として評価されているのは、本作の大きな美点と言えるでしょう。
PC-98らしいグラフィックと世界観演出の相性の良さ
グラフィックについても、当時のPC-9801作品ならではの“画面の雰囲気”を評価する声が非常に多いです。解像度や色数の制約から、現代の美麗イラストと単純比較することはできませんが、その制約の中で丁寧に描かれた立ち絵やイベントCGには、独特の温かみがあります。背景グラフィックも、細部まで描き込み過ぎず、想像の余地を残しつつ場面の空気感を伝えてくれるほどよい密度で、プレイヤーの頭の中に「この街で実際に生活している女の子たち」の姿を自然と思い浮かばせてくれます。天界からの訪問者であるサワディと、街で暮らす普通の女の子たちとのビジュアル面でのコントラストも分かりやすく、「あ、この子だけ少し雰囲気が違うな」という印象を一目で与えてくれます。この辺りの“画面だけでキャラクターの立ち位置を説明してしまう力”は、同時期のカクテル・ソフト作品共通の良さでもあり、本作もその例に漏れず、画面を見ただけでなんとなく物語の匂いを感じさせてくれる出来映えになっています。
音楽・サウンドの“耳馴染みの良さ”とサウンドCDの嬉しいおまけ感
サウンド面は派手な演出こそ少ないものの、「気づいたら口ずさんでしまう」「何年も経ってからふとメロディが浮かんでくる」といったタイプの耳馴染みの良さがあります。シーンごとに曲調がはっきり分かれているため、「この曲が流れてきたら、そろそろイベントが起きる」といった“音による予感”も自然に生まれますし、恋愛シーンで流れる柔らかな曲は、テキストの甘さを過剰に煽ることなく、ほどよい距離感で雰囲気づくりをしてくれます。そして、PC-98版に同梱されたサウンドCDの存在は、プレイヤー目線ではかなり大きな“良かった点”として語られます。ゲームを遊び終えたあとも、CDを再生すればいつでもキャンバニ世界の空気を思い出せる、というのは、ファンにとって最高のご褒美です。同時期の他作品の楽曲もまとめて収録されているため、「シリーズ全体の音楽を一気に振り返ることができる」という意味でも価値が高く、サウンド周りが“ゲームを起動している時間”に限定されない楽しみ方を提供してくれています。
システムの分かりやすさと、ストレスの少ない遊び心地
良かったところとしてしばしば挙げられるのが、「とにかく遊び方が分かりやすい」という点です。プレイを開始して少しチュートリアル的な会話を進めれば、あとは「時間帯ごとに行き先を選び、出会った女の子と会話する」という基本ループを自然と理解できます。難解な数値管理や複雑なメニュー操作がなく、行動の選択肢も過度に多くないため、初めてPC恋愛ADVに触れる人でも迷わず進められる設計になっているのは、大きな美点です。セーブ・ロードもシンプルなメニューから呼び出せるので、「この会話の分岐だけ確かめたい」「3日目からやり直したい」と思った時にすぐ試せるのもストレスを軽減してくれます。操作体系が直感的で、インターフェースが画面の邪魔をしない――この“当たり前をきちんと守っている”おかげで、プレイヤーは細かな仕様を意識することなく、キャラクターとの会話や物語そのものに集中できます。
“大作ではないが、肩の力を抜いて楽しめる”サイズ感
ボリュームやスケールの観点から見れば、『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』は明らかに“シリーズの大看板”というよりも、“中編クラス”の作品です。しかし、このサイズ感をむしろポジティブに捉えるプレイヤーは少なくありません。数十時間かかる大作アドベンチャーとは違い、「数回のセッションでクリアまで辿り着ける」「数年ぶりに起動しても、もう一度最初から最後まで付き合う気になれる」くらいの適度な長さにまとまっているため、忙しい社会人ゲーマーや、多くのレトロゲームを並行して楽しみたい人にとっては非常にありがたい存在です。物語のトーンも、重すぎず、かといって軽すぎもしない、ほの甘い日常ドラマが中心なので、気分転換に遊ぶにも向いています。“ちょっと疲れたときにコーヒーを飲みながら読み進めるのにちょうどいいゲーム”という評価は、この作品の持つ穏やかな魅力をよく表しています。
シリーズ全体を見渡した時に感じる“つながり”の心地よさ
本作単体の出来の良さに加え、他の「きゃんきゃんバニー」作品を遊んでいると、その世界観のつながりがより楽しく感じられます。エクストラと同じ世界であり、時間軸としてはプルミエールより前という位置づけは、シリーズを並べてプレイしたときに「ここで描かれた出来事が、のちの作品世界の土台になっているのかもしれない」と想像を膨らませる余地を与えてくれます。あるプレイヤーにとっては、「後の作品に登場するキャラの片鱗が、この時点ですでに見えているように感じる」といった楽しみ方もでき、単発タイトルでは味わえない“シリーズ物ならではの醍醐味”を静かに支えているのが本作です。シリーズを深く掘り下げたいファンにとって、“一冊だけ抜けている巻を埋めるような満足感”をもたらしてくれることは間違いありません。
総じて――“派手さではなく味わい”を求める人に刺さる良作
こうした様々な“良かったところ”を総合すると、『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』は、派手なギミックや目新しさで勝負するタイプではなく、むしろ“落ち着いた味わい”をしっかり楽しみたい人に向いた作品だと言えます。サワディという愛すべき案内役、少人数ながら印象的なヒロインたち、コンパクトだが密度の高い5日間のドラマ、PC-98時代ならではのグラフィックと音楽――それらがバランス良く組み合わさることで、“静かな満足感”を与えてくれる一本に仕上がっています。遊び終わってパソコンの電源を落としたあとも、ふとした瞬間にサワディの姿や、あの5日間の会話の断片を思い出してしまうような、そんな余韻を残してくれるのが、本作が今なお語り継がれる理由のひとつと言えるでしょう。
■■■■ 悪かったところ
ボリューム面で“物足りない”と感じる人もいる構成
良かった点の裏返しでもありますが、本作でしばしば挙げられる不満として、「全体のボリュームがやや物足りない」という意見があります。物語の時間枠が5日間に限定されていること、攻略対象の人数が意図的に絞られていることは、濃密さやテンポの良さにつながる一方で、「もっと長くこの世界に浸っていたかった」「気に入ったヒロインとのエピソードを、もう少しゆっくり味わいたかった」という欲求を残してしまう側面もあります。特に、前後のシリーズ作で大ボリュームのシナリオや多数のヒロインを体験しているプレイヤーほど、「外伝的位置づけなのは分かるけれど、もう一歩踏み込んでほしかった」と感じがちです。エンディングまで到達したときの満足感自体は決して低くないものの、「このメンバーともう数日一緒に過ごせたら…」という惜しさが、“悪かったところ”として語られることがあります。
ゲームシステムがシンプルすぎて“単調”に感じられる場合がある
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』は、あくまでテキストアドベンチャーを基本にした作品であり、複雑な数値管理やミニゲームなどはほとんど登場しません。これは“取っつきやすさ”という点では大きなメリットですが、ゲーム的な駆け引きや攻略の歯ごたえを重視するプレイヤーにとっては、「やることが少し単調」「ただ会いに行って会話を読むだけ、と感じてしまう」といった物足りなさにもつながります。日数制限や行動制限があるとはいえ、行動選択のパターンがそこまで多くないため、数周プレイするとルーティン化してしまい、「結局、毎日似たようなコースを回るだけでは?」と感じる瞬間も出てきます。また、パラメータ画面などで“数値として成長が見える仕掛け”がほとんどないため、「ゲームをしている」というより「長めのノベルを読んでいる」という印象が強くなりがちで、ここに物足りなさを覚える人も少なくありません。
5日間制限が原因の“イベント見逃し”と作業感
時間制限のあるアドベンチャーゲームの宿命とも言えますが、「5日間」という短い期間の中で全てのイベントを見るのは難しく、初回プレイでは気づかないまま流れてしまう場面も多く存在します。そのため、「何度プレイしても、どうしても見られないイベントがある」「特定のヒロインだけ、毎回印象が薄いまま終わってしまう」といったもどかしさを抱くプレイヤーもいます。さらに、イベントの発生条件が“時間帯+場所+それまでの会話の積み重ね”といった形で複合的に設定されているため、少し外すと発生しないケースもあります。こうした構造は、やり込みプレイヤーには「探りがいのある作り」として歓迎される一方、コンプリートを目指す人にとっては「同じ日を何度もやり直して、パターンを変えて試す作業」が続いてしまい、作業感としての疲労につながることもあります。特に、テキストを毎回最後まで読み返したいタイプのプレイヤーにとっては、「スキップ機能を多用せざるを得ないのが少し残念」という評価につながりやすいポイントです。
エンディングのバリエーションが少なく、達成感に差が出にくい
本作は、どのヒロインを重視するかでプレイ内容の印象が変わるとはいえ、最終的なエンディング構造としては比較的一本筋でまとまっており、マルチエンディング型の作品と比べると「結末のバリエーション」が少なめです。「誰を一番に選ぶか」「誰との距離をどこまで縮めたか」によってテキスト上のニュアンスや印象は変化するものの、“全く違う結末が複数用意されている”タイプのゲームと比べると、攻略完了時の驚きや達成感は控えめに感じられます。プレイヤーによっては、「苦労して周回しても、最後に見える光景が大きく変わるわけではないのが少し寂しい」「真エンド/バッドエンドのような明確なメリハリがあれば、もっと燃えたかもしれない」と感じる場合もあります。物語を一本に絞り込んだことで、ドラマとしてのまとまりは良くなっているものの、“ゲームならではの分岐の面白さ”を期待した人にとっては、ここがマイナス材料になることがあります。
シリーズ他作品と比べたときの“インパクトの弱さ”
同じ「きゃんきゃんバニー」シリーズの中には、初代やスペリオール、プルミエール、エクストラなど、発売当時のユーザーに強烈な印象を残したタイトルがいくつも存在します。そうした“大看板”と比較すると、どうしても『リミテッド 5 1/2』は、「安定してよく出来ているが、飛び抜けた驚きは少ない」という評価になりがちです。物語の規模も世界を揺るがすような事件ではなく、主人公の周囲のささやかな日常レベルにとどまっているため、「シリーズ全体の歴史の中で、真っ先に名前が挙がる作品ではない」「遊んだ人は好きになるが、プレイ経験のない人にまで広く語り継がれるほどのインパクトは乏しい」と感じる人もいます。結果として、シリーズ入門者におすすめする際に、「まずは代表作から遊んで、余裕があれば5 1/2もどうぞ」という順番になりがちで、“優先度が後回しにされる作品”という印象を持たれてしまう場面も見受けられます。
現代環境でプレイする際のハードルの高さ
これは作品そのものというより、プラットフォーム側の事情ですが、PC-9801版をオリジナル環境のまま楽しもうとすると、現在ではかなりのハードルがあります。実機やフロッピーディスクの入手難度が高く、保守も容易ではないため、多くのプレイヤーはエミュレーション環境に頼らざるを得ません。エミュレータの設定やフロッピーイメージの扱いに不慣れな人にとっては、この“遊ぶまでの準備段階”が大きな障害となり、「興味はあるのに、環境構築が面倒で途中で諦めてしまった」というケースも少なくありません。また、Windows版も対応OSが古く、現行のOSではそのままでは動作しない場合があり、互換モードや仮想環境の構築が必要になることもあります。こうした外的要因が、現代のプレイヤーにとっての“悪かったところ”として挙げられるのは、レトロPCゲーム全般に共通する問題ではありますが、本作もその例外ではありません。
演出やテンポが“地味”だと感じるプレイヤーとの相性問題
本作の演出は、あくまで90年代前半のPC-98用ADVとして“標準的な範囲”に収まっており、アニメーションや派手なエフェクト、ボイスなどはほとんど用意されていません。そのため、近年のビジュアルノベルやギャルゲーに慣れたプレイヤーが触れると、「画面の動きが少なくて寂しい」「登場人物のリアクションがテキストと静止画だけだと、感情の盛り上がりが分かりにくい」と感じてしまうことがあります。テンポ面でも、シーン切り替えやロードのわずかな待ち時間が、現代的な感覚では“もたつき”として意識されやすく、「もう少しテンポ良く読み進められたら」と惜しむ声も挙がります。もちろん、レトロゲームとしての味わいとして受け止める向きも多いものの、「昔の作品だと分かっていても、もうちょっと演出にメリハリが欲しかった」という意見が存在するのも事実です。
総じて――欠点も“静かな作品らしさ”の一部として受け入れられている
これらの“悪かったところ”をまとめて眺めてみると、『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』の欠点は、どれも「作品が目指した方向性」と表裏一体になっていることが分かります。コンパクトで密度の高い物語を目指した結果、ボリューム不足と感じられる側面が生まれ、シンプルで遊びやすいシステムを採用したことで、ゲーム的な歯ごたえが薄いと受け止められる――そうした構造的なトレードオフが、この作品の評価にもそのまま反映されています。シリーズの他作品のような強烈なインパクトや、現代的な演出の派手さを期待すると物足りなさが目立ちますが、“落ち着いたテンポで、静かに人間関係を味わう恋愛ADV”として見るなら、これらの欠点はむしろ「味わいを損なわない範囲の小さなキズ」とも言えます。総じて、悪かった点は決して致命的なものではなく、「こうだったらもっと良かったのに」という惜しさとして語られることが多く、それすら含めて“レトロPCならではの一作”として受け入れられている、と言えるでしょう。
[game-6]
■ 好きなキャラクター
やっぱり外せない案内役――見習い神様「サワディ」
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』で「一番好きなキャラクターは?」と聞かれた時、真っ先に名前が挙がりやすいのが、物語のキーパーソンであり案内役でもあるサワディです。天界の学校に通う見習いで、人間界の常識には疎いものの、どこか憎めないおっちょこちょいな性格が、プレイヤーの心を掴みます。 彼女は主人公の願いを叶えるために地上へ降りてきた存在でありながら、物語が進むにつれて、自分自身も人間世界に惹かれ、成長していく姿を見せます。はじめは「神様」を自称しつつも、食べ物やテレビに目を輝かせたり、恋愛相談で妙な勘違いをしたりと、修行中らしい未熟さが前面に出ていて、そのギャップが非常に愛らしいキャラクターです。 プレイヤー視点で見ると、サワディは「攻略対象ではないのに一番印象に残る」という、ある意味で反則級の立ち位置にいます。一緒に暮らしながら、主人公の行動にツッコミを入れたり、時にはさりげなく励ましたりする姿は、恋人というより相棒に近い距離感で、エンディングに近づくほど「この子と別れたくない」と感じさせる存在感を放ちます。もともと彼女は本作が初登場であり、後年のグッズ展開やキャラクターカタログでも重点的に扱われていることからも、シリーズ全体の中で特に人気の高いヒロインの一人であることがうかがえます。
動物好きで心優しい女の子「畑正 憲子」の素朴な魅力
カードゲームなどのクロスオーバー企画にも登場している「畑正 憲子」は、『リミテッド 5 1/2』ゆかりのキャラクターとして名前が挙がることの多い一人です。カードデータ上でも「動物好き」という特徴が強調されており、素朴で優しい性格の持ち主として描かれています。 ゲーム本編でも、彼女の魅力は“派手さとは無縁の普通っぽさ”にあります。特別に変わった趣味や極端な性格を持っているわけではなく、動物や自然が好きで、周囲の人にさりげなく気を配れるタイプの女の子。こうしたキャラクターは一見目立ちませんが、会話を重ねるたびにじんわりと好感度が上がっていき、「気づいたら一番落ち着く存在になっていた」というプレイヤーも少なくありません。 彼女と過ごすイベントは、ペットの話や身近な出来事が中心で、大きな事件が起こるわけではありませんが、そのぶん“日常の延長線上にある恋”の雰囲気を強く感じさせてくれます。奇抜な設定のヒロインが多い美少女ゲームの中で、「こういう子と現実に出会えたらいいな」と素直に思わせてくれるタイプのキャラクターであり、派手さよりも穏やかな癒しを求めるプレイヤーからの支持が高いポジションです。
お嬢様的な雰囲気をまとった「天王寺 鈴音」のインパクト
同じくクロスオーバーTCGに登場する「天王寺 鈴音」は、『リミテッド 5 1/2』関連キャラクターの中でも、ひときわ印象的な名前を持つヒロインです。TCG上では「世間知らず」といった性格付けがされており、お嬢様的なバックボーンを思わせるイメージで語られることが多くなっています。 ゲーム中の彼女は、世間の常識にはやや疎く、何事にも真面目に取り組むタイプ。生真面目すぎるあまり、少しズレた発言をしてしまったり、男女関係に対する理解が変に堅かったりと、プレイヤーから見ると“かわいらしい不器用さ”を感じさせるキャラクターです。学業や家庭の事情など、彼女自身が抱えている背景が垣間見えるイベントでは、普段は見せない弱さや素直な一面が表に出てきて、そのギャップに惹かれるプレイヤーも多くなります。 「普段はきちんとしているのに、ときどき思わぬ一面を見せる」という設計は、恋愛ADVにおいて鉄板の魅力の作り方ですが、鈴音の場合はそれが“育ちの良さ”と結びついているため、単なるドジっ子では終わらず、上品さを保ったまま自然なギャップを演出できています。シリーズ全体を通して見ても、こうした“世間知らずお嬢様タイプ”の完成度が高いヒロインとして、彼女に特別な好感を持つファンも少なくありません。
脇役やサブキャラクターにも宿る、「キャンバニ」らしい温度感
『リミテッド 5 1/2』のキャラクター人気を語るうえで忘れてはならないのが、メインヒロイン以外のサブキャラクターたちです。家庭内で主人公に小言を言いつつも、何かと気にかけてくれる家族、街で立ち寄る店の店員、サワディの存在に戸惑いながらも、なんとなく受け入れてしまう大人たち……。こうした、“攻略対象ではない人々”も、それぞれにちょっとした個性を与えられており、テキストの端々から生活感や人間味がにじみ出ています。 彼らは物語の中心には立ちませんが、ヒロインとのイベントの背景でさりげなく登場したり、会話の中のワンフレーズで主人公やヒロインの人間関係を補足してくれたりと、世界に厚みを加える役割を担っています。その結果、プレイヤーは「この街の中で本当に人々が暮らしている」という感覚を自然と受け取り、ヒロインとの恋愛ドラマも、“真空のドラマ”ではなく“現実に近い空気を持った世界の出来事”として感じられるようになります。 特定のサブキャラに強烈な人気が集中しているわけではありませんが、「このオッサン、なんだかんだで憎めない」「このおばちゃんの一言が、妙に胸に残った」といった“地味だが味のある脇役”が多いのは、キャンバニシリーズ全体の伝統であり、本作もその例外ではありません。
プレイヤーごとに変わる“好きなキャラ”の基準
本作のキャラクター人気で興味深いのは、「誰が一番人気か」がプレイヤーによって大きく分かれる点です。サワディのように作品全体の顔ともいえる存在はいるものの、ヒロインたちはそれぞれ違う魅力と悩みを抱えているため、「等身大の恋がしたい人」は素朴な女の子に惹かれ、「非日常感のある恋」を求める人は、少し不思議な立場のキャラに心を奪われる、といった具合に、好みが多様に分散していきます。 さらに、5日間という短い期間の中で誰を優先して会いに行ったかによって、プレイヤーの印象も大きく変わります。ある人にとっては、「一番多く会話を重ねたヒロイン=思い入れの強いキャラクター」となり、別の人にとっては「あまり会えなかったヒロイン=気になるまま終わってしまったキャラ」として、むしろ後を引く存在になることもあります。こうした“プレイヤーの選択によって、心の中のランキングが変動する”設計は、キャラクター人気を単純な多数決では測れない面白さを生み出しています。
シリーズ全体から見た時の、“5 1/2組”の立ち位置
『リミテッド 5 1/2』のキャラクターたちは、その多くがこの作品でしか本格的には描かれていないものの、後年のキャラクターカタログやTCGといった企画にしっかりと顔を出しており、「キャンバニ・ファミリー」の一員として正式に組み込まれています。 これはつまり、シリーズ制作側にとっても、「5 1/2」で生まれたキャラクターたちが、単なる外伝の使い捨てではなく、長く大事にされるべき存在として扱われていることの表れでもあります。後発作品やグッズで彼女たちの姿を見かけたファンが、「あ、これはあのゲームの子だ」と思い出し、それをきっかけに久しぶりにディスクやCD-ROMを引っ張り出して再プレイする――そんなサイクルが、ごく自然に生まれているのです。 シリーズを通して見れば、初代やプルミエール、エクストラのメインヒロインたちの方が知名度では勝るかもしれません。しかし、『リミテッド 5 1/2』のキャラクターたちは、“静かな人気”という形で今もファンに支えられており、特にサワディをはじめとするメンバーは、「知る人ぞ知るお気に入りキャラ」として、レトロPCゲームファンの記憶の中で確かな居場所を持ち続けていると言えるでしょう。
[game-7]
●対応パソコンによる違いなど
PC-9801版の特徴 ― 当時の王道環境で楽しむオリジナル版
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』の“素の姿”と言えるのが、1994年11月11日に発売されたPC-9801版です。対応機種はPC-9801VM以降で、メディアは5インチ/3.5インチの2HDフロッピーディスク2枚組という、当時の美少女ゲームとしては標準的な構成でした。価格は6,380円(税込)で、ジャンル表記は恋愛シミュレーション寄りのSLG。 画面解像度はPC-98おなじみの640×400ドットで、そこにヒロインの立ち絵とテキストウィンドウが配置される、非常にオーソドックスなADVスタイル。BGMはFM音源ボードを想定したサウンドで、PC-98らしい“少しざらつきのあるあたたかい音”が、恋愛ADVらしい柔らかな世界を支えています。 またPC-9801版の大きなポイントとして、同梱された音楽CD「カクテル・ソフト SOUND BOX」があります。このセットはゲーム本体に加え、シリーズ作品の楽曲をまとめたCDが付属する仕様で、一部ショップでは「SOUND BOX with きゃんきゃんバニー リミテッド5 1/2」という商品名で扱われていました。 ゲームを遊び終えた後もサウンドトラックとして楽しめるため、パッケージそのもののコレクション性が高いのもPC-98版ならではの魅力です。
Windows版の特徴 ― 普及期のマシン向けに調整された移植版
PC-9801版からしばらく経った1997年1月30日には、Windows 3.1/95対応のCD-ROM版が発売されました。価格は4,180円(税込)と、PC-98版よりやや抑えられており、CPUはIntel 486SX以上、メモリ8MB以上、HDD空き容量6MB以上と、当時としては比較的ライトな環境でも動かしやすい仕様です。 画面解像度は640×480ドット・256色以上への対応となり、PC-98版よりわずかに縦方向の表示領域が増えています。これに伴い、背景やUIレイアウトはWindows環境に合わせて微調整されており、メッセージウィンドウの座り方やフォントの印象など、細部の見え方に違いが出ています。とはいえ、シナリオやイベント構成そのものはPC-98版を踏襲しており、「内容はそのままに、一般的なDOS/V&Windowsマシンで遊べるようにした移植版」という位置づけです。 CD-ROM1枚にゲームデータが収まっているため、フロッピーの入れ替えは不要になり、インストールや起動の手間は大きく軽減。FD交換に慣れたPC-98ユーザーには少し寂しくもありますが、「ちょっと空いた時間にWindowsからすぐ起動して遊べる」という手軽さは、Windows版ならではの利点と言えるでしょう。
グラフィックの違い ― 640×400と640×480の“わずかな差”が生む雰囲気の違い
ビジュアル面の大きな違いは、前述の通り解像度の違いです。PC-9801版の640×400ドットに対し、Windows版は640×480ドット・256色以上の表示に対応しています。 実際のゲーム画面での差は劇的ではありませんが、PC-98版は上下がややタイトなぶん、キャラクター立ち絵が画面いっぱいに大きく感じられ、テキストウィンドウもコンパクトにまとまっています。一方、Windows版は縦方向に少し余裕がある分、背景の見える範囲が微妙に広くなり、全体のレイアウトに“ゆとり”が生まれている印象です。 色数に関しても、PC-98版は機種環境に応じて16色~256色といった制限があるのに対し、Windows版では256色以上が前提となっており、パレットの使い方に若干の違いが見られます。とはいえ、元のデザインがPC-98をベースにしているため、Windows版でも「塗りが極端に派手になる」といったことはなく、シリーズ従来の落ち着いた色合いをほぼそのまま保っています。 その結果、PC-98版は“やや暗めで密度の高いキャンバニ画面”、Windows版は“少し明るくフラットに見えるキャンバニ画面”といったニュアンスの差が生まれ、どちらを「らしい」と感じるかは、遊び手の好みや当時の思い出によって変わってくるポイントです。
サウンド周りの違い ― FM音源とCDメディアの立ち位置
サウンド面では、PC-98版がFM音源を前提としたBGM構成になっており、OPNA系の音色で“いかにもPC-98的”なサウンドを響かせてくれます。 そこに加えて、前述のようにSOUND BOXという音楽CDがセットになっていたことで、「ゲーム本編+サウンドトラック」という贅沢な楽しみ方ができました。CDには『リミテッド 5 1/2』を含む複数作品の楽曲が収録されており、PC-98のFM音源とはまた違う、CDクオリティの音でシリーズ曲を堪能できるのがポイントです。 Windows版は、CD-ROMメディアで配布されるものの、ゲームそのものはPC-98版の雰囲気を崩さない方向で移植されており、BGMもFM音源風のサウンドをベースにした構成です。公式スペックでは、Windows 3.1/95向けタイトルとして一般的なサウンドボード環境(FM/PCM系)を前提としており、少なくとも「ボイス付きへ大幅な作り替え」などの派手なアレンジは行われていません。 まとめると、PC-98版は「ハード直叩きのFM音源と同梱CDでじっくり浸るサウンドコレクション」、Windows版は「CD-ROM一本で、より一般的なPC環境で気軽に楽しめる移植版」という住み分けになっており、どちらも当時のユーザーの遊び方に即したサウンド設計になっていると言えるでしょう。
操作性・インターフェースの違い ― キーボード中心か、Windowsマウス中心か
操作面では、PC-98版はキーボード操作を前提としつつ、一部環境ではマウスにも対応する、いわば“過渡期のインターフェース”という印象です。カーソルキーとリターンキーで選択肢を選び、テンキーやファンクションキーでメニューを開くといった操作体系は、当時のPC-98恋愛ADVではおなじみのものです。 対してWindows版は、OS側のウィンドウ管理に素直に乗った形で、マウス操作を前提としたインターフェースに寄せられています。選択肢は画面下部にボタン形式で並び、クリック一発で選べるため、ノートPCなどキーボード配列が扱いにくい環境でも遊びやすいのが特徴です。 メッセージスキップやオートモードなど、近年のADVでよく見られる機能は元々搭載されておらず(CG・音楽モードはあるが、回想・スキップ・オートは無し)、この点はPC-98版・Windows版ともに共通です。 そのため、ゲームテンポそのものはどちらのプラットフォームでも大きく変わりませんが、「キーボードでコツコツ進めたいか」「マウスでのんびりクリックして遊びたいか」で好みが分かれるところです。
セーブ数や機能面の共通点 ― 仕様はほぼ同等の兄弟バージョン
細かな仕様面を見ると、PC-98版・Windows版ともに、セーブスロットは8つ、エンディング数は1本という設計で、ルート構造やマルチエンディング仕様に差はありません。 CG閲覧モードや音楽モードといったおまけ機能も共通しており、「どちらを買えば内容が多いのか」という比較で迷う必要はほとんどありません。 違いが出るとすれば、PC-98版のSOUND BOX同梱セットかどうか、パッケージデザインやマニュアルのレイアウトといった“物としての仕様”の部分です。PC-98版はフロッピー2枚+場合によっては音楽CD、Windows版はCD-ROM1枚という構成の違いがあるため、コレクター目線では「どうせなら両方揃えて並べたい」と感じる人も多いでしょう。
現代のプレイ環境から見た違い ― エミュレーションと互換モードのハードル
2020年代以降のプレイ事情を踏まえると、PC-9801版とWindows版では、“遊びやすさ”のベクトルが少し変わってきます。PC-98版は、もはや実機とフロッピーディスクを揃えるのが難しくなってきている反面、PC-98エミュレータ上での動作報告が多く、動作確認表でも起動A判定が付けられています。 エミュレータ設定さえ整えれば、当時の画面・音・ディスクアクセスの雰囲気をかなり忠実に再現できる点が魅力です。 一方、Windows版はOSとしてWindows 3.1/95をターゲットにしているため、最新のWindows環境ではそのまま動かない場合もあり、互換モードや仮想マシンの構築が必要になるケースがあります。 DOS窓や16bitインストーラの扱いに慣れていないと、インストールの段階でつまずいてしまうこともあり、このあたりは「古いWindowsゲーム共通の悩み」と言えるでしょう。 総じて、PC-98エミュレータ環境に慣れている人ならPC-9801版の再現度を優先したくなりますし、「古いWindows用ゲームの動作環境を整えるのに慣れている」という人ならWindows版を選ぶ、という形で、プレイヤーのスキルセットに合わせた選び方ができる状況になっています。
家庭用機・アーケード版との関係 ― あくまでPC専用タイトルとしての完結性
なお、『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』に関しては、アーケードや家庭用ゲーム機(コンシューマ機)への移植は確認されておらず、あくまでPC-9801とWindows向けのPC専用タイトルとして完結しています。 同シリーズの別作品の中には、PC-FX版やコンシューマ移植で家庭用にアレンジされたタイトルも存在しますが、『5 1/2』はそうした“家庭用寄りの再構築”を経ていないぶん、18禁PC恋愛ADVとしてのテイストがストレートな形で残されています。シナリオや表現をマイルドに改変したバージョンがないため、「当時のPC向けエロゲが持っていた空気感を、良くも悪くもそのまま味わえる作品」として貴重な位置にある、とも言えるでしょう。
まとめ ― どちらの版も“キャンバニらしさ”は共通、遊び方とコレクション性で選ぶ
PC-9801版とWindows版の違いを整理すると、 ・PC-9801版……オリジナル環境/FM音源+SOUND BOX同梱の音楽的な魅力/フロッピー媒体の当時感 ・Windows版……一般的なDOS/Vマシンで遊びやすいCD-ROM移植/640×480・256色以上で少しゆとりのある画面 といった棲み分けになります。 シナリオ構成やゲームシステムはほぼ共通しており、どちらを選んでも『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』という作品の核となる“5日間の恋愛ドラマ”は同じように味わえます。そのうえで、「PC-98時代の空気を丸ごと味わいたいならPC-9801版」「比較的手軽に起動したいならWindows版」「パッケージの存在感と音楽CDまで含めて楽しみたいならPC-9801版のSOUND BOXセット」といった具合に、自分の好みや環境、コレクション方針に合わせて選べば良いでしょう。
[game-10]
●同時期に発売されたゲームなど
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』が登場した1994年前後のPC-9801市場は、美少女ゲームやシミュレーションRPG、歴史シミュレーションなどが一気に花開いた時期でした。ここでは、当時のPC-9801を代表する人気タイトルを10本取り上げ、発売会社や価格、ゲーム内容の特徴をまとめていきます。恋愛・アダルト系から硬派な戦略ゲームまで、どの作品も「5 1/2」と同じ空気を吸っていた“同世代”の一本として眺めると、その時代のPCゲーム文化がより立体的に見えてきます。
※価格はおおむね発売当時の定価ベースでまとめています。
駿河屋
+3
ウィキペディア
+3
駿河屋
+3
★パワードール(POWER DoLLS)
ゲーム名:★パワードール(POWER DoLLS) 販売会社:工画堂スタジオ 販売された年:1994年(PC-9801版) 販売価格:定価およそ12,980円(税込/税別11,800円前後)
具体的なゲーム内容:
未来の移民惑星「オムニ」を舞台に、女性だけで構成された特殊部隊「DoLLS」を指揮する本格派シミュレーションゲームです。ターン制で進行するマップ上に歩兵や人型兵器「パワーローダー」を展開し、移動・攻撃・装備変更などを駆使して作戦目標の達成を目指します。ユニットごとに細かなパラメータが用意され、武装の組み合わせによってグラフィックや性能が変化するなど、メカ好きにはたまらない作り込みが魅力でした。
gyusyabu.ddo.jp
+1
当時としては重厚な世界設定と高い戦略性を持ったタイトルで、「美少女ゲーム中心のPC-98市場の中で、硬派な戦術級シミュレーションもきちんと売れる」ということを示した一本とも言えます。
★三國志IV
ゲーム名:★三國志IV 販売会社:光栄(現・コーエーテクモゲームス) 販売された年:1994年(PC-9801版:1994年2月26日) 販売価格:定価16,280円前後(PC-9801版、税別14,800円クラスの価格帯)
具体的なゲーム内容:
中国三国時代を舞台に、君主となって国政と戦を指揮する歴史シミュレーションシリーズの一作です。多数の武将パラメータや戦場マップ、外交・内政・人事といった要素を組み合わせて、長期的な国づくりを楽しむスタイルはPCユーザーにとって定番の娯楽でした。シリーズ初期の集大成と評されることも多く、武将の個性や戦略の幅が大きく向上したことで、何度プレイしても新しい展開が生まれやすい構造になっていました。
アットウィキ
『きゃんきゃんバニー』シリーズのようなキャラクター中心のADVとはジャンルこそ違うものの、「テキストとグラフィックの力でプレイヤーの想像力をかき立てるPC-98らしさ」を、歴史物という方向から体現した代表作と言えるでしょう。
★ファーランドストーリー 天使の涙
ゲーム名:★ファーランドストーリー 天使の涙 販売会社:テイジイエル(TGL) 販売された年:1994年7月15日(PC-9801版) 販売価格:定価10,780円前後
具体的なゲーム内容:
シミュレーションRPGシリーズ「ファーランドストーリー」の第3作にあたるタイトルで、ステージクリア型のマップを舞台にした戦術バトルとファンタジー物語を組み合わせた作品です。王国の騎士アークたちの物語に、新ヒロインである記憶喪失の少女ファナが関わっていくというドラマ性の高いストーリーが特徴で、仲間との会話イベントや加入シーンなど、RPG的な“キャラクターを見る楽しみ”が強く押し出されていました。
おたくま経済新聞
+1
戦闘面では、高低差や射程、ユニットごとの役割分担が重要で、序盤から強力な敵が登場するため、レベル上げとユニット編成の工夫が求められます。ストーリー重視のプレイヤーにも、シミュレーションの歯ごたえを求めるプレイヤーにも支持され、「PC-98時代の中堅どころシミュRPGの佳作」として記憶している人も少なくありません。
4Gamer
+1
★けっこう仮面「おしおきパラダイスの巻」
ゲーム名:★けっこう仮面「おしおきパラダイスの巻」 販売会社:ダイナミックプロ/アイデス 販売された年:1994年4月8日(PC-9801版) 販売価格:定価8,800円〜9,680円前後(税別・税込表記の違いによる)
具体的なゲーム内容:
永井豪原作の「けっこう仮面」を題材にしたアダルト寄りのアドベンチャーゲームで、原作の過激なノリをPC向けにアレンジした構成になっています。テキストと選択肢で物語を進めるコマンド型ADVをベースに、コミカルな展開やお仕置きシーン(※PCゲーム向けにアレンジされた表現)が連続する構成は、当時のPC-98らしい“原作付きアダルトADV”の代表例のひとつです。
retroblues.sakura.ne.jp
+1
シナリオ自体はギャグ寄りで、シリアスなドラマというよりもドタバタ劇を楽しむ方向性が強く、原作ファンがニヤリとできる小ネタも盛り込まれていました。『きゃんきゃんバニー』シリーズと同様、「マンガやアニメで知られるキャラクターをPCならではのテキスト量とグラフィックで味わう」文化を支えた一本と言えるでしょう。
★DESIRE 背徳の螺旋
ゲーム名:★DESIRE 背徳の螺旋 販売会社:シーズウェア(後に各社からコンシューマ移植) 販売された年:1994年(PC-9801/PC-9821版) 販売価格:おおむね6,800円前後(PC・コンシューマ版ともに同価格帯)
具体的なゲーム内容:
無人島の研究施設「DESIRE」を舞台に、新聞記者アルバートと技術主任マコトの視点が交錯するマルチサイトADVです。プレイヤーは二人の主人公の物語を切り替えながら真相に迫っていく構造で、サスペンス色の強いストーリーと巧妙な伏線回収が高く評価されました。
コンシューマーゲーム大辞典
+1
イベントごとに緊張感のあるテキストと音楽が重なり合い、「読み進めるほど不穏さが増し、最後に大きなカタルシスがやってくる」という構成は、後年の名作ADVにも受け継がれていきます。アダルト要素を含むタイトルでありながら、物語性の高さで一般ADVファンにも語り継がれる存在となり、「美少女ゲームの表現力が一段階進化した象徴的な一本」として同時期の作品群の中でも別格扱いされることが多い作品です。
★横浜エレジィ
ゲーム名:★横浜エレジィ 販売会社:FMC(F&C系)、PC-98版はADVとして発売 販売された年:1994年9月28日(PC-9801版) 販売価格:定価7,800円前後(PC-9801版)
具体的なゲーム内容:
横浜の街を舞台に、ヒロインたちとの出会いや人間模様を描いた恋愛アドベンチャー。港町の夕景やネオン、雨の路地裏といった情緒あるロケーションが多く、都会的で少しビターなムードが印象的な一本です。
むつみ
+1
プレイヤーは主人公として街を歩きながら、さまざまな女性たちとの会話イベントや選択肢を通じてストーリーを進めていきます。『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』のように“明るくドタバタした恋愛喜劇”ではなく、「大人びた都会の恋愛」を描こうとする方向性が特徴で、当時のPC-98アドベンチャーの幅広さを示すタイトルのひとつです。
★愛姉妹 ~二人の果実~
ゲーム名:★愛姉妹 ~二人の果実~ 販売会社:シルキーズ 販売された年:1994年9月30日(PC-9801版) 販売価格:定価8,580円(PC-9801版)
具体的なゲーム内容:
家族関係を軸に、ヒロインたちとの恋愛模様を描いたアダルトADVで、シルキーズの代表作のひとつとして知られています。テキスト主体のシナリオに緻密なビジュアルが組み合わされ、「家庭という閉じた空間を舞台にした人間関係の揺らぎ」を描いた作風が、多くのプレイヤーの記憶に残りました。
駿河屋
+2
駿河屋
+2
ゲームとしては、選択肢によってエンディング分岐が多数用意されており、「どこまで踏み込んだ関係にするか」というプレイヤーの選択が物語のニュアンスを変えていきます。同年の『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』がコミカルでファンタジー寄りの恋愛を描いたのに対し、本作は生々しい人間ドラマに焦点を当てた作品として、同じ時代のアダルトADVでも異なる魅力を放っていました。
★VGII ヴァリアブルジオ2 -姫神舞闘譚-
ゲーム名:★VGII ヴァリアブルジオ2 -姫神舞闘譚- 販売会社:戯画(GIGA) 販売された年:1994年11月25日(PC-9801版) 販売価格:定価9,680円(PC-9801版)
具体的なゲーム内容:
“美少女格闘トーナメント”をテーマにした「ヴァリアブル・ジオ」シリーズの続編で、アニメ的なヒロインと格闘大会の設定を組み合わせた作品です。PC-98版はアドベンチャー要素と対戦パートを組み合わせた構成になっており、ストーリーパートでキャラクター同士の関係を描きつつ、格闘パートで試合をこなしていく流れになっています。
駿河屋
+2
駿河屋
+2
キャラクターデザインやボイス(機種による)が当時としてはかなり“アニメ色”が濃く、派手な必殺技やコスチュームなど、ビジュアル面のインパクトでファンを獲得しました。『きゃんきゃんバニー』シリーズがテキストADV中心なのに対し、こちらはアクション要素の強いタイトルで、「美少女×対戦ゲーム」という流れの先駆けのひとつと位置づけられます。
★輝け!キラキラ戦士 リスキージュエル
ゲーム名:★輝け!キラキラ戦士 リスキージュエル 販売会社:ナツメ(PC-9801版) 販売された年:1994年頃(PC-9801版) 販売価格:定価10,780円(PC-9801版)
具体的なゲーム内容:
変身ヒロイン風の美少女たちが活躍する、コミカルなアドベンチャーゲームです。タイトル名からも分かる通り、“キラキラした戦士”というコンセプトで、ヒロインたちはそれぞれ個性的なコスチュームや能力を持ち、ストーリー中でさまざまな事件に挑みます。
駿河屋
+2
駿河屋
+2
物語は基本的に明るく、ギャグやラブコメ的なやり取りが中心で、『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』の「願いを叶える存在と主人公がコンビを組む」という構図ともどこか通じる雰囲気があります。ビジュアル面でのポップさや、当時としては贅沢なディスク枚数によるイベント量など、PC-98のグラフィック能力をフルに活かした一本でした。
★AmbivalenZ -二律背反-
ゲーム名:★AmbivalenZ -二律背反- 販売会社:アリスソフト 販売された年:1994年(PC-9801版) 販売価格:定価7,480円(PC-9801版)
具体的なゲーム内容:
アリスソフトらしいダーク寄りの世界観と、実験的なストーリーテリングを組み合わせたアダルトADVです。タイトルにある「二律背反」の言葉通り、相反する価値観や選択がプレイヤーに突きつけられる構造になっており、単なる恋愛・攻略ものにとどまらない重いテーマ性が特徴でした。
pc-9801.com
+2
駿河屋
+2
プレイヤーは複数のヒロインや登場人物の思惑の中で選択を繰り返し、結末によっては救いの少ないラストにたどり着くこともあります。当時のアダルトゲームとしてはかなりチャレンジングな内容で、「18禁ゲームでもSF的・心理的な物語が描ける」という可能性を示した一本として語られることもあります。『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』の軽快さとは対極にある作品ですが、同じ時代のPC-98がどれほど多様な作品を受け入れていたかを知る上で、非常に象徴的なタイトルです。
★まとめ:『5 1/2』を取り巻くPC-98黄金期の顔ぶれ
こうして見ていくと、『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』と同時期には、 ・重厚な戦争SLG(『パワードール』『三國志IV』) ・ファンタジー色の強いシミュレーションRPG(『ファーランドストーリー 天使の涙』) ・原作付きコミカルADV(『けっこう仮面 おしおきパラダイスの巻』) ・サスペンス寄りの物語ADV(『DESIRE 背徳の螺旋』) ・都会派恋愛ADV(『横浜エレジィ』) ・家庭ドラマ系アダルトADV(『愛姉妹 二人の果実』) ・格闘+ADVのハイブリッド(『VGII ヴァリアブルジオ2』) ・変身ヒロインものADV(『リスキージュエル』) ・ダークSF寄りADV(『AmbivalenZ -二律背反-』) と、実に多彩な作品が並んでいたことが分かります。
『きゃんきゃんバニーリミテッド 5 1/2』は、その中で「シリーズのスピンオフ的な立ち位置」「見習い神サワディとの5日間」という軽やかな設定を打ち出しつつ、PC-98ならではのテキスト量とビジュアル表現を活かした恋愛ADVとして存在感を放っていました。同世代の作品と並べて眺めることで、本作がPC-98黄金期の“どの位置に立っていたか”も、より鮮明に見えてくるはずです。
[game-8]■ 現在購入可能な人気売れ筋商品です♪
【中古】 きゃんきゃんバニー 1 / 叶 あゆら / ワニブックス [新書]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】
【中古】 きゃんきゃんバニー 2 / 叶 あゆら / ワニブックス [新書]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】
【SS】 きゃんきゃんバニー プルミエール2 (付録ディスクあり)【中古】セガサターン
【中古】きゃんきゃんバニー・プルミエール
【中古】きゃんきゃんバニー・エクストラ
【中古】 きゃんきゃんバニー・プルミエール2
【SS】きゃんきゃんバニー プルミエール 18歳以上対象【中古】セガサターン
【中古】 きゃんきゃんバニー エクストラ ビジュアル ファンブック/ゲーム攻略本
【中古】 きゃんきゃんバニープルミエール/セガサターン




評価 2






























