『カサブランカに愛を』(パソコンゲーム)

倉庫番ファーストステッププラス ダウンロード版/ 販売元:ブランド名:シンキングラビット

倉庫番ファーストステッププラス ダウンロード版/ 販売元:ブランド名:シンキングラビット
880 円 (税込) 送料込
「倉庫番」は、アルバイトのラビくんを操作して、倉庫の中の荷物を運ぶパズルです。なるべく少ない労力で指示された格納場所まで運ばなければなりません。単純だけど奥が深い。それが30年以上支持されてきた理由です。同シリーズは、今林宏行氏が1982年に生み出して以来、国..
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【発売】:シンキングラビット
【対応パソコン】:PC-8801、PC-9801、MSX2、X68000、X1、FM-7、Windows
【発売日】:1986年9月12日
【ジャンル】:アドベンチャーゲーム

[game-ue]

■ 概要

タイムトラベルとミステリーを融合させたコマンド入力ADV

『カサブランカに愛を ~殺人者は時空を超えて~』は、シンキングラビットが手がけたコマンド入力型の推理アドベンチャーゲームで、いわゆる「ディスクミステリー」シリーズの第3弾として1986年9月に発売されました。対応機種はPC-8801、PC-9801、MSX2、X1、FM-7といった当時の主要国産パソコンで、その後X68000版が追加され、さらに時代を下って3DOやWindows向けにもアレンジ版がリリースされています。 タイトルに「殺人者は時空を超えて」とある通り、本作の大きな特徴は“タイムトラベル”の要素を前面に出したシナリオ構成にあります。単なる殺人事件の真相を追うのではなく、異なる時代を行き来しながら少しずつ謎の全体像を掴んでいく――その構造が、ミステリーとしての興奮とSF的な想像力の両方を味わわせてくれる作品です。

物語の舞台とあらすじの輪郭

舞台は第二次世界大戦末期のアメリカ、1945年のシカゴ。地方紙「デイリー・カサブランカ」に勤める女性記者ジェリー・ランドルフが、本作の主人公です。ある日、行方不明になっていた友人メイ・エルガーから届いた日記をきっかけに、彼女は同僚のロイ・スティーブンスと共に、メイの父である科学者エルガー博士の研究をめぐる陰謀に巻き込まれていきます。 物語の核となるのは、博士が密かに進めている“時空に干渉する装置”を巡る争奪戦です。軍部や得体の知れない組織がその研究成果を狙い、やがて殺人事件まで発生することで、ジェリーたちは「友人を救いたい」という個人的な想いと、「危険な研究成果を悪用から守らなければならない」という使命感の狭間で揺れることになります。プレイヤーは、日記に書かれた断片的な情報と、現場で得られる証言や証拠を頼りに、1945年と過去の時代を行き来しながら、真相と“時空を越える殺意”の正体に迫っていきます。

ゲームジャンルと基本システム

ゲームとしては、画面に表示される一枚絵とテキストメッセージを見ながら、プレイヤーがキーボードからローマ字でコマンドを入力して進めていく、きわめてクラシカルなスタイルのアドベンチャーです。コマンドの基本は「ミル」「イケ」「ハナス」といった動詞を中心に、対象となる人物名や物の名前を組み合わせて入力する方式で、シンキングラビットが得意としてきたテキスト主体の推理ゲームの系譜に連なっています。 当時、すでにアイコン選択式やメニュー選択式のアドベンチャーも登場し始めていましたが、本作はあえてキーボード入力にこだわることで、「手探りで状況を切り開いていく感覚」や、キーボードを叩きながら推理を組み立てていく“思考の手触り”を重視した作りになっています。慣れないうちは入力の試行錯誤が必要ですが、その分、重要な行動にたどり着いたときの手応えも強く感じられる設計です。

モノクローム画面が生むフィルム・ノワール的な空気

初期PC版のグラフィックは、あえて白黒のみで描かれたモノクローム表示です。 当時のPC-8801やPC-9801のアドベンチャーゲームでは、8色~16色程度とはいえカラー表示が一般的になりつつありましたが、『カサブランカに愛を』はその流れに逆らうかのように、陰影の効いた一枚絵と文字情報だけで世界を立ち上げています。人物の表情や街角の風景、研究所内部の機材配置などは、線画とトーンの濃淡だけで表現されており、そのストイックな画面作りが、ハードボイルド映画やフィルム・ノワールを思わせる重厚な雰囲気を醸し出しています。色彩情報に頼らないぶん、プレイヤー自身の想像力が余白を埋めていく感覚が強く、プレイを続けるほどに、頭の中で“自分だけの映画版カサブランカ”が組み上がっていくような体験を味わえるのが特徴です。

あえて“無音”で進行するサスペンス

もうひとつ、本作を語るうえで欠かせないのが、オリジナル版にはBGMが存在しないという点です。 当時のPCゲームでは、FM音源やPSGを使った簡易的なBGMやジングルを流す作品も増え始めていましたが、『カサブランカに愛を』は、タイトル画面からエンディングに至るまで、基本的には効果音すらない静寂の中で進行します。紙に印刷された活字だけを追っていく推理小説のように、音楽による感情の誘導を排し、プレイヤーが文字と画面と自分の想像力だけを頼りに物語に没頭できるようにしているわけです。この“無音のサスペンス”は、人によって好みが分かれる部分でもありますが、ハマる人にとっては他では味わえない独特の緊張感と静かな高揚をもたらします。

X68000版・3DO版・Windows版への展開

のちに発売されたX68000版では、グラフィックがフルカラー化され、BGMも追加されるなど、よりリッチな表現へとブラッシュアップされました。 さらに、3DOおよびWindows向けには『時を超えた手紙』というタイトルでリメイク版が登場します。これは、元のタイトルや広告イラストが映画『カサブランカ』を連想させるため、コンシューマ機での展開にあたって権利関係をクリアにする目的もあったとされており、ゲーム内容はおおむね踏襲しつつも、フルカラーグラフィックやBGM、ボイスなどを追加した豪華版という位置付けです。 その一方で、モノクローム+無音というオリジナルPC版ならではの硬質な空気感を好むファンも多く、「どのバージョンが決定版か」を巡る議論がレトロゲームファンの間で交わされることもあります。

ディスクミステリーシリーズの中での位置づけ

シンキングラビットは、『倉庫番』の大ヒットで知られる一方で、本格的なミステリー志向のアドベンチャーゲームにも注力していたメーカーです。『鍵穴殺人事件』『道化師殺人事件』と続いたディスクミステリーシリーズは、推理小説的な重厚さと、プレイヤー自身に考えさせるゲーム性で高い評価を受けており、『カサブランカに愛を』はその路線をSF寄りに押し広げた作品といえます。 シリーズ前作が“現代ミステリー”色の強い作品だったのに対し、本作ではタイムトラベルという大胆なギミックを取り入れることで、時代の違いから生まれるドラマや、過去の出来事が現在へと波紋を広げる構造を描き出しています。その結果、単なる犯人当てのゲームを超え、「時間」と「記憶」と「選択」の重みを描いたSFサスペンスドラマとして、シリーズの中でも特に印象深い一本になっています。

現在から見た“クラシックADV”としての価値

発売から数十年が経った現在でも、本作はレトロPCファンやアドベンチャーゲーム愛好家の間でたびたび語り継がれています。現代的な視点から見れば、コマンド入力の手間や、総当たり気味の探索、行き詰まりやすい構造など、遊びやすさの面では古さが目立つのも事実です。しかし、モノクロ画面と無音の組み合わせが生み出す独自の緊張感、時空をまたいで伏線が回収されていくシナリオの構成力、そして戦時下のアメリカを舞台に描かれる人間ドラマなど、今なお通用する魅力も数多く備えています。タイムトラベルもののアドベンチャーゲームがまだ珍しかった時代に、こうしたテーマへ果敢に挑み、“愛”と“信念”を軸にした物語としてまとめ上げた点で、『カサブランカに愛を』は国産ADV史の中で重要な位置を占める作品といえるでしょう。

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■ ゲームの魅力とは?

物語に「引きずり込まれる」タイムトラベルサスペンス

『カサブランカに愛を』の一番の魅力は、タイムトラベルを題材にしながらも、難解なSF理論を振りかざすのではなく、人間同士の感情や信頼関係に軸を置いたサスペンスドラマとして成立しているところです。プレイヤーは女性記者ジェリーとして、親友メイの残した日記を手がかりに事件の真相を追いますが、捜査を進めるうちに時間軸そのものが物語の仕掛けとして立ち上がってきます。別の時代に移動したことで初めて意味を持つ証拠や、後になってから価値が分かる会話の一節など、プレイを進めるほど「さっき見たあのシーンは、ここへの布石だったのか」という発見が積み重なり、プレイヤー自身が物語の糸を手繰り寄せている実感を味わえます。タイムリープものは、うまく扱わないと場当たり的なご都合主義になりかねませんが、この作品では時間移動がきちんと「原因」と「結果」を結びつける装置として機能しており、終盤に向けて過去と現在の出来事が一つの線に収束していく流れには、今遊んでも古びない説得力があります。

モノクロ画面が生む、古い映画のような余韻

当時としても珍しかった「全編モノクロ」のビジュアルは、本作を語る上で欠かせない要素です。カラー表示自体は技術的に可能だったにもかかわらず、あえて白と黒だけで画面を構成することで、戦時下のアメリカや研究所の冷たい空気、夜の街の湿った暗がりといった情景が、古いモノクロ映画を思わせるトーンで表現されています。 キャラクターの表情やポーズも、線の抑揚と影の付け方で印象づけるスタイルで描かれており、画面をじっと眺めていると、実際の色が付いていないにもかかわらず、自分の頭の中で自然と色彩が補完されていくような感覚があります。特に、新聞社の編集室や荒れ果てた研究所跡など、物語の節目で訪れる場所は、コントラストの強い画面設計によって「ここで何かが起きた」という気配を視覚的に刻みつけてくるため、プレイヤーの記憶に強く残ります。派手なエフェクトやアニメーションはほとんどないのに、画面の一枚一枚が印象的な「カット」として脳裏に焼き付いていく――この静かな力強さは、現代の高解像度グラフィックとは別種の魅力と言えるでしょう。

あえて音楽を排した「沈黙の演出」

BGMが一切存在しないという設計も、本作の雰囲気作りに大きく貢献しています。多くのアドベンチャーゲームでは、場面転換のたびに音楽が変わり、プレイヤーの感情を誘導する役割を担いますが、『カサブランカに愛を』は、タイプ音と画面切り替え以外の音がほとんど存在しません。 そのため、プレイヤーは画面に浮かび上がる文章とモノクロイラストに集中することになり、物語の緊張感やジェリーたちの焦り、不安といった感情を、文字から読み取って自分の中で再構成していくことになります。この「静けさ」は、人によっては物足りなく感じられるかもしれませんが、逆に言えば、ゲーム側から感情を押し付けてこない分、プレイヤー自身がより能動的に物語を味わう余地が生まれているとも言えます。真夜中に一人でプレイしていると、キーを叩く自分の音だけが部屋に響き、あたかもジェリーがタイプライターを打ちながら記事を書いているかのような錯覚すら覚えることもあり、この感覚は「音があるゲーム」ではなかなか得られない独特の没入感です。

コマンド入力型ならではの没入感と達成感

操作システム自体はオーソドックスなコマンド入力方式で、プレイヤーはローマ字で動詞や名詞を入力して行動を指示します。選択肢形式のアドベンチャーに慣れた感覚で見ると不便に思えますが、この方式には独自の良さがあります。まず、自分の頭で「次に何をするべきか」「どこを調べるべきか」を考え、それを言葉にして入力するという過程を経るため、成功したときの手応えが非常に大きい点です。単に選択肢から「調べる」を選んだのではなく、「ミル」「ツクエ」「ヒキダシ」といった単語を自分で打ち込んで行動を起こした結果、新たな証拠が見つかったとき、その発見はプレイヤー自身の発想によって得られたものだと強く感じられます。 また、入力できるコマンドの幅が比較的限定されているため、初期のコマンド入力ADVにありがちな「言葉当てクイズ」になりにくく、ある程度試行錯誤を繰り返していれば、自然と正しい言葉にたどり着けるバランスになっています。決して親切なシステムとは言えませんが、「考えたことを言葉にする→ゲームが反応を返す→それを手がかりに次の行動を探る」というサイクルそのものが、一種のロールプレイとして機能しており、ジェリーの視点で事件に関わっている手触りを強く感じさせてくれます。

キャラクターたちが背負うドラマ性

本作は「殺人事件の真犯人を当てる」ことだけが目的ではなく、それぞれの登場人物が抱える葛藤や信念に焦点が当てられている点も魅力です。主人公のジェリーは、職業的な正義感と友人を救いたいという個人的な思いの板挟みになりながらも、自分の選択に責任を持とうとする強さを持った女性として描かれています。一方、パートナーであるロイは、ときに軽口を叩きながらも、ここぞという場面で頼れる相棒としてジェリーを支える存在であり、二人のやり取りは殺伐とした物語の中に人間味を与えています。彼らの周囲にいる軍関係者や研究所の関係者たちも、単なる記号的な悪役やモブに留まらず、それぞれの立場から“正しさ”を主張する人物として描かれているため、プレイヤーは単に犯人を憎むのではなく、「なぜこのような選択に至ってしまったのか」という背景を考えずにはいられなくなります。終盤に向けて、時間をまたいで積み重ねてきた行動が彼らの運命に影響を及ぼしていく流れは、ミステリーというよりも、重厚なヒューマンドラマに近い余韻を残してくれるでしょう。

「映画的なアドベンチャー」を先取りした構成

章立てされた展開や、場面ごとに切り替わる印象的な一枚絵の使い方など、本作には「映画的」な見せ方を意識した構成が随所に見られます。新聞社の編集室から物語が始まり、日記の内容をきっかけに研究所へ向かい、そこで事件が起こり、やがて時間をまたいだ移動へ……という流れは、まるでモノクロ映画のサスペンスをシナリオとして読み進めているかのようです。当時はまだ「シネマティックアドベンチャー」という言葉が一般的ではなかった時代ですが、テキストと静止画だけで“映画的体験”を作り出そうという試みは、現在のビジュアルノベルやムービー主体のADVにも通じるものがあります。特に、タイムトラベルによって過去と現在の同じ場所を行き来し、その変化をプレイヤー自身に見比べさせる演出は、「同一カットで時間だけが違う」という映画的な構図をゲームのインタラクションに落とし込んだものであり、シンプルながら非常に効果的です。

移植版との対比で際立つオリジナル版の味わい

後年に登場したX68000版や、タイトルを変更して発売された3DO・Windows版『時を超えた手紙』では、フルカラーのグラフィックやBGM、ボイスなどが追加され、より豪華で分かりやすいプレゼンテーションへと生まれ変わりました。 これらのバージョンでは、キャラクターの表情や場面の空気感が視覚的・聴覚的に補強されているため、物語への入り口としては非常に優れていますが、その一方で、初期PC版のモノクロ+無音というストイックな構成は、「自分の想像力でもう一段階上のドラマを構築していく余白」をプレイヤーに与えてくれるという意味で、別の魅力を持っています。移植版を先に遊んだ人が、改めてオリジナル版に触れてその渋さに惚れ込むケースも多く、同じストーリーを“映画のように観るか”“小説のように読むか”という楽しみ方の違いを体感できるのも、この作品ならではの面白さと言えるでしょう。

レトロゲームとしても語り継がれる存在感

発売から長い年月が経った現在でも、レトロPC専門誌やインターネット上のレビュー、連載コラムなどでたびたび取り上げられていることからも分かるように、『カサブランカに愛を』は単なる懐古対象を超えた“語るに値する作品”として認知されています。 それは、タイムトラベルというモチーフの新鮮さや、推理アドベンチャーとしての完成度だけでなく、「戦時という極限状態の中でも人は何を信じ、何を守ろうとするのか」という普遍的なテーマを、ゲームという媒体で真剣に描こうとした姿勢が、多くのプレイヤーの心に残り続けているからではないでしょうか。操作性やUIの面では現代の作品に当然及ばないものの、一度その世界観に入り込んでしまえば、最後まで一気に遊ばせる力を持っており、「古いけれど、今遊んでも十分通用する」タイプのクラシックADVとして、多くのプレイヤーから“名作”の名を与えられているのです。

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■ ゲームの攻略など

まず押さえておきたい基本方針

『カサブランカに愛を』は、派手なアクションよりも「状況をよく観察し、情報を整理し、順序よく行動する」ことが何より大切なアドベンチャーです。ゲームオーバーや行き詰まりも用意されていますが、理不尽な罠というより「きちんと調べていれば避けられる失敗」が多く、プレイヤーの注意力とメモ取りが攻略の鍵になります。まず意識したいのは、場面が変わったら必ず周囲を一通り調べること、登場人物が新しく出てきたら全員に話しかけ、できれば同じ人物にも状況が変わるたびに再度話を聞き直すことです。時空をまたぐ物語である以上、「今ここで得た一言」が、別の時代での行動方針を形作るケースも少なくありません。

序盤攻略:日記と新聞社での情報整理

ゲーム開始直後は、ジェリーの職場である新聞社「デイリー・カサブランカ」が舞台になります。ここでの目的は、メイから届けられた日記の内容を把握し、これから向かうべき場所と、関わってきそうな人物の輪郭をつかむことです。まずは日記を丁寧に読み、そこに登場する固有名詞(人名・地名・研究名など)をしっかり頭に入れておきましょう。紙のメモ帳を用意して、気になった単語や日付を書き出しておくと、中盤以降の時代移動で「どの時点で何が起きていたか」を整理するのに役立ちます。また、編集長や同僚に話を聞くことで、メイやエルガー博士に対する第三者の評価や、戦時下の社会状況などもわかってきます。ここで得られる背景情報は一見“直接の攻略ヒント”には見えませんが、のちにプレイヤーが選択を迫られたときの判断材料になります。

エルガー邸・研究所パートの立ち回り

序盤から中盤にかけての山場となるのが、メイの実家であるエルガー邸と博士の研究所を訪れるパートです。ここでは「いかに見落としなく調査を進めるか」が生命線になります。部屋に入ったら、まずは全体を一通り見てから、机・本棚・戸棚・床・壁など、気になる部分を順番に調べる癖をつけましょう。モノクロ画面ゆえに、見た目で重要度を判断しづらいオブジェクトもありますが、そのぶん「とりあえず怪しそうなところは全部調べる」くらいの気持ちで探索すると取りこぼしが減ります。特に、研究資料やメモ、写真類は、後の時代に飛んだときに「過去と現在の差分」を読み解く材料になりますので、できる限り早い段階で内容を把握しておきたいところです。また、人物への質問内容も複数用意されていることがあるため、一度話しかけて終わりにせず、「別の話題を選ぶ」「状況が変わった後でもう一度会いに行く」といった粘り強さも重要です。

時間移動が可能になってからの“フラグ管理”

本作で最も悩まされやすいのが、時空を移動できるようになってからの進行手順です。時間移動のギミックが解禁されると、同じ場所でも「別の時代に行くと状態が違う」という状況が頻繁に発生します。例えば、ある時代では閉ざされている部屋が、別の時代では開いていたり、逆に物が失われていたりと、時代ごとの差異がそのまま謎解きのヒントになる構造です。このため、時間を移動したら「同じ場所を必ず見直す」ことを徹底しましょう。細かい変化に気づくほど、物語の理解が深まり、次に取るべき行動も見えてきます。また、ある時代で行った行動が、別の時代の状況を変化させることもあります。研究所の設備に手を加えた結果、過去の時点で別のイベントが発生する、といった具合です。「この行動は、どの時間軸に影響を与えるのか?」を意識しながら行動すれば、闇雲に時間移動を繰り返すよりも、はるかに効率よくシナリオを進められるはずです。

ゲームオーバー・行き詰まりを避けるコツ

ディスクミステリーシリーズ共通の特徴として、本作にも「選択を誤ると詰む」「重要な証拠を取り逃すと後から回収できない」といったシビアなポイントが存在します。とはいえ、常に理不尽な死が待っているわけではなく、多くの場合はプレイヤーの行動に「それなりの理由」があるものです。危険な人物と二人きりになる場面や、明らかに不穏な状況で奥へ踏み込もうとする場面では、「本当に今このタイミングで行くべきか?」を一度立ち止まって考えるクセをつけましょう。また、こまめなセーブは必須です。時代や場所が大きく切り替わる前、重要そうな会話が始まる前など、「ここから先は何かが動き出しそうだ」と感じたときには、ためらわず別スロットにセーブデータを作るのが安心です。PC-8801版などでは、攻略サイトが細かくフラグ構造を解説しているので、どうしても抜け出せない行き詰まりにハマった場合は、“正解ルートの確認”だけ参考にして、自分のプレイに戻る、という使い方もおすすめです。

コマンド入力のコツと「言葉探し」を減らす工夫

コマンド入力式ADVでもっともストレスになりがちなのが、「ゲーム側の想定している単語を当てるための言葉探し」です。本作は同時期の他作品と比べると、必要なコマンドの種類が比較的絞られており、極端にマニアックな単語を要求されるケースは多くありませんが、それでも行き詰まると「何を入力すればいいのか分からない」状況に陥りがちです。そこで、あらかじめ「よく使う動詞のリスト」を自分で作っておくのが有効です。たとえば「ミル」「アケル」「トル」「アラウ」「ハナス」「シラベル」「タタク」など、汎用的に使えそうな動詞を10~20個ほどピックアップしておき、怪しい場所やアイテムを見つけたら、そこに対して片っ端から試していく、というやり方です。こうして“自分なりのテンプレ行動”を作っておくと、純粋な単語当てに費やす時間が減り、「状況を読む」「推理する」といった本質的な面に集中しやすくなります。

難易度とプレイ時間の目安

ボリュームそのものは、巨大なRPGのような長さではなく、一本道のアドベンチャーとしては中程度といった印象です。ただし、コマンド入力の試行錯誤や、時系列の整理にかかる時間を含めると、人によってプレイ時間は大きく変わります。要領よくフラグを立てながら進めた場合は、数時間~十数時間でのクリアも可能ですが、初見でじっくり文章を味わいながらプレイしたり、ノーヒントで挑戦した場合には、まとまった週末を丸々使うくらいの覚悟があると安心です。全体的な難易度は「極端に高難度」というほどではありませんが、物語終盤に向かって情報量が増え、時間移動のパターンも複雑になっていくため、後半の方が頭を使う場面が多くなります。進行に不安を覚えたら、時系列とフラグの整理のために、一度ゲームを止めてメモだけ見直す時間を取るのも効果的です。

裏技・小ネタ・やり込み的な楽しみ方

いわゆる「隠しコマンド」や「一発クリアの裏技」のような派手な裏技はあまり知られていませんが、その代わり、シナリオの理解を深めるための“やり込みプレイ”の余地が大きい作品です。例えば、一度クリアした後に、序盤から終盤までの時系列を整理し、「どの時点で誰が何を知っていたのか」「どの行動が別の時間軸にどう影響したのか」を意識しながら再プレイしてみると、初回プレイではスルーしていた台詞や背景描写が新しい意味を帯びて見えてきます。また、PC-8801版・PC-9801版・X68000版・Windows版(時を超えた手紙)といった各バージョンを遊び比べるのも一興です。モノクロ無音のオリジナル版と、カラー+BGM付きの後期版では、同じシナリオでも受ける印象がかなり違うため、「どちらの雰囲気が自分好みか」を感じながらプレイし比べるのも、レトロゲームファンならではの贅沢な楽しみ方と言えるでしょう。

どうしても詰まったときの“最後の手段”

完全ノーヒントでクリアするのが理想とはいえ、仕事や生活の合間に遊ぶ現代のプレイヤーにとって、何時間も同じ場面で足踏みし続けるのはなかなか辛いものがあります。その場合は、攻略サイトやシナリオログを「詰まった箇所だけ」「一章分だけ」と区切って参照するのも一つの手です。具体的なコマンド列を丸写ししてしまうと、ゲームの醍醐味が薄れてしまいますが、「次に行くべき場所」や「見落としていたイベントの存在」だけ確認し、実際の探索や会話自体は自分の手で行うようにすれば、物語を追体験する楽しさを損なわずに済みます。シンキングラビットの作品は、シナリオをじっくり味わってこそ真価を発揮するタイプなので、「完全自力クリア」にこだわりすぎて途中で投げ出してしまうくらいなら、適度に外部のヒントを併用しつつエンディングまでたどり着き、そのうえでもう一度、自力での再挑戦に取り組む、という順番も十分アリでしょう。

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■ 感想や評判

総じて「地味だが忘れがたい名作」という評価

『カサブランカに愛を』に対するプレイヤーの代表的な感想を一言でまとめるなら、「派手さはないが、遊んだ人の記憶に深く残るアドベンチャー」といった印象に集約されます。システム面は古典的なコマンド入力式で、ビジュアルもモノクロという極めて地味な作りでありながら、時空を越えるサスペンスと人間ドラマが丁寧に積み上げられているため、クリア後に独特の余韻が残ると語るプレイヤーが多いです。レトロゲームの個人ブログやアンケート企画などでも、「お気に入りの8ビットADVの一つ」として名前を挙げる人がいて、決して知名度は高くないものの、刺さった人には長年愛され続けているタイプの作品と言えます。

シナリオ・雰囲気への賞賛の声

評価の中で特に多く言及されるのが、シナリオと雰囲気に対する賞賛です。時間移動を繰り返すうちに、過去と現在に撒かれていた伏線が少しずつ繋がっていく構成は、テキスト主体のADVならではの醍醐味として高く評価されています。物語そのものは長大ではないものの、「時間軸が絡んだ事件の真相」にたどり着いたときの納得感が強く、結末まで遊び切ったプレイヤーほど、シナリオの完成度を口にする傾向が見られます。また、戦時下のアメリカという舞台設定と、モノクロ画面によるフィルム・ノワール風の空気感の相性が良く、「文章と一枚絵だけでここまで映画的な雰囲気を出せるのか」と感心させられたという感想も少なくありません。レトロPCゲームを総覧する書籍やコラムでも、本作はしばしば「感情に訴えかけるアドベンチャー」として名を連ねており、物語面での評価は総じて高いと言えるでしょう。

ゲーム性・難易度の受け止め方

一方で、ゲームとしての難易度やテンポに関しては、プレイヤーの評価が分かれるポイントでもあります。選択肢方式が一般化していなかった時期の作品とはいえ、コマンド入力式ゆえにどうしても「言葉探し」的な側面があり、総当たりに近い試行錯誤が発生しがちです。ただ、本作は他の同時期ADVと比べると必要なコマンドの語彙がやや抑えられており、理不尽な単語当てになりにくいと感じる人も多く、「歯応えはあるが理不尽一歩手前に留めている」というポジティブな評価も見られます。X68000版のユーザーレビューでは、全体の難易度について「難しすぎず、ちょうど良い」とする声が複数寄せられており、遊び方さえ掴めば適度な緊張感で最後まで進められるバランスだと受け止められているようです。

インターフェースやテンポへの不満・古さの指摘

肯定的な意見が多い一方で、「インターフェースの古さ」がネックとして挙げられることも少なくありません。キーボードでのコマンド入力に慣れていないプレイヤーにとっては、短い単語を何度も打ち込む操作自体がストレスになりやすく、特に現代のADVやビジュアルノベルに慣れた人ほどテンポの悪さを感じてしまうようです。また、時空をまたぐ構造上、情報整理やフラグ管理が少し複雑なため、「シナリオは面白いが、進め方が分からず投げてしまった」という声も見られます。こうした点から、「名作だとは思うが、今の感覚でプレイするにはある程度覚悟が必要」「攻略情報と併用しながらでないと厳しい」という慎重な評価もあり、作品への愛情と同時に、時代なりの限界も正直に語られています。

移植版『時を超えた手紙』に対する賛否

3DOやWindows向けにタイトルを変えて発売された移植版『時を超えた手紙』については、「豪華になったが好みが分かれる」というのが大まかな評判です。フルカラーのグラフィックやBGM、ボイスが加わり、物語の理解や感情移入はしやすくなったものの、一部のプレイヤーからは「追加された演出によってテンポが悪くなった」「声優の演技や演出の方向性がシナリオの渋さと噛み合っていない」といった指摘も上がっています。その一方で、世界観や音楽を高く評価する意見もあり、「ビジュアルとサウンド面は非常に魅力的だが、物語の印象はオリジナルPC版のほうが好み」という、やや複雑な評価になりがちです。いずれにしても、元がPC用テキストADVである以上、移植版も「遊びやすさは向上したが、本質はあくまで読み応えのあるサスペンスADV」という位置付けで受け止められていると言えるでしょう。

レトロゲームファンからの再評価とコレクター的価値

近年では、レトロPCゲームを特集する書籍やウェブ記事が増えてきたこともあり、本作を「当時を代表するテキストADVの一本」として紹介するケースも見られます。PC-8801やPC-9801の名作を振り返る企画では、『倉庫番』『鍵穴殺人事件』『道化師殺人事件』と並んで、『カサブランカに愛を』の名前が挙がることが多く、シンキングラビット製ADVを語るうえで外せない一本として扱われています。 オリジナルのPC用パッケージは現在では入手難度が高く、ディスクメディアの保存状態も含めてコレクターアイテムとしての価値が高まりつつありますが、一方でX68000版のディスクイメージや資料がアーカイブとして公開されており、歴史的なソフトウェアとして保存・研究の対象にもなっています。このように、「実際に遊ぶ」「資料として眺める」「パッケージをコレクションする」といった複数の楽しみ方が共存している点も、長く語り継がれる作品ならではの特徴と言えるでしょう。

現代のプレイヤーから見た魅力とハードル

現代のプレイヤーがこの作品に触れたとき、多くの人が最初に感じるのは「不便さ」かもしれません。セーブやロードの手間、コマンド入力の煩雑さ、説明不足気味のチュートリアルなど、UI面ではどうしても時代相応です。しかし、こうしたハードルを乗り越えて物語の核に到達したプレイヤーからは、「ここまで来ると不便さも含めてこのゲームの味だと感じる」という声が上がります。遊びやすさでは現代のADVに及ばないものの、モノクロ画面と無音の演出、時空を越えるシナリオ構成が組み合わさった唯一無二の手触りは、今のゲームにはない体験として逆に新鮮に映るのです。その意味で、『カサブランカに愛を』は「万人におすすめできる快適な古典」ではなく、「少し手間をかけてでもじっくり味わいたい人に向けたクラシックな一冊の小説」に近い存在だと言えるでしょう。レトロゲームファンやテキストADV好きの間で、今なお静かな支持を集めているのは、まさにその“読後感”ならぬ“プレイ後感”が強いからに他なりません。

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■ 良かったところ

タイムトラベルの仕掛けが物語と一体化しているところ

まず真っ先に挙げたい長所が、「時間移動」というギミックが単なる飾りではなく、物語の芯そのものに深く結びついている点です。過去と現在、複数の時間軸を行き来するタイプの作品は数多くありますが、その中には「設定としては面白いけれど、実際のゲーム部分にはあまり活かされていない」という例も少なくありません。その点、『カサブランカに愛を』では、プレイヤーが行う時間移動が、そのまま登場人物たちの運命や事件の構図に影響を与えており、シナリオ進行とゲームプレイが気持ちよく噛み合っています。ある時代で見かけた些細な痕跡が、別の時代に飛んだとき「これはあのときの…」と意味を持ち始める瞬間が何度も訪れるため、プレイヤーは常に「この行動が未来(あるいは過去)にどう響くのか」を考えながら進めることになります。その結果、時間移動そのものが推理の一部になっており、単にテキストを読み進めるだけでは味わえない、ゲームならではの思考の楽しさが生まれています。

モノクローム+無音が生む独特の空気感

グラフィックとサウンドの演出面も、本作の大きな長所です。当時としても珍しい「全編モノクロ」の画面と、BGMや効果音すらほぼ存在しない無音の空間は、一見すると地味そのものですが、プレイを続けるうちにじわじわと効いてきます。白と黒の濃淡だけで描かれた街の風景や室内のインテリアは、余計な情報が削ぎ落とされているぶん、陰影や構図のニュアンスが際立ち、戦時下という不穏な時代の空気をしっかりと伝えてくれます。そこに音楽が流れないことで、プレイヤーは画面に浮かぶイラストとテキストだけに意識を集中させることになり、気がつけばジェリーたちと同じように、静寂の中で手がかりを探す感覚に没入していきます。特に夜の街路や、人気のない研究所の廊下を歩くシーンなどは、音楽がないからこそ生まれる「張りつめた静けさ」があり、ちょっとした画面切り替えや一行のメッセージにさえ、プレイヤーの想像力が大きく揺さぶられます。今の基準で見れば貧弱とも言える表現が、結果として唯一無二の雰囲気を作り出している点は、本作ならではの魅力と言えるでしょう。

キャラクター描写の細やかさと人間ドラマの厚み

事件の謎やSF的な仕掛けに目を奪われがちですが、人間ドラマの描き方も本作の美点です。主人公のジェリーは、単純な「正義感あふれるヒロイン」ではなく、記者としての職業意識と、友人メイを想う個人的な感情の間で揺れ動く人物として描かれています。上司や同僚との関係、戦時下という特殊な状況の中での仕事の重さ、女性が社会で働くことへの周囲の視線など、背景にある社会性がさらりと織り込まれているため、彼女の行動には常に“現実味”が伴っています。また、パートナーであるロイは、飄々とした態度の裏に、ジャーナリストとしての良心やジェリーへの信頼を秘めており、二人のやり取りを追っているだけでも、会話劇としての面白さを感じられます。エルガー博士や軍関係者、研究所の職員たちも、一面的な善悪の記号として扱われるのではなく、それぞれの立場や信念を持った人物として描かれるため、単純な勧善懲悪とは違う、厚みのあるドラマが立ち上がってくるのです。ラストに至るまでの過程で、プレイヤーは「誰が正しく、誰が間違っているのか」だけでなく、「この状況で自分ならどう行動するか」という問いを突きつけられます。

コマンド入力式の「考えさせるゲーム性」

いま遊ぶと古さは否めないものの、コマンド入力方式そのものにも本作ならではの魅力があります。選択肢方式のように用意されたボタンを押すのではなく、自分で動詞と名詞を組み合わせて行動を指定するため、プレイヤーは常に「次に何をするか」を自分の頭で考え続けることになります。見回したいなら「ミル」、話しかけたいなら「ハナス」、扉を開けたければ「アケル」といった具合に、一つひとつの操作に自分の意志が直に反映されるため、新しい情報を引き出せたときの満足感が大きいのです。しかも、本作は必要となるコマンドの種類がある程度絞られており、極端にマニアックな単語を求められる場面はそれほど多くありません。「この状況なら、現実の自分はどう動くだろうか?」という感覚で行動を考えると、自然と正解に近づいていくバランスになっているため、プレイヤーの想像力と推理力がそのままゲームプレイにつながっていきます。作業的な総当たりになりにくく、「自分が場面の中に入り込んで動いている」感覚を与えてくれる点は、コマンド入力式ADVの良い部分をしっかりと引き出していると言えるでしょう。

分量のバランスと「一気読み」したくなる構成

長大なテキスト量で圧倒するタイプのADVではなく、物語全体の分量は適度にコンパクトに抑えられている点も、本作の良いところです。ダラダラと寄り道が続くのではなく、事件の発端から真相解明までが比較的タイトなテンポで進行するため、プレイヤーは常に何かしらの目的や不安を抱えながら物語を追いかけることになります。「今日はここまでにしておこう」と一度区切りをつけたつもりが、「もう少し先を確かめたい」と気がつけば深夜までプレイを続けてしまう――そんな“ページをめくる手が止まらない小説”のような感覚を味わえるのです。また、プレイ時間が極端に長くないおかげで、クリア後に再度最初からやり直すハードルも低く、「時間軸の構造を理解したうえで二周目に挑戦する」という楽しみ方がしやすいのも魅力です。初回プレイでは理解しきれなかったニュアンスや伏線を、一度全体像を知ってから改めて味わい直すことで、物語の印象がさらに深くなっていきます。

シリーズの中で際立つ“実験作”としての価値

シンキングラビットのディスクミステリーシリーズの中で見ると、『カサブランカに愛を』はかなり挑戦的な位置づけの作品です。前後の作品が、よりストレートな本格推理や現代ミステリー色の強い題材を扱っているのに対し、本作はタイムトラベルというSF的な要素を取り入れることで、シリーズの方向性を一歩広げています。普通であれば、シリーズ物の三作目でここまで毛色の違うテーマに挑戦するのはリスクも大きいはずですが、それでも開発側が「人間ドラマとミステリーを、時間という要素を使ってもっと豊かに描きたい」と考えたのだろうと感じさせる作りになっており、そのチャレンジ精神自体が、作品に独特の魅力を与えています。そして幸いなことに、その試みは決して空振りに終わっておらず、時間移動ギミックはシナリオの核心としてしっかり機能し、シリーズ中でも印象に残る一本へと結実しています。メーカーの代表作として最初に名前が挙がるタイプではないかもしれませんが、系列作品を追っていくと「ここでこういう実験をしていたのか」と分かる、味わい深い中核タイトルになっているのです。

今遊んでも通用する普遍的なテーマ

物語の背景となる第二次大戦末期という時代設定や、「軍事研究」と「科学者の倫理」といったモチーフは、発売から長い年月が経った現在でも色あせていません。技術が戦争に利用されてしまう恐れ、研究者本人の意図とは違う形で成果が使われてしまう危険、そしてそんな状況の中でジャーナリストや市井の人々は何ができるのか――こうした問いは、現代社会にもそのまま通じるテーマです。また、時間移動というファンタジー要素を通じて描かれるのは、「もしあのとき別の選択をしていたら」という誰もが心のどこかで抱く思いであり、プレイヤーはジェリーたちの葛藤を追いながら、自分自身の過去や選択についても自然と考えさせられます。技術やインターフェースは時代なりでも、描かれているテーマはきわめて普遍的で、それこそがこの作品が長く語り継がれている最大の理由だと言ってもいいでしょう。

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■ 悪かったところ

コマンド入力式ゆえの不便さとストレス

本作でもっとも指摘されやすい欠点は、やはり操作系が完全なコマンド入力式であることです。プレイヤーは常にキーボードからローマ字で動詞と名詞を打ち込み、ゲーム側が想定した語彙にきちんと合致しないと、たとえ意図は合っていても「何も起こらない」という結果になってしまいます。ある程度プレイを続ければ「よく使う動詞」が分かってきてストレスは軽減されるものの、慣れるまでの導入部で挫折してしまう人も少なくありません。特に現代のプレイヤーからすると、「カーソルを動かして選ぶだけで進むADV」に見慣れているため、短い単語とはいえ一々自分で入力しなければならない仕組みは、どうしても古臭く、冗長に感じられてしまいます。ゲーム側も完全に理不尽な“言葉当てクイズ”にならないよう配慮してはいるものの、「この状況なら『シラベル』と『ミル』どちらが正解なのか」といった細かな違いで引っかかることがあり、テンポを損ねる一因になっています。

進行フラグが分かりづらく、詰まりやすい構造

時間移動を活かしたシナリオ構成自体は本作の大きな魅力ですが、そのぶん「今どの時間軸で何を済ませたのか」「どの出来事がどの時点の発端なのか」を把握しづらく、フラグ管理に失敗して行き詰ってしまうことも多いです。特定の時代で特定の人物に話しかけておかないと、後の時間軸で重要なイベントが発生しない、といった仕掛けは、理屈としては筋が通っているものの、プレイ中はなかなか気付きにくいものがあります。「どこかで何かを見落としているのは分かるが、どの時間のどの場所を見直せばいいのか分からない」という状態に陥りやすく、その結果、同じ場所を何度も往復することになりがちです。タイムトラベル物の宿命ともいえますが、物語に入り込んでいるほど、「進めないもどかしさ」がストレスとして積もりやすい構造になっているのは否めません。

インターフェース全般の古さ

セーブやロードの扱い、メッセージの送り方、画面切り替えのテンポなど、インターフェース全般も現代の基準からするとかなり古く感じられます。文章を読み進めている最中にうっかりキーを押しすぎて重要なメッセージを見逃してしまったり、セーブをしようとするたびに面倒な操作手順を踏まなければいけなかったりと、「遊びやすさ」という観点では明確なマイナス点がいくつも存在します。もともと8ビット機のメモリやディスク容量の制限の中で作られたゲームであるため、派手な演出や快適なUIを求めるのは酷かもしれませんが、初めて触れるプレイヤーにとっては「内容に到達する前に操作面で体力を削られる」印象を与えてしまうのは残念なところです。シナリオをじっくり味わうほどの余裕を持つためにも、プレイヤー側にある程度の慣れと忍耐が要求されてしまいます。

BGMがないことによる“寂しさ”

モノクローム+無音という演出は本作の魅力であると同時に、短所として語られることも多いポイントです。とくに「場面転換のたびに音楽が流れ、雰囲気を盛り立ててくれるADV」に慣れているプレイヤーからすると、どれだけ緊迫した場面であっても常にキーボードの打鍵音しか聞こえないという状態は、単純に物足りなく感じられます。重要な真相が明かされるシーンや、感情のピークを迎える場面でも、BGMがないことで盛り上がりに欠けると感じる人もいるでしょう。無音が生み出す緊張感や想像力の余地は確かに魅力なのですが、「雰囲気作りとしては成功しているが、エンタメとしてはやや地味すぎる」という評価もあり、このあたりは完全に好みが分かれる部分です。X68000版や『時を超えた手紙』で音楽や効果音が追加されたのは、この“静かすぎる画面”に物足りなさを覚えたプレイヤーへの一つの回答だったとも言えるでしょう。

一部キャラクターや設定の掘り下げ不足

シナリオ全体の完成度は高いものの、すべてのキャラクターが十分に掘り下げられているわけではありません。序盤で重要そうに紹介された人物が、その後ほとんど登場しないまま物語が終盤へ進んでしまったり、事件のきっかけになったはずの存在が、エンディング時点でも完全には回収されていないように感じられたりする部分があります。結果として、「本筋の謎は解けたけれど、あの人は結局どうなったのか」「この設定はもう少し深堀りしてほしかった」というモヤモヤが残るプレイヤーもいます。特に時空を越える物語である以上、プレイヤーの側も「すべての点が時間を超えて一本の線で結びつく」ことを期待しがちで、そこまでの“完璧な閉じ方”を求めると、やや物足りなさを感じるかもしれません。このあたりは、限られた容量やテキスト量の中でシナリオをまとめる必要があった当時の事情も影響していると考えられます。

テンポの“波”が大きく、ダレ場もある

全体としてはタイトな構成ながら、章ごとに見ていくと「情報が一気に押し寄せるパート」と「同じ場所をひたすら行き来するパート」の落差がやや大きく、テンポにムラを感じることがあります。特定の場面では、短時間のうちに重要な会話やイベントが連続して発生し、プレイヤーの理解が追いつかないほど濃密なのに対して、別の場面では、わずかな手がかりを求めて延々とコマンドを試し続ける作業感の強い時間が続いてしまうこともあります。本来なら「静」と「動」のバランスがとれていれば緩急のあるドラマになるはずですが、その切り替えが必ずしもスムーズとは言えず、「面白いところは一気に進み、そうでないところは妙に長く感じる」構造になってしまっているのは惜しい点です。もっとも、これはコマンド入力式ADV全般に言える宿命でもあり、本作だけの問題とまでは言い切れませんが、シナリオの出来が良いだけに、ゲームデザイン面でもう一歩踏み込んでほしかったと感じるプレイヤーも少なくないでしょう。

現行環境でのプレイ難度の高さ

内容そのものとは少し別の話ですが、オリジナルPC版を現代の環境でプレイしようとすると、ハードウェアやソフトウェアの入手・動作にハードルがあるのも実用的な意味での“悪かったところ”として挙げられます。PC-8801やPC-9801といった当時の実機を所有している人は限られており、ディスクメディアも経年劣化の問題を抱えています。エミュレータ環境で遊ぶ場合でも、ディスクイメージの扱いや日本語入力の設定など、ある程度PCに詳しくないと敷居が高く感じられるでしょう。移植版『時を超えた手紙』のほうが遊びやすさという意味では優れていますが、そちらはそちらで入手難度が高く、どの形にせよ「ちょっと試してみる」レベルで手軽に触れられる作品とは言い難いのが現状です。結果として、「興味はあるけれど、実際に遊ぶまでの壁が厚い」という評価になってしまうのは、本作が持つ潜在的な魅力を考えると惜しい点だと言えるでしょう。

人を選ぶ“渋さ”ゆえのハードル

最後に、本作のトーンそのものも長所であり短所であると言えます。戦時下のアメリカを舞台にしたモノクロームのサスペンスで、ユーモアやコミカルな息抜きは少なめ、じっくりと重いテーマに向き合う作風は、ハマる人には深く刺さる一方で、「もっと気軽に楽しめるゲームが遊びたい」というプレイヤーにとっては敷居の高い作品です。爽快感のある逆転劇や、派手なラストシーンといった分かりやすいカタルシスを期待すると肩透かしを食らうかもしれません。総じて『カサブランカに愛を』は、「誰にでも無条件で勧められる大衆的な名作」というより、「レトロADVが好きで、じっくりしたドラマを味わいたい人に向けた通好みの一作」といった位置づけであり、その“渋さ”がそのまま人を選ぶ要素になっているのは否めません。

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■ 好きなキャラクター

ジェリー・ランドルフ ― 信念を持って突き進む女性記者

プレイヤーからもっとも支持を集めやすいのが、やはり主人公ジェリー・ランドルフです。彼女は戦時下のアメリカで新聞社に勤める女性記者という設定で、当時の社会状況を踏まえれば、それだけでかなり“異色”の存在です。物語の冒頭、親友メイの行方不明と、彼女が残した日記が届いたことをきっかけに、ジェリーは事件の渦中に飛び込んでいきますが、その動機は「記者として真実を知りたい」という職業的な好奇心と、「友人を救いたい」というごく個人的な感情の入り混じったものになっています。 この“二つの顔”が、ジェリーを単純なヒロイン像に留めず、非常に立体的な人物に見せているポイントです。編集長や上司に対してはプロとして冷静に振る舞おうとしつつ、メイの手掛かりを見つけると感情を抑えきれなくなったり、危険な匂いを感じながらも取材対象に踏み込んでしまったりと、その言動には常に葛藤がつきまといます。プレイヤーはコマンド入力を通してジェリーの行動を選択していくわけですが、場面ごとに「今の彼女は記者として、友人としてどちらを優先すべきなのか」を意識せざるを得なくなり、その過程で自然とジェリーの内面に寄り添っていくことになるのです。 終盤、時間移動によって自分たちの行動が過去や未来に影響を与えてしまうことを理解したうえで、それでもなお前に進もうとするジェリーの姿は、多くのプレイヤーにとって「この物語の中で自分が好きになったキャラクター」を問われれば真っ先に名前を挙げたくなる存在と言えるでしょう。

ロイ・スティーブンス ― 軽口の裏に優しさを隠した相棒

ジェリーの相棒として行動を共にするロイ・スティーブンスも、プレイヤーから人気の高いキャラクターです。口が悪く皮肉屋でありながら、肝心なところではジェリーをかばい、危険な現場にもためらわず同行する頼もしい相棒というポジションに収まっています。彼の魅力は、何よりも「過剰に格好つけない」ところにあります。もしロイが、常にクールで万能なヒーローのように振る舞うキャラクターであれば、ジェリーとの関係はもっと記号的なバディものに近づいていたかもしれません。しかし、実際のロイは、恐怖を感じれば冗談でごまかそうとしたり、思わず本音が漏れてジェリーと衝突したりと、どこか人間臭い弱さを見せる人物です。 だからこそ、時に不器用なやり取りを挟みつつも、二人が事件の真相に向かって並んで歩いていく姿には、プレイヤーも自然と肩入れしたくなります。ロイを「好きなキャラクター」として挙げるプレイヤーは、彼の決定的な見せ場だけでなく、道中の何気ない会話の端々に滲む優しさや誠実さに心を動かされていると言えるでしょう。

メイ・エルガー ― 姿の見えない“物語の中心”

物語開始時点ではすでに行方不明となっているメイ・エルガーは、実際の出番こそ多くないものの、印象に残ったキャラクターとして名前が挙がりやすい存在です。プレイヤーが彼女の人となりを知る手がかりは、ほとんど日記や回想、他人の証言を通して語られる断片情報に限られています。にもかかわらず、ジェリーがなぜこれほど必死になって彼女を追い続けるのか、エルガー博士の研究に反対しながらも父を見捨てきれなかった心情など、直接姿を見せない彼女の内面は、読み進めるごとに少しずつ輪郭を増していきます。 メイは、ある意味でプレイヤーにとって“想像の余地”がもっとも大きいキャラクターです。日記の文面から「芯の強い人物」と捉える人もいれば、「本当に怖かったのだろう」と弱さを感じ取る人もいるでしょう。ゲーム内で明確に描かれていない部分が多いからこそ、プレイヤーごとにまったく違うメイ像が形成されます。「直接ちゃんと会って話してみたかった」と感じさせる不在のヒロインとして、彼女を挙げるプレイヤーも少なくありません。

エルガー博士 ― 科学者としての理想と罪

メイの父であり、時間を操る研究の中心人物となるエルガー博士も、印象深いキャラクターです。彼は決して分かりやすい“悪役”ではありません。軍に研究成果を渡すことを拒みながらも、自身の研究がもたらすかもしれない危険性を完全に制御できていないことを自覚している人物であり、その意味で常に自己矛盾を抱えている存在です。プレイヤーが彼に抱く感情は、単純な嫌悪や賞賛ではなく、「この人もまた時代と立場に翻弄された一人なのだ」という複雑なものになりがちです。 彼を「好きなキャラクター」として挙げるプレイヤーは多くはないかもしれませんが、物語を最後まで見届けた後に振り返ってみると、「真の意味でこの悲劇を背負っていたのは誰だったのか」を考えさせられた結果、エルガー博士への印象が強く残る人もいます。彼の選択が正しかったかどうかはプレイヤーごとに解釈が分かれるところですが、その“答えの出ない問い”こそが、キャラクターとしての奥行きを与えていると言えるでしょう。

新聞社の人々や軍関係者 ― 世界観を支える脇役たち

主要人物以外では、ジェリーやロイが働く新聞社の編集長や同僚たち、そして軍関係者や研究所のスタッフなど、脇役陣もそれぞれに味のあるキャラクターとして印象に残ります。編集長は、戦時下の報道という重いテーマを背負いながらも、部下たちにある程度の自由と責任を与える人物として描かれており、ジェリーとロイが危険な取材に出かけることを完全には止められない立場の苦悩を象徴している存在でもあります。軍関係者は一見すると冷酷な権力側の人間として登場しますが、対話を重ねるうちに「国家のため」「仲間のため」といったそれぞれの正義を抱えていることが見えてきて、単純な悪役として切り捨てられない複雑さを帯びてきます。 プレイヤーの中には、こうした“名もなき脇役”の一言や表情に心を動かされ、「あの編集長が好きだ」「あの軍人の最後の台詞が忘れられない」といった形で、メインキャラクターとは別の視点からお気に入りを語る人もいます。大きなドラマの影で、彼らがどのような選択を迫られ、何を諦め、何を守ろうとしたかを想像してみると、物語の厚みがさらに増して感じられるでしょう。

プレイヤーによって“推し”が変わる物語構造

このゲームの面白いところは、「この人物が明らかに一番人気」と断言できるほどの“正解の推しキャラ”が存在しない点です。物語の中心人物であるジェリーやロイが支持を集めやすいのはもちろんですが、メイやエルガー博士に感情移入するプレイヤーもいれば、新聞社の同僚や軍の人物など、脇役を推す人も少なくありません。それは、シナリオが「誰か一人の英雄譚」ではなく、戦時という極限状況の中でそれぞれの立場の人間がもがく群像劇として描かれているからです。 誰の視点で物語を眺めるかによって、“物語の主人公”が変わって見える構造になっているため、プレイヤーが選ぶお気に入りキャラクターも自然と分散します。ある人にとっては、リスクを顧みず真実を追い求めるジェリーがもっとも魅力的に映るかもしれませんし、別の人にとっては、理想と現実の板挟みになりながらも研究を続けざるを得なかったエルガー博士こそが、心に残る人物となるかもしれません。 そうした“多中心的”なキャラクター配置こそが、『カサブランカに愛を』という作品を単なる推理ゲームではなく、プレイヤーそれぞれに違う読み解きを許すドラマとして成立させていると言えます。好きなキャラクターを語ること自体が、そのプレイヤーがどのようにこの物語を見ていたのかを映し出す鏡になっている――その意味で、本作はキャラクター談義がとても楽しいアドベンチャーでもあるのです。

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●対応パソコンによる違いなど

オリジナル版4機種(PC-8801 / PC-9801 / X1 / FM-7)共通の骨格

最初に発売されたのは、PC-8801・PC-9801・X1・FM-7向けのいわゆる“8ビット版/16ビット初期”世代です。1986年9月にこれらの機種向けに同時期リリースされており、定価はいずれも7,200円前後という価格帯でした。 この4機種に関しては、ストーリーやシナリオ構成、イベントの流れはほぼ共通で、「全編モノクロのグラフィック」「BGMをほとんど持たない静かな演出」「ローマ字によるコマンド入力ADV」という基本仕様も同じです。つまり、“どのパソコンで遊んでも中身は同じ作品”という設計が意識されており、当時のPCゲームとしては比較的珍しい、マルチプラットフォーム前提の開発が行われていました。 とはいえ、ハードウェアの性能差や表示能力の違いは確かに存在し、グラフィックの描画速度や文字の読みやすさ、操作のレスポンスなどは機種ごとに微妙な体感差が出ます。PC-9801の高解像度寄りの画面では線がややシャープに感じられ、PC-8801やX1では“いかにも8ビット”な描線の荒さが逆に味になっていたりと、同じモノクロ画像でも、にじみ方やコントラストの出方が少しずつ違うため、マニアの間では「どの機種版のトーンが好きか」を語り合うネタにもなっています。

PC-8801版 ― 当時の標準機で遊ぶ“純正”ディスクミステリー

PC-8801シリーズ版は、当時の国内PCゲーム市場で最もユーザーが多かったプラットフォーム向けということもあり、「カサブランカに愛を」と聞いてこの版を思い浮かべるプレイヤーも少なくありません。スペック的には決して高性能とは言えないものの、その制約の中で作られたモノクロ画面は、線画中心のイラストとテキスト表示を前提に最適化されており、ディスクアクセスの挙動や画面の描き変え時間を含めて“80年代PCゲームらしさ”を強く感じさせてくれます。PC-8801向けのADVに慣れている人なら、ロードのリズムや文字送りのテンポも含めて、非常にしっくりくる感触でしょう。ゲームカタログ系のサイトや個人ブログでも、PC-8801版を基準に他機種版との違いを語っているケースが多く、シリーズファンにとってはある種の“基準値”となっているバージョンだと言えます。

PC-9801版 ― くっきりした画面で楽しむ“ややリッチ”な体験

PC-9801版も内容そのものはPC-8801版と大きく変わりませんが、より高解像度・多ドットのテキスト表示が可能な環境で動作するぶん、画面全体がすっきりと読みやすくなっています。同時期のシンキングラビット作品が、まずPC-9801向けにリリースされ、その後にPC-8801などへ移植されることが多かったことを踏まえると、『カサブランカに愛を』でもPC-9801版は“企画段階に最も近いイメージ”を反映しているバージョンの一つと考えられます。 もっとも、フルカラーADVだった『道化師殺人事件』ほど極端な差はなく、本作の場合は元々がモノクロ前提のデザインであるため、PC-9801版が“決定版的に美しい”というよりは、「線の滑らかさや文字の視認性が微妙に良い」「少し上品な質感」といったレベルの違いです。PC-9801ユーザーだった人にとっては、「新聞社の編集室の細かな機器や書類の描き込みが、他機種版よりもくっきり見える気がする」といった、懐かしい手触りも含めて好まれているようです。

X1版 / FM-7版 ― 御三家の中で味わう“モノクロADV”

X1版とFM-7版は、いわゆる“パソコン御三家”時代を象徴する2機種向けの移植です。これらも基本的にはPC-8801版をベースとした内容で、シナリオやイベント構成は共通ですが、それぞれの機種特有の表示系・音源周りの仕様が、画面や操作感にわずかな違いを生んでいます。 例えばX1はシャープらしいキレのあるRGB表示が特徴で、モノクロながらもコントラストの強い画面が楽しめますし、FM-7では独自のグラフィックモードやキー配列が影響し、同じゲームでも多少操作の感覚が違ってきます。ただし、本作に関しては「機種ごとにシステムが大きく違う」というほどではなく、あくまで“好みの御三家マシンで同じ物語を味わえる”という位置づけです。当時それぞれのマシンに愛着を持っていたユーザーにとっては、自分の愛機でこの大人向けADVをプレイできたこと自体が大きな喜びだったと想像できます。

MSX2版 ― セピア調の画面で雰囲気を強調した移植

1988年にはMSX2向けの移植版が発売されました。オリジナルのPC-8801/9801版などが純粋な白黒で描かれていたのに対し、MSX2版では画面全体がセピア調にアレンジされているのが大きな特徴です。 基本はモノクロ表現ながらも、ほんのりとした色味を加えることで、古い写真や古いフィルムのような印象が強まり、“過去の出来事を追体験する物語”というテーマに上手くマッチしたビジュアルになっています。テキストやコマンド入力方式はオリジナル版とほぼ同様で、MSX2ユーザー向けに、当時の主力8ビットパソコンで流行していた“大人向けADV”の世界をそのまま持ち込んだ形と言えるでしょう。TAKERUでのダウンロード販売(書き出し)では価格がやや抑えられており、実店舗でパッケージを買うのとは少し違った入手体験も含めて、当時のMSXユーザーの記憶に残る一本となっています。

X68000版 ― フルカラー&FM音源BGMで“映画的”に再構成

1989年にリリースされたX68000版は、『カサブランカに愛を』の中でもっとも大きく印象が変わる移植です。グラフィックはフルカラー化され、モノクロだった原作のイラストに色彩が与えられたことで、戦時下の街の灯りや人物たちの服装、研究所の機械類などが、より視覚的にわかりやすく描かれるようになりました。 さらにFM音源によるBGMが追加されており、作曲は永田英哉が担当しています。 静寂を重視したオリジナル版とは対照的に、場面ごとに雰囲気の異なる楽曲が流れることで、プレイ体験はより“映画を観ている”感覚に近づきました。とはいえ、シナリオ構成やコマンド入力方式といった根幹部分は基本的に踏襲されているため、「音と色で強化された原作」といった位置づけです。 レトロゲームファンの間では、「ストイックな無音モノクロが好きならPC版、ドラマ性を盛り上げる演出が好きならX68000版」というように、どちらを好むかで意見が分かれることも多く、同じ作品の“二つの顔”として楽しまれています。

3DO / Windows版『時を超えた手紙』 ― タイトル変更&コマンド選択式への変化

1994年には3DO向けに、その後1990年代半ばにはWindows 95向けに、タイトルを『時を超えた手紙』と改めたコンシューマ/PCリメイク版が登場します。 これは、元のタイトルや広告イラストが映画『カサブランカ』を強く連想させることから、著作権上の配慮も含めて名称が変更されたもので、中身は『カサブランカに愛を』をベースにしたアドベンチャーゲームです。 プラットフォームの特性に合わせて、グラフィックはフルカラー化され、BGMや効果音に加えてボイスも導入されるなど、演出面は大きく強化されました。 また、操作系も従来のローマ字コマンド入力ではなく、画面上のメニューから行動を選ぶコマンド選択式へと刷新されており、キーボード入力に不慣れなユーザーでも遊びやすくなっています。一方で、「マウスで項目を選ぶ手順が増えたぶんテンポが落ちる」「入力式ならではの“自分で考えて打ち込む”感覚が薄まった」と感じるプレイヤーもいて、評価はやや割れがちです。総じて、“物語を追いやすく、演出がリッチになった反面、原作のストイックさは後退したバージョン”といえるでしょう。

どの機種版で遊ぶべきか ― それぞれの魅力のまとめ

こうして見ていくと、『カサブランカに愛を』は「どの機種版が正解」というより、「どの雰囲気でこの物語を味わいたいか」で選び方が変わるタイプの作品だと分かります。テキスト主体の硬派なADVとして、無音の緊張感とモノクロ画面の渋さをフルに味わいたいなら、PC-8801/9801をはじめとしたオリジナル4機種版が第一候補になりますし、そこにほんのり色味を足したいならMSX2のセピア調版が面白い選択肢になります。 一方、「せっかくなら音楽とカラーでドラマ性を高めたい」という人にはX68000版が好相性で、さらに“ビジュアルノベル寄りの気軽さ”を求めるなら、3DO/Windows版『時を超えた手紙』という選択肢もあります。 現代の環境で実際にプレイするにはエミュレータや中古ソフトの入手などいくつかハードルがありますが、いずれのバージョンも「同じ物語を違う表情で見せてくれる別テイク」として価値があり、レトロADVをじっくり味わいたい人なら、可能であれば複数機種版を遊び比べてみるのもおすすめです。

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●同時期に発売されたゲームなど

★ザナドゥ ― 国産PCアクションRPGブームの火付け役

★ゲーム名:★ザナドゥ(XANADU -Dragon Slayer II-) ・販売会社:日本ファルコム ・販売された年:1985年(PC-8801版) ・販売価格:7,800円前後

「カサブランカに愛を」が登場する少し前、PCゲームの世界で圧倒的な存在感を放っていたのがこの『ザナドゥ』でした。横視点のアクションと成長要素を組み合わせたアクションRPGで、当時としては膨大なマップと高い難易度、自由度の高い育成システムが大きな話題を呼びました。プレイヤーはダンジョンを探索しながらモンスターを倒し、レベルだけでなく「信仰」「名声」といったステータスも管理しつつ、効率よく強くなっていく必要があります。
当時のPCゲームユーザーにとって、『ザナドゥ』は「時間を忘れて潜り続けてしまうダンジョンRPG」の代名詞のような存在であり、その売上や人気から「社会現象」とまで言われたほどです。ダークで重厚な世界観と、プレイヤーに一切甘えを許さないゲームデザインは、後のPCゲームに大きな影響を与えました。
『カサブランカに愛を』がシナリオ特化のコマンド入力型ADVでじっくり推理と物語を味わう作品だとすれば、『ザナドゥ』はアクション性と育成の快感をとことんまで追求した一本であり、同じPC-8801世代でも「遊びのベクトル」がまったく異なるタイトルです。そうしたジャンルの多彩さこそ、当時のPCゲーム黄金期を象徴していると言えるでしょう。

★ロマンシア ― コンパクトに凝縮された“絵本RPG”

★ゲーム名:★ロマンシア(ROMANCIA) ・販売会社:日本ファルコム ・販売された年:1986年(PC-8801版) ・販売価格:7,480円前後

『ロマンシア』は、『ドラゴンスレイヤー』シリーズの一作として登場したアクションRPGで、「おとぎ話の挿絵のようなグラフィック」と「一見かわいらしいが容赦ない難易度」が特徴の作品です。ゲーム全体のボリュームは決して多くないものの、謎解きやイベントがギュッと詰め込まれており、正しい手順を知らなければ先に進めないシビアな設計になっています。
プレイヤーは王国を救うために、限られた時間の中でアイテムやイベントを取捨選択しながら進行していきます。可愛らしいグラフィックに反して「行動順序を少しでも間違えると詰む」というトライ&エラー前提のゲーム性が、当時のユーザーの闘争心に火をつけました。
『カサブランカに愛を』が文章と会話を軸にした濃密な推理劇なら、『ロマンシア』はアクションと時間管理、イベント消化をパズルのように組み合わせるゲームです。同じ時代のPCユーザーは、平日はシリアスなミステリーADVでじっくり頭を使い、週末には『ロマンシア』でひたすらリトライを繰り返す、といった遊び方をしていたかもしれません。

★イースI ― スピード感あふれる“ぶつかり合い”アクションRPG

★ゲーム名:★イース Ancient Ys Vanished Omen ・販売会社:日本ファルコム ・販売された年:1987年(PC-8801版) ・販売価格:おおよそ7,800円前後とされる(資料によって価格表記に差異あり)

『イースI』は、赤毛の冒険家アドル・クリスティンを主人公としたアクションRPGで、「半キャラずらし」と呼ばれる独特の体当たり攻撃システムを採用しています。攻撃ボタンを押す必要がなく、敵に斜め気味にぶつかることでダメージを与えるというシステムは、当時としては非常に斬新で、軽快な操作感とテンポの良さを両立した快作でした。
ファミ通.com

また、重厚なBGMとドラマチックなストーリー展開も高く評価されており、「PCゲーム=マニア向け」といったイメージを一般ユーザーにぐっと引き寄せたタイトルでもあります。冒険の導入からクライマックスまでの構成がきわめてスピーディで、短時間でも物語の起伏をしっかり味わえるよう作られている点も印象的です。
『カサブランカに愛を』と同じく、プレイヤーの感情を揺さぶるドラマ性を重視した作品ですが、こちらは“恋と謎を追う記者”ではなく、“世界の謎に挑む若き冒険家”というベクトルで、異なるロマンを描いています。80年代後半のPCゲームシーンは、このように物語性とゲーム性を両立したタイトルが次々と登場し、ユーザーの期待値を一気に押し上げていきました。

★ソーサリアン ― シナリオ追加型という発想で長く遊べるRPG

★ゲーム名:★ソーサリアン(SORCERIAN) ・販売会社:日本ファルコム ・販売された年:1987年(PC-8801版) ・販売価格:おおよそ9,800円前後(資料によっては1万780円表記)

『ソーサリアン』は、「ドラゴンスレイヤー」シリーズの流れを汲むアクションRPGでありながら、追加シナリオ方式という大胆な構造を取り入れた意欲作です。プレイヤーは4人パーティを組み、さまざまな短編シナリオに挑戦していきます。シナリオは単発の物語でありながら、キャラクターの成長や装備は共通しているため、「同じ仲間たちと違う冒険に何度も出る」というキャンペーン方式のTRPGにも近い遊び心地でした。
ウィキペディア

さらに特筆すべきは、発売後も追加のシナリオディスクが次々とリリースされた点です。ユーザーは新たなディスクを購入することで、同じキャラクターたちに新しい冒険をさせ続けることができました。これは今でいう「DLC」の原型のような発想であり、PCゲームならではの拡張性を最大限に生かしたビジネスモデルでもあります。
物語と謎解きに特化した『カサブランカに愛を』と比べると、『ソーサリアン』はアクションと育成、そしてシナリオ追加による継続的なプレイ体験を重視した作品です。しかし「一つの世界観を長く味わってほしい」という発想は共通しており、当時の開発者たちがいかにPCという媒体の可能性を模索していたかがうかがえます。

★ハイドライド3 ― アクションとRPGの融合をさらに推し進めた名作

★ゲーム名:★ハイドライド3 異次元の思い出 ・販売会社:T&Eソフト ・販売された年:1987年(PC-8801版) ・販売価格:7,800円

『ハイドライド3』は、アクションRPGの草分け的シリーズの第三作で、リアルタイムで流れる時間や空腹度、重量制限といった要素を盛り込み、よりシミュレーション的な手触りへと進化させた作品です。昼夜の変化や店の営業時間、魔法の使用制限など、世界のルールを理解しなければ前に進めないため、プレイヤーは「ゲーム世界で生きる」という感覚を強く味わうことができました。
8-bits.info

シナリオや世界設定も重厚で、単純な善悪二元論から一歩踏み込んだテーマが描かれています。プレイヤーの行動次第で世界の受け止め方が変わってくる構成は、のちのRPGにも通じる成熟した作りでした。
『カサブランカに愛を』が時空を超えるミステリーで時間の扱いを物語のギミックとして用いているのに対し、『ハイドライド3』はゲームシステムの中に時間の概念を組み込み、プレイ感そのものを変化させています。どちらも「時間」をキーワードにしながら、アプローチがまったく異なる点が、同時期作品として非常に興味深いところです。

★軽井沢誘拐案内 ― 旅行気分とサスペンスが融合した美少女ADV

★ゲーム名:★軽井沢誘拐案内 ・販売会社:エニックス ・販売された年:1985年(PC-8801版) ・販売価格:おおよそ5,800〜6,380円前後(版や資料により差異あり)

『軽井沢誘拐案内』は、リゾート地・軽井沢を舞台にしたアドベンチャーゲームで、実在の観光地をモデルにした背景や、当時としては珍しい「旅行気分」が味わえる構成が魅力の一作です。主人公は誘拐事件に巻き込まれた少女を追って軽井沢を駆け回り、現地の風景や施設をめぐりながら手がかりを集めていきます。
本作は、美少女キャラクターとサスペンス要素の両立が特徴で、事件を追う緊張感と、リゾート地ならではの開放的な雰囲気がミックスされた、独特の空気感を持っています。テキストや選択肢を読み解きながら少しずつ真相に近づいていく構造は、『カサブランカに愛を』と同じく「読み物としての面白さ」を重視した作りと言えるでしょう。
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+1

ミステリーADVという点では系譜的にも近く、堀井雄二によるシナリオワークは、後のRPG作品で見られる巧みな伏線やテンポの良さの原点とも受け取れます。都市型サスペンスの『オホーツクに消ゆ』、タイムトラベルものの『カサブランカに愛を』と並べてプレイすると、80年代PCミステリーADVの流れがより立体的に見えてくるでしょう。

★北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ ― 社会派ミステリーADVの金字塔

★ゲーム名:★北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ ・販売会社:アスキー ・販売された年:1984年(PC-8801版は1984年12月発売) ・販売価格:6,800円前後(資料によって7,480円表記もあり)

『オホーツクに消ゆ』は、東京から北海道へと舞台を移しながら連続殺人事件の真相を追うミステリーアドベンチャーで、堀井雄二による社会派テイストのストーリーが高く評価された作品です。港湾で発見された死体から始まる捜査は、やがて北海道各地をめぐる大掛かりな事件へとつながり、プレイヤーは刑事となって聞き込みや調査を行いながら、複雑に絡み合う人間関係と動機を解きほぐしていきます。
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本作は、観光地や地域の描写が非常に丁寧で、ゲームを通して北海道を旅しているような感覚を味わえることも魅力でした。その一方で、殺人事件の背景には社会問題が横たわっており、単なる「ご当地ゲーム」に留まらない深みも備えています。
『カサブランカに愛を』もまた、時代や場所を超えた人間ドラマとサスペンスを描く作品であり、構造的にはこの『オホーツクに消ゆ』の系譜に連なるタイトルと見ることができます。80年代半ばのPCゲームユーザーにとって、これらのミステリーADVは「物語を読むためにゲームを買う」という新しいスタイルを定着させた存在でした。

★道化師殺人事件 ― ディスクミステリー路線を固めた前作的存在

★ゲーム名:★道化師殺人事件 ・販売会社:シンキングラビット ・販売された年:1985年(PC-8801版) ・販売価格:7,800円

『道化師殺人事件』は、シンキングラビットの「ディスクミステリー」シリーズ第二弾にあたるコマンド入力型ミステリーADVで、『カサブランカに愛を』の直前作として位置付けられる作品です。プレイヤーは連続殺人事件の真相を追う探偵役として、現場の状況や関係者の証言を手がかりに推理を進めていきます。
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+1

グラフィックは当時らしいハイレゾ画面にモノクロ調のタッチが組み合わされ、舞台となる洋館や人物の表情が印象的に描かれています。コマンド入力方式ゆえの自由度と、適度な難しさを持つ謎解きが融合し、「文章を読み、状況を頭の中で再構築して推理する」というスタイルを確立しました。
この作品で培われた「重厚なテキスト」「伏線の張り巡らせ方」「コマンド入力のさじ加減」は、そのまま『カサブランカに愛を』へと受け継がれていきます。まさにシリーズの中間地点として、シンキングラビットならではのミステリーADV観を固めたタイトルだと言えるでしょう。

★夢幻戦士ヴァリス ― ヒロインアクションの先駆け的タイトル

★ゲーム名:★夢幻戦士ヴァリス(The Fantasm Soldier VALIS) ・販売会社:日本テレネット(開発:ウルフチーム) ・販売された年:1986年(PC-8801版は1986年12月発売) ・販売価格:7,800円

『夢幻戦士ヴァリス』は、女子高生の麻生優子が異世界ヴァリアへと召喚され、魔界の軍勢と戦うというストーリーを描いた横スクロールアクションゲームです。当時としては珍しい「女子高生が剣を片手に戦うヒロインもの」というコンセプトと、アニメ調のイベントデモが話題を呼びました。
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+1

ゲームとしては、広いステージを進みつつ敵を斬り、魔法を駆使してボスを倒していく王道アクションですが、FM音源を活用したサウンドや、ステージごとに変化するビジュアルがプレイヤーの心をつかみました。物語性も重視されており、シリアスな展開と切ないラストは、後のシリーズ作品にも受け継がれていきます。
『カサブランカに愛を』と比べるとジャンルは大きく異なるものの、「女性主人公を据えたドラマ性の高い物語」という点では共通しており、80年代PCゲームにおけるキャラクター性の強い作品の代表格と言えるでしょう。ミステリーADVとヒロインアクション、それぞれ違う方向性でドラマ性を追求した同時期のタイトルとして並べて語られることも多い作品です。

★英雄伝説サーガ ― 豪華グラフィックで魅せるアドベンチャーRPG

★ゲーム名:★英雄伝説サーガ ・販売会社:マイクロキャビン ・販売された年:1984年(PC-8801版・8月頃発売) ・販売価格:9,800円

『英雄伝説サーガ』は、劇画調の美しいグラフィックをふんだんに使ったアドベンチャーRPGで、さらわれた少女リンダを救うため、ドラゴンが巣食う北の谷へと向かう勇者の物語が描かれます。画面いっぱいに描かれたイラストは、当時のPCゲームとしては群を抜いたクオリティで、プレイヤーはその“紙芝居”的な演出と重厚な世界観に圧倒されました。
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ゲーム内容は、迷路状のマップ探索と戦闘、イベントシーンが組み合わされた構成で、アドベンチャーとRPGの中間のような手触りです。キャラクターのステータスや装備を成長させながら、物語の節目ごとに挿入されるイラスト演出を楽しむというスタイルは、のちのビジュアル重視RPGの先駆けとも言える存在でした。
『カサブランカに愛を』と同じ時期のPCゲームは、テキスト中心のアドベンチャーだけでなく、この『英雄伝説サーガ』のようにグラフィックで強く訴えかける作品も数多く登場していました。モノクロ調の画面で雰囲気を演出する『カサブランカに愛を』と、カラーグラフィックでファンタジー世界を描き出す『英雄伝説サーガ』は、方向性は違えど「ビジュアルで世界観を伝える」という共通した志を持つタイトルだと言えるでしょう。

以上のように、『カサブランカに愛を』と同じ1980年代半ば〜後半のPCゲームシーンには、ミステリーADV、ファンタジーRPG、ヒロインアクションなど多様なジャンルの名作がひしめいていました。それぞれが独自の切り口で「物語」や「世界観」を表現しており、『カサブランカに愛を』もその中の一本として、タイムトラベルと愛情ドラマを重ね合わせた独特のポジションを築いています。

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