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評価 5【発売】:テクノソフト
【対応パソコン】:PC-8801、PC-9801、PC-8001、PC-6001、FM-7、MZ-1500、IBM JX
【発売日】:1983年
【ジャンル】:シューティングゲーム
■ 概要
●「サンダーフォース」が生まれた背景と、“PCでここまでやるのか”という衝撃
1983年前後の国産パソコン市場は、機種ごとに画面表示や音源、記憶媒体、処理速度の癖がまったく違い、「同じゲームでも機種が変われば別物になる」のが当たり前でした。そんな環境でテクノソフトが提示した『サンダーフォース』は、“家庭の机の上のパソコン”で、当時のビデオゲーム的な爽快さを真正面から狙いにいった作品として語られます。見た目だけなら縦スクロール系シューティングの系譜を連想させつつ、実際には8方向に任意スクロールできる仕組みを核に据え、地上目標と空中目標を撃ち分ける戦い方で、プレイ感覚を別次元へ押し広げました。初期はX1などから始まり、以後PC-8801/PC-9801系やFM-7、MZ-1500、PC-6001系などへ展開していきますが、そこで単なる移植に留まらず、各機種の“得意技”を引き出す方向で作り分けが行われたのも本作の特徴です。
●ジャンルは“見下ろし型8方向スクロールSTG”――視点が作る独特の手触り
『サンダーフォース』の基本画面はトップビュー(上から見下ろす視点)で、プレイヤーは自機を前後左右斜めへ滑らせながら、広い戦域を“自分で探して切り開く”ように進めます。縦に流されるのではなく、危険地帯を避けて横へ抜けたり、敵が濃い地点を迂回して体勢を整えたりできるため、シューティングでありながら探索と判断の比率が高いのが魅力です。ステージごとに地形や敵配置の密度が変わり、単純な反射神経だけではなく、どの方向へ抜けるか、どの目標から潰すか、そして弾幕が薄いルートをどこに作るかが“攻略の筋道”になります。
●戦いの要は「対空」「対地」――撃ち分けが生む戦術の幅
本作が当時として際立っていた点のひとつが、ショットが対空・対地の2系統として用意され、敵の性質に合わせて使い分ける前提で設計されているところです。空を飛ぶ敵に強い攻撃と、地面や施設を狙う攻撃が分かれることで、プレイヤーは“ただ連射していればいい”状態から引き離されます。地上の砲台や設備を放置していると通路が危険になり、逆に空中戦ばかりに気を取られると被弾が増える。だからこそ、状況に応じて攻撃手段を切り替え、危険源を優先順位で処理するという、いわば戦場の交通整理が上達の鍵になります。これは後年のシリーズ作品が得意とする“武装選択の快感”の原型としても捉えられます。
●ステージは「前半=戦域」「後半=要塞」へ――指定目標が導くテンポ設計
『サンダーフォース』は、広い戦域を泳ぐように戦うパートと、要塞へ踏み込んで核心を叩くパートが、同一ステージ内で段階的に切り替わる作りが特徴です。ステージの各所に点在する指定目標を破壊して条件を満たすと、後半戦として要塞パートが立ち上がり、さらに要塞中心部(中枢)を破壊できれば次のステージへ進行します。つまり、ただ生き延びて右へ流されるのではなく、「何を壊せば状況が動くか」を理解するとテンポが一気に良くなる設計です。逆に、狙うべき目標が分からないままだと戦域をさまよいがちになり、敵戦力が積み上がって苦しくなる。探索・撃破・突破の三拍子を、8方向スクロールに合わせて噛み合わせた構造が、本作の中毒性を支えています。
●機種ごとに“同じソフトなのに別の顔”――移植の作り分けが名物になった理由
本作は対応機種が多いことで知られますが、重要なのは“単に出した数”ではなく、各機種の機能差を踏まえて表現や手触りを調整した点です。たとえば、PCGを活かして背景とスプライト的表現を組み合わせやすい機種では、色数とスクロール感を武器にして見映えと速度を両立し、逆に描画合成の負荷が高い機種では、色や描画の方針を整理して処理を軽くしつつ、ゲーム性(敵弾の圧や配置)で難度バランスを取り直す、といった“別解”が用意されました。結果として、同じ『サンダーフォース』でも、遊ぶ機種によって緊張感の質が変わり、当時のユーザー同士で「どの版が一番きつい/気持ちいい」「ここはこの機種が速い」など比較談義が自然発生する土壌ができました。こうした機種差の語りやすさが、レトロPCゲームとしての寿命を延ばした要因でもあります。
●演出面:スクロールの勢い、そして“パソコンがしゃべる”驚き
80年代前半の国産PCで「スクロールが速い」というだけでも十分に事件でしたが、本作はそこに“開始時の音声演出”まで持ち込み、当時の体験として強く記憶される存在になりました。特にX1やMZ-1500などでは、起動時に合成音声でタイトル名を発声する仕掛けがあり、友人に見せるだけで話題になるタイプの“デモ効果”を備えていたと言われます。さらに後発の一部機種では、ゲーム開始時の見せ方自体に手が入り、画面が切り替わる演出で期待感を煽るなど、ただの操作開始を“出撃シーン”へ変える工夫が盛られました。こうした派手さは、テクノソフトが後に得意とする“音と動きで気分を上げる”作風の萌芽としても読み取れます。
●音楽面:版によって性格が変わるBGM、クラシック採用という大胆さ
『サンダーフォース』はサウンド面でも、移植のたびに印象が変わりやすい作品です。ある版ではBGMの扱いが控えめだったり、別の版では“メイン曲”としてクラシック曲(ロッシーニの『ウィリアム・テル序曲』)を据えたりと、方向性がはっきり異なります。とくにSR系ではこのクラシック曲の採用が強い個性となり、軽快で突き抜ける旋律が、高速スクロールと噛み合って“勢いで押し切る気分”を後押しします。一方で地下要塞の空気感を強める曲調も語られやすく、地上の疾走感と、要塞突入の緊迫感を音で切り替える役割を担っています。プレイ体験が機種差で揺れるからこそ、「この版の音が一番しっくり来る」という好みの分かれ方が生まれ、作品談義に厚みを足しました。
●ストーリー:オーン太陽系の戦況を覆すため、巨大基地へ単騎で突入する“任務劇”
物語の骨格は、連邦が不利に追い込まれた戦争状況を打開するため、爆撃宇宙艇FIRE LEOに乗り込んだエイドラ・ファーンが、敵の超巨大基地ダイラデイザーを破壊するというものです。小惑星を改造した要塞という舞台装置は、ゲーム上の“戦域→要塞→中枢破壊”という流れと対応し、プレイヤーの行動がそのまま任務遂行として読める構造になっています。戦域で指定目標を破壊して要塞を開くのは、敵の防衛網に穴を開ける行為であり、要塞中心部の破壊は作戦の最終目的。語り口自体は簡潔でも、ステージ構造がストーリーの節目を兼ねているため、プレイヤーは「探索して道を作り、要塞に切り込み、核を砕く」という一連の達成感を、ルールそのものとして味わえます。
●制作者と世界観:作者性が強く、後年の系譜へつながる“第一歩”
本作は制作者として吉村功成の名が挙げられ、彼が関わった他作品と名称や世界観の断片が共有される、といった“作者性”の匂いがあるタイトルとしても知られます。シューティングとしての快感だけでなく、固有名詞や舞台設定がゲーム体験を引き締め、シリーズの入口としての輪郭を作る。さらに、後年『サンダーフォースII』以降が横スクロール主体で別の進化を遂げていくことを思うと、この第一作は「テクノソフトが何を面白いと感じ、どう誇示したかったか」を最も素直に刻んだ原点とも言えます。初期の国産PC文化において、個人の工夫と機種差がそのまま作品の個性になる時代に、強烈な“これがテクノソフトの顔だ”を打ち出した一本、とまとめられるでしょう。
●派生・拡張:マップ編集へ踏み込んだ『サンダーフォースコンストラクション』の存在
そして本作を語るうえで欠かせないのが、1984年にマップ編集機能を追加した『サンダーフォースコンストラクション』が登場した点です。遊ぶだけでなく、自分で面を作って試すという方向へ踏み込んだことで、プレイヤーは“攻略する側”から“設計する側”へ回り、敵配置や通路の作りが難易度やテンポをどう変えるかを体感できます。これは当時としてかなり先進的な楽しみ方で、シューティングというジャンルの枠を越えて、パソコンゲームらしい創作欲に火をつける拡張でした。『サンダーフォース』が単発のヒットで終わらず、語り継がれる素材になった背景には、このような“遊びのレイヤーを増やす展開”が早い段階で用意されていたことも大きいはずです。
■■■■ ゲームの魅力とは?
●“流されないシューティング”という発想が、当時の常識をひっくり返す
『サンダーフォース』の面白さを最初に語るなら、「ステージが勝手に進まない」ことが最大の個性になります。一般的な縦スクロール型の感覚だと、画面の進行方向は半ば固定で、プレイヤーはそこに合わせて避け、撃ち、先へ押し出されていきます。ところが本作は8方向の任意スクロールが軸にあるため、進路を決めるのは常にプレイヤー側です。危険が濃い場所に突っ込むのも、いったん退いて体勢を整えるのも自由で、迷路のような地形や敵配置の中から「生き残れるルート」を自分で組み立てていく感覚が生まれます。シューティングなのに“探検”の気配があり、アクションなのに“判断の余裕”がある。この二面性が、短い時間で遊んでも記憶に刺さる理由になっています。単純に反射神経で押し切るゲームではなく、状況を読んで勝ち筋を作るゲームなので、上達の手応えが分かりやすく、苦戦したステージほど突破後の爽快感が跳ね上がります。
●対空・対地の撃ち分けが、プレイを“作業”から“戦術”へ変える
本作の戦闘は、ただ敵を見つけ次第に撃ち落とすだけでは成立しにくいように設計されています。理由は明快で、脅威の種類が空と地上に分かれており、対空と対地の攻撃を意識して使い分けるほど安全地帯が広がるからです。空中の敵を落としきれないと弾が増え、地上の砲台や施設を放置すれば通路が狭くなり、避ける余地が消えます。だからプレイヤーは「まず進行方向の通路を整備する」「安全な後退ルートを確保してから強い地点に切り込む」「地上火点を潰してから空戦に集中する」といった具合に、自分なりの手順を持ち始めます。この“手順化できるシューティング”という感覚が、当時のパソコンゲームとしてはかなり珍しく、プレイヤーの思考がそのまま攻略の個性になります。上手い人のプレイを見ても「反射神経が違う」より「考え方が違う」と映りやすく、観戦して学べるタイトルとしても語りやすい魅力があります。
●指定目標の破壊でステージが動く――目的を見つけた瞬間、テンポが快感に変わる
『サンダーフォース』は、漫然と敵を減らしても終わりません。ステージの各所にある指定目標を壊すことで、後半(要塞パート)が始まり、最終的に要塞の中心部を破壊すれば次へ進めるという“目的達成型”の流れになっています。ここが実に巧く、探索しながら目的を探している段階では緊張が続き、目的の場所や壊す順番が見えてくると、プレイのテンポが一気に加速します。つまり、ゲームが上達すると「迷い」が減り、戦闘が滑らかになる。逆に初心者は、どこを壊すべきかが分からずに戦域を彷徨い、敵の密度が増して苦しくなる。この差が“覚えゲー”的な学習曲線を生む一方で、覚えた知識が即座に快感へ直結するので、繰り返し遊ぶ動機が強いタイプの作品です。覚えたルートで目標を叩き、要塞へ突入し、核心を割って脱出する。この一連が噛み合ったときの気持ちよさは、当時のPCゲームにおける「自分で作った攻略の完成品」を味わう体験として、かなり贅沢です。
●地形と敵配置が“戦場のパズル”になる――一手先の安全を自分で作る面白さ
8方向スクロールが活きるのは、単に自由に動けるからではなく、地形が「逃げ道」「死角」「敵弾の通り道」を作る存在だからです。通路が細い場所は被弾しやすいが、地上施設を壊して進行ラインを整えると安全になる。敵の出現位置を理解すると、先に危険源だけ潰して“休憩できる空間”を作れる。こうした“安全の設計”ができるのが、本作がアクションでありながらパズル的な読み合いを感じさせるポイントです。さらに、探索の途中で無理をしない判断も重要になります。あえて一度後退して敵の追撃をばらけさせたり、密集地点の周辺を掃除してから中心に踏み込んだりと、プレイヤーの動きが戦場の状況を変えます。ゲームが上手くなるほど「撃つ」より「整える」行為が増え、整えた結果として撃ちやすくなる。この循環が、シューティングの本質的な気持ちよさを別角度から強化しています。
●機種差が“別の味”を生む――同じタイトルなのに語り口が増える贅沢
本作は複数機種に広く展開されたため、プレイヤーの体験談がひとつに収束しません。ある機種ではスクロールや色表現が気持ちよく、別の機種では敵弾が濃くて歯ごたえがある、といった具合に、同じ『サンダーフォース』でも得意分野が違うのです。これは当時のパソコン文化において非常に大きな価値でした。友人同士で「この版は速い」「この版は弾が怖い」「音がこっちのほうが燃える」など語り分けができ、ゲームそのものが“比較して遊ぶ対象”になっていきます。単純な優劣ではなく、版ごとの個性があるからこそ、複数の移植版に触れた人ほど話題が増え、記憶が厚くなる。結果として、作品の寿命が長くなり、後年のシリーズ作品を知った世代にも「原点はこうだった」と伝えやすい土台になりました。
●演出と音が、プレイヤーの気分を引き上げる――パソコンゲームらしからぬ“派手さ”
『サンダーフォース』は、戦闘のルールが面白いだけでなく、起動時や開始時の見せ方、音の鳴らし方など“気分の作り方”にも工夫があります。パソコンは道具の顔をした娯楽機で、遊ぶ前にローディングや操作準備が必要な時代でした。そこを、タイトル演出や音の勢いで「これから出撃する」という気分に変える。プレイ中も、スクロールの加速感がある版ではそれ自体が快感になり、BGMや効果音の鋭さが、避ける・撃つのリズムを整えます。派手な演出は単なる飾りではなく、手触りの一部として機能し、集中力を上げ、戦闘のテンションを維持する装置になります。後年のテクノソフト作品が“音楽と疾走感”で語られることを思うと、本作はその萌芽がすでに見えるタイトルだと言えます。
●難しさが“納得できる形”で立ちはだかる――理不尽より、学習の余地が前に出る
当時のシューティングは、難しいほど「慣れろ」「気合いで避けろ」となりがちでしたが、本作の難しさは、理解と行動の改善で緩和できる部分が大きいのが特徴です。指定目標の位置を把握すれば迷いが減り、対空・対地の切り替えが身につけば危険源の処理が早くなり、地形の使い方を覚えれば逃げ道が増える。つまり、上達が“ゲーム内で確認できる形”で返ってきます。もちろん、機種や版によっては処理の都合で弾の密度が濃く感じる場合もあり、そこは歯ごたえの差として好みが分かれますが、基本は「分かれば勝ちやすくなる」タイプの硬派さです。このため、当時のユーザーの間でも、単に難しいゲームとしてではなく、「やり込むと別の景色が見えるゲーム」として語られやすかったはずです。
●“作り手のこだわり”が透けて見える――世界観と任務構造がプレイを支える
ストーリー自体は簡潔でも、戦域を切り開き、要塞へ踏み込み、中枢を破壊するという流れが、任務としての納得感を与えます。探索と戦闘が噛み合っているので、プレイヤーは「ステージをクリアした」より「作戦を成功させた」と感じやすい。しかも、この任務構造はルールの中に埋め込まれているため、文章を読まなくても体感できます。これが強く、当時のパソコンゲームでありがちな“設定はあるが遊びは別”にならず、世界観が操作の意味を支える形になっています。こうした作りは、シリーズの原点としての説得力にもつながり、後年の作品を知ってから初代に触れても「ここがスタート地点なんだ」と腑に落ちやすい魅力を持っています。
●総合すると:自由度・戦術・達成感の三点セットが、初代の存在感を決定づけた
『サンダーフォース』の魅力は、自由に動ける気持ちよさだけでも、撃ち分けの戦術だけでも成立しません。自由に動けるから戦術が生まれ、戦術が成立するから達成感が濃くなる。さらに、指定目標の破壊でステージが動くため、プレイヤーの理解がテンポに直結し、遊び直すほど爽快になる。そこへ機種差の個性や演出・音の盛り上げが重なって、「同じタイトルを語っているのに、人によって思い出の輪郭が違う」という面白い現象が起きます。だからこそ本作は、単なるシリーズの第一作ではなく、80年代国産PCゲーム史の中でも“語りやすい個性”を持った作品として、今も話題に上がり続けるのだと思われます。
■■■■ ゲームの攻略など
●まず押さえるべき前提:このゲームは「進む」より「整える」が強い
『サンダーフォース』を最初に触った人がつまずきやすいのは、一般的なスクロールSTGの感覚で「前へ前へ」と押し込もうとしてしまう点です。本作は8方向任意スクロールという仕組み上、無理に突っ込むほど敵の密度が上がり、逃げ道が消え、被弾の連鎖が起きやすくなります。攻略の基本は、進行よりも先に“安全地帯”と“退避ルート”を作ること。危険な場所を見つけたら、まずその周囲を掃除し、戻れる通路を確保してから中心へ踏み込む。これだけで生存率が目に見えて変わります。いわば戦場をパズルのように整備していく感覚で、敵を減らす順番がそのまま難易度を左右します。焦りが出た瞬間に無理をしがちなので、最初から「一度引くのは負けじゃない」とルール化しておくと安定します。
●対空・対地の撃ち分けは“切り替えの速さ”より“切り替える理由”が大事
本作の核である対空/対地の使い分けは、操作が慣れてくると「素早く切り替える」ことが目的になりがちですが、本当に大切なのは「いま何が一番危険か」を見極めることです。空中の敵が多い状況で地上ばかり叩いていると、弾の雨が増えて回避が破綻しやすい。逆に地上砲台を放置すると、通路そのものが危険地帯になって退避できなくなります。基本手順としては、(1) 退避ルートを塞ぐ地上火点を優先して減らす、(2) 次に空中の追撃役を落として弾の総量を下げる、(3) 最後に残った障害物を処理して道を広げる、という“交通整理”が効きます。上達すると、撃ち分けは反射的な操作ではなく、危険度ランキングに基づく判断になります。
●指定目標の探し方:迷子にならないための「外周→内側」セオリー
ステージを前に進めるには指定目標の破壊が必要ですが、初見では「どこにあるのか」「何が目標なのか」が曖昧で、結果として戦域をさまよい続けて敵が増える負け方に陥りがちです。そこで有効なのが「外周から埋める」探し方です。いきなり中心へ突っ込まず、まずは外側の通路をぐるっと回り、地形の骨格を把握しつつ危険源を減らす。外周を一周できる頃には、危険な袋小路、敵が湧きやすい地点、通路の細い場所など、ステージの性格が見えてきます。その上で内側へ入っていくと、逃げ道の候補が複数ある状態で探索でき、目標を見つけた後も撤退しやすい。要は、先に“地図の輪郭”を頭に作ってから深部へ踏み込むのが安全です。
●撃ち合いの基本:弾が増えたら「撃つ」より「弾を薄める動き」を優先する
敵弾が増えてくると、プレイヤーは火力で押し切ろうとしてさらに前へ進み、状況が悪化しがちです。本作の回避は、反射神経で点を避けるというより「弾の通り道をずらす」「弾が来る角度を限定する」動きが強いです。具体的には、狭い通路で追い詰められたら、いったん広い場所へ戻って敵を散らし、弾幕の密度を分解する。敵が固まっているなら、角を使って視界に入る敵を減らし、同時に相手をする数を抑える。あるいは、わざと後退して敵を引き連れ、進行方向に“空白の帯”を作ってから再突入する。弾が濃い状態で正面突破するより、弾を薄めるための動きを1〜2回挟むほうが、結果的に被弾が減ります。
●要塞パートの攻略感:入口で焦らず、まず“戻れる形”にしてから奥へ
指定目標を破壊して要塞が始まると、心理的に「いよいよ決戦」と気持ちが前のめりになりますが、ここで焦って突っ込むと崩れます。要塞内部は通路が読みやすい反面、弾が交差しやすく、逃げ道が限られます。攻略の第一手は、入口付近を安全地帯に整えること。入口周辺の地上火点や厄介な敵を落として、後退して立て直せる空間を確保します。これができると、奥でミスしても戻って仕切り直せるため、挑戦回数が増え、結果として突破が早くなります。要塞中心部を狙う段階では、最短で突っ込むより、危険源を“帰り道から順番に”消していくと事故が減ります。帰り道の安全が確保されているほど、最後の追い込みで攻めに集中できます。
●ミスを減らすコツ:やられ方を3種類に分類して、対策を固定する
本作の被弾は、感覚的には同じミスに見えても原因が違うことが多いです。攻略を安定させるには、自分のやられ方を(1) 視界外からの弾に当たる、(2) 狭い通路で逃げ場を失う、(3) 目標探しで彷徨って密度が上がる、のように分類し、原因ごとに対策を決めておくと上達が速いです。視界外が原因なら、角に近づきすぎない、まず角の手前で掃除する。狭い通路が原因なら、狭い場所へ入る前に後退ルートの掃除を済ませる。彷徨いが原因なら、外周→内側の探索ルールを守り、一定時間で見切って引く。こうして“自分の負け方に対策札を用意する”と、同じステージでも突然の崩れが減っていきます。
●練習の仕方:いきなりクリア狙いより「1ステージを2つの作業に分ける」
練習で効率が良いのは、1ステージを「探索作業」と「突破作業」に分ける方法です。前半は探索に徹し、地形把握と危険源の位置関係を覚える。ここでは無理に進めず、“この辺が危険”“ここは立て直せる”という感覚を集めるのが目的です。後半は突破に徹し、指定目標の処理手順と、要塞突入後の整備手順を固める。探索と突破を混ぜると、毎回違う事故が起きて学習が散りますが、目的を分けると上達の要点が見えます。慣れてきたら「外周1周は必ず作る」「要塞入口は必ず安全地帯にする」など、自分ルールを2〜3個だけ固定すると、プレイが一気に安定します。
●難易度の感じ方:反射神経より、判断の遅れが難しさに直結する
本作の難しさは、弾が速いからというより「判断が遅れた結果、状況が詰む」タイプです。危険地帯に入ってから対策を考えると間に合わないので、危険地帯に入る前に準備をしておく。敵が増えてから整理するのではなく、増える前に整理しておく。こうした“先回り”ができるようになると、体感難易度がガクッと下がります。逆に言うと、ここを掴むまでは苦しい時間が続きやすいですが、一度掴むと「同じステージが別物に見える」タイプの成長が起きます。だから攻略は、腕前の伸びが数字のように見える感覚があり、やり込みに向いています。
●裏技的な発想:正攻法の中にある“ずらし”で楽になる
ここでいう裏技は、入力コマンドのようなものではなく、プレイの工夫としての“ずらし”です。たとえば、敵が湧く地点を真正面から叩くのではなく、画面端の位置取りで敵の出現を片側に寄せ、処理を単純化する。あるいは、危険な施設群へ突入する前に、周辺の雑魚を一掃して“処理の同時発生”を防ぐ。さらに、撤退するときは直線で逃げず、角を一つ挟んで追撃の角度をずらす。こうした小さな“ずらし”は、難しさを根本から壊すのではなく、プレイヤーの負担を軽くしてくれるため、結果としてミスが減り、攻略の再現性が上がります。本作は自由度が高いぶん、こうした工夫が効きやすいゲームです。
●最終まとめ:攻略の核心は「安全地帯」「退避ルート」「目標手順」の3点セット
『サンダーフォース』を安定して進めるための結論はシンプルで、(1) いつでも戻れる安全地帯を作る、(2) 退避ルートを塞ぐ危険源を先に消す、(3) 指定目標の位置と破壊手順を固める、の三つに集約されます。これができると、探索が迷いに変わらず、要塞突入が賭けにならず、最後の中枢破壊が“事故待ち”ではなく“作戦遂行”になります。8方向スクロールは自由なぶん、油断すると散らかりますが、逆に言えば整えれば整えるほど味方になります。慣れてきたら、自分の得意な“整え方”がそのままプレイスタイルになり、同じゲームなのに自分だけの攻略が完成していく感覚を味わえるはずです。
■■■■ 感想や評判
●当時の第一印象は「パソコンでこのスクロールは反則」──店頭デモが名刺代わりになったタイプ
『サンダーフォース』の評判を語るとき、まず外せないのが“動きを見せた瞬間に勝つ”タイプの存在感です。80年代前半の国産PCは、同じ「シューティング」と言っても、滑らかに動かすだけで相当な工夫が必要でした。その中で本作は、8方向任意スクロールという豪快な仕組みを掲げ、しかも高速スクロールを売りにしていたため、最初に触れた人が「まず動きに驚く」流れが生まれやすかったとされています。実際、当時のパソコンショップや売り場でデモが流れていた、という回想も残っており、スクロールの速さと起動時演出が“見せ物”として強かったことがうかがえます。 つまり、評判の出方が口コミ中心でも「面白いらしい」より先に「すごいのが動いてる」という視覚・体感の衝撃から始まりやすいゲームでした。
●メディア的には「PC用STGの常識を変えた」という位置付けがされやすい
後年の紹介文やデータベース的な記録でも、本作は“PCのシューティングの常識を変えた”といった言い回しで語られやすい作品です。ポイントは、ゼビウス系の文脈を踏まえつつ、8方向任意スクロールへ拡張して遊びの幅を押し広げたこと、そして対空・対地の撃ち分けや指定目標破壊による進行など、単なる見た目以上に「遊び方の設計」が新しかったことにあります。 当時の雑誌評価を細かく一律に並べるのは資料の揺れもありますが、総論としては「派手に動く」「システムが凝っている」「機種差があって語れる」という三点が、紹介記事でも回想でも繰り返し強調されがちです。
●プレイヤー側の感想は二極化しやすい──自由度が“迷い”にも“戦術”にもなる
ユーザーの体験談として特徴的なのは、褒め言葉がそのまま難しさの理由にもなる点です。8方向に動けるのは爽快で、探索のように戦場を切り開けるのが面白い。一方で、どこへ進めばいいのか分からないと戦域を彷徨い、敵が増えて苦しくなる。つまり“自由=便利”ではなく、“自由=責任”でもある。指定目標を壊すことで要塞パートへ進むという構造は、理解できるとテンポが一気に良くなる反面、理解するまでは「いつ終わるのか分からない」焦りにつながります。 このため、感想としては「慣れるほど面白い」「最初は取っつきにくいが、分かった瞬間に化ける」というタイプの語りが出やすく、初心者の初回体験と、やり込んだ後の評価が大きく変わりやすいゲームと言えます。
●機種違いの評判は“性能差”より“味付けの違い”として語られることが多い
本作は対応機種が多く、同一タイトルでもプレイ感が揺れるため、評判が「どの版で遊んだか」に引っ張られがちです。たとえば、X1やMZ-1500では起動時に音声合成でタイトルを喋る演出がある、といった“体験の入口”が違う話は、当時から話題性が強かった部分です。 さらに、描画方式や色数の都合でスクロールの質感や敵弾の圧が変わるため、「この版は気持ちいい」「この版は歯ごたえがある」といった評価の分岐が起きやすい。ここが面白いところで、単純に上位互換・下位互換というより、どの要素に魅力を感じるか(爽快さ、緊張感、演出、音)で“推し版”が変わる語られ方になりやすいのです。
●現代のレトロ視点では「シリーズの原点としては異色」「でも発想が尖りすぎて忘れられない」という評価になりやすい
『サンダーフォース』シリーズをメガドライブ期の横スクロール作品で知った層が、初代に触れると驚くのが、トップビュー主体で任意スクロールという“別ジャンル感”です。海外のレトロゲーム系レビューやデータベースでも、初代は自由移動型の見下ろしSTGとして整理され、後続の横スクロール路線とは性格が違うことがまず説明されがちです。 そのうえで評価は分かれます。自由に動ける面白さを高く買う人もいれば、現代のテンポ感で見ると迷いやすさ・単調さを指摘する人もいる。ただ、この賛否の割れ方自体が「当時、パソコンでここまでやる」という尖りの裏返しであり、無難にまとまっていないからこそ“語りが生き残る”タイプの古典になっています。
●攻略記事・体験記が今も出るタイプ──難しさが“思い出話”になりやすい設計
レトロPC作品の中には、資料が薄くなって話題が散っていくものも多いのですが、本作は比較的「遊び直して語る」土壌が残りやすいです。理由は、指定目標や要塞突入の流れ、対空・対地の使い分け、そして地形を使った整備プレイなど、文章で説明しやすい要点が多いからです。実際、個人ブログなどで発売時期や機種差に触れつつ攻略視点でまとめられる例もあり、当時の価格や版の違いを添えて語られることがあります。 難易度が高いだけでなく、「なぜ難しいのか」「どうすると楽になるのか」を語れる構造なので、思い出の共有がしやすい。結果として、評判が“懐古の一言”で終わらず、プレイの工夫談義として再燃しやすいゲームです。
●『コンストラクション』の存在が評価をもう一段押し上げた──遊び手が作り手に回れる
感想・評判を厚くしているもう一つの要素が、翌1984年にマップ編集機能を追加した『サンダーフォースコンストラクション』が登場したことです。 これは単なる追加版というより、「このゲームは面の作りが面白い」という魅力を、ユーザー自身が確かめられる形にした展開でした。編集で地形や目標配置をいじると、探索の迷いが増える/減る、敵弾が刺さる角度が変わる、要塞突入の緊張感が変わる、といった“面設計の手触り”が分かります。こうした体験は当時のパソコンならではで、評判としても「遊ぶだけで終わらない」「自分で作って友人と見せ合える」といった方向へ広がりやすかったはずです。
●まとめ:評判の芯は「速度」「自由度」「作り分け」──だから時代が変わっても語りが残る
『サンダーフォース』の感想や評判を総合すると、当時はまず“高速スクロールと派手な体感”が話題を呼び、遊び込むと“自由度と戦術性”が評価の中心になり、さらに機種ごとの作り分けが比較談義を生んで寿命を伸ばした、という流れに集約できます。 現代目線では賛否が割れても、その割れ方が「尖っていた証拠」になり、シリーズの原点としても、国産PCシューティングの一つの到達点としても、“話す材料が尽きない”タイプの作品です。
■■■■ 良かったところ
●“PCゲームらしさ”と“ビデオゲーム的快感”が同居しているところ
『サンダーフォース』を褒める声でまず強いのは、「パソコンで遊んでいるのに、ゲームセンター的な勢いを感じる」という点です。当時の国産PCゲームは、コマンド主体やパズル、アドベンチャーなど、じっくり遊ぶ方向へ寄りやすい一方、アクション寄りの作品では動きの滑らかさや爽快感を出すのが難しい時代でした。そこで本作は、8方向任意スクロールを核にして“動かしているだけで面白い”領域に踏み込み、さらに対空・対地の撃ち分けで「操作が戦術になる」手応えを乗せています。遊びのテンポはビデオゲーム的に刺激的でありつつ、地形を把握し、目標を見つけ、要塞へ踏み込むという流れはPCゲーム的な“考える面白さ”も残す。この混ざり方が唯一無二で、後年遊び直しても「古いのに尖っている」と感じやすい長所になっています。
●8方向任意スクロールが生む「自分で切り開く感覚」が気持ちいい
良かった点として特に印象に残りやすいのは、「進路を自分で選べる自由さ」が、単なる自由ではなく“手応えのある自由”になっているところです。危険が濃い場所に突っ込んで一気に突破するのも、慎重に外周から整備して安全地帯を作るのも、どちらも成立します。つまり、プレイスタイルが選べるだけでなく、選んだスタイルがそのまま難易度やテンポに反映される。ここが“自分で戦場を攻略している”感覚に直結します。シューティングでありながら、探索や作戦行動の匂いがするのは、任意スクロールと地形の組み合わせが効いているからで、「同じステージでも自分の進み方で体験が変わる」ことが、思い出の濃さにつながりやすい部分です。
●対空・対地の撃ち分けが、上達の納得感を作っている
プレイヤーの“良かった”という感想の中で、やり込み勢ほど強調しがちなのが撃ち分けの気持ちよさです。最初は混乱して被弾が増える要因にもなりますが、慣れてくると「いま何が危険か」を判断して武装を切り替え、通路を整え、弾幕の密度を薄めていく流れが自分の中で“手順”になります。すると、同じステージが急に楽になる瞬間が来る。ここが非常に気持ちよく、反射神経が上がったというより“考え方が整った”ことで勝てるようになるため、成長の実感が強いです。シューティングにありがちな「気合いで避ける」だけではなく、「危険源を先に潰して避ける必要を減らす」戦い方が成立するので、攻略が再現可能になり、安定して進める喜びが生まれます。
●指定目標→要塞→中枢破壊の流れが、任務感と達成感を両立している
本作は「ただ生き延びる」では終わらず、指定目標を破壊して要塞戦へ移行し、中心部を壊して次へ進むという構造になっています。これが良かった点として語られやすいのは、プレイヤーが“目的を達成している感覚”を強く持てるからです。戦域を彷徨っている段階は緊張が続き、目標の位置や壊し方が見えた瞬間にテンポが上がる。要塞へ踏み込んだら、入口を整備しながらじわじわ奥へ進む。最後に中枢を砕いて抜けると、シューティングのクリア感というより「作戦を成功させた」満足感が残ります。単調な消耗戦ではなく、節目があり、盛り上がりがあり、終盤へ向けて物語が締まっていく。この設計が、1ステージを“短編の任務”として成立させているところが評価されやすい部分です。
●機種ごとの作り分けが“語りの厚み”を作った(同じゲームなのに体験談が増える)
良かったところとして、他のゲームにはない特性が「機種差がそのまま話題になる」点です。通常、移植の違いは“劣化”“上位”という一言で片付けられがちですが、『サンダーフォース』は対応機種が多いうえに、各機種の表現力や処理の癖を踏まえて、見た目や速度感、敵弾の圧などが調整されました。その結果、同じタイトルでも「この版はスクロールが気持ちいい」「この版は緊張感が強い」「この版は演出が好き」と、複数の“推しポイント”が生まれます。これは当時のユーザーにとって非常に贅沢で、持っている機種が違う友人と比較し合うだけで盛り上がれる。後年になっても、レトロPC好きが語りやすい材料として残り続けています。
●演出と音が“気分を上げる装置”として機能している
本作の良さはルールだけではなく、プレイの気分を上げる演出にもあります。起動時や開始時の見せ方、音の鳴り方が、当時のパソコンゲームとしては派手で、出撃のテンションを作ってくれます。とくに、機種によっては音声合成でタイトルを喋るような演出があり、当時としては“見せるための驚き”になりました。こうした演出は単なる飾りではなく、「これから戦いに入る」というスイッチを入れてくれるため、集中力が上がり、操作のキレも出やすくなります。シューティングはテンションが落ちると雑になるジャンルなので、気分の維持に効く演出は、実は攻略面でも恩恵が大きい。派手さと実用性が同じ方向を向いているのが、語られやすい長所です。
●難しさが“理不尽”より“学習の余地”として立っている
良かった点の中には、「難しいけど納得できる」「繰り返すほど楽になる」という声も入りやすいです。もちろん当時の作品なので、現代基準で親切とは言いませんが、本作の苦しさは“分からないまま突っ込む”ことで増え、“分かって整える”ことで減るタイプです。指定目標の位置や戦域の構造を覚えれば迷いが減り、撃ち分けが身につけば危険源の処理が早くなり、地形の使い方が分かれば退避が安定する。つまり、学習の成果が体感として返ってきます。ここが「もう一回やってみよう」という気持ちを作り、長く遊ばれる理由になっています。
●『コンストラクション』につながる“面の面白さ”が、最初から備わっている
後にマップ編集機能を追加した『サンダーフォースコンストラクション』が登場したことを踏まえると、初代からすでに「面の作りが面白い」土台が強かったことが分かります。探索の導線、危険地帯の配置、目標の置き方、要塞への切り替え位置など、“設計の意図”が見えやすい。だからこそ、遊んでいても「ここを先に壊すと楽になる」「ここは入口を安全にすると安定する」と攻略の仮説が立てやすい。そして仮説が当たると快感になる。この作りは、単なるアクションではなく“設計と対話するゲーム”の良さで、パソコンゲームらしい魅力として評価されやすい点です。
●総合すると:初代の良さは「自由度を、気持ちよさと学習に変換できる設計」
『サンダーフォース』の良かったところをまとめると、任意スクロールという自由度を、ただの便利さにせず「戦術」と「達成感」に変換している点に集約されます。撃ち分けで危険源を整理し、指定目標を叩いて状況を動かし、要塞へ踏み込んで中枢を砕く。これが噛み合うと、シューティングとしての爽快感に加えて、“作戦成功”の満足感が残る。さらに機種差が体験談を増やし、演出と音が気分を押し上げる。結果として、古い作品でも“尖った良さ”が薄れにくく、語り継がれやすい一本になっています。
■■■■ 悪かったところ
●自由度の裏返しで「何をすれば進むのか」が初見に優しくない
『サンダーフォース』で不満として挙がりやすいのは、8方向任意スクロールが生む“迷いやすさ”です。自由に動けること自体は長所ですが、初見では「どこに向かえばいいのか」「何を壊せば要塞へ進むのか」が分かりにくく、戦域を彷徨っているうちに敵が増えて苦しくなるパターンが起きやすい。縦スクロールSTGの感覚だと、進行方向が自然に誘導してくれますが、本作はプレイヤーが自分で導線を作らなければならないため、ゲーム側のガイドが薄いと“手探りの時間”が長引きがちです。結果として、面白さに到達する前に「何だか疲れる」「どこまでやれば終わるのか分からない」と感じる人が出やすい。自由度が高いゲームでよく起きる“入口の壁”が、この作品にも確かにあります。
●指定目標システムが「理解できると快感」でも「分からないと消耗戦」になりやすい
ステージの節目は指定目標の破壊で動きますが、初見でそれを把握できないと、延々と戦域で戦い続ける形になり、消耗感が強くなります。敵を倒しても“終わりに近づいている実感”が薄い時間が続くと、プレイヤーは集中力を削られ、ミスが増え、さらに進捗が止まるという悪循環に入りやすい。こうした構造は、探索が好きな人には魅力ですが、「分かりやすいゴール」がないとモチベーションが保てない人には弱点になります。とくに短時間で遊びたいときや、初回プレイで達成感を得たいタイプの人には、説明不足に見える可能性が高い部分です。
●対空・対地の撃ち分けが“気持ちよさ”になる前に、操作の負担として感じられることがある
撃ち分けは本作の魅力ですが、同時に「慣れるまで面倒」という声が出やすいところでもあります。初心者の段階では、敵が来る、弾が来る、地形が狭い、目標が見つからない、というストレス要因が重なり、その上でショットの使い分けを要求されます。すると“やることが多すぎる”と感じ、爽快感より忙しさが先に立つことがあります。慣れてくると撃ち分けは戦術の核になりますが、慣れる前は「どっちを撃てばいいのか分からない」「切り替えでミスる」という形で負担になりやすい。つまり、長所がそのまま初心者の不満にもなり得る、ハードルの高さがあります。
●機種差があるぶん、遊んだ環境によって“理不尽寄り”に感じるケースが出る
本作は機種移植の作り分けが魅力ですが、逆に言うと、版によって難易度の印象やテンポが変わります。描画や処理の都合でスクロールが遅く感じる版では、敵弾の圧が増して緊張感が強くなる一方、それを「歯ごたえ」と受け取るか「理不尽」と受け取るかで評価が割れます。特に、狭い通路で弾が増える状況が続くと、学習で改善できる部分はあるにせよ、初見の体験が“つらい寄り”に振れやすい。複数機種を比較できる人ほど楽しめる反面、ひとつの版しか触れられない人は、その版の癖がそのまま作品全体の印象になってしまう、という弱点があります。
●探索型ゆえの単調さ:上達すると「同じ手順の繰り返し」に見える瞬間がある
攻略が進んで目標の位置や安全地帯の作り方が固まってくると、プレイが安定する一方で、「結局この順番で整備して進むだけ」という作業感が顔を出すことがあります。これは本作が、反射神経の勝負より“整備の手順”で勝つ側面が強いからです。手順が完成した人ほどミスが減りますが、その分刺激も減る。もちろん、安定して進められる気持ちよさはあるのですが、刺激を求める人にとっては「もっと状況が揺れてほしい」「毎回違う展開がほしい」と感じる可能性があります。現代のゲームに慣れた人ほど、この単調さを強く感じることがあるかもしれません。
●テンポ面:戦域パートでの“探す時間”が長いと、爽快感が途切れやすい
本作のテンポは、指定目標を見つけて要塞へ入ると一気に締まりますが、そこに辿り着くまでが長引くと、爽快感の波が途切れやすいです。とくに、目標の探し方が確立していない段階では、戦っている時間より探している時間の割合が増え、気分が落ちる。さらに、探している最中に敵が増えて被弾すると、「探し直し」になってストレスが跳ね上がります。つまり、本作はテンポの良さが“理解と習熟”に依存するところがあり、初回でテンポ良く楽しめる保証が薄い。これは好き嫌いが出やすい点です。
●UI・情報提示の弱さ:現代基準では「ヒントがもっと欲しい」と感じやすい
当時のゲーム全般に言えることですが、本作もプレイヤーに多くを委ねます。目標の見分け、ルートの選択、危険地帯の回避、要塞突入後の整理など、必要な情報は“やりながら覚える”方式です。これはやり込み勢には嬉しい一方、今の感覚で触れると「もう少し分かりやすい表示があれば」と感じやすい。どこが目標か、何を破壊すべきか、要塞突入条件は何か、といった情報が明示されないと、初回は理解に時間がかかります。攻略情報が手元にある前提なら問題ありませんが、手探りで遊ぶほど不満が出やすい構造です。
●総合すると:悪いところは「尖った設計の副作用」──入口の不親切さが最大の壁
『サンダーフォース』の残念な点をまとめると、任意スクロール・撃ち分け・指定目標という尖った設計が、慣れる前は“分かりにくさ”や“忙しさ”として出てしまう点に集約されます。機種差も、比較できる人には楽しさですが、単独で遊ぶ人には癖として重くのしかかることがあります。ただし、これらの弱点は、裏返せば“無難にまとまっていないからこその個性”でもあります。入口を越えるまでに時間がかかる、その代わり越えた先で「自分の攻略が完成する快感」がある。そういう性格のゲームだと理解して触れると、欠点も含めて納得しやすい作品です。
[game-6]
■ 好きなキャラクター
●この作品は“キャラ推し”より“任務推し”になりやすい──だからこそ、好きが分かれる
『サンダーフォース』の初代は、後年のキャラクター性が前面に出る作品とは違い、基本は「作戦遂行のための出撃」という任務劇の色が強いゲームです。会話劇や個別の人物描写で引っ張るタイプではなく、プレイヤーは自機を操って戦場を切り開き、要塞へ突入し、中枢を破壊する。その体験自体が“主人公の行動”になっています。だから「好きなキャラクター」と言っても、アニメ的に目立つ登場人物が並ぶというより、世界観の中で役割を担う存在――つまり“操縦者”“機体”“敵要塞”といった要素に愛着が向くことが多いです。ここが面白いところで、人によっては「キャラが薄い」と感じる一方、別の人は「余計な説明がないからこそ、想像で補えて燃える」と感じます。推し方が“キャラクターの性格”ではなく、“任務に関わる存在”へ向かうのが、この初代らしさです。
●エイドラ・ファーン:名が付いた瞬間に“任務の顔”が立ち上がるタイプの主人公像
好きなキャラクターとして真っ先に挙げられやすいのは、やはり操縦者であるエイドラ・ファーンです。物語上は、連邦が不利な戦局を覆すために、爆撃宇宙艇へ搭乗して敵の巨大基地を破壊する任務を命じられる存在で、プレイヤーの操作そのものがエイドラの戦闘行動になります。ここで重要なのは、彼女(あるいは“彼”として受け取る人も含め、当時の資料の受け止め方には幅があります)の細かな人物像が描かれないことが、逆に“任務の投影先”として強いという点です。プレイヤーは失敗すれば「任務を落とした」感覚を持ち、突破すれば「エイドラを生還させた」感覚を持つ。キャラが饒舌に語らない分、プレイヤーの達成感がそのまま主人公の武勲に置き換わり、愛着が生まれます。好きの理由が「性格」ではなく、「この手応えのある任務を背負っている存在だから」という、硬派な惚れ方になりやすいキャラクターです。
●爆撃宇宙艇「FIRE LEO」:機体そのものが相棒、そして“推しキャラ化”しやすい
初代『サンダーフォース』で“キャラクター扱い”されやすいものの代表が、プレイヤー機であるFIRE LEOです。シューティングにおいて自機は単なる道具に見えがちですが、本作は対空・対地を使い分け、地形の中を切り抜け、要塞へ突入して核を砕くという“任務の全工程”を担うため、機体がそのまま物語の主役級になります。特に、任意スクロールで自由に動き回れるぶん、プレイヤーは「この機体でこの戦場を攻略している」という感覚を強く持ち、性能や操作感への愛着が深くなります。好きな理由としても、「この機体の動きが好き」「狭い通路を抜けるときの手触りが忘れられない」「要塞突入のときに頼れる存在」といった、体験に直結した語りになりやすい。キャラ立ちが薄いのではなく、体験の中で“相棒”として立ち上がってくるタイプです。
●敵超巨大基地「ダイラデイザー」:ラスボスではなく“ステージ全体がキャラ”として記憶される
このゲームで印象に残る存在として、敵側の巨大基地ダイラデイザーを挙げる人もいます。普通のシューティングなら、敵キャラは個別のボスや雑魚の姿形で記憶されますが、本作では「戦域→要塞→中枢」という流れが強く、要塞という“場所そのもの”が、敵の顔になります。指定目標を壊して要塞を起動させ、入口を整備し、通路を抜け、中枢へ辿り着く――この一連が、巨大基地と戦っている感覚を作ります。つまり、敵は単体のキャラというより“構造体”としての存在感が強い。好きな理由も、「要塞に踏み込む瞬間の緊張感が好き」「中枢を砕くときの達成感が好き」という、場所に対する愛着になりやすい。キャラ人気というより、ダンジョン人気に近い惚れ方が生まれるのが、本作らしいポイントです。
●「ダイラ(中心核)」:名前がある“目的物”が、物語の焦点を作る
要塞中心部にある“中心核”として語られるダイラは、個性豊かなボスというより、任務の最終目的として強く記憶される存在です。ここが面白いのは、目的物に固有名詞があるだけで、作戦の輪郭が急にシャープになることです。「最後に壊すべきもの」がただのコアではなく、名を持つことで、“敵の心臓”を狙っている感覚が増す。シューティングはプレイ中の情報量が多いので、こうしたシンプルな焦点があると、プレイヤーの気持ちがぶれにくくなります。好きなキャラとして語る場合も、「ダイラを割った瞬間が忘れられない」「あそこまで辿り着く作戦が燃える」といった、象徴としての愛着が中心になります。
●プレイヤーの“好き”が分岐するポイント:人ではなく「体験の象徴」を推すゲーム
この章で強調したいのは、初代『サンダーフォース』の“好きなキャラクター”は、現代のキャラゲー的な推し方とは軸が違うことです。人物の掛け合いで惚れるというより、作戦の中で頼れた存在、苦戦した相手、突破の象徴になった目標物に惚れる。だから、推しの対象が人だけに限られず、機体や要塞、任務の節目として記憶される存在へ広がります。ここが良くも悪くも個性で、キャラを求める人は物足りなく感じやすい一方、“ゲーム体験そのものにキャラ性を感じる人”には刺さりやすい。
●まとめ:初代のキャラクター性は「語らないことで立つ」──任務の中で推しが生まれる
『サンダーフォース』初代のキャラクター周りは、派手に喋らず、個別の人物描写で引っ張らず、その代わり“任務の構造”の中で存在感を立たせるタイプです。エイドラ・ファーンはプレイヤーの投影先として、FIRE LEOは相棒として、ダイラデイザーは敵の顔として、中心核ダイラは目的の象徴として、それぞれがプレイ体験の記憶に刻まれます。キャラクターが薄いのではなく、キャラクター性の置き場所が違う。そう捉えると、「好きなキャラクター」という問いに対しても、人物名だけでなく“推したくなる体験の象徴”を挙げられる、独特の味わいが見えてきます。
[game-7]
●対応パソコンによる違いなど
●なぜ“同じサンダーフォース”でも別物になるのか――80年代国産PCの前提
1983年前後の国産パソコンは、機種ごとに表示方式(解像度・色数・プレーン構成)、CPUと周辺回路、VRAMの扱い、サウンド、そしてストレージ(テープ/ディスク)まで差が大きく、ゲームの体験は「ソフト名が同じでも中身は調整の別解」という形になりやすい時代でした。『サンダーフォース』はまさにその典型で、8方向任意スクロールと対空/対地の撃ち分けという“重い処理を要求する核”を抱えているぶん、各機種の得意分野が体験に直結します。速さを取るか、色を取るか、演出を取るか、敵弾の密度で歯ごたえを作るか――移植というより“同じ設計思想を別の条件で成立させる”作業に近く、そこが版ごとの個性になりました。
●X1系:PCGと合成表現で「8色高速スクロール」を押し出しやすい
X1系はPCG(キャラクタジェネレータ)を活用でき、背景とキャラクタ的な表示の合成がやりやすい条件がありました。そのため『サンダーフォース』のように画面全体を動かしつつ敵味方を滑らかに表現したい作品では、色数と動きの両立を狙いやすい側に入ります。結果として、スクロールの気持ちよさや“動いている迫力”が印象に残りやすく、後年のシリーズ作で見られるタイトル演出の発想にもつながる要素が、この版から芽吹いたと語られることがあります。
●MZ-1500:X1と近い方向性+音声演出が“店頭映え”する
MZ-1500もPCG周りの強みを活かしやすく、画面表現の方向性はX1と近いところがあります。さらに、起動時の音声合成でタイトルを喋るといった演出がある版として記憶されやすく、「最初に見せる一発で勝つ」タイプのインパクトを作れます。こうした演出は、攻略に直接関わらないようでいて、プレイヤーの気分を上げ、ゲームへの没入を強める役割があります。
●PC-8801系:幅広いユーザー層と“版の世代差”が語りを増やす
PC-8801系はユーザー人口が厚く、同じ88でも世代(mkII、SRなど)によって体験が変わるため、「88版」と一括りにしにくい面白さがあります。後発のSR系では、開始時の見せ方に工夫が入ったり、BGMにクラシック曲(『ウィリアム・テル序曲』)が使われたりと、演出・音の面で印象が強くなりやすい。88ユーザーは母数が多いぶん、攻略談義も残りやすく、“この版が基準”として語られることが多いのも特徴です。
●PC-8001/PC-6001系:処理負荷との戦いが「敵弾の圧」という別の面白さを生む
8ビット機では、背景とキャラの合成・描画負荷が重くなりがちで、スクロール速度や色の扱いに工夫が必要になります。その結果、背景を整理して描画を軽くする一方で、スクロールが遅く感じる分だけ敵弾が増えて緊張感が増す、といった“歯ごたえ方向”の調整が起きやすい。爽快さが強い版と比べると難しく感じることもありますが、逆に「詰め将棋のように整備して突破する」初代らしい味が濃く出る版として好む人もいます。
●FM-7:画面表現の個性と、操作感のチューニングが評価点になりやすい
FM-7はハードの構成や表示の癖が独特で、同じ設計を持ち込んでもそのままでは気持ちよく動きません。だからこそ、移植側の調整が結果に出やすく、「FM-7版のこの手触りが好き」という評価が生まれます。任意スクロールの作品は、入力の遅れや描画の癖が少しでもあると体感が変わるため、FM-7のように個性が強い機種ほど“版の味”が前に出ます。
●IBM JX:同時代PCの中でも異色の存在で、移植自体が話題になりやすい
IBM JXは当時の国内PCの中でも位置づけが独特で、対応タイトルが出るだけで話題になりやすい機種です。『サンダーフォース』のように“動きの派手さ”が売りの作品が対応していること自体が、当時のユーザーにとっては驚きになりやすく、「この機種でも動くのか」という存在証明の意味合いを帯びます。こうした版は、単純な完成度比較よりも“移植の成立”そのものが評価軸になり、レトロ視点で語られやすい特徴があります。
●結論:どの版が正解ではなく、「何を気持ちよさと感じるか」で推しが変わる
対応機種が多い作品では、しばしば“上位版”探しになりがちですが、『サンダーフォース』初代は、爽快さ(速度・色・スクロール)を推すか、緊張感(敵弾・処理の重み)を推すか、演出(音声・開始演出・BGM)を推すかで、好みが分岐しやすいタイトルです。だからこそ、複数機種の話が残り、比較談義が今も成立します。初代を深く味わうなら、「自分はこの版のこの手触りが好き」と言える“推し要素”を見つけるのが、一番楽しい遊び方だと思われます。
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●同時期に発売されたゲームなど
★幻魔大戦
:・販売会社:ポニー:・販売された年:1983年:・販売価格:3,300円:・具体的なゲーム内容: 1983年前後のパソコンゲーム界は、映画や漫画など“当時の話題作”と結びついたタイトルが一気に増えた時期で、その空気をそのまま背負って登場したのが『幻魔大戦』だ。基本はアドベンチャー寄りで、プレイヤーは状況に対して「YES/NO」や数値入力など、比較的単純な返答を繰り返しながら物語を前へ押し進めていく。派手なアクションで押すというより、「作品の世界観を言葉で追いかけ、イベントを踏んでいく」タイプなので、原作の雰囲気を知っているほど状況が飲み込みやすい一方、知らないまま触れると唐突に感じる場面も出やすい。こうした“ストーリー体験の比重が高い”作りは、後年のノベル系や物語主導ゲームへ連なる萌芽にも見えるし、当時の家庭用では得にくかった「文章で進むドラマ」の入口として印象に残りやすい。言い換えるなら、操作の気持ちよさより「設定と事件の連鎖」を味わうゲームで、同時代のアクション・STG群とは別ベクトルの存在感を放っていた。
★ギャラック
:・販売会社:PSK:・販売された年:1983年:・販売価格:5,000円:・具体的なゲーム内容: アーケードの熱が家庭のパソコンへ雪崩れ込んできた頃を象徴する一本が、この『ギャラック』のような固定画面シューティングだ。画面構成は宇宙を舞台にした縦系の撃ち合いで、敵の動きと弾幕(あるいは体当たり)を読みながら、こちらの射線を通していく“反射神経+配置の読み”が中心になる。特徴として、ディスクにスコアを残せる仕組みが用意されており、当時の「一度遊んで終わり」になりがちな環境でも、自己ベスト更新を目的に繰り返し立ち上げる動機が強くなる。いまの感覚だと当たり前のランキング要素だが、当時は“プレイの痕跡が残る”こと自体がゲームの寿命を伸ばす工夫だった。短いプレイ時間でも熱くなれる、腕前が数字で返ってくる、だからもう一回……という循環を、わりと素直に生み出せるタイプの作品だ。
★地底のモンスター
:・販売会社:ENIX:・販売された年:1983年:・販売価格:3,200円:・具体的なゲーム内容: 『地底のモンスター』は、当時のコンテスト文化とパソコンゲームの距離の近さを思い出させてくれるタイプの作品だ。まだメーカーが巨大な開発体制を組む前で、個人の発想やアイデアがそのまま商品になり得た時代、“ゲームの核”が分かりやすいタイトルほど強かった。この作品も、地下を舞台にした怪物との対峙という分かりやすい題材を軸に、限られた表示能力の中で「探索」「危険回避」「目的達成」を回していく構造を持つ。派手な演出よりも、状況を把握して次の一手を選ぶ楽しさが前面に出るので、プレイヤーは“攻略の筋道”を自分の頭の中で組み立てることになる。結果として、同時代のアクションのように瞬間の上手さだけでなく、進め方の工夫や発見が上達へ直結しやすい。こういう「地味だけど手触りが良い」作りは、80年代前半の国産PCゲームが持っていた魅力のひとつだ。
★大銀行強盗&スクウェア・ポーカー
:・販売会社:ポニー:・販売された年:1983年:・販売価格:2,800円:・具体的なゲーム内容: 一本のパッケージに二つのゲームが入っている、いわば“お得パック”的な発想のタイトルが『大銀行強盗&スクウェア・ポーカー』だ。こうした同梱型は、ゲームがまだ高価で、一本買うと長く遊び倒すのが前提だった時代に相性が良い。片方は題名から連想できる通り「強盗」を扱うゲームで、状況判断や駆け引きが中心になりやすい(派手なアクションというより、手順や選択の積み重ねで結果が変わるタイプを想像すると分かりやすい)。もう片方の「スクウェア・ポーカー」は、カードゲームを“パソコンらしく”整理して遊ばせる方向性で、確率と判断の訓練にもなる。ジャンルの違う二本が同居しているため、その日の気分で“遊びのリズム”を変えられるのが強みで、短時間でスパッと遊ぶ日もあれば、腰を据えて読み合いに没頭する日も作れる。一本で二度おいしい、という当時らしい実利的な魅力が詰まっている。
★キックオフ
:・販売会社:キャリーラボ:・販売された年:1983年:・販売価格:3,000円:・具体的なゲーム内容: 『キックオフ』は、当時のPCゲームに多かった“シンプルな題材を、操作の気持ちよさで引っ張る”タイプのアクション作品だ。プレイヤーはキャラクターを動かして敵を倒していくが、ここで重要になるのは複雑なルールではなく、敵の出方を見て、動きの癖を覚え、危ない瞬間に回避し、隙を見て反撃する――この往復運動のリズムである。初見は単純に見えても、進めるほど「安全な位置取り」「無理をしない攻め方」「次の敵の出現を読む」みたいなコツが積み上がっていき、結果として“自分が上手くなった手応え”を得やすい。80年代前半のパソコンは、ゲームごとにキー操作の感触が大きく違ったが、こうした直感型の作品は、自分の身体に馴染ませたときの快感が大きい。短いループで熱が上がる、まさに当時のアクション小品の良さが分かりやすく出た一作だ。
★うる星やつら エンジョイあたる編
:・販売会社:エンジョイソフト:・販売された年:1983年:・販売価格:3,800円:・具体的なゲーム内容: 人気作品の勢いが強かった時代、アニメ・漫画の世界を“自分で動かして触る”体験は、それだけで特別だった。『うる星やつら エンジョイあたる編』は、そうしたキャラクターコンテンツの力と、パソコンゲームの試行錯誤が結びついたタイプの一本と言える。ゲームとしてはアクションに分類され、派手な物語分岐よりも「場面ごとの出来事を、操作で乗り切る」感覚が中心になりやすい。ファン心理としては、原作のノリや“らしさ”を感じるだけでも楽しいが、ゲーム側の価値はそこに留まらない。限られた表現力の中で、キャラの存在感を出すための動き・間・見せ方が工夫され、結果として「IP物でもゲームとして成立させるには何が必要か」を当時なりに探っている。完成度の評価は好みが分かれても、83年当時に“うる星をゲームで遊ぶ”という一点だけで、十分に話題性を持った存在だったはずだ。
★倉庫番
:・販売会社:シンキングラビット:・販売された年:1983年:・販売価格:3,400円:・具体的なゲーム内容: 同時期の代表作として外せないのが『倉庫番』だ。ルールは驚くほど単純で、倉庫内の荷物を押して所定の位置へ運ぶだけ。ただし“押せるが引けない”という制約が、思考の深さを一気に生み出す。目の前の一手は簡単でも、数手先までの道筋を想像しないと詰む――この感覚が、アクション主体の同時代作品とはまったく違う中毒性になる。さらに、敵も時間制限も基本的にはなく、焦らせるのではなく考えさせる設計なので、プレイヤーは自分のペースで論理を組み立てられる。ここが“パソコンで遊ぶ意味”と噛み合い、紙と鉛筆で解くパズルに近い没入を生んだ。後の移植や派生の広がりを考えても、この時期に「パズルゲームが文化として根付く」決定打の一つになったと言っていい。遊ぶほどに、上手さより賢さが磨かれていく――83年の空気の中で、異彩を放つ名作だ。
★ホラーハウス
:・販売会社:日本ファルコム:・販売された年:1983年:・販売価格:4,800円:・具体的なゲーム内容: 『ホラーハウス』は、探索型アドベンチャーの“怖さ”を、当時の表現の範囲で成立させた一本として語りやすい。舞台は妖しい館。侵入して宝を探すという目的はシンプルだが、うろついていると危険が迫り、プレイヤーは「どこを調べ、どこへ移動し、いつ引くか」を常に考えることになる。恐怖の作り方も、今みたいな映像の暴力性ではなく、“不確実さ”と“いつ来るか分からない脅威”で締め上げるタイプだ。だからこそ、夜に遊ぶと妙に効く。一本道の物語を見せるより、プレイヤーに行動を委ね、結果として自分の選択が危機を招く――この構造が、館ものホラーと相性が良かった。のちの国内ADVが得意とする「場の空気で怖がらせる」方向性を、かなり早い段階で提示していたようにも見える。
★ゴルゴ13 モレッティー一族惨殺事件
:・販売会社:ポニカ:・販売された年:1983年:・販売価格:2,800円:・具体的なゲーム内容: 『ゴルゴ13 モレッティー一族惨殺事件』は、キャラクター性の強い題材を借りつつ、遊びの中身は“館・屋敷を歩き回って目的へ近づく”探索寄りに寄せた作品だ。分類としてはアドベンチャーの顔をしているが、実態は迷路的な空間把握が重要になりやすく、感覚としては「行き止まりを潰し、ルートを覚え、必要な場所へ戻る」反復が上達へつながる。屋敷内での移動が画面のスクロールで表現されるため、当時のプレイヤーには“空間に入り込む”新鮮さもあったはずだ。原作ファンなら任務の緊張感を重ねて楽しめるし、そうでなくても「探索を成立させる画面作り・移動感」を味わえる。派手な爽快感ではなく、目的達成のために淡々と情報と地形を積み上げていくタイプの一本で、83年の国産PCゲームの幅の広さを感じさせる。
★おーい!かぐや姫
:・販売会社:ポニー:・販売された年:1983年:・販売価格:4,000円:・具体的なゲーム内容: 昔話を題材にしながら、ゲームとしては“探して見つけてイベントへつなぐ”構造を前面に押し出したのが『おーい!かぐや姫』だ。竹やぶの中に隠れている対象を探し当てる、というコアが明快なので、プレイヤーは行動目的を見失いにくい。一方で、探索には邪魔が入る(体力が削られる要因がある)ため、ただ闇雲に動くだけではなく「安全に探す手順」「危険を避けるルート」を組み立てたくなる。こういう“軽いアクション性を混ぜた探索”は、当時の小品ADVが得意とした形で、短時間で起動しても遊びが成立しやすい。題材が誰でも知っているぶん、とっつきやすさも強く、同時期の硬派なSFや戦記シミュレーションとは違う層に刺さりやすかっただろう。83年の市場が、題材面でも急速に多彩になっていったことを示す例としても分かりやすい。
[game-8]






























